説明

多方向性フィルタを有する減圧、液体収集キャニスタ

【課題】組織部位からの創傷滲出液がキャニスタ内に収集され、液体が減圧源に達するのを防ぐ液体収集キャニスタを提供する。
【解決手段】減圧治療システムは、減圧治療を適用する組織部位から液体を収集するための液体収集キャニスタ102を具える。当該キャニスタ102は組織部位から液体を収集するように構成された第1の空間318と、フレーム304および非平面フィルタエレメントを有するフィルタ104とを具える。このフィルタ104は、フィルタエレメントによって第1の空間318から分離した第2の空間をキャニスタ102内に規定する。このフィルタエレメントは、第1の空間318から第2の空間へ液体が通過するのを十分に防ぐ。第2の空間が減圧に曝されると、フィルタエレメントは第1の空間318と第2の空間との間の気体連通を実質的に可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2008年6月4日提出の米国仮特許出願第61/058,830号の利益を主張するものであり、参照により本書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に減圧治療システムに関し、より具体的には、多方向におけるキャニスタの動作を可能にするフィルタを有する減圧、液体収集キャニスタに関するものである。
【背景技術】
【0003】
臨床研究および臨床診療は、組織部位の近傍に減圧を加えると、組織部位における新しい組織の成長を増強かつ促進させることを示してきた。この現象の適用例は非常に多いが、減圧の適用は特に、創傷治療において用いられてきた。この治療法(しばしば、医学界では「負圧創傷療法」、「減圧療法」、または「真空療法」と称される)は、上皮組織および皮下組織の移動、血流の向上、および創傷部における組織の微小変形を含む多くの利点を提供する。同時に、これらの利点は、肉芽組織の形成の向上および治癒促進をもたらす。一般に、減圧は、減圧源によって多孔質パッドまたは他のマニホルド装置を介して組織に加えられる。多くの場合、組織部位からの創傷滲出液および他の液体はキャニスタ内に収集され、液体が減圧源に達するのを防ぐ。
【発明の概要】
【0004】
既存の減圧システムおよび液体収集キャニスタが示す課題は、本書に記載された実施例のシステムおよび方法によって解決される。減圧治療を適用する組織部位から液体を収集するための液体収集キャニスタは、組織部位から液体を収集するように構成された第1の空間を具える。フレームと非平面フィルタエレメントとを有するフィルタが設けられる。このフィルタは、フィルタエレメントによって第1の空間から分離した第2の空間をキャニスタ内に規定する。このフィルタエレメントは、液体が第1の空間から第2の空間へ通過するのを実質的に防ぐ。フィルタエレメントは、第2の空間が減圧に曝された場合に、第1の空間と第2の空間との間の気体連通を実質的に可能にする。
【0005】
他の実施例では、減圧治療を適用する組織部位から液体を収集するための液体収集キャニスタは、第1の空間と第2の空間とを具える。第1の空間は組織部位から液体を収集するように構成され、第2の空間は減圧を受けるように構成されている。複数の気液分離器がキャニスタ内の第1の空間と第2の空間との間に配置され、これにより第1の空間内の液体が第2の空間に入るのを実質的に防ぐ。これらの複数の気液分離器が、第2の空間と第1の空間との間の気体の移動を可能にする。複数の気液分離器のうち少なくとも2つはほぼ平坦であって、2つのそれぞれは異なる平面内に配置される。
【0006】
さらに他の実施例では、減圧治療を適用する組織部位から液体を収集するための液体収集キャニスタは、組織部位からの液体を収集するように構成された第1の空間を具える。このキャニスタはさらに、キャニスタの壁上に位置するフィルタを具える。このフィルタはキャニスタの壁から延在している第1のチャンバを有し、壁と反対側の第1のチャンバの端部には開口部を具えている。フィルタはキャニスタの壁から延在している第2のチャンバを有し、壁と反対側の第2のチャンバの端部に開口部を具えている。第1のチャンバの開口部が、第1の空間と第1のチャンバとの間の連通を可能にする。第2のチャンバの開口部が、第1の空間と第2のチャンバとの間の連通を可能にする。第1のチャンバの開口部から壁までの距離は、第2のチャンバの開口部から壁までの距離よりも大きい。第1のチャンバの開口部の上に第1のフィルタエレメントが配置され、第2のチャンバの開口部の上に第2のフィルタエレメントが配置される。
【0007】
さらに他の実施例では、組織部位に減圧治療を適用するための減圧治療システムは、液体収集キャニスタを具える。このキャニスタは、組織部位から液体を収集するように構成された第1の空間と、フレームおよび非平面フィルタエレメントを有するフィルタとを具える。このフィルタは、フィルタエレメントによって第1の空間から分離した第2の空間をキャニスタ内に規定する。このフィルタエレメントは、液体が第1の空間から第2の空間へ通過するのを実質的に防ぐ。フィルタエレメントは、第1の空間と第2の空間との間の気体連通を実質的に可能にする。キャニスタはさらに、第1の空間に付随するキャニスタ入口と、第2の空間に付随するキャニスタ出口とを具える。減圧源はキャニスタ出口と流体連通するように設けられており、第2の空間に減圧を送達する。マニホルドは組織部位に配置され、キャニスタ入口と流体連通して減圧を組織部位に分配する。
【0008】
さらに他の実施例では、組織部位に減圧治療を適用するための減圧治療システムは、液体収集キャニスタを具える。このキャニスタは、組織部位から液体を収集するように構成された第1の空間と、減圧を受けるように構成された第2の空間とを具える。複数の気液分離器がキャニスタ内の第1の空間と第2の空間との間に配置され、これにより第1の空間内の液体が第2の空間に入るのを実質的に防ぐ。これらの複数の気液分離器が、第2の空間と第1の空間との間の気体の移動を可能にする。複数の気液分離器のうち少なくとも2つはほぼ平坦であって、2つのそれぞれは異なる平面内に配置される。キャニスタ入口が第1の空間に付随しており、キャニスタ出口が第2の空間に付随している。減圧源はキャニスタ出口と流体連通して減圧を第2の空間に送達し、マニホルドは組織部位に配置され、キャニスタ入口と流体連通して減圧を組織部位に分配する。
【0009】
他の実施例では、組織部位に減圧治療を適用するための減圧治療システムは、液体収集キャニスタを具える。このキャニスタは、組織部位から液体を収集するように構成された第1の空間と、キャニスタの壁上に位置するフィルタとを具える。このフィルタはキャニスタの壁から延在している第1のチャンバを有し、壁と反対側の第1のチャンバの端部に開口部を具えている。フィルタはキャニスタの壁から延在している第2のチャンバを有し、壁と反対側の第2のチャンバの端部に開口部を具えている。第1のチャンバの開口部が、第1の空間と第1のチャンバとの間の連通を可能にする。第2のチャンバの開口部が、第1の空間と第2のチャンバとの間の連通を可能にする。第1のチャンバの開口部から壁までの距離は、第2のチャンバの開口部から壁までの距離よりも大きい。第1のチャンバの開口部の上に第1のフィルタエレメントが配置され、第2のチャンバの開口部の上に第2のフィルタエレメントが配置される。キャニスタ入口が第1の空間との連通を可能にし、キャニスタ出口が第1および第2のチャンバとの連通を可能にする。減圧源はキャニスタ出口と流体連通して減圧を第1および第2のチャンバに送達し、マニホルドは組織部位に配置され、キャニスタ入口と流体連通して減圧を組織部位に分配する。
【0010】
さらに他の実施例では、組織部位から液体を収集する方法は、減圧をキャニスタの第2の空間に加えるステップを含む。第2の空間は、キャニスタの第1の空間との連通を可能にする開口部を有している。この開口部は非平面フィルタエレメントによって覆われ、当該非平面フィルタエレメントを通って気体連通が可能であり、これにより減圧はキャニスタの第1の空間に送達される。液体は第1の空間内に吸い出され、非平面フィルタエレメントを通る流れは濾過されて液体が第2の空間に入るのを実質的に防ぐ。
【0011】
さらに他の実施例では、組織部位から液体を収集する方法は、減圧をキャニスタの第2の空間に加えるステップを含む。第2の空間は、キャニスタの第1の空間との連通を可能にする複数の開口部を有している。これらの開口部は複数の気液分離器によって覆われており、複数の気液分離器のうち少なくとも2つはほぼ平坦であって、異なる平面内に配置される。気液分離器を通って気体連通が可能であり、これにより減圧はキャニスタの第1の空間に送達される。液体は第1の空間内に吸い出され、気液分離器を通る流れは濾過されて液体が第2の空間に入るのを実質的に防ぐ。
【0012】
他の実施例では、組織部位から液体を収集する方法は、減圧をキャニスタの第1のチャンバと第2のチャンバとに加えるステップを含む。この第1および第2のチャンバはそれぞれキャニスタの壁から延在しており、壁の反対側のチャンバの端部に開口部をそれぞれ具えている。第1のチャンバの開口部は第1のフィルタエレメントによって覆われ、第2のチャンバの開口部は第2のフィルタエレメントによって覆われている。第1のチャンバの開口部から壁までの距離は、第2のチャンバの開口部から壁までの距離よりも大きい。この方法はさらに、減圧がキャニスタの第1の空間に送達されるように第1および第2のフィルタエレメントを通って気体連通を可能にするステップを含む。液体は第1の空間内に吸い出され、第1および第2のフィルタエレメントを通る流れは濾過されて、液体が第1および第2のチャンバに入るのを実質的に防ぐ。
【0013】
さらに他の実施例では、組織部位に減圧治療を施す方法は、減圧をキャニスタの第2の空間に加えるステップを含む。第2の空間はキャニスタの第1の空間との連通を可能にする開口部を有しており、この開口部は非平面フィルタエレメントによって覆われる。非平面フィルタエレメントを通って気体連通が可能であり、これにより減圧はキャニスタの第1の空間に送達される。この減圧は組織部位に送達される。液体が組織部位から第1の空間内に吸い出され、非平面フィルタエレメントを通る流れは濾過されて、液体が第2の空間内に入るのを実質的に防ぐ。
【0014】
さらに他の実施例では、組織部位に減圧治療を施す方法は、減圧をキャニスタの第2の空間に加えるステップを含む。第2の空間は、キャニスタの第1の空間との連通を可能にする複数の開口部を具えている。これらの開口部は複数の気液分離器によって覆われており、複数の気液分離器のうち少なくとも2つはほぼ平坦であって、異なる平面内に配置される。この方法はさらに、減圧がキャニスタの第1の空間に送達されるように気液分離器を通って気体連通を可能にするステップを含む。この減圧は組織部位に送達される。液体は組織部位から第1の空間内に吸い出され、気液分離器を通る流れは濾過されて液体が第2の空間に入るのを実質的に防ぐ。
【0015】
さらに他の実施例では、組織部位に減圧治療を施す方法は、キャニスタの第1のチャンバと第2のチャンバとに減圧を加えるステップを含む。第1および第2のチャンバはそれぞれキャニスタの壁から延在しており、壁の反対側のチャンバの端部に開口部をそれぞれ具えている。第1のチャンバの開口部は第1のフィルタエレメントによって覆われ、第2のチャンバの開口部は第2のフィルタエレメントによって覆われている。第1のチャンバの開口部から壁までの距離は、第2のチャンバの開口部から壁までの距離よりも大きい。第1および第2のフィルタエレメントを通って気体連通が可能であり、これにより減圧はキャニスタの第1の空間内に送達される。この減圧は組織部位に送達される。液体は組織部位から第1の空間内に吸い出され、第1および第2のフィルタエレメントを通る流れは濾過されて液体が第1および第2のチャンバに入るのを実質的に防ぐ。
【0016】
実施例の他の目的、特徴、および利点は、以下の図面と詳述を参照すると明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、実施例による液体収集キャニスタおよび多方向性フィルタを有する減圧治療システムの斜視図を示す。
【図2A】図2Aは、図1の多方向性フィルタの分解斜視図を示し、当該フィルタはピラミッド形状である。
【図2B】図2Bは、実施例による多方向性フィルタの分解斜視図を示し、当該フィルタは円錐形状である。
【図2C】図2Cは、実施例による多方向性フィルタの分解斜視図を示し、当該フィルタは円筒形状である。
【図2D】図2Dは、実施例による多方向性フィルタの分解斜視図を示し、当該フィルタは直方体形状である。
【図3】図3は、3−3における図1の液体収集キャニスタの断面図を示す。
【図4】図4は、図3の断面と類似しているが、下方にキャニスタの側壁を有する図1の液体収集キャニスタの断面図を示す。
【図5】図5は、図3の断面と類似しているが、下方にキャニスタの出口壁を有する図1の液体収集キャニスタの断面図を示す。
【図6】図6は、図3の断面と類似しているが、下方にキャニスタの入口壁を有する図1の液体収集キャニスタの断面図を示す。
【図7】図7は、実施例による液体収集キャニスタ内に配置された図1の多方向性フィルタの斜視図を示す。
【図8】図8は、実施例による液体収集キャニスタ内に配置された図1の多方向性フィルタの斜視図を示す。
【図9】図9は、実施例による液体収集キャニスタの斜視図を示し、当該キャニスタは多方向性フィルタを有する。
【図10】図10は、10−10における図9の液体収集キャニスタの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下のいくつかの実施例の詳述では、その一部を構成する添付の図面について説明がされており、本発明を実施できる特定の好適な実施形態を例示している。これらの実施形態は、当該技術分野における当業者が本発明を実施できる程度に十分詳細に記載されており、他の実施形態が利用可能であって、本発明の精神または範囲を超えることなく論理構造的、機械的、電気的および化学的な変更が可能であることを理解されたい。当業者が本書に記載の実施形態を実施可能とするのに必要のない細部説明を避けるため、当業者に既知の一部の情報を説明から省略する可能性がある。従って、以下の詳述は限定の意味で捉えるべきではなく、例示的な実施形態の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【0019】
本書で用いる「減圧」とは、概して、治療を受ける組織部位の周囲圧力より低い圧力のことをいう。多くの場合、この減圧は、患者がいる位置の大気圧未満となるであろう。若しくは、減圧は、組織部位における組織に付随する静水圧より低くてもよい。「真空」および「負圧」といった用語が組織に加えられる圧力を説明するのに使用されるが、組織部位に加わる実際の減圧は、一般に完全真空に関連する圧力よりも著しく低い。減圧は最初に、組織部位の領域内に流体の流れを発生させることがある。組織部位周囲の静水圧が所望の減圧に近付くにつれて、この流れは弱まり、減圧が維持される。特に指示がない限り、本書で述べる圧力の値はゲージ圧である。同様に、減圧の増加とは通常、絶対圧の低下を意味しており、減圧の低下とは通常、絶対圧の増加を意味する。
【0020】
本書における用語「組織部位」は、限定はしないが、骨組織、脂肪組織、筋組織、神経組織、皮膚組織、血管組織、結合組織、軟骨、腱、または靱帯を含む任意の組織上または内部に位置する創傷または損傷部を意味する。用語「組織部位」はさらに、必ずしも創傷または異常がある組織の領域ではなく、更なる組織の成長を加えたり、あるいは促進したりすることが望ましい領域を意味することがある。例えば、採取して別の組織位置に移植できるような更なる組織を成長させるべく、減圧組織治療法をある組織領域に用いてもよい。
【0021】
図1を参照すると、実施例による減圧を患者の組織部位101に加えるための減圧治療システム100は、キャニスタ102内に収容されたフィルタ104を有するキャニスタ102を具える。このキャニスタ102は、減圧源108および組織部位101に配置される減圧医療品112と流体連通するように配置される。この減圧医療品112は、導管120によってキャニスタ102の入口116と流体連通するように連結されている。導管120は、管アダプタ124を介して減圧医療品112と流体連通することができる。別の導管128は、減圧源108を有するキャニスタ102の出口132と流体連通する。
【0022】
図1に示す実施形態では、減圧源108は電気駆動型の真空ポンプである。他の実施例では、この減圧源108は電力を必要としない、手動で作動するか手動で充填されるポンプであってもよい。減圧源108は他の種類の減圧ポンプであってもよく、または代替的に、病院や他の医療施設で使用可能な壁面吸引ポートであってもよい。減圧源108は減圧治療ユニット140内に収容されるか、それと組み合わせて用いることができ、このユニット140は、組織部位101への減圧治療を更に容易にするセンサ、処理ユニット、警報器、メモリ、データベース、ソフトウエア、ディスプレイユニット、およびユーザインタフェースを具えてもよい。一実施例では、センサまたはスイッチ(図示せず)を減圧源108またはその近くに配置して、減圧源108によって生成される源圧を測定することができる。このセンサは、減圧源108によって送達される減圧を監視かつ制御する処理ユニットと通信してもよい。
【0023】
減圧医療品112は、組織部位101に配置されるよう構成された分配マニホルド144と、カバー148と、若しくは組織部位101においてカバー148の下に減圧を保持するために分配マニホルド144の上に配置されるドレープとを具える。このカバー148は組織部位101の外周を超えて延在してもよく、カバー148上に接着剤または接合剤を具えてカバーを組織部位101と隣接する組織に固定してもよい。一実施例では、カバー148上に位置する接着剤を用いて組織とカバー148との間を密閉し、組織部位101から減圧が漏れるのを防ぐことができる。他の実施形態では、ヒドロゲルまたは他の材料のような密閉層(図示せず)をカバー148と組織との間に配置して、接着剤の密閉特性を増補または代用してもよい。
【0024】
減圧医療品112の分配マニホルド144は、組織部位101と接触するように構成されている。分配マニホルド144は、減圧医療品112によって治療される組織部位101と部分的にまたは完全に接触することができる。組織部位101が創傷部の場合、分配マニホルド144は部分的または完全に創傷部を塞ぐことができる。
【0025】
分配マニホルド144は、実施する治療の種類または組織部位101の性質およびサイズといった様々な要因に応じて、任意のサイズ、形状または厚さにすることができる。例えば、分配マニホルド144のサイズおよび形状を利用者がカスタマイズして、組織部位101の特定部分を覆う、あるいは組織部位101を塞ぐか部分的に塞ぐことができる。分配マニホルド144は、例えば四角形であってもよく、あるいは円形、長円形、多角形、不揃いな形状、または任意の他の形状であってもよい。
【0026】
一実施例では、分配マニホルド144は発泡材料であり、分配マニホルド144が組織部位101またはその近くと接触している場合に、組織部位101に減圧を分配する。この発泡材料は、疎水性または親水性の何れかであってもよい。非制限的な例では、分配マニホルド144は、テキサス州サンアントニオのKinetic Concepts社から入手可能なGranuFoam(登録商標)医療品といった、開放セル、網状ポリウレタン発泡体である。
【0027】
分配マニホルド144が親水性材料で作られた実施例では、分配マニホルド144はさらに、組織部位101から流体を吸い上げながら、マニホルドとして組織部位101に減圧を供給し続けるように機能する。分配マニホルド144の吸い上げ性能は、毛細管流動または他の吸い上げ機構によって組織部位101から流体を抜き出す。親水性発泡体の例は、テキサス州サンアントニオのKinetic Concepts社から入手可能なV.A.C.WhiteFoam(登録商標)医療品といった、ポリビニルアルコールの開放セル発泡体である。他の親水性発泡体は、ポリエステルから作られたものを含む場合がある。親水性特性を示しうる他の発泡体は、親水性を呈するように処理またはコーティングされた疎水性発泡体を含むことがある。
【0028】
分配マニホルド144はさらに、減圧医療品112を介して減圧を加えた場合、組織部位101における肉芽組織を促進する場合がある。例えば、分配マニホルド144の任意または総ての表面は、不均一で、粗く、あるいはぎざぎざの形状であってもよく、分配マニホルド144を介して減圧を加えた場合に組織部位101に微小変形および応力が生じる。これらの微小変形および応力は、新しい組織の成長を増大させることが明らかにされている。
【0029】
一実施例では、分配マニホルド144は、減圧医療品112を使用した後に患者の身体から除去する必要がない生体再吸収性材料で構成することができる。適切な生体再吸収性材料は、限定はしないが、ポリ乳酸のポリマブレンド(PLA)およびポリグリコール酸(PGA)を含んでもよい。ポリマブレンドはさらに、限定ではないが、ポリカーボネート、ポリフマル酸、およびカプロラクトンを含んでもよい。分配マニホルド144はさらに新しいセル成長用のスキャフォールドとして機能することができ、あるいは、スキャフォールド材を分配マニホルド144と組み合わせて利用して、セル成長を促進することもできる。このスキャフォールドは、セルの成長、またはセル成長用の鋳型を提供する3次元多孔質構造のような組織の形成を高めるか促進するために用いられる物質または構造である。スキャフォールド材の実施例として、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、コーラルハイドロキシアパタイト、炭酸塩、または加工した同種移植片材料を含む。
【0030】
図1、さらに図2Aを参照すると、フィルタ104は、ピラミッド型であって、基部206と、頂部210と、基部206と頂部210との間に延在する4つの壁214とを具えるフレーム202を具えている。この基部206はフランジ218を具えてもよく、フィルタ104をキャニスタ102内のキャニスタ102の壁に簡単に取り付けることができる。通路222を基部206に配置して、キャニスタ102の出口132との流体連通を設けることができる。フレーム202は、4つの壁214の少なくとも2つに開口部226を具えている。図2Aの実施例では、開口部226は4つの壁214のうち2つのみに配置されており、開口部226は対向する壁に位置している。他の実施形態では、開口部226は2つの隣接する壁214、もしくは4つの壁214のうち3つまたは4つに配置することもできる。図2Aに示すフレーム202は4つの壁を有するピラミット形状であるが、フレーム202を同様の先細の構成(すなわち、基部から頂部に先細している)に設けて、代わりに3つの壁のみを具えてもよいということにも注目されたい。他の実施形態では、フレーム202は、5つの壁またはさらに多くの壁を具え、2つまたそれより多くの壁に開口部226を有していてもよい。
【0031】
図2Aに示すように、複数の開口部226を開口部を具える各壁214に配置することができ、その結果、開口部226間にリブ232を形成する。開口部226は任意の形状またはサイズであってもよく、限定ではないが、円形、四角形、長方形、長円形、多角形、不揃いな形状、または任意の他の形状を含む。
【0032】
フィルタ104はさらにフィルタエレメント240を具えており、開口部226を具える壁214の開口部226を覆う。図2Aに示す実施形態では、各壁214を覆っているフィルタエレメント240はほぼ平坦であるが、代替的な実施形態では、フィルタフレームの形状によって非平面フィルタエレメントを用いてもよい。リブ232は構造的な支持を提供して、フィルタ104が減圧に曝されたときにフィルタエレメント240が開口部226を通って引っ張られるのを防ぐ。バッフルまたはダイバータ234をフィルタ104の頂部210に配置して、キャニスタ102に入る液体がフィルタエレメント240に噴霧しないよう助けることができる。
【0033】
図2Aのフィルタ104は2つフィルタエレメント240を有するように示されており、開口部226を具えるフレーム202の壁214それぞれに対して1つのフィルタエレメントである。代替的な実施形態では、複数のフィルタエレメント240をそれぞれの壁214に設けることができる。一実施例では、1つのフィルタエレメント240を各開口部226に設けることもできる。フィルタエレメント240は、壁に接着して取り付けるか、任意の他の手段によって壁214に取付けまたは接合されてもよい。
【0034】
フィルタエレメント240は、当該フィルタエレメント240を通って気体は移動できるが、液体の移動を実質的に防ぐ気液分離器であることが好ましい。一実施例では、このフィルタエレメント240は疎水性メンブレンである。フィルタエレメント240は、代替的に、フィルタエレメントが液体を移動させないように疎水性材料でコーティングされた任意の材料であってもよい。一実施例では、フィルタエレメント240は、プラズマ処理を用いて化学結合されたフッ化炭素モノマであってもよく、その結果、フィルタの疎水性はさらに増加する。さらに、フィルタエレメント240は疎油性の材料で作られるか、コーティングされてもよい。幾つかの例示的なフィルタ媒体材料は、発泡体、紡糸繊維ガラス、綿ガーゼ、ポリエステル、ガラス繊維、ポリプロピレン、マイクロ繊維、多孔質ポリマメンブレン、PTFE、およびその種のものを含む。
【0035】
フレーム202およびフィルタエレメント240は、フィルタ104の内側領域、またはフィルタチャンバ244を規定する。以下で更に詳細を説明するように、フィルタ104がキャニスタ102内に配置されている場合、フィルタ104の内側領域244は、キャニスタ内に収集された液体から保護された空間またはチャンバである。キャニスタ102の出口132と流体連通しているフィルタ104の内側領域244を配置することにより、減圧源108がキャニスタ102内の液体に汚染されることなく、減圧源108は減圧を内側領域244に送達することが可能となる。
【0036】
フィルタ104のフレーム202は、フィルタエレメント240に機械的な支持を提供するために十分な構造的剛性を有する、任意の種類の材料から作ることができる。幾つかの例示的な材料は、プラスチック、熱可塑性物質、熱硬化性物質、線維型材料、金属、金属合金、およびその種のものを含む。さらに、フレーム202は所望の形状を設けるために、成型、鋳造、溶接、または成形されてもよい。フレーム202のフランジ218は、キャニスタの壁102に固定、接合、溶接、あるいは取り付けが可能な材料で作られることが好ましい。
【0037】
図2Bをここで参照すると、他の実施例では、フィルタ104と同様の機能および作用であるが、形状が異なるフィルタ250が設けられている。フィルタ250は、円錐形状であって、基部254と頂部256とを具えるフレーム252を具えている。円錐形の壁258が基部254から頂部256まで延在しており、円錐形の壁258を貫通している少なくとも1つの、好適には複数の開口部260を具えている。通路262を基部254に配置して、キャニスタ102の出口132との流体連通を提供することができる。フィルタ104に関して前述したように、フィルタ250の複数の開口部260は開口部260間にリブ264を形成する。開口部260は任意の形状またはサイズであってもよく、限定ではないが、円形、四角形、長方形、長円形、多角形、不揃いな形状、または任意の他の形状を含む。
【0038】
フィルタ250はさらに、円錐形の壁258の開口部260を覆う1またはそれ以上のフィルタエレメント266を具える。図2Bに示す実施形態では、1つのフィルタエレメント266が図示されており、フィルタエレメント266は円錐形の壁258の周りを覆っているため、フィルタエレメント266はフレーム252上に設けられたときには非平面部を具えている。リブ264は構造的な支持を提供して、フィルタ250が減圧に曝されたときにフィルタエレメント266が開口部260を通って引っ張られるのを防ぐ。
【0039】
フィルタエレメント266の数、フィルタエレメント266をフレーム252に取り付ける手段、フィルタエレメント266の機能、およびフィルタエレメント266の材料組成は、フィルタ104のフィルタエレメント240について記載したものと同様である。フレーム252およびフィルタエレメント266は、フィルタ104の内側領域244と同様のフィルタ250の内側領域、またはチャンバ268を規定する。
【0040】
図2Cを参照すると、他の実施例では、フィルタ104および250と同様の機能および作用であるが、形状が異なるフィルタ270が設けられている。フィルタ270は円筒形状であって、円筒形の壁278を具えるフレーム272を具えており、この壁は、当該円筒形の壁278を貫通している少なくとも1つの、好適には複数の開口部280を有している。通路(図示せず)をフレーム272の基部274に配置して、キャニスタ102の出口132との流体連通を提供することができる。フィルタ104および250に関して前述したように、フィルタ270の複数の開口部280は開口部280間にリブ284を形成する。開口部280は任意の形状またはサイズであってもよく、限定ではないが、円形、四角形、長方形、長円形、多角形、不揃いな形状、または任意の他の形状を含む。
【0041】
フィルタ270はさらに1またはそれ以上のフィルタエレメント285を具えており、円筒形の壁278の開口部280を覆う。図2Cに示す実施形態では、1つのフィルタエレメント285が図示されており、フィルタエレメント285は円筒形の壁278の周りを覆っているため、フィルタエレメント285はフレーム272上に設けられたときには非平面部を具えている。リブ284は構造的な支持を提供して、フィルタ270が減圧に曝されたときにフィルタエレメント285が開口部280を通って引っ張られるのを防ぐ。
【0042】
フィルタエレメント285の数、フィルタエレメント285をフレーム252に取り付ける手段、フィルタエレメント285の機能、およびフィルタエレメント285の材料組成は、フィルタ104のフィルタエレメント240について記載したものと同様である。フレーム272およびフィルタエレメント285は、フィルタ104の内側領域244と同様のフィルタ270の内側領域、またはチャンバ283を規定する。
【0043】
図2Dを参照すると、他の実施例では、フィルタ104、250、270と同様の機能および作用であるが、形状が異なるフィルタ286が設けられている。フィルタ286は、立方体または直方体形状であって、直方体の壁290を具えるフレーム288を具えており、この壁は、当該壁290を貫通している少なくとも1つの、好適には複数の開口部292を有している。通路293をフレーム288の基部294に配置して、キャニスタ102の出口132との流体連通を提供することができる。フィルタ104、250、および270に関して前述したように、フィルタ286の複数の開口部292は、開口部292間にリブ296を形成する。開口部292は任意の形状またはサイズであってもよく、限定ではないが、円形、四角形、長方形、長円形、多角形、不揃いな形状、または任意の他の形状を含む。
【0044】
フィルタ286はさらに1またそれ以上のフィルタエレメント298を具えており、壁290の開口部292を覆う。図2Dに示す実施形態では、1つのフィルタエレメント298が壁290のそれぞれに設けられており、各フィルタエレメント298はフレーム288に設けられたときにはほぼ平坦である。リブ296は構造的な支持を提供して、フィルタ286が減圧に曝されたときにフィルタエレメント298が開口部292を通って引っ張られるのを防ぐ。
【0045】
フィルタエレメント298の数、フィルタエレメント298をフレーム252に取り付ける手段、フィルタエレメント298の機能、およびフィルタエレメント298の材料組成は、フィルタ104のフィルタエレメント240について記載したものと同様である。フレーム288およびフィルタエレメント298は、フィルタ104の内側領域244と同様のフィルタ286の内側領域、またはチャンバ299を規定する。
【0046】
図1、さらには図3乃至図6を参照すると、キャニスタ102およびキャニスタ102内のフィルタ104の位置が更に詳しく記載されている。本書に記載のフィルタは特定の形状およびサイズのキャニスタと共に使用することができるが、キャニスタ102の形状は実質的に立方体または直方体である。キャニスタ102は6つの壁、すなわちキャニスタ102の出口132が位置する第1の壁302と、キャニスタ102の入口116が位置する第2の壁304と、図1のキャニスタの底部壁102を示す第3の壁306と、図1のキャニスタ102の上部壁を示す第4の壁308と、第5の壁310と、第6の壁312とを具える。同時に、6つの壁は、キャニスタ102の内部チャンバ、または内部空間318を規定する。
【0047】
フィルタ104は、フィルタ104の基部206が第1の壁302と隣接するように、キャニスタ102の内部空間318内に配置される。フィルタ104の基部206における通路222はキャニスタ102の出口132に位置合わせされ、減圧源108からの減圧はフィルタ104の内側領域244に送達される。フィルタ104の基部206は、限定ではないが、溶接、接着または他の固定手段を含む任意の数の方法で、第1の壁302に連結され支持されることが好ましい。好適には、出口132および/または導管128と、内側領域244との間には密閉連結が設けられる。この密閉連結は、キャニスタ102の内部空間318と導管128との間の直接的な流体連通を防ぐ。その代わりに、キャニスタ102の内部空間318と導管128との間の流体連通は、フィルタ104の内側領域244を介して行わねばならない。液体遮断フィルタエレメント240があることにより、キャニスタ102の内部空間318から気体のみが内側領域244を通って導管128に移動する。
【0048】
キャニスタ102の入口116および出口132の位置は様々であってもよいが、図1に示す実施形態では、入口116と出口132は、キャニスタ102の対向する壁に配置されている。キャニスタ102の入口116は、通常第2の壁304の中心に置かれ、出口132は通常第1の壁302の中心に置かれる。フィルタ104の位置は基部206が第1の壁302を完全に覆うような配置であり、フィルタ104の頂部210は入口116と隣接して中央に配置される。同様に、他の形状のフィルタも、キャニスタ102と類似したキャニスタ内に同様に配置することができる。例えば、フィルタ250のような円錐形状のフィルタは、フィルタ250の頂部256が入口116と中心で位置合わせされるようにキャニスタ102内に配置することができる。フィルタ270およびフィルタ286、または他の形状のフィルタは、フィルタ104の代わりとして、キャニスタ102内に同様に配置することができる。
【0049】
キャニスタの内部空間318は、組織部位101からの液体を収集する第1の空間を形成する。フィルタ104の内側領域244は第2の空間を形成し、この空間は液体から実質的に保護された乾燥空間である。内側領域244によって、減圧源108とキャニスタ102の内部空間318との間の減圧の通過が可能となる。減圧源108によって減圧がキャニスタ102に加わると、減圧が組織部位101に送達され、組織部位101における液体332がキャニスタ102の内部空間318に吸い出される。より具体的に図3を参照すると、第3の壁306を下方に有するキャニスタの姿勢(図1に示すものと同様)を示しており、液体332はキャニスタ102の内部空間318を充填し始めるが、液体332はフィルタエレメント240を通過して、フィルタ104の内側領域244に入らないように実質的に妨げられている。液体332はほぼ平坦な表面334を有し、液面335を形成する。液体332がキャニスタ102内で上昇すると、液体332の表面334下側のフィルタエレメント240の任意の部分では、内部空間318と内側領域244との間で気体が移動または通ることはできない。換言すると、減圧はもはや、液体332に覆われたフィルタエレメント240の部分を通って、内部空間318に送達または移動することができない。液体の表面334上側に位置するフィルタエレメント240の乾燥領域336(乾燥領域336は図3において暗く濃淡が付いている)では、内部空間318と内側領域244との間で気体の流れまたは減圧の移動が引き続き可能である。フィルタエレメント240の一部が液体332に覆われずに残っている限り、フィルタエレメントは引き続き気体を流したり減圧を移動させたりすることが可能である。
【0050】
図4では、フィルタ104は、第5の壁310が下側の位置に配置された方向で図示されている。図5では、フィルタ104は、第1の壁302が下側の位置に配置された方向で図示されている。図6では、フィルタ104は、第2の壁304が下側の位置に配置された方向で図示されている。図4乃至図6に示すそれぞれのキャニスタの方向は、キャニスタ102の内部空間318内に液体があることで、液体の表面334の下のフィルタエレメント240部分を通る気体の移動を妨げる。しかしながら、気体の流れ、例えば減圧源108と組織部位101との間の減圧の移動は、液体332の表面334の上側にフィルタエレメント240の乾燥領域336があることによって継続される。
【0051】
図3乃至図6に示すそれぞれのキャニスタ102の方向、ならびに図示されていないキャニスタ102の更なる方向における、キャニスタ102内のフィルタ104の形状、サイズ、および位置によって、キャニスタ内の液体332の高さが上昇して液体が内部空間318の体積の半分を超えても、キャニスタは減圧を伝達し続けることが可能であるということに注目することが重要である。フィルタ104、および本書に記載の他のフィルタの特殊な性質は、多くの場合では単一の平面的なフィルタエレメント、または同一平面に配置された複数のフィルタエレメントを具える既存のフィルタでは不可能である。これらの種類のフィルタでは、フィルタの特定の方向(通常、この方向はキャニスタの底部に位置する平坦なフィルタエレメントである)によって、少量の液体のみを収集することも可能である。液体がフィルタエレメントを完全に覆うと、キャニスタを通る減圧の送達は終了する。
【0052】
キャニスタ102の任意の方向において大量の液体収集が可能なフィルタ104は、フィルタ104の一部である、大きくて複数の面を持つフィルタエレメント240によってある程度実現する。フィルタ104のテーパの性質は、内部空間318の液体収集体積を増加させるが、フィルタエレメント240に対する表面積も大きくなる。フィルタ104のフィルタエレメント240はほぼ平坦であるが、各フィルタエレメント240に対応する平面は、他のフィルタエレメント240の平面に対して斜めに傾いている。フィルタエレメント240間の角度関係によって、フィルタエレメント240のうち1つの少なくとも一部は、キャニスタ102の特定の方向における液体332の液面335と平行ではなくなる。液体332の表面334と平行ではないフィルタエレメント240がほぼ常にあるため、大量の液体を収集している間にも気体を伝達し続けるフィルタエレメント240の能力が向上する。
【0053】
バッフル234はフィルタ104またはキャニスタ102に配置され、流体がキャニスタ102の入口116に入り、重力によってキャニスタ102の底部へ下方に流れたときに、液体332がフィルタエレメント240と接触するのを更に防ぐ。液体または液体がキャニスタに入ることによって形成された気泡と偶発的に接触することにより、フィルタエレメント240上にプロテインの沈着が生じ、その結果フィルタエレメント240によって気体の伝達が早期に妨害されることがあるため、バッフル234は、液体332とフィルタエレメント240との間の早期の接触を防ぐ有用な役割を果たすことがある。
【0054】
基部206が出口132(すなわち、図1の第1の壁302)を有するキャニスタの壁102と接するようにフィルタ104を配置するのが通常は望ましいが、基部206を出口を具えていないキャニスタ102の壁と接して配置してもよい。例えば、フィルタ104を、第3の壁306、第4の壁308、第5の壁310、または第6の壁312と隣接する基部206に配置することができる。このような配置では、出口132は導管によってフィルタ104の内側領域244と流体連通することができ、この導管は基部206、頂部210、またはフィルタ104の壁214の1つを通って配設される。キャニスタ102の出口132および入口116は、キャニスタ102の対向する壁に配置されているように記載されてきたが、出口132および入口116は、フィルタ104のサイズ、形状、および配置によって、隣接する壁、あるいは同じ壁にも配置することができるということに注目されたい。
【0055】
他の実施例では、図7に示すように、フィルタ104は、基部206がキャニスタの壁とぴったり付いた状態ではないように配置することもできる。その代わりに、フィルタ104は、基部206がキャニスタ102の2つの壁間に形成された角部706と近接するように配置される。出口132は角部706内に配置され、導管710は出口132と基部206の通路222との間に連通をもたらす。同様に、本書に記載するような他の形状のフィルタを、図7に示すように配置することもできる。
【0056】
図8を参照すると、フィルタ104と同様の形状をしたフィルタ804は、円筒形状のキャニスタ802に配置することができる。図8に示す構成では、フィルタ804は、基部806と、頂部810と、複数の壁814と、複数のフィルタエレメント840とを具えている。基部806はキャニスタ802の円筒形の壁818と近接して配置されているが、他の実施形態では、基部806をキャニスタ802の2つの端壁820の一方と接するように配置することもできる。キャニスタ802およびフィルタ804は機能的にキャニスタ102およびフィルタ104と類似しており、フィルタ804は同様に、減圧を伝達し続け、キャニスタ802の複数の方向において液体を収集することが可能である。
【0057】
図9および図10を参照すると、実施例によるキャニスタ902は、減圧治療システム100と類似した減圧治療システムに用いることができる。このキャニスタ902は、水盤904とフタ906とを具えており、これらはほぼ密封された内部チャンバまたは内部空間910をキャニスタ内に形成すべく、相補的に嵌め合うことができる。キャニスタ902は、減圧医療品と流体連通できる入口914と、減圧源と流体連通できる出口918とを具えている。
【0058】
フタ906は、キャニスタ902のほぼ平坦な壁922を形成する。フィルタ926は壁922上に配置され、第1のチャンバ932と第2のチャンバ936とを具えており、その両方が壁922から延在している。第1のチャンバ932は壁922の反対側の第1のチャンバ932の端部に位置する開口部938を具えており、第2のチャンバ936は壁922の反対側の第2のチャンバ936の端部に位置する開口部940を具えている。第1のチャンバ932の開口部938によって内部空間910と第1のチャンバ932との間の流体連通が可能となり、第2のチャンバ936の開口部940によって内部空間910と第2のチャンバ936との間の流体連通が可能となる。第1のチャンバ932の体積は、大部分は各チャンバが壁922から延びている距離のばらつきのために、第2のチャンバ936の体積よりも大きい。第1のチャンバ932の開口部938と壁922との間の距離は、第2のチャンバ936の開口部940と壁922との間の距離よりも大きい。
【0059】
開口部938、940のそれぞれは、機能および材料組成において本書に記載のフィルタエレメントと類似しているフィルタエレメントに覆われる。第1のフィルタエレメント950は第1のチャンバ932の開口部の上に配置され、第2のフィルタエレメント954は第2のチャンバ936の開口部の上に配置される。第1および第2のフィルタエレメント950、954の双方はほぼ平坦であってもよく、互いの各フィルタエレメントと壁との間の距離のばらつきが別個の面にフィルタエレメント950、954を配置している。図9および図10に示す実施形態では、フィルタエレメント950に対応する面はフィルタエレメント954に対応する面とほぼ平行であり、双方の面は壁922とほぼ平行である。別の実施形態では、フィルタエレメントは、フィルタエレメントに対応する面が平行ではないように方向付けることもできる。
【0060】
図9および図10に示す実施形態では、第1のチャンバ932および第2のチャンバ936の双方は、キャニスタ902の出口918と流体連通している。第1のチャネル960は壁922に沿って配置され、第1のチャンバ932と出口918との間を流体連通している。第2のチャネル964は壁922に沿って配置され、第2のチャンバ936と出口918との間を流体連通している。木炭フィルタのような臭気フィルタ968を第1のチャネル960と第2のチャネル964の接合部に配置して、キャニスタ902から引き出された気体に付随する臭気を減少させることもできる。
【0061】
キャニスタ902の内部空間910は、組織部位から液体を収集することができる第1の空間を形成する。第1のチャンバ932および第2のチャンバ936は第2の空間を形成し、この空間は液体から実質的に保護された乾燥空間である。第1および第2のチャンバ932、936によって、減圧源とキャニスタ902の内部空間910との間で減圧の通過が可能となる。減圧源によってキャニスタ902に減圧が加わると、この減圧は組織部位に送達され、組織部位における液体はキャニスタ902の内部空間910に吸い出される。図3乃至図6に示すキャニスタ102の動作と同様に、液体はキャニスタ902の内部空間910を充填し始めるが、この液体はフィルタエレメント950、954を通過して、フィルタ926の第1および第2のチャンバ932、936に入らないように実質的に妨げられている。キャニスタ902の特定の方向において相当量の液体収集が可能となるように、第1および第2のフィルタエレメント950、954は寸法形成、配置、および構成される。フィルタ104と同様に、フィルタ926によって、キャニスタ内の液体の高さが上昇して液体が内部空間910の体積の半分を超えても、キャニスタは減圧を伝達し続けることが可能である。フィルタエレメント950、954は互いに複数の平面に配置され、フィルタエレメント950、954は間隔をあけて配置されるため、フィルタ926の特殊な性質が可能となる。
【0062】
キャニスタ102、802および902は、減圧治療に必要な減圧に耐え、その中に液体を収容するのに十分な硬性および構造の完全性がある任意の種類の材料であってもよい。幾つかの例示的なキャニスタの材料は、プラスチック、ポリマ、熱可塑性物質、金属、金属合金、複合材料、線維型材料およびその種のものである。キャニスタは、固定、接合、および/または溶接された複数のそれぞれの面を有し、例えば矩形または円筒形といった所望の形状を作ることができ、あるいは成形された単一または複数のハウジングであってもよい。本書に記載のプラスチックは、通常は合成の、硬化剤、フィラー、強化剤、可塑剤等といった他の材料と組み合わせて、熱、高重合体を加えるか加えないで成形または成型することが可能な物質または構造であってもよい。プラスチックは未処理の状態で、熱および圧力下で成形または成型し、硬化された状態で高い寸法精度に処理、トリミングおよび仕上げることができる。熱可塑性物質型は、熱によって本来の状態に再軟化することができる。さらに、このプラスチックは、高いレベルの応力に耐えることができ、機械処理に適し寸法的に安定するように設計されたプラスチックを意味する。幾つかの例示的なプラスチックは、ナイロン、アセチル、ポリカーボネート、ABS樹脂、PPO/スチレン、およびポリブチレンテレフタレートである。本書に記載の熱可塑性物質は、熱に曝されると軟化し、室温まで冷却されると本来の状態に戻る高重合体であってもよい。通常、ポリ塩化ビニル、ナイロン、フッ化炭素、直鎖ポリエチレン、ポリウレタンプレポリマ、ポリスチレン、ポリプロピレン、およびセルロースおよびアクリル樹脂のような合成物に適用することができる。
【0063】
本書に記載のフィルタのそれぞれは、特定のサイズまたは形状のキャニスタをよりよく収容するために、サイズまたは形状を変更することができる。いくつかのキャニスタの形状を図示および記載してきたが、本書に記載のフィルタの効果、およびこれらのフィルタがもたらす利点は、キャニスタの特定の形状に制限されない。
【0064】
本書に記載のフィルタのいくつかは、単一の内部空間またはチャンバを有するように記載されているが、フィルタチャンバの数は限定されない。キャニスタ出口または複数のキャニスタ出口に独立して、あるいは連帯的に連結された複数のフィルタチャンバを利用することも可能であり、キャニスタのサイズおよび形状に少なくとも部分的には依存する。同様に、複数のフィルタエレメントを用いて、液体を収集する動作中にフィルタが気体の移動を維持する時間を増加させることもできる。
【0065】
本書に記載のフィルタおよび液体収集キャニスタは、組織部位から液体を収集するためのプロセスまたは方法の一部として使用することができる。一実施例では、組織部位から液体を収集する方法は、図1乃至図10を参照して記載された液体収集キャニスタのようなキャニスタの第2の空間に減圧を加えるステップを含んでもよい。液体収集キャニスタの第2の空間は、キャニスタの第1の空間との連通を可能にする開口部を有している。この開口部は、非平面フィルタエレメントを通って気体連通が可能な非平面フィルタエレメントによって覆われ、これにより減圧はキャニスタの第1の空間に送達される。液体は第1の空間内に吸い出され、非平面フィルタエレメントを通る流れは濾過されて、液体が第2の空間に入るのを実質的に防ぐ。
【0066】
他の実施例では、組織部位から液体を収集する方法は、減圧をキャニスタの第2の空間に加えるステップを含む。第2の空間は、キャニスタの第1の空間との連通を可能にする複数の開口部を有している。これらの開口部は複数の気液分離器によって覆われており、複数の気液分離器のうち少なくとも2つはほぼ平坦であって、異なる平面内に配置される。気体連通は気液分離器を通って可能であり、これにより減圧はキャニスタの第1の空間に送達される。液体は第1の空間内に吸い出され、気液分離器を通る流れは濾過されて、液体が第2の空間に入るのを実質的に防ぐ。
【0067】
さらに他の実施例では、組織部位から液体を収集する方法は、減圧をキャニスタの第1のチャンバと第2のチャンバに加えるステップを含む。第1および第2のチャンバのそれぞれがキャニスタの壁から延在しており、壁の反対側のチャンバの端部にそれぞれ開口部を具えている。第1のチャンバの開口部は第1のフィルタエレメントによって覆われ、第2のチャンバの開口部は第2のフィルタエレメントによって覆われている。第1のチャンバの開口部から壁までの距離は、第2のチャンバの開口部から壁までの距離よりも大きい。この方法はさらに、減圧がキャニスタの第1の空間に送達されるように、第1および第2のフィルタエレメントを通って気体連通を可能にするステップを含む。液体は第1の空間内に吸い出され、第1および第2のフィルタエレメントを通る流れは濾過されて、液体が第1および第2のチャンバに入るのを実質的に防ぐ。
【0068】
本書に記載のフィルタおよび液体収集キャニスタは、組織部位に減圧治療を施すためのプロセスまたは方法の一部として使用することもできる。一実施例では、この方法は、本書に記載のキャニスタのようなキャニスタの第2の空間に減圧を加えるステップを含む。第2の空間は、キャニスタの第1の空間との連通を可能にする開口部を有しており、この開口部は非平面フィルタエレメントによって覆われる。減圧がキャニスタの第1の空間に送達されるように、非平面フィルタエレメントを通って気体連通が可能である。この減圧は組織部位に送達される。液体は組織部位から第1の空間内に吸い出され、非平面フィルタエレメントを通る流れは濾過されて、液体が第2の空間に入るの実質的に防ぐ。
【0069】
他の実施例では、組織部位に減圧治療を施す方法は、本書に記載のキャニスタと同様のキャニスタの第2の空間に減圧を加えるステップを含んでもよい。第2の空間は、キャニスタの第1の空間との連通を可能にする複数の開口部を有している。これらの開口部は複数の気液分離器によって覆われ、複数の気液分離器のうち少なくとも2つはほぼ平坦であって、異なる平面内に配置される。この方法はさらに、減圧がキャニスタの第1の空間に送達されるように、気液分離器を通って気体連通を可能にするステップを含む。この減圧は組織部位に送達される。液体は組織部位から第1の空間内に吸い出され、気液分離器を通る流れは濾過されて、液体が第2の空間に入るのを実質的に防ぐ。
【0070】
さらに他の実施例では、組織部位に減圧治療を施す方法は、本書に記載するキャニスタのようなキャニスタの第1のチャンバおよび第2のチャンバに減圧を加えるステップを含む。第1および第2のチャンバはキャニスタの壁からそれぞれ延在しており、壁の反対側のチャンバの端部に開口部をそれぞれ具えている。第1のチャンバの開口部は第1のフィルタエレメントによって覆われ、第2のチャンバの開口部は第2のフィルタエレメントによって覆われる。第1のチャンバの開口部から壁までの距離は、第2のチャンバの開口部から壁までの距離よりも大きい。減圧がキャニスタの第1の空間に送達されるように、第1および第2のフィルタエレメントを通って気体連通が可能となる。この減圧は組織部位に送達される。液体は組織部位から第1の空間内に吸い出され、第1および第2のフィルタエレメントを通る流れは濾過されて、液体が第1および第2のチャンバに入るのを実質的に防ぐ。
【0071】
著しい利点を有する発明が提供されているということは、前述から自明である。本発明は、その形状の幾つかのみが示されているが、限定するものではなく、本発明の精神を逸脱することなく様々な変更および改変が可能である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織部位に減圧治療を適用するための減圧治療システムにおいて、当該システムが:
液体収集キャニスタであって:
前記組織部位から液体を収集するように構成された第1の空間と;
減圧を受けるように構成された第2の空間と;
前記第1の空間内の液体が前記第2の空間に入るのを十分に防ぐように前記キャニスタ内の前記第1の空間と前記第2の空間との間に配置される複数の気液分離器であって、前記第2の空間と前記第1の空間との間の気体の移動を可能にし、当該複数の気液分離器の少なくとも2つは概ね平坦で、前記2つはそれぞれ異なる平面内に配置されており、前記2つの気液分離器の1番目に対応する第1の平面が、前記2つの気液分離器の2番目に対応する第2の平面と平行である複数の気液分離器と;
前記第1の空間に連結されたキャニスタ入口と;
前記第2の空間に連結されたキャニスタ出口と、を具える液体収集キャニスタと;
減圧を前記第2の空間に送達するために前記キャニスタ出口と流体連通している減圧源と;
前記組織部位に配置され、減圧を前記組織部位に分配するために前記キャニスタ入口と流体連通しているマニホルドと、を具えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記気液分離器が、疎水性フィルタエレメントであることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて:
前記複数の気液分離器が、前記液体収集キャニスタ内に位置するフィルタのフレーム上に配置されており;
前記フィルタのフレームが基部と、頂部と、前記基部と前記頂部との間に延在する4つの壁とを有するピラミッド形状であって、前記フレームは前記壁の少なくとも2つに前記第1の空間と前記第2の空間との間の連通を可能にする開口部を有し、前記複数の気液分離器の少なくとも1つが各開口部を覆うことを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムにおいて、前記4つの壁のそれぞれが、開口部を具えることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項3に記載のシステムにおいて:
前記キャニスタは少なくとも1つの概ね平坦な壁を具えており;
前記フレームの基部が前記概ね平坦な壁上に配置され、前記頂部は前記キャニスタの対向する壁に向かって延在することを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項3に記載のシステムにおいて:
前記キャニスタが、交差して角部を形成する少なくとも2つの概ね平坦な壁を具えており;
前記フレームの基部が前記キャニスタ内の前記角部に近接して配置され、前記頂部は前記キャニスタの対向する角部に向かって延在することを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムにおいて:
前記複数の気液分離器が、前記液体収集キャニスタ内に位置するフィルタのフレーム上に配置されており;
前記フィルタのフレームが基部と、上方壁と、前記基部と前記上方壁との間に延在する4つの側壁とを有する直方体形状であって、前記フレームは前記側壁の少なくとも2つに前記第1の空間と前記第2の空間との間の連通を可能にする開口部を有し、前記複数の気液分離器の少なくとも1つが各開口部を覆うことを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムにおいて、前記4つの側壁のそれぞれが、開口部を具えることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項7に記載のシステムにおいて:
前記キャニスタが、少なくとも1つの概ね平坦な壁を具えており;
前記フレームの基部が前記概ね平坦な壁上に配置され、前記側壁は前記キャニスタの対向する壁に向かって延在することを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項7に記載のシステムにおいて:
前記キャニスタが、交差して角部を形成する少なくとも2つの概ね平坦な壁を具えており;
前記フレームの基部が前記キャニスタ内の前記角部に近接して配置され、前記側壁は前記キャニスタの対向する角部に向かって延在することを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記複数の気液分離器が、前記キャニスタの特定の方向において、前記気液分離器の少なくとも1つの一部は前記第1の空間内の前記液体に対応する液面とは平行ではないように前記液体収集キャニスタ内に配置されることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記複数の気液分離器が、前記キャニスタの特定の方向において、前記第1の空間の体積の半分またはそれ以上が前記液体によって塞がれた場合に前記気液分離器の少なくとも1つが前記第1の空間と前記第2の空間との間の気体連通を可能にするように前記キャニスタ内に配置されることを特徴とするシステム。
【請求項13】
組織部位に減圧治療を適用する減圧治療システムにおいて、当該システムが:
液体収集キャニスタであって:
前記組織部位から液体を収集するように構成された第1の空間と;
前記キャニスタの壁上に配置されるフィルタであって、当該フィルタは前記キャニスタの壁から延在する第1のチャンバを有し、前記壁の反対側の前記第1のチャンバの端部に開口部を具えており、当該フィルタは前記キャニスタの壁から延在する第2のチャンバを有し、前記壁の反対側の前記第2のチャンバの端部に開口部を具えており、前記第1のチャンバの開口部によって前記第1の空間と前記第1のチャンバとの間の連通が可能となり、前記第2のチャンバの開口部によって前記第1の空間と前記第2のチャンバとの間の連通が可能となり、前記第1のチャンバの開口部から前記壁までの距離が前記第2のチャンバの開口部から前記壁までの距離よりも大きいフィルタと;
前記第1のチャンバの開口部の上に配置される第1のフィルタエレメントと;
前記第2のチャンバの開口部の上に配置される第2のフィルタエレメントと;
前記第1の空間との連通を可能にするキャニスタ入口と;
前記第1および第2のチャンバとの連通を可能にするキャニスタ出口と、を具える液体収集キャニスタと;
減圧を前記第1および第2のチャンバに送達するために前記キャニスタ出口と流体連通している減圧源と;
前記組織部位に配置され、減圧を前記組織部位に分配するために前記キャニスタ入口と流体連通しているマニホルドと、を具えることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムにおいて、前記第1および第2のフィルタエレメントがそれぞれ概ね平坦であって、前記壁と概ね平行であることを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項13に記載のシステムにおいて、前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバが、前記キャニスタ出口と流体連通していることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項13に記載のシステムにおいて:
前記第1のチャンバが、前記キャニスタの第1の出口と流体連通しており;
前記第2のチャンバが、前記キャニスタの第2の出口と流体連通していることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項13に記載のシステムにおいて、前記第1および第2のチャンバが、直方体形状であることを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項13に記載のシステムにおいて、前記第1および第2のフィルタエレメントが、前記キャニスタの特定の方向において、前記第1および第2のフィルタエレメントの少なくとも一方の一部は前記第1の空間内の液体の表面に対応する液面と平行ではないように前記液体収集キャニスタ内に配置されることを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項13に記載のシステムにおいて、前記第1および第2のフィルタエレメントが、前記キャニスタの特定の方向において、前記第1の空間の体積の半分またはそれ以上が前記液体によって塞がれた場合に前記第1および第2のフィルタエレメントの少なくとも一方が前記第1の空間と前記第1および第2のチャンバの少なくとも一方との間の気体連通を可能にし続けるように、前記液体収集キャニスタ内に配置されることを特徴とするシステム。


【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−59638(P2013−59638A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−251833(P2012−251833)
【出願日】平成24年11月16日(2012.11.16)
【分割の表示】特願2011−512642(P2011−512642)の分割
【原出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(508268713)ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】