説明

多層経皮パッチ

本発明は、外側から内側の順に:密封性又は非密封性外膜層、治療濃度の化粧品又は医薬品活性成分の少なくとも1つ又は組み合わせとブレンドされた非硬化性粘着剤(PSA)、及び皮膚接触層として用いられるシリコーンゲル接着剤、からなる構造体に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
シリコーンゲル接着剤(SGA)は、混合し、完全硬化すると、粘着剤に関連する粘着特性及び軟質弾性マトリックスの弾力性を有する、二液型接着剤である。皮膚接触接着剤としてSGAを用いる活性剤を送達するための治療パッチは、クラスとして、SGAが低温フロー又は可塑化効果に対する敏感性を示さないので、有益であり得ると仮定されている。これらの特性は、それらの皮膚からの除去し易さと相まって、SGAが多くの高度の創傷ケア及び痕瘢ケア用途において最適な接着剤となることを可能にした。皮膚接触面としてSGAを用いて製造した瘢痕包帯は皮膚からはがし、再度貼り付けることができることが知られている。これは、鎮痛をもたらさなくなるまでパッチを複数の領域上に又は何度も用いることができる、急性筋肉痛のためのOTCパッチを含む特定の治療においても利点を提供することができる。
【0002】
今日販売されている治療パッチの多くは、活性医薬品及びいずれかの必要な透過促進剤又は放出調節剤を接着剤中に直接ブレンドした「マトリックスタイプ」のものである。接着剤/薬剤混合物を必要に応じて液化又は硬化し、適当な寸法に切ることができる積層体を作成する。接着剤としてSGAを用いるマトリックスパッチが製造されているが、マトリックス中にうまく組み込むことができる活性剤は限定される。リドカイン、ナイアシンアミド、硝酸エコナゾール、ケトプロフェン、ニコチン及びサリチル酸を含む多くの薬剤が硬化物を完全に阻害する、又は積層体を生成し、密接した積層体を達成するのに特別な処理及び硬化手順を要することが見出された。
【0003】
本発明はSGA及び粘着剤(PSA)を用いることに伴う問題を克服する。薬剤を、SGAが皮膚接触接着剤である場合、SGAで覆われた粘着剤(PSA)層中に組み込む。リドカイン、サリチル酸及び硝酸エコナゾールは本発明の二重接着剤構造によりとくに恩恵を受ける。
【0004】
リドカインは局所麻酔薬として用いられる。少なくとも1つのリドカインパッチはすでに市販され(例えばLidoderm(登録商標))、長時間にわたり薬剤の安定した供給源を提供することができる。現行製品はヒドロゲル接着剤を用い、皮膚からの外傷性の低い除去を達成する。多くの局所製剤も存在する。パッチは、ふき取られ又ははがされ得る従来的に製造された局所製剤よりも、長時間不快症状を軽減するだろう。二重接着剤パッチも快適性、適度な接着性及び皮膚からの低剥離力を含む有益な前述のSGAの特徴を多く有するだろう。SGA及びリドカインを用いて製造された包帯又は局所パッチの創傷治癒特性は接着剤の特徴的密封性の恩恵も受け得る。密封性は薬剤の皮膚中への放出速度を向上させることもできる。
【0005】
サリチル酸は現在、高濃度で局所いぼ及びたこ除去剤として、低濃度で抗にきび治療薬として用いられている。ほとんどの製剤はサリチル酸がもたらすわずかな防腐作用又はかなりの角質溶解作用を利用する。サリチル酸が用いられるほとんどの治療薬は障害又は損傷のある皮膚に関係しているので、SGAに関連する皮膚からの低剥離力は利点となり得る。
【0006】
硝酸エコナゾールは抗真菌剤として用いられる親油性薬剤である。これは現在、局所抗真菌剤用途に用いられ、経皮抗真菌剤用途について研究されている。先行研究は硝酸エコナゾールがSGAの硬化に悪影響を及ぼすだろうことを示した。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、外側から内側への順で:密封性又は非密封性外膜層;治療濃度の化粧品又は医薬品活性成分の少なくとも1つ又は組み合わせとブレンドされた非硬化性粘着剤(PSA);及び皮膚接触層として用いられるシリコーンゲル接着剤からなる構造体に関する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において、外膜層、治療濃度の化粧品又は医薬品活性成分の少なくとも1つ又は組み合わせとブレンドされた非硬化性粘着剤(PSA)、及びシリコーン硬化弾性粘着性ゲル又はソフトスキン接着剤(SSA)、を含む構造体について記載する。一般的には、構造体は化粧品又は医薬品活性成分をヒトに送達するための経皮パッチとして用いられる。
【0009】
本明細書において用いる「シリコーンゲル」とは、シリコーンポリマーを軽度に架橋することにより形成された弾性、ゼリー状固体物質である。一方、「PSA」は弾力性が低い、又はこれを有さない。
【0010】
外膜層
構造体中の第1要素は外膜層である。外膜層の主な目的は、粘着剤を覆う層を形成し、構造体が粘着剤によって衣服又は構造体が接触し得る他の物体に接着しないようにすることである。外膜層は構造体の摩耗強度、引張強度及び引裂強度にも寄与する。シリコーン、織物、コート紙、アルミニウム、ポリエステル、ポリウレタン、高密度若しくは低密度ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、酢酸エチルビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、等を含むプラスチック、又はこれらのいずれかの組み合わせから生成される膜層が、本発明において有用である。一般的には外膜層は0.15mm未満、あるいは0.012mm〜0.1mm、あるいは0.0625mm〜0.0875mmの厚さを有するであろう。
【0011】
外膜層は密封性又は非密封性であってもよい。密封性とは、外膜層が下にある皮膚にとって有害であり得る、又は化粧品若しくは医薬品活性成分にその有効性を失わせる微生物及び/又は他の物質を部分的に又は本質的に通さないことを意味する。さらに、密封性膜は、皮膚の透過力を高めると考えられる、経表皮水分損失を防止するものであってもよい。
【0012】
粘着剤
非硬化性粘着剤(PSA)は外膜層の1つの面に接着する。PSAとしては、わずかな圧力の印加でほとんどの物質に瞬間的に接着し、構造体の耐用寿命を通して本質的に粘着性のままであるするいずれかの粘弾性物質を挙げることができる。非硬化性PSAはシリコーン、ポリイソブチレン及びその誘導体、アクリル、天然ゴム、天然及び合成ポリイソプレン、ポリブチレン及びポリイソブチレン、スチレン/ブタジエンポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー、ブチルゴム、ハロゲン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、及びポリクロロジエンのような炭化水素ポリマー、並びに、これらの組み合わせであってもよい。非硬化性とは、接着剤が熱可塑性であり、ホットメルト又は溶媒系プロセスにより塗布され、一般的には固めるためにさらなる硬化を行わないことを意味する。
【0013】
シリコーンPSAは当技術分野において知られる方法により生成することができるが、SiH及びC=Cの化合物の触媒反応から生成されたシリコーンPSAは本発明においては有用でない。
【0014】
本明細書において有用なシリコーンPSAは、一般的には、(I)シラノール末端ポリジオルガノシロキサンを(II)シラノール含有シリコーン樹脂で架橋した生成物を含む。シラノール末端ポリジオルガノシロキサンの有機置換基は、一般的には1〜6個の炭素原子を有するアルキル基又はフェニル基である。一般的には有機置換基の少なくとも80%はメチル基である。あるいは、シラノール末端ポリジオルガノシロキサンは、ジメチルヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサンである。シラノール末端ポリジオルガノシロキサンは、一般的には25℃で0.1Pa.s〜30000Pa.s、あるいは1Pa.s〜100Pa.sの粘度を有する。シラノール末端ポリジオルガノシロキサンの生成方法は当技術分野において周知である。
【0015】
シラノール含有シリコーン樹脂(II)は、一般的には非線状シロキサン樹脂であり、式 RSiO(4−a)/2のシロキサン単位からなり、式中、Rはヒドロキシル、炭化水素又は炭化水素オキシ基であり、aは1〜1.8の平均値を有する。一般的には、前記樹脂は、式 RSiO1/2を有する基(「M」基)、及び、式SiO4/2を有する基(「Q」基)を含むが、式中、Rは1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、一般的にはメチルである。M基のQ基に対する個数比は、一般的には0.05:1〜1.2:1(式R1aSiO(1.0〜1.63の式RSiO(4−a)/2中のaの値に相当)、あるいは0.6:1〜0.9:1の範囲内である。シリコーン樹脂は一般的には少なくとも0.2重量%〜5重量%、あるいは0.5重量%〜3重量%のケイ素結合ヒドロキシ基を含有する。これらのケイ素結合ヒドロキシ基は一般的にはM基:(OH)(CHSiO1/2として存在する。
【0016】
シリコーンPSAは一般的には20重量部〜80重量部、あるいは30重量部〜60重量部のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン及び80重量部〜20重量部、あるいは70重量部〜40重量部のシラノール含有シリコーン樹脂から生成される。あるいは、シリコーンPSAは30重量部〜60重量部の25℃で0.1Pa.s〜30000Pa.sの粘度を有するシラノール末端ポリジオルガノシロキサン並びに40重量部〜70重量部の上で定義したようにM及びQ基を0.5:1〜1.2:1の範囲内のM対Qの個数比で有するシラノール含有シリコーン樹脂から生成される。
【0017】
シリコーンPSAを生成するため、シラノール末端ポリジオルガノシロキサン及びシラノール含有シリコーン樹脂は一般的には混合する。ポリジオルガノシロキサンのシラノール基は一般的にはシリコーン樹脂のシラノール基でのいくらかの縮合を行い、ポリジオルガノシロキサンを樹脂で架橋する。触媒、例えばアルカリ性物質を添加し、架橋反応を促進することができる。有用な触媒としては、アンモニア、水酸化アンモニウム、及び炭酸アンモニウムが挙げられる。
【0018】
上で生成されたシリコーンPSA上の残りのシラノール基はトリオルガノシリル単位を導入する末端ブロック剤と少なくとも部分的に反応することができる。末端ブロック剤の例としては、ヘキサメチルジシラザンのようなジシラザン又はトリメチルエトキシシラン若しくはトリメチルメトキシシランのようなトリアルキルアルコキシシランを挙げることができる。シラノール含有シリコーンPSAを末端ブロックする方法は当技術分野において知られ、米国特許第6,337,086号において教示されている。
【0019】
本発明に用いることができる別のタイプのシリコーン粘着剤としては、シラノール末端ポリジオルガノシロキサン及びアセトキシシランから生成されるものがある。これらの接着剤はダウコーニングよりSilastic(登録商標)Medical Adhesive Silicone、Type Aとして市販されている。
【0020】
本発明に用いることができる別のタイプのシリコーンPSAとしては、本明細書に参照により組み入れる、Joffre他の米国特許公開第2008−0138386号公報に記載されるものがある。とくに、これらの物質はサッカリド−シロキサンコポリマー、架橋剤及び任意で溶媒を含む架橋性組成物である。
【0021】
本発明に用いることができる別のタイプのシリコーンPSAとしては、ダウコーニング他の国際特許公開第2007145996号公報に記載されるものがある。とくに、このシリコーンPSAは、85重量部〜99.9重量部の上述のような(II)シラノール含有シリコーン樹脂で架橋した(I)シラノール末端ポリジオルガノシロキサンから生成したPSA及び0.1重量部〜15重量部のシリコン含有キャッピング剤を含有するが、シリコン含有キャッピング剤はアクリレート官能性シラン、アクリレート官能性シラザン、アクリレート官能性ジシラザン、アクリレート官能性ジシロキサン、メタクリレート官能性シラン、メタクリレート官能性シラザン、メタクリレート官能性ジシラザン、メタクリレート官能性ジシロキサン及びこれらの組み合わせの群から選択される。
【0022】
本発明に用いることができる別のタイプのシリコーンPSAとしては、米国特許出願第12/203362号に記載されるものがある。とくに、このPSAはシリコーン含有PSA、エチレン性不飽和モノマー及び開始剤の反応生成物である。一般的には、シリコーン含有PSAは上述のような(II)シラノール含有シリコーン樹脂で架橋した(I)シラノール末端ポリジオルガノシロキサンから生成されるPSAである。エチレン性不飽和モノマーは少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有するいずれかのモノマーとすることができる。一般的には、エチレン性不飽和モノマーは脂肪族アクリレート、脂肪族メタクリレート、脂環式アクリレート、脂環式メタクリレート、及びこれらの組み合わせの群から選択される化合物である。一般的には、開始剤としては過酸化物、アゾ化合物、レドックス開始剤、及び光開始剤が挙げられる。
【0023】
シリコーンゲル接着剤
本明細書において用いる「シリコーンゲル」とは、シリコーンポリマーを軽度に架橋することにより形成された弾性、ゼリー状固体物質である。一方、粘着剤(PSA)は弾力性が低い、又はこれを有さない。
【0024】
本発明に用いるシリコーンゲルは最終用途に所望の特性を有するように選択すべきである。重要な特性としては、柔らかさ、砕けやすさ及び強度を挙げることができる。
【0025】
本発明に用いられるゲルは、一般的にはその上に反応性基を有する線状又は分岐シリコーンから形成される。こうした反応性基は硬化中に架橋反応を受ける。架橋反応の例としては、Si−H反応性基を有するシリコーンが脂肪族不飽和反応性基を有するシリコーンとヒドロシリル化触媒の存在下で反応するヒドロシリル化反応が挙げられる。これらの物質については、例えば本明細書に参照により組み入れる米国特許第5,656,279号、米国特許第5,891,076号、欧州特許第0322118号及び米国特許第4,991,574号に記載されている。代替反応としては、本明細書に参照により組み入れる米国特許第4,831,070号に記載されるような、アルコキシ及び/又はヒドロキシ含有シロキサンを触媒で硬化する縮合硬化がある。
【0026】
一般的には、ゲルは、(A)少なくとも1つのアルケニル置換ポリジオルガノシロキサンと、(B)少なくとも1つのケイ素結合水素原子を含有するオルガノシロキサンと、(C)少なくとも1つのSiH基とSi−アルケニル基との反応の触媒を含むゲル生成組成物とを、反応させることにより得られる。これらの組成物は、通常の周囲温度で硬化するが、硬化は高温、例えば、約40℃〜約140℃まで加熱することにより促進することができる。
【0027】
前記アルケニル置換ポリジオルガノシロキサン(A)は、例えば、本明細書に参照により組み入れる米国特許第3,983,298号に記載されるように、当技術分野において知られている。適切なアルケニル基は2個〜約6個の炭素原子を含有し、例としては、これらに限定されないが、ビニル、アリル、及びヘキセニルが挙げられる。この成分中のアルケニル基は末端、側鎖(非末端)、又は末端及び側鎖位置の両方にあってもよい。アルケニル置換ポリジオルガノシロキサン中の残りのケイ素結合有機基は独立して脂肪族不飽和を含まない一価炭化水素及び一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択される。これらの基は、一般的には、1個〜約20個の炭素原子、あるいは1〜8個の炭素原子を含有し、例としては、これらに限定されないが、メチル、エチル、プロピル及びブチルのようなアルキル;フェニルのようなアリール;並びに3,3,3−トリフルオロプロピルのようなハロゲン化アルキルが挙げられる。一般的には、アルケニル置換ポリジオルガノシロキサン中の有機基の少なくとも50パーセントはメチルである。
【0028】
前記アルケニル置換ポリジオルガノシロキサンの構造は、一般的には線状であるが、三官能性シロキサン単位の存在によるいくらかの分岐を含有していてもよい。アルケニル置換ポリジオルガノシロキサンの粘度はいずれかの所望のものとすることができる。例えば、>0mm/s〜100,000mm/s、あるいは50mm/s〜80,000mm/s、あるいは300mm/s〜3,000mm/sとすることができる。
【0029】
対応するハロシランの縮合又は環状ポリジオルガノシロキサンの平衡化のような、本発明のアルケニル置換ポリジオルガノシロキサンの調製方法は、当技術分野において周知である。
【0030】
前記アルケニル置換ポリジオルガノシロキサンは、ゲル生成組成物に、組成物の重量に対して、10重量%〜90重量%、あるいは40重量%〜90重量%、あるいは50重量%〜80重量%の量で用いることができる。アルケニル置換ポリジオルガノシロキサン中に存在するアルケニル基の量は一般的にはアルケニル置換ポリジオルガノシロキサンの重量に対して0.05重量%〜1重量%、あるいは0.05重量%〜1重量%の範囲内である。
【0031】
前記ケイ素結合水素原子を含有するオルガノシロキサン(B)も、例えば米国特許第3,983,298号に記載されるように、当技術分野において知られている。この成分中の水素原子は末端、側鎖(非末端)、又は末端及び側鎖位置の両方にあってもよい。この成分中の残りのケイ素結合有機基は独立して脂肪族不飽和を含まない一価炭化水素及び一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択される。これらの基は一般的には1個〜約20個の炭素原子、あるいは1〜8個の炭素原子を含有し、例としては、これらに限定されないが、メチル、エチル、プロピル及びブチルのようなアルキル;フェニルのようなアリール;並びに3,3,3−トリフルオロプロピルのようなハロゲン化アルキルが挙げられる。本発明の1つの実施形態では、ケイ素結合水素原子を含有するオルガノシロキサン中の有機基の少なくとも50パーセントはメチルである。
【0032】
前記ケイ素結合水素原子を含有するオルガノシロキサンの構造は、一般的には線状であるが、三官能性シロキサン単位の存在によるいくらかの分岐を含有していてもよい。ケイ素結合水素原子を含有するオルガノシロキサンの粘度はいずれかの所望のものとすることができる。例えば、>0mm/s〜100,000mm/s、あるいは5mm/s〜500mm/sとすることができる。
【0033】
前記ケイ素結合水素原子を含有するオルガノシロキサンは、ゲル生成組成物に、組成物の重量に対して、1重量%〜30重量%、あるいは5重量%〜20重量%、あるいは5重量%〜15重量%の量で用いることができる。1つの実施形態では、ケイ素結合水素原子を含有するオルガノシロキサン中に存在する水素原子の量は、ケイ素結合水素原子を含有するオルガノシロキサンの重量に対して、0.05重量%〜1.44重量%である。
【0034】
本発明のケイ素結合水素原子を含有するオルガノシロキサンの適当なクロロシランの共加水分解による調製方法は、当技術分野において知られている。Clarkの米国特許第2,877,255号;茂木他の日本国特許公開第昭62(1987)−39660号公報、並びにCobb他の米国特許第5,446,185号及び米国特許第5,493,040号、すべて本明細書に参照により組み入れる。
【0035】
ゲル生成組成物において、(A)及び(B)は(SiHとしてのH):(Si−アルケニルとしてのアルケニル)の比が一般的には0.1:1〜10:1の範囲内となるように存在する。
【0036】
前記ヒドロシリル化触媒(C)はアルケニル置換ポリジオルガノシロキサンとケイ素結合水素を含有するオルガノシロキサンとの付加反応を促進する。ヒドロシリル化触媒は白金族金属、白金族金属を含有する化合物、又はマイクロカプセル化した白金族金属若しくはこれを含有する化合物を含む周知のヒドロシリル化触媒のいずれかとすることができる。これらの白金族金属としては、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム及びイリジウムが挙げられる。白金及び白金化合物はヒドロシリル化反応におけるそれらの高い活性レベルに基づき好適な触媒である。1つのクラスの白金触媒は、本明細書に参照により組み入れる米国特許第3,419,593号においてWilligにより開示される塩化白金酸と特定のビニル含有オルガノシロキサン化合物との錯体である。このタイプの具体的な触媒としては塩化白金酸と1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンとの反応生成物がある。
【0037】
前記ヒドロシリル化触媒は、本発明の組成物を硬化するのに十分な量で存在する。一般的には、触媒の濃度は、(A)及び(B)の重量に対して、0.1ppm〜500ppm(百万分の1)、あるいは1ppm〜100ppm、あるいは1ppm〜50ppmの白金族金属をもたらすのに十分である。
【0038】
所望に応じて、本発明のゲルに、これらに限定されないが、充填剤、顔料、低温硬化開始剤、接着性を向上させるための添加剤、架橋剤(例えば、Si−H架橋剤)、鎖延長剤、医薬品剤、化粧品剤、天然抽出物、流体又はゲルに従来用いられる他の物質を含む、他の成分を含むことができる。他の任意の成分としては、シリコーン流体、シリコーンワックス、シリコーンポリエーテル、並びに例えば、(ゲルをより親水性にし、水分に対してより透過性にすることができる)ポリアクリル酸ナトリウム、PVA、PVP、ポリアクリル接着剤、セルロース及びポリサッカリドのような親水性ポリマーを含む他のポリマーが挙げられる。さらに他の任意の成分としては、増粘剤、チキソトロピー剤及び樹脂のヒドロキシル基と反応することができるヒマシ油又はマレイン酸エステルのようなゲル中の成分と反応する物質のようなレオロジー調節剤が挙げられる。一般的には、ゲルは実質的に充填剤を含有しない(例えば、5重量%未満、あるいは1重量%未満、あるいは0.1重量%未満)。また一般的には、ゲルは実質的には溶媒を含有しない(例えば、5重量%、あるいは1重量%、あるいは0.1重量%未満)。
【0039】
別の任意の成分としては、本明細書に参照により組み入れる米国特許出願第2007−0202245号に記載されるようなヒドロキシ末端シリコーン樹脂がある。樹脂は一般的には式RSiO1/2を有する基(「M」基)及び式SiO4/2を有する基(Q基)を含み、式中、Rは1〜6個の炭素原子を有するアルキル基又は1〜6個の炭素原子を有するアルキレン基、一般的にはメチル又はビニルである。
【0040】
樹脂中にアルケニル基が存在する場合、一般的にはアルケニル基として存在するR基のモル%は<10モル%、あるいは5モル%である。
【0041】
M基のQ基に対する個数比は一般的には0.6:1〜4:1、あるいは0.6:1〜1.0:1の範囲内である。シリコーン樹脂は一般的には0.1重量%〜5重量%、あるいは1.0重量%〜5重量%のケイ素結合ヒドロキシ基を含有する。
【0042】
樹脂はゲル生成組成物に、ゲル生成組成物及び樹脂の重量に対して、2重量%〜45重量%、あるいは5重量%〜40重量%、あるいは10重量%〜35重量%の量で用いることができる。
【0043】
前記シリコーンゲル接着剤層は、当技術分野において知られるプロセスにより生成することができる。例えば、ゲルはライナーのような基質上に成形、カレンダー加工、押出、噴霧、はけ塗り、手塗り、キャスティング又はコーティングすることにより、(例えばシートとして)予備形成することができる。
【0044】
また、前記シリコーンゲル層はゲル生成組成物を基質に噴霧、コーティング、バーコーティング、等により塗布することにより生成することができる。基質に塗布後、ゲル生成組成物を硬化して基質上にシリコーンゲル接着剤を生成する。
【0045】
本発明において有用なシリコーンゲル接着剤は、一般的には、ASTM D−217−88に基づくコーン貫入度試験法により62.5gのコーンカテゴリー1806−1を用いて測定されるように、5mm〜300mm、あるいは50mm〜300mmの貫入度を有する。また、本発明において有用なSGAは100g/m〜4500g/m、あるいは150g/m〜1200g/mのコーティング重量を有する。
【0046】
前記シリコーンゲル接着剤の接着強度は、塗布される基質(すなわち皮膚)への接着性を除去時に基質を損傷するほどは強すぎず維持するのに十分でなければならなる。SGAの粘着性は、プローブタックテスターで測定される場合、一般的には50g〜500g、あるいは150g〜350gである。
【0047】
送達する活性剤に応じて、SGAは活性剤の分散についての速度制御層として機能してもしなくてもよい。
【0048】
ライナー
構造体において、粘着剤は1つの面を外膜層により、他の面をシリコーンゲルにより覆われている。構造体を生成した後、シリコーンゲル接着剤の1つの面を露出する。この面はヒトの皮膚のような表面に接触する面となる。要求に応じて、このシリコーンゲル接着剤の表面は使用前剥離ライナーで覆う、又は保護することができる。適切な剥離ライナー物質は当技術分野において知られ、プラスチック、シリコーン、フッ素化シリコーン、フッ素ポリマー、ポリエチレン、ペルフルオロ系ポリマー、ペルフルオロポリエーテル系ポリマー、PVC等を挙げることができる。また、剥離ライナーは適切な剥離コーティングを施した紙のようなさまざまな物質から生成することができる。剥離コーティングの表面は滑らか、エンボス加工、又はその他の所望の形態とすることができる。
【0049】
活性剤
構造体は、SGAを生成するのに用いられる成分の硬化を阻害する又はSGA中に組み込むことがゲルの構造を破壊するため、SGA単独では送達することができない活性剤の送達にとくに適している。とくに、アミン、硫黄、窒素−複素環、アセチレン、不飽和炭化水素モノエステル及びジエステル、共役エネ−イン、ヒドロペルオキシド、ニトリル及びジアジリジンから選択される基を含有する活性剤は構造体からの送達に有用である。構造体により送達することができる具体的な活性剤としては、トコフェロール(ビタミンE)、パルミチン酸ビタミンA、リドカイン、サリチル酸及び硝酸エコナゾール、レボノルゲストレル、ナイアシンアミド、ニコチン、ケトコナゾールが挙げられる。
【0050】
白金触媒Si−Hビニル付加反応の硬化をおそらく阻害するだろう官能性分子としては、アミン及びアミド、ニトリル、シアネート、オキシモ、ニトロソ、ヒドラゾ、アゾ化合物、及び窒素キレートのような窒素含有化合物、硫化物及びチオ化合物のような硫黄含有化合物、ホスフィン、亜リン酸塩及びリン酸塩を含むリン含有化合物、並びにアルコール、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、エステル、及び不飽和結合を有する有機分子のような有機化合物が挙げられる。
【0051】
本発明において有用な活性剤としては、これらに限定されないが、心臓作用薬、アンドロゲン性ステロイド、エストロゲン、ホルモン、プロゲステロン剤、中枢神経系への作用を有する薬剤、栄養剤、抗炎症剤、抗ヒスタミン、呼吸剤、交感神経作用薬、縮瞳薬、コリン作動薬、抗ムスカリン性又はムスカリン性受容体拮抗薬、散瞳薬、精神賦活剤、抗感染薬、外皮用剤、体液剤、鎮痙薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、食欲抑制薬、抗アレルギー薬、精神安定剤、抗精神病薬、充血除去剤、解熱剤、抗片頭痛剤、下痢及び嘔吐の治療薬、抗マラリア薬、抗潰瘍剤、ペプチド、パーキンソン病の薬、痙縮の薬、急性筋攣縮の薬、抗エストロゲン、抗ホルモン剤、治療薬並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0052】
PSA中に組み込まれる活性剤又は活性剤の組み合わせの量は、これらに限定されないが、特定の活性剤、所望の治療効果、及び構造体が治療効果をもたらす時間を含む多くの要因に応じて変化する。ほとんどの活性剤について、活性剤の皮膚通過は経皮送達における律速段階である。活性剤の量及び放出の速度は一般的には長時間ゼロ次時間依存性を特徴とする経皮送達をもたらすように選択される。PSA中の活性剤の最小限の量は、構造体が治療効果をもたらす時間に皮膚又は他の基質を通過する活性剤に基づいて選択される。一般的にはPSA中の活性剤の量は、PSA及び活性剤の重量に対して0.1重量%〜80重量%、あるいは0.3重量%〜50重量%、あるいは1.0重量%〜30重量%である。
【0053】
PSA若しくはSGA又は両方は、皮膚又は他の基質を通る活性剤の送達を促進することが知られる他の向上剤を含有することができる。向上剤は皮膚浸透向上剤、透過向上剤、促進剤、補助剤、及び吸着促進剤と称されることもある。向上剤としては、PSA組成物内の活性剤の溶解性及び拡散性を向上させる作用を有するもの並びに、例えば皮膚を軟化し、皮膚の透過性を向上させ、浸透助剤若しくは毛包開口剤として作用し、又は境界層を含む皮膚の状態を変化させることにより経皮吸収を向上させるものを含むさまざまな作用機序を有するものが挙げられる。これらの向上剤のいくつかは1つ以上の作用機序を有するが、それらは本質的には活性剤の基質への送達を向上させるように機能する。
【0054】
向上剤の例としては、これらに限定されないが、活性剤の溶解性を向上させるジプロピレングリコール、プロピレングリコール及びポリエチレングリコールのような多価アルコール;オリーブ油、スクアレン、及びラノリンのような油;セチルエーテル及びオレイルエーテルのような脂肪族エーテル;活性剤の拡散性を向上させるミリスチン酸イソプロピルのような脂肪酸エステル;水分を保持するケラチンの能力に影響を及ぼすアラントインのようなウレア及びウレア誘導体;ケラチン透過性に影響を及ぼすジメチルデシルホスホキシド、メチルオクチルスルホキシド、ジメチルラウリルアミド、ドデシルピロロリドン、イソソルビトール、ジメチルアセトニド、ジメチルスルホキシド、デシルメチルスルホキシド、及びジメチルホルムアミドのような極性溶媒;ケラチンを軟化するサリチル酸;浸透助剤であるアミノ酸;毛包開口剤であるニコチン酸ベンジル;並びに基質(皮膚)及び投与する活性剤の表面状態を変化させるラウリル硫酸塩のような高分子量脂肪族界面活性剤を挙げることができる。他の向上剤としては、オレイン及びリノール酸、アスコルビン酸、パンテノール、ブチル化ヒドロキシトルエン、トコフェロール、酢酸トコフェリル、リノール酸トコフェリル、オレイン酸プロピル及びパルミチン酸イソプロピルが挙げられる。
【0055】
構造体
構造体は各種方法で生成することができる。一般的には構造体は粘着剤及び活性剤のブレンドを生成し、ブレンドの層を外膜層の表面上に形成し、未硬化シリコーンゲル接着剤の層をライナーの上に塗布した後シリコーンゲル接着剤を硬化し、SGA層をブレンド層と接触させて構造体を生成することにより生成される。
【0056】
構造体の別の生成方法は、SGAの層をライナー上に生成するステップと、粘着剤及び活性剤のブレンドを形成するステップと、ブレンドの層をSGA上に形成するステップと、外膜層をブレンド層の上に塗布するステップとを具える。
【0057】
構造体の別の生成方法は、粘着剤及び活性剤のブレンドを形成するステップと、ブレンドの層を外膜層の表面上に形成するステップと、シリコーンゲル接着剤を生成するステップと、シリコーンゲル接着剤の層をブレンド層に塗布するステップと、ライナーをSGAの上に塗布するステップとを含む。
【0058】
構造体の別の生成方法は、粘着剤及び活性剤のブレンドを形成するステップと、ブレンドの層を一時的ライナーの表面上に生成するステップと、ブレンド層を外膜層に塗布するステップと、一時的ライナーを除去するステップと、その後SGA及びライナーをブレンド層に塗布するステップとを含む。
【0059】
構造体の別の生成方法は、粘着剤及び活性剤のブレンドを形成するステップと、ブレンドの層を外膜層の表面上に形成するステップと、未硬化ゲルの層をブレンドに塗布するステップと、ゲルを硬化するステップと、ライナーをゲルの上に塗布するステップとを具える。この方法は、一般的には活性剤がゲルの硬化を依然として阻害し得るので、望ましくない。よって、PSA/活性剤層と接触させる前にゲルを硬化させることが一般的である。
【0060】
一般的には、PSA及びSGAはそれらの天然アフィニティーにより結合する。しかしながら、2つの表面を接触させた後、圧力を印加し、2つの物質間の結合を確保することが望ましい。
【0061】
構造体において、外膜層は一般的には0.15mm未満、あるいは0.012mm〜0.1mm、あるいは0.0625mm〜0.0875mmの厚さを有する。粘着剤層は一般的には1.5mm未満、あるいは0.0005mm〜1mm、あるいは0.0005mm〜0.05mmの厚さを有する。シリコーンゲル接着剤層は一般的には5mm未満、あるいは0.05mm〜2mm、あるいは0.1mm〜1.5mmの厚さを有する。
【実施例】
【0062】
以下の実施例は、本発明の実施形態を示すためのものである。当業者であれば、以下実施例において開示する技術が、本発明者らにより本発明の実施において十分に機能することが見出された技術を表し、それによって、その実施の態様を構成すると見なすことができることを理解することができる。一方で、当業者であれば、本開示を踏まえ、本発明の範囲から逸脱することなく、開示する実施例において多くの変更を行うことができ、さらに同じ又は同様の結果が得られることを理解することができる。すべての割合は重量%である。
【0063】
接着剤1(7−4301):
PSA1は、28部のジメチコノールと48部の4500ppmのシラノール含量を有するMQ樹脂とを反応させることにより生成された非硬化性PSAである。反応が完了した後、残存SiOHを14部のヘキサメチルジシラザンを用いてトリメチルシリル基で末端キャップした。PSA1はヘプタン中に60:40で希釈して用いられる。
【0064】
接着剤2(7−4102):
PSA2は、22部のジメチコノールと59部の4500ppmのシラノール含量を有するMQ樹脂とを反応させることにより生成された非硬化性PSAである。反応が完了した後、残存SiOHを11部のヘキサメチルジシラザンを用いてトリメチルシリル基で末端キャップした。PSA2は酢酸エチル中に60:40で希釈して用いられる。
【0065】
接着剤3(7−4501):
PSA3は、29部のジメチコノールと62部の4500ppmのシラノール含量を有するMQ樹脂とを反応させることにより生成された非硬化性PSAである。PSA3はヘプタン中に60:40で希釈して用いられる。
【0066】
接着剤4(7−4202):
PSA4は、25部のジメチコノールと53部の4500ppmのシラノール含量を有するMQ樹脂とを反応させることにより生成された非硬化性PSAである。反応が完了した後、残存SiOHを12部のヘキサメチルジシラザンを用いてトリメチルシリル基で末端キャップした。PSA4は酢酸エチル中に60:40で希釈して用いられる。
【0067】
接着剤5(7−4302):
PSA5は、28部のジメチコノールと48部の4500ppmのシラノール含量を有するMQ樹脂とを反応させることにより生成された非硬化性PSAである。反応が完了した後、残存SiOHを14部のヘキサメチルジシラザンを用いてトリメチルシリル基で末端キャップした。PSA5は酢酸エチル中に60:40で希釈して用いられる。
【0068】
接着剤6(7−4502):
PSA6は、29部のジメチコノールと62部の4500ppmのシラノール含量を有するMQ樹脂とを反応させることにより生成された非硬化性PSAである。PSA6は酢酸エチル中に60:40で希釈して用いられる。
【0069】
ゲル1(7−9800):
ゲル1は、100部のビニル末端ポリジメチルシロキサンと0.25部の白金錯体とをブレンドすることにより生成されたA液及び85部のビニル末端ポリジメチルシロキサンと15部の水素官能性ジメチルシロキサンとをブレンドすることにより生成されたB液を含む二液型硬化性接着剤である。
【0070】
ゲル2(PCT出願第US20070202245 A1号のとおり調製されたダウコーニング実験ゲル):
ゲル2は、73部のビニル末端ポリジメチルシロキサンと23部のジメチルビニル化及びトリメチル化シリカ、5部のケイ酸、ナトリウム塩、並びに0.30部の白金錯体とをブレンドすることにより生成されたA液並びに50部のビニル末端ポリジメチルシロキサンと32部ケイ酸、ナトリウム塩、及び17部の水素官能性ジメチルシロキサンとをブレンドすることにより生成されたB液を含む二液型硬化性接着剤である。
【0071】
(実施例1)
2.25gのニコチンを1.0gのヘプタン中に分散した後、混合物を1.25gの接着剤1に添加し、ミキサーを用いて均質になるまで混合した。次に薬剤/接着剤混合物を酢酸エチルビニル基材上にキャストした。0.102mm及び0.152mmのステンレス鋼シムを用い、2つの所望のコーティング厚さを得た。試料を周囲条件で少なくとも3時間放置して液化し、ヘプタンを除去した。厚さ約0.06mm及び0.09mmの乾燥接着剤を有する積層体を得た。
【0072】
別の作業において、ゲル1を0.152mmのステンレス鋼シムを用いて低密度ポリエチレン(LDPE)膜上にキャストした。これらを完全に硬化するまで約15分間80℃のオーブンに入れた。
【0073】
次に液圧プレスを用いて2つの接着剤膜を押し合った。次にLDPE膜をゲル1膜の表面から除去し、経皮送達デバイスの皮膚接触表面を露出した。
【0074】
(実施例2)
40gの接着剤2を2.67gの100cStポリジメチルシロキサンと混合し、混合ホイール上で均質になるまで混合した。2.96gのリドカインを5mLのエチルアルコール中に溶解し、ミキサーを用いて接着剤2に混合及び添加した。次に薬剤/接着剤混合物をフルオロシリコーン剥離ライナー上にキャストした。ステンレス鋼シム0.178mmを用い、コーティングの厚さを測定した。試料をフルオロシリコーン剥離ライナーから熱封止性ポリエステル基材に移した。厚さ約0.1mmの乾燥接着剤を有する積層体を得た。
【0075】
別の作業において、ゲル1をポリプロピレン(PP)膜上に約0.2mmのコーティング厚さでキャストした。
【0076】
次に液圧プレスを用いて2つの接着剤膜を押し合った。次にPP膜をゲル1の表面から除去し、経皮送達デバイスの皮膚接触表面を露出した。
(実施例3〜7)
【表1】

【0077】
表1に記載する接着剤をリドカインと混合し、フルオロシリコーン剥離ライナー上にキャストした。ステンレス鋼シム0.152mmを用い、コーティングの厚さを測定した。試料を周囲条件で少なくとも3時間放置して液化し、ヘプタンを除去した。試料をフルオロシリコーン剥離ライナーからポリエステル基材へ移した。厚さ約0.09mmの乾燥接着剤を有する積層体を得た。
【0078】
別の作業において、ゲル1をポリプロピレン(PP)膜上に約0.2mmのコーティング厚さでキャストした。
【0079】
次に液圧プレスを用いて2つの接着剤膜を押し合った。次にPP膜をゲル1の表面から除去し、経皮送達デバイスの皮膚接触表面を露出した。
(実施例8〜13)
【表2】

【0080】
接着剤6及び接着剤4を硝酸エコナゾールと混合し、ポリエステル基材上にキャストした。ステンレス鋼シム0.152mmを用い、コーティングの厚さを測定した。試料を周囲条件で少なくとも3時間放置して液化し、ヘプタンを除去した。厚さ約0.09mmの乾燥接着剤を有する積層体を得た。
【0081】
別の作業において、ゲル1を低密度ポリエチレン(LDPE)膜上に約0.2mmのコーティング厚さでキャストした。これらを完全に硬化するまで約15分間80℃のオーブンに入れた。
【0082】
次に液圧プレスを用いて2つの接着剤膜を押し合った。次にLDPE膜をゲル1の表面から除去し、経皮送達デバイスの皮膚接触表面を露出した。
(実施例14〜16)
【表3】

【0083】
接着剤6をサリチル酸と混合し、ポリエステル基材上にキャストした。ステンレス鋼シム0.152mmを用い、コーティングの厚さを測定した。試料を周囲条件で少なくとも3時間放置して液化し、ヘプタンを除去した。厚さ約0.09mmの乾燥接着剤を有する積層体を得た。
【0084】
別の作業において、ゲル1及びゲル2を低密度ポリエチレン(LDPE)膜上に約0.2mmのコーティング厚さで別々にキャストした。これらを完全に硬化するまで約15分間80℃のオーブンに入れた。
【0085】
次に液圧プレスを用いて2つの接着剤膜を押し合った。次にLDPE膜を硬化したゲル膜の表面から除去し、経皮送達デバイスの皮膚接触表面を露出した。
(実施例17〜19)
【表4】

【0086】
接着剤2をケトプロフェンと混合し、ポリエステル基材上にキャストした。ステンレス鋼シム0.152mmを用い、コーティングの厚さを測定した。試料を周囲条件で少なくとも3時間放置して液化し、ヘプタンを除去した。厚さ約0.09mmの乾燥接着剤を有する積層体を得た。
【0087】
別の作業において、ゲル1を低密度ポリエチレン(LDPE)膜上に約0.2mmのコーティング厚さでキャストした。これらを完全に硬化するまで約15分間80℃のオーブンに入れた。
【0088】
次に液圧プレスを用いて2つの接着剤膜を押し合った。次にLDPE膜をゲル1膜の表面から除去し、経皮送達デバイスの皮膚接触表面を露出した。
【0089】
(実施例20)
上で生成した構造体を、受容体流体(RF)を含有するフランツ型拡散セル上に配置することにより、薬の放出を測定した。受容体流体の完全置換を1時間〜24時間の特定の時間間隔で行った。各間隔での受容体流体中の活性剤の量の推定は背景媒体として受容体流体で紫外(UV)分光光度法を用いて行った。放出の結果を表5に示す。
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外膜層、該外膜層上に塗布された接着剤層、及び該接着剤層上に塗布されたシリコーンゲル接着剤を含む構造体であって、
該接着剤層が、活性成分とブレンドされた非硬化性粘着剤層を含む、構造体。
【請求項2】
前記シリコーンゲル接着剤上に塗布されたライナーが存在する、請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記外膜層が非密封性である、請求項1又は2に記載の構造体。
【請求項4】
前記非硬化性粘着剤がシリコーン、ポリイソブチレン及びその誘導体、アクリル、天然ゴム、天然及び合成ポリイソプレン、ポリブチレン及びポリイソブチレン、スチレン/ブタジエンポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー、ブチルゴム、ハロゲン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、及びポリクロロジエンのような炭化水素ポリマー、並びに、これらの組み合わせから選択される、請求項1又は2に記載の構造体。
【請求項5】
前記非硬化性粘着剤がシリコーンである、請求項1、2又は4に記載の構造体。
【請求項6】
前記シリコーン粘着剤が、(I)シラノール末端ポリジオルガノシロキサンを(II)シラノール含有シリコーン樹脂で架橋した生成物を含む、請求項5に記載の構造体。
【請求項7】
前記ゲルが、(A)10重量%〜90重量%の少なくとも1つのアルケニル置換ポリジオルガノシロキサン、(B)1重量%〜30重量%の少なくとも1つのケイ素結合水素原子を含有するオルガノシロキサン、及び(C)少なくとも1つのSiH基とSi−アルケニル基との反応のための触媒の、反応生成物である、請求項1、2又は4に記載の構造体。
【請求項8】
(D)3重量%〜45重量%のヒドロキシ置換シリコーン樹脂も存在する、請求項7に記載の構造体。
【請求項9】
前記活性物が、トコフェロール(ビタミンE)、パルミチン酸ビタミンA、リドカイン、サリチル酸及び硝酸エコナゾール、レボノルゲストレル、ナイアシンアミド、ニコチン、並びにケトコナゾールから選択される、請求項1、2、4又は7に記載の構造体。
【請求項10】
前記活性物が、アミン及びアミド、ニトリル、シアネート、オキシモ、ニトロソ、ヒドラゾ、アゾ化合物、窒素キレート、硫化物及びチオ化合物、ホスフィン、亜リン酸塩及びリン酸塩、アルコール、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、エステル、並びに不飽和結合を有する有機分子から選択される官能性分子を含有する、請求項1、2、4、又は7に記載の構造体。
【請求項11】
前記粘着剤及び活性剤の重量に対して、1〜80重量%の活性剤が存在する、請求項1、9又は10に記載の構造体。
【請求項12】
前記外膜層は0.15mm未満の厚さを有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項13】
前記粘着剤層が1.5mm未満の厚さを有する、請求項1又は12に記載の構造体。
【請求項14】
前記シリコーンゲル接着剤層が5mm未満の厚さを有する、請求項1、12又は13に記載の構造体。


【公表番号】特表2013−502419(P2013−502419A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525597(P2012−525597)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/044184
【国際公開番号】WO2011/022199
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(590001418)ダウ コーニング コーポレーション (166)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING CORPORATION
【出願人】(511262902)ダウ コーニング フランス エスエイエス (3)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING FRANCE SAS
【Fターム(参考)】