説明

多層色彩効果顔料

【課題】 新規な多層色彩効果顔料を提供する。
【解決手段】 透明な基質、該基質上にある高屈折率材料の層、並びに該第1の層上に交互に存在する低屈折率材料の層および高屈折率材料の層を含み、これらの層の全部の数は少なくとも3の奇数であり、すべての隣接した層は屈折率が少なくとも約0.2だけ異なっており、これらの層の少なくとも一つは他のすべての層と異なった光学的な厚さをもっていて、1/4波長積層構造をもっていない、ことによって特徴づけられる多層色彩効果顔料。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
真珠光沢顔料または真珠層顔料としても知られている色彩効果顔料(effect pigment)は金属酸化物の層で被覆された雲母またはガラスの薄片のような層状の基質を使用することに基礎を置いている。これらの顔料は光を反射および屈折する結果として該金属酸化物の層の厚さに依存して真珠に似た光沢を示し、また干渉色の効果を示すことができる。
【0002】
二酸化チタンで被覆された雲母および酸化鉄で被覆された雲母の色彩効果顔料が市場で最もしばしば見られる色彩効果顔料である。当業界においては金属酸化物が他の材料の上に被覆されている顔料も公知である。
【0003】
高い屈折率をもった材料の被膜を一つだけ含む市販の色彩効果顔料は、材料の間で反射を起こす境界面を二つしかもっていない。従って小板の表面からの反射を起こすことができるのはこれらの二つの材料の境界面(および反射面)だけである。従って入射光のかなりの部分が小板を透過してしまう。このことは顔料に真珠様の外観を生じるには必要なことであるが、色彩効果顔料の他の望ましい性質、例えば光沢、色度、および遮蔽力を減少させる。この結果に対処するために、当業界においては色彩効果顔料を他の顔料と混合するか、或いは色彩効果顔料の上に透明なおよび/または選択的に光を吸収する他の層を加えることが行なわれてきた。
【0004】
従来法として記載された多重被覆色彩効果顔料の例には特許文献1〜4が含まれれる。これらの特許は引用により本明細書に包含される。このようなすべての従来法においては、被覆した各層が干渉を起こすことが期待される波長の1/4の整数倍に等しい光学的な厚さをもっていることが必要である。いわゆる1/4波長積層構造(quarter−wave stack)と呼ばれるこのような構成は広く認められ、薄膜工業における実施条件となっている。この制約のために、可視スペクトルの中の個々のそれぞれの干渉色をつくるためには独特の層の厚さを組み合わせることが必須である。基質は種々の干渉色を表示する組成物すべてに対して共通な唯一の寸法をもっている。
【特許文献1】JP 7−246366。
【特許文献2】WO 98/53011。
【特許文献3】WO 98/53012。
【特許文献4】US 4,434,010。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明においては、1/4波長積層化の方法に固執する必要はなく、この要求を満たさずとも光沢、色度および遮蔽力が実質的に増加した適切な製品を得ることができることが見出だされた。本発明においてはさらに他の多くの利点を実現することができる。
【0006】
従って本発明の目的は、他の色彩効果顔料に比べ改善された光沢、色度および/または遮蔽力をもった新規の多層色彩効果顔料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の概要
本発明は多層色彩効果顔料に関し、特に透明な高屈折率材料の層、および透明な高屈折率材料と透明な低屈折率材料とから成る少なくとも一対の層をその上に有する透明な基質を含み、該層の全部の数は奇数であり、各層はその屈折率が隣接した層と少なくとも約0
.2だけ異なっており、また少なくとも一つの層は光学的な厚さが他のすべての層と異なっており、このようにして該顔料は1/4波長積層構造をなしていないことを特徴とする多層色彩効果顔料に関する。
【0008】
本発明の説明
本発明に従えば、本発明の色彩効果顔料は奇数の層が被覆された透明な基質から構成され、該層の少なくとも一つは他のすべての層とは異なった光学的な厚さを有し、これによって該顔料の1/4波長の積層化を行なう必要がない構成をもっている。
【0009】
本発明においては包み込み得る(encapsulatable)滑らかで透明な小板を基質として使用することができる。使用可能な小板の例には天然品または合成品のいずれをも問わない雲母、カオリン、ガラスの薄片(flakes)等が含まれる。基質は完全に透明な必要はないが、好ましくは少なくとも約75%の透明度をもっていなければならない。小板の形をした基質の大きさそれ自身はあまり厳密でなく、特定の用途に適合させることができる。一般にこの粒子は最も大きな主要寸法が平均で約5〜250ミクロン、好ましくは5〜100ミクロンであり、アスペクト比は約5超である。その比表面積(BET)は一般に約0.2〜25m/gである。
【0010】
基質を包み込む層は交互に高屈折率材料および低屈折率材料から成っている。高屈折率材料はアナターゼ型二酸化チタン、ルチル型二酸化チタン、酸化鉄、二酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、オキシ塩化ビスマス等であることができる。低屈折率材料は二酸化珪素、フッ化マグネシウム、酸化アルミニウム、重合体、例えばポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリジビニルベンゼン等であることができる。隣接した層との屈折率の差が少なくとも約0.2、さらに好ましくは少なくとも約0.6である限り、任意の材料の組合せを選ぶことができる。これらの材料は透明であるが、酸化鉄および酸化クロムのように、吸収成分をもっていることもできる。
【0011】
個々の層は当業界に公知の方法を使用して基質に、また互いに被覆することができる。任意のこのような方法を使用することができる。本発明の利点の一つはゾル−ゲル法を使用して被膜を被覆し得ることである。このような方法は公知であり、薄膜を沈積させるのに広く使用されており、安全で経済的であって広い範囲に亙る実用的な形および大きさの粒子に容易に適用することができる。いくつかの従来法に使用されてきた化学蒸着法は、安全な操業に対する危険性、高価な試薬を使用すること、並びに必要とする下部構造施設および基質の粒径に対する制限のために、非常に多くの負の側面をもっている。モノリス状の(monolithic)ウエッブをベースにした多層被覆法も従来法で使用されてきたが、被膜を被覆した後に顔料粒子が形成されるという欠点があるため、破砕した点で層に不連続性が生じる。またモノリスを破砕した後で大きさによって粒子を分類しなければならないが、本発明においては被覆する前に粒子の大きさを予め決定することができ、一定にすることができる。
【0012】
本発明の他の利点は、基質およびすべての層がかなりの程度の透明度をもっているので、得られた顔料は、見る角度を変えると殆ど全反射から実質的に透明な範囲に亙る角度に依存した独特な反射率を示すことである。従来法の多くの多層被覆顔料は基質として金属の薄片を使用しており、このような金属層は光を透過することができないので、得られる顔料は全体として不透明である。
【0013】
本発明の顔料は1/4波長の積層化を行なわないために、基質の隣にある第1の層は一定の厚さをもつことができ、他の層の厚さを変えることによって望まれるすべての干渉色をつくることができる。
【0014】
3以上の任意の奇数の層を使用することができるが、三つの層が存在した場合実質的な利点が得られることが見出だされたので、三つの層が好適である。
【0015】
低屈折率材料は好ましくはシリカであり、これは他の厚さをもつこともできるが、その厚さは好ましくは約20〜80nm、さらに好ましくは約40〜80nmである。この厚さの場合、シリカのフィルムに固有な、色の経路の角度依存性が最低限度に抑制される。80nmよりも厚い厚さをもつシリカの層は広い範囲に亙る角度に依存した色を生じるが、これは必ずしも望ましいことではない。
【0016】
基質の上の第1の層および最も外側の層は同じであることも異なっていることもできるが、同じであることが好ましく、二酸化チタンであることがさらに好ましい。第1の、即ち最も内側の層が一定の固定した厚さをもち、低屈折率の層が予め定められた厚さをもっている場合、最も外側の高屈折率層はその厚さの結果として干渉色をコントロールするであろう。このように、基質/第1の層/第2の層の組合せは、単に第3の層の厚さを変えるだけですべての干渉色を実現できる普遍的な下塗り層としての役目をする。このような配列において第3の層がチタニアの場合、第3の層の厚さは一般に約40〜250nm、好ましくは約60〜170nmの間で変わる。
【0017】
本発明の製品は真珠光沢顔料が従来使用されてきた任意の用途に使用することができる。即ち本発明の製品はすべてのタイプの自動車用および工業用塗料の用途、特に濃い色が必要とされる有機性の着色被膜およびインクの分野において無限の用途をもっている。例えば、これらの顔料はすべてのタイプの自動車および自動車以外の車輛の噴霧塗装を行うための全体の色調(mass tone)に、あるいはスタイリング剤として使用することができる。同様に、すべての粘土/フォーマイカ(formica)/木材/ガラス/金属/エナメル/セラミックスおよび多孔性および非多孔性の表面の上に使用することができる。本発明の顔料は粉末被覆組成物に使用することができる。これらの顔料は玩具産業または家庭用に適したプラスティックス製品に混入することができる。これらの顔料は繊維の中に含浸させ布地および絨毯に新規な美学的着色を与えることができる。これらの顔料は靴、ゴムおよびビニル/大理石の床、ビニルの側面材、および他のすべてのビニル製品の外観を改善するのに使用することができる。さらにまたこれらの着色剤はすべてのタイプの模型工作の分野に使用することができる。
【0018】
本発明の組成物が使用できる上記の組成物は当業界の専門家には公知である。例としては、インク、爪用のエナメル、ラッカー、熱可塑性および熱硬化性材料、天然樹脂および合成樹脂がある。本発明を限定しないいくつかの例には、ポリスチレンおよびその混合重合体、ポリオレフィン、特にポリエチレンおよびポリプロピレン、ポリアクリル化合物、ポリビニル化合物、例えばポリ塩化ビニルおよびポリ酢酸ビニル、ポリエステルおよびゴム、さらにビスコースおよびセルロースエーテル、セルロースエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、例えばポリグリコールテレフタレートおよびポリアクリロニトリルからつくられる繊維がある。
【0019】
種々の顔料の用途に対する完成度の非常に高い紹介としては、Temple C.Patton編,The Pigment Handbook,第II巻,Applications and Markets,John Wiley and Sons,New
York(1973)参照のこと。さらに、例えばインクに関しては、R.H.Leach編,The Printing Ink Manual,第4版,Van Nostrand Reinhold(International)Co.Ltd.,London(1988),特に282〜591頁;塗料に関しては、C.H.Hare,Protective Coatings,Technology Publishing C
o.,Pittsburgh 1994),特に63〜288頁参照のこと。これらの文献は、インク、塗料およびプラスティックス組成物、および着色剤の量を含めた本発明の組成物を使用できる展色剤についは引用により本明細書に包含される。例えば本発明の顔料は、オフセット平版印刷用インクにおいて10〜15%のレベルで使用され、残りはゲル化したおよびゲル化されていない炭化水素樹脂、アルキッド樹脂、ワックス化合物および脂肪族溶媒を含む展色剤であることができる。またこの顔料は例えば自動車用の塗料組成物において二酸化チタンを含むことができる他の顔料、アクリル性ラテックス(lattices)、癒着剤、水または溶媒とともに1〜10%のレベルで使用することができる。またこの顔料は例えばポリエチレン中のプラスティックスカラー濃縮物の中で20〜30%のレベルで使用することができる。
【0020】
化粧品および人の体の手入れの分野においては、これらの顔料は眼の周辺領域およびすべての外部の用途、および洗落し用の用途に使用することができる。これらはくちびるの領域用に限定される。即ち、毛染め用スプレー、顔用の粉化粧、脚のメーキャップ、防虫用ローション、マスカラ、ケーキ/クリーム、爪用のエナメル、爪用のエナメル除去剤、香料のローション、およびすべてのタイプのシャンプー(ゲルまたは液状)に使用することができる。これに加えて、本発明の顔料は髭剃り用クリーム(エーロゾル用濃縮物、ブラシなし用クリーム、泡立て用)、皮膚の艶出し用のスティック、皮膚のメーキャップ、毛髪の手入れ剤、アイシャドー(液状、ポマード、粉末、スティック、プレスしたものまたはクリーム)、アイライナー、棒状コロン、コロン、コロンの皮膚緩和剤、浴用泡立て剤、ボディーローション(加湿用、洗浄用、鎮痛用、収斂用)、髭剃り後のローション、入浴後の乳剤、および日焼け止めローションに使用することができる。
【0021】
本発明をさらに例示するために本発明を限定しない実施例を下記に掲げる。これらの実施例、並びに本明細書の残りの部分および特許請求の範囲において、特記しない限りすべての割合は重量により、すべての温度は摂氏温度とする。
【実施例1】
【0022】
1リットルのMortonフラスコの中に420mlのイソプロパノール、32mlの蒸溜水、および4mlの29%NHOH水溶液を加える。この溶液を撹拌し、これに300gの白色に反射するTiOを被覆したガラスの薄片の粉末(G130L,Reflecks Pinpoints of Pearl,Engelhard Corporation)を加える。得られた懸濁液を撹拌し、60℃に加熱する。
【0023】
33.2gのテトラエトキシシラン装入物をこの懸濁液に加え、これを18時間撹拌する。次にこの懸濁液を真空下で濾過し、プレスケーキを120℃の乾燥機の中で16時間乾燥する。乾燥生成物の収量は307.4gであり、全体としての色は薄い赤色であるが、これは反応懸濁液中では見えない。
【0024】
加熱器、乾燥機および温度制御装置を備えた2リットルのMortonフラスコの中に、鉱物質を除去した水550mlおよび上記のようにしてつくった被覆されたシリカの中間生成物278gを加える。この懸濁液を撹拌し、pHを1.5に調節し、温度を79℃に設定する。pHを1.5に保ちながら、16.7gの18%SnCl・5HO水溶液を60分間に亙り一定の速度で加え、次いで添加後30分間この懸濁液を上記温度およびpH設定点で撹拌する。pHを1.5に、また温度を79℃に保ちながら、50mlの40%TiCl水溶液を60分に亙って加える。この懸濁液を濾過し、プレスケーキを水ですすぎ、16時間120℃において乾燥する。最終生成物の収量は315gである。
【0025】
最終的にTiOで被覆された生成物の少量の部分(5g)を20分間カ焼する。120℃で乾燥した生成物および600℃でカ焼した生成物の両方を、ニトロセルロース・ラ
ッカーの中に12%含むドローダウン(drawdown)として、単一被覆の原料(G130L,Engelhard Corporation)と比較する。すべての試料の反射率を視覚的なおよび機器を用いる両方の方法で評価する。二つの被膜をさらに被覆することによりG130Lの原料に対して大きな反射率が与えられる。
【実施例2】
【0026】
2リットルのMortonフラスコの中に900mlのイソプロパノール、190mlの蒸溜水、および17mlの29%NHOH水溶液を加える。この溶液を撹拌し、これに300gの白色に反射するTiOを被覆した雲母の粉末(Timica SparkleTM,110P,Engelhard Corporation)を加える。
【0027】
176.8gのテトラエトキシシラン装入物をこの60℃の懸濁液に加え、これを18時間撹拌する。次にこの懸濁液を真空下で濾過し、プレスケーキを120℃で16時間乾燥する。シリカが被覆した生成物の収量は355gである。この材料は全体として薄い赤の反射色を示すが、これは反応懸濁液中では見えない。
【0028】
加熱器、乾燥機および温度制御装置を備えた3リットルのMortonフラスコの中に、鉱物質を除去した水1000mlおよび上記の被覆法で得たシリカが被覆された中間生成物150gを加える。一定速度で撹拌しながら、この懸濁液を74℃に加熱し、pHを1.6に調節する。pHを1.6に保ちながら、次に23.5gの18%SnCl・5HO水溶液を15分間に亙り懸濁液に圧入する。添加後30分間この懸濁液を撹拌する。
【0029】
上記の試薬を加える間の懸濁液の温度、撹拌速度およびpHを上記の値に保ちながら、40%のTiCl水溶液を毎分0.65mlの速度で懸濁液に加える。この添加を行なう間、懸濁液の少量部分を黒色のガラス板の上に広げ、顔料の小板の光沢および色を監視する。100mlのTiCl水溶液を加えた後、依然として粒子の光沢は増加しないが、添加を終了し、懸濁液を濾過し、生成物を120℃で乾燥する。生成物の収量は170gである。この製品を、ニトロセルロース・ラッカー中に顔料を3%含むドローダウンとして、単一被覆の原料(Timica Sparkle)と比較する。乾燥した塗料は原料に比べて光沢が劣っており、甚だしい粒子の凝集を示す。
【実施例3】
【0030】
420gの酸化鉄を被覆した硼珪酸塩の薄片(G270L,REFLECKSTM Blazing Bronze,Engelhard Corporation)、590mlのイソプロパノール、45mlの水、および5.6mlの29%NHOH水溶液からなるスラリを反応器中で60℃に加熱し撹拌する。次に、46.5gのテトラエトキシシランをこのスラリに加え、その温度で20時間撹拌する。スラリを真空下で濾過し、生成物を135℃で24時間乾燥し、432.2gの生成物を得る。上記シリカを被覆した生成物416gを水756ml中に含むスラリを反応器中で撹拌して79℃に加熱する。このスラリのpHを1.5に調節する。10%のNaCO水溶液でpHを1.5に保ちながら、SnCl・5HOを8.93g含む水溶液を2時間に亙ってスラリの中に圧入する。添加終了後、スラリの温度を82℃に上げ、10%のNaCO水溶液でpHを3.0に調節する。10%のNaCO水溶液でpHを3.0に調節しながら、39%のFeCl水溶液を0.4g/分の速度で圧入する。鉄の溶液を81.8g加えた後添加を終了し、次いでスラリを真空下で濾過し、プレスケーキを水洗した後、650℃において90分間カ焼する。
【0031】
ニトロセルロース・ラッカー中に12%の粉末を含むドローダウンとしてカ焼した生成物および基質の酸化鉄を被覆したガラスの薄片の両者を比較する。カ焼した生成物は基質
の材料に比べ優れた反射性および色度をもった青銅色の色調を示す。
【実施例4】
【0032】
420gの二酸化チタンを被覆した硼珪酸塩の薄片(G130L,REFLECKSTM Pinpoints of Pearl,Engelhard Corporation)、590mlのイソプロパノール、45mlの水、および5.6mlの29%NHOH水溶液からなるスラリを反応器中で60℃に加熱し撹拌する。次に、46.5gのテトラエトキシシランをこのスラリに加え、その温度で20時間撹拌する。スラリを真空下で濾過し、生成物を135℃で24時間乾燥し、432.2gの生成物を得る。上記シリカを被覆した生成物416gを用いこれを水756ml中に含むスラリをつくり、反応器中で撹拌して79℃に加熱する。このスラリのpHを1.5に調節する。10%のNaCO水溶液でpHを1.5に保ちながら、SnCl・5HOを8.93g含む水溶液を2時間に亙ってスラリの中に圧入する。添加終了後、スラリの温度を82℃に上げ、10%のNaCO水溶液でpHを3.0に調節する.10%のNaCO水溶液でpHを3.0に調節しながら、39%のFeCl水溶液を0.4g/分の速度で圧入する。鉄の溶液を81.8g加えた後添加を終了し、次いでスラリを真空下で濾過し、プレスケーキを水洗し、次いで650℃において90分間カ焼する。
【0033】
ニトロセルロース・ラッカー中に12%の粉末を含むドローダウンとして、カ焼した生成物および基質の酸化鉄を被覆したガラスの薄片の両者を比較する。カ焼した生成物は基質の材料に比べ優れた反射性および色度をもった青銅色の色調を示す。
【実施例5】
【0034】
下記のデータは、厚さ1ミクロンのガラスの基質を使用し、本発明の顔料に対する薄膜モデル化のソフトウエアを用いて行なったシミュレーションによって得たデータである。最初の行は実施例1記載のようにしてつくられた白色真珠色の試料を表す。
【0035】
【表1】

【実施例6】
【0036】
下記の材料を十分に配合し分散させて本発明の顔料から粉末状のアイシャドーをつくることができる。
【0037】
成分 重量部
Mearltalc TCA(R) (タルク) 18
Mearlmica(R) SVA (雲母) 20
ミリスチン酸マグネシウム 5
シリカ 2
Cloisonne(R) Red 424C 20
(赤色のTiO−被覆雲母)
Cloisonne(R) Violet 525C 13
(紫色のTiO−被覆雲母)
Cloisonne(R) Nu−Antique 2
Blue 626CB(TiO−被覆雲母/酸化鉄被覆雲母)
Cloisonne(R) Cerise Flambe 550Z 2
(酸化鉄被覆雲母)
防腐剤および酸化防止剤 適量

次に、7部のパルミチン酸オクチルおよび1部のネオペンタン酸イソステアリルを加熱し、均一になるまで混合し、この時点において得られた混合物を該分散物の中に噴霧して加え、配合を続ける。配合された材料を粉末にした後、5部のCloisonne(R)
Red 424Cおよび5部の本発明の顔料を加え、均一な粉末状のアイシャドーが得られるまで混合する。
【実施例7】
【0038】
下記の成分を下記の量で加熱した容器の中に入れ、85±3℃に温度を上昇させることにより顔料を配合して棒状の口紅にすることができる。
【0039】
重量部
キャンデリア蝋 2.75
カルナウバ蝋 1.25
蜜蝋 1.00
セレシン蝋 5.90
地蝋 6.75
微結晶ワックス 1.40
オレイルアルコール 3.00
パルミチン酸イソステアリル 7.50
イソステアリン酸イソステアリル 5.00
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド 5.00
ビス−ジグリセリルポリアルコールアジペート 2.00
アセチル化されたラノリンアルコール 2.50
ソルビタントリステアレート 2.00
アロエ・ベラ(Aloe Vera) 1.00
ひまし油 37.50
Red 6 Lake 0.25
酢酸トコフェリル 0.20
フェノキシエタノール、イソプロピルパラベン、
およびブチルパラベン 1.00
酸化防止剤 適量

次に13部の本発明の顔料および1部のカオリンの混合物を加え、すべての顔料が十分分散するまで混合する。必要に応じ香料を加え撹拌しながら混合する。得られた混合物を
75±5℃において型に注ぎ、冷却し、焔で処理して棒状の口紅にする。
【0040】
本発明の精神および範囲を逸脱することなく本発明の製品および方法に対し多くの変形および変更を行うことができる。本明細書において開示された種々の具体化例は本発明をさらに例示する目的のためであって、本発明を限定する意図をもつものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層の色彩効果顔料であって、該顔料は
透明な高屈折率材料の一つの層をその上に有する透明な基質、および
一つが高屈折率材料であり他の一つが低屈折率材料である少なくとも一対の透明な層を含んで成り、ただし、該高屈折率材料は二酸化チタンであり、該低屈折率材料は約40〜80nmの厚さを有する二酸化珪素である、
該層の全部の数は奇数であり、各層はその屈折率が隣接した層と少なくとも約0.2だけ異なっており、また少なくとも一つの層は光学的な厚さが他のすべての層と異なっており、このようにして該顔料は1/4波長積層構造をなしていないことを特徴とする多層色彩効果顔料。
【請求項2】
層の全部の数は3であり、基板に対して最外層の二酸化チタン層がその他の二酸化チタン層よりも厚さが大きい、請求項1記載の多層色彩効果顔料。
【請求項3】
最外層の二酸化チタン層の厚さが約60〜170nmである、請求項1記載の多層色彩効果顔料。

【公開番号】特開2012−237003(P2012−237003A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−173888(P2012−173888)
【出願日】平成24年8月6日(2012.8.6)
【分割の表示】特願2006−536530(P2006−536530)の分割
【原出願日】平成16年1月12日(2004.1.12)
【出願人】(308009565)バスフ・カタリスツ・エルエルシー (10)
【Fターム(参考)】