説明

多機能の無線周波数指向性エネルギーシステム

RFDEシステムは、RFDE送信機と少なくとも1つのRFDEアンテナを具備する。RFDE送信機とアンテナは、ターゲットの高エネルギー損傷または破壊を引き起こすのに十分な、高出力の電磁気エネルギーをターゲットに向ける。RFDEシステムは、ターゲットを位置特定するターゲティングシステムをさらに具備する。ターゲティングシステムは、ターゲットを位置特定するための電磁気エネルギーを送受信する、少なくとも1つのレーダーアンテナとレーダー送信機とを備える。RFDEシステムは、ターゲットのロケーションに基づいて、少なくとも1つのRFDEアンテナにターゲットへ照準を定めさせる、アンテナポインティングシステムを具備する。さらに、レーダー送信機または少なくとも1つのレーダーアンテナのうちの少なくとも一部は、RFDE送信機または少なくとも1つのRFDEアンテナのうちの少なくとも一部に一体化されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、無線周波数指向性エネルギー(RFDE)システムに関連し、より詳細には、多機能タイプのRFDEシステムに関連する。
【発明の背景】
【0002】
高出力RFの、マイクロ波および/またはミリメートル波電磁気エネルギーを向けて、ターゲットを破壊または紛糾させるための技術において、無線周波数指向性エネルギー(RFDE)システムが技術的に知られている。RFDEシステムは、一般的に、軍事兵器として働くが、RFDEシステムは、兵器システムに制限される必要はない。例えば、本発明のRFDEシステムは、異物、汚染物質、望ましくない大気状況、または他のタイプのターゲットを破壊または紛糾させることのような、非軍事的な目的のために使用されてもよい。
【0003】
兵器システムに関して、RFDE兵器システムと、電子戦闘システムとの間を区別することが重要である。RFDE兵器システムと、電子戦闘システムとの間の主な違いは、出力と殺戮モードとである。電子戦闘システムは、電子戦闘システムが妨害し、または紛糾させるように設計されているターゲットのアプリオリな知識を利用する。電子戦闘システムは、ターゲットの特性(例えば、動作の頻度、動作方法等)のこのようなアプリオリな知識を使用して、“精巧に”、または比較的低い出力量で、ターゲットを紛糾、または混乱させる。
【0004】
他方、RFDE兵器システムは、その比較的大きな放射出力によって、広範囲のターゲット(電子機器、生物、戦闘隊形、構造等)を追跡することができる。RFDE兵器は、RFDE兵器が放射する、ねじり力で破砕させるような出力量(shear amount of power)によって、焼損させる、または、打ちのめすことのいずれかを行うため、対象とされたターゲット特性のアプリオリな知識は、一般的に要求されない。
【0005】
RFDEシステムに伴う現行の問題は、ターゲティング、すなわち、対象とされたターゲットに、RF指向性エネルギービームを正確にポイントさせることと、ターゲットに対するシステムからの正確な射程距離を確立することである。今日まで、RFDEシステムのターゲティングの問題は、補助のアドオンシステムとして呼ばれるものを使用することによって、対処されてきた。これらのアドオンシステムは、スタンドアローンのレーダーシステム、スタンドアローンのレーザー距離測定器、スタンドアローンの光学または赤外線イメージングシステム等を含むことができる。しかしながら、これらのアドオンシステムは、RFDEシステムにかなりの費用を追加させる。さらに、これらのアドオンシステムは、RFDEシステムと、スタンドアローンのターゲティングシステムとの間の照準のキャリブレーションを要求することによって、かなりの複雑さを追加する。
【0006】
図1は、一般的なRFDEシステム10のブロック図である。そのもっとも簡潔な形態において、システム10は、高出力アンテナ14を通して送信する高出力送信機12を含む。送信機12は、RF、マイクロ波、またはミリメートル波周波数において動作する。システム10は、ACコンセント、発電機、高容量バッテリシステム等のような、主電源16に基づいて動作する。電力調整ブロック18は、送信機12に電力供給するために適切になるように、電源16から出力された電力を調整する。冷却システム20は、必要とされるように、電力調整ブロック18と、高出力送信機12に適切な冷却を提供する。制御ブロック22は、さまざまなサブシステムの間の適切な制御を提供する。
【0007】
RFDE兵器システム10は、高出力アンテナ14に照準を定めさせるアンテナポインティングシステム24をさらに含み、したがって、この高出力アンテナ14から、高出力電磁気のエネルギービームが、ターゲットに向けて送信される。ポインティングシステム24は、一般的に、対象とされたターゲットの方向と射程距離を識別する座標データによって駆動される。このような座標データは、スタンドアローンのターゲティングシステム26によって提供される。前述のように、ターゲティングシステム26は、スタンドアローンのレーダーシステム、スタンドアローンのレーザー距離測定器、スタンドアローンの光学または赤外線イメージングシステム等の形態であることが多い、アドオンシステムである。さらに前述のように、しかしながら、これらのアドオンシステムは、RFDEシステムにかなりの費用と複雑さとを追加させる。
【0008】
従来のRFDEシステムに関係する前述の欠点を考慮すると、従来のRFDEシステムに関係する費用と複雑さとに支配されないRFDEシステムに対する、技術における強い要求がある。
【発明の概要】
【0009】
本発明のRFDEシステムは、RFDEシステム自体の内にターゲティングシステムを一体化させることによって、別個の、スタンドアローンのターゲティングシステムに対する必要をなくす。高出力電磁気エネルギーを向けさせるように機能する、RFDEシステムハードウェアのすべてまたは一部が、ターゲティング情報を取得し、提供して、高出力電磁気エネルギービームの照準を定めさせるようにも機能するという点で、RFDEシステムは多機能である。例えば、RFDE送信機は、向けられる電磁気エネルギーの源として使用されるだけでなく、物体をターゲティングするためのレーダー送信機としても使用される。次に、比較的簡潔なレーダー受信機が、RFDEシステムに追加されてもよい。高価なレーダー送信機が必要とされないので、全体のシステムの費用が、かなり減少させられる。さらに、RFDEシステムとスタンドアローンのターゲティングシステムとの間の照準のキャリブレーションが不用になるので、システムの複雑性は減少させられる。
【0010】
本発明の1つの観点にしたがうと、多機能のRFDEシステムが提供される。このRFDEシステムは、RFDE送信機と少なくとも1つのRFDEアンテナを具備する。RFDE送信機とアンテナは、ターゲットの高エネルギー損傷または破壊を引き起こすのに十分な高出力の電磁気エネルギーをターゲットに向ける。RFDEシステムは、ターゲットを位置特定するためのターゲティングシステムをさらに具備する。ターゲティングシステムは、ターゲットを位置特定するための電磁気エネルギーを送受信する、少なくとも1つのレーダーアンテナとレーダー送信機とを備える。RFDEシステムは、また、ターゲティングシステムによって確認されたターゲットのロケーションに基づいて、少なくとも1つのRFDEアンテナにターゲットへ照準を定めさせるための、アンテナポインティングシステムも具備する。さらに、レーダー送信機、または、少なくとも1つのレーダーアンテナ、のうちの少なくとも一部は、RFDE送信機、または、少なくとも1つのRFDEアンテナ、のうちの少なくとも一部に一体化されている。
【0011】
本発明の別の観点にしたがうと、RFDEシステムを動作させる方法が提供される。この方法は、ターゲットの高エネルギー損傷または破壊を引き起こすのに十分な高出力の電磁気エネルギーをターゲットに向けるための、RFDE送信機と少なくとも1つのRFDEアンテナを利用するステップと、ターゲットを位置特定するターゲティングシステムを利用するステップと、ターゲティングシステムによって確認されたターゲットのロケーションに基づいて、少なくとも1つのRFDEアンテナにターゲットへ照準を定めさせるステップと、レーダー送信機、または、少なくとも1つのレーダーアンテナ、のうちの少なくとも一部を、RFDE送信機、または、少なくとも1つのRFDEアンテナ、のうちの少なくとも一部に一体化させるステップとを含み、ターゲティングシステムは、ターゲットを位置特定するための電磁気エネルギーを送受信する、少なくとも1つのレーダーアンテナとレーダー送信機とを含む。
【0012】
前述の、および関連する目的を達成するために、本発明は、以下で完全に説明し、特に、添付の特許請求の範囲中で指摘する特徴を含む。以下の説明と添付の図面は、本発明の特定の例示的な実施形態を述べる。これらの実施形態は、その中で本発明の原則を適用してもよい、さまざまな方法の内のいくつかのものだけを示す。他のオブジェクト、利点、および新規な特徴は、図面と関連して考慮するときに、以下の発明の詳細な説明から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、従来のRFDEシステムのブロック図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施形態にしたがった、多機能RFDEシステムのブロック図である。
【図3】図3は、本発明の第2の実施形態にしたがった、多機能RFDEシステムのブロック図である。
【図4】図4は、本発明の第3の実施形態にしたがった、多機能RFDEシステムのブロック図である。
【図5】図5は、本発明の第4の実施形態にしたがった、多機能RFDEシステムのブロック図である。
【図6】図6は、本発明の第5の実施形態にしたがった、多機能RFDEシステムのブロック図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態にしたがった、航空機内に取り付けられた多機能RFDEシステムを図示する。
【図8】図8は、本発明の実施形態にしたがった、車輪付きビークル内に取り付けられた多機能RFDEシステムを図示する。
【図9】図9は、本発明の実施形態にしたがった、反射板タイプアンテナを組み込んだ多機能RFDEシステムの概念図である。
【発明の詳細な説明】
【0014】
全体を通して、同じ参照番号が同じ構成部品を指すために提供されている、図面を参照して、ここで本発明を説明することにする。
【0015】
本発明のRFDEシステムは、レーダーターゲティングシステムのようなターゲティングシステムを、その他の点では従来のRFDEシステム中に、一体化させる。ここで説明するように、ターゲティングシステムをRFDEシステム中に一体化させるためのいくつかの方法がある。以下に説明する特定の実施形態は、単に例示的なものであることを意味している。本発明は、ここで説明する特定の実施形態だけでなく、ターゲティングシステムが、RFDEシステム内に部分的に、または、全体的に一体化されている任意のシステムを意図している。
【0016】
図2を参照すると、本発明の実施形態にしたがった、RFDEシステム30が示されている。図3におけるRFDEシステム30の構成部品のほとんどは、図1に関して上に説明した従来のシステム10における構成部品に類似しているので、簡潔さのために、これらとの違いだけをここで説明することにする。この特定の実施形態では、その他の点では従来のRFDEシステムの一部(とりわけ、高出力RFDE送信機12、および/または、RFDE送信アンテナ14)は、ターゲティングシステムの一部を形成する。特に、ターゲティングモードの間に、高出力RFDE送信機12は、制御ブロック22によって制御され、アンテナ14を通して標準レーダー追跡信号を送信する。レーダー追跡信号は、パルスまたは連続波レーダーのような、任意のタイプの従来のレーダー信号であってもよい。追跡信号の出力レベルは、RFDE信号自体のような高出力の信号であってもよく、または、レーダー追跡応用においてより一般的なように、比較的低出力の信号であってもよい。
【0017】
図2の実施形態では、一体型RFDE/レーダー送信機12に関連して、別個のレーダー受信機32と、レーダー受信アンテナ34とを使用する。1つの実施形態では、ターゲットを破壊または擾乱することに向けられたRFDE高電力出力ビームは、RFDE/レーダー送信機12およびアンテナ14を使用して送信される。レーダー受信アンテナ34は、ターゲットによって、システム30に対して反射し戻されたRFDE出力ビームの一部を受け取る。レーダー受信機32は、ターゲットのロケーションを識別するために、従来技術を使用して、反射されたエコー信号を処理する。例えば、レーダー受信機32は、ドップラー処理が達成できるように、また、ターゲットの方向と射程距離が識別されるように、(線36によって表現したように、)送信されたRFDE出力波形にコヒーレントにリンクされることができる。
【0018】
レーダー受信機32は、一体型ターゲティングシステムブロック38にターゲットロケーション情報を提供し、一体型ターゲティングシステムブロック38は、ロケーション情報をアンテナポインティングシステム24に供給する。このような動作は、アンテナ14が、検索機能と追跡レーダー機能との両方に向けられることを可能にする。
【0019】
理解されることになるように、図2におけるRFDEシステム30は、ここで説明する本発明の他のさまざまな実施形態とともに、RFDEモードと追跡モードとの両方において動作することができる。上で説明したように、両方のモードを同時に実行することができてもよく、例えば、RFDEシステムの高出力電磁気エネルギー出力はまた、レーダー追跡システム送信信号としても働く。代わりに、RFDEシステム30は、それぞれ、別個のRFDE高出力ビームと、低出力レーダー送信信号とを使用して、RFDEモードと追跡モードとの間で切り替えてもよい。システム30が、ターゲットの追跡を見失わないように、十分にすばやく2つのモードの間で切り替える限り、RFDEモードと追跡モードとの間の動作は、時分割多重化されていてもよい。
【0020】
一般的に、レーダー送信機は、レーダー追跡システムの最も費用の高い部分のうちの1つである。したがって、ターゲティングのためのレーダー送信機とアンテナとして、RFDE送信機12とアンテナ14を使用することによって、ターゲティングシステムの費用を、劇的に減少させることができる。また、ターゲットのロケーションを決定するためにRFDE高出力ビーム自体のレーダーエコーを使用することは、RFDEシステム30のビームポインティングの正確性をかなり改善させることができる。標準レーダー追跡技術(例えば、モノパルス、連続的スキャン等)が用いられるとき、ターゲットのロケーションを決定するために、RFDE高出力ビームを使用することによって、ターゲットの出力密度を最大化させることができるだろう。
【0021】
当業者は、RFDE送信機12が、RFDE高出力ビームを送信するのに適した任意の送信機であることができることを理解するだろう。例えば、RFDE送信機12は、単一のまたは複数のチューブ源であってもよく、ソリッドステートの源であってもよい。さらに、アンテナ14は、アンテナポインティングシステム24を介して、機械的におよび/または電子的にポイントされ、およびスキャンされることができる、任意のタイプの適切な高出力アンテナであってもよいことが理解されるだろう。送信機/アンテナは、例えば、アクティブ電子的操作アレイ(AESA)からなることもでき、ここで、高電力増幅器/アンテナのアレイが利用される。レーダー受信アンテナ34は、レーダーエコー信号を受信するための任意のタイプの適切なアンテナであることができる。アンテナ14でのように、レーダー受信アンテナ34は、アンテナポインティングシステム24を介して、機械的におよび/または電子的にポイントされ、およびスキャンされる。アンテナポインティングシステム24は、電子的に操作可能なアレイ中の移相器を制御する、ビーム操作コンピュータまたは機械的ジンバルであることができる。
【0022】
図3は、どのように追跡システムをRFDEシステムに一体化させることができるかを表す、別の実施形態を図示する。図3の実施形態は、他のここで説明する実施形態でのように、図2と同じ構成部品のうちの多くを共有し、したがって、簡潔さのために、実施形態の間の違いだけをここでまた、説明することにする。
【0023】
特に、図3は、追跡システムの電力増幅器が、RFDEシステムの電力増幅器内に一体化されている、RFDEシステム40を図示する。より詳細には、RFDE送信機12は、第1の周波数で動作しており、加算器44に入力する、低出力RFDE信号源42を含む。加算器44の出力は電力増幅器46に対する入力であり、電力増幅器46は、送信アンテナ14によって放射される前に、加算器44の出力を増幅させる。第2の周波数における低出力レーダー信号源48もまた、加算器44に対する入力である。さらに、低出力レーダー信号源48は、コヒーレント処理を提供するためのレーダー受信機32に対する入力である。このようにして、加算器44は、結合されたRFDE信号源と、レーダー信号源とを、電力増幅器46に対して出力する。電力増幅器46は、注入ロックされたマグネトロン、クライストロン、ソリッドステートの増幅器等を含む、任意の適切なタイプの増幅器であってもよく、または、AESA実施形態においては、任意のこれらのタイプの増幅器のアレイであってもよい。
【0024】
図3の実施形態では、信号源48からの別個の低出力レーダー信号が使用される。結合された信号が電力増幅器46によって増幅される前に、この低出力レーダー信号は、RFDE信号源42からのRFDE信号と結合される。RFDE信号とレーダー信号との周波数は、同じ周波数である必要はない。事実、これらは、電力増幅器46とRFDE送信アンテナ14との帯域制約内の、互いに完全に独立した周波数であってもよい。受信アンテナ34および/またはレーダー受信機32において、RFDE信号をフィルタアウトすることによって、RFDE信号と、レーダー信号との間の有意味な分離を達成してもよいことが理解されるだろう。
【0025】
また、図3のRFDEシステム40は、RFDEモードおよびターゲティングモードで動作してもよいことが理解されるだろう。他のここで説明する実施形態でのように、これらのモードを同時に実行してもよく、または、時多重化された方法で実行してもよい。RFDE信号源42と、レーダー信号源48とが異なるケースでは、理解されることになるように、当業者はこのような動作を周波数多重化されているとして考えてもよい。
【0026】
図4は、本発明のさらに別の実施形態を図示する。この実施形態では、RFDEシステム50は、レーダー受信アンテナを、RFDEおよびレーダー送信アンテナとして働く同一のアンテナ14中に一体化させる。このことは、高出力サーキュレータ52によって達成されてもよく、高出力サーキュレータ52は、アンテナ14を通して、共有送信機12からのRFDE/レーダー送信信号をルーティングさせる。アンテナによって受信された反射信号は、サーキュレータ52によって、処理のために受信機32にルーティングされる。ここで他の例でも説明したように、この例において、RFDE送信信号は、レーダー送信信号であってもよい。エコー信号は、同一のアンテナ14によって受信され、サーキュレータ52を通して受信機32に結合される。このようにして、レーダーシステムは、アンテナポインティングシステム24にターゲット情報フィードバックを提供することができる。
【0027】
RFDEシステムによって放射される一般的な総電力を取り扱うことができるサーキュレータを設計することが難しいかもしれないという点で、高出力サーキュレータ52は、不確かなものであるかもしれない。それにもかかわらず、素材と技術における改善とともに、このようなサーキュレータは、いつか、商業的に容易になるだろう。さらに、図4の実施形態は、AESAシステムに対して、非常に適していることが確実であり、ここで、出力電力は、以下でより詳細に説明するように、送信素子のアレイの間で分割されている。
【0028】
いくつかの一体化されたRFDE/ターゲティング応用において、RFDEとターゲティングシステムとの間でアンテナを共有することだけが望ましいかもしれない。RFDEシステムとターゲティングシステムとは、そうでなければ独立して動作する。このような実施形態の例を図5に示す。
【0029】
特に、図5の実施形態は、二重偏波アンテナ14を共有するという例外を持つが、基本的には、RFDEシステム60から独立して機能するレーダーシステム32’を図示する。RFDEシステムは、1つの偏波(例えば、垂直、右偏波等)を使用して、二重偏波アンテナ14を介して、送信機12からRFDE高出力ビームを送信する。レーダーシステム32’は、それ自身の送信機/受信機で、直交偏波(例えば、水平、左偏波等)を使用して、レーダー送信信号を送信する。アンテナ14によって受信された反射レーダーエコー信号は、再び従来の技術を使用して、レーダーシステム32’によって処理され、ターゲットロケーション情報を提供する。他の実施形態におけるもののように、ロケーション情報は、一体型ターゲティングシステム38に提供され、一体型ターゲティングシステム38は、この情報をアンテナポインティングシステム24に提供する。図5の実施形態を使用して、追跡情報を提供してもよく、および/または、図5の実施形態は、RFDEシステムに対して、射程距離情報を提供するのに特に適している。
【0030】
図6は、その中で、AESAまたはフェーズドアレイアンテナが、本発明内に組み込まれてもよい実施形態を図示する。図6の実施形態は、電力増幅器46が、RFDE/レーダー送信AESAアンテナ14に含まれる電力増幅器のアレイ46’によって表現されているということを除いては、基本的に、図3の実施形態と同じである。レーダー受信アンテナ34は、同様にAESAアンテナを備える。
【0031】
図6に示したように、加算器44からの結合された信号が、AESAアンテナ14内の電力分別器72に入力される。電力分別器72は、信号を分離させ、分別された信号を、アンテナ14中のそれぞれの放射素子14’に対応する、それぞれ移相器74と、電力増幅器46’とに提供する。理解されることになるように、アンテナポインティングシステム24は、移相器74の位相を調整することによって、アンテナ14を操作してもよい。
【0032】
引き続き図6を参照して、レーダー源48と、RFDE源42とは、異なる周波数であってもよいが、依然として、同じ方向を放射することがさらに理解されるだろう。移相器74が選択されて、実時間遅延を提供する限り(このことは当業者によって非常に一般的である)、アンテナ14は、両方の周波数に対して同時に操作されてもよい。
【0033】
本発明の多機能RFDEシステムは、さまざまなプラットフォームで用いられることができる。例えば、図7は、航空機にシステムが適用される実施形態を図示する。(表示していない)結合されたRFDE/レーダー送信機12とアンテナ14とは、例えば、航空機の側面から放射するように取り付けられている。ポッドは、次に、航空機の下に取り付けられ、(これも表示していない)レーダー受信機32と受信アンテナ34とを含む。
【0034】
図8は、本発明のRFDEシステムを車輪付きビークルに適用した実施形態を示す。例えば、RFDEとレーダーシステムとは、車両の後ろに取り付けられ、共通アンテナを共有する。1つの可能性あるこのようなシステム80は、図9に示される。高出力RFDE源12は、動作の周波数に適した、ミラー(例えば、82)からなるビーム送信システムに放射される。レーダーシステム32’からの交差偏波されたレーダー送信信号は、次に、ビーム合成器/分別器84によって、RFDEビームパスへと注入される。RFDEとレーダー送信信号は、次に、この実施形態では、反射板タイプのアンテナである、共通アンテナ14から同時に送信される。レーダーエコー信号がアンテナ14によって受信され、ミラー82とビーム合成器/分別器84とを介して、交差偏波されたレーダーシステム32’に戻される。
【0035】
本発明を、特定の好ましい実施形態に関して示し、説明してきたが、本明細書を読み、理解した際に、当業者にとって、同等物および修正を想起しえることは明らかである。例えば、本発明を従来のレーダーベースのターゲティングシステムの文脈で主に説明してきたが、電磁波エネルギーの送信およびエコーに依拠する他のタイプの(例えば、レーザーベースの、赤外線等のような)レーダー類似のターゲティングシステムもまた、本発明の範囲から逸脱することなく使用することができるだろう。
【0036】
本発明は、すべてのこのような均等物および修正を含み、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多機能の無線周波数指向性エネルギー(RFDE)システム(30、40、50、80)において、
ターゲットの高エネルギー損傷または破壊を引き起こすのに十分な高出力の電磁気エネルギーを前記ターゲットに対して向けるための、RFDE送信機(12)と少なくとも1つのRFDEアンテナ(14、14’)と、
前記ターゲットを位置特定するターゲティングシステム(38)と、
前記ターゲティングシステム(38)によって確認された前記ターゲットのロケーションに基づいて、前記少なくとも1つのRFDEアンテナ(14、14’)に前記ターゲットへ照準を定めさせる、アンテナポインティングシステム(24)と
を具備し、
前記ターゲティングシステムは、レーダー送信機(48)と、前記ターゲットを位置特定するための電磁気エネルギーを送受信する少なくとも1つのレーダーアンテナ(14、34)とを備え、
前記レーダー送信機(48)または前記少なくとも1つのレーダーアンテナ(14、34)、のうちの少なくとも一部は、前記RFDE送信機(12)または前記少なくとも1つのRFDEアンテナ(14、14’)、のうちの少なくとも一部内に一体化されている、多機能RFDEシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのレーダーアンテナ(14、34)は、前記少なくとも1つのRFDEアンテナ(14、14’)内に、少なくとも部分的に組み入れられている、請求項1記載の多機能RFDEシステム。
【請求項3】
前記レーダー送信機(46)は、前記RFDE送信機(12)内に、少なくとも部分的に組み入れられている、請求項1記載の多機能RFDEシステム。
【請求項4】
前記レーダー送信機と前記RFDE送信機とは、共通のRF電力増幅器を備える、請求項3記載の多機能RFDEシステム。
【請求項5】
前記ターゲットを位置特定するための前記電磁気エネルギーは、第1の周波数におけるものであり、前記高出力電磁気エネルギーは、前記第1の周波数とは異なる第2の周波数におけるものである、請求項4記載の多機能RFDEシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのレーダーアンテナ(14、34)は、前記ターゲットを位置特定するための前記電磁気エネルギーを送信するように機能し、前記少なくとも1つのレーダーアンテナ(14、34)は、前記少なくとも1つのRFDEアンテナ(14)中に、少なくとも部分的に組み入れられている、請求項1記載の多機能RFDEシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのレーダーアンテナ(14、34)は、
前記ターゲットを位置特定するための前記電磁気エネルギーを送信するように、また、前記高出力電磁気エネルギーを送信するように機能する、第1のレーダーアンテナ(14)と、
前記ターゲットを位置特定するために、前記ターゲットから反射された前記電磁気エネルギーを受信するように機能する、第2のレーダーアンテナ(34)と
を備える、請求項6記載の多機能RFDEシステム。
【請求項8】
第1のレーダーアンテナ(14)は、多素子フェーズドアレイを備える、請求項7記載の多機能RFDEシステム。
【請求項9】
前記ターゲットを位置特定するための前記電磁気エネルギーを送信するように機能する、前記少なくとも1つのレーダーアンテナ(14)はまた、前記ターゲットを位置特定するために、前記ターゲットから反射される前記電磁気エネルギーを受信するようにも機能する、請求項6記載の多機能RFDEシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのレーダーアンテナ(14)は、二重偏波アンテナを備える、請求項9記載の多機能RFDEシステム。
【請求項11】
前記システムは、前記RFDE送信機と前記RFDEアンテナとの間のパス中で、前記高出力電磁気エネルギーと、前記ターゲットを位置特定するための前記電磁気エネルギーとを合成するビーム合成器(84)を具備する、請求項1記載の多機能RFDEシステム。
【請求項12】
前記システムは移動ビークル中で動作するように構成されている、請求項1記載の多機能RFDEシステム。
【請求項13】
前記移動ビークルは車輪付きビークルである、請求項12記載の多機能RFDEシステム。
【請求項14】
前記移動ビークルは航空機である、請求項12記載の多機能RFDEシステム。
【請求項15】
多機能の無線周波数指向性エネルギー(RFDE)システムを動作させる方法において、
ターゲットの高エネルギー損傷または破壊を引き起こすのに十分な高出力の電磁気エネルギーを前記ターゲットに対して向けるための、RFDE送信機と少なくとも1つのRFDEアンテナとを利用するステップと、
前記ターゲットを位置特定するターゲティングシステムを利用するステップと、
前記ターゲティングシステムによって確認された前記ターゲットのロケーションに基づいて、前記少なくとも1つのRFDEアンテナに前記ターゲットへ照準を定めさせるステップと、
レーダー送信機または少なくとも1つのレーダーアンテナ、のうちの少なくとも一部を、前記RFDE送信機または前記少なくとも1つのRFDEアンテナ、のうちの少なくとも一部内に一体化させるステップと
を含み、
前記ターゲティングシステムは、前記レーダー送信機と、前記ターゲットを位置特定するための電磁気エネルギーを送受信する前記少なくとも1つのレーダーアンテナとを含む方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのレーダーアンテナは、前記少なくとも1つのRFDEアンテナ内に、少なくとも部分的に組み入れられている、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記レーダー送信機は、前記RFDE送信機内に、少なくとも部分的に組み入れられている、請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記レーダー送信機と前記RFDE送信機とは、共通のRF電力増幅器を備える、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記ターゲットを位置特定するための前記電磁気エネルギーは、第1の周波数におけるものであり、前記高出力電磁気エネルギーは、前記第1の周波数とは異なる第2の周波数におけるものである、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つのレーダーアンテナは、前記ターゲットを位置特定するための前記電磁気エネルギーを送信するように機能し、前記少なくとも1つのレーダーアンテナは、前記少なくとも1つのRFDEアンテナ中に、少なくとも部分的に組み入れられている、請求項15記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−517035(P2010−517035A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547207(P2009−547207)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【国際出願番号】PCT/US2007/001831
【国際公開番号】WO2008/091250
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(503455363)レイセオン カンパニー (244)
【Fターム(参考)】