多機能被加工品クランプ装置
【課題】相互に作用する複数のクランプ部品からなる多機能クランプ装置を提供すること。
【解決手段】多機能被加工品クランプ装置は、相互に作用する複数のクランプ部品からなる。前記多機能被加工品クランプ装置は、X軸クランプねじ、Y軸クランプねじ、延長ブロック、Lリンク、ベンチレスト、接合Vブロック及びVパッドのようなクランプ部品が様々な形態に螺合され又は滑動可能に組み合わされるJバーを基部とする。前記多機能被加工品クランプ装置は、圧縮又は拡張による締め付け用、同時に又は順次に行われる1又は複数の軸に沿った締め付け用、2以上の被加工品相互の様々な位置での締め付け用、及び例えば、溶接、木工、機械加工又は機械的修理のような様々な技術における被加工品の締め付け用に構成される。
【解決手段】多機能被加工品クランプ装置は、相互に作用する複数のクランプ部品からなる。前記多機能被加工品クランプ装置は、X軸クランプねじ、Y軸クランプねじ、延長ブロック、Lリンク、ベンチレスト、接合Vブロック及びVパッドのようなクランプ部品が様々な形態に螺合され又は滑動可能に組み合わされるJバーを基部とする。前記多機能被加工品クランプ装置は、圧縮又は拡張による締め付け用、同時に又は順次に行われる1又は複数の軸に沿った締め付け用、2以上の被加工品相互の様々な位置での締め付け用、及び例えば、溶接、木工、機械加工又は機械的修理のような様々な技術における被加工品の締め付け用に構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多機能被加工品クランプ装置に関し、より詳細には、クランプ装置の機能を、従来、異なる複数のクランプ装置が必要とされていた範囲へ拡張する、複数の部品からなる1つのクランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本願は2004年10月28日付けで出願された米国仮出願第60/623、618号に基づく優先権を主張する。
【0003】
長年、製造業において、1つの目的のための複雑なクランプ固定具が広く用いられている。そのようなクランプ固定具は、1つの目的のために1つの固定された形態に組み立てられており、他の機能を有しない。従来、多くの多目的クランプ装置が提案されている。前記多目的クランプ装置は、Y軸クランプ機能を有するCクランプを含み、また、異なる形状の被加工品に適合するように様々なリンク及び回転ブロックを含む。例えば、Romine 2,610,661、Hewat 2,642,905、Yang 4,962,918、Gurule 5,697,601及びPinkous 5,893,553を参照すると、圧縮だけでなく拡張により締め付けるクランプ装置が提案されている。例えば、Driscoll 3,934,316を参照すると、クランププレート又は成形したブラケットが、クランプねじと相対する、Cクランプのジョーに螺合されているクランプ手段が提案されている。例えば、Penny 5,135,209を参照すると、Cクランプのベンチレストが提案されている。例えば、McCarty 4,363,475を参照すると、調節可能なVパッドが提案されている。例えば、Stanley 4,134,578を参照すると、様々な形状の被加工品を相互に角度をつけて締め付けるための様々なクランプ手段が提案されている。例えば、Howe 5,992,836、Hall 5,718,419及びKutzleb 5,482,263を参照すると、提案された多くの手段が、例えば、溶接、木工等のような1つの技術に特に適している。提案された従来の多目的の手段は欠点を伴う。従来の手段の主な欠点は、いずれのクランプ装置も機能が限定されていることである。様々な機能の達成には様々なクランプ装置が必要とされる。すなわち、従来の手段は、最初に、1つの機能を果たすように構成し、その後、異なる機能を果たすように再構成することができない。一般に、様々な機能を達成するために様々なクランプ装置を用意しなければならない。このため、異なるクランプ装置のための多くの費用及び保管場所を要する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来技術の上記の問題点及び他の問題点を克服する。
【0005】
本発明は、現在の技術の状況に応えて、特に、今日到達している技術により完全に解決されていない問題点や要求に応えて開発された。このため、本発明の全般的な目的は、前記した問題点や欠点を効果的に解決することである。より詳細には、本発明の目的は、相互に作用する複数のクランプ部品からなる多機能クランプ装置を提供することである。また、本発明の目的は、他のクランプ部品が様々な形態に螺合される又は滑動可能に組み立てられるJバーを基部とした多機能クランプ装置を提供することである。さらに、本発明の目的は、拡張又は圧縮による締め付け、同時に又は順次に行われる1又は複数の軸に沿った締め付け、1以上の被加工品の締め付け、2以上の被加工品相互の様々な位置での締め付け、及び例えば、溶接、木工、機械加工、機械的修理等のような様々な技術における被加工品の締め付けのために構成することができる多機能クランプ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る装置の部品は、様々な作業を容易にする目的で被加工品に2以上の方向からクランプ力を作用させるために、異なる多くの方法で組み立てることができる。前記部品は、該部品がすぐに再利用できるように、他の部品及び様々な他の物と取外し可能に組み立てられる。前記部品の取外し可能な組立てにより、前記装置の多様性が大幅に向上する。所望のクランプ目的を満足に達成させるためには、前記部品が、確実な締め付けを実現する機能を果たすことが必要とされる。様々な形態においてそのような確実な締め付けを実現するためには、前記部品が、目的どおり機能するように慎重に選択されまた設計されることが必要とされる。最少数の部品で様々な形態を作る柔軟性を提供することにより、前記装置の機能が、様々な部品により個別に提供されるもの以上に大幅に向上する。本出願には、説明のために、可能性のある多くの形態のうちのいくつかが示されている。これらは、本発明に係るクランプ部品が組立て可能な他の多くの形態を当業者に示唆するものである。
【0007】
本発明の実施のために考えられる現在の最良の形態を説明する、多機能被加工品クランプ装置の好適な実施例が、添付の図面により又は該図面を参照して示される。実施例は、本発明が具体化される可能性のある様々な形態及び変更の全てを示すことを意図せずに詳細に説明される。本明細書に示されまた記載された実施例は、説明のためであり、本発明の精神及び範囲を逸脱しない範囲内で多くの方法で変更される場合があることは当業者には明らかであり、本発明は、図面又は明細書の詳細により判断されるのではなく、添付の特許請求の範囲により判断される。
【0008】
本明細書に記載した基本的な装置が多くの用途に適用可能であることは、当業者には明らかである。添付の特許請求の範囲は、開示された具体例を参照するために用いられた言語が限定される場合があるとしても、開示された本発明の精神及び範囲と一致した広い範囲で認められる。図面の参照は、本発明及びその最良の形態の例示のためであり、限定のためではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図面において、同一の参照符号は同一の又は対応する部分を示す。図面が、本発明の様々な実施例の図表示であり、本発明を限定するものと解釈されないことは明らかである。具体的な実施例に関する語句や表現の使用は、その語句や表現の意味をそれらの具体的な実施例に限定することを目的としない。語句や表現は、具体的な定義が詳細に説明されていない限り、通常の意味を有するものとする。本明細書において、「被加工品」という用語は、製造中の原材料、クランプ部品、工具、基板、計測機器等の全てのものを含むものとする。
【0010】
図1に示すように、Jバークランプ部品10は、レールアーム162と、延長脚164とを含む。延長脚164の一端部に、ねじ穴177が貫通する留め具取付け用部分を有するパッド176が形成されている。ねじ穴177の縦軸は、好ましくは、レールアーム162の縦軸と軸方向に整列されている。レールアーム162の他端部に戻り止め210が設けられている。戻り止め210は、Jバー10と組み合わされた形態においてレールアーム162に滑動可能に取り付けられた他のクランプ部品を取外し可能に保持する機能を果たす。Jバー10は、本発明に係る多機能被加工品クランプ装置の骨格としての機能を果たす。前記クランプ装置の他の部品は、通常、ねじ穴177にねじ部品で取り付けられるか、又はレールアーム162に滑動可能に取り付けられる。図16、17、18に示すように、複数のJバー10を使用することにより、前記クランプ装置の機能が増す。
【0011】
滑りクランプアーム部品12は、X軸クランプねじ部品14とともに、Jバー10と組み合わされたときに調節可能なCクランプ機能を提供する(図1)。レールアーム162は、通常、矩形の断面形状を有し、レールアーム162に滑動可能に取り付けられる部品は取付け用通路を有する。取付け用断面は、前記部品をレールアーム162の縦方向に滑動させている間、前記部品がレールアーム162の縦軸に関して回転するのを防止する機能を果たす。必要に応じて、他の回転防止用の断面を用いることもできる。例えば、関連する部品の取付け用断面が、前記部品をレールアーム162の縦方向に滑動可能にすることに適合する場合において、放射状に伸びる延長キー又は放射状に突出するリブを有する円形の断面、卵形の断面等を有するレールアームを用いることができる。レールアーム162は、通常、ほぼ直線状である。通常、滑動可能に取り付けられた部品をレールアーム162の縦方向の固定位置に固定するため、クランプ力を作用させることにより、前記部品をレールアーム162に締め付ける。必要に応じて、追加の解除可能な位置固定部品を設けることができる。例えば、蝶ねじを用いることができる。
【0012】
X軸クランプ用部品14は、滑りクランプアーム部品12を介してレールアーム162に滑動可能かつ取外し可能に取り付けられる(図1)。X軸クランプ用部品14は、通常、レールアーム162の縦軸に対してほぼ平行に、角度をつけてクランプ圧力を作用させる機能を果たす。X軸クランプ用部品14は、例えば、該X軸クランプ用部品からパッド176の領域へ向けて伸びるコーン内に存在する他の角度でクランプ圧力を作用させるように取り付けることができる。通常、クランプ圧力は手動ねじを用いて生じさせるが、必要に応じて、例えば、クランプ力の発生源として液圧シリンダーのような他の手段を用いることができ、X軸クランプ用部品を電気モーター、空気モーター、液圧モーター等により調節し又は作動させることができる。
【0013】
レールアーム162にY軸クランプ用部品16(図1、2)が滑動可能かつ取外し可能に取り付けられる。Y軸クランプ用部品16は、図18に示すように、通常、レールアーム162の縦軸に対してほぼ垂直な角度でクランプ圧力を作用させるために機能する。Y軸クランプ用部品16は、例えば、該Y軸クランプ用部品からねじ穴177の縦軸へ向けて伸びるコーン内に存在する他の角度でクランプ圧力を作用させるように取り付けることができる。通常、1以上の手動ねじを用いてクランプ圧力を生じさせ、また調節を行うが、必要に応じて、例えば、クランプ力の発生源として液圧シリンダーのような他の手段を用いることができ、Y軸クランプ用部品を電気モーター、空気モーター、液圧モーター等により調節し又は作動させることができる。
【0014】
例えば、2つの円筒形の被加工品間の接合を容易にするため、接合Vブロッククランプ部品が、前記被加工品を受け入れ、これらを所定の角度で保持する機能を果たす。直線状の接合Vブロック部品18(図1、4)は、1以上のJバーにねじで取り付けられるか、又はベンチ若しくは他の基板若しくは部品に取り付けられる。角度のついた接合Vブロック部品20(図1、3)は、1以上のJバーにねじで取り付けられるか、又はベンチ若しくは他の基板若しくは部品に取り付けられる(図17)。接合Vブロック部品は、通常、2つのVブロックパッドを含む。一方のVブロックパッドは一方の被加工品を保持し、また他方のVブロックパッドは他方の被加工品を保持する。一般に、目的は、2つの被加工品を相互に所定の角度で保持することである。前記Vブロックパッドは、前記被加工品間に不変又は可変の角度を規定するように前記Vブロッククランプ部品に取り付けられたものとすることができる。
【0015】
例えば、2以上のJバーを相互に所定の角度で取り付けることを目的として、様々な長さのLリンク部品が設けられている。短いLリンク部品22及び長いLリンク部品32(図1、5、8)は、ねじ穴177にねじで取り付けられて、2以上のJバーを相互に垂直に取り付けることに用いられる(図12、16)。Lリンク部品22、32は、ベンチ、他の支持面、他の工具部品等にJバーを垂直に取り付けることにも用いられる。Lリンク部品は、必要に応じて、約90度以外の角度で伸びるアームを備えるものとすることができる。
【0016】
1以上の被加工品クランプ機能を生じさせるのに必要な固定された作業台を提供するため、ベンチレストが、通常、Jバーをベンチ又は他の支持面に取り付ける機能を果たす。閉じられたベンチレスト24及び開放されたベンチレスト26(図1、6、7)は、ベンチ又は他の基板に取り付けられ、レールアーム162を受け入れる(図14、15)。開放されたベンチレスト26では、レールアーム162は、ベンチレスト26の開放された通路内に落とされ、例えば蝶ねじにより前記通路内に固定される。閉じられたベンチレスト24では、レールアーム162は、閉じられた通路に通される。前記開放されたベンチレストは、前記クランプ装置が、1つの位置で被加工品の締め付けに用いられ、その後、追加の操作を行うために、被加工品クランプ組立体が前記開放されたベンチレストに取り付けられるベンチへ移動される状況に特に適している。前記閉じられたベンチレストは、前記Jバーが前記閉じられたベンチレストを介して前記ベンチに取り付けられている間に被加工品クランプ組立体が形成される状況に適している。
【0017】
Jバー10、他の部品等に、例えばねじ穴177を介して延長ブロック部品28(図1、10)が螺合される。延長ブロック部品28は、図11、13に示すように、パッド176のいずれの側にも取り付けることができる。延長ブロック部品28は、通常、その一端部にねじ穴を有し、該ねじ穴は、延長ブロック部品28の他端部にあるねじスタッドと軸方向に整列されている。通常、延長ブロック部品28は、被加工品の形状が、前記クランプ装置の一部が前記被加工品に接触しかつクランプ機能を妨げるような形状である場合に前記被加工品の締め付けを容易にするために用いられる。延長ブロック部品28は、スペーサー(図12)及び取付け用部品(図14)の両方として機能する。延長ブロック部品28を介してJバーをベンチ又は他の基板に支持することができる(図14)。より長い長さが必要とされる場合、延長ブロック部品28を螺合して重ね合わせることができる。
【0018】
他のクランプ部品(図16)又は他の基板にVパッド部品30(図1、9)が螺合される。Vパッド部品30は、複数の形態において、締め付けられた被加工品と組み合わされた状態でVパッド部品30を保持するためにクランプ圧力以外必要としない(図15)。Vパッド部品30の被加工品接触パッドは、前記被加工品接触パッドが、凹面、平面、凸面又はこれらの組み合わせである被加工品の形状に適合するようにクランプ圧力下で自動的に調節されるようにするため、回転可能に取り付けられている。図示したように、前記被加工品接触パッドは1つの軸に関してのみ回転する。当業者には明らかであるように、前記パッドは、必要に応じて、全方向の位置決めを可能にするため、1つの点に関して回転するように取り付けられたものとすることができる。
【0019】
滑りクランプアーム部品12は、レール受入れ用端部172と、ねじ取付け用端部170との間に伸びるアーム168を含む(図11)。滑りクランプアーム部品12は、通常、Jバーに滑動可能に取り付けられる。X軸クランプ用部品14は、クランプ用ねじの端部に取り付けられた従来の旋回脚パッド174を含む。前記X軸クランプ用ねじは、滑りクランプアーム部品12のねじ取付け用端部170に螺合されている。脚パッド174と被加工品との間の距離の粗調整は、一般に、クランプアーム12のレール受入れ用端部172を、脚パッド174が前記被加工品に接触するまでレールアーム162に沿って滑動させることによりなされる。アーム168のねじ取付け用端部170にある前記X軸クランプ用ねじを手動で回転させることにより、微調整がなされ、クランプ力を作用させる。前記X軸クランプ用ねじのねじ操作により生じ、アーム168に作用する前記クランプ力により、レール受入れ用端部172のレール通路はレールアーム162に対して動かないようになる。このため、アーム168はレールアーム162の所定の位置に固定される。前記被加工品へのクランプ力を解除することにより、アーム168は、レールアーム162に対して滑動されるように解放される。
【0020】
Y軸クランプ用部品16(図1、2)は、第1レール34と、第2レール36と、レール取付け用ブロック38と、拘束ナット44と、クランプねじ用ナット46と、Y軸クランプ用ねじ48とを含む。Y軸クランプ用部品16は、通常、Jバーに滑動可能に取り付けられる。拘束ナット44は第1レール34及び第2レール36の端部に溶接されている。拘束ナット44にねじ操作ハンドル組立体43が螺合されている。組立体43は、該組立体を拘束ナット44に螺合させる動きによりレール取付け用ブロック38が第1レール34と第2レール36との間においてそれらのレールの一端部と他端部との間で滑動するように、レール取付け用ブロック38に取り付けられている。Y軸クランプ用ねじ48は、Y軸クランプ用部品16の縦軸に沿った軸方向の移動のためにクランプねじ用ナット46に螺合されている。蝶ねじ42は、第1レール34及び第2レール36の一端部と他端部との間でレール取付け用ブロック38とともに移動されるように、レール取付け用ブロック38のねじ穴(図示せず)に螺合されて受入れられている。蝶ねじ42は第1レール34の調節スロット40内で移動される。蝶ねじ42及びレール取付け用ブロック38が所定の位置に固定されるように、必要に応じて、蝶ねじ42にジャムナットが設けられている。Y軸クランプ用ねじ48は、該Y軸クランプ用ねじの端部のパッドを被加工品に接触させるようにねじで調節することができる。組立体43をねじ操作することにより、前記被加工品にクランプ圧力を作用させ、また前記被加工品からクランプ圧力を除去することができる。レールアーム162はレール取付け用ブロック38の通路を経て滑動可能に伸びる。前記Y軸クランプ用部品は、通常、レールアーム162の縦軸に対してほぼ垂直にクランプ圧力を作用させる。
【0021】
接合Vブロック部品18、20は、固定部材を介して他のクランプ部品、被加工品、他の基板等に取り付けられる(図3、4)。接合Vブロック部品は、通常、被加工品が接合される場合に前記被加工品に用いられる。前記接合Vブロック部品は単なる接合作業に限定されない。角度のついた接合Vブロック20は、第1Vブロック54及び第2Vブロック56が取り付けられたベース部材50を含む。第1Vブロック54及び第2Vブロック56は相互に約90度の角度でベース部材50の取付け穴57、59に取外し不可能に取り付けられている。必要に応じて、第1Vブロック54及び第2Vブロック56の一方又は双方は、回転可能に取り付けられたものとすることができる。ベース部材50は、支持面に面するように用いられ、かつ該支持面にサポート取付穴53、55を介して取り付けられる支持フランジ52を含む。取付穴57、59は、接合Vブロック部品20をサポートに取り付けるために用いられる。通常、サポート取付け穴53、55は、接合Vブロック部品20をベンチ又は他の基板に取り付けるために用いられ、取付穴57、59は、ねじ部品を用いて接合Vブロック部品20をJバーに直接又は間接的に取り付けるために用いられる(図17)。サポート取付け穴53、55及び取付穴57、59は、円形の穴である図示の例に代え、図4に示した取付穴のように、調整を目的とした細長い穴とすることもできる。第1Vパネル58は、上縁部にV字形のノッチが形成されている。このノッチは、被加工品、特に円形の被加工品を第1Vパネル58と噛み合わせ、かつ該被加工品を第1Vパネル58の中央に位置付ける機能を果たす。第2Vパネル60は、第1Vパネル58と相対しており、上縁部にVノッチを有する。第1Vパネル58及び第2Vパネル60は、被加工品と噛み合い、該被加工品が横方向及び縦方向の双方の中央に位置するようにする。第2Vブロック56のVパネルも同様に機能する。直線状の接合Vブロック18は、被加工品を相互に縦軸方向に整列させて保持するために用いられる点を除いて、角度のついた接合Vブロック20と同様に形成されており、実質的に同じ機能を果たす。取付け用フランジ64は、ベース部材62に形成され、穴61に取り付けられる固定部品により基板に取り付けられる。第1Vブロック68及び第2Vブロック70は被加工品を支持するために機能する。第1Vパネル72及び第2Vパネル74は、第1Vブロック68の相対する縁部に形成され、図3における、対応するVパネルとしての機能を果たす。第2Vブロック70は第1Vブロック68と同様に機能する。
【0022】
Lリンク部品22、32(図5、8)は、クランプ部品、基板、工具、被加工品等の間の接続具として用いられる(図12、16)。Lリンク部品22、32は、通常、少なくとも1つの解除可能な固定部品を用いて他の部品と組み合わせられる。長い脚78、120は、それぞれ、短い脚76、122に対してほぼ直角に接続されている。取付穴80、82、84、124、126、128、130、132は、適当な固定部品を用いてLリンク部品22、32を該Lリンク部品が取り付けられる物に取り付けるために用いられる。Lリンク部品22、32は、他のクランプ部品のために直角をなす機能を提供するためにJバーに直接又は間接的に取り付けられる。
【0023】
図6に示すように、閉じられたJバー取付け用ベンチレスト部品24は、例えば、Jバーをベンチ、他の基板等における固定された作業台に取り付けるために用いられる(図15)。閉じられたベンチレスト部品24はJバーに滑動可能に取り付けられる。閉じられたベンチレスト部品24は、レール受入れポート96を有するレール取付け用ブロック90を含む。レールアーム162をねじ止めするため、レール取付け用ブロック90の側壁に蝶ねじ98が螺合されている。蝶ねじ98が締め付けられたとき、蝶ねじ98はレールアーム162をレール受入れポート96に固定する。蝶ねじ98は、締め付け用固定ナット100により所定の位置に固定されたものとすることができる。蝶ねじ98は、Jバーを、閉じられたベンチレスト部品24が取り付けられた基板に固定した状態で保持する。基板、他の工具部品、工具等への取付けは、通常、ねじ、リベット等のような固定部品を取付け用脚86、88の取付穴92、94に挿入することによりなされる。
【0024】
図7に示すように、開放されたJバー取付け用ベンチレスト部品26は、例えば、Jバーをベンチ、他の基板等における固定された作業台に取り付けるために用いられる(図15)。開放されたベンチレスト部品26は、通常、Jバーのレールアームが通路114内に落とされて前記Jバーと組み合わされる。このため、開放されたベンチレスト部品26は、ベンチ、他の工具部品、工具等に固定された状態を維持し、前記Jバーは、必要に応じて、迅速に取り付け及び取外しをすることができる。開放されたベンチレスト部品26は、ベンチに接触する脚102、104の穴110、112に挿入される固定部品により前記ベンチに取り付けられる(図14)。開放されたベンチレスト部品26にJバーを固定するため、蝶ねじ116及び関連する固定ナット又は拘束ナット118が設けられている。
【0025】
図10に示すように、延長ブロック部品28は、スペーサー又は延長部品として用いられ、ねじスタッド156、又は該ねじスタッドが突出する表面154と反対側に位置する、延長ブロック部品28の端部のねじ穴(図示せず)に螺合されたねじ部品により、ねじ穴177に螺合される。前記ねじ穴は、通常、ねじスタッド156と軸方向に整列されている。表面154は、Jバーパッド176、又は延長ブロック部品28が取り付けられる他の表面に面するように用いられる。本体152は、円形の貫通孔を有する物に取り付けるためだけではなく、製造を容易にするためにも、円柱形であることが好ましい。フランジ160は、カラー158を設けるように本体152に段差を形成する。カラー158は、延長ブロック部品28をJバー、他の工具部品、基板等に螺合するために延長ブロック部品28を握るのに便利な方法を提供する。カラー158の外周縁部は、必要に応じて、握りやすいように刻み目が付けられたものとすることができる。
【0026】
図9に示すように、Vパッド部品30は、ねじ、リベット等のような適当な固定部品を用いてクランプ部品又は他の物に直接又は間接的に取外し可能に取り付けられる。Vパッド部品30は、この装置の他の多くの部品と同様に、クランプ力のみにより、組み立てられた形態に保持することができる。様々な部品のためのこのクランプ力組立体手段は、迅速な一時的な使用の形態をなす場合に好ましい。この装置の適応性は、様々な部品とともにそのような多くの形態が可能であるということである。取り付けは、例えば、ヨーク134の取付穴138及び取付け用スロット136を用いてなされる。回転Vパッド142、150は、回転ピン144、146によりヨーク148に回転可能に取り付けられている。回転Vパッド142、150は、通常、取付け用ブラケット148、140を介して取り付けられている。回転Vパッド142、150は単独で回転する。
【0027】
図19に示すように、戻り止め210はレールアーム162の前記他端部に形成されている。戻り止め210は、ガイドスロット214内で回転する回転ピン216に回転可能に取り付けられたばねバイアスタングを含む。ばね保持具220により保持されたコイル圧縮ばね218は、バイアスタング212を保持位置へ偏らせる。ばね218の力に抵抗してバイアスタング212を押し下げることにより、レールアーム162に滑動可能に取り付けられる部品と噛み合わない位置までバイアスタング212をスロット214内へ移動させる。部品が、レールアーム162の前記一端部から前記他端部へ移動されるようにレールアーム162に滑動可能に取り付けられるとき、前記部品自体を前記タングの後部に接触させ、これにより前記タングが前記部品との噛み合いから免れるようにする。レールアーム162の前記他端部へ滑動させた部品を解放するためには前記タングを手動で押し下げなければならない。前記部品の解放には、該部品を解放するために操作者が積極的に関与しなければならない。
【0028】
図11に示す例では、本発明に係る装置を用いて2つの被加工品が締め付けられており、Jバーパッド176に延長ブロック28を取り付けることにより、凹状の被加工品180が提供されている。被加工品178は、X軸クランプ用部品の作用により被加工品180に押し付けられている。旋回パッド174は、被加工品178、180の厚さのわずかなテーパーに自動的に適合する。
【0029】
図12に示す例では、2つのJバー部品が用いられている。前記Jバー部品は長いLリンク部品32を介して結合されており、被加工品182は、クランプ操作が望ましい場合を除いて、2つの延長ブロック28を用いて前記Jバー部品から間隔を置かれている。延長ブロック28は、ねじスタッド156によりJバーパッド176のねじ穴177に取り付けられている。Lリンク部品32は、ねじ部品181により延長ブロック28のねじ穴(図示せず)に取り付けられている。結合された2つのJバーの使用は、被加工品182に対して強力な操作を行えるように、非常に強固なクランプ用の配置を提供する。
【0030】
図13に示す例では、本発明に係る装置の部品は、フレーム184の中で斜材186、188が反対方向に力を受けている拡張クランプ用の形態に組み立てられている。
【0031】
図14に示す例では、延長ブロック28が前記装置の支持具として機能しており、また、Jバーの脚164が、開放されたベンチレスト26の通路内に受け入れられている点を除いて、図11に示した例と同様に、2つの被加工品が締め付けられている。この形態では、被加工品190、192を離れた位置で締め付けることができ、クランプ被加工品組立体を、例えば、ベンチのような、開放されたベンチレスト26が取り付けられた所定の作業台へ移動させることができる。脚164が前記ベンチレストに固定されているとき、前記作業台で前記被加工品に対して1以上の操作を行うことができる。
【0032】
図15に示す例では、Jバーのレールアーム162は、閉じられたベンチレスト24に滑動可能に取り付けられ、蝶ねじ98により、閉じられたベンチレスト24に固定されている。これにより、固定された作業台が提供される。被加工品194は前記作業台に持ち込まれ、該作業台で締め付けられる。前記被加工品の形状が円筒形であるため、Vパッド30が用いられている。Vパッド30は、旋回脚パッド174と前記被加工品との間で単に締め付けられている。
【0033】
図16に示す例では、2つの被加工品198、200が、一方の被加工品を他方の被加工品に接続できるように、所定の位置に締め付けられている。2つのJバーが用いられている。前記JバーはLリンクを介して結合されている。前記Lリンクはねじ穴177にねじ部品で取り付けられている。前記Lリンクを取り付けている前記ねじ部品により一方のJバーにVパッド30が取り付けられている。
【0034】
図17に示す例では、角度のついた接合Vブロックが2つのJバー10に用いられている。前記Jバーは適当な固定部品によりVブロックに固定されている。被加工品202、204は、相互に直角をなすように締め付けられ、その状態で保持されている。
【0035】
図18に示す例では、2つのJバー10が用いられており、各Jバーは、本発明に係る装置のY軸に沿ってクランプ力を作用させるため、Y軸アタッチメント16を有する。前記クランプ力は被加工品208を被加工品201の縁部に合致させる。
【0036】
前記した事項は好適な実施例であり、添付した特許請求の範囲の精神と範囲から逸脱することなく修正及び変更がなされる場合がある。前記した内容を考慮して本発明の多くの修正及び変更が可能であることは明らかである。このため、添付した特許請求の範囲の範囲内において、具体的に記載された事項とは別の方法で本発明が実施される場合があることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】クランプ装置に用いる複数のクランプ部品であってその大部分が組み立てられていない状態である複数のクランプ部品を示す、本発明の好適な実施例の分解図。Jバーが前記クランプ装置の骨格をなす。前記Jバーは、該Jバーのレールアームに滑りクランプアームを介して取り付けられたX軸クランプねじとともに基本的な調節可能Cクランプの形態をなす。
【図2】本発明に係るY軸クランプ用部品を示す図。
【図3】本発明に係る、角度のついた接合Vブロックを示す図。
【図4】本発明に係る直線状の接合Vブロックを示す図。
【図5】本発明に係る短いLリンクを示す図。
【図6】本発明に係る、閉じられたベンチレストを示す図。
【図7】本発明に係る、開放されたベンチレストを示す図。
【図8】本発明に係る長いLリンクを示す図。
【図9】本発明に係るVパッドを示す図。
【図10】本発明に係る延長ブロックを示す図。
【図11】凹状の被加工品の締め付けに適合するように、Jバーが、該Jバーの脚の端部のパッドに取り付けられた延長ブロックとともに、操作可能な状態の基本的な調節可能Cクランプの形態をなす、本発明に係るクランプ装置を示す図。
【図12】2つのJバーが、該Jバーに接続された延長ブロック及び長いLリンクとともにCクランプの形態に配置されている、本発明に係るクランプ装置を示す図。
【図13】1つのJバーが延長ブロックとともに拡張Cクランプの形態をなす、本発明に係るクランプ装置を示す図。
【図14】Cクランプの形態をなす1つのJバーが、開放されたベンチレストが取り付けられたベンチの表面上に配置された延長ブロックとともに前記開放されたベンチレストに取り付けられている、本発明に係るクランプ装置を示す図。
【図15】Cクランプの形態をなす1つのJバーが、2つの閉じられたベンチレストに滑動可能に取り付けられたレールアームを備え、圧縮組立体として用いられている、本発明に係るクランプ装置を示す図。X軸クランプねじがVパッドを介して円筒形の被加工品を締め付けている。
【図16】Cクランプの形態をなす2つのJバーが、2つの被加工品が相互に正確な角度をなすように長いLリンクにより直角に接続されている、本発明に係るクランプ装置を示す図。円い被加工品に適合させるため、一方のJバーの脚の端部のパッドにVパッドが用いられている。
【図17】2つのJバーが、圧縮Cクランプの形態に配置され、角度のついた接合Vブロックを介して接続されている、本発明に係るクランプ装置を示す図。前記角度のついた接合Vブロックにおける角度のついたVパネルが、前記角度のついた接合Vブロックにより規定された角度に円筒形の被加工品を保持する。
【図18】X軸及びY軸の双方のクランプ機能を有する2つのクランプ組立体が、1つの被加工品を締め付けるために間隔を置いて用いられている、本発明の実施例を示す図。
【図19】Jバーのレールアームに滑動可能に取り付けられたクランプ部品を取外し可能に保持する戻り止めを示す図。
【符号の説明】
【0038】
10 Jバー
14 X軸クランプ用部品
16 Y軸クランプ用部品
18、20 接合Vブロック
22、32 Lリンク
24、26 ベンチレスト
28 延長ブロック
30 Vパッド
162 レールアーム
176 Jバーパッド
【技術分野】
【0001】
本発明は、多機能被加工品クランプ装置に関し、より詳細には、クランプ装置の機能を、従来、異なる複数のクランプ装置が必要とされていた範囲へ拡張する、複数の部品からなる1つのクランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本願は2004年10月28日付けで出願された米国仮出願第60/623、618号に基づく優先権を主張する。
【0003】
長年、製造業において、1つの目的のための複雑なクランプ固定具が広く用いられている。そのようなクランプ固定具は、1つの目的のために1つの固定された形態に組み立てられており、他の機能を有しない。従来、多くの多目的クランプ装置が提案されている。前記多目的クランプ装置は、Y軸クランプ機能を有するCクランプを含み、また、異なる形状の被加工品に適合するように様々なリンク及び回転ブロックを含む。例えば、Romine 2,610,661、Hewat 2,642,905、Yang 4,962,918、Gurule 5,697,601及びPinkous 5,893,553を参照すると、圧縮だけでなく拡張により締め付けるクランプ装置が提案されている。例えば、Driscoll 3,934,316を参照すると、クランププレート又は成形したブラケットが、クランプねじと相対する、Cクランプのジョーに螺合されているクランプ手段が提案されている。例えば、Penny 5,135,209を参照すると、Cクランプのベンチレストが提案されている。例えば、McCarty 4,363,475を参照すると、調節可能なVパッドが提案されている。例えば、Stanley 4,134,578を参照すると、様々な形状の被加工品を相互に角度をつけて締め付けるための様々なクランプ手段が提案されている。例えば、Howe 5,992,836、Hall 5,718,419及びKutzleb 5,482,263を参照すると、提案された多くの手段が、例えば、溶接、木工等のような1つの技術に特に適している。提案された従来の多目的の手段は欠点を伴う。従来の手段の主な欠点は、いずれのクランプ装置も機能が限定されていることである。様々な機能の達成には様々なクランプ装置が必要とされる。すなわち、従来の手段は、最初に、1つの機能を果たすように構成し、その後、異なる機能を果たすように再構成することができない。一般に、様々な機能を達成するために様々なクランプ装置を用意しなければならない。このため、異なるクランプ装置のための多くの費用及び保管場所を要する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来技術の上記の問題点及び他の問題点を克服する。
【0005】
本発明は、現在の技術の状況に応えて、特に、今日到達している技術により完全に解決されていない問題点や要求に応えて開発された。このため、本発明の全般的な目的は、前記した問題点や欠点を効果的に解決することである。より詳細には、本発明の目的は、相互に作用する複数のクランプ部品からなる多機能クランプ装置を提供することである。また、本発明の目的は、他のクランプ部品が様々な形態に螺合される又は滑動可能に組み立てられるJバーを基部とした多機能クランプ装置を提供することである。さらに、本発明の目的は、拡張又は圧縮による締め付け、同時に又は順次に行われる1又は複数の軸に沿った締め付け、1以上の被加工品の締め付け、2以上の被加工品相互の様々な位置での締め付け、及び例えば、溶接、木工、機械加工、機械的修理等のような様々な技術における被加工品の締め付けのために構成することができる多機能クランプ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る装置の部品は、様々な作業を容易にする目的で被加工品に2以上の方向からクランプ力を作用させるために、異なる多くの方法で組み立てることができる。前記部品は、該部品がすぐに再利用できるように、他の部品及び様々な他の物と取外し可能に組み立てられる。前記部品の取外し可能な組立てにより、前記装置の多様性が大幅に向上する。所望のクランプ目的を満足に達成させるためには、前記部品が、確実な締め付けを実現する機能を果たすことが必要とされる。様々な形態においてそのような確実な締め付けを実現するためには、前記部品が、目的どおり機能するように慎重に選択されまた設計されることが必要とされる。最少数の部品で様々な形態を作る柔軟性を提供することにより、前記装置の機能が、様々な部品により個別に提供されるもの以上に大幅に向上する。本出願には、説明のために、可能性のある多くの形態のうちのいくつかが示されている。これらは、本発明に係るクランプ部品が組立て可能な他の多くの形態を当業者に示唆するものである。
【0007】
本発明の実施のために考えられる現在の最良の形態を説明する、多機能被加工品クランプ装置の好適な実施例が、添付の図面により又は該図面を参照して示される。実施例は、本発明が具体化される可能性のある様々な形態及び変更の全てを示すことを意図せずに詳細に説明される。本明細書に示されまた記載された実施例は、説明のためであり、本発明の精神及び範囲を逸脱しない範囲内で多くの方法で変更される場合があることは当業者には明らかであり、本発明は、図面又は明細書の詳細により判断されるのではなく、添付の特許請求の範囲により判断される。
【0008】
本明細書に記載した基本的な装置が多くの用途に適用可能であることは、当業者には明らかである。添付の特許請求の範囲は、開示された具体例を参照するために用いられた言語が限定される場合があるとしても、開示された本発明の精神及び範囲と一致した広い範囲で認められる。図面の参照は、本発明及びその最良の形態の例示のためであり、限定のためではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図面において、同一の参照符号は同一の又は対応する部分を示す。図面が、本発明の様々な実施例の図表示であり、本発明を限定するものと解釈されないことは明らかである。具体的な実施例に関する語句や表現の使用は、その語句や表現の意味をそれらの具体的な実施例に限定することを目的としない。語句や表現は、具体的な定義が詳細に説明されていない限り、通常の意味を有するものとする。本明細書において、「被加工品」という用語は、製造中の原材料、クランプ部品、工具、基板、計測機器等の全てのものを含むものとする。
【0010】
図1に示すように、Jバークランプ部品10は、レールアーム162と、延長脚164とを含む。延長脚164の一端部に、ねじ穴177が貫通する留め具取付け用部分を有するパッド176が形成されている。ねじ穴177の縦軸は、好ましくは、レールアーム162の縦軸と軸方向に整列されている。レールアーム162の他端部に戻り止め210が設けられている。戻り止め210は、Jバー10と組み合わされた形態においてレールアーム162に滑動可能に取り付けられた他のクランプ部品を取外し可能に保持する機能を果たす。Jバー10は、本発明に係る多機能被加工品クランプ装置の骨格としての機能を果たす。前記クランプ装置の他の部品は、通常、ねじ穴177にねじ部品で取り付けられるか、又はレールアーム162に滑動可能に取り付けられる。図16、17、18に示すように、複数のJバー10を使用することにより、前記クランプ装置の機能が増す。
【0011】
滑りクランプアーム部品12は、X軸クランプねじ部品14とともに、Jバー10と組み合わされたときに調節可能なCクランプ機能を提供する(図1)。レールアーム162は、通常、矩形の断面形状を有し、レールアーム162に滑動可能に取り付けられる部品は取付け用通路を有する。取付け用断面は、前記部品をレールアーム162の縦方向に滑動させている間、前記部品がレールアーム162の縦軸に関して回転するのを防止する機能を果たす。必要に応じて、他の回転防止用の断面を用いることもできる。例えば、関連する部品の取付け用断面が、前記部品をレールアーム162の縦方向に滑動可能にすることに適合する場合において、放射状に伸びる延長キー又は放射状に突出するリブを有する円形の断面、卵形の断面等を有するレールアームを用いることができる。レールアーム162は、通常、ほぼ直線状である。通常、滑動可能に取り付けられた部品をレールアーム162の縦方向の固定位置に固定するため、クランプ力を作用させることにより、前記部品をレールアーム162に締め付ける。必要に応じて、追加の解除可能な位置固定部品を設けることができる。例えば、蝶ねじを用いることができる。
【0012】
X軸クランプ用部品14は、滑りクランプアーム部品12を介してレールアーム162に滑動可能かつ取外し可能に取り付けられる(図1)。X軸クランプ用部品14は、通常、レールアーム162の縦軸に対してほぼ平行に、角度をつけてクランプ圧力を作用させる機能を果たす。X軸クランプ用部品14は、例えば、該X軸クランプ用部品からパッド176の領域へ向けて伸びるコーン内に存在する他の角度でクランプ圧力を作用させるように取り付けることができる。通常、クランプ圧力は手動ねじを用いて生じさせるが、必要に応じて、例えば、クランプ力の発生源として液圧シリンダーのような他の手段を用いることができ、X軸クランプ用部品を電気モーター、空気モーター、液圧モーター等により調節し又は作動させることができる。
【0013】
レールアーム162にY軸クランプ用部品16(図1、2)が滑動可能かつ取外し可能に取り付けられる。Y軸クランプ用部品16は、図18に示すように、通常、レールアーム162の縦軸に対してほぼ垂直な角度でクランプ圧力を作用させるために機能する。Y軸クランプ用部品16は、例えば、該Y軸クランプ用部品からねじ穴177の縦軸へ向けて伸びるコーン内に存在する他の角度でクランプ圧力を作用させるように取り付けることができる。通常、1以上の手動ねじを用いてクランプ圧力を生じさせ、また調節を行うが、必要に応じて、例えば、クランプ力の発生源として液圧シリンダーのような他の手段を用いることができ、Y軸クランプ用部品を電気モーター、空気モーター、液圧モーター等により調節し又は作動させることができる。
【0014】
例えば、2つの円筒形の被加工品間の接合を容易にするため、接合Vブロッククランプ部品が、前記被加工品を受け入れ、これらを所定の角度で保持する機能を果たす。直線状の接合Vブロック部品18(図1、4)は、1以上のJバーにねじで取り付けられるか、又はベンチ若しくは他の基板若しくは部品に取り付けられる。角度のついた接合Vブロック部品20(図1、3)は、1以上のJバーにねじで取り付けられるか、又はベンチ若しくは他の基板若しくは部品に取り付けられる(図17)。接合Vブロック部品は、通常、2つのVブロックパッドを含む。一方のVブロックパッドは一方の被加工品を保持し、また他方のVブロックパッドは他方の被加工品を保持する。一般に、目的は、2つの被加工品を相互に所定の角度で保持することである。前記Vブロックパッドは、前記被加工品間に不変又は可変の角度を規定するように前記Vブロッククランプ部品に取り付けられたものとすることができる。
【0015】
例えば、2以上のJバーを相互に所定の角度で取り付けることを目的として、様々な長さのLリンク部品が設けられている。短いLリンク部品22及び長いLリンク部品32(図1、5、8)は、ねじ穴177にねじで取り付けられて、2以上のJバーを相互に垂直に取り付けることに用いられる(図12、16)。Lリンク部品22、32は、ベンチ、他の支持面、他の工具部品等にJバーを垂直に取り付けることにも用いられる。Lリンク部品は、必要に応じて、約90度以外の角度で伸びるアームを備えるものとすることができる。
【0016】
1以上の被加工品クランプ機能を生じさせるのに必要な固定された作業台を提供するため、ベンチレストが、通常、Jバーをベンチ又は他の支持面に取り付ける機能を果たす。閉じられたベンチレスト24及び開放されたベンチレスト26(図1、6、7)は、ベンチ又は他の基板に取り付けられ、レールアーム162を受け入れる(図14、15)。開放されたベンチレスト26では、レールアーム162は、ベンチレスト26の開放された通路内に落とされ、例えば蝶ねじにより前記通路内に固定される。閉じられたベンチレスト24では、レールアーム162は、閉じられた通路に通される。前記開放されたベンチレストは、前記クランプ装置が、1つの位置で被加工品の締め付けに用いられ、その後、追加の操作を行うために、被加工品クランプ組立体が前記開放されたベンチレストに取り付けられるベンチへ移動される状況に特に適している。前記閉じられたベンチレストは、前記Jバーが前記閉じられたベンチレストを介して前記ベンチに取り付けられている間に被加工品クランプ組立体が形成される状況に適している。
【0017】
Jバー10、他の部品等に、例えばねじ穴177を介して延長ブロック部品28(図1、10)が螺合される。延長ブロック部品28は、図11、13に示すように、パッド176のいずれの側にも取り付けることができる。延長ブロック部品28は、通常、その一端部にねじ穴を有し、該ねじ穴は、延長ブロック部品28の他端部にあるねじスタッドと軸方向に整列されている。通常、延長ブロック部品28は、被加工品の形状が、前記クランプ装置の一部が前記被加工品に接触しかつクランプ機能を妨げるような形状である場合に前記被加工品の締め付けを容易にするために用いられる。延長ブロック部品28は、スペーサー(図12)及び取付け用部品(図14)の両方として機能する。延長ブロック部品28を介してJバーをベンチ又は他の基板に支持することができる(図14)。より長い長さが必要とされる場合、延長ブロック部品28を螺合して重ね合わせることができる。
【0018】
他のクランプ部品(図16)又は他の基板にVパッド部品30(図1、9)が螺合される。Vパッド部品30は、複数の形態において、締め付けられた被加工品と組み合わされた状態でVパッド部品30を保持するためにクランプ圧力以外必要としない(図15)。Vパッド部品30の被加工品接触パッドは、前記被加工品接触パッドが、凹面、平面、凸面又はこれらの組み合わせである被加工品の形状に適合するようにクランプ圧力下で自動的に調節されるようにするため、回転可能に取り付けられている。図示したように、前記被加工品接触パッドは1つの軸に関してのみ回転する。当業者には明らかであるように、前記パッドは、必要に応じて、全方向の位置決めを可能にするため、1つの点に関して回転するように取り付けられたものとすることができる。
【0019】
滑りクランプアーム部品12は、レール受入れ用端部172と、ねじ取付け用端部170との間に伸びるアーム168を含む(図11)。滑りクランプアーム部品12は、通常、Jバーに滑動可能に取り付けられる。X軸クランプ用部品14は、クランプ用ねじの端部に取り付けられた従来の旋回脚パッド174を含む。前記X軸クランプ用ねじは、滑りクランプアーム部品12のねじ取付け用端部170に螺合されている。脚パッド174と被加工品との間の距離の粗調整は、一般に、クランプアーム12のレール受入れ用端部172を、脚パッド174が前記被加工品に接触するまでレールアーム162に沿って滑動させることによりなされる。アーム168のねじ取付け用端部170にある前記X軸クランプ用ねじを手動で回転させることにより、微調整がなされ、クランプ力を作用させる。前記X軸クランプ用ねじのねじ操作により生じ、アーム168に作用する前記クランプ力により、レール受入れ用端部172のレール通路はレールアーム162に対して動かないようになる。このため、アーム168はレールアーム162の所定の位置に固定される。前記被加工品へのクランプ力を解除することにより、アーム168は、レールアーム162に対して滑動されるように解放される。
【0020】
Y軸クランプ用部品16(図1、2)は、第1レール34と、第2レール36と、レール取付け用ブロック38と、拘束ナット44と、クランプねじ用ナット46と、Y軸クランプ用ねじ48とを含む。Y軸クランプ用部品16は、通常、Jバーに滑動可能に取り付けられる。拘束ナット44は第1レール34及び第2レール36の端部に溶接されている。拘束ナット44にねじ操作ハンドル組立体43が螺合されている。組立体43は、該組立体を拘束ナット44に螺合させる動きによりレール取付け用ブロック38が第1レール34と第2レール36との間においてそれらのレールの一端部と他端部との間で滑動するように、レール取付け用ブロック38に取り付けられている。Y軸クランプ用ねじ48は、Y軸クランプ用部品16の縦軸に沿った軸方向の移動のためにクランプねじ用ナット46に螺合されている。蝶ねじ42は、第1レール34及び第2レール36の一端部と他端部との間でレール取付け用ブロック38とともに移動されるように、レール取付け用ブロック38のねじ穴(図示せず)に螺合されて受入れられている。蝶ねじ42は第1レール34の調節スロット40内で移動される。蝶ねじ42及びレール取付け用ブロック38が所定の位置に固定されるように、必要に応じて、蝶ねじ42にジャムナットが設けられている。Y軸クランプ用ねじ48は、該Y軸クランプ用ねじの端部のパッドを被加工品に接触させるようにねじで調節することができる。組立体43をねじ操作することにより、前記被加工品にクランプ圧力を作用させ、また前記被加工品からクランプ圧力を除去することができる。レールアーム162はレール取付け用ブロック38の通路を経て滑動可能に伸びる。前記Y軸クランプ用部品は、通常、レールアーム162の縦軸に対してほぼ垂直にクランプ圧力を作用させる。
【0021】
接合Vブロック部品18、20は、固定部材を介して他のクランプ部品、被加工品、他の基板等に取り付けられる(図3、4)。接合Vブロック部品は、通常、被加工品が接合される場合に前記被加工品に用いられる。前記接合Vブロック部品は単なる接合作業に限定されない。角度のついた接合Vブロック20は、第1Vブロック54及び第2Vブロック56が取り付けられたベース部材50を含む。第1Vブロック54及び第2Vブロック56は相互に約90度の角度でベース部材50の取付け穴57、59に取外し不可能に取り付けられている。必要に応じて、第1Vブロック54及び第2Vブロック56の一方又は双方は、回転可能に取り付けられたものとすることができる。ベース部材50は、支持面に面するように用いられ、かつ該支持面にサポート取付穴53、55を介して取り付けられる支持フランジ52を含む。取付穴57、59は、接合Vブロック部品20をサポートに取り付けるために用いられる。通常、サポート取付け穴53、55は、接合Vブロック部品20をベンチ又は他の基板に取り付けるために用いられ、取付穴57、59は、ねじ部品を用いて接合Vブロック部品20をJバーに直接又は間接的に取り付けるために用いられる(図17)。サポート取付け穴53、55及び取付穴57、59は、円形の穴である図示の例に代え、図4に示した取付穴のように、調整を目的とした細長い穴とすることもできる。第1Vパネル58は、上縁部にV字形のノッチが形成されている。このノッチは、被加工品、特に円形の被加工品を第1Vパネル58と噛み合わせ、かつ該被加工品を第1Vパネル58の中央に位置付ける機能を果たす。第2Vパネル60は、第1Vパネル58と相対しており、上縁部にVノッチを有する。第1Vパネル58及び第2Vパネル60は、被加工品と噛み合い、該被加工品が横方向及び縦方向の双方の中央に位置するようにする。第2Vブロック56のVパネルも同様に機能する。直線状の接合Vブロック18は、被加工品を相互に縦軸方向に整列させて保持するために用いられる点を除いて、角度のついた接合Vブロック20と同様に形成されており、実質的に同じ機能を果たす。取付け用フランジ64は、ベース部材62に形成され、穴61に取り付けられる固定部品により基板に取り付けられる。第1Vブロック68及び第2Vブロック70は被加工品を支持するために機能する。第1Vパネル72及び第2Vパネル74は、第1Vブロック68の相対する縁部に形成され、図3における、対応するVパネルとしての機能を果たす。第2Vブロック70は第1Vブロック68と同様に機能する。
【0022】
Lリンク部品22、32(図5、8)は、クランプ部品、基板、工具、被加工品等の間の接続具として用いられる(図12、16)。Lリンク部品22、32は、通常、少なくとも1つの解除可能な固定部品を用いて他の部品と組み合わせられる。長い脚78、120は、それぞれ、短い脚76、122に対してほぼ直角に接続されている。取付穴80、82、84、124、126、128、130、132は、適当な固定部品を用いてLリンク部品22、32を該Lリンク部品が取り付けられる物に取り付けるために用いられる。Lリンク部品22、32は、他のクランプ部品のために直角をなす機能を提供するためにJバーに直接又は間接的に取り付けられる。
【0023】
図6に示すように、閉じられたJバー取付け用ベンチレスト部品24は、例えば、Jバーをベンチ、他の基板等における固定された作業台に取り付けるために用いられる(図15)。閉じられたベンチレスト部品24はJバーに滑動可能に取り付けられる。閉じられたベンチレスト部品24は、レール受入れポート96を有するレール取付け用ブロック90を含む。レールアーム162をねじ止めするため、レール取付け用ブロック90の側壁に蝶ねじ98が螺合されている。蝶ねじ98が締め付けられたとき、蝶ねじ98はレールアーム162をレール受入れポート96に固定する。蝶ねじ98は、締め付け用固定ナット100により所定の位置に固定されたものとすることができる。蝶ねじ98は、Jバーを、閉じられたベンチレスト部品24が取り付けられた基板に固定した状態で保持する。基板、他の工具部品、工具等への取付けは、通常、ねじ、リベット等のような固定部品を取付け用脚86、88の取付穴92、94に挿入することによりなされる。
【0024】
図7に示すように、開放されたJバー取付け用ベンチレスト部品26は、例えば、Jバーをベンチ、他の基板等における固定された作業台に取り付けるために用いられる(図15)。開放されたベンチレスト部品26は、通常、Jバーのレールアームが通路114内に落とされて前記Jバーと組み合わされる。このため、開放されたベンチレスト部品26は、ベンチ、他の工具部品、工具等に固定された状態を維持し、前記Jバーは、必要に応じて、迅速に取り付け及び取外しをすることができる。開放されたベンチレスト部品26は、ベンチに接触する脚102、104の穴110、112に挿入される固定部品により前記ベンチに取り付けられる(図14)。開放されたベンチレスト部品26にJバーを固定するため、蝶ねじ116及び関連する固定ナット又は拘束ナット118が設けられている。
【0025】
図10に示すように、延長ブロック部品28は、スペーサー又は延長部品として用いられ、ねじスタッド156、又は該ねじスタッドが突出する表面154と反対側に位置する、延長ブロック部品28の端部のねじ穴(図示せず)に螺合されたねじ部品により、ねじ穴177に螺合される。前記ねじ穴は、通常、ねじスタッド156と軸方向に整列されている。表面154は、Jバーパッド176、又は延長ブロック部品28が取り付けられる他の表面に面するように用いられる。本体152は、円形の貫通孔を有する物に取り付けるためだけではなく、製造を容易にするためにも、円柱形であることが好ましい。フランジ160は、カラー158を設けるように本体152に段差を形成する。カラー158は、延長ブロック部品28をJバー、他の工具部品、基板等に螺合するために延長ブロック部品28を握るのに便利な方法を提供する。カラー158の外周縁部は、必要に応じて、握りやすいように刻み目が付けられたものとすることができる。
【0026】
図9に示すように、Vパッド部品30は、ねじ、リベット等のような適当な固定部品を用いてクランプ部品又は他の物に直接又は間接的に取外し可能に取り付けられる。Vパッド部品30は、この装置の他の多くの部品と同様に、クランプ力のみにより、組み立てられた形態に保持することができる。様々な部品のためのこのクランプ力組立体手段は、迅速な一時的な使用の形態をなす場合に好ましい。この装置の適応性は、様々な部品とともにそのような多くの形態が可能であるということである。取り付けは、例えば、ヨーク134の取付穴138及び取付け用スロット136を用いてなされる。回転Vパッド142、150は、回転ピン144、146によりヨーク148に回転可能に取り付けられている。回転Vパッド142、150は、通常、取付け用ブラケット148、140を介して取り付けられている。回転Vパッド142、150は単独で回転する。
【0027】
図19に示すように、戻り止め210はレールアーム162の前記他端部に形成されている。戻り止め210は、ガイドスロット214内で回転する回転ピン216に回転可能に取り付けられたばねバイアスタングを含む。ばね保持具220により保持されたコイル圧縮ばね218は、バイアスタング212を保持位置へ偏らせる。ばね218の力に抵抗してバイアスタング212を押し下げることにより、レールアーム162に滑動可能に取り付けられる部品と噛み合わない位置までバイアスタング212をスロット214内へ移動させる。部品が、レールアーム162の前記一端部から前記他端部へ移動されるようにレールアーム162に滑動可能に取り付けられるとき、前記部品自体を前記タングの後部に接触させ、これにより前記タングが前記部品との噛み合いから免れるようにする。レールアーム162の前記他端部へ滑動させた部品を解放するためには前記タングを手動で押し下げなければならない。前記部品の解放には、該部品を解放するために操作者が積極的に関与しなければならない。
【0028】
図11に示す例では、本発明に係る装置を用いて2つの被加工品が締め付けられており、Jバーパッド176に延長ブロック28を取り付けることにより、凹状の被加工品180が提供されている。被加工品178は、X軸クランプ用部品の作用により被加工品180に押し付けられている。旋回パッド174は、被加工品178、180の厚さのわずかなテーパーに自動的に適合する。
【0029】
図12に示す例では、2つのJバー部品が用いられている。前記Jバー部品は長いLリンク部品32を介して結合されており、被加工品182は、クランプ操作が望ましい場合を除いて、2つの延長ブロック28を用いて前記Jバー部品から間隔を置かれている。延長ブロック28は、ねじスタッド156によりJバーパッド176のねじ穴177に取り付けられている。Lリンク部品32は、ねじ部品181により延長ブロック28のねじ穴(図示せず)に取り付けられている。結合された2つのJバーの使用は、被加工品182に対して強力な操作を行えるように、非常に強固なクランプ用の配置を提供する。
【0030】
図13に示す例では、本発明に係る装置の部品は、フレーム184の中で斜材186、188が反対方向に力を受けている拡張クランプ用の形態に組み立てられている。
【0031】
図14に示す例では、延長ブロック28が前記装置の支持具として機能しており、また、Jバーの脚164が、開放されたベンチレスト26の通路内に受け入れられている点を除いて、図11に示した例と同様に、2つの被加工品が締め付けられている。この形態では、被加工品190、192を離れた位置で締め付けることができ、クランプ被加工品組立体を、例えば、ベンチのような、開放されたベンチレスト26が取り付けられた所定の作業台へ移動させることができる。脚164が前記ベンチレストに固定されているとき、前記作業台で前記被加工品に対して1以上の操作を行うことができる。
【0032】
図15に示す例では、Jバーのレールアーム162は、閉じられたベンチレスト24に滑動可能に取り付けられ、蝶ねじ98により、閉じられたベンチレスト24に固定されている。これにより、固定された作業台が提供される。被加工品194は前記作業台に持ち込まれ、該作業台で締め付けられる。前記被加工品の形状が円筒形であるため、Vパッド30が用いられている。Vパッド30は、旋回脚パッド174と前記被加工品との間で単に締め付けられている。
【0033】
図16に示す例では、2つの被加工品198、200が、一方の被加工品を他方の被加工品に接続できるように、所定の位置に締め付けられている。2つのJバーが用いられている。前記JバーはLリンクを介して結合されている。前記Lリンクはねじ穴177にねじ部品で取り付けられている。前記Lリンクを取り付けている前記ねじ部品により一方のJバーにVパッド30が取り付けられている。
【0034】
図17に示す例では、角度のついた接合Vブロックが2つのJバー10に用いられている。前記Jバーは適当な固定部品によりVブロックに固定されている。被加工品202、204は、相互に直角をなすように締め付けられ、その状態で保持されている。
【0035】
図18に示す例では、2つのJバー10が用いられており、各Jバーは、本発明に係る装置のY軸に沿ってクランプ力を作用させるため、Y軸アタッチメント16を有する。前記クランプ力は被加工品208を被加工品201の縁部に合致させる。
【0036】
前記した事項は好適な実施例であり、添付した特許請求の範囲の精神と範囲から逸脱することなく修正及び変更がなされる場合がある。前記した内容を考慮して本発明の多くの修正及び変更が可能であることは明らかである。このため、添付した特許請求の範囲の範囲内において、具体的に記載された事項とは別の方法で本発明が実施される場合があることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】クランプ装置に用いる複数のクランプ部品であってその大部分が組み立てられていない状態である複数のクランプ部品を示す、本発明の好適な実施例の分解図。Jバーが前記クランプ装置の骨格をなす。前記Jバーは、該Jバーのレールアームに滑りクランプアームを介して取り付けられたX軸クランプねじとともに基本的な調節可能Cクランプの形態をなす。
【図2】本発明に係るY軸クランプ用部品を示す図。
【図3】本発明に係る、角度のついた接合Vブロックを示す図。
【図4】本発明に係る直線状の接合Vブロックを示す図。
【図5】本発明に係る短いLリンクを示す図。
【図6】本発明に係る、閉じられたベンチレストを示す図。
【図7】本発明に係る、開放されたベンチレストを示す図。
【図8】本発明に係る長いLリンクを示す図。
【図9】本発明に係るVパッドを示す図。
【図10】本発明に係る延長ブロックを示す図。
【図11】凹状の被加工品の締め付けに適合するように、Jバーが、該Jバーの脚の端部のパッドに取り付けられた延長ブロックとともに、操作可能な状態の基本的な調節可能Cクランプの形態をなす、本発明に係るクランプ装置を示す図。
【図12】2つのJバーが、該Jバーに接続された延長ブロック及び長いLリンクとともにCクランプの形態に配置されている、本発明に係るクランプ装置を示す図。
【図13】1つのJバーが延長ブロックとともに拡張Cクランプの形態をなす、本発明に係るクランプ装置を示す図。
【図14】Cクランプの形態をなす1つのJバーが、開放されたベンチレストが取り付けられたベンチの表面上に配置された延長ブロックとともに前記開放されたベンチレストに取り付けられている、本発明に係るクランプ装置を示す図。
【図15】Cクランプの形態をなす1つのJバーが、2つの閉じられたベンチレストに滑動可能に取り付けられたレールアームを備え、圧縮組立体として用いられている、本発明に係るクランプ装置を示す図。X軸クランプねじがVパッドを介して円筒形の被加工品を締め付けている。
【図16】Cクランプの形態をなす2つのJバーが、2つの被加工品が相互に正確な角度をなすように長いLリンクにより直角に接続されている、本発明に係るクランプ装置を示す図。円い被加工品に適合させるため、一方のJバーの脚の端部のパッドにVパッドが用いられている。
【図17】2つのJバーが、圧縮Cクランプの形態に配置され、角度のついた接合Vブロックを介して接続されている、本発明に係るクランプ装置を示す図。前記角度のついた接合Vブロックにおける角度のついたVパネルが、前記角度のついた接合Vブロックにより規定された角度に円筒形の被加工品を保持する。
【図18】X軸及びY軸の双方のクランプ機能を有する2つのクランプ組立体が、1つの被加工品を締め付けるために間隔を置いて用いられている、本発明の実施例を示す図。
【図19】Jバーのレールアームに滑動可能に取り付けられたクランプ部品を取外し可能に保持する戻り止めを示す図。
【符号の説明】
【0038】
10 Jバー
14 X軸クランプ用部品
16 Y軸クランプ用部品
18、20 接合Vブロック
22、32 Lリンク
24、26 ベンチレスト
28 延長ブロック
30 Vパッド
162 レールアーム
176 Jバーパッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
留め具取付け用部分を含むJバーパッドとレールアームとを有する少なくとも1つのJバーと、前記レールアームに滑動可能に取り付けられる調節可能なX軸クランプねじと、前記Jバーパッドに滑動可能に取り付けられる調節可能なY軸クランプねじと、前記レールアームを受け入れるベンチレストと、前記Jバーパッドに取り付けられる延長ブロックと、前記Jバーパッドに取り付けられるLリンクと、前記Jバーパッドに取り付けられるVパッドと、前記Jバーパッドに取り付けられる接合Vブロックとを含む複数のクランプ部品からなる、多機能被加工品クランプ装置。
【請求項2】
前記ベンチレストは前記レールアームを滑動可能に受け入れる、請求項1に記載の多機能被加工品クランプ装置。
【請求項3】
少なくとも前記接合Vブロック及び前記ベンチレストは支持基板に取り付けられる、請求項1に記載の多機能被加工品クランプ装置。
【請求項4】
少なくとも2つの前記Jバーを含む、請求項1に記載の多機能被加工品クランプ装置。
【請求項5】
前記ベンチレストは前記レールアームを横方向に受け入れる、請求項1に記載の多機能被加工品クランプ装置。
【請求項6】
2つの前記ベンチレストを含む、請求項1に記載の多機能被加工品クランプ装置。
【請求項7】
2つの前記接合Vブロックを含む、請求項1に記載の多機能被加工品クランプ装置。
【請求項8】
2つの前記Lリンクを含む、請求項1に記載の多機能被加工品クランプ装置。
【請求項9】
少なくとも前記Vパッドは支持基板に取り付けられる、請求項1に記載の多機能被加工品クランプ装置。
【請求項1】
留め具取付け用部分を含むJバーパッドとレールアームとを有する少なくとも1つのJバーと、前記レールアームに滑動可能に取り付けられる調節可能なX軸クランプねじと、前記Jバーパッドに滑動可能に取り付けられる調節可能なY軸クランプねじと、前記レールアームを受け入れるベンチレストと、前記Jバーパッドに取り付けられる延長ブロックと、前記Jバーパッドに取り付けられるLリンクと、前記Jバーパッドに取り付けられるVパッドと、前記Jバーパッドに取り付けられる接合Vブロックとを含む複数のクランプ部品からなる、多機能被加工品クランプ装置。
【請求項2】
前記ベンチレストは前記レールアームを滑動可能に受け入れる、請求項1に記載の多機能被加工品クランプ装置。
【請求項3】
少なくとも前記接合Vブロック及び前記ベンチレストは支持基板に取り付けられる、請求項1に記載の多機能被加工品クランプ装置。
【請求項4】
少なくとも2つの前記Jバーを含む、請求項1に記載の多機能被加工品クランプ装置。
【請求項5】
前記ベンチレストは前記レールアームを横方向に受け入れる、請求項1に記載の多機能被加工品クランプ装置。
【請求項6】
2つの前記ベンチレストを含む、請求項1に記載の多機能被加工品クランプ装置。
【請求項7】
2つの前記接合Vブロックを含む、請求項1に記載の多機能被加工品クランプ装置。
【請求項8】
2つの前記Lリンクを含む、請求項1に記載の多機能被加工品クランプ装置。
【請求項9】
少なくとも前記Vパッドは支持基板に取り付けられる、請求項1に記載の多機能被加工品クランプ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2008−517790(P2008−517790A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539000(P2007−539000)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/037840
【国際公開番号】WO2006/049893
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(507132215)バルトラ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/037840
【国際公開番号】WO2006/049893
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(507132215)バルトラ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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