説明

多層成形用金型及び多層成形用金型の交換方法

【課題】単層成形用射出成形機を多層成形用射出成形機に転用する場合に、射出成形機への追加改造を最小にすることができ、更には、1組の金型として型締装置から容易に着脱可能な多層成形用金型及び多層成形用金型の交換方法を提供する。
【解決手段】第1金型と第2金型と中間金型とを備えた多層成形用金型において、前記中間金型が、複数のガイド手段により、前記第1金型と前記第2金型とに対向して移動可能に支持された回転金型支持部と、前記回転金型支持部に回転可能に支持され、少なくとも2つの金型分割面を有する回転金型部と、前記回転金型部を前記回転軸周りに回転させる回転手段とから構成され、前記中間金型を前記第1金型と前記第2金型とに対向して移動させる中間金型移動手段が、前記第1金型、前記第2金型及び前記中間金型の少なくとも1つに配置されることを特徴とする多層成形用金型によって達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1金型と第2金型と中間金型とを備えた多層成形用金型及び多層成形用金型の交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂成形品における、異材、同材、異色、同色様々な組み合わせからなる多層成形品の成形方法として、成形装置に特徴のあるもの、あるいは成形用金型に特徴のあるもの等、種々の成形方法が知られている。第1金型と、第2金型と、第1金型と第2金型との間で移動及び回転される中間金型とからなる1組の金型を用いて多層成形品を成形する成形方法もそのひとつである。
【0003】
特許文献1には、固定型(第1金型又は第2金型)、可動型(第2金型又は第1金型)、及び、固定型と可動型との間で回動する回動型(回転金型部)からなる金型を用いて多材質成形品(多層成形品)を成形する射出成形機であって、前記固定型に当接して溶融材料を射出する第1射出装置と、前記可動型に当接して溶融材料を射出する第2射出装置と、前記回動型を回動自在かつ可動型の移動方向に移動自在に固定盤から支持する回動型支持装置(回転金型支持部)と、前記回動型を介して前記固定型と前記可動型を圧縮する圧縮手段(型開閉装置)とからなる多材質射出成形機(多層成形用射出成形機)が開示されている。
【0004】
特許文献2には、固定盤に取り付けられる固定側金型(第1金型又は第2金型)と、前記固定盤に複数本のタイバーを介して接続されていると共に前記固定盤に対して型開閉される可動盤に取り付けられる可動側金型(第2金型又は第1金型)と、前記固定側金型と可動側金型との間に設けられている反転あるいは回転側金型(回転金型部)と、前記回転側金型を回転自在に支持している回転金型保持枠体(回転金型支持部)とからなり、前記固定側金型と可動側金型と回転側金型は、前記複数本のタイバーの内側に配置され、前記回転金型保持枠体は、前記複数本のタイバーの外側に位置する枠部材により井桁状に構成され、そして前記固定側金型と前記可動側金型とに間隔保持部材を介して結合され、前記可動側金型が開かれると、前記間隔保持部材により前記固定側金型と可動側金型との間の実質的な中間位置に移動され、閉じられると、前記固定側金型と回転側金型と可動側金型とが型閉じされるように駆動され、前記回転側金型の両方のパーティング面側には、第1、2の回転凹部型が形成され、前記固定側金型のパーティング面側には前記回転凹部型と共働するコア型が、前記可動側金型のパーティング面側には前記回転凹部型と共働する可動側凹部型がそれぞれ形成されている、多層成形用金型が開示されている。
【0005】
特許文献3には、可動側金型(第2金型又は第1金型)を取付けた可動ダイプレート(可動盤)と固定側金型(第1金型又は第2金型)を取付けた固定ダイプレート(固定盤)の間に可動ダイプレートと同方向に移動可能に設置された反転台(回転手段)と、該反転台上で180度回転可能で両面に前記可動側金型と固定側金型とに嵌合してキャビティを形成する金型(第3金型及び第4金型)を取付けた回転ダイプレート(回転盤)と、可動ダイプレートを型開閉する可動ダイプレート型開閉手段(型開閉装置)と、回転ダイプレートを型開閉する回転ダイプレート型開閉手段(中間金型移動手段)と、金型を閉じた後で上記3組のダイプレートを同時に型締めする型締手段(型開閉装置)と、異なった樹脂材をそれぞれ可塑化して射出充填する2組の射出ユニット(射出装置)とを有する二材成形用射出成形機(多層成形用射出成形機)において、型締手段は3組のダイプレートを同時に型締めする油圧型締手段であり。可動ダイプレート型開閉手段は電動モータに駆動される可動ダイプレート型開閉手段であり、回転ダイプレート型開閉手段は電動モータに駆動される回転ダイプレート型開閉手段であり、回転ダイプレートの回転手段は反転台に取付けられた電動モータにより駆動される回転駆動手段である二材成形用射出成形機が開示されている。
【0006】
尚、上記特許文献1から特許文献3に関する記載中の括弧は、括弧直前の構成部材に相当あるいは類似すると考えられる本発明の構成部材を、本発明の理解が容易になるように記載したものであり、括弧直前の構成部材と括弧内構成部材とが一致することを示唆したものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−168223号公報
【特許文献2】特開2010−064278号公報
【特許文献3】特開2008−080670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の多材質射出成形機においては、簡易な構成であって汎用の射出成形機を基に追加改造が容易であると記載されているが、回動型を型開閉方向に駆動させる機構、及び、回動型を垂直軸周りに回転させる機構をすべて固定盤に取り付ける構成のため、これらの機構が複雑になり、汎用の射出成形機を基に追加改造が容易であるとは言い難い。また、この構成によれば、回動型を支持し型開閉方向に駆動させるための支持部材が、固定盤から圧縮手段の上方及び下方に回動型の型開き限位置まで延ばされており、固定型と回動型と可動型とを型合わせさせた1組の金型として、圧縮手段の少なくとも上方から天井クレーン等の既設設備を利用して着脱することが困難であるという問題がある。
【0009】
次に、特許文献2の多層成形用金型においては、固定側金型と可動側金型との間に配置された回転側金型が回転金型保持枠体に回転自在に支持されていると共に、可動側金型の型開閉方向の移動に伴い、回転側金型が固定側金型と可動側金型との間の実質的な中間位置に移動される間隔保持部材を介して、回転金型保持枠体が固定側金型と可動側金型とに結合されている。そのため、特許文献1のように、回転側金型を型開閉方向に駆動させる機構や回転させる機構を汎用の射出成形機に追加改造する必要がない。
【0010】
しかしながら、特許文献2の多層成形用金型は、金型交換において問題があると推定される。特許文献2の多層成形用金型は、タイバーの内側に配置された固定側金型、回転側金型、可動側金型に対して、回転側金型を回転自在に支持している回転金型保持枠体が、タイバーの外側に位置する枠部材により井桁状に構成され、この回転金型保持枠体が、間隔保持部材により固定側金型及び可動側金型と結合されている。すなわち、この構成から推定すると、タイバーの外側に配置される井桁状の回転金型保持枠体に結合される間隔保持部材を取り外さなければ、タイバーの内側に配置される固定側金型及び可動側金型の型開閉装置からの着脱は困難である。次に、タイバーの外側に配置される井桁状の回転金型保持枠体は、分割しない限り型開閉装置からの着脱は困難であり、更に、この回転金型保持枠体を分割した状態でなければ、回転側金型の回転金型保持枠体からの着脱も困難である。すなわち、特許文献2の多層成形用金型は、型閉じ状態で回転金型保持枠体の上部を開放させ、回転金型保持枠体が固定側金型と可動側金型とに結合されている間隔保持部材が取り外されない限り、固定側金型と回転側金型と可動側金型とを型合わせさせた1組の金型として、型開閉装置から着脱することは困難である。また、この回転金型保持枠体は、固定側金型と可動側金型とに結合される間隔保持部材のみで支持されているので、回転金型保持枠体及び回転側金型の型開閉装置からの着脱の際、何らかの仮保持が必要と思われるが、特許文献2には、開示された多層成形用金型の構成に基づいた金型交換方法について具体的に言及した記載はない。このように、特許文献2の多層成形用金型においては、金型交換方法が不明確であり、推定される金型交換方法は非常に困難であり、あるいは可能であったとしても時間が掛かるという問題がある。
【0011】
次に、特許文献3の二材成形用射出成形機は、2組の金型を使用する一般的な多層成形用射出成形機の基本構成である、固定ダイプレート(固定盤)、可動ダイプレート(可動盤)、固定ダイプレートと可動ダイプレートとの間に配置された反転台(回転手段)、反転台上で180度回転可能で両面に金型(第3金型及び第4金型)を取付けた回転ダイプレート(回転盤)を有している。このような多層成形用射出成形機は、固定側金型(第1金型又は第2金型)、可動側金型(第2金型又は第1金型)及び可動側金型と固定側金型とに嵌合してキャビティを形成する金型(第3金型及び第4金型)を使用して多層成形品を成形するためには好適な射出成形機である。しかしながら、多層成形専用機として構成されているため、汎用の射出成形機を基に追加改造によりこのような構成にすることは実質的に困難であり、可能だとしても追加改造に多額の費用と時間が必要になる。また、可動側金型と固定側金型とに嵌合してキャビティを形成する金型が取付けられる回転ダイプレートと、回転ダイプレートを回転させる回転駆動手段とを分離することが困難なため、固定側金型と、可動側金型と固定側金型とに嵌合してキャビティを形成する金型と、可動側金型とを型合わせさせた1組の金型として、型開閉手段から着脱することが困難であるという問題がある。
【0012】
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたもので、具体的には、単層成形用射出成形機を多層成形用射出成形機に転用する場合に、射出成形機への追加改造を最小にすることができ、更には、1組の金型として型開閉装置から容易に着脱可能な多層成形用金型及び多層成形用金型の交換方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の上記目的は、請求項1に示すように、第1金型と、前記第1金型に対向して移動される第2金型と、前記第1金型と前記第2金型との間に配置され、前記第1金型及び前記第2金型に対向して移動され、回転される中間金型とを備えた多層成形用金型において、
前記中間金型が、前記第1金型と前記第2金型との間に配置された複数のガイド手段により前記第1金型と前記第2金型とに対向して移動可能に支持される回転金型支持部と、前記回転金型支持部に、型開閉方向と略直交する方向を回転軸として回転可能に支持され、前記第1金型と前記第2金型とにそれぞれ型合わせされる少なくとも2つの金型分割面を有する回転金型部と、前記回転金型支持部に配置され、前記回転金型部を前記回転軸周りに回転させる回転手段とから構成され、
前記中間金型を前記第1金型と前記第2金型とに対向して移動させる中間金型移動手段が、前記第1金型、前記第2金型及び前記中間金型の少なくとも1つに配置されることを特徴とする多層成形用金型によって達成される。
【0014】
すなわち、多層成形用金型の中間金型が回転金型支持部と回転金型部とで構成され、回転金型支持部が複数のガイド手段により第1金型及び第2金型間で支持・案内されると共に、回転金型部の回転手段と、中間金型を第1金型と第2金型に対向して移動させる中間金型移動手段とが多層成形用金型に配置されることにより、中間金型の支持手段及び移動手段、回転金型部の回転手段を多層成形用金型側で完結させ、これら手段の射出成形機への追加を不要にすることができると共に、タイバー間において、第1金型と中間金型と第2金型とを型合わせさせた1組の金型として型開閉装置からも容易に着脱することができる。
【0015】
更に、請求項2に示すように、前記第1金型及び前記第2金型が、製品キャビティ部を含む製品キャビティ金型部と、前記製品キャビティ金型部が取り付けられる金型ベース部とから構成され、
前記中間金型の前記回転金型部が、前記第1金型と前記第2金型とにそれぞれ対向する少なくとも2つの金型取付面を有する回転盤と、前記金型取付面に取り付けられ、前記製品キャビティ金型部と型合わせされて製品キャビティを形成する第3金型及び第4金型とから構成されることを特徴とする請求項1記載の多層成形用金型であることが好ましい。
【0016】
第1金型及び第2金型がこのように構成されれば、第1金型及び第2金型それぞれ全てを金型として製作する必要がない。製品毎に製品キャビティ金型部のみを製作すれば良く、金型サイズを小さくすることができる。同様に、中間金型の回転金型部がこのように構成されれば、回転金型部全てを金型として製作する必要がない。製品毎に第3金型及び第4金型のみを製作すれば良く、金型サイズを小さくすることができる。また、第1及び第2金型の製品キャビティ金型部及び中間金型の第3金型及び第4金型以外の多層成形用金型の構成部材は、製品毎に変更する必要がなく、金型の共通化が可能である。
【0017】
次に、請求項3に示すように、前記ガイド手段が、前記第1金型及び前記第2金型の少なくとも一方の金型の金型分割面又は該金型分割面と平行な面から型開閉方向と平行な方向に配置され、前記中間金型の前記回転金型支持部を摺動可能に貫通する複数の金型ガイドピンであることを特徴とする請求項1乃至請求項2記載の多層成形用金型であっても良い。
【0018】
ガイド手段がこのように構成されれば、中間金型の荷重支持や、型開閉方向への移動動作のガイドを、高価な直動ガイド部材等を使用したガイド機構を射出成形機へ設けずとも、多層成形用金型に装備した十分な強度を有する簡易な構成で行うことができる。また、これらのガイド手段が金型分割面内あるいは金型分割面と平行な面に配置されるので、金型交換時に全ての金型を型閉じ状態にしても、これらガイド手段が金型の外形からはみ出すことがなく、多層成形用金型の型合わせ時の外形寸法を小さくすることができる。
【0019】
次に、請求項4に示すように、前記中間金型移動手段が、その一端が前記第1金型、前記第2金型及び前記中間金型の少なくとも1つに固定され、他端が対向する金型に固定されることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の多層成形用金型であることが好ましい。
【0020】
中間金型移動手段がこのように構成されれば、射出成形機側に中間金型移動手段を設けずとも、中間金型を第1金型と第2金型とに対向して任意の位置に移動させることができる。
【0021】
次に、請求項5に示すように、前記中間金型移動手段が、前記中間金型の前記固定部の側面及び上下面の少なくとも1面に配置されたピニオンと、前記ピニオンと噛み合うように、前記第1金型及び前記第2金型に配置されたラックとで、ラックアンドピニオン機構を構成し、前記第1金型及び前記第2金型いずれかの型開閉移動に対応して、前記中間金型を前記第1金型と前記第2金型の略中間に移動させることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の多層成形用金型であっても良い。
【0022】
中間金型移動手段がこのように構成されれば、型開閉装置等による第1金型又は第2金型の型開き又は型閉じ動作に対して、専用の駆動動力や制御を必要とせず、簡易な構成で中間金型を第1金型と第2金型との略中間の位置に移動させることができる。
【0023】
次に、請求項6に示すように、前記第1金型と前記中間金型と前記第2金型とを型合わせさせて、型開閉装置から1組の多層成形用金型として取り外し、予め、型開閉装置外で型合わせさせた別の第1金型と中間金型と第2金型とを、1組の多層成形用金型として型開閉装置へ取り付ける請求項1乃至請求項5記載の多層成形用金型の交換方法が好ましい。
【0024】
請求項1乃至請求項5記載の多層成形用金型によりこのような金型交換ができるので、天井クレーンや金型交換装置等の既設設備を使用して金型交換が容易に行えるだけでなく、金型交換後の回転金型部の芯出し作業が不要なので、金型交換に要する時間を最小にすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る多層成形用金型は、第1金型と、前記第1金型に対向して移動される第2金型と、前記第1金型と前記第2金型との間に配置され、前記第1金型及び前記第2金型に対向して移動され、回転される中間金型とを備えた多層成形用金型において、
前記中間金型が、前記第1金型と前記第2金型との間に配置された複数のガイド手段により前記第1金型と前記第2金型とに対向して移動可能に支持される回転金型支持部と、前記回転金型支持部に、型開閉方向と略直交する方向を回転軸として回転可能に支持され、前記第1金型と前記第2金型とにそれぞれ型合わせされる少なくとも2つの金型分割面を有する回転金型部と、前記回転金型支持部に配置され、前記回転金型部を前記回転軸周りに回転させる回転手段とから構成され、
前記中間金型を前記第1金型と前記第2金型とに対向して移動させる中間金型移動手段が、前記第1金型、前記第2金型及び前記中間金型の少なくとも1つに配置されるので、単層成形用射出成形機を多層成形用射出成形機に転用する場合に、射出成形機への追加改造を最小にすることができ、更には、1組の金型として型開閉装置から容易に着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例1に係る多層成形用金型の型開き状態を示す概略図である。
【図2】本発明の実施例1に係る多層成形用金型の型閉じ状態を示す概略図である。
【図3】2組の金型を使用する一般的な多層成形用金型及び本発明の実施例1に係る多層成形用金型の金型交換を示す概略側面図である。
【図4】本発明の実施例2に係る多層成形用金型の型開き状態を示す概略側面図である。
【図5】本発明の実施例2に係る多層成形用金型の型閉じ状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0028】
図1乃至図3を参照しながら本発明の実施例1を説明する。図1は本発明の実施例1に係る多層成形用金型の型開き状態を示す概略図である。図1(a)が概略側面図、図1(b)が概略平面図である。図2は本発明の実施例1に係る多層成形用金型の型閉じ状態を示す概略図である。図2(a)が概略側面図、図2(b)が図2(a)のR−R矢視における概略正面図、図2(c)が図2(b)のX−X矢視における概略断面図である。図3は2組の金型を使用する一般的な多層成形用金型及び本発明の実施例1に係る多層成形用金型の金型交換を示す概略側面図である。図3(a)が2組の金型を使用する一般的な多層成形用金型の金型交換を示す概略側面図、図3(b)が本発明の実施例1に係る多層成形用金型の金型交換を示す概略側面図である。
【0029】
最初に、多層成形用金型10が取付けられる射出成形機1について説明する。図1に示すように、第1金型20が取り付けられる固定盤5がマシンベース部8に固定されている。固定盤5と対向するように、第2金型40が取付けられた可動盤6が、固定盤5の四隅から延ばされたタイバー9に案内され、型締めも可能な型開閉装置7により型開閉方向に移動可能にマシンベース部8に配置されている。そして、対向する固定盤5と可動盤6との間に多層成形用金型10が取り付けられている。図を簡単にするため、図1(b)の概略平面図に示したタイバー9は、図1(a)の概略側面図には示していない。また、射出装置他、本発明の多層成形用金型の説明に直接関係ない構成部品も図中には示していない。
【0030】
次に、多層成形用金型10について説明する。図1及び図2に示すように、多層成形用金型10は、固定盤5に取り付けられる第1金型20と、第1金型20に対向するように可動盤6に取り付けられる第2金型40と、第1金型20と第2金型40との間に配置される中間金型30とで1組の多層成形用金型として構成される。以下に、各金型について説明する。
【0031】
第1金型20は、製品キャビティ部を含む製品キャビティ金型部20aと、製品キャビティ金型部20aが取り付けられる金型ベース部20bとから構成される。第1金型20の金型ベース部20bには、中間金型30を第1金型20と第2金型40とに対向して移動させる中間金型移動手段50が、金型ベース部20bの垂直方向の金型中心線に対して、左右対象かつ略中央に2個配置されている。中間金型移動手段50は、油圧、空圧あるいは電動シリンダ等のアクチュエータであり、移動させる中間金型のサイズ、荷重、移動ストローク等により適宜、好適なアクチュエータ形態、数量、配置等が採用されれば良い。図1及び図2においては、中間金型移動手段50の本体側50aが金型ベース部20bに固定され、摺動するロッド側50bの先端が対向する中間金型30に固定されている。ここで、中間金型移動手段50両端の金型への固定部は少なくとも一端を、ある程度の偏芯や傾きを許容するフリージョイントにすると、関連する構成部品の製作・組立許容誤差に起因する中間金型30の移動抵抗の増大やかじりを抑制することができ、中間金型30をスムーズに移動させることができる。
【0032】
また、第1金型20の金型ベース部20bの四隅のうち、対角線上の2箇所には、中間金型30を支持し、第1金型20と第2金型40とに対向して移動させるガイドとなるガイド手段60が型開閉方向と平行な方向に延びるように配置されている。図1及び図2においては、ガイド手段60は中間金型30を貫通する金型ガイドピンとして構成され、その長さは型開き限位置まで中間金型30を支持・ガイドするのに十分であり、かつ、図2に示す型締め時においては、その端部が対向する第2金型40の金型ベース部40bのガイド手段収納穴63に収納され、金型ベース部40bの背面(可動盤6側)に突出しない長さである。また、残りの対角線上には、型締め時に、第2金型40のガイド手段61の先端を収納するガイド手段収納穴62が配置されている。
【0033】
第2金型40も、基本的な構成は第1金型20と同じであり、製品キャビティ部を含む製品キャビティ金型部40aと、製品キャビティ金型部40aが取り付けられる金型ベース部40bとから構成される。第1金型20との相違点は、中間金型移動手段50が無い点と、第2金型40のガイド手段61が、第2金型40の金型ベース部40bの四隅のうち、第1金型20の金型ベース部20bのガイド手段60と対向しない位置に配置されている点である。残りの対角線上には、前述したように、型締め時に第1金型20のガイド手段60の先端部を収納するガイド手段収納穴63が配置されている。ここで、ガイド手段60及び61の先端部には、各金型の分割時には解除され、結合時においては、型開き限位置以上の型開きを防止する図示しない機械的あるいは電気的ストッパーが装備されていることは言うまでもない。
【0034】
中間金型30は、図2(b)に示すように、回転金型支持部31と、回転金型部32とから構成され、回転金型支持部31の四隅を第1金型20のガイド手段60及び第2金型40のガイド手段61が貫通することにより、中間金型30全体が支持され、第1金型20と第2金型40とに対向する移動を案内され、前述した中間金型移動手段50により、第1金型20と第2金型40とに対向して任意の位置に移動される。また、回転金型部32は、第1金型と第2金型とにそれぞれ対向する2つの金型取付面を有する回転盤32aと、回転盤32aに取り付けられ、第1金型20の製品キャビティ金型部20a及び第2金型40の製品キャビティ金型部40aと型合わせされて製品キャビティを形成する第3金型33a及び第4金型33bとから構成される。回転盤32aは、図2(c)に示すように、回転金型支持部31と略同じ厚さを有し、回転金型支持部31に、型開閉方向と略直交する方向(垂直方向)を回転軸として回転可能に支持され、同じく回転金型支持部31に配置された回転手段35により、第3金型33a及び第4金型33bをそれぞれ第1金型20の製品キャビティ金型部20a及び第2金型40の製品キャビティ金型部40aと対向する位置に回転、あるいは反転される。
【0035】
回転盤32aを回転金型支持部31に回転可能に支持する回転支持部材は、スラストベアリングや無給油ブッシング等、回転盤32aと、第3金型33a及び第4金型33bとのサイズ、荷重、支持構造等により適宜、好適なものが採用されれば良い。また、回転盤32aを回転させる、回転金型支持部31に配置された回転手段35についても、電動・油圧モータ等の回転駆動手段と回転盤32aの回転軸をフリージョイントを介して直結させた構造、あるいは、ギア、ギア及びチェーン、ベルト及びプーリ等の動力伝達機構を介して結合させた構造等、回転盤32aと、第3金型33a及び第4金型33bのサイズ、荷重、支持構造等により適宜、好適なものが採用されれば良い。ここで、回転金型支持部31及び回転盤32a間には、図示しない位置決め機構が備えられ、回転盤32aに取り付けられた第3金型33a及び第4金型33bを第1金型20の製品キャビティ金型部20a及び第2金型40の製品キャビティ金型部40aと型合わせさせる最適な位置に位置決めできることは言うまでもない。
【0036】
次に、図3を参照して、2組の金型を使用する一般的な多層成形用金型及び本発明の実施例1に係る多層成形用金型の金型交換を説明する。図3(a)に示すように、2組の金型を使用する一般的な多層成形用金型を使用する多層成形用射出成形機においては、固定盤5と可動盤6との間に、第3金型34a及び第4金型34bが取り付けられた状態で、垂直軸回りの回転及び型開閉方向の移動が可能な回転盤32a’が配置される。この場合の固定金型21、第3金型34a及び第4金型34b、可動金型41の金型交換は、以下のように行われる。最初に、型開閉装置7で型閉じさせ、固定金型21及び第3金型34aと、可動金型41及び第4金型34bとをそれぞれ型合わせさせる。型合わせ時に、金型や型開閉装置の部品加工公差、組立公差等に起因して発生するわずかな位置ずれは、各金型の金型分割面に設けられた図示しない位置合わせピンや位置合わせブロック等により補正される。そして、型合わせ後、それぞれの金型間を機械的・電気的に結合させる。次に、第3金型34a及び第4金型34bと、回転金型支持手段32a’との固定を解除し、可動盤6及び回転金型支持手段32a’を型開きさせると、固定金型21及び第3金型34aと、可動金型41及び第4金型34bとが、それぞれ固定盤5及び可動盤6に支持された状態になる。次に、天井クレーンや金型交換装置等の既設設備を使用して、これらの金型を固定盤5及び回転金型支持手段32a’間で1組、可動盤6及び回転金型支持手段32a’間で1組、すなわち、合計2組の金型としてそれぞれを固定盤5及び可動盤6から取り外す。
【0037】
新しい金型を取り付ける場合は、前述した2組の金型を予め射出成形機外で準備しておき、逆の手順で固定盤5及び可動盤6に取り付ける。しかしながら、このとき、固定盤5側への金型の取り付けは、射出装置とのドッキング位置基準で行えばよいが、可動盤6側への金型の取り付けは、予め、可動盤6側に取り付け位置をマーキングしたり、位置決め機構を用意したりする必要がある。また、取り外す場合と異なり、取り付けた後、回転盤32a’を回転させて、取り付けた状態と異なる型合わせ、すなわち、第3金型34a及び可動金型41と、第4金型34b及び固定金型21とを型合わせさせて、それぞれの金型の芯出しを行う必要がある。このように、1組ではなく2組の金型を着脱する必要があり、かつ、取り付け後にその射出成形機を操作して、取り付け時に型合わせ状態でなかった金型の芯出しを行う必要があるため、2組の金型を使用する一般的な多層成形用金型の金型交換には多くの時間を要する。
【0038】
図3(a)に示す2組の金型を使用する一般的な多層成形用金型の金型交換に対して、本発明の実施例1に係る多層成形用金型の金型交換は、中間金型30の支持、回転、移動に係るすべての手段が多層成形用金型10に内蔵されているので、図3(b)に示すように、他の機構との取り合いや芯出しを全く気にすることなく、天井クレーンや金型交換装置等の既設設備を使用して、射出装置とのドッキング位置基準で、1組の金型として多層成形用金型10を固定盤5に容易に取り付けることができる。その後、型開閉装置7で型閉じさせ、第2金型を可動盤6の金型取付面に公知の手段で固定し、多層成形用金型10内の金型同士の連結を解除すれば、金型交換は終了する。図3(a)に示す2組の金型を使用する一般的な多層成形用金型の金型交換においては、金型を取り付けた後、更に、射出成形機を操作して、第3金型及び第4金型を回転させて金型同士の芯出しを行う必要があるが、本発明の実施例1に係る多層成形用金型においてはその必要がない。何故ならば、本発明の実施例1に係る多層成形用金型においては、中間金型30の支持、回転、移動に係るすべての手段が多層成形用金型10に内蔵されているので、射出成形機に取り付ける前に、ローラー等を組み込んだ治具等の上でこれら金型を型開き状態にさせ、中間金型30の回転盤32aを回転させて、すべての金型の芯出しを金型交換前に完了させておくことができる。更に、中間金型30の回転金型支持部31には回転手段35が配置されているので、回転手段35に、油圧、空圧、電力等必要なユーティリティーを仮接続すれば、回転盤32aを前記治具等上で任意に回転させることができる。その結果、型開閉装置に多層成形用金型10を取り付けた後の金型の芯出しは必要なくなり、射出成形機の金型交換に要する時間を最小にすることができる。また、第1金型20、第2金型40、中間金型30の回転金型部32を、製品ャビティ部を含む部分とそうでない部分に分ける構成により、製品毎に製作する金型を小さく軽量化できると共に、多層成形用金型10の多くの部分を共通化できる。これは、金型のコストダウンに有効であると共に、射出成形機外での金型交換の準備の際、各製品ャビティ部を含む金型の容易な着脱、容易な芯出し、更には、これら金型の保管・管理においても有効である。
【実施例2】
【0039】
図4乃至図5を参照しながら本発明の実施例2を説明する。図4は本発明の実施例2に係る多層成形用金型の型開き状態を示す概略側面図である。図5は本発明の実施例2に係る多層成形用金型の型閉じ状態を示す概略図である。図5(a)が概略側面図、図5(b)が図5(a)のY−Y矢視における概略正面図、図5(c)が図5(b)のZ−Z矢視における概略断面図である。
【0040】
実施例2における実施例1との相違点は、実施例1の中間金型移動手段50のアクチュエータに代えて、ラックアンドピニオン機構を使用した点である。それ以外の多層成形用金型の構成や金型交換方法は実施例1と基本的に同じ為、実施例1との相違点についてのみ説明する。
【0041】
図4及び図5に示すように、多層成形用金型10’の両側面には、中間金型30’の回転金型支持部31’の略中央に設けられたピニオン70と、その一端が第1金型20’の金型ベース部20b’に固定され、ピニオン70の下方でピニオン70に噛み合うように配置されたラック81と、その一端が第2金型40’の金型ベース部40b’に固定され、ピニオン70の上方でピニオン70に噛み合うように配置されたラック82とからラックアンドピニオン機構が構成されている。ラック81及びラック82は、中間金型30’のピニオン70に噛み合う歯先部分の反対側をそれぞれラックガイド83及びラックガイド84に案内されている。当然ながら、ラック81及びラック82の他端は固定されていない。また、ラック81及びラック82は共に型開閉方向に平行に配置され、可動盤6に取り付けられた第2金型40’のラック82は、可動盤6の型開閉動作に伴い、型開閉方向と平行に移動される。ピニオン70、ラック81及びラック82は同じ歯先形状を有しており、移動させる中間金型30’のサイズ、荷重、移動ストローク等により適宜、好適なものが採用されれば良い。
【0042】
この構成により、例えば、図5(a)に示す型締め状態(固定盤5から可動盤6までの距離D)から、図4に示すように、可動盤6を型開き限位置まで距離Cだけ型開きした場合、可動盤6と共に型開き方向に移動する第2金型41のラック82により、中間金型30’のピニオン70が回転され、中間金型30’のピニオン70が、その回転により、固定された第1金型21のラック81上を型開き方向に移動されることにより、ピニオン70が配置された中間金型30’も型開き方向に移動される。その結果、第1金型20’の製品キャビティ金型部20a’と中間金型30’の第3金型33a’との型開き距離がAで、第2金型40’の製品キャビティ金型部40a’と中間金型30’の第4金型33b’との型開き距離がBになったとすると、ピニオン70、ラック81及びラック82は同じ歯先形状を有しているので、距離A+距離B=距離C、かつ、距離A=距離Bとなる。また、当然ながら、この距離A、B、Cの関係は、可動盤6の型開き動作だけでなく、型閉じ動作について維持される。
【0043】
このように、実施例2では、中間金型30’の型開閉動作のために油圧、空圧、電力等、専用の駆動動力や制御を必要とせず、可動盤6の型開閉移動に対応して、中間金型30’を第1金型21と第2金型41との略中間に移動させることができる。実施例1のように、可動盤6の型開閉動作と中間金型30’との型開閉動作とを別々に制御することはできないが、そのような必要がない場合には、多層成形用金型の構造を簡易化するのに有効な形態である。
【0044】
本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく色々な形で実施できる。例えば、実施例1において、中間金型移動手段50のアクチュエータを固定盤の第1金型20の金型ベース部20bの垂直方向の金型中心線に対して、左右対象かつ略中央に2個配置される形態としたが、上下対象に配置される形態でも良いし、金型中心線ではなく、金型中央に対象とし、左右あるいは上下で多少ずらした位置に配置される形態でも良い。更には、アクチュエータの本体側50aを中間金型30の回転金型支持部31あるいは、第2金型40の金型ベース部40bに配置される形態であっても良い。同様に、実施例2のラックアンドピニオン機構の配置についても、ラック81及びラック82の上下配置が逆の形態であっても良いし、中間金型30’の回転金型支持部31’の両側面で、ラック81及びラック82の上下配置が左右両面で逆の形態であっても良い。更に、ラックアンドピニオン機構が、中間金型30’の回転金型支持部31’の両側面ではなく、上下面に配置される形態であっても良い。これら中間金型移動手段50のアクチュエータやラックアンドピニオン機構の配置や数量については、多層成形用金型のサイズ、製品形状、製品取出方向等、各種条件から適宜最適な配置が選択されれば良い。
【0045】
また、実施例1及び実施例2において、第3金型及び第4金型が取り付けられた回転盤が、回転金型支持部に、型開閉方向と略直交する方向(垂直方向)を回転軸として回転可能に支持される形態としたが、略直交する方向の水平方向を回転軸として回転可能に支持される形態でも良い。次に、第1金型、中間金型及び第2金型を、製品キャビティ部を含む部分とそうでない部分に分ける形態としたが、金型交換の頻度が少ない場合等は、単体の第1金型及び第2金型と、単体の、対向する金型分割面を有する回転金型部とで構成される形態であっても良い。このように構成されれば、第1金型及び第2金型の金型厚みをより薄くして、多層成形用金型の構成をより簡易化・軽量化したり、あるいは、第1金型及び第2金型の有効製品キャビティ厚さをより厚くしたりすることができる。更に、金型ガイドピンであるガイド手段が、第1金型及び第2金型の双方から、対角線上に交互に対向するように配置され、中間金型の回転金型支持部が支持される形態としたが、ガイド手段が、第1金型及び第2金型のいずれか一方の四隅に配置され、他方の金型の四隅にそれらガイド手段を収納するガイド手段収納穴が配置される形態であっても良い。このように、ガイド手段を第1金型及び第2金型のいずれか一方にのみ配置し、実施例1のようなアクチュエータで構成される中間金型移動手段が、ガイド手段が配置された金型間に配置されると、型開き時に他方の金型と中間金型との間に、ガイド手段及び中間金型移動手段等何もない状態となるので、製品取り出しに都合が良い。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る多層成形用金型により、単層成形用射出成形機を多層成形用射出成形機に転用する場合に、射出成形機への追加改造を最小にすることができ、更には、1組の金型として型開閉装置から容易に着脱することができることは説明したとおりである。特に、市販の追加用射出ユニットにより、汎用の単層射出成形機を容易に多層射出成形機に改造できるということは、容易に単層射出成形機に戻せるという効果も有する。すなわち、高価な多層成形専用の射出成形機を導入する必要がなく、需要に応じて単層射出成形装置を単層成形用と多層成形用に低コストで使い分けることが可能となり、樹脂成形品の製造業者にとって産業上利用価値が極めて高い。
【符号の説明】
【0047】
10 多層成形用金型(実施例1)
10’ 多層成形用金型(実施例2)
20 第1金型(実施例1)
20a 製品キャビティ金型部(第1金型/実施例1)
20b 金型ベース部(第1金型/実施例1)
20’ 第1金型(実施例2)
20a’ 製品キャビティ金型部(第1金型/実施例2)
20b’ 金型ベース部(第1金型/実施例2)
30 中間金型(実施例1)
30’ 中間金型(実施例2)
31 回転金型支持部(中間金型/実施例1)
31’ 回転金型支持部(中間金型/実施例2)
32 回転金型部(中間金型/実施例1/実施例1)
32a 回転盤(回転金型部/中間金型)
33a 第3金型(回転金型部/中間金型/実施例1)
33a’ 第3金型(回転金型部/中間金型/実施例2)
33b 第4金型(回転金型部/中間金型/実施例1)
33b’ 第4金型(回転金型部/中間金型/実施例2)
35 回転手段(中間金型)
40 第2金型(実施例1)
40a 製品キャビティ金型部(第2金型/実施例1)
40b 金型ベース部(第2金型/実施例1)
40’ 第2金型(実施例2)
40a’ 製品キャビティ金型部(第2金型/実施例2)
40b’ 金型ベース部(第2金型/実施例2)
50 中間金型移動手段
60 ガイド手段(第1金型側)
61 ガイド手段(第2金型側)
70 ピニオン(中間金型/実施例2)
81 ラック(第1金型/実施例2)
82 ラック(第2金型/実施例2)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金型と、前記第1金型に対向して移動される第2金型と、前記第1金型と前記第2金型との間に配置され、前記第1金型及び前記第2金型に対向して移動され、回転される中間金型とを備えた多層成形用金型において、
前記中間金型が、前記第1金型と前記第2金型との間に配置された複数のガイド手段により前記第1金型と前記第2金型とに対向して移動可能に支持される回転金型支持部と、前記回転金型支持部に、型開閉方向と略直交する方向を回転軸として回転可能に支持され、前記第1金型と前記第2金型とにそれぞれ型合わせされる少なくとも2つの金型分割面を有する回転金型部と、前記回転金型支持部に配置され、前記回転金型部を前記回転軸周りに回転させる回転手段とから構成され、
前記中間金型を前記第1金型と前記第2金型とに対向して移動させる中間金型移動手段が、前記第1金型、前記第2金型及び前記中間金型の少なくとも1つに配置されることを特徴とする多層成形用金型。
【請求項2】
前記第1金型及び前記第2金型が、製品キャビティ部を含む製品キャビティ金型部と、前記製品キャビティ金型部が取り付けられる金型ベース部とから構成され、
前記中間金型の前記回転金型部が、前記第1金型と前記第2金型とにそれぞれ対向する少なくとも2つの金型取付面を有する回転盤と、前記金型取付面に取り付けられ、前記製品キャビティ金型部と型合わせされて製品キャビティを形成する第3金型及び第4金型とから構成されることを特徴とする請求項1記載の多層成形用金型。
【請求項3】
前記ガイド手段が、前記第1金型及び前記第2金型の少なくとも一方の金型の金型分割面又は該金型分割面と平行な面から型開閉方向と平行な方向に配置され、前記中間金型の前記回転金型支持部を摺動可能に貫通する複数の金型ガイドピンであることを特徴とする請求項1乃至請求項2記載の多層成形用金型。
【請求項4】
前記中間金型移動手段が、その一端が前記第1金型、前記第2金型及び前記中間金型の少なくとも1つに固定され、他端が対向する金型に固定されることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の多層成形用金型。
【請求項5】
前記中間金型移動手段が、前記中間金型の前記固定部の側面及び上下面の少なくとも1面に配置されたピニオンと、前記ピニオンと噛み合うように、前記第1金型及び前記第2金型に配置されたラックとで、ラックアンドピニオン機構を構成し、前記第1金型及び前記第2金型いずれかの型開閉移動に対応して、前記中間金型を前記第1金型と前記第2金型の略中間に移動させることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の多層成形用金型。
【請求項6】
前記第1金型と前記中間金型と前記第2金型とを型合わせさせて、型開閉装置から1組の多層成形用金型として取り外し、予め、型開閉装置外で型合わせさせた別の第1金型と中間金型と第2金型とを、1組の多層成形用金型として型開閉装置へ取り付ける請求項1乃至請求項5記載の多層成形用金型の交換方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−56150(P2012−56150A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200496(P2010−200496)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(300041192)宇部興産機械株式会社 (268)
【Fターム(参考)】