説明

多心光コネクタおよびその製造方法

【課題】 小型で製造組み立てが容易な信頼性の高い多心光コネクタを提供する。
【解決手段】 平板基板21上に複数の配列ガイド溝22を配列形成する。配列ガイド溝22の配列ピッチ間隔は裸光ファイバ4a,4bの外径と略一致する。平板基板21の後端側に第1の光ファイバテープ6aと第2の光ファイバテープ6bを重ねて配置し、第1の光ファイバテープ6aの第1の裸光ファイバ4aと第2の光ファイバテープ6bの第2の裸光ファイバ4bを交互に配列変換して配列ガイド溝22内に収容し、その配列先端側の裸光ファイバ4a,4bの上側から押え部材23で押えて裸光ファイバ4a,4bを挟持固定する。配列ガイド溝22の形成領域に該配列ガイド溝22を横断する方向にフィルタ挿入溝17を形成し、このフィルタ挿入溝17にフィルタ16を挿入し、第2の光ファイバテープ6b側の各第2の裸光ファイバ4bにフィルタ16を挿入する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光通信等に用いられる多心光コネクタおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図26には、光ファイバとしての一般的な光ファイバ心線3の断面図が示されている。同図に示すように、光ファイバ心線3は、コア8の周りをクラッド9によって覆って形成した、外径約125μmの裸光ファイバ4を有しており、この裸光ファイバ4の周りがプライマリーコート15によって覆われ、さらにその周りがナイロンジャケット10等により覆われている。光ファイバ心線3の外径は例えば約250μmとなっており、裸光ファイバ4の外径の約2倍に形成されている。
【0003】このような光ファイバ心線3を複数一括して接続する光ファイバ接続具として、多心光コネクタが広く用いられており、図27には従来の多心光コネクタの一例が示されている。同図において、複数(図では4本)の光ファイバ心線3を帯状に並設して成る光ファイバテープ6が、光ファイバ配列具としてのフェルール2に挿入固定されて多心光コネクタが形成されており、光ファイバテープ6の光ファイバ心線3は、その先端側のナイロンジャケット10およびプライマリーコート15(図26)の被覆を除去された状態でフェルール2に挿入され、被覆の除去によって剥き出しになった裸光ファイバ4の端面がフェルール2の接続端面5に露出するようにして、所定の配列ピッチで配列されている。
【0004】なお、フェルール2は、通常は、樹脂を成形すること等によって形成されており、接続端面5には、裸光ファイバ4を所定のピッチで配設するための光ファイバ挿通孔13等の孔又は溝が、間隔を介して、裸光ファイバ4の外径の2倍の配列ピッチで複数(図では4個)配設されており、この光ファイバ挿通孔13に裸光ファイバ4を挿通させることにより、裸光ファイバ4が、裸光ファイバ4の外径rの2倍のピッチ(2r)で配設されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、最近では、光コネクタ同士を接続して光ファイバ心線3同士を接続することにととまらず、複数の光導波路を配設した導波路素子と多心光コネクタとの接続が行われるようになり、導波路素子の回路構成に合わせて、8心(8本)、16心(16本) 等といったより多くの光ファイバ心線3を配設した光コネクタの開発が行われつつある。また、光通信の高密度化に伴い、高密度化を目的とした32心、64心といった多数の光ファイバ心線を配設した多心光コネクタが求められている。
【0006】しかしながら、図27に示したような従来の多心光コネクタは、光ファイバ心線3の裸光ファイバ4の配列ピッチは、裸光ファイバ4の外径の約2倍(例えば約250 μm)に形成されており、このため、光ファイバ配設領域の両側の補強用余白部分の幅Bの幅が1000μmとすると、図27に示したような4心(4本)の多心光ファイバコネクタにおいては、その素子幅は3mm(250 μm×心数+1000μm×2)となり、8心になると素子幅は4mm、16心で6mm、32心で10mm、64心で18mmとなる。
【0007】このように、多心光コネクタに配列する光ファイバ心線3の心数が多くなると、それに伴い多心光コネクタの寸法が非常に大きくなってしまうために、心数の多い多心光コネクタを製造すると、同じウェハを用いて導波路素子を形成したときの、ウェハ内での素子製造量が極端に少なくなってしまうといった問題があった。また、素子寸法が大きくなると、多心光コネクタを光通信システムに組み込むときに嵩張って邪魔になり、高密度化の妨げにもなってしまうといった問題があった。
【0008】また、最近では、複数の光導波路が導波路素子に並設形成されているときに、例えば、1,3,5本といった奇数本目の光導波路には波長λ1の光を入射して、偶数本目の光導波路には波長λ2の光を入射するといった如く、光導波路の配列順に交互に異なる波長の光を入射させたり、その逆に、奇数本目の光導波路からの波長λ1の光と偶数本目の光導波路からの波長λ2の光を交互に取り出して同じ波長の各光をまとめて伝搬させることができる多心光コネクタが要求されているが、そのような機能を備えた多心光コネクタは、従来、提案されていなかった。
【0009】そこで、本出願人は、配列する光ファイバ(光ファイバ心線)の心数が多くても小型に形成することが可能であり、願わくば、複数並設された光導波路等の配列順に交互に別の光を入射させたり、光導波路等から、光導波路等の配列している順に互いに異なる光を交互に取り出して同一種類の各光毎にまとめて伝搬したりすることができる多心光コネクタを特願平7−246887号において提案している。
【0010】図24は、出願人が提案した多心光コネクタを示したものである。同図に示すように、提案の多心光コネクタは光ファイバテープ6とフェルール2を有して構成されている。図25はそのフェルール2の構成を示したものである。
【0011】なお、提案の光コネクタの特徴を分かり易くするために、図24においてはフェルール2に対して光ファイバテープ3等の大きさを大きく図示して模式的に示してあるが、実際には、図25に示すように、光ファイバテープ6の幅W1はフェルール2の幅W2の例えば1/3以下といった小さな大きさに形成されている。また、図25の(a)はフェルール2の底面図を、同図の(b)は(a)のA−A断面を、(c)は正面図を、(d)は背面図をそれぞれ示している。
【0012】提案の多心光コネクタは、図24に示すように、4本(4心)の第1の光ファイバ心線3aを帯状に並設して成る第1の光ファイバテープ6aと、4本の第2の光ファイバ心線3bを帯状に並設して成る第2の光ファイバテープ6bとが重ね合わせて配置されており、図22の(a)に示すように、これらの各光ファイバテープ6a,6bの先端側のナイロンジャケット10とプライマリーコート15の被覆が除去されて剥き出しにされた第1の裸光ファイバ4aと第2の裸光ファイバ4bとが、交互に配列するように配列変換されている。この配列変換は、同図の(b)に示すように、ナイロンジャケット10とプライマリーコート15を除去することによって、裸光ファイバ4a同士の間に形成される間隔(約125 μm)に、第2の裸光ファイバ4bを挿入するような状態で、第1の裸光ファイバ4aと第2の裸光ファイバ4bとを交互に綾取りすることにより行われている。
【0013】フェルール2には、図25に示すように、その接続後端面11側に、光ファイバテープ6a,6bを挿入するための光ファイバテープ挿入部18が横穴状に形成されており、この光ファイバテープ挿入部18の先端側には、フェルール2の底面側に接着剤注入口20が形成されている。光ファイバテープ挿入部18の上下開口幅は、第1の光ファイバテープ6aと第2の光ファイバテープ6bとを重ね合わせた状態で挿入できるように、第1の光ファイバテープ6aの厚みと第2の光ファイバテープ6bの厚みを合わせた厚みに対応する開口幅に形成されている。
【0014】光ファイバテープ挿入部18の先端側には、第1、第2の裸光ファイバ4a,4bを配設するための波型のU型溝が形成されており、このU型溝によって光ファイバ挿通孔13が形成されている。この光ファイバ挿通孔13の配列ピッチは、各裸光ファイバ4a,4bの外径r(r≒125 μm)、すなわち、各光ファイバ心線3a,3bの被覆を除去した外径と略一致する大きさに形成されており、光ファイバ挿通孔13同士が隙間なく1列に並設されている。
【0015】このフェルール2に、図22に示したようにして第1、第2の裸光ファイバ4a,4bを配列変換した光ファイバテープ6a,6bを挿入する。そして、第1、第2の裸光ファイバ4a,4bを交互にフェルール2の光ファイバ挿通孔13に挿通させて、各裸光ファイバ4a,4bの外径と略一致する大きさの配列ピッチでフェルール2に配列し、接着剤注入口20から注入される接着剤によって各光ファイバテープ6a,6bを光ファイバテープ挿入部18に固定することにより、提案の多心光コネクタが形成される。
【0016】この提案の多心光コネクタによれば、光ファイバテープの先端側(接続端面側)の裸光ファイバ4a,4bの配列ピッチが裸光ファイバ4a,4bの外径と略一致する大きさの配列ピッチと成しているために、250 μmピッチで8本の裸光ファイバ4を従来例のように配列して形成される多心光コネクタに比べて非常に小型の多心光コネクタが形成できるという効果が得られる。
【0017】また、第1の光ファイバテープ6aと第2の光ファイバテープ6bとをそれぞれ形成する裸光ファイバ4a,4bが、多心光コネクタの接続端面5側で配列するように配列変換されて1列に配列されているために、例えば、図24に示すように、第1の光ファイバテープ6aの各光ファイバ心線3aに波長λ1の光を入射し、第2の光ファイバテープ6bの第2の光ファイバ心線3bに波長λ2の光を入射させると、波長λ1、波長λ2の光は、それぞれ、第1の光ファイバ心線3a、第2の光ファイバ心線3bを伝搬していき、裸光ファイバ4a,4bが配列変換されている変換部において波長λ1,λ2の光の伝搬路も配列変換される。そして、裸光ファイバ4a,4bの先端側(多心光コネクタの接続端面5側)からは、第1の裸光ファイバ4aから出射される波長λ1の光と第2の裸光ファイバ4bから出射される波長λ2の光とが交互に並んだ状態で出射される。
【0018】したがって、この多心光コネクタの接続端面5側に、例えば複数の光導波路を並設した導波路素子を接続すれば、例えば、1,3,5といった奇数本目の光導波路には波長λ1の光を入射して、偶数本目の光導波路には波長λ2の光を入射するといった如く、並設された各光導波路の配列順に交互に波長λ1の光と波長λ2の光を入射させることができる。
【0019】また、その逆に、複数の光導波路を並設した導波路素子の各光導波路から光導波路の配列順に交互に波長λ1の光と波長λ2の光を出射するようにしたときに、この導波路素子と提案例の多心光コネクタとを接続すれば、例えば波長λ1の光は第1の裸光ファイバ4aに入射し、波長λ2の光は第2の裸光ファイバ4bに入射する。
【0020】そして、上記と同様に裸光ファイバ4a,4bの配列変換部で光伝搬路が配列変換されるために、第1の裸光ファイバ4aを伝搬した波長λ1の光がまとめられて第1の光ファイバテープ6aから出射され、第2の裸光ファイバ4bを伝搬した波長λ2の光がまとめられて第2の光ファイバテープ6bから出射される。このように、提案の多心光コネクタを用いて、導波路素子等から交互に並列して出射される波長の異なる光を第1の光ファイバテープ6a側と第2の光ファイバテープ6b側とにそれぞれ分配してまとめて取り出すことができるという効果が得られる。
【0021】しかしながら、本出願人が提案した前記多心光コネクタは、成形樹脂で製造したフェルール2の先端側内部に被覆を除去した裸光ファイバ4の外径と略一致するピッチ間隔で複数の光ファイバ挿通孔13が密集配列されており、しかも、これらの光ファイバ挿通孔13は裸光ファイバ4ががたつきなく挿入されるように極めて小さい孔径(例えば直径約126 μm)であるために、先端側の被覆を除去した光ファイバテープ6a,6bを重ねて光ファイバテープ挿入部18側から挿入したときに、先端側の裸光ファイバ4a,4bを交互に正しく配列変換して配列に誤りなく対応する光ファイバ挿通孔13に挿入する作業が極めて困難であった。そのため、多心光コネクタの組み立ての作業効率が低く、多心光コネクタの組み立てコストが高くなるという問題が生じ、この問題は、多心光コネクタの心線数が増加するにつれ顕著に現れるという不都合があった。
【0022】また、前記した如く、多心光コネクタを例えば石英系等の光導波路部品(光導波路素子)に接続することが行われていたが、最近においては、この光導波路部品の光導波路にフィルタを挿入したフィルタ挿入型の開発が盛んに行われている。これは、導波路基板上に図23の(a)に示すような2×2の光カップラー(2入力2出力の光カップラー)の導波路を複数個並列形成し、この光カップラーの所定ポート(奇数、又は偶数ポート等)にSWPF(Short Wave Pass Filter)等のフィルタ16を挿入し、ある一定の波長は透過又は遮蔽する機能を導波路自体に持たせたものである。
【0023】このようなフィルタ挿入型の光導波路部品は、導波路が形成された導波路基板に導波路を横断するような形態でスリットを形成しておき、このスリット内に図23の(b)に示すような櫛歯状に加工されたフィルタ16を挿入することにより製造される。
【0024】しかしながら、導波路基板自体のコスト単価は非常に高く、フィルタ16の挿入用のスリット形成やフィルタ挿入固定の工程で不具合が生じると製品不良として廃棄されることになるので、これらの工程の歩留り如何によっては導波路部品の製品コストが高騰してしまうという問題があった。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明は上記のような各種課題を解決するためになされたものであり、その目的は、多心光コネクタの組み立て作業の容易化を図り組み立てコストの低減を図ることができ、さらには、導波路部品に挿入装着していたフィルタを多心光コネクタ側にもたせることで、高価な導波路部品側の製造の歩留りを高め、光導波路部品と多心光コネクタとの接続体製品の総合的なコスト低減を図ることができる多心光コネクタおよびその製造方法を提供することにある。
【0026】本発明は上記目的を達成するために、次のような手段を講じている。すなわち、多心光コネクタの第1の発明は、複数の第1の光ファイバを帯状に並設して成る第1の光ファイバテープと複数の第2の光ファイバを帯状に並設して成る第2の光ファイバテープとが重ね合わせて配置されており、これらの各光ファイバテープの先端側の被覆が除去された第1の光ファイバと第2の光ファイバとが交互に配列するように配列変換されて、光ファイバ配列具に配列された多心光コネクタであって、前記光ファイバ配列具は平板基板上に前記各光ファイバの被覆を除去した外径と略一致する大きさの配列ピッチで配列ガイド溝を複数形成したものから成り、これらの配列ガイド溝に被覆が除去された第1の光ファイバと第2の光ファイバが交互に配列され、その配列先端側の光ファイバの上側に押え部材が設けられ、この押え部材に押えられて各光ファイバは前記配列ガイド溝内に挟持固定されている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0027】また、多心光コネクタの第2の発明は、前記第1の発明の構成を備えた上で、配列ガイド溝の形成領域にフィルタが設けられ配列ガイド溝に配列された第1の光ファイバと第2の光ファイバの少なくとも一方に前記フィルタが挿入されている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0028】さらに、多心光コネクタの第3の発明は、前記第1又は第2の発明の構成を備えた上で、押え部材の後端側にはファイバ押え面側に光ファイバに対する当たりを緩和する丸みが形成されている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0029】さらに、多心光コネクタの第4の発明は、前記第1又は第2又は第3の発明の構成を備えた上で、押え部材は2つ以上の押え部材片を光ファイバ配列方向に並設して形成されている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0030】さらに、多心光コネクタの第5の発明は、前記第1の発明乃至第4の発明のいずれか1つの構成を備えた上で、光ファイバ配列具の平板基板にはその平板基板上面よりも低位面にした平板基板の中央領域に光ファイバの配列ガイド溝が形成され、該配列ガイド溝の両外端の溝形成斜面は平板基板上面まで届くように伸設されており、平板基板の上面は配列ガイド溝に配列した第1と第2の光ファイバの上端と略一致し、該平板基板上面と第1および第2の光ファイバ上端とが押え部材によってほぼ隙間なく覆われている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0031】さらに、多心光コネクタの第6の発明は、前記第1の発明乃至第5の発明のいずれか1つの構成を備えた上で、光ファイバ配列具の平板基板後端側には該平板基板の厚みを薄肉化する方向にテーパ面が形成されている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0032】さらに、多心光コネクタの第7の発明は、前記1の発明乃至第6の発明のいずれか1つの構成を備えた上で、重ね合わせて配置された第1の光ファイバテープと第2の光ファイバテープとのファイバテープ組が光ファイバ配列方向に複数並設されており、これら複数のファイバテープ組の第1と第2の光ファイバテープは他のファイバテープ組と隣り合う少なくとも一方の側面が切削されている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0033】さらに、多心光コネクタの第8の発明は、前記第1の発明乃至第7の発明のいずれか1つの構成を備えた上で、第1と第2の光ファイバテープはそれぞれ入出射端の端末側で分岐されている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0034】さらに、多心光コネクタの第9の発明は、前記第1の発明乃至第8の発明のいずれか1つの構成を備えた上で、複数の光ファイバを帯状に並設して成る光ファイバテープが2分割されてこの2分割された一方側の光ファイバテープを第1の光ファイバテープと成し、他方側の光ファイバテープを第2の光ファイバテープと成し、第1の光ファイバテープに並設されている光ファイバを第1の光ファイバと成し、第2の光ファイバテープに並設されている光ファイバを第2の光ファイバと成している構成をもって課題を解決する手段としている。
【0035】さらに、多心光コネクタの製造方法の第1の発明は、前記多心光コネクタの第1の発明乃至第9の発明のいずれか1つの構成を有する多心光コネクタの製造方法であって、第1および第2の光ファイバテープの途中部分の被覆を除去し、然る後にこの被覆を除去した第1と第2の光ファイバを交互に配列するように配列変換して光ファイバ配列具の配列ガイド溝に交互に配列し、然る後にこれらの光ファイバの上側に押え部材を設けて各光ファイバを押え部材によって押えて前記配列ガイド溝内に挟持固定した後、該押え部材および光ファイバ配列具の固定部分を光ファイバ配列方向と交わる方向に分割切断することにより2つの多心光コネクタを一度に製造する構成をもって課題を解決する手段としている。
【0036】さらに、多心光コネクタの製造方法の第2の発明は、前記多心光コネクタの第1の発明乃至第9の発明のいずれか1つの構成を備えた多心光コネクタの製造方法であって、第1と第2の光ファイバテープのうちのいずれか一方側の光ファイバテープの被覆が除去された光ファイバを光ファイバ配列具の複数のガイド溝に1つおきに配列した状態で仮固定し、然る後に前記第1と第2の光ファイバテープのうちの他方側の光ファイバテープの被覆が除去された光ファイバを1つおきに残された配列ガイド溝に配列する構成をもって課題を解決する手段としている。
【0037】さらに、多心光コネクタの製造方法の第3の発明は、前記多心光コネクタの第1の発明乃至第8の発明のいずれか1つの構成を備えた多心光コネクタの製造方法であって、第1と第2の光ファイバテープのうちのいずれか一方側の光ファイバテープの被覆が除去された光ファイバを光ファイバ配列具の複数の配列ガイド溝に1つおきに配列した状態でこの光ファイバを押え部材によって押え、然る後に前記第1と第2の光ファイバテープのうちの他方側の光ファイバテープの被覆が除去された光ファイバを前記押え部材によって押えた光ファイバの上側又は下側から押え部材と1つおきに残された配列ガイド溝とによって形成された隙間に挿入する構成をもって課題を解決する手段としている。
【0038】さらに、多心光コネクタの製造方法の第4の発明は、前記多心光コネクタの製造方法の第2の発明又は第3の発明の構成を備えた上で、第1と第2の光ファイバテープの被覆を皮剥ぎする際に、前記光ファイバテープの少なくとも一方側の光ファイバテープの被覆の一部分を除去せずに光ファイバ先端側にスライド移動させた状態でこの被覆を残留被覆として光ファイバ先端側に残しておき、然る後に被覆を除去した光ファイバの根本側を光ファイバ配列具に配列する構成をもって課題を解決する手段としている。
【0039】さらに、多心光コネクタの製造方法の第5の発明は、前記多心光コネクタの製造方法の第4の発明の構成を備えた上で、被覆を一部分残した光ファイバテープを複数用意して光ファイバ配列方向に並設し、隣り合う光ファイバテープの残留被覆の光ファイバ長手方向の位置をずらして配置した後に、光ファイバを光ファイバ配列具に配列する構成をもって課題を解決する手段としている。
【0040】さらに、多心光コネクタの製造方法の第6の発明は、前記多心光コネクタの第1の発明乃至第9の発明のいずれか1つの構成を有する多心光コネクタの製造方法であって、光ファイバ配列具の配列ガイド溝に配列した光ファイバを押え部材で押えた後に該光ファイバの接続端面側に接着剤を供給し、光ファイバを配列ガイド溝に固定する構成をもって課題を解決する手段としている。
【0041】さらに、多心光コネクタの製造方法の第7の発明は、前記多心光コネクタの第1の発明乃至第9の発明のいずれか1つの構成を備えた多心光コネクタの製造方法であって、複数の光ファイバを帯状に並設して成る光ファイバテープを2分割し、この2分割した一方側の光ファイバテープを第1の光ファイバテープ、他方側の光ファイバテープを第2の光ファイバテープとする構成をもって課題を解決する手段としている。
【0042】上記構成の本発明において、多心光コネクタの組み立てに際しては、第1の光ファイバテープと第2の光ファイバテープを重ね合わせて配置し、これらの各光ファイバテープの先端側の被覆が除去された第1の光ファイバと第2の光ファイバを交互になるように配列変換して光ファイバ配列具である平板基板上の配列ガイド溝に挿入して配列し、その配列された先端側の各光ファイバの上側に押え部材を配置し、この押え部材を平板基板側に押し付け固定することで、各光ファイバは配列ガイド溝内に挟持固定され、目的とする多心光コネクタが製造される。
【0043】本発明では、平板基板上に形成した配列ガイド溝内に第1と第2の光ファイバを収容するようにしたので、配列ガイド溝内に配列されている光ファイバの様子は外部から一目瞭然となり、配列に誤りが生じないように第1の光ファイバと第2の光ファイバを交互に配列変換して正しく対応する配列ガイド溝内に容易に配列収容することが可能となる。このことにより、多心光コネクタの組み立ての作業効率が高められ、多心光コネクタの組み立てコストの大幅な低減化が可能となる。
【0044】また、多心光コネクタの第2の発明においては、配列ガイド溝内に配列された第1の光ファイバと第2の光ファイバの少なくとも一方にフィルタが挿入されるので、この第2の発明の多心光コネクタを導波路部品に接続することにより、導波路部品の光導波路にフィルタを設けたものと等価な機能をもつこととなり、高価な導波路基板側にフィルタを設けるよりも、より安価な光ファイバ配列具の平板基板上にフィルタを設ける方が、フィルタ装着工程の歩留りに対するコスト低減が図れることになる。
【0045】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態例の説明において、従来例および提案例と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略する。
【0046】図1には本発明に係る多心光コネクタの第1の実施形態例における斜視構成が示され、図2には図1のA−A断面が示されている。これらの図において、光ファイバ配列具である平板基板21上に複数の配列ガイド溝22が幅方向に並列して配列形成されている。前記平板基板21は不透明部材により形成してもよいが、この実施形態例では、商標パイレックスで知られているガラスや、合成石英等の透明ガラス基板により形成されており、この透明平板基板21上に例えば機械加工等により、被覆を除去した裸光ファイバ4(4a,4b)の略外径に等しい、例えば127 μmのピッチ間隔で複数の配列ガイド溝22が平板基板21の長手方向に伸張させて形成されている。
【0047】なお、この配列ガイド溝22の溝形状は、例えば図3に示すように、好ましくはV字やU字形状に形成される。また、配列ガイド溝22は平板基板21の上面24よりも低位面にした平板基板21の中央領域に形成されており、本実施形態例では、図3および図4の(a)に示すように、配列ガイド溝22の両外端の溝形成斜面12が平板基板21の上面24まで届くように伸設されている。そして、図1に示すように、これら配列ガイド溝22の形成領域には該配列ガイド溝22を横断する方向にフィルタ挿入用のフィルタ挿入溝17が形成されている。
【0048】前記平板基板21の後端側には複数の第1の光ファイバを帯状に並設して成る、例えば16心から成る第1の光ファイバテープ6aと、同じく16心の第2の光ファイバを帯状に並設して成る第2の光ファイバテープ6bとが重ね合わせて配置されており、第1の光ファイバテープ6aの先端側の被覆が除去された第1の裸光ファイバ4aと、同じく第2の光ファイバテープ6bの先端側の被覆が除去された第2の裸光ファイバ4bとが前記図22に示したように1本ずつ配列変換されて対応する配列ガイド溝22内に交互に収容されており、これら第1、第2の裸光ファイバ4a,4bの上端が平板基板21の上面24と略一致している。
【0049】また、これら裸光ファイバ4a,4bの配列収容状態で、平板基板21の先端側位置で、配列された裸光ファイバ4a,4bの上側から板状の押え部材23が配置され、平板基板21の上面24と第1および第2の裸光ファイバ4a,4bの上端とが押え部材23によってほぼ隙間なく覆われ、この押え部材23により押えられて、裸光ファイバ4a,4bの先端側が配列ガイド溝22内に挟持固定されている。
【0050】前記フィルタ挿入溝17には長方形をした板状のフィルタ16が挿入され、第2の光ファイバテープ6b側の各第2の裸光ファイバ4bにフィルタ16が挿入されている。なお、フィルタ16はフィルタ挿入溝17内で例えば熱硬化性の接着剤で固定されており、また、平板基板21と押え部材23も熱硬化性の接着剤等を用いて接着固定されている。前記押え部材23は不透明部材によって形成できるが、この実施形態例では、平板基板21と同様に例えばガラス板等の透明部材を用いて形成されている。
【0051】次に、本実施形態例における多心光コネクタの製造方法を簡単に説明する。まず、先端側の被覆を除去して裸光ファイバ4bを露出させた第2の光ファイバテープ6bを平板基板21の後端側から供給し、裸光ファイバ4bを平板基板21上の配列ガイド溝22内に1つおきに挿入収容し、フィルタ挿入溝17を設ける部分を接着剤等を用いて仮止めする。この実施形態例ではフィルタ挿入溝17は押え部材23が配置される場所を避けた配列ガイド溝22の形成領域(図1では配列ガイド溝22の長手方向のほぼ中間位置)に設けられるように設計されている。
【0052】次に、第2の裸光ファイバ4bを仮止めした位置で、各第2の裸光ファイバ4bを横断する方向にフィルタ挿入溝17を形成し、次に、このフィルタ挿入溝17内に長方形をした板状のフィルタ16が挿入され、フィルタ16と平板基板21はフィルタ挿入溝17内で熱硬化性の接着剤等で固定される。このフィルタ16の取り付けにより、第2の光ファイバテープ6bの各第2の裸光ファイバ4bにフィルタ16が挿入された状態となる。
【0053】次に、先端側の被覆を除去した第1の光ファイバテープ6aを前記第2の光ファイバテープ6bの上側に重ねて供給し、第1の光ファイバテープ6aの各第1の裸光ファイバ4aを前記フィルタ16の上側を通してフィルタ16の前方の前記第2の裸光ファイバ4bが収容されている隣の配列ガイド溝22内(第2の裸光ファイバ4bが収容されていない空いている配列ガイド溝内)に収容する。これにより、平板基板21の先方側の各配列ガイド溝22内には第1の裸光ファイバ4aと第2の裸光ファイバ4bとが隣合わせに交互に配列変換されて収容された状態となる。
【0054】次に、平板基板21の先端側に裸光ファイバ4a,4bの上側から押え部材23を押し当て、平板基板21と押え部材23を熱硬化性の接着剤等で固定する。これにより、配列されている複数の第1の裸光ファイバ4aと第2の光ファイバ4bは配列ガイド溝22内に挟持固定される。次に、必要に応じ、平板基板21上に露出している裸光ファイバ4a,4bの上側に接着剤を塗布し、裸光ファイバ4a,4bを接着剤内に埋設して外力に対する保護を図る。そして、最後に平板基板21の先端側の接続端面5が押え部材23および裸光ファイバ4a,4bの端面と共に研磨され、目的とする多心光コネクタが製造される。
【0055】本実施形態例の多心光コネクタによれば、裸光ファイバ4a,4bの外径と略一致するピッチ間隔をもって形成した配列ガイド溝22内に裸光ファイバ4a,4bを収容するようにしているので、出願人が先に提案した多心光コネクタの場合と同様に、従来例に比べ多心光コネクタの格段の小型化を達成できると共に、配列ガイド溝22内に第1の裸光ファイバ4aと第2の裸光ファイバ4bとが交互に配列変換されて収容されるので、第1の裸光ファイバ4aを通る例えば波長λ1の光と第2の裸光ファイバ4bを通る例えば波長λ2の光を交互に配列変換して多心光コネクタに接続される光導波路等に入射させたり、光導波路等から供給される波長λ1とλ2の交互配列の光を取り出し、波長λ1の光は第1の光ファイバテープにまとめて取り出し、波長λ2の光は第2の光ファイバテープにまとめて取り出すことができる等、出願人が先に提案した多心光コネクタと同様の効果を得ることができる。
【0056】さらに、本実施形態例の多心光コネクタは、平板基板21上に配列形成した配列ガイド溝22内に光ファイバを収容する構成としたので、各配列ガイド溝22内に収容されている裸光ファイバ4a,4bの状態が外部から一目瞭然となるので、各配列ガイド溝22内に第1の裸光ファイバ4aと第2の裸光ファイバ4bを誤りなく正しく収容する作業が極めて容易となり、多心光コネクタ組み立ての格段の作業改善が図れ、組み立てコストの低減を図ることができると共に、裸光ファイバ4a,4bの配列ミスもなくすことができるので、多心光コネクタの信頼性を高めることが可能となる。特に、本実施形態例では、平板基板21と押え部材23を共に透明部材により形成しているので、裸光ファイバ4a,4bの配列状態を平板基板21の裏面側(配列ガイド溝22の形成面と反対側の面)から観察することも可能であり、また、押え部材23で押えられている裸光ファイバ4a,4bの配列状態も外部から観察できるので、裸光ファイバ4a,4bの配列ミスを完璧に除去することができる。
【0057】さらに、本実施形態例では平板基板21上にフィルタ16を設けているので、従来例のように光導波路部品側の導波路基板にフィルタを設ける場合に比べ、光導波路部品の導波路基板よりも多心光コネクタの平板基板21の単価は格段に安いので、その分、同じ歩留りに対し、多心光コネクタと光導波路部品とを接続一体化してなる接続体製品の総合コストを安くできるという効果が得られる。この点、本実施形態例では、光導波路部品に採用されている図23の(b)に示すような櫛歯を施したフィルタを用いることなく、より構造の簡易な長方形の板状のフィルタを用いているので、フィルタ自体の製造加工の容易化が図れるので、フィルタ製造の歩留りも高くなり、より一層のコスト低減が図れることになる。
【0058】さらに、本実施形態例では、図4の(a)に示したように、平板基板21に形成した配列ガイド溝26の両外端の溝形成斜面12を平板基板21の上面24まで届くように伸設し、平板基板21の上面24と第1および第2の裸光ファイバ4a,4bの上端とが押え部材23によってほぼ隙間なく覆われるようにしたために、例えば図4の(b)に示すように、平板基板21の上面24と押え部材23との間に隙間が形成されている場合と異なり、平板基板21の上面24と押え部材23の底面との間に接着剤は殆ど存在しない。したがって、平板基板21の上面24と押え部材23との間に隙間が形成されたときのように、その隙間に塗布される接着剤によって、例えば接着剤の硬化時や温度変化に伴う接着剤の熱収縮等により、配列両端側の裸光ファイバ4a,4bが外側に引っ張られたりすることはなく、全ての第1、第2の裸光ファイバ4a,4bが対応する各配列ガイド溝22に確実に収容されて配列され、第1、第2の裸光ファイバ4a,4bの配列ガイド溝22への配列精度が向上する。そのため、多心光コネクタ製造の歩留りが高くなり、より一層のコスト低減が図れることになる。
【0059】さらに、この実施形態例では、平板基板21と押え部材23を共に透明な部材により形成しているが少なくとも一方を透明な部材により形成しておけば、本実施形態例の多心光コネクタを接続相手側の光部品に接続するとき、接続端面5側に紫外線(UV)を照射可能となり、UV接着剤等による信頼性の高いUV接続が可能となる。また、特に押え部材23を透明な部材にしておけば紫外線の照射が可能であることに加えて、平板基板21の配列ガイド溝22内に挿入した各裸光ファイバ4a,4bの最終的な配列状態の点検も容易である。
【0060】図5には、本発明に係る多心光コネクタの第2実施形態例における斜視構成が示されている。本実施形態例も上記第1実施形態例と同様に、重ね合わせて配置された第1の光ファイバテープ6aと第2の光ファイバテープ6bの先端側の被覆が除去された第1の裸光ファイバ4aと第2の裸光ファイバ4bとが交互に配列するように配列変換されて平板基板21の配列ガイド溝22に配列され、その配列先端側の第1、第2の裸光ファイバ4a,4bが押え部材23に押えられて配列ガイド溝22内に挟持固定されており、本実施形態例では、重ね合わせて配置された第1の光ファイバテープ6aと第2の光ファイバテープ6bとのファイバテープ組7が光ファイバ配列方向に複数(2組)並設されている。また、図7に示されるように、これら2組のファイバテープ組7(7a,7b)のうち、図の手前側のファイバテープ組7aの第1と第2の光ファイバテープ6a,6bは、他のファイバテープ組7bと隣り合う側面27が切削されている。
【0061】また、本実施形態例では、図6に示されるように、押え部材23の後端側25には、ファイバ押え面26側に光ファイバに対する当たりを緩和する丸み(図のA)が形成されている。なお、本実施形態例では、上記第1の実施形態例に設けたフィルタ挿入溝17およびフィルタ16は設けられていないが、本実施形態例でも、上記実施形態例と同様にフィルタ挿入溝17およびフィルタ16を設けて多心光コネクタを構成することもできる。
【0062】本実施形態例は以上のように構成されており、次に本実施形態例の多心光コネクタの製造方法について説明する。まず、例えば図8の(a)から(b)に示すように、第1と第2の光ファイバテープ6aと6bのうちのいずれか一方側(図では光ファイバテープ6a)の被覆が除去された光ファイバ(図では第1の裸光ファイバ4a)を平板基板21の複数の配列ガイド溝22に1つおきに配列する。
【0063】次に、同図の(c)に示すように、この状態で、裸光ファイバ4aを押え部材23によって押え、然る後に、同図の(d)から(e)に示すように、第1と第2の光ファイバテープ6aと6bのうちの他方側の光ファイバテープ(図では光ファイバテープ6b)の被覆が除去された光ファイバ(第2の裸光ファイバ4b)を、押え部材23によって押えた裸光ファイバ4aの下側から挿入し、押え部材23と1つおきに残された配列ガイド溝22とによって形成された隙間に裸光ファイバ4bを挿入する。これにより、平板基板21の先方側の各配列ガイド溝22内には、第1の裸光ファイバ4aと第2の裸光ファイバ4bとが隣り合わせに交互に配列変換されて収容され、押え部材23に押えられた状態となる。
【0064】なお、第2の光ファイバテープ6bの裸光ファイバ4bを配列ガイド溝22に配列する際に、前記の如く、裸光ファイバ4bを、裸光ファイバ4aの下側から押え部材23と配列ガイド溝22とによって形成された隙間に挿入する代わりに、例えば図9の(d)から(e)に示すように、第2の裸光ファイバ4bを第1の裸光ファイバ4aの上側から挿入し、押え部材23と1つおきに残された配列ガイド溝22とによって形成された隙間に挿入してもよい。
【0065】次に、平板基板21と押え部材23を熱硬化性の接着剤等で固定する。この接着剤の供給にあたり、本実施形態例では、図10の(a),(b)に示すように、第1、第2の各裸光ファイバ4a,4bの接続端面側に接着剤を供給する。具体的には、これらの図に示されるように、平板基板21および押え部材23の先端側から突出した第1、第2の裸光ファイバ4a,4bに接着剤を塗布する。そうすると、接着剤は、毛細管現象により、第1、第2の裸光ファイバ4a,4bと配列ガイド溝22および押え部材23との隙間全体に進入するために、毛細管現象を利用して接着剤を前記隙間に進入させ、配列されている複数の第1の裸光ファイバ4aと第2の裸光ファイバ4bを配列ガイド溝22内に恒久的に固定する。
【0066】そして、上記第1実施形態例と同様に、必要に応じ、平板基板21上に露出している裸光ファイバ4a,4bの上側に接着剤を塗布し、最後に、平板基板21の先端側の接続端面5を押え部材23および裸光ファイバ4a,4bの端面と共に研磨し、目的とする多心光コネクタを製造する。
【0067】なお、本実施形態例において、上記第1実施形態例と同様に、平板基板21にフィルタ挿入溝17およびフィルタ16を設ける場合には、上記第1実施形態例と同様の方法によりフィルタ挿入溝17を平板基板21に形成し、そのフィルタ挿入溝17内にフィルタ16を挿入することになる。
【0068】本実施形態例によれば、上記第1実施形態例と同様の効果を奏することができると共に、押え部材23の後端側25のファイバ押え面26側に、光ファイバに対する当たりを緩和する丸みを形成したことにより、例えば図21のBに示すように、ファイバ押え面26側に丸みが形成されていないために押え部材23が裸光ファイバ4aに当たる部位で裸光ファイバ4aに直接過度な力がかかり、裸光ファイバ4aが断線するといったことを確実に防ぐことができるために、多心光コネクタの製造の歩留りをより一層向上させることができる。
【0069】また、本実施形態例においては、重ね合わせて配置された第1の光ファイバテープ6aと第2の光ファイバテープ6bとのファイバテープ組7a,7bを光ファイバ配列方向に並設しているが、ファイバテープ組7aの第1と第2の光ファイバテープ6aと6bは、他のファイバテープ組7bと隣り合う側面27を切削しているために、第1、第2の光ファイバテープ6a,6bの隣り合う被覆部分が邪魔にならず、光ファイバテープ6a,6bの外端側の裸光ファイバ4a,4bを大きく曲げることなく全ての裸光ファイバ4a,4bを対応する各配列ガイド溝22内に精度良く配列することができる。また、光ファイバテープ組7a,7bを多心光コネクタに高密度に並設することもできる。
【0070】さらに、本実施形態例のように、平板基板21の配列ガイド溝22を裸光ファイバ4の略外径に等しいピッチ間隔に形成した場合、配列ガイド溝22の深さが浅くなるために、第1の光ファイバテープ6aの第1の裸光ファイバ4aと第2の光ファイバテープ6bの第2の裸光ファイバ4bとを、前記図22に示したように1本ずつ配列変換して対応する配列ガイド溝22内に交互に収容する作業は、あまり作業性がよいものではないが、本実施形態例の多心光コネクタの製造方法によれば、初めに第1の裸光ファイバ4aを配列ガイド溝22内に1つおきに配列した後に、第2の裸光ファイバ4bを、1つおきに残された配列ガイド溝22内に挿入するために、裸光ファイバ4a,4bの配列作業性を向上させることができる。
【0071】特に、本実施形態例の多心光コネクタの製造方法によれば、初めに配列ガイド溝22に配列する第1の裸光ファイバ4aを押え部材23によって押え、その状態で、第2の裸光ファイバ4bを第1の裸光ファイバ4aの上側又は下側から挿入し、押え部材23と1つおきに残された配列ガイド溝22との隙間に挿入するために、配列ガイド溝22内に初めに配列した第1の裸光ファイバ4aが配列ガイド溝22から外れることもなく、第2の裸光ファイバ4bの挿入がより一層行い易くなる。そのため、多心光コネクタの製造の歩留りをより一層向上させることができる。
【0072】さらに、平板基板21と第1、第2の裸ファイバ4a,4bと押え部材23との恒久的固定に用いられる接着剤を押え部材23の後端側25から供給した場合、この接着剤は毛細管現象により、平板基板21と第1、第2の裸光ファイバ4a,4bと押え部材23との隙間に進入して行くが、接着剤が多心光コネクタの接続端面5側に辿り着かない場合や、たとえ辿り着いても気泡が混入する場合がある。そうなると、この接続端面5側の接着剤の抜けおよび気泡は、この多心光コネクタを他の光部品に接続した際の界面への気泡の進入の原因になり、接続損失増大をもたらすことになる。また、この気泡部分や接着剤の抜け部分が熱変化等により膨張し、第1、第2の裸光ファイバ4a,4bの接続端面側への負荷が大きくなったりして第1、第2の裸光ファイバ4a,4bの接続端面側へ悪影響を及ぼすことになる。
【0073】それに対し、本実施形態例では、接着剤を多心光コネクタの接続端面5側から供給し、前記毛細管現象により第1、第2の裸光ファイバ4a,4bの接続端面側から第1、第2の裸ファイバ4a,4bと平板基板21と押え部材23との隙間に進入させるために、少なくとも第1、第2の裸光ファイバ4a,4bの接続端面側においては、第1、第2の裸光ファイバ4a,4bと平板基板21の配列ガイド溝22と押え部材23との隙間に進入した接着剤の抜けや気泡が生じることはなく、前記接着剤の抜けや気泡による悪影響を回避することができる。したがって、本実施形態例では、多心光コネクタの他の光部品との接続損失の増大を防ぐことが可能となり、低接続損失で光接続ができる多心光コネクタとすることができるし、熱等の影響を受けることが少なく、長期信頼性の高い多心光コネクタとすることができる。
【0074】図11には、本発明に係る多心光コネクタの第3実施形態例における斜視構成が示されている。本実施形態例は上記第2実施形態例とほぼ同様に構成されており、本実施形態例が上記第2実施形態例と異なる特徴的なことは、押え部材23が2つの押え部材片33a,33bを光ファイバ配列方向に並設して形成されていることである。なお、本実施形態例でも上記第1実施形態例と同様に、平板基板21にフィルタ挿入溝17およびフィルタ16を設けて構成することもできる。
【0075】本実施形態例は以上のように構成されており、本実施形態例も上記第2実施形態例と同様の製造方法により製造され、上記第2実施形態例と同様の効果を奏することができる。
【0076】また、本実施形態例のように、第1、第2の裸光ファイバ4a,4bの心数が併せて32心ともなると、例えば図のAの長さは約6mm、図のBの長さは約5mm、図のCの長さは約10mmともなる。平板基板21と第1、第2の裸光ファイバ4a,4bと押え部材23とは接着剤によって固定されるが、温度変化により接着剤や押え部材23に熱収縮が生じ、前記のように押え部材23の幅Aが広くなると、その熱収縮の大きさの違いから押え部材23にひび割れが生じる虞がある。しかしながら、本実施形態例では、押え部材23を2つの押え部材片33a,33bにより形成しているために、前記熱収縮の違いによる歪みが逃げ易くなり、押え部材23のひび割れを防ぐことが可能となり、多心光コネクタの製造の歩留りおよび長期信頼性を向上させることができる。
【0077】また、万が一、裸光ファイバ4a,4bの配列をやり直すことが生じても、本実施形態例のように押え部材23が押え部材片33a,33bに分割されていると、前記裸光ファイバ4a,4bの配列やり直しも行い易い。
【0078】図12には、本発明に係る多心光コネクタの第4実施形態例における斜視構成が示されている。本実施形態例は上記第2実施形態例とほぼ同様に構成されており、本実施形態例が上記第2実施形態例と異なる特徴的なことは、第1と第2の光ファイバテープ6a,6bがそれぞれ入出射端の端末側28で分岐されていることである。前述のように、第1、第2の光ファイバテープ6a,6bは、それぞれ8心の第1、第2の裸光ファイバ4a,4bを並設して成る光ファイバテープであり、本実施形態例では、これらの第1、第2の光ファイバテープ6a,6bが、入出射端の端末側28で4心ずつにそれぞれ分岐されている。なお、本実施形態例でも、上記第1実施形態例と同様に、平板基板21にフィルタ挿入溝17とフィルタ16を設けて構成することができる。
【0079】本実施形態例は以上のように構成されており、本実施形態例も上記第2実施形態例とほぼ同様の製造方法により製造され、同様の効果を奏することができる。
【0080】また、本実施形態例では、それぞれ、8心の光ファイバを並設した第1、第2の光ファイバテープ6a,6bを用いて、上記第2、第3実施形態例と同様に多心光コネクタを簡単に製造できると共に、第1、第2の光ファイバテープ6a,6bの入出射端の端末側28で分岐することにより、例えば端末側28を光の入射端末に接続すれば、光ファイバ4心ずつに異なる信号入力を行うことが可能となり、合計8種類の信号入力を行うことができる。
【0081】すなわち、本実施形態例のように、多くの心数の光ファイバを並設した第1、第2の光ファイバテープ6a,6bを用いて多心光コネクタを製造し、かつ、第1、第2の光ファイバテープ6a,6bの端末側28を、入出射端末の必要な心数に対応させて分岐させれば、製造が容易で、かつ、入射端末の必要な心数に対応させて光の入射および出射を行うことができる優れた多心光コネクタとすることができる。
【0082】図13には、本発明に係る多心光コネクタの第5実施形態例が平面図(a)および側面図(b)により示されている。本実施形態例の特徴的なことは、複数の光ファイバを帯状に並設して成る光ファイバテープ6(図では4本の光ファイバテープ6)がそれぞれ2分割されて、この2分割された一方側の光ファイバテープを第1の光ファイバテープ6aと成し、他方側の光ファイバテープを第2の光ファイバテープ6bと成し、第1の光ファイバテープ6aに並設されている光ファイバを第1の光ファイバと成し、第2の光ファイバテープ6bに並設されている光ファイバを第2の光ファイバと成していることである。
【0083】そして、第2の光ファイバテープ6bの上側に第1の光ファイバテープ6aが重ね合わせて配置され、第1の光ファイバテープ6aの先端側の被覆が除去された第1の裸光ファイバ4aと、第2の光ファイバテープ6bの先端側の被覆が除去された第2の裸光ファイバ4bとが、前記各実施形態例における第1、第2の裸光ファイバ4a,4bと同様に、1本ずつ配列変換されて対応する配列ガイド溝22内に交互に収容されている。本実施形態例は以上のように構成されており、本実施形態例でも、上記第1実施形態例と同様に、平板基板21にフィルタ挿入溝17およびフィルタ16を設けることもできる。
【0084】本実施形態例は以上のように構成されており、本実施形態例の多心光コネクタを製造するときには、8心の光ファイバを帯状に並設して成る光ファイバテープ6をその先端側において2分割し、この2分割した一方側の光ファイバテープを第1の光ファイバテープ6aとし、他方側の光ファイバテープを第2の光ファイバテープ6bとして、第2の光ファイバテープ6bの上側に第1の光ファイバテープ6aを重ね合わせた後、上記第1〜第4実施形態例と同様の製造方法により多心光コネクタを製造する。
【0085】本実施形態例も上記第1〜第4実施形態例とほぼ同様の効果を奏することができる。
【0086】また、例えば図14,15に示されるような、1×8スターカプラ31等の1×nスターカプラを形成した光導波路部品30が光通信用として用いられているが、このような光部品において、例えば1×8スターカプラ31の入射端1aから入射して各出射端1a1〜1a8から出射した光を1つの光ファイバテープ6によって取り出し、1×8スターカプラ31の入射端1bから入射して出射端1b1〜1b8から出射した光を別の1つの光ファイバテープ6によって取り出すことを要求される場合がある。なお、図14,15においては、光の進行方向を分かり易くするために、光導波路部品30に接続されている多心光コネクタの第1、第2の光ファイバテープ6a,6bを並設して模式的に示したが、第1、第2の光ファイバテープ6a,6bは、実際には重ね合わせて配置されている。
【0087】ところが、例えば図15に示すように、8心の第1、第2の光ファイバテープ6a,6bの先端側の被覆が除去された第1、第2の裸光ファイバ4a,4bを配列変換して交互に配列した多心光コネクタを光導波路部品30の出射端側に接続すると、1×8スターカプラ31の出射端1a1から出射した光は第1の光ファイバテープ6aに入射して第1の光ファイバテープ6aから取り出され、1×8スターカプラ31の出射端1a2から出射した光は第2の光ファイバテープ6bに入射して第2の光ファイバテープ6bから取り出されるといったように、1×8スターカプラ31の入射端1aから入射した光が2つの光ファイバテープ6a,6bにまたがって入射して取り出されることになる。そうなると、1つのスターカプラに入射した光を1つの光ファイバテープ6から取り出すといった前記要求を満たすことができなくなる。
【0088】また、図15において、1×8スターカプラ31の入射端1bから入射して出射端1b1〜1b8から出射する光も第1、第2の光ファイバテープ6a,6bにそれぞれ振り分けられて入射することになるため、第1の光ファイバテープ6aには1×8スターカプラ31の入射端1aから入射した光と入射端1bから入射した光とが混在し、同様に、第2の光ファイバテープ6bにおいても1×8スターカプラ31の入射端1aから入射した光と入射端1bから入射した光とが混在することになる。
【0089】それに対し、本実施形態例のように、8心の光ファイバテープ6を2分割して第1、第2の光ファイバテープ6a,6bとすれば、図14に示すように、1×8スターカプラ31の入射端1aから入射した光は出射端1a1〜1a8からそれぞれ出射して第1、第2の光ファイバテープ6a,6bにそれぞれ入射するが、第1、第2の光ファイバテープ6a,6bはもともと1つの光ファイバテープ6であるために、1×8スターカプラ31の入射端1aから入射した光は全て1つの光ファイバテープ6に入射して取り出される。また、同様に、1×8スターカプラ31の入射端1bから入射した光は別の光ファイバテープ6に全て入射して光ファイバテープ6から取り出され、前記のような光の混在を防ぐことができる。
【0090】なお、本発明は上記各実施形態例に限定されることはなく、様々な実施の形態を採り得る。例えば、上記第1実施形態例では、第2の光ファイバテープ6b側の各第2の裸光ファイバ4bにフィルタ16を挿入したが、第1の光ファイバテープ6a側の第1の裸光ファイバ4aにもフィルタ16を挿入するようにしてもよく、このようなフィルタ16の挿入構造は、第2〜第5実施形態例にも適用できる。この場合は、平板基板21の配列ガイド溝22に第1の裸光ファイバ4aと第2の裸光ファイバ4bを交互に配列した状態で、フィルタ挿入溝17を形成し、フィルタ16をそのフィルタ挿入溝17に挿入すればよい。
【0091】また、フィルタ16の形状は、長方形の板状のものでなく、図23の(b)に示すような櫛歯が施されたフィルタでもよく、フィルタ16の形状は特に限定されない。
【0092】さらに、上記第1実施形態例では、フィルタ挿入溝17を設けてフィルタ16を挿入装着するようにしたが、これらフィルタ挿入溝17およびフィルタ16を省略し、フィルタを内蔵しないタイプの多心光コネクタとしてもよい。
【0093】さらに、多心光コネクタを製造する際、例えば図16に示すような方法により多心光コネクタを製造することもできる。すなわち、第1と第2の光ファイバテープ6a,6bの被覆を皮剥ぎする際に、光ファイバテープ6a,6bの少なくとも一方側の光ファイバテープ(図では第1の光ファイバテープ6a)の被覆の一部分を除去せずに、同図の(a)に示すように、被覆を光ファイバ(第1の裸光ファイバ4a)の先端側にスライド移動させた状態で、この被覆を残留被覆14として第1の裸光ファイバ4aの先端側に残しておき、然る後に、同図の(b)に示すように、第1の裸光ファイバ4aの根本側を平板基板21の配列ガイド溝22に1つおきに配列する。
【0094】そして、この状態で、第1の裸光ファイバ4aの先端側を仮押え部材29によって仮押えし、次に、同図の(c)に示すように、第2の光ファイバテープ6bを第1の光ファイバテープ6aの上側から配置して第2の裸光ファイバ4bを1つおきに残された配列ガイド溝22に配列し、同図の(d)に示すように、第2の裸光ファイバ4bの先端側も前記仮押え部材29によって仮固定する。
【0095】その後、同図の(e)に示すように、配列ガイド溝22に配列した第1、第2の裸光ファイバ4a,4bの上側から押え部材23を平板基板21の先端側に被せ、押え部材23と平板基板21とによって第1、第2の裸光ファイバ4a,4bの先端側を挟持固定する。そして、この状態で、例えば平板基板21および押え部材23の先端側に突出した第1、第2の裸光ファイバ4a,4b側に接着剤を塗布し、上記第2実施形態例と同様にして多心光コネクタを製造する。
【0096】このように、第1、第2の光ファイバテープ6a,6bのうち、少なくとも一方側の光ファイバテープの被覆の一部分を除去せずに光ファイバ先端側にスライド移動させた状態で、この被覆を残留被覆14として光ファイバ先端側に残しておくと、被覆が残された光ファイバテープ6a,6bの裸光ファイバ4a,4bは、その先端側が放射状に開いてばらばらになることを残留被覆14によって防止されるために、第1、第2の裸光ファイバ4a,4bの配列ガイド溝22への配列を行い易くすることができる。
【0097】特に、図16および図17に示すように、被覆を一部分残した光ファイバテープ(図では第1の光ファイバテープ6a)を複数用意して光ファイバ配列方向に並設する際、隣り合う光ファイバテープ6aの残留被覆14の光ファイバ長手方向の位置をずらして配置した後に、第1の裸光ファイバ4aを平板基板21の配列ガイド溝22に配列すれば、残留被覆14同士がぶつかり合うことを防ぐことができるために、より一層第1の裸光ファイバ4aの配列ガイド溝22への配列を行い易くすることができる。
【0098】なお、図18には、第1、第2の光ファイバテープ6a,6bの被覆の皮剥ぎ方法の一例が示されているが、同図の(a)に示すように、第1の光ファイバテープ6aの先端側の被覆を除去した後に、同図の(b)に示すように、残された被覆の先端側の一部を皮剥ぎして第1の裸光ファイバ4aの先端側にスライド移動させることにより、残留被覆14を形成することができる。この残留被覆14を有する第1の光ファイバテープ6aを、同図の(c)に示すような、先端側の被覆を全て取り除いた第2の光ファイバテープ6bと重ね合わせると、同図の(d)に示すような状態となる。
【0099】さらに、上記第2〜第5実施形態例では、押え部材23の後端側25のファイバ押え面26に、光ファイバに対する当たりを緩和する丸みを形成することにより、図21に示したような第1の裸光ファイバ4aに押え部材23の後端側が当たる部分(図のB)断線を防止するようにしたが、押え部材23に丸みを形成する代わりに、図19に示すように、平板基板21の後端側に、平板基板21の厚みを薄肉化する方向にテーパ面19を形成し、それにより、第1の裸光ファイバ4aが上側に曲がる割合と第2の裸光ファイバ4bが下側に曲がる割合をほぼ均等化し、第1の裸光ファイバ4aの断線を防止することもできる。なお、このようなテーパ面形成は、例えばガラスや合成石英等で平板基板を形成する際に、ガラス成形で形成することができる。また、このように、平板基板21にテーパ面19を形成し、かつ、上記第2〜第5実施形態例のように、押え部材23の後端側25のファイバ押え面26に丸みを形成して多心光コネクタを形成することもできる。
【0100】さらに、多心光コネクタを製造する際、例えば図20に示すような方法により多心光コネクタの製造をすることができる。すなわち、同図の(a)に示すように、第1および第2の光ファイバテープ6a,6bの途中部分の被覆を除去し、然る後に、同図の(b)に示すように、この被覆を除去して露出した第1、第2の裸光ファイバ4a,4bを交互に配列するように配列変換して平板基板21の配列ガイド溝22に交互に配列し、然る後に、第1、第2の裸光ファイバ4a,4bの上側に押え部材23を設ける。そして、押え部材23によって第1、第2の裸光ファイバ4a,4bを押えて配列ガイド溝22内に挟持固定した後、同図の(c)に示すように、押え部材23および平板基板21の固定部分を光ファイバ配列方向と交わる方向(図では光ファイバ配列方向と直交する方向)に分割切断することにより2つの多心光コネクタを一度に製造する。
【0101】このような方法により多心光コネクタを製造すると、一度に2つの多心光コネクタを製造することができるために、非常に効率的に多心光コネクタを製造することが可能となり、多心光コネクタの製造コストを安くすることができる。
【0102】さらに、上記第3実施形態例では、2つの押え部材片33a,33bを光ファイバ配列方向に並設して押え部材23を形成したが、このように、押え部材23を押え部材片により形成する場合、3つ以上の押え部材片を光ファイバ配列方向に並設して形成することもできる。
【0103】さらに、上記第4実施形態例では、第1、第2の光ファイバテープ6a,6bの入出射端の端末側28を2つに分岐して多心光コネクタを形成したが、第1、第2の光ファイバテープ6a,6bの入出射端の端末側28を3つ以上に分岐して多心光コネクタを形成することもできる。
【0104】さらに、上記第2〜第4実施形態例では、ファイバテープ組7a,7bのうち、ファイバテープ組7aの第1と第2の光ファイバテープ6a,6bのみ、ファイバテープ組7bと隣り合う側面27を切削したが、ファイバテープ組7bの第1、第2の光ファイバテープ6a,6bについても隣り合う側面27を切削してもよく、また、各ファイバテープ組7a,7bの第1、第2の光ファイバテープ6a,6bは、他のファイバテープ組と隣り合わない側面27も切削してもよい。
【0105】さらに、上記第2〜第4実施形態例のように、複数のファイバテープ組7を並設して多心光コネクタを形成する場合、ファイバテープ組7の並設数は3つ以上としてもよい。
【0106】さらに、上記第2〜第5実施形態例では、多心光コネクタを製造する際に、光ファイバの接続端面側に接着剤を供給したが、接着剤は必ずしも光ファイバの接続端面側に供給するとは限らない。ただし、接着剤を光ファイバの接続端面側に供給することにより、少なくとも光ファイバの接続端面側に接着剤の抜けや気泡が入ることを防止し、前記接着剤の抜けや気泡による悪影響を防ぐことができるために、接着剤を光ファイバの接続端面側から供給して多心光コネクタを製造することが好ましい。
【0107】さらに、上記各実施形態例では、いずれも、平板基板21の上面24と第1、第2の裸光ファイバ4a,4bの上端とが押え部材23によってほぼ隙間なく覆われている構成としたが、例えば図4の(b)に示したように、平板基板21の上面24と押え部材23との間に隙間が形成されていても構わない。ただし、このように平板基板21と押え部材23との間に隙間が形成されていると、前記の如くこの隙間に入る接着剤によって多心光コネクタの他の光部品との接続損失増大や、第1、第2の裸光ファイバ4a,4bへ加わる負荷による問題等が生じるために、上記実施形態例と同様に、平板基板21の上面24と第1、第2の裸光ファイバ4a,4bの上端とが押え部材23によってほぼ隙間なく覆われるように、配列ガイド溝22の両外端の溝形成斜面12を平板基板21の上面24まで届くように伸設することが望ましい。
【0108】さらに、上記第1実施形態例では図1に示す如く、光ファイバテープ6a,6bは16心のものを用いており、上記第2〜第5実施形態例では光ファイバテープ6a,6bは8心、第5実施形態例では光ファイバテープ6が8心のものを用いているが、これら各光ファイバテープ6,6a,6bの光ファイバの心数は4心、8心、16心、32心等、適宜に設定すればよいものである。
【0109】さらに、上記各実施形態例の多心光コネクタは、その接続端面(先端面)5を各裸光ファイバ4a,4bに対して垂直面としているが、図2の破線で示すように、接続端面5を垂直面に対してθ(例えばθ=8°)だけ傾けた斜め端面としてもよい。このように、接続端面5を斜め端面に形成することにより、多心光コネクタと接続相手側の光部品とを接続したときに、多心光コネクタから接続相手側に伝搬する光や、その逆に、接続相手側の光部品から多心光コネクタに伝搬する光が、接続端面において多心光コネクタの裸光ファイバ4a,4b側に反射して逆行したり、接続相手側の光部品の光通路に反射して逆行することを防ぐことができる。そして、このように、光の逆行を防ぐことにより、光通信への悪影響を抑制できる。
【0110】
【発明の効果】本発明によれば、光ファイバ配列具である平板基板上に配列して形成される配列ガイド溝の配列ピッチを、被覆を除去した各光ファイバの外径と略一致する大きさに形成したので、従来の多心光コネクタに比べて、光ファイバの配列領域の幅を非常に小さい幅にすることができる。そのため、たとえ配列する光ファイバの本数(心数)が多くなっても小型の多心光コネクタを形成することができる。
【0111】また、重ね合わせて配置された、第1の光ファイバテープの被覆が除去された第1の光ファイバと第2の光ファイバテープの同じく被覆が除去された第2の光ファイバとが交互に配列するように配列変換されることにより、第1の光ファイバから入射する光と第2の光ファイバから入射される光とを交互に並列した状態で先端側(接続端面側)から出射することができる。そのため、例えば、複数の光導波路を並設して成る導波路素子に本発明の多心光コネクタを接続すれば、奇数番目の光導波路には第1の光ファイバからの光を入射し、偶数番目の光導波路には第2の光ファイバからの光を入射するといった如く、第1の光ファイバからの光と第2の光ファイバからの光とを、導波路素子の光導波路の配列順に交互に入射することができる。
【0112】さらに、前記導波路素子の各光導波路から光導波路の配列順に交互に異なる光(例えば波長や光パワーレベルが異なる光)を出射するようにし、この導波路素子に本発明の多心光コネクタを接続すれば、前記導波路素子の各光導波路から交互に出射される異なる光を、共通する種類の光ごとに第1の光ファイバと第2の光ファイバに分けて入射させ、第1の光ファイバテープと第2の光ファイバテープとから別々に、同じ種類の光ごとにグループ化して取り出すことができる。
【0113】このことから、例えば複数の各光通路(光導波路等)に光通路の配列順に異なる光を交互に入射させたり、複数の各光通路から交互に出射される異なる光を同じ光同士が1グループとなるようにグループ分けしてまとめて第1、第2の光ファイバテープからそれぞれ取り出したりすることが可能となり、優れた機能を有する光通信システムを構築することができる。
【0114】さらに、本発明は、平板基板上に配列形成した配列ガイド溝内に第1の光ファイバと第2の光ファイバを配列収容するようにしているので、配列ガイド溝内に収容されている光ファイバの状態が外部から観察できる。このことにより、第1の光ファイバと第2の光ファイバを前記配列ガイド溝に収容する作業が極めて容易となり、多心光コネクタの組み立ての作業効率を格段に高めることができ、これに伴い、多心光コネクタの製品コストを大幅に低減することができる。
【0115】しかも、配列ガイド溝に収容されている光ファイバの配列状態が一目瞭然となるので、光ファイバの配列に誤りが生じた場合には直ちにこれを修正できるので、第1の光ファイバと第2の光ファイバとの交互配列のミス(誤り)をなくすことができ、本発明の多心光コネクタの信頼性を十分に高めることが可能となる。特に、平板基板や押え部材を透明な部材により形成した場合には、特に少なくとも押え部材を透明にした場合には、平板基板の裏面側からも光ファイバの配列状態が分かり、しかも、押え部材で押えられている光ファイバの配列状態も外部から分かるので、光ファイバ配列誤りの除去をより確実に徹底することができ、多心光コネクタの信頼性をさらに高めることができる。
【0116】さらに、平板基板上の配列ガイド溝に収容配列されている第1の光ファイバと第2の光ファイバとの少なくとも一方にフィルタを挿入した多心光コネクタの第2の発明にあっては、このフィルタを光導波路部品の光導波路に設ける場合に比べ製造の歩留りを考慮した場合、多心光コネクタ側にフィルタを設ける方が格段に製造コストを安くすることができ、光導波路部品側にフィルタを設ける場合に比べ、多心光コネクタと光導波路部品とを一体接続して成る接続体製品の総合コストを大幅に低減できるという優れた効果を得ることができる。
【0117】さらに、押え部材の後端側にはファイバ押え面側に光ファイバに対する当たりを緩和する丸みが形成されている多心光コネクタの第3の発明にあっては、押え部材から光ファイバに直接過度な力がかかることを防ぐことができるために、過度な力により光ファイバが折れて断線することを防ぐことが可能となり、多心光コネクタの製造の歩留りを向上させ、製造コストを安くすることができる。
【0118】さらに、押え部材は2つ以上の押え部材片を光ファイバ配列方向に並設して形成されている多心光コネクタの第4の発明にあっては、多心光コネクタに配列される光ファイバの心数が多くなり、押え部材の面積が大きくなった場合にも、温度変化に伴う押え部材の熱収縮等によって押え部材にひび割れが生じることを防ぐことが可能となり、多心光コネクタの製造の歩留りを向上させることができると共に、多心光コネクタの長期信頼性を向上させることができる。
【0119】さらに、光ファイバ配列具の平板基板にはその平板基板上面よりも低位面にした平板基板の中央領域に光ファイバの配列ガイド溝が形成され、該配列ガイド溝の両外端の溝形成斜面は平板基板上面まで届くように伸設されており、平板基板の上面は配列ガイド溝に配列した第1と第2の光ファイバの上端と略一致し、該平板基板上面と第1および第2の光ファイバ上端とが押え部材によってほぼ隙間なく覆われている多心光コネクタの第5の発明にあっては、例えば光ファイバ配列具と第1、第2の光ファイバと押え部材との間に接着剤を供給して第1、第2の光ファイバを光ファイバ配列具の配列ガイド溝に固定する場合、接着剤が光ファイバ配列具の平板基板上面と押え部材との間に入り込まずに、配列ガイド溝と第1、第2の光ファイバと押え部材との間の隙間にのみ接着剤が付くことになる。
【0120】そのため、第5の発明にあっては、平板基板上面と押え部材底面との間に隙間が形成されている場合と異なり、その隙間に入り込んだ接着剤によって配列ガイド溝両外端に配列された光ファイバが接着剤硬化の際や温度変化による接着剤の熱収縮によって外側に引っ張られたりすることを防ぐことが可能となり、多心光コネクタ製造の歩留りを向上させ、かつ、長期信頼性の高い多心光コネクタとすることができる。
【0121】さらに、光ファイバ配列具の平板基板後端側には該平板基板の厚みを薄肉化する方向にテーパ面が形成されている多心光コネクタの第6の発明にあっては、第1、第2の光ファイバテープのうち上側の光ファイバテープ先端側の被覆除去された光ファイバの光ファイバ配列具から光ファイバテープ被覆先端側へ向かう上側の曲がりと、下側の光ファイバテープの被覆除去された光ファイバの光ファイバ配列具から光ファイバテープ被覆先端側へ向かう下側の曲がりとを均等化することができるために、前記多心光コネクタの第3の発明と同様に、押え部材から光ファイバへ過度な力が加わって光ファイバが断線することを防ぐことができる。そのため、多心光コネクタの製造の歩留りを向上させ、多心光コネクタの製造コストを安くすることができる。
【0122】さらに、重ね合わせて配置された第1の光ファイバテープと第2の光ファイバテープとのファイバテープ組が光ファイバ配列方向に複数並設されており、これら複数のファイバテープ組の第1と第2の光ファイバテープは他のファイバテープ組と隣り合う少なくとも一方の側面が切削されている多心光コネクタの第7の発明にあっては、複数並設したファイバテープ組の他のファイバテープ組と隣り合う側面側の被覆部分が互いに邪魔になることを防ぐことが可能となり、光ファイバテープ組を高密度に並設することができるし、各光ファイバテープの光ファイバを光ファイバ配列具に配列するときに、テープ外端側の光ファイバを大きく曲げることなく光ファイバ配列具の配列ガイド溝に配列することができる。そのため、多心光コネクタを小型のものとすることができると共に、製造の歩留りを向上させ、多心光コネクタの製造コストを安くすることができる。
【0123】さらに、第1と第2の光ファイバテープはそれぞれ出射端の端末側で分岐されている多心光コネクタの第8の発明によれば、例えば多くの心数を有する第1、第2の光ファイバテープを用いて多心光コネクタを製造し、その端末側を入出射端のニーズに対応させて(必要な端末数に対応させて)分岐させることにより、信号の入出射端の端末数に対応させた多心光コネクタを非常に効率良く製造することができるために、入出射端の端末数に対応し、かつ、製造コストの安い優れた多心光コネクタとすることができる。
【0124】さらに、複数の光ファイバを帯状に並設して成る光ファイバテープが2分割されてこの2分割された一方側の光ファイバテープを第1の光ファイバテープと成し、他方側の光ファイバテープを第2の光ファイバテープと成し、第1の光ファイバテープに並設されている光ファイバを第1の光ファイバと成し、第2の光ファイバテープに並設されている多心光コネクタの第9の発明によれば、多心光コネクタを例えば1×nスターカプラ等に接続して用いる際に、例えばn本の光ファイバを並設して成る光ファイバテープを2分割して第1、第2の光ファイバテープと成し、第1の光ファイバテープに並設されている第1の光ファイバと第2の光ファイバテープに並設されている第2の光ファイバを交互に配列変換して1×nスターカプラの出射端側のn個の端末に接続すれば、n本の光ファイバを並設して成る従来の多心光コネクタに比べて非常に小型の本発明の多心光コネクタを用いて、1×nスターカプラに入射して分岐した各光を1つの光ファイバテープから取り出すことができる。
【0125】さらに、上記構成のいずれか1つに記載の多心光コネクタの製造方法であって、第1および第2の光ファイバテープの途中部分の被覆を除去し、然る後にこの被覆を除去した第1と第2の光ファイバを交互に配列するように配列変換して光ファイバ配列具の配列ガイド溝に交互に配列し、然る後にこれらの光ファイバの上側に押え部材を設けて各光ファイバを押え部材によって押えて前記配列ガイド溝内に挟持固定した後、該押え部材および光ファイバ配列具の固定部分を光ファイバ配列方向と交わる方向に分割切断することにより2つの多心光コネクタを一度に製造する構成の多心光コネクタの製造方法の第1の発明にあっては、一度に2つの多心光コネクタを製造することができるために、非常に効率的に多心光コネクタの製造をすることが可能となり、多心光コネクタの製造コストを安くすることができる。
【0126】さらに、上記構成のいずれか1つに記載の多心光コネクタの製造方法であって、第1と第2の光ファイバテープのうちのいずれか一方側の光ファイバテープの被覆が除去された光ファイバを光ファイバ配列具の複数のガイド溝に1つおきに配列した状態で仮固定し、然る後に前記第1と第2の光ファイバテープのうちの他方側の光ファイバテープの被覆が除去された光ファイバを1つおきに残された配列ガイド溝に配列する多心光コネクタの製造方法の第2の発明および、上記構成のいずれか1つに記載の多心光コネクタの製造方法であって、第1と第2の光ファイバテープのうちのいずれか一方側の光ファイバテープの被覆が除去された光ファイバを光ファイバ配列具の複数の配列ガイド溝に1つおきに配列した状態でこの光ファイバを押え部材によって押え、然る後に前記第1と第2の光ファイバテープのうちの他方側の光ファイバテープの被覆が除去された光ファイバを前記押え部材によって押えた光ファイバの上側又は下側から押え部材と1つおきに残された配列ガイド溝とによって形成された隙間に挿入する多心光コネクタの製造方法の第3の発明にあっては、第1、第2の光ファイバの配列ガイド溝への配列を非常に行い易くすることができると共に、配列ガイド溝に初めに1つおきに配列した光ファイバが配列ガイド溝から外れることを防ぐことができる。したがって、多心光コネクタを非常に容易に製造することが可能となり、多心光コネクタの製造の歩留りを向上させ、製造コストを安くすることができる。
【0127】さらに、第1と第2の光ファイバテープの被覆を皮剥ぎする際に、前記光ファイバテープの少なくとも一方側の光ファイバテープの被覆の一部分を除去せずに光ファイバ先端側にスライド移動させた状態でこの被覆を残留被覆として光ファイバ先端側に残しておき、然る後に被覆を除去した光ファイバの根本側を光ファイバ配列具に配列する多心光コネクタの製造方法の第4の発明にあっては、第1、第2の光ファイバテープ先端側の被覆除去された光ファイバが放射状に広がることを残留被覆によって防ぐことができるために、光ファイバの光ファイバ配列具への配列を行い易くすることが可能となり、多心光コネクタの製造を効率的に行うことができる。
【0128】さらに、被覆を一部分残した光ファイバテープを複数用意して光ファイバ配列方向に並設し、隣り合う光ファイバテープの残留被覆の光ファイバ長手方向の位置をずらして配置した後に、光ファイバを光ファイバ配列具に配列する多心光コネクタの製造方法の第5の発明にあっては、被覆を一部分残した光ファイバテープを複数用意して多心光コネクタを製造するときに、隣り合う光ファイバテープの残留被覆同士がぶつかり合うことを防ぐことができるために、光ファイバの光ファイバ配列具への配列を行い易くすることが可能となり、多心光コネクタの製造を行い易くすることができる。
【0129】さらに、上記構成のいずれか1つに記載の多心光コネクタの製造方法であって、光ファイバ配列具の配列ガイド溝に配列した光ファイバを押え部材で押えた後に該光ファイバの接続端面側に接着剤を供給し、光ファイバを配列ガイド溝に固定する多心光コネクタの第6の発明にあっては、少なくとも光ファイバの接続端面側においては、光ファイバ配列具の配列ガイド溝と光ファイバと押え部材との間に接着剤の抜けや気泡の混入が生じることを防ぐことができるために、接着剤の抜けや気泡等によって多心光コネクタの他の光部品との接続損失増大をもたらしたり、気泡等の熱変化等による膨張によって光ファイバへ負荷がかかること等を防ぐことができる。そのため、他の光部品と低接続損失で接続することが可能で、かつ、長期信頼性の高い優れた多心光コネクタを製造することができる。
【0130】さらに、上記構成のいずれか1つに記載の多心光コネクタの製造方法であって、複数の光ファイバを帯状に並設して成る光ファイバテープを2分割し、この2分割した一方側の光ファイバテープを第1の光ファイバテープ、他方側の光ファイバテープを第2の光ファイバテープとする多心光コネクタの製造方法の第7の発明にあっては、前記第9の発明の効果を有する多心光コネクタを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多心光コネクタの第1実施形態例を示す斜視構成図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】上記実施形態例の多心光コネクタの正面構成図である。
【図4】図3の鎖線枠A内の拡大図(a)を、押え部材23の底面と平板基板21の上面24との間に隙間が形成されている多心光コネクタの正面図の一部分(b)と比較して示す説明図である。
【図5】本発明に係る多心光コネクタの第2実施形態例を示す斜視構成図である。
【図6】上記第2実施形態例に用いられている押え部材を示す説明図である。
【図7】上記第2実施形態例にほぼ隙間なく並設されているファイバテープ組7の構成を、隙間を介して並設して示す平面説明図である。
【図8】上記第2実施形態例の多心光コネクタの製造方法の一例を示す説明図である。
【図9】上記第2実施形態例の多心光コネクタの製造方法の別の例を示す説明図である。
【図10】上記第2実施形態例の多心光コネクタの製造における接着剤供給過程を斜視図(a)、側面図(b)によりそれぞれ示す説明図である。
【図11】本発明に係る多心光コネクタの第3実施形態例を示す斜視構成図である。
【図12】本発明に係る多心光コネクタの第4実施形態例を示す斜視構成図である。
【図13】本発明に係る多心光コネクタの第5実施形態例を平面図(a)、側面図(b)により示す構成図である。
【図14】上記第5実施形態例の多心光コネクタを1×8スターカプラ31を備えた光導波路部品30の出射端側に接続した状態を模式的に示す説明図である。
【図15】光ファイバを8心ずつ並設した第1、第2の光ファイバテープ6a,6bの第1、第2の裸光ファイバ4a,4bを交互に配列変換して形成した多心光コネクタを、1×8スターカプラ31を備えた光導波路部品30の出射端側に接続した状態を模式的に示す説明図である。
【図16】本発明に係る多心光コネクタの製造方法の別の実施形態例を示す説明図である。
【図17】本発明に係る多心光コネクタの製造に際し、2つの第1の光ファイバテープ6aの被覆を一部分残して光ファイバ先端側にスライド移動させ、この状態の光ファイバテープ6aを並設する方法を示す説明図である。
【図18】第1の光ファイバテープ6aの被覆を一部分残して光ファイバ先端側にスライド移動させ、被覆を除去した第2の光ファイバテープ6bと重ね合わせる方法を示す説明図である。
【図19】本発明に係る多心光コネクタの他の実施形態例に用いられる平板基板21を示す説明図である。
【図20】本発明に係る多心光コネクタの製造方法のさらに他の実施形態例を示す説明図である。
【図21】多心光コネクタにおいて平板基板21に配列した裸光ファイバ4aにおいて断線が生じやすい部分を示す側面説明図である。
【図22】第1の光ファイバテープ6aと第2の光ファイバ6bとの重なり状態と被覆が除去された先端側の第1の光ファイバテープ側の第1の裸光ファイバ4aと第2の光ファイバテープ側の第2の裸光ファイバ4bとの配列変換状態を示す説明図である。
【図23】光導波路部品の導波路基板上に形成される2×2光カップラータイプのフィルタ付きの導波路の配列形成パターンと、そのフィルタの形状を示す説明図である。
【図24】出願人が先に特許出願において提案している多心光コネクタの斜視説明図である。
【図25】図24の多心光コネクタを構成するフェルール2の詳細説明図である。
【図26】一般的に知られている光ファイバ心線の断面構造図である。
【図27】従来の多心光コネクタの斜視説明図である。
【符号の説明】
4a 第1の裸光ファイバ
4b 第2の裸光ファイバ
6a 第1の光ファイバテープ
6b 第2の光ファイバテープ
7,7a,7b ファイバテープ組
14 残留被覆
16 フィルタ
21 平板基板
22 配列ガイド溝
23 押え部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の第1の光ファイバを帯状に並設して成る第1の光ファイバテープと複数の第2の光ファイバを帯状に並設して成る第2の光ファイバテープとが重ね合わせて配置されており、これらの各光ファイバテープの先端側の被覆が除去された第1の光ファイバと第2の光ファイバとが交互に配列するように配列変換されて、光ファイバ配列具に配列された多心光コネクタであって、前記光ファイバ配列具は平板基板上に前記各光ファイバの被覆を除去した外径と略一致する大きさの配列ピッチで配列ガイド溝を複数形成したものから成り、これらの配列ガイド溝に被覆が除去された第1の光ファイバと第2の光ファイバが交互に配列され、その配列先端側の光ファイバの上側に押え部材が設けられ、この押え部材に押えられて各光ファイバは前記配列ガイド溝内に挟持固定されていることを特徴とする多心光コネクタ。
【請求項2】 配列ガイド溝の形成領域にフィルタが設けられ配列ガイド溝に配列された第1の光ファイバと第2の光ファイバの少なくとも一方に前記フィルタが挿入されていることを特徴とする請求項1記載の多心光コネクタ。
【請求項3】 押え部材の後端側にはファイバ押え面側に光ファイバに対する当たりを緩和する丸みが形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の多心光コネクタ。
【請求項4】 押え部材は2つ以上の押え部材片を光ファイバ配列方向に並設して形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の多心光コネクタ。
【請求項5】 光ファイバ配列具の平板基板にはその平板基板上面よりも低位面にした平板基板の中央領域に光ファイバの配列ガイド溝が形成され、該配列ガイド溝の両外端の溝形成斜面は平板基板上面まで届くように伸設されており、平板基板の上面は配列ガイド溝に配列した第1と第2の光ファイバの上端と略一致し、該平板基板上面と第1および第2の光ファイバ上端とが押え部材によってほぼ隙間なく覆われていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の多心光コネクタ。
【請求項6】 光ファイバ配列具の平板基板後端側には該平板基板の厚みを薄肉化する方向にテーパ面が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の多心光コネクタ。
【請求項7】 重ね合わせて配置された第1の光ファイバテープと第2の光ファイバテープとのファイバテープ組が光ファイバ配列方向に複数並設されており、これら複数のファイバテープ組の第1と第2の光ファイバテープは他のファイバテープ組と隣り合う少なくとも一方の側面が切削されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載の多心光コネクタ。
【請求項8】 第1と第2の光ファイバテープはそれぞれ入出射端の端末側で分岐されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載の多心光コネクタ。
【請求項9】 複数の光ファイバを帯状に並設して成る光ファイバテープが2分割されてこの2分割された一方側の光ファイバテープを第1の光ファイバテープと成し、他方側の光ファイバテープを第2の光ファイバテープと成し、第1の光ファイバテープに並設されている光ファイバを第1の光ファイバと成し、第2の光ファイバテープに並設されている光ファイバを第2の光ファイバと成していることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載の多心光コネクタ。
【請求項10】 請求項1乃至請求項9のいずれか1つに記載の多心光コネクタの製造方法であって、第1および第2の光ファイバテープの途中部分の被覆を除去し、然る後にこの被覆を除去した第1と第2の光ファイバを交互に配列するように配列変換して光ファイバ配列具の配列ガイド溝に交互に配列し、然る後にこれらの光ファイバの上側に押え部材を設けて各光ファイバを押え部材によって押えて前記配列ガイド溝内に挟持固定した後、該押え部材および光ファイバ配列具の固定部分を光ファイバ配列方向と交わる方向に分割切断することにより2つの多心光コネクタを一度に製造することを特徴とする多心光コネクタの製造方法。
【請求項11】 請求項1乃至請求項9のいずれか1つに記載の多心光コネクタの製造方法であって、第1と第2の光ファイバテープのうちのいずれか一方側の光ファイバテープの被覆が除去された光ファイバを光ファイバ配列具の複数のガイド溝に1つおきに配列した状態で仮固定し、然る後に前記第1と第2の光ファイバテープのうちの他方側の光ファイバテープの被覆が除去された光ファイバを1つおきに残された配列ガイド溝に配列することを特徴とする多心光コネクタの製造方法。
【請求項12】 請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載の多心光コネクタの製造方法であって、第1と第2の光ファイバテープのうちのいずれか一方側の光ファイバテープの被覆が除去された光ファイバを光ファイバ配列具の複数の配列ガイド溝に1つおきに配列した状態でこの光ファイバを押え部材によって押え、然る後に前記第1と第2の光ファイバテープのうちの他方側の光ファイバテープの被覆が除去された光ファイバを前記押え部材によって押えた光ファイバの上側又は下側から押え部材と1つおきに残された配列ガイド溝とによって形成された隙間に挿入することを特徴とする多心光コネクタの製造方法。
【請求項13】 第1と第2の光ファイバテープの被覆を皮剥ぎする際に、前記光ファイバテープの少なくとも一方側の光ファイバテープの被覆の一部分を除去せずに光ファイバ先端側にスライド移動させた状態でこの被覆を残留被覆として光ファイバ先端側に残しておき、然る後に被覆を除去した光ファイバの根本側を光ファイバ配列具に配列することを特徴とする請求項11又は請求項12記載の多心光コネクタの製造方法。
【請求項14】 被覆を一部分残した光ファイバテープを複数用意して光ファイバ配列方向に並設し、隣り合う光ファイバテープの残留被覆の光ファイバ長手方向の位置をずらして配置した後に、光ファイバを光ファイバ配列具に配列することを特徴とする請求項13記載の多心光コネクタの製造方法。
【請求項15】 請求項1乃至請求項9のいずれか1つに記載の多心光コネクタの製造方法であって、光ファイバ配列具の配列ガイド溝に配列した光ファイバを押え部材で押えた後に該光ファイバの接続端面側に接着剤を供給し、光ファイバを配列ガイド溝に固定することを特徴とする多心光コネクタの製造方法。
【請求項16】 請求項1乃至請求項9のいずれか1つに記載の多心光コネクタの製造方法であって、複数の光ファイバを帯状に並設して成る光ファイバテープを2分割し、この2分割した一方側の光ファイバテープを第1の光ファイバテープ、他方側の光ファイバテープを第2の光ファイバテープとすることを特徴とする多心光コネクタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図13】
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【図21】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図17】
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【図26】
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【図10】
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【図12】
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【図19】
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【図23】
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【図27】
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【図14】
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【図15】
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【図22】
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【図24】
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【図16】
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【図18】
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【図20】
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【図25】
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【公開番号】特開平10−96836
【公開日】平成10年(1998)4月14日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−219160
【出願日】平成9年(1997)7月30日
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)