説明

多層光学フィルム用の接着層

本明細書では、多層光学フィルムと、光透過性支持層と、多層光学フィルムと光透過性支持層との間に配置される接着層とを有する光学物品を開示する。接着層は、芳香族ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー及び芳香族エチレン性不飽和モノマーを含み、芳香族ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーと芳香族エチレン性不飽和モノマーとの合計量は、接着層の少なくとも約90重量%である。本明細書では更に、光学物品及びその光学物品を有する表示装置の製造方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学フィルム用のコーティングに関し、より詳細には多層光学フィルム用の接着層に関する。
【背景技術】
【0002】
接着層は、支持層を多層光学フィルムに接着する目的でしばしば使用される。得られた光学物品は表示装置にしばしば用いられる。様々な理由により、液晶テレビなどの表示装置内部の動作環境はかなり過酷なものとなる場合があり、装置内で使用される光学物品は、高温及び高湿度、熱/紫外線曝露、並びに熱衝撃に曝されることがある。これらの過酷な条件による接着層の破損は、光学物品の反り、層間剥離、剛性の喪失、及び脱色につながりうる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書では、多層光学フィルムと、光透過性支持層と、多層光学フィルムと光透過性支持層との間に配置される接着層と、を有する光学物品を開示する。接着層は、芳香族ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー及び芳香族エチレン性不飽和モノマーを含み、芳香族ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーと芳香族エチレン性不飽和モノマーとの合計量は、接着層の少なくとも約90重量%である。本明細書では更に、光学物品及びその光学物品を有する表示装置の製造方法を開示する。
【0004】
本発明のこれらの態様及び他の態様について以下の「発明を実施するための形態」に記載する。上記の概要は、いかなる場合にも特許請求される発明の主題を限定するものとして解釈されるべきではなく、発明の主題は本明細書に記載される特許請求の範囲によってのみ定義されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本発明は、以下の「発明を実施するための形態」を以下の図面とともに考慮することでより完全な理解が可能である。
【図1】例示的な光学物品の概略断面図。
【図2】例示的な光学物品の概略断面図。
【図3】複数の接着剤について温度に対する弾性率を示したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書では、多層光学フィルムと光透過性支持層との間の接着を促進するために使用することが可能な接着層を開示する。例えば、こうした接着層は、ポリエステル系の多層光学フィルムをポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリカーボネートなどの光透過性支持層に接着するうえで有用である。
【0007】
本明細書で開示する接着層を使用することで多くの利点を得ることができる。例えば、接着層を使用して、物品の層間剥離をほとんどあるいはまったく生じることなく転換することができる光学物品を製造することが可能である。これには、接着層と多層光学フィルムとの間の界面における層間剥離だけでなく、多層光学フィルム自体の内部の層間剥離も含まれる。転換操作の例としては、所望の幅の物品を得るためのスリッティング、所望の長さの物品を得るための裁断などのクロスカッティング、及び、所望の形状の物品を得るための例えばフラットベッド又は回転式のダイカッティングが挙げられる。他の転換操作としてはパーフォレーション加工及びパンチングがある。
【0008】
本接着層によれば、ほとんどあるいはまったく反りを生じない、すなわち、液晶テレビにおいて見られるような温度及び温度サイクルに曝された際、及びその後に寸法安定性が維持されるような光学物品が更に与えられる。大型の積層光学物品を製造する場合には、長期にわたって高温に曝された後、又は温度サイクルに曝された際でも部品の公差が実質的に保たれなければならない。
【0009】
本接着層によれば、500時間の65℃/95RH試験のような高温かつ高湿度といった条件への長時間の曝露を含む、広範囲の環境条件にわたって剛性が保存されるような光学物品が更に与えられる。剛性の保存は、フィルム及び組み立てられた液晶表示装置(LCD)の保管及び使用時に寸法的に安定した光学フィルムを得るうえで望ましい。寸法が不安定な光学物品は、LCDを見る人にとって見苦しい画像を生じる可能性がある。大型の積層光学物品を製造する場合には、長期にわたって高温に曝された後、又は温度サイクルに曝された際でも部品の公差が実質的に保たれなければならない。
【0010】
本接着層によれば、ほとんどあるいはまったく色が変化しない、及び/又はほとんどあるいはまったく暗化効果を示さない光学物品が更に与えられる。光学フィルム積層体の色が大きく変化すると、組み立てられたLCD製品を見る人にとって、目に見える欠陥及び許容不能な色の原因となる。歴史的に、DBEF積層体用の光学接着剤として用いられるオリゴマー材料は、窒素含有セグメントを通常有する脂肪族オリゴマー材料を含んでいる。芳香族オリゴマーは、環境によるエイジングによる発色の劣化、特に加速させたQUVエイジング(試験条件を下記に述べる)による黄変の増大の原因となるという懸念から、光学接着剤の開発における当業者であれば、芳香族オリゴマーの使用は避けるのが通例である。
【0011】
本接着層によれば、転換プロセスの間、及び光学フィルム物品の耐用寿命の間に層間剥離を生ずる可能性が低減した、許容される手による剥離接着性を示す光学物品も与えられる。
【0012】
本接着層によれば、転換温度において<1×10Pa未満の引張弾性係数を示す光学物品が更に与えられる。通常の転換温度は15〜30℃の間であるが、より高い温度も有用でありうる。上記の弾性率の範囲の接着層を有する光学フィルム物品では、転換プロセスの間、及び光学フィルム物品の耐用寿命の間に層間剥離を生ずる可能性が低減する。
【0013】
図1は、本明細書で開示する例示的な光学物品の断面図を示したものである。光学物品10は、複数の第1及び第2の光学層(図示せず)が交互に積層された多層光学フィルム12、光透過性基板16、及び多層光学フィルムと光透過性基板との間に配置された接着層14からなっている。接着層は所望の性質が与えられるかぎり任意の適当な厚さを有してよい。特定の実施形態では、その厚さは約5〜約40μmである。
【0014】
接着層は、少なくとも1個の水酸基を主鎖に有する芳香族ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーと、芳香族エチレン性不飽和モノマーとを含み、芳香族ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーと芳香族エチレン性不飽和モノマーとの合計量は接着層の少なくとも約90重量%を占める。本明細書で言うところの「ポリエステル」とは、単一のジカルボキシレートモノマーと単一のジオールモノマーとからなるポリエステルを指し、更に、複数のジカルボキシレートモノマー及び/又は複数のジオールモノマーからなるコポリエステルを指して言うものである。一般に、ポリエステルは、ジカルボキシレートモノマーのカルボキシレート基をジオールモノマーの水酸基と縮合させることによって調製される。本明細書で言うところの「ジカルボキシレート」と「ジカルボン酸」とは、互換可能に使用される。
【0015】
接着層は、1以上のジカルボン酸と1以上のジオールとを含むポリエステルを含んでいる。有用なジカルボン酸としては、ナフタレンジカルボン酸、テレフタレートジカルボン酸、フタレートジカルボン酸、イソフタレートジカルボン酸、t−ブチルイソフタル酸、トリ−メリト酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、及びこれらの組み合わせなどの芳香族ジカルボン酸が挙げられる。有用なジカルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビ−シクロオクタンジカルボン酸、1,6−シクロヘキサンジカルボン酸、及びこれらの組み合わせなどの脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。上記のジカルボン酸の任意のものをジカルボキシレート(すなわち、塩)の形で用いてもよく、あるいはこれらのジカルボン酸は、1〜10個の炭素原子を有する脂肪族基のモノ又はジエステルであってもよい。
【0016】
ジオールモノマーを含む有用なジオールとしては2個よりも多い水酸基を有するものが挙げられ、例えばトリオール、テトラオール、及びペンタオールなども有用でありうる。有用な芳香族ジオールとしては、1,4−ベンゼンジメタノール、ビスフェノールA、開環式ビスフェノールAジグリシダルエーテル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。有用な脂肪族ジオールとしては、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリシクロデカンジオール、ノルボルナンジオール、ビシクロ−オクタンジオール、ペンタエリスリトール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0017】
接着層は、1以上のモノマーを含む希釈剤を含むものであってもよい。一般に、希釈剤はフリーラジカル重合可能なものであり、芳香族エチレン性不飽和モノマーを含みうる。例としては、例えばエチルアクリレート、イソボルニルメタクリレート及びラウリルメタクリレートなどの、アルキル基が1〜20個の炭素原子を有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルのような(メタ)アクリレートが挙げられる。(メタ)アクリレートの例としては、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,4−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4,6−ジブロモ−2−アルキルフェニル(メタ)アクリレート、2,6−ジブロモ−4−アルキルフェニル(メタ)アクリレート、2−(1−ナフチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ナフチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(1−ナフチルチオ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ナフチルチオ)エチル(メタ)アクリレート、及びこれらの組み合わせなどの(メタ)アクリル酸の芳香族エステルが挙げられる。本明細書で言うところの(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの両方を指すものである。ビニルモノマーの例としては、酢酸ビニル、スチレン及びこれらの誘導体などのビニルエステル、ハロゲン化ビニル、プロピオン酸ビニル、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0018】
芳香族エチレン性不飽和モノマーに対する芳香族ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーの重量比は、約30:70〜約50:50である。
【0019】
一般に接着層は、芳香族ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーと芳香族エチレン性不飽和モノマーとを含む接着組成物のフリーラジカル重合によって調製される。こうした重合性組成物には開始剤がしばしば含まれる。開始剤は、熱反応開始剤、光反応開始剤、又はその両方であってよい。開始剤の例としては、有機過酸化物、アゾ化合物、キニーネ、ニトロ化合物、アシルハロゲン化物、ヒドラゾン、メルカプト化合物、ピリリウム化合物、イミダゾール、クロロトリアジン、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ジ−ケトン、フェノンなどが挙げられる。市販の光開始剤としては、これらに限定されるものではないが、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(例、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals)よりDAROCUR 1173として市販されるもの)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシドと、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンとの混合物(例、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社よりDARACUR 4265として市販されるもの)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(例、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社よりIRGACURE 651として市販されるもの)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキシドと、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンとの混合物(例、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社よりIRGACURE 1800として市販されるもの)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキシド(例、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社よりIRGACURE 1700として市販されるもの)と、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(例、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社よりIRGACURE 907として市販されるもの)と、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(例、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社よりIRGACURE 819として市販されるもの)との混合物、エチル2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィネート(例、ビー・エー・エス・エフ社(BASF)(ノースカロライナ州シャーロット)よりLUCIRIN TPO−Lとして市販されるもの)、及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(例、ビー・エー・エス・エフ社(ノースカロライナ州シャーロット)よりLUCIRIN TPOとして市販されるもの)が挙げられる。光開始剤は、重合性組成物中のオリゴマー及びモノマー材料の重量に対して約0.1〜10重量%又は0.1〜5重量%の濃度でしばしば用いられる。
【0020】
接着層及びコーティング組成物は、他の種類の添加剤を含んでもよい。好ましくは、こうした材料は、コーティング及びコーティング配合物の主な成分と相容性を有するものである必要があり、かつ光学物品の性能属性に悪影響を及ぼさないものである必要がある。こうした材料としては、界面活性剤及び凝集溶媒(coalescing solvent)などのコーティング助剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、消泡剤、例えばスリップ剤として用いられる微粒子、抗酸化剤、及び緩衝剤又はトリアルキルアミンなどのpH調節剤が挙げられる。
【0021】
本明細書では、光学物品の製造方法も開示する。本方法では、多層光学フィルム及び光透過性基板が、その間に一定の固定された間隙が保たれるようにして同時に供給される際に、多層光学フィルムと光透過性基板との間に接着組成物が塗布されるような、ロールtoロールプロセスなどの連続的プロセスを行うことができる。
【0022】
本方法では更に、上記に述べた接着組成物を多層光学フィルム又は光透過性基板のいずれかにコーティングすることによって、コーティングされた物品を形成することを行ってもよい。例えば、ディップ、ロール、ダイ、ナイフ、エアナイフ、スロット、スライド、ワイア巻回ロッド、及びカーテンコーティングなどの各種のコーティング法のいずれを使用してもよい。コーティング法についての包括的な考察は、Cohen,E.及びGutoff,E.「最新のコーティング及び乾燥技術」(Modern Coating and Drying Technology);VCH Publishers:New York,1992;p.122、並びにTricot,Y−M.「界面活性剤:液体フィルムコーティングにおける静的及び動的表面張力」(Surfactants:Static and Dynamic Surface Tension. In Liquid Film Coating);Kistler,S.F.及びSchweizer,P.M.,Eds;Chapman&Hall:London,1997;p.99に見られる。
【0023】
接着組成物は、紫外線照射又は任意の他の適当な硬化法を用いて硬化させることができる。例えば、組成物を硬化させるために熱を用いることが望ましい場合、光開始剤の代わりに熱開始剤を使用することができる。
【0024】
多層光学フィルムは、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ナフタレンジカルボン酸をベースにしたコポリエステル又はポリエステルブレンドなどのポリエステル;ポリカーボネート;ポリスチレン;スチレン−アクリロニトリル;酢酸セルロース;ポリエーテルスルホン;ポリメチルメタクリレートなどのポリ(メタ)アクリレート;ポリウレタン;ポリ塩化ビニル;ポリシクロオレフィン;ポリイミド;ガラス;紙;又はこれらの組み合わせ若しくは配合物を含む様々な材料のいずれを含んでもよい。特定の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル及び三酢酸セルロースが挙げられる。好ましい例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、三酢酸セルロース、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリアミド、又はこれらの配合物が挙げられる。多層光学フィルムは、物品の性能が時間とともに損なわれることがないように温度及びエイジングに対する充分な耐性を示すことが好ましい。多層光学フィルムの厚さは、通常約2.5mm未満である。多層光学フィルムは更に、幅出し操作における配向に先立ってコーティングされるキャストウェブ基材などの配向性フィルムであってもよい。
【0025】
多層光学フィルムは、光学用途における使用に適している。有用な多層光学フィルムは、光の流れを調節するように設計されている。こうした多層光学フィルムは約90%よりも高い透過率を有し、約5%未満、例えば2%未満又は1%未満のヘイズ値を有しうる。適当な多層光学フィルムを選択する際に考慮すべき性質には、可撓性、寸法安定性、自己支持性、及び耐衝撃性などの機械的性質がある。例えば多層光学フィルムは、物品を表示装置の一部として組み立てることができるように、構造的に充分な強度を有する必要がある場合がある。
【0026】
多層光学フィルムは、グラフィックアート及び光学用途などの広範な用途に使用することができる。有用な多層光学フィルムは、反射フィルム、偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度上昇フィルム、転向フィルム、ミラーフィルム、又はこれらの組み合わせとして述べることができる。多層光学フィルムは、すべてが複屈折性光学層、一部が複屈折性光学層、又はすべてが等方性光学層のものの所定の組み合わせからなる10以下の層、数百、又は数千の層を有しうる。一実施形態では、多層光学フィルムは交互に積層された第1及び第2の光学層を有し、第1及び第2の光学層は少なくとも1つの軸に沿って少なくとも0.04だけ異なる屈折率を有する。異なる屈折率を有する多層光学フィルムについては、下記に引用する参照文献に述べられている。別の実施形態では、多層光学フィルムは上記の多層光学フィルムのいずれかの1以上の層を含んでよく、これによりそれらの層のいずれか1つの中にプライマー層が埋め込まれることによって、物品自体を反射フィルム、偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度上昇フィルム、転向フィルム、ミラーフィルム、又はこれらの組み合わせとすることができる。
【0027】
有用な多層光学フィルムとしては、Vikuiti(商標)Dual輝度上昇フィルム(DBEF)、Vikuiti(商標)輝度上昇フィルム(BEF)、Vikuiti(商標)拡散反射偏光フィルム(DRPF)、Vikuiti(商標)増強正反射体(ESR)、及びVikuiti(商標)高度偏光フィルム(APF)として販売されている市販の光学フィルムが挙げられ、いずれもスリー・エム社(3M Company)から入手可能である。有用な光学フィルムについては、米国特許第5,825,543号、同第5,828,488号(オーデルカート(Ouderkirk)ら)、同第5,867,316号、同第5,882,774号、同第6,179,948(B1)号(メリル(Merrill)ら)、同第6,352,761(B1)号、同第6,368,699(B1)号、同第6,927,900(B2)号、同第6,827,886号(ニーヴィン(Neavin)ら)、同第6,972,813(B1)号(豊岡(Toyooka))、同第6,991,695号、米国特許出願公開第2006/0084780(A1)号(ヘブリンク(Hebrink)ら)、同第2006/0216524(A1)号、同第2006/0226561(A1)号(メリル(Merrill)ら)、同第2007/0047080(A1)号(ストーヴァー(Stover)ら)、国際特許出願公開第95/17303号、同第95/17691号、同第95/17692号、同第95/17699号、同第96/19347号、同第97/01440号、同第99/36248号、及び同第99/36262号にも述べられている。これらの多層光学フィルムはあくまで例示的なものであり、使用することが可能な適当な光学フィルムを網羅したものではない。これらの実施形態の一部では、本発明のプライマー層を多層フィルム構造中の内部層とすることができる。
【0028】
基材の例としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレートなどの光学用途に有用なものがすべて含まれ、これらはすべて配向させるか、あるいはさせずに用いることができる。特定の実施形態では、光透過性基板は、本願と同一譲受人に譲渡された米国仮特許出願第61/041112号(ボスル(Bosl)ら)に述べられる延伸ポリエステルフィルムを含む。
【0029】
図2は、本明細書で開示する別の例示的な光学物品の断面図を示したものである。光学物品20は、交互に積層された複数の第1及び第2の光学層(図示せず)からなる多層光学フィルム24を有している。光透過性基板22及び26が多層光学フィルムの両側に配置され、接着層28及び30が多層光学フィルムと各光透過性基板との間に配置されている。特定の実施形態では、こうした光学物品は本願と同一譲受人に譲渡された米国仮特許出願第61/040910号(デルクス(Derks)ら)に述べられるような構造を有してもよい。
【0030】
本光学物品は例えばバックライトサイン、広告看板などのグラフィックアート用途で使用することができる。本光学物品は更に、最低でも1以上の光源と表示パネルとを有する表示装置において使用することもできる。表示パネルは、画像、グラフィック、テキストなどを生成可能なあらゆるタイプのものであってよく、単色若しくは多色、又は透過性若しくは反射性のものであってよい。例としては、液晶表示パネル、プラズマ表示パネル、又はタッチスクリーンが挙げられる。光源としては、蛍光ランプ、リン光ライト、発光ダイオード、又はこれらの組み合わせが挙げられる。表示装置の例としては、テレビ、モニター、ラップトップコンピューター、並びに携帯電話、PDA、計算機などの手持ち式装置が挙げられる。
【0031】
本発明は下記の実施例を考慮することでより完全な理解が可能である。
【実施例】
【0032】
試験方法
縁部層間剥離
縁部層間剥離評価を、光学フィルム産業では一般的なスチールルールダイパンチを使用し、名目上25℃で光学フィルム積層体を転換することによって判定した。一般的なスチールルールダイは、対角線に沿ったサイズが最大で165cm(65インチ)であり、異なる設計の2以上の突起及び/又は穴型の構成を通常有している。
【0033】
積層体を転換した後、部品、突起又は穴の縁部の隣接領域における透明度の低下として観察されうる層間剥離について、部品を肉眼で検査した。層間剥離が認められた場合、縁部に直交する方向における層間剥離の長さを記録した。合格の評価を得るには、部品は1mmを超える縁部層間剥離を有してはならない。各積層体について、縁部層間剥離が許容範囲であった部品の比率を表4に記録し、下式によって計算した。
【0034】
【数1】

【0035】
縁部層間剥離合格率(%)が100%であることが好ましい。
【0036】
反り試験
積層体における寸法安定性を調べる一例を以下に示す。イソプロピルアルコールを用いて、2個の24.1cm×31.8cmの倍強度ガラス片を洗浄して汚れを取り除いた。22.9cm×30.5cmの積層フィルム片を一方のガラス片の短辺の両方と長辺の一方に貼り、残りの長辺は非拘束状態のまま残した。積層フィルムは、3M(商標)両面テープ9690(スリー・エム社(3M)ミネソタ州セントポール)を用い、テープが積層フィルムの3辺によって覆われるガラスの3つの縁部から1.3cmの位置となるようにしてガラスに貼り付けることができる。積層フィルムを、テープの厚さ(約0.14mm)だけガラス表面から浮いた状態に保持されるようにしてテープに貼り付けた。積層フィルムは、2kgのローラーを用い、ローラーを各辺上に両方向に一回通過させることによってテープに接着させた。次に同じ厚さ及び長さの1.3cm幅のPETフィルムシムストックを積層体の反対側に配し、テープに中心を合わせた。第2のガラス片をシムの上から被せ、下側のガラス片と正確に位置を合わせた。これにより、積層フィルムが3つの縁部で拘束され、中央においてほぼ自由に浮いたガラス−テープ−積層フィルム−シム−ガラスのサンドウィッチ状試験モジュールが完成した。このモジュールを、積み重ねた紙を一体に保持するために、一般的に用いられるような4個のバインダークリップを使用して互いに取り付けた(Binder Clips、オフィスメート・インターナショナル社(Officemate International Corporation)ニュージャージー州エジソン)。クリップは、ガラスの縁部から約1.9cmの位置においてテープの中央に圧力を加えるような適当なサイズのものである必要がある。バインダークリップを、モジュールの短辺に2個ずつ、それぞれ、モジュールのガラス板の間に保持された積層フィルムの上縁から約1.9cmの位置に配置した。
【0037】
完成したガラス板モジュールを熱ショックチャンバ(モデルSV4−2−2−15環境試験チャンバ、エンバイロトロニクス社(Envirotronics,Inc.)、ミシガン州グランドラピッズ)内に置き、84回の温度サイクルに曝した。各温度サイクルでは、モジュールを−35℃に冷却した後、その温度に1時間維持してから、炉内の温度を1工程で85℃にまで昇温し、その温度に1時間維持した。温度サイクルの後、積層フィルムをモジュールから剥離し、皺の平均の傾きを計算する表面マッピング法を用いて皺について検査した。平均の傾き値が低いほど反り又は皺寄りが小さいことを示し、望ましいフィルム属性である。好ましい平均の傾き値は0.15未満である。
【0038】
光安定性
下記に述べる各積層物品を、一般的な液晶テレビに見られる冷陰極蛍光ランプと同様の発光スペクトルを有するPhillips F40 50U電球を備えたQUVcw露光装置を用いて試験した。発光強度を448nmで0.5W/mに調整し、これにより340〜400nmの総和のUV強度は1.71W/mとなった。曝露の際のチャンバ温度は83℃であり、曝露の長さは12日間とした。
【0039】
光学積層体構造の分解は、ΔE値によって計算される色度座標におけるシフトを測定することによって判定することができる。ΔE値は、1976年に国際照明委員会(Commission Internationale de l’Eclairage)によって制定されたCIE L色空間によって定義されるL、a、及びb座標の個々の値のシフトから導出される。色の測定及び配列に広く用いられている方法であるCIE L色空間は、特定の色がL、a、及びbという項を用いて、空間内の位置として定義される3次元空間である。Lは、色の明度の尺度であり、0(黒)〜100(白)の範囲にわたり、x、y及びz軸を有する一般的な3次元座標のZ軸として視覚化することができる。a及びbの項は色の色相及び彩度を定義し、それぞれx軸及びy軸として視覚化することができる。aの項は負の数(緑)から正の数(赤)の範囲にわたり、bの項は負の数(青)から正の数(黄)の範囲にわたる。色度測定の完全な説明については、エリス・ホーウッド社(Ellis Horwood Ltd.)刊行のR.W.G.Huntによる「色度測定」(Measuring Color)第2版(1991)を参照されたい。一般に、色度シフトに対する業界の期待に見合う光学フィルム積層体のΔEは、3.0未満でなければならず、好ましくは2.0未満である。ΔEは下式によって計算される。
【0040】
ΔE=[(L−L+(a−a+(b−b1/2
式中、下付き文字fは最終値を示し、下付き文字iは初期値を示す。
【0041】
剛性の保存
積層体の剛性を50Nロードセル及び3点曲げ固定具を備えたINS(登録商標)TRON 3342を用いて測定した。25mm幅の試料のストリップをより大きなマスター積層体から切り出した。クロスヘッド速度は0.5mm/分とした。移動する5個のクロスヘッドによって試料に力を加え、試料を直径10mmのアンビルに接触させた。2個の下側支持アンビルはそれぞれ3.94mmの直径を有し、これらの支持アンビルの中心間の距離は8.81mmであった。値は、力(N)の変化を、与えられた力の変化に対するクロスヘッドの移動距離(mm)で割った結果に基づきN/mmで測定した。
【0042】
同じ積層体から複数の試料ストリップを切り出した。3個の試料を環境エイジングを行わずに試験し、その値の平均を剛性の初期値として報告した。同じ積層体からの更に3個の試料を相対湿度95%の65℃の試験チャンバ内に500時間置き、その値の平均を記録した。各積層体について表4に示す剛性保存率(%)の値を下式により計算した。
【0043】
剛性保存率(%)=[S/S]×100
式中、Sは試料を500時間エイジングした後の剛性値であり、Sは初期の剛性である。好ましい剛性保存率(%)は100%以上であり、高温高湿度の試験後に剛性が失われないことを示す。
【0044】
手による剥離接着性
光学フィルム積層体の試料を手で剥離し、接着性について評価を行った。積層体を剥離するため、試料の縁に折り目を付けた。光学フィルム構造体は折り目を付けた領域において層間剥離し、この層間剥離した基材を試料の長さに沿って手で物理的に分離した。層間剥離した界面を表1に述べるような基準1及び基準2を用いて後で検査した。
【0045】
【表1】

【0046】
弾性率
−60℃〜70℃の温度範囲にわたってASTM D5026−01に従い引張弾性係数を測定した。2枚の剥離ライナー間に接着剤をキャスティングすることによって、作製した自立式の接着剤試料の引張弾性係数を測定した。接着剤を、2枚のプライミングしていないPETフィルム間に塗布し、公称設定値を0.25mm(10ミル)とした固定ギャップコーターを通じて引っ張った。このPET及び接着剤構造体を、15.2m/分(50フィート/分)で、フュージョン・ユー・ブイ・システムズ社(Fusion UV Systems,Inc.)によって提供される2個の集束した高強度(236W/cm)(600W/インチ)「Dバルブ」紫外線ランプ下に通過させた。プライミングしていないPETフィルム両方を、接着剤試料で弾性率を試験する前に剥離した。結果を表4及び図3に示す。図3に、AC−4(30)、AC−1(32)、及びAC−6(34)について、温度に対する弾性率を示した。
【0047】
接着剤組成物のスズ含量
2つの異なる方法により元素分析を行うための試料を調製した。第1の方法は従来の湿式灰化分析法であり、第2の方法は試料の強酸浸出(EPA 3050B法)である。
【0048】
湿式灰化:0.5gの試料を石英ビーカー中に正確に秤量した。4mLの硫酸を加え、ビーカーをドラフト内のホットプレート上に石英時計皿で蓋をして置いた。温度を徐々に上げて材料を完全に灰にした。灌流液が透明無色となった時点で2mLの硝酸を加え(0.5mLずつ)、灌流液が再び無色となるまで反応を進行させた。体積を約1mLにまで減少させた。温度を下げた後、2mLの過酸化水素を加えて分解を終了させ、残りの硝酸を除去した。再び2mLの硫酸を加え、白色の蒸気が生じるまで温度を上げた。温度を下げ、内容物を遠心管に定量的に移し、脱イオン化水で25mLにまで希釈した。各試料をブランクとともに同様に2重に調製した。
【0049】
EPA 3050B法:0.5gをポリプロピレン製分解チューブ内に正確に秤量した。10mLの硝酸/水の1:1混合物を加え、チューブをブロック式分解装置(95℃に予熱した)中に15分置いた。ブロックからチューブを取り出して冷まし、1.5mLの硝酸を加え、ポリプロ時計皿で蓋をしてチューブをブロックに戻した。30分後に更に1.5mLの硝酸を加え、チューブを更に30分加熱した。チューブをブロックから取り出して冷まし、1.0mLの過酸化水素を加えた。チューブをブロックに15分戻した。これを更に2回、合計で3mLの過酸化水素となるように繰り返した。チューブをブロックから取り出して冷まし、脱イオン水で25mLにまで増量した。この溶液をシリンジのフィルターに通過させて残留固体を除去した。各試料を同様に2重に調製した。
【0050】
すべての溶液をPE Optima 3300 ICP−AESのアキシアルモードで分析した。検体は、0、0.2、0.5及び1.0ppm(mg/L)で調製した標準溶液に対して較正した。動作の間に別の0.5ppmの検査標準溶液(check standard)を周期的に分析して較正確度を確認した。Scの希釈溶液をすべての試料及び標準溶液とともにインラインで圧送して内部標準とした。
【0051】
接着剤組成物のハロゲン含量分析
手順:
試料をコサ・インスツルメンツ社(COSA Instruments)AFQ−100炉内で燃焼させた。正確に秤量した試料(約8〜50mg、±1μgまで秤量)をセラミックボートに入れて炉に入れた。各ボートは、ASC−120S固体オートサンプラーモジュールによってAQF−100を通じて搬送した。燃焼チャンバは、WS−100モジュールによって一定の高湿度に保った。燃焼によって発生したガスは、GA−100モジュール内で吸収溶液に吸収させた。この吸収溶液をDionex ICS−2000イオンクロマトグラフに直接注入した。ブランク燃焼(試料なし)を手順の全体を通じて行った。フッ化、塩化、及び臭化安息香酸及びチオフェンカルボン酸のイソプロパノール溶液を炉の取入口に加える(異なる体積で)ことによって、システムの較正を行った。
【0052】
【表2】

【0053】
結果:試料は3重に測定した。
【0054】
材料
市販の材料を表2に示し、購入したものをそのまま用いた。
【0055】
【表3】

【0056】
接着剤組成物
接着剤組成物は、表3に述べるようにして調製した。組成物はいずれも、組成物の約3重量%未満のTPO、TINUVIN 928、及び/又はTINUVIN 123を含む。
【0057】
【表4】

【0058】
実施例
図2に示されるような積層物品を、各接着層に対してギャップを15μmに設定したギャップコーターを用いて、3つのフィルム層の間(22と24との間、及び24と26との間)に2層の接着剤(28及び30)を同時にコーティングすることによって調製した。
【0059】
本願と同一譲受人に譲渡された米国仮特許出願第61/0404910号(デルクス(Derks)ら)によって述べられるような、公称厚さが33μmの反射偏光フィルムである多層光学フィルム、及びPETGからなる外皮層からなる層24を多層光学フィルムとして用いた(図2の24)。
【0060】
層22は、本願と同一譲受人に譲渡された米国仮特許出願第61/041112号(ボスル(Bosl)ら)によって述べられるような、公称厚さが142μmの延伸PETからなるものを用いた。アクリレート結合剤中に直径約8μmのビーズを有する利得拡散(gain diffuser)コーティングを、接着層28の反対側の層22の上面に設けた。層26は、本願と同一譲受人に譲渡された米国仮特許出願第61/041112号(ボスル(Bosl)ら)によって述べられるような、公称厚さが131μmの延伸PETからなるものを用いた。層22及び26の延伸軸は、反射偏光フィルム24の遮光軸と整列させた。
【0061】
接着剤をコーティングしたフィルムを、紫外線に露光することにより2工程でほぼ完全に硬化させた。フュージョン・ユー・ブイ・システムズ社(Fusion UV Systems)より入手したVPS600 UV硬化システムを使用した。第1の硬化工程では、公称強度26.2mW/cm及び公称線量151〜260mJ/cmの低強度光(ピークが308nm未満のバルブ)下で20秒、低強度硬化を行った。第2の硬化工程では、公称強度571mW/cm及び公称線量855mJ/cmの高強度紫外線下で10秒、高強度硬化を行った。
【0062】
得られた積層体に上記に述べたように試験を行った。結果を表4に示す。
【0063】
【表5】

【0064】
CN2254:PEA=30:70〜50:50であり、CN2254とPEAとの総重量が90%よりも大きな接着剤組成物では、良好な手による剥離接着性が得られた。CN2254:PEA=40:60である場合には、異なる外皮層において良好な手による剥離接着性がやはり認められた。
【0065】
【表6】

【0066】
未硬化の接着剤組成物をスズ含量及びハロゲン含量分析に供した。結果を表6に示す。
【0067】
【表7】

【0068】
許容範囲の、手による剥離接着性の結果を示さなかった配合物の更なる例を下記表7に示す。各配合物は、表2に述べた市販の材料を用いて作製し、購入したものをそのまま使用した。表7に列記した組成物はすべて重量%であり、いずれも1pphのTinuvin928及び1pphのTPOを含んでいた。積層体は上記の説明に従って調製した。積層体は特記したものを除き、いずれも50−50HH:PETg=75:25の外皮を有する多層光学フィルムを用いて作製した。
【0069】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層光学フィルムと、
光透過性支持層と、
前記多層光学フィルムと前記光透過性支持層との間に配置される接着層と、を有する光学物品であって、前記接着層が、芳香族ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー及び芳香族エチレン性不飽和モノマーを含み、
前記芳香族ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーと前記芳香族エチレン性不飽和モノマーとの合計量が、前記接着層の少なくとも約90重量%である、光学物品。
【請求項2】
前記芳香族ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーが、
ナフタレンジカルボン酸、テレフタレートジカルボン酸、フタレートジカルボン酸、イソフタレートジカルボン酸、t−ブチルイソフタル酸、トリ−メリト酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1以上のジカルボン酸を含む、請求項1に記載の光学物品。
【請求項3】
前記芳香族ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーがペンダント水酸基を含む、請求項1に記載の光学物品。
【請求項4】
前記芳香族ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーが開環ビスフェノールAジグリシダルエーテルを含む、請求項1に記載の光学物品。
【請求項5】
前記芳香族ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーが二官能性である、請求項1に記載の光学物品。
【請求項6】
前記芳香族エチレン性不飽和モノマーが、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,4−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4,6−ジブロモ−2−アルキルフェニル(メタ)アクリレート、2,6−ジブロモ−4−アルキルフェニル(メタ)アクリレート、2−(1−ナフチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ナフチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(1−ナフチルチオ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ナフチルチオ)エチル(メタ)アクリレート、ビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1以上のモノマーを含む、請求項1に記載の光学物品。
【請求項7】
前記芳香族エチレン性不飽和モノマーがフェノキシエチルアクリレートを含む、請求項1に記載の光学物品。
【請求項8】
前記芳香族エチレン性不飽和モノマーに対する前記芳香族ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーの重量比が、約30:70〜約50:50である、請求項1に記載の光学物品。
【請求項9】
前記接着層が約5〜約40μmの厚さを有する、請求項1に記載の光学物品。
【請求項10】
前記接着層が約20ppm以下の量のスズを含む、請求項1に記載の光学物品。
【請求項11】
前記接着層が約15ppm以下の量のスズを含む、請求項1に記載の光学物品。
【請求項12】
前記接着層が約300ppm以下の量のハロゲン化物を含む、請求項1に記載の光学物品。
【請求項13】
前記多層光学フィルムが、反射フィルム、偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度上昇フィルム、転向フィルム、ミラーフィルム、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の光学物品。
【請求項14】
前記多層光学フィルムが、それぞれ第1及び第2のポリマーを含む交互に積層された第1及び第2の光学層を含み、前記第1及び第2のポリマーが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、三酢酸セルロース、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリアミド、及びこれらの配合物からなる群から選択される、請求項1に記載の光学物品。
【請求項15】
前記多層光学フィルムが約50μm以下の厚さを有する、請求項1に記載の光学物品。
【請求項16】
前記光透過性支持層がポリエステル又はポリカーボネートを含む、請求項1に記載の光学物品。
【請求項17】
前記接着層が8.75重量%未満のエポキシジアクリレートを含む、請求項1に記載の光学物品。
【請求項18】
光学物品を製造する方法であって、
多層光学フィルムと光透過性支持層との間に、芳香族ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー及び芳香族エチレン性不飽和モノマーを含む重合性接着剤組成物を塗布する工程と、
前記重合性接着剤組成物を重合させることによって、前記多層光学フィルムと前記光透過性支持層とを互いに接着する接着層を形成する工程と、を含み
前記芳香族ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーと前記芳香族エチレン性不飽和モノマーとの合計量が、前記接着層の少なくとも約90重量%である、方法。
【請求項19】
請求項18の方法によって形成される、光学物品。
【請求項20】
多層光学フィルムと、
前記多層光学フィルムの反対側に配置され、それぞれ第1及び第2の接着層によって多層光学フィルムに接着される第1及び第2の支持層と、を備えた光学物品であって、前記第1及び第2の支持層は光透過性であり、芳香族ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー及び芳香族エチレン性不飽和モノマーから基本的になる、光学物品。
【請求項21】
表示パネルと、
1以上の光源と、
請求項1に記載の光学物品と、を有する、表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−522901(P2011−522901A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503052(P2011−503052)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【国際出願番号】PCT/US2009/038487
【国際公開番号】WO2009/145998
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】