説明

多層複合体

本開示の或る特定の実施の形態によれば、多層電界紡糸複合体を製造する方法が提供される。本方法は、少なくとも約50000cPsの粘度を有する、高分子ナノファイバ、繊維化ポリマー及び溶媒の分散液を形成することを含む。分散液から第1のePTFE層上にナノファイバを電界紡糸する。第2のePTFE層をナノファイバ上に施して、複合構造体を形成する。複合構造体を加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、出願日が2009年8月7日の米国仮特許出願第61/232,252号(参照により本明細書中に援用される)に対する優先権に基づくものであり、またこれを主張するものである。
【背景技術】
【0002】
連続繊維へのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の静電紡糸は、複数の他の用途及び形態の可能性を有する不織シート、管及びコーティングの形成を可能なものとする。静電紡糸プロセスは、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6及び特許文献7(これらはそれぞれ参照により本明細書に援用される)によって代表されるような文献及び特許(patenture)においてよく知られている。これらの特許の大半は、可溶性ポリマー又は熱可塑性樹脂に関連するものであり、いずれも、事実上不溶性のポリマー、すなわち高温に加熱しても容易に流れないポリマーによる繊維又はマットの形成に直接関連するものでない。文献及び特許の検討から、限られた可溶度及び加熱しても容易に流れないという特性を満たすポリマー、例えばPTFEを、様々な構造へと静電紡糸するのに好適な繊維にするこができるプロセスについての言及が限られていることは明らかであった。特許文献8及び特許文献9(共に、参照により本明細書中に援用される)は、水分散液又は他の分散液からのPTFEのプロセス加工及び静電紡糸に関連付けられる情報を提示している。
【0003】
しかしながら、このような従来プロセスは幾つかの欠点を有する。このようなプロセスは、均一又は粘稠性の繊維の形成をもたらさない低粘度PTFE分散液(15000cPs)の使用を記載している。さらに、このようなプロセスは、接地された紡糸ヘッド(grounded spinning head)及び帯電ターゲットの使用を記載している。観測結果は、逆極性によって生じる、サンプルの様々なレベルの低下を示す。従来プロセスはまた、焼結時のマットの収縮に適応することができない。
【0004】
このため、上記欠陥に対処するプロセスの必要性が存在している。また、このようなプロセスから生成される材料は特に有益であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第2,158,416号
【特許文献2】米国特許第4,432,916号
【特許文献3】米国特許第4,287,139号
【特許文献4】米国特許第4,143,196号
【特許文献5】米国特許第4,043,331号
【特許文献6】米国特許第4,689,186号
【特許文献7】米国特許第6,641,773号
【特許文献8】米国特許第4,323,525号
【特許文献9】米国特許第4,044,404号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の或る特定の実施の形態によれば、多層電界紡糸複合体を製造する方法が提供される。本方法は、少なくとも約50000cPsの粘度を有する、高分子ナノファイバ、繊維化ポリマー及び溶媒の分散液を形成することを含む。分散液から第1のePTFE層上にナノファイバを電界紡糸する。第2のePTFE層をナノファイバ上に施して、複合構造体を形成する。複合構造体を加熱する。
【0007】
本開示の他の実施の形態では、多層電界紡糸複合構造体を製造する方法が開示される。本方法は、少なくとも約50000cPsの粘度を有し、かつ高分子ナノファイバと、繊維化ポリマーと、溶媒とを含む分散液を、ePTFE層の第1の側面上に電界紡糸することを含む。本方法は、少なくとも約50000cPsの粘度を有し、かつ高分子ナノファイバと、繊維化ポリマーと、溶媒とを含む分散液を、ePTFE層の第2の側面上に電界紡糸して、複合構造体を形成することを更に含む。複合構造体を加熱する。
【0008】
本開示の更に他の実施の形態では、多層電界紡糸複合構造体を製造する方法が記載される。本方法は、少なくとも約50000cPsの粘度を有する、高分子ナノファイバ、繊維化ポリマー及び溶媒の分散液を形成することを含む。分散液から第1のePTFE層上にナノファイバを電界紡糸する。ナノファイバ上に基板を施して、複合構造体を形成する。複合構造体を加熱する。
【0009】
精力的な研究を通じて、本発明者らは、ePTFE膜に施す場合に、PTFE等の電界紡糸された材料が、電界紡糸された材料の更なる用途、形態及び使用を構成することを求めた。さらに、本発明者らは、層中でePTFE膜及び/又は他の基板と組み合わせた場合、電界紡糸された広範な材料が、新たな固有の特性を有する複合膜構造体を作り出し得ることを求めた。
【0010】
本開示の他の特徴及び態様は以下でより詳細に述べる。
【0011】
当業者を対象とする、それらの最良の形態を含む、権限を有する全ての開示は、添付の図面について言及する本明細書の後半で、より詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本開示による多層複合構造物のSEM画像である。
【図2】本開示による多層複合体の断面図である。
【図3】本開示による多層複合体の断面図である。
【図4】本開示による多層複合体の断面図である。
【図5】本開示による多層複合体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで、以下に記載する、開示内容の様々な実施形態、1つ又は複数の実施例について詳細に言及する。各実施例は、開示内容の限定ではなく開示内容の説明として提示するものである。実際、本開示の範囲又は精神を逸脱しない限り、様々な変更及び変形がなされ得ることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として説明又は記載される特徴を、別の実施形態において使用して、更なる実施形態をもたらしてもよい。このため、本開示は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内となるような変更形態及び変形形態を網羅することが意図される。
【0014】
本発明は、1つ又は複数の膨張ポリテトラフルオロエチレン(本明細書中、「ePTFE」とも称する)膜に取り付けられる、1つ又は複数の電界紡糸(本明細書中、「イースピン(espin)」及び/又は「イースピンされた(espun)」及び/又は「イースピニング(espinning)」とも称する)膜を備える多層複合体に関する。或る特定の実施形態では、イースピン膜は、ポリテトラフルオロエチレン(本明細書中、「イースピンPTFE」とも称する)を含み得るが、多くの他の好適な材料をイースピンしても、またこのようなイースピンPTFEに加えて又はこれと組み合わせて使用してもよい。例えば、本開示に従ってイースピンされ得る他の好適な材料としては、ナイロン、ポリウレタン(PU)、ポリエステル、フッ化エチレンプロピレン(FEP)等が挙げられる。溶液中に入れられ得るポリマーは、イースピンされる可能性がある。分散液中に作られ得るポリマー粒子(例えば、PTFE、FEP等)もイースピンされる可能性がある。分散液(イースピンされたPTFE)は、所望の特性を発現するように焼結しなければならないが、溶液からイースピンされる多くのポリマーは、紡糸及び乾燥中にそれらの特性を発現する。イースピン層(複数可)の連結は焼結中に起こり得る。
【0015】
例えば、或る特定の実施形態において、イースピンPTFE層及びePTFE層中に存在する高分子量のポリテトラフルオロエチレンは、焼結温度で溶融するものの、流れない。このため、各々の層中に存在するPTFEは、隣接する層の間に物理的結合を形成する可能性がある。より密接に接触させるような層の圧縮が有益である。多層複合体は、医療用途、工業用途、濾過用途、軍事用途及び消費者用途において特に有用である。
【0016】
特に好ましいePTFEは通気性の膨張膜である。本発明を明示するための例示的な膜は、米国特許第4,902,423号(参照により本明細書中に援用される)に記載されている。別の例示的な膜は、米国特許第3,962,152号(参照により本明細書中に援用される)に記載されている。
【0017】
多数の配置が本開示によって考えられる。例えば、構造物は、本明細書中に記載される材料の二層複合体又は多層複合体であり得る。
【0018】
図2には、本開示による多層複合体の断面が示されている。複合体は、ePTFE層1と、イースピン層2とを備える。図1は、イースピン層がイースピンPTFEであるような多層複合体のSEM画像を示す。このような配置の利点は非対称性の流れ構造を含み、そのため孔径を制御することができる。加えて、イースピン材料の存在によって、後続の層への複合体の付着の改善がもたらされ得る。重要なことは、イースピン材料によって、ePTFE表面特性の改質ももたらされ得ることである。
【0019】
図3には、本開示による多層複合体の別の断面が示されている。複合体は、ePTFE層1と、イースピン層2と、ePTFE層1とを備える。イースピン層2が、ePTFE層1の間に挟持される。このような配置は、複合体の機械的特性を要望通りに改質させる。例えば、材料の復元を圧縮後に改善することができる。イースピン材料の選択を、層の間の結合特性を改善するように調節することもできる。これに関連して、付着能を有する任意のイースピンされた材料が、層をひとつに結合するように作用し得る。イースピンされたPTFEは、ePTFE層をひとつに結合するように作用し得る。イースピンされたPUも、ePTFE層をひとつに結合することができる。或る特定の実施形態では、結合特徴を発現させるのにイースピンされたPTFEを385℃に加熱しなければならないのに対し、PU等の材料はかなり低い温度で結合状態を作り出すことができる。
【0020】
本開示の更に別の実施形態では、イースピン層2、ePTFE層1及びイースピン層2の断面図を図4として示している。ePTFE層1が、イースピン層2の間に挟持される。このような構造物の利点は、a)必要に応じた、複合構造物へのより良好な付着、b)複合体の表面機能性の変化、c)細胞内方成長(cellular in−growth)及び応答の操作、並びにd)他の材料の侵入の改善のための多孔度の増大を含む、イースピン層全体の表面特性の調整を含む。
【0021】
図5は、本開示による多層複合構造物の断面の更に別の実施形態を示す。複合体は、基板層3と、イースピン層2と、ePTFE層1とを備える。基板層としては、天然繊維又は人工繊維の織布及び不織布、プラスチック膜又はセラミック膜、金網、セラミック網及びプラスチック網等が挙げられ得る。例えば、金属ステントが金網の一種である。このような構造物は、頑健性及び耐久性が増大された構造を可能にすると共に、多孔性、通気性、及び多孔質材料の他の望ましい特性を維持する。複合体は、他の多孔質基板の織布又は不織布に、熱又は接着により結合させることができる。このような複合体はまた、孔径分布の改善及び耐久性の改善をもたらし、これらは、破片及び微粒子が高速で媒体表面に接触してくる濾過用途に極めて有益であり得る。加えて、濾過全効率が、微細構造のイースピン繊維交絡の結果として改善され得る。
【0022】
電界紡糸層は好ましくは、当業者に理解される電界紡糸法により膜に直接施されるが、機械的なニップ又は積層を用いて施すこともできる。これらの後者の技法は、電界紡糸層を第2の材料層上にプレスすること、及び相補的な温度(complimentary temperature)に加熱することを含む。プレス技法は、フラットプレスローラ又は機械的なニップローラを使用してもよい。
【0023】
特性及び特徴は不織布及び膜の両方をまとめたものである。複合体は、繊維、ノード及びフィブリルのサイズの制御、並びに結合強度、伸長特性及び引張強度等の機械的な値の操作を伴って調製することができる。
【0024】
複合体の特性及び特徴は、基板層、イースピン層及びePTFE層の個々の特性をまとめたものであり得る。複合体は、最終複合体における、繊維、ノード及びフィブリルのサイズの制御、並びに結合強度、伸長特性及び引張強度等の機械的な値の操作を伴って調製することができる。
【0025】
多層の典型的な構造物は、約0.032インチ〜約80インチの幅で、全厚約0.0001インチ〜約0.25インチの範囲の厚みを生じ得る。個々の層は、約0.0001インチから約0.25インチで変動する厚みを有し得る。最終材料のサイズは、複合体がシートとして又は連続するロール長さの管として作製することができるため、大いに変動する。複合体のノード間距離(IND)は、約20%〜90%の範囲の多孔度で、約0.1μm〜約200μmであり得る。ASTM F316(参照により本明細書中に援用される)によって定義される孔の構造は、約0.05μm〜約50μmの範囲をとり得る。複合体の構成に起因して、IND、孔径及び多孔度は、構成に応じて複合体の断面内において層毎に様々な値をとり得る。一例は、孔のサイズが、媒体にわたる表面から表面までの層評価に基づき、大きいものから小さいものへと変化する非対称性の構造物であると考えられる。
【0026】
本開示の或る特定の実施形態において、本方法は、集められた繊維状マットを、十分な生強度を有する形態へとプロセス加工することを助けるために、約10重量%〜85重量%のPTFE固体の分散液又は懸濁液を必要とし得る。しかしながら、上記のように、他の好適なポリマーをイースピン分散液に利用することができる。分散液中の固形分が小さすぎると、得られる材料に対する機械的完全性が全く又はほとんど存在しないであろう。次に、紡糸される溶液、懸濁液又は分散液の粘度を増大させるのに用いられるポリマーの選択は、慎重に行わなければならない。
【0027】
加えて、イースピン層を焼結又は結合する場合、材料を適切に焼結するように温度を選択して、得られる製品が良好な機械的完全性を有することを確実なものとする必要がある。
【0028】
不織イースピンPTFE材料を生成するために、狭い粒径分布のPTFE粉末を、水分散液中に入れる。粒径は好ましくは約0.05μm〜0.8μmであると考えられる。約1wt%〜10wt%の繊維化ポリマーを、一定容量のPTFE水分散液に添加する。繊維化ポリマーは、水への溶解度が高くなければならず、約0.5wt%より大きい溶解度が好ましい。繊維化ポリマーを約400℃で焼結する場合、繊維化ポリマーは約5wt%未満の灰分を有することが好ましく、更に小さいものがより好ましい。それに限定されることはないが、特に好ましい繊維化ポリマーとしては、デキストラン、アルギン酸塩、キトサン、グアーガム化合物、デンプン、ポリビニルピリジン化合物、セルロース性化合物、セルロースエーテル、ポリアクリルアミド水和物、ポリアクリレート、ポリカルボキシレート、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、ポリ乳酸、ポリメタクリル酸、ポリイタコン酸、ポリ2−ヒドロキシエチル(hydoxyelthyl)アクリレート、ポリ2−ジメチルアミノエチルメタクリレート−アクリルアミド共重合体、ポリn−イソプロピルアクリルアミド(amde)、ポリ2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、ポリ(メトキシエチレン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアルコール)12%アセチル、ポリ(2,4−ジメチル−6−トリアジニルエチレン)、ポリ(3−モルホリニルエチレン)、ポリ(N−1,2,4−トリアゾリルエチレン(triazolyethylene))、ポリ(ビニルスルホキシド)、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(N−ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体)、ポリ(g−グルタミン酸)、ポリ(N−プロパノイルイミノエチレン)、ポリ(4−アミノ−スルホ−アニリン)、ポリ[N−(p−スルホフェニル)アミノ−3−ヒドロキシメチル−1,4−フェニレンイミノ−1,4−フェニレン)]、イソプロピルセルロース、ヒドロキシエチル、ヒドロキシルプロピルセルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、アルギン酸アンモニウム塩、i−カラギーナン、N−[(3’−ヒドロキシ−2’,3’−ジカルボキシ)エチル]キトサン、コンニャクグルコマンナン(glocomannan)、プルラン、キサンタンガム、ポリ(アリル(ally)アンモニウムクロリド)、ポリ(アリルアンモニウムホスフェート)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(ジメチルドデシル(2−アクリルアミドエチル(ehyly))アンモニウムブロミド)、ポリ(4−N−ブチルピリジニウムエチレンヨウ素)、ポリ(2−N−メチルピリジニウムメチレンヨウ素)、ポリ(N−メチルピリジニウム−2,5−ジイルエテニレン)、ポリエチレングリコールポリマー及びコポリマー、セルロースエチルエーテル、セルロースエチルヒドロキシエチルエーテル、セルロースメチルヒドロキシエチルエーテル、ポリ(1−グリセロールメタクリレート)、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート/メタクリル酸)90:10、ポリ(2−ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリ(2−メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムブロミド)、ポリ(2−ビニル−1−メチルピリジニウムブロミド)、ポリ(2−ビニルピリジンN−オキシド)、ポリ(2−ビニルピリジン)、ポリ(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル−メタクリルオキシエチルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(4−ビニルピリジンN−オキシド)、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリ(アクリルアミド/2−メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムブロミド)80:20、ポリ(アクリルアミド/アクリル酸)、ポリ(アリルアミン塩酸塩)、ポリ(ブタジエン/マレイン酸)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(アクリル酸エチル/アクリル酸)、ポリ(エチレングリコール)ビス(2−アミノエチル)、ポリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)−ビスフェノールAジグリシジルエーテル付加体、ポリ(エチレンオキシド−b−プロピレンオキシド)、ポリ(エチレン/アクリル酸)92:8、ポリ(l−リシン臭化水素酸塩)、ポリ(l−リシン臭化水素酸塩)、ポリ(マレイン酸)、ポリ(n−ブチルアクリレート/2−メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムブロミド)、ポリ(N−イソ−プロピルアクリルアミド)、ポリ(N−ビニルピロリドン/2−ジメチルアミノエチルメタクリレート)、第四級ジメチルスルフェート(dimethyl sulfatequaternary)、ポリ(N−ビニルピロリドン/酢酸ビニル)、ポリ(オキシエチレン)ソルビタンモノラウリン酸塩(Tween 20(登録商標))、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(ビニルアルコール)、N−メチル−4(4’−ホルミルスチリル)ピリジニウム、メトスルフェートアセタール、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルアミン)塩酸塩、ポリ(ビニルホスホン酸)、ポリ(ビニルスルホン酸)ナトリウム塩、ポリアニリン、及びそれらの組合せを挙げることができる。しかしながら、また、かかる繊維化ポリマーは、他のポリマーイースピン分散液との併用についても熟考される。
【0029】
特に好ましい繊維化ポリマーは、約50000amu〜4000000amuポリエチレンオキシドの分子量を有するポリエチレンオキシドである。混合後、PTFE及び繊維化ポリマー分散液は好ましくは均質化される。特に好ましい方法では、撹拌しなくともポリマー溶液が徐々に生成され、その後、ジャーローラ(ajar roller)に移し、さらに数日間一定速度でそれを回転させる。本開示は、より均一で粘稠性の繊維の形成及びより速い構築を提供するために、50000cPsを超える分散液の使用を考慮する。得られる高粘性の混合物中に空気がほとんど捕捉されない均一な溶液を作り出すことが好ましい。分散液が均一な粘稠度を有すれば、任意の集塊又はゲルを除去するためにそれを濾過することが好ましい。所望の粘度を有する濾過された分散液はその後、電荷源として作用する導体素子が固定された制御ポンプ装置に充填される。
【0030】
特に好ましい導体素子は、1つ又は複数の開口を有するものである。開口サイズは好ましくは、直径約0.01mm〜3.0mmであるが、それらに限定されない。ポンプ装置からの放出体積は、作られる形態及び所望の繊維直径に応じて決まる既定の速度に設定される。電荷源は好ましくは、精密DC電源の正極側に接続される。電源の負極側は好ましくは、集束表面又は収集ターゲットに接続される。極性は逆転させてもよいが、これは好ましくない。
【0031】
表面は、ドラム、素子又はシートであり得る。表面は、金属、セラミック又は高分子材料であってもよく、特に好ましい材料は、ステンレス鋼、コバルトクロム、ニッケルチタン(ニチノール)及びマグネシウム合金から選択される。電源の電圧は、ポリマー/PTFE溶液を均一に引き出すような所望の電圧まで上昇させる。
【0032】
印加電圧は通常、約2000ボルト〜80000ボルトである。電源の接続によって誘起される電荷は、帯電ポリマーを電荷源から離し、集束表面にそれらを引き寄せる。
【0033】
収集ターゲットは、好ましくはポンプシステム及び開口システムに垂直に入れて、少なくとも一方向に動かす結果、ターゲット方向に引っ張られる繊維により全面が均一に覆われる。集束表面が十分に覆われたら、材料を、適所で、集束表面全体を炉内に入れることによって、又は集束表面からシート、管若しくは他の形態を除去して、炉内でそれを焼結することによって、硬化、焼結及び乾燥する(これは、同時に又は一連の工程で起こり得る)ことが好ましい。
【0034】
イースピン布地を焼結させると収縮を受けることは、当業者によく知られている。任意の理論に限定されるものではないが、収縮は、二段階で起こると考えられる。初めに、紡糸された状態の繊維及び布地が、前述のように水及び繊維化ポリマーを共に含有する。紡糸が完了すると、サンプルが乾燥し、低度の繊維の再配置を受ける。その後、繊維及び布地を約35℃〜約485℃の温度に或る一定時間曝すことによってサンプルを加熱する。
【0035】
収縮に適応させるために、繊維及び布地を、膨張構造上に紡糸させてもよい。該構造はその後、取り除くか又は縮小させることができる。イースピン層の焼結中、亀裂が生じることなく、布地がより小さいサイズに収縮する。別の方法は、構造上に繊維及び布地を紡糸することを伴い、その後焼結前又は焼結中に膨張及び/又は縮小し得る。縮小又は膨張及び縮小の範囲は約3%〜100%程度であり、電着布地の厚み及びサイズに応じて決まる。代替的には、イースピン層を、焼結中に縮小する表面上に配置することができる。
【0036】
1枚の布地について、堆積方向が、布地の平面に対して垂直になるように与えられる場合、縮小又は膨張/縮小は、布地平面における少なくとも1方向又は複数方向に起こるはずである。円柱状表面上に堆積される布地では、布地が放射状に及び/又は長軸方向に縮小又は縮小/膨張されるはずである。球状表面では、布地が放射状に縮小又は縮小/膨張されるはずである。縮小及び/又は膨張/縮小のこれらの基本概念は、それが紡糸された表面の形状とは無関係に、任意の電界紡糸された布地に適応され得る。このため、イースピン布地をベースとした極めて複雑な布地形状が可能となる。
【0037】
イースピン層は好ましくは繊維状のものである。特に好ましいイースピン繊維は、少なくとも0.1μmの直径を有する。特に好ましい実施形態では、焼結後に、製品が、接触点間に0.1μm〜50μmの範囲の距離が存在するような密度で堆積される繊維を有する。
【0038】
本開示は、以下の実施例を参照してより理解することができる。
【実施例】
【0039】
以下の一般指針は、様々なePTFE及びイースピン複合構造物の本明細書中に記載されるプロセス処理の例に使用するものである。
1.イースピンPTFEの実施形態において、分散液の粘度は、PEOとPTFEとの比率を変えることなく、水の添加又は分散液からの水の除去によって変更し得る。
2.放射状に膨張されたePTFE管又は二軸延伸シートを、丸みのあるベースプレート又は平らなベースプレート上に設置して、所望の幾何学的形状を形成する。
3.イースピンポリマー層を、所望の厚み、通常約0.5μm〜1000μmで、ePTFE上又は後にePTFE膜に結合させる表面上に施して、複合構造体をもたらす。
4.ePTFEに湿潤させたイースピンコーティングを施すと、次のプロセスへと移る前にそれが乾燥する。しかしながら、それを単一のイースピンシートとしてプロセス処理して、乾燥させると、それは多孔質の配向ePTFE層に結合するであろう。材料間の結合プロセスは、所望の多層複合構造体が作り出されるまで複数回繰り返すことができる。
5.ePTFE/イースピン複合体をその後、焦げ付き防止用剥離フォイル(non−sticking release foil)で覆う。
6.複合体をベースツールに対して配置した後に、フォイルの表面に圧力をかけることによって、結合プロセスを促す。
7.複合構造物を、約35℃〜約485℃の温度の炉内に入れ、全材料をひとつに結合させる。結合温度の選択は材料の選択に基づく。
8.炉から一部を除去し、毎分約15度〜毎分25度の速度で冷却させたら、その覆いを外して、特定の特性について試験する。
【0040】
実施例1:
I型構造物:ePTFE/イースピンPTFE:
80μm厚のステンレス鋼(SS)シート46cm×36cmを、回転ドラムの周りに巻き付けた。ドラムアセンブリが、旋回するドラムアセンブリの長さ全体に沿ってイースピンする位置に据えられるように、ドラムアセンブリを回転チャックに設置した。
【0041】
4.2%の(PEO/PTFE)、300000amuポリエチレンオキシド、及びDaikin D210 60%PTFE分散液の混合物をベースとしたおよそ80500cPsのイースピニング分散液は、均質化させた後に、旋回及び濾過させて、滑らかな粘稠性を実現しており、これを、21ゲージ針を取り付けた10ml容のプラスチックシリンジに入れた。シリンジは、KD Scientific Model 780200Lシリンジポンプに入れ、0.5ml/時間のポンプ流量に設定した。針先は、回転するドラムアセンブリからおよそ13cmの位置に合わせた。ドラムアセンブリの回転はおよそ30rpmとした。ドラムの長さに沿って3.0mm/秒の移動速度でイースピニング針を動かすような横送り(traverse)を用いた。横送りにかかるリターンポイントはSSシートの端部に設定した。10.0kVの電圧を使用した。PTFEをドラム上にこれらの条件下で60分間電界紡糸させると、およそ40μm(焼結後に堆積させた状態)厚のPTFE繊維被覆が得られた。PTFE膜を含有するシートをドラムから取り外して一晩乾燥させた。
【0042】
10μm〜30μmのノード間距離(intermodal distance)(IND)、34μmの厚み、及び3μm未満のバブルポイントを有する、二軸(Biax)膨張されたおよそ35cm×40cmのePTFEシートを、46cm×36cmステンレス鋼シート上に設置して、中心を合わせた。
【0043】
その後、乾燥させたイースピンPTFE膜を保持するSSシートを、ePTFE膜を保持するSSシート上に直接位置合わせし、2つのシートを、ePTFE膜及びイースピンPTFE膜を密接に接触させるように合わせた。SSフォイル/ePTFE/イースピンPTFE/SSフォイル構造をその後、3インチの内径のステンレス鋼管上に巻き付けて、アセンブリを作った。次に、アセンブリ全体の周囲に密接に施される5つのラップの焼結されていない40μm厚のePTFE膜においてアセンブリ全体を巻き付けた。その後、これを385℃の炉内に15.5分間入れた。焼結温度及び焼結時間は、複合体の厚み及び基本重量に応じて様々な値をとり得る。焼結後、アセンブリを炉から取り出し、冷却空気箱に入れて30分〜60分間冷却させた。冷却後、ePTFE膜を開き、イースピン/ePTFE複合体の中心から22cm×28cm部分を取り出した。
【0044】
実施例2〜実施例6:
I型構造物:ePTFE/イースピンPTFE:
実施例2〜実施例6は、実施例1から変更して同様に行い、表Iに示される。概して、平均孔径直径の主な予測因子はePTFE膜のINDである。しかしながら、孔径はまた、圧力が大きいほどより小さい孔径をもたらすという、実施例1及び実施例4の複合体の厚みの比較によって示されるような、焼結中に複合体に印加される圧力の影響を受ける。イースピンPTFE層の厚みも、厚みが大きいほどより小さい孔径をもたらすという、実施例1、実施例2及び実施例3によって示されるような効果を有する。
【0045】
実施例7:
I型構造物:ePTFE/イースピンポリウレタン(PU)
10μm〜30μmのノード間距離(intermodal distance)(IND)、34μmの厚み、及び3μm未満のバブルポイントを有する、二軸(Biax)膨張されたおよそ35cm×40cmのePTFEシートを、46cm×36cmステンレス鋼シート上に設置して、中心を合わせた。
【0046】
37.5%のアセトンと62.5%のジメチルアセトアミドとの混合物中に溶解させたChronoflex AR(AdvanSource Biomaterials)(PU)11%の混合物をベースとしたおよそ500cPsのイースピニング溶液を、21ゲージ針を取り付けた10ml容のプラスチックシリンジに入れた。シリンジは、KD Scientific Model 780200Lシリンジポンプに入れ、0.35ml/時間のポンプ流量に設定した。針先は、回転するドラムアセンブリからおよそ13cmの位置に合わせた。ドラムアセンブリの回転はおよそ30rpmとした。ドラムの長さに沿って3.0mm/秒の移動速度でイースピニング針を動かすような横送りを用いた。横送りにかかるリターンポイントはSSシートの端部に設定した。9.2kVの電圧を使用した。PTFEをドラム上にこれらの条件下で240分間電界紡糸させると、PU繊維のおよそ2μm厚の被覆が得られた。PTFE/PU複合膜を含有するシートをドラムから取り外して一晩乾燥させた。
【0047】
実施例8:
I型構造物:ePTFE/イースピンポリウレタン(PU):
実施例8は、表IIに示される実施例7から変更して同様に行った。同様に、イースピンPUの層が厚くなるほど、小さい孔径がもたらされた。
【0048】
実施例9:
II型構造物:ePTFE/イースピンPTFE/ePTFE:
30μmのノード間距離(IND)、4mmの内径(ID)、0.4mmの壁厚(WT)、及び80.33%の多孔度を有する、二軸(Biax)膨張されたおよそ10cm長のePTFE管を、35cm長の10mm外径(OD)アルミニウムロッド上に伸張させて、中心を合わせた。管アセンブリが、旋回する管アセンブリの長さ全体に沿ってイースピンする位置に据えられるように、管アセンブリを回転チャックに設置した。
【0049】
4.2%の(PEO/PTFE)、300000amuポリエチレンオキシド及びDaikin D210 60%PTFE分散液の混合物をベースとしたおよそ94000cPsのイースピニング分散液は、均質化させた後に、旋回及び濾過させて、滑らかな粘稠性を実現しており、これを、16ゲージ針を取り付けた10ml容のプラスチックシリンジに入れた。シリンジは、Harvard Model 702100シリンジポンプに入れ、0.5ml/時間のポンプ流量に設定した。針先は、回転する管アセンブリからおよそ13cmの位置に合わせた。管アセンブリの回転はおよそ60rpmとした。管の長さに沿って2.5mm/秒の移動速度でイースピニング針を動かすような横送りを用いた。横送りにかかるリターンポイントはBiax管の端部に設定した。9.3kVの電圧を使用した。PTFEを管上にこれらの条件下で30分間電界紡糸させると、およそ20μm(焼結後に堆積させた状態)厚のPTFE繊維被覆が得られた。
【0050】
管アセンブリを一晩乾燥させた後、基本重量8.426g/m及び30μmの厚みのePTFE膜を、管アセンブリの周りに6回巻き付けた。次に、管アセンブリを80μm厚のステンレス鋼フォイルにおいて巻き付けた後、アセンブリ全体の周囲に密接に施される焼結されていない40μm厚のePTFE膜において更に5回巻き付けた。その後、管アセンブリを、385℃に事前に加熱させた炉内に4.0分間入れた。アセンブリを炉から取り出し、複合体管を冷却及び開くと、0.149mmの厚みを有することが分かった。
【0051】
実施例10〜実施例15:
II型構造物:ePTFE/イースピンPTFE/ePTFE:
実施例10〜実施例15は、表IIIに示される各実施例の個々の項目を用いて同様に行った。
【0052】
実施例16:
III型構造物:イースピンPTFE/ePTFE/イースピンPTFE:
40μm厚のアルミニウムフォイルシート46cm×6.2cmを回転ドラムの周りに巻き付けた。ドラムアセンブリが、旋回するドラムアセンブリの長さ全体に沿ってイースピンする位置に据えられるように、ドラムアセンブリを回転チャックに設置した。
【0053】
5.2%の(PEO/PTFE)300000amuポリエチレンオキシド及びDaikin D210、60%PTFE分散液の混合物をベースとしたイースピニング分散液は、均質化させた後に、旋回及び濾過させて、滑らかな粘稠性を実現しており、これを、16ゲージ針を取り付けた10ml容のプラスチックシリンジに入れた。シリンジは、KD Scientific Model 780200Lシリンジポンプに入れ、0.09ml/時間のポンプ流量に設定した。針先は、回転するドラムアセンブリからおよそ20cmの位置に合わせた。ドラムアセンブリの回転はおよそ30rpmとした。ドラムの長さに沿って3.0mm/秒の移動速度でイースピニング針を動かすような横送りを用いた。横送りにかかるリターンポイントはアルミニウムフォイルの端部に設定した。18.0kVの電圧を使用した。PTFEをドラム上にこれらの条件下で30分間電界紡糸させると、およそ80μm(焼結後に堆積させた状態)厚のPTFE繊維被覆が得られた。PTFE膜を含有するアルミニウムフォイルをドラムから取り外して乾燥させた。
【0054】
乾燥後、複合体の生強度は、フォイルからのPTFE膜の除去、並びに配置、中心合わせ、及び1.0cmの外径(OD)のアルミニウム管の周りへの2回のPTFE膜の10cm×6.5cm部分のゆるい巻付けを可能にした。ePTFE膜(厚み 130μm、IND 12.45μm、及び多孔性 51%)をその後、イースピンPTFEの周りに3回巻き付けて、管/イースピンPTFE/ePTFEアセンブリを作った。管アセンブリが、旋回する管アセンブリの長さ全体に沿ってイースピンする位置に据えられるように、管アセンブリを回転チャックに設置した。
【0055】
5.2%の(PEO/PTFE)、300000amuポリエチレンオキシド及びDaikin D210、60%PTFE分散液の混合物をベースとしたイースピニング分散液は、均質化させた後に、旋回及び濾過させて、滑らかな粘稠性を実現しており、これを、16ゲージ針を取り付けた10ml容のプラスチックシリンジに入れた。シリンジは、KD Scientific Model 780200Lシリンジポンプに入れ、0.05ml/時間のポンプ流量に設定した。針先は、回転する管アセンブリからおよそ11.5cmの位置に合わせた。管アセンブリの回転はおよそ30rpmとした。管の長さに沿って3.0mm/秒の移動速度でイースピニング針を動かすような横送りを用いた。横送りにかかるリターンポイントはイースピンPTFE/ePTFEアセンブリの端部に設定した。16.0kVの電圧を使用した。PTFEをアセンブリ上にこれらの条件下で15分間電界紡糸させると、およそ60μm(焼結後に堆積させた状態)厚のPTFE繊維被覆が得られた。アセンブリをドラムから取り外して乾燥させ、固定具に設置した。その後、アセンブリを、385℃に事前に加熱させた炉内に直立状態で4.0分間入れた。
【0056】
実施例17:
IV型構造物:基板/イースピンPTFE/ePTFE:
40μm厚の焦げ付き防止用アルミニウムフォイルシート43cm×38cmを回転ドラムの周りに巻き付けた。4.997gsmの基本重量、7μmの厚み及び72%の多孔性を有するおよそ35cm×30cmのePTFEシートを、アルミニウムフォイル上に据えて、中心を合わせ、固定した。ドラムアセンブリが、旋回するドラムアセンブリの長さ全体に沿ってイースピンする位置に据えられるように、ドラムアセンブリを回転チャックに設置した。
【0057】
4.2%の(PEO/PTFE)、300000amuポリエチレンオキシド及びDaikin D210 60%PTFE分散液の混合物をベースとしたおよそ163000cPsのイースピニング分散液は、均質化させた後に、旋回及び濾過させて、滑らかな粘稠性を実現しており、これを、16ゲージ針を取り付けた2つの10ml容のプラスチックシリンジに入れた。シリンジは、KD Scientific Model 780200Lシリンジポンプに入れ、0.75ml/時間のポンプ流量に設定した。針先は、回転するドラムアセンブリからおよそ20.3cmの位置に合わせた。ドラムアセンブリの回転はおよそ30rpmとした。ドラムの長さに沿って3.0mm/秒の移動速度でイースピニング針を動かすような横送りを用いた。横送りにかかるリターンポイントはePTFE膜シートの端部に設定した。17.5kVの電圧を使用した。PTFEをドラム上にこれらの条件下で30分間電界紡糸させると、およそ50μm(焼結後に堆積させた状態)厚のPTFE繊維被覆が得られた。その後、ePTFE/イースピンPTFE複合膜を含有するアルミニウムフォイルシートをドラムから取り外して一晩乾燥させた。乾燥後、生強度は、ePTFE/イースピンPTFE複合膜をフォイルから除去させるのに十分なものであった。
【0058】
5cm幅断面の複合膜を、イースピン層を管に接触させるように、5cm長、0.5cmODの多孔質金属管の周りに3回巻いた。次に、アセンブリ全体を固定具に設置し、アルミニウムフォイルにおいて巻き付けた後、アセンブリ全体の周囲に密接に施される焼結されていない40μm厚のePTFE膜で巻き付けた。その後、アセンブリを385℃の炉内に4分間入れた。冷却後、複合膜は、良好な外観及び金属管に対する付着を有していた。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
【表3】

【0062】
簡略かつ簡潔にするために、本明細書中に記載される値の任意の範囲は、該当する特定の範囲内の整数値であるエンドポイントを有する任意の部分範囲を挙げる特許請求の範囲について記載された説明を裏付けるものとして解釈される。仮説に基づく例示的な実施例のために、1〜5の範囲の本明細書中の開示は、特許請求の範囲を以下の部分範囲:1〜4、1〜3、1〜2、2〜5、2〜4、2〜3、3〜5、3〜4及び4〜5のいずれかへと裏付けると解釈される。
【0063】
本開示に対するこれらの及び他の変更形態及び変形形態は、本開示、より詳細には添付の特許請求の範囲に記載されるものの精神及び範囲を逸脱しない限り、当業者によって実施することができる。加えて、様々な実施形態の態様を全部又は一部において相互に交換してもよいことを理解されたい。さらに、当業者は、上述の説明がほんの一例に過ぎず、本開示を限定するように意図されるものではないことを認識しているであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層電界紡糸複合構造体を製造する方法であって、
少なくとも約50000cPsの粘度を有する、高分子ナノファイバ、繊維化ポリマー及び溶媒の分散液を形成することと、
前記分散液から第1のePTFE層上にナノファイバを電界紡糸することと、
前記ナノファイバ上に第2のePTFE層を施すことであって、複合構造体を形成する、第2のePTFE層を施すことと、
前記複合構造体を加熱することと、
を含む、多層電界紡糸複合構造体を製造する方法。
【請求項2】
前記ナノファイバがPTFEを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記分散液が約50重量パーセント〜80重量パーセントのPTFEを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記分散液が約59重量パーセント〜61重量パーセントのPTFEを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記溶媒が水を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記繊維化ポリマーがポリエチレンオキシドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記繊維化ポリマーが、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デキストラン、アルギン酸塩、キトサン、グアーガム化合物、デンプン、セルロース化合物、ポリアクリレート、ポリカルボキシレート、ポリ乳酸、ポリメタクリル酸、又はそれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記分散液が少なくとも約100000cPsの粘度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
多層電界紡糸複合構造体を製造する方法であって、
少なくとも約50000cPsの粘度を有し、かつ高分子ナノファイバと、繊維化ポリマーと、溶媒とを含む分散液を、ePTFE層の第1の側面上に電界紡糸することと、
少なくとも約50000cPsの粘度を有し、かつ高分子ナノファイバと、繊維化ポリマーと、溶媒とを含む分散液を、前記ePTFE層の第2の側面上に電界紡糸することであって、複合構造体を形成する、電界紡糸することと、
前記複合構造体を加熱することと、
を含む、多層電界紡糸複合構造体を製造する方法。
【請求項10】
前記高分子ナノファイバの少なくとも一部がPTFEを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記分散液が約59重量パーセント〜61重量パーセントのPTFEを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
焼結させることを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記溶媒が水を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
多層電界紡糸複合構造体を製造する方法であって、
ポリウレタン溶液を形成することと、
前記ポリウレタン溶液から第1のePTFE層上にナノファイバを電界紡糸すること、
前記ナノファイバ上に第2のePTFE層を施すことであって、複合構造体を形成する、第2のePTFE層を施すことと、
前記複合構造体を加熱することと、
を含む、多層電界紡糸複合構造体を製造する方法。
【請求項15】
多層電界紡糸複合構造体を製造する方法であって、
少なくとも約50000cPsの粘度を有する、高分子ナノファイバ、繊維化ポリマー及び溶媒の分散液を形成することと、
前記分散液から第1のePTFE層上にナノファイバを電界紡糸することと、
前記ナノファイバ上に基板を施すことであって、複合構造体を形成する、基板を施すことと、
前記複合構造体を加熱することと、
を含む、多層電界紡糸複合構造体を製造する方法。
【請求項16】
前記ナノファイバがPTFEを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記分散液が約50重量パーセント〜80重量パーセントのPTFEを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記基板が織布又は不織布を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記基板がプラスチック膜又はセラミック膜を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記基板が、金網、セラミック網又はプラスチック網を含む、請求項15に記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【公表番号】特表2013−501857(P2013−501857A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523994(P2012−523994)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/044874
【国際公開番号】WO2011/017695
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(507152349)ゼウス インダストリアル プロダクツ インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】