説明

多方向操作スイッチ

【課題】多方向にスライド操作可能なダイヤル部材の回転方向のがたつき規制を良好に行うことができる多方向操作スイッチを提供する。
【解決手段】交差するように設置された第1、第2のスライド部材5,6の表面の両側側にそれぞれ形成された凹状のがたつき規制溝部5d,5e、6d,6eと、第1、第2のスライド部材5,6の表面側にダイヤル部材21と一体的にスライド移動可能に設置され、裏面に各がたつき規制溝部5d,5e、6d,6eの位置に合わせて突起片9b,9c,9d,9eが形成されたパット部材9を有し、各突起片9b,9c,9d,9eを対応する各がたつき規制溝部5d,5e、6d,6eの壁面に略接するようにして係止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、カーナビゲーション装置などの車両搭載電子機器の画面表示内容のスクロール操作等を行うための入力操作部に用いられる多方向操作スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、車両に搭載されるカーナビゲーション装置の入力操作部として、画面表示内容(例えば、地図表示画面)のX、Y軸両方へのスクロール操作などを操作性よく行えるように、多方向操作スイッチを備えているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記特許文献1の多方向操作スイッチ(多方向スライドスイッチ)では、直交方向にそれぞれ移動する第1、第2のスライド部材(操作つまみ)が、X、Y軸方向とそれらの軸に対して斜め方向との8方向へスライド可能に設置され、第1、第2のスライド部材の所定方向へのスライドに応じて、可動接点の先端の接点が固定接点に接触することにより、多方向のスイッチ操作(スイッチオン)を行う。
【特許文献1】特開2001−307599号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記特許文献1の多方向操作スイッチ(多方向スライドスイッチ)では、スイッチ部材として可動接点と固定接点をそれぞれ所定位置に設置する必要があるので、設置スペースが大きくなってしまう。そこで、本願発明者は、スイッチ部材の設置スペースを小さくするために、スイッチ部材として押圧スイッチを用いた多方向操作スイッチを提案している(未公開の特願2006−216815号明細書(段落[0035]、図1、図5等参照)。
【0005】
この多方向操作スイッチでは、スライドプレートのスライド移動に応じて、スライドプレートの押圧傾斜面がプッシュピンを押圧し、更にプッシュピンが押圧スイッチを押圧することにより、多方向のスイッチ操作(スイッチオン)を行う。
【0006】
ところで、この多方向操作スイッチにおいて、多方向にスライド操作可能なダイヤル部材の回転方向のがたつきを規制するために、2枚の交差されたスライドプレートの中央開口部に挿通された、ダイヤル部材と一体的にスライド移動するパット部材のストッパ部近傍にがたつき規制部材を設置することが考えられる。しかしながら、スライドプレートの中央開口部近傍には復帰スプリング部材等が設置されることにより、設置スペースの制約等から大きながたつき規制部材を設置することができず、ダイヤル部材の回転方向のがたつき規制を良好に行うことが難しかった。
【0007】
そこで、本発明は、多方向にスライド操作可能なダイヤル部材の回転方向のがたつき規制を良好に行うことができる多方向操作スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために請求項1に係る本発明の多方向操作スイッチは、多方向へスライド操作可能に設置された操作部材と、直交するように交差され、前記操作部材の多方向へのスライド操作に応じて、交差する各方向にそれぞれスライド可能に設置された第1、第2のスライド部材と、前記第1、第2のスライド部材の各スライド方向にそれぞれ設置され、前記第1、第2のスライド部材の各スライド方向への移動に対応してONされる複数のスイッチ手段と、前記第1、第2のスライド部材の表面の両側側にそれぞれ形成された凹状のがたつき規制溝部と、前記第1、第2のスライド部材の表面側に前記操作部材と一体的にスライド移動可能に設置され、裏面に前記各がたつき規制溝部内の壁面に略接するようにして係止される複数の突起片が形成されたパット部材と、を有することを特徴としている。
【0009】
また、請求項2に係る本発明の多方向操作スイッチは、前記第1、第2のスライド部材をスライド移動解除時に中立位置に復帰させる復帰手段を備えていることを特徴としている。
【0010】
また、請求項3に係る本発明の多方向操作スイッチは、前記スイッチ手段が、前記第1、第2のスライド部材の裏面の両側にそれぞれ形成されたリブにより、前記第1、第2のスライド部材のスライド移動に伴って、側面に設けた押圧部が押圧されてONされる押圧スイッチであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る多方向操作スイッチによれば、パッド部材の裏面の各突起片が、第1、第2のスライドプレートの表面の両側側に形成した各規制溝部内の壁面にそれぞれ略接するように係止されることにより、パッド部材と一体的にスライド移動可能な操作部材の回転方向のがたつき規制を良好に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る多方向操作スイッチの外観を示す斜視図、図2は、同多方向操作スイッチの平面図、図3は、図2のA−A線断面図、図4は、同多方向操作スイッチの分解斜視図である。
【0013】
これらの図に示すように、本実施形態に係る多方向操作スイッチ1は、第1の基板2上に、その中央に形成された孔2aの周囲に4個の押圧スイッチ3a,3b,3c,3d(図4参照)が90度の角度で等間隔で配置されている。各押圧スイッチ3a,3b,3c,3dは、突出した押圧部(不図示)が側面に設けられており、この押圧部が押圧されているときはON信号が出力されるように構成されている。
【0014】
第1の基板2の上面には、略円筒形状のベース部材4がその中央裏面側に形成された突起部4aを孔2aに嵌入することによって固定されている。また、ベース部材4の内側上部には、4つの突起部4b,4c,4d,4e(図4参照)によって十字状のガイド溝部4fが形成されている。ガイド溝部4fの裏面側空洞部に、前記押圧スイッチ3a,3b,3c,3dが配置されている。
【0015】
ベース部材4のガイド溝部4fには、その中央部に逆円錐状のピン受部4gと、前記押圧スイッチ3a,3b,3c,3dの位置近傍に対応してスリット状の開口部4h,4i,4j,4kがそれぞれ形成されている。
【0016】
ガイド溝部4f上には、直交して交差させた状態の第1、第2のスライドプレート5,6がスライド可能に配置されている。第1、第2のスライドプレート5,6の中央には長穴5a,6aがそれぞれ形成されており、また、第1、第2のスライドプレート5,6の裏面の両側には、リブ5b,5c、リブ6b,6cがそれぞれ形成されている。第2のスライドプレート6のリブ6b,6cは、ガイド溝部4fの開口部4h,4jにそれぞれ摺動可能に挿通されている(図6(a)参照)。同様に、第1のスライドプレート5のリブ5b,5cも、ガイド溝部4fの開口部4k,4iにそれぞれ摺動可能に挿通されている(図6(a)参照)。
【0017】
また、図5に示すように、第1、第2のスライドプレート5,6の表面の両側側には、第1、第2のスライドプレート5,6の長手方向と直交する方向に沿って凹状のがたつき規制溝部5d,5e、6d,6eがそれぞれ形成されている。
【0018】
第1、第2のスライドプレート5,6の上面側には、中央に開口部7aを有するプレート部材7と、スライドピン8を内周面に摺動可能に保持した筒状のピン保持部9aを有するパッド部材9が配置されており、ピン保持部9aのベース部材4側は、プレート部材7の開口部7aと第1、第2のスライドプレート5,6の長穴5a,6aに挿通されている。なお、ピン保持部9aの外径は、プレート部材7の開口部7aの内径よりも小さく、第1、第2のスライドプレート5,6の長穴5a,6aの短径側の内径と略同じである。
【0019】
スライドピン8の先端側(ベース部材4側)は、ピン保持部9aの開口後端から突出し、ピン保持部9a内に配置したスプリング10により、スライドピン8の半球状の先端部8aがピン受部4gに常に当接するように付勢されている。ピン保持部9a、スライドピン8、スプリング10、ピン受部4gにより、第1、第2のスライドプレート5,6を中立位置(初期位置)に復帰させる復帰手段が構成されている。
【0020】
また、図3、図5に示すように、パッド部材9の裏面(ベース部材4側)には、前記各がたつき規制溝部5d,5e、6d,6eの位置に合わせて突起片9b,9c,9d,9eがそれぞれ形成されており、各突起片9b,9c,9d,9eが対応する各がたつき規制溝部5d,5e、6d,6eの内側壁面に略接するようにして係止されている。
【0021】
パッド部材9の上面側には、中央に開口部11aを有するベースカバー11が所定の隙間を設けて配置され、ベース部材4の外周面に複数形成された係止片4lにベースカバー11の外周面に複数形成された係止孔11bをそれぞれ係止することによって固定されている。これにより、ベースカバー11とプレート部材8との間に形成される隙間に、パッド部材10が平面方向に摺動可能に配置される。
【0022】
ベースカバー11の上面側には、中央に開口部12aを有する第1のケース部材12と、第2の基板13と、第2のケース部材14が配置されており、第1のケース部材12、第2の基板13、第2のケース部材14は、3個のビス15によってパッド部材9に固定されている。また、第2の基板13の裏面側(ベース部材4側)は、パッド部材9の筒状のピン保持部9aの開口前端を覆っているキャップ部材22が接しており、ピン保持部9aの開口前端側の周面には筒状のダンパ部材23が取り付けられている。なお、前記第1の基板2と第2の基板13は、両端にコネクタを有するケーブル16により電気的に接続されている。
【0023】
第2の基板13上には、押圧スイッチ17、回転スイッチ18、および基板回路(不図示)等が配置されている。押圧スイッチ17には、回転スイッチ18の内周面に沿って図3の上下方向に移動可能に設置された円筒部材19の背面側が連結されている。円筒部材19の前面側(図3の上側)には、押しボタン部材20が固着されている。回転スイッチ18の外周面には、円筒状のダイヤル部材21の裏面側が外嵌されている。ダイヤル部材21の前面側は、押しボタン部材20の外周側に位置している。
【0024】
本実施形態に係る多方向操作スイッチ1は、押しボタン部材20を押圧すると、円筒部材19の奥方向への移動により押圧スイッチ17がONされる。また、ダイヤル部材21を回転操作すると、ダイヤル部材21の回転量に応じたスイッチ信号が回転スイッチ18から出力される。
【0025】
更に、本実施形態に係る多方向操作スイッチ1は、ダイヤル部材21が、図2に示すように、上下方向(矢印a方向、矢印b方向)、左右方向(矢印c方向、矢印d方向)、及びこれらの方向に対してその中間方向(矢印e方向、矢印f方向、矢印g方向、矢印h方向)の8方向へスライド操作可能である。
【0026】
即ち、ダイヤル部材21が、回転スイッチ18、第2の基板13、第2のケース部材14、第1のケース部材12、パッド部材10等と一体的にスライド移動可能に構成されているので、ダイヤル部材21のスライド操作方向に応じて、第1、第2のスライドプレート5,6のいずれか一方または両方がガイド溝部4f上でスライド移動することにより、ダイヤル部材21が8方向へスライド操作される(詳細は後述する)。
【0027】
ダイヤル部材21のスライド操作により、第2のスライドプレート6が、例えば図3の左方向(図2の矢印b方向)にスライド移動された場合には、リブ6bの内側端部が押圧スイッチ3aの押圧部を押圧することによりON信号が出力される。また、第2のスライドプレート6が、例えば図3の右方向(図2の矢印a方向)にスライド移動された場合には、リブ6cの内側端部が押圧スイッチ3cの押圧部を押圧することによりON信号が出力される
【0028】
同様に、第1のスライドプレート5が、例えば図2の矢印d方向にスライド移動された場合には、リブ5bの内側端部が押圧スイッチ3bの押圧部を押圧することによりON信号が出力される。また、第1のスライドプレート5が、例えば図2の矢印c方向にスライド移動された場合には、リブ5cの内側端部が押圧スイッチ3dの押圧部を押圧することによりON信号が出力される
【0029】
次に、前記のように構成された本実施形態に係る多方向操作スイッチ1によるスイッチ操作について説明する。
【0030】
前記多方向操作スイッチ1を、例えば、車両に搭載されるカーナビゲーション装置の入力操作部に用いた場合、画面に表示された複数のメニューから任意のメニューを選択する場合には、図1に示すように、ダイヤル部材21を左右のいずれかの方向に回転操作して回転スイッチ18を回転させる。回転される回転スイッチ18から出力されるスイッチ信号に応じて画面上のカーソルを移動させて任意のメニューを選択した後に、押しボタン部材20を押圧操作することにより、円筒部材19が押し込まれて押圧スイッチ17がONされることによって、選択したメニューが確定される。なお、このスイッチ動作時は、図3に示すように、スライドピン8の先端部8aは、スプリング10による付勢力でピン受部4gの中心部に位置あり、第1、第2のスライドプレート5,6が中立位置(初期位置)にある。
【0031】
また、カーナビゲーション装置の地図表示画面をスクロール操作する場合には、図2に示すように、ダイヤル部材21を上下方向(矢印a方向、矢印b方向)、左右方向(矢印c方向、矢印d方向)、これらの方向に対してその中間方向(矢印e方向、矢印f方向、矢印g方向、矢印h方向)の8方向のいずれかの方向にスライド操作させる。
【0032】
ダイヤル部材21をいずれかの方向へスライドさせることにより、ダイヤル部材21のスライド操作方向に応じて選択されて押圧される押圧スイッチ3a〜3dからのON信号に基づいて、ダイヤル部材21のスライド操作方向へ地図表示画面がスクロールされる。
【0033】
以下、前記したダイヤル部材21を多方向(8方向)へスライド操作する場合のスイッチ操作について説明する。
【0034】
ダイヤル部材21をスライド操作していないときは、スプリング10による付勢力でスライドピン8の先端部8aがピン受部4gの中心部に位置している。これにより、図6(a),(b)に示すように、直交して交差させた状態の第1、第2のスライドプレート5,6は、ガイド溝部4f上にて中立位置(初期位置)に静止している。この際、第1、第2のスライドプレート5,6のリブ5b,5c及びリブ6b,6cの各内側端部は、押圧スイッチ3d,3b及び押圧スイッチ3a,3cの各押圧部を押圧していないので、押圧スイッチ3d,3c及び押圧スイッチ3a,3cはOFF状態にある。
【0035】
そして、ダイヤル部材21を、例えば下方向(図2の矢印b方向)へスライド操作した場合には、図7(a),(b)に示すように、スライドピン8の先端部8aもピン受部4gと摺動しながら下方向へ移動する。これにより、ピン保持部9aの外周面が第2のスライドプレート6の長穴7aを下方向へ押圧することによって、第2のスライドプレート6のみが下方へスライド移動する。第2のスライドプレート6の下方向へのスライド移動に伴ってリブ6bの内側端部が、押圧スイッチ3aの押圧部を押圧することによりON信号が出力される。よって、ダイヤル部材21を、下方向(図2の矢印b方向)へスライド操作した場合には、押圧スイッチ3aからON信号が出力される。
【0036】
また、ダイヤル部材21を、上方向(図2の矢印a方向)へスライド操作した場合には、同様に、第2のスライドプレート6の上方向へのスライド移動に伴ってリブ6cの内側端部が、押圧スイッチ3cの押圧部を押圧することによりON信号が出力される。
【0037】
また、ダイヤル部材21を、右方向(図2の矢印d方向)へスライド操作した場合には、同様に、第1のスライドプレート5の右方向へのスライド移動に伴ってリブ5cの内側端部が、押圧スイッチ3bの押圧部を押圧することによりON信号が出力される。更に、ダイヤル部材21を、左方向(図2の矢印c方向)へスライド操作した場合には、同様に、第1のスライドプレート5の左方向へのスライド移動に伴ってリブ5bの内側端部が、押圧スイッチ3dの押圧部を押圧することによりON信号が出力される。
【0038】
また、ダイヤル部材21を、例えば右斜め下方向(図2の矢印g方向)へスライド操作した場合には、図8に示すように、ピン保持部9aの外周面が第1、第2のスライドプレート5,6の長穴5a,6aを右斜め下方向へ押圧することによって、第1のスライドプレート5が右方向、第2のスライドプレート6が下方向へそれぞれスライド移動する。
【0039】
第1のスライドプレート5の右方向へのスライド移動に伴ってリブ5cの内側端部が、押圧スイッチ3bの押圧部を押圧することによりON信号が出力される。更に、第2のスライドプレート6の下方向へのスライド移動に伴ってリブ6bの内側端部が、押圧スイッチ3aの押圧部を押圧することによりON信号が出力される。よって、ダイヤル部材21を、右斜め下方向(図2の矢印g方向)へスライド操作した場合には、押圧スイッチ3a及び押圧スイッチ3bからON信号が出力される。
【0040】
また、ダイヤル部材21を、同様に、右斜め上方向(図2の矢印e方向)へスライド操作した場合には、ピン保持部9aの外周面が第1、第2のスライドプレート5,6の長穴6a,7aを右斜め上方向へ押圧することによって、第1のスライドプレート5が右方向、第2のスライドプレート6が上方向へそれぞれスライド移動し、押圧スイッチ3b及び押圧スイッチ3cからON信号が出力される。
【0041】
更に、ダイヤル部材21を、同様に、左斜め上方向(図2の矢印f方向)へスライド操作した場合には、ピン保持部9aの外周面が第1、第2のスライドプレート5,6の長穴5a,6aを左斜め上方向へ押圧することによって、第1のスライドプレート5が左方向、第2のスライドプレート6が上方向へそれぞれスライド移動し、押圧スイッチ3d及び押圧スイッチ3cからON信号が出力される。
【0042】
また、ダイヤル部材21を、同様に、左斜め下方向(図2の矢印h方向)へスライド操作した場合には、ピン保持部9aの外周面が第1、第2のスライドプレート5,6の長穴5a,6aを左斜め下方向へ押圧することによって、第1のスライドプレート5が左方向、第2のスライドプレート6が下方向へそれぞれスライド移動し、押圧スイッチ3d及び押圧スイッチ3aからON信号が出力される。
【0043】
なお、ダイヤル部材21の前記した8方向(上下方向、左右方向、これらの方向の中間方向(斜め方向))のいずれかへのスライド操作を解除した場合には、スプリング10による付勢力でスライドピン8の先端部8aが摺動しながらピン受部4gの中心部に戻る。これにより、長穴5a,6aに挿通されいるピン保持部9aもピン受部4gの中心部に戻ることによって、スライド移動していた第1、第2のスライドプレート5,6の両方若しくはどちらか一方が元の位置(中立位置)へ移動し、第1、第2のスライドプレート5,6が図6(a),(b)に示した中立位置(初期位置)に戻る。
【0044】
また、本実施形態に係る多方向操作スイッチ1は、パッド部材9の裏面の各突起片9b,9c,9d,9eが、第1、第2のスライドプレート5,6の両側側に形成した各がたつき規制溝部5d,5e、6d,6eの内側壁面に略接するように係止されているので、複数の接触面でがたつき規制を行うことができる。これにより、パッド部材9と一体的にスライド移動可能なダイヤル部材21の回転方向のがたつきを小さく抑えることができる。
【0045】
よって、パッド部材9と一体的にスライド移動するダイヤル部材21の回転方向のがたつきが小さくなることで、ダイヤル部材21のスライド操作時における操作感(操作フィーリング)を良好なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態に係る多方向操作スイッチの外観を示す斜視図。
【図2】本発明の実施形態に係る多方向操作スイッチの平面図。
【図3】図2のA−A線断面図。
【図4】本発明の実施形態に係る多方向操作スイッチの分解斜視図。
【図5】第1、第2のスライドプレートの各がたつき規制溝部にパッド部材の各突起片が係止されている状態を示す図。
【図6】(a)は、ダイヤル部材をスライド操作していないときの第1、第2のスライドプレートの位置を示す平面図、(b)は、このときの多方向操作スイッチの縦断面図。
【図7】(a)は、ダイヤル部材を下方向へスライド操作したときの第1、第2のスライドプレートの位置を示す平面図、(b)は、このときの多方向操作スイッチの縦断面図。
【図8】ダイヤル部材を右斜め下方向へスライド操作したときの第1、第2のスライドプレートの位置を示す平面図。
【符号の説明】
【0047】
1 多方向操作スイッチ
3a,3b,3c,3d 押圧スイッチ(スイッチ手段)
4 ベース部材
4f ガイド溝部
5 第1のスライドプレート(第1のスライド部材)
5b,5c リブ
5d,5e がたつき規制溝部
6 第2のスライドプレート(第2のスライド部材)
6b,6c リブ
6d,6e がたつき規制溝部
9 パッド部材
9a ピン保持部
9b,9c,9d,9e 突起片
18 回転スイッチ
20 押しボタン部材
21 ダイヤル部材(操作部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多方向へスライド操作可能に設置された操作部材と、
直交するように交差され、前記操作部材の多方向へのスライド操作に応じて、交差する各方向にそれぞれスライド可能に設置された第1、第2のスライド部材と、
前記第1、第2のスライド部材の各スライド方向にそれぞれ設置され、前記第1、第2のスライド部材の各スライド方向への移動に対応してONされる複数のスイッチ手段と、
前記第1、第2のスライド部材の表面の両側側にそれぞれ形成された凹状のがたつき規制溝部と、
前記第1、第2のスライド部材の表面側に前記操作部材と一体的にスライド移動可能に設置され、裏面に前記各がたつき規制溝部内の壁面に略接するようにして係止される複数の突起片が形成されたパット部材と、を有する、
ことを特徴とする多方向操作スイッチ。
【請求項2】
前記第1、第2のスライド部材をスライド移動解除時に中立位置に復帰させる復帰手段を備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載の多方向操作スイッチ。
【請求項3】
前記スイッチ手段は、前記第1、第2のスライド部材の裏面の両側にそれぞれ形成されたリブにより、前記第1、第2のスライド部材のスライド移動に伴って、側面に設けた押圧部が押圧されてONされる押圧スイッチである、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の多方向操作スイッチ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−311019(P2008−311019A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−156173(P2007−156173)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】