説明

多層配線構造およびその製造方法

【目的】 本発明は、信頼性の高いプラグを形成することによって、下層配線と上層配線とを接続する多層配線構造の信頼性の向上を図るとともに、プラグと上層配線との接触面積を大きくして、接触抵抗の低減を図る。
【構成】 基板11上に下層配線13を形成し、下層配線13を覆う状態にプラグ形成膜(図示せず)を成膜した後、当該プラグ形成膜で下層配線13上にプラグ15を形成する。次いでプラグ15と下層配線13とを覆う状態に層間絶縁膜14を成膜した後、当該プラグ15の上層部が突出する状態に当該層間絶縁膜14の上層を除去する。その後プラグ15に接続する状態にして層間絶縁膜14の上面に上層配線16を形成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラグによって下層配線と上層配線とを接続する多層配線構造およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体装置の微細化にともなって配線の多層化や微細化が要求されている。例えば多層配線構造では、上層配線のカバレジを向上させるために、下層配線と上層配線との間に形成される層間絶縁膜の表面を平坦化することが行われている。層間絶縁膜の表面を平坦化した場合には、低い位置に形成された下層配線と上層配線とを接続するコンタクトホールのアスペクト比は非常に大きくなる。そこで、コンタクトホールの内部に金属や導電性の多結晶シリコン等を埋め込んでプラグを形成する技術が提案されている。
【0003】上記プラグ形成技術には、例えば図5に示すように、層間絶縁膜51に設けたコンタクトホール52の内部を埋め込む状態に、化学的気相成長法によってブランケットタングステン膜53を形成する。その後、層間絶縁膜51上の2点鎖線で示すブランケットタングステン膜53を除去して、コンタクトホール52の内部に残したブランケットタングステン膜53でプラグ54を形成する方法が提案されている。
【0004】または図6の示すように、層間絶縁膜61に設けたコンタクトホール62の内部に、選択成長技術によってタングステン(W)を選択成長させることにより、プラグ63を形成する技術が提案されている。
【0005】また半導体装置の微細化にともなって、コンタクトホールの径も微細化されている。例えば0.25μm〜0.3μm程度の径のコンタクトホールも形成されている。このようなコンタクトホールでは、アスペクト比が非常に大きい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ブランケットタングステンによるプラグ形成技術では、図7に示すように、コンタクトホール52の内部にブランケットタングステン膜(53)を形成した際に、ボイド55が生じることがある。ボイド55を生じた場合には、その後の熱を加える工程において、ボイド55が膨張してコンタクトホール52を破壊する。この結果、上記プラグ54を用いた多層配線構造の信頼性が非常に低下する。また選択成長によるプラグ形成技術では、選択成長面の状態に影響されやすいので、汚染等が選択成長面に生じた場合には選択成長が十分に行われない。このため、プラグが十分な高さに形成されないので、このプラグを用いた多層配線構造の信頼性は非常に低下する。
【0007】また配線の微細化にともなって、例えば下層配線と上層配線とを接続するためのコンタクトホールの径も小さくなっているために、コンタクトホールの内部に形成されるプラグの上面の面積も狭くなっている。このため、プラグと上層配線との接触面積が小さくなるので、接触抵抗が高くなる。この結果、例えば半導体装置の動作速度が遅くなり、当該半導体装置の高速化が妨げられている。
【0008】本発明は、信頼性に優れた多層配線構造およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するためになされたものである。すなわち、基板上に形成した下層配線と、その下層配線の上面に形成したプラグと、下層配線を覆う状態にしてプラグの上部が突出する状態に形成した層間絶縁膜と、プラグに接続する状態にして層間絶縁膜の上面に形成した上層配線とよりなるものである。
【0010】上記多層配線構造の製造方法であって、第1の工程で、基板上に下層配線を形成し、第2の工程で、下層配線を覆う状態にプラグ形成膜を成膜した後、当該プラグ形成膜で下層配線上にプラグを形成する。次いで第3の工程で、プラグと下層配線とを覆う状態に層間絶縁膜を成膜した後、当該プラグの上層部が突出する状態に当該層間絶縁膜の上層を除去する。その後第4の工程で、層間絶縁膜の上面にプラグに接続する状態に上層配線を形成する。
【0011】あるいは、第1の工程で、基板上に下層配線形成膜を成膜し、続いて当該下層配線形成膜の上面にプラグ形成膜を成膜した後、所定の位置に当該プラグ形成膜でプラグを形成する。次いで第2の工程で、プラグを載せた状態にして下層配線形成膜で下層配線を形成する。その後上記第3の工程と上記第4の工程とを行う。
【0012】または第1の工程で基板上に下層配線形成膜を成膜し、続いて当該下層配線形成膜の上面にプラグ形成膜を成膜した後、当該プラグ形成膜の一部分と当該下層配線形成膜の一部分とを除去して、上面にプラグ形成膜を載せた状態にして下層配線形成膜よりなる下層配線を形成する。次いで第2の工程で、下層配線上のプラグ形成膜で、当該下層配線上の所定の位置にプラグを形成する。その後上記第3の工程と上記第4の工程とを行う。
【0013】
【作用】上記多層配線構造では、層間絶縁膜の表面にプラグの上層部を突出させた状態で、当該プラグを形成したので、上層配線とプラグとの接触面積が大きくなる。このため、プラグと上層配線との接触抵抗が低減されるとともに、接続が確実になる。また上記製造方法では、プラグを形成してから層間絶縁膜を成膜し、その後プラグの上層部が突出する状態に層間絶縁膜の上層を除去したので、上層配線との接続信頼性が高いプラグが形成される。
【0014】
【実施例】本発明の実施例を図1に示す概略構成断面図により説明する。図に示すように、基板11上には絶縁膜12が形成されている。この絶縁膜12の上面には下層配線13が形成されている。この下層配線13は、例えばアルミニウム系金属より形成されている。上記基板11上には、上記下層配線13を覆う状態に層間絶縁膜14が成膜されている。この層間絶縁膜14は、例えば酸化シリコン膜で形成されている。
【0015】さらに下層配線13上の層間絶縁膜14には、当該下層配線13に接続しかつ当該層間絶縁膜14の表面より突出する状態にプラグ15が形成されている。このプラグ15は、例えばタングステン(W),チタン(Ti)等の高融点金属または導電性の多結晶シリコン等により形成されている。またさらに、上記層間絶縁膜15の上面には、上記プラグ15に接続する状態に上層配線16が形成されている。この上層配線16は、例えばアルミニウム系金属で形成されている。上記の如くに、多層配線構造10が形成されている。
【0016】上記多層配線構造10では、層間絶縁膜14の表面にプラグ15の上層部を突出させた状態で、当該プラグ15を形成したので、上層配線16とプラグ15との接触面積が大きくなる。このため、プラグ15と上層配線16との接触抵抗が低減されるとともに、その接続が確実になる。
【0017】次に上記多層配線構造10の第1の製造方法を、図2の製造工程図により説明する。図に示す構成部品のうち、前記図1で説明したと同様の構成部品には同一符号を付す。図2の(1)に示すように、基板11上には絶縁膜12が形成されている。まず第1の工程では、通常の配線形成技術によって、絶縁膜12上に、例えばアルミニウム系金属よりなる下層配線13を形成する。
【0018】次いで図2の(2)に示す第2の工程を行う。この工程では、例えば通常の化学的気相成長法によって、下層配線13を覆う状態にプラグ形成膜21を成膜する。その後、通常のホトリソグラフィー技術とエッチングとによって、当該プラグ形成膜21の2点鎖線で示す部分を除去し、残したプラグ形成膜21で上記下層配線13上の所定の位置にプラグ15を形成する。
【0019】続いて図2の(3)に示す第3の工程を行う。この工程では、例えばテトラエトキシシラン(TEOS)を用いたプラズマ化学的気相成長法によって、上記プラグ15と上記下層配線13とを覆う状態に、前記絶縁膜12上に下層酸化シリコン膜22を成膜する。続いて例えば通常の回転塗布技術によって、上記下層酸化シリコン膜22を覆う状態にかつ下層配線13間の段差を埋め込む状態に、SOG(Spin on glass )膜23を成膜する。その後通常のエッチバック処理によって、上記プラグ15の上層部が突出する状態にSOG膜23の2点鎖線で示す部分と下層酸化シリコン膜22の1点鎖線で示す部分とを除去する。
【0020】さらに図2の(4)に示すように、例えばテトラエトキシシラン(TEOS)を用いたプラズマ化学的気相成長法によって、少なくとも上記プラグ15と上記SOG膜23とを覆う状態に、上層酸化シリコン膜24を成膜する。このようにして、下層酸化シリコン膜22とSOG膜23と上層酸化シリコン膜24とで層間絶縁膜14を形成する。次いで通常の塗布技術によって、上記層間絶縁膜14の上面に、エッチバック用の膜として、例えばレジスト膜25を成膜する。
【0021】その後、通常のエッチバック処理によって、上記レジスト膜25の2点鎖線で示す部分と上記層間絶縁膜14の1点鎖線で示す部分とを除去し、上記プラグ15の上層部を突出させる。このとき、突出したプラグ15の上層部以外の部分は、上記層間絶縁膜14に覆われている。
【0022】その後図2の(5)に示す第4の工程を行う。この工程では、通常の配線形成技術によって、層間絶縁膜14の上面に、例えばアルミニウム系金属よりなる配線形成膜26を形成する。その後通常のホトリソグラフィー技術とエッチングとによって、2点鎖線で示す部分の配線形成膜26を除去する。このようにして、残した配線形成膜26で、上記プラグ15に接続する上層配線16を形成する。上記の如くに、多層配線構造10が形成される。
【0023】上記第1の製造方法では、プラグ15を形成してから層間絶縁膜14を成膜し、その後プラグ15の上層部が突出する状態に層間絶縁膜14の上層を除去したので、信頼性の高いプラグ15が形成される。
【0024】次に上記多層配線構造10の第2の製造方法を、図3の製造工程図により説明する。図に示す構成部品のうち、前記図1で説明したと同様の構成部品には同一符号を付す。図3の(1)の概略断面図および(2)のレイアウト図に示すように、第1の工程では、通常の化学的気相成長法によって基板11上の絶縁膜12の上面に、例えばアルミニウム系金属よりなる下層配線形成膜31を成膜する。続いて通常の化学的気相成長法によって、当該下層配線形成膜31の上面にプラグ形成膜32を成膜する。その後、通常のホトリソグラフィー技術とエッチングとによって、2点鎖線で示す上記プラグ形成膜32を除去し、所定の位置に上記残したプラグ形成膜32で島状パターンよりなるプラグ15を形成する。
【0025】次いで図3の(3)の概略断面図および(4)のレイアウト図に示す第2の工程を行う。この工程では、例えば通常のホトリソグラフィー技術とエッチングとによって、上記プラグ15を載せた状態にして上記下層配線形成膜31の2点鎖線で示す部分を除去し、残した当該下層配線形成膜31で下層配線13を形成する。
【0026】その後前記図2で説明した第1の製造方法と同様の第3の工程と第4の工程とを行って、図3の(5)の概略断面図に示すように、プラグ15の上層部が突出した状態に層間絶縁膜14を成膜し、さらに上記プラグ15に接続する状態に、上記層間絶縁膜14上に上層配線16を形成した多層配線構造10を得る。
【0027】上記第2の製造方法でも前記第1の製造方法と同様に、プラグ15を形成してから層間絶縁膜14を成膜し、その後プラグ15の上層部が突出する状態に層間絶縁膜14の上層を除去したので、上層配線16との接続信頼性が高いプラグ15が形成される。
【0028】次に上記多層配線構造10の第3の製造方法を、図4の製造工程図により説明する。図に示す構成部品のうち、前記図1で説明したと同様の構成部品には同一符号を付す。図4の(1)の概略断面図および(2)のレイアウト図に示すように、第1の工程では、通常の化学的気相成長法によって基板11に設けた絶縁膜12上に、例えばアルミニウム系金属よりなる下層配線形成膜41を成膜する。続いて通常の化学的気相成長法によって、当該下層配線形成膜41の上面にプラグ形成膜42を成膜する。その後、通常のホトリソグラフィー技術とエッチングとによって、2点鎖線で示す上記プラグ形成膜42を除去し、さらに1点鎖線で示す部分の下層配線形成膜41を除去する。そして上面にプラグ形成膜42を載せた状態にして下層配線形成膜41よりなる下層配線13が形成される。
【0029】次いで図4の(3)の概略断面図および(4)のレイアウト図に示す第2の工程を行う。この工程では、例えば通常のホトリソグラフィー技術によって、例えばレジストよりなるエッチングマスク43を形成する。次いでエッチングを行って、上記プラグ形成膜42の2点鎖線の斜線で示す部分(レイアウト図参照)を除去し、残した当該プラグ形成膜42でプラグ15を形成する。その後例えばアッシャー処理によって、エッチングマスク43を除去する。
【0030】次に前記図2で説明した第1の製造方法と同様の第3の工程と第4の工程とを行って、図4の(5)の概略断面図に示すように、プラグ15の上層部が突出した状態に層間絶縁膜14を成膜し、さらに上記プラグ15に接続する状態に、上記層間絶縁膜14上に上層配線16を形成した多層配線構造10を得る。
【0031】上記第3の製造方法でも前記第1の製造方法と同様に、プラグ15を形成してから層間絶縁膜14を成膜し、その後プラグ15の上層部が突出する状態に層間絶縁膜14の上層を除去したので、信頼性の高いプラグ15が形成される。しかも下層配線13の幅方向に対してプラグ15の幅方向が自己整合的に形成されるので、プラグ15は最大限に大きく形成される。
【0032】
【発明の効果】以上、説明したように本発明の多層配線構造では、層間絶縁膜の表面にプラグの上層部を突出させた状態で、当該プラグを形成したので、上層配線とプラグとの接触面積が大きくなる。このため、プラグと上層配線との接触抵抗が低減されるとともに、接続が確実になるので、多層配線構造の信頼性の向上が図れる。また上記製造方法では、プラグを形成してから層間絶縁膜を成膜し、その後プラグの上層部が突出する状態に層間絶縁膜の上層を除去したので、信頼性の高いプラグが形成される。よって、多層配線構造の信頼性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の概略構成断面図である。
【図2】実施例の製造工程図である。
【図3】実施例の別の製造工程図である。
【図4】実施例の別の製造工程図である。
【図5】従来例の概略構成断面図である。
【図6】別の従来例の概略構成断面図である。
【図7】課題の説明図である。
【符号の説明】
10 多層配線構造
11 基板
13 下層配線
14 層間絶縁膜
15 プラグ
16 上層配線
21 プラグ形成膜
31 下層配線形成膜
32 プラグ形成膜
41 下層配線形成膜
42 プラグ形成膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板上に形成した下層配線と、前記下層配線上に形成したプラグと、前記下層配線を覆う状態にして、前記プラグの上部が突出する状態に形成した層間絶縁膜と、前記プラグに接続する状態にして前記層間絶縁膜の上面に形成した上層配線とよりなることを特徴とする多層配線構造。
【請求項2】 請求項1記載の多層配線構造の製造方法であって、基板上に下層配線を形成する第1の工程と、前記下層配線を覆う状態にプラグ形成膜を成膜した後、当該プラグ形成膜で前記下層配線上にプラグを形成する第2の工程と、前記プラグと前記下層配線とを覆う状態に層間絶縁膜を成膜した後、当該プラグの上層部が突出する状態に当該層間絶縁膜の上層を除去する第3の工程と、前記層間絶縁膜の上面に前記プラグに接続する状態に上層配線を形成する第4の工程とを行うことを特徴とする多層配線構造の製造方法。
【請求項3】 請求項1記載の多層配線構造の製造方法であって、基板上に下層配線形成膜を成膜し、続いて当該下層配線形成膜の上面にプラグ形成膜を成膜した後、所定の位置に当該プラグ形成膜でプラグを形成する第1の工程と、前記プラグを載せた状態にして前記下層配線形成膜で下層配線を形成する第2の工程と、前記プラグと前記下層配線とを覆う状態に層間絶縁膜を成膜した後、当該プラグの上層部が突出する状態に当該層間絶縁膜の上層を除去する第3の工程と、前記層間絶縁膜の上面に前記プラグに接続する状態に上層配線を形成する第4の工程とを行うことを特徴とする多層配線構造の製造方法。
【請求項4】 請求項1記載の多層配線構造の製造方法であって、基板上に下層配線形成膜を成膜し、続いて当該下層配線形成膜の上面にプラグ形成膜を成膜した後、当該プラグ形成膜の一部分と当該下層配線形成膜の一部分とを除去して、プラグ形成膜を載せた状態にして下層配線形成膜よりなる下層配線を形成する第1の工程と、前記下層配線上のプラグ形成膜で、当該下層配線上の所定の位置にプラグを形成する第2の工程と、前記プラグと前記下層配線とを覆う状態に層間絶縁膜を成膜した後、当該プラグの上層部が突出する状態に当該層間絶縁膜の上層を除去する第3の工程と、前記層間絶縁膜の上面に前記プラグに接続する状態に上層配線を形成する第4の工程とを行うことを特徴とする多層配線構造の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【公開番号】特開平5−347360
【公開日】平成5年(1993)12月27日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−179006
【出願日】平成4年(1992)6月12日
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)