説明

多層型化粧料

【課題】使用時に振盪により容易に均一に混合して白濁の乳化状態になり、静置すると速やかに分離する多層型化粧料の提供。
【解決手段】下記、(A)〜(D)成分を含有し、静置時には少なくとも乳化層及び水層の二層以上の層構造を有することを特徴とする多層型化粧料であって、pHが6.5〜8.5である多層型化粧料。
(A)HLBが6.5以下のポリオキシエチレンアルキルエーテル
(B)HLBが8〜15のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
(C)1気圧、25℃で液状の油剤
(D)多糖類

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は静置時には少なくとも乳化層及び水層の二層以上の層構造を有する多層型化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、使用前には多層に分離しており、使用時に振盪して混合した後、皮膚に適用する多層型化粧料が知られている。この多層型化粧料は、振盪することにより均一な乳液状や粉末分散状となり、これを静置することにより分散した油分や粉末が上部または下部に集まり、再び多層状となるものである(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
このような多層型化粧料は、液状の化粧料で、水層−油層、水層−粉末層の二層により構成されることが多く、片方の層または両方の層ともに着色剤を配合させて色付けすることにより、静置して多層に分離した状態での外観上の美しさを付与することができる。
【0004】
しかし、着色剤を配合した場合、使用時に皮膚に着色剤が付着し、美観的に好ましくない場合があった。そこで、少なくとも一層に着色剤を添加する代わりに不透明の乳化層とし、多層に分離した状態での外観上の美しさを維持することが検討されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−112811号公報
【特許文献2】特許第3975060号公報
【特許文献3】特許第4183872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2に記載される多層型化粧料においては、振盪後、水と油に直ぐに分離してしまい、乳化層を安定に存在させることを意図するものではなかった。また、特許文献3に記載される多層型化粧料は、白濁した乳化層と、透明水層とに分離している二層型化粧料であるが、乳化層と水層に分離しにくく、きれいな二層に戻るまでに時間がかかる。また、経時使用時に、乳化層に油浮きや分離が生じやすく、経時安定性が悪いなど、多層型化粧料として満足するものを得ることができなかった。
【0007】
従って、本発明の課題は、静置時には少なくとも乳化層及び水層の二層以上の層構造を有する多層型化粧料であって、経時安定性に優れ、再分散・分離性、使用感に優れた多層型化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、種々の界面活性剤と増粘剤の組み合わせを用いて経時安定性に優れた多層型化粧料を得るべく種々検討した結果、特定のHLBのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、多糖類を併用することで、静置時には少なくとも乳化層及び水層の二層以上の層構造を有する多層型化粧料が得られることを見出し、さらにpHの条件を検討した結果、経時安定性、使用感にも優れた多層型化粧料が得られることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は下記(A)〜(D)成分を含有し、静置時には少なくとも乳化層及び水層の二層以上の層構造を有することを特徴とする多層型化粧料であって、pHが6.5〜8.5である多層型化粧料を提供するものである。
(A)HLBが6.5以下のポリオキシエチレンアルキルエーテル
(B)HLBが8〜15のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
(C)1気圧、25℃で液状の油剤
(D)多糖類
【発明の効果】
【0010】
分離した時の界面が明瞭であり、再分散性に優れ、べたつかないなどの使用感、経時安定性に優れた多層型化粧料が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明において「多層型」とは、25℃の環境下で、静置時には少なくとも乳化層及び水層の二層以上の層構造を有することを意味し、例えば、乳化層−水層、乳化層−水層−粉体層などの層構成を取ることができる。
【0012】
本発明で用いる(A)HLBが6.5以下のポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、平均ポリオキシエチレン数とアルキル基の炭素数によりHLBが6.5以下になっているものであればよく、具体的にはセテス−1(HLB:3.3)、オクチルドデセス−2(HLB:4.1)、ステアレス−2(HLB:4.4)、イソステアレス−2(HLB:4.5)、オレス−2(HLB:4.5)、セテス−2(HLB:4.9)、セテアレス−2(HLB:4.6)、イソステアレス−3(HLB:5.7)、オレス−3(HLB:5.7)、ステアレス−3(HLB:5.6)、セテアレス−3(HLB:5.9)、トリデセス−2(HLB:5.7)、ノノキシノール−2(HLB:6.0)、ラウレス−2(HLB:6.1)等を挙げることができる。
【0013】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルのHLBは、再分散性、経時安定性を向上させる点から、6.5以下であることが好ましく、3〜6.5がより好ましく、4〜6がさらに好ましい。
【0014】
本発明において、HLB(Hydrophile−Lipophile Balance)は、HLB=(Σ無機性値/Σ有機性)×10により計算される。ここで、「無機性値」、「有機性値」のそれぞれについては、例えば、分子中の炭素原子1個について「有機性値」が20、同水酸基1個について「無機性値」が100といったように、各種原子又は官能基に応じた「無機性値」、「有機性値」が設定(例えば、甲田善生 著、「有機概念図―基礎と応用―」11頁〜17頁、三共出版 1984年発行 参照)されており、有機化合物中の全ての原子及び官能基の「無機性値」、「有機性値」を積算することによって、当該有機化合物のHLB値が算出される。
【0015】
(A)成分の化粧料総量に対する含有量は、経時安定性の向上、べたつき・ぬるつき感を抑える点から、0.1〜5質量%とするのが好ましく、より好ましくは0.1〜3質量%であり、0.1〜1.5質量%がさらに好ましい。
【0016】
本発明で用いる(B)HLBが8〜15のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、平均ポリオキシエチレン数15以上のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が挙げられ、具体的にはポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油(HLB:9.4)、ポリオキシエチレン(30)硬化ヒマシ油(HLB:11)、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油(HLB:12.1)、ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油(HLB:12.9)、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油(HLB:13.6)、ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油(HLB:14.6)等を挙げることができる。
【0017】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のHLBは、再分散性、経時安定性を向上させる点から、8〜15が好ましく、9〜15がより好ましく、9〜14がさらに好ましい。
【0018】
(B)成分の化粧料総量に対する含有量は、経時安定性の向上、べたつき・ぬるつき感を抑える点から、0.1〜5質量%とするのが好ましく、より好ましくは0.1〜3質量%であり、0.5〜1.5質量%がさらに好ましい。
【0019】
本発明化粧料中の(A)成分と(B)成分の含有質量比(A/B)は、経時安定性の向上、べたつき、ぬるつき感を抑える点から、0.05〜5が好ましく、0.1〜2がより好ましい。
【0020】
本発明における(C)液状の油剤としては、1気圧下、25℃の環境下において流動性を有する油剤であれば特に限定されない。具体的には、α−オレフィンオリゴマー、軽質流動イソパラフィン、軽質流動パラフィン、重質流動イソパラフィン、重質流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素;トリオクタン酸グリセリル、アボカド油、オリーブ油、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、ダイズ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマシ油、綿実油、ミンク油等のトリグリセリド;オレイン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸;セバシン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、カプリル酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、ジオレイン酸プロピレングリコール、オレイン酸イソデシル、イソステアリン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸ステアリル、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル等のエステル油;2−オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等の分岐又は不飽和の高級アルコール;ジメチルポリシロキサン、トリス(トリメチルシロキシ)メチルシラン等のシリコーン油などを挙げることができる。これらの油剤は1種又は2種以上を用いることができる。
【0021】
これらのうち、好ましくはα−オレフィンオリゴマー、重質流動イソパラフィン、重質流動パラフィン、アボカド油、オリーブ油、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルである。
【0022】
本発明においては、(C)1気圧、25℃で液状の油剤100質量部中に、重質流動イソパラフィン及び/又は重質流動パラフィンを5〜60質量部含有することが好ましく、より好ましくは10〜50質量部、さらに好ましくは15〜40質量部含有することが、経時安定性を高め、良好な使用感を得る点で好ましい。
【0023】
(C)成分の化粧料総量に対する含有量は、べたつき・ぬるつき感を抑える点から、5〜20質量%とするのが好ましく、より好ましくは8〜17質量%であり、10〜15質量%がさらに好ましい。
【0024】
本発明における(D)多糖類は、加水分解によって10分子以上の単糖類を生じる多糖類(Cl(H2O)mで表される炭水化物;l、mは整数。)である。ここで、単糖類として具体的には、D−エリツルロース、D−エリトロース、D−トレオース等のテトロース類、D−アラビノース、L−アラビノース、D−キシロース、D−リキソース、L−リキソース、D−リボース等のアルドペントース類、D−キシルロース、L−キシルロース、D−リブロース、L−リブロース等のケトペントース類、D−ガラクトース、L−ガラクトース、D−グルコース、D−タロース、D−マンノース等のアルドヘキソース類、L−ソルボース、D−タガトース、D−プシコース、D−フルクトース等のケトヘキソース類、D−アピオース、D−ハマメロース等の分枝糖類などが挙げられる。
【0025】
多糖類の具体例としては、グアーガム、ローカストビーンガム、クイーンスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアゴム、トラガント、ペクチン、キサンタンガム、デキストリン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸及び/又はその塩、コンドロイチン硫酸及び/又はその塩等の天然多糖類;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カチオン化セルロース、アルギン酸及び/又はその塩、アルギン酸プロピレングリコール、可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプン等の合成あるいは半合成多糖類が挙げられる。これらのうち好ましくは、アルギン酸及び又はその塩、カラギーナン、キサンタンガムである。ここで、塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、トリエタノ−ルアミンやトリエチルアミン等の有機アミン塩、アンモニウム塩、アルギニンやリジン等の塩基性アミノ酸塩等が好ましく例示でき、市場での入手のしやすさから、アルカリ金属塩が好ましく、より好ましくはナトリウム塩である。
【0026】
特に陰イオン性多糖類であるアルギン酸又はその塩とカラギーナンを併用することが経時安定性を高めるために好ましい。
【0027】
(D)成分の化粧料総量に対する含有量は、べたつき・ぬるつき感を抑える点から、0.01〜5質量%とするのが好ましく、より好ましくは0.05〜2質量%であり、0.1〜1質量%がさらに好ましい。
【0028】
本発明ではさらに経時安定性を向上させるために、(E)炭素数1〜3の飽和1価アルコールを併用することが好ましい。炭素数1〜3の飽和1価アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどが挙げられる。
【0029】
(E)成分の化粧料総量に対する含有量は、特に限定されるものではないが、経時安定性を向上する点から、化粧料の総量に対して、1〜10質量%が好ましく、より好ましくは2〜8質量%であり、さらに好ましくは3〜7質量%である。
【0030】
本発明では使用感の調整のため、(F)多価アルコールをさらに併用することが好ましい。具体的には、プロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等の炭素数2〜6の2価アルコール;グリセリン、イソプレングリコール等の炭素数3〜6の3価アルコール等が挙げられる。これらのうち、好ましくはプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールである。(F)多価アルコールの化粧料中の含有量は、所望する使用感により、適宜変更することができるが、化粧料総量に対して1〜35質量%が好ましく、さらに好ましくは、5〜25質量%である。
【0031】
本発明の多層型化粧料中の水の含有量は、多層状態を形成できる量であればよく、再分離、再分散性を高めるため、30質量%以上が好ましく、40〜90質量%がより好ましく、55〜75質量%がさらに好ましい。
【0032】
本発の多層型化粧料のpHは、25℃の環境下において、6.5〜8.5であることが必要であり、pHが6.5未満の場合には、経時安定性が低下する傾向があり、8.5超の場合、ベタツキやヌルツキが強く感じられる傾向がある。
【0033】
本発明の多層型化粧料は、静置時には、少なくとも白濁した乳化層及び水層である二層以上の多層分離状態を保ち、使用時に簡単な振盪で容易に白濁乳化状態(水中油型乳化形が好ましい)にでき、使用後は安定性及び美観の観点から短時間で元の多層分離状態に復帰する。
【0034】
また、本発明の多層型化粧料には、上記成分の他に、目的に応じて本発明の効果を損なわない範囲内で、1気圧、25℃の環境下で固形の油剤(高級アルコール類、脂肪酸類、エステル類、ステロール類、ステロール脂肪酸エステル類、炭化水素類、油脂類)、水溶性高分子、植物エキス、ビタミン類、酸化防止剤、防菌防腐剤、消炎剤、昆虫忌避剤、生理活性成分、塩類、キレート剤、中和剤、pH調整剤、香料等を配合することができる。
【0035】
ただし、1気圧、25℃で固形の油剤を多く配合すると、低温経時安定性が低下する傾向があるため、実質的に配合しない方が好ましく、具体的には化粧料総量に対して3質量%以下、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下とすることが好ましい。
【0036】
本発明の化粧料の剤形は、特に制限されず、例えばエマルション、ジェル状、スプレー状、ムース状等のものとして調製することができる。
【0037】
本発明の化粧料の用途としては、化粧料として特に制限なく利用できるが、シャンプー、リンス、コンディショナーなどの毛髪化粧料、洗顔料、クレンジング化粧料、ローション、乳液、クリーム、美容液、日焼け止め化粧料、パック、マッサージ化粧料などの皮膚化粧料として好適に利用できる。これらのうち、特にローション、乳液等のスキンケア化粧料として適用するのが好ましい。
【実施例】
【0038】
次に実施例によって、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例での含有量の単位は、全て質量%である。
【0039】
実施例1〜7及び比較例1〜7
表1に示した処方に従い、多層型化粧料を調整した。これらを用いて、下記の(1)官能性試験、(2)経時安定性試験、(3)pH測定、(4)再分離性試験を実施し、それぞれ評価した。結果は表1に併せて示した。
【0040】
(1)官能性試験
10名の評価パネラーに各試料を使用してもらい、塗布後の「肌おさまり」、「べたつき・ヌルツキ」について下記評価基準に基づき、それぞれ評価した。
【0041】
(肌おさまり評価基準)
4:良好である
3:少し肌おさまりが悪い
2:肌おさまりが悪い
1:肌おさまりが悪く不快である
【0042】
(ベタツキ・ヌルツキ評価基準)
4:ベタツキ・ヌルツキを感じない
3:僅かにベタツキ・ヌルツキを感じる
2:ベタツキ・ヌルツキを感じる
1:ベタツキ・ヌルツキを強く感じる
【0043】
(評価)
○:評価パネラーの平均点が3.5以上
△:評価パネラーの平均点が2.5〜3.5未満
×:評価パネラーの平均点が2.5未満
【0044】
(2)経時安定性試験
表1に示した多層型化粧料をガラス瓶に入れ、50℃、−10℃の恒温槽にそれぞれ1ヶ月間保管した。調製直後の状態を基準として、1ヶ月後の外観の変化を目視により下記基準に基づいて判定した。
なお、下記の評価基準の「分離」は、静置後、化粧料が多層に分離している際に、乳化層中の油分が分離してしまっている状態をいい、本試験は乳化層の経時安定性に関する。
【0045】
(評価基準)
○:問題なし
△:極めて軽微な析出、分離等
×:析出、分離
【0046】
(3)pH測定
多層型化粧料を十分に振盪(10回)し、その直後のpHの値を、25℃の環境下でデジタルpHメーター(HORIBA社製)を用い測定した。
【0047】
(4)再分離性試験
多層型化粧料を十分に振盪(10回)し、均一な白濁乳化状態とした後、25℃の恒温槽に静置した。分離するまでの時間により、下記基準により、評価を行った。
【0048】
(評価基準)
○:6時間以内に2層へ分離し、界面が明瞭に確認できた
△:6時間以内に2層へ分離したが、界面が明瞭でない
×:6時間超経過しても分離していない
【0049】
【表1】

【0050】
本発明の多層型化粧料は、使用時に10回の振盪により容易に均一に混合して白濁の水中油型乳化状態になり、25℃の恒温槽にて静置すると3〜5時間程度で上部に乳化層、下部に透明な水層に分離し、界面が明瞭に確認できた。また、表1の結果から明らかなように、本発明の多層型化粧料は、良好な経時安定性を有し、使用感にすぐれたものであった。これに対して、比較例の多層型化粧料は、いずれの効果も満足できるものではなかった。なお、比較例2は調整直後から油層分離していたため、評価していない。
【0051】
処方例1〜3
次に、以下の処方に従い、常法にて多層型水中油乳化化粧料を調製した。いずれも官能効果に優れ、良好な経時安定性が期待されるものでる。
【0052】
処方例1(化粧水(二層型))
成分 質量%
エタノール 5.0
ポリオキシエチレン(40E.O.)硬化ヒマシ油 0.5
ステアレス−2 0.1
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 5.0
α−オレフィンオリゴマー 5.0
重質流動イソパラフィン 2.0
アルギン酸ナトリウム 0.05
カラギーナン 0.3
1,3−ブチレングリコール 5.0
ジプロピレングリコール 8.0
ポリアスパラギン酸ナトリウム液 1.0
マカデミアナッツ油 0.5
キウイエキス 0.5
グレープフルーツエキス 0.5
アセロラエキス 0.5
香料 微 量
精製水 残 量
【0053】
処方例2(乳液(二層型))
成分 質量%
エタノール 5.0
ポリオキシエチレン(40E.O.)硬化ヒマシ油 1.0
ステアレス−2 0.2
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 5.0
トリス(トリメチルシロキシ)メチルシラン 4.0
α−オレフィンオリゴマー 8.0
重質流動イソパラフィン 4.0
アルギン酸ナトリウム 0.1
カラギーナン 0.2
1,3−ブチレングリコール 10.0
グリセリン 5.0
ポリアスパラギン酸ナトリウム液 1.0
マカデミアナッツ油 0.5
キウイエキス 0.5
グレープフルーツエキス 0.5
アセロラエキス 0.5
ローヤルゼリーエキス 0.5
香料 微 量
精製水 残 量
【0054】
処方例3(化粧水(二層型))
成分 質量%
エタノール 5.0
ポリオキシエチレン(40E.O.)硬化ヒマシ油 0.5
ステアレス−2 0.1
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 5.0
α−オレフィンオリゴマー 2.0
重質流動イソパラフィン 5.0
アルギン酸ナトリウム 0.05
カラギーナン 0.3
1,3−ブチレングリコール 5.0
ジプロピレングリコール 8.0
ポリアスパラギン酸ナトリウム液 1.0
マカデミアナッツ油 0.5
ニコチン酸アミド 0.1
塩化カルニチン 0.1
オウバクエキス 0.5
香料 微 量
精製水 残 量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記、(A)〜(D)成分を含有し、静置時には少なくとも乳化層及び水層の二層以上の層構造を有することを特徴とする多層型化粧料であって、pHが6.5〜8.5である多層型化粧料。
(A)HLBが6.5以下のポリオキシエチレンアルキルエーテル
(B)HLBが8〜15のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
(C)1気圧、25℃で液状の油剤
(D)多糖類
【請求項2】
(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテルが、HLB4〜6であり、(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が、HLB9〜14である請求項1記載の多層型化粧料。
【請求項3】
前記(C)成分100質量部中に、重質流動イソパラフィン及び/又は重質流動パラフィンを5〜60質量部含有する請求項1又は2に記載の多層型化粧料。
【請求項4】
さらに(E)炭素数1〜3の飽和1価アルコールを含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層型化粧料。

【公開番号】特開2013−75867(P2013−75867A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217140(P2011−217140)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】