説明

多機能水栓

【課題】 洗面台や浴室等に設置できる多機能水栓を提供すること。
【解決手段】 吐水機能の他に、超音波・水洗浄機能および/または銀イオンコート機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多機能水栓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばワイシャツやブラウスのえり・そでの汚れや、食べこぼしによる醤油やソースのシミなどは、洗濯機でも落ちにくく、また、部分洗い洗剤等を使ってブラッシングなどが行われても落ちにくいことから、超音波デバイスを発振させて得た超音波により衣類等を洗浄する超音波洗浄装置を組み込んだ洗濯機が例えば下記特許文献1に提案されている。
【0003】
また、洗濯した直後は清潔な衣類にも、干している間や着ている間に雑菌が繁殖して、イヤな臭いの原因になっていることから、洗ってすすぐことで衣類を除菌・防臭コートするために、洗濯機に供給する水に銀イオン(Ag+ )を溶け込ますよう構成された銀イオン溶出ユニットが下記特許文献2に提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−117282公報
【特許文献2】特開2001−276484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、例えばワイシャツについた前記シミのみを落としたい場合、わざわざ前記超音波洗浄装置を組み込んだ洗濯機を用いることなく簡易に落とせることができたり、前述したようなイオン溶出ユニットを洗濯機に接続することなく靴下等の衣類に抗菌処理を簡易に施せることができる機構が望まれる。
【0006】
この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、洗面台や浴室等に設置できる多機能水栓を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願人は、前記課題を解消するにあたり、通常洗濯機が隣接して配置されることが多い洗面台に注目するとともに、洗面台の中でも、図6(A)に示すように、例えばシャワヘッド70が設置されたタイプのものに注目した。この洗面台の洗面ボールの周部面板71〔図6(A),(B),(C)参照〕には二つの貫通孔H,hが設けられており、これら二つの貫通孔H,hのうち湯水混合水栓Sが設けられている貫通孔Hとは別の、シャワーヘッド70の保持部72が設けられている貫通孔hに、前記保持部72に代えて超音波・水洗浄機能と銀イオンコート機能を持つ装置を設置できるか否かを検討した。
かくして、この発明は、吐水機能の他に、超音波・水洗浄機能および/または銀イオンコート機能を有することを特徴とする多機能水栓を提供する。
【発明の効果】
【0008】
この発明では、吐水機能の他に、超音波・水洗浄機能および/または銀イオンコート機能を有するので、例えばワイシャツについたシミのみを落としたい場合、わざわざ前記超音波洗浄装置を組み込んだ洗濯機を用いることなく簡易に落とせることができるとともに、銀イオンが溶け込んだ水で靴下等の衣類に抗菌処理を簡易に施すことができ、通常抗菌処理を施す必要のない衣類とは別に洗濯できるという利便性がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施形態を、図を参照しながら説明する。なお、それによってこの発明は限定されるものではない。
【0010】
図1〜図4は、洗面台の例えば洗面ボールの周部面板に設けたこの発明の一実施形態を示す。
図1〜図4において、1は、洗面台で、洗面ボール2の周部面板3には、前述した図6に示したような二つの貫通孔H,hが左右方向に適宜間隔を有して設けられている。これら二つの貫通孔H,hのうち、正面向かって右側の貫通孔Hには、図6に示したタイプの湯水混合水栓Sが設けられている。4は、湯水混合水栓Sに設けた操作部材(シングルレバー)で、洗顔、手洗いなどのために使用する混合水の温度および流量を調整するためのものである。そして、湯水混合水栓Sは、操作部材4のみが周部面板3の上面に露出する形で配置されている。
【0011】
また、二つの貫通孔H,hのうち、正面向かって左側の貫通孔hには、通常の吐水機能の他に、超音波・水洗浄機能および/または銀イオンコート機能を備えた装置5が設けられている。前記超音波・水洗浄機能が、汚れを落とすために、対象物である例えばワイシャツのえりなど、汚れのひどい部分に水を与えながら超音波を照射するものであり、また、前記銀イオンコート機能が、銀イオンが溶け込んだ水に浸漬して例えば靴下などの対象物を除菌・防臭コートするために、給水中に銀イオンを発生させるものである。
【0012】
前記装置5は、前記混合水を吐出する給水チューブ6と、例えばワイシャツのえりなど、汚れのひどい部分に供給する水を吐出する給水チューブ7と、洗面ボール2に溜める、銀イオンが溶け込んだ水を吐出する給水チューブ8とを有する。6aは給水チューブ6の吐出口である。また、8aは給水チューブ8の吐出口である。また、前記給水チューブ7は、先端(下流端)が二股の注水部7a,7aとなっており、各注水部7a,7aは先端にそれぞれ吐出口7bを有する。そして、これら給水チューブ6,7,8は、装置5のハウジング5a内に配管された状態で、前記貫通孔hに取り付けられた被覆管9内に挿通されている。前記給水チューブ6の上流端は、第1の電磁弁(図示せず)を介して、水栓本体Rから引き出された湯水混合水の流路を形成するパイプP〔図6(C)参照〕に接続されている。前記給水チューブ7の上流端は、湯水混合水栓Sに水を供給する水配管A〔図6(B)参照〕を途中で分岐させてなる水・分岐管(図示せず)の下流端に、第2の電磁弁(図示せず)を介して接続されている。なお、前記給水チューブ7の上流端を、前記パイプPを途中で分岐させてなる混合水・分岐管(図示せず)の下流端に接続してもよい。また、給水チューブ8の上流端は、銀イオン溶出ユニット(銀イオン水生成器)(図示せず)を介して、前記水・分岐管に接続されており、更に、銀イオン溶出ユニットは第3の電磁弁(図示せず)を介して前記水・分岐管に接続されている。なお、銀イオン溶出ユニットを介して、給水チューブ8の上流端を前記混合水・分岐管に接続してもよい。前記銀イオン溶出ユニットは、ケース内に2枚の板状電極が所定間隔を置いて配置されている。前記電極は、抗菌性を有する金属イオンのもとになる金属、すなわち、銀を含む。前記銀イオン溶出ユニットは、上述したように、給水チューブ8と前記水・分岐管(あるいは前記混合水・分岐管)との間に設けられる。
【0013】
10は、T字型の振動ホーンである。そして、前記注水部7a,7aは、振動ホーン10の両側に配置されており、ヘッド部11の両側に水を注ぐよう構成されている。ヘッド部11の直下には、ワイシャツのえりなどが載置されるトレイ12が設けられている。そして、トレイ12に載せたワイシャツのえりの汚れのひどい部分に、水を与えながら超音波が照射される。このとき注水部7a,7aからでた水は、ハウジング5aの前記吐出口7b,7bに対応する位置に設けたスリット15,15を通って汚れのひどい部分に至る。
13は、振動素子を含む加振部で、この加振部13に前記振動ホーンが取り付けられている。そして、振動ホーン10、加振部13とから超音波デバイスが構成されるとともに、振動ホーン10、加振部13、トレイ12、給水チューブ7および前記第2の電磁弁とから主として超音波・水洗浄部が構成されている。超音波デバイスは、配線を介して制御回路部(図示せず)に電気的に接続されている。前記制御回路部は超音波デバイスの超音波発振回路も含むものであり、ハウジング5a内に設けられる。また、ハウジング5aの適所には、通常の吐水モード(混合水モード)、超音波・水洗浄モード、銀イオンコートモードのいずれかを選択可能な操作パネル(図示せず)が設けられており、超音波・水洗浄モードを選択した場合前記操作パネルからの操作指令を受けて、前記制御回路部は前記超音波デバイスの駆動と前記第2の電磁弁の開閉を制御したり、また、前記第1の電磁弁あるいは第3の電磁弁の開閉を制御したりするよう構成されている。
【0014】
而して、操作部材4を例えば混合水がでるように操作した上で、使用者が操作パネルの通常の吐水モードを選択すると、第2,3の電磁弁は閉じたまま第1の電磁弁が開かれ給水チューブ6を通って吐出口6aから混合水を吐出させることができる。また、操作部材4を水がでるように操作した上で、使用者が操作パネルの超音波・水洗浄モードを選択すると、第1,3の電磁弁は閉じたまま第2の電磁弁が開かれ給水チューブ7を通って吐出口7bおよびスリット15から水を吐出させることができるとともに、超音波デバイスを駆動させることができる。また、操作部材4を水がでるように操作した上で、使用者が操作パネルの銀イオンコートモードを選択すると、第1,2の電磁弁は閉じたまま第3の電磁弁が開かれ給水チューブ8を通って吐出口8aから銀イオンが溶け込んだ水を吐出させることができる。
【0015】
図5は、前記トレイ12を二つに分割してトレイ部分12a,12aを形成し、トレイ部分12a,12a間に形成される隙間20に給水チューブ8の先端部8bを挿通させたこの発明の他の実施形態を示す。なお、図5において、図1〜図4で用いた符号と同一のものは同一または相当物である。
【0016】
なお、上記実施形態では通常の吐水機能の他に、超音波・水洗浄機能および銀イオンコート機能を有するものを示したが、この発明は、通常の吐水機能の他に、超音波・水洗浄機能を有するもの、また、通常の吐水機能の他に、銀イオンコート機能を有するものにも適用できる。更に、この発明は浴室等にも適用できる。例えば浴室において銀イオンコート機能があると、浴槽に銀イオンが溶け込んだ水を流し込み、足を洗ったりでき、足の除菌・防臭に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の一実施形態を示す要部構成説明図である。
【図2】上記実施形態を示す要部斜視図である。
【図3】上記実施形態を示す斜視図である。
【図4】上記実施形態の使用状態を示す斜視図である。
【図5】この発明の他の実施形態を示す要部構成説明図である。
【図6】洗面台の洗面ボールの周部面板に設置されたシャワ装置を示し、(A)は、シャワヘッドを示す断面図、(B)は、シングルレバー式の湯水混合水栓を正面側からみた図、(C)は、シングルレバー式の湯水混合水栓の断面図である。
【符号の説明】
【0018】
5 装置
6,7,8 給水チューブ
10 振動ホーン
12 トレイ
13 加振部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水機能の他に、超音波・水洗浄機能および/または銀イオンコート機能を有することを特徴とする多機能水栓。
【請求項2】
超音波・水洗浄機能が、汚れを落とすために、対象物に水を与えながら超音波を照射するものである請求項1に記載の多機能水栓。
【請求項3】
銀イオンコート機能が、銀イオンが溶け込んだ水を用いて対象物を除菌・防臭コートするために、水中に銀イオンを発生させるものである請求項1または請求項2に記載の多機能水栓。
【請求項4】
洗面台に設けられる請求項1〜請求項3のいずれかに記載の多機能水栓。
【請求項5】
浴室に設けられる請求項1〜請求項3のいずれかに記載の多機能水栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−9273(P2006−9273A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183980(P2004−183980)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000144072)株式会社三栄水栓製作所 (111)
【Fターム(参考)】