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多層構造体及び多層構造体の製造方法
説明

多層構造体及び多層構造体の製造方法

【課題】引張強度が高い多層構造体、並びに該多層構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る多層構造体1は、熱可塑性樹脂を含む第1の層11A〜11Kが5層以上積層された積層体2を有する。複数の第1の層11A〜11Kの内の少なくとも1層が、フィラーを含む。本発明に係る多層構造体1の製造方法は、熱可塑性樹脂を含む第1の層11A〜11Kが5層以上積層された積層体2であって、複数の第1の層11A〜11Kの内の少なくとも1層が、フィラーを含む積層体2を、多層溶融押出法により成形する工程を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂を用いた多層構造体に関し、より詳細には、熱可塑性樹脂を含む層が複数積層されている積層体を有し、複数の層の内の少なくとも1層が、フィラーを含む多層構造体、並びに該多層構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱可塑性樹脂を含む種々のフィルムが提案されており、様々な用途に広く用いられている。
【0003】
上記フィルムの一例として、下記の特許文献1,2には、熱可塑性樹脂を含む層が複数積層されている多層構造を有する熱可塑性樹脂フィルムが開示されている。
【0004】
特許文献1の図1には、ポリエチレン樹脂層Eとポリオレフィン接着樹脂層Dとプロピレン樹脂層Cとポリオレフィン接着樹脂層Bとガスバリア性樹脂Aとポリオレフィン接着樹脂層Bとプロピレン樹脂層Cとポリプロピレン樹脂層Fとがこの順で積層されている熱可塑性樹脂フィルムが示されている。ガスバリア性樹脂Aとしては、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物が挙げられている。
【0005】
下記の特許文献2には、3層以上の微細な気泡を有する層と、該層を隔てる層とを有し、更にこれらの層が交互に厚み方向に積層されている気泡含有多層フィルムが開示されている。上記微細な気泡を有する層は、熱可塑性樹脂と、該熱可塑性樹脂とは非相溶な熱可塑性樹脂とを含む。また、特許文献2には、微細気泡含有フィルムの表層が、熱可塑性樹脂と無機粒子とを含んでいてもよいことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−1771号公報
【特許文献2】特開2003−136619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1,2に記載のような従来の多層構造を有する熱可塑性樹脂フィルムの引張強度は低いという問題がある。さらに、従来の多層構造を有する熱可塑性樹脂フィルムでは、機械的強度が低いという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、引張強度が高い多層構造体及び該多層構造体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の広い局面によれば、熱可塑性樹脂を含む第1の層が5層以上積層されている積層体を有し、複数の上記第1の層の内の少なくとも1層が、フィラーを含む、多層構造体が提供される。
【0010】
本発明に係る多層構造体では、上記フィラーの材料は、グラフェン構造を有する炭素材料であることが好ましい。上記フィラーの材料は、カーボンナノチューブであることが好ましい。上記フィラーのアスペクト比は1を超えることが好ましい。上記フィラーは、棒状フィラー又は板状フィラーであることがより好ましい。上記フィラーを含む層における全ての上記フィラーの長さ方向を平均した方向に対して、上記フィラーを含む層における各々の上記フィラーの長さ方向のなす角度の絶対値の平均が30°以下であることが好ましい。
【0011】
本発明に係る多層構造体の他の特定の局面では、上記第1の層が10層以上積層されている積層体を有する。
【0012】
本発明に係る多層構造体のさらに他の特定の局面では、上記第1の層の平均厚みは5nm以上、10μm以下である。
【0013】
本発明に係る多層構造体の別の特定の局面では、上記積層体の厚みは0.03mm以上、3mm以下である。
【0014】
本発明に係る多層構造体の他の特定の局面では、上記熱可塑性樹脂はポリカーボネート樹脂である。
【0015】
本発明に係る多層構造体のさらに別の特定の局面では、上記第1の層とは異なる第2の層を有し、1つの上記第2の層が上記積層体の第1の表面のみに積層されているか、又は2つの上記第2の層が、上記積層体の上記第1の表面と該第1の表面とは反対の第2の表面とに1層ずつ積層されている。
【0016】
また、第2の層にも、少なくとも1層にフィラーが含まれてもよく、該フィラーの材料は、グラフェン構造を有する炭素材料であることが好ましい。上記フィラーの材料は、カーボンナノチューブであることが好ましい。上記フィラーのアスペクト比は1を超えることが好ましい。上記フィラーは、棒状フィラー又は板状フィラーであることがより好ましい。上記フィラーを含む層における全ての上記フィラーの長さ方向を平均した方向に対して、上記フィラーを含む層における各々の上記フィラーの長さ方向のなす角度の絶対値の平均が30°以下であることが好ましい。
【0017】
本発明に係る多層構造体の他の特定の局面では、上記第2の層の1層当たりの厚みは5nm以上、1000μm以下である。
【0018】
本発明に係る多層構造体の別の特定の局面では、複数の上記第1の層の内の少なくとも1層が、気泡を含有する。
【0019】
本発明に係る多層構造体の他の特定の局面では、多層構造体は、上記積層体が延伸されて得られている。
【0020】
本発明に係る多層構造体のさらに他の特定の局面では、上記積層体は、多層溶融押出法により得られている。
【0021】
また、本発明に係る多層構造体の製造方法は、上述した多層構造体の製造方法であって、熱可塑性樹脂を含む第1の層が5層以上積層されている積層体であって、複数の上記第1の層の内の少なくとも1層がフィラーを含む積層体を、多層溶融押出法により成形する工程を備える。
【0022】
本発明に係る多層構造体の製造方法のある特定の局面では、上記積層体を、マルチマニホールド法又はフィードブロック法により成形する。
【0023】
本発明に係る多層構造体の製造方法の他の特定の局面では、1つの上記第2の層を上記積層体の第1の表面のみに積層するか、又は2つの上記第2の層を、上記積層体の上記第1の表面と該第1の表面とは反対の第2の表面とに1層ずつ積層する工程がさらに備えられる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る多層構造体は、熱可塑性樹脂を含む第1の層が5層以上積層されている積層体を有し、複数の上記第1の層の内の少なくとも1層がフィラーを含むので、引張強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る多層構造体を模式的に示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の第2の実施形態に係る多層構造体を模式的に示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の第3の実施形態に係る多層構造体を模式的に示す断面図である。
【図4】図4は、本発明の第4の実施形態に係る多層構造体を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0027】
本発明に係る多層構造体は、熱可塑性樹脂を含む第1の層が5層以上積層されている積層体を有する。複数の上記第1の層の内の少なくとも1層は、フィラーを含む。このように、多くの第1の層が積層されている積層体を有し、複数の上記第1の層の内の少なくとも1層が、フィラーを含む多層構造体を作製することにより、多層構造体の引張強度を高めることができる。さらに、多層構造体の機械的強度も高めることができる。上記積層体の厚みが同じであるときに、上記第1の層の積層数が5層以上である場合には、上記第1の層の積層数が4層以下である場合と比べて、多層構造体の引張強度が高くなる。さらに、多層構造体は複数の上記第1の層の内の少なくとも1層がフィラーを含む積層体を有するため、多層構造体の引張強度が高くなる。従って、多層構造体の引き裂き強度、引張強度及び破壊強度が高くなる。さらに、上記フィラーとして、カーボンナノチューブ等のグラフェン構造を有する炭素材料を用いた場合、多層構造体の熱電導性や電気特性がより一層高くなる。
【0028】
本発明に係る多層構造体は、上記積層体であってもよく、上記積層体と他の層とを含んでいてもよい。上記積層体自体が、本発明に係る多層構造体であってもよい。本発明に係る多層構造体では、上記積層体に他の層が積層されていてもよい。本発明に係る多層構造体は、上記積層体であるか、又は上記積層体を少なくとも含む。
【0029】
本発明に係る多層構造体は、上記第1の層が10層以上積層されている積層体を含むことが好ましい。この場合にも、多層構造体の引張強度をかなり高めることができる。上記積層体の厚みが同じであるときに、上記第1の層の積層数が10層以上である場合には、上記第1の層の積層数が9層以下である場合と比べて、多層構造体の引張強度が高くなる。多層構造体の引張強度がより一層高くなることから、上記第1の層の積層数は、20層以上であることがより好ましく、30層以上であることが更に好ましい。
【0030】
本発明に係る多層構造体は、熱可塑性樹脂を含む第1の層が5層以上積層されている積層体を有し、該第1の層の平均厚みが10μm以下である場合にも、多層構造体の引張強度をかなり高めることができる。上記積層体の厚みが同じであるときに、上記第1の層の積層数が多くなるように上記第1の層の平均厚みを10μm以下にすると、上記第1の層の積層数が少なくなるように上記第1の層の平均厚みを10μmを超えるようにする場合と比べて、引張強度がより一層高くなる。
【0031】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより本発明を明らかにする。
【0032】
図1に、本発明の第1の実施形態に係る多層構造体を模式的に断面図で示す。図1に示す多層構造体1は、複数の第1の層11A〜11Kが積層されている積層体2である。第1の層11A〜11Kは、フィラーXを含む。積層体2は、少なくとも5層の第1の層11A〜11Kが積層されて構成されている。具体的には、積層体2は、11層の第1の層11A〜11Kが積層されて構成されている。
【0033】
第1の層11A〜11Kは、熱可塑性樹脂を含む。第1の層11A〜11Kは、フィラーXを含む。第1の層11A〜11Kの内の少なくとも1層が、フィラーを含んでいてもよく、第1の層11A〜11Kの全ての層が、フィラーを含んでいてもよい。第1の層11A〜11Kは、積層体2の厚み方向に積層されている。第1の層11A〜11Kの組成は同一であってもよく、異なっていてもよい。第1の層11A〜11Kの組成は同一であることが好ましい。第1の層11A〜11Kのフィラー以外の成分の組成は同一であってもよく、異なっていてもよい。第1の層11A〜11Kのフィラー以外の成分の組成は同一であることが好ましい。
【0034】
図2に、本発明の第2の実施形態に係る多層構造体を模式的に断面図で示す。図2に示す多層構造体21は、複数の第1の層31A〜31F,32A〜32Eが積層されている積層体22である。第1の層31A〜31Fは、フィラーを含む。積層体22は、少なくとも5層の第1の層31A〜31F,32A〜32Eが積層されて構成されている。具体的には、積層体22は、11層の第1の層31A〜31F,32A〜32Eが積層されて構成されている。
【0035】
第1の層31A〜31F,32A〜32Eは、熱可塑性樹脂を含む。第1の層31A〜31Fは、フィラーXを含む。第1の層31A〜31Fの内の少なくとも1層が、フィラーを含んでもよい。第1の層32A〜32Eはフィラーを含まない。第1の層31A〜31F,32A〜32Eの組成は同一であってもよく、異なっていてもよい。第1の層31A〜31F,32A〜32Eの組成は同一であることが好ましい。第1の層31A〜31Fの組成は同一であってもよく、異なっていてもよい。第1の層31A〜31Fの組成は同一であることが好ましい。第1の層32A〜32Eの組成は同一であってもよく、異なっていてもよい。第1の層32A〜32Eの組成は同一であることが好ましい。第1の層31A〜31Fのフィラー以外の成分の組成は同一であってもよく、異なっていてもよい。第1の層31A〜31Fのフィラー以外の成分の組成は同一であることが好ましい。
【0036】
第1の層31A〜31Fと第1の層32A〜32Eとは厚みが異なる。第1の層31A〜31Fの厚みは、第1の層32A〜32Eの厚みよりも薄い。このように複数の第1の層の厚みは同一であってもよく、異なっていてもよい。厚みが相対的に薄い第1の層31A〜31Fと、厚みが相対的に厚い第1の層32A〜32Eのうち、厚みが相対的に薄い第1の層31A〜31Fがフィラーを含むことが好ましい。第1の層31A〜31Fと第1の層32A〜32Eとの組成は同一であってもよく、異なっていてもよい。第1の層31A〜31Fと第1の層32A〜32Eとは交互に、積層体22の厚み方向に積層されている。すなわち、積層体22は、第1の層31A、第1の層32A、第1の層31B、第1の層32B、第1の層31C、第1の層32C、第1の層31D、第1の層32D、第1の層31E、第1の層32E及び第1の層31Fがこの順で積層されて構成されている。第1の層32A〜32Eは、第1の層31A〜31Fにより挟み込まれている。第1の層32A〜32Eはそれぞれ、第1の層31A〜31Fにより互いに隔てられている。
【0037】
図3に、本発明の第3の実施形態に係る多層構造体を模式的に断面図で示す。図3に示す多層構造体41は、図1に示す積層体2と、積層体2の第1の表面2aに積層された第2の層42と、積層体2の第1の表面2aとは反対の第2の表面2bに積層された第2の層43とを備える。第2の層42,43は表面層である。第2の層42と第2の層43との組成は同一であってもよく、異なっていてもよい。1つの第2の層42が、積層体2の第1の表面2aのみに積層されていてもよく、第2の表面2bに第2の層43が積層されていなくてもよい。2つの第2の層42,43が、積層体2の第1の表面2aと第2の表面2bとに1層ずつ積層されていることが好ましい。第2の層42,43は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
【0038】
第2の層を設けることによって、第1の層よりも第2の層の厚みを厚くすることができる。第2の層の厚みは、第1の層の厚みよりも厚くてもよい。また、必要に応じて、第2の層の外側の表面にエンボスを形成することも可能である。なお、積層体2の引張強度が高いほど、積層体2と第2の層42,43とを有する多層構造体41の引張強度が高くなる。
【0039】
図4に、本発明の第4の実施形態に係る多層構造体を模式的に断面図で示す。図4に示す多層構造体51は、図2に示す積層体22と、積層体22の第1の表面22aに積層された第2の層42と、積層体22の第1の表面22aとは反対の第2の表面22bに積層された第2の層43とを備える。
【0040】
上記積層体における上記第1の層の積層数は、少なくとも5層であり、好ましくは10層以上、より好ましくは20層以上、更に好ましくは30層以上、特に好ましくは40層以上、最も好ましくは80層以上である。上記第1の層の積層数が多いと、多層構造体の引張強度が高くなる。上記積層体における上記第1の層の積層数の上限は、多層構造体の厚みを考慮して適宜変更でき特に限定されない。上記積層体における上記第1の層の積層数は20000層以下であってもよく、20000層以上であってもよい。透明性が高い多層構造体を得る観点からは、上記第1の層の積層数は、好ましくは5000層以下、より好ましくは1500層以下、更に好ましくは1000層以下、特に好ましくは800層以下、最も好ましくは400層以下である。
【0041】
上記多層構造体の引張強度をより一層高める観点からは、上記第1の層の平均厚みは、好ましくは5nm以上、より好ましくは50nm以上、更に好ましくは100nm以上、特に好ましくは500nm以上、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは10μm以下、特に好ましくは5μm以下、最も好ましくは1μm以下である。上記多層構造体の引張強度をより一層高める観点からは、上記第1の層の1層当たりの厚み(全ての第1の層の各厚み)は、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上、更に好ましくは500nm以上、好ましくは40μm以下、より好ましくは5μm以下、更に好ましくは1μm以下である。上記第1の層の1層当たりの厚み(全ての第1の層の各厚み)は、300μm未満であってもよく、200μm以下であってもよく、160μm以下であってもよい。上記積層体の最表面に位置する2つの第1の層の1層当たりの厚みは、好ましくは40μm以下、より好ましくは5μm以下、更に好ましくは1μm以下である。上記積層体の最表面に位置する2つの第1の層の1層当たりの厚みは、300μm未満であってもよく、200μm以下であってもよく、160μm以下であってもよい。
【0042】
上記積層体の厚みは、好ましくは0.03mm以上、より好ましくは0.05mm以上、更に好ましくは0.1mm以上、好ましくは3mm以下、より好ましくは1.5mm以下、更に好ましくは1mm以下である。上記積層体の厚みが上記下限以上であると、多層構造体の引張強度がより一層高くなる。上記積層体の厚みが上記上限以下であると、多層構造体の透明性がより一層高くなる。
【0043】
上記多層構造体の厚みは、好ましくは0.03mm以上、より好ましくは0.05mm以上、更に好ましくは0.1mm以上、好ましくは3mm以下、より好ましくは1.5mm以下、更に好ましくは1mm以下である。上記多層構造体の厚みが上記下限以上であると、多層構造体の引張強度がより一層高くなる。上記多層構造体の厚みが上記上限以下であると、多層構造体の透明性がより一層高くなる。
【0044】
多層構造体の引張強度をより一層良好にする観点からは、上記第2の層の1層当たりの厚み(全ての第2の層の各厚み)は好ましくは5nm以上、より好ましくは50nm以上、更に好ましくは100nm以上、特に好ましくは1μm以上、最も好ましくは10μm以上、好ましくは1000μm以下、より好ましくは600μm以下、更に好ましくは200μm以下、特に好ましくは100μm以下、最も好ましくは50μm以下である。上記第2の層の1層当たりの厚み(全ての第2の層の各厚み)は、1μmを超えていてもよく、5μmを超えていてもよく、40μmを超えていてもよく、160μmを超えていてもよく、200μmを超えていてもよい。
【0045】
上記第2の層の厚みが上記下限以上であると、多層構造体の厚みが厚くなりすぎない。
【0046】
上記積層体の厚みをTとしたときに、上記第2の層の厚みは、好ましくは0.2Tを超え、より好ましくは0.4T以上、好ましくは3T以下、より好ましくは1T以下、更に好ましくは0.8T以下、特に好ましくは0.6T以下である。
【0047】
複数(5層以上)の上記第1の層の内の少なくとも1層は、フィラーを含む。よって、多層構造体の引張強度がより一層高くなる。すなわち、フィラーの使用は、多層構造体の引張強度の向上に大きく寄与する。また、上記第2の層は、フィラーを含んでいてもよく、フィラーを含んでいなくてもよい。
【0048】
多層構造体の引張強度をより一層高める観点からは、上記フィラーの材料は、グラフェン構造を有する炭素材料であることが好ましい。上記グラフェン構造を有する炭素材料として、例えば、カーボンナノチューブ等が挙げられる。多層構造体の引張強度をより一層高める観点からは、上記フィラーの材料は、カーボンナノチューブであることが好ましい。
【0049】
また、多層構造体の引張強度をより一層高める観点からは、上記フィラーのアスペクト比は1を超えることが好ましい。さらに、多層構造体の引張強度をより一層高める観点からは、上記フィラーは球状ではないフィラーであることが好ましく、棒状フィラー又は板状フィラーであることがより好ましく、板状フィラーであることが更に好ましい。多層構造体の引張強度を更に高めるために、上記フィラーのアスペクト比は1.5以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましく、2.5以上であることが更に好ましく、3以上であることが特に好ましい。
【0050】
上記球状ではないフィラーは非球状フィラーである。該非球状フィラー、棒状フィラー及び板状フィラーはそれぞれ長さ方向を有する。また、上記フィラーの材料が、カーボンナノチューブ等のグラフェン構造を有する炭素材料である場合に、フィラーは一般に長さ方向を有する。
【0051】
多層構造体の引張強度を更に一層高める観点からは、フィラーを含む層における全てのフィラーの長さ方向を平均した方向に対して、フィラーを含む層における各々のフィラーの長さ方向のなす角度の絶対値の平均(以下、この平均値を角度αともいう)が30°以下であることが好ましい。該角度αは、より好ましくは20°以下、更に好ましくは10°以下、特に好ましくは6°以下、最も好ましくは3°以下である。該角度αの下限は特に限定されないが、0°以上であることが好ましい。上記フィラーの配向を制御して、上記角度αを上記上限以下にすることにより、多層構造体における上記第1の層の積層方向と直交する方向における引張強度がかなり高くなる。熱可塑性樹脂とフィラーとを含む第1の層を形成するための組成物を用いて、多層溶融押出法により上記積層体を得ることにより、フィラーを含む層における上記角度αを上記上限以下にすることが容易である。上記角度αを求める方法は特に限定されないが、熱可塑性樹脂とフィラーとを含む第1の層において、厚み方向の中央部分の薄膜切片を作製し、該薄膜切片を走査型電子顕微鏡を用いて倍率1万倍でフィラーを観察し、観察されたフィラーの長さ方向のなす角度の絶対値の平均を測定することにより、求めることができる。
【0052】
上記第1の層は、気泡を含有していてもよく、気泡を含有していなくてもよい。上記第2の層は気泡を含有していてもよく、気泡を含有していなくてもよい。上記第1の層が気泡を含有する場合には、該気泡の平均気泡径は200nm未満であることが好ましい。上記第1の層が気泡を含有する場合、発泡倍率は特に限定されないが、1.1倍以上が好ましい。上記第1の層に気泡を含有させる方法は特に限定されないが、発泡材料として、アゾジカルボンイミド(ADCA)等の化学発泡材を用いる方法や、CO等の気体を用いる方法等が挙げられる。
【0053】
上記「平均気泡径」に関しては、気泡が独立気泡であり、真球状である場合には、気泡の直径から平均気泡径が求められる。気泡が独立気泡であり、真球状以外の形状である場合には、気泡の外周の2点を結ぶ最長の長さ、すなわち最大径から平均気泡径が求められる。また、気泡が連続気泡である場合にも、気泡の外周の2点を結ぶ最長の長さ、すなわち最大径から平均気泡径が求められる。平均気泡径は、少なくとも10個以上の気泡の気泡径の平均値を示し、任意に選択された10個の気泡の気泡径の平均値であることが好ましい。
【0054】
以下、本発明に係る多層構造体に含まれる各成分の詳細を説明する。
【0055】
(熱可塑性樹脂)
上記第1の層は、熱可塑性樹脂を含む。上記第2の層は熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。該熱可塑性樹脂は特に限定されない。上記第1,第2の層に含まれる熱可塑性樹脂として、従来公知の熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0056】
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂、ポリカーボネート樹脂、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、AS(アクリロニトリル−スチレン共重合体)樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、熱可塑性エラストマー、及び(メタ)アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。上記第1の層及び上記第2の層はそれぞれ、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリスチレン樹脂、又はポリビニルアセタール樹脂を含むことが好ましい。引張強度をより一層良好にする観点からは、上記第1の層は上記熱可塑性樹脂としてポリビニルアセタール樹脂を含むことが好ましく、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含むことがより好ましい。また、引張強度を更に一層良好にする観点からは、上記第1の層は上記熱可塑性樹脂としてポリカーボネート樹脂を含むことが好ましい。上記熱可塑性樹脂には、高分子化合物がアロイ化又はブレンドされていてもよい。
【0057】
上記ポリオレフィン樹脂としては特に限定されず、例えば、エチレン、プロピレン又はα−オレフィン等の単独重合体、エチレンとプロピレンとの共重合体、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、プロピレンとα−オレフィンとの共重合体、及び2種以上のα−オレフィンの共重合体等が挙げられる。上記ポリオレフィン樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0058】
上記α−オレフィンとしては特に限定されず、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン及び1−オクテン等が挙げられる。
【0059】
上記塩化ビニル樹脂としては、塩化ビニルの単独重合体、塩化ビニルと該塩化ビニルと重合可能な塩化ビニル以外の重合性単量体との共重合体、並びに塩化ビニル重合体以外の重合樹脂に塩化ビニル重合体をグラフトさせたグラフト共重合体等が挙げられる。
【0060】
上記重合性単量体は、反応性二重結合を有していれば特に限定されない。上記重合性単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン及びブチレン等のα−オレフィン類、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、ブチルビニルエーテル及びセチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン及びα−メチルスチレン等の芳香族ビニル類、塩化ビニリデン及びフッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類、並びに、N−フェニルマレイミド及びN−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド類等が挙げられる。上記重合性単量体は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0061】
上記重合樹脂としては特に限定されず、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−メチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂及び塩素化ポリプロピレン樹脂等が挙げられる。上記重合樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0062】
上記ABS樹脂としては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン3元共重合体が挙げられる。
【0063】
また、耐熱性を向上させるために、上記熱可塑性樹脂に、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類及びN−フェニルマレイミドを共重合させてもよい。
【0064】
上記ポリビニルアセタール樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。
【0065】
上記熱可塑性エラストマーとしては特に限定されず、例えば、スチレン・ブタジエンエラストマー、エチレン・プロピレンエラストマー及びアクリルエラストマー等が挙げられる。
【0066】
上記熱可塑性樹脂の分子量及び分子量分布は特に限定されない。上記熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、好ましくは5000以上、より好ましくは20000以上、好ましくは500万以下、より好ましくは30万以下である。上記熱可塑性樹脂の分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、好ましくは80以下、より好ましくは40以下である。
【0067】
重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレンを標準物質として求めた値である。重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、Waters社製の測定装置(カラム:昭和電工社製 Shodex GPC LF−804(長さ300mm)×2本、測定温度:40℃、流速:1mL/min、溶媒:テトラヒドロフラン、標準物質:ポリスチレン)を用いて測定した値を意味する。
【0068】
(フィラー)
上述したように、複数(5層以上)の上記第1の層の内の少なくとも1層は、フィラーを含む。よって、多層構造体の引張強度がより一層高くなる。また、上記第2の層は、フィラーを含んでいてもよく、フィラーを含んでいなくてもよい。
【0069】
多層構造体の引張強度を更に一層高める観点からは、上記フィラーの材料は、グラフェン構造を有する炭素材料であることが好ましい。
【0070】
上記炭素材料の好ましい例としては、層状黒鉛、薄片化黒鉛、グラファイト及びカーボンナノチューブ等が挙げられる。上記フィラーは、薄片化黒鉛であることが好ましい。上記薄片化黒鉛は、複数のグラフェンシートの積層体である。上記薄片化黒鉛は、層状黒鉛を剥離処理して得られ、層状黒鉛よりも薄いグラフェンシートの積層体である。上記薄片化黒鉛におけるグラフェンシート積層数は、2層以上である。上記薄片化黒鉛におけるグラフェンシート積層数は、層状黒鉛の積層数より少ないことが好ましく、好ましくは200層以下である。上記薄片化黒鉛のアスペクト比は比較的大きい。従って、上記多層構造体が上記フィラーを含む層を備えることによって、多層構造体における上記第1の層の積層方向と直交する方向における引張強度がかなり高くなる。
【0071】
また、多層構造体の引張強度をより一層高める観点からは、上記フィラーは球状ではないフィラーであることが好ましく、棒状フィラー又は板状フィラーであることがより好ましく、板状フィラーであることが更に好ましい。
【0072】
上記フィラーのアスペクト比は、好ましくは1を超え、より好ましくは1.1以上、より一層好ましくは2以上、更に好ましくは2.5以上、特に好ましくは3以上、好ましくは500以下、より好ましくは300以下、更に好ましくは100以下、特に好ましくは50以下である。上記フィラーの材料がグラフェン構造を有する炭素材料であったり、上記フィラーが棒状フィラー又は板状フィラーであったりする場合に、上記フィラーのアスペクト比は好ましくは10以上、より好ましくは90以上である。上記アスペクト比とは、長手方向寸法の短手方向寸法に対する比である。上記フィラーの材料がグラフェン構造を有する炭素材料である場合に、上記アスペクト比とは、グラフェンシート積層面方向における長手方向寸法のグラフェンシート積層面方向における短手方向寸法に対する比である。上記アスペクト比が上記下限以上及び上記上限以下であると、多層構造体の引張強度がより一層高くなる。
【0073】
上記フィラーの材料がグラフェン構造を有する炭素材料であったり、上記フィラーが棒状フィラー又は板状フィラーであったりする場合に、上記フィラーを含む層の厚みは、上記フィラーの厚みの1倍以上、好ましくは1倍を超え、より好ましくは1.1倍以上、好ましくは100倍以下、より好ましくは10倍以下、更に好ましくは3倍以下である。
【0074】
上記フィラーを含む層において、熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記フィラーの含有量は好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上、更に好ましくは1重量部以上、特に好ましくは2重量部以上、好ましくは100重量部以下、より好ましくは50重量部以下、更に好ましくは20重量部以下、特に好ましくは10重量部以下である。
【0075】
また、多層構造体の引張強度をより一層高める観点からは、上記積層体は延伸されて得られていることが好ましく、上記積層体は延伸された積層体であることが好ましい。多層構造体は、上記積層体を延伸することにより得られることが好ましい。上記積層体を延伸する倍率は特に限定されない。上記積層体を延伸することによって、上記フィラーの配向性が上昇し、フィラーを含む層における各々のフィラーの長さ方向のなす角度の絶対値の平均を小さくすることができる。結果として、多層構造体の機械的物性が高くなる。
【0076】
(他の成分)
本発明に係る多層構造体における上記第1,第2の層はそれぞれ、必要に応じて、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、染料、接着力調整剤、耐湿剤、蛍光増白剤及び赤外線吸収剤等の添加剤を含んでいてもよい。
【0077】
(多層構造体の製造方法)
本発明に係る多層構造体の製造方法は特に限定されない。本発明に係る多層構造体の製造方法としては、例えば、ウェットラミネーション法、ドライラミネーション法、押出コーティング法、多層溶融押出法、ホットメルトラミネーション法及びヒートラミネーション法等が挙げられる。
【0078】
製造が容易であり、かつ引張強度により一層優れた多層構造体が得られるので、本発明に係る多層構造体は、多層溶融押出法により得られていることが好ましい。上記多層溶融押出法としては、例えば、マルチマニホールド法及びフィードブロック法等が挙げられる。
【0079】
多層構造体を容易に製造し、引張強度をより一層良好にする観点からは、本発明に係る多層構造体の製造方法は、熱可塑性樹脂を含む第1の層が5層以上積層された積層体であって、該複数の第1の層の内の少なくとも1層がフィラーを含む積層体を、多層溶融押出法により成形する工程を備えることが好ましい。多層構造体をより一層容易に製造し、引張強度を更に一層良好にする観点からは、上記積層体を、マルチマニホールド法又はフィードブロック法により成形することが好ましい。また、本発明に係る多層構造体の製造方法は、1つの上記第2の層を上記積層体の第1の表面のみに積層するか、又は2つの上記第2の層を、上記積層体の上記第1の表面と該第1の表面とは反対の第2の表面とに1層ずつ積層する工程を備えることが好ましい。
【0080】
次に、多層構造体における積層体の製造方法について説明する。
【0081】
先ず、熱可塑性樹脂及びフィラーを含む第1の層を形成するための組成物を用意する。また、必要に応じて、第2の層を形成するための組成物を用意する。例えば、二軸スクリュー混練機又は二軸押出機等を用いて、加熱下において混練することにより、熱可塑性樹脂中にフィラーを均一に分散させることができる。上記二軸スクリュー混練機としては、プラストミル等が挙げられる。
【0082】
なお、熱可塑性樹脂中に薄片化黒鉛であるフィラーを均一に分散させる場合には、膨張化黒鉛を熱可塑性樹脂と共に加熱下において混練することが好ましい。膨張化黒鉛を熱可塑性樹脂と加熱下において溶融混練することにより、膨張化黒鉛が複数の薄片化黒鉛に分離し、該薄片化黒鉛が熱可塑性樹脂中に均一に分散される。上記膨張化黒鉛は、層状黒鉛の層間に硝酸イオンなどの電解質イオンを挿入する電気化学法により、層状黒鉛の層間距離を広げることにより得ることができる。
【0083】
次に、製造装置を用いて、上記第1の層を形成するための組成物を共押出しして成形することにより、上記第1の層の全体又は少なくとも一部を積層する。具体的には、第1の押出機(主押出機)及び第2の押出機(副押出機)の双方に上記第1の層を形成するための組成物を導入し、第1の押出機及び第2の押出機から上記第1の層を形成するための組成物を同時に押し出す。上記第1の層を形成するための組成物を押し出す際に、第2の層を形成するための組成物を押し出してもよい。第1の押出機及び第2の押出機から押出された上記第1の層を形成するための組成物は、フィードブロックに送られる。フィードブロックでは、第1の押出機及び第2の押出機から押出された上記第1の層を形成するための組成物が、交互に重なるように合流する。それによって、上記第1の層を形成するための組成物を積層することができる。
【0084】
交互に積層する第1の層を形成するための組成物の一方にフィラーを含ませることにより、フィラーを含む層とフィラーを含まない層とが交互に積層された積層体を得ることができる。交互に積層する第1の層を形成するための組成物の双方にフィラーを含ませることにより、フィラーを含む層が積層された積層体を得ることができる。
【0085】
なお、上記第1の層を形成するための組成物を積層する方法は、上述の方法に限定されない。適宜の共押出し成形法及び製造装置により上記第1の層を形成するための組成物を積層することができる。
【0086】
次に、フィードブロックの下流部に分割積層可能な多層用ブロックを複数取り付け、多層構造体を得ることができる。
【0087】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0088】
(実施例1)
熱可塑性樹脂であるPC樹脂(三菱ガス化学社製 ユーピロンE2000)100重量部に、フィラーであるカーボンナノチューブ(保土谷化学製 径65nm、z方向における長さ方向寸法3μm)5重量部を添加し、第1の層を形成するための組成物Aを得た。
【0089】
主押出機に上記第1の層を形成するための組成物Aを供給した。また、副押出機には熱可塑性樹脂であるPC樹脂(三菱ガス化学社製 ユーピロンE2000)を供給した。主押出機と副押出機との先端に多層用フィードブロックを取り付けた。主押出機及び副押出機から押し出された第1の層の合計厚みを800μmに設定し、更に主押出機から押し出された第1の層と副押出機から押し出された第1の層とを交互に、第1の層を合計で5層積層することにより、下記の表1に示す厚みの積層体を多層構造体として得た。なお、フィラーを含む第1の層は3層であった。
【0090】
(実施例2〜11)
第1の層の層数を、多層用ブロックを数セット取りつけることにより、表1のように、5層から1280層まで増やしたことと、並びに副押出機にも実施例1で用いたカーボンナノチューブを添加し、フィラーの配合量を表1のように変更したこと以外は実施例1と同様にして、多層構造体を得た。なお、実施例3、4、7、8及び10では、副押出機にカーボンナノチューブを添加しなかった。その場合のフィラーを含む第1の層はそれぞれ、6層、12層、24層、48層、102層であった。
【0091】
(実施例12,13)
第1の層の合計厚みを200μmに設定し、第2の層の厚みを600μmに設定し、表裏の層の厚みをそれぞれ300μmとし、表1のように、第1の層を合計で5層積層したこと以外は実施例1と同様にして、多層構造体を得た。なお、実施例13では、副押出機にも実施例1で用いたカーボンナノチューブを添加し、フィラーの配合量を表1のように、変更したこと以外は実施例1と同様にして、多層構造体を得た。
【0092】
(評価)
(1)引張強度
引張強度測定は、JIS K7161のプラスチックの引張特性の試験方法に準拠して、ダンベル型試験片を作製し、島津製作所製オートグラフAG−1を使用して測定した。
【0093】
(2)体積抵抗
体積低効率の測定は、JIS K7194の導電性プラスチックの4端針法に準拠して、三菱化学製ロレスタGPを使用して測定した。
【0094】
(3)フィラーの配向角度α
得られた多層構造体及び単層構造体を厚み方向の中央部分の薄膜切片を作製し、該薄膜切片を、走査型電子顕微鏡を用いて倍率1万倍でフィラーを観察した。縦20μm×横20μmの範囲内に観察されたすべてのフィラーの長さ方向のなす角度の絶対値の平均を測定することにより、フィラーを含む層における全てのフィラーの長さ方向を平均した方向に対して、フィラーを含む層における各々のフィラーの長さ方向のなす角度の絶対値の平均を算出した。算出された平均値をフィラーの配向角度αとした。
【0095】
結果を下記の表1に示す。なお、下記の表1において、フィラーの配合量は、熱可塑性樹脂100重量部に対するフィラーの配合量(重量部)を示す。
【0096】
【表1】

【符号の説明】
【0097】
1…多層構造体
2…積層体
2a…第1の表面
2b…第2の表面
11A〜11K…第1の層
21…多層構造体
22a…第1の表面
22b…第2の表面
31A〜31F,32A〜32E…第1の層
41…多層構造体
42,43…第2の層
42a,43a…外側の表面
51…多層構造体
X…フィラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂を含む第1の層が5層以上積層されている積層体を有し、
複数の前記第1の層の内の少なくとも1層が、フィラーを含む、多層構造体。
【請求項2】
前記フィラーの材料が、グラフェン構造を有する炭素材料である、請求項1に記載の多層構造体。
【請求項3】
前記フィラーの材料が、カーボンナノチューブである、請求項1又は2に記載の多層構造体。
【請求項4】
前記フィラーのアスペクト比が1を超える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層構造体。
【請求項5】
前記フィラーが、棒状フィラー又は板状フィラーである、請求項1又は2に記載の多層構造体。
【請求項6】
前記フィラーを含む層における全ての前記フィラーの長さ方向を平均した方向に対して、前記フィラーを含む層における各々の前記フィラーの長さ方向のなす角度の絶対値の平均が30°以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の多層構造体。
【請求項7】
前記第1の層が10層以上積層体されている積層体を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の多層構造体。
【請求項8】
前記第1の層の平均厚みが5nm以上、10μm以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の多層構造体。
【請求項9】
前記積層体の厚みが0.03mm以上、3mm以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の多層構造体。
【請求項10】
前記熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の多層構造体。
【請求項11】
前記第1の層とは異なる第2の層を有し、
1つの前記第2の層が前記積層体の第1の表面のみに積層されているか、又は2つの前記第2の層が、前記積層体の前記第1の表面と該第1の表面とは反対の第2の表面とに1層ずつ積層されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の多層構造体。
【請求項12】
前記第2の層の1層当たりの厚みが5nm以上、1000μm以下である、請求項11に記載の多層構造体。
【請求項13】
複数の前記第1の層の内の少なくとも1層が、気泡を含有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の多層構造体。
【請求項14】
前記積層体が延伸されて得られている、請求項1〜13のいずれか1項に記載の多層構造体。
【請求項15】
前記積層体が、多層溶融押出法により得られている、請求項1〜14のいずれか1項に記載の多層構造体。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の多層構造体の製造方法であって、
熱可塑性樹脂を含む第1の層が5層以上積層されている積層体であって、複数の前記第1の層の内の少なくとも1層がフィラーを含む積層体を、多層溶融押出法により成形する工程を備える、多層構造体の製造方法。
【請求項17】
前記積層体を、マルチマニホールド法又はフィードブロック法により成形する、請求項16に記載の多層構造体の製造方法。
【請求項18】
1つの前記第2の層を前記積層体の第1の表面のみに積層するか、又は2つの前記第2の層を、前記積層体の前記第1の表面と該第1の表面とは反対の第2の表面とに1層ずつ積層する工程をさらに備える、請求項16又は17に記載の多層構造体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−49237(P2013−49237A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189527(P2011−189527)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】