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多層体
説明

多層体

本発明は、キャリア基質(750)および窓(70)またはキャリア基質(750)の透明な領域において少なくとも部分的に配置された透明層(720)を有する多層体(1、7)に関する。透明層(720)は、透明層(720)により規定される層面において互いに並置関係で配置される可変屈折率の少なくとも第一のサブ領域(71a)および第二のサブ領域(71b)を有し、窓(70)またはキャリア基質(750)の透明な領域において少なくとも部分的に配置される。各サブ領域(71a、71b)は、光学作用エレメントを形成し、屈折率変化により形成され、実質上互いに平行な平面(31)に配置される、多数の周期的に配置されたノードを有する。少なくとも第一のサブ領域(71a)における平面は、少なくとも第二のサブ領域(71b)における平面と平行ではない。少なくとも一つのサブ領域(71a、71b)において、平面は層面に対して平行でも垂直でもなく延びる。このようにして、多層体(7)の表側および裏側に入射する光の双方が、光学作用エレメントにより回折され、エレメントが、入射光モードにおいて、表側と裏側とで異なる光学効果を生じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学作用エレメントを備えた多層体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、透明なフィルムにより閉じられた窓状の開口を有する有価ドキュメントを記載している。従って、セキュリティ特性を備えた透明なフィルムは、入射光モードにおいてのみでなく、透過光モードにおいても、観察可能である。ここで、セキュリティ特性は、薄膜配置、および/または、屈折光学効果および/または回折光学効果を有する、回折構造を有する。
【0003】
特許文献2は、透明なプラスティック材料により閉じられた窓を有する自己照合セキュリティドキュメントと、セキュリティエレメントとを記載している。窓の領域において、透明なプラスティック材料は、例えば、光学レンズ、偏向構造またはモアレ効果を生じるエレメント等の照合手段を有する。セキュリティドキュメントを照合するために、ドキュメントは、窓がセキュリティエレメントに重なり、セキュリティエレメントが窓を通じて観察できるように折り畳まれる。照合手段とセキュリティエレメントの協働により、特有の光学効果が提供される。
【0004】
特許文献3は、例えば、液晶セキュリティエレメントを備え、セキュリティエレメントの下に不可視のコーディングが配置された、有価ペーパー、証書、または身分証等のデータキャリアを記載している。セキュリティエレメントは、異なる観察角度で、異なるカラーインプレッションを生じる。このような液晶は、Varifeye(登録商標)名の製品においても用いられている。この製品は、透かしのように、窓が導入された紙幣用紙に含まれる。液晶および回折OVD(光学可変デバイス)が導入された透明なプラスティックフィルムが、窓をカバーしている。背景の輝度に依存して、窓は、異なるカラー効果を示す。随意に、例えば、黒色印刷が窓の中の液晶の背後に配置され、窓が暗い背景に対して観察されなくても、観察者がカラー変化を認知するようにすることも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE 43 34 847 A1
【特許文献2】WO 98/15418
【特許文献3】EP 0 435 029 B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、改良された光学作用エレメントを有する多層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、キャリア基質、および、窓またはキャリア基質の透明領域において少なくとも部分的に配置された透明層を有する特にセキュリティドキュメントにおける多層体であって、透明層は、透明層により規定される層面において互いに並置関係で配置される可変屈折率の少なくとも第一のサブ領域および第二のサブ領域を有し、少なくとも第一のサブ領域および第二のサブ領域は、窓またはキャリア基質の透明な領域において少なくとも部分的に配置され、各サブ領域は、光学作用エレメントを形成し、屈折率変化により形成され、実質上互いに平行な平面に配置される、多数の周期的に配置されたノードを有し、少なくとも第一のサブ領域における平面は、少なくとも第二のサブ領域における平面と平行ではなく、少なくとも一つのサブ領域において、平面は層面に対して平行でも垂直でもなく延び、多層体の表側および裏側に入射する光の双方が、光学作用エレメントにより回折され、エレメントが、入射光モードにおいて、表側と裏側とで異なる光学効果を生じる多層体により達成される。
【0008】
本発明に従う多層体は、特に光学効果に優れている。窓またはキャリア基質の透明な領域における光学作用エレメントの配置は、セキュリティドキュメントの両側から光学作用エレメントの照明を可能とする。以降、窓という表現は、光が両側から通過可能な、セキュリティドキュメントにおける透明な領域を表すために用いられる。透明とは、半透明、好ましくは、透明を表す。そのような透明性は、限定された周波数レンジ、例えば赤色光に対してのみ提供されても良い。入射光が、観察者に対向する窓の側である場合を、入射光とする。光が、観察者から離れた窓の側に入射する場合を、透過光とする。
【0009】
少なくとも2つの異なって形成されたサブ領域の窓における配置は、透明な窓において、観察者に特に容易に記憶される透明でない反射イメージを生じることが可能である。少なくとも2つのサブ領域における平面の各配置、多層体への光の入射角度、および、多層体の観察角度に依存して、異なる光学効果が生じる。入射光モードにおいて、多層体の表側を観察する場合、観察者は、窓の中に、イメージ情報の第一のアイテムを知覚する。多層体が、多層体の面における軸について180度回転され、多層体が裏側から観察される場合、イメージ情報の第一のアイテムに代わって、観察者は、入射光モードにおいて、窓の中に、それとは異なるイメージ情報の第二のアイテムを知覚する。多層体の面における軸は、例えば、多層体の長手方向のエッジまたは垂直エッジに対して平行な軸を含んでも良い。多層体の面に対して垂直な軸についての多層体の180度の回転により、例えば、暗/明/暗から暗/明のコントラストような、異なる効果が生じる。
【0010】
本発明に従う多層体は、既述した光学作用エレメントが、入射光を狭い角度範囲に偏向または回折するような構造であるという点で、さらに優れている。これらの角度範囲は、一般的な回折構造、例えば、回折レリーフ構造の場合よりも十分狭い。これにより、非常に選択的な光学効果が得られ、すなわち、多層体の観察者は、非常に限定された、細かく規定された角度範囲でのみ、光学効果を知覚する。
【0011】
特に、本発明に従う多層体は、光学作用エレメントに含まれるイメージ情報が、特定の照明状況下でのみ見える。多層体の観察者が多層体を傾けた場合、イメージ情報とイメージ情報の消失の間の明白で鮮明な変化が生じる。
【0012】
多層体は、セキュリティドキュメントであるのが好ましい。しかしながら、多層体は、装飾分野でも利用可能である。
【0013】
さらなる有利な構造が、従属項で記述される。
【0014】
光学作用エレメントは、透過光モードにおいて、光学可変効果を展開する。光学作用エレメントは、例えば、透過光モードにおいて、観察可能であるように、窓またはキャリア基質の透明な領域に配置され得る。多層体の透明層は、入射光モードと透過光モードとにおいて、異なるイメージ情報を示すのが好ましい。
【0015】
窓における少なくとも2つの異なるサブ領域の配置は、透明な窓において、観察者に特に容易に記憶される、不透明な反射イメージの形成の提供を可能とする。少なくとも2つのサブ領域における平面の各配置、多層体への光の入射角度、および、多層体の観察角度に依存して、異なる光学効果が生じる。これにより、透過光モードで観察者が窓の中でセキュリティドキュメントの表側を観察する場合、例えば、観察者は、イメージ情報の第一のアイテムを知覚することができる。観察角度および光の入射が不変である場合、セキュリティドキュメントを180度回転すると、観察者は、透過光モードで、窓の中に、イメージ情報の第一のアイテムの代わりに、イメージ情報の第二のアイテムを知覚する。
【0016】
本発明の好ましい実施形態では、第一のサブ領域における平面は、第二のサブ領域における平面に対して、好ましくは少なくとも1度の角度傾いている。従って、第一のサブ領域における平面配列の平面は、第二のサブ領域における平面配列の平面と平行ではなく、2つの平面配列の交差角度は少なくとも1度である。第一のサブ領域における実質的に互いに平行な平面は、平面での光の偏向または回折により、セキュリティドキュメントの観察者に見えるようになる、イメージ情報の第一のアイテムを含んでも良い。さらに、実質的に互いに平行な平面は、第二のサブ領域において、平面での光の偏向または回折により、セキュリティドキュメントの観察者に見えるようになる、イメージ情報の第二のアイテムを含んでも良い。
【0017】
第一のサブ領域における平面の配置が、第二のサブ領域における平面の配置と十分に異なる場合、観察者は、第一の照明状況において、イメージ情報の第一のアイテムを知覚し、第二の照明状況において、イメージ情報の第二のアイテムを知覚する。十分と言う言葉は、ここでは、角度、好ましくは1度以上の角度を表すために用いられ、この角度では、イメージ情報の第一および第二のアイテムは、互いに重複せず、観察者は、互いに明確に区別されるイメージ情報のアイテムを知覚する。
【0018】
例として、2桁からなる数字、例えば数字“50”が、平面の異なる配置を含む、2つの異なるサブ領域により形成される。第一の桁“5”は、平面の第一の配置を備えたサブ領域の形態であり、第二の桁“0”は、平面に関し第二の配置を備えたサブ領域の形態である。このようにして、例えば、第一の桁は赤く見え、第二は緑に見え得る。
【0019】
層面における各サブ領域は、層面内の各方向において少なくとも20μmの表面範囲であるのが好ましい。最小表面範囲は、300μmであるのが好ましい。この表面範囲に因り、サブ領域は、人の裸眼では、常に連続構造として知覚される。
【0020】
さらに、各サブ領域は、特別なイメージ手続きにより形成される体積ホログラムの形態の光学作用エレメントを有する。各体積ホログラムは、屈折率の変化により形成されるノードを有する。理想的な場合、ノードは、いわゆるブラッグ平面、すなわち、屈折率の変化により形成される平面、を形成するような構造である。従って、屈折率変化は、水晶のX線構造解析に関連して最初に既述された、ブラッグ平面に位置する。入射光では、ブラッグ平面は、回折格子として働き、回折および干渉により、光学効果を生じる。
【0021】
この構造により、屈折率変化によりサブ領域に形成され、実質的に互いに平行な関係で延びる平面に配置されるノードは、体積ホログラムのブラッグ平面を表す。実質的に互いに平行な平面は、体積ホログラムのブラッグ平面を順番に形成する。平面の配置は、上述したように、例えば、後述する特別なイメージプロセスで実施され、光学作用エレメントは、特別な体積ホログラムとして実施される。
【0022】
本発明に従うセキュリティドキュメントに配置される透明または半透明層は、最適なデザインの体積ホログラムにより、区別されるのが好ましい。その厚さは、体積ホログラムの形成に関する光学的法則により、下方向において限定される。従って、透明層は、使用中に屈曲負荷を受けるセキュリティドキュメント、特に例えば紙幣の場合、にも使用可能である。体積ホログラムが透明層に備えられることにより、透明な窓において不透明な反射イメージを生じる予想外の光学効果が、特に容易に記憶される。
【0023】
従来の回折構造(レインボーホログラム)と比較して、本発明に従うセキュリティドキュメントに備えられた体積ホログラムにより、コントラストのレベルが高く、その中に位相情報のアイテムを保存することが可能である。このようにして、相対的に狭い観察角度でのみ知覚される、実質的に単一カラーの明るいイメージを生じることができる。
【0024】
透明層における体積ホログラムは、互いに入れ子状態であり、イメージ情報のアイテムを複数含む複数の非対称表面構造またはキノフォルム構造を備えた形成領域が存在する、マスターの光学的接触コピーにより作られる。そのような構造の標的選択により、光学作用エレメントは、ブラッグ平面が少なくとも2つのサブ領域において後述するように配置され、入射光モードにおいて、異なる観察角度で知覚されるイメージ情報の2つの異なるアイテムを生じるような構造である。それらの構造に関する標的選択は、少なくとも2つのサブ領域が、透過光モードにおいて、異なる観察角度で知覚されるイメージ情報の2つの異なるアイテムを生じるように、光学作用エレメントを形成しても良い。
【0025】
第一のサブ領域に形成された平面、および、第二のサブ領域に形成された平面は、層面に対し、平行でも垂直でもなく延び、第一のサブ領域の平面は、第二のサブ領域の平面に対して平行ではなく配置されるように、構造が選択されるのが好ましい。
【0026】
本発明の好ましい実施形態では、サブ領域は、互いに入れ子状態である。入れ子状態とは、第一のサブ領域が、層平面において、互いに並置関係で配置される多数の第一の個別領域を含み、第二のサブ領域が、層平面において、互いに並置関係で配置される多数の第二の個別領域を含み、第一および第二の個別領域が、層平面において、互いに並置関係の配置で配置されるような構造である。
【0027】
多数の個別領域を含む第一のサブ領域は、イメージ情報の第一のアイテムを備えた第一の体積ホログラムを有し、多数の個別領域を含む第二のサブ領域は、イメージ情報の第二のアイテムを備えた第二の体積ホログラムを有することができる。第一のサブ領域の個別の領域と、第二のサブ領域の個別の領域との入れ子関係により、第一のサブ領域は、第一の照明状況において、第一の体積ホログラムイメージを生じ、第二の照明状況において、第二のサブ領域は、第二の体積ホログラムイメージを生じる。例として、セキュリティドキュメントの観察者が、入射光モードにおいて、第一のサブ領域により生じる第一の体積ホログラムイメージを見ており、観察者がセキュリティドキュメントを傾けると、第二のサブ領域により生じる第二の体積ホログラムイメージを見る。
【0028】
領域は、複数の方法で互いに入れ子状態とすることができる。従って、例えば、これは、互いに入れ子状態である、例えばラインラスター等のラスターを含む。この場合、一方は、例えば文字情報のアイテムを再現し、他方は、イメージ情報のアイテムを再現することが可能である。しかしながら、一方の領域が情報のアイテムを提供し、他方の領域が情報が顕著となる周辺領域を形成しても良い。情報は、ある観察位置で、暗い背景に対して明るく見え、他の観察位置では、明るい背景に対して暗く見える、例えばロゴであっても良い。従って、体積ホログラムが傾けられまたは動かされた場合、正の描写から負の描写への変化、またはその逆が生じても良い。さらに、領域は、ある領域が他の領域のエッジを形成しても良い。従って、ある領域が、例えば英数字の周囲のエッジを再現し、他の領域が英数字自体を再現することが可能である。
【0029】
本発明の好ましい構造では、少なくとも2つのイメージ情報のアイテムを備えたサブ領域は、300μm以下、好ましくは20μm〜50μmのラスター幅を備えたラスターで配置される。実質的な好ましい条件下では、すなわち、良好な照明で、高いコントラストのモチーフまたはパターンを観察する場合、人の目の解像度能力の限界は300μmである。この解像度能力は、低いコントラストおよび不利な照明によって3〜5倍に悪化し得る。従って、20μm〜50μmのラスター幅は、人の目では解像できず、イメージ情報のラスターは知覚されず、個々の可視領域は均一の領域として見える。
【0030】
さらに、ラスターはストライプラスターであっても良い。ストライプラスターは、特に実施が容易である。しかしながら、特に、2つ以上の異なるイメージ情報のアイテムが互いに入れ子状態である場合、他のラスターを提供しても良い。例えば、ピクセルラスターを含んでも良く、この場合、マスターは電子ビーム技術で作られ得る。ラスターは、イメージ情報のアイテムが体積ホログラムにおいて互いに分離し、体積ホログラムにおけるイメージ情報のアイテムの重畳により、輝度および/または鮮明度の損失がないことを保証する。
【0031】
光学作用エレメントは、例えばラスターを用いるなど、互いに厳密に区切られる入れ子状態の領域で形成される代わりに、例えばギロシェ模様を用いるなど、連続領域により形成することも可能である。ギロシェ模様のリファレンスは、曲がって互いに重なる多数の細かいラインを含む装飾を表すために用いられ、この場合、個々のラインは、縄状の、大抵は非対称の閉楕円または円環経路を形成する。例えば、透明層が交互に傾けられた場合に、観察者にギロシェ模様が回転して見える体積ホログラムを形成することができる。これは、複数のアジマスのギロシェ模様の各ラインにより、達成可能である。ギロシェホログラムを形成するためのマスターは、この場合、ブレーズ格子の形態であり、ギロシェ模様の各フェーズは、−45〜+45度の複数のアジマスを有する。
【0032】
さらに、第一のサブ領域の平面が、層面と45度以上90度以下の角度をなしても良い。第一のサブ領域の平面は、層面に対して、ほぼ垂直に、特に少なくとも80度で、90度以下の角度で配置されるのが好ましい。このようにして、セキュリティドキュメントの裏側にほぼ垂直に入射する光は、窓または透明な領域を通じて、第一のサブ領域の平面で回折される。このようにして、第一のサブ領域の平面に保存されたイメージ情報が、透過光モードで観察者に知覚される。さらに、第二のサブ領域の平面は、層面と最大30度をなしても良い。この場合、2つのサブ領域は、第一のサブ領域の平面が透過(透過光モード)で光学効果を生じ、第二のサブ領域の平面が反射(入射光モード)で光学効果を生じるように協働する。
【0033】
特に、第一のサブ領域において、ブラッグ平面が層面に対してほぼ垂直な透過体積ホログラムが存在しても良い。セキュリティエレメントの裏側で、層面に対してほぼ垂直に入射し、透過体積ホログラムを通過する光は、層面の法線から離れて回折される。さらに、第二のサブ領域において、セキュリティエレメントの表側に入射した光が反射される、反射体積ホログラムが存在しても良い。
【0034】
例として、透過体積ホログラムは、例えば、四角形等の、イメージ情報の第一のアイテムを含み、反射体積ホログラムは、例えば星等の、イメージ情報の第二のアイテムを含む。光が、セキュリティドキュメントの表側に入射し、セキュリティドキュメントの表側が観察される場合、反射体積ホログラムのイメージ情報、すなわち星が、見えるようになる。他方、光が、セキュリティドキュメントの裏側に入射し、セキュリティドキュメントの表側が観察される場合、光は窓を通じて透過体積ホログラムを照明し、透過体積ホログラムのイメージ情報、すなわち四角形が、見えるようになる。
【0035】
透明層は、感光層の形態で、好ましくは5μm〜30μmの厚さであることが好ましい。
【0036】
透明層の最適な厚さは、とりわけ使用される材料に依存し、試験により確認され得る。数100nmの領域で一般的な外形深さを有する回折レリーフ構造に比べ、透明層は、相対的に厚さが大きい。この理由は、体積ホログラムの場合、イメージ情報が、回折レリ−フ構造の場合のような、単一の界面(回折表面レリーフ)ではなく、体積に保存されることによる。
【0037】
本発明の好ましい構造では、透明層は、キャリア基質の不透明な領域、好ましくは、キャリア基質の暗色領域に、部分的に配置される。少なくとも第一および少なくとも第二のサブ領域は、キャリア基質の不透明な領域に、少なくとも部分的に配置されても良い。また、少なくとも第一および少なくとも第二のサブ領域は、それぞれ、キャリア基質の不透明な領域および透明な領域に配置されても良い。この場合、第一の各サブ領域におけるイメージ情報は同一であり、第二の各サブ領域におけるイメージ情報は同一である。体積ホログラムは、各第一のおよび各第二のサブ領域に配置されるのが好ましい。
【0038】
暗い背景に対する体積ホログラムは、非常に鮮明に見える。知覚されるカラー効果および体積ホログラムの輝度により、体積ホログラムは、各背景に依存して、暗いまたは明るい表面を提供する、すなわち、個々の輝度に依存して、可視フィルム領域が代わる、公知のフィルム窓のような機能を含むことが可能である。セキュリティドキュメントの表側が観察される場合、観察者は、セキュリティドキュメントの透明な領域の後ろに、暗く明るい対象を交互に配置することができる。背景の個々の輝度に依存して、知覚されるカラー効果と体積ホログラムの輝度が変化する。この場合、不透明な領域における体積ホログラムが、リファレンスとして機能する。不透明な領域における体積ホログラムの背景が暗い場合、例えば、暗色インクを用いて印刷されている場合、観察者は、不透明な領域における体積ホログラムを、透明な領域における体積ホログラムよりも、よりカラフルで明るいものとして知覚する。
【0039】
透明層の下側、例えば、体積ホログラムが配置された透明層の下側は、暗いインクで印刷可能である。この印刷は、窓領域に小さい印刷領域を備え、例えばキャリア基質の不透明な領域における全表面領域にわたり印刷を行った、部分的な印刷形態であることが好ましい。また、透明層は、キャリア基質の不透明な領域に暗い接着剤で適用可能である。
【0040】
本発明に従うセキュリティドキュメントに配置される透明層のためのキャリア基質は、例えば、窓を備えた紙幣、窓を備えたポリマー紙幣、または窓を備えたポリマーカードであっても良い。本発明に従う多層体に配置され、透明層により形成される光学エレメントは、以下の方法の一つで、キャリア基質に配置可能である。光学エレメントは、紙幣にストライプまたは層部位として配置される積層フィルム内に導入可能であり、光学エレメントの少なくとも一部は、紙幣の窓の領域に配置される。例えば光学エレメントの隣のそのような積層フィルムは、キャリアフィルム(例えば厚さ12−60μmのPETフィルム)、および、積層フィルムを紙幣に固定する接着層を有する(PET=ポリエチレンテレフタレイト)。
【0041】
また、光学エレメントは、転送フィルム、特に熱エンボス加工フィルムの転送層部位にも導入可能であり、ストライプまたはパッチの形態で紙幣に適用され、光学エレメントの少なくとも一部は、紙幣の窓の領域に配置される。また、光学エレメントは、例えば熱エンボス加工により、ポリマー紙幣の表面にも適用可能である。さらに、光学エレメントは、例えば熱エンボス加工により、ポリマー紙幣が構成されるプラスティック層の一つの表面にも適用可能であり、光学エレメントは、そのプラスティック層が取り付けられた後、キャリア基質中に埋め込まれる。また、光学エレメントは、ポリマーカード、例えばIDカード(ID=身分証明)の表面にも適用可能である。PCI(=ポリカーボネイトインレイ)を備えたIDカードの場合、光学エレメントは、完成カード基質の低層として存在する層に適用されても良く、言い換えれば、光学エレメントは、IDカードの分野では、ポリカーボネイトに埋め込まれても良い。
【0042】
さらに、透明層は、フィルム構造の一部の形態であっても良い。フィルム構造は、以下のグループから一つ以上のエレメントを有する:回折OVD、好ましくは回折レリーフ構造、カラーシフト光学エレメント、偏向光学エレメント、回折または屈折レンズ、回折または屈折マイクロレンズの配置、カラーフィルム、電磁信号の送信および/または受信用アンテナ、太陽電池、ディスプレイまたは電子回路。電子回路は、例えば、印刷、拡散、注入またはスプレーにより、溶液から適用される、一つ以上の電気機能層を有する電子回路を含むことが好ましい。この電気機能層は、電気的な半導体層、電気的絶縁層、および/または電気的な導電層であることが好ましい。ここで、電気的な半導体層の半導体として、有機半導体が用いられるのが好ましい。さらに、電子回路は、一つ以上の有機電界効果トランジスタを含み、例えば、フィルム構造のアンテナと共に、RFIDタグを形成するのが好ましい。この場合、電子回路の層は、印刷、蒸着、熱エンボス加工および積層により、フィルム構造の他の層に適用されるのが好ましい。
【0043】
フィルム構造に配置されるエレメントは、少なくとも第一および第二のサブ領域をカバーしない、すなわち、層面におけるエレメントは、少なくとも第一および第二のサブ領域の隣に配置されても良い。また、層構造に配置されるエレメントは、少なくとも第一および第二のサブ領域を少なくとも部分的にカバーし、例えばレンズおよび体積ホログラムの協働が、付加的な光学効果を生じることも可能である。
【0044】
さらなる好ましい構造では、透明層は、ストライプまたは“パッチ”形態でキャリア基質に適用される、積層フィルムおよび/または転写層部位の一部の形態である。“パッチ”という表現は、“ストライプ”と比べ、横方向における範囲が縦方向における範囲と著しく異ならない、規則的または不規則的な外形の平面フィルムまたは層エレメントを表すために用いられる。
【0045】
さらなる好ましい構造では、透明層は、フォトポリマー層の形態である。フォトポリマーは、高エネルギー光、特にUV光の効果の下で、交差結合、すなわち重合し、その結果屈折率を変える樹脂である(UV=紫外)。続いて、透明層は、イメージ情報のアイテムを含む、第一および第二のサブ領域の製造に重要な、感光層を形成する。体積ホログラムを作るために、光への集中的な露光により、屈折率が変化する、例えばDuPont製のOmniDex(登録商標)等、特別なフォトポリマーが提供される。
【0046】
本発明は、以下、添付図面を参照しつつ、複数の実施形態により、例示的に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1a】本発明に従うセキュリティドキュメントの第一の利用例を示す。
【図1b】本発明に従うセキュリティドキュメントの第一の利用例を示す。
【図2a】本発明に従うセキュリティドキュメントの第二の利用例を示す。
【図2b】本発明に従うセキュリティドキュメントの第二の利用例を示す。
【図3】体積ホログラムの原理を示す図を示す。
【図4a】サブ領域の4つの可能な配置の平面図を示す。
【図4b】サブ領域の4つの可能な配置の平面図を示す。
【図4c】サブ領域の4つの可能な配置の平面図を示す。
【図4d】サブ領域の4つの可能な配置の平面図を示す。
【図5a】第一の透明層の製品の構造の断面図を示す。
【図5b】第一の透明層の機能の断面図を示す。
【図5c】第一の透明層の入れ子状態のサブ領域の配置例を示す。
【図6a】第二の透明層の製品の構造の断面図を示す。
【図6b】第二の透明層の機能の断面図を示す。
【図6c】第一の透明層の入れ子状態のサブ領域の配置例を示す。
【図7a】本発明に従う第三のセキュリティドキュメントの断面図を示す。
【図7b】表側から観察する場合の図7aに示すセキュリティドキュメントを表側から観察する場合の機能の原理を示す図を示す。
【図7c】裏側から観察する場合の図7aに示すセキュリティドキュメントを表側から観察する場合の機能の原理を示す図を示す。
【図8】本発明に従うセキュリティドキュメントの第三の利用例を示す。
【図9a】本発明に従うセキュリティドキュメントの入射光および反射光モードにおける機能の原理を示す図を示す。
【図9b】本発明に従うセキュリティドキュメントの入射光および反射光モードにおける機能の原理を示す図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1aおよび1bは、透明層12を備えたセキュリティドキュメント1のそれぞれ正面図および背面図を示す。図1aおよび1bの例では、セキュリティドキュメント1は、例えば紙幣や小切手等の有価ドキュメントである。また、セキュリティドキュメント1は、例えば身分証明カードやパス等の、身分証明ドキュメントを形成することも可能である。また、セキュリティドキュメント1は、例えば、製品保証ラベル、または、透明なCDケース上の、独創性/信憑性のドキュメント用のステッカー等であることも可能である。
【0049】
セキュリティドキュメント1は、透明層12が窓15内に配置される、フレキシブルなキャリア基質11を含んでいる。キャリア基質11は、印刷が施され、例えば、透かしやセキュリティスレッド等のさらなるセキュリティ特性が導入された、紙材料のキャリア基質11であるのが好ましい。例えば、IDカードまたはクレジットカードの場合等の、フレキシブルでないキャリア基質11を提供することも可能である。
【0050】
セキュリティドキュメント1は、プラスティックフィルム、または、一つ以上の紙およびプラスティックの層を含む積層品であることも可能である。
【0051】
ここで、ドキュメントが例えば紙幣の場合、キャリア基質11の厚さは、0.06mm〜0.15mmの範囲である。窓15は、例えばスタンピングまたは切削により、キャリア基質11に導入され、透明層12の適用、例えば全領域にわたる透明層の貼付により、再び閉じられる。従って、セキュリティドキュメント1は、キャリア基質11の窓15に少なくとも部分的に配置された透明層12を有する。
【0052】
しかしながら、透明または部分的に透明な材料がキャリア基質11の材料として使用され、キャリア基質が窓15の領域に残るようにすることもできる。これは、例えば、キャリア基質11が、窓15の領域において、混濁層または印刷を備えない、透明なプラスティックフィルムを有するような場合である。さらに、窓15が製紙法で形成され、透明層12が幅広いセキュリティスレッドのキャリア基質11に導入されることも可能である。
【0053】
さらに、透明層またはフィルムエレメントがまずキャリア基質11に適用され、次にプリントのみが行われるようにすることも可能である。この場合、透明層またはフィルムエレメントは、裏側から印刷されるのが好ましい。
【0054】
ここで、“一般的な”印刷材料、または、光学的可変色素を備えた印刷材料の双方を使用することができる。
【0055】
セキュリティドキュメント1の製造プロセスでは、透明層12は、例えば、キャリア基質の製造中に、窓15の切削後、空白の、印刷されていないキャリア基質に適用することができる。また、透明層12は、印刷終了状態、例えば、オフセット印刷作業後、または、続く凹版印刷作業の前の、キャリア基質に適用することもできる。
【0056】
図1aおよび1bに示すように、セキュリティドキュメント1が表側から観察される場合、楓の葉13が透明層12の上に見える。セキュリティドキュメント1が裏側から観察される場合、十字14が透明層12の上に見える。
【0057】
図2aおよび2bは、上述したセキュリティドキュメントの第2の利用例を示す。
【0058】
図2aは、第1の製造ステップ後に窓形態の開口104を有するフレキシブルなキャリア基質101を含む、セキュリティドキュメント10を示す。図例において、セキュリティドキュメント10は紙幣である。第2の製造ステップでは、セキュリティストライプ103がセキュリティドキュメント10に適用され、ストライプ103は、窓形態の開口104をカバーする。上部では、セキュリティストライプ103は、可変屈折率を備え、開口104に配置される、2つのサブ領域102を有する。セキュリティストライプ103は、透明層30、および、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、またはポリカーボネート(PC)等の透明キャリア層を有する多層体を含み、厚さは5〜20μmの範囲である。セキュリティストライプ103は、オフセット、凹版、またはスクリーン印刷プロセスを部分的に利用した印刷により、適用可能であり、または、それらのプロセスの一つにより印刷された基質に配置可能である。
【0059】
図2bは、窓形態の開口104の詳細図を示す。開口104は、蝶の形態の輪郭を含む。開口104は、透明層30を含む積層フィルムで形成されたセキュリティストライプ103によりカバーされている。窓開口104の領域において、透明層30は、透明層30に配置された体積ホログラムの形態の、値の表示(数“100”)102を有する。窓開口104の残りの領域105は、透明なフィルム領域の形態である。図2bでは、残りの領域105を通じた光景が、セキュリティドキュメント10の背後に配置された文字の描写で示されている。
【0060】
図3は、好ましくは、ほぼ平行な平面の表面30a、30bを備え、層厚32のフォトポリマー層を含む、透明層30の垂直断面図である。層厚32は、一般的に、5μm〜30μmの範囲である。屈折率の周期的変調が、層30の層平面33に対して傾斜して伸びる明暗変化により示され、層平面は、層30により規定され、層30の2つの表面30aおよび30bにほぼ平行に伸びる。周期的に配置された多数のノードが、屈折率変化により、透明層30の中に形成される。全体として入射光の回折を引き起こし、光学作用エレメントを提供するこれらのノードは、互いに平行にそれぞれ延びる平面31に配置される。ノードは、透明層の残りの領域の屈折率nとは値δ異なる屈折率n´を含む:n´=n+δ。従って、透明層30は、位置依存屈折率n´=n+δを有し、それにより、透明層30において3次元屈折率パターンが保存される。
【0061】
3次元屈折率パターンは、ホログラフ干渉配置、例えば、(光源の)コヒーレントな光ビームが複製層の回折レリーフ構造で偏向する構造、により形成可能である。体積ホログラムにおける書き込みのためにフォトポリマー層30に入射したレーザービームは、まず、フォトポリマー層30で屈折し、続いて、複製層の格子構造における回折により、反射層で偏向する。偏向ビームは、入射光により体現される参照波と干渉する物体波を体現し、この場合、フォトポリマー層30において局所的重合を誘発する。重合の結果、フォトポリマー層30の屈折率は、局所的に変化する。屈折率変化は、水晶のX線解析に関連して既述された、いわゆるブラッグ平面31に位置する。
【0062】
このような配置の種々の構造が、以降記述される。
【0063】
体積ホログラムを形成するため、本発明に従うセキュリティドキュメントにおいて提供され得るように、感光層が、マスターの表側に直接、または、透明な光学媒体の介在物に接するようになるのが好ましい。マスターにおいて、互いに入れ子となり、少なくとも二つの異なる表面構造を有し、イメージ情報の少なくとも2つの異なるアイテムを含む領域が形成される。表面構造は、例えば、特有の構造により、感光層(=透明層)において上述した光学エレメントの形成に適した、2つの非対称レリーフ構造の形態である。
【0064】
ここで、非対称レリーフ構造は、入射光を、透明層により規定される層面に対して反射/回折光ビームがある角度位置となるように決定され、また平面31の所望の向きに垂直な、所与の角度位置で反射または回折するような構造である。従って、2つの非対称レリーフ構造が入射光ビームを反射/回折する角度位置は、一方では異なり、さらにコヒーレントな光ビームが非対称レリーフ構造で放射状に広がる角度位置に依存する。平面31の所望の向きと、予め定めたホログラム露光配置の構造から開始することで、非対称レリーフ構造について選択されるべき偏向角度は、簡単な計算により決定可能である。ここで、偏向角度という表現は、非対称レリーフ構造が、屈折反射または回折により、垂直に入射する光ビームを、表面法線から逸らす角度を表すために用いられる。ここで、非対称レリーフ構造として、後述するブレーズ格子が用いられるのが好ましい。さらに、対応する表面領域に、同様の偏向作用を示す2つの異なるキノフォルムを提供することも可能である。
【0065】
これらの非対称レリーフ構造の偏向角度は、10°〜30°の範囲であるのが好ましい。感光層およびマスターは、コヒーレントな光ビームで露光され、感光層に導入され干渉により形成された体積ホログラムは、感光層の硬化により固定される。
【0066】
感光層およびマスターは、例えば、レーザーにより発生された、複数の波長および/または複数の方向のコヒーレントな光ビームで露光可能である。体積ホログラムに保存されたイメージ情報のアイテムは、異なる色で出現し、および/または異なる観察角度で視認可能である。
【0067】
部分的なパターンの表面構造は、イメージ情報のアイテムを含まない。イメージ情報を含まないマスターの領域は、例えば、背景構造として利用可能である。このような背景構造は、例えば、逸れた光および/または煩わしい反射が低減されるような構造とすることが可能である。これは、イメージ情報を含まないマスターの領域が、モスアイ構造、および/または、ミラー、および/または、マット構造、および/または、散乱格子の形態であることで達成可能である。また、この効果に対して、非反射構造、または、この目的のために実質的に特に最適化された構造を用いることも可能である。
【0068】
さらに有利な構造は、少なくとも2つの表面構造が、互いに関連して回転した状態の非対称レリーフ構造の形態である。例えば、第一の非対称表面構造は、ほぼ垂直な側面と、隣接し右に向かって上昇する側面とを有する。第二の非対称表面構造は、上昇する側面が左に向かうこと以外は、同様の構造であり、すなわち、第一の非対称表面構造に関し、180度回転されている。
【0069】
露光後にそれらの非対称レリーフ構造により感光層に導入される、ノード形態において不均一な屈折率は、マスターの異なる表面構造に関連する多数のサブ領域において、対応する複数の配向を含む。例えば、第一のサブ領域において、平面は第一の方向に配向され、第二のサブ領域において、隣接する平面は、180度の回転により第一の方向から与えられる第二の方向に配向される。
【0070】
表面構造のそのような配向は、セキュリティドキュメントを単に傾けるだけで、イメージ情報の異なるアイテムが視認可能となるので、特に有利である。上述した表面構造は、アジマス変化をも含み、感光層に形成された光学作用構造が、感光層を左から右、またはその逆で傾けられた場合に、イメージの変化を生じる。
【0071】
非対称表面構造は、例えば、100ライン/mm〜150ライン/mmの空間周波数の鋸波形状の表面を備えた、反射表面を備えたブレーズ格子を含んでも良い。
【0072】
さらに、ブレーズ格子は、格子深度が1〜2μmであっても良い。前述した寸法のブレーズ格子は、例えば加熱スタンプローラーによる熱可塑性物質成型により、または、UV硬化ラッカーの露光によりフォトメカニカルに形成可能である。一般に、マスターの格子は、例えば、格子周期が約1000nmで、格子深度が100〜500nmで、異なるアジマス配向のブレーズ格子、キノフォルム、非対称アクロマート格子、マット構造、自由造形レンズを形成する表面レリーフ構造などの、多数の異なる格子のモザイク状の並置を含むことができる。
【0073】
さらに、ラスターは、ストライプラスターであっても良い。ストライプラスターは、特に実現が容易である。しかしながら、特に2つ以上のイメージ情報の異なるアイテムが互いに入れ子状態となっている場合、他のラスターを提供しても良い。マスターが電子ビーム技術で形成可能な場合、例えば、ピクセルラスターを含んでも良い。ラスターは、体積ホログラムにおいて、イメージ情報のアイテムが互いに分離され、体積ホログラムにおけるイメージ情報のアイテムの重畳に起因して、輝度および/または鮮明度の損失がないことを保証する。
【0074】
フォトポリマー層30に保存された体積ホログラムを再現するために、図3に示すように、フォトポリマー層30は、白色光300で照明される。その結果、方向310において、体積ホログラムの書き込みで用いられた再現波長で、体積ホログラムが再現される。再現波長は、とりわけ、レーザー波長の選択、格子外形の選択、およびフォトポリマーの染料の選択により、様々な方法で選択可能である。
【0075】
さらに、レーザーの入射角度は、マスターの格子に関し、型押し格子により決定されるカラーの再現に影響を有することが可能である。
【0076】
ホログラムの波長をシフトするために、障壁層の適用前に、ホログラムを縮小または拡大させることが可能である。ホログラムのサイズの変化は、例えば、固定作業前のホログラムの過熱または冷却、または化学的方法により達成される。製造プロセスにより、比較的小さい屈折率偏差δが可能である。それでもなお、高い効果の光学エレメントを達成するために、変調された屈折率を備えた多数の平面31と、その結果比較的大きい層圧32が、透明層30において要求される。“ブラッグ格子”という表現は、以降、屈折率が変調された平面31の配置等に対して用いられる。
【0077】
既に前述したように、フォトポリマー層は、露光による屈折率の局所的変化の特有の特性を有するDuPontのOmniDex706フォトポリマーを含むことが可能である。液体物質の形態で提供され、例えばUV光の作用で重合し硬化するフォトポリマーも知られている。フォトポリマーは、注入により層の形態で適用され、弱いUV光の照射により事前に硬化され、および/または、UV光作用または熱処理による体積ホログラムの形成後に硬化されても良い。
【0078】
図4a〜4dは、セキュリティドキュメントの窓状開口における上述したサブ領域の4つの可能な配置を平面図として示す。図示した配置は、2つの異なるブラッグ格子をそれぞれ含む。
【0079】
図4aは、水平範囲40aおよび垂直範囲40bを含む配置を示す。一般に、水平範囲40aは、20mmの値であり、垂直範囲40bは、15mmの値である。この配置は、第一のブラッグ格子41を備えた領域、第二のブラッグ格子42を備えた領域、およびブラッグ格子を備えない領域43を含む。標準的な状況、すなわち、表からの入射光モードでの通常の観察状況では、観察者は、第一のブラッグ格子41を備えた領域により生じる、明るい赤の数値“806”の表示を見る。配置が180度回転され、裏から観察される場合、観察者は、緑の値の表示の輪郭と、4つのコーナーにおいて、第二のブラッグ格子42を備えた領域により生じる、多数の小さな緑の楓の葉を知覚する。配置が表から観察され、標準的な状況から傾斜された場合、値の表示の明るい緑の輪郭と、楓の葉が出現する。
【0080】
図4bは、第一のブラッグ格子44を備えた領域、第二のブラッグ格子45を備えた領域、およびブラッグ格子を備えない領域43を含む、第二の配置を示す。標準的な状況、すなわち、表からの入射光モードでの通常の観察状況では、観察者は、一つの明るい緑の楓の葉、および、2つの小さな緑の楓の葉を左上コーナーと対角線上の右下コーナーとに見る。配置が180度回転され、裏から観察される場合、観察者は、明るい緑の十字と、右上および左下コーナーに小さい緑の十字を知覚する。中央の光学エレメントである楓の葉と十字は、互いに入れ子状態のストライプラスターの形態である。互いに並置関係で配置されたストライプは、2つの光学モチーフのそれぞれに交互に関連する。各ストライプは、幅100μmである。従って、ストライプの繰り返し周期、すなわち、同じモチーフ(楓または十字)に関連する2つのストライプの間隔は、200μmである。理想的な繰り返し周期、すなわち、理想的なラスター間隔は、多数のファクター、特に、フォトポリマーの厚さおよび描写の複雑さに依存する。ラスター間隔は、できるだけ小さく維持される、すなわち、最大回折効果が維持されるように小さく選択されるのが好ましい。
【0081】
配置が表から観察され、標準的な状況から傾斜された場合、明るい緑の十字と、右上コーナーと左下コーナーに2つの小さい緑のクロスが出現する。
【0082】
一般的に、互いに入れ子状態のラスターイメージのストライプは、25〜150μmの幅である。従って、ストライプの一般的な繰り返し周期、すなわち、同じモチーフに関連する2つのストライプの間隔は、50〜300μmである。
【0083】
図4cは、第一のブラッグ格子46を備えた領域、第二のブラッグ格子47を備えた領域、およびブラッグ格子を備えない領域43を含む、第三の配置を示す。標準的な状況、すなわち、表からの入射光モードでの通常の観察状況では、観察者は、葉の左半分が領域として見え、葉の右半分が輪郭として見える、一つの明るい赤い楓の葉を見る。配置が、楓の葉の対称軸に沿って葉の面に配置される軸について180度回転され、裏から観察される場合、観察者は、十字の左半分が領域として見え、十字の右半分が輪郭として見える、明るい緑の十字を知覚する。配置が表から観察され、標準的な状況から傾斜された場合、右半分が領域として見え、左半分が輪郭として見える、明るい緑の十字が出現する。
【0084】
図4dは、第一のブラッグ格子48および第二のブラッグ格子49を備えた領域を含む第四の配置を示す。標準的な状況、すなわち、表から通常の観察状況では、観察者は、明るい緑の十字を見る。配置が180度回転され、裏から観察される場合、観察者は、赤い背景十字を知覚する。この効果は、KINEGRAM(登録商標)の回折透かしに類似し得る。
【0085】
図5a〜cは、光学エレメントの製品と、不透明な表面の前面に配置された機能を示す。上述した透明層が不透明な基質の前面に配置される場合、2つの異なるイメージの変化は一般的に基質の往復運動において生じる。
【0086】
図5aは、光学エレメントの製品を示す。図5aは、下方側に透明なフォトポリマー層52を担持する透明なキャリアフィルム50を示す。透明なキャリアフィルム50は、例えばPETからなり、厚さが12〜60μmである。透明なフォトポリマー層52は、例えばOmniDex(登録商標)706からなり、厚さが15〜30μmである。フォトポリマー層52は、印刷または拡散により、キャリアフィルム50に適用されるのが好ましい。
【0087】
表面レリーフの形態の回折格子53が、フォトポリマー層52の下方に配置される。回折格子53は、複数のレリーフ構造を備えた領域、すなわち、入射光を第一の偏向角度で偏向する第一のレリーフ構造を備えた53aと、入射光を異なる第二の偏向角度で偏向する第二のレリーフ構造を備えた53bとを有する。前に定義したように、偏向角度という表現は、フォトポリマー層52の層面に対して垂直関係で入射する光ビームが、対応するレリーフ構造により、回折および/または反射によって偏向される角度を表すために用いられる。ここで、偏向角度は、ホログラフ露光構造に依存して選択され、領域53aおよび53bの露光において、平面31が、図5aに示すように、互いに関連し、フォトポリマー層52により規定される層面に対して異なる角度位置で形成される(前記記述も参照方)。この場合、領域53aおよび53bは、一方では、ストライプラスター形態で交互に備えられる。さらに、領域53aおよび53bは、ストライプラスターに関連する利用可能な領域に含まれる全表面領域にわたっては備えられず、事前に決定したイメージ情報のアイテムにそれぞれ関連した部分にのみ備えられる。従って、図5cにも示すように、領域53aは、領域内で、数“810”の形態のイメージ情報を形成する。従って、図5cにも示すように、領域53bは、領域内で、葉の形態のイメージ情報を形成する。
【0088】
回折格子53の平面、すなわち、水平方向においては、レリーフ構造の構造は、一般的に0.5〜10μmの範囲の大きさ(格子幅)であり、垂直方向においては、一般的に50nm〜10μmの範囲の大きさ(格子深度、構造深度)である。
【0089】
フォトポリマー層52において異なって配置された光学効果面を達成するために、レリーフ構造の大きさは、通常変化し、および/または外形深度および/または空間周波数は、例えば線形で連続増加しても良い。
【0090】
キャリアフィルム50にほぼ垂直に入射する、例えば波長632.8nmのコヒーレントな光ビーム500は、キャリアフィルム50およびフォトポリマー層52を通過し、回折格子53で回折誘導偏向される。第一のレリーフ構造を備える領域53aにおいて偏向される光ビームの一部501は、フォトポリマー層52において、光ビーム500と干渉する。第一のレリーフ構造を備える領域53bにおいて偏向される光ビームの一部502も、フォトポリマー層52において、光ビーム500と干渉する。図5aに示すような、フォトポリマー層52に導入され、ブラッグ平面が互いに関連して異なる角度位置で配置される2つの異なる体積ホログラムのブラッグ平面は、フォトポリマー層52の硬化、例えばUV放射の作用により、固定される。図示例において、フォトポリマー層52は、上述したイメージプロセスにおいて、一方が領域53aに備えられるレリーフ構造により生じ、他方が領域53bに備えられるレリーフ構造により生じる、2つの異なる互いに入れ子状態の光学エレメントを有する。各光学エレメントは、図5aに示される角度位置において、実質的に互いに平行関係で備えられる、体積ホログラムのブラッグ平面を含む。
【0091】
図5bは、図5aを参照して記述される光学エレメントの機能を示す。図5bは、接着層57により例えば紙幣等のキャリア基質58に適用された、透明なフォトポリマー層52を示す。通常、障壁層が、硬化後のフォトポリマー層52の下方面に適用される。“下方面”は、接着層57に対向するフォトポリマー層52の表面を表す。この障壁層は、フォトポリマー層52のブラッグ格子の収縮または膨張を生じる可能性のある化学物質の拡散を防ぐ。障壁層は、一般に、UVラッカーに基づいて形成される。障壁層の適用後、印刷層、キャリア基質への接着のための接着層、金属層等が、フォトポリマー層52に適用される。
【0092】
フォトポリマー層52は、第一の領域52aに配置された第一の光学エレメントが表面範囲において数字“810”をイメージ情報のアイテムとして含み、第二の領域52bに配置された第二の光学エレメントが表面範囲において葉をイメージ情報のアイテムとして含む、2つの互いに入れ子状態の光学エレメントを有する。光源54(白熱ランプ、蛍光管、太陽等)からの光ビーム540は、フォトポリマー層52に入射し、フォトポリマー層52の回折構造により偏向され、保存されたイメージ情報のアイテムを再現する。光ビーム540の第一の偏向成分511は、第一の観察位置55aにおいて、観察者の目を通過し、観察者は数字“810”の体積ホログラムイメージを知覚する。光ビーム540の第二の偏向成分512は、第二の観察位置55bにおいて、観察者の眼目を通過し、観察者は葉の体積ホログラムイメージを知覚する。一般に、接着層57として、透明な接着剤が、特に窓領域において用いられることが好ましい。しかしながら、接着層57として、カラー接着剤を用いることも可能であることに留意されたい。
【0093】
図5cは、不透明な背景59に対する体積ホログラムイメージ情報を備えた透明なフォトポリマー層の配置図を示す。フォトポリマー層は、2つの入れ子状態のイメージ情報のアイテムからなるストライプラスターを有する。ラスターラインは、互いに約50μmの間隔であり、5mm〜20mmの長さである。それぞれの観察状況に応じて、すなわち、入射光と、フォトポリマー層の層面に対する観察角度に依存して、イメージ情報のアイテムの一方、または他方が見える。それぞれの光学エレメント、すなわちブラッグ平面からの光の波長は、光学エレメントの構造に依存し、すなわち、大きさと、特に平面の間隔に依存する。白色光、例えば太陽光の入射では、観察者は、双方の体積ホログラムである数字と葉を、所与のカラー、例えば緑で知覚する。2つのイメージ情報のアイテムの間の変化は、一般的な状況、すなわち、入射光モードで表から観察した場合、フォトポリマー層が交互に傾けられた際に、体積ホログラムが透明な窓か不透明な基質上に配置されているかにかかわりなく生じる。
【0094】
図6a〜6cは、不透明な表面の前面に配置された場合の、光学エレメントの製品とその機能を示す。図5a〜5cで述べたエレメントとの基本的な差異は、図6a〜6cのエレメントが入れ子状態のストライプではなく、領域的なイメージ情報のアイテムであることである。
【0095】
図6aは、光学エレメントの製品を示す。図6aは、下方に透明なフォトポリマー層62を担持する透明なキャリアフィルム60を示す。フォトポリマー層62の下方には、表面レリーフ形態の回折格子63が配置される。回折格子63は、異なるレリーフ構造の領域、すなわち、イメージ情報のアイテムとして葉を含む第一のレリーフ構造を備えた領域63aと、イメージ情報のアイテムとして十字を含む第二のレリーフ構造を備えた領域63bとを有する。さらに、回折格子63が格子構造を有せず、例えば鏡の形態である、領域63cが存在する。領域63に備えられるさらに好ましい実施形態は、それ等の領域においてレーザー光の反射を防ぎ、従って、ブラッグ格子平面の形成を防ぐ、モスアイ構造である。配置は、コヒーレントな光源からの光ビーム600で照明される。
【0096】
赤色レーザービームが、格子領域63aを照明する。赤色レーザービームは、キャリアフィルム60に10度の角度で入射し、キャリアフィルム60およびフォトポリマー層62を通過し、回折格子63の領域63aにおいて回折誘導偏向される。赤色レーザービームの偏向成分601は、フォトポリマー層62において、入射赤色レーザービームと干渉する。緑色レーザービームが、格子領域63bを照明する。緑色レーザービームは、キャリアフィルム60に−15度の角度で入射し、キャリアフィルム60およびフォトポリマー層62を通過し、回折格子63の領域63bにおいて回折誘導偏向される。緑色レーザービームの偏向成分602は、フォトポリマー層62において、入射緑色レーザービームと干渉する。
【0097】
フォトポリマー層62に導入された2つの異なる体積ホログラムのブラッグ平面は、フォトポリマー層62の硬化により固定される。図示例では、フォトポリマー層62は、2つの異なる領域的な光学エレメントを有している。各光学エレメントは、体積ホログラムのブラッグ平面を含んでいる。ブラッグ平面は、どのようなレーザー照明でも、領域63cには形成されない。
【0098】
図6bは、図6aで述べた光学エレメントの機能を示す。図6bは、接着層67により、例えば紙幣等のキャリア基質68に適用された、透明なフォトポリマー層62を示す。レーザービーム600の入射角度、2つの異なる領域63aおよび63bを備える回折格子、レーザーおよびフォトポリマー層62は、第一の観察状況(例えばキャリア基質68の傾斜角度に依存する)において、フォトポリマー層62の第一の領域62aにおいて赤い“5”が見え、第二の観察状況(例えばキャリア基質68の傾斜角度に依存する)において、フォトポリマー層62の第二の領域62bにおいて緑の“0”が見えるように選択される。光源54(白熱ランプ、太陽等)からの光ビーム540は、フォトポリマー層62に入射し、フォトポリマー層62の回折構造により偏向され、保存されたイメージ情報のアイテムを再現する。光ビーム540の第一の偏向成分611は、第一の観察位置55aにおいて、観察者の目を通過し、観察者は“5”の体積ホログラムイメージを知覚する。光ビーム540の第二の偏向成分612は、第二の観察位置55bにおいて、観察者の眼目を通過し、観察者は“0”の体積ホログラムイメージを知覚する。
【0099】
図6cは、不透明な背景69に対する体積ホログラムイメージ情報を備えた透明なフォトポリマー層の配置図を示す。フォトポリマー層は、互いに並置され、それぞれがイメージ情報のアイテムを有する、領域的な光学エレメントを有する。それぞれの観察状況に応じて、すなわち、入射光と、フォトポリマー層の層面に対する観察角度に依存して、イメージ情報のアイテムの一方、または他方が見える。例えば、キャリア基質が異なる角度で傾けられた場合、観察者は“5”または“0”を見る。それぞれの光学エレメント、すなわちブラッグ平面からの光の波長は、光学エレメントの構造に依存し、すなわち、平面の大きさ等に依存する。背景69は、その領域にブラッグ格子が形成されていないため、常に暗い状態である。
【0100】
図7aは、本発明に従うセキュリティドキュメント7の断面を示す。セキュリティドキュメント7は、多層構造であり、セキュリティドキュメント7の表から観察された場合、薄板710、フォトポリマー層720、接着層730、および、紙幣用紙750を順に有する。窓70が、紙幣用紙750におけるセキュリティドキュメント7のサブ領域に開口され、暗色印刷層740が、接着層730と紙幣用紙750との間の他の領域に配置されている。特徴的な光学効果が、暗い、例えば黒い印刷インクの背景により、達成可能である。例えば、紙幣は、フォトポリマー層720の適用前に、明るい背景に黒いシリアルナンバーを印刷可能である。
【0101】
2つの等しい光学エレメント71、72が、互いに並置関係で、フォトポリマー層720の層面に配置されており、一方のエレメント71は、窓70の領域に配置され、他方のエレメント72は、印刷層740の領域に配置されている。各光学エレメント71、72は、フォトポリマー層720に導入された体積ホログラムのブラッグ格子により形成されている。各光学エレメント71、72は、2つのサブ領域71a、71b、72a、72bを有する。サブ領域71aおよび72aは、ブラッグ平面の第一の配置を備えたブラッグ格子を有し、サブ領域71bおよび72bは、ブラッグ平面の第二の配置を備えたブラッグ格子を有する。
【0102】
図7bは、光540aが入射光モードでセキュリティドキュメント7の表側に入射する、図7aに図示されるセキュリティドキュメント7を示す。入射光モードの光ビーム540aは、サブ領域71bおよび72bのブラッグ格子により、方向76に偏向される。方向76における観察者55は、それらのサブ領域71bおよび72bのブラッグ格子により形成される、例えば葉の体積ホログラムイメージ等の、体積ホログラムを知覚する。入射光モードの光ビーム540aは、サブ領域71aおよび72aのブラッグ格子により、方向77に偏向される。その結果、観察者55は、それらのサブ領域71aおよび72aのブラッグ格子により形成される体積ホログラムを知覚しない。
【0103】
図7cは、180度回転後の、すなわち、光540aが入射光モードでセキュリティドキュメント7の裏側に入射する、図7aのセキュリティドキュメント7を示す。入射光モードの光ビーム540aは、サブ領域71aのブラッグ格子により、方向76に偏向される。方向76における観察者55は、サブ領域71abのブラッグ格子により形成される、例えば十字の体積ホログラムイメージ等の、体積ホログラムを知覚する。入射光モードの光ビーム540aは、サブ領域71bのブラッグ格子により、方向77に偏向される。その結果、観察者55は、サブ領域71bのブラッグ格子により形成される体積ホログラムを知覚しない。第二の光学エレメント72は、キャリア基質によりカバーされ、セキュリティドキュメント7の裏側からの照明では光学効果を有しない。
【0104】
図8は、キャリア基質80およびセキュリティエレメント81を有するセキュリティドキュメント8を示す。セキュリティエレメント81は、キャリア基質80の開口82の領域に部分的に配置される透明層と、付加的なOVD83とを有する。OVD83は、回折OVD、例えばKINEGRAM(登録商標)、カラーシフト特性、例えばOVI(光学可変インク)または液晶、偏向エレメント、回折または屈折レンズまたはマイクロアレイ、アンテナ、太陽電池、表示デバイス、または他の電子エレメントであっても良い。また、例えばアルミニウム、銅、銀または金等の金属層が、窓領域における透明層に適用されても良い。そのような金属層は、一般に200nm〜600nmの範囲の厚さであり、反射を生じるように作用し得る。金属層の厚さは、入射光モードにおいて反射し、透過光モードにおいて透明に見えるように選択される。
【0105】
付加的なOVD83は、透明層の効果の基準として機能する。例えば、図8に示すOVD83は、KINEGRAM(登録商標)である。透明層により生じる第一の体積ホログラムは、OVD83に含まれる十字830が明るく見える場合に、明るく詳細に見える。透明層により生じる第二の体積ホログラムは、OVD83に含まれる第二のイメージが明るく見える場合に、明るく詳細に見える。
【0106】
図9aおよび9bは、本発明に従う、入射光モードおよび透過光モードにおける、セキュリティドキュメント9の断面を示す。セキュリティドキュメント9は、透明層を有し、例えば四角形のイメージを備えた透過体積ホログラムのブラッグ格子が、層の第一のサブ領域91aに配置され、例えば星のイメージを備えた反射体積ホログラムのブラッグ格子が、層の第二のサブ領域91bに配置されている。サブ領域91aおよび91b双方は、セキュリティドキュメント9の窓90の領域に少なくとも部分的に配置され、ブラッグ格子は、光源54により、入射光モードおよび透過光モードで照明可能である。反射体積ホログラムのブラッグ格子は、ブラッグ平面が、層面に対して角度−30〜+30度であるように配置される。透過体積ホログラムのブラッグ格子は、透明層の層面に対してほぼ直角であるように配置され、層面の法線に対して角度−30〜+30度であるように配置されるのが好ましい。
【0107】
図9aは、入射光モード配置のセキュリティドキュメント9を示す。光源54からの入射光モードの光ビーム540aは、鋭角で、セキュリティドキュメント9の表側に入射する。サブ領域91bに配置された反射ホログラムのブラッグ格子は、入射光の一部を方向900に偏向し、観察者は、反射体積ホログラムのイメージ、すなわち星を知覚する。
【0108】
図9bは、透過光モード配置のセキュリティドキュメント9を示す。光源54からの透過光モードの光ビーム540dは、鋭角で、セキュリティドキュメント9の裏側に入射する。サブ領域91aに配置された透過ホログラムのブラッグ格子は、入射光の一部を方向900に偏向し、観察者は、透過体積ホログラムのイメージ、すなわち四角形を知覚する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア基質(11、58、750)、および、窓(15、70)またはキャリア基質(11、58、750)の透明領域において少なくとも部分的に配置された透明層(12、52、720)を有する特にセキュリティドキュメントにおける多層体(1、7)であって、
透明層(12、52、720)は、透明層(12、52、720)により規定される層面(33)において互いに並置関係で配置される可変屈折率の少なくとも第一のサブ領域(52a、71a)および第二のサブ領域(52b、71b)を有し、少なくとも第一のサブ領域(52a、71a)および第二のサブ領域(52b、71b)は、窓(15、70)またはキャリア基質(11、58、750)の透明な領域において少なくとも部分的に配置され、
各サブ領域(52a、52b、71a、71b)は、光学作用エレメントを形成し、屈折率変化により形成され、実質上互いに平行な平面(31)に配置される、多数の周期的に配置されたノードを有し、
少なくとも第一のサブ領域(52a、71a)における平面(31)は、少なくとも第二のサブ領域(52b、71b)における平面(31)と平行ではなく、少なくとも一つのサブ領域(52a、52b、71a、71b)において、平面(31)は層面(33)に対して平行でも垂直でもなく延び、多層体(1、7)の表側および裏側に入射する光(540)の双方が、光学作用エレメントにより回折され、エレメントが、入射光モード(540a)において、表側と裏側とで異なる光学効果を生じること、
を特徴とする多層体(1、7)。
【請求項2】
少なくとも第一のサブ領域(52a、71a)における平面(31)は、層面(33)と45°<α<90°の角度αをなし、好ましくは層面(33)に対してほぼ垂直に配置され、光学作用エレメントが、透過光モード(540d)において、表側と裏側とで異なる光学効果を生じること、
を特徴とする請求項1に記載の多層体(1、7)。
【請求項3】
少なくとも第二のサブ領域(52b、71b)における平面(31)は、層面(33)と最大30°の角度をなすこと、
を特徴とする請求項2に記載の多層体(1、7)。
【請求項4】
少なくとも第一のサブ領域(52a、71a)における平面(31)は、少なくとも第二のサブ領域(52b、71b)における平面(31)に対して、少なくとも第一のサブ領域(52a、71a)における平面(31)と少なくとも第二のサブ領域(52b、71b)における平面(31)との交差角度が少なくとも1度であるように配置されること、
を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層体(1、7)。
【請求項5】
層面(33)で計測されるサブ領域(52a、52b、71a、71b)の最小表面範囲は、300μm、好ましくは、20μmであること、
を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層体(1、7)。
【請求項6】
少なくとも第一のサブ領域(52a、71a)における光学作用エレメントと、少なくとも第二のサブ領域(52b、71b)における光学作用エレメントとが、体積ホログラムの形態であり、各体積ホログラムのブラッグ平面が、光学作用エレメントを形成するとともに屈折率変化により形成される、多数の周期的に配置されたノードにより形成されること、
を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の多層体(1、7)。
【請求項7】
少なくとも第一および第二のサブ領域(52a、52b、71a、71b)が、互いに入れ子状態であり、透明層(12、52、720)が、体積ホログラムの形態の、少なくとも2つの異なるイメージ情報のアイテムを含むこと、
を特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の多層体(1、7)。
【請求項8】
少なくとも第一および第二のサブ領域(52a、52b、71a、71b)が、ラインラスターまたはサーフェスラスターの形態で、互いに入れ子状態であること、
を特徴とする請求項7に記載の多層体(1、7)。
【請求項9】
少なくとも2つのイメージ情報のアイテムを含むサブ領域(52a、52b、71a、71b)が、300μm以下、好ましくは50μmのラスター幅のラスターに配置されること、
を特徴とする請求項7または8に記載の多層体(1、7)。
【請求項10】
透明層(12、52、720)が、5μm〜20μmの層厚(32)であること、
を特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の多層体(1、7)。
【請求項11】
透明層(12、52、720)が、キャリア基質(11、58、750)の、不透明な、好ましくは暗色の領域に部分的に配置されること、
を特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の多層体(1、7)。
【請求項12】
透明層(12、52、720)が、グループ:回折OVD、好ましくは回折レリーフ構造、カラーシフト光学エレメント、偏向光学エレメント、回折または屈折レンズ、回折または屈折マイクロレンズ配置、カラーフィルム、アンテナ、太陽電池、ディスプレイまたは電子回路、の一つ以上のエレメントを含むフィルム構造の一部の形態であり、一つ以上のエレメントが、少なくとも第一および第二のサブ領域(52a、52b、71a、71b)をカバーせず、または少なくとも部分的にカバーすること、
を特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の多層体(1、7)。
【請求項13】
透明層(12、52、720)が、ストリップまたはパッチ形態でキャリア基質(11、58、750)に適用される、積層フィルムの一部、および/または、転写層部位の形態であること、
を特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の多層体(1、7)。
【請求項14】
透明層(12、52、720)が、フォトポリマー層の形態であること、
を特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の多層体(1、7)。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【公表番号】特表2010−529913(P2010−529913A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508726(P2010−508726)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/003949
【国際公開番号】WO2008/141773
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(506151626)オーファウデー キネグラム アーゲー (30)
【Fターム(参考)】