説明

多層配線基板、半導体チップ搭載基板及び半導体パッケージ、並びにそれらの製造方法

【課題】 配線の表面にミクロンオーダーの凹凸(表面粗さ)を形成することなく層間絶縁層と配線の接着強度が確保でき、信頼性が良好でかつ高速電気信号を効率よく伝送可能な多層配線基板(マザーボード、半導体チップ搭載基板)と半導体パッケージ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 層間絶縁層と配線が複数層形成された多層配線基板であって、前記配線は銅からなり、前記配線表面上にSi−O−Si結合を有する化合物が形成され、さらにその上にカップリング剤または密着性改良剤を少なくとも一種以上含む処理膜が形成されている多層配線基板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層配線基板、半導体チップ搭載基板及び半導体パッケージ、並びにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報化社会の発展は目覚しく、民生機器ではパソコン、携帯電話などの小型化、軽量化、高性能化、高機能化が進められ、産業用機器としては無線基地局、光通信装置、サーバ、ルータなどのネットワーク関連機器など、大型、小型を問わず、同じように機能の向上が求められている。また、情報伝達量の増加に伴い、年々扱う信号の高周波化が進む傾向にあり、高速処理および高速伝送技術の開発が進められている。実装関係についてみると、CPU、DSPや各種のメモリなどのLSIの高速化、高機能化と共に、新たな高密度実装技術としてシステムオンチップ(SoC)、システムインパッケージ(SiP)などの開発が盛んに行われている。このために、半導体チップ搭載基板やマザーボードも、高周波化、高密度配線化、高機能化に対応するために、ビルドアップ方式の多層配線基板が使用されるようになってきた。
【0003】
ビルドアップ方式の多層配線基板は、層間絶縁層形成工程と配線形成工程を相互に繰り返して製造される。この製造方法では、層間絶縁層と配線間の接着強度と、微細な配線間の絶縁信頼性を確保することが重要である。これらを満足するため、従来の方法として、下記に示した方法が行われてきた。
【0004】
つまり、配線表面にミクロンオーダーの粗化形状を付与し、アンカー効果によって配線と絶縁樹脂との接着力を得る方法である。配線が銅である場合は、例えば無機酸および銅の酸化剤からなる主剤と、少なくとも一種のアゾール類および少なくとも一種のエッチング抑制剤からなる助剤とを含む水溶液を用いて銅表面にミクロンオーダーの粗化形状を付与する方法(特許文献1参照)、マイクロエッチングによって高さが1.5〜5.0μmの連続的な凹凸を形成した後、クロメート処理とカップリング剤処理を施す方法(特許文献2参照)などがある。
【0005】
また、微細配線の形成においても、エッチングにより配線を形成するサブトラクト法で、歩留り良く形成できる配線は、配線幅/配線間隔(以下、L/Sという。)=50μm/50μmが限度である。更に微細なL/S=35μm/35μm程度の配線形成では、表面に比較的薄いめっき層を形成しておき、その上にめっきレジストを形成して、電気めっきで配線を必要な厚さに形成し、めっきレジストを剥離後に、比較的薄いめっき層をソフトエッチングで除去するというセミアディティブ法が使用され始めている。
【0006】
【特許文献1】特開2000−282265号公報
【特許文献2】特開平9−246720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の層間絶縁層と配線の接着強度を向上させる従来技術は、配線表面に1μmを超す凹凸を形成し、アンカー効果によって接着強度を確保していた。しかし、このように表面が1μmを超す凹凸形状の配線に高速の電気信号を流すと、表皮効果により電気信号は配線の表面付近に集中して流れるようになるため、伝送損失が大きくなるという問題がある。また、更に微細なL/S=25μm/25μm未満の配線になると、従来の方法で配線表面の粗化を行った場合、配線が細くなったり、配線幅のばらつきが大きくなったりするという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を改善するためになされたものであり、配線の表面に1μmを超す凹凸(表面粗さ)を形成することなく層間絶縁層と配線の接着強度が確保でき、高速電気信号を効率よく伝送可能な多層配線基板(マザーボード、半導体チップ搭載基板)と半導体パッケージ、及びそれらの製造方法を提供することである。また、本発明の他の目的は、信頼性の高い多層配線基板、半導体チップ搭載基板と半導体パッケージ、及びそれらの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、銅配線の表面に、Si−O−Si結合を有する化合物が形成され、さらにその上にカップリング剤もしくは密着性改良剤を少なくとも一種以上含む処理膜を形成することを基本とし、次のように構成される。
1.層間絶縁層と配線が複数層形成された多層配線基板であって、前記配線は銅からなり、前記配線表面上にSi−O−Si結合を有する化合物が形成され、さらにその上にカップリング剤または密着性改良剤を少なくとも一種以上含む処理膜が形成されていることを特徴とする多層配線基板。
2.コア基板の片面または両面に、層間絶縁層と配線が複数層形成された多層配線基板であって、前記配線は銅からなり、前記配線表面上にSi−O−Si結合を有する化合物が形成され、さらにその上にカップリング剤または密着性改良剤を少なくとも一種以上含む処理膜が形成されていることを特徴とする多層配線基板。
3.コア基板の片面または両面に、層間絶縁層と配線が複数層形成された多層配線基板であって、前記配線は銅からなり、前記配線表面上に、銅、スズ、クロム、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、コバルト、金、白金、銀、パラジウムから選択される金属を1種以上含む金属層が形成され、前記金属層が形成された表面にSi−O−Si結合を有する化合物が形成され、さらにその上にカップリング剤または密着性改良剤を少なくとも一種以上含む処理膜が形成されていることを特徴とする多層配線基板。
4.前記配線の表面粗さが、Raで0.01〜0.4μmである項1〜3いずれかに記載の多層配線基板。
5.前記金属層が、前記金属の酸化物又は、水酸化物である項3または4に記載の多層配線基板。
6.前記配線の表面粗さが、酸性溶液あるいはアルカリ性溶液による処理で形成された項4又は5に記載の多層配線基板。
7.前記配線の表面粗さが、酸化・還元処理で形成された項4又は5に記載の多層配線基板。
8.前記Si−O−Si結合を有する化合物が、シリカガラスまたは一般式(1)で表されるラダー構造を含む化合物である項1〜7いずれかに記載の多層配線基板。
【0010】
【化1】


(式中、Rはそれぞれが単独に、水素原子、反応性基、親水性基または疎水性基から選択されたもの)
【0011】
9.前記シリカガラスの厚みが、0.002〜5μmである項8に記載の多層配線基板。
10.前記カップリング剤が、シラン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤から選択されるカップリング剤である項1〜9いずれかに記載の多層配線基板。
11.前記密着性改良剤が、熱硬化性の有機絶縁材料を含む密着性改良剤である項1〜10いずれかに記載の多層配線基板。
12.前記層間絶縁層が、熱硬化性の有機絶縁材料を含む層間絶縁層である項1〜11いずれかに記載の多層配線基板。
13.項1〜12いずれかに記載の多層配線基板を用いた半導体チップ搭載基板であって、前記多層配線基板の一方の表面には半導体チップ接続端子が、他方の表面には外部接続端子が形成されていることを特徴とする半導体チップ搭載基板。
14.コア基板の片面または両面に、層間絶縁層と配線を複数層形成する工程からなる多層配線基板の製造方法であって、コア基板の片面または両面に層間絶縁層を形成する工程、前記配線を銅で形成する配線形成工程、前記配線表面上にSi−O−Si結合を有する化合物を形成する工程、さらにその上にカップリング剤もしくは密着性改良剤を少なくとも一種以上含む処理膜を形成する工程を含むことを特徴とする多層配線基板の製造方法。
15.コア基板の片面または両面に、層間絶縁層と配線を複数層形成する工程からなる多層配線基板の製造方法であって、コア基板の片面または両面に層間絶縁層を形成する工程、前記配線を銅で形成する配線形成工程、前記配線表面に、銅、スズ、クロム、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、コバルト、金、白金、銀、パラジウムから選択される金属を1種以上含む金属層を形成する工程、前記金属層が形成された表面にSi−O−Si結合を有する化合物を形成する工程、さらにその上にカップリング剤もしくは密着性改良剤を少なくとも一種以上含む処理膜を形成する工程を含むことを特徴とする多層配線基板の製造方法。
16.前記配線形成工程後、前記配線をRaで0.01〜0.4μmに粗化する工程を含む項14または15に記載の多層配線基板の製造方法。
17.前記金属層を形成する工程が、前記配線表面に前記金属の酸化物又は、水酸化物を含む金属層を形成する工程である項15または16に記載の多層配線基板の製造方法。
18.前記配線をRaで0.01〜0.4μmに粗化する工程が、酸性溶液あるいはアルカリ性溶液で処理する工程を含む項16または17に記載の多層配線基板の製造方法。
19.前記配線をRaで0.01〜0.4μmに粗化する工程が、酸化・還元処理する工程を含む項16〜18いずれかに記載の多層配線基板の製造方法。
20.前記Si−O−Si結合を有する化合物が、シリカガラスもしくは一般式(1)で表されるラダー構造を含む化合物である項14〜19のいずれかに記載の多層配線基板の製造方法。
【0012】
【化2】


(式中、Rはそれぞれが単独に、水素原子、反応性基、親水性基または疎水性基から選択されたもの)
【0013】
21.前記シリカガラスの厚みが0.002〜5μmである項20に記載の多層配線基板の製造方法。
22.前記カップリング剤が、シラン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤から選択されるカップリング剤ある項14〜21のいずれかに記載の多層配線基板の製造方法。
23.前記密着性改良剤が、熱硬化性の有機絶縁材料を含む密着性改良剤である項14〜22のいずれかに記載の多層配線基板の製造方法。
24.前記層間絶縁層が、熱硬化性の有機絶縁材料を含む層間絶縁層である項14〜23のいずれかに記載の多層配線基板の製造方法。
25.項14〜24のいずれかに記載の多層配線基板の製造方法により製造された多層配線基板。
26.項1〜12、25のいずれかに記載の多層配線基板を用いた半導体チップ搭載基板の製造方法であって、前記多層配線基板の一方の表面に半導体チップ接続端子を形成する工程、前記多層配線基板の他方の表面に外部接続端子を形成する工程を含むことを特徴とする半導体チップ搭載基板の製造方法。
27.項26に記載の半導体チップ搭載基板の製造方法により製造された半導体チップ搭載基板。
28.項13又は27に記載の半導体チップ搭載基板と、前記半導体チップ搭載基板に搭載された半導体チップと、前記半導体チップを封止する樹脂から構成される半導体パッケージ。
29.項13又は27に記載の半導体チップ搭載基板を用いた半導体パッケージの製造方法であって、前記半導体チップ搭載基板に半導体チップを搭載する工程、前記半導体チップを樹脂で封止する工程を含むことを特徴とする半導体パッケージの製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、配線の表面にミクロンオーダーの凹凸(表面粗さ)を形成することなく層間絶縁層と配線の接着強度が確保でき、信頼性が良好でかつ高速電気信号を効率よく伝送可能な多層配線基板(マザーボード、半導体チップ搭載基板)と半導体パッケージ及びその製造方法を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を説明する。ここでは、半導体チップ搭載基板について主に説明するが、配線表面処理方法や層間絶縁層(ビルドアップ層)形成方法等は多層配線基板でも同様に行うことができる。
【0016】
本発明の多層配線基板は、層間絶縁層と配線が複数層形成された多層配線基板であって、前記配線は銅からなり、前記配線表面上にSi−O−Si結合を有する化合物が形成され、さらにその上にカップリング剤または密着性改良剤を少なくとも一種以上含む処理膜が形成されていることを特徴としている。また、本発明の多層配線基板は、コア基板の片面または両面に、層間絶縁層と配線が複数層形成されていてもよい。なおコア基板としては、例えば、有機基材、セラミック基材、シリコン基材、ガラス基材などが例示できる。
【0017】
本発明の多層配線基板は、前記のコア基板を用いず層間絶縁層と配線のみで形成されていてもよく、例えば層間絶縁層となる有機絶縁材料に直接、一般的な手法であるめっきやエッチング等で配線を形成し、多層化してもよい。
【0018】
本発明の多層配線基板の層間絶縁層としては、熱硬化性の有機絶縁材料、熱可塑性の有機絶縁材料、またはそれらの混合有機絶縁材料を含んでもよいが、熱硬化性の有機絶縁材料を主成分とするのが好ましい。熱硬化性の有機絶縁材料としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン樹脂、シクロペンタジエンから合成した樹脂、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌラートを含む樹脂、芳香族ニトリルから合成した樹脂、3量化芳香族ジシアナミド樹脂、トリアリルトリメタリレートを含む樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、縮合多環芳香族を含む熱硬化性の有機絶縁材料、ベンゾシクロブテン樹脂等を用いることができる。熱可塑性の有機絶縁材料としては、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アラミド樹脂、液晶ポリマ等が挙げられる。有機絶縁材料には充填材を添加しても良い。充填材としては、シリカ、タルク、水酸化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、窒化アルミニウム、アルミナ等が挙げられる。
【0019】
(熱膨張係数)
半導体チップの熱膨張係数と本発明の多層配線基板のコア基板の熱膨張係数とが近似していて、かつコア基板の熱膨張係数と層間絶縁層(ビルドアップ層)の熱膨張係数とが近似していることが好ましいが、これに限定したものではない。さらに、半導体チップ、コア基板、層間絶縁層(ビルドアップ層)の各々の熱膨張係数をα1、α2、α3(ppm/℃)としたとき、α1≦α2≦α3であることがより好ましい。
【0020】
具体的には、コア基板の熱膨張係数α2は、7〜13ppm/℃が好ましく、更に好ましくは9〜11ppm/℃である。層間絶縁層(ビルドアップ層)の熱膨張係数α3は10〜40ppm/℃であるのが好ましく、更に好ましくは10〜20ppm/℃であり、11〜17ppm/℃が特に好ましい。
【0021】
(ヤング率)
層間絶縁層(ビルドアップ層)のヤング率は、1〜5GPaであるのが熱ストレスに対する応力緩和の点で好ましい。層間絶縁層(ビルドアップ層)中の充填材は、層間絶縁層(ビルドアップ層)の熱膨張係数が10〜40ppm/℃、ヤング率が1〜5GPaになるように添加量を適宜調整して添加するのが好ましい。
【0022】
本発明の多層配線基板は、銅からなる配線表面上にSi−O−Si結合を有する化合物が形成されている。Si−O−Si結合を有する化合物としては、シリカガラス、または前記一般式(1)で表されるラダー構造を含む化合物などが好ましい。
【0023】
(シリカガラス)
本発明で用いるシリカガラス(SiO)は、厚さが、好ましくは0.002μm〜5μm、より好ましくは0.005μm〜1μm、またさらに0.01μm〜0.2μmであることが特に好ましい。シリカガラスの厚みが5.0μmを超えると、バイアホール形成工程のレーザー等によるビア加工が困難であり、0.002μmより薄くなると、シリカガラスの形成が困難になる。なおシリカガラスは、例えば、パーヒドロポリシラザンを主成分とするアクアミカNL110A(クラリアントジャパン株式会社製、商品名)で形成できる。
【0024】
(ラダー構造を含む化合物)
本発明で用いるラダー構造を含む化合物は、前記一般式(1)で表されるラダー構造を含む化合物であって、式中、Rはそれぞれが単独に、水素原子、反応性基、親水性基、疎水性基から選ばれるものでよい。反応性基としては、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、メルカプト基、チオール基、オキサゾリン基、環状エステル基、環状エーテル基、イソシアネ−ト基、酸無水物基、エステル基、アミノ基、ホルミル基、カルボニル基、ビニル基、ヒドロキシ置換シリル基、アルコキシ置換シリル基、ハロゲン置換シリル基等があげられる。親水性基としては、多糖基、ポリエーテル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホニウム塩基、複素環基、アミノ基、これらの塩およびエステル等があげられる。疎水性基としては、炭素数が1〜60の脂肪族炭化水素基、炭素数が6〜60の芳香族炭化水素基、複素環基およびポリシロキサン残渣から選択された化合物等があげられる。これらの中で、反応性基であることが最も好ましい。なおラダー構造を含む化合物としては、ラダーシリコーン樹脂などが例示できる。そして、ラダー構造を含む化合物であるラダーシリコーン樹脂は、ラダーシリコーン樹脂SQ−1000(日立化成工業株式会社製、商品名)で形成される。また本発明で用いるラダー構造を含む化合物は、厚さが、好ましくは0.002μm〜5μm、より好ましくは0.005μm〜1μm、またさらに0.01μm〜0.2μmであることが特に好ましい。
【0025】
(処理膜)
本発明の多層配線基板は、配線表面上にSi−O−Si結合を有する化合物が形成され、さらにその上にカップリング剤または密着性改良剤を少なくとも一種以上含む処理膜が形成されている。処理膜とは、配線と層間絶縁層との間に形成された極薄の膜であり、カップリング剤や密着性改良剤などの有機材料により形成されている。処理膜は、密着性改良剤、カップリング剤、それぞれ単独で形成してもよい。カップリング剤の処理膜を形成後、密着性改良剤の処理膜を形成してもよく、また処理膜形成の順番が逆でもよい。
【0026】
(カップリング剤)
そして前記処理膜が、シラン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤から選択されるカップリング剤を含むことが好ましい。カップリング剤を含む処理膜の形成方法としては、カップリング剤を含む溶液に多層配線基板を浸漬する方法、カップリング剤を含む溶液を多層配線基板にスプレー噴霧又は塗布等する方法が挙げられる。またこの場合カップリング剤の含有量は、溶液全体に対して、0.01重量%〜5重量%が好ましく、0.1重量%〜1.0重量%がさらに好ましい。カップリング剤を用い、処理膜を形成することによって、配線と層間絶縁層(ビルドアップ層)との密着強度が向上できる。
【0027】
使用するカップリング剤はシラン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤が挙げられ、中でもシラン系カップリング剤が好ましく、例えば、シラン系カップリング剤は、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、イミダゾール基、ビニル基、またはメタクリル基等の官能基を分子中に有し、これらのシラン系カップリング剤の少なくとも1種もしくは2種以上の混合物を含有する溶液を使用することができる。カップリング剤溶液の調整に使用される溶媒は、水或いはアルコール、ケトン類等を用いることが可能である。また、カップリング剤の加水分解を促進するために、少量の酢酸や塩酸等の酸を添加することもできる。カップリング剤で処理した基板は、自然乾燥、加熱乾燥、または真空乾燥により乾燥を行うが、使用するカップリング剤の種類によって、乾燥前に水洗または超音波洗浄を行うことも可能である。
【0028】
(光触媒粒子)
前記記載のSi−O−Si結合を有する化合物が形成された後、TiO,ZnO,SrTiO,CdS,GaP,InP,GaAs,BaTiO,BaTi,KNbO,Nb,Fe,Ta,KTaSi,WO,SnO,Bi,BiVO,NiO,CuO,SiC,MoS,InPb,RuO,CeO等、さらにはTi,Nb,Ta,Vから選ばれた少なくとも一種類の元素を有する層状酸化物である光触媒粒子を塗布することも可能である。これらの触媒の中で、無害であり、なおかつ化学的安定性にも優れるTiOが最も好ましい。TiOとしては、アナタ−ゼ、ルチル、ブルッカイトのいずれも使用することが可能である。なお光触媒粒子であるTiOは、酸化チタンオルガノゾルTKS−251(テイカ株式会社製、商品名)などを用い形成してもよい。
【0029】
一般式(1)で表されるラダー構造を含む化合物においては、前記の光触媒粒子を混合して塗布することも可能である。例えばラダー構造を含む化合物で、あるラダーシリコーン樹脂と光触媒粒子を混合して、ベンゼン、トルエン等で希釈し、スプレー塗布してもよい。また、前記の光触媒粒子を前記シランカップリング剤による処理の前、後、若しくは前後、さらにはシランカップリング剤の溶液中に混合して用いることも可能である。また光触媒粒子を塗布し、乾燥した後、必要に応じて熱処理、さらには光照射することが可能である。光照射の種類としては、紫外光、可視光、赤外光が使用できるが、紫外光を用いるのが最も好ましい。
【0030】
(密着性改良剤)
本発明の多層配線基板は、配線表面上にSi−O−Si結合を有する化合物が形成され、さらにその上に密着性改良剤を少なくとも一種以上含む処理膜が形成されている。密着性改良剤としては、熱硬化性の有機絶縁材料、熱可塑性の有機絶縁材料、またはそれらの混合有機絶縁材料を含んでもよいが、熱硬化性の有機絶縁材料を主成分とするのが好ましい。前記処理膜は、密着性改良剤がワニス状の材料(溶液)の場合、スプレー塗布、ディップ塗布、印刷、スピンコートなどの手法を用いて得ることができる。また密着性改良剤が熱硬化性の有機絶縁材料を含む場合は、さらに加熱硬化させることが望ましい。
【0031】
密着性改良剤に用いられる有機絶縁材料としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン樹脂、シクロペンタジエンから合成した樹脂、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌラートを含む樹脂、芳香族ニトリルから合成した樹脂、3量化芳香族ジシアナミド樹脂、トリアリルトリメタリレートを含む樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、縮合多環芳香族を含む熱硬化性樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アラミド樹脂、液晶ポリマ等が例示できる。
【0032】
(金属層)
本発明の多層配線基板は、コア基板の片面または両面に、層間絶縁層と配線が複数層形成された多層配線基板であって、前記配線は銅からなり、前記配線表面上に、銅、スズ、クロム、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、コバルト、金、白金、銀、パラジウムから選択される金属を1種以上含む金属層が形成されている。なお金属層が形成される配線表面の粗さは、Raで0.01〜0.4μmであることが好ましい。なおRaとは、平均表面粗さであり、例えば触針式表面粗さ計を用いて、測定できる。また金属層の膜厚は、0.005μm以上、1.5μm以下であることが好ましく、さらに0.4μm以下であることがより好ましく、これによって、表面粗さがRaで0.01〜0.4μmの配線を形成できる。より好ましい状態は、前記の金属またはその合金が、付与中または付与後、自然に若しくは故意に、酸化物、水酸化物またはこれらの組み合わせに変換させられることにより、配線上に上記金属の酸化物、水酸化物またはこれらを組み合わせた金属層が形成されていることである。特に銅、スズ、クロム、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、コバルト及び前記の金属またはその合金の酸化物、水酸化物またはこれらを組み合わせた金属層が好ましい。前記金属以外に、モリブデン、チタン、タングステン、鉛、鉄、インジウム、タリウム、ビスマス、ルテニウム、ロジウム、ガリウム、ゲルマニウム等の金属を使用することも可能で、これらを少なくとも一種類以上含む合金も用いることもできる。前記金属層を配線表面に形成させる方法としては、例えば無電解めっき、電気めっき、めっき置換反応、スプレー噴霧、塗布、スパッタリング法、蒸着法等がある。
【0033】
(配線表面の粗さ形成方法)
前記したように、本発明の多層配線基板の配線表面の粗さは、Raで0.01〜0.4μmであることが好ましい。0.01μm未満では、十分な接着強度が確保できず、また0.4μmを超えると高速電気信号を効率よく伝送することが難しくなるという問題がある。配線表面の粗さの形成方法としては、酸性溶液を用いる方法、アルカリ性溶液を用いる方法、酸化剤を有する処理液と還元剤を有する処理液を用いる方法が、好ましい。
【0034】
(酸性溶液)
配線表面の粗さは、前記したように酸性溶液で処理し、形成することが好ましい。配線表面の粗さの形成方法に用いる酸性溶液としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、蟻酸、塩化第二銅、硫酸第二鉄などの鉄化合物、アルカリ金属塩化物、過硫酸アンモニウムなどから選ばれる化合物、またはこれらを組み合わせた水溶液、または、クロム酸、クロム酸-硫酸、クロム酸−フッ酸、重クロム酸、重クロム酸−ホウフッ酸などの酸性の6価クロムを含む水溶液で処理してもよい。これらの酸性溶液の濃度および処理時間については、表面粗さがRaで0.01〜0.4μmとなるように適宜条件を選択して用いることが好ましい。
【0035】
(アルカリ性溶液)
配線表面の粗さは、前記したようにアルカリ性溶液で処理し、形成することが好ましい。配線表面の粗さの形成方法に用いるアルカリ性溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物溶液が使用でき、また、これらの溶液は、有機酸、キレート剤等を加えて用いることも可能である。これらのアルカリ性溶液の濃度および処理時間については、表面粗さがRaで0.01〜0.4μmとなるように適宜条件を選択して用いることが好ましい。
【0036】
(酸化・還元処理)
配線表面の粗さは、酸化・還元処理で、形成することが好ましい。酸化・還元処理としては、例えば酸化剤を含む水溶液に銅配線板を浸漬し、銅表面に酸化銅皮膜を形成し、次いで、還元剤を有する処理液に浸漬し、酸化銅皮膜を還元し、銅配線表面に微細な凹凸(粗さ)形状を形成する方法がある。なお、前記酸性溶液もしくはアルカリ性溶液を用いて処理を行った後に、酸化・還元処理を組み合わせて行なってもよく、その場合、表面粗さがRaで0.01〜0.4μmとなるように処理をすればよい。
【0037】
前記酸化剤を含む水溶液としては、亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤が使用でき、更にOH陰イオン源およびリン酸三ナトリウムなどの緩衝剤を含むものが好ましい。また、還元処理を行う水溶液としては、pH9.0から13.5に調整した溶液中にホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、芳香族アルデヒド化合物のいずれかを添加した水溶液、または次亜リン酸および次亜リン酸塩などを含んだ水溶液が使用できる。
【0038】
また、これらの酸化・還元処理の前処理として、配線表面の清浄化を行う脱脂処理を行うことが好ましい。脱脂処理は、アルカリ性又は酸性の溶液を用いればよく、特に限定はしないが、前記の酸性溶液またはアルカリ性溶液であることが好ましい。さらに1〜5Nの硫酸水溶液で配線表面を洗浄することが好ましい。脱脂処理及び硫酸洗浄は適宜組み合わせて行っても良い。
【0039】
(腐食抑制剤)
本発明の多層配線基板の配線表面の一部又は全部に、腐食抑制剤を塗布してもよい。前記腐食抑制剤は、S含有有機化合物またはN含有有機化合物を少なくとも1種以上含んでいるものであればよい。ここでいう腐食抑制剤を具体的にあげると、メルカプト基、スルフィド基、又はジスルフィド基を含有する化合物もしくは、分子内に−N=またはN=Nまたは−NHを含むN含有有機化合物を少なくとも1種以上含む化合物などがある。
【0040】
(メルカプト基、スルフィド基、又はジスルフィド基を含有する化合物)
前記メルカプト基、スルフィド基、又はジスルフィド基を含有する化合物としては、
脂肪族チオール(HS−(CH)n−R(但し、式中、nは1から23までの整数、Rは一価の有機基、水素基またはハロゲン原子を表す)で表される構造を有し、Rまたは、R中にはアミノ基、アミド基、カルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル基のいずれかであることが好ましいが、これに限定したものではなく、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アシルオキシ基、ハロアルキル基、ハロゲン原子、水素基、チオアルキル基、チオール基、置換されていても良いフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、複素環などが挙げられる。また、R中のアミノ基、アミド基、カルボキシル基、ヒドロキシル基は、1個あればよく、好ましくは1個以上、他に上記のアルキル基等の置換基を有していても良い。式中、nが1から23までの整数で示される化合物を用いることが好ましく、さらに、nが4から15までの整数で示される化合物がより好ましく、またさらに6から12までの整数で示される化合物であることが特に好ましい。)、
チアゾール誘導体(チアゾール、2−アミノチアゾール、2−アミノチアゾール−4−カルボン酸、アミノチオフェン、ベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−アミノベンゾチアゾール、2−アミノ−4−メチルベンゾチアゾール、2−ベンゾチアゾロール、2,3−ジヒドロイミダゾ〔2,1−b〕ベンゾチアゾール−6−アミン、2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノ酢酸エチル、2−メチルベンゾチアゾール、2−フェニルベンゾチアゾール、2−アミノ−4−メチルチアゾール等)、
チアジアゾール誘導体(1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、2−アミノ−5−エチル−1,3,4−チアジアゾール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、2,5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、3−メチルメルカプト−5−メルカプト−1,2,4−チアジアゾール、2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール、2−(エチルアミノ)−1,3,4−チアジアゾール、2−アミノ−5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール等)などが挙げられ、
更にメルカプト安息香酸、メルカプトナフトール、メルカプトフェノール、4−メルカプトビフェニル、メルカプト酢酸、メルカプトコハク酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオウラシル、3−チオウラゾール、2−チオウラミル、4−チオウラミル、2−メルカプトキノリン、チオギ酸、1−チオクマリン、チオクモチアゾン、チオクレゾール、チオサリチル酸、チオチアヌル酸、チオナフトール、チオトレン、チオナフテン、チオナフテンカルボン酸、チオナフテンキノン、チオバルビツル酸、チオヒドロキノン、チオフェノール、チオフェン、チオフタリド、チオフテン、チオールチオン炭酸、チオルチドン、チオールヒスチジン、3−カルボキシプロピルジスルフィド、2−ヒドロキシエチルジスルフィド、2−アミノプロピオン酸、ジチオジグリコール酸、D−システイン、ジ−t−ブチルジスルフィド、チオシアン、チオシアン酸等が挙げられる。
【0041】
(分子内に−N=またはN=Nまたは−NHを含むN含有有機化合物を少なくとも1種以上含む化合物)
前記分子内に−N=またはN=Nまたは−NHを含むN含有有機化合物を少なくとも1種以上含む化合物としては、
トリアゾール誘導体(3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1H−1,2,3−トリアゾール、2H−1,2,3−トリアゾール、1H−1,2,4−トリアゾール、4H−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1−アミノベンゾトリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、3−オキシ−1,2,4−トリアゾール、アミノウラゾール等)、
テトラゾール誘導体(テトラゾリル、テトラゾリルヒドラジン、1H−1,2,3,4−テトラゾール、2H−1,2,3,4−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−エチル−1,4−ジヒドロキシ−5H−テトラゾール−5−オン、5−メルカプト−1−メチルテトラゾール、テトラゾールメルカプタン等)、
オキサゾール誘導体(オキサゾール、オキサゾリル、オキサゾリン、ベンゾオキサゾール、3−アミノ−5−メチルイソオキサゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−アミノオキサゾリン、2−アミノベンゾオキサゾール等)、
オキサジアゾール誘導体(1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾロン−5、1,3,4−オキサジアゾロン−5等)、
オキサトリアゾール誘導体(1,2,3,4−オキサトリアゾール、1,2,3,5−オキサトリアゾール等)、
プリン誘導体(プリン、2−アミノ−6−ヒドロキシ−8−メルカプトプリン、2−アミノ−6−メチルメルカプトプリン、2−メルカプトアデニン、メルカプトヒポキサンチン、メルカプトプリン、尿酸、グアニン、アデニン、キサンチン、テオフィリン、テオブロミン、カフェイン等)、
イミダゾール誘導体(イミダゾール、ベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、4−アミノ−5−イミダゾールカルボン酸アミド、ヒスチジン等)、
インダゾール誘導体(インダゾール、3−インダゾロン、インダゾロール等)、
ピリジン誘導体(2−メルカプトピリジン、アミノピリジン等)、
ピリミジン誘導体(2−メルカプトピリミジン、2−アミノピリミジン、4−アミノピリミジン、2−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン、2−アミノ−4−ヒドロキシ−6−メチルピリミジン、4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−メチルピリミジン、4−アミノ−6−ヒドロキシピラゾロ[3,4−d]ピリミジン、4−アミノ−6−メルカプトピラゾロ[3,4−d]ピリミジン、2−ヒドロキシピリミジン、4−メルカプト−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン、4−アミノ−2,6−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ヒドロキシピリミジン、2,4,6−トリアミノピリミジン等)、
チオ尿素誘導体(チオ尿素、エチレンチオ尿素、2−チオバルビツール酸等)、
アミノ酸(グリシン、アラニン、トリプトファン、プロリン、オキシプロリン等)などが挙げられ、
更に1,3,4−チオオキサジアゾロン−5、チオクマゾン、2−チオクマリン、チオサッカリン、チオヒダントイン、チオピリン、γ-チオピリン、グアナジン、グアナゾール、グアナミン、オキサジン、オキサジアジン、メラミン、2,4,6−トリアミノフェノール、トリアミノベンゼン、アミノインドール、アミノキノリン、アミノチオフェノール、アミノピラゾール等が挙げられる。
【0042】
腐食抑制剤の塗布は、腐食抑制剤を含む溶液を用いて行なってもよく、また前記記載の酸性溶液またはアルカリ性溶液またはカップリング剤溶液などに腐食抑制剤を加えて、行なってもよい。腐食抑制剤の塗布は、腐食抑制剤を含む溶液に多層配線基板を浸漬する方法、腐食抑制剤を含む溶液を多層配線基板にスプレー噴霧等する方法が挙げられる。なおカップリング剤を含む溶液による処理の前または後に、腐食抑制剤を含む溶液を用いて処理を行うことも可能である。また腐食抑制剤を含む溶液を用いる場合、配線表面の表面粗さがRaで0.01〜0.4μmとなる処理を施した後、行なうことが好ましい。
【0043】
(腐食抑制剤を含む溶液)
本発明で使用する腐食抑制剤を含む溶液の調整には、水および有機溶媒を使用することができる。有機溶媒の種類は、特に限定はしないが、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコールなどのアルコール類、ジ-n-プロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジアリルエーテルなどのエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、フェノールなどの芳香族炭化水素などを用いることができ、これらの溶媒を1種類ないし2種類以上組み合わせて用いることもできる。
【0044】
(腐食抑制剤を含む溶液の濃度および処理時間)
本発明で用いる腐食抑制剤を含む溶液の腐食抑制剤の濃度は、0.1〜5000ppmの濃度が好ましい。さらに、0.5〜3000ppmがより好ましく、またさらに1〜1000ppmであることが特に好ましい。腐食抑制剤の濃度が0.1ppm未満では、マイグレーション抑制効果が十分でなく、また配線と絶縁樹脂との十分な密着強度を得ることもできない。腐食抑制剤の濃度が5000ppmを超えると、マイグレーション抑制効果は得られるが、配線と絶縁樹脂層との十分な密着強度を得ることができない。配線表面を、腐食抑制剤を含んだ溶液により処理を行う時間については特に限定はせず、腐食抑制剤の種類および濃度に応じて適宜変化させることが好ましい。
【0045】
(多層配線基板の製造方法)
本発明の多層配線基板の製造方法は、コア基板の片面または両面に、層間絶縁層と配線を複数層形成する工程からなる多層配線基板の製造方法であって、コア基板の片面または両面に層間絶縁層を形成する工程、前記配線を銅で形成する配線形成工程を含んでいる。前述したようにコア基板の材質は特に問わないが、有機基材、セラミック基材、シリコン基材、ガラス基材などが使用できる。熱膨張係数や絶縁性を考慮すると、セラミック基材や、ガラス基材を用いることが好ましい。ガラスのうち非感光性ガラスとしては、ソーダ石灰ガラス(成分例:SiO:65〜75重量%、Al:0.5〜4重量%、CaO:5〜15重量%、MgO:0.5〜4重量%、NaO:10〜20重量%)、ホウ珪酸ガラス(成分例:SiO:65〜80重量%、B:5〜25重量%、Al:1〜5重量%、CaO:5〜8重量%、MgO:0.5〜2重量%、NaO:6〜14重量%、KO:1〜6重量%)等が挙げられる。また、感光性ガラスとしてはLiO−SiO系結晶化ガラスに感光剤として金イオン及び銀イオンを含むものが挙げられる。
【0046】
有機基板としては、ガラス布に樹脂を含浸させた材料を積層した基板や樹脂フィルムが使用できる。使用する樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらの混合樹脂が使用できるが、熱硬化性の有機絶縁材料が好ましい。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン樹脂、シクロペンタジエンから合成した樹脂、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌラートを含む樹脂、芳香族ニトリルから合成した樹脂、3量化芳香族ジシアナミド樹脂、トリアリルトリメタリレートを含む樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、縮合多環芳香族を含む熱硬化性樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂等を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アラミド樹脂、液晶ポリマ等が挙げられる。これらの樹脂には充填材を添加しても良い。充填材としては、シリカ、タルク、水酸化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、窒化アルミニウム、アルミナ等が挙げられる。コア基板の厚さは100〜800μmであるのが、IVH形成性の点で好ましく、更に150〜500μmであるのがより好ましい。
【0047】
(層間絶縁層を形成する工程)
本発明の多層配線基板の層間絶縁層は、前述したように熱硬化性の有機絶縁材料、熱可塑性の有機絶縁材料、またはそれらの混合有機絶縁材料を含んでもよいが、熱硬化性の有機絶縁材料を主成分とするのが好ましい。コア基板の片面または両面に層間絶縁層を形成する工程としては、有機絶縁材料がワニス状の材料の場合、印刷やスピンコートで、またフィルム状の有機絶縁材料の場合、ラミネートやプレスなどの手法が例示できる。なお有機絶縁材料が熱硬化性の材料を含む場合は、さらに加熱硬化させることが望ましい。
【0048】
(配線形成工程)
配線形成工程としては、コア基板表面または層間絶縁層表面に銅で配線が形成されれば特に限定しない。例えば配線の形成方法としては、コア基板表面または層間絶縁層上に金属箔を形成し、金属箔の不要な箇所をエッチングで除去する方法(サブトラクト法)、コア基板表面または層間絶縁層上の必要な箇所にのみめっきにより配線を形成する方法(アディティブ法)、コア基板表面または層間絶縁層上にシード層(薄い金属からなる層)を形成し、その後、電解めっきで必要な配線を形成した後、シード層をエッチングで除去する方法(セミアディティブ法)がある。セミアディティブ法により配線を形成する場合において、層間絶縁層表面のシード層(薄い金属からなる層)上に、めっきレジストを必要なパターンに形成し、シード層を介して電解銅めっきにより配線を形成し、さらにめっきレジストを剥離した状態における電気銅めっき層と電気銅めっき層の下層のシード層とを含んだ配線部分の断面積(S)と、シード層をエッチング等により除去し、または、配線表面に表面粗さがRaで0.01〜0.4μmとなる処理を施し、カップリング剤、密着性改良剤もしくは腐食抑制剤を少なくとも一種以上含む処理膜を形成した後の、電気銅めっき層と電気銅めっき層の下層のシード層とを含んだ配線部分の断面積(S´)との面積比(=S´/S)が、0.5〜1.0であることが好ましく、0.7〜1.0であることがより好ましい。
【0049】
(サブトラクト法による配線形成)
配線形成工程としては、前記したようにエッチングで除去する方法(サブトラクト法)がある。金属箔の配線となる箇所にエッチングレジストを形成し、エッチングレジストから露出した箇所に、化学エッチング液をスプレー噴霧して、不要な金属箔をエッチング除去し、配線を形成することができる。例えば、金属箔として銅箔を用いる場合、エッチングレジストは、通常の配線板に用いることのできるエッチングレジスト材料を使用できる。例えばレジストインクをシルクスクリーン印刷してエッチングレジストを形成したり、またエッチングレジスト用ネガ型感光性ドライフィルムを銅箔の上にラミネートして、その上に配線形状に光を透過するフォトマスクを重ね、紫外線で露光し、露光しなかった箇所を現像液で除去してエッチングレジストを形成する。化学エッチング液には、塩化第二銅と塩酸の溶液、塩化第二鉄溶液、硫酸と過酸化水素の溶液、過硫酸アンモニウム溶液など、通常の配線板に用いる化学エッチング液を用いることができる。
【0050】
(アディティブ法による配線形成)
また、配線は、コア基板または層間絶縁層(ビルドアップ層)上の必要な箇所にのみ、めっきを行うことで形成することも可能であり、通常のめっきによる配線形成技術(アディティブ法)を用いることができる。例えば、コア基板に無電解めっき用触媒を付着させた後、めっきが行われない表面部分にめっきレジストを形成して、無電解めっき液に浸漬し、めっきレジストに覆われていない箇所にのみ、無電解めっきを行い配線を形成する。
【0051】
(セミアディティブ法による配線形成)
コア基板表面または層間絶縁層(ビルドアップ層)上に、セミアディティブ法のシード層を形成する方法は、蒸着またはめっきによる方法と、金属箔を貼り合わせる方法がある。また同様の方法で、サブトラクト法の金属箔を形成することもできる。
【0052】
(蒸着またはめっきによるシード層の形成)
コア基板表面または層間絶縁層(ビルドアップ層)上に蒸着またはめっきによってシード層を形成することができる。例えば、シード層として、スパッタリングにより下地金属と薄膜銅層を形成する場合、薄膜銅層を形成するために使用されるスパッタリング装置は、2極スパッタ、3極スパッタ、4極スパッタ、マグネトロンスパッタ、ミラートロンスパッタ等を用いることができる。スパッタに用いるターゲットは、密着を確保するために、例えばCr、Ni、Co、Pd、Zr、Ni/Cr、Ni/Cu等の金属を下地金属として用い、5〜50nmスパッタリングする。その後、銅をターゲットにして200〜500nmスパッタリングしてシード層を形成できる。また、コア基板表面またはビルドアップ層上にめっき銅を、0.5〜3μm無電解銅めっきし、形成することもできる。
【0053】
(金属箔を貼り合わせる方法)
コア基板または層間絶縁層(ビルドアップ層)に接着機能がある場合は、金属箔をプレスやラミネートによって貼り合わせることによりシード層を形成することもできる。しかし、薄い金属層を直接貼り合わせるのは非常に困難であるため、厚い金属箔を張り合わせた後にエッチング等により薄くする方法や、キャリア付金属箔を貼り合わせた後にキャリア層を剥離する方法などがある。例えば前者としてはキャリア銅/ニッケル/薄膜銅の三層銅箔があり、キャリア銅をアルカリエッチング液で、ニッケルをニッケルエッチング液で除去し、後者としてはアルミ、銅、絶縁樹脂などをキャリアとしたピーラブル銅箔などが使用でき、5μm以下のシード層を形成できる。また、厚み9〜18μmの銅箔を貼り付け、5μm以下になるように、エッチングにより均一に薄くし、シード層を形成してもかまわない。
【0054】
前述の方法で形成されたシード層上に、めっきレジストを必要なパターンに形成し、シード層を介して電解銅めっきにより配線を形成する。その後、めっきレジストを剥離し、最後にシード層をエッチング等により除去し、配線が形成できる。
【0055】
(配線の形状)
本発明の多層配線基板の配線の形状は特に問わないが、多層配線基板が半導体チップ搭載基板の場合、図5に示したように半導体チップ搭載基板の少なくとも半導体チップが搭載される側には半導体チップ接続端子16(ワイヤボンド端子等)、その反対面にはマザーボードと電気的に接続される外部接続続端子(はんだボール等が搭載される箇所)及びそれらを繋ぐ展開配線、層間接続端子等から構成されることが望ましい。また、半導体チップ搭載基板の配線の配置も特に問わないが、図3に示したように(内層配線、層間接続端子等は省略)、半導体チップ接続端子より内側に外部接続端子を形成したファン−インタイプや、図4に示したような半導体チップ接続端子の外側に外部接続端子を形成したファン−アウトタイプ、またはこれらを組み合わせたタイプでもよい。図5に、ファン−インタイプ半導体チップ搭載基板の平面図を、図6にファン−アウトタイプ半導体チップ搭載基板の平面図を示した。なお、半導体チップ接続端子16の形状は、ワイヤボンド接続やフリップチップ接続などが、可能であれば、特に問わない。また、ファン−アウト、ファン−インどちらのタイプでも、ワイヤボンド接続やフリップチップ接続などは、可能である。さらに必要に応じて、半導体チップと電気的に接続されないダミーパターン21(図6参照)を形成してもかまわない。ダミーパターン21の形状や配置も特には問わないが、半導体搭載領域に均一に配置するのが好ましい。これによって、ダイボンド接着剤で半導体チップを搭載する際に、ボイドが発生しにくくなり、信頼性を向上できる。
【0056】
(バイアホール)
本発明の多層配線基板は、複数の配線層を有するため、各層の配線を電気的に接続するためのバイアホールを設けることができる。バイアホールは、コア基板または層間絶縁層(ビルドアップ層)に接続用の穴を設け、この穴を導電性ペーストやめっき等で充填し形成できる。穴の加工方法としては、パンチやドリルなどの機械加工、レーザ加工、薬液による化学エッチング加工、プラズマを用いたドライエッチング法などがある。
【0057】
また、層間絶縁層(ビルドアップ層)のバイアホール形成方法としては、予め層間絶縁層(ビルドアップ層)に導電性ペーストやめっきなどで導電層を形成し、これをコア基板にプレス等で積層する方法などもある。
【0058】
(絶縁被覆の形成)
本発明の多層配線基板や半導体チップ搭載基板の外部接続端子側には絶縁被覆109を形成することができる(図1〜4,図8参照)。パターン形成は、ワニス状の材料であれば印刷で行うことも可能であるが、より精度を確保するためには、感光性のソルダレジスト、カバーレイフィルム、フィルム状レジストを用いるのが好ましい。材質としては、エポキシ系、ポリイミド系、エポキシアクリレート系、フルオレン系の材料を用いることができる。
【0059】
このような絶縁被覆109は硬化時の収縮があるため、片面だけに形成すると基板に大きな反りを生じやすい。そこで、必要に応じて半導体チップ搭載基板の両面に絶縁被覆109を形成することもできる。さらに、反りは絶縁被覆109の厚みによって変化するため、両面の絶縁被覆109の厚みは、反りが発生しないように調整することがより好ましい。その場合、予備検討を行い、両面の絶縁被覆109の厚みを決定することが好ましい。また、薄型の半導体パッケージとするには、絶縁被覆109の厚みが50μm以下であることが好ましく、30μm以下がより好ましい。
【0060】
(配線のめっき)
配線の必要な部分にニッケル、金めっきを順次施すことが好ましい。さらに必要に応じてニッケル、パラジウム、金めっきとしても良い。これらのめっきは、配線の半導体チップ接続端子と、マザーボードまたは他の半導体パッケージと電気的に接続するための外部接続端子に施されるのが一般的である。このめっきは、無電解めっき、または電解めっきのどちらを用いてもよい。
【0061】
(半導体チップ搭載基板)
図1及び図8に、本発明の半導体チップ搭載基板の一実施例(片面ビルドアップ層2層)の断面模式図を示した。ここでは、層間絶縁層(ビルドアップ層)を片面にのみ形成した実施形態で説明するが、必要に応じて図8に示すように層間絶縁層(ビルドアップ層)は両面に形成しても良い。
【0062】
本発明の半導体チップ搭載基板は、図1に示すように、半導体チップが搭載される側の絶縁層であるコア基板100上に、半導体チップ接続端子及び第1の層間接続端子101を含む第1の配線106aが形成される。コア基板の他方の側には、第2の層間接続端子103を含む第2の配線106bが形成され、第1の層間接続端子と第2の層間接続端子は、コア基板の第1の層間接続用IVH(バイアホール)102を介して電気的に接続される。コア基板の第2の配線側には、層間絶縁層(ビルドアップ層)104が形成され、層間絶縁層(ビルドアップ層)104上には第3の層間接続端子を含む第3の配線106cが形成され、第2の層間接続端子と第3の層間接続端子は、第2の層間接続用IVH108を介して電気的に接続される。
【0063】
層間絶縁層(ビルドアップ層)が複数形成される場合は、同様の構造を積層し、最外層の層間絶縁層(ビルドアップ層)上には、マザーボードと接続される外部接続端子107が形成される。配線の形状や各々の接続端子の配置等は特に制限されず、搭載する半導体チップや目的とする半導体パッケージを製造するために、適宜設計可能である。また、半導体チップ接続端子と第1の層間接続端子等を共用することも可能である。更に、最外層の層間絶縁層(ビルドアップ層)上には、必要に応じてソルダレジスト等の絶縁被覆109を設けることもできる。
【0064】
(半導体チップ搭載基板の製造方法)
このような半導体チップ搭載基板は、以下のような工程で製造することができる。図2の(a)〜(g)に、本発明の半導体チップ搭載基板の製造方法の実施形態の一例を断面模式図で示した。ただし、製造工程の順番は、本発明の目的を逸脱しない範囲では、特に限定しない。
【0065】
(工程a)
(工程a)は、図2(a)に示したようにコア基板100上に第1の配線106aを作製する工程である。例えば片面に銅層が形成されたコア基板に第1の配線形状にエッチングレジストを形成し、塩化銅や塩化鉄などのエッチング液を用いて配線を作製することができる。コア基板100上に銅層を作製するには、スパッタリング、蒸着、めっき等により薄膜を形成した後、電気銅めっきで膜厚を所望の厚みまでめっきすることにより、銅層を得ることができる。
【0066】
なお、第1の配線106aは、第1の層間接続端子101及び半導体チップ接続端子(半導体チップと電気的に接続される部分)を含んでおり、微細配線の形成方法としては、セミアディティブ法を用いても良い。
【0067】
(工程b)
(工程b)は、図2(b)に示したように、前記第1の層間接続端子101と、後述する第2の配線とを接続するための第1の層間接続用IVH102(バイアホール)を形成する工程である。
【0068】
バイアホールの形成は、コア基板100が非感光性基材の場合、レーザ光を用いることができる。非感光性基材としては、前述した非感光性ガラスなどが挙げられるが、これに限定したものではない。この場合、使用するレーザ光は限定されるものではなく、COレーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ等を用いることができる。また、コア基板100が感光性基材の場合、バイアホール以外の領域をマスクし、バイアホール部に紫外光を照射する。なお感光性基材としては、前述した感光性ガラスなどが挙げられるが、これに限定したものではない。この場合、紫外光を照射後、熱処理とエッチングによりバイアホールを形成する。また、コア基板100が、有機溶剤等の薬液による化学エッチング加工が可能な基材の場合は、化学エッチングによってバイアホールを形成することもできる。形成されたバイアホールは層間を電気的に接続するために、導電性のペーストやめっきなどで充填して層間接続のための導電層を形成することができる。
【0069】
(工程c)
(工程c)は、図2(c)に示したように、コア基板100の第1の配線106aと反対側の面に第2の配線106bを形成する工程である。コア基板100の第1の配線と反対の面に(工程a)と同様に銅層を形成し、その銅層を必要な配線形状にエッチングレジストを形成し、塩化銅や塩化鉄等のエッチング液を用いて第2の配線を形成する。銅層の形成方法としては、(工程a)と同様にスパッタリング、蒸着、無電解めっきなどで銅薄膜を形成した後、電気銅めっきを用いて所望の厚みまで銅めっきすることにより銅層が得られる。なお、第2の配線は第2の層間接続端子103を含んでおり、微細配線の形成方法としてはセミアディティブ法を用いても良い。
【0070】
(工程d)
(工程d)は、図2(d)に示すように前記第2の配線106bを形成した面に層間絶縁層(ビルドアップ層)104を形成する工程である。まず、第2の配線表面を、前記脱脂処理または硫酸洗浄を行う。酸性あるいはアルカリ性あるいは酸化剤を含む水溶液に浸漬し、銅配線表面のRaが0.01〜0.4μmとなるように処理を行う。酸化剤を含む水溶液に浸漬した場合は、さらに、還元剤を含む水溶液に浸漬し、前記酸化銅皮膜を還元処理することによって、銅配線表面のRaが0.01〜0.4μmとなるように処理を行う。さらに、銅、スズ、クロム、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、コバルト、金、白金、銀、パラジウムから選択される金属を1種以上含む金属層を無電解めっき、電気めっき、置換反応、スプレー噴霧、塗布する等の方法によって、配線表面に形成する。その表面上にSi−O−Si結合を有する化合物を形成し、続いてカップリング剤もしくは密着性改良剤を少なくとも一種以上含む溶液による処理を行い第2の配線表面に極薄の処理膜を形成する。
【0071】
次に、コア基板100表面及び第2の配線106b表面に、層間絶縁層(ビルドアップ層)104を形成する。層間絶縁層(ビルドアップ層)104を形成する有機絶縁材料としては、前記したように熱硬化性の有機絶縁材料、熱可塑性の有機絶縁、またはそれらの混合有機絶縁樹脂が使用できるが、熱硬化性の有機絶縁材料を主成分とするのが好ましい。有機絶縁材料がワニス状の材料の場合、印刷やスピンコートで、またはフィルム状の絶縁材料の場合、ラミネートやプレスなどの手法を用いて層間絶縁層(ビルドアップ層)を得ることができる。有機絶縁材料が熱硬化性の有機絶縁材料を含む場合は、さらに加熱硬化させることが望ましい。
【0072】
(工程e)
(工程e)は、図2(e)に示したように、前記層間絶縁層(ビルドアップ層)104に第2の層間接続用のIVH(バイアホール)108を形成する工程であり、バイアホールの形成手段としては、一般的なレーザ穴あけ装置を使用することができる。レーザ穴あけ機で用いられるレーザの種類はCO2レーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ等を用いることができるが、CO2レーザが生産性及び穴品質の点で好ましい。また、IVH径が30μm未満の場合は、レーザ光を絞ることが可能なYAGレーザが適している。また、層間絶縁層(ビルドアップ層)が有機溶剤等の薬液による化学エッチング加工が可能な材料の場合は、化学エッチングによってバイアホールを形成することもできる。
【0073】
(工程f)
(工程f)は、図2(f)に示したように、前記第2のバイアホール108が形成された層間絶縁層(ビルドアップ層)104上に、第3の配線106cを形成する工程である。またL/S=35μm/35μm以下の微細な配線を形成するプロセスとしては、前記したセミアディティブ法が好ましい。層間絶縁層(ビルドアップ層)上に、蒸着またはめっきによる方法や金属箔を貼り合わせる方法などにより、シード層を形成する。前述の方法で形成されたシード層上に、めっきレジストを必要なパターンに形成し、シード層を介して電解銅めっきにより配線を形成する。その後、めっきレジストを剥離し、最後にシード層をエッチング等により除去し、微細な配線が形成できる。
【0074】
(工程d)から(工程f)までを繰り返して、図2(g)に示すように層間絶縁層(ビルドアップ層)104を2層以上作製してもよい。この場合、最外の層間絶縁層(ビルドアップ層)に形成された層間接続端子が、外部接続端子107となる。
【0075】
(工程g)
(工程g)は、図2(g)に示したように、外部接続端子107以外の配線等を保護するための絶縁被覆109を形成する工程である。絶縁被覆109の材料としては、ソルダレジストが一般的に用いられ、熱硬化型や紫外線硬化型のものが使用できるが、レジスト形状を精度良く仕上げることができる紫外線硬化型のものが好ましい。
【0076】
(半導体チップ搭載基板の形状)
半導体チップ搭載基板22の形状は、特に問わないが、図7に示したようなフレーム形状にすることが好ましい。半導体チップ搭載基板の形状をこのようにすることで、半導体パッケージの組立てを効率よく行うことができる。以下、好ましいフレーム形状について詳細に説明する。
【0077】
図7に示したように、半導体パッケージ領域13(1個の半導体パッケージとなる部分)を行及び列に各々複数個等間隔で格子状に配置したブロック23を形成する。さらに、このようなブロックを複数個行及び列に形成する。図7では、2個のブロックしか記載していないが、必要に応じて、ブロックも格子状に配置してもよい。ここで、半導体パッケージ領域間のスペース部の幅は、50〜500μmが好ましく、100〜300μmがより好ましい。さらに、後に半導体パッケージを切断するときに使用するダイサーのブレード幅と同じにするのが最も好ましい。
【0078】
このように半導体パッケージ領域を配置することで、半導体チップ搭載基板の有効利用が可能になる。また、半導体チップ搭載基板の端部には、位置決めのマーク等11を形成することが好ましく、貫通穴によるピン穴であることがより好ましい。ピン穴の形状や配置は、形成方法や半導体パッケージの組立て装置に合うように選択すればよい。
【0079】
さらに、前記半導体パッケージ領域間のスペース部や前記ブロックの外側には補強パターン24を形成することが好ましい。補強パターンは、別途作製し半導体チップ搭載基板と貼り合わせてもよいが、半導体パッケージ領域に形成される配線と同時に形成された金属パターンであることが好ましく、さらに、その表面には、配線と同様のニッケル、金などのめっきが施すか、絶縁被覆をすることがより好ましい。補強パターンが、このような金属の場合は、電解めっきの際のめっきリードとして利用することも可能である。また、ブロックの外側には、ダイサーで切断する際の切断位置合わせマーク25を形成することが好ましい。このようにして、フレーム形状の半導体チップ搭載基板を作製することができる。
【0080】
(半導体パッケージ)
図3に、本発明のフリップチップタイプ半導体パッケージの実施形態の一例を断面模式図で示す。図3に示したように本発明の半導体パッケージは、上記本発明の半導体チップ搭載基板に、さらに半導体チップ111が搭載されているもので、半導体チップ111と半導体チップ接続端子とを接続バンプ112を用いてフリップチップ接続することによって電気的に接続して得ることができる。
【0081】
さらに、これらの半導体パッケージには、図示するように、半導体チップと半導体チップ搭載基板の間をアンダーフィル材113で封止することが好ましい。アンダーフィル材の熱膨張係数は、半導体チップ111及びコア基板100の熱膨張係数と近似していることが好ましいがこれに限定したものではない。さらに好ましくは(半導体チップの熱膨張係数)≦(アンダーフィル材の熱膨張係数)≦(コア基板の熱膨張係数)である。さらに、半導体チップの搭載には異方導電性フィルム(ACF)や導電性粒子を含まない接着フィルム(NCF)を用いて行うこともできる。この場合は、アンダーフィル材で封止する必要がないため、より好ましい。さらに、半導体チップを搭載する際に超音波を併用すれば、電気的な接続が低温でしかも短時間で行えるため特に好ましい。
【0082】
また、図4には、ワイヤボンドタイプ半導体パッケージの実施形態の断面図を示す。半導体チップの搭載には、一般のダイボンドペーストも使用できるが、ダイボンドフィルム117を用いるのがより好ましい。半導体チップ111と半導体チップ接続端子との電気的な接続は金ワイヤ115を用いたワイヤボンドで行うのが一般的である。半導体チップ111の封止は、半導体用封止樹脂116をトランスファモールドで行うことができる。その場合、半導体チップ111の少なくともフェース面を半導体用封止樹脂116で封止するが、封止領域は、必要な部分だけを封止しても良いが、図4のように半導体パッケージ領域全体を封止するのが、より好ましい。これは、半導体パッケージ領域を行及び列に複数個配列した半導体チップ搭載基板において、基板と封止樹脂を同時にダイサー等で切断する場合、特に有効な方法である。
【0083】
また、マザーボードとの電気的な接続を行うために、外部接続端子には、例えば、はんだボール114を搭載することができる。はんだボール114には、共晶はんだやPbフリーはんだが用いられる。はんだボール114を外部接続端子に固着する方法としては、Nリフロー装置を用いるのが一般的であるがこれに限定したものではない。
【0084】
半導体パッケージ領域を行及び列に複数個配列した半導体チップ搭載基板においては、最後に、ダイサー等を用いて個々の半導体パッケージに切断する。
【実施例】
【0085】
以下に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
(工程a)
コア基板100として0.4mm厚のソーダガラス基板(熱膨張係数11ppm/℃)を用意し、片面にスパッタリングにより200nmの銅薄膜を形成した後、電気銅めっきで10μmの厚さまでめっきを行った。なおスパッタリングは、日本真空技術株式会社製装置型番MLH−6315を用いて、以下に示した条件1で行った。その後、第1の配線106aとなる部分にエッチングレジストを形成し、塩化第二鉄エッチング液を用いてエッチングして第1の配線106a(第1の層間接続端子101及び半導体チップ接続端子を含む)を形成した。
条件1
電流:3.5A
電圧:500V
アルゴン流量:35SCCM
圧力:5×10−3Torr(4.9×10−2Pa)
成膜速度:5nm/秒
【0086】
(工程b)
第1の配線が形成されたガラス基板の第1の配線と反対面から第1の層間接続端子に到達するまで、レーザで穴径50μmのIVH穴を形成した。レーザにはYAGレーザLAVIA−UV2000(住友重機械工業株式会社製、商品名)を使用し、周波数4kHz、ショット数50、マスク径0.4mmの条件でIVH穴の形成を行った。
【0087】
得られたIVHの穴に導電性ペーストMP−200V(日立化成工業株式会社製、商品名)を充填して、160℃30分で硬化し、ガラス基板の第1の層間接続端子と電気的に接続し、第1の層間接続用IVH(バイアホール)102を形成した。
【0088】
(工程c)
(工程b)で形成された第1の層間接続用IVH(第1のバイアホール)102と電気的に接続するために、ガラス基板の、第1の配線と反対側の面にスパッタリングにより200nmの銅薄膜を形成した後、電気銅めっきで10μmの厚さまでめっきを行った。スパッタリングは、(工程a)と同様に行った。さらに、(工程a)と同様に第2の配線の形状にエッチングレジストを形成し、塩化第二鉄エッチング液を用い、エッチングして第2の配線106b(第2の層間接続端子103を含む)を形成した。
【0089】
(工程d)
配線の表面処理として以下の工程を行なった。(工程c)で形成した第2の配線106b側の面に、200ml/Lに調整した酸性脱脂液Z−200(ワールドメタル社製、商品名)に、液温50℃で2分間浸漬した後、液温50℃の水に2分間浸漬することにより湯洗し、さらに1分間水洗し、脱脂処理を行なった。次いで、酸性溶液として3.6Nの硫酸水溶液に1分間浸漬し、1分間水洗した。この前処理工程を経た後に、85℃で30分間乾燥し、表面粗さがRaで0.18μmの配線表面を形成した。3重量%に調整した、シリカガラスを形成するパーヒドロポリシラザンを主成分とするアクアミカNL110A(クラリアントジャパン株式会社製、商品名)を、スプレー塗布した。150℃で1時間焼成を行った後、90℃、80%RHで3時間処理を行ないSi−O−Si結合を有する化合物(厚さ1μmのシリカガラス)を第2の配線106b表面に形成した。これらの工程を経た後、酢酸によりpH5に調整した水溶液に、γ−アミノプロピルトリエトキシシランA−1100(日本ユニカー株式会社製、商品名)の濃度が0.5重量%となるように調整した溶液に、25℃で1分間浸漬した。さらに水洗することなく、120℃にて3分間乾燥を行いカップリング剤を含む処理膜を形成した。
【0090】
配線の表面処理の次に、層間絶縁層(ビルドアップ層)104を以下のように形成した。すなわち、シアネートエステル系樹脂組成物の有機絶縁材料のワニスをスピンコート法により、条件1500rpmで、コア基板100であるガラス基板上に塗布し、厚み20μmの絶縁層を形成した後、常温(25℃)から6℃/minの昇温速度で230℃まで加熱し、230℃で80分間保持することにより熱硬化し、15μmの層間絶縁層(ビルドアップ層)104を形成した。
【0091】
(工程e)
層間絶縁層(ビルドアップ層)104の表面から第2の層間接続用端子103に到達するまで、レーザで穴径50μmの第2の層間接続用のIVH(バイアホール)108穴を形成した。レーザにはYAGレーザLAVIA−UV2000(住友重機械工業株式会社製、商品名)を使用し、周波数4kHz、ショット数20、マスク径0.4mmの条件でIVH穴の形成を行った。
【0092】
(工程f)
第3の配線106c及び第2のバイアホールの形成のために、スパッタリングにより、シード層となる下地金属Ni層20nmを形成し、さらに薄膜銅層200nmを形成した。スパッタリングは、日本真空技術株式会社製MLH−6315を用いて以下に示した条件2で行った。
条件2
(ニッケル)
電流:5.0A
電流:350V
電圧アルゴン流量:35SCCM
圧力:5×10−3Torr(4.9×10−2Pa)
成膜速度:0.3nm/秒
(銅)
電流:3.5A
電圧:500V
アルゴン流量:35SCCM
圧力:5×10−3Torr(4.9×10−2Pa)
成膜速度:5nm/秒
【0093】
次に、めっきレジストPMER P−LA900PM(東京応化工業株式会社製、商品名)を用いスピンコート法で、シード層上に、膜厚20μmのめっきレジスト層を形成した。1000mJ/cm2の条件で露光し、PMER現像液P−7Gを用いて23℃で6分間浸漬揺動し、L/S=10μm/10μmのレジストパターンを形成した。その後、硫酸銅めっき液を用いてパターン銅めっきを約5μm行った。めっきレジストの剥離は、メチルエチルケトンを用いて室温(25℃)で1分間浸漬し除去した。シード層のクイックエッチングには、CPE−700(三菱瓦斯化学株式会社製、商品名)の5倍希釈液を用いて、30℃で30秒間浸漬揺動することにより、これらをエッチング除去し、第3の配線106cを形成した。
【0094】
(工程g)
この後、(工程d)〜(工程f)までを再度繰り返し、層間絶縁層(ビルドアップ層)及び外部接続端子107を含む最外層の配線をさらに一層形成し、最後に絶縁被覆109であるソルダーレジストを形成して、図1(1パッケージ分の断面図)、図5(1パッケージ分の平面図)、及び図7(半導体チップ搭載基板全体図)に示すようなファン−インタイプBGA用半導体チップ搭載基板を作製した。
【0095】
(半導体パッケージ作製工程)
以下の工程により図3に示した半導体パッケージを作製した。前記(工程a)〜(工程g)により作製された半導体チップ搭載基板の半導体チップ搭載領域に、接続バンプ112の形成された半導体チップ111を、フリップチップボンダを用いて超音波を印加しながら必要な数だけ搭載した。さらに、半導体チップ搭載基板と半導体チップの隙間に、半導体チップ端部からアンダーフィル材113を注入し、オーブンを用いて80℃で1時間の1次硬化及び150℃で4時間の2次硬化を行った。次に、外部接続端子に直径0.45mmの鉛・錫共晶はんだボール114をNリフロー装置で融着した。最後に、幅200μmのブレードを装着したダイサーで半導体チップ搭載基板を切断し、半導体パッケージを作製した。
【0096】
(実施例2)
(工程a)〜(工程c)までは、実施例1と同様の工程であった。(工程d)で実施例1と同様に前処理工程を行った後、黒化処理液HIST−500(日立化成工業株式会社製、商品名)に85℃で2分40秒間浸漬した。この後、5分間水洗し、還元処理液HIST−100(日立化成工業株式会社製、商品名)に40℃で2分40秒間浸漬し、さらに10分間水洗を行った。この処理工程を経た後に、85℃で30分間乾燥させ、表面粗さがRaで0.18μmの配線表面を形成した。これらの工程を経た後に、実施例1と同様の方法で、Si−O−Si結合を有する化合物(厚さ1μmのシリカガラス)を形成し、さらにγ−アミノプロピルトリエトキシシランを含む処理膜を形成した。更に実施例1と同様の工程で、図6(1パッケージ分の平面図)に示すようなファン−アウトタイプBGA用半導体チップ搭載基板を作製した。
【0097】
(半導体パッケージ作製工程)
以下の工程により図4に示した半導体パッケージを作製した。前記(工程a)〜(工程g)により作製された半導体チップ搭載基板の半導体チップ搭載領域に、ダイボンドフィルムDF−100(日立化成工業株式会社製、商品名)117を用いて、半導体チップ111を必要な数だけ搭載した。次に、ワイヤボンダUTC230(株式会社新川製、商品名)で、半導体チップ上の端子と半導体チップ搭載基板の半導体チップ接続端子とを、直径25μmの金ワイヤ115で電気的に接続した。さらに、半導体チップを封止樹脂116であるCEL9200(日立化成工業株式会社製、商品名)を用いて、圧力10MPa、温度180℃、時間90秒で、図7に示した1ブロック23を一体にトランスファモールドした。次に、温度180℃のオーブンで5時間の熱処理を行い、封止樹脂及びダイボンドフィルムを完全硬化して、外部接続端子に直径0.45mmの鉛・錫共晶はんだボール114をNリフロー装置で融着した。最後に、幅200μmのブレードを装着したダイサーで封止樹脂と半導体チップ搭載基板を同時に切断し、半導体パッケージを作製した。
【0098】
(実施例3)
(工程d)で実施例1と同様に前処理工程を行った後、黒化処理液HIST−500(日立化成工業株式会社製、商品名)に85℃で2分40秒間浸漬した。この後、5分間水洗し、還元処理液HIST−100(日立化成工業株式会社製、商品名)に40℃で2分40秒間浸漬し、さらに10分間水洗を行った。この処理を行った後に、85℃で30分間乾燥させ、表面粗さがRaで0.18μmの配線表面を形成した。これらの工程を経た後に、実施例1と同様の方法で、厚さ1μmのシリカガラス(Si−O−Si結合を有する化合物)を形成し、さらにγ−アミノプロピルトリエトキシシランを含む溶液により処理膜を形成した。それ以外の工程は、実施例1と同様にしてファン−インタイプBGA用半導体チップ搭載基板(図5参照)及び半導体パッケージ(図3参照)を作製した。
【0099】
(実施例4)
(工程d)で実施例1と同様の前処理工程を行った後、置換スズめっき液サブスターSN−5(奥野製薬工業株式会社、製品名)に60℃で3分間浸漬して置換スズめっきを施した。この処理を行った後に、85℃で30分間乾燥させ、置換スズめっきにより、スズを含む厚さ0.3μmの金属層を形成した。これらの工程を経た後に、実施例1と同様の方法で、厚さ1μmのシリカガラス(Si−O−Si結合を有する化合物)を形成し、さらにγ−アミノプロピルトリエトキシシランを含む溶液により処理膜を形成した。それ以外の工程は、実施例1と同様にしてファン−インタイプBGA用半導体チップ搭載基板(図5参照)及び半導体パッケージ(図3参照)を作製した。
【0100】
(実施例5)
(工程d)で実施例1と同様の前処理工程を行った後、置換パラジウムめっき液メルプレートアクチベータ350(メルテックス株式会社、製品名)に常温(25℃)で3分間浸漬して置換パラジウムめっきを施し、1分間水洗し、さらに無電解ニッケル-リンめっき液ICP−ニコロンU(奥野製薬株式会社、製品名)に90℃で4分間浸漬して無電解ニッケル-リンめっきを施した。この処理を行った後に、85℃で30分間乾燥させ、ニッケル、パラジウムを含む厚さ1.2μmの金属層を形成した。これらの工程を経た後に、実施例1と同様の方法で、厚さ1μmのシリカガラス(Si−O−Si結合を有する化合物)を形成し、さらにγ−アミノプロピルトリエトキシシランを含む溶液により処理膜を形成した。それ以外の工程は、実施例1と同様にしてファン−インタイプBGA用半導体チップ搭載基板(図5参照)及び半導体パッケージ(図3参照)を作製した。
【0101】
(実施例6)
(工程d)で実施例1と同様の前処理工程を行った後、置換パラジウムめっき液メルプレートアクチベータ350(メルテックス株式会社、製品名)に常温(25℃)で3分間浸漬して置換パラジウムめっきを施し、1分間水洗し、さらに無電解ニッケル−銅−リンめっき液トップニコロンCu−50A,B(奥野製薬株式会社、製品名)に80℃で4分間浸漬して無電解ニッケル−銅−リンめっきを施した。この処理を行った後に、85℃で30分間乾燥させ、ニッケル、銅、パラジウムを含む厚さ1.4μmの金属層を形成した。これらの工程を経た後に、実施例1と同様の方法で、厚さ1μmのシリカガラス(Si−O−Si結合を有する化合物)を形成し、さらにγ−アミノプロピルトリエトキシシランを含む溶液により処理膜を形成した。それ以外の工程は、実施例1と同様にしてファン−インタイプBGA用半導体チップ搭載基板(図5参照)及び半導体パッケージ(図3参照)を作製した。
【0102】
(実施例7)
実施例1と同様の前処理工程を行った後、腐食抑制剤である3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール(和光純薬工業株式会社製、商品名)の濃度が、10ppmであるエタノール溶液に25℃で、10分間浸漬した。この処理工程を経た後に、85℃で30分間乾燥させた。これらの工程を経た後に、実施例1と同様の方法で、厚さ1μmのシリカガラス(Si−O−Si結合を有する化合物)を形成し、さらにγ−アミノプロピルトリエトキシシランを含む溶液により処理膜を形成した。それ以外の工程は、実施例1と同様にしてファン−インタイプBGA用半導体チップ搭載基板(図5参照)及び半導体パッケージ(図3参照)を作製した。
【0103】
(実施例8)
実施例1と同様の前処理工程を行った後、腐食抑制剤である2−アミノ−6−ヒドロキシ−8−メルカプトプリン(和光純薬工業株式会社製、商品名)の濃度が、10ppmであるエタノール溶液に25℃で、10分間浸漬した。この処理工程を経た後に、85℃で30分間乾燥させた。これらの工程を経た後に、実施例1と同様の方法で、厚さ1μmのシリカガラス(Si−O−Si結合を有する化合物)を形成し、さらにγ−アミノプロピルトリエトキシシランを含む溶液により処理膜を形成した。それ以外の工程は、実施例1と同様にしてファン−インタイプBGA用半導体チップ搭載基板(図5参照)及び半導体パッケージ(図3参照)を作製した。
【0104】
(実施例9)
実施例1と同様の前処理工程を行った後、1重量%の重クロム酸ナトリム水溶液に30秒浸漬した。この処理工程を経た後に、85℃で30分間乾燥させ、表面粗さがRaで0.18μmの配線表面を形成した。これらの工程を経た後に、実施例1と同様の方法で、厚さ1μmのシリカガラス(Si−O−Si結合を有する化合物)を形成し、さらにγ−アミノプロピルトリエトキシシランを含む溶液により処理膜を形成した。それ以外の工程は、実施例1と同様にしてファン−インタイプBGA用半導体チップ搭載基板(図5参照)及び半導体パッケージ(図3参照)を作製した。
【0105】
(実施例10)
実施例1と同様の方法で、厚さ1μmのシリカガラス(Si−O−Si結合を有する化合物)を形成した後、密着性改良剤としてポリベンゾイミダゾール樹脂であるセラゾールMRS0810H(クラリアントジャパン株式会社製、商品名)を、スプレー塗布し、処理膜を形成した。それ以外の工程は、実施例1と同様にしてファン−インタイプBGA用半導体チップ搭載基板(図5参照)及び半導体パッケージ(図3参照)を作製した。
【0106】
(実施例11)
実施例1と同様の方法で、厚さ1μmのシリカガラス(Si−O−Si結合を有する化合物)を形成した後、酸化チタンオルガノゾルTKS−251(テイカ株式会社製、商品名)をトルエンに10重量%分散させた溶液中に浸漬させた。常温(25℃)にて乾燥した後、実施例1と同様の方法で、γ−アミノプロピルトリエトキシシランを含む溶液により処理を施し、加熱による乾燥をすることなく、常温(25℃)において乾燥した後、ハンディーUVランプLUV−16(アズワン株式会社製、商品名)を用いて、365nmの紫外線を1時間照射し、光触媒粒子であるTiO(酸化チタン)とγ−アミノプロピルトリエトキシシランを含む処理層を配線表面に形成した。それ以外の工程は、実施例1と同様にしてファン−インタイプBGA用半導体チップ搭載基板(図5参照)及び半導体パッケージ(図3参照)を作製した。
【0107】
(実施例12)
実施例1と同様の前処理工程を行った後、85℃で30分間乾燥し、表面粗さがRaで0.18μmの配線表面を形成した。この工程後に、ベンゼンで10%に希釈したラダーシリコーン樹脂SQ−1000(日立化成工業株式会社製、商品名)をスプレー塗布し、150℃で30分間プリべークした後、さらに250℃で60分間硬化して、Si−O−Si結合を有する化合物である厚さ3μmのラダーシリコーン樹脂層を形成した。これらの工程を経た後に、実施例1と同様の方法で、γ−アミノプロピルトリエトキシシランを含む溶液により処理膜を形成した。それ以外の工程は、実施例1と同様にしてファン−インタイプBGA用半導体チップ搭載基板(図5参照)及び半導体パッケージ(図3参照)を作製した。
【0108】
(実施例13)
防錆処理を施していない18μmの電解銅箔GTS−18(古河サーキットフォイル株式会社製、商品名)を5cm×8cmに切り出し、この電解銅箔を試験片として、これに実施例1の(工程d)に記載された表面処理を施した。
【0109】
低誘電正接高耐熱多層材料として使用することが可能な、厚さ0.8mmのガラス布-シアネートエステル系樹脂組成物含浸両面銅張り積層板であるMCL−LX−67(日立化成工業株式会社製、商品名)の片面に、シアネートエステル系樹脂組成物をガラスクロスに含浸させたプリプレグのGXA−67N(日立化成工業株式会社製、商品名)を、さらに最外層に前記の電解銅箔と同様の表面処理を施した電解銅箔を積層し、3.0MPaの圧力で常温(25℃)から6℃/minの昇温速度で230℃まで加熱し、230℃において1時間保持することにより積層接着し、接着性試験用基板を作製した。なお、絶縁樹脂層(GXA−67N)と表面処理を施した電解銅箔との接着面は、シャイニー面(S面)側とした。
【0110】
(実施例14)
電解銅箔に対する表面処理が、実施例2の(工程d)に記載された表面処理である以外は、実施例13と同様に行った。
【0111】
(実施例15)
電解銅箔に対する表面処理が、実施例4の(工程d)に記載された表面処理である以外は、実施例13と同様に行った。
【0112】
(実施例16)
電解銅箔に対する表面処理が、実施例5の(工程d)に記載された表面処理である以外は、実施例13同様に行った。
【0113】
(実施例17)
電解銅箔に対する表面処理が、実施例6の(工程d)に記載された表面処理である以外は、実施例13と同様に行った。
【0114】
(実施例18)
電解銅箔に対する表面処理が、実施例7の(工程d)に記載された表面処理である以外は、実施例13と同様に行った。
【0115】
(実施例19)
電解銅箔に対する表面処理が、実施例8の(工程d)に記載された表面処理である以外は、実施例13と同様に行った。
【0116】
(実施例20)
電解銅箔に対する表面処理が、実施例9の(工程d)に記載された表面処理である以外は、実施例13と同様に行った。
【0117】
(実施例21)
電解銅箔に対する表面処理が、実施例10の(工程d)に記載された表面処理である以外は、実施例13と同様に行った。
【0118】
(実施例22)
電解銅箔に対する表面処理が、実施例11の(工程d)に記載された表面処理である以外は、実施例13と同様に行った。
【0119】
(実施例23)
電解銅箔に対する表面処理が、実施例12の(工程d)に記載された表面処理である以外は、実施例13と同様に行った。
【0120】
(比較例1)
配線の表面処理として以下の工程のみ行なった。すなわち(工程d)で、200ml/Lに調整した酸性脱脂液Z−200(ワールドメタル社製、商品名)に、液温50℃で2分間浸漬した後、液温50℃の水に2分間浸漬することにより湯洗し、さらに1分間水洗し脱脂処理を行なった。次いで、酸性溶液として3.6Nの硫酸水溶液に1分間浸漬し、1分間水洗し、85℃で30分間乾燥し、表面粗さがRaで0.18μmの配線表面を形成した。それ以外の工程は、実施例1と同様にしてファン−インタイプBGA用半導体チップ搭載基板及び半導体パッケージを作製した。
【0121】
(比較例2)
配線の表面処理として以下の工程のみ行なった。すなわち(工程d)で、200ml/Lに調整した酸性脱脂液Z−200(ワールドメタル社製、商品名)に、液温50℃で2分間浸漬した後、液温50℃の水に2分間浸漬することにより湯洗し、さらに1分間水洗し脱脂処理を行なった。次いでマイクロエッチング剤であるメックエッチボンドCZ8100(メック株式会社製、商品名)に40℃で1分30秒間浸漬し、水洗した後、常温(25℃)にて3.6Nの硫酸水溶液に60秒間浸漬し、更に水洗を1分間行い、85℃で30分間乾燥し、表面粗さがRaで0.9μmの配線表面を形成した。それ以外の工程は、実施例1と同様にしてファン−インタイプBGA用半導体チップ搭載基板及び半導体パッケージを作製した
【0122】
(比較例3)
電解銅箔に対する表面処理が、比較例1の(工程d)に記載された表面処理である以外は、実施例13同様に行った。
【0123】
(比較例4)
電解銅箔に対する表面処理が、比較例2の(工程d)に記載された表面処理である以外は、実施例13同様に行った。
【0124】
以上実施例1〜12及び比較例1〜2に記載の半導体パッケージに対し、以下の信頼性試験を行った。また、実施例13〜23及び比較例3〜4に記載の表面処理を施した電解銅箔と接着性試験用基板を用い、銅表面の平坦性評価試験及び接着性試験を行った。それらの結果を表1、2に示した。
【0125】
(半導体パッケージの信頼性試験)
各々の半導体パッケージを、吸湿処理を行った後、到達温度240℃、長さ2mのリフロー炉に0.5m/分の条件で流し、22個のサンプルをリフローし、クラックの発生を調べ、発生した場合をNGとした。結果を表1に示した。また、同様に22個のサンプルを厚さ0.8mmのマザーボードに実装し、−55℃、30分〜125℃、30分の条件で、温度サイクル試験を行い、試験後、ヒューレットパッカード社製マルチメータ3457Aを用い、導通抵抗値を測定し、はんだボールの接続信頼性を調べた。初期抵抗値より10%以上、抵抗値が変化した場合をNGとした。結果を表1に示した。
【0126】
(銅表面の平滑性評価試験)
実施例13〜23及び比較例3〜4に記載された表面処理を施した電解銅箔の試験片(5cm×8cm)を用い、その電解銅箔のシャイニー面(S面)側の平均表面粗さ(Ra)を、触針式表面粗さ計サーフテストSV−400(株式会社ミツトヨ社製、商品名)を用いて、測定した。Raが0.01〜0.4μmのものを○、Raが0.01〜0.4μmの範囲外のものを×とした。結果を表2に示した。
【0127】
(接着性試験)
実施例13〜23及び比較例3〜4に記載された接着性試験用基板を用いて、接着性(密着性)試験を行った。接着性(密着性)の指標となるピール強度(N/m)の測定には、レオメータNRM−3002D−H(不動工業株式会社製、商品名)を用い、電解銅箔を基板に対して角度を90度に常に維持し、基板と垂直方向に50mm/minの速度で引き剥がした。ピール強度の値が300N/m以上の値を示した場合を○、300N/m未満の値を示した場合を×とした。結果を表2に示した。
【0128】
【表1】

【0129】
【表2】

【0130】
実施例1から23に示したように、本発明の場合、銅箔と絶縁樹脂との接着強度(ピール強度)は、300N/m以上あり、また作製した半導体パッケージの信頼性も極めて良好であった。それに対し、比較例1から4では、接着強度(ピール強度)は、300N/m未満であり、また作製した半導体パッケージの信頼性も不十分であった。したがって本発明により、配線の表面にミクロンオーダーの凹凸(表面粗さ)を形成することなく層間絶縁層と配線の接着強度が確保でき、信頼性が良好でかつ高速電気信号を効率よく伝送可能な多層配線基板(マザーボード、半導体チップ搭載基板)と半導体パッケージが製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明の一実施形態が適用される半導体チップ搭載基板の断面図。
【図2】(a)〜(g)は本発明の半導体チップ搭載基板の製造方法の一実施形態を示す工程図。
【図3】本発明の一実施形態が適用されるフリップチップタイプ半導体パッケージの断面図。
【図4】本発明の一実施形態が適用されるワイヤボンドタイプ半導体パッケージの断面図。
【図5】本発明のファン−インタイプ半導体チップ搭載基板の平面図。
【図6】本発明のファン−アウトタイプ半導体チップ搭載基板の平面図。
【図7】本発明の半導体チップ搭載基板のフレーム形状を表す平面図。
【図8】本発明の一実施形態が適用される半導体チップ搭載基板の断面図。
【符号の説明】
【0132】
11.位置決めマーク(位置合わせ用ガイド穴)
13.半導体パッケージ領域
14.ダイボンドフィルム接着領域(フリップチップタイプ)
15.半導体チップ搭載領域(フリップチップタイプ)
16.半導体チップ接続端子
17.ダイボンドフィルム接着領域(ワイヤボンドタイプ)
18.半導体チップ搭載領域(ワイヤボンドタイプ)
19.外部接続端子
20.展開配線
21.ダミーパターン
22.半導体チップ搭載基板
23.ブロック
24.補強パターン
25.切断位置合わせマーク
100 コア基板
101 第1の層間接続端子
102 第1の層間接続用IVH(バイアホール)
103 第2の層間接続端子
104 層間絶縁層(ビルドアップ層)
105 第3の層間接続用IVH(バイアホール)
106a 第1の配線
106b 第2の配線
106c 第3の配線
107 外部接続端子
108 第2の層間接続用IVH(バイアホール)
109 絶縁被覆
111 半導体チップ
112 接続バンプ
113 アンダーフィル材
114 はんだボール
115 金ワイヤ
116 半導体用封止樹脂
117 ダイボンドフィルム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
層間絶縁層と配線が複数層形成された多層配線基板であって、前記配線は銅からなり、前記配線表面上にSi−O−Si結合を有する化合物が形成され、さらにその上にカップリング剤または密着性改良剤を少なくとも一種以上含む処理膜が形成されていることを特徴とする多層配線基板。
【請求項2】
コア基板の片面または両面に、層間絶縁層と配線が複数層形成された多層配線基板であって、前記配線は銅からなり、前記配線表面上にSi−O−Si結合を有する化合物が形成され、さらにその上にカップリング剤または密着性改良剤を少なくとも一種以上含む処理膜が形成されていることを特徴とする多層配線基板。
【請求項3】
コア基板の片面または両面に、層間絶縁層と配線が複数層形成された多層配線基板であって、前記配線は銅からなり、前記配線表面上に、銅、スズ、クロム、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、コバルト、金、白金、銀、パラジウムから選択される金属を1種以上含む金属層が形成され、前記金属層が形成された表面にSi−O−Si結合を有する化合物が形成され、さらにその上にカップリング剤または密着性改良剤を少なくとも一種以上含む処理膜が形成されていることを特徴とする多層配線基板。
【請求項4】
前記配線の表面粗さが、Raで0.01〜0.4μmである請求項1〜3いずれかに記載の多層配線基板。
【請求項5】
前記金属層が、前記金属の酸化物又は、水酸化物である請求項3または4に記載の多層配線基板。
【請求項6】
前記配線の表面粗さが、酸性溶液あるいはアルカリ性溶液による処理で形成された請求項4又は5に記載の多層配線基板。
【請求項7】
前記配線の表面粗さが、酸化・還元処理で形成された請求項4又は5に記載の多層配線基板。
【請求項8】
前記Si−O−Si結合を有する化合物が、シリカガラスまたは一般式(1)で表されるラダー構造を含む化合物である請求項1〜7いずれかに記載の多層配線基板。
【化1】


(式中、Rはそれぞれが単独に、水素原子、反応性基、親水性基または疎水性基から選択されたもの)
【請求項9】
前記シリカガラスの厚みが、0.002〜5μmである請求項8に記載の多層配線基板。
【請求項10】
前記カップリング剤が、シラン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤から選択されるカップリング剤である請求項1〜9いずれかに記載の多層配線基板。
【請求項11】
前記密着性改良剤が、熱硬化性の有機絶縁材料を含む密着性改良剤である請求項1〜10いずれかに記載の多層配線基板。
【請求項12】
前記層間絶縁層が、熱硬化性の有機絶縁材料を含む層間絶縁層である請求項1〜11いずれかに記載の多層配線基板。
【請求項13】
請求項1〜12いずれかに記載の多層配線基板を用いた半導体チップ搭載基板であって、前記多層配線基板の一方の表面には半導体チップ接続端子が、他方の表面には外部接続端子が形成されていることを特徴とする半導体チップ搭載基板。
【請求項14】
コア基板の片面または両面に、層間絶縁層と配線を複数層形成する工程からなる多層配線基板の製造方法であって、コア基板の片面または両面に層間絶縁層を形成する工程、前記配線を銅で形成する配線形成工程、前記配線表面上にSi−O−Si結合を有する化合物を形成する工程、さらにその上にカップリング剤もしくは密着性改良剤を少なくとも一種以上含む処理膜を形成する工程を含むことを特徴とする多層配線基板の製造方法。
【請求項15】
コア基板の片面または両面に、層間絶縁層と配線を複数層形成する工程からなる多層配線基板の製造方法であって、コア基板の片面または両面に層間絶縁層を形成する工程、前記配線を銅で形成する配線形成工程、前記配線表面に、銅、スズ、クロム、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、コバルト、金、白金、銀、パラジウムから選択される金属を1種以上含む金属層を形成する工程、前記金属層が形成された表面にSi−O−Si結合を有する化合物を形成する工程、さらにその上にカップリング剤もしくは密着性改良剤を少なくとも一種以上含む処理膜を形成する工程を含むことを特徴とする多層配線基板の製造方法。
【請求項16】
前記配線形成工程後、前記配線をRaで0.01〜0.4μmに粗化する工程を含む請求項14または15に記載の多層配線基板の製造方法。
【請求項17】
前記金属層を形成する工程が、前記配線表面に前記金属の酸化物又は、水酸化物を含む金属層を形成する工程である請求項15または16に記載の多層配線基板の製造方法。
【請求項18】
前記配線をRaで0.01〜0.4μmに粗化する工程が、酸性溶液あるいはアルカリ性溶液で処理する工程を含む請求項16または17に記載の多層配線基板の製造方法。
【請求項19】
前記配線をRaで0.01〜0.4μmに粗化する工程が、酸化・還元処理する工程を含む請求項16〜18いずれかに記載の多層配線基板の製造方法。
【請求項20】
前記Si−O−Si結合を有する化合物が、シリカガラスもしくは一般式(1)で表されるラダー構造を含む化合物である請求項14〜19のいずれかに記載の多層配線基板の製造方法。
【化2】


(式中、Rはそれぞれが単独に、水素原子、反応性基、親水性基または疎水性基から選択されたもの)
【請求項21】
前記シリカガラスの厚みが0.002〜5μmである請求項20に記載の多層配線基板の製造方法。
【請求項22】
前記カップリング剤が、シラン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤から選択されるカップリング剤ある請求項14〜21のいずれかに記載の多層配線基板の製造方法。
【請求項23】
前記密着性改良剤が、熱硬化性の有機絶縁材料を含む密着性改良剤である請求項14〜22のいずれかに記載の多層配線基板の製造方法。
【請求項24】
前記層間絶縁層が、熱硬化性の有機絶縁材料を含む層間絶縁層である請求項14〜23のいずれかに記載の多層配線基板の製造方法。
【請求項25】
請求項14〜24のいずれかに記載の多層配線基板の製造方法により製造された多層配線基板。
【請求項26】
請求項1〜12、25のいずれかに記載の多層配線基板を用いた半導体チップ搭載基板の製造方法であって、前記多層配線基板の一方の表面に半導体チップ接続端子を形成する工程、前記多層配線基板の他方の表面に外部接続端子を形成する工程を含むことを特徴とする半導体チップ搭載基板の製造方法。
【請求項27】
請求項26に記載の半導体チップ搭載基板の製造方法により製造された半導体チップ搭載基板。
【請求項28】
請求項13又は27に記載の半導体チップ搭載基板と、前記半導体チップ搭載基板に搭載された半導体チップと、前記半導体チップを封止する樹脂から構成される半導体パッケージ。
【請求項29】
請求項13又は27に記載の半導体チップ搭載基板を用いた半導体パッケージの製造方法であって、前記半導体チップ搭載基板に半導体チップを搭載する工程、前記半導体チップを樹脂で封止する工程を含むことを特徴とする半導体パッケージの製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−80203(P2006−80203A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−260964(P2004−260964)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成14年度新エネルギー・産業技術総合開発機構基盤技術研究促進業(民間基盤技術研究支援制度)委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】