説明

多機能搬送型コンベヤチェーン

【課題】チェーンリンクにボールユニットと搬送補助ユニットを個別かつ簡便に取り付け、取り外し可能で、搬送ニーズに応じた搬送機能を簡便に付加できる多機能搬送型コンベヤチェーンを提供すること。
【解決手段】物品を載荷する物品載荷部111と複数のヒンジ部112とを一体成形したチェーンリンク110がヒンジピン120を介してチェーン長手方向に多数連結され、このチェーンリンク110の表裏両面に露出して回動するフリーボール131を保持したボールユニット130と該ボールユニット130と代替して装着可能な搬送補助ユニット140が、ヒンジ部112、112間毎にそれぞれ択一的にチェーン長手方向から挿入装着されている多機能搬送型コンベヤチェーン100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平坦な底面を備えた箱状、板状等の物品を載荷して搬送するのに適したコンベヤチェーンに関するものであって、特に、チェーンリンクの表裏両面に露出して回動するフリーボールを保持したボールユニットとこのボールユニットと代替して装着可能な搬送補助ユニットを備えた多機能搬送型コンベヤチェーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を載荷して搬送するコンベヤチェーンとして、複数のベルトモジュールに回転自在なボール又はローラを設けて、搬送途上で物品を仕分けするなど捌いて搬送ラインの側方に滑動排出するようにしたコンベヤベルトがある(特許文献1参照)。
【0003】
そして、このようなコンベヤベルトは、物品を載荷して搬送するベルトモジュールが上下に重ねて合体した第1部材と第2部材とにそれぞれ形成されたヒンジ部をヒンジピンで連結したものであって、これらの第1部材と第2部材との間に搬送ラインの側方に滑動排出するためのボールが回動可能に保持されている。
【特許文献1】特開2003−182829号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述したような従来のコンベヤチェーンであるコンベヤベルトは、上下方向から合体する第1部材と第2部材とでボールを挟持するベルトモジュールの構造を採用しているため、ベルト必須部品のベルトモジュールを構成する部品点数が2倍に増えるばかりでなく、ベルトモジュールの一体的な強度を充分に発揮できないという問題があった。
【0005】
また、例えば、磨損したボールを交換する場合に、ヒンジピンを抜いた後の第1部材と第2部材とからなるベルトモジュールを上下に分解して磨損したボールを取り出す必要があり、この際に磨損したボール以外のボールも脱離して交換作業が煩雑化するという厄介な問題があった。
【0006】
さらに、このようなコンベヤベルトは、ボールを備えていることによって搬送途上で物品を仕分けするなど捌いて搬送ラインの側方に滑動排出することができるものの、搬送途上で物品の載荷位置がベルト幅方向に過度に変位したり、これに起因するなどして蛇行搬送したり、片側浮き上り状態で搬送したりするため、確実な搬送を達成できない、多様な搬送ニーズに対応できないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、チェーンリンクにボールユニットと搬送補助ユニットを個別かつ簡便に取り付け、取り外しすることができるとともに、搬送ニーズに応じた搬送機能を簡便に付加することができる多機能搬送型コンベヤチェーンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本請求項1に係る発明の多機能搬送型コンベヤチェーンは、物品を載荷する物品載荷部と該物品載荷部の前方端縁と後方端縁から千鳥状に突出する複数のヒンジ部とを一体成形したチェーンリンクがヒンジピンを介してチェーン長手方向に相互に多数連結してなるコンベヤチェーンにおいて、前記チェーンリンクの表裏両面に露出して回動するフリーボールを保持したボールユニットと該ボールユニットと代替して装着可能な搬送補助ユニットが、チェーンリンク連結時に物品載荷部の前方端縁と後方端縁の何れか一方のヒンジ部間毎にそれぞれ択一的にチェーン長手方向から挿入装着されていることにより、前記課題を解決したものである。
【0009】
本請求項2に係る発明の多機能搬送型コンベヤチェーンは、請求項1記載の構成に加えて、前記ボールユニットと搬送補助ユニットが前記ヒンジ部間に挿入装着して係合する同一の装着用係合部を備えていることにより、前記課題を解決したものである。
【0010】
本請求項3に係る発明の多機能搬送型コンベヤチェーンは、請求項2記載の構成に加えて、前記搬送補助ユニットが搬送する物品のチェーン幅方向の移動を規制するサイド規制部材を備えていることにより、前記課題を解決したものである。
【0011】
本請求項4に係る発明の多機能搬送型コンベヤチェーンは、請求項2または請求項3記載の構成に加えて、前記搬送補助ユニットが搬送する物品を搬出させるスクレーパ部材を備えていることにより、前記課題を解決したものである。
【0012】
本請求項5に係る発明の多機能搬送型コンベヤチェーンは、請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の構成に加えて、前記搬送補助ユニットがチェーンリンクの浮き上がり抑制部材を備えていることにより、前記課題を解決したものである。
【0013】
本請求項6に係る発明の多機能搬送型コンベヤチェーンは、請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の構成に加えて、前記搬送補助ユニットがチェーンリンクの蛇行防止部材を備えていることにより、前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の多機能搬送型コンベヤチェーンは、物品を載荷する物品載荷部と該物品載荷部の前方端縁と後方端縁から千鳥状に突出する複数のヒンジ部とを一体成形したチェーンリンクがヒンジピンを介してチェーン長手方向に相互に多数連結されているため、平坦な底面を備えた箱状、板状等の物品を載荷して搬送することができるとともに、以下のような構成を備えることによって特有の効果を奏することができる。
【0015】
すなわち、本請求項1に係る発明の多機能搬送型コンベヤチェーンは、フリーボールを保持したボールユニットを装着していることにより、フリーボールがチェーンリンクの表裏両面に露出して回動するため、物品をチェーン速度の最大2倍で搬送可能な、所謂、倍速機能と360度の全水平面内で搬送可能な搬送方向転換機能を発揮することができ、また、ボールユニットと代替可能な搬送補助ユニットを装着していることにより、これらの方向転換機能と倍速機能に相乗して各種の搬送ニーズに応じた搬送機能を付加することができる。
【0016】
そして、ボールユニットと搬送補助ユニットがヒンジ部間毎にそれぞれ択一的にチェーン長手方向から挿入装着するように構成されていることにより、ボールユニットと搬送補助ユニットがチェーンリンクを分割することなく単一部品のままの状態であってもヒンジ部間にチェーン長手方向から簡単に装着でき、このボールユニットと搬送補助ユニットとを装着したチェーンリンクを相互にヒンジピンで連結したため、チェーンリンク連結時にボールユニットと搬送補助ユニットが不用意に外れることなく簡単にチェーン組みつけ作業を達成でき、また、例えば、磨損したボールユニットまたは搬送補助ユニットを交換する場合であっても磨損したユニット以外のユニットを不用意に脱離させることなく択一的に簡便な交換作業を達成できる。
【0017】
本請求項2に係る発明の多機能搬送型コンベヤチェーンは、請求項1記載の発明が奏する効果に加えて、前記ボールユニットと搬送補助ユニットがヒンジ部間に挿入装着して係合する同一の装着用係合部を備えていることにより、ボールユニットと搬送補助ユニットとの互換性を確保してボールユニットと搬送補助ユニットとを搬送面上に自由自在にレイアウト配置することができるため、各種の搬送ニーズに応じた搬送機能形態を創成することができる。
【0018】
本請求項3に係る発明の多機能搬送型コンベヤチェーンは、請求項2記載の発明が奏する効果に加えて、前記搬送補助ユニットがサイド規制部材を備えていることにより、搬送する物品のチェーン幅方向の不用意な移動を規制したり、搬送ライン側方への不用意な滑脱を防止することができる。
【0019】
本請求項4に係る発明の多機能搬送型コンベヤチェーンは、請求項2または請求項3記載の発明が奏する効果に加えて、前記搬送補助ユニットがスクレーパ部材を備えていることにより、搬送ラインの搬出域で搬送されてきた物品を移載側へ強制的に払い出すことができる。
【0020】
本請求項5に係る発明の多機能搬送型コンベヤチェーンは、請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の発明が奏する効果に加えて、前記搬送補助ユニットが浮き上がり抑制部材を備えていることにより、チェーンリンクの浮き上がりを抑制して安定した物品搬送を実現できるとともに、チェーンリンクとヒンジピンとの間に生じがちな偏摩耗を回避でき、しかも、浮き上がり搬送に起因する搬送騒音を低減できる。
【0021】
本請求項6に係る発明の多機能搬送型コンベヤチェーンは、請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の発明が奏する効果に加えて、前記搬送補助ユニットが蛇行防止部材を備えていることにより、チェーンリンクの蛇行を防止して安定した物品搬送を実現できるとともに、チェーンリンクとヒンジピンとの間に生じがちな偏摩耗を回避でき、しかも、蛇行搬送に起因する搬送騒音を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の多機能搬送型コンベヤチェーンは、物品を載荷する物品載荷部と該物品載荷部の前方端縁と後方端縁から千鳥状に突出する複数のヒンジ部とを一体成形したチェーンリンクがヒンジピンを介してチェーン長手方向に相互に多数連結してなるコンベヤチェーンにおいて、前記チェーンリンクの表裏両面に露出して回動するフリーボールを保持したボールユニットと該ボールユニットと代替して装着可能な搬送補助ユニットが、チェーンリンク連結時に物品載荷部の前方端縁と後方端縁の何れか一方のヒンジ部間毎にそれぞれ択一的にチェーン長手方向から挿入装着されていることにより、単一部材のチェーンリンクにボールユニットと搬送補助ユニットを個別かつ簡便に取り付け、取り外しするとともに、搬送ニーズに応じた搬送機能を簡便に付加するものであり、その具体的態様は如何なるものであっても構わない。
【0023】
すなわち、本発明の多機能搬送型コンベヤチェーンに用いたチェーンリンクは、搬送ラインのライン幅に応じた如何なるリンク幅であっても良く、また、このチェーンリンクに一体成形されるヒンジ部の個数についてもボールユニットと搬送補助ユニットをヒンジ部間に択一的に挿入装着することができれば、如何様な個数であっても良く、さらに、物品載荷部に形成される載荷可能部分の寸法やヒンジ部の突出部分の寸法などについてもチェーンリンクのチェーンピッチなどに応じて適宜定めたものを採用することができる。
【0024】
そして、ボールユニットと搬送補助ユニットをヒンジ部間に択一的にチェーン長手方向から挿入装着させるための具体的な装着形態は、ボールユニットと搬送補助ユニットとを搬送面上に自由自在にレイアウト配置して各種の搬送ニーズに応じた搬送機能形態を創成できるようにするため、ヒンジ部間にU字状、馬蹄形状などの装着空間部が形成され、ボールユニットと搬送補助ユニットがヒンジ部間の装着空間部に挿入装着して係合する同一の装着用係合部を備えていれば良く、すなわち、ボールユニットと搬送補助ユニットとの互換性を確保できる装着用係合部を備えていれば、如何なる形態の装着用係合部であっても良い。
【0025】
また、ボールユニットの具体的形態については、チェーンリンクの表裏両面に露出して回動するフリーボールを保持してチェーン速度の最大2倍で搬送可能な倍速機能を発揮できる形態であれば、如何なるユニット形態であっても良く、好ましくは、上部リテーナと下部リテーナとの間にフリーボールを挟み込んで保持した状態でチェーンリンクの表裏両面に露出して回動するように構成すると良い。
【0026】
さらに、搬送補助ユニットの具体的形態については、ボールユニットと同一の装着用係合部を備えて単一部材のチェーンリンクに個別かつ簡便に取り付け、取り外しするとともに、搬送ニーズに応じた搬送機能を簡便に付加するものであれば良く、例えば、搬送する物品のチェーン幅方向の不用意な移動や滑脱を阻止するサイド規制部材、搬送ラインの搬出域で搬送されてきた物品を移載側へ強制的に払い出すスクレーパ部材、チェーンリンクの浮き上がりを抑制して安定した物品搬送を実現する浮き上がり抑制部材、チェーンリンクの蛇行を防止して安定した物品搬送を実現する蛇行防止部材などが好適である。
【実施例】
【0027】
本発明の一実施例である多機能搬送型コンベヤチェーンを図1乃至図9に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施例である多機能搬送型コンベヤチェーンの概要説明図であり、図2は、図1に示すチェーンリンクのリンク表面側からみた斜視図であり、図3は、図1に示すチェーンリンクのリンク裏面側からみた斜視図であり、図4は、ボールユニットの分解組み立て図であり、図5は、サイド規制部材を備えた搬送補助ユニットの斜視図であり、図6は、スクレーパ部材を備えた搬送補助ユニットの斜視図であり、図7は、スクレーパ部材に角度付けて取り付けた多機能搬送型コンベヤチェーンの概要説明図であり、図8は、浮き上がり防止部材を備えた搬送補助ユニットの斜視図であり、図9は、蛇行防止部材を備えた搬送補助ユニットの斜視図である。
【0028】
本実施例の多機能搬送型コンベヤチェーン100は、図1に示すように、多数のチェーンリンク110がヒンジピン120を介してチェーン長手方向に相互に多数連結するとともに、このチェーンリンク110に物品をチェーン速度の最大2倍で搬送可能な倍速機能と360度の全水平面内で搬送可能な搬送方向転換機能を発揮するボールユニット130とこれらの方向転換機能と倍速機能に相乗して搬送機能を奏する搬送補助ユニット140をチェーン長手方向から挿入装着してなり、平坦な底面を備えた箱状、板状等の物品を載荷して搬送するように構成したものである。
【0029】
なお、図1に示す多機能搬送型コンベヤチェーン100は、上記搬送補助ユニット140の設置形態を説明する都合上、本実施例で用いた搬送補助ユニット140の具体的ユニットとして、搬送する物品のチェーン幅方向の不用意な移動や滑脱を阻止するもの、搬送ラインの搬出域で搬送されてきた物品を移載側へ強制的に払い出すもの、チェーンリンク110の浮き上がりを抑制して安定した物品搬送を実現するもの、チェーンリンク110の蛇行を防止して安定した物品搬送を実現するものを便宜的に全部装備しているが、これらの搬送補助ユニット140の一部だけを取り付け所定位置のボールユニット130と代替して装備しても良い。
【0030】
また、本実施例では、同一リンク幅のチェーンリンク110、110をチェーン幅方向に2列編成して構成しているが、チェーン幅方向を1つのチェーンリンクで構成しても良く、さらに、リンク幅の異なるチェーンリンクをチェーン幅方向に突き合わせてチェーン長手方向に煉瓦積みのように連結して突き合わせ面がチェーン長手方向に整列しないようにしても構わない。
【0031】
ここで、前記チェーンリンク110は、図2および図3に示すように、物品を載荷する物品載荷部111とこの物品載荷部111の前方端縁と後方端縁から千鳥状に突出する複数のヒンジ部112とチェーンリンク連結時にヒンジ部112、112間毎にそれぞれ択一的にチェーン長手方向から挿入装着されるボールユニット130または搬送補助ユニット140を係止して装着する上下一対の係止用突起部113、113と図示しないが通常の駆動側スプロケットなどと噛み合って搬送動力を伝達する噛み合い部114とがエンジニアリングプラスチックと称する合成樹脂によって一体成形されている。
なお、図2および図3における符号115は、ヒンジピン120を挿通するためのピン穴である。
【0032】
前述したボールユニット130は、前述したような物品の搬送方向転換機能及び倍速機能を奏するものであって、図4に示すように、フリーボール131とこのフリーボール131を挟み込んで保持する上下一対のリテーナ132、132とで構成されている。
そして、上下一対のリテーナ132、132は、フリーボール131を回転自在に保持する半球状のボール受け座132aと、フリーボール131をチェーンリンク110の表裏両面に露出させて回動させる開口部132bとを備えている。
なお、図4における符号132cは、上下一対となるU字状のリテーナ132、132を合体させるときの位置決め用突起であり、符号132dは、上下一対のリテーナ132、132を合体させるときに対向する位置決め用突起133cが挿入される盲孔である。
【0033】
また、上下一対となるU字状のリテーナ132、132には、チェーンリンク110のヒンジ部112、112間にチェーン長手方向から挿入装着される際に、チェーンリンク110に設けられた上下一対の係止用突起部113、113に係止される切り欠き部132e、132eと係止用段部132f、132fとで装着用係合部が形成されている。
【0034】
次に、本実施例の多機能搬送型コンベヤチェーン100で用いた搬送補助ユニット140について図5乃至図9に基づいて説明する。
本実施例で用いた搬送補助ユニット140は、前述したように、搬送する物品のチェーン幅方向の不用意な移動や滑脱を阻止するもの、搬送ラインの搬出域で搬送されてきた物品を移載側へ強制的に払い出すもの、チェーンリンク110の浮き上がりを抑制して安定した物品搬送を実現するもの、チェーンリンク110の蛇行を防止して安定した物品搬送を実現するものがある。
【0035】
そして、これらの搬送補助ユニット140は、チェーンリンク110のヒンジ部112、112間に挿入装着して係合するため、前述したボールユニット130の上下一対となるU字状のリテーナ132、132と同一形態の装着用係合部141を備えて、ボールユニット130との互換性を確保して搬送面上に自由自在にレイアウト配置できるため、各種の搬送ニーズに応じた搬送機能形態を創成することができるようになっている。
なお、図5、図6、図8及び図9における符号141eは、チェーンリンク110のヒンジ部112、112間にチェーン長手方向から挿入装着される際にチェーンリンク110に設けられた上下一対の係止用突起部113、113に係止される切り欠き部であり、符号141fは、チェーンリンク110に設けられた上下一対の係止用突起部113、113に係止される係止用段部である。
【0036】
すなわち、図5に示すように、チェーンリンク110のヒンジ部112、112間に挿入装着して係合する装着用係合部141とチェーン長手方向に指向する側板状のサイド規制部材142を備えた搬送補助ユニット140は、サイド規制部材142が搬送する物品をチェーン両側から抱持状態でガードするため、搬送する物品のチェーン幅方向の不用意な移動を規制したり、搬送ライン側方への不用意な滑脱を防止するようになっている。
【0037】
図6に示すように、チェーンリンク110のヒンジ部112、112間にそれぞれ挿入装着して係合する左右一対の離間配置された装着用係合部141、141と掻き板状のスクレーパ部材143を備えた搬送補助ユニット140は、掻き板状のスクレーパ部材143が垂直搬送する際の物品の後ずさりを押し止どめたり、図7に示すように、スクレーパ部材143に角度(θ)をつけることで、横方向に強制的に払い出す他、搬送ラインの搬出域で搬送されてきた物品を移載側へ強制的に払い出すことができるようになっている。
【0038】
図8に示すように、チェーンリンク110のヒンジ部112、112間に挿入装着して係合する装着用係合部141とL字状の浮き上がり抑制部材144を備えた搬送補助ユニット140は、浮き上がり抑制部材144が搬送ラインの両側下部に敷設されているガイドレール(図示せず)の一部を抱持して搬送走行するため、チェーンリンクの浮き上がりを抑制して安定した物品搬送を実現できるとともに、垂直搬送も可能になる。また、チェーンリンクとヒンジピンとの間に生じがちな偏摩耗を回避でき、しかも、浮き上がり搬送に起因する搬送騒音を低減できるようになっている。
【0039】
図9に示すように、チェーンリンク110のヒンジ部112、112間に挿入装着して係合する装着用係合部141と蛇行防止部材145を備えた搬送補助ユニット140は、蛇行防止部材145が搬送ラインの下部に敷設されているU字型断面の誘導レール(図示せず)に抱持されて走行するため、チェーンリンク110の蛇行を防止して安定した物品搬送を実現できるとともに、チェーンリンク110とヒンジピン120との間に生じがちな偏摩耗を回避でき、しかも、蛇行搬送に起因する搬送騒音を低減できるようになっている。
【0040】
なお、本実施例におけるチェーンリンク110、ヒンジピン120、ボールユニット130、搬送補助ユニット140は、いずれも、エンジニアリングプラスチックで成形されており、軽量で使い勝手も良いが、これらは、一般的なプラスチックや金属で形成しても差し支えない。
【0041】
以上のようにして得られた本実施例の多機能搬送型コンベヤチェーン100は、チェーンリンク110の表裏両面に露出して回動するフリーボール131を保持したボールユニット130とこのボールユニット130と代替して装着可能な搬送補助ユニット140が、チェーンリンク連結時に物品載荷部111の前方端縁と後方端縁の何れか一方のヒンジ部間112、112毎にそれぞれ択一的にチェーン長手方向から挿入装着されていることにより、チェーンリンク連結時にボールユニット130と搬送補助ユニット140が不用意に外れることなく簡単にチェーン組みつけ作業を達成でき、また、例えば、磨損したボールユニット130または搬送補助ユニット140を交換する場合であっても磨損したユニット以外のユニットを不用意に脱離させることなく択一的に簡便な交換作業を達成できるとともに、ボールユニット130が奏する方向転換機能と倍速機能に相乗して各種の搬送ニーズに応じた搬送機能を簡便に付加することができるなど、その効果は甚大である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施例である多機能搬送型コンベヤチェーンの概要説明図。
【図2】図1に示すチェーンリンクのリンク表面側からみた斜視図。
【図3】図1に示すチェーンリンクのリンク裏面側からみた斜視図。
【図4】ボールユニットの分解組み立て図。
【図5】サイド規制部材を備えた搬送補助ユニットの斜視図。
【図6】スクレーパ部材を備えた搬送補助ユニットの斜視図。
【図7】スクレーパ部材に角度を付けて取り付けた多機能搬送型コンベヤチェーンの概要説明図。
【図8】浮き上がり防止部材を備えた搬送補助ユニットの斜視図。
【図9】蛇行防止部材を備えた搬送補助ユニットの斜視図。
【符号の説明】
【0043】
100 ・・・ コンベヤチェーン
110 ・・・ チェーンリンク
111 ・・・ 物品載荷部
112 ・・・ ヒンジ部
113 ・・・ 係止用突起部
114 ・・・ 噛み合い部
115 ・・・ ピン穴
120 ・・・ ヒンジピン
130 ・・・ ボールユニット
131 ・・・ フリーボール
132 ・・・ リテーナ
132a・・・ ボール受け座
132b・・・ 開口部
132c・・・ 位置決め用突起
132d・・・ 盲孔
132e・・・ リテーナ側の切り欠き部
132f・・・ リテーナ側の係止用段部
140 ・・・ 搬送補助ユニット
141 ・・・ 装着用係合部
141e・・・ 搬送補助ユニット側の切り欠き部
141f・・・ 搬送補助ユニット側の係止用段部
142 ・・・ サイド規制部材
143 ・・・ スクレーパ部材
144 ・・・ 浮き上がり抑制部材
145 ・・・ 蛇行防止部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載荷する物品載荷部と該物品載荷部の前方端縁と後方端縁から千鳥状に突出する複数のヒンジ部とを一体成形したチェーンリンクがヒンジピンを介してチェーン長手方向に相互に多数連結してなるコンベヤチェーンにおいて、
前記チェーンリンクの表裏両面に露出して回動するフリーボールを保持したボールユニットと該ボールユニットと代替して装着可能な搬送補助ユニットが、チェーンリンク連結時に物品載荷部の前方端縁と後方端縁の何れか一方のヒンジ部間毎にそれぞれ択一的にチェーン長手方向から挿入装着されていることを特徴とする多機能搬送型コンベヤチェーン。
【請求項2】
前記ボールユニットと搬送補助ユニットが、前記ヒンジ部間に挿入装着して係合する同一の装着用係合部を備えていることを特徴とする請求項1記載の多機能搬送型コンベヤチェーン。
【請求項3】
前記搬送補助ユニットが、搬送する物品のチェーン幅方向の移動を規制するサイド規制部材を備えていることを特徴とする請求項2記載の多機能搬送型コンベヤチェーン。
【請求項4】
前記搬送補助ユニットが、搬送する物品を搬出させるスクレーパ部材を備えていることを特徴とする請求項2または請求項3記載の多機能搬送型コンベヤチェーン。
【請求項5】
前記搬送補助ユニットが、前記チェーンリンクの浮き上がり抑制部材を備えていることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載された多機能搬送型コンベヤチェーン。
【請求項6】
前記搬送補助ユニットが、前記チェーンリンクの蛇行防止部材を備えていることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載された多機能搬送型コンベヤチェーン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate