説明

多層構造体およびその製造方法

本発明は、多層構造体、およびその製造方法である。多層構造体は、(a)ポリマー材料を含む少なくとも1つの支持体層、(b)少なくとも1つの接着層(この場合、前記接着層は、少なくとも1つのエポキシ樹脂溶液、少なくとも1つの硬化剤、場合により少なくとも1つの均展剤、少なくとも1つの強化剤、少なくとも1つの充填剤、および少なくとも1つまたはそれ以上の溶媒、を含む接着促進剤組成物から誘導される)、および(c)めっき金属を含む少なくとも1つの表面層、を含み、前記接着層は、前記少なくとも1つの支持体層と前記少なくとも1つの表面層の間に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層構造体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の材料を装飾するために真空めっきを使用することは、一般に公知である。真空めっき用の関連金属としては、以下に限定されないが、Ti、Ni、CuおよびCrが挙げられる。真空めっきは、典型的には、従来のめっき法よりも良好な接着を提供することができ、しかもより環境に優しい。しかし、ガラス繊維強化ナイロンなどのプラスチック材料への真空めっきは、不十分な接着性および不十分な亀裂抵抗性をもたらす。また、めっき層の薄層は、支持体の欠陥を適切に覆い隠さない。プライマーコーティングまたは紫外線(UV)コーティングの使用は、最適な接着性または亀裂抵抗性を提供しなかった。
【0003】
したがって、改善された亀裂抵抗性および接着性を有するプラスチック支持体を真空めっきする方法およびこのような改善された亀裂抵抗性および接着性を有する真空めっきプラスチック支持体を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、多層構造体およびその製造方法である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの実施形態において、本発明は、多層構造体であって、(a)ポリマー材料を含む少なくとも1つの支持体層、(b)少なくとも1つの接着層(この場合、前記接着層は、少なくとも1つのエポキシ樹脂溶液、少なくとも1つの硬化剤、場合により少なくとも1つの均展剤、少なくとも1つの強化剤、少なくとも1つの充填剤、および少なくとも1つまたはそれ以上の溶媒、を含む接着促進剤組成物から誘導される)、および(c)めっき金属を含む少なくとも1つの表面層、を含み、前記接着層が前記少なくとも1つの支持体層と前記少なくとも1つの表面層の間に配置されている多層構造体を提供する。
【0006】
別の実施形態において、本発明は、さらに、多層構造体の製造方法であって、(1)ポリマー材料を含む少なくとも1つの支持体層を提供する工程と、(2)少なくとも1つのエポキシ樹脂溶液、少なくとも1つの硬化剤、場合により少なくとも1つの均展剤、少なくとも1つの強化剤、少なくとも1つの充填剤、および少なくとも1つまたはそれ以上の溶媒、を含む接着促進剤組成物を提供する工程と、(3)前記接着促進剤組成物を、前記少なくとも1つの支持体層の少なくとも1つに塗布する工程と、(4)それによって前記少なくとも1つの支持体層と結合した少なくとも1つの接着層を含む被覆支持体層を形成する工程と、(5)めっき金属を含む少なくとも1つの表面層を前記被覆支持体層の1つの表面に真空めっきする工程と、(6)それによって前記多層構造体を形成する工程と、を含み、前記接着層が前記少なくとも1つの支持体層と前記少なくとも1つの表面層の間に配置されている多層構造体の製造方法を提供する。
【0007】
さらに別の他の実施形態において、本発明は、さらに、本発明の多層構造体を含む物品を提供する。
【0008】
他の実施形態において、本発明は、接着層が5〜50μmの範囲内の厚みを有すること以外は、前記実施形態のいずれかによる多層構造体、その製造方法、それから製造される物品を提供する。
【0009】
他の実施形態において、本発明は、接着促進剤組成物が、20〜65重量%のエポキシ樹脂溶液を含み、前記接着促進剤組成物の全重量に基づいて、前記接着促進剤組成物が、20〜50重量%の前記硬化剤を含み、前記接着促進剤組成物が、0.5〜10重量%の前記強化剤を含み、および前記接着促進剤組成物が、0〜10重量%の前記均展剤を含み、および前記接着促進剤組成物が、0.1〜10重量%の少なくとも1つの充填剤を含み、および前記接着促進剤組成物が、10〜80重量%の少なくとも1つの溶媒を含むこと以外は、前記実施形態のいずれかによる多層構造体、その製造方法、それから製造される物品を提供する。
【0010】
他の実施形態において、本発明は、めっき金属が、Zn、Al、Cr、Cu、TiおよびNiからなる群から選択されること以外は、前記実施形態のいずれかによる多層構造体、その製造方法、それから製造される物品を提供する。
【0011】
他の実施形態において、本発明は、ポリマー材料が、ガラス繊維強化ナイロンであること以外は、前記実施形態のいずれかによる多層構造体、その製造方法、それから製造される物品を提供する。
【0012】
他の実施形態において、本発明は、めっき金属を含む少なくとも1つの表面層が、5〜20μmの範囲内の厚みを有すること以外は、前記実施形態のいずれかによる多層構造体、その製造方法、それから製造される物品を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、多層構造体およびその製造方法である。本発明の多層構造体は、(a)ポリマー材料を含む少なくとも1つの支持体層、(b)少なくとも1つの接着層(この場合、前記接着層は、少なくとも1つのエポキシ樹脂溶液、少なくとも1つの硬化剤、場合により少なくとも1つの均展剤、少なくとも1つの強化剤、少なくとも1つの充填剤、および少なくとも1つまたはそれ以上の溶媒、を含む接着促進剤組成物から誘導される)、および(c)めっき金属を含む少なくとも1つの表面層、を含み、前記接着層は、前記少なくとも1つの支持体層と前記少なくとも1つの表面層の間に配置されている。
【0014】
支持体層は、1つまたはそれ以上のポリマー材料を含む。このようなポリマー材料としては、以下に限定されないが、ポリオレフィン、例えばエチレンまたはプロピレンのホモポリマー、あるいはエチレンまたはプロピレンと1つまたはそれ以上のα−オレフィンとのコポリマー;アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリカーボネート、ナイロン、ポリ(塩化ビニル)、ガラス繊維強化ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリエステル、これらのブレンドなどが挙げられる。支持体層は、少なくとも0.5μmまたはそれよりも大きい範囲の厚みを有していてもよい;例えば、支持体層は、少なくとも1μmまたはそれよりも大きい範囲の厚みを有していてもよい;あるいは、別の態様において、支持体層は、少なくとも5μmまたはそれよりも大きい範囲の厚みを有していてもよい;あるいは、別の態様において、支持体層は、少なくとも100μmまたはそれよりも大きい範囲の厚みを有していてもよい;あるいは、別の態様において、支持体層は、少なくとも0.1μmまたはそれよりも大きい範囲の厚みを有していてもよい;あるいは、別の態様では、支持体層は、少なくとも1mmまたはそれよりも大きい範囲の厚みを有していてもよい;あるいは、別の態様では、支持体層は、少なくとも5mmまたはそれよりも大きい範囲の厚み有していてもよい。支持体層は、単一層を含んでいてもよい;あるいは、別の態様では、支持体層は、2つまたはそれ以上の層を含んでいてもよい。支持体層は、前処理されていてもよい。このような前処理としては、以下に限定されないが、酸処理、研磨処理、イオン化処理および溶媒処理が挙げられる。
【0015】
接着層は、1つまたはそれ以上の接着促進剤組成物から誘導される。接着促進剤組成物は、少なくとも1つのエポキシ樹脂溶液;少なくとも1つの硬化剤;場合により少なくとも1つの均展剤;少なくとも1つの強化剤;少なくとも1つの充填剤;および少なくとも1つまたはそれ以上の溶媒を含む。
【0016】
エポキシ樹脂溶液は、任意の溶媒型のエポキシ樹脂溶液である。エポキシ樹脂溶液は、溶媒に溶解されたエピクロルヒドリンとビスフェノールAの固体反応生成物であってもよい。このようなエポキシ樹脂溶液は、The Dow Chemical Company(ミシガン州ミッドランド所在)から商品名D.E.R.(商標)671−X75で市販されている。接着促進剤組成物は、接着促進剤組成物の全重量に基づいて、10〜90重量%のエポキシ樹脂溶液(固体エポキシ樹脂重量)を含んでいてもよい。例えば、接着促進剤組成物は、接着促進剤組成物の全重量に基づいて、20〜65重量%のエポキシ樹脂溶液を含んでいてもよい;あるいは、別の態様では、全重量に基づいて40〜55重量%のエポキシ樹脂溶液を含んでいてもよい。また、2つまたはそれ以上のエポキシ樹脂溶液を組み合わせて使用してもよい。別の態様では、1つまたはそれ以上の固体エポキシ樹脂は、必要なエポキシ樹脂溶液を提供するために1つまたはそれ以上の溶媒に溶解させてもよい。エポキシ樹脂溶液は、ASTM−D 1652にしたがって測定される400〜500g/当量、例えばASTM−D 1652にしたがって測定される430〜480g/当量の範囲内のエポキシ当量を有する。
【0017】
硬化剤は、ポリアミン硬化剤である。このような硬化剤は、Cardoliteから商品名Cardolite NC 541LVで市販されている。接着促進剤組成物は、接着促進剤組成物の全重量に基づいて、20〜50重量%の硬化剤を含んでいてもよい。例えば、接着促進剤組成物は、接着促進剤組成物の全重量に基づいて、30〜45重量%の硬化剤を含んでいてもよい;あるいは、別の態様では、接着促進剤組成物の全重量に基づいて12〜16重量%の硬化剤を含んでいてもよい。
【0018】
均展剤は、任意の適当な均展剤であってもよい。このような均展剤は、一般に公知であり、例えばセルロースアセテートブチラール溶液である。市販の均展剤としては、以下に限定されないが、Eastman Chemical CompanyからCAB 381−20で市販されている均展剤が挙げられる。接着促進剤組成物は、0〜10重量%の1つまたはそれ以上の均展剤;例えば1〜7重量%の1つまたはそれ以上の均展剤;あるいは別の態様では、1〜5重量%の1つまたはそれ以上の均展剤;あるいは別の態様では、1〜3重量%の1つまたはそれ以上の均展剤を含んでいてもよい。
【0019】
強化剤は、任意のエポキシ強化剤であってもよい;例えば、強化剤は、PEO/PBO強化剤、例えばThe Dow Chemical Companyから市販されているFORTEGRA(商標)であってもよい。接着促進剤組成物は、接着促進剤組成物の全重量に基づいて、0.1〜10重量%の強化剤を含んでいてもよい。例えば、接着促進剤組成物は、接着促進剤組成物の全重量に基づいて、2〜7重量%の強化剤を含んでいてもよい;あるいは別の態様では、接着促進剤組成物の全重量に基づいて、3.5〜5重量%の強化剤を含んでいてもよい。
【0020】
1つまたはそれ以上の充填剤は、任意の充填剤であってもよい。このような充填剤としては、以下に限定されないが、例えばNanjing Nano Materials Companyから市販されているナノ二酸化ケイ素充填剤が挙げられる。接着促進剤組成物は、0〜10重量%の1つまたはそれ以上の充填剤;例えば1〜10重量%の1つまたはそれ以上の充填剤;例えば、1〜8重量%の1つまたはそれ以上の充填剤;例えば、1〜7重量%の1つまたはそれ以上の充填剤;例えば、1〜5重量%の1つまたはそれ以上の充填剤を含む。このような充填剤は、60nm未満;例えば20〜60nmの範囲内の平均粒径を有していてもよい。
【0021】
1つまたはそれ以上の溶媒は、任意の溶媒であってもよい。典型的な溶媒としては、以下に限定されないが、ポリプロピルメチルエーテル、キシレン、ケトン、エステル、アルコール、これらの混合物およびこれらの組み合わせが挙げられる。接着促進剤組成物は、80重量%未満の1つまたはそれ以上の溶媒;例えば、10〜80重量%の1つまたはそれ以上の溶媒;あるいは、10〜70重量%の1つまたはそれ以上の溶媒;あるいは、10〜60重量%の1つまたはそれ以上の溶媒;あるいは10〜50重量%の1つまたはそれ以上の溶媒を含有していてもよい。1つの実施形態において、2つまたはそれ以上の溶媒を組み合わせて使用してもよい;例えば1〜5重量%、例えば1〜3重量%のポリプロピルメチルエーテルと20〜50重量%、例えば30〜35重量%のキシレンを使用してもよい。
【0022】
1つの実施形態において、接着促進剤組成物は、接着促進剤組成物の全重量に基づいて、20〜65重量%の1つまたはそれ以上のエポキシ樹脂溶液と、20〜50重量%の1つまたはそれ以上の硬化剤と、0.5〜10重量%の1つまたはそれ以上の強化剤と、0〜10重量%の1つまたはそれ以上の均展剤と、0.1〜10重量%の1つまたはそれ以上の充填剤と、10〜80重量%の1つまたはそれ以上の溶媒とから本質的になる。
【0023】
接着促進剤組成物の製造において、接着促進剤組成物は、必要な成分を任意の方法でブレンドすることによって調製してもよい;例えば、接着促進剤組成物は、高剪断ミキサー、例えばブレードディスク型の剪断ミキサーで、例えば500〜5000rpmの混合ブレード速度で、約30〜60分間または全ての成分が十分に分散するまで調製してもよい。
【0024】
本発明の多層構造体の製造方法は、(1)ポリマー材料を含む少なくとも1つの支持体層を提供する工程、(2)少なくとも1つのエポキシ樹脂溶液、少なくとも1つの硬化剤、場合により少なくとも1つの均展剤、少なくとも1つの強化剤、少なくとも1つの充填剤、および少なくとも1つまたはそれ以上の溶媒、を含む接着促進剤組成物を提供する工程、(3)前記接着促進剤組成物を、前記少なくとも1つの支持体層の少なくとも1つの表面に塗布する工程、(4)それによって前記少なくとも1つの支持体層と結合した少なくとも1つの接着層を含む被覆支持体層を形成する工程、(5)めっき金属を含む少なくとも1つの表面層を前記被覆支持体層の1つの表面に真空めっきする工程、(6)それによって前記多層構造体を形成する工程、を含み、前記接着層は、前記少なくとも1つの支持体層と前記少なくとも1つの表面層の間に配置されている。多層構造体の製造において、支持体層および接着促進剤組成物が提供される。接着促進剤組成物は、支持体層の少なくとも1つの表面に塗布される。接着促進剤組成物は、支持体の少なくとも1つの表面に任意の方法で塗布してもよい。このような方法としては、以下に限定されないが、噴霧法、浸漬法、ロールコーティング法、ブレードコーティング法、カーテンコーティング法、印刷法、例えばフレキソ印刷法および輪転グラビア印刷法、サイズプレス法、メタードサイズプレス法、スクリーンコーティング法、ロッドコーティング法、これらの組み合わせなどが挙げられる。接着促進剤組成物は、支持体層に任意の量で塗布してもよい。例えば、接着促進剤組成物は、支持体層に1つまたはそれ以上の接着層を生成する量で塗布してもよく、それぞれの接着層は、接着促進剤組成物の固形分の乾燥重量に基づいて、基層のm当たり1g〜支持体層のm当たり2000gの範囲内、または基層のm当たり1g〜支持体層のm当たり500gの範囲内のコーティング重量を有するか、あるいは支持体層のm当たり1g〜基層のm当たり250gの範囲内、支持体層のm当たり1g〜基層のm当たり100gの範囲内のコーティング重量を有する。支持体層の1つまたはそれ以上の表面を接着促進剤組成物でコーティングした後に、接着促進剤組成物は、フラッシュ乾燥し、次いで硬化させてもよい。硬化は、任意の慣用の方法で行ってもよい。このような慣用の乾燥方法としては、以下に限定されないが、風乾、熱対流炉乾燥、熱風乾燥、マイクロ波加熱炉乾燥、および/または赤外線オーブン乾燥が挙げられる。硬化は、任意の温度で行ってもよい;例えば、乾燥は、0℃〜200℃で行ってもよい;例えば25℃〜125℃で行ってもよいし、または別の態様では80℃〜120℃の範囲内の温度で行ってもよい。硬化時間は、0時間を越え5時間に及んでもよい;例えば0時間を越え2時間に及んでもよい;または別の態様では、20分から40分まで及んでもよい。形成される接着層は、1〜100μm、例えば15〜50μmの範囲内の厚みを有していてもよい。
【0025】
接着層が支持体層の1つまたはそれ以上の表面に形成された後に、それに、1つまたはそれ以上のめっき金属を含む1つまたはそれ以上の表面層が、めっきされ、例えば真空めっきされ;このようにして多層構造体を形成し、接着層が、支持体層と1つまたはそれ以上の表面層の間に配置される。真空めっきは、一般に当業者には公知である。真空めっき法において、気化した形態の1つまたはそれ以上の金属を凝縮させることによって、1つまたはそれ以上の薄膜を接着層の上に沈着させて、例えば半導体ウェハーまたはプラスチックを形成する。
【0026】
本発明の多層構造体は、真空めっき後に、最適化接着性を維持しながら改善された亀裂抵抗を有する。本発明の多層構造体は、視覚的に観察できる亀裂を有していない。接着層と支持体層の接着は、ASTM−D 3359−2002にしたがって測定される5Bよりも大きい範囲にある。接着層と表面層の接着は、ASTM−D 3359−2002にしたがって測定される5Bよりも大きい範囲にある。多層構造体は、GB/T 6739−1996にしたがって測定される3H以上の範囲の硬度を有していてもよい。
【0027】
本発明の多層構造体は、物品、例えば自動車部品、携帯用電気製品、浴室ハードウェアおよび付属品、電子製品または建築製品に形成してもよい。
【実施例】
【0028】
以下の実施例は、本発明を例証するが、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。本発明の実施例は、本発明の多層構造体が、許容される接着性を維持しながら真空めっき後に視覚的に観察できる亀裂を有していないことを実証する
【0029】
実施例1
表Iに報告した配合成分を、高剪断ミキサーで、25℃で、約700〜1000rpmで約30分間混合して発明接着促進剤組成物1を形成した。ガラス繊維強化ナイロン支持体から構成された成形ハンドルを、2モル/l HSOで1分間前処理し、次いで水洗し、50℃のオーブンで2時間乾燥した。接着促進剤組成物1を、浸漬コーティングによって成形ハンドルに塗布し、次いで室温で5分間フラッシュ乾燥した。コーティング成形ハンドルを、オーブンに入れ、約100℃で30分間硬化させ;それによって、成形ハンドルと結合した接着層を形成した。この場合の接着層は、20〜25μmの範囲内の厚みを有していた。めっき金属を、成形ハンドルのコーティングされた/硬化された表面に真空めっきした。真空めっきは、真空めっきチャンバで、約140℃のめっき温度で15分間行った。この場合のコーティング/硬化成形ハンドルの温度は、約40℃に上げた。めっき金属は、約5〜20μmの厚みを有していた。発明成形ハンドルの種々の特性を測定し、表IIに報告した。
【0030】
比較例A〜G
表Iに報告した配合成分を、高剪断ミキサーで、25℃で、約700〜1000rpmで約30分間混合して比較接着促進剤組成物A〜Gを形成した。ガラス繊維強化ナイロン支持体から構成された成形ハンドルを、2モル/l HSOで1分間前処理し、次いで水洗し、50℃のオーブンで2時間乾燥した。比較接着促進剤組成物A〜Gを、浸漬コーティングによって成形ハンドルに塗布し、次いで室温で5分間フラッシュ乾燥し、それによって比較コーティング成形ハンドルA〜Gを形成した。比較コーティング成形ハンドルA〜Gのそれぞれ1つを、オーブンに入れ、約100℃で30分間硬化させ;それによって、それぞれの成形ハンドルA〜Gと結合した比較接着層を形成した。この場合のそれぞれの比較接着層は、20〜25μmの範囲内の厚みを有していた。めっき金属を、それぞれの比較コーティング/硬化成形ハンドルA〜Gの表面に真空めっきした。真空めっきは、真空めっきチャンバで、約140℃のめっき温度で15分間行った。この場合のそれぞれの比較コーティング/硬化成形ハンドルの温度は、約40℃に上げた。めっき金属は、約5〜20μmの厚みを有していた。比較成形ハンドルの種々の特性を測定し、表IIに報告した。
【0031】
本発明は、その精神および本質的な属性から逸脱することなく別の形で具体化されてもよく、従って前述の明細書よりもむしろ、本発明の範囲を示すように、添付の特許請求の範囲が参照されるべきである。
【表1】

【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層構造体であって、
ポリマー材料を含む少なくとも1つの支持体層と、
少なくとも1つの接着層と、
めっき金属を含む少なくとも1つの表面層と、
を含み、
前記接着層は、
少なくとも1つのエポキシ樹脂溶液、
少なくとも1つの硬化剤、
場合により少なくとも1つの均展剤、
少なくとも1つの強化剤、
少なくとも1つの充填剤、および
少なくとも1つまたはそれ以上の溶媒、
を含む接着促進剤組成物から誘導され、
前記接着層が前記少なくとも1つの支持体層と前記少なくとも1つの表面層の間に配置されている、前記多層構造体。
【請求項2】
多層構造体の製造方法であって、
ポリマー材料を含む少なくとも1つの支持体層を提供する工程と、
少なくとも1つのエポキシ樹脂溶液、
少なくとも1つの硬化剤、
場合により少なくとも1つの均展剤、
少なくとも1つの強化剤、
少なくとも1つの充填剤、および
少なくとも1つまたはそれ以上の溶媒、
を含む接着促進剤組成物を提供する工程と、
前記接着促進剤組成物を、前記少なくとも1つの支持体層の少なくとも1つの表面に塗布する工程と、
それによって前記少なくとも1つの支持体層と結合した少なくとも1つの接着層を含む被覆支持体層を形成する工程と、
めっき金属を含む少なくとも1つの表面層を前記被覆支持体層の1つの表面に真空めっきする工程と、
それによって前記多層構造体を形成する工程(この場合、前記接着層は、前記少なくとも1つの支持体層と前記少なくとも1つの表面層の間に配置されている)と
を含む、多層構造体の製造方法。
【請求項3】
前記接着層が、5〜50μmの範囲内の厚みを有する、請求項1または2に記載の多層構造体またはその製造方法。
【請求項4】
前記接着促進剤組成物が、接着促進剤組成物の全重量に基づいて、20〜65重量%のエポキシ樹脂溶液、20〜50重量%の前記硬化剤、0.5〜10重量%の前記強化剤、および0〜10重量%の前記均展剤、および0.1〜10重量%の前記少なくとも1つの充填剤、ならびに10〜80重量%の前記少なくとも1つの溶媒を含む、請求項1または2に記載の多層構造体またはその製造方法。
【請求項5】
前記めっき金属が、Zn、Al、Cr、Cu、Ti、およびNiからなる群から選択される、請求項1または2に記載の多層構造体またはその製造方法。
【請求項6】
前記ポリマー材料が、ガラス繊維強化ナイロンである、請求項1または2に記載の多層構造体またはその製造方法。
【請求項7】
めっき金属を含む前記少なくとも1つの表面層が、5〜20μmの範囲内の厚みを有する、請求項1または2に記載の多層構造体またはその製造方法。
【請求項8】
請求項1または2のいずれかに記載の多層構造体を含む物品。

【公表番号】特表2013−517965(P2013−517965A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550288(P2012−550288)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【国際出願番号】PCT/CN2010/070376
【国際公開番号】WO2011/091585
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】