説明

多年表示カレンダー

【課題】 日にちと曜日を同時に表示するカレンダーとしての機能はもちろん、使い勝手等の実用性も高め、また日にちの配列を目的月に変更する際には、面白さを演出できるようにした、奇抜な多年表示カレンダーを提供する。
【解決手段】 本発明の多年表示カレンダー(1) は、各曜日表示(W) の下に複数の表示窓(20)が形成された曜日表示ケース(2) と、一カ月分の日にちが順に配置された日にち表示カード(3) とを具え、この日にち表示カード(3) には、一カ月分の日にちの七曜配列が、少なくとも月の初日の曜日を異ならせて7パターン分記載され、また各パターン(P) の記載にあたっては、各パターン(P) の日にち数字を90度の整数倍ずらして記載し、使用にあたっては、目的月のパターン(P) を選択し、日にち表示カード(3) を曜日表示ケース(2) に組み合わせることにより、目的月の曜日に合致させた日にちのみを表出させるようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日にちと曜日を同時に表示する月毎のカレンダーに関するものであって、特に七曜日を順に表示した曜日表示ケースに対して、一カ月分の日にちを順に表示した日にち表示カードを組み合わせることによって、目的月に合った日にちと曜日の組み合わせを設定し、長年にわたって使えるようにした多年表示カレンダーに係るものである。
【0002】
一カ月分の日にちを七つの曜日に対して順に配列した毎月のカレンダーにあっては、各月毎に予め全ての日にち配列を印刷したものがあり、例えば一カ月分を一枚の用紙に印刷したものや、二カ月分を一枚の用紙に印刷したものが一般的となっている。しかしながら、この種の月毎のカレンダーにあっては、このように予め全ての日にち配列を印刷したものにとどまらず、例えば曜日表示と日にち表示が別々に形成されており、一カ月分の日にちを適宜ずらすことによって、目的月に合った曜日と日にちの組み合わせを設定し、表示を行わせるタイプのものがある。このようなカレンダーは、長年にわたって使用できるため、多年表示カレンダーとも称される。
そして、この種のカレンダーにおいては、日にちと曜日を一目で認識する実用性もさることながら、通常のカレンダーにはない意外性や遊び心あるいは奇抜な面白さ等に工夫が凝らされ、このような点でいかに多くの人の注目を集め、興味を引くかという点に開発の主眼が置かれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明も、このような開発の一環としてなされたものであって、日にちと曜日を同時に表示する機能性はもちろんのこと、使い勝手等の実用性をも高め、また各月の日にちを変更する際などには、多くの遊び心を演出できるようにした、画期的な多年表示カレンダーの開発を試みたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
すなわち請求項1記載の多年表示カレンダーは、七つの曜日表示に対応して複数の表示窓が形成されて成る曜日表示ケースと、一カ月分の日にちが七つの曜日に対応して順次、数列状に配置されて成る日にち表示カードとを具え、前記曜日表示ケースに、日にち表示カードを組み合わせることにより、表示窓から一カ月分の日にちを各曜日と併せて表出するようにしたカレンダーにおいて、前記日にち表示カードには、一カ月分の日にちの七曜配列が、少なくとも月の初日の曜日を異ならせて7パターン記載され、また各パターンの記載にあたっては、各パターンの日にち数字を90度の整数倍ずらして記載するとともに、その日にち七曜配列の有効外縁を正方形状に形成して成るものであり、使用にあたっては、各月の初日の開始曜日に合わせたパターンを選択し、日にち表示カードに記載された日にち数字を正立状態で、曜日表示ケースに組み合わせることにより、各月毎の曜日に合致させた日にちのみを表出させるようにしたことを特徴として成るものである。
【0005】
また請求項2記載の多年表示カレンダーは、前記請求項1記載の要件に加え、前記曜日表示ケースは、複数の表示窓を仕切る桟状のパネル面を具え、このパネル面によって非選択パターンの日にち七曜配列を隠蔽し、選択パターンの日にち七曜配列のみを表示窓から表出するようにしたことを特徴として成るものである。
【0006】
更にまた請求項3記載の多年表示カレンダーは、前記請求項1または2記載の要件に加え、前記日にち表示カードに記載される日にち七曜配列のパターンは、31日までの日にちの開始曜日を異ならせた7パターンのみであることを特徴として成るものである。
【0007】
また請求項4記載の多年表示カレンダーは、前記請求項3記載の要件に加え、前記日にち表示カードは、矩形平面状を成す一枚のみであり、一方の面に4パターンの日にち七曜配列が記載され、もう一方の面に3パターンの日にち七曜配列が記載されていることを特徴として成るものである。
【0008】
また請求項5記載の多年表示カレンダーは、前記請求項3記載の要件に加え、前記日にち表示カードは、円形の外形を成す平面状の一枚のみであり、一方の面に4パターンの日にち七曜配列が記載されるとともに、もう一方の面に3パターンの日にち七曜配列が記載されて成り、また前記曜日表示ケースは、この日にち表示カードを挟持した状態で回動自在に保持するとともに、ケースの表側と裏側との双方に表示窓が形成されて成ることを特徴として成るものである。
【0009】
また請求項6記載の多年表示カレンダーは、前記請求項4または5記載の要件に加え、前記日にち表示カードは、3パターンの日にち七曜配列が記載された面において、1パターン分の余剰スペースを利用して、前記7パターンのうちの一つのパターンが、特定の日にちを強調して記載され、見かけ上、8種のパターンが形成されることを特徴として成るものである。
【発明の効果】
【0010】
これら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
すなわち請求項1記載の発明によれば、例えば日にち表示カードを90度毎、クルクル回動させて、月の初日の曜日を変え、目的のパターンにあった日にち七曜配列を選択するため、今まで、この種のカレンダーにはなかった意外性や面白さを演出できる。
【0011】
また請求項2記載の発明によれば、例えば日にち表示カードのオモテ面に、4パターンの日にち七曜配列を記載しておいても、選択したパターン以外の日にち七曜配列は、パネル面で隠すことができ、選択したパターンのみを表出する具体的構成を現実のものとする。
【0012】
更にまた請求項3記載の発明によれば、日にち七曜配列のパターンは、一カ月の日数を31日(いわゆる大の月)に限定した7パターンのみであるため、月の初日の曜日を選んで、目的のパターンを選択する設定作業が、極めて容易に行える。
【0013】
また請求項4記載の発明によれば、日にち表示カードは、厳密に矩形平面状を成すカード一枚で形成され、そのカードの両面に、全ての日にち七曜配列のパターンが記載されるため、非選択パターンとなるカード(非使用カード)が存在することがない。従って、このようなカードの保管の必要がなく、またこのようなカードを紛失する心配もない。
【0014】
また請求項5記載の発明によれば、日にち表示カードを90度ずつ回転させたり、曜日表示ケースを反転させることにより、全てのパターンを表示することができる。すなわち、本発明によれば、日にち表示カードを曜日表示ケースから全く引き抜くことなく、目的とするパターンを選択することができる。このため日にち表示カードを挟持状態で回動自在に形成しておけば、カードをケースと一体化させて市場に提供することができ、ユーザ側でのカードの紛失を完全に解消できる。
【0015】
また請求項6記載の発明によれば、例えば日にち表示カードのオモテ面に、日にち七曜配列が4パターン記載され、もう一方のウラ面に3パターン記載された場合、ウラ面の一パターン分の余剰スペースを利用して、イベント等が開催される月のパターンを、イベント日を強調して記載することができる。このため、多年表示カレンダーを、イベントのノベルティグッズとしてユーザに提供する場合には、ユーザにイベント等の開催を大いにアピールできる。なお、通常この種のノベルティグッズとしては、ボールペンや手帳等にイベント名、開催日あるいは主催者名等を記載してユーザに配付されることが多く、グッズそのものによりユーザの興味や感心を如何に引き付けるかについては、それ程、気にかけられないこともあったが、本発明ではイベント開催日を色々な方法でアピールでき、イベント内容や主催者の開催意図等に特化したノベルティグッズの提供が可能となり、ユーザの注目をより多く集めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の最良の形態は、以下の実施例に述べる通りである。
【実施例】
【0017】
本発明の多年表示カレンダー(1) は、一例として図1に示すように、一週間の七つの曜日が順に記載された曜日表示ケース(2) と、一カ月分の日にち(日にち数字)が順に記載された日にち表示カード(3) とを具え、これらを適宜組み合わせることにより、多年にわたって日にちと曜日を目的月の表示に合わせられるようにした毎月のカレンダーである。ここで、曜日表示ケース(2) に記載する曜日や、日にち表示カード(3) に記載する日にち数字の「記載」とは、印刷はもちろん、削成、あるいはモールディングによる成形等も含むものである。なお、図1に示す実施例では、卓上に置いて使用する比較的小型タイプの多年表示カレンダー(1) を示したが、本発明は、この他にも壁掛用など種々の形態が採り得る。
以下、本発明の多年表示カレンダー(1) の主要構成部材である曜日表示ケース(2) と、日にち表示カード(3) について更に詳細に説明する。
【0018】
まず曜日表示ケース(2) について説明する。このものは、正面に七つの曜日が順次表示されるとともに(これを曜日表示(W) とする)、表示された各曜日に対して同列状に表示窓(20)が複数形成されて成るものである。本実施例では、通常のカレンダーの仕様にならい、各曜日表示(W) を、曜日表示ケース(2) の上端縁に沿ってほぼ左右方向(横方向)に配し、その各曜日表示(W) の下側に5〜6段の複数の表示窓(20)を開口形成している。なお表示窓(20)は、後述する日にち表示カード(3) に記載された日にちを表出するものであり(目的月のもののみ)、日にちと曜日とを関連付けて表示するものである。すなわち目的月の日にちを表示窓(20)から表出することにより、視た人(目視者)が例えば今日は何日の何曜日かが一目で把握できるようにしている。これに因み、個々の表示窓(20)による、日にちと曜日とを関連付けた表示を「日にち曜日表示」とする。
また曜日表示ケース(2) において、主に各表示窓(20)を仕切る桟状部分を、表示窓(20)に対してパネル面(21)とする。
【0019】
更に、ここでは卓上型の多年表示カレンダー(1) を例示したことに因み、曜日表示ケース(2) は、底面部や側面部が背面側に折り曲げられ、この折り曲げられた部位を各々、底面片(24)、側面片(25)とするものである。このうち、特に底面片(24)は、机やテーブル等に多年表示カレンダー(1) を載置する際の基部となるものである。また多年表示カレンダー(1) は、曜日表示ケース(2) と日にち表示カード(3) との組み合わせによってカレンダーとしての機能を発揮するため、側面片(25)には、更に一部が折り曲げられ、日にち表示カード(3) を保持する部位が形成されている(ここを保持片(26)とする)。すなわち、本実施例では、保持片(26)が、曜日表示ケース(2) の正面に対して適宜の間隔を設けて折り曲げられ、ケース正面と保持片(26)との間に、日にち表示カード(3) が嵌め込まれるものである。
【0020】
次に、日にち表示カード(3) について説明する。このものは、一例として図2に示すように、一カ月分の日にち(ここでは「1日」〜「31日」までの日にち数字)を、七つの曜日に対して順次、数列状に配置して成るものである。ここで、このような日にちの配列を「日にち七曜配列」と定義する。なお、日にち七曜配列は、少なくとも月の開始曜日を、七つの曜日に応じて異ならせた7パターンを要する。ここで月の初日が日曜日で始まるパターン(P) を第一パターン(P1)、月曜日で始まるパターン(P) を第二パターン(P2)、火曜日で始まるパターン(P) を第三パターン(P3)、水曜日で始まるパターン(P) を第四パターン(P4)とする(図2(a)参照)。また月の初日が木曜日で始まるパターン(P) を第五パターン(P5)、金曜日で始まるパターン(P) を第六パターン(P6)、土曜日で始まるパターン(P) を第七パターン(P7)と便宜上定義する(図2(b)参照)。
【0021】
そして、本実施例では、ほぼ正方形状の外形を成す日にち表示カード(3) を一枚のみ用い、上記7パターンを、この一枚のカードのオモテ面(30)とウラ面(31)とに記載するものである。逆に言えば、オモテ面(30)とウラ面(31)とを利用することにより、全てのパターン(P)を一枚の日にち表示カード(3) に再現している。具体的には、上記図2に併せて示すように、オモテ面(30)に第一パターン(P1)〜第四パターン(P4)までの4パターンを、時計回りに順次90度ずつずらして記載するとともに、ウラ面(31)に第五パターン(P5)〜第七パターン(P7)までの3パターンを、時計回りに順次90度ずつずらして記載するものである。
【0022】
このため、日にち表示カード(3) 、特にそのオモテ面(30)には、4パターンを構成する日にち数字が、正方形状のカードの各辺に対して正立状態となるように記載される(図2(a)参照)。なお、請求項1に記載した「有効外縁」とは、このような各パターン(P) の日にち数字の配列を称したものであり、カードそのものの外形を示すものではない。
また、ある一つのパターン(P) を選択して、日にち表示カード(3) を曜日表示ケース(2) に組み合わせた場合、表示窓(20)からは他のパターン(P) が見えないように、パネル面(21)に対する各パターン(P) の配置が構成される。すなわちパネル面(21)は、各表示窓(20)を仕切る桟としての作用を担うのみならず、非選択パターン(P) を積極的に隠蔽する作用をも担っている。これに因み、特にパネル面(21)の隠蔽作用を強調したい場合には、パネル面(21)をブラインド面(22)とも称するものである。
【0023】
また、このようなことから、日にち表示カード(3) のオモテ面(30)は、種々の数字が色々な方向を向いて配置されており、一見、数字が乱雑に配置されたような印象を受ける。つまり、カードのオモテ面(30)は、目視者の第一印象としては、多くの数字が種々の姿勢で入り混じった乱数表状のように見えるが、実際には、これが綿密に計算され、規則性に則った配置となっており、90度ずつ回して曜日表示ケース(2) に組み込むことで目的のパターン(P) のみが表示される意外性や面白さを演出するものである。そして、これがユーザの遊び心を刺激したり、興味をそそることになり、長年にわたって使用してもユーザを飽きさせないカレンダーとなっている。
【0024】
なお、本実施例では一カ月分の日数を31日としたのに対し、表示窓(20)は全部で37個形成しているため、必然的に6個分の表示窓(20)には日にちが入らない。このため、日にちが入らない表示窓(20)には、適宜のマーク(ここでは飛行機型)を予め日にち表示カード(3) に記載し、「1日」以前や「31日」以降には、このマークを表出させるようにしている。因みに、このマークとしては、ハート型やダイヤ型等の種々のものが適用できるし、他にも例えば多年表示カレンダー(1) が販売促進用のものである場合には、対象商品の形状をかたどったマークやロゴ等を記載することも可能である。
【0025】
次に、ブラインド面(22)(パネル面(21))によって、非選択パターン(P) の日にち七曜配列を隠蔽する具体的構成について図3に基づき説明する。ここで、図3は、月の初日が日曜日となる第一パターン(P1)を表示している。
まず曜日表示ケース(2) の各表示窓(20)が、左右方向及び上下方向に、それぞれほぼ一定の間隔を設けて形成される。ここでは一例として左右方向の間隔については、表示窓(20)一個のほぼ短辺長さ(上下方向の長さ)に設定され、上下方向の間隔については、表示窓(20)一個のほぼ長辺長さ(左右方向の長さ)に設定されている。そして、この表示窓(20)の間隔が上記ブラインド面(22)を形成し、このブラインド面(22)の上下・左右寸法内に収まるように各パターン(P) の日にち七曜配列が構成される。すなわち第一パターン(P1)が表示された表示窓(20)に対しては、第二パターン(P2)、第三パターン(P3)、第四パターン(P4)の日にち数字を、時計回りに旋回状に配置するものであり、第一パターン(P1)〜第四パターン(P4)までの日にち数字によって、いわゆる四つ巴を構成するものである。
【0026】
より具体的に説明すると、例えば図3において表出された第一パターン(P1)の「25」に対しては、第二パターン(P2)の「24」、第三パターン(P3)の「23」、第四パターン(P4)の「22」を、順次90度ずつ姿勢をずらして配置させ、第一パターン(P1)〜第四パターン(P4)の日にち数字を四つ巴状に配置するものである。
ただし、これはあくまでも一つの表示窓(20)に対する第一パターン(P1)〜第四パターン(P4)までの日にち数字の配置を述べたものであり、第二パターン(P2)〜第四パターン(P4)を選択した場合、第一パターン(P1)の「25」が表示された表示窓(20)に、必ずしも他のパターン(P) の日にち数字が表示されるというものではない(第一パターン(P1)の「25」が表示された表示窓(20)は、日にち表示カード(3) の中心部位に相当するため、この場合のみ、この表示窓(20)に、第二パターン(P2)の「24」、第三パターン(P3)の「23」、第四パターン(P4)の「22」が表示される)。
【0027】
このようにブラインド面(22)の上下・左右寸法内に収まるように、各パターン(P) の日にち七曜配列を形成すれば、ブラインド面(22)によって非選択パターン(P) を隠蔽することが可能であるが、本実施例では、ブラインド面(22)の上下・左右寸法をほぼ最大限に利用して、各パターン(P) の日にち数字を記載しており、これにより日にち表示カード(3) 面の有効利用を図っている。すなわち、このような構成により、カレンダー(カード)の大きさが限られていても、日にち数字の文字を極力大きくできるものである。
【0028】
本発明の多年表示カレンダー(1) は、以上述べた基本構造を有し、以下、このようなカレンダーの具体的な使用態様について説明する。なお、説明にあたっては、一例として図4に示すように、2004年8月〜10月の設定を例に挙げて説明する。
(1)8月のカレンダー設定
2004年8月は、月の初日が日曜日で始まるため、日にち表示カード(3) (日にち七曜配列)は、オモテ面(30)の第一パターン(P1)を選択して曜日表示ケース(2) に組み合わせる(差し込む)。
【0029】
(2)9月のカレンダー設定
8月の最終日(「31日」)は火曜日であるため、2004年9月のカレンダーを設定する際には、月の初日が水曜日となるパターン(P) を選択する。すなわち、日にち表示カード(3) としては、オモテ面(30)の第四パターン(P4)を選択するものであり、本実施例では、日にち表示カード(3) を時計回りに90度、回転移動させると、目的のパターン(P) が選択でき、この状態で曜日表示ケース(2) に組み合わせる。
【0030】
(3)10月のカレンダー設定
ここでは9月が31日の金曜日まで表示されるが、本来、9月は「30日」が最終日(みそか )であるため、10月のカレンダーを設定する際には、月の初日が金曜日となるパターン(P) を選択する。すなわち日にち表示カード(3) としては、ウラ面(31)の第六パターン(P6)を選択し、曜日表示ケース(2) に組み合わせる。
なお10月が終了し、11月のカレンダーを設定する際には、10月の最終日(31日)が日曜日であるため、月の初日が月曜日となるパターン(P) を選択する。すなわち日にち表示カード(3) としては、オモテ面(30)の第二パターン(P2)を選択し、曜日表示ケース(2) に組み合わせる。
〔他の実施例〕
【0031】
本発明は、以上述べた実施例を一つの基本的な技術思想とするものであるが、更に次のような改変が考えられる。すなわち先の図1等では、卓上型の比較的ミニサイズの多年表示カレンダー(1) を図示したが、もっと暦面を大きくし、個々の日にち曜日表示を目立たせたい場合には、壁掛けタイプとすることが可能である。
また、先に述べた基本の実施例では、日にち表示カード(3) や曜日表示ケース(2) は薄板状のものを図示した。そして、このような形態に因みカードやケースは、紙製のもので形成することが可能であるが、これらの素材は適宜のものが使用できる。例えばケースやカードは合成樹脂製、つまり樹脂素材を射出成形して、これらを得ることが可能である。また、カードについては薄板状の金属素材を適用し、ここに各パターン(P) の日にち数字をエッチング等により刻設するような形態も可能である。
【0032】
また、先に述べた基本の実施例では、表示窓(20)は、曜日表示ケース(2) の一部を開口させて成る、いわゆる開口窓としての形態を採るが、必ずしも表示窓(20)はケース部材を開口させて形成する必要はない。すなわち、例えば曜日表示ケース(2) を透明な素材で形成しておくとともに、表示窓(20)以外の部位を印刷や塗装等により隠蔽してブラインド面(22)(パネル面(21))を形成すれば、表示窓(20)をガラス窓のように形成でき、ここを通して目的のパターン(P) の日にち数字のみを透過表示することができる。なお、請求項1に記載した「表示窓」とは、単にケース部材の一部を開口して日にち数字を表示するだけでなく、このようにクリアな透過面を通して目視させる場合も包含するものである。
【0033】
また、上述した基本の実施例では、日にち七曜配列は「1日」〜「31日」までの大の月のみを対象とした。これは、パターン数ひいては日にち表示カード(3) の枚数を極力減少させ、月の初日の曜日を選び易くし、日にち表示カード(3) の紛失をも防止する点で効果を奏する。しかしながら、一方では、小の月も「31日」まで表示されてしまい、目視者の勘違いを招くことも懸念される。このため、例えば、小の月には、パターン(P) を設定する際に、予め「31日」などの余剰日にカバーを施し、余剰日を覆い隠すことが可能である(これをカバー体(40)とする)。
【0034】
カバー体(40)は、一例として図5に示すように、表示窓(20)よりもいくぶん大きめに形成した本体部(41)と、その上下両側に形成した舌片状の差し込み部(42)とを具えて成り、上側の差し込み部(42)の両側には切り込み(43)が形成されている。そして、この切り込み(43)によって本体部(41)の両端部がウイング状に形成される。なお差し込み部(42)を上下において区別する場合には、上側のものを上側舌片(42U) 、下側のものを下側舌片(42D) とするものであり、ここでは上側舌片(42U) を下側舌片(42D) よりも大きく形成している。
【0035】
そして、このカバー体(40)をケース(表示窓(20))に取り付け、余剰日を隠すにあたっては、まず上側舌片(42U) を曜日表示ケース(2) の正面側から表示窓(20)の内側に差し込むとともに、ウイング状の本体部(41)の両端をケースの表面側(上側)に位置させ、切り込み(43)を利用して、カバー体(40)を上方に上げる。この際、下側舌片(42D) の下端が、表示窓(20)の下端よりも高くなるまで押し上げることが好ましく、その後、下側舌片(42D) を表示窓(20)の内側に嵌め込みながら、本体部(41)の下端が、表示窓(20)の下端に当接するまで下げて、カバー体(40)を取り付けるものである。
このように、カバー体(40)を取り付けるには、主に上側舌片(42U) と、ウイング状に形成された本体部(41)との間に、表示窓(20)の上縁を互い違いに挟み込んで取り付けるものであり、切り込み(43)は、この取り付けや、取り外しを行い易くするための構造である。また下側舌片(42D) は、取り付けた後のカバー体(40)の抜け止めを図る作用を担っている。なお、このような取付構造によって、表示窓(20)が比較的小さくなる卓上型のカレンダーにおいても、ほぼワンタッチ状態でカバー体(40)の着脱が行え、容易に取扱えるものである。
【0036】
またカバー体(40)としては、他にも種々の形態が採り得るものであり、例えば日にち表示カード(3) や曜日表示ケース(2) を磁性体金属等の素材で形成した場合には、カバー体(40)をマグネットで形成しておき、磁力によってカバー体(40)を吸着させ、余剰日を隠すことも可能である。
また、カバー体(40)としては、貼り・剥がしが繰り返し行えるシール様部材を適用することも可能であり、シール様部材の一時的な接着によって、余剰日を隠すことも可能である。
更にまた、多年表示カレンダー(1) が壁掛けタイプのものである場合等には、ピン(鋲)等の打ち込みによって余剰日を隠す、もしくは見え難くし、小の月を表すことも可能である。
なお通常、2月は、最終日が「28日」であるため、余剰日が「29日」〜「31日」と複数にわたるが、その全てをカバーする必要はなく、例えば「29日」のみを隠せば、目視者が最終日を誤解することはないと考えられる。また最後の表示窓(20)(本実施例では上から6段目の月曜日の位置)に「31日」が位置する第七パターン(P7)の場合には、カバー体(40)は、一日(ついたち)以前の表示窓(20)に取り付けておけば、カバー体(40)の紛失を効果的に防止できるものである。
【0037】
なお、このようなカバー体(40)としては、例えば表示窓(20)を開口する際に、通常は切り離してしまう開口窓を一部つなげておき、この開口窓の開閉によって表示窓(20)を閉鎖できるようにしておき(カバー体(40)としては開閉自在の開口窓となる)、適宜余剰日を隠すことも可能である。しかしながら、一カ月分の日数を31日とした基本の実施例でも、「31日」が入る位置は7通り(火曜〜月曜)存在し、このため開口窓を開閉させて余剰日を隠す上記手法では、少なくとも7カ所の表示窓(20)に上述した開口窓を形成する必要が生じ、別部材で形成したカバー体(40)により余剰日を隠す前記手法の方が、実現性が高いものと考えられる。
このように、カバー体(40)で余剰日をカバーする形態は、日にち七曜配列のパターン(P) を増やすことなく、つまり31日分の初日の曜日を異ならせた7パターンのみで、小の月にも対応でき、多年表示カレンダー(1) の機能性、実用性を充分に高めることができる。
【0038】
また、先に述べた基本の実施例では、各パターン(P) の初日が、順次異なる曜日となるように、日にちの配列を90度ずつずらして各パターン(P) を記載している。このように、各パターン(P) は規則性に則って記載されており、またパターン数も7つに限定されているため、目的月の初日が何曜日か判れば、このパターン(P) を選択することも比較的容易と考えられる。つまり基本の実施例では、あえてパターン数を7つに抑えたシンプルな構成を採り、カレンダーとしての取扱い(月の初日の曜日の設定)が容易に行えるように配慮している。
【0039】
しかしながら、日にち表示カード(3) 自体を一見した場合には、上述したように、日にち数字が入り乱れているかの印象を受けることも否めず(特にオモテ面(30))、これが面白さを演出する反面、初心者には月の初日の設定に戸惑いを感じさせることも考えられる。このようなことから、例えば図6に示すように、各パターン(P) の「1日」(初日)に、曜日を併せて記載し、パターン(P) の選択(開始曜日の設定)を行い易くすることが可能である。なお、図中符号(M) が、月の初日に付された初日曜日マークである。因みに、ここでは、日にち表示カード(3) のスペースを有効利用するため、初日曜日マーク(M) として「日」、「月」、「火」、・・・という漢字一文字を併記したが、曜日表示ケース(2) の曜日表示(W) に合わせて「Sun 」、「Mon 」、「Tue 」・・・という英文表記を採用しても何ら構わない。
【0040】
なお、月の開始曜日を日にち表示カード(3) に記載するにあたっては、例えばカードを一回り大きく形成する等して、カードの外周縁部に余白部を設け、この余白部に初日曜日マーク(M) を記載することも可能である。これにより、目的とするパターン(P) の選択を行い易くしながらも、日にち表示カード(3) を曜日表示ケース(2) にセットした際には、表示窓(20)から初日曜日マーク(M) を表示させないようにすることができる。
また、目的とするパターン(P) の選択を行い易くする他の手法としては、例えば日にち表示カード(3) に記載された日にち数字のうち、日曜日に位置するもの(例えば基本の実施例では、日曜日を曜日表示ケース(2) の左端に位置させているため、第一パターン(P1)では「1」、「8」、「15」、「22」、「29」となり、第二パターン(P2)では「7」、「14」、「21」、「28」となる)のみを赤色で記載する手法も考えられる。
【0041】
また、先に述べた基本の実施例では、日にち表示カード(3) は、文字通り矩形平面を成す一枚の部材(例えば一枚の紙片)として形成したが、日にち表示カード(3) は、必ずしも、これに限定されるものではなく、例えば図7(a)に示すように、実質、二枚のカード部材(これをカード要素(32)とする)の一端縁を接続して形成することが可能である(これをパンフレット状の日にち表示カード(3A)とする)。この場合、一方のカード要素(32)には、基本の実施例のように、オモテ面(30)とウラ面(31)とを利用して「31日」までの7パターンの日にち七曜配列を記載するとともに、もう一方のカード要素(32)には、「30日」までの7パターンの日にち七曜配列を記載する形態が採り得る(計14パターン)。もちろん、このようなパンフレット状の日にち表示カード(3A)を、曜日表示ケース(2) に収容する際には、全体をカード要素(32)一枚分の大きさに折り曲げて、ケースにセットするものである。
【0042】
なお、このような折り返し自在のパンフレット状の日にち表示カード(3A)は、本図に想像線で示すように、更にカード要素(32)をつなげることも可能である。その場合には、更に、日にち七曜配列のパターン(P) の数を増加させることができ、例えばカード要素(32)をトータルで三枚つなげた場合には、通常の2月を考慮した「28日」までの7パターンの日にち七曜配列を更に加えることができ(計21パターン)、カード要素(32)を四枚とした場合には、うるう年の2月を考慮した「29日」までの7パターンの日にち七曜配列を更に増加することが可能である(計28パターン)。因みに、この28パターンの日にち七曜配列を予め用意しておけば、上述したカバー体(40)を用いなくても、全ての日にちの配列を再現することが可能である。
【0043】
また、パンフレット状の日にち表示カード(3A)に類似した実施例としては、例えば図7(b)に示すように、予め異なるパターン(P) が印刷された紙片等のカード要素(32)を、複数(ここでは四枚)貼り合わせ、折り畳んだ際にカード状を成すように形成することも可能である。これは、各々のカード要素(32)を谷折りにし、この裏面を、隣り合う紙片同士、半面ずつ貼り合わせ、経典本(教本)状ないしは小冊子状に形成するものである(これを教典本状の日にち表示カード(3B)とする)。この経典本状の日にち表示カード(3B)は、パターン(P) が印刷されたカード要素(32)を半頁ずつめくると種々異なるパターン(P) を出現させることができる。
【0044】
そして、この場合も、貼り合わせるカード要素(32)の枚数を増やせば、再現できるパターン(P) を増やすことができるが、現実には、あまりパターン(P) を増やすと、目的のパターン(P) を設定する際に、該当パターン(P) を探すのが面倒になることが考えられるため、このような点を考慮して、パターン(P) の増加(カード要素(32)の増加)を検討すべきと考えられる。
このように、日にち表示カード(3) は、必ずしも厳密に矩形平面を成す一枚のカードである必要はなく、パターン(P) を選択する際には細長い帯状や立体的な状態を成すものであっても良く、要はケースにセットする際に、折り畳んだり、閉じたりした状態でカード状を成すものであれば種々の形態が採り得る。従って請求項1に記載する「日にち表示カード」とは、完全に一枚の紙片状のものはもちろん、畳んだ状態や閉じた状態でカード状態であるものも包含する。
【0045】
また、先に述べた基本の実施例では、日にち表示カード(3) は、一枚のみであり、これは各パターン(P) の設定を容易なものとしたり、あるいは非選択パターン(P) のカードが存在しないためカードの紛失を防止できる点等において利便性が高いが、カードは必ずしも一枚で構成する必要はなく、複数枚にすることも可能である。この場合、必ずしもカードの一方の面に、日にち七曜配列を4パターン記載する必要はなく、またパターン(P) も90度ずつずらして記載する必要もない。なお、日にち表示カード(3) を増やすことにより、日にち表示カード(3) の一面(オモテ面(30)またはウラ面(31))に記載するパターン(P) の数が少なくて済み、月の開始曜日が判り易く、パターン(P) の設定が行い易いという効果を奏する。
【0046】
例えば図8に示す実施例は、複数枚のうちの一つの日にち表示カード(3) のオモテ面(30)に二つのパターンを記載した実施例であり、図8(a)は第一パターン(P1)から時計回りに90度ずらして第二パターン(P2)を記載した実施例であり、また図8(b)は第一パターン(P1)から時計回りに180度ずらして第二パターン(P2)を記載した実施例であり、更に図8(c)は第一パターン(P1)から時計回りに270度ずらして第二パターン(P2)を記載した実施例である。
このように、日にち七曜配列の各パターン(P) の記載にあたっては、特に日にち表示カード(3) を複数枚とした場合、必ずしも90度ずつずらして記載する必要はなく、180度や270度等、90度の整数倍ずらせば良い。また、これは、カード要素(32)を増やした場合も同様である。なお、請求項1に「90度の整数倍」と記載したのは、このように、日にち表示カード(3) またはカード要素(32)が複数枚で形成される場合を想定したものである。
【0047】
また、先に述べた基本の実施例では、日にち表示カード(3) は、外形を正方形状に形成したものを示した。これは、主に、日にち七曜配列の各パターン(P) を90度ずつずらして記載することや、曜日表示ケース(2) の形状に起因するものと考えられる。
しかしながら、日にち表示カード(3) の外形は必ずしも正方形に限定されるものではなく、例えば図9に示すように、円等、他の形状に形成することも可能である。すなわち、日にち七曜配列の記載数字が表示窓(20)の並びに合わせて正方形状に配置されていれば、日にち表示カード(3) 自体の外形は種々の形状が採り得るものである。なお、上述した「有効外縁」とは、このように、日にち表示カード(3) 自体の外形ではなく、日にち七曜配列の日にち数字の外縁を称したものである。
【0048】
なお上記図9に示した実施例では、例えばオモテ面(30)に記載されたパターン(P) の中から他のものを新たに選択する場合、日にち表示カード(3) を曜日表示ケース(2) から引き抜くことなく、単にカードを90度ずつ回して、月の開始曜日を変更させ、目的のパターン(P) を選択することができる。従って、このような場合、例えば図10に示すように、日にち表示カード(3) を挟持できるように、曜日表示ケース(2) を形成しておき、更にケースの表側と裏側に表示窓(20)を形成しておけば、カードをケースから全く引き抜くことなく、全てのパターン(P) を選択することができる。具体的には、例えば第一パターン(P1)〜第四パターン(P4)までのいずれかを選択する場合には、曜日表示ケース(2) を表側にして、日にち表示カード(3) を回動させれば目的のパターン(P) が選択でき、第五パターン(P5)〜第七パターン(P7)までのいずれかを選択する場合には、曜日表示ケース(2) を裏側にして、日にち表示カード(3) を回動させれば目的のパターン(P) が選択できるものである。
【0049】
なお図10(a)は、多年表示カレンダー(1) 全体を反転させて、曜日表示ケース(2) の表側または裏側を選択する実施例であり、図10(b)は、基部(BS)に対し暦面(曜日表示ケース(2) )を支える支柱(PL)をフリー回転状態に形成しておき、ケースのみを反転させて表側と裏側とを選択するようにした実施例である。
このように、図10に示す実施例では、日にち表示カード(3) を挟持状態で回動自在に形成しておけば、カードをケースから全く引き抜くことなく、目的のパターン(P) が選択でき、これによりユーザとしては実質的なカレンダー部材が一点で済み、カードを紛失する心配がなく、カレンダーの維持・管理が極めて容易となる。なお、図10に示す実施例では、曜日表示ケース(2) の表側と裏側との間に、日にち表示カード(3) の外周縁を受ける支持部材(SP)を介在させ、これによってケースに挟み込んだカードを回動できるようにしている。
【0050】
また、先に述べた基本の実施例では、曜日表示ケース(2) の底面片(24)と側面片(25)とを背面側に折り曲げるとともに、側面片(25)の一部を折り曲げて形成した保持片(26)とケース正面との間に日にち表示カード(3) を嵌め込むようにセットするものであったが、以下のような比較的簡素なセッティング形態も採り得る。
すなわち、この形態は、例えば図11に示すように、日にち表示カード(3) の各片縁の中央部に嵌込片(27)を形成する一方、曜日表示ケース(2) には、背面側に折り返した側面片(25)の折り曲げ部分に前記嵌込片(27)(左右両端側のもの)を受け入れる受入溝(28)を形成しておく。
そして、カードを嵌め込むにあたっては、側面片(25)を背面側に折り曲げた後、受入溝(28)に嵌込片(27)を差し込み、双方を係合させてセットするものである。このように係合状態を利用した嵌め込みにより、背面側に折り返した側面片(25)の戻りが効果的に防止でき、また下側に位置する嵌込片(27)については、曜日表示ケース(2) にセットした状態で載置面にほぼ当接するような設定としておくことで、特に底面片(24)を形成しなくても安定的な載置状態が得られるものである。
【0051】
なお、このような形態は、曜日表示ケース(2) 自体を比較的シンプルに形成できるとともに、ケースを立体形成する際の手間もほとんど掛からず、カードのセッティングも極めて容易に行える。また、ケース側の折り曲げ(側面片(25))を最小にしながらも、カレンダーとしての載置機能を充分に維持できるため、ケース素材の有効利用も達成される。
更に、このような構成は、曜日表示ケース(2) を平面状態で市場に提供し、立体形成はユーザに依存する際に好適である。すなわち、日にち表示カード(3) とともに曜日表示ケース(2) を平面状態でユーザに発送(提供)しても、上記構成であればケースの立体化作業が極めて容易であるため、ユーザ側の手間を極力減少させることができる。具体的には、曜日表示ケース(2) が当初、平面状態であれば、例えばユーザにチケットを発送する場合やイベントの案内パンフレットを発送する場合等に、カードはもちろん曜日表示ケース(2) も同封し易く、ノベルティグッズとしての有用性をより一層高め得るものである。
【0052】
また、先に述べた基本の実施例では、日にち七曜配列を、初日曜日を順次異ならせて、一枚の日にち表示カード(3) のオモテ面(30)に4パターン、ウラ面(31)に3パターン記載した。つまりウラ面(31)には、もう一つ分パターン(P) を記載することが可能である。そのため、ここでは、この一パターン分の余剰スペースを利用して、イベント等が開催される月のパターン(P) を、イベント日を強調して記載することが可能である(これを便宜上、強調パターン(PK)とする)。すなわち例えば図12(a)に示すように、イベント等が開催される該当日には、日にち数字ではなく、「予選」、「決勝」等の文字を記載することが可能である(この他にも例えば「イベント日」、「開催日」、「記念日」等の記載も考えられる)。また日にち数字が入らないブランク部分、例えば基本の実施例では飛行機型のマークが記載された部分を利用して、例えば図12(b)に示すように、「Oct 」、「22」等の実際のイベント開催日を目立つように記載することも可能である。もちろん、この他にもイベント等が行われる開催日の日にち数字を、色を変えて記載すること等も可能である。このようにイベント開催日を、より目立つようした強調パターン(PK)をウラ面(31)の余剰スペースに加えることにより、よりイベント等の宣伝効果が高められるものである。
【0053】
なお、強調パターン(PK)は、上述したようにイベント等の開催日をより印象づけるように記載したパターン(P) ではあるが、基本的には上述した第一パターン(P1)〜第七パターン(P7)のいずれかと同じ配列を構成する。例えば上記図12では、第一パターン(P1)の特定日を目立たせるように強調パターン(PK)を構成した。このように強調パターン(PK)は、「パターン」とは言うものの、月の開始曜日に着眼すれば、第一パターン(P1)〜第七パターン(P7)のいずれかと同じ配列となり、従って、この意味では、見かけ上、8種のパターンが存在しても、日にち七曜配列としては実質的に7パターンと言える。
因みに余剰パターン部分の利用方法として、ユーザが独自の記念日(例えば結婚記念日)を持ち、特にこの日を忘れたくないような場合には、ユーザが強調パターン(PK)を自ら記載できるように、余剰パターン部分を、あえてそのまま空けておき、ユーザ自身で目的月の日にち七曜配列を記載できるようにしておくことが可能である。この場合、ユーザは、自分が忘れたくない結婚記念日等の特定日を、目立つように記載して独自の強調パターン(PK)を形成することができ、例えば夫婦喧嘩等の防止に寄与する。
【0054】
本発明の多年表示カレンダー(1) は、実用性や機能性等を追求しながら、その一方で意外性(面白さ)や遊び心を演出できるようにしたものであるから、実際に市場に提供する際には、通常のカレンダーとしての提供形態(流通形態)にとどまることなく、種々の形態が採り得る。以下、本発明の多年表示カレンダー(1) の種々の提供形態について説明する。
【0055】
(1)販売促進用(イベントアピール用)
本発明の多年表示カレンダー(1) は、パネル面(21)が、他のパターン(P) を隠蔽するためのブラインド面(22)を必然的に構成するため、このようなパネル面(21)を利用して、多年表示カレンダー(1) を販売促進用もしくはイベントアピール用等に使用することが可能である。具体的には、曜日表示ケース(2) のパネル面(21)や余白部等に社名、商品名、キャッチコピー、ブランド名、イメージキャラクター、ロゴあるいはイベント名やその開催日等を記載することが可能である。もちろんイベントの開催日などをより強くアピールしたい場合等には、日にち表示カード(3) にも、イベントが行われる日にちに色付けを施したり、マーキングしたりすること等も可能である。この場合、イベントが開催されない月でも、開催月と初日曜日が合致すれば、色付けやマーキングを施した日にち数字が表されてしまうが、これが逆に、開催月でなくてもイベントに対するユーザの注意を喚起する効果として期待できる。因みに、通常の第一パターン(P1)〜第七パターン(P7)までの日にち数字に色付けやマーキングを施すことは、ユーザ自身が行っても良く、この場合には、ユーザ自身によって異なる特定の記念日(例えば結婚記念日等)をカレンダーに記載することができる。
なお、本発明の多年表示カレンダー(1) は、ユーザが長年にわたって使用し、またカレンダーという性格上、ユーザが頻繁に眼にすることが多いため、このような販売促進用等のグッズとしては、高い宣伝効果が期待できる。
【0056】
(2)雑誌の一部や付録として
また本発明の多年表示カレンダー(1) は、主な構成部材が、曜日表示ケース(2) と日にち表示カード(3) であり、これらはボール紙等の素材で形成することが可能であるため、雑誌の一部もしくは付録として市場に提供することも可能である。これは、言い換えれば、雑誌に付随させる、いわゆる紙工作(切り紙細工)としての形態である。
【0057】
(3)ビンゴゲームの本体として(ビンゴゲームの付加価値)
また本発明の多年表示カレンダー(1) は、遊び心や意外性を演出するため、このようなゲーム性を商品のコンセプトとした場合には、曜日表示ケース(2) をビンゴゲームの本体として使用することも可能である。
具体的には、一例として図13に示すように、火曜日から土曜日までの5×5(計25個)の表示窓(20)を弱化線(いわゆるミシン目)などにより開口可能な状態につなげておき、ここにビンゴゲームに使用するランダム数字を予め印刷しておくものである。なお、ここでは、日曜日と月曜日の表示窓(20)が6段であるため、予め切り離した状態(開口済み)としている。そして、曜日表示ケース(2) を、イベント等の際にビンゴゲームとして使用した後には、ランダム数字の部分(表示窓(20))を全て切り取ることにより、多年表示カレンダー(1) (曜日表示ケース(2))として利用できるものである。もちろん通常、ビンゴゲームに使用するマス目(ランダム数字の数)は、5×5の25個であるため、使用する表示窓(20)は、他の部位でも構わない。また、ビンゴゲームに使用しない部位の表示窓(20)は、必ずしも予め開口しておく必要はなく、何も数字を記載しない表示窓(20)をつなげておいても構わない。
【0058】
(4)他のアイテムとの組み合わせ
また本発明の多年表示カレンダー(1) は、基本の実施例で述べたように必ずしも単独で活用するだけでなく、例えば多年表示カレンダー(1) を卓上型(デスクトップ)として使用する場合には、ペン立て、メモパッド、電卓等の他のアイテムと組み合わせることも可能である。そして、これにより、アイテムやノベルティグッズとしての利便性をより一層、高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の多年表示カレンダーを示す斜視図、並びにその使用状況を数種示す説明図である。
【図2】日にち七曜配列の各パターンが記載された日にち表示カードのオモテ面と、ウラ面とを示す説明図である。
【図3】月の初日が日曜日で始まる第一パターンを表出させた場合、第二〜第四パターンがパネル面(ブラインド面)によって隠蔽される様子を示す説明図である。
【図4】本発明の多年表示カレンダーの使用状況を、2004年8月〜10月を例に挙げて示す説明図である。
【図5】カバー体を用い、「31日」などの余剰日をカバーし、小の月にも対応できるようにした実施例を示す説明図である。
【図6】各パターンの月の初日に、初日曜日マークを付加した実施例を示す説明図である。
【図7】複数のカード要素をつなげてパンフレット状の日にち表示カードを形成した実施例を示す斜視図(a)、並びに複数のカード要素を貼り合わせて教典本状の日にち表示カードを形成した実施例を示す斜視図(b)である。
【図8】日にち表示カードを複数枚で形成した際、一枚のカードの一面に二つのパターンを記載した実施例であり、(a)は第一パターンと第二パターンを時計回りに90度ずらして記載した実施例、(b)は180度ずらして記載した実施例、(c)は270度ずらして記載した実施例である。
【図9】日にち表示カードの外形を円形にした実施例を示す説明図である。
【図10】日にち表示カードを曜日表示ケースに挟持するとともに、ケースの表面と裏面に表示窓を形成するようにした二種の実施例を示す斜視図である。
【図11】日にち表示カードの嵌め込みをシンプルな構造とした実施例を示す説明図である。
【図12】日にち表示カードのオモテ面に日にち七曜配列を4パターン、ウラ面に3パターン記載した場合、ウラ面の残余の一パターン分のスペースを利用して、イベントの開催日等を強調するようにした実施例を示す説明図である。
【図13】曜日表示ケースをビンゴゲームの本体として使用した実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0060】
1 多年表示カレンダー
2 曜日表示ケース
3 日にち表示カード
3A パンフレット状の日にち表示カード
3B 教典本状の日にち表示カード
20 表示窓
21 パネル面
22 ブラインド面
24 底面片
25 側面片
26 保持片
27 嵌込片
28 受入溝
30 オモテ面
31 ウラ面
32 カード要素
40 カバー体
41 本体部
42 差し込み部
42U 上側舌片
42D 下側舌片
43 切り込み
BS 基部
P パターン(日にち七曜配列の)
P1 第一パターン
P2 第二パターン
P3 第三パターン
P4 第四パターン
P5 第五パターン
P6 第六パターン
P7 第七パターン
PK 強調パターン
PL 支柱
M 初日曜日マーク
SP 支持部材
W 曜日表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
七つの曜日表示に対応して複数の表示窓が形成されて成る曜日表示ケースと、一カ月分の日にちが七つの曜日に対応して順次、数列状に配置されて成る日にち表示カードとを具え、
前記曜日表示ケースに、日にち表示カードを組み合わせることにより、表示窓から一カ月分の日にちを各曜日と併せて表出するようにしたカレンダーにおいて、
前記日にち表示カードには、一カ月分の日にちの七曜配列が、少なくとも月の初日の曜日を異ならせて7パターン記載され、また各パターンの記載にあたっては、各パターンの日にち数字を90度の整数倍ずらして記載するとともに、その日にち七曜配列の有効外縁を正方形状に形成して成るものであり、
使用にあたっては、各月の初日の開始曜日に合わせたパターンを選択し、日にち表示カードに記載された日にち数字を正立状態で、曜日表示ケースに組み合わせることにより、各月毎の曜日に合致させた日にちのみを表出させるようにしたことを特徴とする多年表示カレンダー。
【請求項2】
前記曜日表示ケースは、複数の表示窓を仕切る桟状のパネル面を具え、
このパネル面によって非選択パターンの日にち七曜配列を隠蔽し、選択パターンの日にち七曜配列のみを表示窓から表出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の多年表示カレンダー。
【請求項3】
前記日にち表示カードに記載される日にち七曜配列のパターンは、31日までの日にちの開始曜日を異ならせた7パターンのみであることを特徴とする請求項1または2記載の多年表示カレンダー。
【請求項4】
前記日にち表示カードは、矩形平面状を成す一枚のみであり、一方の面に4パターンの日にち七曜配列が記載され、もう一方の面に3パターンの日にち七曜配列が記載されていることを特徴とする請求項3記載の多年表示カレンダー。
【請求項5】
前記日にち表示カードは、円形の外形を成す平面状の一枚のみであり、一方の面に4パターンの日にち七曜配列が記載されるとともに、もう一方の面に3パターンの日にち七曜配列が記載されて成り、
また前記曜日表示ケースは、この日にち表示カードを挟持した状態で回動自在に保持するとともに、ケースの表側と裏側との双方に表示窓が形成されて成ることを特徴とする請求項3記載の多年表示カレンダー。
【請求項6】
前記日にち表示カードは、3パターンの日にち七曜配列が記載された面において、1パターン分の余剰スペースを利用して、前記7パターンのうちの一つのパターンが、特定の日にちを強調して記載され、見かけ上、8種のパターンが形成されることを特徴とする請求項4または5記載の多年表示カレンダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−235361(P2006−235361A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−51426(P2005−51426)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(505071930)
【Fターム(参考)】