説明

多層基板

【目的】 基板上のグランドまたは+5Vパターンをシールド基板の銅ペースト層より実現することにより、基板上のグランドまたは+5V以外の信号パターンを引くスペースを広げ、パターン設計を容易にする。
【構成】 シールド基板の基板1に存在していた太いグランドまたは+5Vパターンを、部品6のグランドまたは+5V端子と銅ペースト層5とを接続させる小さなターミナル7にし、グランドまたは+5V端子間の導通は銅ペースト層5によって行う。これにより、グランドパターンの存在していたスペースをグランドまたは+5V以外のパターンを配線するスペースに利用できるようになるので、パターン設計の容易なシールド多層基板となる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子機器に使用される多層プリント配線板の多層構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図3に従来の銅ペースト層を用いたシールド多層基板の斜視図を示す。1は基板、2はグランドまたは+5Vパターン、3はグランドまたは+5V以外の信号パターン、4はレジスト層、5はグランドパターンと接続されている銅ペースト層で、6はこの基板に実装する部品(ここでは例としてICを考えた)の位置を示している。このように従来のシールド多層基板は、信号パターン層の外側にレジスト層4にて絶縁された銅ペースト層5を設けることによって基板1にシールド効果をもたせる構造になっている。しかしパターン層に関しては信号パターン層と同じ層に太いグランドパターンあるいは+5V層2が設けられている。そのためグランドと+5V以外のパターン3は、このパターン2を避けて配線しなけねばならず(図2中、点線部分)パターン設計を困難にしている。
【0003】また、銅ペースト層5を用いた多層基板とは別に、プリプレグにて絶縁された銅箔層からなるシールド多層基板の断面図を図4に示す。8はプリプレグ基板、9は信号パターン層、10は銅箔層を示している。この基板は、外側の銅箔層10をグランドあるいは+5V単一の層とし、内層を信号パターン層9にすることによりシールド効果をもたせている。この構造ではパターン設計は容易になるが、2つのグランド層あるいは+5V層が必要となる分、銅ペースト層5を用いた基板と比較して製造するのが困難になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の銅ペーストを用いたシールド多層基板はグランド層を外層にする手法よりも製造が簡単に行えるが、基板上に太いグランドパターンあるいは+5Vのパターンが混在するのでパターン設計が困難であるという課題を有していた。また、銅ペースト層にて多層化しないプリプレグと銅箔層からなる多層基板では、外側の銅箔層をグランドあるいは+5V単一の層とし、内層に信号パターンを設けた構造にするのは製造が困難であるといった課題を有している。そこで本発明はこのような課題を解決しようとするもので、その目的とするところは銅ペーストを用いたシールド多層基板における信号パターン設計を容易にすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】信号パターン層と前記信号パターン層の外側にレジスト層にて絶縁された銅ペースト層を設けた多層基板において、前記信号パターン層には部品ごとにグランド端子あるいは+5V端子から引き出したパターンを設け、前記銅ペースト層によってプリント配線基板上の全部品のグランド端子間あるいは+5V端子間を導通させた構造を特徴とする。
【0006】
【実施例】図1は本発明の多層基板の透視図を、図2はその断面図を示したものである。1は基板、2はグランドまたは+5Vパターン、3はグランドまたは+5V以外の信号パターン、4はレジスト層、5はグランドパターンと接続されている銅ペースト層で、6はこの基板に実装する部品(ここでは例としてICを考えた)の位置を示している。
【0007】基板1上には部品6(図ではICにあたる)のグランドまたは+5V端子と銅ペースト層とのターミナル(図1中符号7)だけを設けて、グランドまたは+5Vパターンは設けない。これにより信号パターン層に太いグランドあるいは+5Vのパターン(図3中符号2)を配線しなくて済むため信号パターン3が短く容易に配線できるといった効果と共に、信号パターン層の外側にグランドあるいは+5Vの単一の層を設けたことによるシールド効果をより高める効果を有する。
【0008】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、信号パターン層に太いグランドあるいは+5Vのパターンを配線しなくて済むため信号パターンが短く容易に配線できるといった効果と共に、信号パターン層の外側にグランドあるいは+5Vの単一の層を設けたことによるシールド効果をより高める効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層基板の斜視図である。
【図2】本発明の多層基板の断面図である。
【図3】従来の銅ペースト層を用いたシールド多層基板の斜視図である。
【図4】従来のプリプレグにて絶縁された銅箔層からなるシールド多層基板の断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 グランドパターン
3 グランドパターン以外のパターン
4 レジスト
5 銅ペースト層
6 基板に実装する部品
7 部品のグランド端子と銅ペースト層とのターミナル
8 プリプレグ基板
9 信号パターン層
10 銅箔層

【特許請求の範囲】
【請求項1】 信号パターン層と前記信号パターン層の外側にレジスト層にて絶縁された銅ペースト層を設けた多層基板において、前記信号パターン層には部品ごとにグランド端子あるいは+5V端子から引き出したパターンを設け、前記銅ペースト層によってプリント配線基板上の全部品のグランド端子間あるいは+5V端子間を導通させた構造を有することを特徴とする多層基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開平5−13896
【公開日】平成5年(1993)1月22日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−160343
【出願日】平成3年(1991)7月1日
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)