説明

多層プリント配線板の接続構造

【課題】高密度実装に適合する多層プリント配線板の接続構造を提供する。
【解決手段】FPC2は、FPC2の露出導体部2Aにおいて突起20が形成されている複数の導体21と、導体21に配置される絶縁性の基材22と、導体部21において基材22と補強板24との間に介装される弾性部材23と、を有して積層されている。多層プリント配線板1は、露出導体部2Aが挿入される幅と奥行きを有する切り欠き溝10Aを形成している内層板10と、切り欠き溝10Aに貫通する複数のスルーホール端子11Aが形成されている第1外層板11と、第1外層板11に対向する第2外層板12と、を有して積層されている。FPC2の突起20が挿入口10B内からスルーホール端子11Aにかん合して圧接することにより、FPC2と多層プリント配線板1が電気的に接続される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層プリント配線板の接続構造に関する。特に、平形柔軟ケーブルであるFPC(Flexible Printed Circuit)と多層プリント配線板が電気的に接続される多層プリント配線板の接続構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
多くの電子機器に実装される電子部品モジュールやプリント配線板間を接続するには、平型柔軟ケーブルであるFPCが使用され、FPC用コネクタにも実装密度を上げるべく、実装高さを低くすること(低背化)を含めて小型化が求められている。
【0003】
プリント配線板(Printed Wiring Board)は、絶縁基板上に導体配線を有しており、ICなどの能動部品やコネクタなどの受動部品、その他電子部品を搭載し、導体配線に接続して電子回路を形成する。近年では、LSIの高速化・高集積化に伴って、配線パターンが高密度化しており、両面プリント基板に換えて、多層プリント配線板が普及してきている。
【0004】
FPC用コネクタには、FPCの露出導体部を挿抜するときに、挿抜力をほとんど不要とするZIF(Zero Insertion Force)型プリント配線板用コネクタがある。
【0005】
ZIF型プリント配線板用コネクタとしては、大型化させることなくFPCの挿入操作性及びスライダーのスライド操作性を向上させ、かつ、接続信頼性を確保しつつ接続可能なFPCの板厚寸法の範囲を拡大する上面接続形FPCコネクタがある(例えば、特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−158055号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のFPC用コネクタはプリント配線板上に表面実装されて低背化を実現しているものの、プリント配線板上に一定の面積を占有している。プリント配線板上に一定の面積を占有するのは、FPCを着脱するための開閉機構を不要とするNON−ZIF型のFPC用コネクタにおいても事情は同じである。
【0008】
近年の携帯電話機やモバイルにみられるように、ダウンサイジングの要求が高まると、多層プリント配線板にコネクタを配置し、FPCで電気的に接続する接続構造に換わる接続構造が求められている。通信機器や情報機器以外にも電子部品の小型化や高速化に伴って、高密度実装に適合する多層プリント配線板の接続構造が求められている。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決すべく、多層プリント配線板の板厚面にFPCを挿入することにより、高密度実装に適合する多層プリント配線板の接続構造を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
発明者は、上記目的を満たすため、以下のような多層プリント配線板の接続構造を発明した。
【0011】
(1) 多層プリント配線板の板厚面にFPCが挿入されて当該FPCと当該多層プリント配線板が電気的に接続される多層プリント配線板の接続構造であって、前記FPCは、厚み方向に弾性変形する露出導体部を有しており、当該露出導体部における複数の導体表面の外側に向かって突出する突起を形成しており、前記多層プリント配線板は、前記FPCの露出導体部が挿入される挿入口を当該多層プリント配線板の板厚面に形成しており、この挿入口には前記FPCの挿入時に当該FPCの突起がかん合する位置に複数のスルーホール端子を備えており、前記FPCの突起は前記挿入口内から前記スルーホール端子にかん合して圧接されることを特徴とする多層プリント配線板の接続構造。
【0012】
(2) 多層プリント配線板の板厚面にFPCが挿入されて当該FPCと当該多層プリント配線板が電気的に接続される多層プリント配線板の接続構造であって、前記FPCは、外部への露出面を形成しており、当該露出面に複数の突起が形成されている箔状の導体と、当該導体の露出面の反対面に密着配置される絶縁性の基材と、からなる露出導体部を備え、更に、この露出導体部における前記基材と補強板との間には弾性部材が介装されている積層構造からなり、前記多層プリント配線板は、前記FPCの露出導体部が挿入される挿入口を当該多層プリント配線板の板厚面に形成しており、この挿入口には前記FPCの挿入時に当該FPCの突起がかん合する位置に複数のスルーホール端子を備えており、前記FPCの突起は前記挿入口内から前記スルーホール端子にかん合して圧接されることを特徴とする多層プリント配線板の接続構造。
【0013】
(3) 多層プリント配線板の板厚面にFPCが挿入されて当該FPCと当該多層プリント配線板が電気的に接続される多層プリント配線板の接続構造であって、前記FPCは、外部への露出面を形成しており、当該露出面に複数の突起が形成されている箔状の導体と、当該導体の露出面の反対面に密着配置される絶縁性の基材と、からなる露出導体部を備え、更に、この露出導体部において前記複数の突起と折れ目が一致しており前記複数の突起が盛り上がるように屈曲している弾性補強板が前記基材に密着配置されている積層構造からなり、前記多層プリント配線板は、前記FPCの露出導体部が挿入される挿入口を当該多層プリント配線板の板厚面に形成しており、この挿入口には前記FPCの挿入時に当該FPCの突起がかん合する位置に複数のスルーホール端子を備えており、前記FPCの突起は前記挿入口内から前記スルーホール端子にかん合して圧接されることを特徴とする多層プリント配線板の接続構造。
【0014】
(4) 多層プリント配線板の板厚面にFPCが挿入されて当該FPCと当該多層プリント配線板が電気的に接続される多層プリント配線板の接続構造であって、前記FPCは、外部への露出面を形成しており、当該露出面に複数の突起が形成されている箔状の導体と、当該導体の露出面の反対面に密着配置される絶縁性の基材と、からなる露出導体部を備え、更に、補強板が前記基材に密着配置されている積層構造からなり、挿入治具は、前記多層プリント配線板への導入部と前記FPCとの係止部とで構成されており、当該導入部は当該FPCの露出導体部と同じ幅を有しており、かつ、前記FPCの露出導体部において前記複数の突起と折れ目が一致して前記複数の突起が盛り上がるように屈曲している弾性部材であり、当該係止部はFPCの露出導体部において幅方向に対向する一対の溝に入るための突出片を備えており、前記多層プリント配線板は、前記FPCの露出導体部が挿入される挿入口を当該多層プリント配線板の板厚面に形成しており、この挿入口には前記FPCの挿入時に当該FPCの突起がかん合する位置に複数のスルーホール端子を備えており、前記FPCは前記挿入治具に案内されて前記多層プリント配線板の前記挿入口に挿入され、前記FPCの前記突起は前記挿入口内から前記スルーホール端子にかん合して圧接されることを特徴とする多層プリント配線板の接続構造。
【0015】
(5) (1)から(4)のいずれかに記載の多層プリント配線板の接続構造において、前記多層プリント配線板は、前記FPCの露出導体部が挿入される幅と奥行きを有する切り欠き溝を形成している内層板と、当該切り欠き溝に貫通する複数のスルーホール端子を備えている第1外層板と、前記第1外層板に対向する第2外層板と、を備えており、前記内層板と、前記第1外層板と、前記第2外層板とを積層することにより前記FPCの露出導体部が挿入される挿入口を当該多層プリント配線板の板厚面に形成しており、前記FPCの突起は前記挿入口内から前記スルーホール端子にかん合して圧接されることを特徴とする多層プリント配線板の接続構造。
【0016】
(6) (1)から(5)のいずれかに記載の多層プリント配線板の接続構造において、前記突起は球状に隆起していることを特徴とする多層プリント配線板の接続構造。
【0017】
(7) (1)から(5)のいずれかに記載の多層プリント配線板の接続構造において、前記突起は角錐状に隆起していることを特徴とする多層プリント配線板の接続構造。
【0018】
(8) (6)又は(7)のいずれかに記載の多層プリント配線板の接続構造において、前記突起は一列に配列されていることを特徴とする多層プリント配線板の接続構造。
【0019】
(9) (5)記載の多層プリント配線板の接続構造において、前記内層板は絶縁板で形成されており、前記第1外層板と前記第2外層板は両面銅張積層板に配線パターンがそれぞれ形成されており、当該内層板と当該第1外層板と当該第2外層板が積層され、はんだめっき法により厚さ方向に立体接続されている多層プリント配線板を含むことを特徴とする多層プリント配線板の接続構造。
【0020】
(10) (9)記載の多層プリント配線板の接続構造において、前記第1外層板と前記第2外層板は両面銅張積層板に配線パターンがそれぞれ形成されており、前記第1外層板と前記第2外層板にプリプレグと銅箔が更に積層され、はんだめっき法により厚さ方向に立体接続されている多層プリント配線板を含むことを特徴とする多層プリント配線板の接続構造。
【0021】
(11) (9)又は(10)のいずれかに記載の多層プリント配線板の接続構造において、前記多層プリント配線板に形成されている前記切り欠き溝に表出する複数のスルーホール端子は前記FPCの挿入方向と平行する複数の線パターンが当該スルーホール端子から当該多層プリント配線板の縁端部に延出しており、当該複数の線パターンに硬質めっきが施されていることを特徴とする多層プリント配線板の接続構造。
【0022】
(1)記載の発明によれば、「多層プリント配線板の板厚面にFPCが挿入されて当該FPCと当該多層プリント配線板が電気的に接続される多層プリント配線板の接続構造であって、前記FPCは、厚み方向に弾性変形する露出導体部を有しており、当該露出導体部における複数の導体表面の外側に向かって突出する突起を形成しており、前記多層プリント配線板は、前記FPCの露出導体部が挿入される挿入口を当該多層プリント配線板の板厚面に形成しており、この挿入口には前記FPCの挿入時に当該FPCの突起がかん合する位置に複数のスルーホール端子を備えており、前記FPCの突起は前記挿入口内から前記スルーホール端子にかん合して圧接される」ことを特徴としてよい。
【0023】
(2)記載の発明によれば、「多層プリント配線板の板厚面にFPCが挿入されて当該FPCと当該多層プリント配線板が電気的に接続される多層プリント配線板の接続構造であって、前記FPCは、外部への露出面を形成しており、当該露出面に複数の突起が形成されている箔状の導体と、当該導体の露出面の反対面に密着配置される絶縁性の基材と、からなる露出導体部を備え、更に、この露出導体部における前記基材と補強板との間には弾性部材が介装されている積層構造からなり、前記多層プリント配線板は、前記FPCの露出導体部が挿入される挿入口を当該多層プリント配線板の板厚面に形成しており、この挿入口には前記FPCの挿入時に当該FPCの突起がかん合する位置に複数のスルーホール端子を備えており、前記FPCの突起は前記挿入口内から前記スルーホール端子にかん合して圧接される」ことを特徴としてよい。
【0024】
「多層プリント配線板」は導体層が絶縁基板の表面と内部に形成されており、これを厚さ方向に立体接続してよい。立体接続するためには、厚さ方向に穴があけられ、穴の内部の壁面又は穴空間全体に導体を形成して接続してよい。「多層プリント配線板」の立体接続はめっきスルーホール法によって実施されてよい。
【0025】
この「多層プリント配線板」は内層コアとなる絶縁板である内層板に、両面の銅張積層板を用いプリントエッチング法により導体パターンが形成された第1外層板及び第2外層板を積層した4層板であってよい。
【0026】
前記4層板に更にプリプレグと銅箔を積層して、5層、6層・・n層板と必要に応じて積層してよい。これら「多層プリント配線板」は穴があけられ、スルーホール、ビア(Via)、パッドオンホール(Pad on hole)などが形成されてよい。
【0027】
FPCはFFC(Flexble Flat Cable)であってもよい。「突起」は、FPCの露出導体部において一本の「露出導体」と一対一に形成されてよい。この「突起」は一枚の帯板状の導体板に予め形成されてよく、帯板状の導体板が「絶縁性の基材」に積層(接着)された後に、エッチングされて複数の導体を形成するようにしてよい。
【0028】
なお、「露出導体部」とは、FPCに形成される「導体」の外部接続となる接触端子部であって、ポリイミドフィルムなどで被覆されていない端末部分を示しているが、この発明では、「露出導体」と「導体」は電気信号線として同義で扱うこともある。
【0029】
「突起」は「球状」に又は「角錐状」に隆起してよく、球状以外の曲面をもって隆起してもよい。これら形状は箔状の導体板をプレス成形(深絞り加工)することによって得られるとしてよい。そして、導体板は導通性と成形性に良好な材料(例えば、銅合金板)であってよく、複数の導体が形成された後に露出面における複数の導体にニッケルめっきが施されてよい。前記ニッケルめっきはその他、導通性の硬質めっきであってもよい。
【0030】
「絶縁性の基材」は例えば、薄膜のポリイミド板であってよく、この「基材」と「補強板」の間に「弾性部材」が介装される積層構造であってよい。「弾性部材」は、弾性のある接着剤がFPCの露出導体部に所要の厚みをもって塗布されてよい。「弾性部材」は、エラストマがFPCの露出導体部に所要の厚みをもって接着されてもよい。
【0031】
多層プリント配線板の板厚面にFPCが挿入されるときに、FPCの挿入が可能となるように、「突起」が沈下する程度の弾性と所要の厚みを「弾性部材」は有してよい。そして、FPCは、厚み方向に弾性変形する露出導体部を有してよい。
【0032】
そして、この好適な実施様態によるFPCは、「導体」、「基材」、「弾性部材」、「補強板」の順番に積層されてよく、露出導体部以降は「導体」、「基材」、「補強板」が積層されてよい。また、露出導体部以降はポリイミドフィルムで被膜されてよい。
【0033】
このFPCは、低電圧の電源、アース、信号、差動信号が供給されてよい。そして、これら電気信号が「突起」を介して多層プリント配線板のスルーホール端子に相互接続されてよい。
【0034】
切り欠き溝を形成している内層板を第1外層板及び第2外層板で挟むことにより、このFPCが接続される多層プリント配線板は、切り欠き溝はFPCが挿入される挿入口を形成しているとしてよい。
【0035】
そして、「切り欠き溝の幅」はFPCの露出導体部の幅より僅かに大きく、切り欠き溝がFPCを幅方向に案内すると共に規制すると考えてよい。このように、FPCを規制することにより、FPCに形成されている「突起」と多層プリント配線板に形成されている「スルーホール端子」の位置合わせが容易となる。
【0036】
「切り欠き溝の奥行き」は「突起」と「スルーホール端子」のかん合を妨げない程度に形成されてよい。FPCの露出導体部先端が切り欠き溝の奥行き壁に当接したときに、「突起」と「スルーホール端子」が位置合わせされるようにしてもよい。また、「突起」と「スルーホール端子」がかん合したときに、FPCの露出導体部先端と切り欠き溝の奥行き壁に間隙があるようにしてもよい。
【0037】
切り欠き溝に貫通する複数の「スルーホール端子」は、FPCに形成されている突起の配列に対応してパターン配置されてよい。「スルーホール端子」はFPCが挿入される方向と直交する方向に一列に必ずしも配置されなくてもよい。「スルーホール端子」の穴径や、「スルーホール端子」に接続するパターン幅の制約により、適宜配置されてよい。
【0038】
このような好適な実施様態による多層プリント配線板の接続構造においては、FPCの突起は挿入口内から「スルーホール端子」にかん合して圧接されることにより、FPCと多層プリント配線板の電気的相互接続を可能とする。したがって、この「スルーホール端子」はこの発明によるFPCの接続端子としてよい。
【0039】
このような好適な実施様態による多層プリント配線板の接続構造は、多層プリント配線板の高密度実装に寄与する。FPC用コネクタを多層プリント配線板に実装しないことにより、余裕面積に表面実装型の電子部品を実装したり、パターン配線することが可能になり、設計の自由度を増すことができる。
【0040】
(3)記載の発明によれば、「多層プリント配線板の板厚面にFPCが挿入されて当該FPCと当該多層プリント配線板が電気的に接続される多層プリント配線板の接続構造であって、前記FPCは、外部への露出面を形成しており、当該露出面に複数の突起が形成されている箔状の導体と、当該導体の露出面の反対面に密着配置される絶縁性の基材と、からなる露出導体部を備え、更に、この露出導体部において前記複数の突起と折れ目が一致しており前記複数の突起が盛り上がるように屈曲している弾性補強板が前記基材に密着配置されている積層構造からなり、前記多層プリント配線板は、前記FPCの露出導体部が挿入される挿入口を当該多層プリント配線板の板厚面に形成しており、この挿入口には前記FPCの挿入時に当該FPCの突起がかん合する位置に複数のスルーホール端子を備えており、前記FPCの突起は前記挿入口内から前記スルーホール端子にかん合して圧接される」ことを特徴としてよい。
【0041】
「突起」は、FPCの露出導体部において一本の「導体」と一対一に形成されてよい。この「突起」は一枚の帯板状の導体板に予め形成されてよく、一列に配置されてよい。そして、帯板状の導体板が「絶縁性の基材」に積層(接着)された後に、エッチングされて複数の導体を形成するようにしてよい。
【0042】
「絶縁性の基材」は例えば、薄膜のポリイミド板であってよく、突起が形成されている複数の導体が積層された基材に、一列に配置されている複数の突起と折れ目が一致するように、又、複数の突起が盛り上がるようにして、予め屈曲している弾性補強板を積層(接着)する積層構造であってよい。
【0043】
「弾性補強板」は露出導体部が屈曲した硬質合成樹脂板であってよく、「弾性補強板」は露出導体部が屈曲しており外面が非導電材で被覆された金属薄板であってもよい。
【0044】
そして、この好適な実施様態によるFPCは、「導体」、「基材」、「弾性補強板」の順番に積層されてよく、露出導体部以降はポリイミドフィルムで被膜されてよい。「導体」と「基材」と「弾性補強板」は、露出導体部において一体に屈曲してよく、この屈曲した露出導体部を圧したときは平らになるように弾性変形可能としてよい。
【0045】
このFPCを多層プリント配線板の挿入口に挿入すると、突起が挿入口の前面縁に当接する。さらにFPCを挿入すると、突起が相対的に沈下する。つまり、屈曲角度がより180度に近くなる。そして、突起がスルーホール端子にかん合すると突起は僅かに突出し、「弾性補強板」の復帰力で突起がスルーホール端子を圧接される。
【0046】
このような好適な実施様態による多層プリント配線板の接続構造においては、FPCの突起は挿入口内からスルーホール端子にかん合して圧接されることにより、FPCと多層プリント配線板の電気的相互接続を可能とする。
【0047】
(4)記載の発明によれば、「多層プリント配線板の板厚面にFPCが挿入されて当該FPCと当該多層プリント配線板が電気的に接続される多層プリント配線板の接続構造であって、前記FPCは、外部への露出面を形成しており、当該露出面に複数の突起が形成されている箔状の導体と、当該導体の露出面の反対面に密着配置される絶縁性の基材と、からなる露出導体部を備え、更に、補強板が前記基材に密着配置されている積層構造からなり、挿入治具は、前記多層プリント配線板への導入部と前記FPCとの係止部とで構成されており、当該導入部は当該FPCの露出導体部と同じ幅を有しており、かつ、前記FPCの露出導体部において前記複数の突起と折れ目が一致して前記複数の突起が盛り上がるように屈曲している弾性部材であり、当該係止部はFPCの露出導体部において幅方向に対向する一対の溝に入るための突出片を備えており、前記多層プリント配線板は、前記FPCの露出導体部が挿入される挿入口を当該多層プリント配線板の板厚面に形成しており、この挿入口には前記FPCの挿入時に当該FPCの突起がかん合する位置に複数のスルーホール端子を備えており、前記FPCは前記挿入治具に案内されて前記多層プリント配線板の前記挿入口に挿入され、前記FPCの前記突起は前記挿入口内から前記スルーホール端子にかん合して圧接される」ことを特徴としてよい。
【0048】
「突起」は、FPCの露出導体部において一本の「露出導体」と一対一に形成されてよい。この「突起」は一枚の帯板状の導体板に予め形成されてよく、一列に配置されてよい。そして、帯板状の導体板が「絶縁性の基材」に積層(接着)された後に、エッチングされて複数の導体を形成するようにしてよい。
【0049】
「絶縁性の基材」は例えば、薄膜のポリイミド板であってよく、突起が形成されている複数の導体が積層された基材に補強板を積層(接着)する積層構造であってよい。「導体」、「基材」、「補強板」の順番に積層されるこのFPCは、露出導体部以降はポリイミドフィルムで被膜されてよい。
【0050】
挿入治具の導入部は、「く」の字状に屈曲した弾性板であってよく、大きな曲率をもつ円弧状に湾曲していてもよい。挿入治具は弾性を有する金属板または合成樹脂板で成形されてよい。
【0051】
「挿入治具の係止部」は、幅方向に一対の「突出片」を形成しており、この「突出片」が、FPCの露出導体部において幅方向に対向する一対の矩形の溝に挿入されるとしてよい。また、FPCの露出導体部において幅方向に対向する一対の穴を形成し、「挿入治具の係止部」に一対のピンを立設し、当該穴に当該ピンが挿入されるようにしてもよい。
【0052】
この「挿入治具」は、前記FPCと組み合わされて当該FPCを多層プリント配線板に挿入容易とするためのものである。この「挿入治具」は、例えば、スライダーと呼称されてもよい。
【0053】
この「挿入治具」と組み合わされたFPCを多層プリント配線板の挿入口に挿入すると、突起が挿入口の前面縁に当接する。さらにFPCを挿入すると、突起が相対的に沈下する。つまり、「挿入治具」の屈曲角度がより180度に近くなる。そして、突起がスルーホール端子にかん合すると突起は僅かに突出し、「挿入治具」の復帰力で突起がスルーホール端子を圧接する。
【0054】
このような好適な実施様態による多層プリント配線板の接続構造においては、FPCの突起は挿入口内からスルーホール端子にかん合して圧接されることにより、FPCと多層プリント配線板の電気的相互接続を可能とする。
【0055】
(9)記載の発明によれば、「(5)記載の多層プリント配線板の接続構造において、前記内層板は絶縁板で形成されており、前記第1外層板と前記第2外層板は両面銅張積層板に配線パターンがそれぞれ形成されており、当該内層板と当該第1外層板と当該第2外層板が積層され、はんだめっき法により厚さ方向に立体接続されている多層プリント配線板を含む」ことを特徴としてよい。
【0056】
(10)記載の発明によれば、「(9)記載の多層プリント配線板の接続構造において、前記第1外層板と前記第2外層板は両面銅張積層板に配線パターンがそれぞれ形成されており、前記第1外層板と前記第2外層板にプリプレグと銅箔が更に積層され、はんだめっき法により厚さ方向に立体接続されている多層プリント配線板を含む」ことを特徴としてよい。
【0057】
これら「絶縁板」、「両面銅張積層板」、「プリプレグ」は一般的にエポキシ樹脂が使用されるが、ポリイミド、BT樹脂など耐熱特性をもつ材料が用途に応じて使用されてもよく、低誘電率エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などの低誘電率材が使用されてもよい。
【0058】
この発明によるFPCが挿入される内層板の板厚は、0.2〜1.6mmまで可能であるが、実施に供する内層板の板厚は、0.6〜1.0mm程度と想定される。
【0059】
第1外層板と第2外層板となる両面プリント基板の板厚は、0.2mm程度であり、必要に応じてプリプレグと銅箔を積層して板厚を厚くしてもよく、両面プリント基板自身の板厚を厚くしてもよい。なお、銅箔の厚さは35μmであり、厚さ方向に対して無視できると考える。また、この発明では、多段に積層される外層板であっても内層板の両面に積層されるプリント配線板をそれぞれ第1外層板および第2外層板とする。
【0060】
(11)記載の発明によれば、「(9)又は(10)のいずれかに記載の多層プリント配線板の接続構造において、前記多層プリント配線板に形成されている前記切り欠き溝に表出する複数のスルーホール端子は前記FPCの挿入方向と平行する複数の線パターンが当該スルーホール端子から当該多層プリント配線板の縁端部に延出しており、当該複数の線パターンに硬質めっきが施されている」ことを特徴としてよい。
【0061】
スルーホール端子から延出している線パターンは、この発明によるFPCが多層プリント配線板に繰り返し挿抜するのに際し、突起の摺動による多層プリント配線板の内壁の磨耗を低減するものである。例えば、多層プリント配線板がガラスエポキシ材の場合は、その表面が粗めの砥石に近く、FPCが多層プリント配線板に繰り返し挿抜するのに際し、突起の磨耗を低減するものである。
【0062】
また、挿入口内に表出する複数のスルーホール端子にニッケルめっきの後に金のフラッシュめっきを施せば、このスルーホール端子は導電性がより良好な接点となる。
【0063】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0064】
図1は、本発明による第1実施形態におけるFPCと多層プリント配線板(以下、多層板と略称する)との接続構造を示す斜視図である。図1における実施形態において、符号1は多層板、符号2はFPCである。
【0065】
図1において、FPC2は露出導体部2Aに複数の導体21が形成されており、露出面における導体21に球状の突起20が隆起している。この導体21は絶縁性の基材22上に接着されている。基材22の下面には弾性部材23が接着されている。弾性部材23の下面には補強板24が接着されている。
【0066】
突起20は、FPC2の露出導体部2Aにおいて一本の導体21と一対一に形成されている。この突起20は一枚の帯板状の導体板に予め形成されおり、一列に配置されている。そして、帯板状の導体板が絶縁性の基材22に積層(接着)された後に、帯板状の導体板がエッチングされて複数の突起20付き導体21を形成する。
【0067】
突起20は、図1に示されるように外形が球状に隆起してよく、又は角錐状に隆起してもよい。突起20は球状以外の曲面(例えば、楕円面)をもって隆起してもよい。突起20は、導体板を例えば、プレス成形(深絞り加工)することによって得られる。そして、導体板は導通性と成形性に良好な材料(例えば、銅合金板)であってよく、複数の導体21が形成された後に露出面における複数の導体21にニッケルめっきが施されてよい。前記ニッケルめっきはその他、導通性の硬質めっきであってもよい。
【0068】
絶縁性の基材22は例えば、薄膜のポリイミド板で製作される。この基材22と補強板24の間に弾性部材23が介装されて積層される。弾性部材23は、弾性のある接着剤がFPC2の露出導体部2Aに所要の厚みをもって塗布される。弾性部材23は、エラストマがFPC2の露出導体部2Aに所要の厚みをもって接着されてもよい。
【0069】
そして、第1実施形態によるFPC2は、導体21、基材22、弾性部材23、補強板24の順番に積層されている。露出導体部2A以降は、導体21、基材22、補強板24が積層されてよく、露出導体部2Aに積層されている弾性部材23は漸次、低減するようにしてもよい。また、露出導体部2A以降はポリイミドフィルム25で被膜されている。
【0070】
図1において、多層板1は内層コアとなる絶縁板である内層板10に、両面の銅張積層板を用いプリントエッチング法により導体パターンが形成された第1外層板11及び第2外層板12を積層した4層板になっている。
【0071】
内層板10は、FPC2の露出導体部2Aが挿入される幅W1と奥行きDを有する切り欠き溝10Aが形成されている。第1外層板11は、切り欠き溝10Aに貫通する複数のスルーホール端子11Aが形成されている。第2外層板は第1外層板に対向するように配置されている。
【0072】
そして、切り欠き溝10Aを形成している内層板10を第1外層板11及び第2外層板12で挟むことにより、このFPC2が接続される多層板1は、切り欠き溝10AはFPC2が挿入される挿入口10Bを形成する。
【0073】
切り欠き溝10Aの幅W1はFPC2の露出導体部2Aの幅W2より僅かに大きく、切り欠き溝10AがFPC2を幅方向に案内すると共に規制する。このように、FPC2を幅方向に規制することにより、FPC2に形成されている突起20と多層板1に形成されているスルーホール端子11Aの位置合わせが容易となる。
【0074】
図1において、切り欠き溝10Aに貫通する複数のスルーホール端子11Aは、FPC2に形成されている突起20の配列に対応してパターン配置されている。図1の第1実施形態においては、スルーホール端子11AはFPC2が挿入される方向と直交する方向に一列に必ずしも配置されなくてもよい。スルーホール端子11Aの穴径や、スルーホール端子11Aに接続するパターン幅の制約により、適宜配置されてよい。
【0075】
次に、本発明による第2実施形態におけるFPCと多層板との接続構造を、図2の斜視図により説明する。図2における第2実施形態において、符号3はFPCであり、多層板1は図1と同じものである。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態と重複する構成と作用については、説明を割愛する。
【0076】
図2において、FPC3は露出導体部3Aに複数の導体31が形成されており、露出面における導体31に球状の突起30が隆起している。この導体31は絶縁性の基材32上に接着されている。基材32の下面には弾性補強板33が接着されている。
【0077】
突起30は、FPC3の露出導体部3Aにおいて一本の導体31と一対一に形成されている。この突起30は一枚の帯板状の導体板に予め形成されおり、一列に配置されている。そして、帯板状の導体板が絶縁性の基材32に積層(接着)された後に、帯板状の導体板がエッチングされて複数の突起30付き導体31を形成する。
【0078】
突起30は、図2に示されるように外形が球状に隆起してよく、又は角錐状に隆起してもよい。突起30は球状以外の曲面(例えば、楕円面)をもって隆起してもよい。
【0079】
突起30は、導体板を例えば、プレス成形(深絞り加工)することによって得られる。導体板は複数の突起30を成形後に弾性補強板33の屈曲形状に対応して折り曲げ加工されてもよく、突起30の成形と折り曲げ加工を複合金型により同時成形してもよい。そして、加工済の導体板を基材32に積層(接着)された後にエッチング加工してよい。
【0080】
そして、導体板は導通性と成形性に良好な材料(例えば、銅合金板)であってよく、複数の導体31が形成された後に露出面における複数の導体31にニッケルめっきが施されてよい。前記ニッケルめっきはその他、導通性の硬質めっきであってもよい。
【0081】
絶縁性の基材32は例えば、薄膜のポリイミド板であってよく、突起30が形成されている複数の導体31が積層された基材32に、一列に配置されて複数の突起30と折れ目が一致するように、又、複数の突起30が盛り上がるようにして、予め屈曲している弾性補強板33を積層(接着)する。
【0082】
弾性補強板33は、露出導体部3Aが屈曲した硬質合成樹脂板であってよく、弾性補強板33は、露出導体部3Aが屈曲しており外面が非導電材で被覆された金属薄板であってもよい。
【0083】
そして、第2実施形態によるFPC3は、導体31、基材32、弾性補強板33の順番に積層されてよく、露出導体部3A以降はポリイミドフィルム34で被膜されている。導体31と基材32と弾性補強板33は、露出導体部3Aにおいて一体に屈曲してよく、この屈曲した露出導体部3Aを圧したときは平らになるように弾性変形可能である。
【0084】
このFPC3を多層板1の挿入口10Bに挿入すると、突起30が挿入口10Bの前面縁に当接する。さらにFPC3を挿入すると、突起30が相対的に沈下する。つまり、屈曲角度がより180度に近くなる。そして、突起30がスルーホール端子11Aにかん合すると突起30は僅かに突出し、弾性補強板33の復帰力で突起30がスルーホール端子11Aを圧接する。
【0085】
次に、本発明による第3実施形態におけるFPCと多層板との接続構造を、図3の斜視図により説明する。図3における第3実施形態において、符号4はFPC、符号5はFPC4の挿入治具であり、多層板1は図1と同じものである。なお、第3実施形態の説明において、第1実施形態と重複する構成と作用については、説明を割愛する。
【0086】
図3において、FPC4は露出導体部4Aに複数の導体41が形成されており、導体41に球状の突起40が隆起している。導体41は絶縁性の基材42上に接着されている。基材42の下面には補強板43が接着されている。
【0087】
突起40は、FPC4の露出導体部4Aにおいて一本の導体41と一対一に形成されている。この突起40は一枚の帯板状の導体板に予め形成されおり、一列に配置されている。そして、帯板状の導体板が絶縁性の基材42に積層(接着)された後に、帯板状の導体板がエッチングされて複数の突起40付き導体41を形成する。
【0088】
突起40は、図3に示されるように外形が球状に隆起してよく、又は角錐状に隆起してもよい。突起40は球状以外の曲面(例えば、楕円面)をもって隆起してもよい。突起40は、導体板を例えば、プレス成形(深絞り加工)することによって得られる。
【0089】
そして、導体板は導通性と成形性に良好な材料(例えば、銅合金板)であってよく、複数の導体41が形成された後に露出面における複数の導体41にニッケルめっきが施されてよい。前記ニッケルめっきはその他、導通性の硬質めっきであってもよい。
【0090】
絶縁性の基材42は例えば、薄膜のポリイミド板であってよく、突起40が形成されている複数の導体41が積層された基材42に補強板43を積層(接着)している。導体41、基材42、補強板43の順番に積層されるこのFPC4は、露出導体部4A以降はポリイミドフィルム44で被膜されている。
【0091】
挿入治具5は、多層板1への導入部51とFPC4との係止部52とで構成されている。挿入治具5は弾性板であって、挿入治具5の導入部51は、図3に示されるように「く」の字状に屈曲している。挿入治具5の導入部51は、大きな曲率をもつ円弧状に湾曲していてもよい。挿入治具5は弾性を有する金属板または合成樹脂板で成形されてよい。
【0092】
挿入治具5の係止部52は、幅方向に一対の突出片52A及び52Bを形成しており、この突出片52A及び52Bが、FPC4の露出導体部4Aにおいて幅方向に対向する一対の矩形の溝45A及び45Bに挿入される。
【0093】
この挿入治具5は、FPC4と組み合わされてFPC4を多層板1に挿入容易とするスライダーである。この挿入治具5と組み合わされたFPC4を多層板1の挿入口10Bに挿入すると、突起40が挿入口10Bの前面縁に当接する。さらにFPC4を挿入すると、突起40が相対的に沈下する。つまり、挿入治具5の屈曲角度がより180度に近くなる。そして、突起40がスルーホール端子11Aにかん合すると突起40は僅かに突出し、挿入治具5の復帰力で突起40がスルーホール端子11Aを圧接する。
【0094】
次に、本発明の作用を説明する。図4は図1における第1外層板11を切り欠き溝10A側から観た裏面図である。図4に示されるように、切り欠き溝10Aに表出する複数のスルーホール端子11Aに形成されているスルーホールランド11Bは、複数の線パターン11Cが第1外層板11の縁端部に延出している。
【0095】
この複数の線パターン11Cは、この発明によるFPCの挿入方向と平行にパターン配置されている。そして、複数の線パターン11Cはニッケルめっきなどが施されている。なお、複数の線パターン11Cはニッケルめっき以外の硬質めっきが施されてもよい。また、切り欠き溝10Aに表出する複数のスルーホールランド11Bにニッケルめっきの後に金のフラッシュめっきを施せば、このスルーホールランド11Bは導電性がより良好な接点となる。
【0096】
このように、切り欠き溝10Aの内壁に硬質めっきが施された線パターン11Cを配置したのは、この発明によるFPCが多層板1に繰り返し挿抜するのに際し、例えば、突起20(図1参照)の摺動による多層板1(図1参照)の内壁の磨耗を低減するものである。
【0097】
例えば、多層板1がガラスエポキシ材の場合は、その表面が粗めの砥石に近く、この発明によるFPCが多層板1に繰り返し挿抜するのに際し、例えば、突起20(図1参照)の磨耗を低減するものである。
【0098】
次に、本発明による第1実施形態におけるFPC2と多層板1との接続状態を図5の部分断面図により説明する。
【0099】
図5の実施形態において、FPC2の露出導体部2Aを、多層板1の挿入口10Bに挿入すると、突起20が挿入口10Bの前面縁に当接する。さらにFPC2を挿入すると、突起20は相対的に沈下する方向に力が働く。
【0100】
そして、FPC2の露出導体部2Aは弾性部材23が積層されているので、弾性部材23が圧縮されて、露出導体部2Aはさらに挿入口10B内を進行する。
【0101】
突起20の中心とスルーホール端子11Aの中心が一致する位置まで、露出導体部2Aが進行すると、弾性部材23の復帰力で突起20は上昇し、突起20はスルーホール端子11Aにかん合する。なお、図5において、突起20をスルーホール端子11Aに圧接する弾性力を弾性部材23は保持している。
【0102】
また、図5において、露出導体部2Aの先端が切り欠き溝10Aの奥行き壁に当接する前に、突起20とスルーホール端子11Aがかん合するようにしているが、露出導体部2Aの先端が切り欠き溝10Aの奥行き壁に当接したときに、突起20とスルーホール端子11Aが位置合わせされるように奥行きDを設計してもよい。
【0103】
次に、本発明による第2実施形態におけるFPC3と多層板1との接続状態を図6の部分断面図により説明する。
【0104】
図6の実施形態において、FPC3の露出導体部3Aを、多層板1の挿入口10Bに挿入すると、突起30が挿入口10Bの前面縁に当接する。さらにFPC3を挿入すると、突起30は相対的に沈下する方向に力が働く。
【0105】
そして、導体31と基材32と弾性補強板33は、露出導体部3Aにおいて一体に屈曲しているので、この屈曲した露出導体部3Aは突起30で押圧されて初期状態より平らになり、露出導体部3Aはさらに挿入口10B内を進行する。
【0106】
突起30の中心とスルーホール端子11Aの中心が一致する位置まで、露出導体部3Aが進行すると、弾性補強板33の復帰力で突起30は上昇し、突起30はスルーホール端子11Aにかん合する。なお、図6において、突起30をスルーホール端子11Aに圧接する弾性力を弾性補強板33は保持している。
【0107】
また、図6において、露出導体部3Aの先端が切り欠き溝10Aの奥行き壁に当接する前に、突起30とスルーホール端子11Aがかん合するようにしているが、露出導体部3Aの先端が切り欠き溝10Aの奥行き壁に当接したときに、突起30とスルーホール端子11Aが位置合わせされるように奥行きDを設計してもよい。
【0108】
次に、本発明による第3実施形態におけるFPC4と多層板1との接続状態を図7の部分断面図により説明する。
【0109】
図7の実施形態において、挿入治具5と組み合わされたFPC4の露出導体部4Aを、多層板1の挿入口10Bに挿入すると、突起40が挿入口10Bの前面縁に当接する。さらにFPC4を挿入すると、突起40は相対的に沈下する方向に力が働く。
【0110】
そして、挿入治具5の導入部51は、露出導体部4Aにおいて屈曲しているので、この屈曲した導入部51は露出導体部4Aの突起40で押圧されて初期状態より平らになり、露出導体部4Aは挿入治具5と共に、さらに挿入口10B内を進行する。
【0111】
突起40の中心とスルーホール端子11Aの中心が一致する位置まで、露出導体部4Aが進行すると、導入部51の復帰力で突起40は上昇し、突起40はスルーホール端子11Aにかん合する。なお、図7において、突起40をスルーホール端子11Aに圧接する弾性力を挿入治具5は保持している。
【0112】
また、図7において、露出導体部4A及び導入部51の先端が切り欠き溝10Aの奥行き壁に当接する前に、突起40とスルーホール端子11Aがかん合するようにしているが、露出導体部4A及び導入部51の先端が切り欠き溝10Aの奥行き壁に当接したときに、突起40とスルーホール端子11Aが位置合わせされるように奥行きDを設計してもよい。
【0113】
次に、本発明による多層板1の製造方法を図8の斜視分解組立図により説明する。
【0114】
図8において、内層コアとなる内層板10は切り欠き溝10Aが加工されている。内層板10は例えば、エポキシガラス板である。第1外層板11及び第2外層板12は両面の銅張積層板であって、プリントエッチング法により導体パターンが形成される。なお、銅箔は35μm程度であるが、図8を含めてこの明細書の図面は銅箔を誇張して描いている。
【0115】
第1外層板11はスルーホール端子11Aとなる個所に穴あけされており、スルーホール端子11Aを始めとして、第1外層板11の両面がエッチングによりパターン形成される。次に、スルーホール端子11Aが形成される。
【0116】
同様に、第2外層板12の両面がエッチングによりパターン形成される。図8において、線パターン12Aが形成されている。この線パターン12は、例えば、図1に示されたFPC2が多層板1に挿入されたときに、FPC2との接触面積を少なくして摩擦抵抗を少なくするためのものである。
【0117】
これらは、第2外層板12、内層板10、第1外層板11の順番に積み上げられ、プレスにより積層される。この積層された多層板1は穴があけられ、所望によるスルーホール、ビア、パッドオンホールなどが形成され、めっき処理、レジスト処理されて完成品となる。
【0118】
本発明においては、内層板10の板厚T0は、0.2〜1.6mmまで可能であるが、本発明の実施に供する内層板の板厚は、0.6〜1.0mm程度と想定される。
【0119】
第1外層板11と第2外層板12とからなる両面プリント基板のそれぞれの板厚T1及びT2は、0.2mm程度であり、必要に応じてプリプレグと銅箔を積層して板厚を厚くしてもよく、両面プリント基板自身の板厚を厚くしてもよい。なお、銅箔の厚さは35μmであり、厚さ方向に対して無視できると考える。
【0120】
【発明の効果】
本発明によれば、FPCの露出導体部において複数の導体に突起を形成し、当該突起を付勢する弾性体をFPCの露出導体部に付加している。多層プリント配線板はFPCが挿入される挿入口を板厚面に形成している。FPCを挿入口に挿入すると、挿入口内部に形成されている接続端子となるスルーホール端子に突起はかん合する。突起は弾性体の付勢力でスルーホール端子に圧接される。
【0121】
このような多層プリント配線板の接続構造においては、多層プリント配線板の高密度実装に寄与する。FPC用コネクタを多層プリント配線板に実装しないことにより、余裕面積に表面実装型の電子部品を実装したり、パターン配線することが可能になり、設計の自由度を増すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における第1実施形態によるFPCと多層プリント配線板との接続構造を示す斜視図である。
【図2】本発明における第2実施形態によるFPCと多層プリント配線板との接続構造を示す斜視図である。
【図3】本発明における第3実施形態によるFPCと多層プリント配線板との接続構造を示す斜視図である。
【図4】本発明における第1外層板を切り欠き溝側から観た裏面図である。
【図5】本発明における第1実施形態によるFPCと多層プリント配線板との接続状態を示す部分断面図である。
【図6】本発明における第2実施形態によるFPCと多層プリント配線板との接続状態を示す部分断面図である。
【図7】本発明における第3実施形態によるFPCと多層プリント配線板との接続状態を示す部分断面図である。
【図8】本発明における多層プリント配線板の斜視分解組立図である。
【符号の説明】
1 多層プリント配線板(多層板)
2・3・4 FPC
2A・3A・4A 露出導体部
5 挿入治具
10 内層板
10A 切り欠き溝
10B 挿入口
11 第1外層板
11A スルーホール端子
11B スルーホールランド
11C 線パターン
12 第2外層板
12A 線パターン
20・30・40 突起
21・31・41 導体
22・32・42 基材
23 弾性部材
24・43 補強板
25・34・44 ポリイミドフィルム
33 弾性補強板
45A 溝
45B 溝
51 導入部
52 係止部
52A・52B 突出片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層プリント配線板の板厚面にFPCが挿入されて当該FPCと当該多層プリント配線板が電気的に接続される多層プリント配線板の接続構造であって、
前記FPCは、厚み方向に弾性変形する露出導体部を有しており、当該露出導体部における複数の導体表面の外側に向かって突出する突起を形成しており、
前記多層プリント配線板は、前記FPCの露出導体部が挿入される挿入口を当該多層プリント配線板の板厚面に形成しており、この挿入口には前記FPCの挿入時に当該FPCの突起がかん合する位置に複数のスルーホール端子を備えており、
前記FPCの突起は前記挿入口内から前記スルーホール端子にかん合して圧接されることを特徴とする多層プリント配線板の接続構造。
【請求項2】
多層プリント配線板の板厚面にFPCが挿入されて当該FPCと当該多層プリント配線板が電気的に接続される多層プリント配線板の接続構造であって、
前記FPCは、外部への露出面を形成しており、当該露出面に複数の突起が形成されている箔状の導体と、当該導体の露出面の反対面に密着配置される絶縁性の基材と、からなる露出導体部を備え、更に、この露出導体部における前記基材と補強板との間には弾性部材が介装されている積層構造からなり、
前記多層プリント配線板は、前記FPCの露出導体部が挿入される挿入口を当該多層プリント配線板の板厚面に形成しており、この挿入口には前記FPCの挿入時に当該FPCの突起がかん合する位置に複数のスルーホール端子を備えており、
前記FPCの突起は前記挿入口内から前記スルーホール端子にかん合して圧接されることを特徴とする多層プリント配線板の接続構造。
【請求項3】
多層プリント配線板の板厚面にFPCが挿入されて当該FPCと当該多層プリント配線板が電気的に接続される多層プリント配線板の接続構造であって、
前記FPCは、外部への露出面を形成しており、当該露出面に複数の突起が形成されている箔状の導体と、当該導体の露出面の反対面に密着配置される絶縁性の基材と、からなる露出導体部を備え、更に、この露出導体部において前記複数の突起と折れ目が一致しており前記複数の突起が盛り上がるように屈曲している弾性補強板が前記基材に密着配置されている積層構造からなり、
前記多層プリント配線板は、前記FPCの露出導体部が挿入される挿入口を当該多層プリント配線板の板厚面に形成しており、この挿入口には前記FPCの挿入時に当該FPCの突起がかん合する位置に複数のスルーホール端子を備えており、
前記FPCの突起は前記挿入口内から前記スルーホール端子にかん合して圧接されることを特徴とする多層プリント配線板の接続構造。
【請求項4】
多層プリント配線板の板厚面にFPCが挿入されて当該FPCと当該多層プリント配線板が電気的に接続される多層プリント配線板の接続構造であって、
前記FPCは、外部への露出面を形成しており、当該露出面に複数の突起が形成されている箔状の導体と、当該導体の露出面の反対面に密着配置される絶縁性の基材と、からなる露出導体部を備え、更に、補強板が前記基材に密着配置されている積層構造からなり、
挿入治具は、前記多層プリント配線板への導入部と前記FPCとの係止部とで構成されており、当該導入部は当該FPCの露出導体部と同じ幅を有しており、かつ、前記FPCの露出導体部において前記複数の突起と折れ目が一致して前記複数の突起が盛り上がるように屈曲している弾性部材であり、当該係止部はFPCの露出導体部において幅方向に対向する一対の溝に入るための突出片を備えており、
前記多層プリント配線板は、前記FPCの露出導体部が挿入される挿入口を当該多層プリント配線板の板厚面に形成しており、この挿入口には前記FPCの挿入時に当該FPCの突起がかん合する位置に複数のスルーホール端子を備えており、
前記FPCは前記挿入治具に案内されて前記多層プリント配線板の前記挿入口に挿入され、前記FPCの前記突起は前記挿入口内から前記スルーホール端子にかん合して圧接されることを特徴とする多層プリント配線板の接続構造。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の多層プリント配線板の接続構造において、
前記多層プリント配線板は、前記FPCの露出導体部が挿入される幅と奥行きを有する切り欠き溝を形成している内層板と、当該切り欠き溝に貫通する複数のスルーホール端子を備えている第1外層板と、前記第1外層板に対向する第2外層板と、を備えており、
前記内層板と、前記第1外層板と、前記第2外層板とを積層することにより前記FPCの露出導体部が挿入される挿入口を当該多層プリント配線板の板厚面に形成しており、
前記FPCの突起は前記挿入口内から前記スルーホール端子にかん合して圧接されることを特徴とする多層プリント配線板の接続構造。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の多層プリント配線板の接続構造において、
前記突起は球状に隆起していることを特徴とする多層プリント配線板の接続構造。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載の多層プリント配線板の接続構造において、
前記突起は角錐状に隆起していることを特徴とする多層プリント配線板の接続構造。
【請求項8】
請求項6又は7のいずれかに記載の多層プリント配線板の接続構造において、
前記突起は一列に配列されていることを特徴とする多層プリント配線板の接続構造。
【請求項9】
請求項5記載の多層プリント配線板の接続構造において、
前記内層板は絶縁板で形成されており、
前記第1外層板と前記第2外層板は両面銅張積層板に配線パターンがそれぞれ形成されており、
当該内層板と当該第1外層板と当該第2外層板が積層され、はんだめっき法により厚さ方向に立体接続されている多層プリント配線板を含むことを特徴とする多層プリント配線板の接続構造。
【請求項10】
請求項9記載の多層プリント配線板の接続構造において、
前記第1外層板と前記第2外層板は両面銅張積層板に配線パターンがそれぞれ形成されており、
前記第1外層板と前記第2外層板にプリプレグと銅箔が更に積層され、はんだめっき法により厚さ方向に立体接続されている多層プリント配線板を含むことを特徴とする多層プリント配線板の接続構造。
【請求項11】
請求項9又は10のいずれかに記載の多層プリント配線板の接続構造において、
前記多層プリント配線板に形成されている前記切り欠き溝に表出する複数のスルーホール端子は前記FPCの挿入方向と平行する複数の線パターンが当該スルーホール端子から当該多層プリント配線板の縁端部に延出しており、
当該複数の線パターンに硬質めっきが施されていることを特徴とする多層プリント配線板の接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2004−335547(P2004−335547A)
【公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−125676(P2003−125676)
【出願日】平成15年4月30日(2003.4.30)
【出願人】(390033318)日本圧着端子製造株式会社 (457)
【Fターム(参考)】