説明

多層比色センサアレイ

被検物質の存在を検出するための方法及び装置が本明細書で開示される。そのような方法及び装置には、関心対象の被検物質に対する反応が異なる少なくとも2つの検出エレメントを含んだアレイが含まれ得る。これらの検出エレメントはそれぞれ、少なくとも高被検物質反応性サブ層を含んだ、少なくとも1層の光学的反応性層を含む。このアレイの少なくとも1つの検出エレメントは、光学的反応性層の厚さの一部を構成する、低被検物質反応性サブ層を更に含む。そのような検出エレメントのアレイの製造及び使用方法もまた、開示される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
化学被検物質、例えば有機化学被検物質を検出する能力は、環境監視などを含む多くの用途において重要である。そのような被検物質の検出及び/又は監視は、例えば、個人用モニタ(例えば、個人が着用又は携帯することができるもの)、及び/又は領域モニタ(例えば、所望の環境に配置することができるもの)において、特に、用途が見い出されることができる。
【0002】
例えば光学的測定、重量測定、微小電気機械測定、及び比色分析などの、化学被検物質の検出のための多くの方法が開発されてきた。比色分析装置は、現在広範な被検物質に関して存在するが、多くは検出のために染料又は有色化学指示薬を使用している。そのような化合物は通常、選択的であり、様々な種類の化合物を検出するのに、複数のセンサが必要であろうことを意味する。更に、これらのシステムの多くには、光漂白剤又は望ましくない副反応のために寿命が限定される問題がある。そのようなシステムの多くはまた、光学的応答を実施するために、複雑又は嵩高のオプトエレクトロニクス構成部品を必要とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
被検物質の存在を検出するための方法及び装置が本明細書で開示される。そのような方法及び装置は、対象の被検物質に対する反応が異なる少なくとも2つの検出エレメントを含んだアレイを含むことができる。この検出エレメントは、高被検物質反応性サブ層を少なくとも含んだ、光学的反応性層を少なくとも、それぞれが含む。このアレイの少なくとも1つの検出エレメントは、光学的反応性層の厚さの一部を構成する、低被検物質反応性サブ層を更に含む。
【0004】
したがって一態様において、本明細書では、被検物質を光学的に検出するためのアレイが開示され、このアレイは、少なくとも2つの個別の、光学的応答が可能な検出エレメントを備え、それぞれの検出エレメントは、2つの反射層の間にある光学的反応性層を備え、それぞれの検出エレメントの光学的反応性層は、高被検物質反応性第1サブ層(highly analyte-responsive first sublayer)を少なくとも備え、検出エレメントの少なくとも一方の光学的反応性層は、低被検物質反応性第2サブ層(minimally analyte-responsive second sublayer)を更に備え、それぞれの検出エレメントの第1サブ層及び第2サブ層は厚さを備え、一方の検出エレメントの第1サブ層及び第2サブ層の厚さは、もう一方の検出エレメントの第1サブ層及び第2サブ層の厚さとはそれぞれ著しく異なる。
【0005】
更に別の態様において、本明細書では、観察できる環境で被検物質を検出する光学的方法が開示され、これには、観察できる環境で、被検物質のより低い第1の濃度の存在下で、第1の外観から第2の外観へと変化し、かつ、被検物質の第2のより高い濃度の存在下で、第2の外観から第1の外観へと戻って変化する、少なくとも1つの第1の検出エレメントと、被検物質の第1のより低い濃度の存在下で、第1の外観から第2の外観へと変化せず、より低い濃度とより高い濃度との間である被検物質の第3の中間の濃度の存在下で、第1の外観から第2の外観へと変化し、被検物質の第2のより高い濃度の存在下で、第2の外観から第1の外観へと戻って変化しない、少なくとも1つの第2の検出エレメントと、を含むアレイを提供する工程と、この検出エレメントのアレイを、被検物質を含む可能性がある環境に曝露させる工程と、が含まれる。
【0006】
本発明のこれら及び他の態様は、以下の「発明を実施するための形態」から明らかになるであろう。しかし、決して、上記要約は、請求された主題に関する限定として解釈されるべきでなく、主題は、手続処理の間補正することができる添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】代表的な検出エレメント部分の側面断面図。
【図2】代表的な検出エレメントが呈する反射率スペクトルの一般的なグラフ。
【図3】代表的な検出エレメント部分の側面断面図。
【図4a】代表的な検出エレメント部分の側面断面図。
【図4b】代表的な検出エレメント部分の側面断面図。
【図4c】代表的な検出エレメント部分の側面断面図。
【図5】監視される環境中での様々な被検物質濃度に対する2つの検出エレメントの代表的なアレイの反応を示した図。
【図6】検出エレメントのアレイを含む、交換可能な吸着カートリッジを備えた、レスピレータの斜視図。
【図7】図6のレスピレータに使用するための交換可能カートリッジの側面断面図。
【図8】様々な検出エレメントについて、様々な濃度の試験被検物質に曝露した際に観察された波長シフトを示す、実験的に得られたデータのプロット。
【0008】
様々な図面において、類似参照記号は類似要素を表す。特に指定されない限り、本文献における全ての図面及び図は、一定の縮尺ではなく、本発明の異なる実施形態を例示する目的で選択される。特に、様々な構成要素の寸法は、指示のない限り、例示的な用語としてのみ記述され、様々な構成要素の寸法間の関係は、図面から推測されるべきではない。本開示において、「最上部」、「最下部」、「上部」、「下部」、「下」、「上」、「前」、「後ろ」、「外」、「内」、「上へ」及び「下へ」、並びに「第1の」及び「第2の」などの用語が使用され得るが、これらの用語は、特に断りのない限り、それらの相対的な意味においてのみ使用されることを理解されたい。特に、所定の文脈における特定のパラメータ(例えば濃度)が「低い」、「中程度」、及び/又は「高い」と特徴付けられる場合は、その所定の文脈内での相対的(比較的)意味において解釈されるべきことが理解されよう(例えば、「中程度」の濃度は、同じ文脈に関して言及される「低い」濃度と「高い」濃度の間である)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で開示されるのは、第1の検出エレメント2’及び第2の検出エレメント2’’を少なくとも含むアレイ1である(例えば、図5及び6の代表的な例に示すようなもの)。検出エレメントのそれぞれは、本明細書で後に詳しく述べる光学的反応性層230を含む。第2の検出エレメント2’’の層230は、第1の検出エレメント2’の層230とは異なり、これにより第2の検出エレメントは、対象の被検物質の少なくとも特定の濃度に対して、第1の検出エレメント2’とは異なった反応をする(ここ及び本明細書で濃度に関する他の全ての言及において、濃度は、検出エレメントが曝露されている環境中の被検物質の濃度を指す)。
【0010】
具体的には、第2の検出エレメント2’’は、第1の検出エレメント2’が光学的に反応する特定の被検物質のより低い濃度に対して、光学的に反応せず(例えば、本明細書で後で詳しく述べるように、少なくとも15nmの反射率スペクトルシフトによって、及び/又は肉眼で観察可能な変化によって)、被検物質の別のより高い濃度には光学的に反応する。したがって、第1の検出エレメント2’は、被検物質のより低い濃度に反応し、第2の検出エレメント2’’は、被検物質のより高い濃度に反応し、少なくともこの2つの検出エレメントを含むアレイは、単一の検出エレメントにおいて可能なよりも幅広いダイナミックレンジ(の被検物質濃度)にわたって光学的に反応することができる。幾つかの実施形態において、アレイ1は、複数の検出エレメントを備え(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、又はそれ以上)、強化されたダイナミックレンジを更に提供することができる。本明細書で記述されるそのようなアレイの使用は、本明細書で詳述されるように、他の利点も、提供することができる。
【0011】
検出エレメント2(包括的に称され、本明細書で言及される構成2’、2’’などを包含する)は、図1において代表的な実施形態で示されている。検出エレメント2は、反射層240と準反射層220との間に光学的反応性層230を少なくとも含む多層構造であり、これらの層を組み合わせて、被検物質の存在下で変化し得る反射率スペクトルを呈する、いわゆる干渉フィルタを含む。検出エレメント2は、図2の包括的表現で示される一般タイプの反射率スペクトルを示し、これには、異なる周波数で1つ以上のピーク(例えば、181、183、及び184)並びに谷(例えば、185)が含まれ、これは、被検物質の存在において、又は被検物質濃度の変化によって、変化し得る。例えば、十分な被検物質が存在すると、図2のピーク及び谷がより高い(長い)波長へとシフトし得る。検出エレメント2が呈する反射率スペクトルは、十分な被検物質に曝露されることによって変化し得る外観(例えば、相対的ドミナントカラー、色相、又は暗度など)として、目視検査で明らかになり得る。したがって、十分な濃度の被検物質に曝露されると、検出エレメント2は、第1(初期)外観から、第2の外観(第1の外観と視覚的に区別される)へと変化し得る。
【0012】
検出エレメント2は、入射光40(図1に示す)に検出エレメント2が曝露され、検出エレメント2から反射された光を観察することによって、光学的応答を行うことができる。光線40を供給するのに、専用の(外部)光源は必要ない(ただし、望ましい場合は1つ以上の専用光源を使用してよい)。光線40は、単一の独立した光源から発したものであってよく、又は、環境光(幾つかの独立光源から発したもの、独立光源からの光と反射光との組み合わせ、日光など)を、光線40の光源として使用してよい。
【0013】
図1に示す設計を組み入れた実施形態において、検出エレメント2は、順に(所望により)基材210、準反射層220、光学的反応性層230、及び反射層240を含む。光線40は、基材210に突き当たってこれを通り抜ける。光線40の一部は、準反射層220で反射し、検出エレメント2から光線41として抜け出ることができる。光線40の別の部分は、準反射層220を通り抜け、光学的反応性層230を通過して、反射層240に当たってよい。これら光線の少なくとも一部が反射層240を反射し、検出エレメント2から光線42として抜け出ることができる。光線41及び42は合わせて(例えば、建設的及び/又は破壊的に干渉することによって)全体として反射率スペクトルを提供し、これは、被検物質の存在下で、又は被検物質の濃度変化によって、変化し得る。
【0014】
図1の代表的な設計において、被検物質は、反射層240を浸透して、光学的反応性層230に到達し得る。これにより、層230の少なくとも一部(例えば、本明細書で後で詳しく開示されるように、層230のサブ層)の光学的特性(例えば、光学的厚さ)が変化し、これにより検出エレメント2から反射する光の反射率スペクトルが、被検物質の存在、及び/又は濃度を検出又は監視するのに十分なだけ変化し得る。図1に示す設計を組み入れた実施形態において、反射層240は、被検物質浸透性であり、光学的反応性層230と流体連通している。図1の設計において、準反射層220は、被検物質浸透性であってもよく、そうでなくともよい。図1の代表的な設計において、光は、基材210を通過することができ、これにより基材210は、対象の波長において光学的に透明であるべきである。
【0015】
他の設計も可能である。例えば、反射層240ではなく、又は反射層240の代わりに、準反射層220が被検物質に対して浸透性であってよい。光学的反応性層230、及び、存在する場合は、基材210、準反射層220、及び/又は反射層240の特性は、ここで更に詳しく述べられるように、一般に反射性(例えば、干渉に基づく)検出エレメントの製造に適用されることが理解される。アレイの異なる検出エレメントにおいて上記に参照した層を指定するのに、同じ参照番号が使用されているが、これらの指定された層は、構成及び/又は組成が同じであってもまた異なっていてもよいことが、当業者には容易に理解されよう。
【0016】
光学的反応性層230は、被検物質に反応して少なくとも一部が変化し得る光学的厚さ(物理的厚さに屈折率を掛けたもの)を含む層として定義され、これにより、対象の濃度の対象の被検物質に検出エレメント2が曝露されることによって、光学的反応性層230に好適な反射層240及び準反射層220を組み合わせることによって達成された反射率スペクトルが、十分にシフトし得る(例えば、検出エレメント2の視覚的外観における変化が、検出エレメント2を使用している通常の条件下において観察できる)。具体的には、光学的反応性層230が、好適な反射層240と準反射層220との間に提供された場合、1000ppmのスチレン(対象の好適な代表的有機被検物質である)を含む環境に曝露されたときに、少なくとも約15nmシフトする反射率スペクトルを呈する。反射率スペクトルのシフトに対する、この言及及び本明細書の他の全ての言及は、本開示の「試験被検物質に対するサンプルの反応」に概説されている手順に従って実施される測定を参照している。層230に関する光学的反応性とは、層230の合計(物理的)厚さ(その全てのサブ層を含む)が、一般に可視光(すなわち、約100nm〜約2000nm)の波長にほぼ近似していることを更に意味する。様々な具体的実施形態において、層230の物理的合計厚さは、約200nm〜約1500nm、約400nm〜約1000nm、又は約500nm〜約800nmであり得る。(特記されている場合を除き、本明細書に記載される厚さは全て、光学的厚さではなく物理的厚さを指す)。
【0017】
光学的反応性層230は、図3に示すように、少なくとも2層のサブ層232及び236を備え得る。サブ層232は、本明細書で定義されるように、高被検物質反応性サブ層であり、サブ層236は、本明細書で定義されるように、低被検物質反応性サブ層である。様々な実施形態において、高被検物質反応性サブ層232の厚さは、約100nm〜約800nmであってよい。様々な実施形態において、低被検物質反応性を有するサブ層236の厚さは、約700nm〜約0nmであり得る(すなわち、アレイ1の1つ以上の検出エレメント2において、低被検物質反応性を有するサブ層236は存在していなくてもよい)。様々な実施形態において、サブ層232と236を合わせた厚さは、約200nm〜約1500nmであり得る。特定の実施形態において、サブ層232と236を合わせた厚さは、約400nm〜約1000nm、又は約500nm〜約800nmであってよい。
【0018】
したがって、本明細書に開示されるアレイ1は、少なくとも2つの検出エレメント2を備え、このうち少なくとも2つの検出エレメント2’及び2’’が、2つの検出エレメント内にあるサブ層232の厚さ、及び/又はサブ層236の厚さにおいて著しく異なる。2つの検出エレメントの高被検物質反応性第1及び第2サブ層232の厚さの差が、少なくとも約20nmである場合に、それぞれは、著しく異なると定義される。例えば、2つの検出エレメントについて、一方が厚さ600nmのサブ層232を備え、もう一方が580nmのサブ層232を備えている場合、この差は著しく異なる。同様に、2つの検出エレメントの低被検物質反応性第1及び第2サブ層236の厚さの差が、少なくとも約20nmである場合に、それぞれは、著しく異なると定義される。例えば、2つの検出エレメントについて、一方が厚さ130nmのサブ層236を備え、もう一方が150nmのサブ層236を備えている場合、この差は著しく異なる。様々な実施形態において、2つの検出エレメントにおけるそれぞれのサブ層236の厚さの差は、少なくとも約50nm、又は少なくとも約100nmである。
【0019】
図4の側面断面図に示されているのは、3つの代表的な検出エレメント2’、2’’、及び2’’’であり、これらのうち2つ以上がアレイ1の組み合わせに使用され得る。検出エレメントのそれぞれが、類似の(この文脈では約15%以内)物理的厚さを備えた光学的反応性層230を含む(すなわち、これにより3つの検出エレメントはそれぞれ、被検物質の非存在下で類似の光学的厚さを備えた光学的反応性層230を備え、これにより、被検物質の非存在下では類似の外観を呈する)。図4aの代表的な検出エレメント2’の光学的反応性層230は、高被検物質反応性サブ層232を備え、低被検物質反応性サブ層236は存在しない。図4bの代表的な検出エレメント2’’の光学的反応性層230は、ほぼ等しい厚さのサブ層232及び236を含む。図4cの代表的な検出エレメント2’’’の光学的反応性層230は、サブ層232及び236を備え、サブ層236は、サブ層232の約2倍の厚さである。
【0020】
サブ層232は、対象の被検物質に対して高い反応性を有し、この特性は、サブ層232を含む材料の選択によって達成される。この文脈において、被検物質に対して高い反応性を有するとは、サブ層232が被検物質に対して十分に浸透性であり、サブ層232内に被検物質が存在することによってサブ層232の光学的厚さ、ひいては層230の光学的厚さに、十分な変化を引き起こし、検出エレメント2が呈する反射率スペクトルにおいて観察可能なシフトが生じることを意味する。具体的には、高被検物質反応性という用語は、サブ層232が、好適な反射層と準反射層との間に厚さ400〜800nmの層からなる場合に、スチレン50ppmを含む環境に曝露されると、少なくとも約15nmシフトする反射率スペクトルを呈するような材料から作成されていることを意味する。(上述のように、ここで及び本明細書中の他の場所においては、スチレンが、有用な代表的有機被検物質として、すなわち、本明細書の発明において有用な材料の反応性を特徴付ける目的のために便利な被検物質として、使用されることができる。このようなスチレンの利用は、いかなる意味においても、本明細書の発明をスチレンの監視に限定するものと解釈されるべきではない)。様々な実施形態において、高被検物質反応性サブ層232は、好適な反射層と準反射層との間に厚さ400〜800nmの層からなる場合に、スチレン50ppmを含む環境に曝露されると、少なくとも約25nm、少なくとも約35nm、又は少なくとも約45nmシフトする反射率スペクトルを呈するような材料から作成される。
【0021】
サブ層236は対象の被検物質に対して低反応性を有し、この特性は、サブ層236を含む材料の選択によって達成される。この文脈において、被検物質に対する低反応性とは、サブ層236が被検物質に対して十分な程度浸透性でない、及び/又はサブ層236内の被検物質の存在によって、サブ層236の光学的厚さに変化が生じず、すなわち層230の光学的特性の変化として現われず、検出エレメント2が呈する反射率スペクトルに観察可能なシフトをもたらさないということを示す。具体的には、低被検物質反応性という用語は、サブ層236が、好適な反射層と準反射層との間に厚さ400〜800nmの層からなる場合に、スチレン20ppmを含む環境に曝露されると、呈する反射率スペクトルのシフトが約10nm以下であるような材料から作成されていることを意味する。様々な実施形態において、低被検物質反応性サブ層236は、好適な反射層と準反射層との間に厚さ400〜800nmの層からなる場合に、スチレン20ppmを含む環境に曝露されると、呈する反射率スペクトルのシフトが約5nm以下、約3nm以下、又は約1nmであるような材料から作成される。
【0022】
高被検物質反応性材料を含むサブ層232と、低被検物質反応性材料を含むサブ層236とを備える、光学的反応性層230を用いることによって、被検物質の所定濃度に対する層230(すなわち検出エレメント2)の反応は、両方のサブ層の寄与によって支配され得る。例えば、低被検物質反応性サブ層236を備える光学的反応性層230を含んだ検出エレメントは、同様の厚さであるがサブ層236を備えない光学的反応性層230を含む検出エレメントに比べて、反射率スペクトルにおいて同じシフトをもたらすのに、被検物質のより高い濃度が必要となり得る。
【0023】
例えば、一実施形態において、検出エレメント2は、高被検物質反応性サブ層232と、低被検物質反応性サブ層236とを備えた光学的反応性層230を含み、これにより、200ppmのスチレンを含む環境に曝露されたときに約40nm以下の反射率スペクトルシフトを呈するように、検出エレメント2を構成することができる(たとえ、高被検物質反応性サブ層232が、好適な反射層と準反射層との間に厚さ400〜800nmの層からなる場合に、スチレン200ppmを含む環境に曝露されると、例えば、約100nmシフトする反射率スペクトルを呈するような材料から作成されているにもかかわらず)。更なる実施形態において、そのような検出エレメントは、200ppmのスチレンを含む環境に曝露された際に、約30nm以下、又は約20nm以下の反射率スペクトルシフトを検出エレメント2が呈するように構成されたサブ層232及びサブ層236を備えることができる。
【0024】
これにより、複数の個別検出エレメント2を備え、それぞれが異なる厚さのサブ層232及び/又はサブ層236を備えるアレイは、対象の被検物質の幅広いダイナミックレンジの濃度をカバーすることができ、これは本明細書で後述するように利点を有する。
【0025】
加えて、低被検物質反応性サブ層236を選択された厚さで使用することにより(この厚さは、選択された厚さのサブ層232と組み合わせて光学的反応性層230の選択された合計厚さを提供するために選択された厚さである)、検出エレメント2の初期反射率スペクトル(例えば、被検物質が存在しない又は検出不能な濃度で存在するときのスペクトル)を確立することができる(例えば、検出エレメント2に対し、目視検査に際しての特定の外観(色など)を付与するため)。すなわち、サブ層232及び236を擁する検出エレメント2は、高被検物質反応性材料のみを有する(例えば、サブ層236を有さない)検出エレメント2によって呈され得るのと同様の初期外観を備え、かつ高被検物質反応性材料のみを有する検出エレメント2とは異なる被検物質の(例えば、より高い)濃度に反応するよう製造することができる。したがって、複数の個別検出エレメント2を備えるアレイにおいて、この個別検出エレメントの一部又は全てが、類似の初期外観を含み、かつ被検物質の所定濃度に対して異なる反応をするようにすることができ、これは本明細書で後述するように、利点を有し得る。
【0026】
要約すると、サブ層232及び236を備える光学的反応性層230の使用により、検出エレメント2が反応し得る被検物質の濃度範囲を選択することができ、また、検出エレメント2の初期色、外観などを選択することもできる。この組み合わせは、顕著な利点を提供することができる。
【0027】
高被検物質反応性サブ層232を、低被検物質反応性サブ層236と組み合わせて使用することにより、少なくとも幾つかの実施形態において、追加の利点を提供することができる。特に、本明細書で記述される一般的なタイプの反射率センサは、ラップアラウンドと呼ばれる現象を呈する可能性があることが、当業者には周知である。ラップアラウンド(被検物質の十分に高濃度に曝露されたときに起こる)においては、反射率スペクトルが大きくシフトすることによって、検出エレメントが外観を変えて、被検物質の非存在下で検出エレメントが呈する初期外観に似た外観に戻ってしまう。(被検物質のより高い濃度に曝露されると、更なる外観変化が起こり得る)。発明者らは、高被検物質反応性サブ層232を低被検物質反応性サブ層236と組み合わせて含む光学的反応性層230を使用すると、ラップアラウンドの起こりにくい検出エレメント2を提供することができることを、驚きとともに見出した。特定の実施形態において、サブ層232及び236の特性及び厚さは、被検物質が非常に高濃度で存在する場合でも、検出エレメント2がラップアラウンドを呈さないように選択することができる。例えば、様々な実施形態において、検出エレメント2は、200、400、又は1000ppmもの濃度の有機被検物質、例えば、スチレンに曝露しても、ラップアラウンドを呈さないことができる。
【0028】
様々な特定の実施形態において、ラップアラウンドを呈さないそのような性能は、有機被検物質(例えば、スチレン)の200ppmに曝露されたときに、約100nm未満、約80nm未満、又は約60nm未満の反射率スペクトルシフトを呈する検出エレメントに対応することができる。更なる特定の実施形態において、ラップアラウンドを呈さないそのような性能は、有機被検物質(例えば、スチレン)の400ppmに曝露されたときに、約100nm未満、約80nm未満、又は約60nm未満の反射率スペクトルシフトを呈する検出エレメントに対応することができる。更に追加の特定の実施形態において、ラップアラウンドを呈さないそのような性能は、有機被検物質(例えば、スチレン)の1000ppmに曝露されたときに、約100nm未満、約80nm未満、又は約60nm未満の反射率スペクトルシフトを呈する検出エレメントに対応することができる。したがって、有機被検物質の予測される最高濃度の存在下であっても、1つ以上の検出エレメント2がラップアラウンドを呈さないようなアレイを提供することができる。そのような構成は、本明細書で後述するように、利点を提供することができる。
【0029】
高被検物質反応性サブ層232は、例えば、組み合わせて使用される特定の低被検物質反応性サブ層236に比べて、被検物質に対し十分に高い反応性を呈するような任意の材料を含むことができる。したがって、サブ層232は、対象の被検物質に対して十分に浸透性であり、選択した濃度の被検物質に曝露されたときに十分に変化することができる光学的厚さを備え、これにより、本明細書に記述される検出エレメント2の望ましい機能が可能になる。何らかの理論又はメカニズムに束縛あるいは限定されるものではないが、サブ層232の光学的厚さは、例えば、孔充填(例えば、サブ層232を少なくとも一部分構成する多孔質材料の孔)を介して、これにより少なくとも屈折率を増加させることによって光学的厚さを増加させ得ることで、被検物質に反応して変化することが可能である。サブ層232の光学的厚さは、膨潤によっても、被検物質に反応して変化することができ、膨潤は、少なくとも層の物理的厚さを増加させることによって、光学的厚さを増加させるよう作用し得る。一部の材料は、両方の反応の混合を呈することがあり、特定の被検物質濃度で主に一方の反応を呈し、他の被検物質濃度で別の反応を呈することがあり、その他同様である。
【0030】
幾つかの実施形態において、サブ層232は、多孔質材料を含む。この文脈において、「多孔質」とは、その材料が、少なくとも部分的に相互連結している内部孔を含むことを意味する。材料は、例えば、約100nm未満の平均孔サイズ(例えば、収着等温手順によって特徴付けられる)となるように選択することができる。様々な実施形態において、材料は、平均孔サイズが、約20nm未満、約10nm未満、又は約2nm未満となるように選択することができる。サブ層232は、均質であっても、又は不均質であってもよく、例えば、1つ以上の無機構成成分、1つ以上の有機構成成分、又は無機構成成分と有機構成成分との混合物から作成されてもよい。サブ層232に使用できる代表的な無機材料としては、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物及び好適な光学的反応をもたらすのに適切な厚さの透明な(そして望ましい場合は多孔質の)層に形成することができる他の無機材料が挙げられる。
【0031】
多孔質シリカは、被検物質反応性層に特に望ましい無機材料であってよい。多孔質シリカは、例えば、ゾル−ゲルプロセスを使用して調製することができ、このプロセスでは、ゾル−ゲル混合物を、孔の網状組織をシリカ内に含んだケイ酸塩へと変換することができる。プラズマ化学蒸着もまた、多孔質無機被検物質反応性材料を生成するのに使用することができる。この方法論は一般的に、ガス状前駆体からプラズマを形成し、プラズマを基材上に堆積して非晶質ランダム共有結合網状層を形成し、次に非晶質ランダム共有結合網状層を加熱して、多孔質非晶質ランダム共有結合網状層を形成する工程を含む。そのような方法及び材料は、国際(PCT)公開特許出願US 2008/078281号、「ORGANIC CHEMICAL SENSOR COMPRISING PLASMA−DEPOSITED MICROPOROUS LAYER,AND METHOD OF MAKING AND USING」に詳しく記述されており、これは、この目的のため、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0032】
幾つかの実施形態において、光学的反応性層230は少なくとも部分的に、多孔質有機ケイ酸塩材料を含み、本明細書において、これは、幾つかの有機官能基Rを含む、共有結合により連結した3次元シリカ網状組織(−Si−O−Si−)を含んだ混成物である組成物として定義され、Rは、少なくとも1つのSi−C結合によってシリカ網状組織に連結した、炭化水素基又はヘテロ原子置換炭化水素基である。そのような材料及びその製造方法は、米国特許仮出願第61/140131号、「AMORPHOUS MICROPOROUS ORGANOSILICATE COMPOSITIONS」に詳しく記述されている。
【0033】
幾つかの実施形態において、高被検物質反応性層232は、いわゆる「固有のミクロ孔質ポリマー」(以下、PIMと称する)を含む材料群から選択された構成成分から少なくとも部分的に作成される。この群のポリマーは、例えば、「Polymers of Intrinsic Microporosity(PIMs):Robust,Solution−Processable,Organic Microporous Materials」、Buddら、Chem.Commun.,2004,pp.230〜231、「Polymers of Intrinsic Microporosity(PIMs)」、McKeownら、Chem.Eur.J.,2005,11,No.9,2610〜2620、米国特許出願公開第2006/0246273号(McKeownら)、及び国際(PCT)公開特許出願WO 2005/012397A2号(McKeownら)に記述され、特徴付けられており、これらは全て、この目的のため、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0034】
PIMは、内部にねじれた構造を生じるための十分な構造的特徴が存在する、非常に剛性があるポリマーとなるモノマーの任意の組み合わせの使用によって配合することができる。様々な実施形態において、PIMは、剛性リンカーによって連結されるほぼ平面的な種からなる有機高分子を含む場合があり、この剛性リンカーは、剛体リンカーによって連結される2つの近接する平面的な種が非同一平面上の配向に維持されるように、ねじれ点を有する。更なる実施形態では、このような材料が、剛性リンカーによって大部分が最高で2つの他の第1の種に連結される第1のほぼ平面的な種からなる有機高分子を含むことができ、この剛性リンカーは、リンカーによって連結される2つの近接する第1の平面的な種が非同一平面上の配向に維持されるように、ねじれ点を有する。様々な実施形態において、このようなねじれ点は、スピロ基、架橋環部、又は立体的に密集した単一の共有結合を含んでよく、この周囲では回転が制限される。
【0035】
このような剛性があるねじれた構造を有するポリマーでは、ポリマー鎖が互いに有効に密集することができず、したがってポリマーは、固有のミクロ孔質を有する。したがって、PIMは、材料の熱履歴に著しく依存することのない、ミクロ孔質を備えることの利益を有する。PIMはしたがって、大量に再生可能に製造可能であるという点で、及び老朽化、及び貯蔵寿命などによって変化する特性を呈さないという点で、利益を提供することがある。
【0036】
幾つかの実施形態において、光学的反応性層230は少なくとも部分的に、例えば「Styrosorb」として知られる超架橋スチレン樹脂(これは、例えばV.A.Davankov及びP.Tsyurupa、Pure and Appl.Chem.,vol.61,pp.1881〜89(1989)及びL.D.Belyakova、T.I.Schevchenko、V.A.Davankov及びM.P.Tsyurupa、Adv.in Colloid and Interface Sci.vol.25,pp.249〜66(1986)に記述されている)のような、高度に架橋された多孔質のポリマー材料を含んでおり、これには、商品名StyrosorbとしてPurolite(Bala Cynwyd,PA)から販売されている材料が挙げられる。
【0037】
数多くの用途において、サブ層232が疎水性であると、利点があり得る。そのような実施形態においては、これは、水蒸気(又は液体の水)がサブ層232の反応に変化を引き起こして被検物質の検出(例えば、有機溶剤蒸気の検出)を妨げる可能性を低減する。幾つかの実施形態において、高被検物質反応性サブ層232は、好適な反射層と好適な準反射層との間に厚さ400〜800nmの層として提供されている場合に、湿度90%を含む環境に曝露されると、呈する反射率スペクトルのシフトが15nm以下であるような材料から作成される。
【0038】
サブ層232に有用な好適な材料の更なる詳細及び属性と、そのような材料からサブ層232を製造する方法は、例えば、米国特許公開出願第2008/0063874号に記述されており、これは、この目的のため、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0039】
低被検物質反応性サブ層236は、第1に、組み合わせて使用されている特に高被検物質反応性サブ層232に比べて、被検物質に対する(及び対象の被検物質の検出を阻害し得るその他の任意の物質に対する)十分に低い(存在しない、及び/又は測定不能である状態を含む)光学的反応性を呈し、第2に、サブ層232を製造するのに使用されるプロセス方法(本明細書で後述される)に適合し、第3に、サブ層232と光学的に適合するような、任意の材料を含むことができる。光学的に適合するとは、サブ層236が、光に対して十分に透明であり、かつサブ層232と十分に近似の屈折率を備える材料からなり、これにより検出エレメント2の機能が可能であることを意味する。すなわち、サブ層232及び236の屈折率の差は、検出エレメント2の機能を妨げる(例えば、光がサブ層236を通過してサブ層232に達しなければならない構成において、特定の量の光が、高被検物質反応性サブ層232に達するのを、許容できないほど妨げることによって)のに十分なほど、サブ層232と236との間の界面から発する反射を生じるような大きさであるべきではない。サブ層236に関する光学的適合性とは、サブ層236が、検出エレメント2の反射率スペクトルを許容できないほど妨げるような光の反射、吸収、及び/又は散乱を起こすのに十分な、界面、粒子、充填材、空洞などを含まないことを更に意味する。
【0040】
サブ層236は、対象の被検物質に対して比較的非浸透性であるために、反応を引き起こすほどサブ層236に被検物質が十分に浸透しないことによって、低被検物質反応性であることができる。したがって、様々な実施形態において、サブ層236は、強化されたバリア特性を備えた材料を含むことができる。(そのような場合、サブ層236は、好ましくは、高被検物質反応性サブ層232(ここから被検物質が検出エレメント2に浸透し、被検物質がサブ層232に達することができる)とは反対側の面に配置することができる)。したがって、サブ層236は、少なくとも部分的に、半晶質ポリマー材料(例えば、高い融点(T)を有する)、及び/又はガラス状材料(例えば、高いガラス転移温度(T)を有する)、無機網状組織材料(相互連結した孔がない)、及び同様物を含むことができる。幾つかの実施形態において、サブ層236は、被検物質に対して少なくともある程度浸透性であるが、サブ層236内に被検物質が存在しても(少なくともある程度の濃度まで)、光学的反応を起こさない(例えば、サブ層236の光学的厚さが変化しない)ような性質を所有してよい。したがって、特定の材料(例えば、水、有機蒸気など)の存在下で、例えば膨潤する傾向をほとんど呈さないよう、好適に架橋された材料を選択することができる。
【0041】
幾つかの実施形態において、サブ層236は、非多孔質材料を含む。他の実施形態において、サブ層236は、多孔性の材料を含むが、その多孔性は、その材料が低被検物質反応性であることを阻害しない。例えば、そのような材料は、非常に低い多孔性を備えることができ、及び/又は相互に連結されていない孔(したがって、材料への被検物質の浸透性は低い)を含むことができ、あるいは含まれている孔のサイズが大きく、対象の被検物質が、対象の濃度範囲を上回った濃度で存在するようになるまで検出エレメント孔に濃縮されないほどであってよい。
【0042】
様々な実施形態において、サブ層236は、疎水性の材料を含む(これは、水によって特定の被検物質の検出が妨げられる可能性を最小限に抑えることができる)。幾つかの実施形態において、低被検物質反応性サブ層236は、好適な反射層と準反射層との間に厚さ400〜800nmの層を含む場合に、湿度90%を含む環境に曝露されると、呈する反射率スペクトルのシフトが15nm以下であるような材料から作成される。
【0043】
特に、高被検物質反応性サブ層232が、低被検物質反応性サブ層236上に、溶液コーティングにより堆積される実施形態(後述される)においては、サブ層232を堆積させるのに使用される溶液によって溶解、分解、又は別の形で損傷することに対し、サブ層236の材料が耐性となるようにすると、有利であり得る。層232が前述の固有のミクロ孔質ポリマー(PIM)を含む場合、サブ層236は、PIMを可溶化するのに一般に使用される溶媒(例えば、クロロベンゼン、クロロホルム、テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、及び/又はこれらの混合物)に対して耐性であると有用であり得る。
【0044】
幾つかの実施形態において、サブ層236は、非架橋の有機ポリマー材料を含む。そのような場合において、そのポリマー材料は、対象の被検物質(例えば、有機蒸気及び同様物)の吸収に対して耐性をもつよう、及び/又は吸収の結果の膨潤に対して耐性をもつよう、選択することができる。有用であり得る代表的な材料には、ポリ(メタクリロニトリル)及びそれらのコポリマー並びに混合物が挙げられる。この種の特定の材料を採用した検出エレメントの例は、実施例1〜5の議論に記載されている。(例えば、比較的高いT及び/又はTを含み、比較的疎水性であるという点で)好適な候補であり得るその他のポリマー材料には、例えばポリ(シアノメチルアクリレート)、ポリ(3,5−ジメチルアダマンチルクロトネート)、ポリ(1−アダマンチルアクリレート)、ポリ(アダマンチルクロトネート)、ポリ(ペンタブロモベンジルアクリレート)、ポリ(ペンタクロロフェニルアクリレート)、ポリ(アダマンチルメタクリレート)、ポリ(4−シアノフェニルメタクリレート)、ポリ(3,5−ジアダマンチルメタクリレート)、ポリ(3−テトラシクロドデシルメタクリレート)、ポリ(2,6−キシレニルメタクリレート)、ポリ(メチルβ−クロロアクリレート)、ポリ[4−(4−ビフェニリル)スチレン]、ポリ[3−(4−ビフェニリル)スチレン]、ポリ(2−カルボキシスチレン)、ポリ(2,4−ジイソプロピルスチレン)、ポリ(2,5−ジイソプロピルスチレン)、ポリ[4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)スチレン]、ポリ[4−(1−ヒドロキシ−1−メチルプロピル)スチレン]、ポリ(2−ヒドロキシメチルスチレン)、ポリ(4−ヒドロキシメチルスチレン)、ポリ(4−ヨードスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリ(ペルフルオロスチレン)、及びポリ(4−フェニルスチレン)を挙げることができる。
【0045】
幾つかの実施形態において、サブ層236は、架橋された有機ポリマー材料を含む。そのような架橋は、対象の被検物質の吸収に対する耐性、及び/又は吸収の結果の膨潤に対する耐性を強化した材料を提供することができ、したがって、幅広い様々な材料を、サブ層236に使用するのに有用なものにすることができる。例えば、サブ層236は、架橋ポリスチレン材料を含むことができる。そのような材料を採用した検出エレメントの例は、実施例7の議論に記載されている。しかしながら、当該技術分野で周知であるような、任意の望ましい組成物又は構造の、好適な架橋有機ポリマー材料が、所望により添加物及び同様物を含めて、使用可能である。
【0046】
幾つかの実施形態において、サブ層236は、多官能基モノマー(例えば周知のアクリレート及びメタクリレートモノマー)の重合及び/又は反応によって達成された架橋有機ポリマー網状構造を含む。そのようなモノマーの混合物は、例えば堆積させ(液体として、あるいは例えば米国特許第5877895号に開示されているように蒸気凝縮法によって)、反応させて(例えば、放射線硬化)、架橋層を形成することができる。そのような目的に使用可能である好適なモノマー、オリゴマーなどは、例えば米国特許第7,449,146号に開示されており、これは、この目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。前述のように、そのような層は、サブ層236として使用するのに好適になるような特性(例えば、高度の架橋)を達成するような条件で調製すべきである。他の蒸気コーティング有機ポリマー材料も、サブ層236に使用することができ、これには、例えば商品名Paryleneとして様々な供給源から入手できる周知のコーティングが挙げられる。架橋されているか否かを問わず、前述のように、サブ層236は、疎水性であることが望ましい可能性がある。
【0047】
サブ層236はまた、例えば、多孔性を有さない無機材料を含むこともできる。上述のように、無機材料の屈折率は、検出エレメント2の適切な機能を可能にするために、サブ層232と十分に近似であるべきである。例えば、サブ層236は、酸化ケイ素を含むことができる(例えば、蒸気コーティングで堆積される)。そのような無機材料は、サブ層236の合計厚さを構成することができる。あるいは、サブ層236は、無機バリアサブ層の裏にあって、サブ層236の望ましい合計厚さをもたらすように存在する裏材サブ層(例えば、有機ポリマー材料からなる)を備えた、サブ層232に隣接する無機材料のバリアサブ層を含むことができる。(そのようなアプローチを採用した検出エレメントの例は、実施例6の議論に記載されている)。無機材料が、被検物質に対して十分に非浸透性である場合、この裏材層は、任意の好適な材料(例えば、被検物質に対して非浸透性である必要を特に問わず)を含み得る。なぜなら、この構成では、裏材層は単に隙間充填材として用いられ、バリア特性及び/又は被検物質に対する反応性は関係がなくなるからである。
【0048】
様々な実施形態において、サブ層236は、上述の材料の組み合わせ(例えば、混合物、配合物、複合体構造、及び同様物)、並びに/又はそのような材料の多層を含むことができる。
【0049】
検出エレメント2は、反射層240を含むことができる。幾つかの実施形態において、反射層240は、前に形成された光学的反応性層230の表面上に堆積されることができ(例えば、既知の様々な方法によって)、あるいは、反射層240は、基材210上に検出エレメント2の他の層及び/又はサブ層を堆積してから、その上に堆積させることができる。
【0050】
反射層240は、十分な反応性を提供できるような任意の好適な材料を含むことができる。反射層に好適な材料としては、アルミニウム、クロム、金、ニッケル、ケイ素、チタン、白金、パラジウム、及び銀のような金属又は半金属を挙げることができる。反射層に含まれ得るその他の好適な材料には、金属酸化物を挙げることができる。幾つかの実施形態において、約500nmの波長で、反射層は、少なくとも約90%の反射率(すなわち、最大約10%の透過率)であってよく、また幾つかの実施形態においては、約99%の反射率(すなわち、約1%の透過率)であってよい。
【0051】
幾つかの実施形態において(例えば、図2の設計を組み込んで)、反射層240は、対象の被検物質に対して有利に浸透性であってよい。これは、例えば、ビー玉を重ねたような形態で配置された金属ナノ粒子で反射層240を形成することによって提供されることができ、被検物質がこれを通って浸透し、光学的反応性層230に達して侵入することができる。層240は、光学的反応性層230に対し、金属ナノ粒子の希釈したコーティング溶液又は懸濁液を適用し、この溶液又は懸濁液を乾かして浸透性反射層240を形成することによって、形成することができる。金属ナノ粒子は、水、及び有機溶媒(例えばメタノール、ヘプタン、デカンなど)を含む様々な担体に浮遊させることができる。金属ナノ粒子はまた、重合性モノマー結合剤に染み込ませてもよいが、望ましくは、かかる結合剤は、浸透性ナノ粒子層を提供できるように、適用したコーティングから(例えば、溶媒抽出又は焼結を用いて)除去する。
【0052】
反射層240に有用な好適な被検物質浸透性材料、特に金属ナノ粒子材料の更なる詳細及び属性は、例えば、米国特許公開出願第2008/0063874号に記述されており、これは、この目的のため、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0053】
検出エレメント2は、準反射層220を含むことができる。様々な実施形態において、準反射層220は、前に形成された光学的反応性層230の表面上に堆積されることができ(例えば、既知の様々な方法によって)、あるいは、準反射層220は、基材210上に堆積させてから、検出エレメント2の他の層及び/又はサブ層を準反射層220の上に堆積させることができる。
【0054】
準反射層220は、反射層240と同様、又はそれより低い反射率を含むことができる。準反射層220は、好適な準反射性を提供することができる(例えば、適切な厚さのときに)任意の好適な材料を含むことができる。好適な材料には、アルミニウム、クロム、金、ニッケル、ケイ素、パラジウム、白金、チタン及び銀など、金属及び半金属を挙げることができる。他の好適な材料には、金属酸化物を挙げることができる。
【0055】
様々な実施形態において、約500nmの波長で、準反射層220は、約30%〜約70%の反射率、又は約40%〜約60%の反射率を有することができる。
【0056】
幾つかの実施形態において、準反射層220は、対象の被検物質に対して有利に浸透性であることができる。したがって、この場合、適切な反射性を提供するために、被検物質に準反射層220を浸透させて、光学的反応性層230に達して侵入するよう、適切な厚さでの準反射層220を提供することが望ましい場合がある。幾つかの場合において、全体に5〜10nmの範囲の厚さが望ましい可能性がある(例えば、準反射層220が蒸着されて金属層を形成する場合)。具体的な望ましい厚さは、層を形成するのに使用される材料、検出する被検物質に依存し、必要に応じて設定することができる。
【0057】
好適な準反射層及び反射層の詳細、特性、及びその製造方法は、例えば米国特許出願公開第2008/0063874号に記述されており、これは、この目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。
【0058】
基材210は、存在する場合、検出エレメントに支持体を提供することができる、任意の好適な材料(例えば、ガラス、プラスチックなど)を含むことができる。検出エレメント2が応答するために、基材210を光が通過するような実施形態において、基材210は光学的に透明でなければならず(すなわち、対象の波長で十分な透明性を有さなければならず)、許容できないほど光学的信号に影響し得るようなその他の特性(例えば、蛍光など)を有してはならない。基材210の好適な材料には、例えば周知のポリマーのポリエステル群(例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)及びポリ(エチレンナフタレート))を挙げることができる。
【0059】
使用の前に、本明細書で開示される検出エレメントは、対象の被検物質が実質的にない環境下で保持されることができる(例えばパッケージ中)。そのような環境において、及び/又は反応を引き起こすのに十分な被検物質の環境濃度に曝露させる前に、検出エレメントは、第1の外観(例えば、色)を呈することができる。対象の被検物質の十分に高濃度を含む環境に曝露されると、検出エレメントが呈する反射率スペクトルが変化し(例えば、典型的には長波長側にナノメートル値がシフトする)、これにより検出エレメントは、第1の外観から、第1の外観とは異なる第2の外観へと、視覚的に観察可能な変化を起こす。
【0060】
検出エレメントが呈する光学的反応は典型的に、可視光線範囲で観察可能であり、外観の変化が人間の目で検出することができる。そのような外観の変化には、第1色から第2色への変化、検出エレメントの知覚される輝度の変化(例えば、全体に同じ色の範囲であっても)、比較的無色の外観から、よりカラフルな外観への変化、全体的に均一な外観から、より不均一な(例えば、多彩な)外観への変化、及び同様のその他の変化を含むことができる。幾つかの実施形態において、アレイ1は、全てが類似の第1の外観と類似の第2の外観を含む検出エレメント2からなることが望ましい場合があるが、他の実施形態では、アレイ1の様々な検出エレメントが、アレイ1の別の検出エレメントとは異なる第1の外観又は第2の外観を含んでよい。光学的応答は、幾つかの実施形態において、(例えば、人間による)目視検査によって実施されることができるが、幾つかの実施形態においては、他の応答方法も使用されることができ、これには、例えば分光光度計、光検出器、電荷結合素子、フォトダイオード、デジタルカメラ、及び同様物などの外部応答装置が挙げられる。検出エレメント2の応答におけるそのような光エレクトロニクス方法の利用は、米国特許出願第61/164496号に記述されており、これは、この目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。
【0061】
一部のタイプの検出エレメント2の構成要素及び構成体の詳細は、本出願と同時に出願される、同時係属の米国特許仮出願第xx/xxxxxx号、「MULTILAYER COLORIMETRIC SENSORS」(整理番号65358US002)に記述されており、これは、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0062】
本明細書で開示されるように、複数の検出エレメントを含むアレイは、対象の1つ以上の被検物質を、単一の検出エレメントで可能であり得るよりも幅広い濃度範囲にわたって、検出及び/又は監視するために使用することができる。そのような被検物質は、監視することが望ましい、環境中(しばしば、大気環境中)に存在し得る蒸気又は気体を含むことができる。幾つかの実施形態において、被検物質は、有機蒸気(例えば、揮発性有機化合物)である。特定の実施形態において、被検物質は、高沸点の有機化合物であり、これは、本明細書において、沸点が100℃以上の有機化合物として定義される。代表的な有機被検物質には、アルカン、シクロアルカン、芳香族化合物、アルコール、アルデヒド、エーテル、エステル、ケトン、ハロカーボン、アミン、有機酸、シアネート、チオール、ニトロ化物、及びニトリルを含む、置換又は非置換の炭素化合物を挙げることができ、これには例えばn−オクタン、シクロヘキサン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、二硫化炭素、四塩化炭素、ベンゼン、トルエン、スチレン、キシレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、2−エトキシエタノール、酢酸、2−アミノピリジン、エチレングリコールモノメチルエーテル、トルエン−2,4−ジイソシアネート、ニトロメタン、アセトニトリル、及び同様物がある。(これらのうち、本明細書で述べたように、検出エレメント2、光学的反応性層230、高被検物質反応性サブ層232、及び/又は低被検物質反応性サブ層236の反応を特徴付けるのに有用な代表的な有機被検物質としてスチレンを用いることができる。他のものもまた、利用することができる)。
【0063】
幾つかの場合において、アレイ1は、水を検出するのに使用することができる(例えば、湿度センサとして)。他の実施形態において、アレイ1の一部又は全ての検出エレメント2は、水の存在に対して低反応を有するよう設計することができる(例えば、サブ層232及び/又は236に疎水性材料を選択することによって)。
【0064】
本明細書ですでに検討したように、本明細書に記述されるアレイは、対象の被検物質の(観察される環境で)濃度に対する反応において、拡張されたダイナミックレンジを提供することができる。すなわち、幾つかの検出エレメントを提供し、このそれぞれが、対象の被検物質の異なる濃度範囲に光学的に反応するようにできる。(個々の検出エレメントのダイナミックレンジは、本明細書で検討されるように、少なくとも部分的に重なり合っていてよい)。したがって、例えば、第1の検出エレメントが20ppmの対象の被検物質に光学的に反応し、第2の検出エレメントが40ppmに反応し、第3の検出エレメントが80ppmに反応し、第4の検出エレメントが100ppmに反応し、というようにできる。また、述べたように、このアレイは複数の検出エレメントを備えることができ、このそれぞれが、同様の初期色又は外観(被検物質が存在しない又はその検出エレメントでは検出不能な被検物質濃度で存在するときの色又は外観)を呈する。
【0065】
幾つかの実施形態において、アレイ1は、アレイが曝露されることが予想される最高予測濃度の被検物質の存在下において、前述のラップアラウンド現象を起こさないような検出エレメント2を少なくとも1つ含む。そのような、ラップアラウンド耐性のある検出エレメントが少なくとも1つ存在することによって、非常に高被検物質濃度(例えば、特定の用途において遭遇が見込まれる最高値)に曝露された場合であっても、この拡張されたダイナミックレンジアレイにより、被検物質の検出が成功裏に可能になるようにすることができる。
【0066】
追加の実施形態において、検出エレメントは、少なくとも2つのエレメントのダイナミックレンジが重なり合うように設計することができる。すなわち、少なくとも2つの検出エレメントで、第1の検出エレメントは、被検物質のより低い濃度で光学的に反応するように設計され、第2の検出エレメントは、被検物質のより高い濃度で光学的に反応するように設計され、第1の検出エレメントは、特定の被検物質濃度でラップアラウンドを呈するように、提供することができる。第2の検出エレメントは、第1の検出エレメントのラップアラウンドが引き起こされ得る特定の被検物質濃度よりも低い被検物質濃度で、外観変化(例えば、第1色から第2色へ)を呈し、これにより、第2の検出エレメントのダイナミックレンジは、第1の検出エレメントのダイナミックレンジと重なり合うよう設計することができる。(第2の検出エレメントは、被検物質が、予測される最高濃度であっても、ラップアラウンドを呈さないものであってよく、あるいは被検物質の特定の濃度でラップアラウンドを依然として呈し得るような「中間感度」の検出エレメントであってもよい)。
【0067】
したがって、本明細書に記述される方法は、反射率(例えば、干渉に基づく)検出エレメントを用いて、当該技術分野における基本的な利点を提供することができる。検出エレメント(このそれぞれが被検物質の異なる濃度に反応し得る)のアレイの使用により、(含まれる検出エレメントの集合的反応によって)非常に幅広いダイナミックレンジを備えた装置を製造することができる。更に、被検物質の予想される最高濃度でもラップアラウンドを呈さない、少なくとも1つの検出エレメントが存在し、かつ上述のように、少なくとも一部のペアの検出エレメントのダイナミックレンジが更に重複していることにより、非常に利点のある検出モードが実現する。
【0068】
例えば、検出可能濃度の被検物質が存在しないとき、全てが類似の第1(初期)外観(例えば、色)を有しているような個別の検出エレメントがあるアレイを提供することができる。対象の被検物質の「より低い」濃度に曝露されると、少なくとも第1の検出エレメント(例えば、被検物質の最低濃度に反応することができるもの)が、第2の外観に変化することができる。中間濃度の被検物質に曝露されると、第1の検出エレメントがラップアラウンドを呈し、これによって第1の外観に戻る前に、第2の検出エレメントが、第2の外観に変化することができる。被検物質のより高い濃度に曝露されると、第2の検出エレメントがラップアラウンドを呈し、これによって第1の外観に戻る前に、更に第3の検出エレメントが、第2の外観に変化することができる。被検物質の予想される最高濃度にアレイが曝露されると、被検物質のその濃度に曝露されてもラップアラウンドを呈さないよう設計された少なくとも1つの検出エレメントは、第2の外観を維持することができる。したがって、検出可能な任意の濃度の被検物質の存在下で、少なくとも1つの検出エレメントが第2の外観を呈するようなアレイを提供することができる。そのようなアレイのユーザは、アレイ中の少なくとも1つの検出エレメントが第2の外観を呈する場合、及び/又はアレイ中のいずれか2つの検出エレメントの間に差が存在する場合は、検出可能な濃度の被検物質が存在することを示すことができることを認識することができる。そのようなアレイは、監視される大気中に存在する対象の被検物質の濃度の、準定量的又は定量的な表示を提供するのに使用することもできる。
【0069】
様々な検出エレメントの外観においてそのような変化を起こす被検物質の特定の濃度は、対象の被検物質や、特定の被検物質に対する反応要件などに応じて、個々の検出エレメントの具体的な設計によって変えることができる。幾つかの異なる検出エレメント間に、前述のように重なり合いが生じるように、複数の検出エレメントを提供することができる。
【0070】
第1の代表的な検出エレメント2’及び第2の代表的な検出エレメント2’’(これらは必ずしも、図4a及び4bの参照で記述されている代表的な検出エレメント2’及び2’’に対応している必要はなく、及び/又はこれらの正確な設計である必要はない)を備えた代表的なアレイ1の光学的反応が、包括的に図5に示されている。図5を参照して、検出可能な濃度の被検物質が存在しないとき、両方の検出エレメントは第1状態(例えば、外観)のままであることができる。第1の、被検物質の低い濃度に曝露されると、第1の検出エレメント2’が、第2の状態へ変化し、第2の検出エレメント2’’は第1状態のままであることができる。被検物質の中間濃度(第1の低い濃度よりも高い農度)に曝露されると、第2の検出エレメント2’’は第2の状態へと変化し、第1の検出エレメント2’は第2の状態のままであることができる(アレイはこのようにして、上述したダイナミックレンジにおける重なり合いを呈する)。被検物質のより高い濃度(中間濃度よりも高い濃度)に曝露されると、第1の検出エレメント2’は、ラップアラウンドを呈して第1状態に戻ることができるが、第2の検出エレメント2’’は、ラップアラウンドを呈することがなく、したがって第2の状態のままである。2つの検出エレメントのいずれかに第2の状態が存在することは、このように、検出可能な濃度の被検物質が存在することを示している。
【0071】
この単純な例は、ダイナミックレンジ、信頼性及び/又は正確さにおける強化を示しており、これは本明細書における方法によって提供さることができる。追加の検出エレメント(2つを超える数)の使用、検出エレメントの具体的な設計などにより、更なる強化を提供することができる。本明細書に提示されている実施例においては、第1及び第2の状態は、第1及び第2の外観(視覚的に監視される場合)に対応し、あるいは第1及び第2の波長スペクトル(それらの間のシフト)(オプトエレクトロニクス的方法によって監視される場合)に対応しているが、これらの一般的方法は、例えば、他の手段によって測定される状態に対しても、幅広く適用されることができる。
【0072】
これらの方法の更なる拡張において、他の機能が提供されることができる。例えば、1つ以上の参照用エレメント(例えば、外観が変化しないもの)を、ユーザが色の変化を識別する助けとして提供することができる。そのような参照用エレメントは、例えば、染色又は着色した材料又は領域を含んでよく、又は検出エレメント(例えば、本明細書に記述される一般的なタイプのエレメント)を被検物質の特定の(例えば、低い)濃度に対して光学的な反応を呈さないように設計したものを含んでもよい。類似の初期外観を備えた複数の検出エレメントを有するアレイを、本明細書で記述されるように使用すると、アレイの「自己参照的」機能を有用に提供することができ、これにより別途に提供される参照用エレメントは必要としないことがある。いかに達成したかにかかわらず、幾つかの実施形態において、アレイ1は、検出可能な濃度の被検物質の存在下で、ユーザが、アレイ1のうち少なくとも任意の2つの個別検出エレメント間における外観の差を知覚できるように(例えば、1つの個別の検出エレメントの今の外観が、前とは違っていることを識別する代わりとして、又はそのような識別に追加して)、配列されることができる。
【0073】
本明細書に記述されるアレイ、及びその使用方法は、個人用呼吸保護装置(例えば、環境中から特定の物質を除去するための、フィルタエレメント、収着媒体などを備えることができるレスピレータ)に関連して有用であり得、例えば呼吸保護装置にあるフィルタエレメント、収着媒体などを少なくとも部分的に通過する空気流を含む大気を監視し、そのフィルタエレメント、収着媒体などによる、その空気流から被検物質を除去する能力が尽きかけている可能性を指示することができるような、使用寿命終了インジケータ(ESLI)として有用であり得る。そのような用途において、(例えば、フィルタエレメント又は収着床を通過した、又は通過している空気流中の)対象の被検物質を、例えばいわゆる職業的曝露限界濃度(OEL)で検出することが望ましいことがある。しかしながら、そのような個人用呼吸保護装置は、一部の場合において、OELの最高10倍、又は50倍もの濃度の被検物質を含んだ環境中で使用されることがある。したがって、被検物質の低濃度を検出することができるが、被検物質の高濃度に曝露された場合(例えば、収着媒体の飽和又は消耗によって被検物質の突破流入が起こった場合)にラップアラウンドを呈し得る単一の検出エレメントを使用するのは、複数の検出エレメントを含むアレイの使用に比べて、利点は少ない可能性がある。すなわち、被検物質の低濃度を検出できる性能を保ち、かつ被検物質の高濃度を検出する性能を可能にする。
【0074】
図6を参照すると、幾つかの実施形態において、アレイ1が使用され得る個人用レスピレータ101には、フェイスマスク102が含まれ、この上に1組の空気浄化レスピレータカートリッジ103が取り付けられている。カートリッジ103はそれぞれ、図6には示されていないが、収着材料(例えば、活性炭)のための容器として機能する。それぞれのカートリッジ103のフロントカバー104には、複数の開口部105が含まれ、これが気体流入口として機能し、外部環境からの周囲空気をカートリッジ103へと流入させ、収着材料を通過させ、そこから通路(図6には示されていない)を通って、これがカートリッジ103からの気体流出口かつフェイスマスク102の流入口として機能する。呼気は、呼気弁109を通ってレスピレータ101から出る。インジケータは、様々な呼吸保護装置に使用することができる。例えば、インジケータは、単一のカートリッジレスピレータ、又は動力付き空気浄化レスピレータ内に配備することもできる。それぞれのカートリッジ103の側壁106には、1つ以上の透明な観測ポート107が含まれてよく、これを通してアレイ1の検出エレメント2を見ることができる。又は、側壁106の全体、若しくはカートリッジ103の全体が透明(例えば、光学的に透明なプラスチック材料から構成されている)であってもよい。
【0075】
図7は、レスピレータカートリッジ103の側面断面図である。望ましい場合は、例えば使用前に除去できる除去可能なカバー(図6及び図7には示されていない)を用いて、使用時まで開口部105を密封することができる。収着材料床121は、開口部105から流出口123へと通過する1つ以上の対象の被検物質(例えば、有機溶媒)の少なくとも一部を吸収又は吸着する。ポスト127に取り付けられた一方通行吸入弁125は、呼気がカートリッジ103に入るのを防ぐ。ねじ付き、又は好ましくは差し込み固定式のコネクタ129を使用して、カートリッジ103を取り外し可能なようにマスク102に接続することができる。側壁106には、上述のように、1つ以上の透明な観測ポート107が含まれてよい。観測ポート107は、側壁106の光学的に透明な部分を備え得るか、又は、観測ポート107は、ポート107を閉塞するような方法でそこに取り付けられた1つ以上の検出エレメント2を備えた、側壁106内の開口部を備え得る(例えば、閉塞性バリアとして機能する検出エレメント2の基材210)。ポート107は、検出エレメント2に光(例えば、周囲光)が当たるのを可能にし、そこから反射した光がカートリッジ103から出るのを可能にする。望ましい場合は、取り外し可能又は交換可能なシールド又はその他のカバー(図7には示されていない)を所望により使用し、ポート107を、塗料又はフォームのスプレーしぶき、ダスト、又はその他の汚れから保護することができる。幾つかの用途において、少なくとも1つの検出エレメント2の外観における視認可能な変化(例えば、外観の変化)により、被検物質のある濃度が空気流(収着材料121の下流)中に存在することが示され、カートリッジ103の交換の必要が示された場合(例えば、収着材料121が曝露条件での被検物質と平衡に達したとき)には、カートリッジ103を取り外し、新しいカートリッジ103に交換することができる。検出エレメントが、収着材料121を通過している空気流、又は通過した空気流中の被検物質の濃度を適切に報告できるように検出エレメントが配置されている限りにおいて、検出エレメント2は、カートリッジ103内において、かつ収着材料121に対し、任意の好適な配置にすることができる。幾つかの実施形態において、図1に示される一般的なタイプの検出エレメント2が好ましい可能性がある(例えば、被検物質浸透性反射層240を使用する)。そのような場合、検出エレメント2は、被検物質透過性反射層240をカートリッジ103の内側に向かって面し(これによりカートリッジ103内の空気流中の被検物質が容易に検出エレメント2に浸透できる)、(所望により透明な)基材210が外側に向かって面し(例えば、透明な観測ポート107を構成する光学的に透明な材料に隣接するか又は接触して配置され)、これにより検出エレメント2が光学的に応答できるよう配置することができる。幾つかの実施形態において、検出エレメント2は、カートリッジ103を通過する空気流に対して全体的に平行な面に沿って、所望によりその長さ方向が空気流の全長に延在するよう配置することができ、これにより、検出エレメント2で目に見える「最前線」の外観変化(例えば、色の変化)が、収着材料121を通って被検物質の流れとともに進むことができる。他の構成も可能である。例えば、検出エレメント2は、流れ経路の終わり方向(例えば、収着材料121の下流)に向けて配置することができる。
【0076】
アレイ1の検出エレメント2は、任意の好適な方法又は装置によって、カートリッジ103に固定することができる(例えば、カートリッジ103の内側)。例えば、個々の検出エレメント2それぞれを、収着材料121によってかかる圧力によって固定することができる(例えば、側壁106の透明観測ポート107の内側表面に対して)。又は、検出エレメント2は、ねじ、釘、クランプ、クリップ、ブラケット、面ファスナー、及び同様物などの1つ以上の機械的取り付けデバイスを介して、(側壁106に、又はカートリッジ103の他の部分に)取り付けることができる。又は、センサ99を、溶媒溶接、超音波溶接、液状接着剤(例えば、放射線硬化接着剤、シアノアクリレート、エポキシ、及び同様物)によって取り付けることができる。成形スロット、ハウジング、又はその他の支持構造をカートリッジ103内に供給して、検出エレメント2を保持することができる。
【0077】
幾つかの実施形態において、検出エレメント2は、光学的に透明な両面感圧接着剤を介して固定することができる。特定の実施形態において、そのような接着剤は、検出エレメント2の少なくとも一部分(例えば、光学的に透明な基材210に接触して)と、透明な観測ポート107の少なくとも一部分との間の層として提供されることができる。そのような場合、検出エレメント2の光学的応答は、透明な観測ポート107、光学的に透明な接着剤、及び光学的に透明な基材210を透過する光を介して行うことができる。幾つかの実施形態において、1つ以上の検出エレメントが、光学的に透明な担体(例えば、ガラス、透明プラスチックなどの切片)の上に提供(例えば、積層)することができ、この担体は光学的に透明な基材210より明らかに厚くてよく、透明な観測ポート107の一部に隣接して配置、及び/又は取り付けられてもよい。
【0078】
アレイ1の検出エレメント2は、互いに近くに配置されてよく、又は離れていてもよい(例えば、別々の観測ポート107から見える、カートリッジ103の別々の側壁106上)。検出エレメント2は、望むように、直線状、格子状などに配置することができる。望ましい場合は、検出エレメント2は、検出エレメント間の外観の差をユーザが識別しやすくするように配置することができる。(例えば、検出エレメントはごく近接して並置してよく、1つの検出エレメントが別の検出エレメントを取り囲んでもよい、などである)。
【0079】
本明細書で開示される検出エレメント及び/又はアレイを、レスピレータカートリッジに組み込んで使用することができる方法及び装置の更なる詳細は、いずれも本出願と同時に出願される、同時係属の米国特許仮出願第xx/xxxxxx号、整理番号65372US002(題名「FILTER CARTRIDGE HAVING COVER FOR MASKING SERVICE LIFE INDICATOR」)、第xx/xxxxxx号、整理番号65373US002(題名「FILTER CARTRIDGE HAVING LOCATION−REGISTERED VIEW WINDOW FOR END−OF− SERVICE−LIFE INDICATOR」)、及び第xx/xxxxxx号、整理番号65374US002(題名「FILTER CARTRIDGE HAVING CONE OF VISIBILITY FOR END−OF−SERVICE−LIFE−INDICATOR(ESLI)」)に記述されており、これらは全て参照によって本明細書に組み込まれる。
【0080】
他の実施形態において、アレイ1を使用することができる個人用レスピレータ101には、検出エレメント2を備えるアレイ1が含まれるように改変された、使い捨てマスク(例えば米国特許第6,234,171号に示される一般的なタイプのもの)が含まれる。そのような実施形態において、そのマスクは、収着材料の層を含んだ、全体的にカップ形状のシェル又はレスピレータ本体を有する。このマスクには、検出エレメント2(収着材料の下流にある)を観察できるよう、透明な観測ポートが含まれることができる。このようなレスピレータの構成に関する更なる詳細は、当業者に周知である。
【0081】
検出エレメント2を備えるアレイ1は、例えば米国特許仮出願第61/148228号において議論されているもののような個人用モニタ及び/又はエリアモニタにおいても使用することができ、これは、この目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0082】
これらの実施例に使用された試薬及び材料は全て、他に記載のない限り、Sigma−Aldrich、St.Louis,MO)から入手した。
【0083】
TFTN−PIM 1の調製:
2.0Lの三口丸底フラスコで、33.4357gの3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビスインダン−5,5’,6,6’−テトロール(テトロール)及び19.8016gのテトラフルオロテレフタロニトリル(TFTN)を、900mLの無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶かした。この溶液を機械的攪拌器で攪拌し、この溶液中に窒素の泡を1時間通気した。この溶液に、81.4491gの炭酸カリウム(EMD Chemicals、Gibbstown,NJ)を加えた。フラスコを68℃の油浴に入れた。混合物をこの高温で、窒素環境中、65時間攪拌した。この重合混合物を9.0Lの水中に注いだ。形成された沈殿を減圧濾過で分離し、600mLのMeOH(VWR、West Chester,PA)で洗った。分離した物質をバットに広げ、一晩空気乾燥した。この固形物をジャーに入れ、68℃で4時間、減圧下で乾燥した。結果として得られた黄色い粉末を、450mLのTHF(EMD)に溶かした。この溶液をゆっくりと、9.0Lのメタノールに注いだ。形成された沈殿を減圧濾過により分離した。分離した物質をバットに広げ、一晩空気乾燥した。この固形物をジャーに入れ、68℃で4時間、減圧下で乾燥した。メタノール中での沈殿をもう1回実施した。結果として得られた乾燥した明るい黄色のポリマーの重量は42.80gであった。光散乱検出を用いたGPCによるポリマー分析では、この物質のMが約30,900であることが示された。
【0084】
TFTN−PIM 2の調製:
2.0Lの三口丸底フラスコで、33.4365gのテトロール及び19.8011gのTFTNを、900mLの無水DMFに溶かした。この溶液を機械的攪拌器で攪拌し、この溶液中に窒素の泡を1時間通気した。この溶液に、81.4480gの炭酸カリウムを加えた。フラスコを68℃の油浴に入れた。混合物をこの高温で、窒素環境中、67.5時間攪拌した。この重合混合物を9.0Lの水中に注いだ。形成された沈殿を減圧濾過で分離し、600mLのMeOHで洗った。分離した物質をバットに広げ、一晩空気乾燥した。この固形物をジャーに入れ、68℃で4時間、減圧下で乾燥した。結果として得られた黄色い粉末を、450mLのTHFに溶かした。この溶液をゆっくりと、9.0Lのメタノールに注いだ。形成された沈殿を減圧濾過により分離した。分離した物質をバットに広げ、一晩空気乾燥した。この固形物をジャーに入れ、68℃で4時間、減圧下で乾燥した。メタノール中での沈殿をもう1回実施した。結果として得られた乾燥した明るい黄色のポリマーの重量は43.22gであった。光散乱検出を用いたGPCによるポリマー分析では、この物質のMが約35,800であることが示された。
【0085】
TFTN−PIM 3の調製:
2.0Lの三口丸底フラスコで、33.4366gの3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビスインダン−5,5’,6,6’−テトロール(テトロール)及び19.8008gのテトラフルオロテレフタロニトリル(TFTN)を、900mLの無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶かした。この溶液を機械的攪拌器で攪拌し、この溶液中に窒素の泡を1時間通気した。この溶液に、81.4480gの炭酸カリウム(EMD Chemicals、Gibbstown,NJ)を加えた。フラスコを68℃の油浴に入れた。混合物をこの高温で、窒素環境中、67.5時間攪拌した。この重合混合物を9.0Lの水中に注いだ。形成された沈殿を減圧濾過で分離し、600mLのMeOH(VWR、West Chester,PA)で洗った。分離した物質をバットに広げ、一晩空気乾燥した。この固形物をジャーに入れ、68℃で4時間、減圧下で乾燥した。結果として得られた黄色い粉末を、450mLのTHF(EMD)に溶かした。この溶液をゆっくりと、9.0Lのメタノールに注いだ。形成された沈殿を減圧濾過により分離した。分離した物質をバットに広げ、一晩空気乾燥した。この固形物をジャーに入れ、68℃で4時間、減圧下で乾燥した。メタノール中での沈殿をもう1回実施した。結果として得られた乾燥した明るい黄色のポリマーの重量は42.90gであった。光散乱検出を用いたGPCによるポリマー分析では、この物質のMが約40,000であることが示された。
【0086】
サンプル1の調製:
10nm厚さのNi金属層を、Melinex ST505透明PET(Dupont Teijin)の上に蒸着することにより、金属堆積したポリエチレンテレフタレート(PET)基材を調製した。クロロベンゼン(Alfa Aesar、Ward Hill,MA)中、4重量%のTFTN−PIM 1溶液を調製し、NiコーティングされたPETの上に、スロットダイコーティングによって堆積し、厚さ約600nmとした。スロットダイコーティングにより、100gのナノ銀ストック懸濁液(DGP−40LT−15C、Advanced Nanoproducts(Korea)、銀40重量%)を150gの1−メトキシ−2−プロパノール(Dow Chemical、Midland,MI)で希釈したものを用いて、銀ナノ粒子層を、TFTN−PIM層の上にコーティングした。堆積後、全体のセンサ構成体を150℃で1時間加熱し、銀ナノ粒子を焼結させた。
【0087】
サンプル2の調製:
サンプル1の調製に記述されているように、NiコーティングされたPET基材を調製した。ニトロメタン(EMD)中、6重量%のポリ(メタクリロニトリル)(PMAN)(Scientific Polymer Products,Inc.、Ontario,NY、M約20,000)の溶液を調製し、WS−400B−8NPP−Lite Single Waferスピンプロセッサ(Laurell Technologies,Corp.、North Wales,PA製造)を使用して、この溶液を2100rpmで2分間のスピンコーティングにより、Ni−PET基材上にコーティングした。クロロベンゼン中、2重量%のTFTN−PIM 2溶液を調製し、1500rpmのスピンコーティングによって、PMAN層の上にコーティングした。サンプル1の調製で記述した、市販の銀ナノ粒子懸濁液0.5gを、1mLのメタノールで希釈した。この銀ナノ粒子懸濁液を、1000rpmのスピンコーティングによって、TFTN−PIM層の上にコーティングした。堆積後、全体のセンサ構成体を150℃で1時間加熱し、銀ナノ粒子を焼結させた。PMAN/TFTN−PIMの全体の厚さは約600nmであり、TFTN−PIM層の厚さは約100nmであった。
【0088】
サンプル3の調製:
サンプル1の調製に記述されているように、NiコーティングされたPET基材を調製した。シクロヘキサノン(EMD)中、6重量%のPMAN溶液を調製し、この溶液を、1100rpmのスピンコーティングによって、Ni−PET基材の上にコーティングした。クロロベンゼン中、3重量%のTFTN−PIM 2溶液を調製し、1500rpmのスピンコーティングによって、PMAN層の上にコーティングした。サンプル1の調製で記述した、市販の銀ナノ粒子懸濁液0.5gを、1mLのメタノールで希釈した。この銀ナノ粒子懸濁液を、1000rpmのスピンコーティングによって、TFTN−PIM層の上にコーティングした。堆積後、全体のセンサ構成体を150℃で1時間加熱し、銀ナノ粒子を焼結させた。PMAN/TFTN−PIMの全体の厚さは約600nmであり、TFTN−PIM層の厚さは約200nmであった。
【0089】
サンプル4の調製:
サンプル1の調製に記述されているように、NiコーティングされたPET基材を調製した。シクロヘキサノン中、6重量%のPMAN溶液を調製し、この溶液を、1500rpmのスピンコーティングによって、Ni−PET基材の上にコーティングした。クロロベンゼン中、4重量%のTFTN−PIM 2溶液を調製し、3000rpmのスピンコーティングによって、PMAN層の上にコーティングした。サンプル1の調製で記述した、市販の銀ナノ粒子懸濁液0.5gを、1mLのメタノールで希釈した。この銀ナノ粒子懸濁液を、1000rpmのスピンコーティングによって、TFTN−PIM層の上にコーティングした。堆積後、全体のセンサ構成体を150℃で1時間加熱し、銀ナノ粒子を焼結させた。PMAN/TFTN−PIMの全体の厚さは約600nmであり、TFTN−PIM層の厚さは約250nmであった。
【0090】
サンプル5の調製:
サンプル1の調製に記述されているように、NiコーティングされたPET基材を調製した。シクロヘキサノン中、6重量%のPMAN溶液を調製し、この溶液を、1900rpmのコーティングによって、Ni−PET基材の上にコーティングした。クロロベンゼン中、4重量%のTFTN−PIM 2溶液を調製し、2000rpmのスピンコーティングによって、PMAN層の上にスピンコーティングした。サンプル1の調製で記述した、市販の銀ナノ粒子懸濁液0.5gを、1mLのメタノールで希釈した。この銀ナノ粒子懸濁液を、1000rpmのスピンコーティングによって、TFTN−PIM層の上にコーティングした。堆積後、全体のセンサ構成体を150℃で1時間加熱し、銀ナノ粒子を焼結させた。PMAN/TFTN−PIMの全体の厚さは約600nmであり、TFTN−PIM層の厚さは約300nmであった。
【0091】
サンプル6の調製:
サンプル1の調製に記述されているように、NiコーティングされたPET基材を調製した。シクロヘキサノン中、10重量%のポリ(ビニリデンクロリド−co−アクリロニトリル−co−メチルメタクリレート)(Sigma−Aldrich、M約13,000、M約84,000)(PVnCl)の溶液を調製し、この溶液を1500rpmのスピンコーティングによって、Ni−PET基材の上にコーティングした。500オングストロームのSiO層をPVnCl層の上に蒸着した。クロロベンゼン中、4重量%のTFTN−PIM 2溶液を調製し、3000rpmのスピンコーティングによって、SiO層の上にコーティングした。サンプル1の調製で記述した、市販の銀ナノ粒子懸濁液0.5gを、1mLのメタノールで希釈した。この銀ナノ粒子懸濁液を、1000rpmのスピンコーティングによって、TFTN−PIM層の上にコーティングした。堆積後、全体のセンサ構成体を150℃で1時間加熱し、銀ナノ粒子を焼結させた。PVnCl/SiO/TFTN−PIMの全体の厚さは約600nmであり、TFTN−PIM層の厚さは約250nmであった。
【0092】
サンプル7の調製:
サンプル1の調製に記述されているように、NiコーティングされたPET基材を調製した。トルエン中、7重量%のポリスチレン(Sigma−Aldrich、分子量約280,000)(PSt)を調製し、この溶液を、この溶液を2500rpmのスピンコーティングによって、Ni−PET基材の上にコーティングした。サンプルを殺菌灯の下に置き、18時間照射した。クロロベンゼン中、4重量%のTFTN−PIM 2溶液を調製し、3000rpmのスピンコーティングによって、架橋したPSt層の上にコーティングした。サンプル1の調製で記述した、市販の銀ナノ粒子懸濁液0.5gを、1mLのメタノールで希釈した。この銀ナノ粒子懸濁液を、1000rpmのスピンコーティングによって、TFTN−PIM層の上にコーティングした。堆積後、全体のセンサ構成体を150℃で1時間加熱し、銀ナノ粒子を焼結させた。PSt/TFTN−PIMの全体の厚さは約600nmであり、TFTN−PIM層の厚さは約250nmであった。
【0093】
サンプル8の調製:
サンプル1の調製に記述されているように、NiコーティングされたPET基材を調製した。TFTN−PIM−3ポリマーを、クロロベンゼン中に4%の濃度で溶かし、次にサンプル1に記述されているように金属堆積したPETの上に堆積した。次に、サンプル1に記述されているように、銀ナノ粒子層をTFTN−PIM−3層の上に堆積した。
【0094】
サンプル9の調製:
上記のサンプル4の調製の記述に従ってサンプルを調製した。
【0095】
試験被検物質に対するサンプル1〜7の反応
単純な貫流のカスタム構築デリバリーシステムを使用して、検出エレメントに既知の濃度の試験被検物質(スチレン)を送達し、測定した。デリバリーシステム全体にわたって、テフロンチューブを使用した。液体スチレン(Alfa Aesar、99%、製品番号A18481)を、特定の流量で、Harvard Apparatusシリンジポンプによって、加熱した圧盤上に供給した。この圧盤は、500mL丸底フラスコ内に配置され、これを通る乾燥空気(相対湿度約5%未満)の流量20L/分が維持された。気流中のスチレンの濃度は、赤外線分光計(商標名Miran Sapphire、ThermoElectron、(Waltham,MA)から入手可能)の使用によって検量された。ガス状スチレンの流れを、検出エレメントサンプルの入ったサンプルチャンバ(室温に維持された)内に導入した。
【0096】
このようにして様々な個々の検出エレメントサンプルを順に、50〜1300ppmの濃度範囲のスチレンを含むガスの流れに曝露させた。個々の濃度のスチレンに対するそれぞれのサンプルの曝露時間の長さは典型的に約50〜60分間であった。曝露中、サンプルは、スペクトロメータ(Ocean Opticsから商標名USB 2000として入手可能)を介して光学的応答させ、LS−1タングステン−ハロゲンランプを光源として使用し、光ファイバー反射プローブを用い、波長スペクトル(例えば、図3に一般的に示されているものに類似)が記録された。それぞれの曝露レベルについて、波長シフト(ピーク(典型的には、波長約570nmでの極大点のピーク)のシフトとしてナノメートル単位で測定)が記録された(被検物質の非存在下での初期ピーク位置に対する比較)。本試験のサンプル1〜7の結果が図5にプロットされている。
【0097】
個々のサンプル1〜7は全て、試験被検物質に対する曝露の前は、同様の視角から観察したときに、同様の初期外観(緑色)を呈していた。これらサンプル全体に、約25nmの波長シフト(上述のように測定)があり、検出エレメントの外観が緑から赤へと目視観測可能な変化をともなっていた。このように、サンプル1は、約20ppmのスチレンを含む環境に曝露されたときに、サンプル5は約50ppmで、サンプル4は約80ppmで、サンプル3は約300ppmで、及びサンプル2は約800ppmで、緑から赤に変化することが予測された。
【0098】
約400nm〜約800nmの合計厚さ(光学的反応性層230の厚さ)を含むこのタイプの代表的な検出エレメントでは一般に、約80nmの波長シフトで、ラップアラウンドをともなうことを発明者らは見出した(例えば、検出エレメントが赤色から緑色に戻り、これは被検物質非存在下で最初に呈していた色に類似していた)。したがって、サンプル1(光学的反応性層が厚さ約600nmの高被検物質反応性(PIM)層のみからなっており、低被検物質反応性層が存在しない)は、約100ppmのスチレンを含む環境に曝露されるとラップアラウンドを呈すると予測された。注目に値することに、サンプル2〜7(これらは全て厚さ約300nm以下のPIMS層を備え、このそれぞれが、光学的反応性層の合計厚さ約600nmとするための厚さの低被検物質反応性層を含んでいた)のいずれも、比較的高濃度のスチレンに曝露されても、80nmの波長シフト(これはラップアラウンドをもたらすと見込まれる)を呈さなかった。例えば、1300ppmのスチレンに曝露されたサンプル4でも、80nmの閾値に達しなかった。
【0099】
試験被検物質に対するサンプル8〜9の反応
サンプル8及び9は、図6に示す一般的なタイプのフィルタカートリッジの内側側壁(透明なプラスチック製)に、3M 8172(透明)光学接着剤を用いて接着された。銀ナノ粒子層(被検物質浸透性)は、カートリッジの内側方向に面していた。カートリッジに45.8gの活性炭(Kurarayから商標名GG 12X20として入手可能)収着材を充填した。このサンプルは、収着材を通過する空気流の方向に対して長さ方向が平行になるような向きで、収着材の床の縁に配置された。カートリッジを次に密封し、乾燥室内空気(相対湿度約5%未満)中の1000ppmのスチレン(American Conference of Governmental Industrial Hygienistsが定めるスチレンの限界閾値(TLV)(20ppm)の5倍)を、毎分32リットルの流量で課した。周囲光の下で、Zarbecoカメラ(MiScope−MP)を使用し、カートリッジの透明プラスチック側壁及び透明接着剤を通して、検出エレメントを監視した。蒸気を含んだ空気を流す前は、両方の検出エレメントとも緑色の外観を有していた。153分間の曝露後、サンプル8は、赤と緑の混合を呈し(サンプルの上流側(空気流に関して)は主に緑)、一方サンプル9の上流部分は主に赤、サンプル9の下流部分は主に緑であった。よってサンプル9は、カートリッジを通過する経路で(被検物質によって収着材の飽和進行にともなって)被検物質の「最前線」に対する反応を呈していると見られ、一方サンプル8は、少なくともある程度の(すなわち、局所的な)ラップアラウンドを起こした可能性がある。228分間の曝露後、サンプル8は、均一に緑色の外観に戻り(すなわち、完全なラップアラウンドを起こしている)、一方サンプル9はこの時点で、均一に赤い外観を呈していた(すなわち、ラップアラウンドを起こさなかった)。
【0100】
上記の試験及び試験結果は予測ではなく例示のみを意図したものであり、試験方法が変われば異なる結果が生じ得ると考えられる。実施例の項における定量的な値は全て、用いられる方法にともなう一般的に知られた許容誤差を考慮した近似的な値であるものと理解される。上記の詳細な説明及び実施例はあくまで理解を助けるために示したものである。これらによって不要な限定をするものと理解されるべきではない。
【0101】
本明細書で開示された具体的な代表的構造、機能、詳細、構成などは、改変することができ、及び/又は数多くの実施形態で組み合わせることができることが、当業者には明らかであろう。そのような改変及び組み合わせは全て、本発明の範囲内にあるものとして発明者らによって想到される。よって、本発明の範囲は、本明細書に記述されている具体的な説明のための構造に限定されるべきではなく、むしろ、請求項の文によって記述される構造、並びにこれらの構造の同等物によって限定されるべきものである。本発明明細書と、本明細書において参照により組み込まれたあらゆる文書における開示との間に、衝突又は矛盾がある場合は、その範囲において、本発明明細書が優先される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検物質を光学的に検出するためのアレイであって、該アレイは、少なくとも2つの個別の光学的に応答可能な検出エレメントを備え、
それぞれの検出エレメントは、2つの反射層の間にある光学的反応性層を備え、
それぞれの検出エレメントの前記光学的反応性層は、高被検物質反応性第1サブ層を少なくとも備え、該検出エレメントの少なくとも一方の前記光学的反応性層は、低被検物質反応性第2サブ層を更に備え、
それぞれの検出エレメントの前記第1サブ層及び前記第2サブ層は厚さを備え、一方の検出エレメントの前記第1サブ層及び前記第2サブ層の厚さは、もう一方の検出エレメントの前記第1サブ層及び前記第2サブ層の厚さとはそれぞれ著しく異なる、アレイ。
【請求項2】
少なくとも1つの検出エレメントの前記光学的反応性層の前記厚さが、少なくとも1つの別の検出エレメントの前記光学的反応性層の前記厚さに類似している、請求項1に記載のアレイ。
【請求項3】
前記検出エレメントのうちの少なくとも1つが、低被検物質反応性サブ層を含まない、請求項1に記載のアレイ。
【請求項4】
前記検出エレメントのうちの少なくとも1つが、光学的反応性層を備え、前記高被検物質反応性第1サブ層の厚さと、前記低被検物質反応性第2サブ層の厚さとの比が、約1:8〜約8:1である、請求項1に記載のアレイ。
【請求項5】
前記検出エレメントのうちの少なくとも1つが、光学的反応性層を備え、前記高被検物質反応性第1サブ層の厚さと、前記低被検物質反応性第2サブ層の厚さとの比が、約1:4〜約4:1である、請求項1に記載のアレイ。
【請求項6】
前記アレイが、少なくとも3つの個別の光学的応答可能な検出エレメントを備え、検出エレメントの前記第1サブ層と前記第2サブ層の厚さが、他の検出エレメントのそれぞれの前記第1サブ層と前記第2サブ層の厚さとはそれぞれ著しく異なる、請求項1に記載のアレイ。
【請求項7】
前記検出エレメントのそれぞれの前記光学的反応が、前記光学的反応を起こすのに十分な被検物質が存在しない状態における第1の外観から、前記光学的反応を起こすのに十分に観察できる環境で被検物質濃度が存在する状態における第2の外観への変化である、請求項1に記載のアレイ。
【請求項8】
前記アレイの少なくとも1つの検出エレメントの光学的反応を起こすのに十分な前記被検物質濃度が、前記アレイの別の少なくとも1つの検出エレメントの光学的反応を起こすのに十分な被検物質濃度の少なくとも2倍である、請求項7に記載のアレイ。
【請求項9】
前記アレイの少なくとも1つの検出エレメントが、前記アレイの少なくとも1つの別の検出エレメントの光学的反応を起こすのに十分な被検物質濃度の少なくとも5倍の被検物質濃度存在下で、光学的反応を呈さない、請求項7に記載のアレイ。
【請求項10】
前記アレイの少なくとも1つの検出エレメントを、第2の外観から第1の外観へと戻って変化させるのに十分な被検物質の濃度が、前記アレイの少なくとも1つの別の検出エレメントが第1の外観から第2の外観へと変化するのに十分な被検物質濃度よりも高い、請求項7に記載のアレイ。
【請求項11】
前記アレイのそれぞれの検出エレメントの第1の外観及び第2の外観が、前記アレイの別のそれぞれの検出エレメントの、それぞれ第1の外観及び第2の外観と類似である、請求項7に記載のアレイ。
【請求項12】
前記被検物質が、有機被検物質を含む、請求項1に記載のアレイ。
【請求項13】
少なくとも1つの前記検出エレメントの前記高被検物質反応性サブ層が、固有のミクロ孔質ポリマーを含む材料を含む、請求項1に記載のアレイ。
【請求項14】
前記アレイが、個人用呼吸保護装置と組み合わせて使用される、請求項1に記載のアレイ。
【請求項15】
前記アレイの前記検出エレメントが、前記被検物質を吸収できる収着材を含むエンクロージャ内に配置される、請求項14に記載のアレイ。
【請求項16】
前記アレイの前記検出エレメントが、個人用呼吸保護装置の空気浄化カートリッジ内に配置される、請求項15に記載のアレイ。
【請求項17】
前記アレイの前記検出エレメントが、前記空気浄化カートリッジの透明観測ポートに隣接して配置され、これにより前記カートリッジの外側から光学的応答可能である、請求項16に記載のアレイ。
【請求項18】
観察できる環境で被検物質を検出する光学的方法であって、
観察できる環境で、被検物質の第1のより低い濃度の存在下で、第1の外観から第2の外観へと変化し、かつ、被検物質の第2のより高い濃度の存在下で、前記第2の外観から前記第1の外観へと戻って変化する、少なくとも1つの第1の検出エレメントと、
被検物質の前記第1のより低い濃度の存在下で、前記第1の外観から前記第2の外観へと変化せず、より低い濃度とより高い濃度との間である被検物質の第3の中間の濃度の存在下で、前記第1の外観から前記第2の外観へと変化し、被検物質の第2のより高い濃度の存在下で、前記第2の外観から前記第1の外観へと戻って変化しない、少なくとも1つの第2の検出エレメントと、を含むアレイを提供する工程と、
前記検出エレメントのアレイを、被検物質を含む可能性がある環境に曝露させる工程と、を含む方法。
【請求項19】
前記アレイが、ある濃度の被検物質の存在下で第1の外観から第2の外観へと変化するが、いかなる濃度の被検物質の存在下でも前記第2の外観から前記第1の外観へと戻って変化しない、少なくとも1つの検出エレメントを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
全ての前記検出エレメントの前記第1の外観が互いに類似しており、かつ全ての前記検出エレメントの前記第2の外観が互いに類似している、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
検出エレメントの前記アレイが、被検物質の連続的濃度範囲を隙間なしにカバーするよう構成され、これにより、監視される前記環境中の被検物質のいかなる検出可能な濃度においても、前記アレイの少なくとも1つの検出エレメントが前記第2の外観を呈する、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
それぞれの検出エレメントが、2つの反射層の間に光学的反応層を備え、
それぞれの検出エレメントの前記光学的反応性層は、高被検物質反応性第1サブ層を少なくとも備え、少なくとも前記第2の検出エレメントの前記光学的反応性層は、低被検物質反応性第2サブ層を更に備え、
それぞれの検出エレメントの前記第1サブ層及び前記第2サブ層は厚さを備え、一方の検出エレメントの前記第1サブ層及び前記第2サブ層の厚さは、もう一方の検出エレメントの前記第1サブ層及び前記第2サブ層の厚さとはそれぞれ著しく異なる、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つの前記検出エレメントの前記高被検物質反応性サブ層が、固有のミクロ孔質ポリマーを含む材料を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記アレイが、個人用呼吸保護装置と組み合わせて使用される、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記アレイの前記検出エレメントが、前記被検物質を吸収できる収着材を含むエンクロージャ内に配置される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記アレイの前記検出エレメントが、個人用呼吸保護装置の空気浄化カートリッジ内に配置される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記アレイの前記検出エレメントが、前記空気浄化カートリッジの透明観測ポートに隣接して配置され、これにより前記カートリッジの外側から光学的応答可能である、請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−527625(P2012−527625A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511988(P2012−511988)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/035387
【国際公開番号】WO2010/135417
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】