説明

多層フィルム、加飾成形用フィルムおよび成形体

【課題】本発明の目的は、熱成形する際に金型形状への転写性に優れ、得られる成形品の表面に厚みムラ、シワ、白化、ヒビ等が生じ難く、さらに耐候性に優れた多層フィルムを提供することにある。
【解決手段】本発明は、ポリカーボネート樹脂およびポリエステル系熱可塑性エラストマーを含む層(A層)、並びにアクリル系樹脂及びフェニルトリアジン系紫外線吸収剤を含む層(B層)を有し、A層の少なくとも一方の面にB層が積層された多層フィルムであって、B層は、アクリル系樹脂100重量部に対して、フェニルトリアジン系紫外線吸収剤を0.1〜5重量部含有する多層フィルムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形物の表面加飾用途に用いられる多層フィルムおよびその成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
インモールド転写、インモールドラミ、真空圧空成形ラミ等の加飾成形法は家電製品、自動車内装部品、雑貨類等を対象に従来から用いられている手法であるが、近年環境意識の高まりや技術革新も進み、適用範囲が大幅に広がっている。加飾成形には、フィルムに印刷、賦形あるいは金属蒸着等を施した加飾成形用フィルムが用いられる。その基材フィルムとしてこれまで、アクリルフィルム、PETフィルム、ポリカーボネートフィルム等が用いられてきた。
【0003】
かかる基材フィルムに求められる特性としては、目標の形状に正確に転写されるという熱成形性、印刷等のフィルム表面への加飾の際に必要な耐溶剤性、表面硬度、耐熱性、透明性、耐候性等が挙げられる。しかし、これら特性を全て満足する基材はなく、これまで用途に応じて問題を抱えながらも使用してきたのが現状である。
例えばアクリルフィルムは、その優れた透明性や耐候性を生かして本用途には多く用いられている。しかしながらアクリルフィルムは靭性が不足しており、成形加工の際に割れやバリが生じやすく、またより耐熱性の要求される用途への展開に限界がある。アクリル樹脂の靭性不足はゴム粒子を添加した樹脂組成物とすることによりある程度の改善は可能であるが、かかる場合は透明性が損なわれる場合が多い。ゴム粒子を添加してもヘイズが上がらないように、これまでゴム粒子の構造や製造方法等が様々に検討されてきたが未だ十分なものはなく、靭性を満足しかつ高い透明性を要求される分野への適用が困難である。
【0004】
またポリカーボネートフィルムの場合、耐熱性は高いものの、アクリルフィルムに比べて熱成形性に劣り複雑な形状や深い形状を正確に転写する用途には適用困難である。また表面硬度が低く耐溶剤性も劣る欠点がある。
PETフィルムは耐溶剤性、表面硬度はポリカーボネートフィルムよりも優れるが2軸延伸フィルムであり、未延伸フィルムであるアクリルフィルムやポリカーボネートフィルムと比べて延伸性に劣るため、熱成形性に劣る場合がある。また透明性もこれら非晶性樹脂に比べて劣り、アクリルフィルムと比べると耐候性も低い。
【0005】
かかる基材特性の改善策の一つとして、ポリカーボネート樹脂層の少なくとも一方の面にアクリル樹脂層を積層させた積層フィルムが提案されている(特許文献1〜10参照)。
この積層フィルムは、アクリルフィルムの靭性や耐熱性を改善する一方、ポリカーボネートフィルムの面から見るとその表面硬度、耐溶剤性および耐候性が改善されることになり、いわば“いいところ取り”してバランスのある特性となるように狙ったものである。しかし、熱変形温度の異なる樹脂の積層体であり、これまでその熱成形性や成形後の外観、透明性が問題になる場合が多かった。
このように加飾成形用フィルムの基材として、これまで素材面の改良や積層体にするといった構成面からもその特性改善が様々に検討されてきてはいるが未だ十分ではなく、さらなる改良が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3457514号公報
【特許文献2】特許第3489972号公報
【特許文献3】特許第3904262号公報
【特許文献4】特開2005−231257号公報
【特許文献5】特開2005−219330号公報
【特許文献6】特開2007−160892号公報
【特許文献7】特開2009−172953号公報
【特許文献8】特開2009−234183号公報
【特許文献9】特開2009−234184号公報
【特許文献10】特開2009−248363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、熱成形する際に、金型形状への転写性に優れ、得られる成形品の表面に厚みムラ、シワ、白化、ヒビ等が生じ難く、さらに耐候性に優れた多層フィルムを提供することにある。また本発明の目的は、靭性、透明性、表面硬度、耐候性に優れた多層フィルムを提供することにある。また本発明の目的は、該多層フィルムを用いた加飾成形用フィルムおよび加飾成形体を提供することにある。また本発明の目的は、該多層フィルムの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、ポリカーボネート樹脂層およびアクリル樹脂層を有する多層フィルムについて、ポリカーボネート樹脂層の素材面から鋭意検討した。その結果、ポリカーボネート樹脂に特定のエラストマーを加えると、多層フィルムの熱成形性、靭性、透明性が向上することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
【0009】
1.ポリカーボネート樹脂およびポリエステル系熱可塑性エラストマーを含む層(A層)、並びにアクリル系樹脂及びフェニルトリアジン系紫外線吸収剤を含む層(B層)を有し、A層の少なくとも一方の面にB層が積層された多層フィルムであって、B層は、アクリル系樹脂100重量部に対して、フェニルトリアジン系紫外線吸収剤を0.1〜5重量部含有する多層フィルム。
2.A層はポリカーボネート樹脂100重量部に対して、ポリエステル系熱可塑性エラストマーを3〜50重量部含有する前項1に記載の多層フィルム。
3.ポリエステル系熱可塑性エラストマーが、ポリブチレンテレフタレート単位からなるハードセグメントと、芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジカルボン酸をジカルボン酸成分とし、炭素数5〜15のジオールをジオール成分とするポリエステル単位からなるソフトセグメントとから構成される前項1または2に記載の多層フィルム。
4.フェニルトリアジン系紫外線吸収剤が、2−(4,6−(4−ビフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−フェノールである前項1〜3のいずれか1項に記載の多層フィルム。
5.A層の両面にB層が積層された前項1〜4のいずれか1項に記載の多層フィルム。
6.総厚みが20〜200μmである前項1〜5のいずれか1項に記載の多層フィルム。
7.ヘイズが4%以下である前項1〜6のいずれか1項に記載の多層フィルム。
8.前項1〜7のいずれか1項に記載の多層フィルムの一方の面に加飾が施された加飾成形用フィルム。
9.基材およびその表面に形成された前項8に記載の加飾成形用フィルムを含む加飾成形体。
10.A層を構成するポリカーボネート樹脂およびポリエステル系熱可塑性エラストマーを含む成形材料Aと、B層を構成するアクリル系樹脂100重量部に対してフェニルトリアジン系紫外線吸収剤を0.1〜5重量部含有するアクリル系樹脂を含む成形材料Bとを共押出することからなるA層の少なくとも一方の面にB層が積層された多層フィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の多層フィルムは、熱成形性、靭性、耐熱性、透明性、成形後の外観、透明性、表面硬度、耐候性等に優れる。本発明の製造方法によれば、上記の優れた特性を有する多層フィルムを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は実施例で用いた熱成形性の評価装置の概略図である。
【図2】図2は実施例で用いた熱成形性の評価装置の金型の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳述する。
〔多層フィルム〕
本発明の多層フィルムは、ポリカーボネート樹脂およびポリエステル系熱可塑性エラストマーを含む層(A層)、並びに紫外線吸収剤を含有するアクリル系樹脂を含む層(B層)を有し、A層の少なくとも一方の面にB層が積層されている。
【0013】
〈ポリカーボネート樹脂〉
ポリカーボネート樹脂は、ジヒドロキシ化合物が炭酸エステル結合により結ばれたポリマーであり、通常、ジヒドロキシ成分とカーボネート前駆体とを界面重合法または溶融重合法で反応させて得られるものである。
ジヒドロキシ成分の代表的な例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、イソソルビド、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。これらを単独で使用したホモポリマーでも、2種類以上共重合した共重合体であっても良い。物性面、コスト面からビスフェノールAが好ましい。本発明ではビスフェノール成分の50モル%以上がビスフェノールAであるポリカーボネートが好ましく、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。
【0014】
具体的なポリカーボネートとして、ビスフェノールAのホモポリマー、ビスフェノールAと1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとの2元共重合体、ビスフェノールAと9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレンとの2元共重合体等を挙げることができる。ビスフェノールAのホモポリマーが最も好ましい。
【0015】
該ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は、100〜200℃の範囲が好ましく、より好ましく120〜180℃の範囲である。ガラス転移温度が高すぎるとポリエステル系熱可塑性エラストマーとの樹脂組成物としてもその溶融粘度が高くなりすぎて溶融製膜が困難となるため好ましくなく、またガラス転移温度が低すぎると多層フィルムの耐熱性が不足するため本用途には相応しくない。
【0016】
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
【0017】
上記二価ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体を界面重合法または溶融重合法によって反応させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
【0018】
ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量で表して13,000〜40,000の範囲が好ましい。該分子量が13,000より低いと多層フィルムとして脆くなり、熱成形の際に割れやバリが生じやすくなるため好ましくなく、また40,000より高いとポリエステル系熱可塑性エラストマーとの樹脂組成物としてもその溶融粘度が高くなりすぎて溶融製膜が困難となるため好ましくない。分子量は、より好ましくは15,000〜35,000、さらに好ましくは20,000〜32,000、特に好ましくは22,000〜28,000である。ポリカーボネート樹脂が2種以上の混合物の場合は混合物全体での分子量を表す。ここで粘度平均分子量とは、塩化メチレン100mLにポリカーボネート0.7gを溶解した溶液の20℃における比粘度(ηsp)を測定し、下記式から粘度平均分子量(M)を算出したものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]
[η]=1.23×10−40.83
(但しc=0.7g/dL、[η]は極限粘度)
【0019】
〈ポリエステル系熱可塑性エラストマー〉
本発明で用いるポリエステル系熱可塑性エラストマーとは、結晶性の高融点ポリエステルブロック単位からなるハードセグメントと低融点のソフトセグメントとにより構成されるマルチブロック共重合体である。
【0020】
(ハードセグメント)
ハードセグメントは、該セグメントからなるポリマーの融点が150℃以上となるポリエステルセグメントである。かかるポリエステルとして、芳香族ジカルボン酸またはその誘導体とジオール成分またはその誘導体とを重合してなるポリエステル、これらの成分を2種以上重合してなるコポリエステル、オキシ酸またはその誘導体を重合してなるポリエステル、並びに芳香族エーテルジカルボン酸またはその誘導体とジオール成分またはその誘導体とを重合してなるポリエステル等を挙げることが出来る。
【0021】
芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)メタン、ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン等を挙げることが出来る。中でもテレフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
【0022】
またジオール成分としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,10−デカンジオール、p−キシリレングリコールおよびシクロヘキサンジオール等が挙げられる。中でも炭素数2〜4のジオール成分が好ましく、1,4−ブタンジオールがより好ましい。
【0023】
ハードセグメントは、ポリブチレンテレフタレートであることが好ましい。ポリブチレンテレフタレートはポリカーボネート樹脂との相溶性に優れ、透明性や熱成形性の点から好ましく、また強度等の面でも良好な特性を有する。ポリブチレンテレフタレートは、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を共重合成分として含んでも良い。かかる共重合成分の割合は、ジカルボン酸成分およびジオール成分共にそれぞれの全成分100モル%中、30モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましく、10モル%以下がさらに好ましい。
【0024】
(ソフトセグメント)
ソフトセグメントとは、該セグメントから形成されたポリマーの融点が100℃以下、または100℃において液状で非晶性を示すセグメントのことを示す。
ソフトセグメントとして、ジカルボン酸成分とジオール成分とからなるポリエステルが挙げられる。
【0025】
ジカルボン酸成分として、芳香族ジカルボン酸、または芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジカルボン酸が好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)メタン、ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン等を挙げることが出来る。なかでもテレフタル酸、イソフタル酸が好ましい。芳香族ジカルボン酸は2種以上の成分を使用することができる。
【0026】
芳香族ジカルボン酸には、脂肪族ジカルボン酸や脂環族ジカルボン酸を共重合することができる。脂肪族ジカルボン酸としては、炭素数4〜12の直鎖状ジカルボン酸が挙げられ、炭素数8〜12の直鎖状ジカルボン酸がより好ましく挙げられる。直鎖状ジカルボン酸の具体例としてはコハク酸、アジピン酸、およびセバチン酸が例示される。脂環族ジカルボン酸として、シクロヘキサンジカルボン酸が例示される。共重合成分の割合はジカルボン酸成分の合計100モル%中40モル%以下が適切であり、30モル%以下が好ましく、20モル%以下とすることがより好ましい。
【0027】
ジオール成分として、炭素数5〜15のジオールまたはポリ(アルキレンオキサイド)グリコールが好ましい。炭素数5〜15のジオールとして、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、3−メチルペンタンジオール、2−メチルオクタメチレンジオール等が好適に例示され、特にヘキサメチレングリコールが好ましい。ポリ(アルキレンオキサイド)グリコールとして、ポリ(エチレンオキサイド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキサイド)グリコール等が挙げられる。アルキレンオキサイドの重合度は2〜5が好ましい。
【0028】
ジオール成分には、エチレングリコール、テトラメチレングリコール等の炭素数2〜4の直鎖状脂肪族ジオールを共重合することができる。共重合成分の割合はジオール成分の合計100モル%中40モル%以下が適切であり、30モル%以下が好ましく、20モル%以下とすることがより好ましい。
【0029】
ソフトセグメントとして、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸および炭素数5〜15のジオールから構成されるポリエステルが好ましい(以下“SS−1”と称する場合がある)。SS−1は極めて良好な透明性が得られる点から好適である。
【0030】
ソフトセグメントSS−1は、より良好な透明性を得られる点からジカルボン酸成分の合計100モル%中、芳香族ジカルボン酸の含有量が60〜99モル%および脂肪族ジカルボン酸の含有量が1〜40モル%であることが好ましい。芳香族ジカルボン酸の含有量が70〜95モル%および脂肪族ジカルボン酸の含有量が5〜30モル%であることがより好ましい。芳香族ジカルボン酸の含有量が85〜93モル%および脂肪族ジカルボン酸の含有量が7〜15モル%であることがさらに好ましい。芳香族ジカルボン酸の含有量が89〜92モル%および脂肪族ジカルボン酸の含有量が8〜11モル%であることが特に好ましい。
【0031】
SS−1の芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸およびイソフタル酸が好適であり、特に結晶性低下の点からイソフタル酸が好適である。SS−1の脂肪族ジカルボン酸として、コハク酸、アジピン酸、およびセバチン酸等の炭素数6〜12の直鎖状脂肪族ジカルボン酸が好適であり、特にセバシン酸が好適である。
【0032】
SS−1の炭素数5〜15のジオール成分としては、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、3−メチルペンタンジオール、および2−メチルオクタメチレンジオール等の炭素数6〜12の直鎖状脂肪族ジオールが好ましい。特にヘキサメチレングリコールが好ましい。
【0033】
SS−1は、ポリカーボネート樹脂との相溶性が高く従って多層フィルムにおいても透明性が高いものを得ることが出来、また熱成形後の表面性や透明性も良好であるという観点から特に好ましい。SS−1としてより具体的には、イソフタル酸およびセバシン酸成とヘキサメチレングリコールからなるポリエステルが好ましい。
【0034】
またソフトセグメントとして、芳香族ジカルボン酸およびポリ(アルキレンオキサイド)グリコールから構成されるポリエステルが挙げられる(以下“SS−2”と称する場合がある)。
【0035】
SS−2を構成する芳香族ジカルボン酸として、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)メタン、ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン等を挙げることが出来る。中でもテレフタル酸およびイソフタル酸が好適であり、特にテレフタル酸が好適である。
【0036】
SS−2を構成する好適なポリ(アルキレンオキサイド)グリコールは、分子式HO(CHCHO)H(i=2〜5)、または分子式HO(CHCHCHCHO)H(i=2〜3)で表わされるものであり、更に好適には分子式HO(CHCHO)H(i=2〜5)で表わされるものであり、特に好ましくはトリ(エチレンオキサイド)グリコールである。
【0037】
またソフトセグメントとして、炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸と炭素数2〜10の脂肪族グリコールから製造されるポリエステルが挙げられる。かかるポリエステルとしては、例えばポリエチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリエチレンセバケート、ポリネオペンチルセバケート、ポリテトラメチレンドデカネート、ポリテトラメチレンアゼレートおよびポリヘキサメチレンアゼレート等が例示される。
【0038】
またソフトセグメントとして、ポリ(アルキレンオキサイド)グリコールからなるセグメントが挙げられる。ポリ(アルキレンオキサイド)グリコールとして、ポリ(エチレンオキサイド)グリコール、ポリ(プロピレンオキサイド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキサイド)グリコール等のポリアルキレンエーテルグリコール、並びにこれらのポリエーテルグリコール成分を共重合した共重合ポリエーテルグリコール等が例示される。かかるポリ(アルキレンオキサイド)グリコールの数平均分子量は400〜6,000の範囲が好ましく、500〜3,000がより好ましい。
【0039】
またソフトセグメントとして、ラクトン類化合物を開環重合したポリラクトン類が挙げられ、具体的にはポリ−ε−カプロラクトンを好ましく挙げることが出来る。更に上記ポリエステルとポリエーテルを組み合わせたポリエステルポリエーテル共重合体等も挙げられる。
【0040】
(組成等)
また本発明ではポリエステル系熱可塑性エラストマーにおいてハードセグメントとソフトセグメントとの割合は、エラストマー100重量%中、ハードセグメントが20〜70重量%およびソフトセグメントが80〜30重量%であることが適切であり、ハードセグメントが20〜40重量%およびソフトセグメントが80〜60重量%であることが好ましい。ポリエステル系熱可塑性エラストマーの固有粘度(o−クロロフェノール中、35℃での測定された値)は0.6以上が好ましく、0.8〜1.5の範囲がより好ましく、0.8〜1.2の範囲が更に好ましい。固有粘度が上記範囲より低い場合には多層フィルムの強度が低下するおそれがあり好ましくない。
【0041】
本発明では、A層中のポリエステル系熱可塑性エラストマーの含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、3〜50重量部であることが好ましい。3重量%より少ないと、該エラストマー添加による熱成形性向上の効果が乏しくなるため好ましくなく、また50重量%より多くなると、樹脂組成物の熱変形温度が低くなりすぎるため多層フィルムの耐熱性が不足し好ましくない。より好ましくは5〜30重量部であり、さらに好ましくは8〜25重量部である。
【0042】
本発明のA層には、それぞれの樹脂において一般的に用いられる各種の添加剤を含んでいてもよい。例えば熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、染料等が挙げられる。また本発明の効果を損なわない範囲で、ガラス繊維等の強化フィラーを含有していてもよい。
【0043】
(ポリエステル系熱可塑性エラストマーの製造)
ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、前述したハードセグメントとソフトセグメントを溶融混練することにより反応させてマルチブロック共重合体とすることにより得ることが出来る。
【0044】
ハードセグメントとなるポリマーの固有粘度は、好ましくは0.2〜2.0、より好ましくは0.5〜1.5の範囲である。ソフトセグメントとなるポリマーの固有粘度は、好ましくは0.2〜2.0、より好ましくは0.5〜1.5の範囲である。
【0045】
反応は、好ましくは200〜300℃、より好ましくは220〜260℃の範囲で、行なうことが好ましい。
かくしてマルチブロック化した上記ハードセグメントとソフトセグメントの数平均分子量は各々、500〜7,000の範囲が好ましく、800〜5,000の範囲がより好ましい。
【0046】
〈アクリル系樹脂〉
本発明においてB層用のアクリル系樹脂は、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの重合体を主体とするものである。アクリル系樹脂として、メタクリル酸メチルのホモ重合体、あるいはメタクリル酸メチルを好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上含む共重合体を挙げることが出来る。
【0047】
他の共重合成分として、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
【0048】
また他の共重合成分として、他のエチレン性不飽和単量体が挙げられる。具体的にはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族化合物、1,3−ブタジエン、イソプレン等のジエン系化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のアルケニルシアン化合物、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、N−置換マレイミド等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。共重合成分の含有量は、好ましくは0〜50重量%、より好ましくは0〜30重量%、さらに好ましくは0〜20重量%である。
【0049】
アクリル樹脂の製造方法は一般に、乳化重合法、懸濁重合法、連続重合法に大別されるが、本発明に用いられるアクリル樹脂はいずれの重合方法により製造されたものであっても良い。
【0050】
本発明では発明の効果を損なわない範囲で、多層フィルムの熱成形時のバリ、割れの改善のためアクリル樹脂にゴム粒子を添加しても良い。アクリル樹脂にゴム粒子を加えることによる靭性改善は公知の技術であり広く用いられており、本発明でも用いることが出来る。一般にゴム粒子を加えると透明性が低下する傾向にあり、本発明では出来るだけ透明性の高いゴム粒子を用いることが好ましい。好ましいゴム粒子として、アクリル系の架橋弾性重合体からなるコア層をメタクリル酸エステル樹脂で包んだコアシェル構造としたもの、また中心部のメタクリル酸エステル樹脂をアクリル系の架橋弾性重合体で包み、さらにその外側をメタクリル酸エステル樹脂で被覆した3層構造としたもの等が挙げられる。かかる多層構造のゴム粒子はアクリル樹脂に対する分散性が良好であり、透明性の高い多層フィルムを得ることが可能である。本発明では加飾成形の際に基材フィルムに要求される靭性、透明性を総合的に勘案して、ゴム粒子の有無、およびゴム粒子を含有する場合はかかるゴム粒子の種類、量、サイズ等を決定すれば良い。
さらにかかるアクリル系樹脂層に、一般的な熱安定剤、着色剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、艶消し剤等の各種添加剤を加えても良い。
【0051】
(紫外線吸収剤)
本発明でアクリル系樹脂層に含有される紫外線吸収剤としては、フェニルトリアジン系の紫外線吸収剤が用いられる。
【0052】
フェニルトリアジン系化合物の具体例としては、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−(2−ブトキシエトキシ)フェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ−p−トルイル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ−p−トルイル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ−p−トルイル−6−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ−p−トルイル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ−p−トルイル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ−p−トルイル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ−p−トルイル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ−p−トルイル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ−p−トルイル−6−(2−ヒドロキシ−4−(2−ヘキシルオキシエトキシ)フェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシフェノール、2−(4,6−(4−ビフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−フェノール等が挙げられ、特に2−(4,6−(4−ビフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−フェノール[別名:2,4−(4−ビフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−エチルヘキシルオキシ)]−1,3,5−トリアジン]が好ましい。
【0053】
上記の紫外線吸収剤の添加量としては、アクリル系樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部であり、0.2〜4重量部が好ましく、0.3〜3重量部がさらに好ましく、0.4〜2.5重量部が特に好ましい。紫外線吸収剤の含有量が0.1重量部未満だと、耐候性能が十分でなく、紫外線吸収剤の含有量が5重量部を超えると紫外線吸収剤自体の着色や成形時に紫外線吸収剤の揮発分が多くなってロール汚れを引き起こす等の問題が生じる。
【0054】
(層構成)
本発明の多層フィルムは、A層の少なくとも一方の面にB層が積層された多層フィルムである。好ましくはB層がA層の両面に積層された多層フィルムである。加飾成形用フィルム用途にはその使用形態から、多層フィルムの一方の面に表面硬度が要求され、反対の面が加飾のため耐溶剤性等が要求される場合が多く、両面にアクリル系樹脂(B層)が積層された構成が好ましい。また一般にいわゆる2種2層の積層体は2種3層の積層体に比べて、共押出成形による製膜時に両樹脂の熱収縮率の違いによる反りを生じ易い。かかるフィルムの反りは、その後印刷や金属蒸着等の加飾を施す工程の際に問題となることがあり、かかる点からも両面にアクリル系樹脂(B層)が積層されることが好ましく推奨される。
【0055】
本発明の多層フィルムは、その総厚みが20〜200μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは50〜150μm、さらに好ましくは60〜140μmである。総厚みが薄すぎるとハンドリングが困難となり加飾フィルム用途として相応しくなくまた生産上も困難となる。一方、総厚みが厚すぎるのも、熱成形時のフィルム加熱に時間がかかったり、熱成形性が低下したりすることがあるため好ましくない。
【0056】
また本発明で好ましい多層フィルムの厚み組成は、A層の厚みが総厚みの30〜90%である。A層の厚みは、より好ましくは総厚みの40〜80%であり、さらに好ましくは50〜70%である。
【0057】
B層1層の厚みは5μm以上であることが好ましい。ここでB層1層の厚みとは、A層の一方の面に積層されたB層のみに着目した厚みのことを示し、従ってA層の両面にB層が積層された3層構造の場合は、それぞれのB層の厚みが5μm以上、従って両面のB層合わせて10μm以上であることが好ましい。B層1層の厚みが5μmより薄いと、表面硬度や耐溶剤性の特性が不十分となるため好ましくない。より好ましくはB層1層の厚みが10μm以上であり、さらに好ましくは20μm以上である。B層1層の厚み上限は、総厚みおよびA層の厚みにより決まってくるが、70μm以下が好ましく、より好ましくは50μm以下である。
【0058】
加飾成形用フィルムの基材フィルムとしては透明性の高いものが好ましい。本発明の多層フィルムは、全光線透過率は90%以上が好ましく、91%以上がより好ましい。そのヘイズが4%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは2%以下である。
【0059】
〈多層フィルムの製造〉
本発明の多層フィルムは、従来公知の方法により製造することが出来る。例えば各層を予め別々に製膜しておきラミネートする、あるいは熱圧着プレスする方法、予め製膜した一方の層のフィルムを基材として、その片面あるいは両面にコーティングしてもう一方の層を形成させる方法、それぞれの樹脂層を共押出法により積層製膜する方法等が挙げられる。中でも経済性、生産安定性等から共押出法による製造がもっとも好ましい。
即ち、本発明の多層フィルムは、A層用の成形材料Aと、B層用の成形材料Bとを共押出して製造することができる。
【0060】
成形材料Aは、ポリカーボネート樹脂およびポリエステル系熱可塑性エラストマーを含む。ポリカーボネート樹脂およびポリエステル系熱可塑性エラストマーは前述の通りである。成形材料Aは、各成分同士を混合し、その後、溶融混練してペレット化して調製することが出来る。混合の手段としては、ナウターミキサー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等、公知の方法を用いることが出来る。該ペレットを用いて、フィルム製造装置に供給することにより本発明の多層フィルムを製造することが出来る。またかかるペレット化工程を経ることなく、共押出法による多層製膜の際に、押出機で直接溶融混練させてダイから押出すことによりフィルム化することも可能である。成形材料Bは、アクリル系樹脂を含む。アクリル系樹脂は前述の通りである。成形材料Bに紫外線吸収剤を添加する場合、各成分同士を混合し、その後、溶融混練してペレット化して調整することが出来る。混合の手段としては、ナウターミキサー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等、公知の方法を用いることが出来る。該ペレットを用いて、フィルム製造装置に供給することにより本発明の多層フィルムを製造することが出来る。またかかるペレット化工程を経ることなく、共押出法による多層製膜の際に、押出機で直接溶融混練させてダイから押出すことによりフィルム化することも可能である。
【0061】
共押出法は、成形材料AおよびBを別々の押出機を用いて溶融押出しし、フィードブロックまたはマルチマニホールドダイを用いて積層することにより多層フィルムを得る方法であり、各押出機の押出量や製膜速度、ダイスリップ間隔等を調整することにより、得られる多層フィルムの総厚みおよび厚み組成をコントロールすることが可能である。
【0062】
共押出法の場合、一般にダイスから出た溶融樹脂を冷却ロールで冷却した後、ロール状に巻き取ることによりフィルムを製造するが、本発明ではかかる際に多層フィルムにプロテクトフィルムを付けて巻き取っても良い。特にアクリル系樹脂がゴム粒子を含まない場合、表面の滑り性が不足してそのまま巻き取ることが困難な場合があり、かかる場合にはプロテクトフィルムを付けて巻き取ることが好ましい。かかる際には、ポリエチレン系、ポリプロピレン系等の公知のプロテクトフィルムを用いることが出来る。またアクリル系樹脂がゴム粒子を含み、得られる多層フィルムの表面の滑り性が良好な場合は、プロテクトフィルムを使用せずにそのまま巻き取ることも可能である。
【0063】
〔加飾成形用フィルム〕
本発明の加飾成形用フィルムは前述の多層フィルムの一方の面に加飾が施されたフィルムである。
加飾方法としては、印刷による図柄層の形成、金属または金属酸化物の薄膜層の形成等が挙げられ、これらを組み合わせて用いても良い。
【0064】
図柄層を形成するための印刷方法としては、グラビア印刷、平板印刷、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、パット印刷、スクリーン印刷等の公知の印刷方法を製品形状や印刷用途に応じて使用することが出来る。また金属または金属酸化物の薄膜層形成の方法としては、蒸着、溶射法、メッキ法等が挙げられる。蒸着法として具体的には、真空蒸着法、スパッタリング、イオンプレーティング、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法等の方法を挙げることが出来る。また溶射法としては、大気圧プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法等が挙げられる。メッキ法としては、無電解メッキ法、溶融メッキ法、電気メッキ法等が挙げられる。これらの中でも蒸着法が容易に金属層形成可能であり、また品質面、環境対応の面からも好ましく使用される。
【0065】
かくして多層フィルムの一方の面に加飾されたフィルムにさらに粘着層や接着層を形成させても良い。かかる粘着層や接着層は、熱成形の際に加飾対象体と加飾成形用フィルムとの接着性を向上させるものである。通常真空成形や圧空成形の場合、加飾された面が加飾対象体側になることが多く、従ってかかる粘着層および接着層は基材フィルムの加飾面の上に形成されることが好ましい。材料としては基材フィルムおよび加飾対象体の材質に適した感熱性または感圧性の粘着剤や接着剤を適用することが出来る。粘着層や接着層を有する場合は、通常その上に離型フィルムを付けた形で提供される。
【0066】
また本発明の加飾成形用フィルムは加飾対象体とは反対側の表面に、ハードコート、撥水・撥油コート、紫外線吸収コート、赤外線吸収コート、金属蒸着コート等、各種の表面処理を行っても良い。
【0067】
〔加飾成形体〕
本発明の加飾成形体は、基材およびその表面に形成された前述の加飾成形用フィルムを含む。基材は後述する各種部品の形状を有する成形体である。基材は、熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂等の各種樹脂で構成される。
【0068】
加飾成形体として、自動車内装材、自動車のインジケーターパネル、電化製品、化粧品ケース、建材内装および外装品、各種機器や製品および雑貨類のケース、スイッチ、キー、キーパット、ハンドル、レバー、ボタン、家電・AV機器であるパソコンや携帯電話およびモバイル機器のハウジングや外装部品等を挙げることが出来る。加飾成形体は、加飾層の転写性に優れ、表面硬度が高く、また耐候性や耐熱性に優れ、各種電子・電気機器、車両部品、機械部品、その他建材、農業・漁業用資材、搬送容器、包装容器、雑貨等の各種の製品として有用である。
加飾成形体は、加飾成形用フィルムを用いて、従来公知の各種成形を行うことにより表面に加飾成形体を得ることが出来る。
【0069】
成形法としては、射出成形における金型内加飾工法で、予め射出成形金型に沿うように真空成形された加飾成形用フィルムを金型内にセットし、そこに溶融樹脂を射出して射出成形と同時にフィルムを製品に溶着させるインサートモールド成形法が挙げられる。
また、射出成形金型内での加飾であるが、加飾成形用フィルムを金型キャビティ側に真空圧で貼り付けておき、射出成形時に同時成形して熱と圧力がかかることによりフィルムを成形体に貼合させる方法が挙げられる。
【0070】
また、真空成形や圧空成形でラミネーションする方法が挙げられる。
また、射出成形金型内での加飾方法で、加飾成形用フィルムを射出成形時に同時成形する際、加飾層のみを成形体に転写するインモールド転写成形法にも好ましく用いられる。さらに近年、新たな加飾成形法として注目されている布施真空(株)が開発した2つのチャンバーを使って真空・圧空を制御するNGF成形法、それを応用して3次元加飾成形するTOM工法等、新たな加飾成形法にも好ましく適用することが出来る。
【0071】
これらの熱成形では、フィルムを真空成形により金型形状に予め成形した後、射出成形を実施した後、また成形体にフィルムを貼合して該成形体を取り出した後、等にフィルムのトリミングをする必要があり、本発明の多層フィルムを用いるとバリや割れが発生しにくくトリミング性が良好であり、効率的に加飾成形体を得ることが可能となる。
熱成形の際の加飾成形用フィルムの加熱方法としては、赤外線ヒーター、電気ヒーター、高周波誘導、ハロゲンランプ、マイクロ波、高温誘導体(スチーム等)、レーザー等各種の方法を用いることが出来る。
【実施例】
【0072】
以下に実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。実施例、比較例で行った物性測定は以下の方法で行った。
【0073】
(1)ポリカーボネートの粘度平均分子量
ポリカーボネートの粘度平均分子量(M)は、濃度0.7g/dLの塩化メチレン溶液の20℃での粘度測定から極限粘度[η]を求め、下記式より算出した。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
【0074】
(2)ガラス転移温度(Tg)
TA Instruments製 2920型DSCを使用し、昇温速度20℃/分で測定し、立ち下り点を求めた。
【0075】
(3)多層フィルムの総厚み
アンリツ(株)製の電子マイクロ膜厚計で測定し、フィルム幅方向における中央部の値である。
【0076】
(4)多層フィルムの厚み組成
(株)キーエンス製のレーザー顕微鏡VA−9710を用い、フィルム断面の観測により測定した。フィルム幅方向における中央部の値である。
【0077】
(5)フィルムの全光線透過率、ヘイズ
日本電色工業(株)製のヘーズメーターNDH−5000型を用いて測定した。
【0078】
(6)フィルムの表面硬度
JIS K 5600に従って、鉛筆硬度を測定した。好ましくはHB以上であり、より好ましくはF以上である。
【0079】
(7)紫外線吸収剤の定量
日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて測定し、紫外線吸収剤の含有量を定量した。
【0080】
(8)熱成形性
図1に示す真空成形機および図2に示す金型を用いて評価した。
図1に示す装置は、A4サイズのフィルム(番号1)をセットしてその周囲を固定し、フィルム上部を赤外線ヒーター(番号2)で一定時間加熱した後、フィルムの下部の密封ボックス内の台に予め設置した金型(番号3)を上昇させてフィルム(番号1)を変形させ、同時にフィルム下部のボックス空間(番号4)を真空引きしてフィルムを金型表面に貼合させる装置である。金型(番号3)の形状は、60mm×60mm×高さ30mmの直方体であり、その上面に幅10mm、深さ3mmの溝(番号5)を有し、溝(番号5)のコーナーエッジ(番号6)の曲率半径(R)は、0.5mmである。
(i)転写性
金型形状への転写性は、熱成形後、フィルムの該金型上面の溝部分にあたるコーナーエッジ部のフィルムの曲率半径(R)をR面測定器で測定することにより評価した。Rの値が0.5mmに近いほどフィルムの転写性が良好であると判断される。曲率半径(R)は1.5mm以下が好ましく、1.0mm以下がより好ましい。
(ii)外観
フィルムの外観を目視観察し、シワ、白化の有無を調べた。
【0081】
(9)靭性
真空成形機による熱成形性評価において、金型形状にフィルムが延伸される際および金型からフィルムを離型する際にフィルムにヒビや割れが生じないかどうか以下の基準で判断した。
良好:離型する際にフィルムにヒビや割れが生じない
割れあり:離型する際にフィルムにヒビや割れが生じた。
【0082】
(10)耐候性試験
スガ試験機製SX75スーパーキセノンウェザーメーターを使用し、温度63℃一定下、降雨18分と降雨無し120分の条件サイクルで、多層フィルムを暴露した。評価として、500時間照射後における色相変化(ΔE)を測定した。ΔEが高いと黄変度や曇りが大きくなることを意味する。ΔEは2.0以下が好ましく、1.0以下がより好ましい。
【0083】
(11)冷却ロール汚れ
樹脂中に含まれるオリゴマー成分や添加剤が昇華して冷却ロールが汚れていたかどうかを観察した。
【0084】
調製例1(ポリエステル系熱可塑性エラストマーの製造)
イソフタル酸ジメチル175重量部、セバシン酸ジメチル23重量部、ヘキサメチレングリコール140重量部をジブチル錫ジアセテート触媒でエステル交換反応後、減圧下に重縮合して、固有粘度が1.06であり、DSC法による測定で結晶の融解に起因する吸熱ピークを示さない非晶性のポリエステル(ソフトセグメント)を得た。
このポリエステルに別途重縮合して得た固有粘度0.98のポリブチレンテレフタレートのペレット(ハードセグメント)を乾燥して107部添加し、240℃で45分反応させたのち、フェニルホスホン酸を0.1部添加して反応を停止させた。得られた重合体の融点は190℃、固有粘度は0.93であった。
【0085】
[実施例1]
(成形材料A)
ポリカーボネート樹脂ペレット(帝人化成(株)製パンライトL−1250、粘度平均分子量23,700)および上記にて製造したポリエステル系熱可塑性エラストマーをそれぞれ事前に予備乾燥し、ポリカーボネート樹脂/ポリエステル系熱可塑性エラストマー=90/10(100/11.1)(重量部)となるようにV型ブレンダーで混合した後、2軸押出機を用いてシリンダー温度260℃で押出してペレット化し、A層用の成形材料Aを得た。成形材料Aのガラス転移温度は111℃であった。
【0086】
(成形材料B)
B層用の成形材料Bとして、アクリル樹脂{エボニックデグサ(株)製ZK4BR(耐衝撃性グレード)}100重量部に対して、紫外線吸収剤2−(4,6−(4−ビフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−フェノール(BASF社製:商標名;CGX UVA006)を0.5重量部含有したものを用意した。
【0087】
(共押出)
成形材料Aおよび成形材料Bを、それぞれスクリュー径40mmの単軸押出機を用いて、シリンダー温度260℃(成形材料A)、250℃(成形材料B)の条件で、フィードブロック方式にて650mm幅のTダイから押出し、冷却ロールに溶融樹脂の一方の面をタッチさせて冷却した後、エッジトリミングしてB層/A層/B層の3層構造を有するフィルム幅400mmの多層フィルムを作成した。なお巻き取りにはポリエチレン系の弱粘着性のプロテクトフィルムを用いた。
得られた多層フィルムの総厚みは73μm、厚み組成は、B層/A層/B層=12/43/18(μm)であった。これらはいずれもフィルム幅方向中央部の値であるが、幅方向の厚み斑は±3μmであり、また厚み組成の幅方向分布を測定したところ、各層で±2μm以内であり均一性の高いフィルムであった。全光線透過率、ヘイズ、表面硬度を表1に示した。金型形状へのフィルムの転写性(R値)は、良好であり、角部分まで正確に転写されていることが分かった。またフィルムの外観の良好であり、しわ、白化、ヒビは認められず、離型の際にも割れることはなかった。また靭性も良好であった。一方、キセノンウェザーメータによる500h耐候性試験後の色相変化ΔEも小さく良好であった。これらの結果を表1に示した。
【0088】
[実施例2]
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとして、ハードセグメントがPBT、ソフトセグメントがポリ−ε−カプロラクトンで構成される東洋紡績(株)製の熱可塑性エラストマー(商品名ペルプレン;グレードS−1002)を用い、組成をポリカーボネート樹脂/ポリエステル系熱可塑性エラストマー=85/15(100/17.6)(重量部)とした他は実施例1と同様に混合して押出し、成形材料Aのペレットを得た。そして、成形材料Bとして、紫外線吸収剤の含有量を2.0重量部としたものを用意し、実施例1と同様に共押出法により多層フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示した。
【0089】
[実施例3]
組成をポリカーボネート樹脂/ポリエステル系熱可塑性エラストマー=80/20(100/25)(重量部)とした他は実施例1と同様に混合して押出し、成形材料Aのペレットを得た。成形材料Bとしてアクリル樹脂(三菱レーヨン(株)製アクリペットIRG304)100重量部に対して、紫外線吸収剤として2−(4,6−(4−ビフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−フェノール(BASF社製:商標名;CGX UVA006)を4.0重量部含有したものを用意した。実施例1と同様に共押出法により多層フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示した。
【0090】
[実施例4]
組成をポリカーボネート樹脂/ポリエステル系熱可塑性エラストマー=80/20(100/25)(重量部)とした他は実施例1と同様に混合して押出し、成形材料Aのペレットを得た。成形材料Bとしてアクリル樹脂(三菱レーヨン(株)製アクリペットIRG304)100重量部に対して、紫外線吸収剤として2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシフェノール(BASF社製:商標名;Tinuvin1577FF)を2.0重量部含有したものを用意し、実施例1と同様に共押出法により多層フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示した。
【0091】
[実施例5]
実施例2と同様の成形材料Aを用い、成形材料Bとしてアクリル樹脂{ZK4BR(耐衝撃性グレード)}100重量部に対して、紫外線吸収剤(Tinuvin1577FF)を1.0重量部含有したものを用いた他は実施例1と同様に共押出法により多層フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示した。
【0092】
[比較例1]
成形材料Bを、三菱レーヨン(株)製アクリペットVH001に変更し、紫外線吸収剤を含有しない他は実施例1と同様にして多層フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示した。
【0093】
[比較例2]
成形材料Bを、エボニックデグサ(株)製ZK4BR(耐衝撃性グレード)に変更した他は比較例1と同様にして多層フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示した。
【0094】
[比較例3]
成形材料Aに代えて、ポリカーボネート樹脂単体(帝人化成(株)パンライトL−1250)を用いた以外は比較例1と同様にして多層フィルムを得た。靭性は良好であったものの、角部分までは正確に転写されておらず丸みを帯びており、金型形状の転写性に劣るフィルムであった。
【0095】
[比較例4]
アクリル樹脂(三菱レーヨン(株)製アクリペットIRG304)を、フィードブロック方式ではなく単層方式で、スクリュー径40mmの単軸押出機によりシリンダー温度250℃で650mm幅のTダイから押出し、その後は実施例1と同様にして幅400mmのアクリルフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示した。熱成形性は良好であったが、離型の際に割れが生じ靭性が不足しているフィルムであった。
【0096】
[比較例5]
実施例1で得た成形材料Aを、シリンダー温度を260℃にした他は比較例4と同様にして製膜して単層のフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示した。熱成形性、靭性は良好であったが、表面硬度が極めて低いフィルムであった。
【0097】
[比較例6]
ポリエステル系熱可塑性エラストマーに代えて、数平均分子量10,000のポリカプロラクトン(ダイセル化学工業製プラクセルH1P)を使用し、ポリカーボネート樹脂ペレットは実施例1と同様に帝人化成(株)製パンライトL−1250を用いて、ポリカーボネート樹脂/ポリカプロラクトン=94/6(100/6.4)(重量部)となるように実施例1と同様に押出してペレット化し比較成形材料Aとした。該比較成形材料Aのガラス転移温度は112℃であった。
該比較成形材料Aと、アクリル樹脂(三菱レーヨン(株)製アクリペットIRG304)を用いて実施例1と同様に共押出法により多層フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示した。かかるフィルムの透明性は高く、また熱成形後も透明性は高いままであった。しかし熱成形時の金型形状への転写性には劣るフィルムであった。
【0098】
[比較例7]
ポリエステル系熱可塑性エラストマーに代えて、ポリプラスチックス(株)製のポリブチレンテレフタレート樹脂(ジュラネックス700FP ER201R)を使用し、ポリカーボネート樹脂ペレットは実施例1と同様に帝人化成(株)製パンライトL−1250を用いて、ポリカーボネート樹脂/ポリブチレンテレフタレート樹脂=80/20(100/25)(重量%)となるように実施例1と同様に押出してペレット化し比較成形材料Aとした。比較成形材料Aのガラス転移温度は110℃であった。
該比較成形材料Aと、アクリル樹脂(三菱レーヨン(株)製アクリペットVH001)を用いて実施例1と同様に共押出法により多層フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示した。かかるフィルムはヘイズが高く、さらに熱成形後も白化が顕著であった。また熱成形時の金型形状への転写性にも劣るフィルムであった。
【0099】
[比較例8]
成形材料Bとしてアクリル樹脂(三菱レーヨン(株)製アクリペットIRG304)100重量部に対して、紫外線吸収剤として2−(4,6−(4−ビフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−フェノール(BASF社製:商標名;CGX UVA006)を10.0重量部含有した以外は、実施例3と同様にして多層フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示した。かかるフィルムはヘイズが高く、透明性に劣るフィルムであった。
【0100】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明の多層フィルムは、加飾成形の材料として有用である。
【符号の説明】
【0102】
1 熱成形用フィルム
2 赤外線ヒーター
3 金型
4 真空引き用ボックス空間
5 金型上面の溝
6 金型上面の溝のコーナーエッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネート樹脂およびポリエステル系熱可塑性エラストマーを含む層(A層)、並びにアクリル系樹脂及びフェニルトリアジン系紫外線吸収剤を含む層(B層)を有し、A層の少なくとも一方の面にB層が積層された多層フィルムであって、B層は、アクリル系樹脂100重量部に対して、フェニルトリアジン系紫外線吸収剤を0.1〜5重量部含有する多層フィルム。
【請求項2】
A層はポリカーボネート樹脂100重量部に対して、ポリエステル系熱可塑性エラストマーを3〜50重量部含有する請求項1に記載の多層フィルム。
【請求項3】
ポリエステル系熱可塑性エラストマーが、ポリブチレンテレフタレート単位からなるハードセグメントと、芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジカルボン酸をジカルボン酸成分とし、炭素数5〜15のジオールをジオール成分とするポリエステル単位からなるソフトセグメントとから構成される請求項1または2に記載の多層フィルム。
【請求項4】
フェニルトリアジン系紫外線吸収剤が、2−(4,6−(4−ビフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−フェノールである請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層フィルム。
【請求項5】
A層の両面にB層が積層された請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層フィルム。
【請求項6】
総厚みが20〜200μmである請求項1〜5のいずれか1項に記載の多層フィルム。
【請求項7】
ヘイズが4%以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の多層フィルム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の多層フィルムの一方の面に加飾が施された加飾成形用フィルム。
【請求項9】
基材およびその表面に形成された請求項8に記載の加飾成形用フィルムを含む加飾成形体。
【請求項10】
A層を構成するポリカーボネート樹脂およびポリエステル系熱可塑性エラストマーを含む成形材料Aと、B層を構成するアクリル系樹脂100重量部に対してフェニルトリアジン系紫外線吸収剤を0.1〜5重量部含有するアクリル系樹脂を含む成形材料Bとを共押出することからなるA層の少なくとも一方の面にB層が積層された多層フィルムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−56497(P2013−56497A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197099(P2011−197099)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000215888)帝人化成株式会社 (504)
【Fターム(参考)】