説明

多層ポリエチレン薄型フィルム

多層薄型フィルムが開示される。この多層薄型フィルムは、約0.1ミル〜約1ミルの厚さを有し、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)の少なくとも一つの層および高密度ポリエチレン(HDPE)または中密度ポリエチレン(MDPE)の少なくとも一つの層を含む。この多層薄型フィルムは、高い引裂強度および他の特性の優れた組合せを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエチレンフィルムに関する。さらに詳しくは、本発明は、多層薄型フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンは、高密度ポリエチレン(HDPE、密度0.941g/cm3以上)、中密度ポリエチレン(MDPE、密度0.926〜0.940g/cm3)、低密度ポリエチレン(LDPE、密度0.910〜0.925g/cm3)および線状低密度ポリエチレン(LLDPE、密度0.910〜0.925g/cm3)に分類される。ASTM D4976−98:ポリエチレンプラスチック成型および押出材料の標準規格を参照されたい。また、ポリエチレンは、分子量によっても分類できる。例えば、超高分子量ポリエチレンは、3,000,000を超える重量平均分子量(Mw)を有するものを意味する。米国特許第6,265,504号を参照されたい。高分子量ポリエチレンは、通常、130,000〜1,000,000までのMwを有するものを意味する。
【0003】
ポリエチレン(HDPE、MDPE、LLDPEおよびLDPE)の主要な用途の一つは、例えば食品雑貨用袋、組織および消費者向け缶の内張り、商品用袋、輸送袋、食品包装フィルム、多層複合袋内張り、農産物袋、調理済食品用ラップ、伸縮性ラップおよび収縮性ラップなどのフィルム用途におけるものである。ポリエチレンフィルムの重要な物理的特性は、引裂強度、衝撃強度、引張強度、剛性および透明性である。フィルムの剛性は、モジュラスによって測定できる。モジュラスは、応力下でのフィルムの変形に対する耐性である。
【0004】
縦方向配向(MDO)は、ポリオレフィン工業でよく知られている。ポリマーが、一軸応力の下で引っ張られた場合、配向が引っ張る方向に整列されるようになる。例えば、米国特許第6,391,411号は、高分子量(MnおよびMwの両方が1,000,000を超える)HDPEフィルムのMDOを教示する。しかしながら、このような高分子量HDPEフィルムは、高いドローダウン比に引き伸ばすことが困難なので、これらのフィルムのMDOは限定される。
【0005】
現在のポリエチレンフィルムは典型的に、ダーツ落下衝撃強度のための包装用要求に合致させるために、例えばモジュラス、降伏強度および破断強度などの幾つかの特性が損なわれている。このような特性が損なわれていないポリマーフィルムは、袋の性能ならびに袋の製造および充填に関連する経済性を改良するのに望ましい。例えば、フィルムのモジュラスおよび降伏強度を増加させることによって、より大きい袋を製造することができ、消費者によって扱われた後にそれらの形状を保持しながら、より多くの量の商品の包装を可能にする。また、より高いモジュラスを有する袋は、充填ラインをより速く稼動させることができ、充填工程の全体的な経済性を向上させる。
【0006】
フィルムの降伏強度を増加させることによって、袋は応力の下でより引き伸ばされにくくなり、したがってそれらは元の形状および大きさを保持する。これは荷重下でのフィルムの降伏および薄化による破断を減少させる。また、バッグの印刷面は歪められることなく、包装における美的な品質を維持し、消費者によるブランド意識を高める。
【0007】
さらに、前述の特性が損なわれていないフィルムは、フィルム厚さを減少させることができ、製品の経済性をさらに向上させる。そのような革新は、性能および経済的利益の両方を提供する新製品を作り出すために、缶の内張りおよび小売業バッグ産業におけるすべてにとって望ましい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、多層薄型フィルムである。「薄型フィルム」は、フィルムが、約0.1ミル〜約1ミル、好ましくは約0.4ミル〜約0.8ミル、最も好ましくは約0.5ミル〜約0.8ミルの厚さを有することを意味する。多層薄型フィルムは、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)の少なくとも一つの層および高密度ポリエチレン(HDPE)または中密度ポリエチレン(MDPE)の少なくとも一つの層を有する。
【0009】
従来の多層フィルムは、比較的厚い。多層薄型フィルムは、各層が最小厚さを必要とするので、同時押出し方法によって製造することが難しい。驚くべきことに、我々は多層薄型フィルムが厚型多層フィルムから縦方向配向(MDO)によって容易に製造できることを見出した。我々は本発明の多層薄型フィルムが等しい厚みを有しているが、MDOなしで同時押出しによって直接製造された多層薄型フィルムより顕著に良好な物理的な特性の組合せを有していることを見出した。さらに詳しくは、この多層薄型フィルムは、MD引裂強度を顕著に改良した。この多層薄型フィルムは、44g/ミル以上の標準化されたMD引裂強度を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の多層薄型フィルムは、約0.1ミル〜約1ミルの厚さを有する。好ましくは、この多層薄型フィルムは、約0.4ミル〜約0.8ミルの厚さを有する。さらに好ましくは、この多層薄型フィルムは、約0.5ミル〜約0.8ミルの厚さを有する。
【0011】
多層薄型フィルムは、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)の少なくとも一つの層および高密度ポリエチレン(HDPE)または中密度ポリエチレン(MDPE)の少なくとも一つの層を有する。好適なLLDPEは、好ましくは、エチレンと、約5重量%〜約15重量%の、例えば1−ブテン、1−ヘキセン、および1−オクテンなどの長鎖α−オレフィンとのコポリマーである。好適なLLDPEとしては、約0.910g/cm3〜約0.925g/cm3の密度を有するものが挙げられる。また、好適なLLDPEは、いわゆる極低密度ポリエチレン(VLDPE)を含む。好適なVLDPEは、0.865g/cm3〜0.910g/cm3の密度を有する。
【0012】
好適なMDPEは、好ましくは、約0.926g/cm3〜約0.940g/cm3の密度を有する。さらに好ましくは、前記密度は、約0.930g/cm3〜約0.940g/cm3である。好ましいMDPEは、エチレンの繰り返し単位約85重量%〜約98重量%およびC3〜C10のα−オレフィンの繰り返し単位約2重量%〜約15重量%を含むコポリマーである。好適なC3〜C10のα−オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンおよび1−オクテン等ならびにこれらの混合物を含む。
【0013】
好ましくは、MDPEは、二峰性または多峰性の分子量分布を有する。二峰性または多峰性のMDPEの製造方法は、知られている。例えば、米国特許第6,486,270号は、複数帯域法によるMDPEの製造を教示する。
【0014】
好適なHDPEは、好ましくは、約0.941g/cm3〜約0.970g/cm3の密度を有する。さらに好ましくは、前記密度は約0.945g/cm3〜約0.965g/cm3である。最も好ましくは、前記密度は0.958g/cm3〜0.962g/cm3である。
【0015】
好ましくは、LLDPE、MDPEおよびHDPEは、約0.01〜約1.5dg/分、さらに好ましくは、約0.01〜約1.0dg/分のMI2を有する。好ましくは、LLDPE、MDPEおよびHDPEは、約50〜約300のMFRを有する。メルトインデックス(MI2)は、ポリマー分子量を測定するために通常使用され、溶融流動比(MFR)は、分子量分布を測定するために使用される。より大きいMI2は、より少ない分子量を示す。より大きいMFRは、より広い分子量分布を示す。MFRは、MI2に対する高負荷メルトインデックス(HLMI)の比率である。MI2およびHLMIは、ASTM D−1238に従って測定することができる。MI2は、2.16kgの圧力下において190℃で測定される。HLMIは、21.6kgの圧力下において190℃で測定される。
【0016】
好ましくは、LLDPE、MDPEおよびHDPEは、約10,000〜約500,000、さらに好ましくは、約11,000〜約50,000、最も好ましくは、約11,000〜約35,000の数平均分子量(Mn)を有する。好ましくは、LLDPE、MDPEおよびHDPEは、約120,000〜約1,000,000、さらに好ましくは、約135,000〜約500,000、最も好ましくは、約140,000〜約250,000の重量平均分子量(Mw)を有する。好ましくは、LLDPE、MDPEおよびHDPEは、約3〜約20、さらに好ましくは、約4〜約18、最も好ましくは、約5〜約17の分子量分布(Mw/Mn)を有する。
【0017】
Mw、MnおよびMw/Mnは、混合床GPCカラム(ポリマーラボス製、混合B−LS)および移動相としての1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)を備えたウォーターズ製GPC2000CV高温装置上のゲル透過クロマトグラフィ(GPC)によって得られる。移動相は、名目上の流量1.0mL/分および温度145℃で使用される。酸化防止剤は全く移動相に加えられないが、BHT800ppmが、試料溶解のために使用する溶剤に加えられる。ポリマー試料は、30分毎に緩やかに攪拌しながら、2時間175℃で加熱される。注入容量は、100マイクロリットルである。
【0018】
MwおよびMnは、ウォーターズミレニアム4.0というソフトウエアを使用した、累積マッチング%検量法を使用して算出される。これは、最初に狭いポリスチレン標準品(PSS、ウォーターズ社製)を使用して検量線を作り、次いでユニバーサル検量法によってポリエチレン検量を進めることによる。
【0019】
好適なLLDPE、MDPEおよびHDPEは、チーグラー、シングルサイトまたはいかなる他のオレフィン重合触媒によっても製造することができる。チーグラー触媒はよく知られている。好適なチーグラー触媒の例としては、チタンハライド、チタンアルコキシド、バナジウムハライドおよびこれらの混合物が挙げられる。チーグラー触媒は、アルキルアルミニウム化合物などの共触媒と共に使用される。
【0020】
シングルサイト触媒は、メタロセンと非メタロセンに分類することができる。メタロセンシングルサイト触媒は、シクロペンタジエニル(Cp)またはCp誘導体配位子を含む遷移金属化合物である。例えば、米国特許第4,542,199号は、メタロセン触媒を教示する。非メタロセンシングルサイト触媒は、Cp以外の配位子を含むが、メタロセンと同じ触媒的な特性を有する。非メタロセンシングルサイト触媒は、例えば、ボラアリール、ピロリル、アザボロリニルまたはキノリニルなどのヘテロ原子配位子を含むことができる。例えば、米国特許第6,034,027号、第5,539,124号、第5,756,611号および第5,637,660号は、非メタロセン触媒を教示する。
【0021】
場合により、多層薄型フィルムは、例えばガスバリヤ性、粘着性、医学用、難燃性の層等のような他の層を含む。この任意性の層のための好適な材料は、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアミド(ナイロン)、ポリアクリロニトリル、エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレンアクリル酸メチルコポリマー(EMA)、エチレンアクリル酸コポリマー(EAA)、イオノマー、無水マレイン酸グラフトポリオレフィン、K樹脂(スチレン/ブタジエンブロックコポリマー)およびポリエチレンテレフタレート(PET)等、ならびにこれらの混合物を含む。本発明の一つの利点は、これらの任意の層を、必ずしも使用する必要がないということである。これらの任意性の層のポリマーは、しばしばポリエチレンよりかなり高価である。
【0022】
好ましくは、多層薄型フィルムは、HDPE/LLDPE/HDPE、HDPE/LLDPE/MDPEおよびMDPE/LLDPE/MDPEからなる群より選択される3層フィルムである。さらに好ましくは、多層薄型フィルムは、HDPE/LLDPE/HDPEおよびMDPE/LLDPE/MDPE3層フィルム(ここで、各HDPEまたはMDPEは同じであるか、または異なっている)からなる群から選択される。好ましくは、各層は等しい厚さを有する。
【0023】
本発明の多層薄型フィルムは、多層厚型フィルムの縦方向配向(MDO)によって製造することができる。多層厚型フィルムは、同時押出し、コーティングおよび他のラミネート方法によって製造することができる。これらは、キャスティングプロセスまたはブローフィルムプロセスによって製造することができる。ブローフィルムプロセスは、ハイストークプロセスおよびインポケットプロセスを含む。ハイストークプロセスとインポケットプロセスとの間の相違は、ハイストークプロセスにおいては、押出されたチューブが押出しダイからある距離(すなわち、ストークの長さ)の後膨張されるが、インポケットプロセスにおいては、押出されたチューブは、このチューブが押出しダイから出てくるときに膨張されることである。次いで、多層厚型フィルムは縦(または加工処理)方向に単軸方向に配向される。MDOの間、ブローフィルムラインまたは他のフィルムプロセスからのフィルムは配向温度に加熱される。好ましくは、配向温度は、外層ポリマーの溶融温度より5℃〜7℃低い。加熱は複数の加熱ローラーを使用して好ましくは実行される。
【0024】
次いで、加熱されたフィルムは、加熱ローラーと同じ回転速度を有する、ニップローラー付きの遅い延伸ロールに送り込まれる。次いで、フィルムは、速い延伸ロールに入る。速い延伸ロールは、遅い延伸ロールより2〜10倍速い速度を有しており、これは、連続的なベースでフィルムを効果的に配向させる。
【0025】
配向されたフィルムは、次いでアニーリング熱ローラーに入り、フィルムを高められた温度で、ある時間保持することによって、応力を緩和させる。アニーリング温度は、好ましくは、約100℃〜約125℃であり、アニーリング時間は、約1秒〜約2秒である。最終的に、フィルムは冷却ローラーを通して周囲温度に冷やされる。
【0026】
配向前後のフィルムの厚さの比率は、「ドローダウン比」と呼ばれる。例えば、2ミルのフィルムが0.5ミルのフィルムに配向された場合、ドローダウン比は、4:1である。ドローダウン比は、所望のフィルムの厚さ、フィルムの特性および多層フィルム構造を含む多くの要素によって変化する。我々は、HDPE/LLDPE/HDPE3層フィルムに関して、多層薄型フィルムのMD引裂強度は、約2:1〜約4:1のドローダウン比で速く増加し、その後それが本質的に平坦なままであることを見出した。MDPE/LLDPE/MDPE3層フィルムに関して、MD引裂強度は約4:1のドローダウン比においてピーク値を有する。
【0027】
多層薄型フィルムは、44g/ミル以上の標準化されたMD引裂強度を有する。正規化された値は、測定されたMD引裂の値をフィルムの厚さで除算することによって得られる。MD引裂は、ASTM D1922によって測定される。好ましくは、多層薄型フィルムは150g/ミルを超える正規化MD引裂強度を有する。さらに好ましくは、多層薄型フィルムは200g/ミルを超える正規化MD引裂強度を有する。
【0028】
本発明の多層薄型フィルムは、高いMD引裂強度を有しているだけではなく、他の特性の優れた組合せも有している。好ましくは、本発明のフィルムは150,000psiを超える、さらに好ましくは、200,000psiを超える1%割線MDおよびTD(横方向)モジュラスを有する。モジュラスはASTM E−111−97によって試験される。
【0029】
好ましくは、多層薄型フィルムは4,000psi以上、さらに好ましくは5,000psi以上の降伏でのMD引張強度を有する。好ましくは、多層薄型フィルムは9,000psi以上、さらに好ましくは20,000psiを超える、最も好ましくは25,000psiを超える破断でのMD引張強度を有する。引張強度はASTM D−882によって試験される。
【0030】
好ましくは、多層薄型フィルムは80%未満、さらに好ましくは60%未満、最も好ましくは30%未満のヘーズを有する。このヘーズはASTM D1003−92:透明プラスチックのヘーズおよび視感透過率の標準試験方法、1992年10月によって試験される。好ましくは、このフィルムは8を超える、さらに好ましくは30を超える光沢を有する。この光沢はASTM D2457−90:プラスチックフィルムおよび固体プラスチックの鏡面光沢の標準試験方法によって試験される。
【0031】
さらに、本発明の多層薄型フィルムは許容し得るダーツ落下強度を有する。好ましくは、多層薄型フィルムは50グラムを超える、さらに好ましくは100グラムを超えるダーツ落下強度を有する。ダーツ落下強度はASTM D1709によって試験される。
【0032】
本発明の多層薄型フィルムには多くの用途がある。高いMD、TDモジュラス、高いダーツ落下衝撃強度、高い引裂強度、高い破断および降伏強度の組合せを有するポリエチレンフィルムはあまり存在しないが、そのようなフィルムには拡大しつつある需要が存在する。例えば、Tシャツバッグ(食料雑貨用袋)は、主に紙袋に代わることに関連するコスト節約および性能増強により、過去数年間のポリマーフィルム産業の最も早く成長している部門の一つである。そのようなバッグは、小売店〜消費者の家まで購入された商品を運ぶのに通常使用される。現在のポリマーフィルムは典型的に、ダーツ落下衝撃強度および引裂強度のパッケージ必要条件を満たすためにモジュラス、降伏強度および破壊強度などの幾つかの特性が損なわれている。バッグの性能ならびにバッグを製造し、充填することに関連する経済性を改良するためには、このような特性が損なわれてないポリマーフィルムが望ましい。本発明の多層薄型フィルムは、ポリマーフィルム製造者がフィルムの全体の厚さを減少させることを可能にし、製品と関連する経済性をさらに向上させる。
【0033】
以下の実施例は、単に本発明を例証するものである。当業者は、本発明の精神および特許請求の範囲の範囲内にある多くのバリエーションを認識するはずである。
【0034】
実施例1〜6
MDPE/LLDPE/MDPEの3層同時押出フィルムの縦方向配向
中密度ポリエチレン(XL3805、エクイスターケミカル社製、MI2:0.057dg/分、密度:0.938g/cm3、Mn:18,000、Mw:209,000)が、線状低密度ポリエチレン(GS707、エクイスターケミカル社製、密度:0.915g/cm3、MI2:0.700dg/分、Mn:30,000、Mw:120,000)と共に同時押出され、2.0mmのダイ間隙を有する200mmダイ上で、均等に層状化されたMDPE/LLDPE/MDPEの3層フィルムに変換される。このフィルムは、ダイ直径の8倍のネックの高さおよびブローアップ比(BUR)4:1を用いてハイストーク技術によって製造される。実施例C1、2、3、4、5および6におけるフィルム厚さは、それぞれ0.5、1.0、2.0、3.0、4.0および5.0ミルである。
【0035】
実施例2、3、4、5および6のフィルムは、様々なドローダウン比を用いて最終厚さ1ミル未満へ縦方向に配向される。実施例C1のフィルムは、縦方向配向にかけられていない。縦方向配向は、商業規模のホソカワ−アルピンMDOユニット上で実行される。このユニットは、ユニットの性能を最適化して、所望の特性を有するフィルムを製造するために特定の温度にそれぞれが設定されている、予備加熱、延伸、アニーリングおよび冷却の区画からなる。予備加熱、延伸およびアニーリング区画は、外層フィルムの溶融温度より約5℃〜7℃低い温度で稼動される。冷却区画は、室温条件下で稼動される。フィルムの特性は、表1に列挙される。MD引裂は、標準化された値、すなわち測定された引裂の値がフィルムの厚さで除算されたものである。
【0036】
実施例7〜12
HDPE/LLDPE/HDPEの3層同時押出フィルムの縦方向配向
実施例1〜6の一般的な方法が、繰り返される。高密度ポリエチレン(L5906、エクイスターケミカル社製、MI2:0.057dg/分、密度:0.959g/cm3、Mn:13,000、Mw:207,000)が、線状低密度ポリエチレン(GS707、エクイスターケミカル社製、密度:0.915g/cm3、MI2:0.700dg/分、Mn:30,000、Mw:120,000)と共に同時押出され、2.0mmのダイ間隙を有する200mmダイ上で、均等に層状化されたHDPE/LLDPE/HDPEの3層フィルムが製造される。このフィルムは、ダイ直径の8倍のネックの高さおよびブローアップ比(BUR)4:1を用いてハイストーク技術によって製造される。
【0037】
実施例8、9、10、11および12のフィルムは、様々なドローダウン比を用いて最終厚さ1ミル未満へ縦方向に配向される。実施例C7のフィルムは、縦方向配向されていない。フィルムの特性を表2に列挙した。
【0038】
実施例C13
単層HDPE薄型フィルム
高密度ポリエチレン(L5005、エクイスターケミカル社製)が、2.0mmのダイ間隙を有する200mmダイ上で、0.5ミルの厚さを有する単層フィルムへと変換される。このフィルムは、ダイ直径の8倍のネックの高さおよびブローアップ比(BUR)4:1を用いてハイストーク技術によって製造される。このフィルムは、縦方向に配向されておらず、高い引張強度の薄型フィルム用途において使用される今日のフィルムの代表的なものである。フィルムの特性を表3に列挙した。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.1ミル〜1ミルの厚さを有し、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)の少なくとも一つの層および高密度ポリエチレン(HDPE)または中密度ポリエチレン(MDPE)の少なくとも一つの層を有し、44グラム/ミル以上の正規化縦方向引裂強度を有する多層薄型フィルム。
【請求項2】
0.4ミル〜0.8ミルの厚さを有する請求項1に記載の多層薄型フィルム。
【請求項3】
0.5ミル〜0.8ミルの厚さを有する請求項1に記載の多層薄型フィルム。
【請求項4】
前記フィルムが、縦方向に配向されている請求項1に記載の多層薄型フィルム。
【請求項5】
HDPE/LLDPE/HDPEの3層フィルムである請求項1に記載の多層薄型フィルム。
【請求項6】
150グラム/ミルを超える正規化縦方向引裂強度を有する請求項5に記載の多層薄型フィルム。
【請求項7】
200グラム/ミルを超える正規化縦方向引裂強度を有する請求項5に記載の多層薄型フィルム。
【請求項8】
3〜6のドローダウン比で、縦方向に配向されている請求項5に記載の多層薄型フィルム。
【請求項9】
ドローダウン比が、4〜6までの範囲内である請求項8に記載の多層薄型フィルム。
【請求項10】
各HDPEが、0.945〜0.965g/cm3の同じまたは異なる密度を有し、LLDPEが、0.865〜0.925g/cm3の密度を有する請求項5に記載の多層薄型フィルム。
【請求項11】
LLDPEおよび各HDPEが、120,000〜1,000,000の同じまたは異なる重量平均分子量および10,000〜500,000の同じまたは異なる数平均分子量を有する請求項5に記載の多層薄型フィルム。
【請求項12】
0.4〜0.8ミルの厚さ、44グラム/ミルを超える正規化縦方向引裂強度、4,000psiを超える降伏での縦方向引張強度、9,000psiを超える破断での縦方向引張強度、150,000psiを超える1%割線縦方向モジュラス、50グラムを超えるダーツ落下強度、150,000psiを超える1%割線横方向モジュラス、60%未満のヘーズおよび20を超える光沢を有する請求項5に記載の多層薄型フィルム。
【請求項13】
MDPE/LLDPE/MDPEの3層フィルムである請求項1に記載の多層薄型フィルム。
【請求項14】
150グラム/ミルを超える正規化縦方向引裂強度を有する請求項13に記載の多層薄型フィルム。
【請求項15】
200グラム/ミルを超える正規化縦方向引裂強度を有する請求項13に記載の多層薄型フィルム。
【請求項16】
2〜6のドローダウン比で、縦方向に配向されている請求項13に記載の多層薄型フィルム。
【請求項17】
ドローダウン比が、2〜4である請求項16に記載の多層薄型フィルム。
【請求項18】
各MDPEが、0.930〜0.940g/cm3の範囲内の同じまたは異なる密度を有し、LLDPEが、0.865〜0.925g/cm3の密度を有する請求項13に記載の多層薄型フィルム。
【請求項19】
LLDPEおよびそれぞれのMDPEが、120,000〜1,000,000の同じまたは異なる重量平均分子量および10,000〜500,000の同じまたは異なる数平均分子量を有する請求項13に記載の多層薄型フィルム。
【請求項20】
0.4〜0.8ミルの厚さ、44グラム/ミルを超える正規化縦方向引裂強度、4,000psiを超える降伏での縦方向引張強度、9,000psiを超える破断での縦方向引張強度、150,000psiを超える1%割線縦方向モジュラス、50グラムを超えるダーツ落下強度、150,000psiを超える1%割線横方向モジュラス、60%未満のヘーズおよび20を超える光沢を有する請求項13に記載の多層薄型フィルム。

【公表番号】特表2008−529845(P2008−529845A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555107(P2007−555107)
【出願日】平成18年1月23日(2006.1.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/002130
【国際公開番号】WO2006/086134
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(501391331)エクイスター ケミカルズ、 エルピー (30)
【氏名又は名称原語表記】Equistar Chemicals,LP
【Fターム(参考)】