説明

多方向操作スイッチ装置

【課題】回転操作時の操作感を良くすることができる多方向操作スイッチ装置を提供する。
【解決手段】多方向操作スイッチ装置は、ダイヤル421を回転操作することにより回転スイッチ382がオンにされ、ダイヤル421をスライド部32を利用して多方向にスライド操作することにより押圧スイッチ2a〜2dがオンにされるように構成されている。スライド部32は一部材で形成されている。スライド部32の上面には、パッド35をX方向(cd方向)にスライド移動させる上レール部322が設けられており、下面には、スライド部32に支持されたパッド35をベース31の上面側でY方向(ab方向)にスライド移動させる下レール部323が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、例えば、カーナビゲーション装置において、画面表示内容のスクロール操作等を行うために用いられる多方向操作スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーナビゲーション装置には、画面表示内容のスクロール操作等を行うために、多方向操作スイッチ装置が用いられている(特許文献1参照)。この多方向操作スイッチ装置16は、パッド部材24が、スライドプレート22、23を介して、ベース部材19の上面にXY方向にスライド移動可能に支持されている。
【0003】
一方、第一の回路基板17には押圧スイッチ18が設けられている。この押圧スイッチ18は、パッド部材24のスライド移動に伴って押されることによりオンにされるように構成されている。パッド部材24には、第二の回路基板27が固定されており、第二の回路基板27は回転スイッチ33が左右に回転可能に設けられている。この回転スイッチ33は、ダイヤル操作部32の回転操作によってオンにされるように構成されている。
【特許文献1】特願2006−216815号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の多方向操作スイッチ装置16は、パッド部材24がスライドプレート22、23を介してベース部材19に支持されているだけであり、完全には固定されていない。したがって、ダイヤル操作部32によって回転スイッチ33を左右いずれか一方に回転させる際には、回転方向にがたつきが生じてスムーズに回転を開始できず、操作感が良くなかった。
【0005】
本件発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、回転操作時の操作感を良くすることができる多方向操作スイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために本件発明の請求項1に記載の多方向操作スイッチ装置では、押圧スイッチを有する第一基板と、この第一基板の上面側に機構部を介してXY方向にスライド移動可能に支持された操作部とを備え、前記押圧スイッチは、前記操作部のスライド移動によって押されることによりオンにされる多方向操作スイッチ装置であって、前記機構部は、前記操作部によって左右に回転される回転スイッチが設けられた第二基板と、この第二基板を支持して固定するパッドと、このパッドをスライド部を介して支持して前記第一基板に固定されるベースとを備え、前記スライド部は一部材で形成され、当該スライド部の上面には、前記パッドをXY方向のいずれか一方にスライド移動させるための上レール部が設けられ、当該スライド部の下面には、当該スライド部に支持された前記パッドを前記ベースの上面側でXY方向のいずれか他方にスライド移動させるための下レール部が設けられていることを特徴としている。
【0007】
かかる構成において、請求項1に記載の多方向操作スイッチ装置は、従来の多方向操作スイッチ装置に比べて、スライド部が重なっていないので、パッドがベースに安定に支持される。したがって、乗員が回転スイッチを回転させる際に回転方向にがたつきが生じてしまうことがない。
【0008】
また、請求項2に記載の多方向操作スイッチ装置では、請求項1に記載の多方向操作スイッチ装置において、前記スライド部は、薄板状に形成されていることを特徴としている。
【0009】
かかる構成において、請求項2に記載の多方向操作スイッチ装置は、装置全体の高さを低く抑えることが可能になる。
【0010】
また、請求項3に記載の多方向操作スイッチ装置では、請求項2に記載の多方向操作スイッチ装置において、前記スライド部は、前記上レール部および前記下レール部が溝状に形成されていることを特徴としている。
【0011】
かかる構成において、請求項3に記載の多方向操作スイッチ装置は、装置全体の高さをさらに低く抑えることが可能になる。
【0012】
また、請求項4に記載の多方向操作スイッチ装置では、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の多方向操作スイッチ装置において、前記パッドには、当該パッドのスライド移動によって前記押圧スイッチを押してオンにするスイッチ押圧部が設けられていることを特徴としている。
【0013】
かかる構成において、請求項4に記載の多方向操作スイッチ装置は、スライド部にスイッチ押圧部が設けられた多方向操作スイッチ装置と比べて、押圧スイッチのオン操作が直接的に行われるので、押圧スイッチをオンにするタイミングが遅れてしまうことがない。
【発明の効果】
【0014】
本件発明の請求項1に記載の多方向操作スイッチ装置では、スライド部を一部材から形成した。これにより、請求項1に記載の多方向操作スイッチ装置は、従来の多方向操作スイッチ装置に比べてスライド部が重なっていないため、パッドがベースに安定に支持される。したがって、乗員が回転スイッチを回転させる際には回転方向にがたつきが生じず、スムーズに回転を開始することが可能になる。よって、請求項1に記載の多方向操作スイッチ装置は、回転操作時の操作感を良くすることができる。
【0015】
さらに、請求項1に記載の多方向操作スイッチ装置では、スライド部を一部材から形成したことにより、従来の多方向操作スイッチ装置に比べて部品点数が減るので、製造コストの低減化を図ることができる。
【0016】
さらに、請求項1に記載の多方向操作スイッチ装置では、スライド部を一部材から形成したことにより、従来の多方向操作スイッチ装置に比べて組み立てが容易になるので、製造効率を高めることができる。
【0017】
また、請求項2に記載の多方向操作スイッチ装置では、スライド部を薄板状に形成した。これにより、装置全体の高さを低くすることが可能になるので、限られた収容スペースの中で、より大きな多機能の操作部を設けることが可能になる。よって、請求項2に記載の多方向操作スイッチ装置は、省スペース化を図りつつ機能性を高めることができる。
【0018】
さらに、請求項3に記載の多方向操作スイッチ装置では、上レール部および下レール部を溝状に形成したことにより、装置全体の高さをさらに低く抑えることが可能になるので、小型化を図ることができる。
【0019】
また、本件発明の請求項4に記載の多方向操作スイッチ装置では、パッド側にスイッチ押圧部を設けた。これにより、請求項4に記載の多方向操作スイッチ装置は、スライド部側にスイッチ押圧部が設けられた多方向操作スイッチ装置と比べて、押圧スイッチのオン操作が直接的に行われるので、押圧スイッチをオンにするタイミングが遅れてしまうことがない。よって、請求項4に記載の多方向操作スイッチ装置は、スイッチのオン操作性を良くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本件発明の実施の形態を図にしたがって説明する。
【0021】
図1は、本件発明の一実施の形態を示す多方向操作スイッチ装置1の外観斜視図である。この多方向操作スイッチ装置1は、カーナビゲーション装置の入力操作に用いられる。具体的に多方向操作スイッチ装置1は、回転操作、押圧操作、および多方向にスライド操作可能に構成されている。なお、多方向とは、図2に示すように、上方向a、下方向b、左方向c、右方向d、右斜め上方向e、左斜め上方向f、右斜め下方向g、左斜め下方向hの計八方向である。また、図3に示すように、多方向操作スイッチ装置1は、第一基板2と、機構部3と、操作部4とを備えている。
【0022】
まず、第一基板2について説明する。第一基板2の中央部分には、支持穴21が設けられている。さらに、第一基板2の上面には、四つの押圧スイッチ2a〜2dが設けられている。四つの押圧スイッチ2a〜2dは、支持穴21を間において配置されている。具体的には、四つの押圧スイッチ2a〜2dは、図4に示すように、右斜め上方向eと左斜め下方向h、左斜め上方向fと右斜め下方向gに対向して配置されている。
【0023】
次に、機構部3について説明する。機構部3は、図3に示すように、ベース31と、スライド部32と、スプリング33と、支持ピン34と、パッド35と、ダンパ36と、ベースカバー37と、第二基板38とを備えている。
【0024】
ベース31は、第一基板2の上面に複数のビス22で固定されている。このベース31は、四つの押圧スイッチ2a〜2dを覆うように円形のキャップ状に形成されている。図5に示すように、ベース31の中央部分には、嵌合部311が設けられている。嵌合部311は筒状に形成されており、上面が開口している。さらに、嵌合部331は、ベース31の下方へ突出して形成されており、第一基板2の支持穴21に嵌合している。
【0025】
また、図3に示すように、ベース31の上面には、四つの長穴312と、二つのレール部313とが設けられている。各長穴312は、各押圧スイッチ2a〜2dに対応して配置されている。さらに、各長穴312は、各押圧スイッチ2a〜2dの先端部2p(図4参照)が露出するように、ベース31の周方向に長く形成されている。一方、二つのレール部313は突起状に形成されている。さらに、二つのレール部313は、嵌合部311を間においてY方向(ab方向)に延びるように配置されている。
【0026】
次に、スライド部32について説明する。スライド部32は、図3に示すように一部材から形成されている。具体的に説明すると、スライド部32は薄板状で、且つ、十字状に形成されている。スライド部32の中央部分には、挿通穴321が設けられている。スライド部32の上面には、二つの上レール部322が設けられている。二つの上レール部322は溝状に形成されており、挿通穴321を間においてX方向(cd方向)に延びるように配置されている。
【0027】
また、スライド部32の下面には、図3や図4にも示すように二つの下レール部323が設けられている。二つの下レール部323は、挿通穴321を間においてY方向(ab方向)に延びるように配置されている。さらに、二つの下レール部323は溝状に形成されており、ベース31の二つの突起状のレール部313に外嵌している。これにより、スライド部32は、ベース31に対してY方向(ab方向)にスライド移動可能に支持されている。
【0028】
次に、スプリング33と支持ピン34について説明する。スプリング33は上下に伸縮するように構成されている。支持ピン34は、図5に示すように、スプリング33に内嵌している。この状態で、支持ピン34は、図3に示すようにスライド部32の挿通穴321を挿通しており、図5に示すように、支持ピン34の下部がベース31の嵌合部311内に挿入されている。
【0029】
次に、パッド35について説明する。パッド35は円形状に形成されている。パッド35の中央部分には、ピン受部351が設けられている。このピン受部351は、パッド35の上面から上方に突出して形成されている。さらに、ピン受部351は、図5に示すように、下面側に凹部351aが設けられている。凹部351aはすりばち状に形成されており、凹部351aの中心部に支持ピン34の上端部が当接している。これにより、パッド35は、支持ピン34の当接位置をずらすことにより斜め方向にスライド移動するように構成されている。
【0030】
また、図3に示すように、パッド35の周縁部には、複数のビス固定部352が設けられている。各ビス固定部352は筒状に形成されており、上面が開口している。さらに、図4に示すように、パッド35の下面には、二つのレール部353と、四つのスイッチ押圧部354a〜354dとが設けられている。
【0031】
二つのレール部353は、スライド部32の上レール部322に対応して配置されている。具体的には、二つのレール部353は、ピン受部351(図3参照)を間においてX方向(cd方向)に延びるように配置されている。また、二つのレール部353は突起状に形成されており、スライド部32の溝状の二つの上レール部322に内嵌している。これにより、パッド35は、スライド部32を介してベース31にX方向(cd方向)にスライド移動可能に支持されている。さらに、パッド35は、スライド部32がベース31に対してY方向(ab方向)にスライド移動可能に支持されていることにより、スライド部32を介してベース31にY方向(ab方向)にスライド移動可能に支持されている。
【0032】
四つのスイッチ押圧部354a〜354dは、ピン受部351(図3参照)を間において、右斜め上方向eと左斜め下方向h、左斜め上方向fと右斜め下方向gに対向して配置されている。各スイッチ押圧部354a〜354dは突起状に形成されており、ベース31の各長穴312(図3参照)を挿通して、各押圧スイッチ2a〜2dの先端部2pに近接している。
【0033】
次に、ダンパ36について説明する。ダンパ36はリング状に形成されている。このダンパ36は、パッド35のピン受部351に外嵌している。これにより、ダンパ36は、操作部4の各操作に伴って、ピン受部351に上部からの振動が伝わるのを防止している。
【0034】
次に、ベースカバー37について説明する。ベースカバー37は円形のキャップ状に形成されている。このベースカバー37は、パッド35を覆うようにしてパッド35に支持されている。具体的に説明すると、ベースカバー37の中央部分には支持穴371が設けられている。この支持穴371は、ダンパ36に外嵌している。また、ベースカバー37の周縁部には、複数の挿通穴372が設けられている。各挿通穴372には、ビス固定部352が内嵌されている。
【0035】
次に、第二基板38について説明する。第二基板38は、基板本体381と、回転スイッチ382と、押圧スイッチ383(図5の仮想線で図示)とを備えている。基板本体381は、ベースカバー37を介してパッド35に支持されており、この状態で複数のビス380によってパッド35に固定されている。基板本体381は、図1に示すように第一基板2の回路部分とケーブル384で接続されている。回転スイッチ382は円筒状に形成されており、基板本体381に回転可能な状態で接続されている。押圧スイッチ383は、図5に示すように、回転スイッチ382の内部に配置されて基板本体381に接続されている。
【0036】
次に、操作部4について説明する。操作部4は、図3に示すように、押圧操作部41と、回転操作部42とを備えている。
【0037】
押圧操作部41は、押しボタン411と、ボタンガイド部412とを備えている。ボタンガイド部412は円筒状に形成されている。このボタンガイド部412は、回転スイッチ382内において上下に移動可能に保持されている。ボタンガイド部412の内部には、図5に示すように押圧部412aが設けられている。この押圧部412aは、押圧スイッチ383の上面に当接している。押しボタン411は、ボタンガイド部412の上面の開口部を塞ぐようにしてボタンガイド部412の上端部に装着されている。
【0038】
図3に示すように、回転操作部42は、ダイヤル421と、ダイヤルガイド部422とを備えている。ダイヤルガイド部422は円筒状に形成されている。さらに、図5に示すように、ダイヤルガイド部422は、回転スイッチ382に外嵌している。図3に示すように、ダイヤル421はリング状に形成されている。さらに、図5に示すように、このダイヤル421は、押しボタン411を内側に配置した状態でダイヤルガイド部422に外嵌している。
【0039】
以上のように構成された多方向操作スイッチ装置1を、例えば、カーナビゲーション装置の入力操作に用いた場合について説明する。乗員は、カーナビゲーション装置の操作画面に表示されている複数のメニューにおいて任意のメニューを選択する場合には、図1に示すように、ダイヤル421を左右のいずれかの方向に回転操作して回転スイッチ382を回転させる。これにより回転スイッチ382がオンにされてスイッチ信号が出力される。このスイッチ信号に基づいて画面上のカーソルが移動して任意のメニューが選択される。
【0040】
その後に、押しボタン411を図1のように押圧操作する。これにより、ボタンガイド部412が押し込まれて押圧部412aにより押圧スイッチ383がオンにされて、選択したメニューが確定される。その後、乗員は押しボタン411を離すと、押しボタン411は元の位置に戻る。
【0041】
ここで、多方向操作スイッチ装置1は、スライド部32が一部材から形成されている。このため、多方向操作スイッチ装置1は、従来の多方向操作スイッチ装置のようにスライド部が重なっていないため、パッド35がベース31に安定に支持される。したがって、乗員が回転スイッチ382を回転させる際には回転方向にがたつきが生じず、スムーズに回転を開始させることが可能になる。よって、この多方向操作スイッチ装置1は、回転操作時の操作感を良くすることができる。
【0042】
さらに、多方向操作スイッチ装置1は、スライド部32を一部材から形成したことにより、従来の多方向操作スイッチ装置に比べて部品点数が減るので、製造コストの低減化を図ることができる。さらに、多方向操作スイッチ装置1は、スライド部32を一部材から形成したことにより組み立てが容易になるので、製造効率を高めることができる。
【0043】
さらに、多方向操作スイッチ装置1は、スライド部32を薄板状に形成したことにより、装置1全体の高さを低く抑えることが可能になる。このため、限られた収容スペースの中で、より大きな多機能の機構部3を構成することが可能になる。よって、この多方向操作スイッチ装置1は、省スペース化を図りつつ機能性を高めることができる。
【0044】
さらに、多方向操作スイッチ装置1は、スライド部32の上レール部322および下レール部323を溝状に形成したことにより、装置1全体の高さをさらに低く抑えることが可能になる。よって、この多方向操作スイッチ装置1は、小型化を図ることができる。
【0045】
一方、乗員は、操作画面に地図が表示されている場合に、その画面をスクロールするには、ダイヤル421を、図2に示した8方向(矢印a〜矢印h)のいずれかの方向にスライド操作させる。以下に、ダイヤル421を各方向へスライド操作する場合のスイッチ操作について説明する。
【0046】
まず、ダイヤル421がスライド操作されていない位置(中立位置)にあるときは、図4に示すようにスライド部32は、ベース31の上面の中央部分に位置している。したがって、パッド35の各スイッチ押圧部354a〜354dは、各押圧スイッチ2a〜2dから離れているので、各押圧スイッチ2a〜2dはオフにされている。
【0047】
次に、ダイヤル421を図2の位置から上方向aへスライド操作する場合について説明する。この場合には、図4と図6に示すように、パッド35は、支持ピン34を押しながらスライド部32の二つの下レール部323がベース31の二つのレール部313に案内されて上側に移動する。
【0048】
図6に示すようにパッド35が上側に移動すると、パッド35の下側の二つのスイッチ押圧部354b、354cの各々が、第一基板2の下側の二つの押圧スイッチ2b、2cの各先端部2pを押し、これらの押圧スイッチ2b、2cがオンにされる。そして、パッド35による押圧状態が解除されると、スプリング33が元の状態に戻り、パッド35が図4に示す中立位置に戻される。
【0049】
次に、ダイヤル421を図2の位置から下方向bへスライド操作する場合について説明する。この場合には、図4と図7に示すように、パッド35は、支持ピン34を押しながらスライド部32の二つの下レール部323がベース31の二つのレール部313に案内されて下側に移動する。
【0050】
図7に示すようにパッド35が下側に移動すると、パッド35の上側の二つのスイッチ押圧部354a、354dの各々が、第一基板2の上側の二つの押圧スイッチ2a、2dの各先端部2pを押し、これらの押圧スイッチ2a、2dがオンにされる。そして、パッド35による支持ピン34の押圧状態が解除されると、スプリング33が元の状態に戻り、パッド35が図4に示す中立位置に戻される。
【0051】
次に、ダイヤル421を図2の位置から左方向cへスライド操作する場合について説明する。この場合には、図4と図8に示すように、パッド35は、支持ピン34を押しながら二つのレール部353がスライド部32の二つの上レール部322に案内されて左側に移動する。
【0052】
図8に示すようにパッド35が左側に移動すると、パッド35の右側の二つのスイッチ押圧部354a、354bの各々が、第一基板2の右側の二つの押圧スイッチ2a、2bの各先端部2pを押し、これらの押圧スイッチ2a、2bがオンにされる。そして、パッド35による支持ピン34の押圧状態が解除されると、スプリング33が元の状態に戻り、パッド35が図4に示す中立位置に戻される。
【0053】
次に、ダイヤル421を図2の位置から右方向dへスライド操作する場合について説明する。この場合には、図4と図9に示すように、パッド35は、支持ピン34を押しながら二つのレール部353がスライド部32の二つの上レール部322に案内されて右側に移動する。
【0054】
図9に示すようにパッド35が右側に移動すると、パッド35の左側の二つのスイッチ押圧部354c、354dの各々が、第一基板2の左側の二つの押圧スイッチ2c、2dの各先端部2pを押し、これらの押圧スイッチ2c、2dがオンにされる。そして、パッド35による支持ピン34の押圧状態が解除されると、スプリング33が元の状態に戻り、パッド35が図4に示す中立位置に戻される。
【0055】
次に、ダイヤル421を図2の位置から右斜め上方向eへスライド操作する場合について説明する。この場合には、図4と図10に示すように、パッド35は、支持ピン34を押しながらスライド部32の上下のレール部322、323に案内されて右斜め上側に移動する。
【0056】
図10に示すようにパッド35が右斜め上側に移動すると、パッド35の左下側のスイッチ押圧部354cが、第一基板2の左下側の押圧スイッチ2cの先端部2pを押し、この押圧スイッチ2cがオンにされる。そして、パッド35による支持ピン34の押圧状態が解除されると、スプリング33が元の状態に戻り、パッド35が図4に示す中立位置に戻される。
【0057】
次に、ダイヤル421を図2の位置から左斜め上方向fへスライド操作する場合について説明する。この場合には、図4と図11に示すように、パッド35は、支持ピン34を押しながらスライド部32の上下のレール部322、323に案内されて左斜め上側に移動する。
【0058】
図11に示すようにパッド35が左斜め上側に移動すると、パッド35の右下側のスイッチ押圧部354bが、第一基板2の右下側の押圧スイッチ2bの先端部2pを押し、この押圧スイッチ2bがオンにされる。そして、パッド35による支持ピン34の押圧状態が解除されると、スプリング33が元の状態に戻り、パッド35が図4に示す中立位置に戻される。
【0059】
次に、ダイヤル421を図2の位置から右斜め下方向gへスライド操作する場合について説明する。この場合には、図4と図12に示すように、パッド35は、支持ピン34を押しながらスライド部32の上下のレール部322、323に案内されて右斜め下側に移動する。
【0060】
図12に示すようにパッド35が左斜め上側に移動すると、パッド35の左上側のスイッチ押圧部354dが、第一基板2の左上側の押圧スイッチ2dの先端部2pを押し、この押圧スイッチ2dがオンにされる。そして、パッド35による支持ピン34の押圧状態が解除されると、スプリング33が元の状態に戻り、パッド35が図4に示す中立位置に戻される。
【0061】
最後に、ダイヤル421を図4の位置から左斜め下方向hへスライド操作する場合について説明する。この場合には、図4と図13に示すように、パッド35は、支持ピン34を押しながらスライド部32の上下のレール部322、323に案内されて左斜め下側に移動する。
【0062】
図13に示すようにパッド35が左斜め下側に移動すると、パッド35の右上側のスイッチ押圧部354aが、第一基板2の右上側の押圧スイッチ2aの先端部2pを押し、この押圧スイッチ2aがオンにされる。そして、パッド35による支持ピン34の押圧状態が解除されると、スプリング33が元の状態に戻り、パッド35が図4に示す中立位置に戻される。
【0063】
このように、本実施の形態の多方向操作スイッチ装置1では、八方向にスライド操作することにより、八通りのスイッチのオン操作を行うことができる。また、この多方向操作スイッチ装置1では、機構部3を構成しているパッド35に、スライド操作に関わるスイッチ押圧部354a〜354dが設けられている。このため、例えば、スライド部32にスイッチ押圧部が設けられた多方向操作スイッチ装置に比べて、各押圧スイッチ2a〜2dのオン操作を直接的に行うことが可能になる。したがって、各押圧スイッチ2a〜2dをオンにするタイミングが遅れてしまうことがない。よって、この多方向操作スイッチ装置1は、各押圧スイッチ2a〜2dのオン操作性を良くすることができる。
【0064】
なお、図示しないが、他の実施の形態として、本実施の形態で説明した多方向操作スイッチ装置1の機構部3に、二枚の金属プレートを加えても良い。具体的に説明すると、各金属プレートは、図3において、ダンパ36とベースカバー37との間、スライド部32とベース31との間に配置される。二枚の金属プレートが加えられた多方向操作スイッチ装置は、スライド操作時の摺動抵抗が軽減されるので、操作感を良くすることができる。
【0065】
なお、本実施の形態の多方向操作スイッチ装置1では、スライド部32の上下レール部322、323を溝状に形成したが、突起状に形成しても良い。これに伴い、上下レール部322、323に対応するベース31の二つのレール部313、パッド35の二つのレール部353を溝状に形成しても良い。また、ベース31の二つのレール部313およびスライド部32の二つの下レール部323はX方向に延びるように配置したが、Y方向に延びるように配置しても良い。これに伴い、パッド35の二つのレール部353およびスライド部32の二つの上レール部322はX方向に延びるように配置しても良い。
【0066】
なお、本実施の形態の多方向操作スイッチ装置1では、八方向にスライド操作可能なものについて説明したが、少なくともXY方向(四方向)にスライド操作可能なものであれば、本実施の形態と同様に、回転操作時の操作感を良くすることができる。
【0067】
以上、本件発明にかかる実施の形態を例示したが、この実施の形態は本件発明の内容を限定するものではない。また、本件発明の請求項の範囲を逸脱しない範囲であれば、各種の変更等は可能である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上説明したように本件発明の多方向操作スイッチ装置においては、回転操作の操作感を良くすることができる。したがって、本件発明の多方向操作スイッチ装置を、多方向操作スイッチ装置の技術分野で十分に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本件発明の一実施の形態を示す多方向操作スイッチ装置の外観斜視図である。
【図2】同実施の形態を示す多方向操作スイッチ装置の平面図である。
【図3】同実施の形態を示す多方向操作スイッチ装置の分解斜視図である。
【図4】同実施の形態を示す多方向操作スイッチ装置においてパッドが中立位置にある要部の模式図である。
【図5】図2のA−A断面図である。
【図6】パッドが、図4の位置から上方向にスライド移動した模式図である。
【図7】パッドが、図4の位置から下方向にスライド移動した模式図である。
【図8】パッドが、図4の位置から左方向にスライド移動した模式図である。
【図9】パッドが、図4の位置から右方向にスライド移動した模式図である。
【図10】パッドが、図4の位置から右斜め上方向にスライド移動した模式図である。
【図11】パッドが、図4の位置から左斜め上方向にスライド移動した模式図である。
【図12】パッドが、図4の位置から右斜め下方向にスライド移動した模式図である。
【図13】パッドが、図4の位置から左斜め下方向にスライド移動した模式図である。
【符号の説明】
【0070】
1 多方向操作スイッチ装置
2 第一基板
2a 押圧スイッチ
2b 押圧スイッチ
2c 押圧スイッチ
2d 押圧スイッチ
3 機構部
4 操作部
31 ベース
32 スライド部
35 パッド
322 上レール部
323 下レール部
354a スイッチ押圧部
354b スイッチ押圧部
354c スイッチ押圧部
354d スイッチ押圧部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧スイッチを有する第一基板と、この第一基板の上面側に機構部を介してXY方向にスライド移動可能に支持された操作部とを備え、前記押圧スイッチは、前記操作部のスライド移動によって押されることによりオンにされる多方向操作スイッチ装置であって、
前記機構部は、前記操作部によって左右に回転される回転スイッチが設けられた第二基板と、この第二基板を支持して固定するパッドと、このパッドをスライド部を介して支持して前記第一基板に固定されるベースとを備え、
前記スライド部は一部材で形成され、当該スライド部の上面には、前記パッドをXY方向のいずれか一方にスライド移動させるための上レール部が設けられ、当該スライド部の下面には、当該スライド部に支持された前記パッドを前記ベースの上面側でXY方向のいずれか他方にスライド移動させるための下レール部が設けられていることを特徴とする多方向操作スイッチ装置。
【請求項2】
前記スライド部は、薄板状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の多方向操作スイッチ装置。
【請求項3】
さらに、前記スライド部は、前記上レール部および前記下レール部が溝状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の多方向操作スイッチ装置。
【請求項4】
前記パッドには、当該パッドのスライド移動によって前記押圧スイッチを押してオンにするスイッチ押圧部が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の多方向操作スイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−129871(P2009−129871A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306770(P2007−306770)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】