多極コネクタ
【課題】この発明は、温度変化が大きい環境下において使用した場合であっても、雌型端子と雄型端子との接触部分における微摺動摩耗の発生を防止することができる多極コネクタの提供を目的とする。
【解決手段】多極コネクタ1の多極雌コネクタ1Aと多極雄コネクタ1Bを対で嵌合して、多極雌コネクタ1A側に配置した雌型端子4Aaの接点部4Ac間に、多極雄コネクタ1B側に配置した雄型端子5Baの一端側接続部5Caを挟み込んで接続した際、雌型端子4Aaと雄型端子5Baの接触部分が多極雌コネクタ1Aの長手方向(X方向)に向くことになる。このため、合成樹脂製のコネクタハウジング2Aが熱の影響を受けて長手方向(X方向)に熱膨張により変位しても、雌型端子4Aaと雄型端子5Baとの接触部分が押し付けられる方向に接触圧が強く働くので、雌型端子4Aaと雄型端子5Baとの接触部分における微摺動摩耗の発生を防止することができる。
【解決手段】多極コネクタ1の多極雌コネクタ1Aと多極雄コネクタ1Bを対で嵌合して、多極雌コネクタ1A側に配置した雌型端子4Aaの接点部4Ac間に、多極雄コネクタ1B側に配置した雄型端子5Baの一端側接続部5Caを挟み込んで接続した際、雌型端子4Aaと雄型端子5Baの接触部分が多極雌コネクタ1Aの長手方向(X方向)に向くことになる。このため、合成樹脂製のコネクタハウジング2Aが熱の影響を受けて長手方向(X方向)に熱膨張により変位しても、雌型端子4Aaと雄型端子5Baとの接触部分が押し付けられる方向に接触圧が強く働くので、雌型端子4Aaと雄型端子5Baとの接触部分における微摺動摩耗の発生を防止することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば自動車、産業機器等の電気配線に用いられるワイヤーハーネス等の複数の電線同士を接続するために用いられる多極コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述のコネクタとしては、例えばコネクタの取付構造(特許文献1参照)と、コネクタ装置及び多極コネクタ装置(特許文献2参照)と、コンタクトおよびその製造方法(特許文献3参照)と、面実装用コネクタ(特許文献4参照)と、コネクタ(特許文献5参照)と、基板用コネクタおよび該基板用コネクタを用いた電気接続箱(特許文献6参照)とが提案されている。
【0003】
詳述すると、特許文献1のコネクタの取付構造は、端子ピンを、プリント基板とコネクタハウジングとの間に介在させ、該プリント基板と熱膨張係数が同一又は同等の中間基板の挿入孔に圧入する構造である。
【0004】
しかし、上述の構造では、プリント基板と中間基板の熱膨張を端子ピンで機械的に抑制するため、部品コストが高くなる。また、端子ピンを設けるための面積が必要であるため、小型化の要求に対して応えにくく、また、設計の自由度も低い。
【0005】
また、特許文献2のコネクタ装置及び多極コネクタ装置は、第1コネクタハウジング部が形成された第1コネクタ部を第1多極コネクタ部において幅方向に複数形成し、各第1コネクタハウジング部に雄接続端子をそれぞれ収容している。また、第2コネクタハウジング部が形成された第2コネクタ部を第2多極コネクタ部において幅方向に複数形成し、各第2コネクタハウジング部に雌接続端子をそれぞれ収容している。そして、第1多極コネクタ部の雄接続端子と第2多極コネクタ部の雌接続端子とを接続する構造である。
【0006】
しかし、上述の構造では、雄接続端子と雌接続端子との接点が接触する接触方向が、多極コネクタ部のコネクタ部を複数並設した方向(同文献2の図3参照)と平行であるため、コネクタ装置を高温の環境下で使用した場合、多極コネクタに生じるコネクタ部を複数並設した方向の熱膨張によって、雄接続端子と雌接続端子との接点が上述の方向へ微摺動しやすい。
【0007】
特許文献3のコンタクトおよびその製造方法は、電気コネクタの絶縁ハウジングにコンタクトが収容される収容室を多数形成し、該各収容室に捩り変形した部分の四隅を面取りしたコンタクトをそれぞれ収容して、電気コネクタのコンタクトに対して相手コンタクトを接続する構造である。
【0008】
しかし、上述の構造では、コンタクトと相手コンタクトとの接触方向が、絶縁ハウジングの収容室を複数並設した方向(同文献3の図1参照)と平行であるため、電気コネクタを高温の環境下で使用した場合、電気コネクタに生じる収容室を多数並設した方向の熱膨張によって、コンタクトと相手コンタクトとの接点が上述の方向へ微摺動しやすい。
【0009】
特許文献4の面実装用コネクタは、コネクタハウジングの底面に接続端子の一端が挿通及び保持される端子挿通孔を複数形成し、コネクタハウジングの内部に突出した接続端子の一端に相手方端子と接続される端子接続部を形成し、コネクタハウジングの外部に突出した接続端子の他端に回路基板と接続される基板接続部を形成した構造である。
【0010】
しかし、上述の構造では、接続端子と相手方端子との接触方向が、コネクタハウジングの端子挿通孔を複数配列した方向(同文献4の図1参照)と平行であるため、面実装用コネクタを高温の環境下で使用した場合、面実装用コネクタに生じる端子挿通孔を複数配列した方向の熱膨張によって、接続端子と相手方端子との接点が上述の方向へ微摺動しやすい。
【0011】
特許文献5のコネクタは、雌ハウジングの内部に端子金具が収容及び保持される端子収容室を複数形成し、該各端子収容室に、相手側電線(FPC)の相手側導体が接続される端子金具をそれぞれ収容した構造である。
【0012】
しかし、上述の構造では、端子金具と相手側電線との接触方向が、雌ハウジングの端子収容室を複数配列した方向(同文献5の図18参照)と平行であるため、コネクタを高温の環境下で使用した場合、コネクタに生じる端子収容室を複数配列したY方向の熱膨張によって、端子金具と相手側電線との接点が上述の方向へ微摺動しやすい。
【0013】
特許文献6の基板用コネクタおよび該基板用コネクタを用いた電気接続箱は、直角型の端子が直方体状の絶縁体の取り付け面に対して多数本埋め込み固定されたプラグと、該フラグに接続されるリセプタクルとからなる構造である。
【0014】
しかし、上述の構造では、基板コネクタを高温の環境下で使用した場合、プラグに生じる絶縁体の長手方向の熱膨張によって、端子とリセプタクルとの接点部が絶縁体の長手方向と平行する方向へ微摺動しやすい。
【0015】
上述のように、特許文献2〜6は、上述の微摺動による接点劣化が端子の接点部分に生じやすく、端子の接触部分に微摺動摩耗が発生するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平10−340764号公報
【特許文献2】特開2001−35589号公報
【特許文献3】特開平7−326417号公報
【特許文献4】特開2003−264018号公報
【特許文献5】特開2005−78842号公報
【特許文献6】特開2002−64921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
この発明は、温度変化が大きい環境下において使用した場合であっても、雌型端子と雄型端子との接触部分における微摺動摩耗の発生を防止できる多極コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明は、略矩形に形成したコネクタハウジングの長手方向に、雌型端子が収容される複数の端子挿入孔を、該コネクタハウジングの長手方向に対して所定間隔を隔てて配置した多極雌コネクタであって、前記各端子挿入孔に対して多極雄コネクタの雄型端子が接続される雌型端子をそれぞれ収容し、該雌型端子の接点部を、前記コネクタハウジングの長手方向に向けて形成した多極雌コネクタであることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、温度変化が大きい環境下において使用した場合であっても、雌型端子と雄型端子との接触部分における微摺動摩耗の発生を防止することができる。
詳述すると、上述の多極雌コネクタを、例えば高温の環境下で使用した場合、コネクタハウジングは熱の影響を受けて全体的に熱膨張するが、略矩形に形成したコネクタハウジングには、長手方向に生じる熱膨張による変位が大きくなる。
【0020】
したがって、多極雌コネクタの端子挿入孔に収容した雌型端子と、該雌型端子に接続される多極雄コネクタの雄型端子との接触面が、コネクタハウジングの長手方向と平行する場合、その接触部分に微摺動摩耗が発生する。
【0021】
上述の微摺動摩耗は、例えば多極雌コネクタのコネクタハウジングと、多極雄コネクタのコネクタハウジングとの熱膨張係数が異なることで発生する。
例えば雌側のコネクタハウジングと雄側のコネクタハウジングとを、それぞれ熱膨張係数の異なる樹脂材料で形成している場合、あるいは、熱膨張係数が同一の樹脂材料で形成していても構造が異なる場合、高温の環境下における熱膨張収縮時の変位量がそれぞれ異なるため、雌側のコネクタハウジングに配置した雌型端子と、雄側のコネクタハウジングに配置した雄型端子との接触部分に相対的な摺動が生じることになり、上述のような微摺動摩耗が発生する。
【0022】
しかし、本発明の多極雌コネクタによれば、多極雌コネクタの雌型端子に対して多極雄コネクタの雄型端子を接続した際、雌型端子が雄型端子に対してコネクタハウジングの長手方向に向けて接触される。
【0023】
これにより、コネクタハウジングが熱の影響を受けて熱膨張により長手方向に変位しても、多極雌コネクタの雌型端子が多極雄コネクタの雄型端子に対して押し付けられる方向に接触圧が強く働くことになる。
【0024】
この結果、雌型端子と雄型端子との接触部分における微摺動摩耗の発生を防止することができる。また、各端子を互いに接続された状態に保つことができるので、良好な接続状態が安定して得られる。
【0025】
この発明の態様として、前記コネクタハウジングの長手方向中央部に配置した端子挿入孔には、前記雌型端子を前記接点部が前記コネクタハウジングの短手方向を向くように配置し、前記コネクタハウジングの長手方向端部に配置した端子挿入孔には、前記雌型端子を前記接点部が前記コネクタハウジングの長手方向を向くように配置することができる。
【0026】
上述の多極雌コネクタによれば、コネクタハウジングの長手方向端部は、長手方向中央部に比べて熱膨張による変位が大きいので、長手方向端部の雌型端子を接点部がコネクタハウジングの長手方向に向くように配置すれば、該長手方向端部に配置した雌型端子と雄型端子との接触部分における微摺動摩耗の発生を防止することができる。
【0027】
また、コネクタハウジングの長手方向中央部は、長手方向端部に比べて熱膨張による変位が小さいので、雌型端子を接点部がコネクタハウジングの短手方向に向くように配置することができる。
【0028】
これにより、コネクタハウジングが熱の影響を受けて熱膨張により長手方向に変位した際、雌型端子が雄型端子に対して押し付けられる方向に接触圧が強く働くことになる。
この結果、コネクタハウジングの熱膨張による変位が大きい部分に配置した雌型端子と雄型端子との接触部分における微摺動摩耗の発生を防止することができる。
【0029】
また、この発明の態様として、前記端子挿入孔を、前記コネクタハウジングの長手方向中央部に設定した前記端子挿入孔を配列する中央列部と、該コネクタハウジングの長手方向中央部より端部側に設定した前記端子挿入孔を配列する端列部とに配置し、前記中央列部に配置した前記端子挿入孔に比べ、前記端列部に配置した前記端子挿入孔を長手方向に大きいサイズに設定することができる。
【0030】
上述の多極雌コネクタによれば、コネクタハウジングの長手方向端部は、長手方向中央部に比べて熱膨張による変位が大きいので、端列部に配置した端子挿入孔のサイズが小さいと、熱膨張によりコネクタハウジングの変位量が長手方向に累積して、端列部における変位量が大きくなると、端列部に配置した端子挿入孔に生じる長手方向の変位量が大きくなる。
したがって、端列部の端子挿入孔に収容した雌型端子と、該雌型端子に接続される雄型端子との間に生じる接点のずれが大きく、電気的接触不良が起きることがある。
【0031】
しかし、本発明の多極雌コネクタは、コネクタハウジングの中央列部に配置した端子挿入孔に比べて、サイズが大きい端子挿入孔をコネクタハウジングの端列部に配置している。つまり、熱膨張による変位量の累積によって、端列部における変位量が大きくなるが、累積的変位による影響を軽微にするため、端列部の端子挿入孔のサイズを大きくして、変位の許容量を中央列部の端子挿入孔に比べて大きくしている。
【0032】
これにより、長手方向端部の端子挿入孔に収容した雌型端子と、該雌型端子に接続される雄型端子との間に生じる接点のずれが小さく、雌型端子と雄型端子とを長手方向に向けて接触させた状態に保つことができる。
この結果、端子挿入孔に収容した雌型端子と、該雌型端子に接続される雄型端子との間に電気的接触不良が起きることを防止できる。
【0033】
なお、上述の端部とは、中央部を含まない例えば1列〜5列程度を指すものである。
また、コネクタハウジングにおける長手方向中央部の中央部とは、長手方向の1/4〜1/2で、かつ、長手方向の中心部から一方の方向にそれぞれ、1/8〜1/4の範囲を言う。
【0034】
また、この発明の態様として、前記中央列部に配置した前記端子挿入孔の配列数に比べ、前記端列部に配置した前記端子挿入孔の配列数を少なくなるように設定することができる。
【0035】
上述の多極雌コネクタによれば、コネクタハウジングの長手方向端部は、長手方向中央部に比べて熱膨張による変位が大きいので、端列部に配置した端子挿入孔の配置数を多くすると、多極雌コネクタの全体において、熱膨張により長手方向に変位する端子挿入孔の数が多くなる。
【0036】
したがって、長手方向端部の端子挿入孔に収容した雌型端子と、該雌型端子に接続される雄型端子との多数にて接点にずれが生じやすく、多数の箇所にて電気的接触不良が起きることがある。
【0037】
しかし、本発明の多極雌コネクタは、コネクタハウジングの中央列部に配置した端子挿入孔に比べ、端列部に配置した端子挿入孔の配列数を少なくしている。
つまり、コネクタハウジングの長手方向中央部は、長手方向端部に比べて熱膨張による変位が小さいので、中央列部に配置される端子挿入孔の配置数を多くすることにより、多極雌コネクタの全体において、熱膨張により長手方向に変位する端子挿入孔の数が少なくなる。
【0038】
この結果、端子挿入孔に収容した雌型端子と、該雌型端子に接続される雄型端子とを接触させた際、熱膨張により一部の端子挿入孔が長手方向に変位しても、多極雌コネクタの全体において接点にずれが生じる箇所が少ないので、所定の接点数を確保することができる。
【0039】
また、この発明の態様として、前記端子挿入孔を、前記コネクタハウジングの長手方向中央部に設定した前記端子挿入孔を配列する中央列部と、該コネクタハウジングの長手方向中央部より端部側に設定した前記端子挿入孔を配列する端列部とに配置し、前記中央列部に配置した前記端子挿入孔に比べ、前記端列部に配置した前記端子挿入孔を長手方向に大きいサイズに設定するとともに、前記中央列部に配置した前記端子挿入孔の配列数に比べ、前記端列部に配置した前記端子挿入孔の配列数を少なくなるように設定することができる。
【0040】
上述の多極雌コネクタによれば、コネクタハウジングの長手方向端部は、長手方向中央部に比べて熱膨張による変位が大きいので、端列部に配置した端子挿入孔のサイズが小さいと、熱膨張によりコネクタハウジングの変位量が長手方向に累積して、端列部における変位量が大きくなると、端列部に配置した端子挿入孔に生じる長手方向の変位量が大きくなる。
【0041】
また、端列部に配置した端子挿入孔の配置数を多くすると、多極雌コネクタの全体において、熱膨張により長手方向に変位する端子挿入孔の数が多くなるので、端列部の端子挿入孔に収容した雌型端子と、該雌型端子に接続される雄型端子との多数にて接点に大きなずれが生じやすく、電気的接触不良が起きることがある。
【0042】
しかし、本発明の多極雌コネクタは、コネクタハウジングの中央列部に配置した端子挿入孔に比べて、サイズが大きい端子挿入孔をコネクタハウジングの端列部に配置している。つまり、熱膨張による変位量の累積によって、端列部における変位量が大きくなるが、累積的変位の影響を軽微にするため、端列部の端子挿入孔のサイズを大きくして、変位の許容量を中央列部の端子挿入孔に比べて大きくしている。
【0043】
また、コネクタハウジングの長手方向中央部は、長手方向端部に比べて熱膨張による変位が小さいので、中央列部に配置される端子挿入孔の配置数を多くすることにより、多極雌コネクタの全体において、熱膨張により長手方向に変位する端子挿入孔の数が少なくなる。
【0044】
これにより、長手方向端部の端子挿入孔に収容した雌型端子と、該雌型端子に接続される雄型端子との間に生じる接点のずれが小さく、雌型端子と雄型端子とを長手方向に向けて接触させた状態に保つことができる。
【0045】
また、熱膨張により一部の端子挿入孔が長手方向に変位しても、多極雌コネクタの全体において接点にずれが生じる箇所が少ないので、所定の接点数を確保することができる。
この結果、端子挿入孔に収容した雌型端子と、該雌型端子に接続される雄型端子との間に電気的接触不良が起きることを防止できる。
【0046】
また、この発明の態様として、前記多極雌コネクタの前記多極雄コネクタと嵌合する嵌合側中央部に、該多極雄コネクタの嵌合側中央部に対して係止されるロック部を設けることができる。
【0047】
上述の多極雌コネクタによれば、多極雌コネクタと多極雄コネクタを互いに嵌合して、ロック部により各コネクタを互いに嵌合した状態に固定する。
これにより、多極雌コネクタの雌型端子と、多極雄コネクタの雄型端子との接続状態が維持される。
この結果、良好な接続状態を長期に亘り安定して得ることができる。
【0048】
また、ロック部を、多極雌コネクタの多極雄コネクタと嵌合する嵌合側中央部に設けることで、ロック部が熱膨張による影響を殆ど受けず、ロック部の位置が長手方向に変位しにくいため、多極雌コネクタの雌型端子と多極雄コネクタの雄型端子とを長手方向に向けて接触させた状態に確実に固定できる。
【0049】
また、この発明の態様として、前記端子挿入孔内に雌型端子を係止する可撓性のランス部を設け、該ランス部を前記コネクタハウジングの長手方向に向けて撓み可能に形成することができる。
【0050】
上述の多極雌コネクタによれば、雌型端子を端子挿入孔内の所定位置まで挿入した際、端子挿入孔内のランス部がコネクタハウジングの長手方向に向けて撓み、端子挿入孔内に挿入した雌型端子に対して長手方向に向けて係止される。
この結果、雌型端子を、端子挿入孔内の所定位置に対して確実に固定することができる。
【0051】
また、この発明は、前記多極雌コネクタに対して嵌合される多極雄コネクタであって、前記多極雌コネクタのコネクタハウジングに配置した雄型端子を、平板状の金属材料を打抜いてL字状に形成し、該雄型端子を略矩形に形成したコネクタハウジングの長手方向に対して所定間隔を隔てて配置した多極雄コネクタであることを特徴とする。
【0052】
上述の多極雄コネクタによれば、多極雄コネクタの雄型端子を多極雌コネクタの雌型端子に接続する際、雄型端子が雌型端子に対してコネクタハウジングの長手方向に向けて接続される。
この結果、例えば曲げ加工、捻り加工等の加工が不要であるため、製造工数を減らして、雄型端子を容易に製造することができる。
【0053】
また、この発明は、前記多極雌コネクタに対して嵌合される多極雄コネクタであって、前記多極雌コネクタのコネクタハウジングに配置した雄型端子を、平板状の金属材料を打抜いて形成した端子部材で構成し、該端子部材の一端側を周方向に対して略90度に捻り加工し、該端子部材の他端側を該一端側に対して略直角に折り曲げ加工し、該雄型端子を略矩形に形成したコネクタハウジングの長手方向に対して所定間隔を隔てて配置した多極雄コネクタであることを特徴とする。
【0054】
上述の多極雄コネクタによれば、雄型端子を、平板状の金属材料を捻り加工と曲げ加工して製造するので、雄型端子の捻り部分に加工硬化が加えられ、雄型端子の硬さが増すことになる。
この結果、雄型端子の連続的な振動や熱膨張収縮に対する耐久性が向上する。
【0055】
この発明の態様として、前記雄型端子を、前記コネクタハウジングの長手方向中央部に設定した前記雄型端子を配列する中央列部と、該コネクタハウジングの長手方向中央部より端部側に設定した前記雄型端子を配列する端列部とに配置し、前記中央列部に配置した前記雄型端子を、該雄型端子の接触面が該コネクタハウジングの短手方向を向くように配置し、前記端列部に配置した前記雄型端子を、該雄型端子の接触面が該コネクタハウジングの長手方向を向くように配置することができる。
【0056】
上述の多極雄コネクタによれば、コネクタハウジングの長手方向端部は、長手方向中央部に比べて熱膨張による変位が大きいので、端列部の雄型端子を接触面がコネクタハウジングの長手方向に向くように配置すれば、該端列部に配置した雄型端子と雌型端子との接触部分における微摺動摩耗の発生を防止することができる。
【0057】
また、コネクタハウジングの長手方向中央部は、長手方向端部に比べて熱膨張が小さいので、雄型端子を接触面がコネクタハウジングの短手方向に向くように配置することができる。
【0058】
これにより、コネクタハウジングが熱の影響を受けて熱膨張により長手方向に変位した際、雄型端子が雌型端子に対して押し付けられる方向に接触圧が強く働くことになる。
この結果、コネクタハウジングの熱膨張による変位が大きい部分に配置した雄型端子と雌型端子との接触部分における微摺動摩耗の発生を防止することができる。
【0059】
また、この発明は、多極雌コネクタと多極雄コネクタを嵌合させた多極コネクタ対であることを特徴とする。
上述の多極コネクタ対によれば、多極雌コネクタと多極雄コネクタとを対で互いに嵌合して、多極雌コネクタの雌型端子に対して多極雄コネクタの雄型端子を接続する際、雌型端子と雄型端子との接触面がコネクタハウジングの長手方向に向けて接続される。
【0060】
これにより、コネクタハウジングが熱の影響を受けて熱膨張により長手方向に変位した際、雌型端子と雄型端子とが互いに押し付けられる方向に接触圧が強く働くことになる。
この結果、雌型端子と雄型端子との接触部分における微摺動摩耗の発生を防止することができ、多極雌コネクタと多極雄コネクタとを対で良好な接続状態に接続することができる。
【発明の効果】
【0061】
この発明によれば、温度変化が大きい環境下において使用した場合であっても、多極雌コネクタの端子挿入孔に収容した雌型端子の接点部と、該接点部間に対して挟み込まれた雄型端子の一端側との接触部分における微摺動摩耗の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本実施形態の多極コネクタを雌雄のコネクタに分離した斜視図。
【図2】多極雌コネクタを嵌合側から見た斜視図。
【図3】多極雌コネクタを嵌合側から見た正面図。
【図4】多極雄コネクタを嵌合側から見た斜視図。
【図5】多極雄コネクタを嵌合側から見た正面図。
【図6】多極コネクタを嵌合側突合せ面に沿って切断した断面図。
【図7】図6のA−A線矢視断面図。
【図8】L字型の雄型端子と捻り型の雄型端子の斜視図。
【図9】図8の雄型端子を打抜く際の配置パターンの平面図。
【図10】従来型の一般的な雄型端子を挿入した多極コネクタの斜視図。
【図11】図10の雄型端子と雄型端子の接触部分の拡大斜視図。
【図12】図10の一般的な雄型端子の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0063】
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
図1は本実施形態の多極コネクタ1を多極雌コネクタ1Aと多極雄コネクタ1Bに分離した斜視図、図2は多極雌コネクタ1Aを嵌合側から見た斜視図、図3は多極雌コネクタ1Aを嵌合側から見た正面図、図4は多極雄コネクタ1Bを嵌合側から見た斜視図、図5は多極雄コネクタ1Bを嵌合側から見た正面図、図6は多極コネクタ1を嵌合側突合せ面に沿って切断した断面図、図7は図6のA−A線矢視断面図である。
【0064】
本実施形態の多極コネクタ1は、多極雌コネクタ1Aと多極雄コネクタ1Bとを対で嵌合する構成である(図1参照)。
多極雌コネクタ1Aは、図2、図3に示すように、絶縁性を有する合成樹脂にて正面から見て略矩形に形成したコネクタハウジング2Aと、該コネクタハウジング2Aの嵌合側内部に配置した雌型端子4Aが収容される複数の端子挿入孔3Aと、端子挿入孔3Aに収容した後述する多極雄コネクタ1Bの雄型端子5Bが接続される雌型端子4Aとで構成している。
【0065】
上述の略矩形とは、多極雌コネクタ1Aのコネクタハウジング2Aと、多極雄コネクタ1Bのコネクタハウジング2Bとを嵌合する方向(Z方向)と交差する嵌合側の形状である。
また、幅方向(X方向)に長く、高さ方向(Y方向)に短い幅広長方形であり、X方向を長手方向、Y方向を短手方向とする矩形の長手方向中央を中央部として、その両側における長手方向端部を端部としている。
なお、中央部は、コネクタハウジング2A,2Bにおける長手方向(X方向)の1/4〜1/2で、かつ、長手方向の中心部から一方の方向にそれぞれ、1/8〜1/4の範囲を言う。
【0066】
端子挿入孔3A(3Aa,3Ab)は、コネクタハウジング2Aの長手方向中央部に設定した中央列部CAと、その両側における長手方向端部に設定した端列部EAとに配置され、左右の端列部EAに配置したサイズが大きい端子挿入孔3Aaと、中央列部CAに配置したサイズが小さい端子挿入孔3Abとで構成している(図3参照)。
【0067】
また、雌型端子4Aは、端子挿入孔3Aaに収容されるサイズが大きい雌型端子4Aaと、端子挿入孔3Abに収容されるサイズが小さい雌型端子4Abとで構成している。
なお、上述の端子挿入孔3Aaは、端子挿入孔3Abに比べて、長手方向(X方向)及び短手方向(Y方向)の両方向に対して大きいサイズに設定している。
【0068】
端子挿入孔3Aa,3Abは、コネクタハウジング2Aの長手方向(X方向)及び短手方向(Y方向)に対して所定間隔を隔てて配置している。また、端子挿入孔3Aa,3Abは、コネクタハウジング2Aの前後方向(Z方向)に向けて平行して形成している。
なお、端子挿入孔3Aa,3Abは、コネクタハウジング2Aの嵌合側突合せ面の中央に仮想設定した1本の仮想中央線を基準として左右対称に配置している。
【0069】
上述のコネクタハウジング2Aの長手方向端部は、長手方向中央部に比べて熱膨張による変位が大きいので、左右の端列部EAに配置した端子挿入孔3Aaのサイズが小さいと、熱膨張によりコネクタハウジング2Aの変位量が長手方向に累積して、端列部EAにおける変位量が大きくなると、端列部EAに配置した端子挿入孔3Aaに生じる長手方向(X方向)の変位量が大きくなる。
【0070】
したがって、端列部EAの端子挿入孔3Aaに収容した雌型端子4Aaと、該雌型端子4Aaに接続される雄型端子5Baとの間に生じる接点のずれが大きく、電気的接触不良が起きることがある。
【0071】
しかし、本発明の多極雌コネクタ1Aは、コネクタハウジング2Aの中央列部CBに配置した端子挿入孔3Abに比べて、サイズが大きい端子挿入孔3Aaをコネクタハウジング2Aの左右の端列部EAにそれぞれ配置している。
つまり、熱膨張による変位量の累積によって、端列部における変位量が大きくなるが、累積的変位の影響を軽微にするため、端列部EAに配置した端子挿入孔3Aaのサイズを大きくして、端子挿入孔3Aaの変位の許容量を、中央列部CBの端子挿入孔3Abに比べて大きくしている。
【0072】
これにより、端列部EAの端子挿入孔3Aaに収容した雌型端子4Aaと、該雌型端子4Aaに接続される雄型端子5Baとの間に生じる接点のずれが小さく、雌型端子4Aaと雄型端子5Baとを長手方向(X方向)に向けて接触させた状態に保つことができる。
【0073】
この結果、端子挿入孔3Aa,3Abに収容した雌型端子4Aa,4Abと、該雌型端子4Aa,4Abに接続される雄型端子5Ba,5Bcとの間に電気的接触不良が起きることを防止できる。
【0074】
端子挿入孔3Aaは、コネクタハウジング2Aの長手方向端部に対して長手方向(X方向)と平行して2個を並列配置するとともに、2個を一組として短手方向(Y方向)に対して3組配置している。また、端子挿入孔3Aaと対応する大サイズの雌型端子4Aaの収容が許容される大きさ及び形状に形成している。
【0075】
端子挿入孔3Abは、コネクタハウジング2Aの長手方向中央部に対して長手方向(X方向)と平行して3個を並列配置するとともに、3個を一組として短手方向(Y方向)に対して3組配置している。また、端子挿入孔3Abと対応する小サイズの雌型端子4Abの収容が許容される大きさ及び形状に形成している。
すなわち、コネクタハウジング2Aの中央列部CAに配置した端子挿入孔3Abの配列数は、左右のいずれか一方の端列部EAに配置した端子挿入孔3Aaの配列数よりも多くしている。
【0076】
上述のコネクタハウジング2Aの長手方向端部は、長手方向中央部に比べて熱膨張による変位が大きいので、左右の端列部EAに配置した端子挿入孔3Aaの配置数を多くすると、多極雌コネクタ1Aの全体において、熱膨張により長手方向に変位する端子挿入孔3Aaの数が多くなる。
【0077】
したがって、端子挿入孔3Aaに収容した雌型端子4Aaと、該雌型端子4Aaに接続される雄型端子5Baとの多数にて接点にずれが生じやすく、多数の箇所にて電気的接触不良が起きることがある。
【0078】
しかし、本発明の多極雌コネクタ1Aは、コネクタハウジング2Aの中央列部CAに配置した端子挿入孔3Abに比べて、端列部EAに配置した端子挿入孔3Aaの配列数を少なくしている。
【0079】
つまり、コネクタハウジング2Aの長手方向中央部は、長手方向端部に比べて熱膨張による変位が小さいので、中央列部CAに配置される端子挿入孔3Abの配置数を多くすることにより、多極雌コネクタ1Aの全体において、熱膨張により長手方向に変位する端子挿入孔3Aaの数が少なくなる。
【0080】
この結果、端子挿入孔3Aa,3Abに収容した雌型端子4Aa,4Abと、該雌型端子4Aa,4Abに接続される雄型端子5Ba,5Bcとを接触させた際、熱膨張により一部の端子挿入孔3Aaが長手方向に変位しても、多極雌コネクタ1Aの全体において接点にずれが生じる箇所が少ないので、所定の接点数を確保することができる。
【0081】
端子挿入孔3Aaには、後述する雄型端子5BのL字型雄型端子5Ba又は捻り型雄型端子5Bbのいずれか一方が接続される雌型端子4Aaを収容している。また、雌型端子4Aaの雄型端子5Baと接触する接点部4Acは、該接点部4Acの接触面がコネクタハウジング2Aの長手方向(X方向)を向くように形成している(図3のa部拡大図参照)。
つまり、雌型端子4Aaと雄型端子5Baとの接触方向が長手方向(X方向)を向くように形成している。
【0082】
端子挿入孔3Abには、直方体に形成した針棒状の雄型端子5Bcが接続される雌型端子4Abを収容している。また、雌型端子4Abの雄型端子5Bcと接触する接点部4Acは、該接点部4Acの接触面がコネクタハウジング2Aの短手方向(Y方向)を向くように形成している(図3のb部拡大図参照)。
つまり、雌型端子4Abと雄型端子5Bcの接触方向が短手方向(Y方向)を向くように形成している。
また、上述の雌型端子4Aa,4Abの接点部4Acは、後述する雄型端子5Ba,5Bcと接触する部分に設定している。
【0083】
端子挿入孔3Aa,3Ab内には、図7に示すように、雌型端子4Aa,4Abに形成した係止部4Bdに対して係止されるランス部3Acを設けている。また、ランス部3Acは、コネクタハウジング2Aの長手方向(X方向)に向けて撓み可能に形成している。
【0084】
すなわち、ランス部3Acは、雌型端子4Aaが端子挿入孔3Aaに対して所定位置まで挿入された際、端子挿入孔3Aaに挿入した雌型端子4Aaの係止部4Bdに対して長手方向(X方向)に向けて係止される。
【0085】
これにより、雌型端子4Aaが端子挿入孔3Aa内の所定位置に固定される。また、上述と同様に、図示しないランス部3Acと係止部4Bdの係止によって、雌型端子4Abも端子挿入孔3Ab内の所定位置に固定される。
この結果、雌型端子4Aa,4Abを、端子挿入孔3Aa,3Ab内の所定位置に固定することができる。
【0086】
多極雄コネクタ1Bは、図4、図5に示すように、絶縁性を有する合成樹脂にて正面から見て略矩形に形成したコネクタハウジング2Bと、該コネクタハウジング2Bの嵌合側突合せ面に配置した上述の雌型端子4Aに接続される雄型端子5Bとで構成している。
【0087】
雄型端子5B(5Ba,5Bb,5Bc)は、雌型端子4Aaに対して接続が許容される大きさ及び形状に形成したL字型の雄型端子5Baと捻り型の雄型端子5Bbと、雌型端子4Abに対して接続が許容される大きさ及び形状に形成した針棒状の雄型端子5Bcとで構成している(図8参照)。
【0088】
実施形態では、上述の雄型端子5Baを、コネクタハウジング2Bの両長手方向端部に設定した端列部EBにそれぞれ配置し、雄型端子5Bcを、長手方向中央部に設定した中央列部CBに配置している(図5参照)。
【0089】
雄型端子5Ba,5Bcは、上述のコネクタハウジング2Aを嵌合するコネクタハウジング2Bの嵌合側外周部に形成したフード部2Bb内に、コネクタハウジング2Aに配置した雌型端子4Aa,4Abと対応して所定間隔を隔てて配置している。
また、雄型端子5Ba,5Bcは、コネクタハウジング2Bの前後方向(Z方向)に向けて平行して挿入している。
【0090】
すなわち、雄型端子5Baは、コネクタハウジング2Bの両長手方向端部に配置され、上述の雌型端子4Aaと対応してコネクタハウジング2Bの長手方向(X方向)及び短手方向(Y方向)に対して所定間隔を隔てて配置している。
【0091】
また、雄型端子5Bcは、コネクタハウジング2Bの長手方向中央部に配置され、上述の雌型端子4Abと対応してコネクタハウジング2Bの長手方向(X方向)及び短手方向(Y方向)に対して所定間隔を隔てて配置している。
なお、雄型端子5Ba,5Bcは、コネクタハウジング2Bの嵌合側突合せ面の中央に仮想設定した1本の仮想中央線を基準として左右対称に配置している。
【0092】
雄型端子5Ba,5Bcの一端側接続部5Caは、フード部2Bb内においてコネクタハウジング2Bの嵌合側突合せ面より前方に向けて所定長さ突出している。また、雄型端子5Ba,5Bcの他端側接続部5Cbは、コネクタハウジング2Bの後端面より後方に突出して、回路基板(図示せず)の端子挿通孔に対して挿入される方向に向けて垂直に折曲げている。
【0093】
さらに、雄型端子5Baの接続部5Caは、該接続部5Caの接触面がコネクタハウジング2Bの長手方向(X方向)を向くように形成している。また、雄型端子5Bcの接続部5Caは、該接続部5Caの接触面がコネクタハウジング2Bの短手方向(Y方向)を向くように形成している(図5参照)。
【0094】
次に、多極雌コネクタ1Aと多極雄コネクタ1Bを嵌合する構造について説明する。
多極雌コネクタ1Aの多極雄コネクタ1Bと嵌合する嵌合側中央部、すなわち、コネクタハウジング2Aのコネクタハウジング2Bと嵌合する嵌合側外周部の上縁側中央部には、該コネクタハウジング2Bの嵌合側外周部の上縁側中央部に形成したロック孔2Baに対して係止されるロック部2Aaを設けている。
また、ロック部2Aaは、コネクタハウジング2Aの短手方向(Y方向)に向けて撓み可能に形成している。
【0095】
フード部2Bbは、コネクタハウジング2Bの嵌合側外周部に沿って筒状に形成され、コネクタハウジング2Aの嵌合側外周部に対して嵌合される大きさ及び形状に形成している。
また、フード部2Bbの上縁側中央部には、コネクタハウジング2Aのロック部2Aaが係止されるロック孔2Baを設けている。
【0096】
すなわち、コネクタハウジング2Aのロック部2Aaは、コネクタハウジング2Aとコネクタハウジング2Bを互いに嵌合して、雌型端子4Aに対して雄型端子5Bを接続した際、コネクタハウジング2Bのロック孔2Baに対して短手方向(Y方向)に向けて係止される。
【0097】
これにより、多極雌コネクタ1Aと多極雄コネクタ1Bが互いに嵌合した状態に固定され、コネクタハウジング2Aの雌型端子4Aとコネクタハウジング2Bの雄型端子5Bが接続した状態に維持される。
【0098】
また、ロック部2Aaを、コネクタハウジング2Aの嵌合側外周部の上縁側中央部に設け、ロック孔2Baを、コネクタハウジング2Bの嵌合側外周部の上縁側中央部に設けている。
【0099】
これにより、ロック部2Aa及びロック孔2Baがコネクタハウジング2A,2Bの熱膨張による影響を殆ど受けず、ロック部2Aa及びロック孔2Baの位置が変位しにくいため、多極雌コネクタ1Aの雌型端子4Aと多極雄コネクタ1Bの雄型端子5Bとを長手方向(X方向)に向けて接触させた状態に確実に固定できる。
【0100】
次に、上述の雄型端子5Ba,5Bbを、平板状の金属材料6(例えばめっき条材)を打抜いて製造する方法を説明する。図8の(a)、(b)はL字型の雄型端子5Baと捻り型の雄型端子5Bbの斜視図、図9の(a)、(b)は雄型端子5Ba.5Bbを打抜く際の配置パターンの平面図である。
【0101】
L字型の雄型端子5Baは、図9の(a)に示すように、金属材料6を同一方向に向きを揃えた配置パターン(図中仮想線で示すパターン)で厚み方向に打抜いて、L字状の端子部材6aを分離する。分離後、L字状の端子部材6aに例えば切削、面取り等の加工を施して、図8の(a)に示すL字型の雄型端子5Baに形成している。
【0102】
雄型端子5Baの一端側には、雌型端子4Aaの接点部4Ac間に対して挟み込まれる一端側接続部5Caを、該一端側接続部5Caの接触面がコネクタハウジング2Bの長手方向(X方向)を向くように形成している。
また、雄型端子5Baの他端側には、回路基板(図示せず)の端子挿通孔に対して挿通される二又形状の他端側接続部5Cbを形成している。
【0103】
捻り型の雄型端子5Bbは、図9の(b)に示すように、平板状の金属材料6を同一方向に向きを揃えた配置パターン(図中仮想線で示すパターン)で厚み方向に打抜いて、I字状の端子部材6bを分離する。
【0104】
分離後、I字状の端子部材6bに例えば切削、面取り等の加工を施してから、端子部材6bの一端側を、該端子部材6bの前後方向(Z方向)と平行する軸中心線Wを中心として周方向へ略90度捻り加工し、端子部材6bの他端側を、一端側に対して垂直方向に向けて略直角(L字状に)に折り曲げ加工して、図8の(b)に示す捻り型の雄型端子5Bbに形成している。
【0105】
雄型端子5Bbの一端側には、雌型端子4Abの接点部4Ac間に対して挟み込まれる一端側接続部5Caを、該一端側接続部5Caの接触面がコネクタハウジング2Bの長手方向(X方向)を向くように形成している。
また、雄型端子5Bbの他端側には、回路基板の端子挿通孔に対して挿通される他端側接続部5Cbをそれぞれ形成している。
【0106】
上述の雄型端子5Ba,5Bbは、平板状の金属材料6を上述の配置パターンで打抜いて製造するので、金属材料6から無駄なく連続して多数作り出すことができる。これにより、材料の損失が少なくなるので、製造コストの低減を図ることができる。
【0107】
また、雄型端子5Baは、図9の(a)に示す金属材料6を平面的に打抜いて製造するので、多極雌コネクタ1Aの端子挿入孔3Aaに収容された雌型端子4Aaに挿入した際、雄型端子5Baの一端側接続部5Caを、該一端側接続部5Caの接触面がコネクタハウジング2Bの長手方向(X方向)に向けられたまま挿入して、雌型端子4Aaの接点部4Acに接続することができる。
つまり、例えば曲げ加工、捻り加工等の加工が不要であるため、製造工数を減らして、L字型の雄型端子5Baを容易に製造することができる。
【0108】
また、雄型端子5Bbは、図9の(b)に示すパターンで金属材料6を平面的に打抜いて分離した後、その分離した端子部材6bの一端側を捻り加工し、他端側をL字状に折り曲げ加工して製造する。
【0109】
捻り加工時において、雄型端子5Bbの捻り部分に加工硬化(金属に応力を与えると塑性変形によって硬さが増す現象)が加えられることによって、雄型端子5Bbの硬さが増すことになるので、連続的な振動や熱膨張収縮に対する耐久性が向上する。
【0110】
針棒状の雄型端子5Bcは、直方体に形成した針棒状の端子部材(図示せず)をL字状に折り曲げて形成している。
なお、雄型端子5Bcは、図12に示す雄型端子500と略同一の大きさ及び形状を有しているので、詳細な説明を省略する。
【0111】
雄型端子5Bcの一端側には、雌型端子4Abの接点部4Ac間に対して挟み込まれる一端側接続部5Daを、該一端側接続部5Daの接触面がコネクタハウジング2Bの短手方向(Y方向)を向くように形成している。また、他端側には、回路基板(図示せず)の端子挿通孔に対して挿通される他端側接続部5Dbを形成している(図1、図2参照)。
【0112】
一端側接続部5Daは、雌型端子4Abの接点部4Ac間に対して挟み込みが許容される形状に形成している。また、他端側接続部5Dbは、回路基板の端子挿通孔に対して挿通が許容される形状に形成している。
【0113】
次に、上述の多極コネクタ1において、多極雌コネクタ1Aの雌型端子4Aと、多極雄コネクタ1Bの雄型端子5Bとの接続方法を説明する。
先ず、多極雌コネクタ1Aのコネクタハウジング2Aと多極雄コネクタ1Bのコネクタハウジング2Bを互いに嵌合して、雌型端子4A(4Aa,4Ab)に対して雄型端子5B(5Ba,5Bc)を挿入して接続する。
【0114】
また、コネクタハウジング2Bのフード部2Bbを、コネクタハウジング2Aの嵌合側外周部に嵌合して、コネクタハウジング2Aのロック部2Aaを、コネクタハウジング2Bのロック孔2Baに対して短手方向(Y方向)に向けて係止する。
【0115】
これにより、多極雌コネクタ1Aと多極雄コネクタ1Bを互いに嵌合した状態に固定するとともに、雌型端子4Aa,4Abと雄型端子5Ba,5Bcとの接続状態を維持する。
【0116】
また、雌型端子4A(4Aa,4Ab)に対して雄型端子5B(5Ba,5Bc)を接続する際、図1、図6に示すように、コネクタハウジング2Aの端子挿入孔3Aaに収容した雌型端子4Aaの接点部4Ac間には、コネクタハウジング2Bの雄型端子5Baの一端側接続部5Caを、該一端側接続部5Caの接触面がコネクタハウジング2Aの長手方向(X方向)を向くようにして前方から挟み込む。
【0117】
コネクタハウジング2Aの端子挿入孔3Abに収容した雌型端子4Abの接点部4Ac間には、コネクタハウジング2Bの雄型端子5Bcの一端側接続部5Caを、該一端側接続部5Caの接触面がコネクタハウジング2Aの短手方向(Y方向)を向くようにして前方から挟み込む。
【0118】
上述のように、雌型端子4Aaの接点部4Ac間に対して雄型端子5Baの一端側接続部5Caを挟み込んだ際、雌型端子4Aaの接点部4Acと、該接点部4Ac間に挟み込まれた雄型端子5Baの一端側接続部5Caとがコネクタハウジング2Aの長手方向(X方向)に向けて接触する。
【0119】
上述の多極コネクタ1を高温の環境下で使用した場合、多極雌コネクタ1Aと多極雄コネクタ1Bの樹脂部分、すなわち、熱膨張係数の異なる樹脂材料で形成したコネクタハウジング2A,2Bが熱の影響を受けて長手方向(X方向)及び短手方向(Y方向)に熱膨張するが、X方向及びY方向の熱膨張係数差によって、コネクタハウジング2A,2Bの膨張度、あるいは収縮度に差が生じる(特に図6のX方向)。
【0120】
上述の熱膨張による影響は、コネクタハウジング2Aの端子挿入孔3Aa内に収容した雌型端子4Aa,4Abと、その雌型端子4Aa,4Abに挿入接続したコネクタハウジング2Bの雄型端子5Ba,5Bcに及びやすい。
【0121】
また、熱膨張係数が同一の樹脂材料であっても、コネクタハウジング2A,2Bの一方が熱による影響を積極的に受けるような場合、あるいは、熱膨張係数が同一の樹脂材料で形成していても構造が異なる場合、上述と同様に、熱膨張による影響が雌型端子4Aa,4Abと雄型端子5Ba,5Bcに及ぶことになる。
【0122】
次に、本発明の多極コネクタ1と従来型の多極コネクタ100とを比較した場合、例えば図10に示す従来型の多極コネクタ100は、図12に示す一般的な雄型端子500を雌型端子400に接続する構成である。
上述の多極コネクタ100は、多極雌コネクタ100Aのコネクタハウジング200Aと多極雄コネクタ100Bのコネクタハウジング200Bを互いに嵌合して、コネクタハウジング200Aの端子挿入孔300に収容した雌型端子400に、コネクタハウジング200Bに固定した雄型端子500を接続する(図10のa部拡大図参照)。
【0123】
しかし、コネクタハウジング200Aの端子挿入孔300に収容した雌型端子400の接点部410と、該接点部410a間に挟み込まれた雄型端子500の一端側接続部510aとの接触面がコネクタハウジング200Aの短手方向(Y方向)に向いている。
【0124】
すなわち、コネクタハウジング200Aが熱の影響を受けて長手方向(X方向)に熱膨張した際、雌型端子400の接点部410aと雄型端子500の一端側接続部510aとの接点が長手方向(X方向)にずれやすい。
このため、図11に示す雌型端子400の接点部410aと雄型端子500の一端側接続部510aとの間に微摺動摩耗が発生しやすい。
【0125】
なお、雄型端子500は、図12に示すように、直方体に形成した針棒状の端子部材(図示せず)をL字状に折り曲げて形成している。
しかし、本発明の多極コネクタ1は、図2に示すように、多極雄コネクタ1Bのコネクタハウジング2Bに配置したL字型を有する雄型端子5Baの一端側接続部5Caを、多極雌コネクタ1Aのコネクタハウジング2Aに配置した雌型端子4Aaの接点部4Ac間に対して該コネクタハウジング2Aの長手方向(X方向)に向けて挟み込み、通電可能に接続する。
【0126】
上述のような多極雌コネクタ1Aを実現するために、図8の(a)に示すL字型の雄型端子5Ba、或いは、同図の(b)に示す捻り型の雄型端子5Bbを用いることによって、図1〜図3に示すような多極雌コネクタ1Aを得ることができる。
【0127】
すなわち、熱膨張収縮時に発生するコネクタハウジング2A,2Bの長手方向(X方向)の熱膨張収縮差によるずれを、雌型端子4Aaの接点部4Acと雄型端子5Ba,5Bbの一端側接続部5Caとの接触方向にかかる力として吸収するので、相互の接触部分における微摺動摩耗の発生を防止することができる。
【0128】
次に、本発明の雄型端子5Ba,5Bbの性能を検証するために行った温度サイクル試験について説明する。
本試験では、本発明の雄型端子5Ba,5Bbを備えた試験品1〜8と、従来例の雄型端子500を備えた比較品1〜4とを製作する。
【0129】
試験品1〜4は、図1に示す多極雌コネクタ1Aの端子挿入孔3Aaに挿入したL字型の雄型端子5Baである。
試験品5〜8は、図6に示す多極雌コネクタ1Aの端子挿入孔3Aaに挿入した捻り型の雄型端子5Bbである。
比較品1〜4は、図10に示す多極雌コネクタ100Aの端子挿入孔300に挿入した雄型端子500である。
【0130】
上述の試験品1〜4の雄型端子5Baが挿入された多極雌コネクタ1Aと、試験品5〜8の雄型端子5Bbが挿入された多極雌コネクタ1Aと、比較品1〜4の雄型端子500が挿入された多極雌コネクタ100Aとを、120℃×30分から−45℃×30分までの温度サイクル試験にかけて、1000サイクル後に、常温で放置し、これら多極雌コネクタ1Aの端子挿入孔3Aaに挿入した試験品1〜8と、多極雌コネクタ100Aの端子挿入孔300に挿入した比較品1〜4の中から選択した端子の接触抵抗を測定した。
【0131】
なお、表1に示す接触方向は、図6に示すコネクタハウジング2Aの長手方向(X方向)と同一である。
また、雄型端子5Bの型は、図8の(a)、(b)に示すL字型の雄型端子5Baと捻り型の雄型端子5Bbである。
上述の試験で得られた試験結果を、下記の表1に示す。
【0132】
【表1】
表1より明らかなように、試験品1〜8の雄型端子5Ba,5Bbの接触抵抗「○」は3mΩ以下であるが、比較品1の雄型端子500の接触抵抗「△」は3mΩ以上〜10mΩ以下で、比較品2〜4の雄型端子500の接触抵抗「×」は10mΩ以上である。
【0133】
上述のように、端子挿入孔3Aaに収容した雌型端子4Aaの接点部4Acを、該接点部4Acの接触面がコネクタハウジング2Aの長手方向(X方向)を向くように設けているので、多極雄コネクタ1Bの雄型端子5Ba,5Bbの一端側接続部5Caを、該一端側接続部5Caの接触面がコネクタハウジング2Aの長手方向(X方向)を向くようにして、多極雌コネクタ1Aの雌型端子4Aaの接点部4Ac間に挟み込むことにより、下記のような効果を奏することができる。
【0134】
すなわち、高温の環境下において使用した場合、多極雌コネクタ1Aのコネクタハウジング2Aと、多極雄コネクタ1Bのコネクタハウジング2Bが熱の影響を受けて長手方向(X方向)に膨張しても、雌型端子4Aaの接点部4Acと、雄型端子5Ba,5Bbの一端側接続部5Caとの接触部分が押し付けられる方向に接触圧が強く働くだけである。
【0135】
したがって、コネクタハウジング2A,2Bが熱膨張係数の異なる樹脂材料で形成されていても、雌型端子4Aaと雄型端子5Ba,5Bbとの接触部分に、熱膨張収縮による微摺動摩耗が発生することを防止できる。
【0136】
また、雌型端子4Aaと雄型端子5Ba又は5Bbに付与される接触荷重を低減することができるので、例えば多極雌コネクタ1A、多極雄コネクタ1B等のコネクタ同士を嵌合する際の嵌合力を低めに抑えることができる。
これにより、多極雌コネクタ1Aのコネクタハウジング2Aを長手方向(X方向)に対しさらに横長形状に形成することが可能となり、設計の自由度を上げることができる。
【0137】
この発明の構成と、前記実施形態との対応において、
この発明の長手方向は、実施形態のX方向に対応し、
以下同様に、
短手方向は、Y方向に対応し、
雌型端子は、雌型端子4A(4Aa,4Ab)に対応し、
雄型端子は、雄型端子5B(5Ba,5Bb,5Bc)に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
【0138】
前記実施形態では、大小の雌型端子4Aa,4Abを配置した多極雌コネクタ1Aと、雄型端子5Ba,5Bcを配置した多極雄コネクタ1Bとについて説明したが、本発明の構成は、端子挿入孔3Aaのみを配置した多極雌コネクタ1A及び雄型端子5Baを配置した多極雄コネクタ1Bにも適用することができる。
【0139】
また、多極雌コネクタ1Aの雌型端子4Abと多極雄コネクタ1Bの雄型端子5Bcを、該端子4Ab,5Bcの接触面がコネクタハウジング2A,2Bの長手方向(X方向)を向くように配置してもよい。
【0140】
多極雌コネクタ1Aのサイズが小さい場合、針棒状の雄型端子5Bcが主として用いられる。また、多極雌コネクタ1Aのサイズが大きい場合、平板状の雄型端子5Baが主として用いられる。
【0141】
また、雄型端子5Ba,5Bb,5Bcと、雌型端子4Aa,4Abを組み合わせて一つの多極コネクタ1として使用してもよい。
なお、雌型端子4Aと雄型端子5Bとを併用する場合、サイズが大きい平板状の雄型端子5Bを、多極雌コネクタ1Aの一側端部或いは両側端部に配置することが多い。
【0142】
また、本発明の構成は、上述の多極雌コネクタ1Aのコネクタハウジング2Aの熱膨張に対して有効なだけでなく、例えばコネクタハウジング2A,2Bのいずれか一方が長手方向(X方向)に熱膨張しない場合、あるいは、コネクタハウジング2A,2Bの一方の熱膨張による変位が小さい又は大きい場合にも対応することができる。
したがって、本発明の構成を採用することによって、上述の多極雌コネクタ1Aと多極雄コネクタ1Bを嵌合する際、上述のような場合にも柔軟に対応することができる。
【0143】
また、実施形態において、コネクタハウジング2A,2Bの幅方向を長手方向(X方向)に設定したが、例えばコネクタハウジング2A,2Bの高さ方向を長手方向に設定してもよい。
【0144】
つまり、実施形態の方向のみに配置が限定されるものではなく、例えば多極雌コネクタ1Aを構成する端子挿入孔3Aの端子挿入孔3Aa,3Abと雌型端子4Aの雌型端子4Aa,4Abとを、コネクタハウジング2Aの高さ方向を長手方向に設定して配置してもよい。
【0145】
また、多極雄コネクタ1Bにおける雄型端子5Bの雄型端子5Ba,5Bcを、上述と同様に、コネクタハウジング2Bの高さ方向を長手方向に設定して配置してもよい。
【0146】
さらにまた、コネクタハウジング2A,2Bの嵌合側の形状は、実施形態の矩形のみに限定されるものではなく、例えば丸形、三角形、四角形、五角形、六角形等の形状に形成してもよい。
【符号の説明】
【0147】
1…多極コネクタ
1A…多極雌コネクタ
2A…コネクタハウジング
2Aa…ロック部
3A,3Aa,3Ab…端子挿入孔
3Ac…ランス部
1B…多極雄コネクタ
2B…コネクタハウジング
2Ba…ロック孔
2Bb…フード部
4A,4Aa,4Ab…雌型端子
4Ac…接点部
4Bd…係止部
5B,5Ba,5Bb,5Bc…雄型端子
5Ca…一端側接続部
5Cb…他端側接続部
6…金属材料
6a,6b…端子部材
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば自動車、産業機器等の電気配線に用いられるワイヤーハーネス等の複数の電線同士を接続するために用いられる多極コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述のコネクタとしては、例えばコネクタの取付構造(特許文献1参照)と、コネクタ装置及び多極コネクタ装置(特許文献2参照)と、コンタクトおよびその製造方法(特許文献3参照)と、面実装用コネクタ(特許文献4参照)と、コネクタ(特許文献5参照)と、基板用コネクタおよび該基板用コネクタを用いた電気接続箱(特許文献6参照)とが提案されている。
【0003】
詳述すると、特許文献1のコネクタの取付構造は、端子ピンを、プリント基板とコネクタハウジングとの間に介在させ、該プリント基板と熱膨張係数が同一又は同等の中間基板の挿入孔に圧入する構造である。
【0004】
しかし、上述の構造では、プリント基板と中間基板の熱膨張を端子ピンで機械的に抑制するため、部品コストが高くなる。また、端子ピンを設けるための面積が必要であるため、小型化の要求に対して応えにくく、また、設計の自由度も低い。
【0005】
また、特許文献2のコネクタ装置及び多極コネクタ装置は、第1コネクタハウジング部が形成された第1コネクタ部を第1多極コネクタ部において幅方向に複数形成し、各第1コネクタハウジング部に雄接続端子をそれぞれ収容している。また、第2コネクタハウジング部が形成された第2コネクタ部を第2多極コネクタ部において幅方向に複数形成し、各第2コネクタハウジング部に雌接続端子をそれぞれ収容している。そして、第1多極コネクタ部の雄接続端子と第2多極コネクタ部の雌接続端子とを接続する構造である。
【0006】
しかし、上述の構造では、雄接続端子と雌接続端子との接点が接触する接触方向が、多極コネクタ部のコネクタ部を複数並設した方向(同文献2の図3参照)と平行であるため、コネクタ装置を高温の環境下で使用した場合、多極コネクタに生じるコネクタ部を複数並設した方向の熱膨張によって、雄接続端子と雌接続端子との接点が上述の方向へ微摺動しやすい。
【0007】
特許文献3のコンタクトおよびその製造方法は、電気コネクタの絶縁ハウジングにコンタクトが収容される収容室を多数形成し、該各収容室に捩り変形した部分の四隅を面取りしたコンタクトをそれぞれ収容して、電気コネクタのコンタクトに対して相手コンタクトを接続する構造である。
【0008】
しかし、上述の構造では、コンタクトと相手コンタクトとの接触方向が、絶縁ハウジングの収容室を複数並設した方向(同文献3の図1参照)と平行であるため、電気コネクタを高温の環境下で使用した場合、電気コネクタに生じる収容室を多数並設した方向の熱膨張によって、コンタクトと相手コンタクトとの接点が上述の方向へ微摺動しやすい。
【0009】
特許文献4の面実装用コネクタは、コネクタハウジングの底面に接続端子の一端が挿通及び保持される端子挿通孔を複数形成し、コネクタハウジングの内部に突出した接続端子の一端に相手方端子と接続される端子接続部を形成し、コネクタハウジングの外部に突出した接続端子の他端に回路基板と接続される基板接続部を形成した構造である。
【0010】
しかし、上述の構造では、接続端子と相手方端子との接触方向が、コネクタハウジングの端子挿通孔を複数配列した方向(同文献4の図1参照)と平行であるため、面実装用コネクタを高温の環境下で使用した場合、面実装用コネクタに生じる端子挿通孔を複数配列した方向の熱膨張によって、接続端子と相手方端子との接点が上述の方向へ微摺動しやすい。
【0011】
特許文献5のコネクタは、雌ハウジングの内部に端子金具が収容及び保持される端子収容室を複数形成し、該各端子収容室に、相手側電線(FPC)の相手側導体が接続される端子金具をそれぞれ収容した構造である。
【0012】
しかし、上述の構造では、端子金具と相手側電線との接触方向が、雌ハウジングの端子収容室を複数配列した方向(同文献5の図18参照)と平行であるため、コネクタを高温の環境下で使用した場合、コネクタに生じる端子収容室を複数配列したY方向の熱膨張によって、端子金具と相手側電線との接点が上述の方向へ微摺動しやすい。
【0013】
特許文献6の基板用コネクタおよび該基板用コネクタを用いた電気接続箱は、直角型の端子が直方体状の絶縁体の取り付け面に対して多数本埋め込み固定されたプラグと、該フラグに接続されるリセプタクルとからなる構造である。
【0014】
しかし、上述の構造では、基板コネクタを高温の環境下で使用した場合、プラグに生じる絶縁体の長手方向の熱膨張によって、端子とリセプタクルとの接点部が絶縁体の長手方向と平行する方向へ微摺動しやすい。
【0015】
上述のように、特許文献2〜6は、上述の微摺動による接点劣化が端子の接点部分に生じやすく、端子の接触部分に微摺動摩耗が発生するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平10−340764号公報
【特許文献2】特開2001−35589号公報
【特許文献3】特開平7−326417号公報
【特許文献4】特開2003−264018号公報
【特許文献5】特開2005−78842号公報
【特許文献6】特開2002−64921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
この発明は、温度変化が大きい環境下において使用した場合であっても、雌型端子と雄型端子との接触部分における微摺動摩耗の発生を防止できる多極コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明は、略矩形に形成したコネクタハウジングの長手方向に、雌型端子が収容される複数の端子挿入孔を、該コネクタハウジングの長手方向に対して所定間隔を隔てて配置した多極雌コネクタであって、前記各端子挿入孔に対して多極雄コネクタの雄型端子が接続される雌型端子をそれぞれ収容し、該雌型端子の接点部を、前記コネクタハウジングの長手方向に向けて形成した多極雌コネクタであることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、温度変化が大きい環境下において使用した場合であっても、雌型端子と雄型端子との接触部分における微摺動摩耗の発生を防止することができる。
詳述すると、上述の多極雌コネクタを、例えば高温の環境下で使用した場合、コネクタハウジングは熱の影響を受けて全体的に熱膨張するが、略矩形に形成したコネクタハウジングには、長手方向に生じる熱膨張による変位が大きくなる。
【0020】
したがって、多極雌コネクタの端子挿入孔に収容した雌型端子と、該雌型端子に接続される多極雄コネクタの雄型端子との接触面が、コネクタハウジングの長手方向と平行する場合、その接触部分に微摺動摩耗が発生する。
【0021】
上述の微摺動摩耗は、例えば多極雌コネクタのコネクタハウジングと、多極雄コネクタのコネクタハウジングとの熱膨張係数が異なることで発生する。
例えば雌側のコネクタハウジングと雄側のコネクタハウジングとを、それぞれ熱膨張係数の異なる樹脂材料で形成している場合、あるいは、熱膨張係数が同一の樹脂材料で形成していても構造が異なる場合、高温の環境下における熱膨張収縮時の変位量がそれぞれ異なるため、雌側のコネクタハウジングに配置した雌型端子と、雄側のコネクタハウジングに配置した雄型端子との接触部分に相対的な摺動が生じることになり、上述のような微摺動摩耗が発生する。
【0022】
しかし、本発明の多極雌コネクタによれば、多極雌コネクタの雌型端子に対して多極雄コネクタの雄型端子を接続した際、雌型端子が雄型端子に対してコネクタハウジングの長手方向に向けて接触される。
【0023】
これにより、コネクタハウジングが熱の影響を受けて熱膨張により長手方向に変位しても、多極雌コネクタの雌型端子が多極雄コネクタの雄型端子に対して押し付けられる方向に接触圧が強く働くことになる。
【0024】
この結果、雌型端子と雄型端子との接触部分における微摺動摩耗の発生を防止することができる。また、各端子を互いに接続された状態に保つことができるので、良好な接続状態が安定して得られる。
【0025】
この発明の態様として、前記コネクタハウジングの長手方向中央部に配置した端子挿入孔には、前記雌型端子を前記接点部が前記コネクタハウジングの短手方向を向くように配置し、前記コネクタハウジングの長手方向端部に配置した端子挿入孔には、前記雌型端子を前記接点部が前記コネクタハウジングの長手方向を向くように配置することができる。
【0026】
上述の多極雌コネクタによれば、コネクタハウジングの長手方向端部は、長手方向中央部に比べて熱膨張による変位が大きいので、長手方向端部の雌型端子を接点部がコネクタハウジングの長手方向に向くように配置すれば、該長手方向端部に配置した雌型端子と雄型端子との接触部分における微摺動摩耗の発生を防止することができる。
【0027】
また、コネクタハウジングの長手方向中央部は、長手方向端部に比べて熱膨張による変位が小さいので、雌型端子を接点部がコネクタハウジングの短手方向に向くように配置することができる。
【0028】
これにより、コネクタハウジングが熱の影響を受けて熱膨張により長手方向に変位した際、雌型端子が雄型端子に対して押し付けられる方向に接触圧が強く働くことになる。
この結果、コネクタハウジングの熱膨張による変位が大きい部分に配置した雌型端子と雄型端子との接触部分における微摺動摩耗の発生を防止することができる。
【0029】
また、この発明の態様として、前記端子挿入孔を、前記コネクタハウジングの長手方向中央部に設定した前記端子挿入孔を配列する中央列部と、該コネクタハウジングの長手方向中央部より端部側に設定した前記端子挿入孔を配列する端列部とに配置し、前記中央列部に配置した前記端子挿入孔に比べ、前記端列部に配置した前記端子挿入孔を長手方向に大きいサイズに設定することができる。
【0030】
上述の多極雌コネクタによれば、コネクタハウジングの長手方向端部は、長手方向中央部に比べて熱膨張による変位が大きいので、端列部に配置した端子挿入孔のサイズが小さいと、熱膨張によりコネクタハウジングの変位量が長手方向に累積して、端列部における変位量が大きくなると、端列部に配置した端子挿入孔に生じる長手方向の変位量が大きくなる。
したがって、端列部の端子挿入孔に収容した雌型端子と、該雌型端子に接続される雄型端子との間に生じる接点のずれが大きく、電気的接触不良が起きることがある。
【0031】
しかし、本発明の多極雌コネクタは、コネクタハウジングの中央列部に配置した端子挿入孔に比べて、サイズが大きい端子挿入孔をコネクタハウジングの端列部に配置している。つまり、熱膨張による変位量の累積によって、端列部における変位量が大きくなるが、累積的変位による影響を軽微にするため、端列部の端子挿入孔のサイズを大きくして、変位の許容量を中央列部の端子挿入孔に比べて大きくしている。
【0032】
これにより、長手方向端部の端子挿入孔に収容した雌型端子と、該雌型端子に接続される雄型端子との間に生じる接点のずれが小さく、雌型端子と雄型端子とを長手方向に向けて接触させた状態に保つことができる。
この結果、端子挿入孔に収容した雌型端子と、該雌型端子に接続される雄型端子との間に電気的接触不良が起きることを防止できる。
【0033】
なお、上述の端部とは、中央部を含まない例えば1列〜5列程度を指すものである。
また、コネクタハウジングにおける長手方向中央部の中央部とは、長手方向の1/4〜1/2で、かつ、長手方向の中心部から一方の方向にそれぞれ、1/8〜1/4の範囲を言う。
【0034】
また、この発明の態様として、前記中央列部に配置した前記端子挿入孔の配列数に比べ、前記端列部に配置した前記端子挿入孔の配列数を少なくなるように設定することができる。
【0035】
上述の多極雌コネクタによれば、コネクタハウジングの長手方向端部は、長手方向中央部に比べて熱膨張による変位が大きいので、端列部に配置した端子挿入孔の配置数を多くすると、多極雌コネクタの全体において、熱膨張により長手方向に変位する端子挿入孔の数が多くなる。
【0036】
したがって、長手方向端部の端子挿入孔に収容した雌型端子と、該雌型端子に接続される雄型端子との多数にて接点にずれが生じやすく、多数の箇所にて電気的接触不良が起きることがある。
【0037】
しかし、本発明の多極雌コネクタは、コネクタハウジングの中央列部に配置した端子挿入孔に比べ、端列部に配置した端子挿入孔の配列数を少なくしている。
つまり、コネクタハウジングの長手方向中央部は、長手方向端部に比べて熱膨張による変位が小さいので、中央列部に配置される端子挿入孔の配置数を多くすることにより、多極雌コネクタの全体において、熱膨張により長手方向に変位する端子挿入孔の数が少なくなる。
【0038】
この結果、端子挿入孔に収容した雌型端子と、該雌型端子に接続される雄型端子とを接触させた際、熱膨張により一部の端子挿入孔が長手方向に変位しても、多極雌コネクタの全体において接点にずれが生じる箇所が少ないので、所定の接点数を確保することができる。
【0039】
また、この発明の態様として、前記端子挿入孔を、前記コネクタハウジングの長手方向中央部に設定した前記端子挿入孔を配列する中央列部と、該コネクタハウジングの長手方向中央部より端部側に設定した前記端子挿入孔を配列する端列部とに配置し、前記中央列部に配置した前記端子挿入孔に比べ、前記端列部に配置した前記端子挿入孔を長手方向に大きいサイズに設定するとともに、前記中央列部に配置した前記端子挿入孔の配列数に比べ、前記端列部に配置した前記端子挿入孔の配列数を少なくなるように設定することができる。
【0040】
上述の多極雌コネクタによれば、コネクタハウジングの長手方向端部は、長手方向中央部に比べて熱膨張による変位が大きいので、端列部に配置した端子挿入孔のサイズが小さいと、熱膨張によりコネクタハウジングの変位量が長手方向に累積して、端列部における変位量が大きくなると、端列部に配置した端子挿入孔に生じる長手方向の変位量が大きくなる。
【0041】
また、端列部に配置した端子挿入孔の配置数を多くすると、多極雌コネクタの全体において、熱膨張により長手方向に変位する端子挿入孔の数が多くなるので、端列部の端子挿入孔に収容した雌型端子と、該雌型端子に接続される雄型端子との多数にて接点に大きなずれが生じやすく、電気的接触不良が起きることがある。
【0042】
しかし、本発明の多極雌コネクタは、コネクタハウジングの中央列部に配置した端子挿入孔に比べて、サイズが大きい端子挿入孔をコネクタハウジングの端列部に配置している。つまり、熱膨張による変位量の累積によって、端列部における変位量が大きくなるが、累積的変位の影響を軽微にするため、端列部の端子挿入孔のサイズを大きくして、変位の許容量を中央列部の端子挿入孔に比べて大きくしている。
【0043】
また、コネクタハウジングの長手方向中央部は、長手方向端部に比べて熱膨張による変位が小さいので、中央列部に配置される端子挿入孔の配置数を多くすることにより、多極雌コネクタの全体において、熱膨張により長手方向に変位する端子挿入孔の数が少なくなる。
【0044】
これにより、長手方向端部の端子挿入孔に収容した雌型端子と、該雌型端子に接続される雄型端子との間に生じる接点のずれが小さく、雌型端子と雄型端子とを長手方向に向けて接触させた状態に保つことができる。
【0045】
また、熱膨張により一部の端子挿入孔が長手方向に変位しても、多極雌コネクタの全体において接点にずれが生じる箇所が少ないので、所定の接点数を確保することができる。
この結果、端子挿入孔に収容した雌型端子と、該雌型端子に接続される雄型端子との間に電気的接触不良が起きることを防止できる。
【0046】
また、この発明の態様として、前記多極雌コネクタの前記多極雄コネクタと嵌合する嵌合側中央部に、該多極雄コネクタの嵌合側中央部に対して係止されるロック部を設けることができる。
【0047】
上述の多極雌コネクタによれば、多極雌コネクタと多極雄コネクタを互いに嵌合して、ロック部により各コネクタを互いに嵌合した状態に固定する。
これにより、多極雌コネクタの雌型端子と、多極雄コネクタの雄型端子との接続状態が維持される。
この結果、良好な接続状態を長期に亘り安定して得ることができる。
【0048】
また、ロック部を、多極雌コネクタの多極雄コネクタと嵌合する嵌合側中央部に設けることで、ロック部が熱膨張による影響を殆ど受けず、ロック部の位置が長手方向に変位しにくいため、多極雌コネクタの雌型端子と多極雄コネクタの雄型端子とを長手方向に向けて接触させた状態に確実に固定できる。
【0049】
また、この発明の態様として、前記端子挿入孔内に雌型端子を係止する可撓性のランス部を設け、該ランス部を前記コネクタハウジングの長手方向に向けて撓み可能に形成することができる。
【0050】
上述の多極雌コネクタによれば、雌型端子を端子挿入孔内の所定位置まで挿入した際、端子挿入孔内のランス部がコネクタハウジングの長手方向に向けて撓み、端子挿入孔内に挿入した雌型端子に対して長手方向に向けて係止される。
この結果、雌型端子を、端子挿入孔内の所定位置に対して確実に固定することができる。
【0051】
また、この発明は、前記多極雌コネクタに対して嵌合される多極雄コネクタであって、前記多極雌コネクタのコネクタハウジングに配置した雄型端子を、平板状の金属材料を打抜いてL字状に形成し、該雄型端子を略矩形に形成したコネクタハウジングの長手方向に対して所定間隔を隔てて配置した多極雄コネクタであることを特徴とする。
【0052】
上述の多極雄コネクタによれば、多極雄コネクタの雄型端子を多極雌コネクタの雌型端子に接続する際、雄型端子が雌型端子に対してコネクタハウジングの長手方向に向けて接続される。
この結果、例えば曲げ加工、捻り加工等の加工が不要であるため、製造工数を減らして、雄型端子を容易に製造することができる。
【0053】
また、この発明は、前記多極雌コネクタに対して嵌合される多極雄コネクタであって、前記多極雌コネクタのコネクタハウジングに配置した雄型端子を、平板状の金属材料を打抜いて形成した端子部材で構成し、該端子部材の一端側を周方向に対して略90度に捻り加工し、該端子部材の他端側を該一端側に対して略直角に折り曲げ加工し、該雄型端子を略矩形に形成したコネクタハウジングの長手方向に対して所定間隔を隔てて配置した多極雄コネクタであることを特徴とする。
【0054】
上述の多極雄コネクタによれば、雄型端子を、平板状の金属材料を捻り加工と曲げ加工して製造するので、雄型端子の捻り部分に加工硬化が加えられ、雄型端子の硬さが増すことになる。
この結果、雄型端子の連続的な振動や熱膨張収縮に対する耐久性が向上する。
【0055】
この発明の態様として、前記雄型端子を、前記コネクタハウジングの長手方向中央部に設定した前記雄型端子を配列する中央列部と、該コネクタハウジングの長手方向中央部より端部側に設定した前記雄型端子を配列する端列部とに配置し、前記中央列部に配置した前記雄型端子を、該雄型端子の接触面が該コネクタハウジングの短手方向を向くように配置し、前記端列部に配置した前記雄型端子を、該雄型端子の接触面が該コネクタハウジングの長手方向を向くように配置することができる。
【0056】
上述の多極雄コネクタによれば、コネクタハウジングの長手方向端部は、長手方向中央部に比べて熱膨張による変位が大きいので、端列部の雄型端子を接触面がコネクタハウジングの長手方向に向くように配置すれば、該端列部に配置した雄型端子と雌型端子との接触部分における微摺動摩耗の発生を防止することができる。
【0057】
また、コネクタハウジングの長手方向中央部は、長手方向端部に比べて熱膨張が小さいので、雄型端子を接触面がコネクタハウジングの短手方向に向くように配置することができる。
【0058】
これにより、コネクタハウジングが熱の影響を受けて熱膨張により長手方向に変位した際、雄型端子が雌型端子に対して押し付けられる方向に接触圧が強く働くことになる。
この結果、コネクタハウジングの熱膨張による変位が大きい部分に配置した雄型端子と雌型端子との接触部分における微摺動摩耗の発生を防止することができる。
【0059】
また、この発明は、多極雌コネクタと多極雄コネクタを嵌合させた多極コネクタ対であることを特徴とする。
上述の多極コネクタ対によれば、多極雌コネクタと多極雄コネクタとを対で互いに嵌合して、多極雌コネクタの雌型端子に対して多極雄コネクタの雄型端子を接続する際、雌型端子と雄型端子との接触面がコネクタハウジングの長手方向に向けて接続される。
【0060】
これにより、コネクタハウジングが熱の影響を受けて熱膨張により長手方向に変位した際、雌型端子と雄型端子とが互いに押し付けられる方向に接触圧が強く働くことになる。
この結果、雌型端子と雄型端子との接触部分における微摺動摩耗の発生を防止することができ、多極雌コネクタと多極雄コネクタとを対で良好な接続状態に接続することができる。
【発明の効果】
【0061】
この発明によれば、温度変化が大きい環境下において使用した場合であっても、多極雌コネクタの端子挿入孔に収容した雌型端子の接点部と、該接点部間に対して挟み込まれた雄型端子の一端側との接触部分における微摺動摩耗の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本実施形態の多極コネクタを雌雄のコネクタに分離した斜視図。
【図2】多極雌コネクタを嵌合側から見た斜視図。
【図3】多極雌コネクタを嵌合側から見た正面図。
【図4】多極雄コネクタを嵌合側から見た斜視図。
【図5】多極雄コネクタを嵌合側から見た正面図。
【図6】多極コネクタを嵌合側突合せ面に沿って切断した断面図。
【図7】図6のA−A線矢視断面図。
【図8】L字型の雄型端子と捻り型の雄型端子の斜視図。
【図9】図8の雄型端子を打抜く際の配置パターンの平面図。
【図10】従来型の一般的な雄型端子を挿入した多極コネクタの斜視図。
【図11】図10の雄型端子と雄型端子の接触部分の拡大斜視図。
【図12】図10の一般的な雄型端子の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0063】
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
図1は本実施形態の多極コネクタ1を多極雌コネクタ1Aと多極雄コネクタ1Bに分離した斜視図、図2は多極雌コネクタ1Aを嵌合側から見た斜視図、図3は多極雌コネクタ1Aを嵌合側から見た正面図、図4は多極雄コネクタ1Bを嵌合側から見た斜視図、図5は多極雄コネクタ1Bを嵌合側から見た正面図、図6は多極コネクタ1を嵌合側突合せ面に沿って切断した断面図、図7は図6のA−A線矢視断面図である。
【0064】
本実施形態の多極コネクタ1は、多極雌コネクタ1Aと多極雄コネクタ1Bとを対で嵌合する構成である(図1参照)。
多極雌コネクタ1Aは、図2、図3に示すように、絶縁性を有する合成樹脂にて正面から見て略矩形に形成したコネクタハウジング2Aと、該コネクタハウジング2Aの嵌合側内部に配置した雌型端子4Aが収容される複数の端子挿入孔3Aと、端子挿入孔3Aに収容した後述する多極雄コネクタ1Bの雄型端子5Bが接続される雌型端子4Aとで構成している。
【0065】
上述の略矩形とは、多極雌コネクタ1Aのコネクタハウジング2Aと、多極雄コネクタ1Bのコネクタハウジング2Bとを嵌合する方向(Z方向)と交差する嵌合側の形状である。
また、幅方向(X方向)に長く、高さ方向(Y方向)に短い幅広長方形であり、X方向を長手方向、Y方向を短手方向とする矩形の長手方向中央を中央部として、その両側における長手方向端部を端部としている。
なお、中央部は、コネクタハウジング2A,2Bにおける長手方向(X方向)の1/4〜1/2で、かつ、長手方向の中心部から一方の方向にそれぞれ、1/8〜1/4の範囲を言う。
【0066】
端子挿入孔3A(3Aa,3Ab)は、コネクタハウジング2Aの長手方向中央部に設定した中央列部CAと、その両側における長手方向端部に設定した端列部EAとに配置され、左右の端列部EAに配置したサイズが大きい端子挿入孔3Aaと、中央列部CAに配置したサイズが小さい端子挿入孔3Abとで構成している(図3参照)。
【0067】
また、雌型端子4Aは、端子挿入孔3Aaに収容されるサイズが大きい雌型端子4Aaと、端子挿入孔3Abに収容されるサイズが小さい雌型端子4Abとで構成している。
なお、上述の端子挿入孔3Aaは、端子挿入孔3Abに比べて、長手方向(X方向)及び短手方向(Y方向)の両方向に対して大きいサイズに設定している。
【0068】
端子挿入孔3Aa,3Abは、コネクタハウジング2Aの長手方向(X方向)及び短手方向(Y方向)に対して所定間隔を隔てて配置している。また、端子挿入孔3Aa,3Abは、コネクタハウジング2Aの前後方向(Z方向)に向けて平行して形成している。
なお、端子挿入孔3Aa,3Abは、コネクタハウジング2Aの嵌合側突合せ面の中央に仮想設定した1本の仮想中央線を基準として左右対称に配置している。
【0069】
上述のコネクタハウジング2Aの長手方向端部は、長手方向中央部に比べて熱膨張による変位が大きいので、左右の端列部EAに配置した端子挿入孔3Aaのサイズが小さいと、熱膨張によりコネクタハウジング2Aの変位量が長手方向に累積して、端列部EAにおける変位量が大きくなると、端列部EAに配置した端子挿入孔3Aaに生じる長手方向(X方向)の変位量が大きくなる。
【0070】
したがって、端列部EAの端子挿入孔3Aaに収容した雌型端子4Aaと、該雌型端子4Aaに接続される雄型端子5Baとの間に生じる接点のずれが大きく、電気的接触不良が起きることがある。
【0071】
しかし、本発明の多極雌コネクタ1Aは、コネクタハウジング2Aの中央列部CBに配置した端子挿入孔3Abに比べて、サイズが大きい端子挿入孔3Aaをコネクタハウジング2Aの左右の端列部EAにそれぞれ配置している。
つまり、熱膨張による変位量の累積によって、端列部における変位量が大きくなるが、累積的変位の影響を軽微にするため、端列部EAに配置した端子挿入孔3Aaのサイズを大きくして、端子挿入孔3Aaの変位の許容量を、中央列部CBの端子挿入孔3Abに比べて大きくしている。
【0072】
これにより、端列部EAの端子挿入孔3Aaに収容した雌型端子4Aaと、該雌型端子4Aaに接続される雄型端子5Baとの間に生じる接点のずれが小さく、雌型端子4Aaと雄型端子5Baとを長手方向(X方向)に向けて接触させた状態に保つことができる。
【0073】
この結果、端子挿入孔3Aa,3Abに収容した雌型端子4Aa,4Abと、該雌型端子4Aa,4Abに接続される雄型端子5Ba,5Bcとの間に電気的接触不良が起きることを防止できる。
【0074】
端子挿入孔3Aaは、コネクタハウジング2Aの長手方向端部に対して長手方向(X方向)と平行して2個を並列配置するとともに、2個を一組として短手方向(Y方向)に対して3組配置している。また、端子挿入孔3Aaと対応する大サイズの雌型端子4Aaの収容が許容される大きさ及び形状に形成している。
【0075】
端子挿入孔3Abは、コネクタハウジング2Aの長手方向中央部に対して長手方向(X方向)と平行して3個を並列配置するとともに、3個を一組として短手方向(Y方向)に対して3組配置している。また、端子挿入孔3Abと対応する小サイズの雌型端子4Abの収容が許容される大きさ及び形状に形成している。
すなわち、コネクタハウジング2Aの中央列部CAに配置した端子挿入孔3Abの配列数は、左右のいずれか一方の端列部EAに配置した端子挿入孔3Aaの配列数よりも多くしている。
【0076】
上述のコネクタハウジング2Aの長手方向端部は、長手方向中央部に比べて熱膨張による変位が大きいので、左右の端列部EAに配置した端子挿入孔3Aaの配置数を多くすると、多極雌コネクタ1Aの全体において、熱膨張により長手方向に変位する端子挿入孔3Aaの数が多くなる。
【0077】
したがって、端子挿入孔3Aaに収容した雌型端子4Aaと、該雌型端子4Aaに接続される雄型端子5Baとの多数にて接点にずれが生じやすく、多数の箇所にて電気的接触不良が起きることがある。
【0078】
しかし、本発明の多極雌コネクタ1Aは、コネクタハウジング2Aの中央列部CAに配置した端子挿入孔3Abに比べて、端列部EAに配置した端子挿入孔3Aaの配列数を少なくしている。
【0079】
つまり、コネクタハウジング2Aの長手方向中央部は、長手方向端部に比べて熱膨張による変位が小さいので、中央列部CAに配置される端子挿入孔3Abの配置数を多くすることにより、多極雌コネクタ1Aの全体において、熱膨張により長手方向に変位する端子挿入孔3Aaの数が少なくなる。
【0080】
この結果、端子挿入孔3Aa,3Abに収容した雌型端子4Aa,4Abと、該雌型端子4Aa,4Abに接続される雄型端子5Ba,5Bcとを接触させた際、熱膨張により一部の端子挿入孔3Aaが長手方向に変位しても、多極雌コネクタ1Aの全体において接点にずれが生じる箇所が少ないので、所定の接点数を確保することができる。
【0081】
端子挿入孔3Aaには、後述する雄型端子5BのL字型雄型端子5Ba又は捻り型雄型端子5Bbのいずれか一方が接続される雌型端子4Aaを収容している。また、雌型端子4Aaの雄型端子5Baと接触する接点部4Acは、該接点部4Acの接触面がコネクタハウジング2Aの長手方向(X方向)を向くように形成している(図3のa部拡大図参照)。
つまり、雌型端子4Aaと雄型端子5Baとの接触方向が長手方向(X方向)を向くように形成している。
【0082】
端子挿入孔3Abには、直方体に形成した針棒状の雄型端子5Bcが接続される雌型端子4Abを収容している。また、雌型端子4Abの雄型端子5Bcと接触する接点部4Acは、該接点部4Acの接触面がコネクタハウジング2Aの短手方向(Y方向)を向くように形成している(図3のb部拡大図参照)。
つまり、雌型端子4Abと雄型端子5Bcの接触方向が短手方向(Y方向)を向くように形成している。
また、上述の雌型端子4Aa,4Abの接点部4Acは、後述する雄型端子5Ba,5Bcと接触する部分に設定している。
【0083】
端子挿入孔3Aa,3Ab内には、図7に示すように、雌型端子4Aa,4Abに形成した係止部4Bdに対して係止されるランス部3Acを設けている。また、ランス部3Acは、コネクタハウジング2Aの長手方向(X方向)に向けて撓み可能に形成している。
【0084】
すなわち、ランス部3Acは、雌型端子4Aaが端子挿入孔3Aaに対して所定位置まで挿入された際、端子挿入孔3Aaに挿入した雌型端子4Aaの係止部4Bdに対して長手方向(X方向)に向けて係止される。
【0085】
これにより、雌型端子4Aaが端子挿入孔3Aa内の所定位置に固定される。また、上述と同様に、図示しないランス部3Acと係止部4Bdの係止によって、雌型端子4Abも端子挿入孔3Ab内の所定位置に固定される。
この結果、雌型端子4Aa,4Abを、端子挿入孔3Aa,3Ab内の所定位置に固定することができる。
【0086】
多極雄コネクタ1Bは、図4、図5に示すように、絶縁性を有する合成樹脂にて正面から見て略矩形に形成したコネクタハウジング2Bと、該コネクタハウジング2Bの嵌合側突合せ面に配置した上述の雌型端子4Aに接続される雄型端子5Bとで構成している。
【0087】
雄型端子5B(5Ba,5Bb,5Bc)は、雌型端子4Aaに対して接続が許容される大きさ及び形状に形成したL字型の雄型端子5Baと捻り型の雄型端子5Bbと、雌型端子4Abに対して接続が許容される大きさ及び形状に形成した針棒状の雄型端子5Bcとで構成している(図8参照)。
【0088】
実施形態では、上述の雄型端子5Baを、コネクタハウジング2Bの両長手方向端部に設定した端列部EBにそれぞれ配置し、雄型端子5Bcを、長手方向中央部に設定した中央列部CBに配置している(図5参照)。
【0089】
雄型端子5Ba,5Bcは、上述のコネクタハウジング2Aを嵌合するコネクタハウジング2Bの嵌合側外周部に形成したフード部2Bb内に、コネクタハウジング2Aに配置した雌型端子4Aa,4Abと対応して所定間隔を隔てて配置している。
また、雄型端子5Ba,5Bcは、コネクタハウジング2Bの前後方向(Z方向)に向けて平行して挿入している。
【0090】
すなわち、雄型端子5Baは、コネクタハウジング2Bの両長手方向端部に配置され、上述の雌型端子4Aaと対応してコネクタハウジング2Bの長手方向(X方向)及び短手方向(Y方向)に対して所定間隔を隔てて配置している。
【0091】
また、雄型端子5Bcは、コネクタハウジング2Bの長手方向中央部に配置され、上述の雌型端子4Abと対応してコネクタハウジング2Bの長手方向(X方向)及び短手方向(Y方向)に対して所定間隔を隔てて配置している。
なお、雄型端子5Ba,5Bcは、コネクタハウジング2Bの嵌合側突合せ面の中央に仮想設定した1本の仮想中央線を基準として左右対称に配置している。
【0092】
雄型端子5Ba,5Bcの一端側接続部5Caは、フード部2Bb内においてコネクタハウジング2Bの嵌合側突合せ面より前方に向けて所定長さ突出している。また、雄型端子5Ba,5Bcの他端側接続部5Cbは、コネクタハウジング2Bの後端面より後方に突出して、回路基板(図示せず)の端子挿通孔に対して挿入される方向に向けて垂直に折曲げている。
【0093】
さらに、雄型端子5Baの接続部5Caは、該接続部5Caの接触面がコネクタハウジング2Bの長手方向(X方向)を向くように形成している。また、雄型端子5Bcの接続部5Caは、該接続部5Caの接触面がコネクタハウジング2Bの短手方向(Y方向)を向くように形成している(図5参照)。
【0094】
次に、多極雌コネクタ1Aと多極雄コネクタ1Bを嵌合する構造について説明する。
多極雌コネクタ1Aの多極雄コネクタ1Bと嵌合する嵌合側中央部、すなわち、コネクタハウジング2Aのコネクタハウジング2Bと嵌合する嵌合側外周部の上縁側中央部には、該コネクタハウジング2Bの嵌合側外周部の上縁側中央部に形成したロック孔2Baに対して係止されるロック部2Aaを設けている。
また、ロック部2Aaは、コネクタハウジング2Aの短手方向(Y方向)に向けて撓み可能に形成している。
【0095】
フード部2Bbは、コネクタハウジング2Bの嵌合側外周部に沿って筒状に形成され、コネクタハウジング2Aの嵌合側外周部に対して嵌合される大きさ及び形状に形成している。
また、フード部2Bbの上縁側中央部には、コネクタハウジング2Aのロック部2Aaが係止されるロック孔2Baを設けている。
【0096】
すなわち、コネクタハウジング2Aのロック部2Aaは、コネクタハウジング2Aとコネクタハウジング2Bを互いに嵌合して、雌型端子4Aに対して雄型端子5Bを接続した際、コネクタハウジング2Bのロック孔2Baに対して短手方向(Y方向)に向けて係止される。
【0097】
これにより、多極雌コネクタ1Aと多極雄コネクタ1Bが互いに嵌合した状態に固定され、コネクタハウジング2Aの雌型端子4Aとコネクタハウジング2Bの雄型端子5Bが接続した状態に維持される。
【0098】
また、ロック部2Aaを、コネクタハウジング2Aの嵌合側外周部の上縁側中央部に設け、ロック孔2Baを、コネクタハウジング2Bの嵌合側外周部の上縁側中央部に設けている。
【0099】
これにより、ロック部2Aa及びロック孔2Baがコネクタハウジング2A,2Bの熱膨張による影響を殆ど受けず、ロック部2Aa及びロック孔2Baの位置が変位しにくいため、多極雌コネクタ1Aの雌型端子4Aと多極雄コネクタ1Bの雄型端子5Bとを長手方向(X方向)に向けて接触させた状態に確実に固定できる。
【0100】
次に、上述の雄型端子5Ba,5Bbを、平板状の金属材料6(例えばめっき条材)を打抜いて製造する方法を説明する。図8の(a)、(b)はL字型の雄型端子5Baと捻り型の雄型端子5Bbの斜視図、図9の(a)、(b)は雄型端子5Ba.5Bbを打抜く際の配置パターンの平面図である。
【0101】
L字型の雄型端子5Baは、図9の(a)に示すように、金属材料6を同一方向に向きを揃えた配置パターン(図中仮想線で示すパターン)で厚み方向に打抜いて、L字状の端子部材6aを分離する。分離後、L字状の端子部材6aに例えば切削、面取り等の加工を施して、図8の(a)に示すL字型の雄型端子5Baに形成している。
【0102】
雄型端子5Baの一端側には、雌型端子4Aaの接点部4Ac間に対して挟み込まれる一端側接続部5Caを、該一端側接続部5Caの接触面がコネクタハウジング2Bの長手方向(X方向)を向くように形成している。
また、雄型端子5Baの他端側には、回路基板(図示せず)の端子挿通孔に対して挿通される二又形状の他端側接続部5Cbを形成している。
【0103】
捻り型の雄型端子5Bbは、図9の(b)に示すように、平板状の金属材料6を同一方向に向きを揃えた配置パターン(図中仮想線で示すパターン)で厚み方向に打抜いて、I字状の端子部材6bを分離する。
【0104】
分離後、I字状の端子部材6bに例えば切削、面取り等の加工を施してから、端子部材6bの一端側を、該端子部材6bの前後方向(Z方向)と平行する軸中心線Wを中心として周方向へ略90度捻り加工し、端子部材6bの他端側を、一端側に対して垂直方向に向けて略直角(L字状に)に折り曲げ加工して、図8の(b)に示す捻り型の雄型端子5Bbに形成している。
【0105】
雄型端子5Bbの一端側には、雌型端子4Abの接点部4Ac間に対して挟み込まれる一端側接続部5Caを、該一端側接続部5Caの接触面がコネクタハウジング2Bの長手方向(X方向)を向くように形成している。
また、雄型端子5Bbの他端側には、回路基板の端子挿通孔に対して挿通される他端側接続部5Cbをそれぞれ形成している。
【0106】
上述の雄型端子5Ba,5Bbは、平板状の金属材料6を上述の配置パターンで打抜いて製造するので、金属材料6から無駄なく連続して多数作り出すことができる。これにより、材料の損失が少なくなるので、製造コストの低減を図ることができる。
【0107】
また、雄型端子5Baは、図9の(a)に示す金属材料6を平面的に打抜いて製造するので、多極雌コネクタ1Aの端子挿入孔3Aaに収容された雌型端子4Aaに挿入した際、雄型端子5Baの一端側接続部5Caを、該一端側接続部5Caの接触面がコネクタハウジング2Bの長手方向(X方向)に向けられたまま挿入して、雌型端子4Aaの接点部4Acに接続することができる。
つまり、例えば曲げ加工、捻り加工等の加工が不要であるため、製造工数を減らして、L字型の雄型端子5Baを容易に製造することができる。
【0108】
また、雄型端子5Bbは、図9の(b)に示すパターンで金属材料6を平面的に打抜いて分離した後、その分離した端子部材6bの一端側を捻り加工し、他端側をL字状に折り曲げ加工して製造する。
【0109】
捻り加工時において、雄型端子5Bbの捻り部分に加工硬化(金属に応力を与えると塑性変形によって硬さが増す現象)が加えられることによって、雄型端子5Bbの硬さが増すことになるので、連続的な振動や熱膨張収縮に対する耐久性が向上する。
【0110】
針棒状の雄型端子5Bcは、直方体に形成した針棒状の端子部材(図示せず)をL字状に折り曲げて形成している。
なお、雄型端子5Bcは、図12に示す雄型端子500と略同一の大きさ及び形状を有しているので、詳細な説明を省略する。
【0111】
雄型端子5Bcの一端側には、雌型端子4Abの接点部4Ac間に対して挟み込まれる一端側接続部5Daを、該一端側接続部5Daの接触面がコネクタハウジング2Bの短手方向(Y方向)を向くように形成している。また、他端側には、回路基板(図示せず)の端子挿通孔に対して挿通される他端側接続部5Dbを形成している(図1、図2参照)。
【0112】
一端側接続部5Daは、雌型端子4Abの接点部4Ac間に対して挟み込みが許容される形状に形成している。また、他端側接続部5Dbは、回路基板の端子挿通孔に対して挿通が許容される形状に形成している。
【0113】
次に、上述の多極コネクタ1において、多極雌コネクタ1Aの雌型端子4Aと、多極雄コネクタ1Bの雄型端子5Bとの接続方法を説明する。
先ず、多極雌コネクタ1Aのコネクタハウジング2Aと多極雄コネクタ1Bのコネクタハウジング2Bを互いに嵌合して、雌型端子4A(4Aa,4Ab)に対して雄型端子5B(5Ba,5Bc)を挿入して接続する。
【0114】
また、コネクタハウジング2Bのフード部2Bbを、コネクタハウジング2Aの嵌合側外周部に嵌合して、コネクタハウジング2Aのロック部2Aaを、コネクタハウジング2Bのロック孔2Baに対して短手方向(Y方向)に向けて係止する。
【0115】
これにより、多極雌コネクタ1Aと多極雄コネクタ1Bを互いに嵌合した状態に固定するとともに、雌型端子4Aa,4Abと雄型端子5Ba,5Bcとの接続状態を維持する。
【0116】
また、雌型端子4A(4Aa,4Ab)に対して雄型端子5B(5Ba,5Bc)を接続する際、図1、図6に示すように、コネクタハウジング2Aの端子挿入孔3Aaに収容した雌型端子4Aaの接点部4Ac間には、コネクタハウジング2Bの雄型端子5Baの一端側接続部5Caを、該一端側接続部5Caの接触面がコネクタハウジング2Aの長手方向(X方向)を向くようにして前方から挟み込む。
【0117】
コネクタハウジング2Aの端子挿入孔3Abに収容した雌型端子4Abの接点部4Ac間には、コネクタハウジング2Bの雄型端子5Bcの一端側接続部5Caを、該一端側接続部5Caの接触面がコネクタハウジング2Aの短手方向(Y方向)を向くようにして前方から挟み込む。
【0118】
上述のように、雌型端子4Aaの接点部4Ac間に対して雄型端子5Baの一端側接続部5Caを挟み込んだ際、雌型端子4Aaの接点部4Acと、該接点部4Ac間に挟み込まれた雄型端子5Baの一端側接続部5Caとがコネクタハウジング2Aの長手方向(X方向)に向けて接触する。
【0119】
上述の多極コネクタ1を高温の環境下で使用した場合、多極雌コネクタ1Aと多極雄コネクタ1Bの樹脂部分、すなわち、熱膨張係数の異なる樹脂材料で形成したコネクタハウジング2A,2Bが熱の影響を受けて長手方向(X方向)及び短手方向(Y方向)に熱膨張するが、X方向及びY方向の熱膨張係数差によって、コネクタハウジング2A,2Bの膨張度、あるいは収縮度に差が生じる(特に図6のX方向)。
【0120】
上述の熱膨張による影響は、コネクタハウジング2Aの端子挿入孔3Aa内に収容した雌型端子4Aa,4Abと、その雌型端子4Aa,4Abに挿入接続したコネクタハウジング2Bの雄型端子5Ba,5Bcに及びやすい。
【0121】
また、熱膨張係数が同一の樹脂材料であっても、コネクタハウジング2A,2Bの一方が熱による影響を積極的に受けるような場合、あるいは、熱膨張係数が同一の樹脂材料で形成していても構造が異なる場合、上述と同様に、熱膨張による影響が雌型端子4Aa,4Abと雄型端子5Ba,5Bcに及ぶことになる。
【0122】
次に、本発明の多極コネクタ1と従来型の多極コネクタ100とを比較した場合、例えば図10に示す従来型の多極コネクタ100は、図12に示す一般的な雄型端子500を雌型端子400に接続する構成である。
上述の多極コネクタ100は、多極雌コネクタ100Aのコネクタハウジング200Aと多極雄コネクタ100Bのコネクタハウジング200Bを互いに嵌合して、コネクタハウジング200Aの端子挿入孔300に収容した雌型端子400に、コネクタハウジング200Bに固定した雄型端子500を接続する(図10のa部拡大図参照)。
【0123】
しかし、コネクタハウジング200Aの端子挿入孔300に収容した雌型端子400の接点部410と、該接点部410a間に挟み込まれた雄型端子500の一端側接続部510aとの接触面がコネクタハウジング200Aの短手方向(Y方向)に向いている。
【0124】
すなわち、コネクタハウジング200Aが熱の影響を受けて長手方向(X方向)に熱膨張した際、雌型端子400の接点部410aと雄型端子500の一端側接続部510aとの接点が長手方向(X方向)にずれやすい。
このため、図11に示す雌型端子400の接点部410aと雄型端子500の一端側接続部510aとの間に微摺動摩耗が発生しやすい。
【0125】
なお、雄型端子500は、図12に示すように、直方体に形成した針棒状の端子部材(図示せず)をL字状に折り曲げて形成している。
しかし、本発明の多極コネクタ1は、図2に示すように、多極雄コネクタ1Bのコネクタハウジング2Bに配置したL字型を有する雄型端子5Baの一端側接続部5Caを、多極雌コネクタ1Aのコネクタハウジング2Aに配置した雌型端子4Aaの接点部4Ac間に対して該コネクタハウジング2Aの長手方向(X方向)に向けて挟み込み、通電可能に接続する。
【0126】
上述のような多極雌コネクタ1Aを実現するために、図8の(a)に示すL字型の雄型端子5Ba、或いは、同図の(b)に示す捻り型の雄型端子5Bbを用いることによって、図1〜図3に示すような多極雌コネクタ1Aを得ることができる。
【0127】
すなわち、熱膨張収縮時に発生するコネクタハウジング2A,2Bの長手方向(X方向)の熱膨張収縮差によるずれを、雌型端子4Aaの接点部4Acと雄型端子5Ba,5Bbの一端側接続部5Caとの接触方向にかかる力として吸収するので、相互の接触部分における微摺動摩耗の発生を防止することができる。
【0128】
次に、本発明の雄型端子5Ba,5Bbの性能を検証するために行った温度サイクル試験について説明する。
本試験では、本発明の雄型端子5Ba,5Bbを備えた試験品1〜8と、従来例の雄型端子500を備えた比較品1〜4とを製作する。
【0129】
試験品1〜4は、図1に示す多極雌コネクタ1Aの端子挿入孔3Aaに挿入したL字型の雄型端子5Baである。
試験品5〜8は、図6に示す多極雌コネクタ1Aの端子挿入孔3Aaに挿入した捻り型の雄型端子5Bbである。
比較品1〜4は、図10に示す多極雌コネクタ100Aの端子挿入孔300に挿入した雄型端子500である。
【0130】
上述の試験品1〜4の雄型端子5Baが挿入された多極雌コネクタ1Aと、試験品5〜8の雄型端子5Bbが挿入された多極雌コネクタ1Aと、比較品1〜4の雄型端子500が挿入された多極雌コネクタ100Aとを、120℃×30分から−45℃×30分までの温度サイクル試験にかけて、1000サイクル後に、常温で放置し、これら多極雌コネクタ1Aの端子挿入孔3Aaに挿入した試験品1〜8と、多極雌コネクタ100Aの端子挿入孔300に挿入した比較品1〜4の中から選択した端子の接触抵抗を測定した。
【0131】
なお、表1に示す接触方向は、図6に示すコネクタハウジング2Aの長手方向(X方向)と同一である。
また、雄型端子5Bの型は、図8の(a)、(b)に示すL字型の雄型端子5Baと捻り型の雄型端子5Bbである。
上述の試験で得られた試験結果を、下記の表1に示す。
【0132】
【表1】
表1より明らかなように、試験品1〜8の雄型端子5Ba,5Bbの接触抵抗「○」は3mΩ以下であるが、比較品1の雄型端子500の接触抵抗「△」は3mΩ以上〜10mΩ以下で、比較品2〜4の雄型端子500の接触抵抗「×」は10mΩ以上である。
【0133】
上述のように、端子挿入孔3Aaに収容した雌型端子4Aaの接点部4Acを、該接点部4Acの接触面がコネクタハウジング2Aの長手方向(X方向)を向くように設けているので、多極雄コネクタ1Bの雄型端子5Ba,5Bbの一端側接続部5Caを、該一端側接続部5Caの接触面がコネクタハウジング2Aの長手方向(X方向)を向くようにして、多極雌コネクタ1Aの雌型端子4Aaの接点部4Ac間に挟み込むことにより、下記のような効果を奏することができる。
【0134】
すなわち、高温の環境下において使用した場合、多極雌コネクタ1Aのコネクタハウジング2Aと、多極雄コネクタ1Bのコネクタハウジング2Bが熱の影響を受けて長手方向(X方向)に膨張しても、雌型端子4Aaの接点部4Acと、雄型端子5Ba,5Bbの一端側接続部5Caとの接触部分が押し付けられる方向に接触圧が強く働くだけである。
【0135】
したがって、コネクタハウジング2A,2Bが熱膨張係数の異なる樹脂材料で形成されていても、雌型端子4Aaと雄型端子5Ba,5Bbとの接触部分に、熱膨張収縮による微摺動摩耗が発生することを防止できる。
【0136】
また、雌型端子4Aaと雄型端子5Ba又は5Bbに付与される接触荷重を低減することができるので、例えば多極雌コネクタ1A、多極雄コネクタ1B等のコネクタ同士を嵌合する際の嵌合力を低めに抑えることができる。
これにより、多極雌コネクタ1Aのコネクタハウジング2Aを長手方向(X方向)に対しさらに横長形状に形成することが可能となり、設計の自由度を上げることができる。
【0137】
この発明の構成と、前記実施形態との対応において、
この発明の長手方向は、実施形態のX方向に対応し、
以下同様に、
短手方向は、Y方向に対応し、
雌型端子は、雌型端子4A(4Aa,4Ab)に対応し、
雄型端子は、雄型端子5B(5Ba,5Bb,5Bc)に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
【0138】
前記実施形態では、大小の雌型端子4Aa,4Abを配置した多極雌コネクタ1Aと、雄型端子5Ba,5Bcを配置した多極雄コネクタ1Bとについて説明したが、本発明の構成は、端子挿入孔3Aaのみを配置した多極雌コネクタ1A及び雄型端子5Baを配置した多極雄コネクタ1Bにも適用することができる。
【0139】
また、多極雌コネクタ1Aの雌型端子4Abと多極雄コネクタ1Bの雄型端子5Bcを、該端子4Ab,5Bcの接触面がコネクタハウジング2A,2Bの長手方向(X方向)を向くように配置してもよい。
【0140】
多極雌コネクタ1Aのサイズが小さい場合、針棒状の雄型端子5Bcが主として用いられる。また、多極雌コネクタ1Aのサイズが大きい場合、平板状の雄型端子5Baが主として用いられる。
【0141】
また、雄型端子5Ba,5Bb,5Bcと、雌型端子4Aa,4Abを組み合わせて一つの多極コネクタ1として使用してもよい。
なお、雌型端子4Aと雄型端子5Bとを併用する場合、サイズが大きい平板状の雄型端子5Bを、多極雌コネクタ1Aの一側端部或いは両側端部に配置することが多い。
【0142】
また、本発明の構成は、上述の多極雌コネクタ1Aのコネクタハウジング2Aの熱膨張に対して有効なだけでなく、例えばコネクタハウジング2A,2Bのいずれか一方が長手方向(X方向)に熱膨張しない場合、あるいは、コネクタハウジング2A,2Bの一方の熱膨張による変位が小さい又は大きい場合にも対応することができる。
したがって、本発明の構成を採用することによって、上述の多極雌コネクタ1Aと多極雄コネクタ1Bを嵌合する際、上述のような場合にも柔軟に対応することができる。
【0143】
また、実施形態において、コネクタハウジング2A,2Bの幅方向を長手方向(X方向)に設定したが、例えばコネクタハウジング2A,2Bの高さ方向を長手方向に設定してもよい。
【0144】
つまり、実施形態の方向のみに配置が限定されるものではなく、例えば多極雌コネクタ1Aを構成する端子挿入孔3Aの端子挿入孔3Aa,3Abと雌型端子4Aの雌型端子4Aa,4Abとを、コネクタハウジング2Aの高さ方向を長手方向に設定して配置してもよい。
【0145】
また、多極雄コネクタ1Bにおける雄型端子5Bの雄型端子5Ba,5Bcを、上述と同様に、コネクタハウジング2Bの高さ方向を長手方向に設定して配置してもよい。
【0146】
さらにまた、コネクタハウジング2A,2Bの嵌合側の形状は、実施形態の矩形のみに限定されるものではなく、例えば丸形、三角形、四角形、五角形、六角形等の形状に形成してもよい。
【符号の説明】
【0147】
1…多極コネクタ
1A…多極雌コネクタ
2A…コネクタハウジング
2Aa…ロック部
3A,3Aa,3Ab…端子挿入孔
3Ac…ランス部
1B…多極雄コネクタ
2B…コネクタハウジング
2Ba…ロック孔
2Bb…フード部
4A,4Aa,4Ab…雌型端子
4Ac…接点部
4Bd…係止部
5B,5Ba,5Bb,5Bc…雄型端子
5Ca…一端側接続部
5Cb…他端側接続部
6…金属材料
6a,6b…端子部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形に形成したコネクタハウジングの長手方向に、雌型端子が収容される複数の端子挿入孔を、該コネクタハウジングの長手方向に対して所定間隔を隔てて配置した多極雌コネクタであって、
前記各端子挿入孔に対して多極雄コネクタの雄型端子が接続される雌型端子をそれぞれ収容し、
該雌型端子の接点部を、前記コネクタハウジングの長手方向に向けて形成した
多極雌コネクタ。
【請求項2】
前記コネクタハウジングの長手方向中央部に配置した端子挿入孔には、前記雌型端子を前記接点部が前記コネクタハウジングの短手方向を向くように配置し、
前記コネクタハウジングの長手方向端部に配置した端子挿入孔には、前記雌型端子を前記接点部が前記コネクタハウジングの長手方向を向くように配置した
請求項1に記載の多極雌コネクタ。
【請求項3】
前記端子挿入孔を、
前記コネクタハウジングの長手方向中央部に設定した前記端子挿入孔を配列する中央列部と、該コネクタハウジングの長手方向中央部より端部側に設定した前記端子挿入孔を配列する端列部とに配置し、
前記中央列部に配置した前記端子挿入孔に比べ、前記端列部に配置した前記端子挿入孔を長手方向に大きいサイズに設定した
請求項1又は2に記載の多極雌コネクタ。
【請求項4】
前記端子挿入孔を、
前記コネクタハウジングの長手方向中央部に設定した前記端子挿入孔を配列する中央列部と、該コネクタハウジングの長手方向中央部より端部側に設定した前記端子挿入孔を配列する端列部とに配置し、
前記中央列部に配置した前記端子挿入孔の配列数に比べ、前記端列部に配置した前記端子挿入孔の配列数を少なくなるように設定した
請求項1又は2に記載の多極雌コネクタ。
【請求項5】
前記端子挿入孔を、
前記コネクタハウジングの長手方向中央部に設定した前記端子挿入孔を配列する中央列部と、該コネクタハウジングの長手方向中央部より端部側に設定した前記端子挿入孔を配列する端列部とに配置し、
前記中央列部に配置した前記端子挿入孔に比べ、前記端列部に配置した前記端子挿入孔を長手方向に大きいサイズに設定するとともに、
前記中央列部に配置した前記端子挿入孔の配列数に比べ、前記端列部に配置した前記端子挿入孔の配列数を少なくなるように設定した
請求項1又は2に記載の多極雌コネクタ。
【請求項6】
前記多極雌コネクタの前記多極雄コネクタと嵌合する嵌合側中央部に、該多極雄コネクタの嵌合側中央部に対して係止されるロック部を設けた
請求項1〜5のいずれか1項に記載の多極雌コネクタ。
【請求項7】
前記端子挿入孔内に雌型端子を係止する可撓性のランス部を設け、該ランス部を前記コネクタハウジングの長手方向に向けて撓み可能に形成した
請求項1〜6のいずれか1項に記載の多極雌コネクタ。
【請求項8】
前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の多極雌コネクタに対して嵌合される多極雄コネクタであって、
前記多極雄コネクタのコネクタハウジングに配置した雄型端子を、平板状の金属材料を打抜いてL字状に形成し、
該雄型端子を略矩形に形成したコネクタハウジングの長手方向に対して所定間隔を隔てて配置した
多極雄コネクタ。
【請求項9】
前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の多極雌コネクタに対して嵌合される多極雄コネクタであって、
前記多極雄コネクタのコネクタハウジングに配置した雄型端子を、平板状の金属材料を打抜いて形成した端子部材で構成し、
該端子部材の一端側を周方向に対して略90度に捻り加工し、該端子部材の他端側を該一端側に対して略直角に折り曲げ加工し、
該雄型端子を略矩形に形成したコネクタハウジングの長手方向に対して所定間隔を隔てて配置した
多極雄コネクタ。
【請求項10】
前記雄型端子を、
前記コネクタハウジングの長手方向中央部に設定した前記雄型端子を配列する中央列部と、該コネクタハウジングの長手方向中央部より端部側に設定した前記雄型端子を配列する端列部とに配置し、
前記中央列部に配置した前記雄型端子を、該雄型端子の接触面が該コネクタハウジングの短手方向を向くように配置し、
前記端列部に配置した前記雄型端子を、該雄型端子の接触面が該コネクタハウジングの長手方向を向くように配置した
請求項8又は9に記載の多極雄コネクタ。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の多極雌コネクタと、請求項8〜10のいずれか1項に記載の多極雄コネクタを嵌合させた多極コネクタ対。
【請求項1】
略矩形に形成したコネクタハウジングの長手方向に、雌型端子が収容される複数の端子挿入孔を、該コネクタハウジングの長手方向に対して所定間隔を隔てて配置した多極雌コネクタであって、
前記各端子挿入孔に対して多極雄コネクタの雄型端子が接続される雌型端子をそれぞれ収容し、
該雌型端子の接点部を、前記コネクタハウジングの長手方向に向けて形成した
多極雌コネクタ。
【請求項2】
前記コネクタハウジングの長手方向中央部に配置した端子挿入孔には、前記雌型端子を前記接点部が前記コネクタハウジングの短手方向を向くように配置し、
前記コネクタハウジングの長手方向端部に配置した端子挿入孔には、前記雌型端子を前記接点部が前記コネクタハウジングの長手方向を向くように配置した
請求項1に記載の多極雌コネクタ。
【請求項3】
前記端子挿入孔を、
前記コネクタハウジングの長手方向中央部に設定した前記端子挿入孔を配列する中央列部と、該コネクタハウジングの長手方向中央部より端部側に設定した前記端子挿入孔を配列する端列部とに配置し、
前記中央列部に配置した前記端子挿入孔に比べ、前記端列部に配置した前記端子挿入孔を長手方向に大きいサイズに設定した
請求項1又は2に記載の多極雌コネクタ。
【請求項4】
前記端子挿入孔を、
前記コネクタハウジングの長手方向中央部に設定した前記端子挿入孔を配列する中央列部と、該コネクタハウジングの長手方向中央部より端部側に設定した前記端子挿入孔を配列する端列部とに配置し、
前記中央列部に配置した前記端子挿入孔の配列数に比べ、前記端列部に配置した前記端子挿入孔の配列数を少なくなるように設定した
請求項1又は2に記載の多極雌コネクタ。
【請求項5】
前記端子挿入孔を、
前記コネクタハウジングの長手方向中央部に設定した前記端子挿入孔を配列する中央列部と、該コネクタハウジングの長手方向中央部より端部側に設定した前記端子挿入孔を配列する端列部とに配置し、
前記中央列部に配置した前記端子挿入孔に比べ、前記端列部に配置した前記端子挿入孔を長手方向に大きいサイズに設定するとともに、
前記中央列部に配置した前記端子挿入孔の配列数に比べ、前記端列部に配置した前記端子挿入孔の配列数を少なくなるように設定した
請求項1又は2に記載の多極雌コネクタ。
【請求項6】
前記多極雌コネクタの前記多極雄コネクタと嵌合する嵌合側中央部に、該多極雄コネクタの嵌合側中央部に対して係止されるロック部を設けた
請求項1〜5のいずれか1項に記載の多極雌コネクタ。
【請求項7】
前記端子挿入孔内に雌型端子を係止する可撓性のランス部を設け、該ランス部を前記コネクタハウジングの長手方向に向けて撓み可能に形成した
請求項1〜6のいずれか1項に記載の多極雌コネクタ。
【請求項8】
前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の多極雌コネクタに対して嵌合される多極雄コネクタであって、
前記多極雄コネクタのコネクタハウジングに配置した雄型端子を、平板状の金属材料を打抜いてL字状に形成し、
該雄型端子を略矩形に形成したコネクタハウジングの長手方向に対して所定間隔を隔てて配置した
多極雄コネクタ。
【請求項9】
前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の多極雌コネクタに対して嵌合される多極雄コネクタであって、
前記多極雄コネクタのコネクタハウジングに配置した雄型端子を、平板状の金属材料を打抜いて形成した端子部材で構成し、
該端子部材の一端側を周方向に対して略90度に捻り加工し、該端子部材の他端側を該一端側に対して略直角に折り曲げ加工し、
該雄型端子を略矩形に形成したコネクタハウジングの長手方向に対して所定間隔を隔てて配置した
多極雄コネクタ。
【請求項10】
前記雄型端子を、
前記コネクタハウジングの長手方向中央部に設定した前記雄型端子を配列する中央列部と、該コネクタハウジングの長手方向中央部より端部側に設定した前記雄型端子を配列する端列部とに配置し、
前記中央列部に配置した前記雄型端子を、該雄型端子の接触面が該コネクタハウジングの短手方向を向くように配置し、
前記端列部に配置した前記雄型端子を、該雄型端子の接触面が該コネクタハウジングの長手方向を向くように配置した
請求項8又は9に記載の多極雄コネクタ。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の多極雌コネクタと、請求項8〜10のいずれか1項に記載の多極雄コネクタを嵌合させた多極コネクタ対。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−212671(P2012−212671A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−66596(P2012−66596)
【出願日】平成24年3月23日(2012.3.23)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月23日(2012.3.23)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】
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