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多層精密ろ過膜
説明

多層精密ろ過膜

【課題】等方性(対称)構造と異方性(非対称)構造とを有する膜、例えば、多層膜および複合膜において、所望のスループット、無菌グレードろ過、および、耐久性(robustness)のうちの1つまたは複数を確実に提供する。
【解決手段】(a)非対称層と、(b)等方性層と、(c)非対称層と等方性層との間の界面層であって、非対称層に接触する第1の部分および等方性層に接触する第2の部分を有する界面層とを備え、(i)非対称層が界面層の第1の部分と接触する領域を有し、該領域が第1の細孔構造を有するセルを含み、(ii)等方性層が界面層の第2の部分と接触する領域を有し、該領域が第2の細孔構造を有するセルを含み、第1の細孔構造が第2の細孔構造よりも大きく、界面層の第1の部分が第1の細孔構造を有するセルを備え、界面層の第2の部分が第2の細孔構造を有するセルを備える精密ろ過膜、ならびに該膜を形成して使用する方法。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]等方性(対称)構造と異方性(非対称)構造とを有する膜、例えば、多層膜および複合膜は、当該技術分野において知られている。しかしながら、従来の膜は幾つかの用途において適していなかった。例えば、それらの膜は、以下のもののうちの1つまたは複数、すなわち、所望のスループット、無菌グレードろ過、および、耐久性(robustness)のうちの1つまたは複数を確実にもたらすということはなかった。
【0002】
[0002]本発明は、従来技術の欠点の少なくとも一部の改善をもたらすものである。本発明のこれらの利点および他の利点は、以下に記載される説明から明らかとなろう。
【発明の概要】
【0003】
[0003]本発明の一実施形態は、(a)非対称高分子層と、(b)等方性高分子層と、(c)非対称層と等方性層との間の界面高分子層であって、非対称層に接触する第1の部分および等方性層に接触する第2の部分を有する、界面高分子層とを備え、(i)非対称層が界面層の第1の部分と接触する領域を有し、該領域が第1の細孔構造を有するセルを含み、(ii)等方性層が界面層の第2の部分と接触する領域を有し、該領域が第2の細孔構造を有するセルを含み、第1の細孔構造が第2の細孔構造よりも大きく、界面層の第1の部分が第1の細孔構造を有するセルを備え、界面層の第2の部分が第2の細孔構造を有するセルを備える、精密ろ過膜を提供する。
【0004】
[0004]幾つかの実施形態では、非対称高分子層および等方性高分子層が異なる高分子を備え、また、界面層は、非対称層からの第1の高分子と、等方性層からの第2の異なる高分子とを含む。
【0005】
[0005]幾つかの実施形態では、等方性層が少なくとも約50ミクロンの厚さを有し、および/または、非対称層が約10〜約15ミクロンの範囲の厚さを有する。
【0006】
[0006]幾つかの実施形態では、等方性層および界面高分子層がそれぞれ全膜厚の約15%〜約33%の範囲内であり、また、非対称層が全膜厚の約60%〜約70%の範囲内である。
【0007】
[0007]本発明の別の実施形態は、(a)第1の非対称率を有する第1の非対称高分子層と、(b)第1の非対称率よりも大きい第2の非対称率を有する第2の非対称高分子層と、(c)第1の非対称層と第2の非対称層との間の界面高分子層であって、第1の非対称層に接触する第1の部分、および第2の非対称層に接触する第2の部分を有する界面高分子層とを備え、(i)第1の非対称層が界面層の第1の部分と接触する領域を有し、該領域が第1の孔径を有するセルを含み、(ii)第2の非対称層が界面層の第2の部分と接触する領域を有し、該領域が第2の孔径を有するセルを含み、第1の孔径が第2の孔径よりも大きく、界面層の第1の部分が第1の孔径を有するセルを備え、界面層の第2の部分が第2の孔径を有するセルを備える、精密ろ過膜を提供する。
【0008】
[0008]幾つかの実施形態では、第1の非対称高分子層および第2の非対称高分子層が異なる高分子を備え、界面層は、第1の非対称層からの第1の高分子と、第2の非対称層からの第2の異なる高分子とを含む。
【0009】
[0009]幾つかの実施形態では、第1の非対称高分子層が約0.5〜約1.5の範囲の非対称率を有し、および/または、第2の非対称高分子層が約2以上の非対称率を有する。
【0010】
[0010]第1および第2の非対称層を含む幾つかの実施形態では、第1の非対称層および界面高分子層が一緒になって全膜厚の約8%〜約15%であり、第2の非対称層が全膜厚の約75%〜約90%である。
【0011】
[0011]幾つかの実施形態では、膜が襞付きの膜である。
【0012】
[0012]非対称層と、等方性層と、非対称層に接触する第1の部分および等方性層に接触する第2の部分を有する界面層とを有する、本発明の実施形態に係る精密ろ過膜を形成する方法は、(a)第1の高分子とこの第1の高分子のための溶媒とを備える第1の溶液を調製するステップと、(b)第2の高分子とこの第2の高分子のための溶媒とを備える第2の溶液を調製するステップと、(c)第1の溶液を第1の支持体の表面上へキャスティングするステップと、(d)短い時間間隔後に、第2の溶液を第1の溶液上にキャスティングして、プレ膜を形成するステップと、(e)プレ膜を循環空気にさらすステップと、(f)非溶媒液中で第1の溶液および第2の溶液の相分離を行なうステップとを備える。第1および第2の高分子は、同じであってもよく、あるいは、異なっていてもよい。
【0013】
[0013]別の実施形態において、第1の非対称率を有する第1の非対称層と、第1の非対称率よりも大きい第2の非対称率を有する第2の非対称層と、第1の非対称層に接触する第1の部分および第2の非対称層に接触する第2の部分を有する界面層とを有する本発明の実施形態に係る精密ろ過膜を形成する方法は、(a)第1の高分子とこの第1の高分子のための溶媒とを備える第1の溶液を調製するステップと、(b)第2の高分子とこの第2の高分子のための溶媒とを備える第2の溶液を調製するステップと、(c)第1の溶液を第1の支持体の表面上へキャスティングするステップと、(d)短い時間間隔後に、第2の溶液を第1の溶液上にキャスティングして、プレ膜を形成するステップと、(e)非溶媒液中で第1の溶液および第2の溶液の相分離を行なうステップとを備える。第1および第2の高分子は、同じであってもよく、あるいは、異なっていてもよい。
【0014】
[0014]別の実施形態では、例えば流体を処理するための膜を使用する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ベッド、第1および第2のスロットダイ、ファン、および、急冷浴を示す、本発明の一実施形態に係る膜を生成するための例示的な汎用システムを示している。
【図2】膜が等方性層、非対称層、および、界面層を有する、本発明に係る膜の一実施形態の走査型電子顕微鏡(SEM)断面図を示している。
【図3】膜が等方性層、非対称層、および、界面層を有する、本発明に係る膜の別の実施形態の走査型電子顕微鏡(SEM)断面図を示している。
【図4】膜が等方性層、非対称層、および、界面層を有する、本発明の別の実施形態に係る膜の一実施形態の別のSEM断面図を示している。
【図5】膜が等方性層、非対称層、および、界面層を有する、本発明に係る膜の別の実施形態の走査型電子顕微鏡(SEM)断面図を示している。
【図6】膜が等方性層、非対称層、および、界面層を有する、本発明に係る膜の別の実施形態の別のSEM断面図を示している。
【図7】膜が第1および第2の非対称層と界面層とを有する、本発明に係る膜の別の実施形態の別のSEM断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0022]本発明に係る膜が、(a)非対称層であって、非対称性の漸進的な変化を伴う狭い非対称性範囲と、非対称層の細孔構造と等方性層の細孔構造との間の急激な境界画定と、層間の良好な接着とを含む非対称層を有し、あるいは、(b)非対称性の漸進的な変化を伴う狭い非対称性範囲を含む第1の非対称層と、第2の非対称層であって、更に幅広い非対称性範囲と、第1の非対称層の細孔構造と第2の非対称層の細孔構造との間の急激な境界画定と、層間の良好な接着とを含む第2の非対称層とを有すると、有利である。結果として、高いスループットを示し、必要に応じて無菌グレードのろ過を行なう耐久性が高い膜を得ることができる。
【0017】
[0023]本発明の実施形態によれば、(a)非対称高分子層と、(b)等方性高分子層と、(c)非対称層と等方性層との間の界面高分子層であって、非対称層に接触する第1の部分と等方性層に接触する第2の部分とを有する界面高分子層とを備え、(i)非対称層が界面層の第1の部分と接触する領域を有し、該領域が第1の孔径を有するセルを含み、(ii)等方性層が界面層の第2の部分と接触する領域を有し、該領域が第2の孔径を有するセルを含み、第1の孔径が第2の孔径よりも大きく、界面層の第1の部分が第1の孔径を有するセルを備え、界面層の第2の部分が第2の孔径を有するセルを備える、精密ろ過膜が提供される。
【0018】
[0024]幾つかの実施形態では、非対称高分子層が第1の濃度および/または第1の粘度の高分子を有し、等方性高分子層が第2の濃度および/または第2の粘度の高分子を有し、また、界面層が、第1の濃度と第2の濃度とが混じり合ったおよび/または第1の粘度と第2の粘度とが混じり合った高分子を備える。
【0019】
[0025]これに代えて、あるいは、これに加えて、幾つかの実施形態では、界面膜が、非対称層からの第1の高分子と、等方性層からの第2の異なる高分子とを含む。
【0020】
[0026]膜の幾つかの実施形態では、等方性層が少なくとも約50ミクロンの厚さを有し、および/または、非対称層が約10〜約15ミクロンの範囲の厚さを有する。
【0021】
[0027]一実施形態では、非対称層が膜厚の少なくとも約70%であり、および/または、等方性層が膜厚の少なくとも約30%である。
【0022】
[0028]膜の非対称層は約2以上、または、約3以上の非対称性を有することができる。幾つかの実施形態では、非対称性が約10〜約20の範囲内である。
【0023】
[0029]本発明の別の実施形態は、(a)第1の非対称率を有する第1の非対称高分子層と、(b)第1の非対称率よりも大きい第2の非対称率を有する第2の非対称高分子層と、(c)第1の非対称層と第2の非対称層との間の界面高分子層であって、第1の非対称層に接触する第1の部分および第2の非対称層に接触する第2の部分を有する界面高分子層とを備え、(i)第1の非対称層が界面層の第1の部分と接触する領域を有し、該領域が第1の孔径を有するセル含み、(ii)第2の非対称層が界面層の第2の部分と接触する領域を有し、該領域が第2の孔径を有するセルを含み、第1の孔径が第2の孔径よりも大きく、界面層の第1の部分が第1の孔径を有するセルを備え、界面層の第2の部分が第2の孔径を有するセルを備える、精密ろ過膜を提供する。
【0024】
[0030]幾つかの実施形態では、第1の非対称高分子層および第2の非対称高分子層が異なる高分子を備え、界面層は、第1の非対称層からの第1の高分子と、第2の非対称層からの第2の異なる高分子とを含む。
【0025】
[0031]幾つかの実施形態では、第1の非対称高分子層が約0.5〜約1.5の範囲内の非対称率を有し、および/または、第2の非対称高分子層が約2以上の非対称率を有する。
【0026】
[0032]幾つかの実施形態では、膜が襞付きの膜である。
【0027】
[0033]別の実施形態では、膜を使用する方法が提供される。例えば、本発明の実施形態に係る流体を処理する方法は、非対称層から等方性層に向かう方向であるいは第2の非対称層から第1の非対称層に向かう方向で流体を膜へ通すステップを備え、より好ましい実施形態において、この方法は、流体を膜に通過させるステップを備える。
【0028】
[0034]更なる別の実施形態において、非対称層と、等方性層と、非対称層に接触する第1の部分および等方性層に接触する第2の部分を有する界面層とを有する精密ろ過膜を形成する方法は、(a)第1の高分子とこの第1の高分子のための溶媒とを備える第1の溶液を調製するステップと、(b)第2の高分子とこの第2の高分子のための溶媒とを備える第2の溶液を調製するステップと、(c)第1の溶液を第1の支持体の表面上へキャスティングするステップと、(d)約2秒後に、第2の溶液を第1の溶液上にキャスティングして、プレ膜を形成するステップと、(e)プレ膜を循環空気にさらすステップと、(f)非溶媒液中で第1の溶液および第2の溶液の相分離を行なうステップとを備える。
【0029】
[0035]別の実施形態において、第1の非対称率を有する第1の非対称層と、第1の非対称率よりも大きい第2の非対称率を有する第2の非対称層と、第1の非対称層に接触する第1の部分および第2の非対称層に接触する第2の部分を有する界面高分子層とを有する本発明の実施形態に係る精密ろ過膜を形成する方法は、(a)第1の高分子とこの第1の高分子のための溶媒とを備える第1の溶液を調製するステップと、(b)第2の高分子とこの第2の高分子のための溶媒とを備える第2の溶液を調製するステップと、(c)第1の溶液を第1の支持体の表面上へキャスティングするステップと、(d)短い時間間隔後に、第2の溶液を第1の溶液上にキャスティングして、プレ膜を形成するステップと、(e)非溶媒液中で第1の溶液および第2の溶液の相分離を行なうステップとを備える。第1および第2の高分子は同じであってもよくあるいは異なっていてもよい。
【0030】
[0036]第1および第2の高分子は同じであってもよくあるいは異なっていてもよい。幾つかの方法の実施形態では、第1の溶液が第1の濃度および/または第1の粘度の第1の高分子を有し、第2の溶液が第2の濃度および/または第2の粘度の第2の高分子を有する。
【0031】
[0037]好ましい方法の実施形態において、第1の溶液をキャスティングするステップは、第1のスロットダイまたは第1のキャスティングナイフにより与えられる第1の事前設定ギャップを介して第1の溶液をキャスティングする工程を備え、第2の溶液をキャスティングするステップは、第2のスロットダイまたは第2のキャスティングナイフにより与えられる第2の事前設定ギャップを介して第2の溶液をキャスティングする工程を備える。
【0032】
[0038]より好ましい方法の実施形態では、少なくとも1つの溶液がポリスルホンを備える。
【0033】
[0039]以下、本発明の構成要素のそれぞれについて更に詳しく説明する。この場合、同様の構成要素が同様の参照符号を有する。
【0034】
[0040]高分子を備える溶液は、通常、互いに上下に薄いフィルムにキャスティングされ、所定の期間にわたってガス環境にさらされた後、高分子のための非溶媒中で急冷される。好ましくは、第1の溶液が支持体(無孔支持体など)上に層(下層)を成して拡散されるとともに、第2の溶液が第1の溶液上に層(上層)を成して拡散され、その後、急冷後に膜を支持体から分離できる。しかしながら、所望に応じて、支持体(多孔質または無孔)を最終構造体に組み込むことができる。
【0035】
[0041]膜を手動でキャスティングする(例えば、手作業でキャスティング表面上へ注ぐ、キャスティングする、あるいは、拡散して、この表面上へ急冷液を塗布する)ことができ、あるいは、自動でキャスティングする(例えば、移動ベッド上へ注ぐあるいは他の方法でキャスティングする)ことができる。適切な支持体の一例は、ポリエチレンコーティングされた紙である。
【0036】
[0042]第1の溶液のキャスティングと、第1の溶液上への第2の溶液のキャスティングとの間には、1秒を超える、好ましくは1.5秒を超える時間間隔があるべきである。時間間隔は約2秒以上であることが好ましい。例えば、時間間隔は、約2秒〜約35秒、または、約2秒〜約10秒の範囲内となり得る。
【0037】
[0043]当該技術分野において知られる様々な装置をキャスティングのために使用できる。適した装置としては、例えば、拡散ナイフ、ドクターブレード、または、噴射/加圧システムを備える機械的な拡散器が挙げられる。拡散装置の方法の一例は、キャスティングチャンバを備える押し出しダイまたはスロットコーターであり、キャスティングチャンバ内にキャスティング配合液(高分子を備える溶液)を導入して加圧下で狭いスロットを介して押し出すことができる。例示的に、高分子を備える第1および第2の溶液は、約120ミクロン〜約500ミクロンの範囲、より典型的には約180ミクロン〜約400ミクロンの範囲のナイフギャップを伴ってドクターブレードにより別々にキャスティングすることができる。ナイフギャップは第1および第2の溶液に関して異なり得る。
【0038】
[0044]様々なエアギャップが本発明の使用に適し、また、エアギャップをナイフおよび/またはドクターブレードに関して同じにすることができあるいは異なるものとすることができる。典型的には、エアギャップは、約3インチ〜約12インチの範囲内、より典型的には約3.5インチ〜約6インチの範囲内である。
【0039】
[0045]当該技術分野において知られるように、様々なキャスティング速度が適している。典型的に、キャスティング速度は、例えばナイフ・エア・ギャップが少なくとも約3インチの場合には、少なくとも約2フィート/分(fpm)である。
【0040】
[0046]例示的に、第1の溶液のキャスティングと第2の溶液のキャスティングとの間で約2秒の時間間隔を用いると、約2.5fpm〜約10fpmの範囲のキャスティング速度の場合、エアギャップを約4インチ〜16インチの範囲内にすることができる。他の例示では、第1の溶液のキャスティングと第2の溶液のキャスティングとの間で約10秒の時間間隔を用いると、約10fpm〜約20fpmの範囲のキャスティング速度の場合、エアギャップを約4インチ〜8インチの範囲内にすることができる。無論、時間間隔を約2秒よりも長くすることができ、エアギャップおよび/またはキャスティング速度を先に挙げた例示の値よりも小さくあるいは大きくすることができる。
【0041】
[0047]キャスティング溶液は、キャスティング後であるが急冷前に、空気にさらされるのが好ましい。空気暴露時間は通常約2秒〜約35秒の範囲内である。通常、空気は湿っている(例えば、約60%相対湿度よりも大きい)。膜が非対称層と等方性層とを備える実施形態では、キャスティング溶液との接触を促すために、空気、例えば湿潤空気が(例えば、1つまたは複数のファンを使用して)循環されるのが好ましい。膜が第1の非対称層と第2の非対称層とを備える実施形態では、空気が循環されないのが好ましい。
【0042】
[0048]その上にキャスティング溶液を伴う支持体は、連続的な層状の配列で高分子溶液の相分離を行なうために冷却浴中に浸漬されて、一体の多層(すなわち、通常の使用状態下で剥離または分離しない単一構造として膜が振る舞うように互いに結合された層)の微多孔高分子膜が形成される。形成後、膜は、通常、残留溶媒を除去するために(例えば、脱イオン水中で)洗浄されて、乾燥され、コア上に巻回される。
【0043】
[0049]急冷液は通常水であり、急冷液の温度は、通常キャスティング温度よりも高い。急冷浴中では、沈殿または凝固が、最初に急冷浴と接触する液体フィルム表面から生じ、その後、後続の層を介して生じる。各層は、急冷流体が層を通して拡散するにつれて、急冷流体を希釈して変化させる。
【0044】
[0050]高分子を含む適した溶液としては、例えば多環芳香族などの高分子、スルホン(例えば、ポリエーテルスルホン(PES)、ビスフェノールAポリスルホン、ポリアリールスルホン、および、ポリフェニルスルホンなどの芳香族ポリスルホンを含むポリスルホン)、ポリアミド、ポリイミド、ポリビニリデンハロゲン化物(ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含む)、ポリオレフィン、例えばポリプロピレンおよびポリメチルペンテン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル(ポリアルキルアクリロニトリルを含む)、セルロース高分子(セルロースアセテートおよびセルロースナイトレートなど)、フッ素高分子、および、PEEKを挙げることができる。高分子を備える溶液としては、高分子の混合物、例えば、疎水性高分子(例えば、スルホン高分子)および親水性高分子(例えば、ポリビニルピロリドン)を挙げることができる。
【0045】
[0051]典型的に、高分子を備える溶液は、室温において310nmで約0.05以上の吸光度を有し、例えば、吸光度は310nmで約0.01〜約0.3の範囲となり得る。幾つかの実施形態において、第1のキャスティング溶液(下層を形成する)は、その後のキャスティング溶液(上層を形成する)よりも高い吸光度を有する。
【0046】
[0052]1つまたは複数の高分子に加えて、典型的な溶液は、少なくとも1つの溶媒を備え、少なくとも1つの非溶媒を更に備えてもよい。適した溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF);N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC);N−メチルピロリドン(NMP);テトラメチル尿素;ジオキサン;コハク酸ジエチル;ジメチルスルホキシド;クロロホルム;および、テトラクロロエタン、ならびに、これらの混合物が挙げられる。適した非溶媒としては、例えば、水;様々なポリエチレングリコール(PEG;例えばPEG−400、PEG−1000);様々なアルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、アミルアルコール、ヘキサノール、ヘプタノール、および、オクタノール;アルカン、例えば、ヘキサン、プロパン、ニトロプロパン、ヘプタン、および、オクタン;ケトン、エーテル、および、エステル、例えば、アセトン、ブチルエーテル、エチルアセテート、および、アミルアセテート;および、様々な塩、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、および、これらの混合物が挙げられる。
【0047】
[0053]所望の場合、高分子を備える溶液は、例えば、1つまたは複数の重合開始剤(例えば、過酸化物、過硫酸アンモニウム、脂肪族アゾ化合物(例えば2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(V50))、および、これらの組み合わせのうちの任意の1つまたは複数)、および/または、微量の含有物、例えば界面活性剤および/または剥離剤を更に備えることができる。
【0048】
[0054]適した溶液の成分は当該技術分野において知られている。高分子を備える例示的な溶液、ならびに、例示的な溶媒および非溶媒は、例えば、米国特許第5,846,422号明細書、第5,906,742号明細書、第5,928,774号明細書、第6,045,899号明細書、および第6,146,747号明細書に開示されるものを含む。
【0049】
[0055]本発明によれば、膜の層は、同じ高分子および溶媒、様々な粘度、添加剤、および、処理から形成することができ、あるいは、異なる高分子を異なる層に使用することができる。
【0050】
[0056]等方性層は、層にわたってほぼ同じ平均的な細孔構造により特徴付けられる分布を伴う多孔質構造を有する。例えば、孔径に関して、等方性層は、層にわたってほぼ同じ孔径により特徴付けられる孔径分布を有する。
【0051】
[0057]非対称層は、層の全体にわたって変化する細孔構造(通常は、孔径)を有する。典型的に、孔径は、1つの部分または表面から別の部分または表面へ直径が減少する(例えば、セルの孔径が、上流側の部分または表面から下流側の部分または表面へ減少する)。しかしながら、他のタイプの非対称性が本発明の実施形態により包含される。例えば、孔径は、非対称層の厚さの範囲内の位置で最小孔径をなす。非対称層は、任意の適した孔径勾配または孔径比率、例えば、約0.5以上、約3以上、または、約7以上、または、約0.5〜約1.5の範囲、約2:1〜約20:1、または、約3:1〜約10:1の範囲を有することができる。この非対称性は、1つの層の1つの主面上の孔径とその層の他の主面の孔径とを比較することにより測定することができる。
【0052】
[0058]典型的に、等方性層は、約0.02ミクロン〜約0.3ミクロンの範囲内の細孔構造(通常は、孔径)を有する。
【0053】
[0059]各層の厚さは、自立した一体の多層膜を依然と得つつ幅広い範囲内で変化され得る。典型的に、多層膜は、少なくとも約50ミクロン、より典型的には少なくとも約75ミクロン、好ましくは少なくとも約100ミクロンの厚さを有する。典型的に、等方性層を含む実施形態では、等方性層および界面高分子層がそれぞれ全膜厚の約15%〜約33%の範囲内であり、また、非対称層が全膜厚の約60%〜約70%の範囲内である。典型的に、第1および第2の非対称層を含む実施形態では、第1の非対称層および界面層が一緒になって全膜厚の約8%〜約15%であり、また、第2の非対称層が全膜厚の約75%〜約90%である。
【0054】
[0060]本発明の実施形態によれば、フィルタおよびフィルタエレメントも設けられ、その場合、フィルタおよびフィルタエレメントは少なくとも1つの本発明に係る膜を備える。
【0055】
[0061]本発明に係る膜(および、少なくとも1つの膜を備えるフィルタエレメント)は、任意の適した細孔構造、例えば、孔サイズ(例えば、ポロメトリー(例えば、水銀ポロメトリーまたは毛管凝縮流ポロメトリー)によって、あるいは、泡立ち点によって、あるいは、例えば米国特許第4,340,479号明細書に記載されるようなKによって明らかなように)、孔比率、孔径(例えば、米国特許第4,925,572号明細書に記載されるような改変OSU F2テストを使用してあるいはポロメータを使用して特徴付けられるとき)、または、流体が要素に通されるにつれて1つまたは複数の対象材料の膜の通過を減少させるあるいは許容する除去比率を有することができる。所望の細孔構造は、処理されるべき流体の組成、および、処理された流体の所望の流出レベルに依存する。
【0056】
[0062]膜は、任意の望ましい臨界湿潤表面張力(CWST、例えば米国特許第4,925,572号明細書に規定される)を有することができる。CWSTは、当該技術分野において知られるように選択することができ、例えば米国特許第5,152,905号明細書、第5,443,743号明細書、第5,472,621号明細書、および、第6,074,869号明細書などに更に開示されるように選択することができる。液体が膜を通過する用途の場合、膜は、72ダイン/cm(約72×10−5N/cm)以上のCWSTを有する、より好ましくは約78ダイン/cm(約78×10−5N/cm)以上のCWSTを有する親水性(出来上がった状態のまま、あるいは、事後処理)であることが好ましい。しかしながら、液体が膜を通過しない幾つかの他の用途の場合(例えば、通気用途の場合)、膜は、72ダイン/cm(約72×10−5N/cm)未満のCWSTを有する疎水性となり得る。
【0057】
[0063]膜の表面特性は、湿式酸化または乾式酸化によって、高分子を表面上にコーティングするあるいは堆積させることによって、あるいは、グラフト反応によって(例えば、CWSTに影響を及ぼすように、表面電荷、例えばプラス電荷またはマイナス電荷を含むように、および/または、表面の極性または親水性を変えるように)改質することができる。改質としては、例えば、極性単量体または荷電単量体を照射すること、荷電高分子で表面をコーティングするおよび/または硬化させること、および、表面上に官能基を付着させるために化学的改質を行なうことが挙げられる。グラフト反応は、ガスプラズマ、蒸気プラズマ、コロナ放電、熱、ファン・デル・グラフ発生器、紫外光、電子ビームなどのエネルギー源にさらすことによって、あるいは、様々な他の形態の放射線にさらすことによって、あるいは、プラズマ処理を使用する表面エッチングまたは蒸着によって活性化されてもよい。
【0058】
[0064]本発明の実施形態に係る膜は、例えば、細菌ろ過用途、エレクトロニクス産業における流体ろ過、医薬産業における流体ろ過、食品・飲料産業における流体ろ過、浄化、抗体−および/またはタンパク質含有流体のろ過、細胞培養流体のろ過、および、通気を含む様々な用途で使用され得る。
【0059】
[0065]本発明に係る少なくとも1つの膜を備えるフィルタおよび/またはフィルタエレメントは、異なる構造および/または機能、例えば、プレフィルタ、サポート材、ドレンネージ、スペーサ、および、クッション材のうちの少なくとも1つを有することができる更なる要素、層、または、成分を含むことができる。例示的に、フィルタは、メッシュおよび/またはスクリーンなどの少なくとも1つの更なる要素を含むこともできる。
【0060】
[0066]本発明の実施形態によれば、膜、フィルタ、および/または、フィルタエレメントは、平面、襞付き、および、中空円筒状を含む様々な形態を有することができる。
【0061】
[0067]幾つかの実施形態では複数のフィルタエレメントを備えるフィルタは、通常ハウジング内に配置され、該ハウジングは、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口とを備えるとともに、入口と出口との間に少なくとも1つの流体流路を形成し、フィルタは、フィルタ装置をもたらすために流体流路を横切る。フィルタ装置は殺菌可能であることが好ましい。適した形状を有し且つ少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口とを備える任意のハウジングが使用されてもよい。
【0062】
[0068]以下の実施例は、本発明を更に例示するが、無論、本発明の範囲を多少なりとも限定すると解釈されるべきではない。
【0063】
[0069]以下の実施例において、膜は、一般に図1に示されるように配置されるシステムを使用して製造される。キャスティング溶液がそれぞれの実施例に記載される。膜は、キャスティングナイフを使用して紙上にキャスティングされる。事前設定されたエアギャップで、および、以下に挙げられる条件で、ナイフ1およびナイフ2が使用される。気流速度を与えるために6個のファンが使用される。キャスティング後、膜は、それが凝固されるまで水槽中で6分間にわたって急冷される(水槽の急冷温度は105°F(約41℃))。膜は、脱イオン水を用いて一晩中にわたって更に洗浄された後、オーブン乾燥される。
【0064】
[0070]Quantachrome PoreMaster(登録商標)(シリーズ水銀圧入ポロシメータ(ボイントンビーチ、フロリダ州)およびPorvairポロメータ(Porvair plc, ノーフォーク州、英国)を使用して孔径が解析される。
【0065】
[0071]実施例1〜5のキャスティング条件は以下の通りである。
【表1】

【実施例1】
【0066】
[0072]この実施例は、等方性高分子層と、非対称高分子層と、界面層とを有する膜であって、非対称層が界面層の第1の部分と接触する領域を有し、該領域が第1の孔径を有するセル含み、等方性層が界面層の別の部分と接触する領域を有し、該領域が第2の孔径を有するセル含み、第1の孔径が第2の孔径よりも大きく、界面層の第1の部分が第1の孔径を有するセルを備え、界面層の第2の部分が第2の孔径を有するセルを備える、本発明の実施形態に係る膜を形成することについて説明する。
【0067】
[0073]溶液1(上)は、11.5%PESと、5%水と、0.5%スルホン化PES(SPES)と、3%PVP(ポリビニルピロリドン)(k−90)と、25%PEG200と、55%NMPとから成る。溶液2(下)は、11%PESと、5%水と、5%PVP(k−90)と、25%PEG200と、54%NMPとから成る。
【0068】
[0074]膜のSEM断面図が図2に示されている。
【0069】
[0075]等方性層が19ミクロン(μm)厚であり、また、孔径が0.15μmである。界面層は7μm厚であり、この場合、等方性層と接触する界面層の領域が0.15μm孔径セルを有し、非対称層と接触する界面層の領域が1μm孔径セルを有し、2つの領域間の界面層の領域が0.5μmの孔径を有する。非対称層は111μm厚であり、この場合、界面層と接触する非対称層の領域が1μmの孔径を有し、また、非対称層の他の表面が10μmの孔径を有する(非対称率=10)。
【実施例2】
【0070】
[0076]この実施例は、等方性高分子層と、非対称高分子層と、界面層とを有する膜であって、非対称層が界面層の第1の部分と接触する領域を有し、該領域が第1の孔径を有するセルを含み、等方性層が界面層の別の部分と接触する領域を有し、該領域が第2の孔径を有するセル含み、第1の孔径が第2の孔径よりも大きく、界面層の第1の部分が第1の孔径を有するセルを備え、界面層の第2の部分が第2の孔径を有するセルを備える、本発明の別の実施形態に係る膜を形成することについて説明する。
【0071】
[0077]溶液1(上)は、11.5%PESと、5%水と、0.5%スルホン化PES(SPES)と、3%PVP(k−90)と、25%PEG200と、55%NMPとから成る。溶液2(下)は、11%PESと、5%水と、5%PVP(k−90)と、25%PEG200と、54%NMPとから成る。
【0072】
[0078]膜のSEM断面図が図3に示されている。
【0073】
[0079]等方性層が12μm厚であり、孔径が0.15μmである。界面層は39μm厚であり、この場合、等方性層と接触する界面層の領域が0.15μm孔径セルを有し、非対称層と接触する界面層の領域が0.6μm孔径セルを有し、2つの領域間の界面層の領域が0.5μmの孔径を有する。非対称層は81μm厚であり、この場合、界面層と接触する非対称層の領域が0.6μmの孔径を有し、また、非対称層の他の表面が3μmの孔径を有する(非対称率=5)。
【実施例3】
【0074】
[0080]この実施例は、等方性高分子層と、非対称高分子層と、界面層とを有する本発明の他の実施形態に係る膜であって、非対称層が界面層の第1の部分と接触する領域を有し、該領域が第1の孔径を有するセルを含み、等方性層が界面層の他の部分と接触する領域を有し、該領域が第2の孔径を有するセルを含み、第1の孔径が第2の孔径よりも大きく、界面層の第1の部分が第1の孔径を有するセルを備え、界面層の第2の部分が第2の孔径を有するセルを備える、本発明の別の実施形態に係る膜を形成することについて説明する。
【0075】
[0081]溶液1(上)は、11.5%PESと、5%水と、0.5%スルホン化PES(SPES)と、3%PVP(k−90)と、25%PEG200と、55%NMPとから成る。溶液2(下)は、11%PESと、5%水と、5%PVP(k−90)と、25%PEG200と、54%NMPとから成る。
【0076】
[0082]膜のSEM断面図が図4に示されている。
【0077】
[0083]等方性層が7μm厚であり、孔径が0.5μmである。界面層は12μm厚であり、この場合、等方性層と接触する界面層の領域が0.5μm孔径セルを有し、非対称層と接触する界面層の領域が1μm孔径セルを有し、2つの領域間の界面層の領域が0.15μmの孔径を有する。非対称層は104μm厚であり、この場合、界面層と接触する非対称層の領域が1μmの孔径を有し、非対称層の他の表面が10μmの孔径を有する(非対称率=10)。
【実施例4】
【0078】
[0084]この実施例は、本発明の別の実施形態に係る膜を形成することについて説明する。
【0079】
[0085]溶液1(上)は、10.8%PES、5%水、3%グリセリン、25%PEG200、0.05%V−50(バージニア州のリッチモンドにあるWako Chemicalが提供する2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩アゾ開始剤)、0.1%HEMA(ヒドロキシルエチルメタクリレート)、0.3%PEGDMA(ポリエチレングリコールジメタクリレート)、0.2%PTA(ウィスコンシン州のミルウォーキーにあるAldrich chemical Co.が提供するペンタエリトリトールテトラアクリレート)、100%に合わせるためのNMPのバランスである。溶液2(下)は、11%PESと、5%水と、5%PVP(k−90)と、25%PEG200と、54%NMPとから成る。
【0080】
[0086]膜のSEM断面図が図5に示されている。
【0081】
[0087]等方性層が10μm厚であり、また、孔径が0.3μmである。界面層は43μm厚であり、この場合、第1の等方性層と接触する界面層の領域が0.3μm孔径セルを有し、非対称層と接触する界面層の領域が0.5μm孔径セルを有し、2つの領域間の界面層の領域が0.5μmの孔径を有する。非対称層は65μm厚であり、この場合、界面層と接触する非対称層の領域が0.5μmの孔径を有し、非対称層の他の表面が2μmの孔径を有する(非対称率=4)。
【実施例5】
【0082】
[0088]この実施例は、本発明の別の実施形態に係る膜を形成することについて説明する。
【0083】
[0089]溶液1(上)は、10.8%PES、5%水、3%グリセリン、25%PEG200、0.05%V−50(Wako Chemicalが提供するアゾ開始剤)、0.1%HEMA、0.3%PEGDMA、0.2%PTA(Aldrich chemical Companyが提供するペンタエリトリトールテトラアクリレート)、100%に合わせるためのNMPのバランスである。溶液2(下)は、11%PESと、5%水と、5%PVP(k−90)と、25%PEG200と、54%NMPとから成る。
【0084】
[0090]膜のSEM断面図が図6に示されている。
【0085】
[0091]等方性層が35μm厚であり、また、孔径が0.1μmである。界面層は35μm厚であり、この場合、第1の等方性層と接触する界面層の領域が0.1μm孔径セルを有し、非対称層と接触する界面層の領域が0.5μm孔径セルを有し、2つの領域間の界面層の領域が0.25μmの孔径を有する。非対称層は65μm厚であり、この場合、界面層と接触する非対称層の領域が0.5μmの孔径を有し、非対称層の別の表面が2μmの孔径を有する(非対称率=4)。
【実施例6】
【0086】
[0092]この実施例は、第1および第2の非対称高分子層と、界面層とを有する膜であって、第1の非対称層が界面層の第1の部分と接触する領域を有し、該領域が第1の孔径を有するセルを含み、第2の非対称層が界面層の別の部分と接触する領域を有し、該領域が第2の孔径を有するセルを含み、第1の孔径が第2の孔径よりも大きく、界面層の第1の部分が第1の孔径を有するセルを備え、界面層の第2の部分が第2の孔径を有するセルを備える、本発明の実施形態に係る膜を生成することについて説明する。
【0087】
[0093]この膜を製造するために使用されるシステムは、ファンが使用されない、すなわち、空気が循環されないという点において図1に示されるシステムとは異なる。
【0088】
[0094]以下の溶液が使用される。
【0089】
[0095]溶液1(上)は、10.7%ポリスルホン、16.1%t−アミルアルコール、73.2%DMFである。溶液2(下)は、11%PESと、5%水と、5%PVP(k−90)と、25%PEG200と、54%NMPとから成る。
【0090】
[0096]実施例6に関するキャスティング条件は以下の通りである。
【表2】

【0091】
[0097]膜のSEM断面図が図7に示されている。
【0092】
[0098]第1の非対称層は7μm厚であり、界面層と接触する第1の非対称層の部分は、0.02μmの孔径を伴うセルを有し、他の表面の孔径は0.5μmである(非対称率=25)。
【0093】
[0099]界面層は10μm厚であり、この場合、第1の非対称層と接触する界面層の領域が0.02μm孔径セルを有し、第2の非対称層と接触する界面層の領域が0.05μm孔径セルを有し、2つの領域間の界面層の領域が0.1μmの孔径を有する。第2の非対称層は85μm厚であり、この場合、界面層と接触する非対称層の領域が0.1μmの孔径を有し、非対称層の他の表面が0.5μmの孔径を有する(非対称率=5)。
【実施例7】
【0094】
[00100]この実施例は、本発明の実施形態に係る膜によってもたらされる良好な水流およびスループットを示す。
【0095】
[00101]膜は、実施例3で説明されたように製造される。また、市販の等方性膜および非対称膜が得られる。等方性膜は、0.2μmの孔径を有するSUPOR(登録商標)200ポリエーテルスルホン膜であり、非対称膜は、スキン表面で0.2μmの孔径を有するとともに他の表面で20μmの孔径を有する(非対称率=10)BTS−55ポリスルホン膜であり、いずれの膜もPall Corporation(ニューヨーク州のイーストヒルズ)から入手できる。
【0096】
[00102]1%糖蜜溶液が生成される(5グラム糖蜜(ライルの廃糖蜜、Notts、英国);495グラム脱イオン水(DI)中で溶解される)。膜がテストセル内に配置され、テストシステムがパージされ、3psiで10分間にわたってスループットが決定される。
【0097】
[00103]また、90mmディスクにおいて10psiでDI水流量(ml/分)が決定され、また、同様に、K泡立ち点(psi)およびMFP(平均流量孔)サイズ(μm)も決定される。
【0098】
[00104]結果は以下の通りである。
【0099】
[00105]本発明の膜は、3psiで10分間にわたって220の1%糖蜜スループット、10psiで2800ml/分のDI水流量、50psiのK泡立ち点、および、0.27μmのMFPサイズを有する。
【0100】
[00106]等方性膜は、3psiで10分間にわたって10の1%糖蜜スループット、10psiで1200ml/分のDI水流量、55psiのK泡立ち点、および、0.25μmのMFPサイズを有する。
【0101】
[00107]非対称膜は、3psiで10分間にわたって45の1%糖蜜スループット、10psiで1600ml/分のDI水流量、55psiのK泡立ち点、および、0.24μmのMFPサイズを有する。
【0102】
[00108]本明細書中で引用された公報、特許出願、特許を含む全ての文献は、参照することにより、あたかもそれぞれの文献が参照により組み入れられるように個別に且つ具体的に示され且つその全体が本明細書中に記載されたかのように同じ程度まで本願に組み入れられる。
【0103】
[00109]発明の説明との関連での用語「1つの(a)」および「1つの(an)」および「その(the)」ならびに同様の指示対象の使用は、本明細書中で別段の指示がない限りあるいは文脈により明らかに矛盾しなければ、単数および複数の両方を網羅するように解釈されるべきである。用語「備える」、「有する」、「含む」、および、「包含する」は、他に言及されていなければ、制約のない用語(すなわち、「〜を含むがそれに限定されない」ことを意味する)として解釈されるべきである。本明細書中での値の範囲の列挙は、本明細書中で別段の指示がない限り、その範囲内に入るそれぞれの別個の値を個別に示す簡便な方法として役立つようにしようとしているにすぎず、また、それぞれの別個の値は、あたかもそれが本明細書中に個別に列挙されているかのように明細書に組み入れられる。本明細書中に記載される全ての方法は、本明細書中で別段の指示がない限りあるいは文脈により明らかに矛盾しなければ、任意の適した順序で行なうことができる。本明細書中で与えられる任意の例、全ての例、または、例示的な言葉使い(例えば、「など」)の使用は、本発明をより良く例示しようとしているにすぎず、特許請求の範囲に別段に記載されていなければ本発明の範囲を限定するものではない。明細書中の言葉は、特許請求の範囲に記載されていない任意の要素を本発明の実施に不可欠であると見なすものと解釈されるべきではない。
【0104】
[00110]本明細書中には、発明を実施するための発明者等が知る最良の形態を含むこの発明の好ましい実施形態が記載されている。これらの好ましい実施形態の変形は、前述の説明を理解すると当業者に明らかとなり得る。発明者等は、当業者がそのような変形を必要に応じて使用することを予期しており、また、発明者等は、本明細書中に具体的に記載される以外の方法で本発明が実施されるのを意図している。したがって、この発明は、添付の特許請求の範囲に記載される主題の全ての改良および均等物を適用可能な法律により許容されるように含む。また、前述した要素のその全ての想定し得る変形における任意の組み合わせは、本明細書中で別段の指示がない限りあるいは文脈により明らかに矛盾しなければ、本発明に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)非対称高分子層と、
(b)等方性高分子層と、
(c)前記非対称層と前記等方性層との間の界面高分子層であって、前記非対称層に接触する第1の部分および前記等方性層に接触する第2の部分を有する、界面高分子層と
を備え、
(i)前記非対称層が前記界面層の前記第1の部分と接触する領域を有し、該領域が第1の孔径を有するセルを含み、
(ii)前記等方性層が前記界面層の前記第2の部分と接触する領域を有し、該領域が第2の孔径を有するセルを含み、前記第1の孔径が前記第2の孔径よりも大きく、
前記界面層の前記第1の部分が前記第1の孔径を有するセルを備え、前記界面層の前記第2の部分が前記第2の孔径を有するセルを備える精密ろ過膜。
【請求項2】
前記非対称層が約2以上の非対称性を有する請求項1に記載の膜。
【請求項3】
(a)第1の非対称率を有する第1の非対称高分子層と、
(b)前記第1の非対称率よりも大きい第2の非対称率を有する第2の非対称高分子層と、
(c)前記第1の非対称層と前記第2の非対称層との間の界面高分子層であって、前記第1の非対称層に接触する第1の部分と、前記第2の非対称層に接触する第2の部分とを有する、界面高分子層と
を備え、
(i)前記第1の非対称層が前記界面層の前記第1の部分と接触する領域を有し、該領域が第1の孔径を有するセルを含み、
(ii)前記第2の非対称層が前記界面層の前記第2の部分と接触する領域を有し、該領域が第2の孔径を有するセルを含み、
前記第1の孔径が前記第2の孔径よりも大きく、前記界面層の前記第1の部分が前記第1の孔径を有するセルを備え、前記界面層の前記第2の部分が前記第2の孔径を有するセルを備える
精密ろ過膜。
【請求項4】
前記第1の非対称高分子層が約0.5〜約1.5の範囲の非対称率を有する請求項3に記載の精密ろ過膜。
【請求項5】
前記第2の非対称高分子層が約2以上の非対称率を有する請求項3または4に記載の精密ろ過膜。
【請求項6】
襞付きの膜を備える請求項1〜5のいずれか一項に記載の精密ろ過膜。
【請求項7】
流体を処理する方法であって、請求項1、2または6のいずれか一項に記載の膜の中へ前記非対称層から前記等方性層に向かう方向で前記流体を通すステップを備える方法。
【請求項8】
流体を処理する方法であって、請求項3〜6のいずれか一項に記載の膜の中へ前記第2の非対称層から前記第1の非対称層に向かう方向で前記流体を通過させるステップを備える方法。
【請求項9】
前記流体を前記膜に通過させるステップを備える請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
非対称層と、等方性層と、前記非対称層に接触する第1の部分および前記等方性層に接触する第2の部分を有する界面層とを有する精密ろ過膜を形成する方法であって、
(a)第1の高分子と前記第1の高分子のための溶媒とを備える第1の溶液を調製するステップと、
(b)第2の高分子と前記第2の高分子のための溶媒とを備える第2の溶液を調製するステップと、
(c)前記第1の溶液を第1の支持体の表面上へキャスティングするステップと、
(d)約2秒後に、前記第2の溶液を前記第1の溶液上にキャスティングして、プレ膜を形成するステップと、
(e)前記プレ膜を循環空気にさらすステップと、
(f)非溶媒液中で前記第1の溶液および前記第2の溶液の相分離を行なうステップと
を備える方法。
【請求項11】
第1の非対称率を有する第1の非対称層と、前記第1の非対称率よりも大きい第2の非対称率を有する第2の非対称層と、前記第1の非対称層に接触する第1の部分および前記第2の非対称層に接触する第2の部分を有する界面層とを有する精密ろ過膜を形成する方法であって、
(a)第1の高分子と前記第1の高分子のための溶媒とを備える第1の溶液を調製するステップと、
(b)第2の高分子と前記第2の高分子のための溶媒とを備える第2の溶液を調製するステップと、
(c)前記第1の溶液を第1の支持体の表面上へキャスティングするステップと、
(d)約2秒後に、前記第2の溶液を前記第1の溶液上にキャスティングして、プレ膜を形成するステップと、
(e)非溶媒液中で前記第1の溶液および前記第2の溶液の相分離を行なうステップと
を備える方法。
【請求項12】
少なくとも一方の前記溶液がポリスルホンを備える請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の溶液をキャスティングするステップが、第1のスロットダイまたは第1のキャスティングナイフにより与えられる第1の事前設定ギャップを介して前記第1の溶液をキャスティングする工程を備え、前記第2の溶液をキャスティングするステップは、第2のスロットダイまたは第2のキャスティングナイフにより与えられる第2の事前設定ギャップを介して前記第2の溶液をキャスティングする工程を備える、請求項10〜12のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−52387(P2013−52387A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−175092(P2012−175092)
【出願日】平成24年8月7日(2012.8.7)
【出願人】(596064112)ポール・コーポレーション (70)
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
【Fターム(参考)】