多材料フェースを具備するゴルフクラブヘッド
【課題】スイートスポットの寸法を増大させることができる態様で複数の材料を採用することができるゴルフクラブヘッドを提供する。
【解決手段】打撃フェース部分302は、第1の材料から製造される第1の外側層310が打撃フェース部分の外側表面を形成し、第1の外側層と類似の材料から製造される第2の裏打ち層312が打撃フェース部分の内側表面を形成し、第2の材料から製造されるチップインサート314が打撃フェース部分の幾何中心の近くのキャビティ313内に配置される。第1の材料は第2の材料と異なり、かつ、第2の材料のヤング率が第1の材料のヤング率より大きい。
【解決手段】打撃フェース部分302は、第1の材料から製造される第1の外側層310が打撃フェース部分の外側表面を形成し、第1の外側層と類似の材料から製造される第2の裏打ち層312が打撃フェース部分の内側表面を形成し、第2の材料から製造されるチップインサート314が打撃フェース部分の幾何中心の近くのキャビティ313内に配置される。第1の材料は第2の材料と異なり、かつ、第2の材料のヤング率が第1の材料のヤング率より大きい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、全般的には、複数の材料から製造される打撃フェースを具備するゴルフクラブヘッドに関する。より具体的には、この発明は、ゴルフクラブヘッドの打撃フェース部分の幾何中心の近くに形成されたキャビティに配されるチップインサートを第2の材料を用いて形成し、この第2の材料が打撃フェースの残りの部分より大きなモジュラスを有する、メタルウッドタイプのゴルフクラブヘッドに関する。打撃フェース部分は、固有な構造故に、一般的には、拡散接合、液体界面拡散、または超塑性形成の技術を用いて一緒に形成され所望の接合強さを実現されて良い。このメタルウッドタイプのゴルフクラブは、第2の材料を打撃フェース部分の幾何中心の近くに組み込むことにより、ゴルフクラブヘッドのスイートスポットの寸法が顕著に増大して、もってゴルフクラブヘッドの全体の性能を改善する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフゲームで良い成績を残すには、ゴルファーは種々の異なるゴルフショットを行えるようになる必要がある。ショットのそれぞれはゴルフゲームの異なる場面に焦点を当てる。例えば、良好なチップおよび/またはピッチショットを打つには、ゴルファーは、ゴルフボールの軌道、距離、スピンを制御してゴルフボールができるだけピンの近くに、好ましくはホールに、止まるようにできるようになる必要がある。他の例では、良好なアイアンショットを打つために、ゴルファーはゴルフショットの距離および広がりを制御してボールがグリーンにのるのを確実にする必要があり、距離のゲインを稼ぐために正確性を犠牲にする。最後に、他の例では、良好なドライバショットを打つために、ゴルファーはゴルフショットの距離を最大化させ、同時に比較的まっすぐな飛行経路を維持させるようにする必要がある。このような点に基づいて、クラブが長くなるにつれて、正確性が強調されなくなり、距離が強調されるようになる。
【0003】
ドライブタイプのショットに関しては、ゴルフクラブ設計者がゴルフショットの全体距離を増大させつつ比較的まっすぐな飛行経路を維持するウッドタイプのゴルフクラブを設計するよう試みてきた。米国特許第6,932,716号はドライバタイプゴルフクラブヘッドの反発係数を増大させてドライバタイプゴルフクラブの総合距離を増大させる1つの試みを示す。より具体的には、米国特許第6,932,716号は、相互接続されて強化構造およびポリマー材料から構成されるマトリクス層を具備するゴルフクラブヘッドを製造してこれを達成するように試みる。マトリクス層は、ゴルフボールとの衝突の際に、より大きな反発係数をゴルフクラブヘッドに付与する。米国特許第6,719,644号は、応力破壊を阻止してより薄いフェースを実現して改良された反発係数をもたらす浅いマーキングを用いてドライバタイプのゴルフクラブヘッドの距離を増大させる他の例を提供する。
【0004】
ゴルファーがドライブタイプのゴルフショットにおいて比較的まっすぐな飛行経路を維持できるようにするために、ゴルフクラブ設計者は、より大きなゴルフクラブヘッドを試みてきており、これはオーバーサイズのクラブヘッドの慣性モーメントを増大させる結果となり、この慣性モーメントの増大により、意図した経路からゴルフショットを外すこととなる衝突時の好ましくないツイストがゴルフクラブに起こらないようにする。米国特許第7,413,520号はゴルフクラブヘッドの全体の寸法を大きくしてゴルファーがボールをよりまっすぐ打てるように支援する1つの例を示す。より具体的には、米国特許第7,413,520号は、容積が450立方センチメートルから475立方センチメートルで、質量が180グラムから225グラムで、フロント−バック長が4.0インチから5.0インチのゴルフクラブヘッドを開示している。さらに、米国特許第7,413,520号は、さらに、ゴルフクラブヘッドの重心のまわりの慣性モーメントIyyが増大し、4000グラム−cm2より大きな数値を実現するという副次的な効果の1つを説明する。
【0005】
ゴルフクラブヘッドの反発係数および慣性モーメントの双方が大きくなると、ゴルファーがゴルフボールをより遠く、よりまっすぐに打撃するのが容易になるけれども、これらは、より長く、よりまっすぐなドライブを実現する上で、最も大切なものではない。実際には、スイートスポットのサイズが、顕著な違いを実現するファクターの1つであり、それでいて、しばしば見落とされる。米国特許第5,839,975号は、スイートスポットの重要性を認識して、ゴルフクラブヘッドの内部キャビティ内にリブ構造を具備してクラブヘッドを強化して比較的大きなスイートスポットを実現しつつ崩壊やその他のゆがみを阻止するゴルフクラブヘッドを形成している。米国特許第5,839,975号は、ゴルフクラブヘッドのスイートスポットの寸法に重きを置き、それを増大させる初期の試みの1つであるけれども、これは、ゴルフクラブヘッドの内部キャビティに付加的な材料を加えることにより実現され、これはしばしば好ましくない。重量を付加すること無しに同様のゴールを実現するために、ゴルフクラブ設計者は打撃フェースを形成するために種々の材料を潜在的には用いることができた。
【0006】
米国特許第3,975,023号は、ゴルフクラブヘッドの打撃フェース部分に、またはその近くに複数の異なる材料を用いる初期の試みを示すけれども、これはゴルフボールの全体の飛行距離を増大させるために奏しているのであり、スイートスポットの寸法を増加させることについては何ら言及がない。米国特許第3,975,023号は、アルミナセラミックス、ムライトセラミックス等のような金属酸化物の焼結本体から形成されたセラミックフェースプレートにクラブヘッドの打撃フェースを固着するゴルフクラブを開示している。
【0007】
米国特許第7,874,938号は、複数の異なる材料を用いる、より現代的な試みを実現し、フェースプレート上に複合物体を採用する。より具体的には、米国特許第7,874,938号は、複合フェースプレートを具備するゴルフクラブヘッドを開示し、ここでは、まず、中央部分とこの中央部分を囲む犠牲的な部分とを具備する多数のプリプレグ層のオーバーサイズのレイアップを形成することにより、複合フェースプレートを製造できる。レイアップは、金型内で、温度および圧力を増大させつつ、少なくとも部分的に硬化され、つぎに、レイアップが金型から取り出され、犠牲的な部分が中央部分から除去されて実質的に欠陥のない複合部分が形成される。しかしながら、上述したのと同様に、米国特許第7,874,938号は、ゴルフクラブヘッドのスイートスポットを増大させる可能性については言及がない。
【0008】
したがって、上述から明かのように、スイートスポットの寸法の増大の重要性を認識する上でのすべての進展にもかかわらず、現状の技術は好ましくない重量の付加を伴うこと無しにスイートスポットの寸法を改善させることができない。他方、重量を増加させることなく打撃フェースに複数の材料を使用する唯一の試みは、スイートスポットの寸法を増加させる設計を組み込むことに失敗している。したがって、この業界において、ゴルフクラブヘッドのスイートスポットの寸法を増大させることができる態様で複数の材料を採用することができるゴルフクラブヘッドに対する要請がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,932,716号明細書
【特許文献2】米国特許第6,719,644号明細書
【特許文献3】米国特許第7,413,520号明細書
【特許文献4】米国特許第5,839,975号明細書
【特許文献5】米国特許第3,975,023号明細書
【特許文献6】米国特許第7,874,938号明細書
【発明の開示】
【0010】
この発明の一側面においては、ゴルフクラブヘッドは、ゴルフクラブヘッドの前面部分に位置づけられる打撃フェース部分と、打撃フェース部分の後方部分に結合される本体部分とを有する。打撃フェース部分は、さらに、第1の材料から製造される第1の外側層と、第1の外側層と類似の材料から製造される第2の裏打ち層と、第2の材料から製造されるチップインサートとを有する。第1の外側層は打撃フェース部分の外側表面を形成し、第2の裏打ち層は打撃フェース部分の内側表面を形成し、ここで、第1の外側層および第2の裏打ち層が組合わさって実質的に打撃フェース部分の幾何中心の近くにキャビティを形成する。チップインサートはキャビティ内に配置され、ここで、打撃フェース部分は約0.875未満のフェース厚さ比を有し、当該フェース厚さ比は、第1の外側層の幾何中心における厚さを第2の裏打ち層の幾何中心における厚さで割ったものとして定義される。
【0011】
この発明の他の側面において、ゴルフクラブヘッドは、ゴルフクラブヘッドの前面部分に位置づけられる打撃フェース部分と、打撃フェース部分の後方部分に結合される本体部分とを有する。打撃フェース部分は、さらに、第1の材料から製造される第1の外側層と、第1の外側層と類似の材料から製造される第2の裏打ち層と、第2の材料から製造されるチップインサートとを有する。第1の外側層は打撃フェース部分の外側表面を形成し、第2の裏打ち層は打撃フェース部分の内側表面を形成し、ここで、第1の外側層および第2の裏打ち層が組合わさって実質的に打撃フェース部分の幾何中心の近くにキャビティを形成する。チップインサートはキャビティ内に配置され、ここで、第1の材料は上記第2の材料と異なり、かつ、第2の材料のヤング率が第1の材料のヤング率より大きい。
【0012】
この発明の他の側面において、ゴルフクラブヘッドは、ゴルフクラブヘッドの前面部分に位置づけられる打撃フェース部分と、打撃フェース部分の後方部分に結合される本体部分とを有する。打撃フェース部分は、さらに、第1の材料から製造される第1の外側層と、第1の外側層と類似の材料から製造される第2の裏打ち層と、第2の材料から製造されるチップインサートとを有する。第1の外側層は打撃フェース部分の外側表面を形成し、第2の裏打ち層は打撃フェース部分の内側表面を形成し、ここで、第1の外側層および第2の裏打ち層が組合わさって実質的に打撃フェース部分の幾何中心の近くにキャビティを形成する。チップインサートはキャビティ内に配置され、ここで、打撃フェース部分は液体界面拡散プロセスを利用して形成される。
【0013】
この発明のこれらの、または他の特徴、側面、および利点は以下の図面、説明および特許請求の範囲を参照して理解されるであろう。
【0014】
この発明の、先の、または他の特徴および利点は、添付図面において図説される、この発明の以下の説明から明らかであろう。添付図面はここに組み入れて明細書の一部を構成し、この発明の原理を説明するのに役立ち、同業者がこの発明を実施することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の事例的な実施例に従うゴルフクラブヘッドの斜視図である。
【図2】この発明の事例的な実施例に従うゴルフクラブヘッドの正面図であり、さらに断面線A−A'を示すものである。
【図3】この発明の事例的な実施例に従うゴルフクラブヘッドの断面線A−A'に沿う断面図である。
【図4】この発明の事例的な実施例に従うチップインサートを含むフェースインサートの分解図である。
【図5】この発明の事例的な実施例に従うゴルフクラブヘッドの図3の円Cで取り出される拡大断面図である。
【図6】この発明の代替的な実施例に従うゴルフクラブヘッドの拡大断面図である。
【図7】この発明の他の代替的な実施例に従うゴルフクラブヘッドの図3の円Cで取り出される拡大断面図である。
【図8】この発明の代替的な実施例に従うゴルフクラブヘッドの図3の円Cで取り出される拡大断面図である。
【図9】この発明の代替的な実施例に従うゴルフクラブヘッドの図3の円Cで取り出される拡大断面図である。
【図10】この発明の代替的な実施例に従うゴルフクラブヘッドの図3の円Cで取り出される拡大断面図である。
【図11】この発明の代替的な実施例に従うチップインサートを含むフェースインサートの分解図である。
【図12】この発明の代替的な実施例に従うチップインサートを含むフェースインサートの分解図である。
【図13】この発明の代替的な実施例に従うゴルフクラブヘッドの図3の円Cで取り出される拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の詳細な説明は、この発明を実施する最良の現行企画モデルのものである。この説明は限定的な意味で受け取られるべきではなく、この発明の全体的な原理を説明する目的でのみなされている。この発明の範囲は添付の特許請求の範囲により最も良く規定されているからである。
【0017】
種々の発明の特徴が以下に説明され、その各々は他の特徴と独立に採用されてもよいし、他の特徴と組みあわされて使用されても良い。ただし、発明の任意の1つの特徴は上述した問題のいずれも、またはすべてを扱わないかもしれないし、上述した問題の1つのみを取り扱うかもしれない。さらに、上述した問題の1つまたは複数は、以下説明される特徴のいずれでも取り扱われないかもしれない。
【0018】
添付図面の図1は、この発明の事例的な実施例に従うゴルフクラブヘッド100の斜視図である。より具体的には、添付図面の図1は、打撃フェース部分102および本体部分104を具備するゴルフクラブヘッド100を示す。この事例的な実施例においては、打撃フェース部分102はさらにフェースインサート106を有して製造業者が打撃フェース部分102の背面の幾何形状を操作できるようにしている。しかしながら、この発明の創作性のある特徴を真に理解するためには、打撃フェース部分102および/またはフェースインサート106の断面図を見なければならず、これは複数の材料が用いられてフェースインサート106を構築していることを示すことができる。フェースインサート106の複数材料構造に関する検討を行う前に、以下の図面はすべてフェースインサート106を採用しているけれども、この発明はフェースインサートを使用することを必要としないことを明確にすることは重要なことである。実際、この発明は、その範囲および内容から逸脱しない範囲で、フェースカップ、L−カップ、または他の構造のような任意のタイプの多材料構造を打撃フェース部分102の近くに含むことを意図している。
【0019】
打撃フェース102の断面を示すために、添付図面の図2は、断面線A−A'が描かれた、ゴルフクラブヘッド200の正面図を示す。添付図面の図2は、打撃フェース部分202の幾何中心205も示す。打撃フェース部分202の幾何中心205はこの発明において重要である。なぜならば、第2の材料の配置は、一般的には、打撃フェース部分202の幾何中心205の実質的に後方であって良いからである。
【0020】
添付図面の図3は、図2に示す断面線A−A'に沿うゴルフクラブヘッド300の断面図を示す。ゴルフクラブヘッド300に関するこの断面図は、ゴルフクラブヘッドの打撃フェース部分302の複数材料構造を示す。より具体的には、打撃フェース部分302は、さらに第1の外側層310、第2の裏打ち層312、およびこれら第1の外側層310および第2の裏打ち層312の間に並置さら、またはカプセルかされたチップインサート314を有する。第1の外側層310は、この発明の事例的な実施例において開示されるように、全般的には、第1の材料から製造されて良い。第1の材料は全般的にはチタンタイプの材料であり、これは約80GPaから約130GPaの間のヤング率、より好ましくは約90GPaから約120GPaの間、最も好ましくは約95GPaから約115GPaの間のヤング率を有する。しかしながら、第1の材料はチタン材料から製造する必要はなく、この発明の範囲および内容から逸脱しない範囲で、ゴルフボールとの衝撃力に耐えるのに充分な耐久性がある任意の材料から製造できる。
【0021】
第1の外側層310は、図3においてチタンの薄い層として示されるけれども、この発明の範囲および内容から逸脱することなくスプレイコートタイプのチタンを用いて製造することもできる。第1の外側層310の寸法および重量を最小化するためにその厚さをできる限り薄くすることが望ましいので、打撃フェース部分302の前面表面をスプレイコートすることにより現在の構造を実現して、第1の外側層310の厚さを顕著に減少させ、さらに、前面フェース部分がすべて同一の材料から製造されなければならないことを示すUSGA要請に合致させることができる。
【0022】
第2の裏打ち層312は、この発明の事例的な実施例において示されるように、全般的には、第1の外側層310を形成するのに使用した第1の材料と類似のものから形成して良い。類似の材料は、この具体的な参照例において参照されるように、Ti−811、SP−700、15−3−32、または任意のα合金、任意のβ合金、またはα−β合金のような他のタイプのチタンであって良い。第1の材料は、全般的には先に検討したようにチタンであるけれども、任意の他の材料でも形成できることにここでも再度留意されたい。第1の外側層310および第2の裏打ち層312は、全般的には、その高強度および低密度の特性から、類似のチタン材料から製造されて良いけれども、これらは、この発明の範囲および内容から逸脱しない範囲で、異なるゴールおよび目的を実現するために完全に異なる材料からも製造できる。第1の外側層310および第2の裏打ち層312は相互に組合わさって、実質的に幾何中心の近くに、キャビティ313を形成してチップ314を収容するようになっていることに留意されたい。
【0023】
キャビティ313は、この発明の事例的な実施例において示されるように、全般的には、チップインサート314の幾何形状と同一の幾何形状を伴って良く、これによりすべての要素が適切に接合することを確実にする。しかしながら、キャビティ313はチップインサート314と正確に同一の幾何である必要はなく、実際に、キャビティ313がチップインサート314と充分なインターフェースを取って第1の外側層310、第2の裏打ち層312、およびそれ自体の間の強固な接合を確実にすることができる限り、この発明の範囲および内容から逸脱しない範囲で他の幾何形状を採用することができる。
【0024】
チップインサート314は、この発明の事例的な実施例において示されるように、全般的には、第2の材料から形成されて良く、これは第1の材料と異なるものである。より具体的には、第2の材料は全般的には第1の材料のヤング率より大きなヤング率を伴って良く、これにより、ゴルフクラブヘッド300の中央部分が単一の一体の実体としてゴルフクラブヘッド300の内方向・外方向へと移動して性能を改善させる。より具体的には、第2の材料は、全般的には約130GPaより大きな、より好ましくは約150GPaより大きな、最も好ましくは約170GPaより大きなヤング率を有して良い。大きな弾性モジュラスに加えて、第2の材料は、全般的には、約500GPaより大きな、より好ましくは約600GPaより大きな、最も好ましくは約700GPaより大きな降伏強度を有して良い。最後に、第2の材料は、全般的には、約750GPaより大きな、より好ましくは約850GPaより大きな、最も好ましくは約950GPaより大きな最大抗張力を有してよい。チップインサート314の上述の材料特性に従えば、多数の材料がこれら特性に適合するものであることが理解でき、とくに、第1の材料がいくつかの実施例においてチタンから外れているという事実の点からもそうである。しかしながら、1つのこの発明の好ましい実施例において、チップインサート314は、容易に利用しやすく、上述の基準に合致する固有の特性を有するという点から、スチールから構築されて良い。多くの他の材料、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、セラミック、タングステン、プラスチック、カーバイド、ホウ素カーバイド、金属射出成型材料、または、先の説明に合致する任意の他の材料を、それが先の材料特性に合致する限り、この発明の範囲および内容に逸脱しない範囲で、すべて、採用して良い、
【0025】
添付図面の図4は、第1の外側層410、キャビティ413を具備する第2の裏打ち層412、および、チップインサート414を分解して示し、この多材料打撃フェース部分402を構築するのに使用される種々の要素の間の関係を明瞭に説明する。この多材料打撃フェース部分402の構造中に関連する部品の数は比較的少ないけれども、部品を一緒にシームレスに接合する能力についてさらに説明する。多くの接合方法、例えば溶接およびロウ付けが、潜在的に、打撃フェース部分402の部品を一緒に接合するのに採用できるけれども、これらの手法は、ゴルフクラブヘッドの打撃フェース部分402に一般的に関連する大きな衝撃力に耐えるのに充分な接合を種々の部品間に実現しない。
【0026】
伝統的な接合方法の欠陥に対処するために、この発明は、多数の先進的な接合技術、例えば、いくつかを挙げると、拡散接合(diffusion bonding)、液体界面拡散(liquid interface diffusion)、拡散ロウ付け(diffusion brazing)、またはさらには超可塑形成(super plastic forming)を組み入れている。これは、これら手法等は、ゴルフクラブヘッドの用途に必要な接合強度を実現するのに採用できるからである。
【0027】
1つの事例的な実施例において、第1の外側層410、第2の裏打ち層412、およびチップインサート414が拡散接合技術を用いて一緒に形成されてよい。拡散接合はソリッドステート溶接プロセスであり、これによって、界面に渡って原子をマイグレーションさせて濃度勾配を増大させ、もって、2つの金属を一緒に接合するものである。拡散接合技術は、全般的には、材料が大きな面積に渡って極度に強固な接合を生成できるように高い温度にかなり長い時間だけ材料を加熱することを伴う。拡散接合に関するより詳細な説明は米国特許第7,367,899号に見いだすことができ、その開示内容は参照してここに組み入れる。
【0028】
この発明の代替的な実施例において、打撃フェース部分402の部品を液体界面拡散を用いて一緒に接合してよい。液体界面拡散接合は、チタン合金インターフェース材料、共晶材料、または三元材料を採用して必要な表面処理を減少させることにより、通常の拡散接合のいくつかの欠点を除去する。より具体的には、チタン合金インターフェース材料の存在下で、液体界面拡散は劇的に適切な拡散接合を確実にするための平滑性、洗浄性、および平坦性の要請を減少させる。液体界面拡散に関するより詳細な説明は米国特許第3,957,194号に見いだすことができ、その開示内容は参照してここに組み入れる。
【0029】
この発明の他の代替的な実施例において、打撃フェース部分402の部品を超可塑形成を用いて一緒に接合してよい。超可塑形成は、超弾性の理論に基づいて金属シートを形成するための金属下降プロセスである。超可塑形成プロセスは、全般的には、超微細グレインサイズの金属を加熱して超弾性を助長させ、大きく複雑な幾何形状が、一回の処理で形成できるようになすことを伴う。超可塑形成に関するより詳細な説明は米国特許第4,603,808号に見いだすことができ、その開示内容は参照してここに組み入れる。
【0030】
添付図面の図5は図3に円Cで示す部分の拡大図であり、打撃フェース部分502に関してより詳細が示される。図示のとおり、打撃フェース部分502はすべて同一の部品を具備し、例えば、第1の厚さd1の第1の外側層510、第2の厚さd2の第2の裏打ち層512、および第3の厚さのチップインサート514を具備する。図5は実際には、説明の便宜上、幾何中心から若干ずれた位置で相対厚さを説明するけれども、相対厚さd1、d2、およびd3の測定は全般的には打撃フェース部分502の幾何中心で行われることにここで言及することは重要である。現行の事例的な実施例において示されるように、第1の厚さd1は、フェースの前面が衝突時に圧力を受けるときに必要でない重量を節約するために、比較的、薄いままとされて良い。第1の外側層510が受ける圧縮力によって引き起こされる内部応力は、打撃フェース部分502のバックが受ける張力によって引き起こされる内部応力より小さく、このため、厚さd1の厚さの要件を小さくするであろう。より具体的には、第1の厚さd1は、全般的には、約0.7mm未満、より好ましくは約0.6mm未満、最も好ましくは約0.5mm未満であって良い。第2の裏打ち層512は第2の厚さd2を伴い、先に述べたように、ゴルフボールとの衝突により引っ張られるときに、最も大きな内部応力を受ける、打撃フェース部分502の部分であり、このため、第2の厚さd2は第1の厚さd1と較べて顕著に大きくなることが要請される。より具体的には、第2の厚さd2は、全般的には、約0.8mmより厚く、より好ましくは約0.9mmより厚く、最も好ましくは約1.0mmより厚い。最後に、第3の厚さd3はチップインサート514の厚さを示し、ここでは、厚さd3は、全般的には、約1.8mmから約2.2mmの間、より好ましくは約1.9mmから約2.1mmの間、最も好ましくは約2.0mmであって良い。
【0031】
打撃フェース部分502の種々の領域の相対厚さはすべて先に開示したとおりであるけれども、厚さは相互との関係で重要であることを再度強調することは重要である。より具体的には、第2の裏打ち層512は、第1の外側層510の圧縮応力に較べて顕著に大きな引っ張り応力を受けるので、第2の裏打ち層512の厚さd2は第1の外側層510の厚さより顕著に大きくなくてはならない。打撃フェース部分502が充分な耐久性を持つために必要とされる種々の部分の厚さ要求を適切に把握するために、「フェース厚さ比」が以下の式(1)のように形成され、これは厚さd1および厚さd2の間の関係を把握する。
フェース厚さ比=厚さd1/厚さd2 式(1)
この発明の事例的な実施例に従う打撃フェース部分502は、全般的には、約o.875より小さな、より好ましくは、約0.66より小さな、最も好ましくは約0.50より小さな「フェース厚さ比」を有して良い。
【0032】
チップインサート514は、全般的には、実質的に、円形または卵形の形状をしており、その長軸は約21.75mmで、短軸は約11.63mmである。先に説明したように厚さが近似的に約2.0mmであることを組みあわせると、チップインサート514の体積は全般的には約371.45mm3であって良い。ただし、同一の性能向上を依然として実現しつつ、チップインサート514の総合体積の小幅なすれがあって良い。より具体的には、チップインサート514の体積は、この発明の範囲および内容から逸脱することなく、約300mm3から約400mm3の間、または、さらには、約250mm3から約450mm3の間であってよい。最後に、ゴルフクラブヘッドの打撃フェース部分502に過剰な重量を付加することは全般的には好ましくないであろうから、チップインサート514の重量をできるだけ最小限に保つことが全般的には好ましい。したがって、先に検討した材料特性のいくつか、および先の体積を前提にすると、チップインサート514の質量は、全般的には3.0グラムより小さく、より好ましくは2.95グラムより小さく、最も好ましくは2.90グラムより小さい。
【0033】
この発明の他の実施例に関する検討に移る前に、チップインサート514はドーム状の形状を採って良いことをここで指摘することは重要であり、ここで平坦側は第1の外側層510に面し、丸められた側は第2の裏打ち層512側に面している。この具体的な構造は第2の裏打ち層512の背面から鋭利な角を除去する。このような角は衝撃力を受けたときに大きなストレスの点になりやすい。第2の裏打ち層512の引っ張り応力は第1の外側層510の圧縮応力より顕著に大きいので、第2の裏打ち層512上のキャビティの丸い側部を保持することは重要である。圧縮応力は顕著ではないので、また、この種のドームキャビティ構造は伝統的な機械加工方法でより簡単に形成できるので、ドームの平坦なサイドは第1の外側層510と相互作用する。
【0034】
添付図面の図6はこの発明の代替的な実施例に従う打撃フェース部分602の拡大断面図であり、ここでは、チップインサート614は、ドーム状の形状に代わってディスク状の形状をしている。チップインサート614をドーム状の形状でなくディスク状の形状から製造すると、スイートスポットの寸法が大きくなって、もって、ゴルフクラブヘッドの性能がさらに向上するであろう。しかしながら、そのような幾何形状にすると製造がより難しくなる。より具体的には、図6は、部品の間の任意のギャップを除去するために第1の外側層610の背面に複数の突起616を具備する第1の外側層610を示す。
【0035】
添付図面の図7はこの発明の代替的な実施例に従う打撃フェース部分702の拡大断面図であり、ここでは、チップインサート714は、ドーム状の形状に代わってディスク状の形状をしている。ただし、図6に示される打撃フェース部分602と異なって、この実施例の打撃フェース部分702は、キャビティが第1の外側層710側で一部が形成され、第2の裏打ち層712側で一部が形成されるように異なる分割線を伴う。このタイプの構造によって、部品のいずれの側でも通常でない形状を伴うこと無しにディスク状のチップインサート714を利用できるようになる。
【0036】
添付図面の図8はこの発明の代替的な実施例に従う打撃フェース部分802の拡大断面図であり、ここでは、チップインサート714は、波状の幾何形状をしている。チップインサート814が波状構造を有しているので、チップインサート814はチップインサート814の全体の重量を減少させながら大きなモジュラスを実現できる。
【0037】
添付図面の図9はこの発明の代替的な実施例に従う打撃フェース部分902の拡大断面図であり、ここでは、追加の中間層916が第1の外側層910および第2の裏打ち層912の間に挟み込まれている。余分な中間層916を組み込むと、第1の外側層910および第2の裏打ち層912の双方を完全に平坦に製造できるので、製造を顕著に簡素化できる。チップインサート914用のキャビティを形成するために行うことが必要な機械加工は中間層916中のもののみであり、これはキャビティの深さに何ら限定されずに容易に実現できる。この発明の現行の事例的な実施例では、中間層916は第1の外側層910および第2の裏打ち層912と類似の材料から全般的には構築して良いけれども、中間層916は、他の部品とともに形成できる限り、この発明の範囲および内容から逸脱することなく、完全に異なる材料から構築して良い。
【0038】
添付図面の図10はこの発明の代替的な実施例に従う打撃フェース部分1002の拡大断面図であり、ここでは、これは、チップインサート1014が埋め込まれたキャビティを具備する第2の裏打ち層1012のみを有する。この実施例においては、打撃フェース部分1002は打撃フェース表面が均一な材料であることを確実にするためにチップインサート1014を被覆する第1の外側層を伴わない。この実施例は、打撃フェースは均一な材料から製造されなければならないという現行のUSGAのゴルフ規則に適合しないかもしれないけれども、これは、打撃フェース部分1002の前面表面に不必要な重量を付加する先に説明した他のすべての実施例に較べて顕著な性能向上を潜在的に実現する。さきに説明したように、前面部分の応力は最少なものであるので、前面部分を強化する必要はなく、そのため、チップインサート1014を露出可能である。図10に対して若干異なる実施例においては、打撃フェース部分1002の前面部分はチタンまたは任意の他の材料の薄膜で被覆されて、図10に示される実施例の重量節約を実現し継ぐ視覚的にはUSGA要件に適合できるようになして良い。
【0039】
添付図面の図11はこの発明の代替的な実施例に従う打撃フェース部分1102の分解図である。より具体的には、この発明の代替的な実施例において、第1の外側層1110は同一の目的を実現するために前面表面を完全に占めなくてもよい。図11に示すこの実施例はキャビティ1113に加えて外側ポケット1115を機械加工する点で、より多くの機械加工作業を必要とするけれども、部品間の接合面積を顕著に減少させることができる。接合面積の減少は、拡散接合または液体界面拡散プロセスを使用する状況において好ましいであろう。なぜならば、双方のプロセスはボンディングを実現するために顕著な表面処理を必要とするからである。現行の事例的な実施例において、第1の外側層1110はより簡易に機械加工を行える形状を実現するために円形ディスクの形状を採用して良いけれども、後により詳細に示されるように、第1の外側層1110は、この発明の範囲および内容から逸脱することなく、打撃フェース部分1102の外側輪郭より小さな任意の形状を採って良い。最後に、第1の外側層1110は全般的に第2の裏打ち層1112と同一のチタン材料から製造されて、最終製品が均一な打撃表面を伴ってUSGA規則に適合するようになして良いことに留意されたい。ただし、第1の外側層1110は、この発明の範囲および内容から逸脱することなく、第2の裏打ち層1112の材料と実質的に類似の材料、または完全に異なる材料から製造して良い。
【0040】
添付図面の図12はこの発明の代替的な実施例に従う打撃フェース部分1202の分解図である。より具体的には、第1の外側層1210の形状がチップインサート1214の形状と顕著に類似している。ただし、チップインサート1214を被覆するのに充分な大きさを有する。これに対応して、外側ポケット1215も、この発明の範囲および内容から逸脱することなく、第1の外側層1210と類似の形状をとってよい。第1の外側層1210をチップインサート1214の形状と類似にすれば、第1の外側層1210に対して焦点を当てた形状を実現でき、種々の部品の拡散接合に必要な表面準備の量をさらに減少させることができる。
【0041】
最後に、添付図面の図13はこの発明の実施例に従う打撃フェース部分1002の拡大断面図であり、ここでは、第1の外側層1310はゴルフクラブヘッドの前面の打撃表面を完全にカバーしなくて良い。より具体的には、図13の断面図に示すように、第1の外側層1310は前面打撃表面を部分的にのみ被覆して良い。この実施例の断面図は、部品間の接合面積が顕著に減少していることを示し、また拡散接合技術に必要な表面準備を最小化できることを示す。
【0042】
動作例に関する場合を除き、または、とくにことわらない限りは、すべての数の範囲、量、値およびパーセンテージ例えば明細書中の材料の量、慣性モーメント、重心位置、ロフト、ドラフト角、種々の性能比、その他に関するそのようなものは、値、量、または範囲とともに明瞭に「約」の用語が表示されていなくてもそのような用語「約」があるものとして認識することができる。したがって、そうでないと示されない限り、明細書および特許請求の範囲の数字のパラメータは近似であり、これはこの発明により実現されることがのぞまれる所望の特性に応じて変化する。特許請求の範囲の均等理論の適応を排除する意図はないが、少なくとも、各数量のパラメータは報告された実行桁数の下で理解され、通常の丸め手法により把握すべきである。
【0043】
この発明の広い範囲を示す数量の範囲およびパラメータは近似であるけれども、明細書の例に示された数量の値はできる限り正確に報告されている。ただし、いずれの数量の値も、各実験の測定に見いだされる標準偏差に起因する必然的な誤差を内在する。さらに、種々のことがらについて数量の範囲が示される場合には、指摘した値の範囲で、それらを組み合わせたものが利用できることを理解されたい。
【0044】
以上は、この発明の例示の実施例に関するものであり、以下の特許請求の範囲で示される発明の範囲および程度を逸脱することなく修正を行えることはもちろんであることに留意されたい。
【符号の説明】
【0045】
100、200、300 ゴルフクラブヘッド
102、202、302 打撃フェース部分
104、304 本体部分
106、306 フェースインサート
205 幾何中心
310 外側層
312 裏打ち層
313 キャビティ
314 チップインサート
【技術分野】
【0001】
この発明は、全般的には、複数の材料から製造される打撃フェースを具備するゴルフクラブヘッドに関する。より具体的には、この発明は、ゴルフクラブヘッドの打撃フェース部分の幾何中心の近くに形成されたキャビティに配されるチップインサートを第2の材料を用いて形成し、この第2の材料が打撃フェースの残りの部分より大きなモジュラスを有する、メタルウッドタイプのゴルフクラブヘッドに関する。打撃フェース部分は、固有な構造故に、一般的には、拡散接合、液体界面拡散、または超塑性形成の技術を用いて一緒に形成され所望の接合強さを実現されて良い。このメタルウッドタイプのゴルフクラブは、第2の材料を打撃フェース部分の幾何中心の近くに組み込むことにより、ゴルフクラブヘッドのスイートスポットの寸法が顕著に増大して、もってゴルフクラブヘッドの全体の性能を改善する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフゲームで良い成績を残すには、ゴルファーは種々の異なるゴルフショットを行えるようになる必要がある。ショットのそれぞれはゴルフゲームの異なる場面に焦点を当てる。例えば、良好なチップおよび/またはピッチショットを打つには、ゴルファーは、ゴルフボールの軌道、距離、スピンを制御してゴルフボールができるだけピンの近くに、好ましくはホールに、止まるようにできるようになる必要がある。他の例では、良好なアイアンショットを打つために、ゴルファーはゴルフショットの距離および広がりを制御してボールがグリーンにのるのを確実にする必要があり、距離のゲインを稼ぐために正確性を犠牲にする。最後に、他の例では、良好なドライバショットを打つために、ゴルファーはゴルフショットの距離を最大化させ、同時に比較的まっすぐな飛行経路を維持させるようにする必要がある。このような点に基づいて、クラブが長くなるにつれて、正確性が強調されなくなり、距離が強調されるようになる。
【0003】
ドライブタイプのショットに関しては、ゴルフクラブ設計者がゴルフショットの全体距離を増大させつつ比較的まっすぐな飛行経路を維持するウッドタイプのゴルフクラブを設計するよう試みてきた。米国特許第6,932,716号はドライバタイプゴルフクラブヘッドの反発係数を増大させてドライバタイプゴルフクラブの総合距離を増大させる1つの試みを示す。より具体的には、米国特許第6,932,716号は、相互接続されて強化構造およびポリマー材料から構成されるマトリクス層を具備するゴルフクラブヘッドを製造してこれを達成するように試みる。マトリクス層は、ゴルフボールとの衝突の際に、より大きな反発係数をゴルフクラブヘッドに付与する。米国特許第6,719,644号は、応力破壊を阻止してより薄いフェースを実現して改良された反発係数をもたらす浅いマーキングを用いてドライバタイプのゴルフクラブヘッドの距離を増大させる他の例を提供する。
【0004】
ゴルファーがドライブタイプのゴルフショットにおいて比較的まっすぐな飛行経路を維持できるようにするために、ゴルフクラブ設計者は、より大きなゴルフクラブヘッドを試みてきており、これはオーバーサイズのクラブヘッドの慣性モーメントを増大させる結果となり、この慣性モーメントの増大により、意図した経路からゴルフショットを外すこととなる衝突時の好ましくないツイストがゴルフクラブに起こらないようにする。米国特許第7,413,520号はゴルフクラブヘッドの全体の寸法を大きくしてゴルファーがボールをよりまっすぐ打てるように支援する1つの例を示す。より具体的には、米国特許第7,413,520号は、容積が450立方センチメートルから475立方センチメートルで、質量が180グラムから225グラムで、フロント−バック長が4.0インチから5.0インチのゴルフクラブヘッドを開示している。さらに、米国特許第7,413,520号は、さらに、ゴルフクラブヘッドの重心のまわりの慣性モーメントIyyが増大し、4000グラム−cm2より大きな数値を実現するという副次的な効果の1つを説明する。
【0005】
ゴルフクラブヘッドの反発係数および慣性モーメントの双方が大きくなると、ゴルファーがゴルフボールをより遠く、よりまっすぐに打撃するのが容易になるけれども、これらは、より長く、よりまっすぐなドライブを実現する上で、最も大切なものではない。実際には、スイートスポットのサイズが、顕著な違いを実現するファクターの1つであり、それでいて、しばしば見落とされる。米国特許第5,839,975号は、スイートスポットの重要性を認識して、ゴルフクラブヘッドの内部キャビティ内にリブ構造を具備してクラブヘッドを強化して比較的大きなスイートスポットを実現しつつ崩壊やその他のゆがみを阻止するゴルフクラブヘッドを形成している。米国特許第5,839,975号は、ゴルフクラブヘッドのスイートスポットの寸法に重きを置き、それを増大させる初期の試みの1つであるけれども、これは、ゴルフクラブヘッドの内部キャビティに付加的な材料を加えることにより実現され、これはしばしば好ましくない。重量を付加すること無しに同様のゴールを実現するために、ゴルフクラブ設計者は打撃フェースを形成するために種々の材料を潜在的には用いることができた。
【0006】
米国特許第3,975,023号は、ゴルフクラブヘッドの打撃フェース部分に、またはその近くに複数の異なる材料を用いる初期の試みを示すけれども、これはゴルフボールの全体の飛行距離を増大させるために奏しているのであり、スイートスポットの寸法を増加させることについては何ら言及がない。米国特許第3,975,023号は、アルミナセラミックス、ムライトセラミックス等のような金属酸化物の焼結本体から形成されたセラミックフェースプレートにクラブヘッドの打撃フェースを固着するゴルフクラブを開示している。
【0007】
米国特許第7,874,938号は、複数の異なる材料を用いる、より現代的な試みを実現し、フェースプレート上に複合物体を採用する。より具体的には、米国特許第7,874,938号は、複合フェースプレートを具備するゴルフクラブヘッドを開示し、ここでは、まず、中央部分とこの中央部分を囲む犠牲的な部分とを具備する多数のプリプレグ層のオーバーサイズのレイアップを形成することにより、複合フェースプレートを製造できる。レイアップは、金型内で、温度および圧力を増大させつつ、少なくとも部分的に硬化され、つぎに、レイアップが金型から取り出され、犠牲的な部分が中央部分から除去されて実質的に欠陥のない複合部分が形成される。しかしながら、上述したのと同様に、米国特許第7,874,938号は、ゴルフクラブヘッドのスイートスポットを増大させる可能性については言及がない。
【0008】
したがって、上述から明かのように、スイートスポットの寸法の増大の重要性を認識する上でのすべての進展にもかかわらず、現状の技術は好ましくない重量の付加を伴うこと無しにスイートスポットの寸法を改善させることができない。他方、重量を増加させることなく打撃フェースに複数の材料を使用する唯一の試みは、スイートスポットの寸法を増加させる設計を組み込むことに失敗している。したがって、この業界において、ゴルフクラブヘッドのスイートスポットの寸法を増大させることができる態様で複数の材料を採用することができるゴルフクラブヘッドに対する要請がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,932,716号明細書
【特許文献2】米国特許第6,719,644号明細書
【特許文献3】米国特許第7,413,520号明細書
【特許文献4】米国特許第5,839,975号明細書
【特許文献5】米国特許第3,975,023号明細書
【特許文献6】米国特許第7,874,938号明細書
【発明の開示】
【0010】
この発明の一側面においては、ゴルフクラブヘッドは、ゴルフクラブヘッドの前面部分に位置づけられる打撃フェース部分と、打撃フェース部分の後方部分に結合される本体部分とを有する。打撃フェース部分は、さらに、第1の材料から製造される第1の外側層と、第1の外側層と類似の材料から製造される第2の裏打ち層と、第2の材料から製造されるチップインサートとを有する。第1の外側層は打撃フェース部分の外側表面を形成し、第2の裏打ち層は打撃フェース部分の内側表面を形成し、ここで、第1の外側層および第2の裏打ち層が組合わさって実質的に打撃フェース部分の幾何中心の近くにキャビティを形成する。チップインサートはキャビティ内に配置され、ここで、打撃フェース部分は約0.875未満のフェース厚さ比を有し、当該フェース厚さ比は、第1の外側層の幾何中心における厚さを第2の裏打ち層の幾何中心における厚さで割ったものとして定義される。
【0011】
この発明の他の側面において、ゴルフクラブヘッドは、ゴルフクラブヘッドの前面部分に位置づけられる打撃フェース部分と、打撃フェース部分の後方部分に結合される本体部分とを有する。打撃フェース部分は、さらに、第1の材料から製造される第1の外側層と、第1の外側層と類似の材料から製造される第2の裏打ち層と、第2の材料から製造されるチップインサートとを有する。第1の外側層は打撃フェース部分の外側表面を形成し、第2の裏打ち層は打撃フェース部分の内側表面を形成し、ここで、第1の外側層および第2の裏打ち層が組合わさって実質的に打撃フェース部分の幾何中心の近くにキャビティを形成する。チップインサートはキャビティ内に配置され、ここで、第1の材料は上記第2の材料と異なり、かつ、第2の材料のヤング率が第1の材料のヤング率より大きい。
【0012】
この発明の他の側面において、ゴルフクラブヘッドは、ゴルフクラブヘッドの前面部分に位置づけられる打撃フェース部分と、打撃フェース部分の後方部分に結合される本体部分とを有する。打撃フェース部分は、さらに、第1の材料から製造される第1の外側層と、第1の外側層と類似の材料から製造される第2の裏打ち層と、第2の材料から製造されるチップインサートとを有する。第1の外側層は打撃フェース部分の外側表面を形成し、第2の裏打ち層は打撃フェース部分の内側表面を形成し、ここで、第1の外側層および第2の裏打ち層が組合わさって実質的に打撃フェース部分の幾何中心の近くにキャビティを形成する。チップインサートはキャビティ内に配置され、ここで、打撃フェース部分は液体界面拡散プロセスを利用して形成される。
【0013】
この発明のこれらの、または他の特徴、側面、および利点は以下の図面、説明および特許請求の範囲を参照して理解されるであろう。
【0014】
この発明の、先の、または他の特徴および利点は、添付図面において図説される、この発明の以下の説明から明らかであろう。添付図面はここに組み入れて明細書の一部を構成し、この発明の原理を説明するのに役立ち、同業者がこの発明を実施することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の事例的な実施例に従うゴルフクラブヘッドの斜視図である。
【図2】この発明の事例的な実施例に従うゴルフクラブヘッドの正面図であり、さらに断面線A−A'を示すものである。
【図3】この発明の事例的な実施例に従うゴルフクラブヘッドの断面線A−A'に沿う断面図である。
【図4】この発明の事例的な実施例に従うチップインサートを含むフェースインサートの分解図である。
【図5】この発明の事例的な実施例に従うゴルフクラブヘッドの図3の円Cで取り出される拡大断面図である。
【図6】この発明の代替的な実施例に従うゴルフクラブヘッドの拡大断面図である。
【図7】この発明の他の代替的な実施例に従うゴルフクラブヘッドの図3の円Cで取り出される拡大断面図である。
【図8】この発明の代替的な実施例に従うゴルフクラブヘッドの図3の円Cで取り出される拡大断面図である。
【図9】この発明の代替的な実施例に従うゴルフクラブヘッドの図3の円Cで取り出される拡大断面図である。
【図10】この発明の代替的な実施例に従うゴルフクラブヘッドの図3の円Cで取り出される拡大断面図である。
【図11】この発明の代替的な実施例に従うチップインサートを含むフェースインサートの分解図である。
【図12】この発明の代替的な実施例に従うチップインサートを含むフェースインサートの分解図である。
【図13】この発明の代替的な実施例に従うゴルフクラブヘッドの図3の円Cで取り出される拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の詳細な説明は、この発明を実施する最良の現行企画モデルのものである。この説明は限定的な意味で受け取られるべきではなく、この発明の全体的な原理を説明する目的でのみなされている。この発明の範囲は添付の特許請求の範囲により最も良く規定されているからである。
【0017】
種々の発明の特徴が以下に説明され、その各々は他の特徴と独立に採用されてもよいし、他の特徴と組みあわされて使用されても良い。ただし、発明の任意の1つの特徴は上述した問題のいずれも、またはすべてを扱わないかもしれないし、上述した問題の1つのみを取り扱うかもしれない。さらに、上述した問題の1つまたは複数は、以下説明される特徴のいずれでも取り扱われないかもしれない。
【0018】
添付図面の図1は、この発明の事例的な実施例に従うゴルフクラブヘッド100の斜視図である。より具体的には、添付図面の図1は、打撃フェース部分102および本体部分104を具備するゴルフクラブヘッド100を示す。この事例的な実施例においては、打撃フェース部分102はさらにフェースインサート106を有して製造業者が打撃フェース部分102の背面の幾何形状を操作できるようにしている。しかしながら、この発明の創作性のある特徴を真に理解するためには、打撃フェース部分102および/またはフェースインサート106の断面図を見なければならず、これは複数の材料が用いられてフェースインサート106を構築していることを示すことができる。フェースインサート106の複数材料構造に関する検討を行う前に、以下の図面はすべてフェースインサート106を採用しているけれども、この発明はフェースインサートを使用することを必要としないことを明確にすることは重要なことである。実際、この発明は、その範囲および内容から逸脱しない範囲で、フェースカップ、L−カップ、または他の構造のような任意のタイプの多材料構造を打撃フェース部分102の近くに含むことを意図している。
【0019】
打撃フェース102の断面を示すために、添付図面の図2は、断面線A−A'が描かれた、ゴルフクラブヘッド200の正面図を示す。添付図面の図2は、打撃フェース部分202の幾何中心205も示す。打撃フェース部分202の幾何中心205はこの発明において重要である。なぜならば、第2の材料の配置は、一般的には、打撃フェース部分202の幾何中心205の実質的に後方であって良いからである。
【0020】
添付図面の図3は、図2に示す断面線A−A'に沿うゴルフクラブヘッド300の断面図を示す。ゴルフクラブヘッド300に関するこの断面図は、ゴルフクラブヘッドの打撃フェース部分302の複数材料構造を示す。より具体的には、打撃フェース部分302は、さらに第1の外側層310、第2の裏打ち層312、およびこれら第1の外側層310および第2の裏打ち層312の間に並置さら、またはカプセルかされたチップインサート314を有する。第1の外側層310は、この発明の事例的な実施例において開示されるように、全般的には、第1の材料から製造されて良い。第1の材料は全般的にはチタンタイプの材料であり、これは約80GPaから約130GPaの間のヤング率、より好ましくは約90GPaから約120GPaの間、最も好ましくは約95GPaから約115GPaの間のヤング率を有する。しかしながら、第1の材料はチタン材料から製造する必要はなく、この発明の範囲および内容から逸脱しない範囲で、ゴルフボールとの衝撃力に耐えるのに充分な耐久性がある任意の材料から製造できる。
【0021】
第1の外側層310は、図3においてチタンの薄い層として示されるけれども、この発明の範囲および内容から逸脱することなくスプレイコートタイプのチタンを用いて製造することもできる。第1の外側層310の寸法および重量を最小化するためにその厚さをできる限り薄くすることが望ましいので、打撃フェース部分302の前面表面をスプレイコートすることにより現在の構造を実現して、第1の外側層310の厚さを顕著に減少させ、さらに、前面フェース部分がすべて同一の材料から製造されなければならないことを示すUSGA要請に合致させることができる。
【0022】
第2の裏打ち層312は、この発明の事例的な実施例において示されるように、全般的には、第1の外側層310を形成するのに使用した第1の材料と類似のものから形成して良い。類似の材料は、この具体的な参照例において参照されるように、Ti−811、SP−700、15−3−32、または任意のα合金、任意のβ合金、またはα−β合金のような他のタイプのチタンであって良い。第1の材料は、全般的には先に検討したようにチタンであるけれども、任意の他の材料でも形成できることにここでも再度留意されたい。第1の外側層310および第2の裏打ち層312は、全般的には、その高強度および低密度の特性から、類似のチタン材料から製造されて良いけれども、これらは、この発明の範囲および内容から逸脱しない範囲で、異なるゴールおよび目的を実現するために完全に異なる材料からも製造できる。第1の外側層310および第2の裏打ち層312は相互に組合わさって、実質的に幾何中心の近くに、キャビティ313を形成してチップ314を収容するようになっていることに留意されたい。
【0023】
キャビティ313は、この発明の事例的な実施例において示されるように、全般的には、チップインサート314の幾何形状と同一の幾何形状を伴って良く、これによりすべての要素が適切に接合することを確実にする。しかしながら、キャビティ313はチップインサート314と正確に同一の幾何である必要はなく、実際に、キャビティ313がチップインサート314と充分なインターフェースを取って第1の外側層310、第2の裏打ち層312、およびそれ自体の間の強固な接合を確実にすることができる限り、この発明の範囲および内容から逸脱しない範囲で他の幾何形状を採用することができる。
【0024】
チップインサート314は、この発明の事例的な実施例において示されるように、全般的には、第2の材料から形成されて良く、これは第1の材料と異なるものである。より具体的には、第2の材料は全般的には第1の材料のヤング率より大きなヤング率を伴って良く、これにより、ゴルフクラブヘッド300の中央部分が単一の一体の実体としてゴルフクラブヘッド300の内方向・外方向へと移動して性能を改善させる。より具体的には、第2の材料は、全般的には約130GPaより大きな、より好ましくは約150GPaより大きな、最も好ましくは約170GPaより大きなヤング率を有して良い。大きな弾性モジュラスに加えて、第2の材料は、全般的には、約500GPaより大きな、より好ましくは約600GPaより大きな、最も好ましくは約700GPaより大きな降伏強度を有して良い。最後に、第2の材料は、全般的には、約750GPaより大きな、より好ましくは約850GPaより大きな、最も好ましくは約950GPaより大きな最大抗張力を有してよい。チップインサート314の上述の材料特性に従えば、多数の材料がこれら特性に適合するものであることが理解でき、とくに、第1の材料がいくつかの実施例においてチタンから外れているという事実の点からもそうである。しかしながら、1つのこの発明の好ましい実施例において、チップインサート314は、容易に利用しやすく、上述の基準に合致する固有の特性を有するという点から、スチールから構築されて良い。多くの他の材料、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、セラミック、タングステン、プラスチック、カーバイド、ホウ素カーバイド、金属射出成型材料、または、先の説明に合致する任意の他の材料を、それが先の材料特性に合致する限り、この発明の範囲および内容に逸脱しない範囲で、すべて、採用して良い、
【0025】
添付図面の図4は、第1の外側層410、キャビティ413を具備する第2の裏打ち層412、および、チップインサート414を分解して示し、この多材料打撃フェース部分402を構築するのに使用される種々の要素の間の関係を明瞭に説明する。この多材料打撃フェース部分402の構造中に関連する部品の数は比較的少ないけれども、部品を一緒にシームレスに接合する能力についてさらに説明する。多くの接合方法、例えば溶接およびロウ付けが、潜在的に、打撃フェース部分402の部品を一緒に接合するのに採用できるけれども、これらの手法は、ゴルフクラブヘッドの打撃フェース部分402に一般的に関連する大きな衝撃力に耐えるのに充分な接合を種々の部品間に実現しない。
【0026】
伝統的な接合方法の欠陥に対処するために、この発明は、多数の先進的な接合技術、例えば、いくつかを挙げると、拡散接合(diffusion bonding)、液体界面拡散(liquid interface diffusion)、拡散ロウ付け(diffusion brazing)、またはさらには超可塑形成(super plastic forming)を組み入れている。これは、これら手法等は、ゴルフクラブヘッドの用途に必要な接合強度を実現するのに採用できるからである。
【0027】
1つの事例的な実施例において、第1の外側層410、第2の裏打ち層412、およびチップインサート414が拡散接合技術を用いて一緒に形成されてよい。拡散接合はソリッドステート溶接プロセスであり、これによって、界面に渡って原子をマイグレーションさせて濃度勾配を増大させ、もって、2つの金属を一緒に接合するものである。拡散接合技術は、全般的には、材料が大きな面積に渡って極度に強固な接合を生成できるように高い温度にかなり長い時間だけ材料を加熱することを伴う。拡散接合に関するより詳細な説明は米国特許第7,367,899号に見いだすことができ、その開示内容は参照してここに組み入れる。
【0028】
この発明の代替的な実施例において、打撃フェース部分402の部品を液体界面拡散を用いて一緒に接合してよい。液体界面拡散接合は、チタン合金インターフェース材料、共晶材料、または三元材料を採用して必要な表面処理を減少させることにより、通常の拡散接合のいくつかの欠点を除去する。より具体的には、チタン合金インターフェース材料の存在下で、液体界面拡散は劇的に適切な拡散接合を確実にするための平滑性、洗浄性、および平坦性の要請を減少させる。液体界面拡散に関するより詳細な説明は米国特許第3,957,194号に見いだすことができ、その開示内容は参照してここに組み入れる。
【0029】
この発明の他の代替的な実施例において、打撃フェース部分402の部品を超可塑形成を用いて一緒に接合してよい。超可塑形成は、超弾性の理論に基づいて金属シートを形成するための金属下降プロセスである。超可塑形成プロセスは、全般的には、超微細グレインサイズの金属を加熱して超弾性を助長させ、大きく複雑な幾何形状が、一回の処理で形成できるようになすことを伴う。超可塑形成に関するより詳細な説明は米国特許第4,603,808号に見いだすことができ、その開示内容は参照してここに組み入れる。
【0030】
添付図面の図5は図3に円Cで示す部分の拡大図であり、打撃フェース部分502に関してより詳細が示される。図示のとおり、打撃フェース部分502はすべて同一の部品を具備し、例えば、第1の厚さd1の第1の外側層510、第2の厚さd2の第2の裏打ち層512、および第3の厚さのチップインサート514を具備する。図5は実際には、説明の便宜上、幾何中心から若干ずれた位置で相対厚さを説明するけれども、相対厚さd1、d2、およびd3の測定は全般的には打撃フェース部分502の幾何中心で行われることにここで言及することは重要である。現行の事例的な実施例において示されるように、第1の厚さd1は、フェースの前面が衝突時に圧力を受けるときに必要でない重量を節約するために、比較的、薄いままとされて良い。第1の外側層510が受ける圧縮力によって引き起こされる内部応力は、打撃フェース部分502のバックが受ける張力によって引き起こされる内部応力より小さく、このため、厚さd1の厚さの要件を小さくするであろう。より具体的には、第1の厚さd1は、全般的には、約0.7mm未満、より好ましくは約0.6mm未満、最も好ましくは約0.5mm未満であって良い。第2の裏打ち層512は第2の厚さd2を伴い、先に述べたように、ゴルフボールとの衝突により引っ張られるときに、最も大きな内部応力を受ける、打撃フェース部分502の部分であり、このため、第2の厚さd2は第1の厚さd1と較べて顕著に大きくなることが要請される。より具体的には、第2の厚さd2は、全般的には、約0.8mmより厚く、より好ましくは約0.9mmより厚く、最も好ましくは約1.0mmより厚い。最後に、第3の厚さd3はチップインサート514の厚さを示し、ここでは、厚さd3は、全般的には、約1.8mmから約2.2mmの間、より好ましくは約1.9mmから約2.1mmの間、最も好ましくは約2.0mmであって良い。
【0031】
打撃フェース部分502の種々の領域の相対厚さはすべて先に開示したとおりであるけれども、厚さは相互との関係で重要であることを再度強調することは重要である。より具体的には、第2の裏打ち層512は、第1の外側層510の圧縮応力に較べて顕著に大きな引っ張り応力を受けるので、第2の裏打ち層512の厚さd2は第1の外側層510の厚さより顕著に大きくなくてはならない。打撃フェース部分502が充分な耐久性を持つために必要とされる種々の部分の厚さ要求を適切に把握するために、「フェース厚さ比」が以下の式(1)のように形成され、これは厚さd1および厚さd2の間の関係を把握する。
フェース厚さ比=厚さd1/厚さd2 式(1)
この発明の事例的な実施例に従う打撃フェース部分502は、全般的には、約o.875より小さな、より好ましくは、約0.66より小さな、最も好ましくは約0.50より小さな「フェース厚さ比」を有して良い。
【0032】
チップインサート514は、全般的には、実質的に、円形または卵形の形状をしており、その長軸は約21.75mmで、短軸は約11.63mmである。先に説明したように厚さが近似的に約2.0mmであることを組みあわせると、チップインサート514の体積は全般的には約371.45mm3であって良い。ただし、同一の性能向上を依然として実現しつつ、チップインサート514の総合体積の小幅なすれがあって良い。より具体的には、チップインサート514の体積は、この発明の範囲および内容から逸脱することなく、約300mm3から約400mm3の間、または、さらには、約250mm3から約450mm3の間であってよい。最後に、ゴルフクラブヘッドの打撃フェース部分502に過剰な重量を付加することは全般的には好ましくないであろうから、チップインサート514の重量をできるだけ最小限に保つことが全般的には好ましい。したがって、先に検討した材料特性のいくつか、および先の体積を前提にすると、チップインサート514の質量は、全般的には3.0グラムより小さく、より好ましくは2.95グラムより小さく、最も好ましくは2.90グラムより小さい。
【0033】
この発明の他の実施例に関する検討に移る前に、チップインサート514はドーム状の形状を採って良いことをここで指摘することは重要であり、ここで平坦側は第1の外側層510に面し、丸められた側は第2の裏打ち層512側に面している。この具体的な構造は第2の裏打ち層512の背面から鋭利な角を除去する。このような角は衝撃力を受けたときに大きなストレスの点になりやすい。第2の裏打ち層512の引っ張り応力は第1の外側層510の圧縮応力より顕著に大きいので、第2の裏打ち層512上のキャビティの丸い側部を保持することは重要である。圧縮応力は顕著ではないので、また、この種のドームキャビティ構造は伝統的な機械加工方法でより簡単に形成できるので、ドームの平坦なサイドは第1の外側層510と相互作用する。
【0034】
添付図面の図6はこの発明の代替的な実施例に従う打撃フェース部分602の拡大断面図であり、ここでは、チップインサート614は、ドーム状の形状に代わってディスク状の形状をしている。チップインサート614をドーム状の形状でなくディスク状の形状から製造すると、スイートスポットの寸法が大きくなって、もって、ゴルフクラブヘッドの性能がさらに向上するであろう。しかしながら、そのような幾何形状にすると製造がより難しくなる。より具体的には、図6は、部品の間の任意のギャップを除去するために第1の外側層610の背面に複数の突起616を具備する第1の外側層610を示す。
【0035】
添付図面の図7はこの発明の代替的な実施例に従う打撃フェース部分702の拡大断面図であり、ここでは、チップインサート714は、ドーム状の形状に代わってディスク状の形状をしている。ただし、図6に示される打撃フェース部分602と異なって、この実施例の打撃フェース部分702は、キャビティが第1の外側層710側で一部が形成され、第2の裏打ち層712側で一部が形成されるように異なる分割線を伴う。このタイプの構造によって、部品のいずれの側でも通常でない形状を伴うこと無しにディスク状のチップインサート714を利用できるようになる。
【0036】
添付図面の図8はこの発明の代替的な実施例に従う打撃フェース部分802の拡大断面図であり、ここでは、チップインサート714は、波状の幾何形状をしている。チップインサート814が波状構造を有しているので、チップインサート814はチップインサート814の全体の重量を減少させながら大きなモジュラスを実現できる。
【0037】
添付図面の図9はこの発明の代替的な実施例に従う打撃フェース部分902の拡大断面図であり、ここでは、追加の中間層916が第1の外側層910および第2の裏打ち層912の間に挟み込まれている。余分な中間層916を組み込むと、第1の外側層910および第2の裏打ち層912の双方を完全に平坦に製造できるので、製造を顕著に簡素化できる。チップインサート914用のキャビティを形成するために行うことが必要な機械加工は中間層916中のもののみであり、これはキャビティの深さに何ら限定されずに容易に実現できる。この発明の現行の事例的な実施例では、中間層916は第1の外側層910および第2の裏打ち層912と類似の材料から全般的には構築して良いけれども、中間層916は、他の部品とともに形成できる限り、この発明の範囲および内容から逸脱することなく、完全に異なる材料から構築して良い。
【0038】
添付図面の図10はこの発明の代替的な実施例に従う打撃フェース部分1002の拡大断面図であり、ここでは、これは、チップインサート1014が埋め込まれたキャビティを具備する第2の裏打ち層1012のみを有する。この実施例においては、打撃フェース部分1002は打撃フェース表面が均一な材料であることを確実にするためにチップインサート1014を被覆する第1の外側層を伴わない。この実施例は、打撃フェースは均一な材料から製造されなければならないという現行のUSGAのゴルフ規則に適合しないかもしれないけれども、これは、打撃フェース部分1002の前面表面に不必要な重量を付加する先に説明した他のすべての実施例に較べて顕著な性能向上を潜在的に実現する。さきに説明したように、前面部分の応力は最少なものであるので、前面部分を強化する必要はなく、そのため、チップインサート1014を露出可能である。図10に対して若干異なる実施例においては、打撃フェース部分1002の前面部分はチタンまたは任意の他の材料の薄膜で被覆されて、図10に示される実施例の重量節約を実現し継ぐ視覚的にはUSGA要件に適合できるようになして良い。
【0039】
添付図面の図11はこの発明の代替的な実施例に従う打撃フェース部分1102の分解図である。より具体的には、この発明の代替的な実施例において、第1の外側層1110は同一の目的を実現するために前面表面を完全に占めなくてもよい。図11に示すこの実施例はキャビティ1113に加えて外側ポケット1115を機械加工する点で、より多くの機械加工作業を必要とするけれども、部品間の接合面積を顕著に減少させることができる。接合面積の減少は、拡散接合または液体界面拡散プロセスを使用する状況において好ましいであろう。なぜならば、双方のプロセスはボンディングを実現するために顕著な表面処理を必要とするからである。現行の事例的な実施例において、第1の外側層1110はより簡易に機械加工を行える形状を実現するために円形ディスクの形状を採用して良いけれども、後により詳細に示されるように、第1の外側層1110は、この発明の範囲および内容から逸脱することなく、打撃フェース部分1102の外側輪郭より小さな任意の形状を採って良い。最後に、第1の外側層1110は全般的に第2の裏打ち層1112と同一のチタン材料から製造されて、最終製品が均一な打撃表面を伴ってUSGA規則に適合するようになして良いことに留意されたい。ただし、第1の外側層1110は、この発明の範囲および内容から逸脱することなく、第2の裏打ち層1112の材料と実質的に類似の材料、または完全に異なる材料から製造して良い。
【0040】
添付図面の図12はこの発明の代替的な実施例に従う打撃フェース部分1202の分解図である。より具体的には、第1の外側層1210の形状がチップインサート1214の形状と顕著に類似している。ただし、チップインサート1214を被覆するのに充分な大きさを有する。これに対応して、外側ポケット1215も、この発明の範囲および内容から逸脱することなく、第1の外側層1210と類似の形状をとってよい。第1の外側層1210をチップインサート1214の形状と類似にすれば、第1の外側層1210に対して焦点を当てた形状を実現でき、種々の部品の拡散接合に必要な表面準備の量をさらに減少させることができる。
【0041】
最後に、添付図面の図13はこの発明の実施例に従う打撃フェース部分1002の拡大断面図であり、ここでは、第1の外側層1310はゴルフクラブヘッドの前面の打撃表面を完全にカバーしなくて良い。より具体的には、図13の断面図に示すように、第1の外側層1310は前面打撃表面を部分的にのみ被覆して良い。この実施例の断面図は、部品間の接合面積が顕著に減少していることを示し、また拡散接合技術に必要な表面準備を最小化できることを示す。
【0042】
動作例に関する場合を除き、または、とくにことわらない限りは、すべての数の範囲、量、値およびパーセンテージ例えば明細書中の材料の量、慣性モーメント、重心位置、ロフト、ドラフト角、種々の性能比、その他に関するそのようなものは、値、量、または範囲とともに明瞭に「約」の用語が表示されていなくてもそのような用語「約」があるものとして認識することができる。したがって、そうでないと示されない限り、明細書および特許請求の範囲の数字のパラメータは近似であり、これはこの発明により実現されることがのぞまれる所望の特性に応じて変化する。特許請求の範囲の均等理論の適応を排除する意図はないが、少なくとも、各数量のパラメータは報告された実行桁数の下で理解され、通常の丸め手法により把握すべきである。
【0043】
この発明の広い範囲を示す数量の範囲およびパラメータは近似であるけれども、明細書の例に示された数量の値はできる限り正確に報告されている。ただし、いずれの数量の値も、各実験の測定に見いだされる標準偏差に起因する必然的な誤差を内在する。さらに、種々のことがらについて数量の範囲が示される場合には、指摘した値の範囲で、それらを組み合わせたものが利用できることを理解されたい。
【0044】
以上は、この発明の例示の実施例に関するものであり、以下の特許請求の範囲で示される発明の範囲および程度を逸脱することなく修正を行えることはもちろんであることに留意されたい。
【符号の説明】
【0045】
100、200、300 ゴルフクラブヘッド
102、202、302 打撃フェース部分
104、304 本体部分
106、306 フェースインサート
205 幾何中心
310 外側層
312 裏打ち層
313 キャビティ
314 チップインサート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブヘッドであって、
上記ゴルフクラブヘッドの前面部分に位置づけられる打撃フェース部分と、
上記打撃フェース部分の後方部分に結合される本体部分とを有し、
上記打撃フェース部分が、さらに、
第1の材料から製造されて、上記打撃フェース部分の外側表面を形成する第1の外側層と、
上記第1の外側層と類似の材料から製造されて、上記打撃フェース部分の内側表面を形成する第2の裏打ち層とを有し、
上記第1の外側層および上記第2の裏打ち層が組合わさって実質的に上記打撃フェース部分の幾何中心の近くにキャビティを形成し、
さらに、上記ゴルフクラブヘッドは、上記キャビティ内に配置される、第2の材料から製造されるチップインサートを有し、
上記打撃フェース部分は約0.875未満のフェース厚さ比を有し、当該フェース厚さ比は、上記第1の外側層の上記幾何中心における厚さを上記第2の裏打ち層の上記幾何中心における厚さで割ったものとして定義されることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
上記打撃フェース部分のフェース厚さ比は約0.66未満である請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
上記打撃フェース部分のフェース厚さ比は約0.50未満である請求項2記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
上記第1の材料は上記第2の材料と異なる請求項3記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
上記第2の材料のヤング率は上記第1の材料のヤング率より大きい請求項4記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
上記第2のヤング率は約130GPaより大きい請求項5記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
上記第2のヤング率は約150GPaより大きい請求項6記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
上記第2のヤング率は約170GPaより大きい請求項7記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
上記打撃フェース部分は拡散接合プロセスを利用して形成される請求項5記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
上記打撃フェース部分は液体界面拡散プロセスを利用して形成される請求項5記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
上記打撃フェース部分は超可塑形成プロセスを利用して形成される請求項5記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
上記チップインサートの体積は約371.45mm3である請求項5記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
上記打撃フェース部分はさらに中間層を有し、
上記中間層は上記第1の外側層および上記第2の裏打ち層の間に挟み込まれ、上記第1の外側層および上記第2の裏打ち層と組合わさって上記キャビティを形成する請求項5記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
ゴルフクラブヘッドであって、
上記ゴルフクラブヘッドの前面部分に位置づけられる打撃フェース部分と、
上記打撃フェース部分の後方部分に結合される本体部分とを有し、
上記打撃フェース部分が、さらに、
上記第1の材料から製造されて、上記打撃フェース部分の内側表面を形成する第2の裏打ち層とを有し、
上記第2の裏打ち層が実質的に上記打撃フェース部分の幾何中心の近くにキャビティを形成し、
さらに、上記ゴルフクラブヘッドは、上記キャビティ内に配置される、第2の材料から製造されるチップインサートを有し、
上記第1の材料は上記第2の材料と異なり、かつ、上記第2の材料のヤング率が上記第1の材料のヤング率より大きいことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
上記第2のヤング率は約130GPaより大きい請求項14記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
上記第2のヤング率は約150GPaより大きい請求項15記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項17】
上記打撃フェース部分は液体界面拡散プロセスを利用して形成される請求項13記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項18】
ゴルフクラブヘッドであって、
上記ゴルフクラブヘッドの前面部分に位置づけられる打撃フェース部分と、
上記打撃フェース部分の後方部分に結合される本体部分とを有し、
上記打撃フェース部分が、さらに、
第1の材料から製造されて、上記打撃フェース部分の外側表面を形成する第1の外側層と、
上記第1の外側層と類似の材料から製造されて、上記打撃フェース部分の内側表面を形成する第2の裏打ち層とを有し、
上記第1の外側層および上記第2の裏打ち層が組合わさって実質的に上記打撃フェース部分の幾何中心の近くにキャビティを形成し、
さらに、上記ゴルフクラブヘッドは、上記キャビティ内に配置される、第2の材料から製造されるチップインサートを有し、
上記打撃フェース部分は液体界面拡散プロセスを利用して形成されることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項19】
上記第2の材料のヤング率が上記第1の材料のヤング率より大きい請求項18記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項20】
上記打撃フェース部分は約0.875未満のフェース厚さ比を有し、当該フェース厚さ比は、上記第1の外側層の上記幾何中心における厚さを上記第2の裏打ち層の上記幾何中心における厚さで割ったものとして定義される請求項19記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項1】
ゴルフクラブヘッドであって、
上記ゴルフクラブヘッドの前面部分に位置づけられる打撃フェース部分と、
上記打撃フェース部分の後方部分に結合される本体部分とを有し、
上記打撃フェース部分が、さらに、
第1の材料から製造されて、上記打撃フェース部分の外側表面を形成する第1の外側層と、
上記第1の外側層と類似の材料から製造されて、上記打撃フェース部分の内側表面を形成する第2の裏打ち層とを有し、
上記第1の外側層および上記第2の裏打ち層が組合わさって実質的に上記打撃フェース部分の幾何中心の近くにキャビティを形成し、
さらに、上記ゴルフクラブヘッドは、上記キャビティ内に配置される、第2の材料から製造されるチップインサートを有し、
上記打撃フェース部分は約0.875未満のフェース厚さ比を有し、当該フェース厚さ比は、上記第1の外側層の上記幾何中心における厚さを上記第2の裏打ち層の上記幾何中心における厚さで割ったものとして定義されることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
上記打撃フェース部分のフェース厚さ比は約0.66未満である請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
上記打撃フェース部分のフェース厚さ比は約0.50未満である請求項2記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
上記第1の材料は上記第2の材料と異なる請求項3記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
上記第2の材料のヤング率は上記第1の材料のヤング率より大きい請求項4記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
上記第2のヤング率は約130GPaより大きい請求項5記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
上記第2のヤング率は約150GPaより大きい請求項6記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
上記第2のヤング率は約170GPaより大きい請求項7記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
上記打撃フェース部分は拡散接合プロセスを利用して形成される請求項5記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
上記打撃フェース部分は液体界面拡散プロセスを利用して形成される請求項5記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
上記打撃フェース部分は超可塑形成プロセスを利用して形成される請求項5記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
上記チップインサートの体積は約371.45mm3である請求項5記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
上記打撃フェース部分はさらに中間層を有し、
上記中間層は上記第1の外側層および上記第2の裏打ち層の間に挟み込まれ、上記第1の外側層および上記第2の裏打ち層と組合わさって上記キャビティを形成する請求項5記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
ゴルフクラブヘッドであって、
上記ゴルフクラブヘッドの前面部分に位置づけられる打撃フェース部分と、
上記打撃フェース部分の後方部分に結合される本体部分とを有し、
上記打撃フェース部分が、さらに、
上記第1の材料から製造されて、上記打撃フェース部分の内側表面を形成する第2の裏打ち層とを有し、
上記第2の裏打ち層が実質的に上記打撃フェース部分の幾何中心の近くにキャビティを形成し、
さらに、上記ゴルフクラブヘッドは、上記キャビティ内に配置される、第2の材料から製造されるチップインサートを有し、
上記第1の材料は上記第2の材料と異なり、かつ、上記第2の材料のヤング率が上記第1の材料のヤング率より大きいことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
上記第2のヤング率は約130GPaより大きい請求項14記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
上記第2のヤング率は約150GPaより大きい請求項15記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項17】
上記打撃フェース部分は液体界面拡散プロセスを利用して形成される請求項13記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項18】
ゴルフクラブヘッドであって、
上記ゴルフクラブヘッドの前面部分に位置づけられる打撃フェース部分と、
上記打撃フェース部分の後方部分に結合される本体部分とを有し、
上記打撃フェース部分が、さらに、
第1の材料から製造されて、上記打撃フェース部分の外側表面を形成する第1の外側層と、
上記第1の外側層と類似の材料から製造されて、上記打撃フェース部分の内側表面を形成する第2の裏打ち層とを有し、
上記第1の外側層および上記第2の裏打ち層が組合わさって実質的に上記打撃フェース部分の幾何中心の近くにキャビティを形成し、
さらに、上記ゴルフクラブヘッドは、上記キャビティ内に配置される、第2の材料から製造されるチップインサートを有し、
上記打撃フェース部分は液体界面拡散プロセスを利用して形成されることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項19】
上記第2の材料のヤング率が上記第1の材料のヤング率より大きい請求項18記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項20】
上記打撃フェース部分は約0.875未満のフェース厚さ比を有し、当該フェース厚さ比は、上記第1の外側層の上記幾何中心における厚さを上記第2の裏打ち層の上記幾何中心における厚さで割ったものとして定義される請求項19記載のゴルフクラブヘッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−46757(P2013−46757A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−175679(P2012−175679)
【出願日】平成24年8月8日(2012.8.8)
【出願人】(390023593)アクシュネット カンパニー (155)
【氏名又は名称原語表記】ACUSHNET COMPANY
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−175679(P2012−175679)
【出願日】平成24年8月8日(2012.8.8)
【出願人】(390023593)アクシュネット カンパニー (155)
【氏名又は名称原語表記】ACUSHNET COMPANY
【Fターム(参考)】
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