説明

多層配線構造

【目的】 多層配線構造におけるスルーホールをなくし、スルーホール領域用のスペースを有効活用する。
【構成】 上層配線層400と下層配線層100間に設ける絶縁層300を、両配線層が電気的に接続してはいけない部分のみに設けることにより、スルーホールの不要な多層配線構造を得る。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、第1配線層で形成された配線と第2配線層で形成された配線とを接続した多層配線構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の多層配線構造は図3,図4に示すように、第1の配線を形成する第1層配線層500と第2の配線600を形成する第2層配線層との間を絶縁層800によって遮断し、配線層間の接続は、その絶縁層に層間通過用のスルーホール700を設け、その穴に導電物を埋め込むことによって行っていた。また、スルーホールを形成するためには配線層に最小配線幅より大きな領域(スルーホール用領域)を確保する必要があり、かつスルーホールを作成するための製造工程を必要としている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、上記配線構造では、第1の配線と第2の配線間に絶縁する必要がない領域にまで絶縁層を形成し、かつ、それら配線層間の接続のためにその形成した絶縁層にスルーホールを設ける必要があるため、配線層にスルーホール用領域の確保が必要であり、かつ、スルーホール作成のための設計作業、及び製造工程も必要としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本考案は、上記問題点を解決するために、第1の配線と第2の配線間の絶縁層を、第1の配線と第2の配線の各配線層の間の交差部分に各配線が接触しない様に下層の配線を覆う様に形成し、第1の配線と第2の配線の交差しない部分、及び接続する部分には絶縁層を設けなくすることで各配線層の配線、配線層間の接続を行うものである。
【0005】
【作用】
配線層間の絶縁層を第1の配線と第2の配線の各配線層の間の交差部分にのみ設けることで、その他の領域がスルーホールが機能していた接続部として作用する。
【0006】
【実施例】
この考案の実施例を、マスクパターンの場合を例にとり図1,図2に示す。図1はこの考案の実施例のマスクパターンの平面図、図2は図1のX−X′断面図である。以下、これらの図を参照しつつこの考案の実施例を説明する。配線区間(A−a,B−b,C−c,D−d,E−e,F−f,G−g,E−e,F−f)の配線を製造する場合、異なる配線区間の第1の配線と第2の配線との交差を持つ第1の配線の線分100と、交差を持たない線分の配線200を同時に形成し、次に異なる配線区間の第1の配線と第2の配線の交差部分及びその近傍を絶縁する絶縁層300を形成し、更に異なる配線区間の第1の配線と第2の配線との交差を持つ第2の配線の線分400を形成する。以上のことにより、上記配線区間をスルーホールなしに配線することが可能となる。
【0007】
【考案の効果】
以上説明したように、この考案によれば、第1の配線と第2の配線間に不要な絶縁層を形成する必要がなくなり、かつ第1の配線と第2の配線間を接続するための層間通過用のスルーホールを設ける必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案の実施例のマスクパターン。
【図2】図1のX−X′断面図。
【図3】従来のマスクパターン。
【図4】図3のX−X′断面図。
【符号の説明】
100,200,500 第1の配線
300,800 絶縁層
400,600 第2の配線
700 スルーホール

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 下層配線層で形成する第1の配線と、この第1の配線層上に形成される絶縁層と、この絶縁層上に形成される第2配線層で形成する第2配線層とを有する多層配線構造において、前記絶縁層は、前記第1の配線と第2の配線とを電気的に接続させない領域及びその近傍のみに選択的に形成されていることを特徴とする多層配線構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】実開平5−48350
【公開日】平成5年(1993)6月25日
【考案の名称】多層配線構造
【国際特許分類】
【出願番号】実願平3−98795
【出願日】平成3年(1991)11月29日
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)