説明

多次元温度データを生成するためのマルチスペクトルシステム及び方法

【課題】多次元温度データを生成するためのマルチスペクトルシステム及び方法を提供すること。
【解決手段】1つの実施形態において、システム(10)は、ガス(80)及び該ガス(80)を介してタービン(18)の内部から観測可能な表面のイメージを受け取り、該イメージを、ガス(80)の温度を示す波長の第1の2次元強度マップと、表面の温度を示す波長の第2の2次元強度マップとに分離して、第1及び第2の2次元強度マップを示す信号を出力するよう構成されたイメージングシステム(36)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、2次元温度マップを生成するためのマルチスペクトルシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定のガスタービンエンジンは、タービン内の種々の構成要素の監視を可能にするよう構成された観測ポートを有するタービンを含む。例えば、高温測定システムは、観測ポートと光学的に連通し、タービンの高温ガス経路内の特定の構成要素の温度を測定するよう構成することができる。加えて、光学監視システムは、観測ポートに結合され、タービン構成要素の2次元イメージを提供するよう構成することができる。理解されるように、水蒸気及び二酸化炭素などの特定の燃焼生成物化学種は、広範囲の波長にわたり放射線を吸収及び放出する。結果として、タービン構成要素により放出される波長の何分の一かだけが、正確に測定するのに十分な強度及び無視できるほどの干渉で観測ポートに到達する。その結果として、特定の高温測定及び/又は光学監視システムは、大きな吸収又は干渉もなく燃焼生成物を通過する可能性が高い特定の波長を監視するよう構成される。
【0003】
残念ながら、このような波長の監視システムを構成すると、通常は、ガスエミッションを監視するのに好適ではないシステムになる。従って、タービン構成要素を監視するよう構成された高温測定及び/又は光学監視システムは、タービン内のガス温度を求めることができない可能性がある。更に、高温ガス経路内に配置された熱電対によるような、介入性の温度測定は、タービンを通るガス流を妨げる可能性がある。加えて、熱電対は、該熱電対と直接接触するガスの温度しか測定しないので、熱電対の間の温度変動は検出することができない。その上、熱電対の有効寿命は、タービンを通るガス流に伴う高温に起因して、有意に制限される可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,633,066号公報
【発明の概要】
【0005】
第1の実施形態において、システムは、タービンの内部と光学的に連通し、タービンの内部のイメージをガスの温度を示す波長の第1の2次元強度マップと、表面の温度を示す波長の第2の2次元強度マップとに分離するよう構成された波長分離装置を含む。システムはまた、波長分離装置と光学的に連通した検出器アレイを含む。検出器アレイは、第1及び第2の2次元強度マップを示す信号を出力するよう構成される。
【0006】
第2の実施形態において、システムは、ガス及びタービンの内部からガスを介して観測可能な表面のイメージを受け取り、イメージを、ガスの温度を示す波長の第1の2次元強度マップと、表面の温度を示す波長の第2の2次元強度マップとに分離して、第1及び第2の2次元強度マップを示す信号を出力するよう構成されたイメージングシステムを含む。
【0007】
第3の実施形態において、方法は、ガスと、該ガスを通じて観測可能な表面とのイメージを受け取る段階を含む。本方法はまた、イメージを、ガスの温度を示す波長の第1の2次元強度マップと、表面の温度を示す波長の第2の2次元強度マップとに分離する段階を含む。本方法は更に、第1及び第2の2次元強度マップを示す信号を出力する段階を含む。
【0008】
本発明のこれらの及びその他の特徴、態様並びに利点は、図面全体を通して同じ参照符号が同様の部分を表す添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むと、より良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の特定の開示された実施形態による、ガスと、該ガスを介して観測可能な表面との2次元強度マップを取り込むよう構成されたイメージングシステムを含むタービンシステムのブロック図。
【図2】特定の開示された実施形態による、イメージングシステムが監視できる種々のタービン構成要素を示したタービンセクションの断面図。
【図3】特定の開示された実施形態による、ガスと、該ガスを介して観測可能な表面とに配向されたイメージングシステムの概略図。
【図4】特定の開示された実施形態による、コントローラがガスの一連の温度マップスライス及び/又は3次元温度マップを生成できるように、複数の2次元強度マップをコントローラに提供するよう構成された複数の検出器アレイを含むイメージングシステムの概略図。
【図5】特定の開示された実施形態による、ガスの温度マップと、ガスを介して観測可能な表面の温度マップとを生成する方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1つ又はそれ以上の特定の実施形態を以下で説明する。これらの実施形態の説明を簡潔にする目的で、実際の実施形態の全ての特徴について本明細書で説明するとは限らない。何れかの技術又は設計プロジェクトと同様に、このような何らかの実際の実装の開発において、システム及びビジネスに関連した制約への準拠など、実装毎に異なる可能性のある開発者の特定の目標を達成するために、多数の実装時固有の決定を行う必要がある点は理解されたい。更に、このような開発の取り組みは、複雑で時間を要する可能性があるが、本開示の利点を有する当業者にとっては、設計、製作、及び製造の日常的な業務である点を理解されたい。
【0011】
本発明の種々の実施形態の要素を導入する際に、数詞がないことや「前記」などの冠詞は、要素の1つ又はそれ以上が存在することを意味するものとする。用語「備える」、「含む」、及び「有する」は、包括的なものであり、記載した要素以外の付加的な要素が存在し得ることを意味する。
【0012】
本明細書で開示される実施形態は、タービン内の排出ガスの2次元又は3次元温度マップ並びにタービン構成要素表面の2次元温度マップを提供することによりタービンの作動及び保守管理を向上させることができる。1つの実施形態において、イメージングシステムは、タービンへの観測ポートと光学的に通じた波長分離装置を含む。波長分離装置は、タービン内部のイメージを、ガス温度を示す波長の第1の2次元強度マップと、表面(例えば、ベーン、ブレード、端壁、プラットフォーム、エンジェルウィング、シュラウド、その他)の温度を示す波長の第2の2次元強度マップとに分離するよう構成される。イメージングシステムはまた、波長分離装置と光学的に通じた検出器アレイを含む。検出器アレイは、第1及び第2の2次元強度マップを示すそれぞれの信号を出力するよう構成される。特定の実施形態において、イメージングシステムは、この信号に基づいて、ガスの第1の2次元温度マップと表面の第2の2次元温度マップとを生成するよう構成されたコントローラを含む。別の実施形態において、コントローラは、ガスを含有するボリュームを通る一連の2次元温度マップスライスを生成するよう構成され、各スライスは、タービンの円周方向軸線に垂直に配向される。更に別の実施形態において、コントローラは、これらのスライスを組み合わせて、ボリューム内のガスの3次元温度マップを生成するよう構成される。結果として得られるガスの2次元又は3次元温度マップ並びに表面の2次元温度マップを利用して、作動中のタービンエンジンを制御し、及び/又はタービン構成要素の残りの有効寿命を評価し、これによりタービン作動及び保守管理の効率を高めることができる。
【0013】
ここで各図面において、図1は、ガス及びガスを通じて観測可能な表面の2次元強度マップを取り込むよう構成されたイメージングシステムを含む、タービンシステムのブロック図である。タービンシステム10は、燃料噴射器12、供給燃料14、及び燃焼器16を含む。図示のように、供給燃料14は、液体燃料及び/又は天然ガスなどのガス燃料をガスタービンシステム10に送り、燃料噴射器12を通じて燃焼器16に流入させる。以下で検討するように、燃料噴射器12は、燃料を噴射して加圧空気と混合するよう構成される。燃焼器16は、燃料空気混合気を点火して燃焼し、次いで、高温の加圧排出ガスをタービン18に流す。理解されるように、タービン18は、固定ベーン又はブレードを有する1つ又はそれ以上のステータと、ステータに対して回転するブレードを有する1つ又はそれ以上のロータとを含む。排出ガスは、タービンロータブレードを通過し、これによりタービンロータを回転駆動する。タービンロータとシャフト19との結合により、シャフト19の回転が生じることになり、該シャフトはまた、図示のようにガスタービンシステム10全体にわたり複数の構成部品に結合される。最終的に、燃焼プロセスの排気は、排気出口20を介してガスタービンシステム10から出ることができる。
【0014】
圧縮機22は、ロータに堅固に装着されるブレードを含み、該ロータは、シャフト19により回転駆動される。空気が回転ブレードを通過すると空気圧が増大し、これにより適正な燃焼のための十分な空気が燃焼器16に提供される。圧縮機22は、吸気口24を介してガスタービンシステム10に空気を吸い込むことができる。更に、シャフト19は、負荷26に結合することができ、該負荷は、シャフト19の回転によって動力供給することができる。理解されるように、負荷26は、発電プラント又は外部の機械的負荷など、ガスタービンシステム10の回転出力の動力を用いることが可能な何らかの好適な装置とすることができる。例えば、負荷26は、発電機、航空機のプロペラ、その他を含むことができる。吸気口24は、低温吸気口などの好適な機構を介してガスタービンシステム10に空気30を引き込む。次いで、空気30は、燃焼器16に加圧空気32を提供する圧縮機22のブレードを通って流れる。詳細には、燃料噴射器12は、加圧空気32及び燃料14を燃料空気混合気34として燃焼器16に噴射することができる。或いは、加圧空気32及び燃料14は、混合及び燃焼用に燃焼器に直接噴射することができる。
【0015】
図示のように、タービンシステム10は、タービン18に光学的に結合されたイメージングシステム36を含む。図示の実施形態において、イメージングシステム36は、タービン18への観測ポート40と波長分離装置42との間に延びるイメージング光学システム又は光学接続部38(例えば、光ファイバーケーブル、光導波路、その他)を含む。図示の観測ポート40は、タービン18の入口に配向されるが、観測ポート40は、タービン18に沿って様々な場所に位置付けることができる点は理解されたい。以下で詳細に検討するように、波長分離装置42は、タービン内部のイメージを、ガス温度を示す波長の第1の2次元強度マップと、表面温度を示す第2の2次元強度マップとに分離するよう構成される。波長分離装置42に光学的に結合された検出器アレイ44は、第1及び第2の2次元強度マップを示すそれぞれの信号を出力するよう構成される。図示の実施形態において、検出器アレイ44は、コントローラ46に通信可能に結合され、該コントローラ46は、それぞれの信号に基づいて、ガスの第1の2次元温度マップと表面の第2の3次元温度マップとを生成するよう構成される。以下で詳細に検討するように、コントローラ46はまた、ガスを含有するボリュームを通る一連の2次元温度マップスライスを生成するよう構成することができ、各スライスは、タービンの円周方向軸線に垂直に配向される。特定の実施形態において、コントローラは、これらのスライスを組み合わせて、ボリューム内のガスの3次元温度マップを生成するよう構成することができる。結果として得られるガスの2次元又は3次元温度マップを利用して、効率の改善、エミッション低減、及び/又はタービン構成要素の有効寿命の拡大をもたらすよう作動中のタービンエンジンを制御することができる。加えて、表面の2次元温度マップは、タービン構成要素性能の監視及び妥当性確認、及び/又はタービン構成要素の残りの有効寿命の推定を可能にすることができる。
【0016】
図2は、イメージングシステム36により監視できる種々のタービン構成要素を示す、タービンセクションの断面図である。図示のように、燃焼器16からの排出ガス/燃焼生成物48は、軸方向50及び/又は円周方向52でタービン18内に流れる。図示のタービン18は、少なくとも2つの段を含み、図2には第1の2つの段が図示されている。他のタービン構成はこれよりも多い又は少ないタービン段を含むことができる。例えば、タービンは、1、2、3、4、5、6、又はそれ以上のタービン段を含むことができる。第1のタービン段は、タービン18の周りを円周方向52に実質的に等間隔で配置されたベーン54及びブレード56を含む。第1段ベーン54は、タービン18に堅固に装着され、燃焼ガスをブレード56に配向するよう構成される。第1段ブレード56は、ロータ58に装着され、ブレード56を流れる排出ガス48により回転駆動される。次いで、排出ガス48は、第2段ベーン60及び第2段ブレード62を通って流れる。第2段ブレード62はまた、ロータ58に結合される。排出ガス48が各段を流れると、ガスからのエネルギーがロータ58の回転エネルギーに変換される。各タービン段を通過した後、排出ガス48が軸方向50でタービン18から流出する。
【0017】
図示の実施形態において、各第1段ベーン54は、半径方向66で端壁64から外向きに延びる。端壁64は、高温の排出ガス48がロータ58に流入するのを阻止するよう構成される。同様の端壁が、第2段ベーン60及び後続の下流側ベーン(存在する場合)に隣接して存在することができる。同様に、各第1段ブレード56が、半径方向66でプラットフォーム68から外向きに延びる。理解されるように、プラットフォーム68は、ブレード56をロータ58に結合するシャンク70の一部である。シャンク70はまた、高温の排出ガス48がロータ58に流入するのを阻止するよう構成されたシール又はエンジェルウィング72を含む。同様のプラットフォーム及びエンジェルウィングは、第2段ベーンブレード62及び後続の下流側ブレード(存在する場合)に隣接して存在することができる。更に、シュラウド74は、第1段ブレード56から外向きに半径方向に位置付けられる。シュラウド74は、ブレード56をバイパスする排出ガス48の量を最小限にするよう構成される。ガスバイパスは、バイパスガスからのエネルギーがブレード56により取り込まれて回転エネルギーに変換されることがないので、望ましいものではない。イメージングシステム36は、以下ではガスタービンエンジン10のタービン18内の構成要素の監視に関して説明しているが、イメージングシステム36を利用して、蒸気又は別の作動流体がタービンブレードを通過して動力又はスラストを提供するタービンなどの他の回転及び/又は往復動機械内の構成要素の監視を行うことができる点は理解されたい。加えて、イメージングシステム36を利用して、ガソリン又はディーゼル駆動内燃エンジンなど、レシプロエンジンの内部を監視することができる。
【0018】
理解されるように、タービン18内の種々の構成要素(例えば、ベーン54及び60、ブレード56及び62、端壁64、プラットフォーム68、エンジェルウィング72、シュラウド74、その他)は、燃焼器16からの高温の排出ガス48に曝されることになる。その結果として、タービン18の作動中に特定の構成要素の温度を測定して該温度が望ましい範囲内にあることを保証し、構成要素内の熱応力を監視することが望ましいとすることができる。例えば、イメージングシステム36は、第1段タービンブレード56の2次元温度マップを求めるよう構成することができる。理解されるように、2次元温度マップを利用して、各ブレード56にわたる温度勾配を求め、これによりブレード56内の熱応力の演算を可能にすることができる。
【0019】
加えて、タービン18を通過する排出ガス48の温度を監視するのが望ましい場合がある。理解されるように、正確なガス温度監視により、タービン効率の向上、エミッションの低減、及び/又は排出ガスと接触する構成要素の有効寿命の拡大をもたらすようガスタービンパラメータの調整を可能にすることができる。以下で詳細に検討するように、イメージングシステム36は、第1段タービンブレード56に隣接する排出ガス48の2次元温度マップを生成するよう構成される。特定の実施形態において、コントローラ46はまた、ガスを含有するボリュームを通る一連の2次元温度マップスライスを生成するよう構成することができ、各スライスは、タービン18の円周方向軸線52に垂直に配向される。加えて、コントローラは、これらのスライスを組み合わせて、ボリューム内のガスの3次元温度マップを生成するよう構成することができる。
【0020】
図示の実施形態は、観測ポート40を波長分離装置42に光学的に接続するための3つの光学接続部38を含む。図示のように、第1の光学接続部76は、ブレード56の上流側に位置付けられた観測ポート40に結合され、ブレード56に対して角度が付けられ、第2の光学接続部78は、第1の観測ポートから下流側に位置付けられた別の観測ポート40に結合され、半径方向66に対して実質的に角度が付けられ、第3の光学接続部79は、第2の観測ポートから下流側に位置付けられた第3の観測ポート40に結合され、上流方向に角度が付けられる。この構成において、第1の光学接続部76は、ブレード56及び該ブレード56の上流側に位置する排出ガス48のイメージを波長分離装置42に送ることになる。加えて、第2及び第3の光学接続部78及び79は、排出ガスの別の斜視図のイメージを波長分離装置42に送ることになる。以下で詳細に検討するように、コントローラ46は、異なる斜視図から取得した排出ガス48のイメージを利用して、排出ガス48の複数の2次元温度マップスライス及び/又は3次元温度マップを生成することができる。
【0021】
理解されるように、観測ポート40は、軸方向50、円周方向52、及び/又は半径方向66に角度が付けられ、ブレード56及び/又は該ブレード56に隣接する排出ガス48の所望の領域に配向することができる。代替の実施形態において、より多く又は少ない観測ポート40及び光学接続部38を利用して、第1段ブレード56及び/又は該ブレードに隣接するガスのイメージを取得することができる。例えば、特定の実施形態は、1、2、3、4、5、6、7、8、又はそれよりも多い観測ポート40及び対応する数の光学接続部38を利用して、ブレード56及び排出ガス48のイメージを波長分離装置42に送ることができる。以下で詳細に検討するように、より正確な2次元温度マップスライス及び/又は3次元温度マップは、更なる観測ポート40及び光学接続部38から取得した追加の斜視図で生成することができる。上述のように、光学接続部38は、例えば、光ファイバーケーブル又は光学イメージングシステム(例えば、堅固なイメージング光導波路システム)を含むことができる。また、特定の実施形態では、光学接続部38を省略することもでき、波長分離装置42を観測ポート40に直接光学的に結合できる点は理解されたい。
【0022】
観測ポート40は、図示の実施形態において、ブレード56及び該ブレード56の上流側に配置された排出ガス48に向けられるが、観測ポート40は、代替の実施形態では他のタービン構成要素及び/又は排出ガス流の他の領域に配向してもよい点は理解されたい。例えば、1つ又はそれ以上の観測ポート40は、第1段ベーン54、第2段ベーン60、第2段ブレード62、端壁64、プラットフォーム68、エンジェルウィング72、シュラウド74、又はタービン48内の他の構成要素に向けて配向することができる。このような構成は、排出ガス48及び排出ガス48を通して観測可能な構成要素のイメージを取り込むことができる。更なる実施形態は、タービン18内の複数の構成要素及び/又は排気ガス流の複数の領域に配向される観測ポート40を含むことができる。第1段ブレード56と同様に、イメージングシステム36は、観測ポート40の視野内の各構成要素に対する2次元温度マップ、並びに構成要素と観測ポート40との間に配置される排出ガス48の2次元温度マップを生成することができる。このようにして、種々のタービン構成要素内の熱応力及び/又は構成要素に隣接する排出ガス温度が測定され、これによりタービンシステム10の作動パラメータの調整及び/又はメンテナンス間隔の決定に用いることができるデータをオペレータに提供することができる。
【0023】
上記で検討したように、光学接続部38(例えば、光ファイバーケーブル、光導波路、その他)は、タービン内部のイメージを波長分離装置42に送る。次いで、波長分離装置42は、該イメージを、排出ガス48の温度を示す波長の第1の2次元強度マップと、タービン構成要素の温度を示す第2の2次元強度マップとに分離するよう構成される。検出器アレイ44は、波長分離装置42に光学的に結合され、第1及び第2の2次元強度マップを示す1つ又は複数の信号を出力するよう構成される。検出器アレイ44は、ある時間期間にわたって複数のイメージを取り込むよう構成することができる。理解されるように、上述の第1段ブレード56などの特定のタービン構成要素は、タービン18の円周方向に沿って高速度で回転することができる。その結果、このような構成要素のイメージを取り込むために、検出器アレイ44は、各構成要素の実質的に静止イメージをコントローラ46に提供するのに十分な周波数で動作するよう構成することができる。例えば、特定の実施形態において、検出器アレイ44は、約100,000、200,000、400,000、600,000、800,000、又は1,000,000Hzもしくはそれ以上よりも大きい周波数で各イメージの2次元強度マップを示す信号を出力するよう構成することができる。更なる実施形態において、検出器アレイ44は、積算時間が約10、5、3、2、1、又は0.5マイクロ秒もしくはそれ未満の各画像の2次元強度マップを示す信号を出力するよう構成することができる。このようにして、各回転タービン構成要素について2次元強度マップを生成することができる。
【0024】
更に、排出ガス48は、ガスがタービン18を通って下流側軸方向に移動するときに円周方向52に回転する点に留意されたい。その結果として、検出器アレイ44は、排出ガス48の実質的に静止イメージをコントローラ46に提供するのに十分な周波数で動作するよう構成することができる。以下で詳細に検討するように、排出ガス48の特定時間において取得された各一連のイメージを利用して、トモグラフィー法により2次元温度マップスライスを生成することができる。排出ガス48が方向52に回転すると、次のスライスが生成され、これにより一連の2次元温度マップスライスを設定することができ、これらスライスを組み合わせて排出ガス48の3次元温度マップを生成することができる。
【0025】
特定の実施形態において、光学接続部38は、波長分離装置42内のマルチプレクサに結合され、各観測点からのイメージを検出器アレイ44に提供することができる。理解されるように、各光学接続部38からのイメージは、空間又は時間で多重化することができる。例えば、マルチプレクサがイメージを空間多重するよう構成された場合、各イメージは、検出器アレイ44の異なる部分に投影することができる。この構成において、第1の光学接続部76からのイメージは、検出器アレイ44の第1の部分(例えば、3つのうちの最初の部分)に配向することができ、第2の光学接続部78からのイメージは、検出器アレイ44の第2の部分(例えば、3つのうちの2番目の部分)に配向することができ、更に、第3の光学接続部79からのイメージは、第3の部分(例えば、3つのうちの3番目の部分)に配向することができる。結果として、検出器アレイ44は、各画像を3分の1の解像度で取り込むことができる。換言すると、理解されるように、解像度が低くなるほど、高解像度よりも小さいタービン構成要素及び/又は排出ガス48の空間的カバレージをコントローラ46に提供する。従って、空間多重信号の数は、コントローラ46がタービン構成要素の所望の2次元温度マップ及び/又は排出ガス48の所望の2次元又は3次元温度マップを策定するのに十分な最小限の解像度に制限される可能性がある。
【0026】
或いは、光学接続部38から与えられたイメージは、時間で多重化することもできる。例えば、検出器アレイ44は代替的に、検出器アレイ44の解像度全体を用いて各光学接続部38からのイメージを取り込むことができる。この技法を用いると、検出器アレイ44の最大解像度を利用できるが、スキャンされる観測点の数に比例して取り込み周波数が低下する可能性がある。例えば、2つの観測点がスキャンされ、検出器アレイ周波数が100,000Hzである場合、検出器アレイ44は、50,000Hzで各観測点からイメージをスキャンすることしかできない。従って、時間的に多重化された信号の数は、所望のスキャン周波数によって制限される可能性がある。加えて、実質的に異なる時間で異なる斜視図から排出ガス48のイメージを取り込むと、2次元温度マップスライスの精度が低下する可能性がある。
【0027】
図3は、ガス80を介して観測可能な図示のタービンブレード56など、ガス80(例えば、排出ガス48)及び表面に配向されるイメージングシステム36の概略図である。図示の実施形態において、波長分離装置42は、第1段ブレード56に配向される。しかしながら、波長分離装置42は、代替の実施形態では他のタービン構成要素(例えば、ベーン54及び60、ブレード62、端壁64、プラットフォーム68、エンジェルウィング72、シュラウド74、その他)に配向されてもよい点は理解されたい。理解されるように、ブレード56及びガス80から電磁放射線を放出することができる。この電磁放射線は、イメージ(例えば、ブレード56により放出されるがガス80により吸収されない波長及びガス80により放出される波長の複合イメージ)としてイメージングシステム36が取り込むことができる。こうしたイメージは、電磁スペクトルの赤外域、可視域、及び/又は紫外線域内の波長を有する放射線を含むことができる。
【0028】
図示のように、レンズ82は、波長分離装置42とガス80との間に位置付けられる。レンズ82は、ブレード56及びガス80により放出される放射線を波長分離装置42上に集束するよう構成される。理解されるように、レンズ82又は一連のレンズ82は、第1段ブレード56の少なくとも一部又は他の所望のタービン構成要素を対象範囲とする視野84を確立する。視野84はまた、タービン構成要素に対する波長分離装置42の位置及び/又は光学接続部38(存在する場合)の構成による影響を受けることになる。適切なレンズ82を選択すること、及び/又は波長分離装置42を適切に位置付けることによって所望の視野84を確立することができ、これにより、イメージングシステム36がガス80及びガス80を介して観測可能なタービン構成要素の2次元イメージを取り込むことが可能になる。図示の実施形態はまた、レンズ82とガス80との間に位置付けられるフィルタ86を含む。フィルタ86は、イメージングシステム36により受け取られた放射線の波長範囲を削減するよう構成された、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、又はバンドパスフィルタとすることができる。例えば、フィルタ86は、ほぼ1から5ミクロンの間の波長範囲を有する放射線の通過を可能にするよう構成することができる。このような波長範囲は、タービン構成要素及び排出ガスの温度測定に好適とすることができる。代替の実施形態において、フィルタ86は省略することができ、或いは、レンズ82と組み合わせることもできる。
【0029】
上記で検討したように、イメージングシステム36は、ガス80の温度を示す波長の2次元強度プロファイルと、ブレード56の温度を示す波長の2次元強度プロファイルとを取り込むよう構成される。理解されるように、ブレード56は、ブレードの温度が上昇するにつれて広範囲の波長にわたって放射線を放出する。加えて、水蒸気及び二酸化炭素などの特定の燃焼生成物化学種は、温度上昇に応答して広範囲の波長にわたり放射線を吸収及び放出する。結果として、ガスタービンエンジン10の作動中、ブレード56により放出される波長の一部だけが、正確な強度測定のために十分な強度と干渉が無視できる状態でイメージングシステム36に到達する。その結果として、イメージングシステム36は、有意な吸収又は干渉もなくガス80を通過させる可能性がより高い特定の波長の強度を測定し、ブレード56の温度を決定するよう構成することができる。例えば、可視スペクトルの赤色部分内及び/又は近赤外スペクトル内の波長は、他の周波数範囲よりも少ない吸収でガス80を通過させることができる。従って、特定の実施形態は、こうした周波数範囲を利用してブレード56の温度を決定することができる。例えば、特定のイメージングシステム36は、ブレード温度を決定するために、およそ0.5から1.4ミクロン、1.5から1.7ミクロン、及び/又は2.1から2.4ミクロンの範囲内の波長の強度を測定するよう構成することができる。しかしながら、代替の実施形態は、可視、赤外、及び/又は紫外スペクトルの他の部分内の電磁放射線の強度を測定してもよい点は理解されたい。
【0030】
同様に、イメージングシステム36は、ガス温度決定のためにガス80によって放出される特定波長の強度を測定するよう構成することができる。例えば、およそ1.4から1.5ミクロン、1.7から2.1ミクロン、2.4から3ミクロン、及び/又は4から5ミクロンの波長範囲内のガス80によって放出される放射線の強度は、同じ波長範囲内でブレード56により放出される放射線の強度よりも有意に高くなることができる。その結果として、イメージングシステム36は、この範囲内の波長の強度を測定して、ガス80の温度を決定するよう構成することができる。しかしながら、排出ガス化学種は多種多様とすることができるので、代替の実施形態は、可視、赤外、及び/又は紫外スペクトルの他の部分内の電磁放射線の強度を測定してもよい。
【0031】
図示の実施形態では、波長分離装置42は、ガス80及び/又はガス80を介して観測可能なタービンブレード56のイメージを、ガス80の温度を示す波長λ1の第1の2次元強度マップと、ブレード56の温度を示す波長λ2の第2の2次元強度マップとに分離するよう構成される。波長λ1及びλ2によって表記される波長は、電磁スペクトルにわたって分布した波長の連続範囲又は離散的波長の群を提示する。波長λ1及びλ2が波長範囲の複数の不連続な群を提示する実施形態において、波長分離装置42は、イメージを所望の範囲に分離し、次いで特定の範囲を結合してλ1及びλ2で表記される群を形成することができる。
【0032】
波長分離装置42は、ガス80及びブレード56のイメージを波長λ1の第1の強度マップと波長λ2の第2の強度マップとに分離するよう構成された何れかの好適な機構を含むことができる。例えば、波長分離装置42は、イメージを第1及び第2の強度マップに変換するよう構成された1つ又はそれ以上のダイクロイックミラーを含むことができる。理解されるように、ダイクロイックミラーは、残りの放射線を通過させながら、所望の波長範囲の放射線を反射するよう構成された反射面を含む。特定の実施形態において、第1のダイクロイックミラーは、残りの波長を通過させながら、波長λ1を有する放射線を反射するよう構成することができる。次いで、残りの波長は、波長λ2を有する放射線を反射するよう構成された第2のダイクロイックミラーに配向することができる。理解されるように、ダイクロイックミラーにより反射された波長の範囲は、ミラーに施工されたコーティングに基づいて特に選択することができる。
【0033】
別の実施形態において、波長分離装置42は、イメージを第1及び第2の強度マップに変換するためにイメージスプリッタ及びマルチフィルタを含むことができる。例えば、イメージスプリッタは、一連のレンズ、プリズム、ミラー、及び/又は他の反射及び/又は屈折光学系を含み、イメージを各々が実質的に同様のスペクトル成分(例えば、波長範囲)を有する複数の重複イメージに分離することができる。1つの重複イメージは、波長λ1を有する放射線の通過を可能にするよう構成された第1のフィルタを通って配向することができ、別の重複イメージは、波長λ2を有する放射線の通過を可能にするよう構成された第2のフィルタを通って配向することができる。別の実施形態は、マルチチャンネル波長分離プリズムを利用して、イメージを所望の第1及び第2の強度マップに直接分離することができる。更に別の実施形態は、複数の狭波長帯域フィルタを有するフィルタマスクを利用することができ、ここで各狭波長帯域フィルタは、検出器アレイのそれぞれの検出器素子と光学的に連通している。
【0034】
イメージが所望の波長範囲に分離されると、第1の2次元強度マップが第1の検出器アレイ87に配向され、第2の2次元強度マップが第2の検出器アレイ88に配向される。各検出器87及び88は、それぞれの2次元強度マップを示す1つ又は複数の信号をコントローラ46に出力するよう構成される。本実施形態では2つの検出器アレイ87及び88が利用されているが、単一の検出器アレイを利用して、両方の2次元強度マップを受け取ることができる点は理解されたい。例えば、各強度マップは、アレイの非重なり部分上に投影することができ、或いは、検出器アレイは、各強度マップを交互方式で選択的に受け取るよう構成することができる。
【0035】
上記で検討したように、コントローラ46は、検出器アレイ87及び88からの信号に基づいて、ガスの第1の2次元強度マップと表面の第2の2次元強度マップとを生成するよう構成される。例えば、ガス又は構成要素の温度は、特定波長で物体により放射される電磁放射線の強度を測定することにより求めることができる。例えば、仮定放射率を1(黒体仮定)とすると、プランクの法則を利用して、測定放射線強度から温度を演算することができる。しかしながら、実際の構成要素は1よりも小さい放射率を有する可能性があるので、コントローラ46は、経験的観測及び演算に基づいて一定の放射率値を利用することができる。第1の2次元強度マップ内の各点における温度を演算することにより、コントローラ46は、ガス80の2次元温度マップ90を生成することができる。イメージは、視野84の方向89に実質的に垂直な平面に沿って取得されるので、第1の2次元温度マップ90は、半径方向軸線91及び円周方向軸線95により定められる平面の統合ガス温度マップを表す。換言すると、第1の温度マップ90内の各点は、方向89に沿った経路平均ガス温度を表す。同様に、第2の2次元強度マップ内の各点の温度を演算することにより、コントローラ46は、ブレード56の2次元強度マップ92を生成することができる。上記で検討したように、温度マップ90及び92を利用して、作動中のタービンエンジンを制御し、及び/又はタービン構成要素の残りの有効寿命を評価し、これによりタービン作動及び保守管理の効率を高めることができる。
【0036】
図4は、複数の2次元強度マップをコントローラ46に提供し、該コントローラ46がガス80の一連の温度マップスライス及び/又は3次元(すなわちボリューム)温度マップを生成できるように構成された、複数検出器アレイを含むイメージングシステム36の概略図である。図示のように、複数の波長分離装置/検出器アレイ組立体は、ガス80を含有する容積93に配向される。具体的には、第1の波長分離装置92は、第1の検出器アレイ96に結合され、組立体は、軸方向50に沿って容積93の上流側に位置付けられる。図示のように、第1の波長分離装置94の第1の視野98は、ボリューム93に向かって下流側方向に角度が付けられる。加えて、第2の波長分離装置100は、第2の検出器アレイ102に結合され、組立体は、半径方向66に沿って容積93から外向きに位置付けられる。図示のように、第2の波長分離装置100の第2の視野104は、ボリューム93に向かって下流側半径方向に角度が付けられる。更に、第3の波長分離装置106が、第3の検出器アレイ108に結合され、組立体は、軸方向50に沿って容積93から下流側に位置付けられる。図示のように、第3の波長分離装置106の第3の視野110は、ボリューム93に向かって上流方向に角度が付けられる。この構成において、視野98,104、及び110は、容積93内に重なり合う。
【0037】
図示の実施形態において、各検出器アレイ96、102、及び/108は、コントローラ46に通信可能に結合され、ガス温度を表す波長の2次元強度マップを示す1つ又は複数の信号を出力するよう構成される。更に、コントローラ46は、信号を受け取り、容積93内のガス80の複数の2次元温度マップを生成するよう構成される。例えば、コントローラ46は、図3を参照して上述された構成と類似した、各組立体の視野に対して垂直な平面に沿ってガス80の2次元温度マップを生成することができる。別の実施形態において、コントローラ46は、信号に基づいて容積93を通る一連の2次元温度マップスライス112を生成することができる。このような1つの実施形態は、ガス80内の温度分布に関する拡張データを提供し、タービンエンジン10のより効率的な作動を可能にすることができる。
【0038】
例えば、コントローラ46は、トモグラフィー法を利用して、円周方向52に対して垂直な平面内でガス80の2次元温度マップを数学的に演算することができる。このような実施形態において、各検出器96、102、及び108は、第1の時間にてそれぞれの視野に垂直な平面に沿ったガス80の2次元強度マップを受け取ることになる。コントローラ46は、これらの強度マップを利用して、有限展開再構成法、代数的再構成法(ART)、最尤推定期待値最大化(ML−EM)、反復再構成、統計的再構成法、又は他の好適な再構成法などの種々のトモグラフィー法を用いてボリューム46を通る第1のスライス114を生成することができる。
【0039】
上記で検討したように、ガス80は、タービン18を通って円周方向52に回転することができる。その結果として、ボリューム93を通る第2の2次元温度マップスライス116は、第2の時間で2次元強度マップを取り込むことによって演算することができ、第3のスライス118は、第3の時間で2次元強度マップを取り込むことによって演算することができる。上記で検討したように、積算時間は、およそ10、5、3、2、又は0.5マイクロ秒或いはそれ未満よりも短くすることができ、2次元強度マップは、およそ100,000、200,000、400,000、600,000、800,000、又は1,000,000Hz、もしくはそれ以上よりも大きい周波数で取り込むことができる。その結果、一連のスライス112は、ガス80内の温度分布の正確な再構成を提供することができる。更に、高周波数及び短い積算時間は、種々の3次元トモグラフィー法と相まって、コントローラ46が、ボリューム93内のガス80の3次元温度マップの生成を可能にすることができる。結果として得られるガスの3次元温度マップ120を利用して、作動中のタービンエンジンを制御し、効率の改善、エミッション低減、及び/又はタービン構成要素の有効寿命の拡大を行うことができる。
【0040】
図示の実施形態には3つの波長分離装置/検出器アレイ組立体が含まれているが、代替の実施形態では、より多くの又はより少ない組立体を利用してもよい点は理解されたい。例えば、特定の実施形態では、ボリューム93の異なる斜視図を取り込むために、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上の組立体を含めることができる。理解されるように、ボリューム93内の温度分布のより正確な再構成は、多数の組立体を用いて生成することができる。別の実施形態において、各波長分離装置からのイメージを同時に又は順次的に取り込むためのマルチプレクサを含む複数の波長分離装置を単一の検出器アレイに光学的に結合してもよい。更に別の実施形態において、複数の観測ポート40から単一の波長分離装置に延びる複数の光学接続部38を利用して、図2に示す構成のような各2次元強度マップを取り込むことができる。
【0041】
代替の実施形態は、単一の配向可能波長分離装置/検出器アレイ組立体を利用して、2次元強度マップスライスを生成するのに使用される各2次元強度マップを取り込むことができる。例えば、特定の実施形態において、組立体は、ボリューム93内のガス80の複数の斜視図を取り込むために複数の位置の間を移動可能にすることができる。別の実施形態において、組立体は、固定組立体をボリューム93内のガス80の異なる領域に配向するために、移動可能/回転可能な反射又は屈折装置(例えば、ミラー、プリズム、その他)を含めることができる。ガス80が円周方向52に沿って回転している速度に起因して、組立体の再配向に伴う遅延によりスライス112の演算が不正確になる可能性がある。その結果として、コントローラ46は、ガス80の後続の回転中にイメージを取り込むよう検出器アレイに対して命令するように構成することができる。例えば、ガス80の回転速度は、タービンブレード56の回転速度と実質的に同様とすることができる。その結果として、コントローラ46は、特定のブレードがアレイに近接して位置付けられるときに、ガス80のイメージを取り込むよう命令することができる。次いで、コントローラ46は、ガス80の第2の領域に組立体を再配向することができる。特定のブレードがアレイに隣接する位置に復帰すると、コントローラ46は、検出器アレイに第2のイメージを取り込むよう命令することができる。この手法を繰り返し行い、単一の組立体を用いてガス80の複数の斜視図を取り込むことができる。各2次元強度マップが取り込まれた後、コントローラ46は、上述のように温度マップスライスを構成することができる。他のブレード位置について本手法を繰り返すことにより、追加スライスを生成することができる。
【0042】
図5は、ガスの温度マップ並びにガスを介して観測可能な表面の温度マップを生成する方法122のフローチャートである。最初に、ブロック124で表されるように、ガスのイメージ及びガスを介して観測可能な表面を受け取る。上記で検討したように、イメージは、観測ポート40及び光学接続部38を介してタービン18の内部から受け取ることができる。このような構成において、ガスは、タービン18を流れる排出ガス48を含み、表面はタービン構成要素を含むことになる。次に、ブロック126で表されるように、イメージは、ガス温度を示す波長の第1の2次元強度マップと、表面温度を示す波長の第2の2次元強度マップとに分離される。このような分離動作は、タービン18への観測ポート40と光学的に連通した波長分離装置42により実施することができる。次いで、ブロック128で表されるように、第1及び第2の2次元強度マップを示す信号が出力される。例えば、波長分離装置42は、強度マップを受け取り且つそれぞれの信号を出力するyおう構成された1つ又はそれ以上の検出器アレイと光学的に連通することができる。
【0043】
特定の実施形態において、ブロック130で表されるように、ガスの第1の2次元強度マップ及び表面の第2の2次元強度マップが生成される。例えば、検出器アレイは、コントローラ46に通信可能に結合することができ、コントローラ46は、選択波長の検出強度に基づいて、信号を受け取り且つ2次元温度マップを生成するよう構成することができる。別の実施形態において、ブロック132で表されるように、ガスの複数の2次元温度マップを生成することができる。例えば、イメージングシステム36は、複数の波長分離装置/検出器アレイ組立体を含むことができ、コントローラ46は、各組立体の視野に垂直な平面に沿ったガスの2次元温度マップを生成することができる。別の実施形態において、コントローラ46は、トモグラフィー法を用いてガスを介した一連の2次元温度マップスライスを生成することができる。最後に、ブロック134で表されるように、ガスの3次元温度マップを生成することができる。
【0044】
本明細書は、最良の形態を含む実施例を用いて本発明を開示し、更に、あらゆる当業者があらゆるデバイス又はシステムを実施及び利用すること並びにあらゆる包含の方法を実施することを含む本発明を実施することを可能にする。本発明の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者であれば想起される他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の文言と差違のない構造要素を有する場合、或いは、請求項の文言と僅かな差違を有する均等な構造要素を含む場合には、本発明の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0045】
10 ガスタービンシステム
12 燃料噴射器
14 供給燃料
16 燃焼器
18 タービン
19 シャフト
20 排気出口
22 圧縮機
24 吸気口
26 負荷
30 空気
32 加圧空気
34 燃料空気混合気
36 イメージングシステム
38 光学接続部
40 観測ポート
42 波長分離装置
44 検出器アレイ
46 コントローラ
48 排出ガス
50 軸方向
52 円周方向
54 第1段ベーン
56 第1段ブレード
58 タービンロータ
60 第2段ベーン
62 第2段ブレード
64 端壁
66 半径方向
68 プラットフォーム
70 シャンク
72 エンジェルウィング
74 タービンシュラウド
76 第1の光学接続部
78 第2の光学接続部
79 第3の光学接続部
80 ガス
82 レンズ
84 視野
86 フィルタ
87 第1の検出器アレイ
88 第2の検出器アレイ
89 視野方向
90 第1の2次元温度マップ
91 半径方向軸線
92 第2の2次元温度マップ
93 ボリューム
94 第1の波長分離装置
95 円周方向軸線
96 第1の検出器アレイ
98 第1の視野
100 第2の波長分離装置
102 第2の検出器アレイ
104 第2の視野
106 第3の波長分離装置
108 第3の検出器アレイ
110 第3の視野
112 一連の2次元温度マップスライス
114 第1の2次元温度マップスライス
116 第2の2次元温度マップスライス
118 第3の2次元温度マップスライス
120 3次元温度マップ
122 方法のフローチャート
124 ガス及び表面のイメージを受け取る
126 イメージを、ガス温度を示す波長の2次元強度マップと、表面温度を示す波長の2次元強度マップとに分離する
128 2次元強度マップを示す信号を出力する
130 ガスの2次元温度マップと、表面の2次元温度マップとを生成する
132 ガスの複数の2次元温度マップを生成する
134 ガスの3次元温度マップを生成する

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービン(18)の内部と光学的に連通し、前記タービン(18)の内部のイメージをガス(80)の温度を示す波長の第1の2次元強度マップと、表面の温度を示す波長の第2の2次元強度マップとに分離するよう構成された波長分離装置(42)と、
前記波長分離装置(42)と光学的に連通した検出器アレイ(44)と、
を備え、
前記検出器アレイ(44)が、前記第1及び第2の2次元強度マップを示す信号を出力するよう構成されたシステム(10)。
【請求項2】
前記検出器アレイ(44)に通信可能に結合されたコントローラ(46)を更に備え、
前記コントローラ(46)が、前記信号に基づいて、前記ガス(80)の第1の2次元温度マップ(90)と、前記表面の第2の2次元温度マップ(92)とを生成するよう構成される、
請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項3】
前記コントローラ(46)が、トモグラフィー法により前記信号に基づいて複数の2次元温度マップ(112)を生成するよう構成される、
請求項2に記載のシステム(10)。
【請求項4】
各2次元温度マップ(114、116、118)が、前記ガス(80)を含有するボリューム(93)を通るスライスを含み、各スライス(114、116、118)が、前記タービン(18)の円周方向軸線(52)に垂直に向けられる、
請求項3に記載のシステム(10)。
【請求項5】
前記コントローラ(46)が、前記複数のスライス(112)から前記ボリューム(93)内のガス(80)の3次元温度マップ(120)を生成するよう構成される、
請求項4に記載のシステム(10)。
【請求項6】
前記検出器アレイ(44)が、およそ100,000Hzよりも高い周波数で前記信号を出力するよう構成される、
請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項7】
前記ガス(80)の温度を示す波長がおよそ1.4から5ミクロンの間であり、前記表面の温度を示す波長がおよそ0.5から2.4ミクロンの間である、
請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項8】
前記波長分離装置(42)は、光ファイバーケーブル又はイメージング光学システム(38)を介して前記タービン(18)への観測ポート(40)に光学的に結合するよう構成される、
請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項9】
前記表面が、ブレード(56、62)、ベーン(54、60)、端壁(64)、プラットフォーム(68)、エンジェルウィング(72)、又はシュラウド(72)を含む、
請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項10】
ガス(80)及びタービン(18)の内部から前記ガス(80)を介して観測可能な表面のイメージを受け取り、前記イメージを、前記ガス(80)の温度を示す波長の第1の2次元強度マップと、前記表面の温度を示す波長の第2の2次元強度マップとに分離し、前記第1及び第2の2次元強度マップを示す信号を出力するよう構成されたイメージングシステム(36)を備えるシステム(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−13702(P2012−13702A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143696(P2011−143696)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】