説明

多層構造シートとその製造方法、光情報記録媒体および多層構造シートを用いた光情報記録媒体の製造方法

【課題】各層の材料の選択性を向上させることができる多層構造シートを提供することを目的とする。
【解決手段】多層構造シートは、複数の記録層14を備えた多層構造を有する光情報記録媒体を製造するための多層構造シート150であって、感圧粘着剤層15A、記録層14、感圧粘着剤層15Aよりもガラス転移温度が高い記録層支持層15B、記録層14の順に重なった単位構造を少なくとも1つ有し、最も外側に配置されている感圧粘着剤層15Aには、剥離シートS1が付着している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の記録層を備えた多層構造を有する光情報記録媒体を製造するための多層構造シート、多層構造シートの製造方法、複数の記録層を備えた多層構造を有する光情報記録媒体および多層構造シートを用いた光情報記録媒体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の記録層を備えた多層構造を有する光情報記録媒体の製造方法として、記録層と感圧接着剤層とが積層されてなる多層構造シートを用いる方法が知られている(例えば、特許文献1)。具体的に、特許文献1に記載の多層構造シートは、積層されている記録層と感圧接着剤層の外側の面に、それぞれ剥離フィルムが付着している。そして、この多層構造シートから剥離フィルムを剥離し、基板上に繰り返し重ねて貼っていくことで、多層構造を有する光情報記録媒体を得ることができる。このような多層構造シートを用いる製造方法においては、多層構造シートを大きく形成することで、大面積の光情報記録媒体の製造が可能になる。
【0003】
ところが、特許文献1に記載の多層構造シートは、記録層に剥離フィルムが付着しているため、剥離フィルムを剥離したときに、記録層にひび割れが生じてしまっていた。そのため、従来、記録層に直接剥離フィルムが付着しないように構成された多層構造シートが知られている(例えば、特許文献2)。具体的に、特許文献2に記載の多層構造シートは、感圧接着剤層、記録層、剥離補助層の順に並ぶ多層構造を有し、最も外側に配置されている感圧接着剤層と剥離補助層に剥離フィルムが付着している。このように記録層を感圧接着剤層と剥離補助層で挟むような構造にすることで、剥離フィルムを剥離したときに、記録層にひび割れが生じるのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−209328号公報
【特許文献2】特開2011−81860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献2の多層構造シートを用いて基板上に多層構造を形成すると、隣接する2つの記録層間に感圧接着剤層と剥離補助層の2層を有する構造が形成される。ところが、このように隣接する2つの記録層間に2つの層を有する構造である場合、記録層と感圧接着剤層の界面、感圧接着剤層と剥離補助層の界面および剥離補助層と記録層の界面の3種類の界面ができる。このような構成においては、感圧接着剤層と剥離補助層の界面における反射はない方がよいため、感圧接着剤層と剥離補助層の屈折率差をゼロに近づけるように、感圧接着剤層と剥離補助層の材料を選択しなければならない。またさらに、記録層の材料を含む3種類の材料の相互作用(溶解、浸食)も考慮する必要があるため、各層の材料は選択肢が限られてしまう。
【0006】
そこで、本発明は、多層構造シートを用いた光情報記録媒体の製造の際に生じる記録層のひび割れを防止しつつ、各層の材料の選択性を向上させることができる多層構造シートとその製造方法、光情報記録媒体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決するための本発明は、複数の記録層を備えた多層構造を有する光情報記録媒体を製造するための多層構造シートであって、感圧粘着剤層、記録層、前記感圧粘着剤層よりもガラス転移温度が高い記録層支持層、記録層の順に重なった単位構造を少なくとも1つ有し、最も外側に配置されている感圧粘着剤層には、剥離シートが付着していることを特徴とする。
【0008】
このような構成によると、界面が、感圧粘着剤層と記録層の界面および記録層と記録層支持層の界面の2種類のみであるので、界面が3種類以上となる構成に比べて、各層の材料の選択性が向上する。また、記録層に剥離シートが直接付着しないように構成されているので、剥離シートを取り除いたときに、記録層にひび割れが生じるのを防ぐことができる。
【0009】
前記した多層構造シートにおいては、前記記録層は、高分子バインダーと、当該高分子バインダーに分散された色素とを有する構成とすることができる。このような構成によると、記録層との界面を変形させて記録をすることができる。そして、この色素は、多光子吸収化合物を含む構成とすることができる。多光子吸収化合物を用いることで、焦点付近でのみ選択的に吸収を起こすことができるため、焦点位置を調整するだけで特定の記録層のみを記録できるので、記録層の多層化に有利である。
また、前記記録層は、色素が結合された高分子を有する構成としても良い。
【0010】
前記した多層構造シートにおいては、前記記録層の厚さは50nm以上であることが望ましい。このような構成によると、記録した箇所の中央を凸となるように変形させることができる。
【0011】
前記した多層構造シートにおいては、前記剥離シート上に前記単位構造が繰り返し重なった構造を有していても良い。
【0012】
前記した多層構造シートにおいては、前記記録層支持層は、エネルギー硬化型樹脂からなる構成とすることができる。このような構成とすることで、多層構造シートの製造時に、適度な厚さに塗布しやすく、またすぐに固めることができる。また、一般的に、3次元架橋して得られるエネルギー硬化型樹脂膜は、耐有機溶剤性が高く、有機溶剤に溶解することがない。そのため、エネルギー硬化型樹脂膜の上に記録層を積層する場合においても、有機溶剤を用いたスピンコートやブレードコート等の塗布方法を使用することができる。
【0013】
そして、このエネルギー硬化型樹脂は、紫外線硬化樹脂であることが望ましい。紫外線硬化樹脂は、扱いが容易な紫外線を当てることで硬化するので、簡単に記録層支持層を形成することができ、大面積の多層構造シートを製造するのに有利である。
【0014】
前記した多層構造シートにおいては、記録光における前記記録層支持層の屈折率と前記記録層の屈折率との差は、0.05以下であることが望ましい。また、記録光の波長は、例えば、405nmとすることができる。このような構成によると、記録層支持層と記録層の界面での反射を最小限にすることができる。
【0015】
前記した多層構造シートにおいては、記録光における前記感圧粘着剤層の屈折率と前記記録層の屈折率との差は、前記記録支持層の屈折率と前記記録層の屈折率の差よりも大きいことが望ましい。このような構成によると、情報が記録される感圧粘着剤層と記録層の界面における反射光量を大きくして、情報の再生時に、S/N比を大きくすることができる。
【0016】
前記した多層構造シートにおいては、前記感圧粘着剤層および前記記録層支持層は、記録光を実質的に吸収しない材料からなる構成とすることができる。このような構成によると、下層にある記録層にも記録光を届かせやすい。
【0017】
また、前記した多層構造シートにおいては、前記感圧粘着剤層および前記記録層支持層の厚さは、2〜20μmの範囲内で形成された構成とすることができる。
【0018】
そして、前記した課題を解決するための本発明は、複数の記録層を備えた多層構造を有する光情報記録媒体であって、隣接する2つの記録層間に、感圧粘着剤層および前記感圧粘着剤層よりもガラス転移温度が高い記録層支持層の一方が設けられ、前記感圧粘着剤層と前記記録層支持層とは、互いに交互に配置されている構成を有することを特徴とする。
【0019】
このような構成によると、多層構造内の界面が、感圧粘着剤層と記録層の界面および記録層と記録層支持層の界面の2種類のみであるので、界面が3種類以上となる構成に比べて、各層の材料の選択性が向上する。
【0020】
前記した光情報記録媒体は、記録光の照射により前記記録層と前記感圧粘着剤層の界面が変形することで、情報が記録される構成とすることができる。
【0021】
また、前記した多層構造シートの製造方法は、第1の剥離シートの上に感圧粘着剤層を形成して第1のシートを得る第1工程と、第2の剥離シートの上に記録層支持層を形成する第2工程と、前記記録層支持層の上に記録層を形成して第2のシートを得る第3工程と、前記感圧粘着剤層と前記記録層を貼り合わせることで前記第1のシートに前記第2のシートを重ねて第3のシートを得る第4工程と、前記第3のシートから前記第2の剥離シートを取り除き、前記記録層支持層を露出させる第5工程と、前記第5工程において露出した前記記録層支持層の上に、記録層を形成して第4のシートを得る第6工程と、を有することを特徴とする。
【0022】
このような多層構造シートの製造方法によれば、製造の過程でできる各層の界面が、感圧粘着剤層と記録層の界面および記録層と記録層支持層の界面の2種類のみであるので、界面が3種類以上となる構成に比べて、各層の材料の選択性が向上する。また、剥離シートを記録層から取り除く工程がないので、記録層にひび割れが生じるのを防止することができる。
【0023】
また、前記した多層構造シートの製造方法においては、前記第4のシートから前記第1の剥離シートを取り除き、前記感圧粘着剤層を露出させた第5のシートを得る第7工程と、他の前記第4のシートの最上層の前記記録層の上に、前記第5のシートを1つ以上重ねて貼る第8工程とを有していてもよい。
【0024】
そして、前記した多層構造シートを用いた、複数の記録層を備えた多層構造を有する光情報記録媒体の製造方法は、前記多層構造シートから剥離シートを取り除き、感圧粘着剤層を露出させた第1の多層構造シートを得る剥離工程と、前記第1の多層構造シートの露出した前記感圧粘着剤層を、基板の上に貼り合わせることで、前記第1の多層構造シートを前記基板に重ねる貼付工程と、前記基板に貼られた前記第1の多層構造シートの上に他の前記第1の多層構造シートの前記感圧粘着剤層を貼り合わせることで、前記基板に貼られた前記第1の多層構造シートの上に、他の前記第1の多層構造シートを重ねる第1積層工程と、を有することを特徴とする。
【0025】
このような光情報記録媒体の製造方法によれば、製造の過程でできる各層の界面が、感圧粘着剤層と記録層の界面および記録層と記録層支持層の界面の2種類のみであるので、界面が3種類以上となる構成に比べて、各層の材料の選択性が向上する。
【0026】
また、前記した多層構造シートを用いた、複数の記録層を備えた多層構造を有する光情報記録媒体の製造方法は、前記多層構造シートの1つを第2の多層構造シートとして準備する準備工程と、前記多層構造シートから剥離シートを取り除き、感圧粘着剤層を露出させた第3の多層構造シートを得る剥離工程と、前記第2の多層構造シートの上に、前記第3の多層構造シートの露出した前記感圧粘着剤層を貼り合わせることで、前記第2の多層構造シートに、1つ以上の前記第3の多層構造シートを重ねる第2積層工程と、1つ以上の前記第3の多層構造シートが貼られた前記第2の多層構造シートの剥離シートを取り除き、当該剥離シートを取り除くことで露出する感圧粘着剤層を基板の上に重ね、前記1つ以上の前記第3の多層構造シートが貼られた前記第2の多層構造シートを前記基板に貼る貼付工程と、を有することを特徴とする。
【0027】
このような光情報記録媒体の製造方法によれば、製造の過程でできる各層の界面が、感圧粘着剤層と記録層の界面および記録層と記録層支持層の界面の2種類のみであるので、界面が3種類以上となる構成に比べて、各層の材料の選択性が向上する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、感圧粘着剤層と記録層の界面および記録層支持層と記録層の界面についてのみ考慮すればよいので、材料の選択性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】多層光情報記録媒体の断面図である。
【図2】記録時に形成される記録スポットを示す図である。
【図3】再生時を説明する図である。
【図4】記録層に凹形状が形成される過程を説明する図(a)〜(c)である。
【図5】多層構造シートの断面図である。
【図6】多層構造シートの製造方法を説明する図(a)〜(c)である。
【図7】多層構造シートを用いた多層光情報記録媒体の製造方法を説明する図(a)〜(f)である。
【図8】多層光情報記録媒体の製造方法の他の例を説明する図(a)〜(d)である。
【図9】多層光情報記録媒体の製造方法の他の例を説明する図(a)〜(d)である。
【図10】変形例に係る多層構造シートの製造方法を説明する図(a),(b)である。
【図11】変形例に係る多層構造シートを用いた多層光情報記録媒体の製造方法を説明する図(a)〜(f)である。
【図12】記録スポットの原子間力顕微鏡像である。
【図13】記録スポットのレーザ顕微鏡像である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、光情報記録媒体10は、基板11と、複数の記録層14と、複数の中間層15(感圧粘着剤層15Aおよび記録層支持層15B)と、カバー層16とを備えてなる。本実施形態においては、便宜上、記録層14と感圧粘着剤層15Aとの界面を反射界面18Aと呼び、記録層14と記録層支持層15Bとの界面を無反射界面18Bと呼ぶことにする。
【0031】
<基板>
基板11は、支持板12とサーボ信号層13とから構成されている。
支持板12は、記録層14などを支持するための支持体であり、一例としてポリカーボネートの円板などからなる。支持板12の材質や厚さは特に限定されない。
【0032】
サーボ信号層13は、記録層14および中間層15からなる多層構造を支持板12に保持させるための粘着性または接着性の樹脂材料からなり、支持板12側の面に予め凹凸または屈折率の変化によりサーボ信号が記録された層である。ここでのサーボ信号は、記録時および再生時のフォーカスの基準面であることを記録再生装置が認識できるように予め設定された信号である。所定の記録層14に焦点を合わせる場合には、この基準面からの距離や、界面の数を考慮して焦点を制御する。また、記録時および再生時に円周方向に並んだ記録スポットのトラックに正確にレーザ光を照射できるようにトラッキング用のサーボ信号または溝を設けておくとよい。なお、サーボ信号層13の有無は任意である。
【0033】
<記録層>
記録層14は、情報が光学的に記録される感光材料からなる層であり、本実施形態においては、高分子バインダーと、当該高分子バインダーに分散された色素とを有してなる。記録層14は、記録光を照射すると、色素が記録光を吸収して発生する熱により高分子バインダーが変形し、反射界面18Aに、感圧粘着剤層15Aに向かう凸形状が形成されることで情報が記録される。より詳しくは、後述するように、記録層14を基準に見て中央が記録層14から感圧粘着剤層15Aに向かうように凸形状となり、この凸形状の周囲が、感圧粘着剤層15Aから記録層14に向かうように凹形状が形成される。
【0034】
このため、記録層14は、従来の高分子バインダーと色素を含む記録層に比較して厚く形成されており、一層の記録層14は、50nm〜5μm、望ましくは100nm〜3μm、より望ましくは200nm〜2μmで形成されている。厚さが50nmより小さい場合には、後述する公知の記録層の変形による記録技術のように、記録層14と中間層15の界面(本実施形態では、反射界面18Aまたは無反射界面18Bに相当する)が記録層14を基準に見て凹形状に変形するが、厚さが50nm以上であることで、記録した箇所の中央が凸となるように変形する。記録層14の厚さの上限は特に限定されないが、記録層14の層数をできるだけ多くするため、記録層14の厚さは5μm以下であるのが望ましい。なお、ここでの一実施形態での記録層14は、一例として1μmの厚さであるとする。
【0035】
記録層14は、例えば、2〜100層程度設けられる。光情報記録媒体10の記憶容量を大きくするため、記録層14は多い方が望ましく、例えば10層以上であるのが望ましい。また、記録層14は、記録の前後において、屈折率が変化してもよいが、無反射界面18Bを、記録の前後において共に無反射とするために、屈折率が変化しないのが望ましい。
【0036】
記録層14は、記録光に対する吸収率(1光子吸収率)が1層当たり5%以下であるのが望ましい。また、この吸収率は2%以下であるのがより望ましく、1%以下であるのがさらに好ましい。例えば、最も奥側の記録層14に到達する記録光の強度が照射した記録光の強度の50%以上であることを条件とすると、30層の記録層を実現するためには、記録層1層当たりの吸収率が2%以下である必要があり、50層の記録層を実現するためには、記録層1層当たりの吸収率が1%以下である必要があるからである。また、吸収率が高いと、記録層14を加熱しすぎることで、反射界面18Aに凸形状を形成しにくくなる。
【0037】
記録層14に用いる高分子バインダーとしては、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリベンジルメタクリレート、ポリイソブチルメタクリレート、ポリシクロヘキシルメタクリレート、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ安息香酸ビニル、ポリピバル酸ビニル、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレートなどを用いることができる。
【0038】
記録層14に用いる、上記記録光を吸収する色素としては、例えば、ヒートモード型記録材料として従来用いられていた色素(1光子吸収色素)を用いることができる。例えば、フタロシアニン系化合物、アゾ化合物、アゾ金属錯体化合物、メチン色素(シアニン系化合物、オキソノール系化合物、スチリル色素、メロシアニン色素)を用いることができる。また、多層の記録層を有する記録媒体において記録再生時における隣接記録層への影響を最小限にするためには、前記記録光を吸収する色素として、多光子吸収色素を含むことが望ましく、多光子吸収色素は、例えば、読出光の波長に線形吸収帯を持たない2光子吸収化合物であることが好ましい。
【0039】
2光子吸収化合物としては、読出光の波長に線形吸収帯を持たないものであれば、特に限定されないが、例えば、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物が挙げられる。
【0040】
【化1】

【0041】
(一般式(1)中、XおよびYはハメットのシグマパラ値(σp値)が共にゼロ以上の値を有する置換基を表し、同一でもそれぞれ異なってもよく、nは1〜4の整数を表し、Rは置換基を表し、同一でもそれぞれ異なってもよく、mは0〜4の整数を表す。)
【0042】
一般式(1)中、XおよびYはハメット式におけるσp値が正の値を取るもの、所謂電子吸引性の基を指し、好ましくは例えばトリフルオロメチル基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、などが挙げられ、より好ましくはトリフルオロメチル基、シアノ基、アシル基、アシルオキシ基、またはアルコキシカルボニル基であり、最も好ましくはシアノ基、ベンゾイル基である。これらの置換基のうち、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、アシル基、アシルオキシ基、およびアルコキシカルボニル基は、溶媒への溶解性の付与等の他、様々な目的で、更に置換基を有してもよく、置換基としては、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アリールオキシ基、などが挙げられる。
【0043】
nは1以上4以下の整数を表し、より好ましくは2または3であり、最も好ましくは2である。nが5以上になるほど、線形吸収が長波長側に出てくるようになり、700nmよりも短波長の領域の記録光を用いての非共鳴2光子吸収記録ができなくなる。
Rは置換基を表し、置換基としては、特に限定されず、具体的には、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アリールオキシ基、などが挙げられる。mは0以上4以下の整数を表す。
【0044】
一般式(1)で表される構造を有する化合物の具体例としては、特に限定されないが、下記の化学構造式D−1〜D−21の化合物を使用することができる。
【0045】
【化2】

【0046】
<中間層>
中間層15は、複数の記録層14の間に配置されている。言い換えると、中間層15(感圧粘着剤層15Aまたは記録層支持層15B)と記録層14とは交互に配置されている。中間層15は、複数の記録層14の間で層間クロストーク(隣接する記録層14間の信号の混じり合い)が生じないように、記録層14同士の間隔を所定量空けるために設けられている。このため、中間層15(感圧粘着剤層15Aおよび記録層支持層15B)の厚さは、3μm以上である。中間層15は、層間クロストークが防止できる限り薄い方がよく、例えば、20μm以下が望ましい。一例として、本実施形態では、感圧粘着剤層15Aと記録層支持層15Bの厚さは、それぞれ10μmである。すなわち、本実施形態において感圧粘着剤層15Aと記録層支持層15Bは、同じ厚さである。このように、感圧粘着剤層15Aと記録層支持層15Bが同じ厚さであることで、反射界面18Aのピッチが、12μm、10μm、12μm、10μm・・・と一定ピッチではなくなる。これにより、再生中の反射界面18Aからの反射光である再生光と、再生中の反射界面18Aに隣接する反射界面18Aにおける読出光の反射光との干渉が、再生光に与える影響を小さくすることができる。
【0047】
隣接する2つの記録層14の間には、感圧粘着剤層15Aおよび記録層支持層15Bの一方が設けられている。そして、感圧粘着剤層15Aと記録層支持層15Bは、記録層14を挟んで交互に配置されている。すなわち、図1に示すように、基板11側から見て、感圧粘着剤層15A、記録層14、記録層支持層15B、記録層14の順序で、これらの層が繰り返し配置されている。
【0048】
感圧粘着剤層15Aおよび記録層支持層15Bは、記録時および再生時のレーザ光の照射により変化しない材料が用いられる。また、感圧粘着剤層15Aおよび記録層支持層15Bは、記録光や読出光、再生光の損失を最小限にするため、記録光や読出光、再生光を実質的に吸収しない、つまり、透明な材料からなることが望ましい。ここでの透明とは、吸収率が1%以下であることをいう。
なお、感圧粘着剤層15Aおよび記録層支持層15Bは、それぞれ、屈折率分布が略均一な層である。
【0049】
感圧粘着剤層15Aと記録層支持層15Bとは、互いに異なる屈折率を有する。そして、記録層支持層15Bは、記録層14と実質的に同じ屈折率を有する。具体的には、記録層14と記録層支持層15Bとは、記録層14の屈折率をn1、記録層支持層15Bの屈折率をn3として、
((n3−n1)/(n3+n1))≦0.0003
を満たす程度、つまり、無反射界面18Bでの反射率が0.0003(0.03%)以下である程度に、同等の屈折率を有するのが望ましい。
記録層14と記録層支持層15Bの屈折率は、両層の界面での反射を無くすため、近ければ近いほど良く、記録層14と記録層支持層15Bの屈折率の差は、好ましくは0.05以下、より好ましくは0.03以下、さらに好ましくは0.01以下、最も好ましくは0である。一例としては、記録層14の屈折率n1は、1.565であり、記録層支持層15Bの屈折率n3は、1.564である。このとき、((n3−n1)/(n3+n1))は、ほぼ0である。
【0050】
一方、感圧粘着剤層15Aと記録層14とは、異なる屈折率を有している。具体的に、感圧粘着剤層15Aの屈折率と記録層14の屈折率の差は、記録層14と記録層支持層15Bの屈折率の差よりも大きく、かつ、0.11以下であるのが好ましい。より具体的には、記録層14と感圧粘着剤層15Aとは、感圧粘着剤層15Aの屈折率をn2として、
0.0005≦((n2−n1)/(n2+n1))≦0.04
を満たす程度に異なるのが望ましい。
【0051】
反射率が0.0005以上であることで、反射界面18Aでの読出光の反射光量を大きくして、情報の再生時に、S/N比を大きくすることができる。また、反射界面18Aの反射率が0.04以下であることで、反射界面18Aでの読出光の反射光量を適度な大きさに抑えて、記録時および再生時において記録再生光が大きな減衰を受けることなく深い記録層14に到達するのを可能にする。これにより、記録層14を多数設けて高容量化を図ることが可能となる。
【0052】
一例としては、記録層14の屈折率n1は、1.565であり、感圧粘着剤層15Aの屈折率n2は、1.477である。このとき、((n2−n1)/(n2+n1))は0.0008(0.08%)である。
【0053】
本実施形態において、感圧粘着剤層15Aは、他の面への貼り付けを可能にする粘着性を有し、記録層14よりも軟らかくなっている。具体的には、例えば、感圧粘着剤層15Aは、ガラス転位温度が記録層14のガラス転位温度よりも低くなっている。このような構成は、記録層14の材料として用いることができる高分子バインダー(樹脂)や、感圧粘着剤層15Aの材料として用いることができる樹脂を適切に選択することにより実現することができる。
このように、感圧粘着剤層15Aを記録層14よりも軟らかい構成とすることで、記録層14を記録光により加熱して膨脹させたときに、感圧粘着剤層15Aが変形しやすく、反射界面18Aの変形を容易に起こさせることができる。
【0054】
ところで、感圧粘着剤層15A上に記録層14を設けるため、記録層14の材料を感圧粘着剤層15Aに塗布すると、感圧粘着剤層15Aの材質によって、感圧粘着剤層15Aが記録層14の材料に冒されてしまう。そのため、記録層支持層15Bは、記録層14の材料に冒されない材料から形成し、記録層14を、記録層支持層15Bの上に形成できるようにする。また、記録層支持層15Bの材料は、溶剤に強い、例えば、架橋度が高いものが望ましい。
【0055】
記録層支持層15Bの材料としては、感圧粘着剤層15Aよりも硬い、つまり、ガラス転移温度が高い熱可塑性樹脂やエネルギー硬化型樹脂が好ましい。エネルギー硬化樹脂を用いる場合、材料を適度な厚さに塗布しやすく、また、すぐに固めることができるので、後述するような多層構造シートの製造を容易にすることができる。また、エネルギー硬化樹脂を用いる場合には、紫外線硬化樹脂を採用するのが望ましい。このように、記録層支持層15Bを紫外線硬化樹脂で形成することによって、扱いが容易な紫外線を当てることで、簡単に記録層支持層15Bを硬化させることができるので、大面積の多層構造シートを製造するのに有利となる。
【0056】
本実施形態において、記録層支持層15Bは、記録層14と同等の硬さ、または、記録層14よりも硬い構成とすることができる。具体的には、例えば、記録層支持層15Bは、ガラス転位温度が記録層14のガラス転位温度以上のものとすることができる。このような構成は、記録層14の材料として用いることができる樹脂や、記録層支持層15Bの材料として用いることができる樹脂を適切に選択することにより実現することができる。
【0057】
記録層14の屈折率n1と記録層支持層15Bの屈折率n3との差を小さくし、望ましくは0にするためには、記録層14および記録層支持層15Bに用いる材料の配合を調整するとよい。具体的には、記録層14の材料には、2光子吸収化合物などの色素が高分子バインダー中に混入されているので、色素または高分子バインダーの屈折率を適切に選択し、それぞれの配合比率を変更することによって屈折率n1を任意に調整することができる。また、高分子バインダーは、類似の基本構造を有していても重合度が異なると屈折率も変化するため、重合度が異なる高分子バインダーを用いたり、高分子バインダーの重合度を調整したりすることでも屈折率n1の調整が可能である。さらに、複数の高分子バインダーを配合することで調整することも可能である。また、屈折率調整剤(無機微粒子等)を添加して屈折率n1を調整することも可能である。
【0058】
記録層支持層15Bの屈折率n3を調整する場合、記録層支持層15Bの材料として用いることができる樹脂などのポリマー材料の重合度を調整することで、屈折率n3を調整することができる。また、中間層15として使用可能な材料を任意に配合して屈折率n3を調整したり、屈折率調整剤(無機微粒子等)を添加して調整したりすることも可能である。
【0059】
<カバー層>
カバー層16は、記録層14および中間層15(感圧粘着剤層15Aおよび記録層支持層15B)を保護するために設けられる層であり、記録再生光が透過可能な材料からなる。カバー層16は、数十μm〜数mmの適宜な厚さで設けられる。
【0060】
<情報の記録・再生>
以上のような光情報記録媒体10に、情報を記録・再生する方法について説明する。
所望の記録層14に情報を記録するとき、図1に示すように、その記録層14に、記録すべき情報に応じて出力が変調されたレーザ光(記録光RB)を照射する。一例として、このレーザ光の波長は、405nmである。記録層14が、多光子吸収化合物を記録色素として有する場合、このレーザ光には、ピークパワーを大きくできるパルスレーザ光を用いるとよい。そして、記録光RBの焦点の位置は、特に限定されないが、反射界面18A付近とすることができる。望ましくは、反射界面18Aで焦点を調整した後、記録層14がある側へ焦点位置を僅かにずらすとよい。
【0061】
記録光RBを照射すると、記録光RBを照射した箇所の中心が記録層14から感圧粘着剤層15Aに向けて凸形状となる記録スポットMが形成される。記録スポットMは、図2に示すように、詳細には、中央が凸部M1となり、この凸部M1の周囲が記録層14に向かうリング状の凹部M2となっている。凹部M2の最も深い部分の反射界面18A(変形前の反射界面18A)からの距離は、凸部M1の頂点の反射界面18A(変形前の反射界面18A)からの距離よりも小さい。すなわち、記録スポットMは、記録層14に着目すると、全体としてはおよそ凸形状ということができる。この中央が凸形状となる記録スポットMの形成原理は明らかではないが、従来から知られている、照射箇所の中央が凹形状となる記録方法における、凹形状の形成原理(これも、推測として論じられている)との比較から、次のように推察される。
【0062】
まず、従来の記録方法についてみると、J.Appl.Phys 62(3), 1 August 1987によれば、記録光RBを記録材料に照射すると、図4(a)に示すように、記録材料の温度上昇により記録材料(記録層14)が膨脹する(斜線部分は、加熱された範囲を示す)。そして、図4(b)に示すように、膨脹した部分が表面張力により周囲に流出する。その後、温度が低下すると、図4(c)に示すように、膨脹していた記録材料が収縮して、照射箇所の周囲に流出した部分は、基準面(記録層14の上面)よりも高い位置に記録材料が残って凸形状となるが、中央部分は、材料の流出により基準面よりも低くなって凹形状となる。
【0063】
一方、本実施形態の光情報記録媒体10では、記録光RBを照射すると、記録層14が熱膨張して、従来と同様、図4(a)のように記録層14が突出する。しかし、本実施形態の場合、記録層14が比較的厚いなどの理由から、記録層14の表面付近の粘度は従来技術ほど低くならず、図4(b)の流出が起こらない。そのため、温度が下がることにより、膨脹した部分が収縮すると、図4(a)の形状から図2の形状のように変形して、中央に凸部M1が残り、凸部M1の周囲に凹部M2ができると考えられる。
【0064】
このようにして形成された記録スポットMは、図3に示すように連続波レーザで読出光OBを照射すると、記録層14の屈折率n1と感圧粘着剤層15Aの屈折率n2に差があることで、記録スポットMの周囲の反射界面18Aにおける反射光の強度と、記録スポットMにおける反射光の強度に差が生じるので、この変調により記録スポットMを検出することができる。このような光学的な検出のため、凸部M1は、変形する前の界面(反射界面18A)に対して1〜300nm程度突出しているのが望ましい。
【0065】
なお、光情報記録媒体10では、記録条件により、記録スポットが、凸形状のみからなり、凸形状の周囲に凹形状が形成されない場合もある。
【0066】
本実施形態においては、記録スポットMは、凸部M1の周囲に凹部M2が形成されているので、記録スポットMを読み取るための読出光OBを記録スポットMに当てると、凸部M1のみが有る場合に比較して、記録スポットMによる反射光の強度分布は凸部M1の中央からの距離に応じて急激に変化すると考えられ、高い変調度で読み取ることが可能である。
なお、本発明は、記録層14を凸形状に変形させて情報を記録する場合だけでなく、従来のように凹形状に変形させて情報を記録する場合をも含む。また、本実施形態の光情報記録媒体10への記録時に、図1に示すように無反射界面18Bも変形を生じることがありうるが、無反射界面18Bにおいて、読出光OBの反射は起こらないことから、この変形は、再生時になんら影響しない。
【0067】
記録層14に記録した情報を消去する場合、記録層14を高分子バインダーのガラス転移温度付近の温度、望ましくは、ガラス転移温度より高い温度に加熱することで、高分子バインダーの流動性が向上し、表面張力により反射界面18Aの変形がなくなって元の平面に戻ることで、その記録層14に記録された情報を消去することができる。このように情報を消去することで、記録層14への再度の記録(繰り返し記録)が可能である。この加熱の際には、記録層14に焦点を合わせるように連続波レーザを照射する方法を用いることができる。連続波レーザで加熱を行うことにより、記録層14中で連続した領域の情報をムラなく消去することが可能である。この連続波レーザは、情報の再生に用いるレーザを用いてもよいし、別のレーザを用いてもよい。いずれの場合にも、1光子吸収が可能な波長の光を発するレーザを用いるのが望ましい。
【0068】
また、記録層14の加熱により情報を消去する際には、光情報記録媒体10の全体を高分子バインダーのガラス転移温度より高い温度に加熱することで、すべての記録層14に記録された情報を一度に消去することができる。これにより、記録層14が有する色素の種類にかかわらず、簡易に光情報記録媒体10の全体の情報を消去して初期化することができる。また、光情報記録媒体10の廃棄の際にも、簡易に情報を抹消することができる。
【0069】
以上のように、本実施形態の光情報記録媒体10においては、後述するような多層構造シートを用いて製造が可能でありながら、界面が、感圧粘着剤層15Aと記録層14の界面(反射界面18A)および記録層14と記録層支持層15Bの界面(無反射界面18B)の2種類のみであるので、界面が3種類以上となる構成に比べて、各層の材料の選択性が向上する。
【0070】
以上に本実施形態に係る光情報記録媒体10について説明したが、光情報記録媒体は、前記した実施形態に限定されることなく適宜変形して実施することが可能である。例えば、前記実施形態では、記録層14の厚さを50nm以上としたが、50nm未満であっても構わない。また、前記実施形態においては、色素として1光子吸収色素と多光子吸収色素の両方を用いることができることを例示したが、1光子吸収色素のみを用いてもよいし、多光子(2光子)吸収色素のみを用いてもよい。
【0071】
また、前記実施形態では、記録層14は、高分子バインダーと、高分子バインダーに分散された色素とを有していたが、本発明はこれに限定されず、記録層は、色素が結合された高分子を有してもよい。
【0072】
具体的には、記録層14は、下記の一般式(2)で示す構造を有した高分子を含有していてもよい。
【化3】

【0073】
(一般式(2)中、Yはハメットのシグマパラ値(σp値)が共にゼロ以上の値を有する置換基を表し、Xも同種の置換基を表す。XおよびYは同一種でもそれぞれ異なってもよく、nは1〜4の整数を表し、R、R、Rは置換基を表し、同一種でもそれぞれ異なってもよく、lは1以上、mは0〜4の整数を表す。)
【0074】
以上のような光情報記録媒体10は、図5に示すような多層構造シート150を用いて製造することができる。
【0075】
<多層構造シート>
多層構造シート150は、第1の剥離シート(剥離シート)S1、感圧粘着剤層15A、記録層14および記録層支持層15Bを有している。具体的に、多層構造シート150は、第1の剥離シートS1の剥離剤が塗布されている表面に、感圧粘着剤層15A、記録層14、記録層支持層15B、記録層14がこの順序で重なっている。つまり、多層構造シート150は、感圧粘着剤層15A、記録層14、記録層支持層15B、記録層14の順に重なった単位構造を1つ有しており、最も外側に配置されている感圧粘着剤層15Aの表面には、剥離シート(第1の剥離シートS1)が取り付けられている。
【0076】
以上のように、本実施形態の多層構造シート150においては、界面が、感圧粘着剤層15Aと記録層14の界面および記録層14と記録層支持層15Bの界面の2種類のみであるので、界面が3種類以上となる構成に比べて、各層の材料の選択性が向上する。
【0077】
また、本実施形態の多層構造シート150は、記録層14に剥離シートが直接貼付されていないので、剥離シートを取り除く際に記録層14にひび割れが生じるのを防止することができる。
【0078】
<多層構造シートの製造方法>
以上のような多層構造シート150は、以下のような方法で製造することができる。
まず、図6(a)に示すように、第1の剥離シートS1の剥離剤が塗布されている側の表面上に感圧粘着剤層15Aを形成して、第1のシート110を形成する(第1工程)。また、第1の剥離シートS1とは別に用意した第2の剥離シートS2の剥離剤が塗布されている側の面上に、記録層支持層15Bを形成し(第2工程)、当該記録層支持層15Bの上に記録層14を形成して第2のシート120を形成する(第3工程)。ここで、第2の剥離シートS2には、第2の剥離シートS2を剥離するときの力が第1の剥離シートS1を剥離するときの力よりも弱くなるような剥離性能の高い剥離剤が塗布されている。なお、第1工程と、第2工程および第3工程とは、順序を問わない。
【0079】
各層の形成方法は、特に限定されないが、例えば、ナイフコート法、ロールコート法、バーコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などの塗布する方法を用いることができる。
【0080】
次に、第1のシート110の感圧粘着剤層15Aと第2のシート120の記録層14を貼り合わせることで、第1のシート110に第2のシート120を重ねて、図6(b)に示すように、第3のシート130を得る(第4工程)。これにより、記録層14が、第1の剥離シートS1および第2の剥離シートS2に直接付着せず、感圧粘着剤層15Aと記録層支持層15Bに挟まれるので、第1の剥離シートS1または第2の剥離シートS2を取り除いたときに、記録層14がひび割れるのを防止することができる。
【0081】
そして、図6(c)に示すように、第3のシート130から第2の剥離シートS2を取り除き、記録層支持層15Bを露出させる(第5工程)。前述したように、第2の剥離シートS2は、第1の剥離シートS1よりも剥離しやすいので、第5工程においては、第1の剥離シートS1が剥離することなく、第2の剥離シートS2のみを取り除くことができる。
【0082】
次に、図5に示すように、第5工程において露出した記録層支持層15Bの上に、記録層14を形成して多層構造シート(第4のシート)150を得る(第6工程)。このときの記録層14の形成方法は、第3工程における各層の形成方法と同様の方法であってもよいし、異なる方法であってもよい。
【0083】
このようにして得られた多層構造シート150は、ロール状に巻かれて保管され、使用するときには、必要な分だけ引き出される。なお、多層構造シート150をロール状に巻くと、最上層に配置されている記録層14が、第1の剥離シートS1と接触することになる。しかし、乾いている記録層14上に、第1の剥離シートS1は付着しないので(密着せずに触れているだけなので)、多層構造シート150を引き出したときに、記録層14にひび割れが生じることはない。
【0084】
以上のような本実施形態の多層構造シート150の製造方法によれば、製造の過程でできる各層の界面が、感圧粘着剤層15Aと記録層14の界面および記録層14と記録層支持層15Bの界面の2種類のみであるので、界面が3種類以上となる構成に比べて、各層の材料の選択性が向上する。
【0085】
<光情報記録媒体の製造方法>
次に、多層構造シート150を用いた本実施形態の光情報記録媒体10の2つの製造方法について説明する。まず、1つ目は、基板11に対して多層構造シート150を順次貼り付けていく方法である。
具体的には、まず、ロール状に巻かれた、図7(a)に示す多層構造シート150を引き出し、基板11の形状に合わせて打ち抜く。そして、図7(b)に示すように、この打ち抜かれた多層構造シート150から第1の剥離シートS1を取り除き、感圧粘着剤層15Aを露出させた第1の多層構造シート210を得る(剥離工程)。
【0086】
次に、図7(c)に示すように、第1の多層構造シート210の露出した感圧粘着剤層15Aを、基板11の上に貼ることで、第1の多層構造シート210を基板11に重ねる(貼付工程)。これにより、図7(d)に示すように、基板11の上に、単位構造が1つ形成される。
【0087】
そして、図7(e)に示すように、基板11に貼られた第1の多層構造シート210の最上層に配置される記録層14に他の第1の多層構造シート210の感圧粘着剤層15Aを貼ることで、基板11に貼られた第1の多層構造シート210の上に、他の第1の多層構造シート210を重ねる(第1積層工程)。これにより、図7(f)に示すように、基板11上に、単位構造が2つ重なった構造が形成される。そして、基板11上に設けられている最上層の記録層14にさらに第1の多層構造シート210を重ねる工程を繰り返し行う。
【0088】
最後に、最も上側の記録層14の上にカバー層16を形成することで、図1に示すような、複数の記録層14を備えた多層構造を有する光情報記録媒体10を製造することができる。
【0089】
次に、光情報記録媒体10の製造方法の他の例について説明する。このもう1つの製造方法は、あらかじめ1つの多層構造シート150に対して他の多層構造シート150を複数枚重ねておいたもの(多層構造シート)を、基板11に貼る方法である。
【0090】
具体的には、まず、多層構造シート150の1つを第2の多層構造シート150Aとして準備する(準備工程、図8(b)参照)。
【0091】
また、図8(a)に示すように、多層構造シート150から第1の剥離シートS1を取り除き、感圧粘着剤層15Aを露出させた第3の多層構造シート(第5のシート)211を得る(剥離工程(第7工程))。
【0092】
次に、図8(b)に示すように第2の多層構造シート150Aの最上層の記録層14に、第3の多層構造シート211の露出した感圧粘着剤層15Aを貼ることで、第2の多層構造シート150Aに、第3の多層構造シート211を重ねる(第2積層工程(第8工程))。これにより、図8(c)に示すように、第1の剥離シートS1の上に、単位構造が2つ重なった構造を有するシートを得る。
【0093】
そして、図8(d)に示すように、第2積層工程において第2の多層構造シート150Aに貼られた第3の多層構造シート211の最上層の記録層14に、他の第3の多層構造シート211の露出した感圧粘着剤層15Aを貼ることで、第2の多層構造シート150Aに貼られた第3の多層構造シート211に、他の第3の多層構造シート211を重ねる。これにより、図9(a)に示すような、第2の多層構造シート150Aに2つの第3の多層構造シート211が重ねて貼られ、第1の剥離シートS1の上に単位構造が繰り返し重なった構造を有する第4の多層構造シート220(多層構造シート)が得られる。なお、第4の多層構造シート220は、第2積層工程を2回以上行うことで、3つ以上の第3の多層構造シートが貼られた構成となっていてもよい。
【0094】
この第4の多層構造シート220は、後述する貼付工程の前に作製し、ロール状に巻いて保管しておくことができる。そして、使用する際には、ロール状に巻かれた第4の多層構造シート220を引き出し、基板11の形状に合うように打ち抜く。
【0095】
次に、図9(b)に示すように、基板11の形状に打ち抜かれた第4の多層構造シート220の第1の剥離シートS1を取り除く。そして、図9(c)に示すように当該第1の剥離シートS1を取り除くことで露出する感圧粘着剤層15Aを基板11に貼ることで、第4の多層構造シート220を基板11に重ねる(貼付工程)。これにより、図9(d)に示すような、基板11上に単位構造が繰り返し重なった構造が形成される。
【0096】
最後に、最も上側の記録層14の上にカバー層16を形成することで、図1に示すような、複数の記録層14を備えた多層構造を有する光情報記録媒体10を製造することができる。
【0097】
以上のような本実施形態の光情報記録媒体10の製造方法によれば、製造の過程でできる各層の界面が、感圧粘着剤層15Aと記録層14の界面および記録層14と記録層支持層15Bの界面の2種類のみであるので、界面が3種類以上となる構成に比べて、各層の材料の選択性が向上する。
【0098】
そして、本実施形態の光情報記録媒体10の製造方法は、多層構造シート150を用いているので、スピンコート法を利用した光情報記録媒体10の製造方法に比べて、大きな面積の光情報記録媒体10を製造することが容易であり、生産性が向上する。
【0099】
なお、前記実施形態では、多層構造シート150の最上層が記録層14となるように構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、多層構造シートの最上層は、剥離シートが付着した感圧粘着剤層15Aであってもよい。具体的には、図10(a)に示すように、前記実施形態における多層構造シート150の最上層に配置されている記録層14と、第1のシート110の感圧粘着剤層15Aを貼り合わせることで、単位構造を1つ有する多層構造シート180を得ることができる。なお、この変形例においては、感圧粘着剤層15Aの厚さは、記録層支持層15Bの厚みの半分であることが好ましい。このように感圧粘着剤層15Aの厚さを、記録層支持層15Bの厚みの半分とすることで、後述するように感圧粘着剤層15A同士を貼り合わせたときに、貼り合わされた感圧粘着剤層15Aの厚みが、記録層支持層15Bの厚みと同じになる。
【0100】
次に、この多層構造シート180を用いた光情報記録媒体10の製造方法について説明する。
まず、図11(a)に示すように、多層構造シート180の片方の第1の剥離シートS1を取り除き、感圧粘着剤層15Aを露出させた第5の多層構造シート240を得る。
【0101】
次に、図11(b)に示すように、第5の多層構造シート240の露出した感圧粘着剤層15Aを基板11に貼り、基板11上に第5の多層構造シート240を重ねる。これにより、図11(c)に示すように、基板11の上に単位構造を1つ有する構造が形成される。
【0102】
そして、図11(d)に示すように、基板11上に貼られた第5の多層構造シート240から第1の剥離シートS1を取り除き、最上層に配置されている感圧粘着剤層15Aを露出させる。
【0103】
次に、図11(e)に示すように、基板11上の露出した感圧粘着剤層15Aと、第5の多層構造シート240の露出した感圧粘着剤層15Aを貼り合わせる。これにより、基板11上に、2つの単位構造を有する構造が形成される。以下、同様にして、第5の多層構造シート240を重ねていき、最後に、第1の剥離シートS1を取り除き、カバー層16を設ける。これにより、図1に示すような、光情報記録媒体10を製造することができる。
【実施例】
【0104】
<実験1>
次に、記録層に凸形状の変形を生じさせて光情報記録媒体に記録できることを確認した実験について説明する。なお、前記したように、本発明においては必ずしも記録層を凸形状にする必要はない。
【0105】
1.記録材料
[実施例1]
実施例1においては、記録材料として、高分子バインダーに、色素を分散させたものを用いた。
【0106】
(1)高分子バインダー
高分子バインダーとしては、ポリメタクリル酸メチル(SIGMA−ALDRICH社製)を用いた。
【0107】
(2)色素
色素としては、下記C−2に示す2光子吸収色素を用いた。
【0108】
【化4】

【0109】
2.記録層の形成方法
溶媒(メチルエチルケトン(MEK))に、色素および高分子バインダーを撹拌・溶解させた塗布液を作り、ガラス基板上にスピンコートにより膜を形成した。膜厚は1μmとした。なお、ガラス基板の屈折率は1.53である。
塗布液は、以下の配合とした。
溶媒 7g
色素 72mg
高分子バインダー 500mg
【0110】
3.記録の試験・評価方法
記録光(パルスレーザ:波長405nm、繰り返し周波数76MHz、パルス幅2psec)をピークパワー20W(平均パワー1.5mW)で記録層に照射した。そして、記録光の焦点位置を記録層に調整し、記録光のパワーを固定した上で、記録時間(照射時間)を1μs〜100μsに変化させながら記録を行った。
【0111】
そして、原子間力顕微鏡(AFM)およびレーザ顕微鏡により記録スポットの観察を行った。このときの観察条件は以下の通りである。
【0112】
装置 ナノサーチ顕微鏡OLS−3500(オリンパス社製)
AFM測定
観察条件 ダイナミックモード、走査範囲20μm、走査速度0.5Hz
高アスペクト比プローブAR5-NCHR-20(ナノワールド社製)使用
レーザ顕微鏡測定
観察条件 対物レンズ100倍、共焦点観察
【0113】
4.結果
記録スポットを、AFMにより形状測定した結果を3次元表示したのが図12であり、レーザ顕微鏡で観察した像が図13である。図12に示すように、記録スポットは、凸形状を有していた。図12は、右斜め奥から左斜め前に向かうにつれて、記録時間が長くなっている。また、図13に示すように、レーザ顕微鏡により観察において、記録スポットを明確に確認することができるので、レーザによる光学的な読取りを良好に行うことが可能であることが確認された。
【0114】
<実験2>
次に、製造方法の違いによる記録層のひび割れを確認した実験について説明する。
【0115】
1.材料
(1)記録層
前記した実施例1と同じ材料を用いた。
(2)感圧粘着剤層
アクリル酸エステル系粘着剤を用いた。
(3)記録層支持層
SD−640(DIC製)を用いた。
(4)剥離シート
ポリエチレンテレフタレートフィルム(表面にシリコーン剥離層を塗布済み)を用いた。
【0116】
2.各実施例および比較例の条件
各実施例および比較例の条件は、以下に説明する通りとした。
[実施例2]
剥離シートの上に、感圧粘着剤層、記録層、記録層支持層、記録層の順序で各層が重なったシートを実施例2とした。
(1)作成方法
(1−1)剥離シート上に感圧粘着剤層をバーコート法により塗布し、Aシートとする。
(1−2)剥離シート上に記録層支持層をバーコート法により塗布し、UV光(キセノンランプ)を照射する。そして、硬化した記録層支持層の上に記録層をバーコート法により塗布し、Bシートとする。
(1−3)Aシートの感圧粘着剤層とBシートの記録層を貼り合わせることでAシートにBシートを重ねてCシートとする。
(1−4)Cシートの記録層支持層側の剥離シートを取り除き、記録層支持層の上に記録層をバーコート法により塗布する。
(2)各層の厚み
感圧粘着剤層 10μm
記録層 1μm
記録層支持層 10μm
【0117】
[比較例1]
剥離シート、感圧粘着剤層、記録層、剥離シートの順序で重なったシートを比較例1とした。
(1)作成方法
(1−1)Aシートの剥離シートよりも剥離性能が低い剥離剤が塗布された剥離シート上に記録層をバーコート法により塗布し、Dシートとする。
(1−2)前記したAシートの感圧粘着剤層とDシートの記録層を貼り合わせる。
(2)各層の厚み
感圧粘着剤層 10μm
記録層 1μm
【0118】
3.評価方法
まず、感圧粘着剤層に付着している剥離シートを取り除き、露出した感圧粘着剤層を介して、ガラス基板に貼付した。その後、比較例1は、記録層に付着している剥離シートを取り除いた。なお、各剥離シートは、当該剥離シートが付着しているシートを固定した後、剥離シートにテープを付け、このテープを引っ張ることで取り除いた。
次に、目視およびレーザ顕微鏡による記録層観察により、すべての記録層表面にひび割れが生じていないかを観察して確認した。
【0119】
4.結果
実施例2においては、すべての記録層にひび割れが生じなかった。
比較例1においては、記録層側の剥離シートを取り除いた後、記録層にひび割れが生じていた。
【符号の説明】
【0120】
1 記録層
10 光情報記録媒体
11 基板
14 記録層
15 中間層
15A 感圧粘着剤層
15B 記録層支持層
16 カバー層
150 多層構造シート
S1 第1の剥離シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の記録層を備えた多層構造を有する光情報記録媒体を製造するための多層構造シートであって、
感圧粘着剤層、記録層、前記感圧粘着剤層よりもガラス転移温度が高い記録層支持層、記録層の順に重なった単位構造を少なくとも1つ有し、
最も外側に配置されている感圧粘着剤層には、剥離シートが付着していることを特徴とする多層構造シート。
【請求項2】
前記記録層は、高分子バインダーと、当該高分子バインダーに分散された色素とを有することを特徴とする請求項1に記載の多層構造シート。
【請求項3】
前記記録層は、色素が結合された高分子を有することを特徴とする請求項1に記載の多層構造シート。
【請求項4】
前記色素は、多光子吸収化合物を含むことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の多層構造シート。
【請求項5】
前記記録層の厚さは、50nm以上であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の多層構造シート。
【請求項6】
前記剥離シート上に前記単位構造が繰り返し重なった構造を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の多層構造シート。
【請求項7】
前記記録層支持層は、エネルギー硬化型樹脂からなることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の多層構造シート。
【請求項8】
前記エネルギー硬化型樹脂は、紫外線硬化樹脂であることを特徴とする請求項7に記載の多層構造シート。
【請求項9】
記録光における前記記録層支持層の屈折率と前記記録層の屈折率との差は、0.05以下であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の多層構造シート。
【請求項10】
記録光における前記感圧粘着剤層の屈折率と前記記録層の屈折率との差は、前記記録層支持層の屈折率と前記記録層の屈折率の差よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の多層構造シート。
【請求項11】
前記感圧粘着剤層および前記記録層支持層は、記録光を実質的に吸収しない材料からなることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の多層構造シート。
【請求項12】
前記感圧粘着剤層および前記記録層支持層の厚さは、2〜20μmの範囲内で形成されていることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の多層構造シート。
【請求項13】
記録光の波長は405nmであることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の多層構造シート。
【請求項14】
複数の記録層を備えた多層構造を有する光情報記録媒体であって、
隣接する2つの記録層間に、感圧粘着剤層および前記感圧粘着剤層よりもガラス転移温度が高い記録層支持層の一方が設けられ、
前記感圧粘着剤層と前記記録層支持層とは、互いに交互に配置されている構成を有することを特徴とする光情報記録媒体。
【請求項15】
記録光の照射により前記記録層と前記感圧粘着剤層の界面が変形することで、情報が記録されることを特徴とする請求項14に記載の光情報記録媒体。
【請求項16】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の多層構造シートの製造方法であって、
第1の剥離シートの上に感圧粘着剤層を形成して第1のシートを得る第1工程と、
第2の剥離シートの上に記録層支持層を形成する第2工程と、
前記記録層支持層の上に記録層を形成して第2のシートを得る第3工程と、
前記感圧粘着剤層と前記記録層を貼り合わせることで前記第1のシートに前記第2のシートを重ねて第3のシートを得る第4工程と、
前記第3のシートから前記第2の剥離シートを取り除き、前記記録層支持層を露出させる第5工程と、
前記第5工程において露出した前記記録層支持層の上に、記録層を形成して第4のシートを得る第6工程と、を有することを特徴とする多層構造シートの製造方法。
【請求項17】
前記第4のシートから前記第1の剥離シートを取り除き、前記感圧粘着剤層を露出させた第5のシートを得る第7工程と、
他の前記第4のシートの最上層の前記記録層の上に、前記第5のシートを1つ以上重ねて貼る第8工程と、を有することを特徴とする請求項16に記載の多層構造シートの製造方法。
【請求項18】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の多層構造シートを用いた、複数の記録層を備えた多層構造を有する光情報記録媒体の製造方法であって、
前記多層構造シートから剥離シートを取り除き、感圧粘着剤層を露出させた第1の多層構造シートを得る剥離工程と、
前記第1の多層構造シートの露出した前記感圧粘着剤層を、基板の上に貼り合わせることで、前記第1の多層構造シートを前記基板に貼る貼付工程と、
前記基板に貼られた前記第1の多層構造シートの上に他の前記第1の多層構造シートの前記感圧粘着剤層を貼り合わせることで、前記基板に貼られた前記第1の多層構造シートの上に、他の前記第1の多層構造シートを重ねる第1積層工程と、を有することを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。
【請求項19】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の多層構造シートを用いた、複数の記録層を備えた多層構造を有する光情報記録媒体の製造方法であって、
前記多層構造シートの1つを第2の多層構造シートとして準備する準備工程と、
前記多層構造シートから剥離シートを取り除き、感圧粘着剤層を露出させた第3の多層構造シートを得る剥離工程と、
前記第2の多層構造シートの上に、前記第3の多層構造シートの露出した前記感圧粘着剤層を貼り合わせることで、前記第2の多層構造シートの上に、1つ以上の前記第3の多層構造シートを重ねる第2積層工程と、
1つ以上の前記第3の多層構造シートが貼られた前記第2の多層構造シートの剥離シートを取り除き、当該剥離シートを取り除くことで露出する感圧粘着剤層を基板の上に貼り合わせることで、前記1つ以上の前記第3の多層構造シートが重なった前記第2の多層構造シートを前記基板に貼る貼付工程と、を有することを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−20681(P2013−20681A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154996(P2011−154996)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】