説明

多層プリント配線板およびその製造方法

【課題】導電性ペーストを介した第1の導電層と第2の導電層との電気的な接続の信頼性を向上することができる多層プリント配線板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】多層プリント配線板1は、第1の基板11に設けられた第1の導電層12と、第2の基板21に設けられた第2の導電層22と、第2の基板21を貫通するとともに第1の導電層12を底面とする貫通孔2とを備えている。貫通孔2には、導電性フィラーとして平板状フィラーを含有する導電性ペースト3が充填されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の基板の各々に設けられた導電層を接続するために、基板に設けられた貫通孔に導電性ペーストが充填される多層プリント配線板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器分野においては、電子機器の高密度化や小型化等に伴い、種々の用途に、プリント配線板が広く用いられており、多くの配線を形成するために複数の基板を積層した多層プリント配線板が知られている。複数の基板を有する多層プリント配線板は、第1の基板に設けられた第1の導電層と、第2の基板に設けられた第2の導電層とを備えている。
【0003】
また、第1の導電層と第2の導電層とを電気的に接続するために、第2の基板に貫通孔を設けることが知られており、この貫通孔が設けられた基板にめっきを施すことにより、第1の導電層と第2の導電層とを電気的に接続することができる。
【0004】
ところで、基板にめっきを施す場合は、種々の問題があった。例えば、基板にめっきを施す場合は、貫通孔の壁面や底面のデスミアが充分でなければ、電気的な接続の信頼性に問題があり、また、配線パターンのファインピッチ化を図ることができない場合があるという問題がある。さらに、基板にめっきを施す場合は、めっきマスクを作製する必要があるため低コスト化を図ることができないという問題や、めっき廃液が生じるため環境負荷が高いという問題があった。
【0005】
そこで、多層プリント配線板において、めっきを施さないものとして、第1の導電層と第2の導電層とを電気的に接続するために、第2の基板を貫通する貫通孔に、導電性ペーストを充填することが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
上記特許文献1に記載される導電性ペーストを用いた多層プリント配線板の製造方法は、第1の積層体と第2の積層体を製造して、これらの積層体を積層して多層プリント配線板を製造する。
【0007】
具体的には、まず、図7(a)に示すように、第1の導電層112が設けられた第1の基板111を用意し、次に、図7(b)に示すように、第1の基板111において第1の導電層112が設けられていない面に接着剤層160を設ける。次いで、図7(c)に示すように、第1の導電層112に所定の配線パターンを形成し、次に、図7(d)に示すように、接着剤層131と樹脂フィルム132とにより形成されたカバーレイフィルム130を貼り合わせる。次いで、図7(e)に示すように、マスキングテープ170を設けて、次に、図7(f)に示すように、第1の基板111を貫通する貫通孔104を形成する。次いで、図7(g)に示すように、貫通孔104に導電性ペースト105を充填し、そして、図7(h)に示すように、マスキングテープ170を剥離することにより、第1の積層体を製造する。
【0008】
さらに、図8(a)に示すように、第2の導電層122が設けられた第2の基板121を用意し、次に、図8(b)に示すように、第2の基板121において第2の導電層122が設けられていない面に接着剤層160を設ける。次いで、図8(c)に示すように、第2の導電層122に所定の配線パターンを形成し、次に、図8(d)に示すように、マスキングテープ170を設けて、図8(e)に示すように、第2の基板121を貫通する貫通孔102を形成する。次に、図8(f)に示すように、貫通孔102に導電性ペースト103を充填し、そして、図8(g)に示すように、マスキングテープ170を剥離することにより、第2の積層体を製造する。
【0009】
さらに、図9(a)に示すように、第1の積層体と第2の積層体との位置合わせを行い、図9(b)に示すように、第1の積層体と第2の積層体と他の導電層113とを積層する。次いで、図9(c)に示すように、最外層となっている他の導電層113に所定の配線パターンを形成する。そして、図9(d)に示すように、接着剤層141と樹脂フィルム142とにより形成されたカバーレイフィルム140を貼り合わせるとともに、接着剤層151と樹脂フィルム152とにより形成されたカバーレイフィルム150を貼り合わせて、多層プリント配線板101を製造する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3996521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、上記特許文献1に記載される多層プリント配線板は、導電性ペーストを貫通孔に充填させた後に2つの基板を積層するため、位置合わせが容易でないという問題がある。即ち、図9(a)に示したようにカバーレイフィルム130の開口に対して導電性ペースト103を対向せるように位置合わせする必要があり、位置合わせを容易に行うことができないという問題があった。
【0012】
そこで、複数の基板が積層された後に、貫通孔を形成して導電性ペーストを充填させることが考えられるが、導電性ペーストを充填する貫通孔が長くなるため、導電性ペーストが十分に充填されないという問題があった。具体的には、導電性ペーストが十分に充填されず、貫通孔を覆うように設けられるカバーレイフィルムを構成する接着剤層が、溶融することによって、導電性ペーストと混ざって貫通孔に入り込む場合がある。その結果、導電性ペーストを介した第1の導電層と第2の導電層との電気的な接続の信頼性が十分でないという問題があった。
【0013】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、導電性ペーストを介した第1の導電層と第2の導電層との電気的な接続の信頼性を向上することができる多層プリント配線板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の発明は、第1の基板に設けられた第1の導電層と、第2の基板に設けられた第2の導電層と、第2の基板及び第2の導電層を貫通するとともに第1の導電層を底面とする貫通孔と、貫通孔を覆うように設けられるカバーレイフィルムとを備える多層プリント配線板であって、貫通孔には、導電性フィラーとして平板状フィラーを含有する導電性ペーストが充填されていることを特徴とする。
【0015】
同構成によれば、貫通孔に充填される導電性ペーストは導電性フィラーとして平板状フィラーを含有している。このような導電性ペーストは、従来の導電性ペーストに比べて低い流動性を示し、カバーレイフィルムを構成する接着剤層の材料が、導電性ペーストと混ざって貫通孔に入り込むことを抑制することができるという際だって優れた効果を有する。即ち、従来の導電性ペーストを貫通孔に充填させる場合に比べて、カバーレイフィルムを構成する接着剤層の材料が貫通孔に入り込むことを抑制することができる。従って、貫通孔に充填された導電性ペーストと、貫通孔の底面となる第1の導電層とを、確実に接続することができ、導電性ペーストを介した第1の導電層と第2の導電層との電気的な接続の信頼性を向上することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の多層プリント配線板であって、平板状フィラーの割合が、導電性フィラー全体に対して67〜100質量%であることを特徴とする。
【0017】
同構成によれば、導電性ペーストに含有される平板状フィラーの割合が、導電性フィラー全体に対して67〜100質量%である。このような導電性ペーストは、従来の導電性ペーストに比べてより低い流動性を示し、カバーレイフィルムを構成する接着剤層の材料が、導電性ペーストと混ざって貫通孔に入り込むことをより抑制することができるという際だって優れた効果を有する。その結果、導電性ペーストを介した第1の導電層と第2の導電層との電気的な接続の信頼性をより向上することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の多層プリント配線板であって、貫通孔の直径が、30μm以上200μm以下であることを特徴とする。
同構成によれば、貫通孔の直径が200μm以下であるため、貫通孔の直径を小さくして、第2の基板におけるファインピッチ化を図ることができ、貫通孔の直径が30μm以上であるため、貫通孔に導電性ペーストを容易に充填することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の多層プリント配線板であって、貫通孔に充填された導電性ペーストは、第2の導電層上に連続して設けられており、第2の導電層上に設けられた導電性ペーストの直径と、貫通孔の直径との差が、20μm以上200μm以下であることを特徴とする。
【0020】
同構成によれば、第2の導電層上の導電性ペーストの直径と貫通孔の直径との差が200μm以下であるため、第2の導電層上の導電性ペーストの直径を小さくして、第2の基板におけるファインピッチ化を図ることができる。また、第2の導電層上の導電性ペーストの直径と貫通孔の直径との差が20μm以上であるため、貫通孔に充填された導電性ペーストと、導電性ペーストが設けられた第2の導電層とを、確実に接続することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、第1の基板に設けられた第1の導電層と、第2の基板に設けられた第2の導電層と、第2の基板を貫通するとともに第1の導電層を底面とする貫通孔とを備える多層プリント配線板の製造方法であって、貫通孔が設けられた第2の基板に、導電性フィラーとして平板状フィラーを含有する導電性ペーストを印刷する印刷工程と、導電性ペーストが印刷された第2の基板に導電性ペーストを覆うカバーレイフィルムを設けるために、第2の基板に対してカバーレイフィルムを加圧する加圧工程とを含み、加圧工程においてカバーレイフィルムとともに加圧されることにより導電性ペーストが貫通孔に充填されることを特徴とする。
【0022】
同構成によれば、導電性フィラーとして平板状フィラーを含有する導電性ペーストが、第2の基板に印刷された後、貫通孔に充填される。上記のような導電性ペーストは、従来の導電性ペーストに比べて低い流動性を示し、カバーレイフィルムを構成する接着剤層の材料が、導電性ペーストと混ざって貫通孔に入り込むことを抑制することができるという際だって優れた効果を有する。即ち、従来の導電性ペーストを貫通孔に充填させる場合に比べて、カバーレイフィルムを構成する接着剤層の材料が貫通孔に入り込むことを抑制することができる。従って、貫通孔に充填される導電性ペーストと、貫通孔の底面となる第1の導電層とを、確実に接続することができ、導電性ペーストを介した第1の導電層と第2の導電層との電気的な接続の信頼性を向上することができる。また、第2の基板に対してカバーレイフィルムを加圧する加圧工程において、カバーレイフィルムとともに導電性ペーストが加圧されて貫通孔に充填されるため、上記加圧工程以外に導電性ペーストを貫通孔に充填させるための他の工程が不要となり、製造工程の工程数が増えないようにすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、従来の導電性ペーストを貫通孔に充填させる場合に比べて、カバーレイフィルムを構成する接着剤層の材料が貫通孔に入り込むことを抑制することができる。その結果、導電性ペーストを介した第1の導電層と第2の導電層との電気的な接続の信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る多層プリント配線板を示す断面図。
【図2】本発明の実施形態に係る導電性ペーストを示す電子顕微鏡写真。
【図3】(a)〜(c)本発明の実施形態に係る多層プリント配線板の製造方法を説明するための断面図。
【図4】(a)、(b)本発明の実施形態に係る多層プリント配線板の製造方法を説明するための断面図。
【図5】(a)〜(d)本発明の実施形態に係る多層プリント配線板の製造方法を説明するための断面図。
【図6】実施例1〜4に係る多層プリント配線板の概略構成を示す断面図。
【図7】(a)〜(h)従来の多層プリント配線板の製造方法を説明するための断面図。
【図8】(a)〜(g)従来の多層プリント配線板の製造方法を説明するための断面図。
【図9】(a)〜(d)従来の多層プリント配線板の製造方法を説明するための断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の好適な実施形態について説明する。図1は、本発明に係る多層プリント配線板の構成を示す断面図である。なお、本実施形態においては、柔軟性を有する2つのプリント配線板が積層された多層プリント配線板を例に挙げて説明する。
【0026】
図1に示すように、多層プリント配線板1は、第1のプリント配線板10と、第2のプリント配線板20と、第1のプリント配線板10を覆うカバーレイフィルム30,40と、第2のプリント配線板20を覆うカバーレイフィルム50と、各プリント配線板10,20を貼り合わせるための接着剤層60とを備えている。
【0027】
第1のプリント配線板10は、両面に配線パターンが印刷されて形成される両面プリント配線板であって、第1の基板11と、第1の基板11の一方の面に形成された第1の導電層12と、第1の基板11の他方の面に形成された他の導電層13とを備えている。
【0028】
また、第2のプリント配線板20は、片側の面のみに配線パターンが印刷されて形成される片面プリント配線板であって、第2の基板21と、第2の基板21の一方の面に形成された第2の導電層22とを備えている。
【0029】
各基板11,21としては、柔軟性に優れた樹脂材料が使用できる。即ち、各基板11,21を形成する樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリエステル等の、プリント配線板用として汎用性のある樹脂を使用することができる。また、特に、柔軟性に加えて高い耐熱性をも有していることが好ましく、このような樹脂としては、例えば、ポリアミド系の樹脂や、ポリイミド、ポリアミドイミド等のポリイミド系の樹脂が好適に使用される。また、本実施形態においては、各基板11,21の厚みは、10μm以上50μm以下である。
【0030】
各導電層12,13,22としては、銅等の金属が使用される。例えば銅箔等の金属箔を、常法によりエッチングして加工することにより、所定の配線パターンを有する各導電層12,13,22が形成されている。また、各導電層12,13,22が有する配線パターンを、セミアディティブ法によりめっきにて形成することもできる。また、本実施形態においては、各導電層12,13,22の厚みは、5μm以上50μm以下である。
【0031】
また、カバーレイフィルム30は、第1の導電層12を覆うための絶縁層であって、第1の導電層12を覆うべく、第1の導電層12上に積層される接着剤層31と、その上に積層された樹脂フィルム32とにより構成されている。接着剤層31が第1の基板11の一方の面及び第1の導電層12に接着されて積層されることにより、カバーレイフィルム30が第1のプリント配線板10に設けられて、第1の導電層12をカバーレイフィルム30が覆う構成となっている。
【0032】
また、カバーレイフィルム40は、他の導電層13を覆うための絶縁層であって、他の導電層13を覆うべく、他の導電層13上に積層される接着剤層41と、その上に積層された樹脂フィルム42とにより構成されている。接着剤層41が第1の基板11の他方の面及び他の導電層13に接着されて積層されることにより、カバーレイフィルム40が第1のプリント配線板10に設けられて、他の導電層13をカバーレイフィルム40が覆う構成となっている。
【0033】
また、カバーレイフィルム50は、第2の導電層22を覆うための絶縁層であって、第2の導電層22を覆うべく、第2の導電層22上に積層される接着剤層51と、その上に積層された樹脂フィルム52とにより構成されている。接着剤層51が第2の基板21の一方の面及び第2の導電層22に接着されて積層されることにより、カバーレイフィルム50が第2のプリント配線板20に設けられて、第2の導電層22をカバーレイフィルム50が覆う構成となっている。
【0034】
各接着剤層31,41,51を構成する接着剤としては、柔軟性や耐熱性にすぐれたものが好ましく、例えば、ナイロン系、エポキシ樹脂系、ブチラール樹脂系、アクリル樹脂系などの、各種の樹脂系の接着剤を使用することができる。また、各樹脂フィルム32,42,52としては、上述の各基板11,21を構成する樹脂材料と同様のものを使用することができる。また、本実施形態においては、各カバーレイフィルム30,40,50の厚みは、10μm以上100μm以下である。
【0035】
また、接着剤層60は、第1のプリント配線板10と第2のプリント配線板20を積層して接着するための層間接着剤により形成された層間接着剤層であって、層間接着剤は、フィルム形状を有している。この接着剤層60は、第1のプリント配線板10と第2のプリント配線板20との間に設けられている。具体的には、接着剤層60は、第1のプリント配線板10上に設けられたカバーレイフィルム30とプリント配線板20との間に設けられ、カバーレイフィルム30の樹脂フィルム32と第2のプリント配線板20の第2の基板21が、接着剤層60に接着されている。
【0036】
接着剤層60を構成する接着剤としては、上述の各接着剤層31,41,51を構成する接着剤と同様のものを使用することができる。また、本実施形態においては、接着剤層60の厚みは、10μm以上100μm以下である。
【0037】
また、多層プリント配線板1は、第1の導電層12と第2の導電層22とを電気的に接続するために、貫通孔2に充填された導電性ペースト3と、第1の導電層12と他の導電層13とを電気的に接続するために、貫通孔4に充填された導電性ペースト5とを備えている。
【0038】
貫通孔2は、第2の基板21及び第2の導電層22及び接着剤層60を貫通することにより第2のプリント配線板20に設けられた有底のビアである。具体的には、貫通孔2は、第1の導電層12を底面とするとともに、カバーレイフィルム30と接着剤層60と第2の基板21と第2の導電層22を壁面とする、めっきが施されていないビアである。本実施形態においては、この貫通孔2の直径D1は、30μm以上200μm以下であることが好ましい。なお、貫通孔2の形状は、円形状のほか、例えば、楕円形状や断面多角形状等の任意の形状とすることができ、円形状以外の場合は、開口の最大長さを貫通孔2の直径D1とする。
【0039】
また、貫通孔4は、第1の基板11及び他の導電層13を貫通することにより第1のプリント配線板10に設けられた有底のビアである。具体的には、貫通孔4は、第1の導電層12を底面とするとともに、第1の基板11と他の導電層13を壁面とする、めっきが施されていないビアである。この貫通孔4の直径も、貫通孔2の直径D1と同様に、30μm以上200μm以下である。
【0040】
導電性ペースト3,5としては、金属粒子等の導電性フィラーをバインダー樹脂中に分散したものが使用できる。導電性フィラーである金属粒子としては、例えば、銀、白金、金、銅、ニッケルおよびパラジウム等が使用でき、銀粉末や銀コート銅粉末を使用すると優れた導電性を示すため、好ましい。また、バインダー樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、およびポリアミドイミド樹脂等を使用することができる。また、これらのうち、導電性ペーストの耐熱性を向上させるとの観点から、熱硬化性樹脂を使用することが好ましく、本実施形態においては、エポキシ樹脂を使用することが好ましい。
【0041】
なお、使用するエポキシ樹脂は、特に制限はないが、例えば、ビスフェノールA型、F型、S型、AD型、またはビスフェノールA型とビスフェノールF型との共重合型のエポキシ樹脂や、ナフタレン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等を使用することができる。また、高分子量エポキシ樹脂であるフェノキシ樹脂を用いることもできる。
【0042】
また、バインダー樹脂は溶剤に溶解して使用することができる。使用する溶剤としては、例えば、エステル系、エーテル系、ケトン系、エーテルエステル系、アルコール系、炭化水素系、アミン系等の有機溶剤を使用することができる。ここで、導電性ペースト3,5は、これを貫通孔2,4に充填するためにスクリーン印刷されるため、印刷性に優れた高沸点溶剤を使用することが好ましく、より具体的には、カルビトールアセテートやブチルカルビトールアセテートを使用することが好ましい。これらの溶剤を複数種類、組み合わせて使用することもできる。これらの材料を三本ロール、回転攪拌脱泡機等により混合、分散して、均一な状態とし、導電性ペースト3,5を作製する。
【0043】
以上のように、本発明に係る多層プリント配線板1は、第1の基板11に設けられた第1の導電層12と、第2の基板21に設けられた第2の導電層22と、第1の導電層12と第2の導電層22とを電気的に接続するために、第2の基板21及び第2の導電層22を貫通するとともに第1の導電層12を底面とする貫通孔2と、貫通孔2を覆うように設けられるカバーレイフィルム50とを備える構成となっている。
【0044】
ここで、本実施形態においては、貫通孔2には、導電性フィラーとして平板状フィラーを含有する導電性ペースト3が充填されている点に特徴がある。ここでいう平板状フィラーとは、図2に示すような平板状(鱗片状)の導電性フィラーであって、互いに直交する3方向(長さ方向、幅方向、厚み方向)の大きさのうち、1方向(厚み方向)の大きさが、他の2方向(長さ方向、幅方向)における大きさの最大値の1/2以下である導電性フィラーのことをいう。
【0045】
導電性フィラーとして平板状フィラーを含有する導電性ペースト3は、従来の導電性ペーストに比べて低い流動性を示し、カバーレイフィルム50を構成する接着剤層51の材料が、導電性ペースト3と混ざって貫通孔2に入り込むことを抑制することができるという際だって優れた効果を有する。また、平板状フィラーの割合は、導電性フィラー全体に対して67〜100質量%であることが好ましく、このような割合であれば、導電性ペースト3は、より低い流動性を示し、接着剤層51の材料が、導電性ペースト3と混ざって貫通孔2に入り込むことをより抑制することができるという際だって優れた効果を有する。
【0046】
具体的には、導電性ペースト3は、導電性フィラーとして、例えば、99%累積粒度径が15μm以下の平板状フィラーを含有している。99%累積粒度径を15μm以下とすることで、貫通孔2への充填性を向上させるとともに導電性ペースト3中の充填密度を向上させて、導電性の高い導電性ペーストを得ることが可能となる。ここで、x%累積粒度径(xは任意の数)とは、粒度分布測定において累積値がx%となる粒子径であり、粒度分布測定装置〔日機装(株)製、マイクロトラック粒度分布測定装置 9320HRA(X−100)〕等により測定することができる。
【0047】
また、導電性フィラーである平板状フィラーは、平均粒径(即ち、50%累積粒度径)が1μm以上4μm以下であることが好ましい。平均粒径をこのような範囲に規定することで、さらに導電性の高い導電性ペーストを得ることが可能となる。
【0048】
また、導電性フィラーである平板状フィラーは、単位質量あたり表面積である比表面積が例えば1.3m/gであって、タップ密度が例えば2.9g/cmであるものが使用できる。タップ密度は、密度測定装置〔(株)島津製作所製、アキュピックII 1340〕によって測定される密度である。
【0049】
また、平板状フィラーの表面には、銀と銅の合金層が形成されている。従って、所定の温度、圧力により加圧されて貫通孔2に充填された導電性ペースト3において、含有される平板状フィラーは、接続対象となる第1の導電層12及び第2の導電層22の一部と金属有着する。表面に銀と銅の合金層を有する平板状フィラーは、例えば、表面に銅層を有する金属粉末の表面に銀層を形成した後、湿式還元雰囲気中で加熱することにより得られる。
【0050】
なお、導電性ペースト3に含まれる平板状フィラー以外の導電性フィラーとしては、球状フィラーが挙げられる。球状フィラーは、完全な球形ではないものや、表面に若干の凹凸があるもの、及び断面が楕円状であるものも含むものとする。球状フィラーの平均粒径は本発明の趣旨を損なわない範囲において限定されないが、10μm以下のものが好ましく使用できる。導電性ペースト3の流動性は球状フィラーを含有することにより高まる。
【0051】
また、本実施形態においては、貫通孔2に充填された導電性ペースト3は、第2の導電層22上に連続して設けられており、第2の導電層22上に設けられた導電性ペースト3の直径D2と、貫通孔2の直径D1との差を、20μm以上200μm以下としている。
【0052】
次に、図1に示す多層プリント配線板の製造方法に係る工程について、図3乃至図5を参照して説明する。なお、図3(a)〜(c)は、第1の積層体の製造方法を説明するための断面図であって、図4(a)、(b)は、第2の積層体の製造方法を説明するための断面図である。また、図5(a)〜(d)は、第1の積層体と第2の積層体とを積層する多層プリント配線板の製造方法を説明するための断面図である。
【0053】
まず、図3(a)に示すように、第1の積層体を製造するために、各導電層12,13が両面に設けられた第1の基板11を用意する。なお、接着剤層(不図示)を介して各導電層12,13を第1の基板11に設けてもよいが、屈曲性・柔軟性を考慮して、接着剤層を介さずに第1の基板11に各導電層12,13を設けることが好ましい。
【0054】
次いで、図3(b)に示すように、第1の導電層12をマスキングして化学エッチング(例えば、ウェットエッチング)等の公知のエッチング法により、第1の導電層12に所定の配線パターンを形成する。
【0055】
次いで、図3(c)に示すように、カバーレイフィルム30の接着剤層31を、第1の基板11の一方の面及び第1の導電層12に接着させることにより、カバーレイフィルム30を第1のプリント配線板10に設けて、第1の積層体の製造を完了する。
【0056】
また、図4(a)に示すように、第2の積層体を製造するために、第2の導電層22が片側の面に設けられた第2の基板21を用意する。なお、接着剤層(不図示)を介して第2の導電層22を第2の基板21に設けてもよいが、屈曲性・柔軟性を考慮して、接着剤層を介さずに第2の基板21に第2の導電層22を設けることが好ましい。
【0057】
次いで、図4(b)に示すように、第2の基板21の他方の面である第2の導電層22が設けられていない面に、接着剤層60を貼り合わせて、接着剤層60を第2のプリント配線板20の第2の基板21に接着させ、第2の積層体の製造を完了する。
【0058】
そして、以上のようにして製造された各積層体を、図5(a)に示すように積層する。即ち、第2の基板21に設けられた接着剤層60を、カバーレイフィルム30の樹脂フィルム32に接着させる。次に、最外層となっている第2の導電層22と他の導電層13とをマスキングして、化学エッチング(例えば、ウェットエッチング)等の公知のエッチング法により、第2の導電層22及び他の導電層13に所定の配線パターンを形成する。
【0059】
次いで、図5(b)に示すように、第2の導電層22と第2の基板21と接着剤層60とカバーレイフィルム30とに、COレーザ(YAGレーザ)やポリイミドエッチング液等を用いて穴をあけることにより、貫通孔2を形成するとともに、他の導電層13と第1の基板11とに、同様にして穴をあけることにより、貫通孔4を形成する。次に、各貫通孔2,4内に残存している穿孔によるスミアを除去するために、アルカリと過マンガン酸カリウムを用いた湿式デスミア処理もしくはプラズマ処理を施して、各貫通孔2,4内を清掃する。
【0060】
次いで、図5(c)に示すように、貫通孔2に充填されるように導電性ペースト3を印刷し、また、貫通孔4に充填されるように導電性ペースト5を印刷する。このようにして導電性ペースト3を貫通孔2内に設け、導電性ペースト5を貫通孔4内に設ける。導電性ペースト3,5を印刷する方法としては、例えばスクリーン印刷法が採用できる。従って、本実施形態においては、第1の積層体と第2の積層体が積層された後(即ち、第1の基板11と第2の基板21が積層された後)に、貫通孔2を形成するため、第1の基板11と第2の基板21の位置合わせを容易に行うことができる。また、従来の多層プリント配線板101の製造方法において用いるマスキングテープ170が不要となる。
【0061】
次いで、図5(d)に示すように、カバーレイフィルム40の接着剤層41を、第1の基板11の他方の面、他の導電層13、及び導電性ペースト5に接着させ、また、カバーレイフィルム50の接着剤層51を、第2の基板21の一方の面、第2の導電層22、及び導電性ペースト3に接着させる。接着剤層51を第2の基板21の一方の面、第2の導電層22、及び導電性ペースト3に接着させる際には、長い貫通孔2内に導電性ペースト3を充填させるために、第2の基板21に対してカバーレイフィルム50を200℃のプレス温度、2.5MPaの圧力で加圧する。この際にカバーレイフィルム50とともに導電性ペースト3が加圧されて、貫通孔2に導電性ペースト3が充填される。このようにしてカバーレイフィルム40,50が設けられて多層プリント配線板1が製造される。
【0062】
本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)貫通孔2には、導電性フィラーとして平板状フィラーを含有する導電性ペースト3が充填される。即ち、貫通孔2に充填される導電性ペースト3は導電性フィラーとして平板状フィラーを含有している。このような導電性ペースト3は、従来の導電性ペーストと比べて低い流動性を示し、カバーレイフィルム50を構成する接着剤層51の材料が、導電性ペースト3と混ざって貫通孔2に入り込むことを抑制することができるという際だって優れた効果を有する。即ち、従来の導電性ペーストを貫通孔2に充填させる場合に比べて、カバーレイフィルム50を構成する接着剤層51の材料が貫通孔2に入り込みことを抑制することができる。従って、貫通孔2に充填された導電性ペースト3と、貫通孔2の底面となる第1の導電層12とを、確実に接続することができ、導電性ペースト3を介した第1の導電層12と第2の導電層22との電気的な接続の信頼性を向上することができる。
【0063】
(2)導電性ペースト3に含有される平板状フィラーの割合が、導電性フィラー全体に対して67〜100質量%であれば、導電性ペースト3は、従来の導電性ペーストに比べてより低い流動性を示す。従って、カバーレイフィルム50を構成する接着剤層51の材料が、導電性ペースト3と混ざって貫通孔2に入り込むことをより抑制することができるという際だって優れた効果を有する。その結果、導電性ペースト3を介した第1の導電層12と第2の導電層22との電気的な接続の信頼性をより向上することができる。
【0064】
(3)貫通孔2の直径D1が、30μm以上200μm以下である。従って、貫通孔2の直径D1が200μm以下であるため、貫通孔2の直径D1を小さくして、第2の基板21におけるファインピッチ化を図ることができ、貫通孔2の直径D1が30μm以上であるため、貫通孔2に導電性ペースト3を容易に充填することができる。
【0065】
(4)貫通孔2に充填された導電性ペースト3は、第2の導電層22上に連続して設けられており、第2の導電層22上に設けられた導電性ペースト3の直径D2と、貫通孔2の直径D1との差が、20μm以上200μm以下である。従って、第2の導電層22上の導電性ペースト3の直径D2と貫通孔2の直径D1との差が200μm以下であるため、第2の導電層22上の導電性ペースト3の直径D2を小さくして、第2の基板21におけるファインピッチ化を図ることができる。また、第2の導電層22上の導電性ペースト3の直径D2と貫通孔2の直径D1との差が20μm以上であるため、貫通孔2に充填された導電性ペースト3と、導電性ペースト3が設けられた第2の導電層22とを、確実に接続することができる。
【0066】
(5)多層プリント配線板1の製造方法において、貫通孔2が設けられた第2の基板21に、導電性フィラーとして平板状フィラーを含有する導電性ペースト3を印刷する印刷工程と、導電性ペースト3が印刷された第2の基板21に導電性ペースト3を覆うカバーレイフィルム50を設けるために、第2の基板21に対してカバーレイフィルム50を加圧する加圧工程とを含み、加圧工程においてカバーレイフィルム50とともに加圧されることにより導電性ペースト3が貫通孔2に充填される。従って、導電性フィラーとして平板状フィラーを含有する導電性ペースト3が、第2の基板21に印刷された後、貫通孔2に充填される。上記のような導電性ペーストは、従来の導電性ペーストに比べて低い流動性を示し、カバーレイフィルム50を構成する接着剤層51の材料が、導電性ペースト3と混ざって貫通孔2に入り込むことを抑制することができるという際だって優れた効果を有する。即ち、従来の導電性ペーストを貫通孔2に充填させる場合に比べて、カバーレイフィルム50を構成する接着剤層51の材料が貫通孔2に入り込むことを抑制することができる。従って、貫通孔2に充填された導電性ペースト3と、貫通孔2の底面となる第1の導電層12とを、確実に接続することができ、導電性ペースト3を介した第1の導電層12と第2の導電層22との電気的な接続の信頼性を向上することができる。また、第2の基板21に対してカバーレイフィルム50を加圧する加圧工程において、カバーレイフィルム50とともに導電性ペースト3が加圧されて貫通孔2に充填されるため、上記加圧工程以外に導電性ペースト3を貫通孔2に充填させるための他の工程が不要となり、製造工程の工程数が増えないようにすることができる。その結果、多層プリント配線板1の製造コストの低減を図ることができる。
【0067】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の設計変更をすることが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。例えば、上記実施形態を以下のように変更して実施してもよい。
【0068】
・導電性フィラーをバインダー樹脂中に分散させた導電性ペースト3,5に、潜在性硬化剤を配合させてもよい。この硬化剤としては、例えば、バインダー樹脂としてエポキシ樹脂を使用する場合には、アミン化合物、イミダゾール化合物を使用することができ、バインダー樹脂としてポリエステル樹脂を使用する場合には、イソシアネート化合物を使用することができる。
【実施例】
【0069】
以下に、図6を用いて本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【0070】
(導電性ペーストの作製)
(実施例1)
導電性ペースト3を作製するにあたり、バインダー樹脂であるエポキシ樹脂として、(1)分子量が約50000のビスフェノールA型のエポキシ樹脂〔ジャパンエポキシレジン(株)製、jER(登録商標)1256〕と、(2)分子量が約380のビスフェノールF型のエポキシ樹脂〔ジャパンエポキシレジン(株)製、jER(登録商標)806〕とを使用し、また、潜在性硬化剤として、(3)イミダゾール系の潜在性硬化剤〔旭化成ケミカルズ(株)製、ノバキュア(登録商標)HX−3941HP〕を使用した。また、導電性フィラーとして、(4)99%累積粒径度が約5.9μmであって平均粒径が2.3μmであり、比表面積が1.3m/gであってタップ密度が2.9g/cmである平板状フィラーを使用した。なお、平板状フィラーとしては、銀の割合が平板状フィラー全体に対して20質量%の銀コート銅粉末を用いた。また、溶剤として、ブチルカルビトールアセテートを使用し、溶剤中に(1)〜(4)を重量比で(1)72/(2)79/(3)26/(4)1333の割合で溶解した。そして、溶液中の固形分が75質量%となるように三本ロールを用いて(1)〜(4)の分散、混練を行い、導電性ペースト3を作製した。即ち、実施例1においては、導電性フィラー全体に対する平板状フィラーの割合が100質量%である導電性ペースト3を作製した。
【0071】
(実施例2)
導電性ペースト3を作製するにあたり、導電性フィラーとして、平板状フィラーのみならず、(5)平均粒径が0.5μmである球状フィラーを使用し、溶剤中に(1)〜(5)を重量比で(1)72/(2)79/(3)26/(4)893/(5)440の割合で溶解したこと以外は、実施例1と同様にして導電性ペースト3を作製した。即ち、実施例2においては、導電性フィラー全体に対する平板状フィラーの割合が66.9質量%である導電性ペースト3を作製した。
【0072】
(実施例3)
導電性ペースト3を作製するにあたり、導電性フィラーとして、平板状フィラーのみならず、(5)平均粒径が0.5μmである球状フィラーを使用し、溶剤中に(1)〜(5)を重量比で(1)72/(2)79/(3)26/(4)667/(5)667の割合で溶解したこと以外は、実施例1と同様にして導電性ペースト3を作製した。即ち、実施例3においては、導電性フィラー全体に対する平板状フィラーの割合が50質量%である導電性ペースト3を作製した。
【0073】
(実施例4)
導電性ペースト3を作製するにあたり、導電性フィラーとして、平板状フィラーのみならず、(5)平均粒径が0.5μmである球状フィラーを使用し、溶剤中に(1)〜(5)を重量比で(1)72/(2)79/(3)26/(4)200/(5)1133の割合で溶解したこと以外は、実施例1と同様にして導電性ペースト3を作製した。即ち、実施例4においては、導電性フィラー全体に対する平板状フィラーの割合が15質量%である導電性ペースト3を作製した。
【0074】
(多層プリント配線板の作製)
実施例1〜4により得られた導電性ペースト3の各々を用いて多層プリント配線板1を作製した。即ち、実施例1における導電性ペースト3を用いた多層プリント配線板1、実施例2における導電性ペースト3を用いた多層プリント配線板1、実施例3における導電性ペースト3を用いた多層プリント配線板1、実施例4における導電性ペースト3を用いた多層プリント配線板1を、それぞれ作製した。
【0075】
多層プリント配線板1を作製するにあたり、まず、第1の基板11に第1の導電層12が積層された第1のプリント配線板10を用意する。第1の基板11として、厚みが25μmであるポリイミドを使用し、第1の導電層12として、厚みが18μmの銅箔を使用した。次に、後の工程において形成される貫通孔2がデイジーチェーン構造により接続されるように、第1の導電層12に配線パターンを形成した。
【0076】
次いで、接着剤層31と樹脂フィルム32により構成されたカバーレイフィルム30を第1のプリント配線板10に設けて第1の積層体を形成する。カバーレイフィルム30としては、厚みが27μmのものを使用した。カバーレイフィルム30を構成する接着剤層31の厚みは15μmであって、カバーレイフィルム30を構成する樹脂フィルム32の厚みは12μmである。
【0077】
次いで、第2の基板21に第2の導電層22が積層された第2のプリント配線板20を用意する。第2の基板21として、厚みが25μmであるポリイミドを使用し、第2の導電層22として、厚みが18μmの銅箔を使用した。次に、後の工程において形成される貫通孔2がデイジーチェーン構造により接続されるように、第2の導電層22に配線パターンを形成した。
【0078】
次いで、第2の基板21に接着剤層60を貼り合わせて第2の積層体を形成する。接着剤層60としては、厚みが25μmのものを使用した。次いで、第2の基板21に設けられた接着剤層60をカバーレイフィルム30の樹脂フィルム32に接着させて、第1の積層体と第2の積層体とを積層した。
【0079】
次いで、第2の導電層22と第2の基板21と接着剤層60とカバーレイフィルム30とを貫通する1296個の貫通孔2を形成する。第2の基板21に形成された1296個の貫通孔2はデイジーチェーン構造により接続され、貫通孔2の直径D1が100μmとなるように形成した。次に、デスミア処理を施して貫通孔2内を清掃する。
【0080】
次いで、貫通孔2に充填されるように導電性ペースト3を印刷する。導電性ペースト3は、第2の導電層22上に連続して設けられて、第2の導電層22上に設けられた導電性ペースト3の直径D2と、貫通孔2の直径D1との差が、30μmとなるように印刷した。
【0081】
次いで、接着剤層51と樹脂フィルム52により構成されるカバーレイフィルム50を、貫通孔2を覆うように設ける。貫通孔2を覆うようにカバーレイフィルム50を設ける際には、第2の基板21に対して200℃のプレス温度、2.5MPaの圧力でカバーレイフィルム50とともに導電性ペースト3を加圧することによって、導電性ペースト3を貫通孔2に充填させた。
【0082】
(接続抵抗の測定)
得られた多層プリント配線板1の各々について、電子部品(電子部品)をリフローにより実装する場合の一般的なリフロープロファイルと同様に行う加熱処理の前後において、第1の導電層12、第2の導電層22、及び導電性ペースト3により形成される回路の抵抗を測定した。具体的には、得られた加熱処理前の多層プリント配線板1について、導電性ペースト3を含む回路の抵抗(以下、「初期抵抗」という)を4端子法により測定した。そして、260℃をピーク温度とするリフロー炉に6回通した加熱処理後の多層プリント配線板1について、導電性ペースト3を含む回路の抵抗(以下、「リフロー後の抵抗」という)を4端子法により測定した。なお、抵抗値は、貫通孔2に充填された導電性ペースト3の抵抗、第1の導電層12、第2の導電層22、第1の導電層12と導電性ペースト3の接触抵抗、及び第2の導電層22と導電性ペースト3の接触抵抗の合計と考えられる。
【0083】
(接続信頼性の評価)
加熱処理を行った場合の接続信頼性を評価するために、初期抵抗と比べた場合のリフロー後の抵抗の上昇率(以下、「抵抗上昇率」という)を算出した。以上の結果を表1に示す。
【0084】
【表1】

【0085】
表1から、導電性ペーストに導電性フィラーとして平板状フィラーが含有されるほど抵抗上昇率が低くなり、接続信頼性が向上することが判る。即ち、導電性ペースト3は、従来の導電性ペーストに比べて低い流動性を示すと言え、導電性ペースト3は、カバーレイフィルム50を構成する接着剤層51の材料が、導電性ペースト3と混ざって貫通孔2に入り込むことをより抑制することができるという際だって優れた効果を導電性ペースト3が有すると言える。特に、実施例1、2の場合においては、抵抗上昇率が1%となり良好な接続信頼性を示した。従って、導電性フィラー全体に対する平板状フィラーの割合が67質量%以上であれば、カバーレイフィルム50を構成する接着剤層51の材料が、導電性ペースト3と混ざって貫通孔2に入り込むことをより抑制することができるという際だって優れた効果を導電性ペースト3が有すると言える。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の活用例としては、複数の基板の各々に設けられた導電層を接続するために、基板に設けられた貫通孔に導電性ペーストが充填される多層プリント配線板およびその製造方法が挙げられる。
【符号の説明】
【0087】
1…多層プリント配線板、2,4…貫通孔、3,5…導電性ペースト、10…第1のプリント配線板、11…第1の基板、12…第1の導電層、13…他の導電層、20…第2のプリント配線板、21…第2の基板、22…第2の導電層、30、40,50…カバーレイフィルム、31,41,51…接着剤層、32,42,52…樹脂フィルム、60…接着剤層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板に設けられた第1の導電層と、第2の基板に設けられた第2の導電層と、前記第2の基板及び前記第2の導電層を貫通するとともに前記第1の導電層を底面とする貫通孔と、前記貫通孔を覆うように設けられるカバーレイフィルムとを備える多層プリント配線板であって、
前記貫通孔には、導電性フィラーとして平板状フィラーを含有する導電性ペーストが充填されていることを特徴とする多層プリント配線板。
【請求項2】
前記平板状フィラーの割合が、前記導電性フィラー全体に対して67〜100質量%であることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板。
【請求項3】
前記貫通孔の直径が、30μm以上200μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多層プリント配線板。
【請求項4】
前記貫通孔に充填された前記導電性ペーストは、前記第2の導電層上に連続して設けられており、
前記第2の導電層上に設けられた前記導電性ペーストの直径と、前記貫通孔の直径との差が、20μm以上200μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の多層プリント配線板。
【請求項5】
第1の基板に設けられた第1の導電層と、第2の基板に設けられた第2の導電層と、前記第2の基板を貫通するとともに前記第1の導電層を底面とする貫通孔とを備える多層プリント配線板の製造方法であって、
前記貫通孔が設けられた前記第2の基板に、導電性フィラーとして平板状フィラーを含有する導電性ペーストを印刷する印刷工程と、
前記導電性ペーストが印刷された前記第2の基板に前記導電性ペーストを覆うカバーレイフィルムを設けるために、前記第2の基板に対して前記カバーレイフィルムを加圧する加圧工程とを含み、
前記加圧工程において前記カバーレイフィルムとともに加圧されることにより前記導電性ペーストが前記貫通孔に充填される
ことを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−205909(P2010−205909A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49490(P2009−49490)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(500400216)住友電工プリントサーキット株式会社 (197)
【Fターム(参考)】