説明

多層プリント配線板用絶縁性樹脂組成物及び多層プリント配線板

【課題】高耐熱性で、かつ銅線密着性等の信頼性の高い多層プリント配線板を容易にかつ安価に、また環境に多大な負担を与えることなく製造することができる多層プリント配線板用絶縁性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】少なくとも2成分以上の多官能エポキシ類化合物と硬化剤からなる多層プリント配線板用絶縁性樹脂組成物において、少なくとも前記多官能エポキシ類化合物が一分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族環を含む構造の多官能エポキシ類化合物と一分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能脂環式エポキシ類化合物を含む。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高耐熱性かつめっきピール強度が高く、導体回路のファイン化に適した絶縁性樹脂組成物及び絶縁性樹脂組成物を硬化してなる樹脂絶縁層によって層間絶縁された多層プリント配線板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子技術の進歩に伴い、大型コンピュータなどの電子機器に対する高密度化あるいは演算機能の高速化が進められている。その結果、プリント配線板においても高密度化を目的として、配線回路が多層に形成された多層プリント配線板が脚光を浴びてきた。
【0003】従来、多層プリント配線板としては例えば内装回路を接続し導通せしめた多層プリント配線板が代表的なものであった。
【0004】しかしながら、このような多層プリント配線板は、複数の内装回路をスルーホールを介して接続導通させたものであるため、配線回路が複雑になりすぎて高密度化あるいは高速度化を実現することは困難であった。
【0005】このような問題点を克服することのできる多層プリント配線板として、最近、導体回路と有機絶縁膜とを交互にビルドアップした多層プリント配線板が開発されている。この多層プリント配線板は、超高密度化と高速化に適合したものであるが、欠点は有機絶縁膜上に無電解めっき膜を信頼性よく形成させることが困難なことにあった。
【0006】このため、かかる多層プリント配線板においては、導体回路を、蒸着やスパッタリングなどのPVD法もしくは前記PVD法と無電解めっき及び電解めっきとの併用法で形成していたが、このようなPVD法による導体回路形成方法の問題点として生産性が劣り、コストが高い点が挙げられる。
【0007】最近、このような有機絶縁膜上に無電解めっき膜を信頼性よく形成する方法として、樹脂絶縁層中に酸化剤などに可溶な成分を混合し溶解除去することによって、無電解めっき膜に接する樹脂表面を荒らす方法が提案されている。たとえば、特開昭64−47095号公報にあるように耐熱性の樹脂絶縁層をマトリックスとして、樹脂層中に酸化剤に可溶のエポキシ樹脂、ビスマレイミド・トリアジン樹脂、ポリエステル樹脂などの樹脂と、酸化剤に不溶の樹脂や無機フィラーの混合により、樹脂絶縁層の表面を酸化剤で荒らして無電解めっき膜形成のアンカー効果を高めたものなどが提案されている。また、特開昭61−276875号公報のように、耐熱性絶縁樹脂分子内にジエン系ゴム成分などを組み込むことにより、無電解めっき膜との接着性を向上させる方法なども提案されている。
【0008】しかしながら、これらの方法では耐熱性の樹脂絶縁層に対して酸化剤などで溶解させる樹脂粒子やゴム成分などの樹脂改質剤自体の耐熱性が劣っているため、結果として形成された樹脂絶縁層の耐熱性を低下させることが問題となっていた。
【0009】また、一般にエポキシ系材料は熱硬化性樹脂であり熱硬化後の材料の熱物性が優れた物を得ようとすればするほど、めっき工程での粗化処理が進まず、高いめっきピール強度が得られないことになり細線導体回路の信頼性等に問題が生じる。このような粗化されにくい系を十分に粗化し高いめっきピール強度を得るためには、長時間の粗化処理を必要とするか、もしくはクロム混酸のような非常に危険かつ環境に与える影響が大きい処理液を必要とすることになり、コスト的にも環境的にも負担が大きく問題となっていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高耐熱性で、かつ銅線密着性等の信頼性の高い多層プリント配線板を容易にかつ安価に、また環境に多大な負担を与えることなく製造することができる多層プリント配線板用絶縁性樹脂組成物を提供することにある。本発明の他の目的は、高耐熱性で、かつ銅線密着性等の信頼性の高い多層プリント配線板を容易にかつ安価に提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1においては、少なくとも2成分以上の多官能エポキシ類化合物と硬化剤からなる多層プリント配線板用絶縁性樹脂組成物において、少なくとも前記多官能エポキシ類化合物が一分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族環を含む構造の多官能エポキシ類化合物と一分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能脂環式エポキシ類化合物を含むことを特徴とする多層プリント配線板用絶縁性樹脂組成物である。請求項2においては、請求項1記載の多官能脂環式エポキシ類化合物の一つが少なくとも、シクロヘキセンオキシド骨格を有することを特徴とする多層プリント配線板用絶縁性樹脂組成物である。請求項3においては、請求項1〜2記載の多官能エポキシ類化合物の芳香族環を含む多官能エポキシ類化合物と多官能脂環式エポキシ類化合物の組成比が、10〜90質量%:90〜10質量%であることを特徴とする多層プリント配線板用絶縁性樹脂組成物である。請求項4においては、請求項1〜3の何れかの1に記載の多層プリント配線板用絶縁性樹脂組成物を硬化してなる樹脂絶縁層を有することを特徴とする多層プリント配線板である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明をさらに詳しく説明する。本発明者らは、長年における研究の結果、多層プリント配線板用絶縁性樹脂組成物において、芳香族環を含む耐熱性の優れたエポキシ類化合物に脂環式骨格構造を有するエポキシ類化合物、好ましくはシクロヘキセンオキシド骨格構造を有するエポキシ類化合物を導入することにより、通常の粗化工程でめっきに適した微細な樹脂表面を形成することができ、かつ従来の方法では困難であった耐熱性の維持とめっきピール強度の向上を同時に満たすことが出来ることを発見した。
【0013】本発明における2種類の多官能エポキシ類化合物としては、一分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族環を含む構造の多官能エポキシ類化合物と一分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能脂環式エポキシ類化合物からなる。本発明で述べる芳香族環を含む構造の多官能エポキシ類化合物とは、分子構造中に芳香族骨格を有するものを示し、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、DPPノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、シクロペンタジエニル型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリス(グリシジルフェニル)メタン、テトラグリジジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルパラアミノフェノール、トリグリシジルメタアミノフェノール、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン、テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサンなどの種々の多官能グリシジルアミン型エポキシ化合物、2,2',4,4'-テトラグリドキシビフェニル等があげられ、特に一分子中に3官能以上のエポキシ基を有するものが、硬化時の物性に優れより好適である。
【0014】また、本発明で述べる脂環式骨格構造を有する化合物を添加してなる多官能脂環式エポキシ類化合物としては、たとえばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂等の芳香族環を含むエポキシ類化合物の水素添加化合物、脂環式エポキシ樹脂やシクロヘキセンオキシドの各種誘導体など等があげられ、特に一分子中に2官能以上のエポキシ基を有するものが硬化時の物性に優れより本発明に好適である。
【0015】多官能脂環式エポキシ類化合物の添加により、通常の粗化工程において芳香族系エポキシのみの硬化物より、樹脂表面は粗化されやすくなるとともに脂環式エポキシ単体の硬化物より微細な粗化面を形成することができる。本発明により耐熱性と高めっきピール強度ひいては高信頼性を持ち、導体回路のファイン化に適した多層プリント配線板を生産することができる。芳香族環を含む多官能エポキシ類化合物だけでも高耐熱性のものを得ることができるが、粗化工程において長時間の粗化処理が必要になったり、クロム混酸等を使う必要が出てくるためコスト面や環境面での負担が大きいこと、また脂環式エポキシ単体の硬化系では粗化面が荒れすぎる傾向があることから導体回路のファイン化に適さず好ましくない。
【0016】本発明の請求項2で述べる、シクロヘキセンオキシド骨格構造を有する多官能脂環式エポキシ類化合物としては、たとえば3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、アリサイクリックジエポキシアセタール、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、種々のカプロラクトン変性多官能シクロヘキセンオキシドタイプのエポキシ化合物、アリサイクリックジエポキシアセタール、アリサイクリックジエポキシアジペート、ビニルシクロヘキセンジオキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートのトリメチルカプロラクトン変性物、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートのバレロラクトン変性物、下記化学式(1)及び化学式(2)で表される脂環式エポキシ化合物などがあげられ、これらを単独もしくは混合して用いることができる。
【0017】
【化1】


【0018】式中、a及びbは0又は1以上の自然数を表す。
【0019】
【化2】


【0020】式中、a〜dは0又は1以上の自然数を表す。
【0021】上記シクロヘキセンオキシド骨格構造を有する多官能脂環式エポキシ類化合物のうち一分子中に2官能以上のエポキシ基を有するものは硬化時の物性にも優れ本発明に好適である。
【0022】上記に述べるシクロヘキセンオキシド骨格構造を有する多官能脂環式エポキシ類化合物を添加することにより、通常の粗化工程において芳香族系エポキシのみの硬化物より、樹脂表面は粗化されやすくなるとともにシクロヘキセンオキシド骨格構造を有する脂環式エポキシ単体の硬化物より微細な粗化面を形成することができる。本発明により、耐熱性と高めっきピール強度ひいては高信頼性を持ち、導体回路のファイン化に適した多層プリント配線板を生産することができる。芳香族環を含む多官能エポキシ類化合物だけでも高耐熱性のものを得ることができるが、粗化工程において長時間の粗化処理が必要になったり、クロム混酸等を使う必要が出てくるため、コスト面や環境面への負担が大きいこと、またシクロヘキセンオキシド骨格構造を有する脂環式エポキシ単体の硬化物では粗化面が荒れすぎる傾向にあることから導体回路のファイン化に適さず好ましくない。
【0023】本発明では多官能エポキシ類化合物の芳香族環を含む多官能エポキシ類化合物と多官能脂環式エポキシ類化合物の組成比は、10〜90質量%:90〜10質量%、更に好ましくは、20〜80質量%:80〜20質量%であることが望ましい。芳香族環を含む構造の多官能エポキシ類化合物と多官能脂環式エポキシ類化合物の組成比が上記の範囲外であると、通常の粗化処理による粗面化がうまく行われずにめっき接着強度(ピール強度)が低下するなど導体回路を信頼性よく形成することが困難になる可能性がある。また例えば、ガラス転移温度(Tg)が下がったり、平均線膨張係数が上昇したり、脆くなったりする等の硬化後の物性が低下したりする等の問題が発生する可能性がある。上記の組成の範囲外の組成では、例えば芳香族系エポキシが多い場合には十分な粗化面を得るために、通常の粗化処理では長時間かかることになったり、クロム混酸等の環境にもコスト的にも多大な負担を与える処理液が必要となるため好ましくなく、また脂環式エポキシが多い場合には粗化面が荒れすぎる傾向があることから導体回路のファイン化に適さず好ましくない。
【0024】本発明では硬化剤としては一般的なエポキシ硬化剤と知られている物を使用することが出来る。たとえばアミン系硬化剤、フェノール樹脂系硬化剤、クレゾール樹脂系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、各種アミン系硬化剤やカルボン酸類、カルボン酸無水物類等の各種カルボキシル化合物類などがあげられ、特に限定するものではない。
【0025】また、上記絶縁性樹脂組成物中には、必要に応じて各種フィラーを配合することが出来る。例えば、フッ素樹脂や、ポリイミド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、エポキシ樹脂などの有機質充填剤、あるいは、シリカやタルク、アルミナ、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機質充填剤を配合することができる。
【0026】さらに、上記絶縁性樹脂組成物中には、必要に応じて、エポキシ基硬化促進剤、熱重合禁止剤、可塑剤、レベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、難燃化剤等の添加剤や着色用顔料等を添加することが可能である。
【0027】次に本発明の絶縁性樹脂組成物を用いた多層プリント配線板の製造方法について具体的に説明する。
【0028】本発明はまず導体回路を形成した基板上に、上記の絶縁層を形成することにより始まる。
【0029】本発明に使用する基板としては、例えばプラスチック基板、セラミック基板、金属基板、フィルム基板等が使用することができ、具体的にはガラスエポキシ基板、ビスマレイミドートリアジン基板、アラミド繊維不織布基板、液晶ポリマー基板、アルミニウム基板、鉄基板、ポリイミド基板等を使用することができる。
【0030】導体回路を形成した基板に前記樹脂絶縁層を形成する方法としては、例えば上記絶縁性樹脂組成物をローラーコート法、ディップコート法、スプレイコート法、スピナーコート法、カーテンコート法、スロットコート法、スクリーン印刷法等の各種手段により塗布する方法、あるいは前記混合液をフィルム状に加工した、樹脂フィルムを貼付する方法を適用することができる。また、本発明における前記樹脂絶縁層の好適な厚さは、通常20〜100 μm 程度であるが、特に高い絶縁性が要求される場合にはそれ以上に厚くすることもできる。
【0031】上記絶縁性樹脂組成物を導体回路を形成した基板に塗布したのち、乾燥および熱硬化させることにより、樹脂絶縁層を形成する。
【0032】多層プリント配線板は、前記樹脂絶縁層の表面を酸あるいは酸化剤を用いて粗面化処理した後、無電解めっき及び電解めっきを施すことにより、導体回路を形成することにより製造される。この無電解めっきの方法としては、例えば、無電解銅めっき、無電解ニッケルめっき、無電解金めっき、無電解銀めっき、無電解錫めっきのいずれか少なくとも一種であることが好適である。なお、前記無電解めっきを施した上にさらに異なる種類の無電解あるいは電解めっきを行ったり、はんだをコートすることができる。
【0033】なお、本発明の絶縁性樹脂組成物を用いて、従来知られたプリント配線板について行われている種々の方法で導体回路を形成することができ、例えば、基板に無電解及び電解めっきを施してから、回路をエッチングする方法や、無電解めっきを施す際に直接回路を形成する方法などを適用することができる。本発明の樹脂組成物により絶縁層を形成することにより、無電解めっき膜を信頼性良く形成させた多層プリント配線板を容易にかつ安価に提供することができる。
【0034】
【実施例】以下、本発明の絶縁性樹脂組成物を用いて多層プリント配線板を製造する実施例について説明する。
【0035】[実施例1]まず、無水トリメリット酸100質量部、下記化学式(3)で表される多官能芳香族エポキシ樹脂(E157S70/油化シェル社製商品名)300質量部、下記化学式(4)で表される多官能脂環式エポキシ樹脂(GT401/ダイセル化学社製商品名)320質量部、球状アモルファスシリカ平均粒系3μm 165質量部、レベリング剤(ビックケミー社製)2.5質量部をシクロヘキサノン溶剤を加えて攪拌し、絶縁性樹脂組成物を得た。
【0036】
【化3】


【0037】式中、nは1以上の自然数を表す
【0038】
【化4】


【0039】式中、a+b+c+d=n=1である。
【0040】次に、この絶縁性樹脂組成物をスロットコーターを用いて、脱脂洗浄した銅張りガラスエポキシ基板に約50μm の厚さに塗布し、その後、乾燥オーブンを用いて、175℃で90分加熱硬化処理を行い、樹脂絶縁層を形成した。上記樹脂絶縁層を形成した基板を通常のプリント基板の銅メッキ工程にて厚さ約18μmの銅メッキを施し、プリント配線板を得た。密着強度はJIS−C6481に基づき1cm幅パターンの90度剥離試験によって調べた。また、同様の樹脂絶縁層形成方法により厚さ50μmの樹脂絶縁層フィルム試料を作製し、動的粘弾性測定装置DMAによりガラス点移転Tgを、熱機械分析装置TMA により平均線膨張係数CTEを測定した。
【0041】[実施例2]まず、無水トリメリット酸100質量部、多官能芳香族エポキシ樹脂(E157S70/油化シェル社製商品名)300質量部、脂環式エポキシ樹脂(GT403/ダイセル化学社製商品名)400質量部、球状アモルファスシリカ平均粒系3μm 200質量部、レベリング剤(ビックケミー社製)3.0質量部をシクロヘキサノン溶剤を加えて攪拌し、絶縁性樹脂組成物を得た。
【0042】次に、絶縁性樹脂組成物を用い、実施例1と同様な方法でプリント配線板を得た。
【0043】[実施例3]まず、無水トリメリット酸100質量部、多官能芳香族エポキシ樹脂(E157S70/油化シェル社製商品名)295質量部、下記化学式(5)で表される脂環式エポキシ樹脂(GT301/ダイセル化学社製商品名)335質量部、球状アモルファスシリカ平均粒系3μm 180質量部、レベリング剤(ビックケミー社製)2.5質量部をシクロヘキサノン溶剤を加えて攪拌し、絶縁性樹脂組成物を得た。
【0044】
【化5】


【0045】式中、a+b=n=1である。
【0046】次に、絶縁性樹脂組成物を用い、実施例1と同様な方法でプリント配線板を得た。
【0047】[実施例4]まず、無水トリメリット酸100質量部、多官能芳香族エポキシ樹脂(E157S70/油化シェル社製商品名)295質量部、下記化学式(6)で表されるシクロヘキセンオキシド骨格を有する脂環式エポキシ樹脂(セロキサイド2081/ダイセル化学社製商品名)290質量部、球状アモルファスシリカ平均粒系3μm 170質量部、レベリング剤(ビックケミー社製)2.5質量部をシクロヘキサノン溶剤を加えて攪拌し、絶縁性樹脂組成物を得た。
【0048】
【化6】


【0049】式中、n=1である。
【0050】次に、絶縁性樹脂組成物を用い、実施例1と同様な方法でプリント配線板を得た。
【0051】[実施例5]まず、無水トリメリット酸100質量部、化学式(7)で表される多官能芳香族エポキシ樹脂(EPPN−502H/日本化薬社製商品名)240質量部、化学式(8)で表される脂環式エポキシ樹脂(GT403/ダイセル化学社製商品名)400質量部、球状アモルファスシリカ平均粒系3μm 185質量部、レベリング剤(ビックケミー社製)2.5質量部をシクロヘキサノン溶剤を加えて攪拌し、絶縁性樹脂組成物を得た。
【0052】
【化7】


【0053】式中、nは0又は自然数を表す。
【0054】
【化8】


【0055】式中、a+b+c+d=n=3を表す。
【0056】次に、絶縁性樹脂組成物を用い、実施例1と同様な方法でプリント配線板を得た。
【0057】[実施例6]まず、無水トリメリット酸100質量部、多官能芳香族エポキシ樹脂(EPPN−502H/日本化薬社製商品名)240質量部、シクロヘキセンオキシド骨格を有する脂環式エポキシ樹脂(セロキサイド2081/ダイセル化学社製商品名)290質量部、球状アモルファスシリカ平均粒系3μm 160質量部、レベリング剤(ビックケミー社製)2.0質量部をシクロヘキサノン溶剤を加えて攪拌し、絶縁性樹脂組成物を得た。
【0058】次に、絶縁性樹脂組成物を用い、実施例1と同様な方法でプリント配線板を得た。
【0059】[実施例7]まず、メチルテトラヒドロ無水フタル酸100質量部、多官能芳香族エポキシ樹脂(EPPN−502H/日本化薬社製商品名)200質量部、脂環式エポキシ樹脂(GT401/ダイセル化学社製商品名)340質量部、球状アモルファスシリカ平均粒系3μm 160質量部、レベリング剤(ビックケミー社製)2.0質量部をシクロヘキサノン溶剤を加えて攪拌し、絶縁性樹脂組成物を得た。
【0060】次に、絶縁性樹脂組成物を用い、実施例1と同様な方法でプリント配線板を得た。
【0061】[実施例8]まず、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸100質量部、多官能芳香族エポキシ樹脂(EPPN−502H/日本化薬社製商品名)200質量部、脂環式エポキシ樹脂(GT401/ダイセル化学社製商品名)335質量部、球状アモルファスシリカ平均粒系3μm 160質量部、レベリング剤(ビックケミー社製)2.0質量部をシクロヘキサノン溶剤を加えて攪拌し、絶縁性樹脂組成物を得た。
【0062】次に、絶縁性樹脂組成物を用い、実施例1と同様な方法でプリント配線板を得た。
【0063】[実施例9]まず、無水メチルハイミック酸100質量部、多官能芳香族エポキシ樹脂(EPPN−502H/日本化薬社製商品名)190質量部、脂環式エポキシ樹脂(GT401/ダイセル化学社製商品名)320質量部、球状アモルファスシリカ平均粒系3μm 150質量部、レベリング剤(ビックケミー社製)2.0質量部をシクロヘキサノン溶剤を加えて攪拌し、絶縁性樹脂組成物を得た。
【0064】次に、絶縁性樹脂組成物を用い、実施例1と同様な方法でプリント配線板を得た。
【0065】[実施例10]まず、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸100質量部、多官能芳香族エポキシ樹脂(EPPN−502H/日本化薬社製商品名)145質量部、脂環式エポキシ樹脂(GT401/ダイセル化学社製商品名)240質量部、球状アモルファスシリカ平均粒系3μm 120質量部、レベリング剤(ビックケミー社製)1.5質量部をシクロヘキサノン溶剤を加えて攪拌し、絶縁樹脂溶液を得た。
【0066】次に、絶縁性樹脂組成物を用い、実施例1と同様な方法でプリント配線板を得た。
【0067】[実施例11]まず、無水トリメリット酸100質量部、多官能芳香族エポキシ樹脂(EPPN−502H/日本化薬社製商品名)385質量部、脂環式エポキシ樹脂(GT403/ダイセル化学社製商品名)160質量部、球状アモルファスシリカ平均粒系3μm 160質量部、レベリング剤(ビックケミー社製)2.5質量部をシクロヘキサノン溶剤を加えて攪拌し、絶縁性樹脂組成物を得た。
【0068】次に、絶縁性樹脂組成物を用い、実施例1と同様な方法でプリント配線板を得た。
【0069】[実施例12]まず、無水トリメリット酸100質量部、多官能芳香族エポキシ樹脂(EPPN−502H/日本化薬社製商品名)145質量部、脂環式エポキシ樹脂(GT403/ダイセル化学社製)565質量部、球状アモルファスシリカ平均粒系3μm 200質量部、レベリング剤(ビックケミー社製)2.6質量部をシクロヘキサノン溶剤を加えて攪拌し、絶縁性樹脂組成物を得た。
【0070】次に、絶縁性樹脂組成物を用い、実施例1と同様な方法でプリント配線板を得た。
【0071】[比較例1]まず、無水トリメリット酸100質量部、多官能芳香族エポキシ樹脂(E157S70/油化シェル社製商品名)590質量部、球状アモルファスシリカ平均粒系3μm(FB−3S、電気化学工業社製)170質量部、レベリング剤(ビックケミー社製)2.8質量部をシクロヘキサノン溶剤を加えて攪拌し、絶縁性樹脂組成物を得た。
【0072】次に、この絶縁性樹脂組成物をスロットコーターを用いて、脱脂洗浄した銅張りガラスエポキシ基板に約50μm の厚さに塗布し、その後、乾燥オーブンを用いて、175℃で90分加熱硬化処理を行い、樹脂絶縁層を形成した。上記樹脂絶縁層を形成した基板を通常のプリント基板の銅メッキ工程にて厚さ約18μmの銅メッキを施し、プリント配線板を得た。密着強度はJIS−C6481に基づき1cm幅パターンの90度剥離試験によって調べた。また、同様の樹脂絶縁層形成方法により厚さ50μmの樹脂絶縁層フィルム試料を作製し、動的粘弾性測定装置DMAによりガラス点移転Tgを、熱機械分析装置TMA により平均線膨張係数CTEを測定した。
【0073】[比較例2]まず、無水トリメリット酸100質量部、多官能芳香族エポキシ樹脂(EPPN−502H/日本化薬社製商品名)480質量部、球状アモルファスシリカ平均粒系3μm(FB−3S、電気化学工業社製)145質量部、レベリング剤(ビックケミー社製)2.4質量部をシクロヘキサノン溶剤を加えて攪拌し、絶縁性樹脂組成物を得た。
【0074】次に、絶縁性樹脂組成物を用い、比較例1と同様な方法でプリント配線板を得た。
【0075】[比較例3]まず、無水トリメリット酸100質量部、多官能芳香族エポキシ樹脂(E157S70/油化シェル社製商品名)700質量部、脂環式エポキシ樹脂(GT403/ダイセル化学社製商品名)50質量部、球状アモルファスシリカ平均粒系3μm(FB−3S、電気化学工業社製)150質量部、レベリング剤(ビックケミー社製)2.4質量部をシクロヘキサノン溶剤を加えて攪拌し、絶縁性樹脂組成物を得た。
【0076】次に、絶縁性樹脂組成物を用い、比較例1と同様な方法でプリント配線板を得た。
【0077】[比較例4]まず、無水トリメリット酸100質量部、多官能芳香族エポキシ樹脂(E157S70/油化シェル社製商品名)50質量部、脂環式エポキシ樹脂(GT403/ダイセル化学社製商品名)700質量部、球状アモルファスシリカ平均粒系3μm(FB−3S、電気化学工業社製)220質量部、レベリング剤(ビックケミー社製)2.7質量部をシクロヘキサノン溶剤を加えて攪拌し、絶縁性樹脂組成物を得た。
【0078】次に、絶縁性樹脂組成物を用い、比較例1と同様な方法でプリント配線板を得た。
【0079】[比較例5]まず、メチルテトラヒドロ無水フタル酸100質量部、多官能芳香族エポキシ樹脂(EPPN−502H/日本化薬社製商品名)410質量部、球状アモルファスシリカ平均粒系3μm 130質量部、レベリング剤(ビックケミー社製)2.1質量部をシクロヘキサノン溶剤を加えて攪拌し、絶縁性樹脂組成物を得た。
【0080】次に、絶縁性樹脂組成物を用い、比較例1と同様な方法でプリント配線板を得た。
【0081】このようにして製造した多層プリント配線板の絶縁層の特性を調べ表1に示した。樹脂のガラス転移温度(Tg)は動的粘弾性測定装置、平均線膨張係数(CTE)は熱機械分析装置によって調べた50〜150℃の値を示す。また、ピール強度はJIS−C6481の方法によって調べた。
【0082】
【表1】


【0083】
【発明の効果】本発明は以上の如き構成であるから、前記の如き従来の多層プリント配線板の有する問題点を解消し、高耐熱性で、かつ銅線密着性等の信頼性の高い多層プリント配線板を容易にかつ安価に、また環境に多大な負担を与えることなく製造することができる多層プリント配線板用絶縁性樹脂組成物を提供することができる。
【0084】更に、高耐熱性で、かつ銅線密着性等の信頼性の高い多層プリント配線板を容易にかつ安価に提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】少なくとも2成分以上の多官能エポキシ類化合物と硬化剤からなる多層プリント配線板用絶縁性樹脂組成物において、少なくとも前記多官能エポキシ類化合物が一分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族環を含む構造の多官能エポキシ類化合物と一分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能脂環式エポキシ類化合物を含むことを特徴とする多層プリント配線板用絶縁性樹脂組成物。
【請求項2】多官能脂環式エポキシ類化合物の一つが少なくとも、シクロヘキセンオキシド骨格を有することを特徴とする請求項1記載の多層プリント配線板用絶縁性樹脂組成物。
【請求項3】多官能エポキシ類化合物の芳香族環を含む多官能エポキシ類化合物と多官能脂環式エポキシ類化合物の組成比が、10〜90質量%:90〜10質量%であることを特徴とする請求項1〜2記載の多層プリント配線板用絶縁性樹脂組成物。
【請求項4】請求項1〜3の何れかの1に記載の多層プリント配線板用絶縁性樹脂組成物を硬化してなる樹脂絶縁層を有することを特徴とする多層プリント配線板。