多数台連系した太陽光発電システムの出力抑制回避方法及びその装置
【課題】太陽光発電システムが多数台連系された配電系統において、既存の装置に機能を付加しただけで、需要家(住宅)間の出力抑制量の不平等を是正することができる。
【解決手段】或る時刻における配電系統に太陽光発電システム6が多数台連系された地域の全軒の住宅5のPCS7の端電圧を測定し、そのうち、最も高い電圧を示した住宅5のPCS7の端電圧と、電力管理値の設定値である107.5Vの差分を算出し、その最も高い電圧を示した住宅5のPCS7の整定値を107.5Vとし、その他の住宅5のPCS7の整定値を、上記測定した各電圧に上記差分を加算した電圧として、各住宅5にPCS7の電圧上昇抑制機能動作電圧を設定する。
【解決手段】或る時刻における配電系統に太陽光発電システム6が多数台連系された地域の全軒の住宅5のPCS7の端電圧を測定し、そのうち、最も高い電圧を示した住宅5のPCS7の端電圧と、電力管理値の設定値である107.5Vの差分を算出し、その最も高い電圧を示した住宅5のPCS7の整定値を107.5Vとし、その他の住宅5のPCS7の整定値を、上記測定した各電圧に上記差分を加算した電圧として、各住宅5にPCS7の電圧上昇抑制機能動作電圧を設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽光システムが多数台連系された配電系統において、当該配電系統における太陽光の出力抑制を回避する方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に同一の配電系統から給電される複数の需要家(住宅)に太陽光発電(PV)システムが設置されるようになってきている。太陽光発電システムは、太陽電池パネルで発生した直流電力をパワーコンディショナ(PCS)で交流電力に変換して当該需要家の負荷に給電し、余剰電力は交流系統側に逆潮流している。
【0003】
太陽光発電システムが同一の配電系統に多数台連系された場合、各住宅から流出する逆潮流電力により、系統電圧が上昇する。特に、ゴールデンウイーク等の発電電力が大きく負荷電力が少ない時期においては、電圧が電気事業法で定められた上限値と内線電圧上昇分を加算した電圧管理値を逸脱するケースが想定される。
【0004】
この場合PVシステムは適正電圧を維持するための運用が求められ、各住宅のPCSに具備されている電圧上昇抑制機能(進相無効電力制御機能、出力抑制機能)により、電圧管理値を逸脱した場合は、図12に示すように、特に端末に連系される一部の住宅において、電圧上昇時に出力抑制機能が動作し、発電電力が抑制される(以下、出力抑制)運用が行われる。この様なPVシステムの電圧上昇抑制機能は、例えば、下記の特許文献1の段落0003に記載されている。
【0005】
この場合、十分な日射があるにも関わらず、発電出力が抑制され発電効率が低下する。また、太陽光発電の容量や系統構成が住宅により異なることから、特定の住宅に発電効率の低下が偏ることも考えられる。
【0006】
一方、電圧上昇対策として、PCSは受電点の力率が85%以上になる範囲で、進相無効電力制御運転が許可されており、これにより適正電圧が維持できる場合は、発電出力を抑制する必要はないが、住宅間で電圧のばらつきが発生することから、出力抑制量は住宅毎に異なる。
【0007】
【特許文献1】特開2008−154334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この様に太陽光発電システムの多数台連系時は、住宅間で電圧のばらつきが発生するが、全住宅間の出力抑制量を最小化し、住宅間のばらつきを補整するための電圧上昇抑制機能の制御方法が確立されていない。電圧上昇抑制機能を全軒で同じ整定値(事前に各PCSで設定する電圧上昇抑制機能が動作する電圧)にする場合は、住宅間で出力抑制量や無効電力出力に不公平等が生じることが考えられる。この結果出力抑制が大きく発生する住宅では、売電量が少なく、出力抑制がそれほど発生しない住宅では、売電量が多くなるので、収入の少ない住宅と、多い住宅が生じ、収入の不平等が発生することになる。
【0009】
即ち、住宅毎に取り付けられているPCSには、電圧上昇抑制機能が具備されているので、十分な日射があっても、その地域の電圧が上昇している場合は、PCSの出力抑制の機能が働いて、逆潮流する電力量(発電効率)は低下する。
【0010】
しかし、昼間は、太陽光発電の発電量が非常に大きくなるため、住宅毎の消費電力が異なっても、前記発電量に比べて消費電力が小さい。このため、昼間の消費電力は住宅間に大きな差が生じない。
【0011】
そこで、この発明はこれらの従来技術に鑑み、太陽光発電システムが多数台連系された配電系統において、既存の装置に機能を追加するだけで、当該配電系統の全需要家の出力抑制量を最小化し、需要家間の出力抑制量の不平等を是正することができる、太陽光発電システムの出力抑制回避方法及びそのシステムを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、一配電系統の複数の需要家に太陽光発電装置が連系されて設けられた地域において、前記太陽光発電装置を設けた需要家のPCSが、電圧上昇時に電圧管理値を逸脱しないようにするために、或る時刻における地域の全需要家のPCSの端電圧を測定し、最も高い電圧を示した需要家のPCSの端電圧と電圧管理値の差分を算出し、その最も高い電圧を示した需要家のPCSの整定値を電圧管理値と同じ値とし、その他の需要家のPCSの整定値を、上記測定した各電圧に上記差分を加算した値として、各需要家にPCSの整定値を設定することを特徴とする、多数台連系した太陽光発電システムの逆潮流における電圧上昇時の出力抑制回避方法とした。
【0013】
請求項2の発明は、一配電系統の複数の需要家に太陽光発電装置が連系されて設けられた地域において、前記太陽光発電装置に設けた需要家のPCSが、電圧上昇時に電圧管理値を逸脱しないようにするために、前記各太陽光発電システムのPCSとサーバとを接続し、当該サーバからの指令により前記各PCSはPCS端電圧を測定し、当該測定電圧をサーバに送信し、サーバではこれらの各PCSの端電圧の最も高い電圧を示した需要家のPCSの端電圧と電圧管理値との差分を算出し、その最も高い電圧を示した需要家のPCSの整定値を電圧管理値と同じ値とし、その他の需要家のPCSの整定値を、上記測定した各電圧に上記差分を加算した値として、各需要家にPCSの整定値を設定し、これらの設定電圧を各PCSに送信する機能を有し、各PCSはサーバから送信された整定値を設定する構成としたことを特徴とする、多数台連系した太陽光発電システムの逆潮流における電圧上昇時の出力抑制回避システムとした。
【0014】
また、請求項3の発明は、前記サーバが、設定された時間又は条件が充足されると自動的に前記各PCSに、各PCSの前記整定値を測定するよう指令し、各PCSの測定電圧データを収集して演算し、各PCSの整定値を設定して、再設定可能な各PCSの制御部に送信する構成とした、請求項2に記載の多数台連系した太陽光発電システムの逆潮流における電圧上昇時の出力抑制回避システムとした。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明のように、各需要家にPCSの整定値を設定することにより、上記全需要家の電力出力抑制量を最小化し、需要家間の電力出力抑制量と無効電力出力のばらつきを最小化し、同一配電系統における需要家の売電量の不平等を是正することができ、当該配電系統の全体の電圧上昇を抑制することができる。
【0016】
また、請求項2の発明は、上記請求項1の発明の効果に加え、各需要家の太陽光発電システムのPCSと接続されたサーバを設け、このサーバにより、各需要家のPCSの端電圧の測定、演算、整定値の設定をIT化し、自動的に処理することができる。
【0017】
さらに、請求項3の発明によれば、前記配電系統のPVシステムが増設されたり、区間開閉器の変更等により系統構成の変化が生じた場合や季節による発電量と負荷量の変動した場合により設定条件や設定された時刻が充足されると自動的に前記サーバが作動して、各PCSの整定値を設定するため、需要家間の不平等をきめ細かに解消できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
この発明は、或る時刻における配電系統に太陽光発電装置が多数台連系された地域の全需要家のPCSの端電圧を測定し、そのうち、最も高い電圧を示した需要家のPCSの端電圧と、電気事業法の上限値と内線電圧上昇分を加算した電圧管理値を算出し、例えばその最も高い電圧を示した需要家のPCSの整定値を上記電圧管理値である107.5Vとし、その他の需要家のPCSの整定値を、上記測定した各電圧に上記差分を加算した電圧として、各需要家にPCSの整定値を設定することを特徴とする、多数台連系した太陽光発電システムの出力抑制回避方法とした。
【0019】
これにより、上記全需要家の電力出力抑制量を最小化し、需要家間の電力出力抑制量と無効電力出力のばらつきを最小化できる。
【実施例1】
【0020】
以下、この発明の実施例1を図に基づいて説明する。図1はこの発明の方法に使用する配電系統に太陽光発電が多数台連系された需要家(住宅)の連系を示す概略構成図である。
【0021】
図1において、変電所1から高圧配電線2が導出され、この高圧配電線2に間隔をあけて複数の柱上変圧器3が設けられている。これらの各柱上変圧器3から低圧配電線4を介して複数の住宅5に電力が供給されており、各住宅5には、太陽光発電システム6が設けられ、これらの各太陽光発電システム6にはパワーコンディショナ(PCS)7が設けられ、各住宅5の太陽光発電システム6の太陽電池パネルで発生した直流電力をPCS7で交流電力に変換して当該住宅5の負荷8に給電し、余剰電力は配電系統側に逆潮流している。
【0022】
また、各住宅5のPCS7とインターネットやLANや無線を介して、サーバ9とが接続されている。勿論PCS7とサーバ9とは電力線経由(PLC)でも可能である。又、図1ではサーバ9は各PCS7から離れている箇所に設置されているように記載されているが、このサーバ9はある特定のPCS7に設けられていても良く、また、電力供給会社、その他の場所に設置されていても良い。
【0023】
さらに前記各PCS7では、電圧の測定機能、外部からの制御信号で前記整定値の変更機能、電圧管理値を維持するための電圧コントロール機能等を持っている。また、ある一定時刻に前記サーバ9は、各PCS7に対して電圧測定を指令する機能、また、各PCS7からの測定電圧を受信して記録し、最も高い電圧を示した住宅5のPCS7のPCS端電圧と、当該配電系統における電圧管理値との差分を算出し、その最も高い電圧を示した住宅5のPCS7のPCS端電圧を電圧管理値と同じ値とし、その他の住宅5のPCS7の整定値を、上記測定した各電圧に上記差分を加算して設定する機能、また、この様に各住宅5のPCS7の整定値を決定し、これを各住宅5のPCS7に送信する機能を有している。従って、各住宅5のPCS7はサーバ9からの整定値を受信すると、その整定値に変更する。
【0024】
この様な一つの配電系統において、全軒の出力抑制量を最小化し、住宅間の出力抑制量及び無効電力出力のばらつきを最小化するためのPCSの整定値の整定方法を確立した。
【0025】
具体的な方法は、図2及び以下の通りである。
ステップS1:午前10時頃の発電出力にて、各住宅5のPCS7の端電圧を測定する。ただし、電圧上昇抑制機能が動作している場合は、電圧上昇抑制機能が動作しなくなるまで変電所1の送り出し電圧を下げる。
ステップS2:ステップS1で計測した中で最も電圧が高いPCS7の端電圧(Vmax)と電圧管理値の上限である107.5Vの差分ΔVを算出する。
ステップS3:Vmaxが計測された住宅5のPCS7の整定値を107.5Vとする。
ステップS4:他の住宅5のPCS7は、1.で計測した端電圧にΔVを加算した電圧を整定値とする。
【0026】
以下に一般的な配電系統構成における出力抑制回避に対する進相無効電力制御の効果及び住宅ごとの動作電圧の整定方法についてシミュレーションを実施し、検証する。
【0027】
図3は、前記配電系統構成のうちの、高圧配電系統の構成を示し、変電所1からの高電圧配線2に同間隔で柱上変圧器3が分布する構成とし、電線はAL120mm2とした。また、図4は、低圧配電線4により一つの柱上変圧器3から15軒の住宅5に供給する構成であり、低圧配電線4にALOC120mm2を、低圧引込線にSV14mm2を、住宅用分電盤からPV用PCSまでの電線にCV5.5mm2を用いている。
【0028】
また、発電・負荷電力パターンは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)事業「集中連系型太陽光発電システム実証研究」にて、群馬県太田市の一般住宅553軒で実測された発電電力を平均化して使用することとした。代表日として、年間で出力抑制の発生が最も懸念されるゴールデンウイークの一日(2007/4/29)を抽出した。図5にシミュレーションに使用した発電・負荷パターンを示す。この日の1日の発電電力量は21.7kWh、負荷電力量は21.9kWh、逆潮流電力量は15.5kWhであった。
【0029】
配電線の送り出し電圧は、系統側で電圧制御を行わない条件でPVシステム多数台連系による出力抑制への影響を確認するため、6660V(低圧換算値106.0V)で固定した。
【0030】
PCSの電圧制御に関しては、出力抑制制御及び進相無効電力制御の仕様は、出力抑制機能、進相無効電力制御共に動作電圧が、107.5Vであり、復帰電圧は動作電圧より、0.2V低い107.3Vとなっており、進相無効電力制御は、力率を1〜0.85と設定している。
【0031】
進相無効電力の注入方法としては、PVの発電電力を維持しつつ追加で系統電源を用いて無効電力を注入する制御方法を用いることとした。系統電圧上昇時のPCSの電圧制御機能の動作は、潮流計算の結果、系統電圧が適正値を逸脱している場合は、適正範囲に収まるまで力率を低下(進相無効電力を出力)させ、力率が設定値まで到達しても電圧が適正値を上回る場合は、適正電圧に収まるように出力制御機能が動作する、という2つのステップで電圧制御を行う。
【0032】
次に、図12で説明したとおり、PVシステムを同一配電系統へ多数台連系する場合、系統の末端に向かって電圧が上昇し易くなる。従って、出力抑制量も系統の連系位置により住宅間でばらつきが生じることが想定される。そこで、全体の出力抑制量及び住宅間の出力抑制量及び無効電力出力のばらつきを最小化するためのアルゴリズムを3段階のアプローチで検討する。
【0033】
第1段の目標は、進相無効電力制御による出力抑制量の低減効果を確認することとした。この検討では、進相無効電力制御機能をマスクした場合、力率設定0.85で進相無効電力制御機能を有効にした場合の出力抑制量を比較する。ただし、配電線距離は2km刻みで0〜10kmとし、全軒でPCS電圧制御の整定値を統一させ、柱上変圧器単位で最も出力抑制量の大きい住宅の出力抑制量で評価することとした。
【0034】
第2段の目標は、無効電力を極力出力せずに、出力抑制量を最小化するためのPCS電圧制御整定値を確立することとした。この検討では、進相無効電力制御の力率設定をパラメータとして出力抑制量の全軒の総和の低減に対する影響を把握する。ただし、配電線距離を2km刻みで0〜10kmとし、全軒でPCS電圧制御の整定値を統一させ、全軒の出力抑制回避率(式2参照)で評価することとした。
【0035】
図6にPCS有効電力3kW時の設定力率に対する無効電力・皮相電力の出力を示す。図6より、PCS容量(皮相電力)が最も大きくなるのは、力率が0.85の場合であり、この場合無効電力が約1.8kvar、PCS容量が約3.5kVAになることが解かる。
【0036】
第3段の目標は、第2段の目標を維持しつつさらに、住宅間の出力抑制量及び無効電力注入量のばらつきを最小化するための電圧制御整定値を確立することとした。この検討では、住宅毎の進相無効電力制御の力率設定及びPCS電圧制御の動作電圧(Vo:Operating voltage)をパラメータとした場合の、出力抑制量の全軒の総和及び各住宅の出力抑制量及び無効電力出力のばらつきに対する影響を把握する。本来であれば、PCS電圧制御機能全体の最適化を行うために、動作電圧以外にも復帰電圧や変化速度をパラメータとすべきであるが、今回は本質的な制御ロジックには手を加えず、復帰電圧は式1に示す通り、動作電圧から0.2V低い値に固定することとした。なお、今回の制御ロジックでは、出力抑制機能及び進相無効電力制御機能の動作・復帰電圧の整定値は共通である。
【0037】
Vr=Vo−0.2………式1
Vr:PCS電圧制御復帰電圧
Vo:PCS電圧制御動作電圧
【0038】
次に、出力抑制量の最小化及び住宅間の出力抑制量及び無効電力注入量のばらつきを最小化する整定値を確立するためのシミュレーション条件について検討を行った。表1に今回実施する6パターンのシミュレーション条件を示す。
【0039】
【表1】
【0040】
表1に示した6パターンの内、Tr−1、Tr−2は低圧配電線単位で住宅間の出力抑制量及び無効電力のばらつきを是正するための設定パラメータである。高圧配電線の潮流による電圧のばらつきを補正することはできないが、小規模の系統で動作電圧を決定できるという利点がある。一方、All−1、All−2、All−3は同一配電線における全てのPVシステムの動作電圧を変更する方法である。具体的な動作電圧の決定方法は、図7を用いて説明する。
【0041】
All−1、All−2、All−3の各住宅の動作電圧は以下の手順で決定する。
1. 変電所と各住宅の電位差の算出
PCSの電圧制御が動作しないように送り出し電圧を下げた状態で、図5に示す発電・負荷パターンを用いて潮流計算を行う。逆潮流が最も大きい時間(AM11:34)と逆潮流を開始する時間(AM6:55)を3等分し、逆潮流電力が異なる夫々の時間(AM8:28、AM10:01、AM11:34)で変電所と各住宅の電位差を算出する。
2. 各住宅の電圧上昇抑制機能の動作電圧の決定
最も電圧が上昇しやすいTr5TM1の動作電圧を107.5Vとして、前記1.で算出した電位分布を基に、それ以外の住宅の電圧上昇抑制機能の動作電圧を決定する。AM8:28の逆潮流電圧を用いて算出した電圧上昇抑制機能の動作電圧をAll−1、AM10:01を用いて算出した電圧上昇抑制機能の動作電圧をAll−2、AM11:34の逆潮流電力を用いて算出した電圧上昇抑制機能の動作電圧をAll−3とそれぞれ定義する。
【0042】
前記で示したパラメータを用いてシミュレーション解析により出力抑制量を算出した。図8にPCS制御が出力抑制機能のみ及び進相無効電力制御を併用した場合の各柱上変圧器中最も出力抑制量が大きい住宅の1日の出力抑制量を示す。
【0043】
図8の(a)図に示すように、進相無効電力制御を併用しない場合(出力抑制機能出力抑制機能のみ)は、高圧配電線の全長が0kmでも、最悪ケースで出力抑制が発生しない理想発電電力量(21.7kWh)の約18%に相当する最大約4kWhの出力抑制が発生すること及び高圧配電線の全長が10kmの場合、最悪ケースで、理想発電電力量の約47%に相当する10.1kWhの出力抑制が発生する住宅があることが確認できた。一方、(b)図に示すように、進相無効電力制御を併用した場合については、大幅に出力抑制量が低下し、高圧配電線の線路長によらず、出力抑制量がほぼ零になることが確認できた。
【0044】
また、上記の結果から、進相無効電力制御の力率設定値を変えたことによる出力抑制量の変化への効果を確認することとした。これは式2で定義する出力抑制回避率、各住宅の出力抑制量及び無効電力出力の分布を用いて実施することとした。
【0045】
【数1】
【0046】
図9に設定力率と出力抑制回避量の相関を、図10に高圧配電線全長10kmの場合の住宅毎の出力抑制量及び進相無効電力出力の分布をそれぞれ示す。なお、図10の(b)図の無効電力は、当該住宅で皮相電力が最も大きい時間のデータを抽出した。
【0047】
図9より、いずれのケースにおいても、設定力率を下げるほど出力抑制回避率は上昇し、配電線距離10km・設定力率0.85の場合に、出力抑制回避率は最大で約25%になることが確認できた。
【0048】
また、各住宅の無効電力・出力抑制量は、図10に示す通り設定力率によらず、住宅1が最も大きく、住宅7が最も小さいことが確認できた。この傾向は、進相無効電力制御の力率設定を小さくすればするほど顕著になることから、住宅間の出力抑制量及び無効電力出力のばらつき補整という観点からは、好ましくない運用ということになる。
【0049】
これらの結果を踏まえて次のステップとして、住宅毎にPCS電圧制御整定値を変えることによる住宅間の出力抑制量及び無効電力ばらつき低減効果の検証を行った。各住宅の整定値は、低圧配電線単位の住宅間の出力抑制量及び無効電力のばらつきを是正するために柱上変圧器単位で差を付ける方法と同一配電線における全PVシステムの動作電圧を変更する方法の2通りで検証した。前者は柱上変圧器内の電圧分布で整定値を決定できるという利点がある。
一方、後者は、配電線全体の電圧分布を考慮できるという利点があるが、全ての住宅を模擬する詳細シミュレーションが必要になるという欠点がある。
【0050】
実際今回実施したシミュレーションでは、前者は柱上変圧器内の電圧分布に従い電圧上昇し易い住宅、中間の住宅、電圧上昇し難い住宅に0.1V若しくは0.2V整定値の差を付けるという手法をとったが、後者の電圧分布は、PCSの電圧制御機能が動作しないように送り出し電圧を下げ、逆潮流が最も大きい時間(AM11:34)と逆潮流が開始する時間(AM6:55)を3等分し、逆潮流電力が異なるそれぞれの時間(AM8:28、AM10:01、AM11:34)で変電所と各住宅の電位差を算出し、最も電圧が上昇するTr5TM1の電圧上昇抑制機能の動作電圧を107.5Vとして算出した電位分布を基に整定値を決定するというプロセスでシミュレーションを実施した。
【0051】
シミュレーションの結果、AM11:34の逆潮流電力で算出した整定値(All−3)で運用する場合が、最も出力抑制回避率が高くなり、全軒で同じ整定値を使用する場合と比較して約10%出力抑制回避率が高くなることが確認できた。しかし、この運用では、住宅間の出力抑制量及び無効電力出力のばらつきが大きいという欠点があることが確認できた。一方、AM10:01の逆潮流電力で算出した整定値(All−2)で運用する場合は、出力抑制回避率はAll−3と同等で且つ住宅間の出力抑制損失量及び無効電力出力の標準偏差が全ての運用の中で最も小さくなることが確認できた。これを定量的に評価するため、出力抑制回避率、住宅間の出力抑制量のばらつき、無効電力のばらつきに重み関数を与え、総合評価を行った。
【0052】
すなわち、総合評価は、(1)出力抑制回避率、(2)住宅間の出力抑制量のばらつき、(3)無効電力出力のばらつきの3項目を評価項目とした。
【0053】
出力抑制回避のための電圧制御機能を最適化するためには、上記3項目はいずれも重要であるが、ロスの低減という観点から重要度に差をつけられることが可能な評価を行うこととした。評価は式3で定義する規格化した出力抑制回避率、住宅間の出力抑制量のばらつき、無効電力出力のばらつきを用いて式4に示す判定係数Jcで実施した。
【0054】
【数2】
【0055】
【数3】
【0056】
判定係数Jcは、出力抑制回避率が最も大きく、住宅間の出力抑制量及び無効電力出力のばらつきがない場合に1と最も大きくなる。また、重み係数は、各パラメータの重要度を考慮し、値にα、β、γにつけたケースを2パターン(α=1、β=0.5、γ=0.5)、(α=1、β=0.5、γ=0.25)とα、β、γを同じ値とするケース(α、β、γ=1)の3通りを設定し評価をじっしすることとした。図11に各条件の判定係数算出結果を示す。
【0057】
図11から、今回設定した重み係数及び力率条件では、いずれのケースにおいてもAll−2が最も判定係数が大きく、その中でも力率設定0.875〜0.9が最も判定係数が大きくなることから、この運用が今回設定した条件における最も効率的なものでることが分かった。
【0058】
なお、以上のシミュレーションから、整定値の設定をAM10:01としているが、この発明はこの時刻に限定されるものではない。
各需要家の負荷や発電電力の変動等の設定条件や設定された時刻が充足されると自動的に前記サーバが作動して、各PCS7により各PCS7の電圧を測定し、各PCS7に動作電圧を設定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】この発明の実施例1の方法に使用する配電系統に太陽光発電が多数台連系された需要家(住宅)の連系を示す概略構成図である。
【図2】この発明の実施例1における各PCSの整定値の整定方法を示すフロー図である。
【図3】この発明の実施例1のシミュレーションにおける高圧配電系統の構成図である。
【図4】この発明の実施例1のシミュレーションにおける低圧配電系統の構成図である。
【図5】この発明の実施例1のシミュレーションにおける発電・負荷パターングラフ図である。
【図6】この発明の実施例1のシミュレーションにおけるPCS有効電力3kW時の設定力率に対する無効電力・皮相電力の関係を示すグラフ図である。
【図7】この発明の実施例1のシミュレーションにおける配電系統の各住宅の動作決定方法の構成図である。
【図8】この発明の実施例1のシミュレーションにおける1日の出力抑制損失量を示すグラフ図であり、(a)図は出力抑制制御のみの場合、(b)図は進相無効電力制御と出力抑制制御を併用した場合の同グラフ図である。
【図9】この発明の実施例1のシミュレーションにおける設定力率と出力抑制回避率の相関を示すグラフ図である。
【図10】この発明の実施例1のシミュレーションにおける出力抑制量及び無効電力の住宅毎の分布グラフ図であり、(a)図は出力抑制量、(b)図は無効電力の場合を示す。
【図11】この発明の実施例1のシミュレーションにおける判定係数算出結果を示すグラフ図であり、(a)図、(b)図、(c)図は夫々相互に係数を変化させた場合を示す。
【図12】配電系統における出力抑制発生のイメージ図である。
【符号の説明】
【0060】
1 変電所 2 高圧配電線
3 柱上変圧器 4 低圧配電線
5 住宅 6 PVシステム
7 PCS 8 負荷
9 サーバ 10 PCS端電圧
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽光システムが多数台連系された配電系統において、当該配電系統における太陽光の出力抑制を回避する方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に同一の配電系統から給電される複数の需要家(住宅)に太陽光発電(PV)システムが設置されるようになってきている。太陽光発電システムは、太陽電池パネルで発生した直流電力をパワーコンディショナ(PCS)で交流電力に変換して当該需要家の負荷に給電し、余剰電力は交流系統側に逆潮流している。
【0003】
太陽光発電システムが同一の配電系統に多数台連系された場合、各住宅から流出する逆潮流電力により、系統電圧が上昇する。特に、ゴールデンウイーク等の発電電力が大きく負荷電力が少ない時期においては、電圧が電気事業法で定められた上限値と内線電圧上昇分を加算した電圧管理値を逸脱するケースが想定される。
【0004】
この場合PVシステムは適正電圧を維持するための運用が求められ、各住宅のPCSに具備されている電圧上昇抑制機能(進相無効電力制御機能、出力抑制機能)により、電圧管理値を逸脱した場合は、図12に示すように、特に端末に連系される一部の住宅において、電圧上昇時に出力抑制機能が動作し、発電電力が抑制される(以下、出力抑制)運用が行われる。この様なPVシステムの電圧上昇抑制機能は、例えば、下記の特許文献1の段落0003に記載されている。
【0005】
この場合、十分な日射があるにも関わらず、発電出力が抑制され発電効率が低下する。また、太陽光発電の容量や系統構成が住宅により異なることから、特定の住宅に発電効率の低下が偏ることも考えられる。
【0006】
一方、電圧上昇対策として、PCSは受電点の力率が85%以上になる範囲で、進相無効電力制御運転が許可されており、これにより適正電圧が維持できる場合は、発電出力を抑制する必要はないが、住宅間で電圧のばらつきが発生することから、出力抑制量は住宅毎に異なる。
【0007】
【特許文献1】特開2008−154334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この様に太陽光発電システムの多数台連系時は、住宅間で電圧のばらつきが発生するが、全住宅間の出力抑制量を最小化し、住宅間のばらつきを補整するための電圧上昇抑制機能の制御方法が確立されていない。電圧上昇抑制機能を全軒で同じ整定値(事前に各PCSで設定する電圧上昇抑制機能が動作する電圧)にする場合は、住宅間で出力抑制量や無効電力出力に不公平等が生じることが考えられる。この結果出力抑制が大きく発生する住宅では、売電量が少なく、出力抑制がそれほど発生しない住宅では、売電量が多くなるので、収入の少ない住宅と、多い住宅が生じ、収入の不平等が発生することになる。
【0009】
即ち、住宅毎に取り付けられているPCSには、電圧上昇抑制機能が具備されているので、十分な日射があっても、その地域の電圧が上昇している場合は、PCSの出力抑制の機能が働いて、逆潮流する電力量(発電効率)は低下する。
【0010】
しかし、昼間は、太陽光発電の発電量が非常に大きくなるため、住宅毎の消費電力が異なっても、前記発電量に比べて消費電力が小さい。このため、昼間の消費電力は住宅間に大きな差が生じない。
【0011】
そこで、この発明はこれらの従来技術に鑑み、太陽光発電システムが多数台連系された配電系統において、既存の装置に機能を追加するだけで、当該配電系統の全需要家の出力抑制量を最小化し、需要家間の出力抑制量の不平等を是正することができる、太陽光発電システムの出力抑制回避方法及びそのシステムを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、一配電系統の複数の需要家に太陽光発電装置が連系されて設けられた地域において、前記太陽光発電装置を設けた需要家のPCSが、電圧上昇時に電圧管理値を逸脱しないようにするために、或る時刻における地域の全需要家のPCSの端電圧を測定し、最も高い電圧を示した需要家のPCSの端電圧と電圧管理値の差分を算出し、その最も高い電圧を示した需要家のPCSの整定値を電圧管理値と同じ値とし、その他の需要家のPCSの整定値を、上記測定した各電圧に上記差分を加算した値として、各需要家にPCSの整定値を設定することを特徴とする、多数台連系した太陽光発電システムの逆潮流における電圧上昇時の出力抑制回避方法とした。
【0013】
請求項2の発明は、一配電系統の複数の需要家に太陽光発電装置が連系されて設けられた地域において、前記太陽光発電装置に設けた需要家のPCSが、電圧上昇時に電圧管理値を逸脱しないようにするために、前記各太陽光発電システムのPCSとサーバとを接続し、当該サーバからの指令により前記各PCSはPCS端電圧を測定し、当該測定電圧をサーバに送信し、サーバではこれらの各PCSの端電圧の最も高い電圧を示した需要家のPCSの端電圧と電圧管理値との差分を算出し、その最も高い電圧を示した需要家のPCSの整定値を電圧管理値と同じ値とし、その他の需要家のPCSの整定値を、上記測定した各電圧に上記差分を加算した値として、各需要家にPCSの整定値を設定し、これらの設定電圧を各PCSに送信する機能を有し、各PCSはサーバから送信された整定値を設定する構成としたことを特徴とする、多数台連系した太陽光発電システムの逆潮流における電圧上昇時の出力抑制回避システムとした。
【0014】
また、請求項3の発明は、前記サーバが、設定された時間又は条件が充足されると自動的に前記各PCSに、各PCSの前記整定値を測定するよう指令し、各PCSの測定電圧データを収集して演算し、各PCSの整定値を設定して、再設定可能な各PCSの制御部に送信する構成とした、請求項2に記載の多数台連系した太陽光発電システムの逆潮流における電圧上昇時の出力抑制回避システムとした。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明のように、各需要家にPCSの整定値を設定することにより、上記全需要家の電力出力抑制量を最小化し、需要家間の電力出力抑制量と無効電力出力のばらつきを最小化し、同一配電系統における需要家の売電量の不平等を是正することができ、当該配電系統の全体の電圧上昇を抑制することができる。
【0016】
また、請求項2の発明は、上記請求項1の発明の効果に加え、各需要家の太陽光発電システムのPCSと接続されたサーバを設け、このサーバにより、各需要家のPCSの端電圧の測定、演算、整定値の設定をIT化し、自動的に処理することができる。
【0017】
さらに、請求項3の発明によれば、前記配電系統のPVシステムが増設されたり、区間開閉器の変更等により系統構成の変化が生じた場合や季節による発電量と負荷量の変動した場合により設定条件や設定された時刻が充足されると自動的に前記サーバが作動して、各PCSの整定値を設定するため、需要家間の不平等をきめ細かに解消できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
この発明は、或る時刻における配電系統に太陽光発電装置が多数台連系された地域の全需要家のPCSの端電圧を測定し、そのうち、最も高い電圧を示した需要家のPCSの端電圧と、電気事業法の上限値と内線電圧上昇分を加算した電圧管理値を算出し、例えばその最も高い電圧を示した需要家のPCSの整定値を上記電圧管理値である107.5Vとし、その他の需要家のPCSの整定値を、上記測定した各電圧に上記差分を加算した電圧として、各需要家にPCSの整定値を設定することを特徴とする、多数台連系した太陽光発電システムの出力抑制回避方法とした。
【0019】
これにより、上記全需要家の電力出力抑制量を最小化し、需要家間の電力出力抑制量と無効電力出力のばらつきを最小化できる。
【実施例1】
【0020】
以下、この発明の実施例1を図に基づいて説明する。図1はこの発明の方法に使用する配電系統に太陽光発電が多数台連系された需要家(住宅)の連系を示す概略構成図である。
【0021】
図1において、変電所1から高圧配電線2が導出され、この高圧配電線2に間隔をあけて複数の柱上変圧器3が設けられている。これらの各柱上変圧器3から低圧配電線4を介して複数の住宅5に電力が供給されており、各住宅5には、太陽光発電システム6が設けられ、これらの各太陽光発電システム6にはパワーコンディショナ(PCS)7が設けられ、各住宅5の太陽光発電システム6の太陽電池パネルで発生した直流電力をPCS7で交流電力に変換して当該住宅5の負荷8に給電し、余剰電力は配電系統側に逆潮流している。
【0022】
また、各住宅5のPCS7とインターネットやLANや無線を介して、サーバ9とが接続されている。勿論PCS7とサーバ9とは電力線経由(PLC)でも可能である。又、図1ではサーバ9は各PCS7から離れている箇所に設置されているように記載されているが、このサーバ9はある特定のPCS7に設けられていても良く、また、電力供給会社、その他の場所に設置されていても良い。
【0023】
さらに前記各PCS7では、電圧の測定機能、外部からの制御信号で前記整定値の変更機能、電圧管理値を維持するための電圧コントロール機能等を持っている。また、ある一定時刻に前記サーバ9は、各PCS7に対して電圧測定を指令する機能、また、各PCS7からの測定電圧を受信して記録し、最も高い電圧を示した住宅5のPCS7のPCS端電圧と、当該配電系統における電圧管理値との差分を算出し、その最も高い電圧を示した住宅5のPCS7のPCS端電圧を電圧管理値と同じ値とし、その他の住宅5のPCS7の整定値を、上記測定した各電圧に上記差分を加算して設定する機能、また、この様に各住宅5のPCS7の整定値を決定し、これを各住宅5のPCS7に送信する機能を有している。従って、各住宅5のPCS7はサーバ9からの整定値を受信すると、その整定値に変更する。
【0024】
この様な一つの配電系統において、全軒の出力抑制量を最小化し、住宅間の出力抑制量及び無効電力出力のばらつきを最小化するためのPCSの整定値の整定方法を確立した。
【0025】
具体的な方法は、図2及び以下の通りである。
ステップS1:午前10時頃の発電出力にて、各住宅5のPCS7の端電圧を測定する。ただし、電圧上昇抑制機能が動作している場合は、電圧上昇抑制機能が動作しなくなるまで変電所1の送り出し電圧を下げる。
ステップS2:ステップS1で計測した中で最も電圧が高いPCS7の端電圧(Vmax)と電圧管理値の上限である107.5Vの差分ΔVを算出する。
ステップS3:Vmaxが計測された住宅5のPCS7の整定値を107.5Vとする。
ステップS4:他の住宅5のPCS7は、1.で計測した端電圧にΔVを加算した電圧を整定値とする。
【0026】
以下に一般的な配電系統構成における出力抑制回避に対する進相無効電力制御の効果及び住宅ごとの動作電圧の整定方法についてシミュレーションを実施し、検証する。
【0027】
図3は、前記配電系統構成のうちの、高圧配電系統の構成を示し、変電所1からの高電圧配線2に同間隔で柱上変圧器3が分布する構成とし、電線はAL120mm2とした。また、図4は、低圧配電線4により一つの柱上変圧器3から15軒の住宅5に供給する構成であり、低圧配電線4にALOC120mm2を、低圧引込線にSV14mm2を、住宅用分電盤からPV用PCSまでの電線にCV5.5mm2を用いている。
【0028】
また、発電・負荷電力パターンは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)事業「集中連系型太陽光発電システム実証研究」にて、群馬県太田市の一般住宅553軒で実測された発電電力を平均化して使用することとした。代表日として、年間で出力抑制の発生が最も懸念されるゴールデンウイークの一日(2007/4/29)を抽出した。図5にシミュレーションに使用した発電・負荷パターンを示す。この日の1日の発電電力量は21.7kWh、負荷電力量は21.9kWh、逆潮流電力量は15.5kWhであった。
【0029】
配電線の送り出し電圧は、系統側で電圧制御を行わない条件でPVシステム多数台連系による出力抑制への影響を確認するため、6660V(低圧換算値106.0V)で固定した。
【0030】
PCSの電圧制御に関しては、出力抑制制御及び進相無効電力制御の仕様は、出力抑制機能、進相無効電力制御共に動作電圧が、107.5Vであり、復帰電圧は動作電圧より、0.2V低い107.3Vとなっており、進相無効電力制御は、力率を1〜0.85と設定している。
【0031】
進相無効電力の注入方法としては、PVの発電電力を維持しつつ追加で系統電源を用いて無効電力を注入する制御方法を用いることとした。系統電圧上昇時のPCSの電圧制御機能の動作は、潮流計算の結果、系統電圧が適正値を逸脱している場合は、適正範囲に収まるまで力率を低下(進相無効電力を出力)させ、力率が設定値まで到達しても電圧が適正値を上回る場合は、適正電圧に収まるように出力制御機能が動作する、という2つのステップで電圧制御を行う。
【0032】
次に、図12で説明したとおり、PVシステムを同一配電系統へ多数台連系する場合、系統の末端に向かって電圧が上昇し易くなる。従って、出力抑制量も系統の連系位置により住宅間でばらつきが生じることが想定される。そこで、全体の出力抑制量及び住宅間の出力抑制量及び無効電力出力のばらつきを最小化するためのアルゴリズムを3段階のアプローチで検討する。
【0033】
第1段の目標は、進相無効電力制御による出力抑制量の低減効果を確認することとした。この検討では、進相無効電力制御機能をマスクした場合、力率設定0.85で進相無効電力制御機能を有効にした場合の出力抑制量を比較する。ただし、配電線距離は2km刻みで0〜10kmとし、全軒でPCS電圧制御の整定値を統一させ、柱上変圧器単位で最も出力抑制量の大きい住宅の出力抑制量で評価することとした。
【0034】
第2段の目標は、無効電力を極力出力せずに、出力抑制量を最小化するためのPCS電圧制御整定値を確立することとした。この検討では、進相無効電力制御の力率設定をパラメータとして出力抑制量の全軒の総和の低減に対する影響を把握する。ただし、配電線距離を2km刻みで0〜10kmとし、全軒でPCS電圧制御の整定値を統一させ、全軒の出力抑制回避率(式2参照)で評価することとした。
【0035】
図6にPCS有効電力3kW時の設定力率に対する無効電力・皮相電力の出力を示す。図6より、PCS容量(皮相電力)が最も大きくなるのは、力率が0.85の場合であり、この場合無効電力が約1.8kvar、PCS容量が約3.5kVAになることが解かる。
【0036】
第3段の目標は、第2段の目標を維持しつつさらに、住宅間の出力抑制量及び無効電力注入量のばらつきを最小化するための電圧制御整定値を確立することとした。この検討では、住宅毎の進相無効電力制御の力率設定及びPCS電圧制御の動作電圧(Vo:Operating voltage)をパラメータとした場合の、出力抑制量の全軒の総和及び各住宅の出力抑制量及び無効電力出力のばらつきに対する影響を把握する。本来であれば、PCS電圧制御機能全体の最適化を行うために、動作電圧以外にも復帰電圧や変化速度をパラメータとすべきであるが、今回は本質的な制御ロジックには手を加えず、復帰電圧は式1に示す通り、動作電圧から0.2V低い値に固定することとした。なお、今回の制御ロジックでは、出力抑制機能及び進相無効電力制御機能の動作・復帰電圧の整定値は共通である。
【0037】
Vr=Vo−0.2………式1
Vr:PCS電圧制御復帰電圧
Vo:PCS電圧制御動作電圧
【0038】
次に、出力抑制量の最小化及び住宅間の出力抑制量及び無効電力注入量のばらつきを最小化する整定値を確立するためのシミュレーション条件について検討を行った。表1に今回実施する6パターンのシミュレーション条件を示す。
【0039】
【表1】
【0040】
表1に示した6パターンの内、Tr−1、Tr−2は低圧配電線単位で住宅間の出力抑制量及び無効電力のばらつきを是正するための設定パラメータである。高圧配電線の潮流による電圧のばらつきを補正することはできないが、小規模の系統で動作電圧を決定できるという利点がある。一方、All−1、All−2、All−3は同一配電線における全てのPVシステムの動作電圧を変更する方法である。具体的な動作電圧の決定方法は、図7を用いて説明する。
【0041】
All−1、All−2、All−3の各住宅の動作電圧は以下の手順で決定する。
1. 変電所と各住宅の電位差の算出
PCSの電圧制御が動作しないように送り出し電圧を下げた状態で、図5に示す発電・負荷パターンを用いて潮流計算を行う。逆潮流が最も大きい時間(AM11:34)と逆潮流を開始する時間(AM6:55)を3等分し、逆潮流電力が異なる夫々の時間(AM8:28、AM10:01、AM11:34)で変電所と各住宅の電位差を算出する。
2. 各住宅の電圧上昇抑制機能の動作電圧の決定
最も電圧が上昇しやすいTr5TM1の動作電圧を107.5Vとして、前記1.で算出した電位分布を基に、それ以外の住宅の電圧上昇抑制機能の動作電圧を決定する。AM8:28の逆潮流電圧を用いて算出した電圧上昇抑制機能の動作電圧をAll−1、AM10:01を用いて算出した電圧上昇抑制機能の動作電圧をAll−2、AM11:34の逆潮流電力を用いて算出した電圧上昇抑制機能の動作電圧をAll−3とそれぞれ定義する。
【0042】
前記で示したパラメータを用いてシミュレーション解析により出力抑制量を算出した。図8にPCS制御が出力抑制機能のみ及び進相無効電力制御を併用した場合の各柱上変圧器中最も出力抑制量が大きい住宅の1日の出力抑制量を示す。
【0043】
図8の(a)図に示すように、進相無効電力制御を併用しない場合(出力抑制機能出力抑制機能のみ)は、高圧配電線の全長が0kmでも、最悪ケースで出力抑制が発生しない理想発電電力量(21.7kWh)の約18%に相当する最大約4kWhの出力抑制が発生すること及び高圧配電線の全長が10kmの場合、最悪ケースで、理想発電電力量の約47%に相当する10.1kWhの出力抑制が発生する住宅があることが確認できた。一方、(b)図に示すように、進相無効電力制御を併用した場合については、大幅に出力抑制量が低下し、高圧配電線の線路長によらず、出力抑制量がほぼ零になることが確認できた。
【0044】
また、上記の結果から、進相無効電力制御の力率設定値を変えたことによる出力抑制量の変化への効果を確認することとした。これは式2で定義する出力抑制回避率、各住宅の出力抑制量及び無効電力出力の分布を用いて実施することとした。
【0045】
【数1】
【0046】
図9に設定力率と出力抑制回避量の相関を、図10に高圧配電線全長10kmの場合の住宅毎の出力抑制量及び進相無効電力出力の分布をそれぞれ示す。なお、図10の(b)図の無効電力は、当該住宅で皮相電力が最も大きい時間のデータを抽出した。
【0047】
図9より、いずれのケースにおいても、設定力率を下げるほど出力抑制回避率は上昇し、配電線距離10km・設定力率0.85の場合に、出力抑制回避率は最大で約25%になることが確認できた。
【0048】
また、各住宅の無効電力・出力抑制量は、図10に示す通り設定力率によらず、住宅1が最も大きく、住宅7が最も小さいことが確認できた。この傾向は、進相無効電力制御の力率設定を小さくすればするほど顕著になることから、住宅間の出力抑制量及び無効電力出力のばらつき補整という観点からは、好ましくない運用ということになる。
【0049】
これらの結果を踏まえて次のステップとして、住宅毎にPCS電圧制御整定値を変えることによる住宅間の出力抑制量及び無効電力ばらつき低減効果の検証を行った。各住宅の整定値は、低圧配電線単位の住宅間の出力抑制量及び無効電力のばらつきを是正するために柱上変圧器単位で差を付ける方法と同一配電線における全PVシステムの動作電圧を変更する方法の2通りで検証した。前者は柱上変圧器内の電圧分布で整定値を決定できるという利点がある。
一方、後者は、配電線全体の電圧分布を考慮できるという利点があるが、全ての住宅を模擬する詳細シミュレーションが必要になるという欠点がある。
【0050】
実際今回実施したシミュレーションでは、前者は柱上変圧器内の電圧分布に従い電圧上昇し易い住宅、中間の住宅、電圧上昇し難い住宅に0.1V若しくは0.2V整定値の差を付けるという手法をとったが、後者の電圧分布は、PCSの電圧制御機能が動作しないように送り出し電圧を下げ、逆潮流が最も大きい時間(AM11:34)と逆潮流が開始する時間(AM6:55)を3等分し、逆潮流電力が異なるそれぞれの時間(AM8:28、AM10:01、AM11:34)で変電所と各住宅の電位差を算出し、最も電圧が上昇するTr5TM1の電圧上昇抑制機能の動作電圧を107.5Vとして算出した電位分布を基に整定値を決定するというプロセスでシミュレーションを実施した。
【0051】
シミュレーションの結果、AM11:34の逆潮流電力で算出した整定値(All−3)で運用する場合が、最も出力抑制回避率が高くなり、全軒で同じ整定値を使用する場合と比較して約10%出力抑制回避率が高くなることが確認できた。しかし、この運用では、住宅間の出力抑制量及び無効電力出力のばらつきが大きいという欠点があることが確認できた。一方、AM10:01の逆潮流電力で算出した整定値(All−2)で運用する場合は、出力抑制回避率はAll−3と同等で且つ住宅間の出力抑制損失量及び無効電力出力の標準偏差が全ての運用の中で最も小さくなることが確認できた。これを定量的に評価するため、出力抑制回避率、住宅間の出力抑制量のばらつき、無効電力のばらつきに重み関数を与え、総合評価を行った。
【0052】
すなわち、総合評価は、(1)出力抑制回避率、(2)住宅間の出力抑制量のばらつき、(3)無効電力出力のばらつきの3項目を評価項目とした。
【0053】
出力抑制回避のための電圧制御機能を最適化するためには、上記3項目はいずれも重要であるが、ロスの低減という観点から重要度に差をつけられることが可能な評価を行うこととした。評価は式3で定義する規格化した出力抑制回避率、住宅間の出力抑制量のばらつき、無効電力出力のばらつきを用いて式4に示す判定係数Jcで実施した。
【0054】
【数2】
【0055】
【数3】
【0056】
判定係数Jcは、出力抑制回避率が最も大きく、住宅間の出力抑制量及び無効電力出力のばらつきがない場合に1と最も大きくなる。また、重み係数は、各パラメータの重要度を考慮し、値にα、β、γにつけたケースを2パターン(α=1、β=0.5、γ=0.5)、(α=1、β=0.5、γ=0.25)とα、β、γを同じ値とするケース(α、β、γ=1)の3通りを設定し評価をじっしすることとした。図11に各条件の判定係数算出結果を示す。
【0057】
図11から、今回設定した重み係数及び力率条件では、いずれのケースにおいてもAll−2が最も判定係数が大きく、その中でも力率設定0.875〜0.9が最も判定係数が大きくなることから、この運用が今回設定した条件における最も効率的なものでることが分かった。
【0058】
なお、以上のシミュレーションから、整定値の設定をAM10:01としているが、この発明はこの時刻に限定されるものではない。
各需要家の負荷や発電電力の変動等の設定条件や設定された時刻が充足されると自動的に前記サーバが作動して、各PCS7により各PCS7の電圧を測定し、各PCS7に動作電圧を設定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】この発明の実施例1の方法に使用する配電系統に太陽光発電が多数台連系された需要家(住宅)の連系を示す概略構成図である。
【図2】この発明の実施例1における各PCSの整定値の整定方法を示すフロー図である。
【図3】この発明の実施例1のシミュレーションにおける高圧配電系統の構成図である。
【図4】この発明の実施例1のシミュレーションにおける低圧配電系統の構成図である。
【図5】この発明の実施例1のシミュレーションにおける発電・負荷パターングラフ図である。
【図6】この発明の実施例1のシミュレーションにおけるPCS有効電力3kW時の設定力率に対する無効電力・皮相電力の関係を示すグラフ図である。
【図7】この発明の実施例1のシミュレーションにおける配電系統の各住宅の動作決定方法の構成図である。
【図8】この発明の実施例1のシミュレーションにおける1日の出力抑制損失量を示すグラフ図であり、(a)図は出力抑制制御のみの場合、(b)図は進相無効電力制御と出力抑制制御を併用した場合の同グラフ図である。
【図9】この発明の実施例1のシミュレーションにおける設定力率と出力抑制回避率の相関を示すグラフ図である。
【図10】この発明の実施例1のシミュレーションにおける出力抑制量及び無効電力の住宅毎の分布グラフ図であり、(a)図は出力抑制量、(b)図は無効電力の場合を示す。
【図11】この発明の実施例1のシミュレーションにおける判定係数算出結果を示すグラフ図であり、(a)図、(b)図、(c)図は夫々相互に係数を変化させた場合を示す。
【図12】配電系統における出力抑制発生のイメージ図である。
【符号の説明】
【0060】
1 変電所 2 高圧配電線
3 柱上変圧器 4 低圧配電線
5 住宅 6 PVシステム
7 PCS 8 負荷
9 サーバ 10 PCS端電圧
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一配電系統の複数の需要家に太陽光発電装置が連系されて設けられた地域において、前記太陽光発電装置を設けた需要家のPCSが、電圧上昇時に電圧管理値を逸脱しないようにするために、或る時刻における地域の全需要家のPCS端電圧を測定し、最も高い電圧を示した需要家のPCSの端電圧と電圧管理値の差分を算出し、その最も高い電圧を示した需要家のPCSの整定値を電圧管理値と同じ値とし、その他の需要家のPCSの整定値を、上記測定した各電圧に上記差分を加算した値として、各需要家にPCSの整定値を設定することを特徴とする、多数台連系した太陽光発電システムの逆潮流における電圧上昇時の出力抑制回避方法。
【請求項2】
一配電系統の複数の需要家に太陽光発電装置が連系されて設けられた地域において、前記太陽光発電システムに設けた需要家のPCSが、電圧上昇可能時に電圧管理値を逸脱しないようにするために、前記各太陽光発電システムのPCSとサーバとを接続し、当該サーバからの指令により前記各PCSはPCS端電圧を測定し、当該測定電圧をサーバに送信し、サーバではこれらの各PCSの端電圧の最も高い電圧を示した需要家のPCSの端電圧と電圧管理値との差分を算出し、その最も高い電圧を示した需要家のPCSの整定値を電圧管理値と同じ値とし、その他の需要家のPCSの整定値を、上記測定した各電圧に上記差分を加算した値として、各需要家にPCSの整定値を設定し、これらの設定電圧を各PCSに送信する機能を有し、各PCSはサーバから送信された整定値を設定する構成としたことを特徴とする、多数台連系した太陽光発電システムの逆潮流における電圧上昇時の出力抑制回避システム。
【請求項3】
前記サーバが、設定された時間又は条件が充足されると自動的に前記各PCSに、各PCSの前記整定値を測定するよう指令し、各PCSの測定電圧データを収集して演算し、各PCSの整定値を設定して、再設定可能な各PCSの制御部に送信する構成とした、請求項2に記載の多数台連系した太陽光発電システムの逆潮流における電圧上昇時の出力抑制回避システム。
【請求項1】
一配電系統の複数の需要家に太陽光発電装置が連系されて設けられた地域において、前記太陽光発電装置を設けた需要家のPCSが、電圧上昇時に電圧管理値を逸脱しないようにするために、或る時刻における地域の全需要家のPCS端電圧を測定し、最も高い電圧を示した需要家のPCSの端電圧と電圧管理値の差分を算出し、その最も高い電圧を示した需要家のPCSの整定値を電圧管理値と同じ値とし、その他の需要家のPCSの整定値を、上記測定した各電圧に上記差分を加算した値として、各需要家にPCSの整定値を設定することを特徴とする、多数台連系した太陽光発電システムの逆潮流における電圧上昇時の出力抑制回避方法。
【請求項2】
一配電系統の複数の需要家に太陽光発電装置が連系されて設けられた地域において、前記太陽光発電システムに設けた需要家のPCSが、電圧上昇可能時に電圧管理値を逸脱しないようにするために、前記各太陽光発電システムのPCSとサーバとを接続し、当該サーバからの指令により前記各PCSはPCS端電圧を測定し、当該測定電圧をサーバに送信し、サーバではこれらの各PCSの端電圧の最も高い電圧を示した需要家のPCSの端電圧と電圧管理値との差分を算出し、その最も高い電圧を示した需要家のPCSの整定値を電圧管理値と同じ値とし、その他の需要家のPCSの整定値を、上記測定した各電圧に上記差分を加算した値として、各需要家にPCSの整定値を設定し、これらの設定電圧を各PCSに送信する機能を有し、各PCSはサーバから送信された整定値を設定する構成としたことを特徴とする、多数台連系した太陽光発電システムの逆潮流における電圧上昇時の出力抑制回避システム。
【請求項3】
前記サーバが、設定された時間又は条件が充足されると自動的に前記各PCSに、各PCSの前記整定値を測定するよう指令し、各PCSの測定電圧データを収集して演算し、各PCSの整定値を設定して、再設定可能な各PCSの制御部に送信する構成とした、請求項2に記載の多数台連系した太陽光発電システムの逆潮流における電圧上昇時の出力抑制回避システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−70598(P2012−70598A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215571(P2010−215571)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(899000068)学校法人早稲田大学 (602)
【出願人】(000141060)株式会社関電工 (115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(899000068)学校法人早稲田大学 (602)
【出願人】(000141060)株式会社関電工 (115)
【Fターム(参考)】
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