説明

多層配線基板の製造に供せられるシート、及び該シートの製造に用いられるめっき方法及びめっき装置

【課題】研磨、エッチング等に対する処理耐性に優れ、且つ伝送特性の均一な複数のフィルドビアを有する多層配線基板を提供する。
【解決手段】フィルドビア形成に際して、該フィルドビアの軸に垂直な面内の大きさが変化する領域であって且つ該領域の導体結晶粒の大きさを略均一としたい領域を形成する際に、形成途中における導体表面であってめっき液中に露出する露出面に供給する電流を該露出面面積の拡大に応ずる所定の条件に従って増加させ、露出面に供給される電流の電流密度を一定保つこととする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に導電体を形成するめっき方法に関する。より詳細には、所謂多層プリント配線基板における複数の層間の配線各々を接続するビアの内部等に対して、導電体を形成する際に用いられるめっき方法及びめっき装置に関する。また、本発明は更に、当該めっき方法により得られる、伝送特性において基板内均一性に優れる多層配線基板の製造に供せられるシート、及び当該シートを製造する際に用いられるめっき方法及びめっき装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多層配線基板と呼称される電子部品は、電子機器の高密度化に対応するために開発されたものであり、これまでプリント基板上に存在した種々の配線を、積層化された基板内部に形成することにより高密度実装を可能とするものである。具体的な製造方法としては、心材となる基板の上下面に配線、電極等を形成した後に、これら表面に絶縁体層を形成し、その表面上に更なる配線等の形成を行うビルドアップ法が例示される。ここで、このような異なる平面に形成された配線を各々接続するために、絶縁層を積層方向に貫通する導電体が用いられる。該導電体、或いは該導電体のように絶縁層を貫通して形成される導電体一般をフィルドビアと総称している。以下に述べるビアとは、内部に導電体が充填されていない、絶縁層を貫通して形成される貫通穴(ビアホール)を示している。
【0003】
めっきによって該ビアの充填を行う場合、導体部析出の初期においてウィスカーの発生、或いはフィルドビア内部でのボイドの発生が生じる可能性があることが知られている。このため、これら現象を低減して好適なフィルドビアを得る手法が特許文献1〜4に提案されている。これら手法においては、導体部析出初期時に導体析出に供せられる電流密度が低電流密度となるようにめっき条件を定めることで析出速度を低く抑え、これによりビア底部、即ちめっき液に露出する通電領域全面において均質且つ緻密な導電体を得ることとしている。更にある程度緻密な導電体が得られた後に電流密度を増加させ、析出速度を高め、総合的に生産性を落とさずに好適なフィルドビアを得ている。
【0004】
ここで、上述したフィルドビアの特性を劣化させる要因とは別に、ビア内部にめっきによって導電体を形成する場合、基板内部に形成されたビアが複数存在し、且つその配置に粗密が存在すると、密領域のビアに形成された導体部各々がめっきによって繋がってしまうという現象が近年懸念されている。この現象は該基板が用いられる電子機器の小型化、高機能化に伴う、基板或いはビアの小型化、及びビアの高密度化に伴って、発生する可能性がより高まっている。このため、ビアの開口を形成する基板面にドライフィルムを貼り付け、該ドライフィルムに形成したパターンを用いてビアを充填する導体部の高さ、幅、径等のめっき形状を整える手法が提案されている。
【0005】
この場合、ビア上のドライフィルムは、該フィルムのパターニングによって除去されており、該フィルム上にはビア開口と連通する所謂ウインドがビア各々に対応して設けられることとなる。なお、ビア開口に対してウインドが小さい或いは略同一の大きさの場合、ビア内部にドライフィルムの現像液が残存してめっき品質を低下させる恐れがある。また、ドライフィルムが一種の障壁となり、ビア内部に対するめっき液の循環性を低下させ、導体の析出速度に悪影響を及ぼす恐れもある。このため、通常、このウインドはビア内部のめっき処理を好適に行う観点から、ビアの開口よりも一回り大きな開口となるように設定されている。また、該ビア及びウインド内部をめっきにより充填した場合、導体部分は、その析出方向の断面が、ビア底面と下端とする略T字形状となる。更に、この略T字形状の上端面は導体部の析出に伴って、上に凸の曲面を形成する。即ち当該導体部は略円柱形上からなる部分と、その上部に配置された円盤形状であって上面が凸面となるドーム形状或いは平板形状となる部分とが連結された形状となる
【0006】
【特許文献1】特開平5−243730号公報
【特許文献2】特開平10−98268号公報
【特許文献3】特開2000−80496号公報
【特許文献4】特開2003−110241号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、近年、多層プリント配線基板においては、平坦性の向上、積層後における静電容量等電気的特性の基板内均一性を向上させる等の観点から、めっきによってビア内部への導電体形成を行った後に該導体部の上面を研磨する工程が提案されている。上述した方法によりビア内部及びウインド内部に連続する導体部を形成し、該導体部にこの研磨工程を施した場合、研磨条件によっては、研磨時に導体部に加えられる負荷によってビア開口近傍を基点として導体部が破断することがある。このような現象はビア開口の小径化に伴ってその発生頻度が上昇する。また、該ビアを形成した層の上面に更なる層を形成するために、例えば、当該層表面に酸洗処理が施されるケースも存在するが、条件によっては、当該処理によって導体部表面等に不具合が生じることも報告されている。以上のことから、略T字形状のフィルドビアを形成してこれに後工程を施す場合、従来技術からなるフィルドビアにおいては後工程において種々の不具合が生じる恐れがあると思われる。
【0008】
また、近年フィルドビアの小径化も進められている。このような小径のフィルドビアにおいては、例えば、処理する信号の周波数が高周波化した場合、或いは信号の転送速度が速くなった場合、フィルドビア内部の結晶粒の境界の存在が電子機器としての特性に影響を及ぼす場合も考えられる。最も好適な対応としては、結晶粒の境界を低減させる事、即ち結晶粒同士の距離を狭めることが考えられる。しかし、複数のフィルドビアを同時に形成しようとする場合、結晶粒の境界低減を目的としてめっき法において結晶粒を緻密にする条件にて単純に導体部を形成しようとしても、各フィルドビア間において結晶粒の大きさがばらつく恐れがある。この傾向は、フィルドビアの配置に粗密が存在し且つフィルドビアが小型化した場合にはより顕著となると考えられる。従って、この場合、各々のフィルドビアにおける結晶粒の大きさを略均一なものとし、各ビアの電気的特性を一致させておく方法が対応としても最も適当と思われる。
なお、めっきに関連する分野において、結晶粒は結晶格子を示す場合と結晶格子が集まって形成されるめっき析出粒を示す場合とがある。本発明において用いる結晶粒は、後者のめっき析出粒を示すこととする。
【0009】
本発明は、フィルドビア形成後に施される各種処理時において、このような研磨時における導体部の破断等、後工程を行う上での不具合の発生可能性を低減する或いは防止するためのビアの充填方法、即ちめっき方法、及び当該特性を有するフィルドビアが形成された多層配線基板の製造に供せられるシートの提供を目的とする。また、本発明は、例えばビア内部全域等、フィルドビアの所定部位において略均一な大きさの結晶からなる構造を有する複数の導体部を形成するめっき方法の提供及び当該導体部を有する多層配線基板を製造可能とするめっき方法及び当該方法に好適なめっき装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係るシートは、多層配線基板の製造に供せられるシートであって、絶縁体からなる層及び該層を貫通するめっきによる導体部を有し、導体部は当該シートの一方の面上に形成された、導体部と同一材料からなる導体部の外径よりも大きな径を有する略平板形状の拡径部と連結し、拡径部と導体部との連結部分、及び拡径部において、導体部及び拡径部を構成する材料における結晶粒の大きさが略均一であることを特徴としている。なお、ここで述べる略平板形状は平板形状の上面が凸或いは凹となった場合も含めある程度の法則性を有して導体部が成長して得られる概ね平板な形状を有する部分を包含する。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明に係るめっき方法は、多層配線基板において異なる層に形成される配線を接続するために用いられる略柱状導体を形成するめっき方法であって、略柱状導体は、めっきにより形成される際に略柱状導体の軸に対して垂直な方向の面積が変化する領域を有し、領域を形成する際に、形成途中における略柱状導体表面であってめっき液中に露出する露出面に供給する電流を面積の変化に応ずる所定の条件に従って変化させ、露出面に供給される電流の電流密度を一定保つことを特徴としている。なお、本明細書において述べる電流密度は、単位面積あたりに供給される電流の値を示している。
【0012】
なお、上述しためっき方法において、面積が変化する領域は、層の一方の面形成された、導体部と同一材料からなる導体部の外径よりも大きな径を有する略平板状の拡径部であることが好ましい。また、上記めっき方法において、略柱状導体形成時において、露出面の表面近傍に存在するめっき液がめっき処理開始時の状態を維持するように循環されることが好ましい。この場合、当該循環は、略柱状導体の軸に沿って露出面に向かう噴流によって為されることがより好ましい。また、上述しためっき方法において、所定の条件は、面積の理論上の変化率と、予め柱状導体を形成して得られた略柱状導体の軸方向への形成に要する時間とを統計的に加味して得られた関係式からなることが好ましい。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明に係るめっき装置は、多層配線基板において異なる層に形成される配線を接続するために用いられる略柱状導体であって、めっきにより形成される際に略柱状導体の軸に対して垂直な方向の面積が変化する領域を有する略柱状導体を形成するめっき装置であって、めっき液を貯留するめっき液貯留ユニットと、形成途中における略柱状導体表面であってめっき液中に露出する露出面の近傍に存在するめっき液に流れを生じさせ、近傍のめっき液を常に新鮮な状態に維持するめっき液流形成ユニットと、露出面に及び露出面の対向電極となる電極に対して電流を供給する制御コントローラとを有し、制御コントローラは、領域を形成する際に、形成途中における略柱状導体表面であってめっき液中に露出する露出面に供給する電流を面積の変化に応ずる所定の条件に従って変化させ、露出面に供給される電流の電流密度を一定保つことを特徴としている。
【0014】
なお、上述しためっき装置においては、めっき液の循環は、略柱状導体の軸に沿って露出面に向かう噴流によって為されることが好ましい。また、所定の条件は、面積の理論上の変化率と、予め柱状導体を形成して得られた略柱状導体の軸方向への形成に要する時間とを統計的に加味して得られた関係式からなることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に先立って、ビア開口部における導体部内部の結晶粒を観察した。その結果、ビア開口部よりビア内部側に存在する結晶粒と比較して、ビア外部側(ウインド内部)に存在する結晶粒の粒径が異なっていることが確認された。より詳細には、略T字形状における上部の略平板部分、特に垂直方向に延在する部分から略平板部分下面につながる領域は、析出時における結晶粒の大きさが不連続となっていることが確認された。
【0016】
通常金属における破断は結晶粒の境界に沿って進行する場合が多く、従って、結晶粒を小さくして連続的に存在する結晶粒の境界の量を減らすことによって荷重に対する破断耐性が向上することが知られている。従って、上述した導体部を略T字形状の上面から研磨する場合、破断耐性の変化する領域において研磨を進行させることとなる。このような研磨工程においては破断耐性の小さい部分に大きな負荷が掛かり、これによって該部分において破断が発生する可能性が高くなる。特に析出時における結晶粒の大きさが不連続に変化する領域において、この可能性は特に高くなると考えられる。
【0017】
また、結晶性、結晶粒の境界の存在量等は、フィルドビアのエッチング速度に大きく影響する。より具体的には、アモルファス領域を有さず結晶粒及びその境界を主たる構成要素として有する結晶性に優れる組織の場合、エッチングは結晶粒の境界において優先的に進行する。従って、酸洗処理等をフィルドビアに施す場合、フィルドビア中或いは、複数のフィルドビア間において結晶粒の境界の存在量に差がある場合、場所或いはフィルドビア毎によってエッチング速度が異なることとなる。このような場合、例えば、エッチング処理によって略T字形状の上部凸面を均一に平坦化することは困難となり、次工程を実施することが困難となる。
【0018】
ここで、このような粒径の変化は、導体部のめっき液に露出する、所謂通電領域の面積がウインド内部に達することで徐々に拡大し、これに伴って該領域に供給される電流密度が低下することにより発生すると考えられる。そこで、本発明においては、ビアの開口近傍からウインド内部に至る領域において、結晶成長(析出)に供せられる電流の密度を常に一定に保つこととしている。その結果、形成される導体部の析出時の結晶粒の大きさを均一なものとし、これによって研磨に対する破断耐性を向上することとしている。
【0019】
なお、めっき液に露出する通電領域の面積が不規則に変化する場合には、当該面積の変化率を知ることは容易ではなく、従って、電流値を変化させて電流密度を一定に保持することも困難である。しかし、例えばビアホール或いはラージウインドの場合には、例えば一定に増加率で当該面積が増加する略円錐形状等、予め定められた形状を有している。即ち、通電領域の面積変化率を数式的に得ることは容易であり、フィルドビアに要する時間を予め得て、当該時間を統計的に処理して前述の数式にフィードバックすることにより、当該フィルドビアに適した電流の変化形態を得ることが可能となる。また、ビアホール、ラージウインド共に開口形状が円形であることから、本発明の対象においては、例えば開口端部に角部を有する場合のように特別な形状因子を考慮する必要が無い。即ち、当該観点からも、本発明における電流の変化形態を所定の関係式として実際のめっきプロファイルを定めることが妥当であることが理解される。
なお、ここで述べるラージウインドとは、ビアホールよりも開口径が大きく且つビアホールの中心とその中心とが略一致するように開けられたレジスト上の穴を示すものである。該ラージウインドは、ビアホールとの位置ずれを考慮し、更にはビアホールに対するめっき液等の入り易さを向上させることも目的として開口径を大きくすることとしている。
【0020】
ここで、本発明においては、通電領域の面積の変化率を数式的に求め、当該数式に基づいて電流量を変化させて電流密度の一定化を図っている。従って、電流密度を除く他の条件がある程度一定となった状態にて、めっきが常に進行することが望まれている。即ち、本発明に係るめっき方法を実施する装置においては、めっき液を常時循環させることを可能とする機能を有することが望ましい。当該機能を付加することにより、めっきの成長領域に対して常に新鮮なめっき液が供給され、当該領域におけるめっき液の組成及びイオンの種類或いは量が略一定に保たれる。当該環境においては、実際に求められる電流の変化形態はより理論式に近いものとなる。
具体的には、後述する所謂噴流式のめっき装置を用いて本発明を実施することとし、ビアホール或いはラージウインドを埋める略柱状導体の軸方向に沿って、その底面(電極露出面)に向かうよう、噴流状態にてめっき液を供することとしている。噴流式のめっき装置の場合、液流のコントロール、液交換の容易性等に優れ、更には基板サイズに関しての汎用性に優れるといった優位点を有し、高速且つハイアスペクト比を有する被めっき対象物に対して有用と考えられる。
【0021】
なお、電流の変化形態を所定の関係式に従ったものとすることは電源電圧を安定化させるために一般的に行われている。本発明も、電流の変化形態を所定の関係式とする上で該一般的技術に類似する。しかし、本発明は、受動的に電流値を変化させる電源電圧の一定化を目的とするものではなく、積極的に電流を変化させてめっき液に露出する導体面に供給される電流の密度を一定にすることを目的とするものである。従って、この点において、該一般的技術とその目的及び効果において異なっている。
【0022】
また、このように析出時の結晶粒の大きさを均一にすることによって、当該領域におけるエッチング速度のみならず、導電性等、種々の物理的特性を均一、安定なものとすることが可能となる。これら効果は各ビア間においても成立する。従って、フィルドビアに対して各種処理を施す際に、個々のフィルドビアに対しての処理の安定性、及び個々のフィルドビア間における処理の均一化が容易に為されることとなる。また、ビア内部を充填した導体部に更なる配線等を接続する場合に、安定した電気的な接続特性が得られる、及び各ビア毎の電気的接続性をそろえるといった効果も得られる。更には、各々のフィルドビアについて、フィルドビア内部の所定域における結晶粒の大きさを略均一とすることが可能となり、信号特性上安定した性能を有する多層配線基板を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(第一の実施形態)
以下に図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。図1A〜1Dは、電子部品の一部であって、ビア及びその近傍をビアの軸方向に沿って切断した断面について、めっきを用いてビア充填を行った場合について各々充填状態の進行に応じて模式的に示している。当該構成は、本発明により破断耐性、電気的特性等に優れる導体部を形成する上で、本発明の実施が効果的な構成の一例である。また、当該構成は、市販されている多層配線基板等においては、複数のシートを積層してこれを得る場合、フィルドビア同士の接続性を改善するために、広範に採用されている構成でもある。
【0024】
同図において、樹脂、セラミック等からなる略平板状の絶縁体3に対して、ビア5が形成されている。また、絶縁体3の一面(裏面)には、めっき時において給電膜として作用する銅箔7が貼り付けられている。更に、これら絶縁体3及び銅箔7が一体となったシートの上下面には各々絶縁物からなる上面ドライフィルム9及び下面ドライフィルム11が貼り付けられている。ビア5は、該絶縁体3を貫通して底面に銅箔7が露出すると共に、上面開口に近づくにつれて内径が僅かに拡大するように形成されている。また、上面ドライフィルム9には、ビア5の開口よりも大きな開口径を有する前述したラージウインド9aが形成されている。なお、ラージウインド9aの中心とビア5の中心軸とは略一致している。
【0025】
本発明は、例えば以上に述べた構成からなるシート1に対してめっき処理を施し、ビア5内部に導体13を充填するめっき方法に関する。図2に、本発明に係るめっき方法における電流及び電流密度のプロファイルを示す。本方法においては、めっき処理時において、該シート1をめっき液中に浸漬し、銅箔7に通電することによって、めっき液中に露出するビア5の底面7aから導体の析出を行う。以下、図2に示すプロファイルに従って、フィルドビアの形成方法(めっき方法)について説明する。
【0026】
なお、本発明においては、図中矢印15で示すように、ビア5の形成方向(底面7aに対して略垂直となる方向)に沿い、且つビア底面7aに向かうような噴流を形成し、該底面7aに対して常に同一条件となるめっき液が供給される状態を得ている。本実施形態では、プロファイルの(1)の段階において、まず銅箔7に対する電流の供給を行わず、めっき液の噴流を底面7aに当てる状態を所定時間維持している。当該工程において、底面7aはめっき液によって洗浄され、導体13析出に際しての好適な核形成、初期層の形成等を得るための新生面を得ることができる。
【0027】
続くプロファイル(2)の段階では、低電流値であって、かつ底面7aに供給される電流密度が低くなる条件によって導体13の析出を行う。当該工程の実施により、底面7a全域に対する良好な核形成を行われ、下地電極としての役割を担う銅箔7の領域の実質的な厚膜化が為される。プロファイル(2)においてフィルドビアにおける初期層が形成された後、プロファイル(3)において、供給電流及び下地電極における電流密度を徐々に増加させ、導体13の析出速度を増加させる。この段階が図1Aに示される。さらに、電流の増加率及び電流密度の増加率がプロファイル(3)とは異なるプロファイル(4)を経ることにより、導体部13の析出に要する時間を短縮し、生産性の向上を図る。また、プロファイル(3)とプロファイル(4)との各々異なるプロファイルを経させることにより、導体13中の結晶粒の連続性を制御している。
【0028】
導体13が成長し、図1Bに示す段階に至った状態において、プロファイル(4)からプロファイル(5)に移行する。プロファイル(5)において、導体の析出の進行に伴って、図1B及び図1Cに順次示すように、導体13は絶縁体3の表面に沿って成長する。このような導体13の成長は、略T字形状の上部外終端がラージウインド9aを構成する上面ドライフィルム9の開口内周部に達するまで続く。当該導体13の成長に伴って、めっき液露出面13aの面積も徐々に増加していく。このため、該露出面13aにおける電流密度を一定とするために、銅箔7に供給される電流を徐々に増加させている。以上の電流プロファイルによってラージウインド9a中を導体13で充填することにより、該ラージウインド9a内における結晶粒の大きさを同一とすることが可能となる。また、プロファイル(4)とプロファイル(5)との連続部分において電流値及び電流密度を連続させることにより、ビア5内部とラージウインド9a内部との結晶粒の大きさも連続的に変化するものとできる。
【0029】
図1Cに示す状態に至った後、プロファイル(6)に移行する。当該プロファイルを配することにより、露出面13aを上面ドライフィルム9の表面より突出した状態が得られ、略T字形状の上部の上面が滑らかな凸形状を有する略平板形状となる。なお、ここで述べる略平板形状は平板形状の上面が凸或いは凹となった場合も含めある程度の法則性を有して導体部が成長して得られる概ね平板な形状を有する部分を包含する。当該状態に達した後に、プロファイル(7)に移行し、めっき処理をソフトランディングさせる。以上のめっき処理工程が終了した後、シート1をめっき液中から取り出し、めっき液の洗浄とシート1の乾燥を行い、表面研磨等の各種工程に移行する。以上述べた本実施形態を用いることにより、略T字形状を有するフィルドビアにおける上部と下部との接続(連結)部分の結晶粒の大きさを連続的且つ略同一のものとすることが可能となる。従って、略T字形状を有するフィルドビアにおける上述した破断耐性、電気的特性等の物理的諸特性を改善することが可能となる。
【0030】
即ち、本発明が対象とするフィルドビアは、シートの一方の面から他方の面にかけて貫通して形成される柱状導体であって、該一方の面から他方の面にいたる際に外径(ビアの内径)が増加する形状、或いは他方の面表面に形成される該柱状部分の外径よりも径の大きな略円盤状即ち略平板形状の拡径部と該柱状導体とが連続する形状を有すものが特に好適な対象となる。本発明により得られるフィルドビアは、例えば他方の面から所定の距離の領域において、柱状導体中の導体材料の結晶粒が略均一となる。また、拡径部と柱状導体との連結部分及び拡径部各々における導体材料の結晶粒が略均一となる。このような構造を有することにより、当該フィルドビアに好適な電気的特性等を付与することが可能となる。
【0031】
なお、電流値の増加率(変化率)は、柱状導体(フィルドビア)の表面であって、めっき液中に露出する露出面に供給される電流を当該露出面面積の拡大に応じた所定の条件に従って定められる。この場合の所定の条件は、理論上は既知の電流密度−析出速度等の関係に基づいて算出することが可能である。しかし、実際には、シート1中には少なくとも数百のオーダーでのビア5が形成されており、各々のビアにおける導体13の析出状態が異なることが考えられる。めっき処理初期時の底面洗浄工程及び下地電極厚膜化の工程を配することにより、析出の有無を揃える事は可能であるが、析出状態はある程度までしか揃えられないと思われる。従って、理論上得られる電流プロファイルにより複数のシートにめっき処理を行った結果(特にフィルドビア形成に要した時間)を統計的に処理し、統計上得られたデータをフィードバックして、更なる電流プロファイルを作成し、これを用いることが好ましい。
【0032】
また、めっきによる導体の析出速度は、所謂新鮮なめっき液が下地電極表面に供給される状況によっても左右される。特にビアのように小径且つ深さのある穴の底部から導体析出を行う場合、該底部表面のめっき液の循環性は特に低く、上述した統計上得られるデータの不確定因子に大きな比重を有すると考えられる。そこで、本発明においては、ビア5の形成方向(底面7aに対して略垂直となる方向)に沿い、且つビア底面7aに向かうような噴流を形成し、該底面7aに対して常に同一条件となるめっき液が供給される状態を得ている。このような状態下においてめっき処理を行うことにより、統計上得られるデータの再現性と理論上得られるプロファイルとの相関性を高めることが可能となる。
【0033】
(第二の実施形態)
第一の実施形態においては、フィルドビアの特定領域の結晶粒の大きさの均一化を図り、破断特性等の物理的特性を改善することによって、後工程に際して不具合が発生する可能性を低減することを目的とした場合について述べた。本実施形態においては、ビア内部の略全域において均一な大きさの結晶粒からなる導体13を得ることにより、種々の物理的特性、特に信号伝達性等の電気的特性においてビア内均一性に優れる導体を得ることを目的とする場合について述べる。なお、本実施形態において参照する、ビア構造を模式的に示す図3について、図1A等において示した諸構成と略同一の作用効果を呈する構成については同一の参照符号を用いることとして、詳細な説明についてこれを省略することとする。
【0034】
図3は、図1A等と同様の様式にて、本実施形態において用いられるシート1におけるビア5及びその周辺を模式的に示している。同図において、ビア5は、該絶縁体3を貫通して底面に銅箔7が露出すると共に、上面開口に近づくにつれて内径が徐々に拡大するように形成されている。また、上面ドライフィルム9には、ビア5の開口内径と略同一の開口径を有するウインド9bが形成されている。なお、該ウインド9bの中心とビア5の中心軸とは略一致している。
【0035】
本実施形態においては、めっき初期時では、まず低電流値であって、かつ底面7aに供給される電流密度が低くなる条件によって導体の析出を行う。当該工程の実施により、底面7a全域に対する良好な核形成を行うことが可能となり、下地電極としての役割を担う銅箔7の領域の実質的な厚膜化を行うことが可能となる。
【0036】
下地電極の所望の厚膜化がなされた後に、析出した導体13におけるめっき液露出面13aに供給される電流が、所定の大きさの結晶粒が得られる電流密度となるように、供給する電流の値を調整する。ここで、図3に示す構成においては、導体の析出の進行に伴って、めっき液露出面13aの面積は増加していく。このため、該露出面13aにおける電流密度を一定とするために、銅箔7に供給される電流を徐々に増加させている。以上の電流プロファイルによってビア5中を導体13で充填することにより、導体13内における結晶粒の大きさを同一とすることが可能となる。
【0037】
なお、電流値の増加率(変化率)は、理論上はビア5の形状から算出することが可能である。しかし、実際には、シート1中には少なくとも数百のオーダーでのビア5が形成されており、各々のビアにおける導体13の析出状態が異なることが考えられる。めっき処理初期時の下地電極厚膜化の工程を配することにより、析出の有無を揃える事は可能であるが、析出状態はある程度までしか揃えられないと思われる。従って、理論上得られる電流プロファイルにより複数のシートにめっき処理を行った結果(特にフィルドビア形成に要した時間)を統計的に処理し、統計上得られたデータをフィードバックして、更なる電流プロファイルを作成し、これを用いることが好ましい。
【0038】
また、めっきによる導体の析出速度は、所謂新鮮なめっき液が下地電極表面に供給される状況によっても左右される。特にビアのように小径且つ深さのある穴の底部から導体析出を行う場合、該底部表面のめっき液の循環性は特に低く、上述した統計上得られるデータの不確定因子に大きな比重を有すると考えられる。そこで、本発明においては、ビア5の形成方向(底面7aに対して略垂直となる方向)に沿い、且つビア底面7aに向かうような噴流を形成し、該底面7aに対して常に同一条件となるめっき液が供給される状態を得ている。このような状態下においてめっき処理を行うことにより、統計上得られるデータの再現性と理論上得られるプロファイルとの相関性を高めることが可能となる。
【0039】
なお、以上述べた実施形態においては、電流密度と所謂許容電流密度との関係については特に述べていない。しかしながら、当該フィルドビアが多層配線基板における複数の層に存在する配線各々を接続するという機能を有する関係上、析出する導体には金属光沢、表面の滑らかさ等が求められることは当然である。従って、このような導体の析出条件として、上述した電流密度が該許容電流密度の範囲内にあることが求められる。また、上述した実施形態においては、めっき液中に露出する導体形成面に対して、常に同一条件のめっき液を供給することを目的として、例えば底面7aに対して垂直にめっき液が噴きつけられる噴流状態でのめっきを行っている。しかしながら、本発明の実施形態はこれに限定されず、当該露出面表面近傍に常に同一条件となるめっき液の供給が為されれば良い。従って、例えば第一の実施例の場合には、当該条件が満たされれば、めっき液がめっき槽内部を高速で循環する形態としても良い。
【0040】
次に、上述した本発明に係るめっき方法に好適なめっき装置について、図面を参照して説明する。図5に概略構成を示すように、本発明に係る噴流式めっき装置は、シート保持板20、噴流めっき槽30、アノード電極体35、受け槽50、静液槽60、カソード電源71、アノード電源73、ポンプ電源77、及び制御コントローラ80を有している。噴流めっき槽30は上部が開放された略立方体形状を有し、内部空間の下端(略立方体空間を形成する下面)はめっき液を貯留する静液槽60とポンプ70及びフィルタ75を介して接続されている。また、該内部空間は、底面から上部開放部に至る間に、上面から下面に至る複数の貫通孔が形成された略板状のめっき液分散板31、32が配置される。ポンプ70及びフィルタ75を介して噴流めっき槽30に供給されためっき液流R1は、これらめっき液分散板の作用により、上部開放部全域に対して均等に供給される。噴流めっき槽30の上部開放部全域は、アノード電極体35により閉鎖されている。アノード電極体35は略板状の形状を有し、上面から下面に貫通する複数のノズル孔を有している。ポンプ70により加圧状態で噴流めっき槽30内部に供給されためっき液は、これらノズル孔を介して被めっき対象領域を有するシート1の被めっき面に噴流R1として供給される。
【0041】
本装置において、当該噴流R1は略鉛直方向上方に向かうように形成されている。従って、シート1は、被めっき面が当該噴流R1と対向するように鉛直下方に向かうように配置される。シート保持板20は、該シート1を裏面より保持し、給電部25を介して該シートにおける銅箔7に対して電流を供給可能となっている。従って、該シート1における銅箔7は、カソード電極体として作用する。また、給電部25の表面は絶縁体からなる整流板24により覆われており、該整流板24は、めっき処理に供せられためっき液をアノード電極体35上面より速やか且つ滑らかに排除可能とする作用を呈している。噴流めっき槽30はまた、上部が開放された略立方体形状の受け槽50の内部に、開放部が同一方向となるように配置される。受け槽50には、内部の略立方体空間の底面より所定距離隔置した位置に開口を有する液戻り管51が接続されている。整流板24の作用によりアノード電極体35上面より排除されためっき液R2は、受け槽50内部に一端貯留され、所謂上澄み部分が液戻り管51を介して静液槽60に循環される。
【0042】
給電部25はカソード電源71と、またアノード電極体35はアノード電源73とそれぞれ接続されている。各々の電源は、制御コントローラ80と接続されており、個々の電源から供給される電流の値はこの制御コントローラ80によって制御されている。制御コントローラ80は、個々の電源からの供給電流を実際に制御する電流コントローラ81、電流の供給時間を測定するタイマ83、電流の供給パターンを記憶するメモリ84、及び電流の供給パターンの選択、入力等の操作を行うI/O85の機能を有している。また、ポンプ70はポンプ電源77と接続されており、該ポンプ電源77は制御コントローラ80と接続されている。従って、当該装置を操作するオペレータは、該制御コントローラ80を介して噴流R1の流量等の制御を行うことも可能となっている。
【0043】
本装置においては、予めメモリ84に記録されているところのめっき析出時における一定電流密度を保持し得る理論式に基づいて、予備的なめっき形成工程が行われる。当該工程より得られた結果は、例えば係数、変数の形式にてI/O85を介して入力し、理論式の補正が行われる。実際のめっき工程においては、タイマ83によって計時された時間を補正後の理論式にあてはめ、得られた電流値に応じて各々の電源71、73に供給される電流値が決定される。また、めっき液の循環はフィルドビア等の略柱状導体の軸に沿って銅箔7に向かう噴流によって行われ、めっき液に露出する電流供給領域表面近傍には、最も効率的に所謂新鮮なめっき液が供給されることとなる。以上の装置を用いることにより、本発明を好適に実施することが可能となり、良好なフィルドビアの形成等を実施することが可能となる。
【0044】
なお、本実施の形態において、めっき液分散板31、32、アノード電極体35及びポンプ70により噴流形成ユニット(めっき液流形成ユニット)を構成する。また、銅箔7及びアノード電極体35は、アノード電極及びカソード電極のうちの各々いずれかを構成する。また、フィルタ75、噴流めっき槽30、整流板24、受け槽50、戻り管71、及び静液槽60めっき液貯留ユニットを構成する。これら構成は本発明に最も好適な噴流形のめっき装置を例示するものであるが、同時に、めっき液流を形成して、めっき形成面に新鮮なめっき液を成就供給可能な公知の種々のめっき装置との代替も可能である。即ち、アノード及びカソードの交換、めっき液流の形成方法の置換等を行っても良い。
【実施例】
【0045】
次に、実際に本発明を実施して、フィルドビアを形成した場合について述べる。なお、本実施に際して、対象となるシートは第一の実施形態において述べた構造からなるものである。絶縁体3は、酸化チタンを主体とする誘電体材料からなるフィラー及びガラスクロスを含有するエポキシ樹脂、ビニルベンジル樹脂等の材料からなる。銅箔7は、絶縁体3と貼り付けられる面(底面7aを構成する面)に粗面化処理を施し、且つ防錆処理を施した後に絶縁体3に貼り付けられている。当該シート両面にドライフィルム9、11を貼り付けて被加工シート1を構成している。ビア5は、絶縁体3における銅箔7の非貼り付け面に対して炭酸ガスレーザ光をサイクル照射し、開口部の径160μm、深さ160μmとなるように形成されている。
【0046】
また、フィルドビアに用いる導体材料としては銅を選択し、めっき液は当該材料に合わせて、硫酸銅150g/L、硫酸150g/L、塩酸50ml/Lに更に光沢剤及び補正剤を加えることで得ている。また、実際のめっき操作は図5に示す構成からなる装置を用いて行っている。当該めっき液中に上述したシート1を浸漬し、図2に示す各々のプロファイルで銅箔7に対して次の電流密度となるように電流を供給した。また、その際、底面7aに対して垂直な方向から露出面13aに向かうようにめっき液の噴流を形成している。ここで、プロファイル(1)においては電流密度を0A/dm2と設定し、プロファイル(2)においては5A/dm2と設定し、プロファイル(3)においては5A/dm2〜15 A/dm2に変化させ、プロファイル(4)においては15A/dm2〜20A/dm2に変化させ、プロファイル(5)において一定の電流密度である20A/dm2と設定し、プロファイル(6)においては電流密度を20A/dm2に維持し、所定時間経過後に、電流密度を0A/dm2としてめっき処理を終了させている。
【0047】
なお、プロファイル(2)及び(6)においては、絶縁体或いはドライフィルムによって露出面13aの大きさ(面積)が大きく変化しないことから供給する電流値の値も略一定となっている。また、プロファイル(3)及び(4)を配することにより、フィルドビア形成に要する処理時間の短縮を図ると同時に、最終的にラージウインド内部を充填する導体の結晶粒がその下部の結晶粒と不連続となることなく、所定の粒径を得ることを可能としている。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1A】フィルドビアの断面等を示す図であって、本発明の一実施形態に係るめっき処理時におけるフィルドビアの形成状態を示す図である。
【図1B】フィルドビアの断面等を示す図であって、本発明の一実施形態に係るめっき処理時におけるフィルドビアの形成状態を示す図である。
【図1C】フィルドビアの断面等を示す図であって、本発明の一実施形態に係るめっき処理時におけるフィルドビアの形成状態を示す図である。
【図1D】フィルドビアの断面等を示す図であって、本発明の一実施形態に係るめっき処理時におけるフィルドビアの形成状態を示す図である。
【図2】図1A〜1Dに示したフィルドビアを形成する際のめっき処理における電流及び電流密度のプロファイルを示す図である。
【図3】フィルドビアの断面等を示す図であって、本発明の他の実施形態に係るめっき処理時におけるフィルドビアの形成状態を示す図である。
【図4】図3に示したフィルドビアを形成する際のめっき処理における電流及び電流密度のプロファイルを示す図である。
【図5】本発明に係るめっき方法を実施するためのめっき装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1:シート、 3:絶縁体、 5:ビア、 7:銅箔、 9:上側ドライフィルム、11:下側ドライフィルム、 13:導体、 15:めっき液流、 20:シート保持板、 24:整流板、 25:給電部、 30:噴流めっき槽、 31、32:めっき液分散板、 35:アノード電極体、 50:受け槽、 51:戻り管、 60:静液槽、 70:ポンプ、 71:カソード電源、 73:アノード電源、 75:フィルタ、 77:ポンプ電源、 80:制御コントローラ、 81:電流コントローラ、 83:タイマ、 84:メモリ、 85:I/O

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層配線基板の製造に供せられるシートであって、絶縁体からなる層及び前記層を貫通するめっきによる導体部を有し、前記導体部は前記シートの一方の面上に形成された、前記導体部と同一材料からなる前記導体部の外径よりも大きな径を有する略平板形状の拡径部と連結し、
前記拡径部と前記導体部との連結部分、及び前記拡径部において、前記導体部及び前記拡径部を構成する材料における結晶粒の大きさが略均一であることを特徴とするシート。
【請求項2】
多層配線基板において異なる層に形成される配線を接続するために用いられる略柱状導体を形成するめっき方法であって、
前記略柱状導体は、めっきにより形成される際に前記略柱状導体の軸に対して垂直な方向の面積が変化する領域を有し、
前記領域を形成する際に、形成途中における前記略柱状導体表面であってめっき液中に露出する露出面に供給する電流を前記面積の変化に応ずる所定の条件に従って変化させ、前記露出面に供給される電流の電流密度を一定保つことを特徴とするめっき方法。
【請求項3】
前記面積が変化する領域は、前記層の一方の面形成された、前記導体部と同一材料からなる前記導体部の外径よりも大きな径を有する略平板形状の拡径部であることを特徴とする請求項2記載のめっき方法。
【請求項4】
前記略柱状導体形成時において、前記露出面の表面近傍に存在するめっき液がめっき処理開始時の状態を維持するように循環されることを特徴とする請求項2記載のめっき方法。
【請求項5】
前記循環は、前記略柱状導体の軸に沿って前記露出面に向かう噴流によって為されることを特徴とする請求項4記載のめっき方法。
【請求項6】
前記所定の条件は、前記面積の理論上の変化率と、予め前記柱状導体を形成して得られた前記略柱状導体の軸方向への形成に要する時間とを統計的に加味して得られた関係式からなることを特徴とする請求項2記載のめっき方法。
【請求項7】
多層配線基板において異なる層に形成される配線を接続するために用いられる略柱状導体であって、めっきにより形成される際に前記略柱状導体の軸に対して垂直な方向の面積が変化する領域を有する前記略柱状導体を形成するめっき装置であって、
めっき液を貯留するめっき液貯留ユニットと、
形成途中における前記略柱状導体表面であってめっき液中に露出する露出面の近傍に存在する前記めっき液に流れを生じさせ、前記近傍のめっき液を常に新鮮な状態に維持するめっき液流形成ユニットと、
前記露出面に及び前記露出面の対向電極となる電極に対して電流を供給する制御コントローラとを有し、
前記制御コントローラは、前記領域を形成する際に、形成途中における前記略柱状導体表面であってめっき液中に露出する露出面に供給する電流を前記面積の変化に応ずる所定の条件に従って変化させ、前記露出面に供給される電流の電流密度を一定保つことを特徴とするめっき装置。
【請求項8】
前記循環は、前記略柱状導体の軸に沿って前記露出面に向かう噴流によって為されることを特徴とする請求項7記載のめっき装置。
【請求項9】
前記所定の条件は、前記面積の理論上の変化率と、予め前記柱状導体を形成して得られた前記略柱状導体の軸方向への形成に要する時間とを統計的に加味して得られた関係式からなることを特徴とする請求項7記載のめっき装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−23368(P2007−23368A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−211376(P2005−211376)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】