説明

多層分析要素

【課題】 低湿度環境下(10%RH以下)で加工可能な展開層を有する乾式多層分析要素を提供すること。
【解決手段】 水不透過性光透過性平面支持体の片面上に、少なくとも1つの機能層と少なくとも1つの粒状構造物展開層がこの順に積層一体化された液体試料分析用多層分析材料において、粒状構造物展開層が、有機または無機ポリマー粒子と有機ポリマー接着剤から構成されており、有機ポリマー接着剤の有機ポリマーの分子量が1万以上30万以下であることを特徴とする液体試料分析用乾式多層分析要素。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臨床検査、食品検査、環境分析等に用いられる乾式多層分析要素に関する。
【背景技術】
【0002】
臨床検査、食品検査及び環境分析の分野では、迅速・簡便に検体を処理する要求が年々高くなっており、そのニーズに応えた乾式分析素子が汎用されている。乾式分析要素の中で、血液の受容、展開、拡散を行わせる展開層には、特開昭55−164356号公報、特開昭57−66359号公報、特開昭60−222769号公報等に代表されるように、繊維質多孔性材料が用いられてきた。
【0003】
この繊維質多孔性材料は、液体試料点着時の展開が速く、製造時の取り扱い性にも優れている。また、全血のような粘性のある試料に対しても適用性があり、広く使用されている。
【0004】
しかし、この分野では、より高い精度(再現性)での測定が要求されるようになってきており、繊維質多孔性材料(布展開層)では、いくつか不具合がでてきている。その一つが、布自身のロット変動の問題である。通常、布展開層には、織物と編物があるが、その織り方、編み方にロット間差及びロット内差が見つかっている。具体的には、単位面積当たりの編目数、単位面積当たりの重量、厚みなどである。また、中間工程で、材料の洗浄工程があるが、その洗浄の程度により、布の親水性にロット間差、ロット内差がある。さらに、布展開層は、平滑ではないため、積層方式で、十分な接着力を確保して製造しようとすると、下層に展開層を食い込ませざるを得ない。これにより下層は乱れており、より高い精度での測定に対しては、好ましくない。また布は下層に布を接着する際に、その構造上伸びやすく、空隙体積の変化を起こしやすい。そのために液体試料点着時の展開面積が変化しやすく、ロット内差及び高精度測定が達成できない原因となっている。
【0005】
上述したような布展開層の欠点を解決する手段として、接着剤によって一緒に保持された無機または有機ポリマー粒子より成る粒状構造物を展開層に用いた乾式分析要素が検討されている。該粒状構造物展開層は塗布により形成されるために、その均一性は非常に高く、またロット間差、ロット内差なども十分に小さい。また、これら粒状構造物展開層は、布展開層と異なり、下層への食い込みは無い状態で、下層との接着が可能である。そのような観点から、特公昭53−21677号公報にはガラスビーズとゼラチンによる粒状構造物展開層が、特公平6−4039号公報には有機ポリマービーズと有機ポリマーからなる粒状構造物展開層が、また特公昭63−43701号公報、特開昭57−182166号公報には水不溶性の有機ポリマーと有機ポリマーラテックスによる粒状構造物展開層が、また特開昭57−101760号公報、特開昭57−101761号公報には有機ポリマービーズ間を塗布中に化学結合させる粒状構造物展開層が挙げられるが、これらの粒状構造物展開層は乾燥した塗布物を巻き取る際に展開層表面にかかる巻き取り圧力による展開層表面壊れの問題について考慮されておらず、展開層表面を保護および破壊した粒状物の支持体への転写を防止するための合紙が必要となるなど、製造が複雑であり、安定した製造を実施することが困難である。また、実際の加工工程においては、製品の性質上低湿(8%RH以下)で行うのが望ましい。この環境では、バインダーで接着したビーズ展開層は、剥がれ落ちるなどの問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開昭55−164356号公報
【特許文献2】特開昭57−66359号公報
【特許文献3】特開昭60−222769号公報
【特許文献4】特公昭53−21677号公報
【特許文献5】特公平6−4039号公報
【特許文献6】特公昭63−43701号公報
【特許文献7】特開昭57−182166号公報
【特許文献8】特開昭57−101760号公報
【特許文献9】特開昭57−101761号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記した従来技術の問題点を解消することを解決すべき課題とした。即ち、本発明は、低湿度環境下(10%RH以下)で加工可能な展開層を有する乾式多層分析要素を提供することを解決すべき課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、水不透過性光透過性平面支持体の片面上に、少なくとも1つの機能層と少なくとも1つの粒状構造物展開層がこの順に積層一体化された液体試料分析用多層分析材料において、粒状構造物展開層を、有機または無機ポリマー粒子と有機ポリマー接着剤から構成し、有機ポリマー接着剤の有機ポリマーの分子量を1万以上30万以下とすることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明によれば、水不透過性光透過性平面支持体の片面上に、少なくとも1つの機能層と少なくとも1つの粒状構造物展開層がこの順に積層一体化された液体試料分析用多層分析材料において、粒状構造物展開層が、有機または無機ポリマー粒子と有機ポリマー接着剤から構成されており、有機ポリマー接着剤の有機ポリマーの分子量が1万以上30万以下であることを特徴とする液体試料分析用乾式多層分析要素が提供される。
【0010】
好ましくは、粒状構造物展開層は、水不透過性で、水に膨潤せず、かつ非自己粘着性の有機ポリマーから成る平均粒径1μm〜200μmの有機ポリマー粒子を、有機ポリマー接着剤によって接着することによって形成され、かつ連続空隙を有するように構成されているものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、低湿度環境下(10%RH以下)で加工可能な展開層を有する乾式多層分析要素を提供することができる。さらに本発明によれば、安定した製造が可能である乾式多層分析要素を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の液体試料分析用乾式多層分析要素は、水不透過性光透過性平面支持体の片面上に、少なくとも1つの機能層と少なくとも1つの粒状構造物展開層がこの順に積層一体化されたものであり、粒状構造物展開層が、有機または無機ポリマー粒子と有機ポリマー接着剤から構成されており、有機ポリマー接着剤の有機ポリマーの分子量が1万以上30万以下であることを特徴とする。
【0013】
本発明では、有機ポリマー接着剤として、分子量が1万以上30万以下である有機ポリマーを用いることにより、低湿環境(10%RH以下)で、粒状構造物展開層(ビーズ層)を剥離させた場合に極表層の粒状構造物(ビーズ)のみが剥がれ、粒状構造物展開層(ビーズ層)を形成する粒状構造物(ビーズ)の殆どは残存するという物性が達成される。本発明における粒状構造物展開層は、低湿環境(10%RH以下)において以下の実施例に記載するような剥離試験(剥離試験は、90度剥離でも、180度剥離でも構わない)を行った後に、展開層の粒状構造物(ビーズ)の50%以上が残存するという性質を有していることが好ましい。
【0014】
本発明の液体試料分析用乾式多層分析要素の構成例としては、(1)透明支持体上に、1または複数の機能層が設けられ、さらに該機能層の上に粒状構造物展開層が設けられている液体試料分析用乾式多層分析要素、並びに、(2)透明支持体上に、1または複数の機能層が設けられ、さらに該機能層の上に、試料分析用の試薬を含有する粒状構造物展開層が設けられている液体試料分析用乾式多層分析要素、が挙げられる。即ち、本発明における粒状構造物展開層は、試料分析用の試薬を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【0015】
水不透過性光透過性平面支持体としては、従来公知の乾式分析要素に用いられている水不透過性でかつ光透過性の支持体を用いることができる。水不透過性光透過性支持体の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ビスフェノールAのポリカルボネート、ポリスチレン、セルロースエステル(例、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等)等のポリマーからなる厚さ約50μmから約1mm、好ましくは約80μmから約300μmの範囲のフィルムもしくはシート状の透明支持体を挙げることができる。
【0016】
支持体の表面には必要により下塗層を設けて、支持体の上に設けられる機能層と支持体との接着を強固なものにすることができる。また、下塗層の代りに、支持体の表面を物理的あるいは化学的な活性化処理を施して接着力の向上を図ってもよい。
【0017】
本発明の乾式多層分析要素は、少なくとも1つの粒状構造物展開層を含む。粒状構造物展開層は、水性の検体に含有されている成分を実質的に偏在させることなしに平面的に拡げ、単位面積当りほぼ一定量の割合で、機能層に供給する機能を有する層である。
【0018】
粒状構造物展開層は、1層だけに限定する必要はなく、2層以上の粒状構造物展開層を部分的に配置された接着剤により接着された積層物でもよい。また、粒状構造物展開層には、展開性をコントロールする目的で、親水性のポリマー等の展開制御剤を含ませることができる。更に、すでに上記した通り、目的とする検出反応を行うための試薬、該検出反応を促進するための試薬、あるいは干渉・妨害反応を低減又は阻止する為の各種試薬、もしくはこれらの試薬の一部を含ませることができる。
【0019】
粒状構造物展開層の厚さは、50〜500μm、好ましくは50〜350μm、更に好ましくは80〜150μmである。
【0020】
粒状構造物展開層は、有機または無機ポリマー粒子と有機ポリマー接着剤から構成される。粒状構造物展開層は、さらに好ましくは、水不透過性で、水に膨潤せず、かつ非自己粘着性の有機ポリマーから成る平均粒径1μm〜200μmの有機ポリマー粒子を、有機ポリマー接着剤によって接着することによって形成され、かつ連続空隙を有するように構成されている。
【0021】
粒状構造物展開層を構成する粒子は無機物でもよいが、製造適性の観点から有機ポリマー粒子が好ましい。有機ポリマーの種類は特に限定されないが、水不透過性で、水に膨潤せず、かつ非自己粘着性の有機ポリマーを用いることが好ましい。このような有機ポリマーの具体例としては、ポリ塩化ビニル、コポリ(塩化ビニル−塩化ビニリデン)、ポリ酢酸ビニル、コポリ(エチレン−酢酸ビニル)、ポリエチレン、ポリプロピレン、コポリ(エチレン−プロピレン)、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、コポリ(アクリロニトリル−スチレン)、コポリ(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)、ビスフェノールAのポリカルボネート、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンオキシド、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートなどが挙げられ、さらに、ポリ(スチレン−コ−塩化ビニルベンジル−コ−メタクリル酸)(78/20/2)、ポリ(スチレン−コ−N,N,N−トリメチル−N−ビニルベンジル−塩化アンモニウム−コ−メタクリル酸)(88/10/2)、ポリ(スチレン−コ−ジビニルベンゼン)(98/2)、ポリ(スチレン−コ−ブチルアクリレート−コ−メタクリル酸)(88/10/2)、ポリ(スチレン−コ−メタクリル酸−コ−ジビニルベンゼン)(70/25/5及び98/1/1)、ポリ(塩化ビニルベンジル−コ−メタクリル酸−コ−ジビニルベンゼン)(93/2/5)、ポリ(スチレン−コ−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−コ−メタクリル酸)(88/10/2)、ポリ(スチレン−コ−メタクリル酸)(98/2)、ポリ(ビニルトルエン−コ−p−t−ブチルスチレン−コ−メタクリル酸)(61/37/2)、ポリ(ビニルトルエン−コ−p−t−ブチルスチレン−コ−メタクリル酸−コ−ジビニルベンゼン)(60/37/2/1)、ポリ(メチルメタクリレート−コ−ブチルアクリレート)(70/30)、ポリ(スチレン−コ−アクリロニトリル)(70/30)、ポリ(メチルメタクリレート−コ−N−(m及びp−ビニルベンジル)−N,N−ジメチルアミンヒドロクロリド−コ−エチレンジメタクリレート)(70/20/10)、ポリ(メチルメタクリレート−コ−2−(N,N−ジエチルアミノ)−エチルメタクリレートヒドロクロリド−コ−エチレンジメタクリレート)(70/20/10)などのコポリマーが挙げられる。これらの有機ポリマーは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0022】
本発明では、上記した有機ポリマーから成る有機ポリマー粒子を用いることが好ましい。有機ポリマー粒子の平均粒径は好ましくは1μm〜200μmであり、さらに好ましくは5μm〜100μmである。
【0023】
粒状構造物展開層を構成する有機ポリマー接着剤としては、分子量が1万以上30万以下のポリマーを使用する。好ましくは分子量1万以上20万以下、さらに好ましくは分子量1万以上10万以下、特に好ましくは分子量1万以上5万以下のポリマーを使用することができる。分子量が1万未満のポリマーを使用するとバインダー機能が低下して好ましくなく、また分子量が30万より大きいポリマーを使用すると、加工工程において粒状構造物展開層が剥離しやすくなるため加工適性が低下し、好ましくない。
【0024】
本発明で使用できる有機ポリマー接着剤としては、親水性有機ポリマー又は疎水性有機ポリマーが挙げられる。接着剤として用いることができる親水性有機ポリマーとしては、ゼラチン、アガロース、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。また、接着剤として用いることができる疎水性有機ポリマーとしては、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリイソブチレン、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルベンジルアルコール、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、フェノール樹脂、メラニン樹脂、エポキシ樹脂など接着剤として用いられる公知のポリマーのほか、ポリ(ブチルアクリレート−コ−スチレン−コ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)(70/20/10)、ポリ(ブチルアクリレート−コ−スチレン−コ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)(76/21/3)、ポリ(エチルアクリレート−コ−アクリル酸−コ−2−アセトアセトキシエチルメタクリレート−コ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)(71/24/4/1)及び(67/16/16/1)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート−コ−2−アセトアセトキシエチルメタクリレート)(15/85)(Tg=−20℃)、ポリ(ブチルアクリレート−コ−アクリル酸)(75/25)、ポリ(ブチルアクリレート−コ−アクリル酸−コ−メタクリル酸−コ−エチルアクリロイルアセテート)(70/5/15/10)、ポリ(ブチルアクリレート−コ−アクリル酸−コ−エチルアクリロイルアセテート)(75/15/10)、ポリ(ブチルアクリレート−コ−メタクリル酸−コ−2−アセトアセトキシエチルメタクリレート)(56/34/10)、ポリ(ブチルアクリレート−コ−スチレン)(70/30)、ポリ(ブチルアクリレート−コ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸−コ−アセトアセトキシエチルメタクリレート)(85/10/5)、ポリ(ブチルアクリレート−コ−アクリル酸−コ−2−アセトアセトキシエチルメタクリレート−コ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)(67/16/16/1)、ポリ(ブチルメタクリレート−コ−スチレン)(90/10)、ポリ(エチルアクリレート−コ−スチレン)(70/30)、ポリ(ブチルアクリレート−コ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)(90/10)、ポリ(ブチルアクリレート−コ−スチレン)(50/50)、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート−コ−アクリル酸−コ−2−アセトアセトキシエチルメタクリレート−コ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)(67/16/16/1)、ポリ(ブチルメタクリレート−コ−メタクリル酸)(70/30)、ポリ(エチルアクリレート−コ−アクリル酸)(80/20)又は(70/30)、ポリ(ブチルアクリレート−コ−スチレン−コ−2−アセトアセトキシエチルメタクリレート−コ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)(70/22/6/2)、ポリ(ブチルアクリレート−コ−スチレン−コ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸−コ−ジビニルベンゼン)(69/20/10/1)、ポリ(アクリルアミド−コ−2−アセトアセトキシエチルメタクリレート)(20/80)又は(15/85)などが挙げられる。
【0025】
また、試薬を含有している粒状構造物展開層は、予め試薬を粒状構造物展開層を形成するための塗布液に含有させて、塗布、乾燥させることにより作製できる。また、別法として粒状構造物展開層上に試薬溶液を塗布後乾燥させることにより作製できるが、特に手段は、限定しない。
【0026】
本発明の乾式多層分析要素は、少なくとも1つの機能層を含む。機能層の数は1以上であれば特に限定されず、1層でもよいし、2層以上の複数の層とすることもできる。
【0027】
機能層の具体例としては、展開層と機能層を接着する接着層、液状試薬を吸水する吸水層、化学反応により生成した色素の拡散を防止する媒染層、ガスを選択的に透過させるガス透過層、層間での物質移動を抑制・促進させる中間層、内因性物質を除去する除去層、反射測光を安定に行うための光遮蔽層、内因性色素の影響を抑制する色遮蔽層、血球と血漿を分離する分離層、分析対象物と反応する試薬を含む試薬層、発色剤を含む発色層などが挙げられる。
【0028】
本発明の一例としては、例えば、支持体の上には、場合によっては下塗層等の他の層を介して、機能層として親水性ポリマー層を設けることができる。親水性ポリマー層としては、例えば、無孔性、吸水性かつ水浸透性の層であり、基本的に親水性ポリマーのみなる吸水層、親水性ポリマーをバインダーとし発色反応に直接関与する発色試薬の一部又は全部を含む試薬層、及び親水性ポリマー中に発色色素を固定し不動にする成分(例:媒染剤)を含有する検出層などを設けることができる。
【0029】
(試薬層)
試薬層は水性液体中の被検成分と反応して光学的に検出可能な変化を生じる試薬組成物の少なくとも一部が親水性ポリマーバインダー中に実質的に一様に分散されている吸水性で水浸透性の層である。この試薬層には指示薬層、発色層なども含まれる。
【0030】
試薬層のバインダーとして用いることができる親水性ポリマーは、一般には水吸収時の膨潤率が30℃で約150%から約2000%、好ましくは約250%から約1500%の範囲の天然または合成親水性ポリマーである。そのような親水性ポリマーの例としては、特開昭60−108753号公報等に開示されているゼラチン(例、酸処理ゼラチン、脱イオンゼラチン等)、ゼラチン誘導体(例、フタル化ゼラチン、ヒドロキシアクリレートグラフトゼラチン等)、アガロース、プルラン、プルラン誘導体、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等をあげることができる。
【0031】
試薬層は架橋剤を用いて適宜に架橋硬化された層とすることができる。架橋剤の例として、ゼラチンに対する1,2−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)エタン、ビス(ビニルスルホニルメチル)エーテル等の公知のビニルスルホン系架橋剤、アルデヒド等、メタリルアルコールコポリマーに対するアルデヒド、2個のグリシジル基含有エポキシ化合物等がある。
【0032】
試薬層の乾燥時の厚さは約1μmから約100μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは約3μmから約30μmの範囲である。また試薬層は実質的に透明であることが好ましい。
【0033】
本発明の乾式多層分析要素の試薬層やその他の層に含める試薬としては、被験物質に応じてその検出に適した試薬を選択することができる。
例えば、アンモニア(被験物質がアンモニア又はアンモニア生成物質である場合)を分析する場合には、呈色性アンモニア指示薬として、ロイコシアニン染料、ニトロ置換ロイコ染料およびロイコフタレイン染料のようなロイコ染料(米国再発行特許第30267号明細書または特公昭58−19062号公報記載):ブロムフェノールブルー、ブロムクレゾールグリーン、ブロムチモールブルー、キノリンブルーおよびロゾール酸のようなpH指示薬(共立出版(株)、化学大辞典、第10巻63〜65頁参照):トリアリールメタン系染料前駆体: ロイコベンジリデン色素(特開昭55−379号および特開昭56−145273号各公報に記載):ジアゾニウム塩とアゾ染料カプラー:塩基漂白可能染料等を用いることができる。バインダーの重量に対する呈色性アンモニア指示薬の配合量は約1〜20重量%の範囲内であることが好ましい。
【0034】
被験物質であるアンモニア生成物質と反応してアンモニアを生成させる試薬は、酵素または酵素を含有する試薬であることが好ましく、被験物質であるアンモニア生成物質の種類に応じて、分析に適した酵素を選択して用いることができる。上記試薬として酵素を用いる場合には、その酵素の特異性からアンモニア生成物質と試薬の組み合わせが決定される。アンモニア生成物質と試薬としての酵素の組合せの具体例としては、尿素:ウレアーゼ、クレアチニン:クレアチニンデイミナーゼ、アミノ酸:アミノ酸デヒドロゲナーゼ、アミノ酸:アミノ酸オキシダーゼ、アミノ酸:アンモニアリアーゼ、アミン:アミンオキシダーゼ、ジアミン:アミンオキシダーゼ、グルコースおよびホスホアミダート:ホスホアミダートヘキソースホスホトランスフェラーゼ、ADP:カルバミン酸塩キナーゼおよび燐酸カルバモル、酸アミド:アミドヒドロラーゼ、ヌクレオ塩基:ヌクレオ塩基デアミナーゼ、ヌクレオシド/ヌクレオシドデアミナーゼ、ヌクレオチド:ヌクレオチドデアミナーゼ、グアニン:グアナーゼ等を挙げることができる。アンモニアを分析する場合の試薬層に用いることができるアルカリ性緩衝剤としては、pHが7.0〜12.0、好ましくは7.5〜11.5の範囲の緩衝剤を用いることができる。
【0035】
アンモニアを分析する場合の試薬層には、アンモニア生成物質と反応してアンモニアを生成させる試薬、アルカリ性緩衝剤およびフィルム形成能を有する親水性ポリマーバインダー以外にも必要に応じて湿潤剤、バインダー架橋剤(硬化剤)、安定剤、重金属イオントラップ剤(錯化剤)等を含有させることができる。重金属イオントラップ剤は、酵素活性を阻害するような重金属イオンをマスキングするために使用されるものである。重金属イオントラップ剤の具体例としては、EDTA・2Na、EDTA・4Na、ニトリロトリ酢酸(NTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸のようなコンプレクサン(complexane)を挙げることができる。
【0036】
グルコース測定試薬組成物の例としては、米国特許3,992,158;特開昭54−26793;特開昭59−20853;特開昭59−46854;特開昭59−54962等に記載のグルコースオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、4−アミノアンチピリン又はその誘導体、1,7−ジヒドロキシナフタレンを含む改良Trinder試薬組成物がある。
【0037】
(光遮蔽層)
前記試薬層の上に必要に応じて光遮蔽層を設けることができる。光遮蔽層は、光吸収性または光反射性(これらを合わせて光遮蔽性という。)を有する微粒子が少量の被膜形成能を有する親水性ポリマーバインダーに分散保持されている水透過性または水浸透性の層である。光遮蔽層は試薬層にて発生した検出可能な変化(色変化、発色等)を光透過性を有する支持体側から反射測光する際に、後述する展開層に点着供給された水性液体の色、特に試料が全血である場合のヘモグロビンの赤色等、を遮蔽するとともに光反射層または背景層としても機能する。
【0038】
光反射性を有する微粒子の例としては、二酸化チタン微粒子(ルチル型、アナターゼ型またはブルカイト型の粒子径が約0.1μmから約1.2μmの微結晶粒子等)、硫酸バリウム微粒子、アルミニウム微粒子または微小フレーク等を挙げることができ、光吸収性微粒子の例としては、カーボンブラック、ガスブラック、カーボンミクロビーズ等を挙げることができ、これらのうちでは二酸化チタン微粒子、硫酸バリウム微粒子が好ましい。特に好ましいのは、アナターゼ型二酸化チタン微粒子である。
【0039】
被膜形成能を有する親水性ポリマーバインダーの例としては、前述の試薬層の製造に用いられる親水性ポリマーと同様の親水性ポリマーのほかに、弱親水性の再生セルロース、セルロースアセテート等を挙げることができ、これらのうちではゼラチン、ゼラチン誘導体、ポリアクリルアミド等が好ましい。なお、ゼラチン、ゼラチン誘導体は公知の硬化剤(架橋剤)を混合して用いることができる。
【0040】
光遮蔽層は、光遮蔽性微粒子と親水性ポリマーとの水性分散液を公知の方法により試薬層の上に塗布し乾燥することにより設けることができる。また光遮蔽層を設ける代りに、前述の展開層中に光遮蔽性微粒子を含有させてもよい。
【0041】
(接着層)
試薬層の上に、場合によっては光遮蔽層等の層を介して、展開層を接着し積層するために接着層を設けてもよい。
【0042】
接着層は水で湿潤しているとき、または水を含んで膨潤しているときに展開層を接着することができ、これにより各層を一体化できるような親水性ポリマーからなることが好ましい。接着層の製造に用いることができる親水性ポリマーの例としては、試薬層の製造に用いられる親水性ポリマーと同様な親水性ポリマーがあげられる。これらのうちではゼラチン、ゼラチン誘導体、ポリアクリルアミド等が好ましい。接着層の乾燥膜厚は一般に約0.5μmから約20μm、好ましくは約1μmから約10μmの範囲である。
【0043】
なお、接着層は試薬層上以外にも、他の層間の接着力を向上させるため所望の層上に設けてもよい。接着層は親水性ポリマーと、必要によって加えられる界面活性剤等を含む水溶液を公知の方法で、支持体や試薬層等の上に塗布する方法などにより設けることができる。
【0044】
(吸水層)
本発明の乾式多層分析要素には、支持体と試薬層の間に吸水層を設けることができる。吸水層は水を吸収して膨潤する親水性ポリマーを主成分とする層で、吸水層の界面に到達または浸透した水性液体試料の水を吸収できる層であり、全血試料を用いる場合には水性液体成分である血漿の試薬層への浸透を促進する作用を有する。吸水層に用いられる親水性ポリマーは前述の試薬層に使用されるもののなかから選択することができる。吸水層には一般的にはゼラチンまたはゼラチン誘導体、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、特に前述のゼラチン又は脱イオンゼラチンが好ましく、試薬層と同じ前述のゼラチンが最も好ましい。吸水層の乾燥時の厚さは約3μmから約100μm、好ましくは約5μmから約30μmの範囲、被覆量では約3g/m2から約100g/m2、好ましくは約5g/m2から約30g/m2の範囲である。吸水層には後述するpH緩衝剤、公知の塩基性ポリマー等を含有させて使用時(分析操作実施時)のpHを調節することができる。さらに吸水層には公知の媒染剤、ポリマー媒染剤等を含有させることができる。
【0045】
(検出層)
検出層は、一般に、被検成分の存在下で生成した色素等が拡散し、光透過性支持体を通して光学的に検出され得る層で、親水性ポリマーにより構成することができる。媒染剤、例えばアニオン性色素に対してカチオン性ポリマーを、含んでもよい。吸水層は、一般に、被検成分の存在下で生成する色素が実質的に拡散しないような層を言い、この点で検出層とは区別される。
【0046】
試薬層、吸水層、接着層、展開層等には界面活性剤を含有させることができる。その例としてノニオン性界面活性剤がある。ノニオン性界面活性剤の具体例として、p−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、p−ノニルフェノキシポリエトキシエタノール、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、p−ノニルフェノキシポリグリシドール、オクチルグルコシド等がある。ノニオン性界面活性剤を展開層に含有させることにより水性液体試料の展開作用(メータリング作用)がより良好になる。ノニオン性界面活性剤を試薬層又は吸水層に含有させることにより、分析操作時に水性液体試料中の水が試薬層または吸水層に実質的に一様に吸収されやすくなり、また展開層との液体接触が迅速に、かつ実質的に一様になる。
【0047】
本発明の乾式多層分析要素が対象とする被検物質は特に限定されず、任意の液体試料(例えば、全血、血漿、血清、リンパ液、尿、唾液、髄液、膣液などの体液;あるいは飲料水、酒類、河川水、工場廃水等)中の特定成分を分析することができる。例えば、アルブミン(ALB)、グルコース、尿素、ピリルビン、コレステロール、タンパク質、酵素(例えば、乳酸脱水素酵素、CPK(クレアチンキナーゼ)、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)、AST(アスパルテートアミノトランスフェラーゼ)、GGT(γ−グルタミルトランスペプチダーゼ)等の血中酵素)などを分析することができる。
【0048】
本発明の乾式多層分析要素は、公知の方法により調製することができる。溶血試薬は塗布または含浸される試薬水溶液に予め加えておけばよい。他の方法としては、単独又は界面活性剤・展開面積制御のための親水性ポリマーなどを含む水溶液、有機溶媒(エタノール、メタノールなど)溶液又は水−有機溶媒混合液溶液を展開層の上から塗布して含浸させることもできる。これを用いた被験物質の分析も公知の方法に従って行なうことができる。
【0049】
例えば、本発明の乾式多層分析要素は、一辺約5mmから約30mmの正方形またはほぼ同サイズの円形等の小片に裁断し、特公昭57−283331号公報(対応米国特許4,169,751)、実開昭56−142454号公報(対応米国特許4,387,990)、特開昭57−63452号公報、実開昭58−32350号公報、特表昭58−501144号公報(対応国際公:WO083/00391)等に記載のスライド枠に収めて化学分析スライドとして用いることができ、これは製造,包装,輸送,保存,測定操作等の観点で好ましい。使用目的によっては、長いテープ状でカセットまたはマガジンに収めて用いたり、又は小片を開口のある容器内に収めて用いたり、又は小片を開口カードに貼付または収めて用いたり、あるいは裁断した小片をそのまま用いることなどもできる。
【0050】
本発明の乾式多層分析要素は、例えば約2μL〜約30μL、好ましくは4μL〜15μLの範囲の水性液体試料液を、粒状構造物展開層に点着する。点着した乾式多層分析要素を約20℃〜約45℃の範囲の一定温度で、好ましくは約30℃〜約40℃の範囲内の一定温度で1〜10分間インキュベーションする。乾式多層分析要素内の発色又は変色を光透過性支持体側から反射測光し、予め作成した検量線を用いて比色測定法の原理により検体中の被験物質の量を求めることができる。
【0051】
測定操作は特開昭60−125543号公報、特開昭60−220862号公報、特開昭61−294367号公報、特開昭58−161867号公報(対応米国特許4,424,191)などに記載の化学分析装置により極めて容易な操作で高精度の定量分析を実施できる。なお、目的や必要精度によっては目視により発色の度合いを判定して、半定量的な測定を行ってもよい。
【0052】
本発明の乾式多層分析要素は、分析を行うまでは乾燥状態で貯蔵・保管されるため、試薬を用時調製する必要がなく、また一般に乾燥状態の方が試薬の安定性が高いことから、試薬溶液を用時調製しなければならないいわゆる湿式法より簡便性、迅速性に優れている。また、微量の液体試料で、精度の高い検査を迅速に行うことができる検査方法としても優れている。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0053】
実施例1:水溶性高分子接着層を有する尿酸測定用乾式分析要素の作製
ゼラチン下塗りされている180μmのポリエチレンテレフタレ−ト無色透明平滑フィルムに下記組成の水溶液(pH=7.0)を、乾燥後の厚さが14μmになるように塗布し、乾燥した。
【0054】
界面活性剤 11.63 g/m2
ゼラチン 16.34 g/m2
ホウ酸 0.03 g/m2
塩化カリウム 0.03 g/m2
ロイコ色素 0.31 g/m2
ウリカーゼ 0.59 KU/m2
ペルオキシダーゼ 15.09 KU/m2
ここで、界面活性剤は、ポリオキシ(2−ヒドロキシ)プロピレンノニルフェニルエーテル(Surfactant 10G、オーリン社製)を 用いた。
【0055】
上記の層上に下記組成の水溶液(pH=9.5)を、塗布・乾燥した。
ヒドロキシプロピルセルロース 3.9 g/m2
ホウ酸 0.46 g/m2
塩化カリウム 0.40 g/m2
界面活性剤 0.62 g/m2
【0056】
次に、下記組成のビーズ分散溶液を359.5g/m2塗布・乾燥させた。
ポリビニルピロリドン(分子量10,000) 3.6 g/m2
界面活性剤 2.2 g/m2
架橋ポリメチルメタクリレートビーズ 197 g/m2
【0057】
実施例2
下層の2つの層は実施例と全く同一の処方であり、次に、分子量10,000のポリビニルピロリドンバインダーを使用する代わりに、下記組成のエタノール溶液を塗布・乾燥した。
ポリビニルピロリドン(分子量40,000) 3.6 g/m2
界面活性剤 2.2 g/m2
架橋ポリメチルメタクリレートビーズ 197 g/m2
【0058】
比較例1
下層の2つの層は実施例と全く同一の処方であり、次に、分子量10,000のポリビニルピロリドンバインダーを使用する代わりに、下記組成のエタノール溶液を塗布・乾燥した。
ポリビニルピロリドン(分子量630,000) 3.6 g/m2
界面活性剤 2.2 g/m2
架橋ポリメチルメタクリレートビーズ 197 g/m2
【0059】
比較例2
下層の2つの層は実施例と全く同一の処方であり、次に、分子量10,000のポリビニルピロリドンバインダーを使用する代わりに、下記組成のエタノール溶液を塗布・乾燥した。
ポリビニルピロリドン(分子量1,200,000) 3.6 g/m2
界面活性剤 2.2 g/m2
架橋ポリメチルメタクリレートビーズ 197 g/m2
【0060】
試験例:剥離試験
前記、実施例1及び2並びに比較例1及び2の4種類の塗布物について、低湿環境下(25℃/5.2%RH)で、剥離試験を実施した。剥離試験は、下記順序にて実施した。
(a)塗布物を12mm×50mmのストリップ状に切り出す。
(b)ビーズ展開層全面を覆うように粘着性のテープを貼り付ける。
(c)東洋ボールド社製「万能引張試験機(UTM‐II-20)」を用いて、10mm/minで測定する。
いずれのサンプルも100g以下の弱い力で剥がれた。
【0061】
(剥離による剥がれ量比)
剥離試験前後の重量を測定して、剥がしによるビーズの残存率を算出した。
【0062】
【表1】

【0063】
表1の結果より、分子量30万以上のポリマーを用いると、ストレスにより展開層の殆どが脱落することがわかる。従って、加工等のストレスによりNG率が高く生産性が悪化する危険性がある。これに対し、分子量1万以上30万以下のポリマーを用いると、残存ビーズ率が高く、展開層の脱落が少ない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水不透過性光透過性平面支持体の片面上に、少なくとも1つの機能層と少なくとも1つの粒状構造物展開層がこの順に積層一体化された液体試料分析用多層分析材料において、粒状構造物展開層が、有機または無機ポリマー粒子と有機ポリマー接着剤から構成されており、有機ポリマー接着剤の有機ポリマーの分子量が1万以上30万以下であることを特徴とする液体試料分析用乾式多層分析要素。
【請求項2】
粒状構造物展開層が、水不透過性で、水に膨潤せず、かつ非自己粘着性の有機ポリマーから成る平均粒径1μm〜200μmの有機ポリマー粒子を、有機ポリマー接着剤によって接着することによって形成され、かつ連続空隙を有するように構成されているものである、請求項1に記載の液体試料分析用乾式多層分析要素。



【公開番号】特開2006−90861(P2006−90861A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−277143(P2004−277143)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】