説明

多成分メルトブローンウェブ

メルトブローン繊維がその外周面の少なくとも一部分上にアイオノマーを含む多成分メルトブローンウェブが開示される。メルトブローンウェブはダストワイプ用途において特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイオノマーポリマー成分を含んでなる多成分メルトブローンウェブに関する。多成分メルトブローンウェブはダストワイプでの用途に特に有用である。
【背景技術】
【0002】
単一成分メルトブローンアイオノマー微細繊維およびそれから製造されたウェブは当該技術では公知である。例えば、参照により本明細書に援用される、チョウ(Chou)らの特許文献1は、フィルター用途向けのエチレン/カルボン酸アイオノマーからの微細繊維メルトブローンウェブの製造を記載している。アラン(Allan)らの特許文献2は、アイオノマーを含んでもよい非相溶性の熱可塑性樹脂のメルトブロー性ポリマー分散系を記載している。メルトブローンウェブは、ワイプ、ナプキン、およびパーソナルケア用品としての使用に好適である。ベッチャー(Boettcher)らの特許文献3は、アイオノマーと相溶性共重合体もしくは三元重合体との混合物を押し出すことによって形成された不織物だけでなくポリオレフィン、モノマー、または溶剤ともブレンドされていないアイオノマー樹脂を押し出すことによって形成された繊維を含んでなる不織ウェブを開示している。不織ウェブは、メルトブロー法を用いて形成することができ、超吸収性粉末の安上がりな代替品を提供するために使用することができる。
【0003】
高レベルのダスト・ピックアップおよび他の最終用途を有するダストワイプとしての使用に好適なより低コストの不織材料が引き続き求められる。
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,817,415号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第351318号明細書
【特許文献3】米国特許第5,409,765号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、本発明は、アイオノマーを含んでなる第1ポリマー成分と第2ポリマー成分とを含んでなる多成分メルトブローン繊維を含んでなるメルトブローンウェブであって、第1および第2ポリマー成分が繊維の長さに沿って実質的に連続して伸びる別個のゾーンを含んでなり、かつ、多成分繊維の外周面の少なくとも一部分が第1ポリマー成分を含んでなるウェブに関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、その外周面の少なくとも一部分上にアイオノマーを含んでなる多成分メルトブローン繊維を含んでなるメルトブローンウェブに関する。
【0007】
用語「アイオノマー」は、本明細書で用いるところでは、エチレン性不飽和カルボン酸またはエチレン性不飽和カルボン酸の無水物前駆体から誘導された複数のコモノマーを含むエチレン共重合体の塩を意味する。カルボン酸基または酸無水物基の少なくとも一部分は中和されて一価または多価金属カチオンの塩を形成している。用語「共重合体」には、本明細書で用いるところでは、2つまたはそれ以上のコモノマーを重合することによって製造されたランダム、ブロック、交互、およびグラフト共重合体が含まれ、従って、二元重合体、三元重合体などが含まれる。
【0008】
用語「ポリオレフィン」は、本明細書で用いるところでは、ホモポリマー、共重合体、および少なくとも50重量パーセントの不飽和炭化水素モノマーから製造されたポリマーのブレンドを意味することを意図される。ポリオレフィンの例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリスチレン、およびそれらの共重合体が挙げられる。
【0009】
用語「ポリエチレン」(PE)は、本明細書で用いるところでは、エチレンのホモポリマーのみならず、繰り返し単位の少なくとも85%がエチレン単位である共重合体をも包含することを意図される。
【0010】
用語「ポリプロピレン」(PP)は、本明細書で用いるところでは、プロピレンのホモポリマーのみならず、繰り返し単位の少なくとも85%がプロピレン単位である共重合体をも包含することを意図される。
【0011】
用語「線状低密度ポリエチレン」(LLDPE)は、本明細書で用いるところでは、約0.955g/cm未満の、好ましくは0.91g/cm〜0.95g/cmの範囲の、より好ましくは0.92g/cm〜0.95g/cmの範囲の密度を有する線状のエチレン/α−オレフィン共重合体を意味する。線状低密度ポリエチレンは、エチレンを、α−オレフィン分子当たり3〜12個の炭素、好ましくはα−オレフィン分子当たり4〜8個の炭素を有する、少量のアルファ,ベータ−エチレン性不飽和アルケンコモノマー(α−オレフィン)と共重合することによって製造される。エチレンと共重合してLLDPEを製造することができるアルファ−オレフィンには、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、またはそれらの混合物が含まれる。好ましくは、α−オレフィンは1−ヘキセンまたは1−オクテンである。
【0012】
用語「高密度ポリエチレン」(HDPE)は、本明細書で用いるところでは、少なくとも約0.94g/cmの、好ましくは約0.94g/cm〜約0.965g/cmの範囲の密度を有するポリエチレンホモポリマーを意味する。
【0013】
用語「ポリエステル」は、本明細書で用いるところでは、繰り返し単位の少なくとも85%がエステル単位の形成によって生み出された結合を持ったジカルボン酸とジヒドロキシアルコールとの縮合生成物であるポリマーを包含することを意図される。これには、芳香族、脂肪族、飽和、および不飽和二酸およびジアルコールが含まれる。用語「ポリエステル」には、本明細書で用いるところでは、共重合体(ブロック、グラフト、ランダムおよび交互共重合体のような)、ブレンド、およびそれらの変性物もまた含まれる。ポリエステルの例は、エチレングリコールとテレフタル酸との縮合生成物であるポリ(エチレンテレフタレート)(PET)である。
【0014】
用語「不織布、シートまたはウェブ」は、本明細書で用いるところでは、編布または織布とは対照的に、ランダム様式に置かれて特定できるパターンなしの平面材料を形成する個々の繊維、フィラメント、またはスレッドの構造物を意味する。不織布の例には、メルトブローンウェブ、スパンボンド連続フィラメントウェブ、カードウェブ、エアレイドウェブ、およびウェットレイドウェブが挙げられる。
【0015】
用語「メルトブローン繊維」は、本明細書で用いるところでは、溶融加工可能なポリマーを、複数の毛管を通して溶融流れとして高速ガス(例えば、空気)流れ中へ押し出すことを含んでなるメルトブローによって形成される繊維を意味する。高速ガス流れは、溶融した熱可塑性ポリマー材料の流れを細くしてそれらの直径を小さくし、約0.5〜10マイクロメートルの直径を有するメルトブローン繊維を形成する。メルトブローン繊維は一般に不連続繊維であるが、連続でもあり得る。高速ガス流れによって運ばれたメルトブローン繊維は一般に収集面上に堆積してランダムに分散された繊維のメルトブローンウェブを形成する。
【0016】
用語「スパンボンド」フィラメントは、本明細書で用いるところでは、押し出されるフィラメントの直径を持った紡糸口金の複数の細かい、通常円形の毛管から溶融した熱可塑性ポリマー材料をフィラメントとして押し出し、次に延伸によって急速に小さくされ、次にフィラメントを急冷することによって形成されるフィラメントを意味する。卵形、多葉形などのような他のフィラメント断面形状もまた使用することができる。スパンボンドフィラメントは一般に連続であり、約5マイクロメートルよりも大きい平均直径を有する。スパンボンド不織布またはウェブは、スパンボンドフィラメントを小孔のあるスクリーンまたはベルトのような収集面上にランダムに置くことによって形成される。スパンボンドウェブは、ホットロールカレンダー加工によるまたは高圧の飽和スチーム室にウェブを通すことによるような当該技術で公知の方法によって一般に接合される。例えば、ウェブは、スパンボンド布の端から端まで置かれた複数の熱接合点で熱点接合することができる。
【0017】
用語「多成分繊維」は、本明細書で用いるところでは、一緒に紡糸されて単繊維を形成した少なくとも2つの別個のポリマー成分よりなる任意の繊維を意味する。用語「繊維」は、本明細書で用いるところでは、不連続繊維および連続繊維の両方を意味する。少なくとも2つのポリマー成分は、多成分繊維の断面の端から端まで別個の実質的に一定に置かれたゾーンに好ましくは配置され、繊維の長さに沿って実質的に連続して伸びている。好ましくは、多成分繊維は、2つの別個のポリマーから製造される二成分繊維である。多成分繊維は、ポリマー材料の単一の均一または不均一ブレンドから押し出されている繊維とは区別される。しかしながら、多成分繊維を形成するために使用される1つもしくはそれ以上の別個のポリマー成分は、ポリマー材料のブレンドを含んでなってもよい。用語「多成分ウェブ」は、本明細書で用いるところでは、多成分繊維を含んでなる不織ウェブを意味する。用語「二成分ウェブ」は、本明細書で用いるところでは、二成分繊維を含んでなる不織ウェブを意味する。
【0018】
本発明のメルトブローンウェブは、1つもしくはそれ以上のアイオノマーを含んでなる第1ポリマー成分と第2ポリマー成分とから形成された多成分メルトブローン繊維を含んでなる。多成分メルトブローン繊維の外周面の少なくとも一部分は第1ポリマー成分を含んでなる。例えば、2つのポリマー成分は、並列構造に、または第1ポリマー成分が鞘を形成する鞘−芯構造に紡糸することができる。好ましい実施形態では、多成分メルトブローンウェブは並列の二成分メルトブローン繊維を含んでなる。多成分メルトブローンウェブは当該技術で公知の方法を用いて製造することができる。例えば、二成分メルトブローンウェブは、第1および第2ポリマー成分を別々に溶融押出し、ダイを出る前に二成分メルトブローダイ中で2つのポリマー成分を接触させる(前合体法)か、それらがメルトブローダイを出た後で2つのポリマー成分を接触させる(後合体法)かのどちらかによって製造することができる。例えば、参照により本明細書によって援用される、クリューガー(Krueger)らの米国特許第6,057,256号明細書は、前合体二成分メルトブロー法を記載している。
【0019】
本発明の多成分メルトブローンウェブ中の第1ポリマー成分として好適なアイオノマーには、エチレンとアクリル酸、メタクリル酸、またはそれらの組合せとの金属イオン中和共重合体が含まれる。アイオノマーは、5〜25重量パーセント、好ましくは8〜20重量パーセント、最も好ましくは8〜15重量パーセントのアクリル酸、メタクリル酸、またはそれらの組合せを好ましくは含有する。好ましくは約5〜70パーセント、より好ましくは約25〜60パーセントの酸基が金属イオンで中和される。好適な金属イオンには、ナトリウム、亜鉛、リチウム、マグネシウム、およびそれらの組合せが含まれる。場合により、アイオノマーは、アルキル基が1〜8個の炭素を有するアクリル酸アルキルを含んでなる第3のモノマーがエチレンおよびアクリル酸(またはメタクリル酸もしくはそれとアクリル酸との組合せ)と共重合されている三元重合体であり得る。これは、「柔軟化」モノマーと言われ、総モノマーを基準にして約40重量パーセント以下で存在することができる。本発明での使用に好適なアイオノマーは、多数の製造業者から商業的に入手可能であり、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours and Company)(デラウェア州、ウィルミントン(Wilmington,DE))から入手可能な、サーリン(Surlyn)(登録商標)アイオノマー樹脂を含む。
【0020】
第1ポリマー成分は、1つもしくはそれ以上のアイオノマーより本質的になることができ、または1つもしくはそれ以上のアイオノマーと1つもしくはそれ以上の非アイオノマーポリマーとのブレンドを含んでなることができる。ブレンド中に含まれる追加のポリマーは、相溶性の(混和性の)またはほぼ相溶性の(実質的に混和性の)ブレンドを好ましくは形成する。例えば、サーリン(登録商標)アイオノマーはLLDPE、HDPE、またはLDPEとほぼ相溶性のブレンドを形成するかもしれない。ブレンドは、ポリマーブレンドの総重量を基準にして5〜25重量パーセントの中和された酸モノマー単位を含有するように好ましくは調製される。例えば、50:50重量比で別のポリマーとブレンドされた25重量パーセントの中和された酸モノマー単位を含有するアイオノマーは、ブレンド中のポリマーの総重量を基準にして12.5重量パーセントの中和された酸モノマー単位を含有するブレンドを提供する。
【0021】
第2ポリマー成分は、所望のコストまたはダストワイプ性能、温度安定性などのような他の特性を提供するべく選択することができる。例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、およびポリアミドは第2ポリマー成分としての使用に好適である。第2ポリマー成分としての使用に好適な具体的なポリマーには、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ(1,3−プロピレンテレフタレート)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(ナイロン6,6)、およびポリカプロラクタム(ナイロン6)が含まれる。好適なポリエチレンには、線状低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンが含まれる。第2ポリマー成分としてポリ(エチレンテレフタレート)を含んでなるウェブは、優れたダストワイプ性能を有する低コストの多成分メルトブローンウェブを提供することが見いだされた。あるいはまた、ポリプロピレンが低コストの多成分メルトブローン布を提供するための第2ポリマー成分として選択されてもよい。
【0022】
多成分メルトブローン繊維は好ましくは約10〜90重量パーセントの第1ポリマー成分と約90〜10重量パーセントの第2ポリマー成分とを含んでなる。第1ポリマー成分がエチレンとアクリル酸、メタクリル酸またはそれらの組合せとのアイオノマー共重合体を含んでなり、第2ポリマー成分がPETを含んでなる二成分並列メルトブローンウェブは、メルトブローン繊維が約70〜80重量パーセントアイオノマーを含んでなる時だけでなくメルトブローン繊維が約20〜30重量パーセントアイオノマーを含んでなる時にもダストワイプとして驚くほどうまく機能することが見いだされた。例えば、メルトブローン繊維中のアイオノマー:PETの重量比が75:25であった時に、およびまたそれが25:75であった時に、メルトブローンウェブのダスト拭き取り(wiping)性能はアイオノマー:PETの重量比が50:50であった時よりも著しく良好であった。
【0023】
本発明のメルトブローンウェブは好ましくは約10〜100g/mの基本重量を有し、ダストワイプ、微粒子フィルター、および防護衣としての使用に好適である。メルトブローンウェブはダストワイプとしての使用に特に好ましい。小さな繊維サイズとアイオノマー繊維表面との組合せが極めて良好なダストワイプ性能の布を提供すると考えられる。本発明のある種のメルトブローンウェブは、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはポリ(エチレンテレフタレート)のような非アイオノマーポリマーから製造された単一成分メルトブローンウェブよりも良好なダストワイプ性能を有する。
【0024】
多層複合シート材料は、別の不織ウェブ、織布、または編布のような第2層上に多成分メルトブローン繊維を集めることによって形成されてもよい。第2層として好適な不織ウェブの例には、スパンボンド、水絡ませ、およびニードルパンチ・ウェブが挙げられる。あるいはまた、先に形成された多成分メルトブローンウェブをかかるシート材料にまたはポリマーフィルムに接合することができる。層は、水圧ニードリングによるまたは熱、超音波、および/または接着剤接合によるような当該技術で公知の方法を用いて接合されてもよい。複合シート材料がダストワイプとして使用される時、メルトブローンウェブは好ましくは複合シート材料の外面の1つまたは両方を形成する。例えば、複合シート材料は、本発明のメルトブローンウェブをスパンボンドウェブに接合することによって(S−M)、またはメルトブローンウェブをスパンボンドウェブの両面に接合することによって(M−S−M)形成することができる。多成分メルトブローンウェブおよび他のシード層は好ましくはそれぞれ、層が例えば熱点接合によってなど熱接合され得るように相溶性であるポリマー成分を含む。例えば、一実施形態では、本発明の多成分メルトブローンウェブと鞘−芯繊維または並列繊維を含んでなるスパンボンドウェブのような多成分スパンボンドウェブとを含んでなる複合シートが形成される。スパンボンドウェブのポリマー成分は、スパンボンド繊維の外周面(例えば、鞘−芯繊維における鞘)がアイオノマーポリマーと相溶性であるポリマー、すなわち、メルトブローンウェブが並列メルトブローン繊維を含んでなる場合にはアイオノマーポリマーにまたは第2ポリマー成分に熱接合することができるポリマーを含んでなるように好ましくは選択される。例えば、スパンボンド繊維の外周面は、ポリオレフィン、ポリアミド、およびポリエステルよりなる群から選択されるポリマーを含んでなることができる。線状低密度ポリエチレンは、アイオノマーと相溶性であるまたはほぼ相溶性であるポリマーの例である。熱接合を容易にするためにポリマーの1つに相溶化剤を添加することができる。好適な相溶化剤の例は、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(デラウェア州ウィルミントン)から入手可能な、フサボンド(Fusabond)(登録商標)E MB226Dである。この材料は、PETへの熱接合を達成するために約5〜7重量パーセントでLLDPEに添加することができる。デュポン(DuPont)フサボンド(登録商標)製品ラインの樹脂は、典型的には無水マレイン酸グラフトによって機能化された変性ポリマーである。好適なフサボンド(登録商標)樹脂には、変性エチレン・アクリレート・一酸化炭素三元重合体、エチレン・酢酸ビニル、ポリエチレン、メタロセンポリエチレン、エチレンプロピレンゴムおよびポリプロピレンが含まれる。
【0025】
試験方法
上の説明でおよび以下の実施例で、様々な報告される特性および性質を測定するために次の試験方法を用いた。ASTMは米国材料試験協会を意味する。
【0026】
基本重量は布またはシートの単位面積当たりの質量の尺度であり、参照により本明細書によって援用されるASTM D−3776によって測定し、g/m単位で報告する。
【0027】
ダストワイプ性能は、商業的に入手可能なスウィッファー(Swiffer)(登録商標)モップ(プロクター・アンド・ギャンブル、オハイオ州シンシナチ(Procter & Gamble,Cincinnati,OH)によって流通される)を用いて評価した。モップの面の半分を、商業的に入手可能なスウィッファー(登録商標)乾燥ダストワイプ(15.2cm×15.2cm)で覆った。他の半分を、スウィッファー(登録商標)ワイプと同じ寸法を有する試験されるべき試料で覆った。軽産業環境としての資格がある倉庫中の床の区域の50スワイプを実施した。スウィッファー(登録商標)ワイプおよび試験試料を50スワイプの前後に秤量した。ダスト・ピックアップを重量の差によって計算した。拭き取り性能係数は、試験試料によってピックアップされたダストの重量とスウィッファー(登録商標)ダストワイプによってピックアップされたダストの重量との比と定義した。
【実施例】
【0028】
メルトブローン二成分ウェブをアイオノマー成分およびポリエステル成分で製造した。アイオノマーは、280g/10分(ASTM D−1238に従って測定した;190℃で2.16kg)のメルトインデックスを有し、酸基の25パーセントがマグネシウムイオンで中和された10重量パーセントのカルボン酸を含有するエチレンとメタクリル酸との共重合体であった。ポリエステル成分は、クライスター(Crystar)(登録商標)ポリエステル(マージ(Merge)4449)としてデュポンから入手可能な、0.53dl/gの報告された固有粘度のポリ(エチレンテレフタレート)であった。ポリ(エチレンテレフタレート)は、押出機に供給される時に1500ppmの含水率を有した。別個の押出機中でアイオノマーを260℃に加熱し、ポリ(エチレンテレフタレート)を305℃に加熱し、305℃に加熱したメルトブロー・ダイアセンブリに別個のポリマー流れとして計量供給した。2つのポリマー流れをダイアセンブリ中で独立して濾過し、次に並列の繊維構造を提供するために組み合わせた。ポリマーを、0.8g/分(30穴/インチ)の穴当たりのポリマー押出量で各毛管を通して紡糸し、加圧熱風(5psig(34.5pKa)、305℃)のジェットで細くしてメルトブローン繊維を形成し、それをダイの下方に設置した移動する形成スクリーン上に集めて二成分メルトブローンウェブを形成した。ダイ−コレクター距離は12.7cmであった。2つのポリマーについてのポリマー押出量の比を変えることによって、アイオノマーおよびポリ(エチレンテレフタレート)の百分率を異なる試料について変えた。シートを75重量%、50重量%、および25重量%ポリ(エチレンテレフタレート)の比で集めた。各ポリマー比について、12g/mおよび36g/mの基本重量の試料を集めた。上に記載したように試料をダストワイプ性能について試験した。同様に試験した対照試料は、比較例A:80重量パーセントポリ(エチレンテレフタレート)(固有粘度0.53dl/gクライスター(登録商標)4449、デュポンから入手可能な)と20重量パーセント線状低密度ポリエチレン(メルトインデックス135g/10分、GA594としてエクィスター・ケミカルズ(Equistar Chemicals)から入手可能な)とから形成された繊維の二成分ポリ(エチレンテレフタレート)メルトブローンウェブ、比較例B:ポリプロピレン(メルトフローレイト1200g/10分、3546Gとしてエクソン・ケミカルズ(Exxon Chemicals)から入手可能な)から形成された繊維の単一成分メルトブローンウェブ、比較例C:クライスター(登録商標)4449ポリ(エチレンテレフタレート)から形成された繊維の単一成分メルトブローンウェブ、および比較例D:エクィスターGA594線状低密度ポリエチレンから形成された繊維の単一成分メルトブローンウェブであった。拭き取り性能係数を下の表1に報告する。
【0029】
【表1】

【0030】
結果は、75重量%PETと25重量%アイオノマーとを含有する並列繊維から製造されたメルトブローンウェブが商業的に入手可能なスウィッファー(登録商標)ダストワイプよりもダストワイプ性能で顕著な改善を提供するように見えることを実証している。実施例4の結果を実施例1のそれと比較すると、より高い基本重量が改善されたダストワイプ性能をもたらすように見える。上の結果はまた、2つのポリマー間の比がワイプ性能を決定するのに役割を果たすかもしれないことを示唆している。例えば、実施例1、3、および4におけるように、PET成分かサーリン(登録商標)成分かのどちらかが主成分である場合、PETおよびサーリン(登録商標)が等しい重量パーセントで存在する実施例2と比べて顕著な改善が見られた。実施例1、3、および4はまた、比較例A〜Dと比べてダストワイプ性能の顕著な改善を示した。比較例は、本発明ワイプの性能に匹敵しそうになかった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイオノマーを含んでなる第1ポリマー成分と第2ポリマー成分とを含んでなる多成分メルトブローン繊維を含んでなるメルトブローンウェブであって、前記第1および第2ポリマー成分が前記繊維の長さに沿って実質的に連続して伸びる別個のゾーンを含んでなり、かつ、前記多成分繊維の外周面の少なくとも一部分が前記第1ポリマー成分を含んでなるウェブ。
【請求項2】
前記アイオノマーがエチレンとアクリル酸、メタクリル酸、およびそれらの組合せよりなる群から選択されるエチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物前駆体との金属イオン中和共重合体である請求項1に記載のメルトブローンウェブ。
【請求項3】
前記メルトブローン繊維が二成分繊維であり、かつ、前記第1および第2ポリマー成分が並列構造に配置されている請求項1に記載のメルトブローンウェブ。
【請求項4】
前記メルトブローン繊維が二成分繊維であり、そして前記第1および第2ポリマー成分が鞘−芯構造に配置され、前記鞘が前記第1ポリマー成分を含んでなり、そして前記芯が前記第2ポリマー成分を含んでなる請求項1に記載のメルトブローンウェブ。
【請求項5】
前記第2ポリマー成分がポリエステル、ポリアミド、およびポリオレフィンよりなる群から選択される請求項3に記載のメルトブローンウェブ。
【請求項6】
前記第2ポリマー成分がポリエステルを含んでなる請求項5に記載のメルトブローンウェブ。
【請求項7】
前記エチレン性不飽和カルボン酸が前記アイオノマーの約5〜約25重量パーセントを含んでなる請求項2に記載のメルトブローンウェブ。
【請求項8】
前記カルボン酸基の約5〜70%が金属イオンで中和されている請求項7に記載のメルトブローンウェブ。
【請求項9】
前記金属イオンがナトリウム、亜鉛、リチウム、マグネシウム、およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項8に記載のメルトブローンウェブ。
【請求項10】
前記第2ポリマー成分がポリ(エチレンテレフタレート)である請求項6に記載のメルトブローンウェブ。
【請求項11】
前記二成分繊維が約10〜90重量パーセントポリ(エチレンテレフタレート)と90〜10重量パーセントの前記第1ポリマー成分とを含んでなる請求項10に記載のメルトブローンウェブ。
【請求項12】
前記二成分繊維が約70〜80重量パーセントポリ(エチレンテレフタレート)と約20〜30重量パーセントの前記第1ポリマー成分とを含んでなる請求項11に記載のメルトブローンウェブ。
【請求項13】
前記二成分繊維が約70〜80重量パーセントの前記第1ポリマー成分と約20〜30重量パーセントポリ(エチレンテレフタレート)とを含んでなる請求項11に記載のメルトブローンウェブ。
【請求項14】
前記第1ポリマー成分が本質的にアイオノマーよりなる請求項1、12、または13のいずれか1項に記載のメルトブローンウェブ。
【請求項15】
前記第1ポリマー成分が前記アイオノマーと1つもしくはそれ以上のポリオレフィンとのブレンドを含んでなる請求項1に記載のメルトブローンウェブ。
【請求項16】
前記ブレンド中の中和された酸モノマー単位の重量パーセントが前記ブレンド中のポリマーの総重量を基準にして約5〜25重量パーセントであるのに十分なアイオノマーを前記ブレンドが含んでなる請求項15に記載のメルトブローンウェブ。
【請求項17】
前記第1ポリマー成分が前記アイオノマーとポリエチレンとのブレンドを含んでなる請求項16に記載のメルトブローンウェブ。
【請求項18】
第1層と第2層とを含んでなる多層複合シートであって、前記第1層が請求項1に記載のメルトブローンウェブであり、かつ、前記メルトブローンウェブが前記複合シートの外面を含んでなるシート。
【請求項19】
前記第2層が不織ウェブ、フィルム、織布、および編布よりなる群から選択される請求項18に記載の複合シート。
【請求項20】
前記第2層がスパンボンド不織ウェブである請求項19に記載の複合シート。
【請求項21】
前記スパンボンドウェブが多成分スパンボンドウェブである請求項20に記載の複合シート。
【請求項22】
前記多成分スパンボンドウェブが鞘−芯スパンボンド繊維を含んでなる請求項21に記載の複合シート。
【請求項23】
前記鞘がポリオレフィン、ポリアミド、およびポリエステルよりなる群から選択されるポリマーを含んでなる請求項22に記載の複合シート。
【請求項24】
前記鞘がポリエチレンを含んでなる請求項23に記載の複合シート。
【請求項25】
請求項1に記載のメルトブローンウェブを含んでなるワイプ。
【請求項26】
請求項1に記載のメルトブローンウェブを含んでなる微粒子フィルター。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイオノマーからなる第1ポリマー成分と第2ポリマー成分とを含んでなる多成分メルトブローン繊維を含んでなるメルトブローンウェブであって、前記第1および第2ポリマー成分が前記繊維の長さに沿って実質的に連続して伸びる別個のゾーンを含んでなり、かつ、前記多成分繊維の外周面の少なくとも一部分が前記第1ポリマー成分を含んでなるウェブ。
【請求項2】
前記アイオノマーがエチレンとアクリル酸、メタクリル酸、およびそれらの組合せよりなる群から選択されるエチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物前駆体との金属イオン中和共重合体である請求項1に記載のメルトブローンウェブ。
【請求項3】
前記メルトブローン繊維が二成分繊維であり、かつ、前記第1および第2ポリマー成分が並列構造に配置されている請求項1に記載のメルトブローンウェブ。
【請求項4】
前記メルトブローン繊維が二成分繊維であり、そして前記第1および第2ポリマー成分が鞘−芯構造に配置され、前記鞘が前記第1ポリマー成分を含んでなり、そして前記芯が前記第2ポリマー成分を含んでなる請求項1に記載のメルトブローンウェブ。
【請求項5】
前記第2ポリマー成分がポリエステル、ポリアミド、およびポリオレフィンよりなる群から選択される請求項3に記載のメルトブローンウェブ。
【請求項6】
前記第2ポリマー成分がポリエステルを含んでなる請求項5に記載のメルトブローンウェブ。
【請求項7】
前記エチレン性不飽和カルボン酸が前記アイオノマーの約5〜約25重量パーセントを含んでなる請求項2に記載のメルトブローンウェブ。
【請求項8】
前記カルボン酸基の約5〜70%が金属イオンで中和されている請求項7に記載のメルトブローンウェブ。
【請求項9】
前記金属イオンがナトリウム、亜鉛、リチウム、マグネシウム、およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項8に記載のメルトブローンウェブ。
【請求項10】
前記第2ポリマー成分がポリ(エチレンテレフタレート)である請求項6に記載のメルトブローンウェブ。
【請求項11】
前記二成分繊維が約10〜90重量パーセントポリ(エチレンテレフタレート)と90〜10重量パーセントの前記第1ポリマー成分とを含んでなる請求項10に記載のメルトブローンウェブ。
【請求項12】
前記二成分繊維が約70〜80重量パーセントポリ(エチレンテレフタレート)と約20〜30重量パーセントの前記第1ポリマー成分とを含んでなる請求項11に記載のメルトブローンウェブ。
【請求項13】
前記二成分繊維が約70〜80重量パーセントの前記第1ポリマー成分と約20〜30重量パーセントポリ(エチレンテレフタレート)とを含んでなる請求項11に記載のメルトブローンウェブ。
【請求項14】
前記繊維が第1ポリマー成分の25重量%を含んでなる請求項1、11、または12のいずれか1項に記載のメルトブローンウェブ。
【請求項15】
第1層と第2層とを含んでなる多層複合シートであって、前記第1層が請求項1に記載のメルトブローンウェブであり、かつ、前記メルトブローンウェブが前記複合シートの外面を含んでなるシート。
【請求項16】
前記第2層が不織ウェブ、フィルム、織布、および編布よりなる群から選択される請求項15に記載の複合シート。
【請求項17】
前記第2層がスパンボンド不織ウェブである請求項16に記載の複合シート。
【請求項18】
前記スパンボンドウェブが多成分スパンボンドウェブである請求項17に記載の複合シート。
【請求項19】
前記多成分スパンボンドウェブが鞘−芯スパンボンド繊維を含んでなる請求項18に記載の複合シート。
【請求項20】
前記鞘がポリオレフィン、ポリアミド、およびポリエステルよりなる群から選択されるポリマーを含んでなる請求項19に記載の複合シート。
【請求項21】
前記鞘がポリエチレンを含んでなる請求項20に記載の複合シート。
【請求項22】
請求項1または14に記載のメルトブローンウェブを含んでなるワイプ。
【請求項23】
請求項1に記載のメルトブローンウェブを含んでなる微粒子フィルター。

【公表番号】特表2006−506544(P2006−506544A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−552164(P2004−552164)
【出願日】平成15年11月12日(2003.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2003/036163
【国際公開番号】WO2004/044297
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】