説明

多層配線構造およびその製造方法

【目的】 本発明は、多層配線構造において、下層の第1の配線と上層の第3の配線とを接続する際に、中層の第2の配線に接触することなく最小の設計寸法になるコンタクトホールを形成して、配線の高密度実装化を図る。
【構成】 基板11上の第1の配線12を覆う第1の層間絶縁膜13を成膜し、絶縁膜16,17を上面に形成した第2の配線14,15を第1の層間絶縁膜13上に形成する。各第2の配線14,15と各絶縁膜16,17とを覆う第2の層間絶縁膜18を成膜し、第1の配線12上で第2の配線14,15間の第1,第2の層間絶縁膜13,18 にコンタクトホール19を設け、その側壁に絶縁性のサイドウォール20を形成し、コンタクトホール19を介して第1の配線12に接続する第3の配線21を第2の層間絶縁膜18上に形成したものである。あるいは、コンタクトホール19内に導電性のプラグ(図示せず)を設け、プラグに接続する第3の配線21を形成したものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多層配線構造およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】1層目の配線と3層目の配線とを接続するには、2層目の配線に接触しない状態にコンタクトホールを形成し、このコンタクトホールを介して3層目の配線を1層目の配線に接続していた。すなわち図7の概略構成断面図および図8の配線のレイアウト図に示すように、基板71上には第1の配線72が形成されている。この第1の配線72を覆う状態に第1の層間絶縁膜73が成膜されている。さらに上記第1の層間絶縁膜73の上面には第2の配線74,75が、第1の配線72を横切る状態に形成されている。また各第2の配線74,75を覆う状態に、第2の層間絶縁膜76が成膜されている。上記1層目の配線72上の第2の層間絶縁膜76と上記第1の層間絶縁膜73とには、第2の配線74,75に接触することなく、コンタクトホール77が設けられている。さらにコンタクトホール77を介して第1の配線72に接続する第3の配線78が第2の層間絶縁膜76の上面に形成されている。上記コンタクトホール77は、第2の配線74,75に接触することがないように、マスクあわせ余裕79を考慮して設計されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記配線構造では、コンタクトホールを設計する際に、コンタクトホールのマスク合わせ余裕を考慮しなければならない。このため、第2の配線の間隔は、コンタクトホールの幅とマスク合わせ余裕とを合わせた幅以上に広くする必要がある。この結果、第2の配線の配線密度を小さくするには限界が生じ、第2の配線の高密度実装を阻んでいる。
【0004】本発明は、配線の高密度実装性に優れた多層配線構造およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するためになされた多層配線構造である。すなわち、基板上には第1の配線が形成されていて、この第1の配線を覆う状態に第1の層間絶縁膜が成膜されている。また第1の層間絶縁膜上には、上面に絶縁膜を形成した複数の第2の配線が形成されていて、各第2の配線と各絶縁膜とを覆う状態に第2の層間絶縁膜が成膜されている。さらに第1の配線の所定位置における第2の配線間の第2の層間絶縁膜と第1の層間絶縁膜とにはコンタクトホールが設けられていて、コンタクトホールの側壁には絶縁性のサイドウォールが形成されている。そしてコンタクトホールを介して第1の配線に接続する第3の配線が第2の層間絶縁膜上に形成されているものである。あるいは、コンタクトホールの内部に導電性のプラグを設けて、このプラグに接続する状態に第3の配線を形成したものである。
【0006】上記多層配線構造の製造方法であって、第1の工程で、基板上に第1の配線を形成した後、第1の配線を覆う状態に第1の層間絶縁膜を成膜する。次いで第2の工程で、第1の層間絶縁膜上に絶縁膜を載せた複数の第2の配線を形成した後、各第2の配線と前記絶縁膜とを覆う状態に第2の層間絶縁膜を成膜する。続いて第3の工程で、第1の配線の所定位置における第2の配線間の第2の層間絶縁膜と第1の層間絶縁膜とにコンタクトホールを設けた後、第4の工程で、コンタクトホールの側壁にサイドウォールを形成する。その後第5の工程で、コンタクトホールを介して第1の配線に接続する状態に第3の配線を第2の層間絶縁膜上に形成する。あるいは第4の工程が終了した後、第5の工程で、コンタクトホールの内部に導電性のプラグを形成し、その後第6の工程で、プラグに接続する状態に、第2の層間絶縁膜上に第3の配線を形成する。
【0007】
【作用】上記構成の多層配線構造では、第2の配線の間隔を利用して、第2の配線の側壁に絶縁性のサイドウォールを形成することにより、コンタクトホールが自己整合的に形成される。このため、コンタクトホールの設計寸法が小さくなる。またコンタクトホールの内部にプラグを形成したことにより、第1の配線と第3の配線との接続性が高まる。
【0008】上記多層配線構造の製造方法では、第2の配線間を利用して、自己整合的に第2の配線間方向のコンタクトホールの幅が決定される。またコンタクトホールの側壁に絶縁性のサイドウォールを形成することにより、コンタクトホールと第2の配線間の絶縁膜が必要最小限の厚さに形成される。このため、コンタクトホールを形成するのに必要な設計寸法が最小になる。またコンタクトホールにプラグを形成することにより、第3の配線を形成するのに、カバレジ性を考慮する必要がなくなる。
【0009】
【実施例】本発明の第1の実施例を、図1の概略構成断面図および図2の配線のレイアウト図により説明する。図に示すように、基板11上には第1の配線12が形成されている。この第1の配線12を覆う状態に第1の層間絶縁膜13が成膜されている。また第1の層間絶縁膜13上には、複数の第2の配線14,15が形成されている。各第2の配線14,15の上面のそれぞれには絶縁膜16,17が形成されている。各第2の配線14,15と各絶縁膜16,17とを覆う状態に第2の層間絶縁膜18が成膜されている。さらに第1の配線12の所定位置における第2の配線14,15間の第2の層間絶縁膜18と第1の層間絶縁膜13とにはコンタクトホール19が設けられている。このコンタクトホール19の側壁には絶縁性のサイドウォール20が形成されている。そしてコンタクトホール19を介して第1の配線12に接続する第3の配線21が第2の層間絶縁膜18上に形成されている。上記の如くに、多層配線構造1は構成されている。
【0010】上記構成の多層配線構造1では、第2の配線14,15の間隔をコンタクトホール19の幅に設定したことにより、第2の配線14,15の間隔で設定されるコンタクトホール19の幅の設計寸法が小さくなる。またコンタクトホール19の側壁に絶縁性のサイドウォール20を形成したことにより、コンタクトホール19と第2の配線14,15との間の第2の層間絶縁膜18の厚さは必要最小限の厚さで十分である。
【0011】次に上記第1の実施例の多層配線構造1の製造方法を、図3,図4の製造工程図(その1),(その2)により説明する。図3,図4では、図面左側に概略断面図を示し、図面右側に配線のレイアウト図を示す。図3の(1)に示す第1の工程を行う。この工程では、通常の配線形成技術によって基板11上に第1の配線12を形成した後、例えば化学的気相成長法によって、第1の配線12を覆う状態に第1の層間絶縁膜13を成膜する。
【0012】次いで図3の(2)に示す第2の工程を行う。この工程では、例えば化学的気相成長法によって、第1の層間絶縁膜13の上面に第2の配線を形成する膜31を成膜する。続いて例えば化学的気相成長法によって、第2の配線を形成する膜31の上面に例えば酸化シリコン膜32を成膜する。さらに例えばスパッタ法によって、エッチングマスク形成膜33を成膜する。このエッチングマスク形成膜33は、例えばタングステン(W)膜よりなる。その後通常のホトリソグラフィー技術とエッチングとによって、上記エッチングマスク形成膜33の破線で示す部分と上記酸化シリコン膜32の1点鎖線で示す部分とを除去して、残したエッチングマスク形成膜33でエッチングマスク34,35を形成し、残した酸化シリコン膜32で絶縁膜16,17を形成する。さらに上記第2の配線を形成する膜31の2点鎖線で示す部分を除去して、残した第2の配線を形成する膜31で第2の配線14,15を形成する。
【0013】その後図3の(3)に示すように、例えば化学的気相成長法によって、各第2の配線14,15と絶縁膜16,17とエッチングマスク34,35とを覆う状態に第2の層間絶縁膜18を成膜する。
【0014】次いで図4の(4)に示す第3の工程を行う。この工程では、通常のホトリソグラフィー技術とエッチングとによって、第1の配線12の所定位置における第2の配線14,15間の第2の層間絶縁膜18と第1の層間絶縁膜13とにコンタクトホール19を設ける。さらに、例えば異方性エッチングによって、エッチングマスク34,35の2点鎖線で示す部分も除去する。このとき、第1の配線12の表層もわずかにエッチングされる場合もある。
【0015】続いて図4の(5)に示す第4の工程を行う。この工程では、通常の化学的気相成長法によって、少なくとも上記コンタクトホール19の側壁にサイドウォール形成膜36を成膜した後、通常の異方性エッチングによって、コンタクトホール19の側壁に形成されたサイドウォール形成膜36以外の2点鎖線で示すサイドウォール形成膜36を除去して、サイドウォール20を形成する。
【0016】その後図4の(6)に示す第5の工程を行う。この工程では、例えば化学的気相成長法によって、上記コンタクトホール19の内部と上記第2の層間絶縁膜18の上面とに第3の配線を形成する膜(37)を成膜する。そして通常のホトリソグラフィー技術とエッチングとによって、上記第3の配線を形成する膜(37)の不要な部分(図示せず)を除去して、当該第3の配線を形成する膜(37)で上記第1の配線12に接続する第3の配線21を形成する。
【0017】上記多層配線構造1の製造方法では、第2の配線14,15間を利用しているので、自己整合的に第2の配線14,15間方向のコンタクトホール19の幅が決定される。またコンタクトホール19の側壁に絶縁性のサイドウォール20を形成することにより、コンタクトホール19と第2の配線14,15間の絶縁膜が当該サイドウォール20によって必要最小限の厚さに形成される。このため、コンタクトホール19を形成するのに必要な設計寸法が最小になる。さらに第2の配線14,15の上面に絶縁膜16,17を設け、この絶縁膜16,17の上面にエッチングマスク34,35を形成したので、コンタクトホール19が第2の配線14,15にオーバラップする状態に形成されても、絶縁膜16,17がエッチングされて第2の配線14,15が露出するこがない。
【0018】次に第2の実施例を、図5の概略構成断面図により説明する。図に示す多層配線構造2は、前記図1で説明した多層配線構造1のコンタクトホール19の内部に、第1の配線12に接続する導電性のプラグ41を設けるとともに、上記プラグ41に接続する状態にして第2の層間絶縁膜18の上面に第3の配線21を形成したものである。なお図4においては、上記図1で説明したと同様の構成部品には同一符号を付す。またプラグ41以外の構成部品は、上記図1で説明したと同様なのでここでの説明は省略した。
【0019】上記構成の多層配線構造2では、コンタクトホール19の内部にプラグ41を設けたことにより、第3の配線21のカバレジ性が向上する。このため、第3の配線21は、コンタクトホール19の開口部で段切れ状態にならない。またプラグ41によって、第1の配線12と第3の配線21との接続性が高まる。
【0020】次に上記第2の実施例の多層配線構造2の製造方法を、図6の製造工程図により説明する。第1の工程より第4の工程までは、上記図3の(1)〜(3),図4の(4),(5)で説明したと同様なのでここでの説明は省略する。また上記図3,図4で説明したと同様の構成部品には同一の符号を付す。
【0021】その後図6の(1)に示す第5の工程を行う。この工程では、例えば化学的気相成長法によって、コンタクトホール19の内部と第2の層間絶縁膜18の上面とに、第1の配線12に接続するプラグ形成膜42を成膜する。このプラグ形成膜42は、例えばブランケットタングステン膜よりなる。次いで通常のエッチバック処理によって、上記プラグ形成膜42の2点鎖線で示す部分を除去して、コンタクトホール19の内部に残したプラグ形成膜42でプラグ41を形成する。
【0022】次いで図6の(2)に示す第6の工程を行う。この工程では、例えば化学的気相成長法によって、上記プラグ41の上面と上記第2の層間絶縁膜18の上面とに第3の配線を形成する膜(37)を成膜する。そして通常のホトリソグラフィー技術とエッチングとによって、上記第3の配線を形成する膜(37)の不要な部分(図示せず)を除去して、残した第3の配線を形成する膜(37)で上記第プラグ41に接続する第3の配線21を形成する。
【0023】上記多層配線構造2の製造方法では、コンタクトホール19にプラグ41を形成することにより、第2の層間絶縁膜18の上面に第3の配線21を形成するのに、カバレジ性を考慮する必要がなくなる。
【0024】
【発明の効果】以上、説明したように本発明の多層配線構造によれば、第2の配線の間隔によって、第2の配線間方向のコンタクトホールの幅が自己整合的に決定される。このため、コンタクトホールの設計寸法が小さくなるので、配線形成面積の縮小化を図ることができる。したがって、配線の高密度実装が可能になる。またコンタクトホールの内部にプラグを形成したことにより、第1の配線と第3の配線との接続性の向上が図れる。
【0025】本発明の製造方法では、第2の配線間を利用して自己整合的に第2の配線間にコンタクトホールを形成し、さらにコンタクトホールの側壁に絶縁性のサイドウォールを形成するので、コンタクトホールと第2の配線との間の絶縁膜を必要最小限の厚さに形成することが可能になる。このため、コンタクトホールを形成するのに必要な設計寸法を最小にすることができる。またコンタクトホールにプラグを形成することにより、第3の配線を形成する際にカバレジ性を考慮する必要がなくなるので、第3の配線の形成が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例の概略構成断面図である。
【図2】第1の実施例の配線のレイアウト図である。
【図3】第1の実施例の製造工程図(その1)である。
【図4】第1の実施例の製造工程図(その2)である。
【図5】第2の実施例の概略構成断面図である。
【図6】第2の実施例の製造工程図である。
【図7】従来例の概略構成断面図である。
【図8】従来例の配線のレイアウト図である。
【符号の説明】
1 多層配線構造
2 多層配線構造
11 基板
12 第1の配線
13 第1の層間絶縁膜
14 第2の配線
15 第2の配線
16 絶縁膜
17 絶縁膜
18 第2の層間絶縁膜
19 コンタクトホール
20 サイドウォール
21 第3の配線
41 プラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板上に形成した第1の配線と、前記第1の配線を覆う状態に成膜した第1の層間絶縁膜と、前記第1の層間絶縁膜上に形成した複数の第2の配線と、前記各第2の配線上に形成した絶縁膜と、前記各第2の配線と前記絶縁膜とを覆う状態に成膜した第2の層間絶縁膜と、前記第1の配線の所定位置における前記第2の配線間の前記第2の層間絶縁膜と前記第1の層間絶縁膜とに設けたコンタクトホールと、前記コンタクトホールの側壁に形成した絶縁性のサイドウォールと、前記コンタクトホールを介して前記第1の配線に接続するもので、前記第2の層間絶縁膜上に形成した第3の配線とよりなることを特徴とする多層配線構造。
【請求項2】 請求項1記載の多層配線構造の製造方法であって、基板上に第1の配線を形成した後、前記第1の配線を覆う状態に第1の層間絶縁膜を成膜する第1の工程と、前記第1の層間絶縁膜上に絶縁膜を載せた複数の第2の配線を形成した後、前記各第2の配線と前記絶縁膜とを覆う状態に第2の層間絶縁膜を成膜する第2の工程と、前記第1の配線の所定位置における前記第2の配線間の前記第2の層間絶縁膜と前記第1の層間絶縁膜とにコンタクトホールを設ける第3の工程と、前記コンタクトホールの側壁に絶縁性のサイドウォールを形成する第4の工程と、前記コンタクトホールを介して前記第1の配線に接続する状態に前記第2の層間絶縁膜上に第3の配線を形成する第5の工程とよりなることを特徴とする多層配線構造の製造方法。
【請求項3】 請求項1記載の多層配線構造において、前記コンタクトホールの内部に導電性のプラグを設けるとともに前記第3の配線を前記プラグに接続する状態で形成したことを特徴とする多層配線構造。
【請求項4】 請求項3記載の多層配線構造の製造方法であって、基板上に第1の配線を形成した後、前記第1の配線を覆う状態に第1の層間絶縁膜を成膜する第1の工程と、前記第1の層間絶縁膜上に絶縁膜を載せた複数の第2の配線を形成した後、前記各第2の配線と前記絶縁膜とを覆う状態に第2の層間絶縁膜を成膜する第2の工程と、前記第1の配線の所定位置における前記第2の配線間の前記第2の層間絶縁膜と前記第1の層間絶縁膜とにコンタクトホールを設ける第3の工程と、前記コンタクトホールの側壁に絶縁性のサイドウォールする第4の工程と、前記コンタクトホールの内部に導電性のプラグを形成する第5の工程と、前記プラグに接続する状態に前記第2の層間絶縁膜上に第3の配線を形成する第6の工程とよりなることを特徴とする多層配線構造の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【図4】
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【図8】
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【公開番号】特開平6−5714
【公開日】平成6年(1994)1月14日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−187675
【出願日】平成4年(1992)6月22日
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)