説明

多数の個別フィラメントから成る糸を製造するための方法および装置ならびにこれにより製造されたモノフィラメント糸

高い強度、機械的な負荷状態の簡単な数値計算可能性および少ない樹脂消費量によりすぐれている、テキスタイルファブリックまたはこれらを使用して製造された半製品を得るための後加工のために適している糸を製造することができるようにするために、多数の個別フィラメントを有する糸を製造するための方法であって、個別フィラメントをそれぞれ互いに間隔を置いて案内して、溶剤を含有しかつ少なくとも1つの物理的な量および/または化学的な物質の作用により架橋可能である流動性の樹脂で被覆し、被覆された個別フィラメントを引き続き緊密化して、該個別フィラメントと、該個別フィラメントを結束するように取り囲む樹脂とから成る、ガス封入物を有しない複合体を形成し、該複合体から次いで乾燥過程中に、樹脂に含まれた溶剤を駆出し、引き続きモノフィラメント糸として提供された複合体を、樹脂の未架橋の状態で巻き取り、全ての個別フィラメントを前記全ての方法ステップの間、一方向の向きに保持することを特徴とする、糸を製造するための方法が提案される。さらに、上記方法を実施するための装置およびこれによって製造されたモノフィラメント糸が提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
冒頭部
本発明は、多数の個別フィラメントを有する糸を製造するための方法に関する。さらに本発明は、多数の個別フィラメントを有する糸を製造するための装置に関する。
【0002】
さらに、本発明は、本発明による方法もしくは本発明による装置により製造された、多数の個別フィラメントを有する糸にも関する。
【0003】
背景技術
多数の個別フィラメントから成る糸(ヤーン)を製造するための方法および装置ならびにこのような糸は、多数が一般に知られている。「個別フィラメント」とは、本明細書中ではモノフィラメントを意味する。特に個別フィラメントが、ステープルファイバ(短繊維)、すなわち比較的小さな長さを有するフィラメントである場合に、完成した糸における個別フィラメントの強度および結合度を改善するために、個別フィラメントは紡出方法の途中で互いにねじり合わされる。ねじりに対して択一的に、硬化性の樹脂または硬化可能な樹脂を使用して個別フィラメントをいわば互いに接着し、これにより十分な結合度を有する複合体を得ることもできる。樹脂含量を有するこのような糸は、繊維複合材料である。
【0004】
公知の糸において不都合となるのは、このことから後加工の枠内で製造された面状繊維形成物、つまりテキスタイルファブリック(織布、編地、経編地、緯編地、スクリム、フリース等)またはこれらのテキスタイルファブリックから別の加工の過程で製造された半製品(プロファイル、プレート、ストリップ等)を、その静的および動的な特性に関して計算することが極めて困難なことである。特に、糸から成るテキスタイルファブリックの場合では、固体静力学の広い分野において現在提供されている大きなコンピュータ容量を用いて1つの構成部分における負荷の、極めて正確な数値測定を可能にする有限要素法(FEM)は役に立たない。
【0005】
さらに、糸と、これらの糸を結合する樹脂とから成る公知の複合材料の欠点は、樹脂含量が極めて高い点にある。このことは、このような複合材料の強度を減少させるだけでなく、コストをも高める。なぜならば、樹脂は比較的高価であるからである。さらに、大量の樹脂の使用は、環境観点もしくは資源節約の観点でも、問題であるとみなされなければならない。なぜならば、樹脂はたいていの場合、原油製品から製造されているからである。
【0006】
課題
本発明の根底を成す課題は、高い強度、機械的な負荷状態の簡単な数値計算可能性および少ない樹脂消費量によりすぐれている、面状繊維形成物もしくはテキスタイルファブリックまたはこれらのテキスタイルファブリックを使用して製造された半製品を得るための後加工のために適している糸(ヤーン)を製造することのできる、糸を製造するための方法および装置を提供することである。
【0007】
解決手段
上で挙げた課題は、方法技術的な点では、冒頭で述べた形式の方法から出発して、個別フィラメントを有利にはそれぞれ互いに間隔を置いてエンドレスに案内して、溶剤を含有しかつ少なくとも1つの物理的な量および/または化学的な物質の作用により架橋可能である流動性の樹脂で被覆し、被覆された個別フィラメントを引き続き緊密化して、該個別フィラメントと、該個別フィラメントを結束するように取り囲む樹脂とから成る、ガス封入物を有しない複合体を形成し、該複合体から次いで乾燥過程中に、樹脂に含まれた溶剤を駆出し、このときにモノフィラメント糸として提供された複合体を、樹脂の未架橋の状態で巻き取り、全ての個別フィラメントを前記全ての方法ステップの間、平行な(つまり一方向の)向きに保持することにより解決される。
【0008】
本発明はまず、以下のような認識を前提としている。すなわち、公知先行技術において標準的にかつ当然のように使用されるような1本の糸の個別フィラメントのねじりは、ねじられた糸から別の加工ステップにおいて面状繊維形成物もしくはテキスタイルファブリック(樹脂を含有するあとからの複合材料の構成要素である)を製造したい場合、およびこのテキスタイルファブリックから場合によっては樹脂の添加下に別の半製品を製造したい場合に極めて不都合となることである。つまり、個別フィラメントのねじりは、流動性の樹脂を使用して多数の糸をあとで結合して繊維複合材料を形成する際に極めて不都合となる。なぜならば、糸の長手方向軸線周りの中央の範囲への樹脂の侵入がほぼ排除されているからである。それというのも、ねじられた個別フィラメントが内側の範囲をいわば密に閉鎖して、樹脂の侵入に対して遮蔽してしまうからである。このことから、糸のための強度損失が生ぜしめられる。なぜならば、この糸の内部は樹脂が存在しないことに基づいて十分な結合を有しないからである。
【0009】
この問題は、本発明による方法を用いると、既に個別フィラメントの被覆および引き続き行われるコンパクションもしくは緊密化により解決される。これにより、その全横断面にわたって個別フィラメントと、これらの個別フィラメントを取り囲む樹脂とからのみ成る複合体が形成される。適当な緊密化法により、複合体の横断面におけるガス封入物は排除されている。これによって、本発明による方法により製造されている糸では、樹脂の架橋後に、糸の内部においても、卓越した結合が与えられている。なぜならば、糸の内部にも樹脂の接着作用が十分に生じるからである。したがって、強度は著しく向上され、負荷を数値的に測定する可能性が改善される。
【0010】
しかし、本発明は以下のような付加的な認識にも基づいている。すなわち、糸を引き続き加工してテキスタイルファブリックまたはこのようテキスタイルファブリックから樹脂添加下に引き続き製造された半製品を形成する場合に、硬化された樹脂を有する糸の使用が(ねじられた、しかし樹脂を含有していない糸の使用と同様に)目的に適っているのではなく、最終製品において糸に付与したい形に糸がもたらされた後ではじめて樹脂の架橋が行われる場合に、テキスタイルファブリックまたはこのようなテキスタイルファブリックから製造された半製品における個別フィラメントの卓越した結合が得られることである。未架橋の樹脂状態において糸は本発明によればまだ互いに相対的に運動可能な、互いに対して平行に延びる個別フィラメントを有しているので、この糸から製造したい比較的大きな構造体の互いに隣接し合った糸の間には、できるだけ大きな接触面を用いた極めて良好な接触が得られる。すなわち、加圧下に糸の極めて広範囲に及ぶ平坦化または扁平化を得ることができる(方形横断面の方向で)。このことから、たとえば交差し合う糸の間での、いわば面状の接触面が得られる。このことは樹脂の架橋後の製造された製品の特別な強度をもたらすと共に、完成製品における個別フィラメントの高い含量に基づいて樹脂の消費量を極端に減少させる。なぜならば、個別フィラメントによって埋められていない自由空間が劇的に減じられるからである。
【0011】
したがって、本発明の思想は、すべて糸製造の終了後に行われる1つまたは複数の別の方法ステップの後に、製造したい構造体の所望の最終形状が達成されるまで、樹脂の架橋を引き留めておくことにあり、これにより、完成した製品において多数の糸の間の結合もしくは該糸に含まれている個別フィラメントの間の結合を得ることができたあとではじめて樹脂の結合ポテンシャルが使用される。すなわち、本発明によれば、新規半製品「未架橋の樹脂を有するマルチフィラメント糸」(個別フィラメントの一方向の向きを有する)が提供される。この新規半製品では、樹脂がその乾燥後に、個別フィラメント複合体を接合して、取扱い可能なモノフィラメント糸を形成し、かつあとに続く加工ステップ中にこの形に維持するという重要な中間役割を果たす。このことは、たとえば、完成製品または別の完成製品への途中における半製品を得るための糸のあとからの搬送、繰出し、織り合わせ、編み合わせ、交絡のためにも、またはフリース製造時等にも云える。したがって、取扱いの観点で見ると、未架橋の樹脂に基づきあとからの架橋過程の前に(特に圧力負荷を受けて)個別フィラメントの互いに相対的な移動下に把持され得るモノフィラメント糸が得られる。この場合、緊密化された形は架橋後に完成製品または半製品の最終的な形として維持される。樹脂の乾燥(すなわち溶剤除去)は少なくとも、樹脂の粘度が第1には個別フィラメントの結合を確保し、第2には巻き取られた糸が、ボビンにおける互いに隣接し合った巻き条または糸の間に付着して、別の使用のためにはもはや整然とした状態では繰出し不可能となることを阻止する程度に行われなければならない。
【0012】
樹脂被覆の特に簡単な手段は、個別フィラメントを、樹脂の浴内への浸漬により被覆し、ただし個別フィラメントを有利には連続的に浴に引き通すことにある。これにより、極めて均一な樹脂塗被を得ることができる。また、択一的な被覆方法ではフィラメントに場合によっては到達しない材料による樹脂損失もほとんど生じない。このような浴の容量は極めて小さく保持され得る。このことは樹脂材料の交換時または停止状態において好都合となる。
【0013】
本発明をさらに改良するためには、個別フィラメントの緊密化のために少なくとも1つのノズルを使用することが提案される。このノズルに、被覆された多数の個別フィラメントが引き通される。この場合、ノズルの内室が円錐台形状に形成されていると望ましい。これにより、緊密化された個別フィラメントがノズルの開放横断面から進出する際に、過剰樹脂は、ノズルの内室内に引き留められる。出口開口へ向かって狭まるノズル横断面により、個別フィラメントの運動中に動圧が発生させられる。この動圧は第1にあとからの全糸横断面の、樹脂による良好な充填を可能にし、特に中心範囲の充填をも可能にし、ひいてはあとからの糸横断面において生じる恐れのあるガス成分をいわば完全に除去する。ノズルは樹脂の浴内に設けられていると有利である。
【0014】
特に有利には、本発明による方法を、以下に挙げるフィラメントタイプを用いて実施することができる:
a)合成ポリマ、特にアラミド、有利にはパラ−アラミドから成るフィラメント、
b)炭素(カーボン)から成るフィラメント、
c)ガラスから成るフィラメント、
d)鉱物、特に玄武岩から成るフィラメント、
e)金属(線材)、特に鋼から成るフィラメント。
【0015】
個別フィラメントが、3〜30μmの範囲、有利には4〜20μmの範囲、さらに有利には6〜10μmの範囲の直径を有しており、かつ/または緊密化された複合体が、3〜30μmの範囲、有利には4〜20μmの範囲、さらに有利には6〜10μmの範囲の直径を有しており、かつ/または緊密化された複合体が、150μm〜10mmの範囲、有利には200μm〜2mm、さらに有利には250μm〜1.0mmの範囲の直径を有しており、かつ/または乾燥されたモノフィラメント糸が、120μm〜10mmの範囲、有利には160μm〜1.6mmの範囲、さらに有利には220μm〜0.9mmの範囲の直径を有していることが望ましい。
【0016】
さらに、モノフィラメント糸が、以下に挙げる間隔から成る個別フィラメントの個数から構成されていることが望ましい:
100〜3000本、有利には150〜2000本、さらに有利には200〜1000本。
【0017】
使用された樹脂は、以下の樹脂タイプのグループから選択され得る:
a)フェノールホルムアルデヒド樹脂
b)アミノプラスト樹脂
c)エポキシ樹脂
d)ポリエステル樹脂
e)ABS樹脂
f)シリコーン樹脂、
または上に挙げた樹脂タイプのうちの少なくとも2種の樹脂タイプの混合物。
【0018】
本発明の改良形では、樹脂が、乾燥の前に10〜70%、有利には20〜50%、さらに有利には30〜40%の溶剤含量、有利には水含量を有していることが提案される。
【0019】
本発明による方法の特に有利な実施態様では、被覆されかつ緊密化された複合体から、強制圧送された空気を用いた対流および/または電磁放射線、特に赤外線および/またはマイクロ波放射線によって溶剤を駆出することができる。この場合、意図されていない架橋を確実に阻止するために、乾燥過程において温度を有利には70〜110℃の範囲、有利には80〜100℃の範囲に保持することが望ましい。
【0020】
個別フィラメントにおける樹脂の付着を改善しかつ樹脂浴中への空気の持込みを減少させるためには、個別フィラメントを、樹脂による被覆の前に50〜80℃、有利には60〜70℃の温度にまで加熱することができる。
【0021】
特別な特性を有する糸を得ると同時に、糸を複数の要求に関して最適化するためには、個別フィラメントの緊密化された複合体の内側ゾーンに、第1のタイプの個別フィラメントが存在しており、この内側ゾーンに半径方向外側に向かって続いた少なくとも1つの外側ゾーンに、別のタイプの個別フィラメントが存在していてよい。選択的には、「コア」と(第1の)「外套」とから成るこのような糸タイプに、さらに半径方向外側に向かって第2の外側ゾーンの形の別の「外套」が続いていてよい。この第2の外側ゾーンには、第1の外側ゾーンとは異なるタイプの個別フィラメントが配置されている。こうして、種々異なる用途、たとえば純然たる強度最適化、摩耗最適化、火災防止、遮熱、遮音等のための最適な特性を有する糸を得ることができる。種々のタイプの個別フィラメントの互いに仕切られた範囲を有するこのような糸では、各ゾーンの間の境界を、糸長手方向軸線に対して同軸的に向けられている円筒面により形成することが望ましい。
【0022】
個別フィラメントを被覆の前にクリーニングし、特にクリーニング液の浴内で洗浄し、かつ/または樹脂流を促進する前被覆体を施与し、この場合、個別フィラメントをクリーニング中に有利には個別化して案内すると、被覆過程中の樹脂流が改善され、ひいては樹脂−個別フィラメント複合体中の空気封入物の残留が回避される。
【0023】
上で述べた本発明の根底を成す課題は、装置技術的な観点では、多数の個別フィラメントを有する糸を製造するための装置において、当該装置が、以下に挙げる特徴:
−互いに平行に向けられた多数の個別フィラメントのための少なくとも1つの供給装置が設けられており、
−被覆装置が設けられており、該被覆装置を用いて、それぞれ有利には互いに対して間隔を置いて案内された個別フィラメントの各周面が、溶剤を含有しかつ少なくとも1つの物理的な量および/または化学的な物質の作用により架橋可能である流動性の樹脂で被覆可能であり、
−コンパクション装置が設けられており、該コンパクション装置を用いて、多数の個別フィラメントと、付着した樹脂とにより占められた横断面が縮小されて、個別フィラメントと、該個別フィラメントを結束するように取り囲む樹脂とから成る、ガス封入物を有しない複合体が形成可能であり、
−乾燥装置が設けられており、該乾燥装置を用いて、樹脂に含まれている溶剤が、緊密化された複合体から駆出可能であり、
−巻取り装置が設けられており、乾燥された複合体は該巻取り装置を用いて、個別フィラメントがねじりなしに配置されるように引張応力を最小限に抑えられて巻取り可能である、
を有することを特徴とする、糸を製造するための装置により解決される。
【0024】
このような装置を用いて、本発明による方法を特に簡単に実施することができる。
【0025】
被覆装置が、樹脂の浴を有する容器であり、該浴を通って多数の個別フィラメントが個別化されて案内可能であると有利である。
【0026】
良好な緊密化結果を簡単に得るためには、コンパクション装置が少なくとも1つのノズルを有しており、該ノズルの内室が円錐台形の形状を有していることが望ましい。少なくともノズルが樹脂浴中に配置されていると有利である。
【0027】
互いに異なるタイプの個別フィラメントを有する少なくとも2つのゾーンを備えた糸を製造することができ、ひいては組み合わされた特性を有する糸を形成するためには、コンパクション装置が、内側のノズルと、該内側のノズルに対して同軸的に配置された外側のノズルとを有していることが提案される。内側のノズルの先端部と、円錐台形状の内室を有する外側のノズルの内側の周面との間には、環状ギャップが設けられていると有利である。したがって、この場合には、内側のノズルの開口横断面を通って第1のタイプの多数の個別フィラメントが案内可能であり、ノズルの間の前記環状ギャップを通って第2のタイプの多数の個別フィラメントが案内可能である。こうして、外側のノズルの出口横断面で、緊密化された複合体を形成することができる(組合せ複合体)。この複合体は、第1のタイプの個別フィラメントの内側ゾーンと、第2のタイプの個別フィラメントの外側ゾーンとを有している。個別フィラメントの良好な結合を保証し、かつあとで、形成された最終製品の高い強度を保証するためには、両タイプの全ての個別フィラメントの間の間隙が、樹脂で完全に満たされており、両タイプの全ての個別フィラメントが、組合せ複合体中で互いに平行に延びている。
【0028】
緊密化過程中の当該装置の精密調整のためには、外側のノズルが、軸方向で内側のノズルに対して移動可能であって、種々異なる位置に位置固定可能であってよい。
【0029】
本発明によれば、糸の全容量における樹脂の有利な含量が、2〜15%、さらに有利には5〜12%である。
【0030】
実施形態
以下に、前記方法を実施するための装置ならびに本発明による糸の1実施形態を図面につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】装置の縦断面図である。
【図2a】図1に示した装置のコンパクション装置の平面図である。
【図2b】図1に示した装置のコンパクション装置の側面図である。
【図2c】図1に示した装置のコンパクション装置の正面図である。
【図3a】図2a〜図2cに示したコンパクション装置の外側ノズルと、挿入された内側ノズルとを示す斜視図である。
【図3b】図2a〜図2cに示したコンパクション装置の外側ノズルを、挿入された内側ノズルと共に示す別の斜視図である。
【図4a】図2a〜図2cに示したコンパクション装置の外側ノズルを示す斜視図である。
【図4b】図2a〜図2cに示したコンパクション装置の内側ノズルを示す斜視図である。
【図5】1つの内側ゾーンと2つの外側ゾーンとを備えた糸の横断面図である。
【図6】互いに隣接した3本の個別フィラメントを有する、図5に示した糸の一部を示す拡大図である。
【0032】
図1に示した、糸2を製造するための装置1は、主要コンポーネントとして2つの繰出し装置Aと、個々に図示するのではなく線5,6によって示した、互いに異なる2種類のタイプの多数のモノフィラメントをそれぞれ供給するための2つの供給装置3,4と、クリーニング装置Rと、被覆装置7と、コンパクション装置8と、乾燥装置9(概略的にのみ示す)と、モノフィラメント糸2を巻き取るための巻取り装置10とを有している。
【0033】
繰出し装置Aは、個別フィラメントの束のねじれなしの繰出しを可能にするので、特に「オーバヘッド繰出し(Ueber Kopf-Abwickeln)」は排除されている。
【0034】
両供給装置3,4は軽度に湾曲させられた管体11,12である。モノフィラメントである個別フィラメントは個別化された形でこれらの管体11,12に通されて案内される。個別フィラメントは、図示されていないが公知先行技術に基づき公知である別の巻取り装置によってそれぞれねじりなしに繰り出される。
【0035】
まず、モノフィラメントの両束はクリーニング装置Rのクリーニング液(プライマ)の浴またはカーテンを通って案内され、それからモノフィラメントの両束は引き続きこのように前処理されて被覆装置7へ案内される。
【0036】
被覆装置7は、容器13により形成される。容器13内には、流動性の樹脂14の浴が存在している。両タイプの多数の個別フィラメントがそれぞれこの浴を通って走行する。したがって、全ての個別フィラメントの浸漬被覆が行われる。図示されていない接続部を介して、樹脂浴の液面高さ15が保持され、特に糸被覆時の樹脂の連続的な消費量が補償される。
【0037】
図2a、図2bおよび図2cに3つの方向から見た図で別個に図示されているコンパクション装置8は、内側のノズル16と、この内側のノズル16に対して同軸的に配置された外側のノズル17とから成っている。両ノズル16,17は図3a、図3bおよび図4a、図4bに再度詳細に、種々の斜視図で図示されている。
【0038】
内側のノズル16は円錐台形状の外側の周面18と、より小さな円錐頂角を有する内側の周面19とを有している。内側の周面19は内側のノズル16の内室20を画定しており、この場合、内室20では、内側のノズル16の先端部21に配置された開口横断面22にまで、あとで糸2の内側ゾーンを生ぜしめる多数の個別フィラメントの緊密化、すなわち半径方向の圧縮が行われる。
【0039】
外側のノズル17は段付けされた円筒状の外側の周面23と、円錐台形状の内側の周面とを有しており、この内側の周面の円錐頂角は内側のノズル16の円錐台形状の外側の周面18の円錐頂角よりも大きく形成されている。両ノズル16,17の内室20,25内への両タイプの個別フィラメント繊維束の継続された運動によって、それぞれ有効となる環状横断面もしくは円形横断面は、両ノズル16,17の各入口横断面26,27を起点として連続的に減少し、これにより個別フィラメントへの緊密化作用が生じる。
【0040】
外側のノズル17の出口横断面28では、緊密化過程の終了時にモノフィラメント糸2が提供される。このモノフィラメント糸2は横断面で見て個別フィラメントの比較的密な配置を有しており、この場合、個別フィラメントの間の間隙は樹脂14で完全に満たされており、ガス封入物を有していない。
【0041】
重要となるのは、あとでモノフィラメント糸2の外側ゾーンを形成する個別フィラメントが、まずほぼ横断面円形の、またはあとで扁平となる、ほぐされた繊維束として供給装置3の管体11を通って装置1に進入することである。内側のノズル16と外側のノズル17との間の環状室の範囲では、ノズル16,17の軸方向で見て、内側のノズル16の外側の周面18への外側の個別フィラメントの巻付き(周方向における分配)が生じる。その結果、外側の個別フィラメントは遅くとも内側のノズル16の開口横断面22の範囲において、横断面で見て閉じられたリングを形成する。このリングは、内側のノズル16から進出した、あとで糸2の内側ゾーンを形成する、ほぼ横断面円形に配置された個別フィラメントを完全に取り囲む。
【0042】
内側のノズル16の内側の円錐頂角は約1.5〜2.5゜、有利には2.0であり、内側のノズル16の外側の円錐頂角は約10〜15゜、有利には約12゜である。外側のノズル17の内側の円錐頂角は約15〜20゜、有利には約18゜である。
【0043】
乾燥装置9では、前で説明したように形成されたモノフィラメント糸2が、マイクロ波放射線および/または熱空気対流等を使用して乾燥させられる。すなわち、この場合には水により形成された、樹脂14の溶剤が樹脂から除去されるので、粘度は増大し、接着特性、ひいては個別フィラメントの結合度が改善される。しかし、物理的な方法での乾燥のだけが行われ、樹脂14のモノマの化学的な架橋は行われない。
【0044】
乾燥装置9から進出した後に、モノフィラメント糸2は、巻取り装置10において相応するボビン29に巻き取られ得る程度に安定化され、この場合にはもはや「接着特性」を有していない。本発明による方法において重要となるのは、個別フィラメントが、両タイプの本実施形態の場合には、製造プロセスのいかなる個所においても互いにねじり合わされないことである。全製造方法の間、全ての個別フィラメントの平行な向き、すなわち一方向の向きが維持され、このことは、ボビン29に巻き取られた「完成した」糸2にも云える。
【0045】
図1ならびに図2a〜図2cにつき、内側のノズル16が第1のノズルキャリヤ30に取り付けられていることが判る。外側のノズル17は第2のノズルキャリヤ31に取り付けられていて、しかも雄ねじ山区分32によって、この雄ねじ山区分32と協働する第2のノズルキャリヤ31の雌ねじ山区分33にねじ込まれる。これにより、軸線34を中心にした外側のノズル17の回転中に二重矢印35に沿った外側のノズル17の水平方向の移動を達成することができる。これにより、緊密化パラメータを個別に調節することができる。図面からはさらに、両ノズルキャリヤ30,31がベースプレート36とねじ締結されていることが判る。この場合、ベースプレート36は容器13の底面37に配置されている。両ノズル16,17、両ノズルキャリヤ30,31、ベースプレート36ならびに結合のために使用されるねじは、特殊鋼から成っている。同じことは、容器13および供給装置3,4の管体11,12にも云える。
【0046】
さらに図3a、図3bならびに図4a、図4bから判るように、内側のノズル16はその円錐台形状の前側部分に続いて管状の後側部分を有しており、この後側部分は段部38のところで前側部分に続いている。開口横断面39を有する後側部分を用いて、内側のノズル16を、管状のノズルホルダ41の相応して適合された拡張された孔区分40に挿入することができる。ノズルホルダ41は第1のノズルキャリヤ30に結合されている。
【0047】
上記装置1を用いて、横断面円形の内側ゾーンが、炭素(カーボン)から成る約100〜2000本の個別フィラメントから成る糸2を製造することができる。この内側ゾーンを取り囲むように配置された横断面環状の外側ゾーンは、やはり約100〜2000本の個別フィラメントを有している。これらの個別フィラメントは、たとえばガラスまたはセラミックスから成っていてよい。両フィラメントタイプの直径は約5〜25μm、有利には約8〜20μmであってよい。有利には、同一タイプの個別フィラメントはすべて同じ直径を有しており、また全てのフィラメントタイプが同じ直径を有していてもよい。
【0048】
樹脂14はこの場合、シリコーン樹脂混合物から成っている。特に適しているのは、ワッカーヒェミー社(Fa. Wacker Chemie AG, ミュンヘン、ドイツ連邦共和国)の、商品名「WS40」で市販されているシリコーン樹脂である。
【0049】
シリコーン樹脂の架橋は、あとからの時点で、完成した糸が再びボビン29から繰り出されて、半製品または最終製品(テキスタイルファブリックまたは三次元の構造体)を形成するように加工され、ひいてはこの部分の最終的な形状が規定されたときに行われる。架橋温度は140℃よりも上にあり、この場合、有利には約最大500N/mmの圧力が加えられる。未架橋の糸2の後加工は本願の対象ではない。
【0050】
図5に示した択一的な糸2´は、上記装置1を用いて製造された糸2に比べて3ゾーン構造を有している。内側ゾーン42は横断面円環状の第1の外側ゾーン43によって取り囲まれ、この第1の外側ゾーン43は半径方向外側に向かってやはり横断面円環状の第2の外側ゾーン44によって取り囲まれる。図5に示した実施形態では、内側ゾーン42の個別フィラメント45がカーボン繊維により形成されており、第1の外側ゾーン43の個別フィラメント46が玄武岩から形成されており、第2の外側ゾーン44の個別フィラメント47がシリコーンから形成されている。念のため付言しておくと、個別フィラメント45,46,47は各ゾーン内の本数に関して寸法通りには図示されていない。既に装置1の製品としての糸2に関して説明したように、内側ゾーン42には有利には少なくとも約100本の個別フィラメントが存在している。両外側ゾーン43,44には、選択された層厚さに応じて、典型的には相応してより多くの個別フィラメント、すなわち約500〜1500本の個別フィラメントが存在している。
【0051】
糸2´は、本発明による方法により製造された全ての糸と同様に、3つのゾーン全てにおいて個別フィラメント45,46,47の極めて高い充填密度によりすぐれている。図6に例示的に抜粋された3つの個別フィラメント47において図示されている間隙48は、横断面で見て典型的な楔形状を有している(湾曲させられた辺を有する三角形)。実際には、見かけ上の接触線49または接触面の範囲にも樹脂から成る薄い中間層が存在している。これにより、個別フィラメント47と樹脂とから成る複合体の強度は樹脂のあとからの架橋のために改善される。糸2´を外側に対して画定する個別フィラメント47では、破線50により画定された範囲においても個別フィラメント47を取り囲むように樹脂14が存在しており、また隣接した個別フィラメント47の間に形成された楔形部51においても樹脂14が存在する。全体的には、本発明による方法もしくは糸2,2´において樹脂消費量は最小限に抑えられている。
【0052】
特に、強度特性もしくは強度と質量との比が重要となる場合(航空飛行、宇宙飛行、安全技術等)には、高い価格に基づいて、アラミドモノフィラメント、特にパラ−アラミドモノフィラメントが使用される。ガラス繊維は、満足し得る特性を有する廉価な材料である。熱強度、つまり耐熱性に高い要求が課せられた場合には、セラミック繊維または玄武岩繊維を使用することができる。耐摩耗性のモノフィラメントは、たいてい外側ゾーンにおいて使用され、高い引張強度を有するようなモノフィラメントは、たいてい内側ゾーンにおいて使用される。
【符号の説明】
【0053】
1 装置
2,2´ 糸
3 供給装置
4 供給装置
5 線
6 線
7 被覆装置
8 コンパクション装置
9 乾燥装置
10 巻取り装置
11 管体
12 管体
13 容器
14 樹脂
15 液面高さ
16 内側のノズル
17 外側のノズル
18 外側の周面
19 内側の周面
20 内室
21 先端部
22 開口横断面
23 外側の周面
24 内側の周面
25 内室
26 入口横断面
27 入口横断面
28 出口横断面
29 ボビン
30 ノズルキャリヤ
31 ノズルキャリヤ
32 雄ねじ山区分
33 雌ねじ山区分
34 軸線
35 二重矢印
36 ベースプレート
37 底面
38 段部
39 開口横断面
40 孔区分
41 ノズルホルダ
42 内側ゾーン
43 第1の外側ゾーン
44 第2の外側ゾーン
45 個別フィラメント
46 個別フィラメント
47 個別フィラメント
48 間隙
49 接触線
50 破線
51 楔形部
R クリーニング装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の個別フィラメント(45,46,47)を有する糸(2,2´)を製造するための方法であって、該個別フィラメント(45,46,47)を、溶剤を含有しかつ少なくとも1つの物理的な量および/または化学的な物質の作用により架橋可能である流動性の樹脂(14)で被覆し、被覆された個別フィラメント(45,46,47)を引き続き緊密化して、該個別フィラメント(45,46,47)と、該個別フィラメント(45,46,47)を結束するように取り囲む樹脂(14)とから成る、ガス封入物を有しない複合体を形成し、該複合体から次いで乾燥過程中に、樹脂(14)に含まれた溶剤を駆出し、モノフィラメント糸(2,2´)として提供された複合体を、樹脂(14)の未架橋の状態で巻き取り、全ての個別フィラメントを前記全ての方法ステップの間、平行な向きに保持することを特徴とする、糸を製造するための方法。
【請求項2】
個別フィラメント(45,46,47)を、樹脂(14)の浴内への浸漬により被覆し、ただし個別フィラメント(45,46,47)を有利には連続的に浴に引き通す、請求項1記載の方法。
【請求項3】
緊密化をノズル(16,17)内で行い、該ノズル(16,17)に、被覆された多数の個別フィラメント(45,46,47)を引き通し、しかもノズル(16,17)の内室(20,25)が円錐台形状に形成されているので、緊密化された個別フィラメント(45,46,47)がノズル(16,17)の開放横断面から進出する際に、過剰樹脂(14)を、ノズル(16,17)の内室(20,25)内に引き留める、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
個別フィラメント(45,46,47)が、以下に挙げるフィラメントタイプのうちの少なくとも1つを有している:
a)合成ポリマ、特にアラミド、有利にはパラ−アラミドから成るフィラメント、
b)炭素(カーボン)から成るフィラメント、
c)ガラスから成るフィラメント、
d)鉱物、特に玄武岩から成るフィラメント、
e)金属(線材)、特に鋼から成るフィラメント、
請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
個別フィラメント(45,46,47)が、3〜30μmの範囲、有利には4〜20μmの範囲、さらに有利には6〜10μmの範囲の直径を有しており、かつ/または緊密化された複合体が、150μm〜10mmの範囲、有利には200μm〜2mm、さらに有利には250μm〜1.0mmの範囲の直径を有しており、かつ/または乾燥されたモノフィラメント糸が、120μm〜10mmの範囲、有利には160μm〜1.6mmの範囲、さらに有利には220μm〜0.9mmの範囲の直径を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
モノフィラメント糸が、以下に挙げる間隔から成る個別フィラメントの個数から構成されている:
100〜3000本、有利には150〜2000本、さらに有利には200〜1000本、
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
樹脂(14)が、以下の樹脂タイプのグループから選択されている:
a)フェノールホルムアルデヒド樹脂
b)アミノプラスト樹脂
c)エポキシ樹脂
d)ポリエステル樹脂
e)ABS樹脂
f)シリコーン樹脂、
または上に挙げた樹脂タイプのうちの少なくとも2種の樹脂タイプの混合物から成っている、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
樹脂(14)が、乾燥の前に10〜70%、有利には20〜50%、さらに有利には30〜40%の溶剤含量、有利には水含量を有している、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
被覆されかつ緊密化された複合体から、強制圧送された空気を用いた対流および/または電磁放射線、特に赤外線および/またはマイクロ波放射線によって溶剤を駆出し、この場合、乾燥過程において温度を有利には70〜110℃の範囲、有利には80〜100℃の範囲に保持する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
個別フィラメント(45,46,47)を、樹脂(14)による被覆の前に50〜80℃、有利には60〜70℃の温度にまで加熱する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
個別フィラメント(45,46,47)の緊密化された複合体の内側ゾーン(42)に、第1のタイプの個別フィラメント(45)が存在しており、該内側ゾーン(42)に半径方向外側に向かって続いた少なくとも1つの外側ゾーン(43)に、別のタイプの個別フィラメント(46)が存在しており、選択的に該外側ゾーン(43)に半径方向外側に向かって続いた別の外側ゾーン(44)に、第1の外側ゾーン(43)とは異なるタイプの個別フィラメント(47)が存在している、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
各ゾーンの間の境界を、糸長手方向軸線に対して同軸的に位置している円筒面により形成する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
個別フィラメントを被覆の前にクリーニングし、特にクリーニング液の浴内で洗浄し、かつ/または樹脂流を促進する前被覆体を施与し、この場合、個別フィラメント(45,46,47)をクリーニング中に有利には個別化して案内する、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
多数の個別フィラメントを有する糸(2)を製造するための装置(1)において、
−互いに平行に向けられた多数の個別フィラメントのための少なくとも1つの供給装置(3,4)が設けられており、
−被覆装置(7)が設けられており、該被覆装置(7)を用いて個別フィラメントの各周面が、溶剤を含有しかつ少なくとも1つの物理的な量および/または化学的な物質の作用により架橋可能である流動性の樹脂(14)で被覆可能であり、
−コンパクション装置(8)が設けられており、該コンパクション装置(8)を用いて、多数の個別フィラメントと、付着した樹脂(14)とにより占められた横断面が縮小されて、個別フィラメントと、該個別フィラメントを結束するように取り囲む樹脂(14)とから成る、ガス封入物を有しない複合体が形成可能であり、
−乾燥装置(9)が設けられており、該乾燥装置(9)を用いて、樹脂(14)に含まれている溶剤が、緊密化された複合体から駆出可能であり、
−巻取り装置(10)が設けられており、乾燥された複合体は該巻取り装置(10)を用いて、個別フィラメントがねじれなしに配置されるように引張応力を最小限に抑えられて巻取り可能である、
ことを特徴とする、糸を製造するための装置。
【請求項15】
被覆装置(7)が、樹脂(14)の浴を有する容器(13)であり、該浴を通って多数の個別フィラメントが個別化されて案内可能である、請求項14記載の装置。
【請求項16】
コンパクション装置(8)が少なくとも1つのノズル(16,17)を有しており、該ノズル(16,17)の内室(20,25)が円錐台形の形状を有している、請求項14または15記載の装置。
【請求項17】
コンパクション装置(8)が、内側のノズル(16)と、該内側のノズル(16)に対して同軸的に配置された外側のノズル(17)とを有しており、内側のノズル(16)の先端部(22)と、円錐台形状の内室(25)を有する外側のノズル(17)の内側の周面との間に、環状ギャップが設けられており、内側のノズル(16)の開口横断面(22)を通って第1のタイプの多数の個別フィラメントが案内可能であり、前記環状ギャップを通って第2のタイプの多数の個別フィラメントが案内可能であり、外側のノズル(17)の出口横断面(28)で、緊密化された複合体が形成可能であり、該複合体が、第1のタイプの個別フィラメントから成る内側ゾーンと、第2のタイプの個別フィラメントから成る外側ゾーンとを有しており、両タイプの全ての個別フィラメントの間の間隙が、樹脂(14)によって完全に満たされており、両タイプの全ての個別フィラメントが、互いに平行に向けられている、請求項16記載の装置。
【請求項18】
外側のノズル(17)が、軸方向で内側のノズル(16)に対して移動可能であって、種々異なる位置に位置固定可能である、請求項17記載の装置。
【請求項19】
多数の個別フィラメント(45,46,47)と、架橋可能な樹脂(14)とから成る糸(2´)において、該糸(2´)の全横断面が、樹脂(14)と個別フィラメント(45,46,47)とによって完全に満たされており、樹脂(14)が、未架橋の状態で、ただし実質的に溶剤不含に提供されており、個別フィラメント(45,46,47)が、互いに一方向に配置されていることを特徴とする糸。
【請求項20】
当該糸(2´)の横断面を取り囲む包絡線が、ほぼ円形の形状を有している、請求項19記載の装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−526205(P2012−526205A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−509013(P2012−509013)
【出願日】平成22年5月4日(2010.5.4)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056038
【国際公開番号】WO2010/128048
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(511268476)
【氏名又は名称原語表記】Faisal H.−J. Knappe
【住所又は居所原語表記】Friedhofstr. 10, D−97475 Zeil am Main, Germany
【Fターム(参考)】