説明

多段アナライザ・システムにおける自動品質管理プロトコル

行われるべき評価分析を一組の評価分析定義ルールと比較し、アナライザを従って評価分析定義ルールを遵守するアナライザと評価分析定義ルール・セットを遵守しないアナライザとに細分し、その後、分析評価ルールを遵守するアナライザに患者サンプルを供給するようにシステムを作動させるか、または、少なくとも1つのアナライザに評価分析定義ルールを遵守させるようにシステムを作動させ、このようなアナライザに患者サンプルを供給することによって多数の患者サンプルについて評価分析を行うようにサンプル取り扱いシステムおよび関連したアナライザを自動的に作動させる方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動コンベヤ・システムよってサンプルの供給を受ける2つまたはそれ以上の独立したアナライザを有する自動臨床サンプル取り扱いワークシステムに関する。一層詳しくは、本発明は、このような自動臨床サンプル取り扱いワークシステム内で品質管理手順を実施するのに伴うプロセスを自動化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
臨床診断アナライザは、尿、血清、血漿、脳脊髄液などの生物流体サンプルの化学評価分析および免疫評価分析の性能を完全に自動化すべく複雑性、精巧化レベルの向上と共に発展し続けている。これらの流体サンプルは、ほぼ普遍的に、開放サンプル・チューブやキャップ付きのサンプル・チューブに収容されている。一般的に、患者の生物学的サンプルにおける被検物質と評価分析を実施するときに使用される試薬との化学反応は、アナライザで測定され得る種々の信号を生成することになる。これらの信号から、サンプルにおける被検物質の濃度が算出され得る。
【0003】
多種多様な自動化学アナライザがこの技術分野で知られており、分析メニューおよび処理量を増やし、所用時間を短縮し、必要なサンプル体積を小さくするために絶えず改良されている。たとえば、米国特許第6,103,193号、同第6,027,691号および同第5,482,861号を参照されたい。このような改良は、それ自体必要ではあるのだが、選別、バッチ調製、サンプル成分を分離するサンプル・チューブの遠心分離、流体へのアクセスを容易にするキャップ除去などのような分析前のサンプル調製、取り扱い作業で充分な相応する進歩が行われていないならば、阻害される可能性がある。
【0004】
各々が或る種の評価分析メニューを実施するようになっている異なったタイプのアナライザをリンクすることよって分析処理量が向上する可能性がある。別の方法としては、同じタイプの2つまたはそれ以上のアナライザをリンクさせ、処理すべきサンプルのバックログが最小であるアナライザに装入サンプルを割り当てることがある。あるいは、評価分析で必要とされ、2つ以上のアナライザで重複している評価分析リソース(反応容器、試薬等)の数および利用可能性に従ってアナライザ間で搬入サンプルを振り分けてもよい。
【0005】
米国特許第6,261,521号が、主コンベアラインに沿って異なったタイプの試薬供給ユニットと組み合わせて設置した複数のアナライザを有し、検査されるべきサンプルを適切な試薬を有するアナライザに割り当てるサンプル分析システムを開示している。
【0006】
米国特許第6,022,746号が、所与の反応容器内でシステムにより実施されるべき検査のリストを生成することによって多段アナライザ・システムを操作する方法を開示している。検査リストは、所与の時間内でシステムにより実施されるべき各検査を実施する際に使用される反応容器の数に従って分類される。
【0007】
米国特許第6,019,945号が、コンベアラインといくつかのアナライザの各々に形成されたサンプリング領域との間でサンプル容器ホルダを移送するための移送機構であって、複数のアナライザのそれぞれに接続可能である移送機構を開示している。少なくとも2つのアナライザが、試薬供給手段のタイプ、分析できる分析項目の数、単位時間あたりに処理できる検査の数または処理されるべきサンプルの種類で互いに異なっている。
【0008】
米国特許第5,087,423号が、複数の分析モジュール、複数の分析ルートおよび少なくとも1つの分析モジュールをバイパスする少なくとも1つのバイパス・ルートが配置されている構造を開示している。各分析モジュールは、1つまたはそれ以上の項目に関してサンプルを分析することがき、モジュールの導入側から連続的に供給されるサンプルは各モジュールに選択的に給送される。
【0009】
これらの従来技術システムは高度なサンプル取り扱い及び処理能力を持っているが、対処されなかったことがある。それは、多段アナライザ式自動臨床アナライザ・システム内で適切な品質管理手順を実施することと関連して複雑さが高まるということである。特に、ラボラトリー・オートメーション・システムは、代表的には、自動化しようとしている分析臨床アナライザについての品質管理手順の影響に対処してこなかったのである。一般的に、QC資材は、オートメーション・システムから独立して管理され、分析される。この手作業プロセスは、シフト毎または毎日という基準でのみQCを要求するQC法に対してOKを与える。しかしながら、「n回」の評価分析毎に較正評価分析または管理評価分析を実行することを必要とする品質管理手順は、多段アナライザ式自動臨床アナライザ・システムにおいて重大なチャレンジを提示する。たとえば、もし4つのアナライザが、各々、24のサンプルの評価分析毎に較正評価分析または管理評価分析を行うことを必要とする10回の評価分析を実施しているならば、アナライザを相互にリンクしているコンベヤ・システムには、較正液または管理液がきわめて集中することになり、システム処理量全体に悪影響を与えることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、自動化された検査室におけるQCプロセスを自動化し、改良する方法を提供する。ラボラトリー・オートメーションは、QC物質を臨床アナライザに給送する必要があるときに、どのQC物質を給送する必要があるか、次いで、QC評価分析からの結果を受け取ったときにどんな操作を採るべきかを正確に決定できることになる。使用者介入は、管理限界外の問題を解決するのにだけ必要となる。したがって、本発明は、コンベヤ、分析予備処理装置および多数の患者サンプルについて評価分析を行うようになっているアナライザを含むサンプル取扱いシステムを自動的に作動させる方法を提供する。この方法は、行われるべき評価分析を一組の評価分析定義ルールと比較する工程と、アナライザを前記一組の評価分析定義ルールを遵守する第1群のアナライザと前記一組の評価分析定義ルールを遵守しない第2群のアナライザとに細分する工程と、次いで、第1アナライザ群内のアナライザに患者サンプルを供給するようにサンプル取り扱いシステムを作動させるか、または、第2アナライザ群内の少なくとも1つのアナライザに評価分析定義ルールを遵守させるようにサンプル取り扱いシステムを作動させ、次いで第2アナライザ群内のアナライザに患者サンプルを供給することからなる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
サンプル取り扱いワークシステムを作動させるこの新しい方法は、以下の能力を導入する。
1)時間または検査頻度に関連した使用者定義ルールに基づいた臨床アナライザへのQC資材の給送を自動化すること。
2)資材特性に関連した使用者定義ルールに基づくQCLIS検査リクエストを自動的に生成すること。
3)臨床アナライザでの患者サンプル処理を継続または停止するためのためにQC結果を自動的に分析すること。
4)QCまたは較正がQC条件または較正条件から外れているときにそれを使用者に自動的に警告すること。
5)システムに保存されているQC資材の期限切れを自動的に管理すること。
6)QC資材が期限切れになるか利用できないとき、または、1つまたはそれ以上の臨床アナライザがQCを必要とするときにそれを使用者に自動的に通知すること。
【0012】
サンプル取り扱いシステムを自動的に作動させる方法と関連したサンプル・チューブ・キャリアの独特の設計は、臨床検査室の自動サンプル取り扱いシステムの任意のロボット装置とのインタフェースを改良し、サンプル・チューブ・キャリアからのサンプル・チューブのロボット挿入及び回収の全体的な信頼性を改良する。
【0013】
本発明ならびにそれの他の目的およびさらなる特徴をより良く理解して貰うために、添付図面と関連して、種々の好ましい実施形態についての以下の詳細な説明に言及する。
【0014】
図1は、本発明を有利に使用できるいくつかの化学分析事前処理装置及び分析装置と協働して制御されるコンベヤを含む自動サンプル取り扱いシステムの簡略化した概略平面図である。
図2および2Aは、図1のサンプル取り扱いシステムで使用するようになっているサンプル・チューブ・キャリアの簡略化した立面図および平面図である。
図3および3Aは、図1のサンプル取り扱いシステムで使用するようになっているサンプル・チューブ・キャリアの別の実施形態の簡略化した平面図である。
図4および4Aは、図2のサンプル・キャリアの重要な特徴を示している拡大平面図である。
図5および5Aは、図2のサンプル・キャリアの別の重要な特徴を示している拡大平面図である。
図6は、本発明を実施する際に役に立つコンピュータインタフェース・モジュール情報表示画面の代表的な例である。
図7は、本発明の一例を示している、図1の自動サンプル取り扱いシステムの平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1を参照して、ここには、種々のアナライザで行われた評価分析を一組の評価分析定義ルールと比較し、アナライザを前記一組の評価分析定義ルールを遵守する第1群のアナライザと、前記一組の評価分析定義ルールを遵守しない第2群のアナライザとに細分し、次いで、第1アナライザ群内のアナライザに患者サンプルを供給するようにサンプル取り扱いシステムを作動させるか、または、第2アナライザ群内の少なくとも1つのアナライザを評価分析定義ルールを遵守させるようにサンプル取り扱いシステムを作動させ、次いで、第2群におけるアナライザに患者サンプルを供給する本発明の方法を実施するために多数のサンプル・ラック18に収容された多数のサンプル容器20(代表的にはサンプル検査チューブ)を必要に応じて自動的に事前処理できる自動臨床化学サンプル取り扱いワークシステム10が示してある。代表的には、自動的に処理されている被検物は多数の容器(たとえば、キャップで塞ぐことのできる試験管)でサンプル取り扱いシステム10に提供される。サンプル容器20の各々は、バーコードのような容器識別しるしを備えている。このしるしは、患者の身元ならびに場合によっては容器内のサンプルに行うことになっている評価分析手順を示す。容器は、一般的には、ラックのような1つまたはそれ以上のホルダ内に保持される。ラックにも付加的な識別しるしを設けてもよい。
【0016】
サンプル取り扱いワークシステム10には、ベルト状のコンベヤ・トラック14を有する作動ベース部12が設けてあり、このコンベヤ・トラック14は、サンプル・チューブ・キャリア22内に支持されている複数の個々のサンプル・チューブ容器20を、サンプル・チューブ装填・取り出しステーション16から自動遠心機24まで移送し、キャップで塞いだサンプル容器20からキャップを自動的に取り除く自動チューブ・キャップ取り外し機30まで移送し、そして、サンプル・チューブ装填・取り出しロボット・ステーション16に各サンプル容器20を戻す前に1つまたはそれ以上の在来の臨床アナライザ32、38、42まで移送する。ここで、4つ以上のアナライザ32、38、42がコンベヤ・トラック14によってリンクしていてもよいが、説明を簡潔にするために、3つしか示していないことは了解されたい。サンプル取り扱いワークシステム10は、図示していないが多数のセンサを有する。これらのセンサは、各サンプル・チューブ・キャリア22上またはその中に設けた識別用しるしを特定することによってサンプル・チューブ容器20の位置を検出できる。このような追跡作業で在来のバーコード・リーダを使用してもよい。
【0017】
遠心機24および各アナライザ38、42、32は、一般に、種々のロボット機構26および28、40および44またはトラック34、36をそれぞれ備えており、これらの構成要素は、トラック14からサンプル・チューブ・キャリア22を取り出し、サンプル・チューブ・キャリア22を遠心機24へ、そして、遠心機から移動させ、それぞれのアナライザ38、42、32へ、そしてアナライザからまたはアナライザの内外へ移動させることができる。代表的には、装填・取り出しステーション16は、従来通りにクランプ留め用ロボットハンドを備えている少なくとも2本のX−Y−Zロボットアーム21を含む。
【0018】
サンプル取り扱いワークシステム10は、在来のコンピュータ15によって制御される。好ましくは、システム10の一部として収容されているか、または、システムとは別体の部分として設けられており、サンプル・チューブ・キャリア22を各作動ステーション24、30、32、38、42、16へ移動させることができるマイクロプロセッサ・ベースの中央処理装置CPU15によって制御される。各作動ステーションでは、以下に説明するような種々タイプの評価分析処理が行われる。CPU15は、イリノイ州ディアフィールドのDade Behring Inc.が販売するDimension(R)臨床化学アナライザで使用されているような、コンピュータベースの電気機械制御プログラミングの当業者にとって代表的なものであるソフトウェア、ファームウェアまたはハードウェア・コマンドまたは回路に従ってサンプル取り扱いシステム10を制御する。
【0019】
図2は、チューブ直径およびチューブ長手方向高さを有する、仮想線で示す円筒状サンプル・チューブTを移送するサンプル・チューブ・キャリア22の第1の実施形態の立面図である。このキャリアは、中心軸線50Aを有するほぼ円筒状のキャリア本体50と、前記軸線に沿って形成してあってキャリア本体50の頂面からその底面49に向かって延びている円筒状の穴52とを含む。軸線50Aに沿って中央に位置する随意の凹所53が示してあり、凹所53は、臨床サンプル・チューブT上に普通見いだされる丸い底を受け入れるために設けてある。
【0020】
キャリア50の重要な特徴は、円筒状穴52内に対称的に配置してあり、頂面51上方に所与の距離延びている少なくとも2本の垂直方向アーム54である。少なくとも2本の垂直方向アーム54は、中心軸線50Aに向かって下方に傾斜して示したテーパ付きの上端56を含む。このような垂直方向アーム54のうちの3本が図2、2Aに示してある。図3は、4本の垂直方向アーム54を有する別の実施形態を示し、そして、図3Aは、2本の垂直方のアーム54を有するまた別の実施形態を示している。
【0021】
図2Aは、底端部に取り付けられたレバー部58をさらに含む少なくとも2つの垂直方向アームの各々を示している。各レバー部58は、フィンガ部分60を有するピン62上に装着してあり、図5、5Aと関連して以下に説明する自動チューブ整合機構と協働するようになっている。
【0022】
図4、4Aは、キャリア22の別の特徴を詳しく示すために簡略化した形で描いてある。図4、4A両方において、3本の鎖線が、キャリア22の中心から延びており、中心軸線50Aまわりに等間隔で配置してある。図4は、キャリア22の「装填した」状態を簡略化して示しており、ここでは、鎖線で描いた、直径Dを有する仮想サンプル・チューブTが少なくとも2本の垂直方向アーム54間に位置している。この状態において、レバー部58がピン62まわりに回転すると、アーム54がチューブ直径Dに等しい直径を有する円形経路Pに沿って配置される。好ましくは、少なくとも2本の垂直方向アーム54は、少なくともチューブTの長手方向高さの半分くらいの頂面52上方距離に延びており、その結果、図2と関連してわかるように、本発明によれば、少なくとも2本の垂直方向アーム54と接触して保持されたサンプル・チューブTを完全に垂直方向向きに位置させる。
【0023】
具体的には、図4Aは、キャリア22の「取り出し」状態を簡略化して示してあり、ここでは、少なくとも2本の垂直方向アーム54がピン62まわりに回転し、アーム54が、チューブ直径Dよりも小さい直径Dsを有する、鎖線で示した円形経路Psに沿って配置されている。アーム54のこの位置は、サンプル・チューブTがキャリア22で運ばれない、キャリア22の「取り出し」状態を定める。先に説明したように、サンプル取り扱いシステム10の作動中、サンプル・チューブ装填・取り出しロボット・ステーション16ならびにロボット機構26、28、40、44は、サンプル・チューブTをサンプル・チューブ・ラック18へ、そして、そこから、遠心機24へ、そして、そこから、または、アナライザ38、42、32の内外へ移動させることになる。キャリア22がサンプル・チューブTを運んでいないときはいつでも、少なくとも2本の垂直方向アーム54は、図5に示すばね作動式機構70によって円形経路Pへ自動的に移動させられる。このばね作動式機構70は、第1の起動状態において、アーム54を第1の力で中心軸線に向かって対称的に押圧するように作動可能であり、その結果、キャリア22の「取り外し」状態において、少なくとも2本の垂直方向アーム54がピン62まわりに自動的に対称的に回転させられ、アーム54を円形経路Psに沿って対称的に配置する。
【0024】
ばね作動式機構70には、閉じた円筒状穴52の底に配置した回転可能な円形ボタン72と、第1の伸びばね長さを有し、第1端部で円形ボタン72の突起75に取り付けてあるばね74とが設けてあり、ばね74は、さらに、第1の伸び長さで円形ボタン72の外面に沿って巻き付けてあり、第2端部で閉じた円筒状穴52の底と一体のピン78に取り付けてある。
【0025】
図5は、さらに、円形ボタン72に形成した少なくとも2つのノッチ76を示しており、ノッチ76は、少なくとも2つの垂直方向アーム54の各々にあるレバー部58のフィンガ部分60をゆるく受け入れるような形状寸法となっており、その結果、フィンガ部分60は、ボタン72が図5に示すキャリア22の「装填」状態と図5Aに示すキャリア22の「取り外し」状態との間で回転するときにノッチ76内に留まることができる。
【0026】
図5は、キャリア22の「装填」状態を示しており、この状態において、ばね作動式機構70が第2の起動状態にあり、円形ボタン72が回転するにつれてアームを第2の力で中心軸線に向かって押圧する。ばね74は第2の伸びばね長さを有し、そして、少なくとも2つの垂直方向アームはチューブ直径Dと同じ直径Dを有する円形経路Pに沿って配置される。特に、第1の伸び長さは第2の伸び長さよりも短いので、任意種類のロボット・チューブ取り扱い機構によってチューブTが少なくとも2つの垂直方向アーム54間に挿入され、その際、少なくとも2つの垂直方向アーム54は図5の「装填」状態と同様に対称的に外方へ動かされる。それによって、ばね74を第2の伸び長さに緩め、それ相応の対称的に内向きのチューブ把持力を発生させる。先に説明したように、少なくとも2つの垂直方向アーム54の各々の上端56は、下向きにテーパが付けてあり、チューブTの装填を容易にしている。ここで重要なのは、対称的に位置させた少なくとも2つの垂直方向アーム54および対称的に発生するチューブ把持力が、キャリア22の幾何学的中心においてチューブTを自動的に位置決めすることである。
【0027】
図5と図5Aを詳しく比較すると、以下のことがわかる。上記の特徴によって、チューブTが少なくとも2つの垂直方向アーム54の間に挿入されたとき、チューブTが、アーム54の上端56のテーパに沿って下方へ摺動してアーム54を外方へ押圧する。アーム54の外向きの動きは、レバー部58をピン62まわりに反時計方向に回転させる。レバー部58の反時計方向の動きは、次に、ノッチ76内に位置したフィンガ部分60を、ボタン72を時計回りに回転させる方向に移動させる。ボタン72の時計回り回転は、ばね74の長さを第2の伸び長さに短くする。ここで重要なのは、ばね74の長さおよび張力特性は、ばね74がこの短くなった第2の伸び長さで伸ばされたときでも、ばね作動式機構70が、チューブTを真の垂直方向向きに維持するのに充分な力でアーム54を中心軸線50Aに向かって押圧し続けるように選択されるということである。少なくとも2つの垂直方向アーム54の各々がボタン72のノッチ76内に位置するレバー部58のフィンガ部分60を有するので、上述したようにチューブTをアーム54間に挿入することによってボタン72が回転したとき、アーム54は、図4Aに示す経路Pから図4に示す経路Tまで外方へ均等に変位させられることになる。それによって、チューブTをキャリア22の幾何学的中心に自動的に位置決めすることになる。
【0028】
本発明は、使用者が種々の管理画面と、サンプル調製および患者の生物学的サンプルの臨床分析のために使用される複数の相互関係のある自動装置を完全に説明している状況情報表示画面に容易かつ迅速にアクセスすることができるコンピュータ・インタフェース・モジュールCIMとを使用して実施できる。このようなCIMでは、好ましくは、複数の相互関係のある自動装置の作動状況についてのオンライン情報ならびに任意特定のサンプルの位置およびこのサンプルについて実施することになっている臨床検査の状況を説明している情報を含む複数の追加情報表示画面に直接リンクする第1の情報表示画面を使用する。したがって、CIMは、作業者と自動臨床分析システム10との相互関係を容易にするようになっており、ここで、モジュールは、アイコン、スクロールバー、ボックスおよびボタンを含むメニューを表示するようになっている視覚的タッチ画面を含み、このメニューを介して、作業者は、臨床分析システムとインタフェース接続することができる。また、メニューは、臨床分析システムの機能特徴を表示するようにプログラムされた多数の機能ボタンを含む。コンピュータインタフェースは、さらに、各機能ボタンについての詳細な機能特徴を表示するようにプログラムした多数の機能特定ボタンを含む。その結果、前記機能ボタンおよび機能特定のボタンのうちの多くても2つを作動させることによって臨床分析システムの状況および性能についての追加情報を表示できる。CIMおよび臨床検査室の患者および作動データベースとのそのインタフェースのこの設計では、ほんの2つの画面しか起動されないような単純なメニューを使用して作業者がほとんどすべての重要な情報画面にアクセスすることができる。それによって、分析システムの全体の状況を定める情報を容易に表示する簡単かつ迅速な方法についての要望が満たされる。
【0029】
図6は、本発明を実施する際に役に立つコンピュータインタフェース・ディスプレイまたはモジュールCIM80を示している。特に役に立つ実施形態においては、本出願の譲受人に譲渡された米国特許第6,442,440号に記載されているように、CIM80は、多数のアイコン、スクロールバー、ボックスまたはボタンを表示しているユーザ入力・情報表示用の視覚的タッチ画面82を含み、これを介して作業者が臨床システム10、および、患者データおよび作業データを問い合わせたり供給したりするための在来の検査室情報システム(LIS)とインタフェース接続できる。CIM80で使用するようなタッチ画面は市販されており、その操作ならびにCPU15および病院用LISを含む他の装置との相互接続はこの技術分野では知られている。この技術分野におけるいくつかの周知の用語を用いて作業者または技術者とCIM80との対話を示す。すなわち、このような「ボタンを起動する」、「ボタンを押す」、「ボタンに触れる」というような言い回しは、一般的には、CIM80の表示部分または画面部分の所与の領域を選択するいくつかの方法のうちのいずれかを示すことを意図している。一貫したインタフェースを保証するために、すべての画面は、後述するボタン82または84の各々についての詳細な情報を与えるスクロール領域81と、システム名86(たとえば、Dade Behring StreamLab(R) Workstation)を示すタイトルバー85と、表示されている特定画面の画面タイトル88とを含む或る種の共通した属性を共有しなければならない。タイトルバー85の位置は、CIM80のトップ中央にある。CIM80における各画面は、表示されている画面に固有の機能特定ボタン84のための条項も含む。上述の米国特許に記載されているように、アナライザ状況アイコン/ボタン90が設けてあり、臨床アナライザ32、38、42各々の全体的な状況を示すようになっている。
【0030】
全般機能ボタン82が、使用者に明確なナビゲーション制御を与える。これは、CIM80の左縁に沿ってトップからボトムまで位置しており、それらの機能を示すように名称が付けてある。機能特定ボタン84は、臨床アナライザ32、38、42の各々についての評価分析試薬および較正成分または管理成分を含む試薬在庫目録の状況を知るためのケミストリ・ボタン94を含む。全般機能ボタン82は、臨床アナライザ32、38、42のいずれかによる分析のために当初の生物学的サンプルを準備するために投与サンプル・チューブのキャップを除去すること、一次チューブから二次チューブへサンプル部分をアリクォット抽出すること、サンプル識別、希釈、遠心分離などのような種々のサンプル準備作業のために必要とされるかもしれない、装填・取り出しステーション16、自動遠心機24、チューブ・キャップ取り外し器30のような種々のサンプル準備装置の状況を示す装置パネル・ボタン83を含む。機能特定ボタン84の群からアナライザ・ボタン98を選択してアナライザ32、38、42のうち特定のアナライザの作動構成詳細(たとえば、評価分析メニュー、試薬在庫目録、較正読み取り値および管理読み取り値、インキュベーション温度、処理量など)を表示することによってアナライザ設定画面にアクセスすることができる。さらに、機能特定ボタン84の群からケミストリ・ボタン94を選択することによって或る特定の評価分析と関連した評価分析および試薬操作構成詳細に関するケミストリ構成選択情報に容易にアクセスすることができる。
【0031】
アナライザ32、38、42の較正には、当該被検物質の濃度と発生した検出信号との数学的関係を定めることが必然的に伴う。免疫評価分析におけるこのような関係は、普通、非線形であって、アナライザの較正では信号被検物質関係を定めるために多数の標準溶液を必要とする。
【0032】
標準溶液または較正溶液または管理溶液とは、拡張した安定性を呈するように特別に調製され、好ましくは、多数の被検物質関連の被検物質の決定のための方法において同時に使用できる種々の成分からなる溶液である。このような溶液は、代表的には、或る被検物質のための基準に合った結合リザーバとして、そして、他の物質のための基準に合った安定化環境として役に立つタンパク質成分として血清アルブミンを含有する。血清アルブミンは、40グラム/リットル〜80グラム/リットルの範囲で実用的であり、血清の生理タンパク質濃度を模倣する。同様に、血清におけるイオン環境を模倣するために、100〜200ミリモル/リットルの範囲でNaClを添加する。NaClの量は、イオン強度に対する分析システムの感度に応じて変化し得る。分析システムがイオン強度に対して敏感でない場合には、NaCl添加は不要であるかもしれない。同様に、較正溶液の緩衝能を高めるために、6.0〜8.0の範囲にpHを維持する緩衝液が必要であるかもしれない。このような緩衝液の一例としては、HEPES(N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸)がある。分析システムがpHに対して非感受性である場合、マトリクスのタンパク質成分が必要とされるすべての緩衝能を供給できる。
【0033】
タンパク質、塩および緩衝液の添加に続いて、汚染微生物に抗する活性のある作用物質を較正溶液に添加して所望程度の安定化を達成する。これらの作用物質は、バクテリアおよび菌類に抗する効果があり、分析システムにおいて不活性であり、較正溶液のマトリクスの成分とその中に含まれる特定の被検物質に反応しない任意数の化合物からなるものであってもよい。代表的な実施形態では、0.2グラム/リットルの濃度のナトリウム・ピリチオンと共にポリミキシンBを0.02グラム/リットルの濃度で添加する。これらの濃度では、ポリミキシンBは、主としてバクテリアに抗する活性があり、ナトリウム・ピリチオンは、主として菌類に抗する活性がある。他のものの活性を補強するため広スペクトル抗微生物剤を添加することも有用である。この特別な作用物質の組み合わせは、後述するように6ヵ月以上の長期間にわたって較正溶液の滅菌環境を得るのに効果的であることが知られている。
【0034】
ベース・マトリクスの調製に続いて、較正溶液の例においては、当該特定被検物質を、ヒト血清では普通である生理的に関連した濃度の約105%をカバーする範囲で添加する。典型的な管理溶液は、0%〜105%の被検物質含量で調製される。
【0035】
CPU15によるサンプル取り扱いワークシステム10の管理および作業は、以下の通りに多数の仮定および定義に基づく。
【0036】
プレシジョンQC物質は、安定したベース・マトリクス内に既知レベルの種々の被検物質を有する較正成分、管理成分であり、これについて偏差なしの測定が行われる。プレシジョンQC物質は、安定したベース・マトリクス内の種々の被検物質の精密なレベルを得るために厳しい生産・検査プロセスの下にサンプル取り扱いワークシステム10の領域外で上述したように注意深く調製した較正成分および管理成分である。このような物質は、一般的に同じ値(必ずしも較正成分容器および管理組成容器のラベルに示された濃度値とは限らない)の±5%以内で繰り返し被検物質(単数または複数)を測定した場合の精度について確認される。プレシジョンQC物質の場合、精度は適切なオフセットを適用することによって得ることができる。プレシジョンQC物質は、被検物質の各々が安定していることがわかっている時間を割り当てられる。プレシジョンQC物質のバリデーションは、それをサンプル取り扱いワークシステム10に導入する前に完了しなければならない。以下のバリデーション要素が想定される。
【0037】
1.最低20日の異なった作業日での被検物分析。
2.候補管理被検物分析からのデータ収集。
3.平均偏差および標準偏差を計算する。
4.受け入れ基準。
・設定した限度より低い変動係数
・医学的要件の合致
【0038】
精密QC物質の分析では以下を考慮することになる。
1.確認されたプレシジョン管理被検物のみを使用する。
2.実行または実行セグメント毎にプレシジョン管理被検物を分析する。
3.最も短い実行は1回の評価分析であり、最も長い実行は1回のワークシフトをカバーする。
4.長い実行では、10〜20の被検物を含むセグメントに分割する。
5.各被検物質は独立して管理する。
6.各臨床アナライザ32、38、42は独立して管理する。
7.受け入れ基準。
・算術平均からの標準偏差の3倍未満のつい最近の結果。
・すべて算術平均を超えない7つのつい最近の結果。
・すべて算術平均を下がらない7つのつい最近の結果。
・上昇傾向を示さない7つのつい最近の結果。
・下降傾向を示さない7つのつい最近の結果。
【0039】
アキュラシイQC物質は、安定したベース・マトリクス内の種々の被検物質の精密なレベルを得るために厳しい生産・検査プロセスの下にサンプル取り扱いワークシステム10の領域外で上述したように注意深く調製した較正成分および管理成分である。このような物質は、一般的にラベル値(較正成分容器および管理成分容器のラベルに示される濃度値)の±5%以内の被検物質濃度を有する精度について確証される。アキュラシイQC物質は、被検物質の各々が安定していることがわかっている時間を割り当てられる。サンプル取り扱いワークシステム10にアキュラシイQC物質を導入する前に以下の基準についてのバリデーションを完了しなければならない。
【0040】
1.バリデートされた精密管理被検物だけを使用する。
2.分析は、たとえば4回の実行毎に行わなければならないが、これはドメイン1〜x回実行についての変更可能な頻度である。
3.各被検物質は独立して管理する。
4.各臨床アナライザ32、38、42は独立して管理する。
5.受け入れ基準をLISについて実施する。
【0041】
本発明によるサンプル取り扱いワークシステム10を作動させる方法は、以下の在来の管理・作業サブルーチンを使用しているCPU15内のコンピュータ・プログラムを使用する。
1.使用者定義作業
2.システム定義作業
3.アナライザ作業状況
4.評価分析定義ルール
【0042】
そして、以下の作業手順を自動的に実施する。
1.各被検物質毎および各実行/実行セグメント毎に各臨床アナライザ32、38、42について或る指定間隔でプレシジョン管理物質をスケジュール給送すること。
2.QC被検物を必要に応じて適切なアナライザに送ること。
3.関連したQC分析についてのLISリクエストを生成すること。
4.アナライザを作動させてQC結果を得ること。
5.すべてのQC結果をLISに報告すること(サンプル取り扱いワークシステム10およびLIS生成リクエストの両方について)。
6.プレシジョン管理受け入れ基準を適用して所与のアナライザについて或る指定評価分析の継続的な分析を可能にすること。
7.使用者に精密管理結果の拒否をオーバーライドさせること。
8.任意の被検物質または臨床アナライザ32、38、42についてプレシジョン管理分析を使用者に再実行するかまたは任意にスケジュールに組むかすること。
9.アキュラシイ管理結果(たとえば、LISから得られたもの)についての使用者入力の合格/不合格を要求すること。
10.期限切れQCでの患者サンプルのアナライザへの給送を阻止すること。QCは、必要なQC分析が実施されないか、または、受け入れ基準が満たされないときに期限切れになる。患者検査リクエストにおけるすべての被検物質は、対応する最新の認められたQCを持たなければならない。
11.効果的に機能する物質がサンプル取り扱いワークシステム10上に存在しないときにQCをロードさせることを作業者に促すこと。
12.使用者定義期間よりも長くサンプル取り扱いワークシステム10上に存在していたプレシジョン管理物質の使用を阻止すること。
13.平均値、標準偏差値、プレシジョン管理被検物ID、受け入れ限度などを含むプレシジョン管理パラメータを使用者に入力させること。
14.被検物質毎および臨床アナライザ32、38、42毎に最新のQC期限切れ(カウント数または時間)を表示すること。
15.QC結果についての最新の30日をメモリに保存すること。
【0043】
以下の作業例は、使用者がどのようにしてサンプル取り扱いワークシステム10のCAL/QCサブシステムと対話できるか、そして、ここに開示した作業方法で制御されるときにサンプル取り扱いワークシステム10がどのようにして種々の状況において自動的に作動させられ得るかを説明している。ここで用いる「CAL/QC」なる用語は、較正物質または管理物質を使用する較正事象または品質管理事象のいずれかを意味している。
【0044】
使用者定義作業
1.使用者がサンプル取り扱いワークシステム10CAL/QCを構成する
・システムが任意のCAL/QC機能を実施できるようになる前に、すべてのセットアップおよび設定が完全でなければならない。セットアップおよび構成は、QC物質を特定すること、QCルールを特定すること、所望のシステム挙動を選択することからなる。
2.使用者がQC物質を特定する
・システムが自動的に認識しなければならないすべてのQC物質は、プレシジョンQC物質、アキュラシイQC物質両方についてQC物質名、ロット番号およびバーコードIDを入力することによって前もって特定される必要がある。
3.使用者がどの検査がQC物質について実行されるのかを選択する。
・QC物質の特定化の一部は、検査ID、QC物質名、平均値および標準偏差値ならびに実行可能性タイムアウト(使用できなくなるまでどのくらい長くQCがシステム上にあり続けることができるかということ)を入力することによってどの検査がこの物質と関連しているのか、これらの物質がどれくらいの期間使用できるかを指摘するようになっている。
4.使用者がQCスケジューリング・ルールを特定する
・QCに対するシステム挙動は、使用者がそれらの局所的実行に合わせて構成できる。QCは、QC物質が確証される最短時間と最長時間を入力することによって或る時間間隔で実施され得る。
・QCは、QC物質が確証される最小カウントと最大カウントを入力することによって或るカウントに基づいて実施され得る。
【0045】
5.使用者がQC受け入れルールを特定する
・QC結果が受け入れる/拒絶する方法も使用者が構成可能である。QC結果は、自動的にまたは手動で受け入れるかまたは拒絶できる。システムによるQC受け入れまたは拒絶は、システム挙動を駆動するためにのみ使用される。サンプル取り扱いワークシステム10が完全な検査室QCパッケージを提供することはない。
・プレシジョンQC受け入れは、プレシジョンQCが実行されてしまっているときにはいつでも、または、所定セットの受け入れルールが満たされたときに達成される。代表的な受け入れルールは、以下を含む。
a)平均値からの3SD未満のQC結果、または、ハイ/ロー限度内のQC結果のような選択肢が満たされるQC範囲比較。
b)すべて平均値より上または下にない最後の7つのQC結果。
c)負または正の傾向を示していない最後の7つのQC結果。
d)ユーザ入力での受け入れ/拒絶。
6.使用者がサンプル取り扱いワークシステム10QCアクションを特定する
・システム状態およびQC結果に基づいてシステムは多数の方法で機能できる。構成選択がこの挙動を決定する。このシステム挙動は、警告を表示することおよび/またはQC受け入れを達成していないアナライザへのサンプル流を中断することに集中する。
・もしもプレシジョンQCが利用できないならば、受け入れられるべきときはいつか?(警告または無警告)
・もしもプレシジョンQCが利用できないならば、受け入れられるべきときはいつか?[臨床アナライザ32、38、42へのサンプル給送を停止するか継続する。]
・プレシジョンQCが拒絶された場合は?[臨床アナライザ32、38、42へのサンプル給送を停止または継続する]
・複数のQCレベルが利用できない場合には、それらが受け入れられるべきときはいつか?(すべてのレベルを実行するか1つのレベルを実行する)
【0046】
7.使用者が較正セットアップを特定する
・較正支援特徴により、使用者は、較正間隔を定め、較正が期限切れとなるときをモニタすることができる。システムは、較正結果についての臨床アナライザ32、38、42からのLISデータをモニタする。較正結果が受け入れられたとき、較正時間がゼロにリセットされる。サンプル取り扱いワークシステム10は、或る方法についての較正結果が定められた時間内で受け入れられなかったことを使用者に警告する。
・使用者は、較正が期限切れとなりつつあることを警告するためのタイムアウトとして定められた最短時間を入力することによって、そして、較正が期限切れであることを警告するためのタイムアウトとして定められた最長時間を入力することによって、すべての構成された検査について較正頻度を入力する。
・使用者は、また、サンプル取り扱いワークシステム10についての較正アクションを入力する。これらは一般的にカバーである。
・較正が最短時間を過ぎ、したがって、すぐに期限切れとなる場合、警告信号または無警告信号を発行してもよい。
・較正が最長時間を過ぎ、したがって、期限切れとなった場合、警告信号または無警告信号を発行してもよい。
8.使用者がQC物質保管位置を特定する
・すべてのQC物質は、使用中でないときには使用者指定のレーンに一緒に保管する。メンテナンス/セットアップ/入出力モジュール・レーン割当て画面を使用してQC保管レーンを選択する。QC出力レーンとして割り当てられたレーンは、出力専用レーンに似た動作をすることになる。しかしながら、このレーンは保管のためだけにQC物質を受け入れることになる。
【0047】
9.使用者がサンプル取り扱いワークシステム10上にプレシジョンQC物質を置く。
・すべてのQC物質は、優先入力レーンを経てサンプル取り扱いワークシステム10上に置かなければならない。バーコードIDを読み取った後、サンプル取り扱いワークシステム10は、臨床アナライザ32、38、42に直接QC物質を送るか、または、QCラック内にQC物質を置くかすることになる。
・プレシジョンQC物質がルーチン・ラックを経てサンプル取り扱いワークシステム10に入る場合、システムは、ラックが挿入されるときにQC物質が入ったとみなす。実行可能性限度を超える前にQC物質を最大限確実に使用するために、使用者は、代わりに優先入力ラックのうちの1つを自由に使用することができる。
・以下の状況が存在する可能性がある。
a)プレシジョンQC状況には、正常、検査中または無効があり、プレシジョンQC物質と関連したすべての検査が上記の状況を持つ場合これが存在し、QC物質はQCラックに保管されることになる。
b)プレシジョンQC状況には、警告、エラーまたは拒絶があり、プレシジョンQC物質に関連した任意の検査が上記の状況を持つ場合これが存在し、QC物質は、直ちに、QCを要求している任意の臨床アナライザ32、38、42に給送されることになる。
c)プレシジョンQC物質IDには重複があり、おそらく使用者が対応する「古い」物質を取り出す前にプレシジョンQC物質を有する新しいチューブを置いた場合にこれが存在する。
d)期限切れでない物質と置き換える「重複物」は、古いプレシジョンQC物質がなお実行可能である場合にこれが存在し、これは廃棄のために優先出力ラックに送られなければならないことになる。「古い」物質を優先出力ラックに送った後、「新しい」物質がシステムに受け入れられることになる。システムはサンプルが存在する一定のトラックを保持しているが、取り違い重複IDの可能性がないことを保証することは許されない。ひとたびサンプル・チューブが優先出力ラックに置かれたならば、それがそのトラックに戻されることはない。その結果、優先出力ラックにおけるIDと重複するサンプルIDが、「重複」とみなされることはない。
e)「重複物」が期限切れの物質と置き換わる。古い物質がすでに期限切れとなっている場合にこれが存在する。優先出力ラックにおいて、新しい物質が正常に受け入れられることになる。
【0048】
10.使用者がプレシジョンQC物質をサンプル取り扱いワークシステム10から取り出す
・すべてのプレシジョンQC物質は、以下の2つの状況のうちどちらかが存在するときには、優先権出力レーンを経て取り出されなければならない。
a)プレシジョンQCサンプルと関連したすべての検査が期限切れとなってしまったときに、作業セルが自動的にアクティブの優先出力レーンにQC物質を置くことになる。
b)使用者が期限切れにならなかったプレシジョンQC物質を取り出したい場合、(CAL/QC状況画面を経て)アクティブの優先出力レーンに給送すべきことをはっきりとリクエストする必要がある。
・プレシジョンQC物質は、もはや効果的に機能するとみなされない期限切れ時刻を有する。所与のQC物質と関連した各検査が別々のタイムアウトを持っていてもよい。これは、プレシジョンQC物質内に被検物質間の可能性ある種々の劣化率を認識するために行う。以下の2つの状況のどちらかが存在する可能性がある。
a)完全な期限切れ:所与のプレシジョンQCについてのすべての関連した検査が期限切れになったときには、QC物質はもはやQCを実施するのに使用されることはない。期限切れのQC物質容器は、使用者廃棄のためにアクティブな優先出力レーンに置かれることになる。
b)部分的な期限切れ:プレシジョンQCが或る所与の検査について期限切れになったときには、もはやその特定の検査を品質管理するのに使用することはできない。少なくとも1つの検査が効果的に機能する限り、サンプル取り扱いワークシステム10はQCラック上にQC物質を保持することになる。
【0049】
11.使用者がプレシジョンQC状況をオーバーライドする
・使用者は、QC結果(自動または手動)のいかなる拒絶をもオーバーライドすることができる。使用者が拒絶されたQC結果をオーバーライドしたとき、サンプル取り扱いワークシステム10は別のプレシジョンQC物質が実行されるまでオーバーライド状況を示すことになる。それの結果がオーバーライド状況と置き換わることになる。或るQC結果がオーバーライドされているとしても、サンプル取り扱いワークシステム10は患者サンプルを正常にスケジュールに組むことになる(正常状況または警告状況と同様に処理する)。
12.使用者がプレシジョンQCを再実行する
・使用者は、いつでもプレシジョンQCを再実行できる。再実行の結果が受け取られたとき、それはあたかも次の正常にスケジュールに組まれたQCであるかのように処理されることになる。このQC結果で決定された状況が現在の状況に取って代わることになる。
13.使用者がプレシジョンQC状況を検討する
・使用者は、CAL/QC状況画面を経てサンプル取り扱いワークシステム10上のすべてのプレシジョンQC物質の状況をチェックすることができる。
14.使用者が較正状況を検討する
・使用者は、CAL/QC状況画面を経てサンプル取り扱いワークシステム10におけるすべての臨床アナライザ32、38、42の較正状況をチェックすることができる。
15.使用者が臨床アナライザ32、38、42を較正する
・使用者は、任意の間隔で臨床アナライザ32、38、42を較正し、再較正できる。較正は、臨床アナライザ32、38、42でしか行なわれない。サンプル取り扱いワークシステム10の較正支援は、スケジュールに組む際の利便性および管理についてのみ利用できる。
・或る較正を或るアナライザ上で行うときにはいつでも、このアナライザはCPU15に「較正結果メッセージ」を送る。このメッセージ内のデータは、サンプル取り扱いワークシステム10によって受け入れられ、保存され、サンプル取り扱いワークシステム10を経て臨床アナライザ32、38、42較正を支援、管理する目的に利用されることになる。
【0050】
16.使用者が臨床アナライザ32、38、42でプレシジョンQCを実行する
・使用者は、いつでも臨床アナライザ32、38、42で直接プレシジョンQCを実行できる。サンプル取り扱いワークシステム10は、あたかもそれがQC自体をスケジュールに組んでいて、給送したかのようにQC結果を認識することにな る。使用者がLIS問い合わせに応答してプレシジョンQC物質IDを入力した場合、サンプル取り扱いワークシステム10は、その特定の臨床アナライザ32、38または42にとって適切なすべての検査に反応することになる(すなわち、臨床アナライザ32、38、42について設定された警告、拒絶またはオーバーライドの状況)。あるいは、使用者は、プレシジョンQC物質IDを入力し、実行すべき検査を選択してもよい。
17.使用者がQCラックを解錠する
・使用者がQCラックを解錠しようとする場合、確認ポップアップが表示され、この使用者アクションを確認することになる。もしも「継続」を押したならば、ラックは解錠されることになる。ラックが取り出された場合、ラックにおけるすべてのQC物質は失われることになる。システムが解錠されたラックからQC物質を回収するか、または、解錠されたラック上の空きスペースにQC物質を置く必要がある場合には、ラックは再錠止され、正常に使用されることになる。ひとたび再錠止されたならば、使用者は、システム定義作業を解錠する新しいリクエストを行わなければならないことになる。
【0051】
システム定義作業
以下の作業可能例は、サンプル取り扱いワークシステム10がここに開示された作業方法で制御されるときに種々の状況において自動的に作動させられ得るようにサンプル取り扱いワークシステム10に組み込まれるかもしれないシステム定義作業を説明している。
1.サンプル取り扱いワークシステム10が臨床アナライザ32、38、42についてプレシジョンQCをスケジュールに組み入れる。
・サンプル取り扱いワークシステム10は、セットアップ画面で決められたQC頻度と一致するように臨床アナライザ32、38、42へのプレシジョンQC物質の給送をスケジュールに組み込む。カウントが定められた方法である場合には、最大カウントに達したときにQC物質が給送されることになる。最低限度に達した検査は、最大限度に達した検査のために同じQC物質が臨床アナライザ32、38、42に給送されつつある場合にもスケジュールに組み込まれたそのQCを有することになる。プレシジョンQCが臨床アナライザ32、38、42に給送されるとき、それらの適切な限度に達してしまった検査のみがスケジュールに組まれることになる。
・サンプル取り扱いワークシステム10がQC物質および患者サンプル給送タイミングを計画に入れ、患者サンプル処理の中断を最小限に抑えることが重要である。これには、サンプル取り扱いワークシステム10が、まさに必要なときに物質が確実に到達するように実際のQC期限切れ前に送るべくトラック上に利用可能な物質を置くことを必要とする。
・この先取り機能は、また、QC物質の必要性を使用者に警告するのにも使用される必要がある。このシステムは、オンライン・サンプルの検査リクエストに基づいてQC物質が要求されることになるということを予測することができなければならない。代表的には、以下の状況のうちの1つが存在することになる。
【0052】
a)利用できるプレシジョンQC物質。オンライン・プレシジョンQC物質がそれを必要とするアナライザ(単数または複数)に適切に送られることになる場合にこれが生じる。
b)部分的に利用できる(部分的な期限切れ)プレシジョンQC物質。オンライン・プレシジョンQC物質がそれを必要とするアナライザに適切に送られることになる場合にこれが生じる。
c)QCが実行可能性限度を超えてしまった検査についてスケジュールに組み込まれていた場合、それが実行されることはなく、その代わりに、エラーメッセージが生成されてその検査のためのQC物質が利用できないことを示す。これは、任意の残っている効果的に機能する検査のQC検査に影響を及ぼしてはならない。
d)利用可能でないプレシジョンQC物質。これは利用できないQC物質についてQCがスケジュールに組み込まれている場合に生じる。エラーメッセージが生成されてQC物質が要求された検査(単数または複数)について利用できないことを示すことになる。
e)利用できる2つ以上の効果的に機能するQCレベル。これは、2つ以上のQCレベルがQCについて利用されている場合に生じる。この場合、サンプル取り扱いワークシステム10は、QCが実施する必要がある毎にすべてのQCレベルについて物質を送るか、または、使用者セットアップに基づいてオンラインでQCレベルを交互に給送するかすることになる。
f)利用できる2つ以上の効果的に機能するQC物質。これは、2つ以上の効果的に機能するQC物質が被検物質のQCのために使用できる場合に生じる。この場合、サンプル取り扱いワークシステム10は、必要とするアナライザに最も近い期限切れ物質を送ることになる。
【0053】
2.利用できるQC保管スペースがない
・QC保管レーンが未定義であったり、現在QC物質がいっぱいであったり、QC物質が保管位置を必要とするときにラックがまったくない場合、システムは、問題を示す警告メッセージを発生することになる。QC物質は、QC物質を優先出力ラックに置き、オートメーションエラーが表明される前にトラック上で「n」ラップを行うことを許されることになる。
3.拒絶された臨床アナライザ32、38、42プレシジョンQC結果
・QC受け入れルールに失敗するか、または、作業者が手動で拒絶したときにプレシジョンQC結果は拒絶される。次の2つのうち1つが存在する可能性がある。
a)ルール基準の拒絶。これは、QCセットアップ中に設定されたルールがプレシジョンQC結果に適用された場合に生じる。任意のルールが失敗した場合、プレシジョンQCは拒絶される。
b)使用者が拒絶を入力した。これは、QC受け入れが手動にセットされているときに生じる。作業者は、プレシジョンQC結果を受け入れるか拒絶するかを手動で行わなければならない。しかしながら、作業者は、いつでもQC結果を拒絶できる。システムが自動的に結果を受け入れるか、または、すべてのルールがパスして結果が受け入れられた場合でも、なお作業者は手動でQC結果を拒絶できる。
4.受け入れられた臨床アナライザ32、38、42プレシジョンQC結果
・プレシジョンQC結果は、実行されているとき、QC受け入れルール(単数または複数)をパスしたとき、または、QCスケジューリング・ルール・セットアップ画面における「プレシジョンQC受け入れ」選択によって決定されるなどで作業者が手動で受け入れたときには自動的に受け入れられる。代表的には、以下の3つの状況のうちの1つが存在することになる。
a)自動受け入れ。これは、「自動」を選択した場合に生じる。プレシジョンQCが検査のために実行される毎に受け入れられることになる。
b)ルール基準の受け入れ。これは、「ルール」が選択された場合に生じる。プレシジョンQCが或る検査について実行される毎に、それはQC受け入れについて定義されたルールに基づいて分析されることになる。すべてのルールがパスした場合、その検査についてのプレシジョンQCは受け入れられることになる。そうでない場合には、拒絶されることになる。
c)使用者入力受け入れ。これは、「マニュアル」が選択された場合に生じる。プレシジョンQCサンプルが或る検査について実行される毎に、それは、作業者が結果に受け入れるか、または、拒絶するまで未決状態に留まることになる。
【0054】
5.臨床アナライザ32、38、42プレシジョンQC結果保留中
・QC結果が保留中(臨床アナライザ32、38、42がQCをサンプル採取しているが、結果を発生していない)のときはいつでも、サンプル取り扱いワークシステム10は、以下のようにQCセットアップに基づいて患者サンプルをスケジュールに組むことになる。
a)ストップが設定されている場合、QC結果が保留中である検査についてのサンプルがスケジュールに組み込まれることはない。サンプル取り扱いワークシステム10は、他の臨床アナライザ32、38、42にこれらの検査を送るか、または、QC結果が報告され、受け入れるまで待機することになる。
b)もしも継続が設定されたならば、QC結果が保留中である検査についてのサンプルは正常にスケジュールに組み込まれることになる。
6.在庫品のない臨床アナライザ32、38、42へQCを送る。
・臨床アナライザ32、38、42が在庫品ゼロを報告する場合、方法はQCまたは較正から外れる。QC輸送デッドロックを回避するために、サンプル取り扱いワークシステム10は、在庫レベルに関わりなく臨床アナライザ32、38、42にQC物質を送るべきである。
7.デッドロックを防ぐために予約されたQCパレット
・システムは、給送デッドロックを防ぐためにQC物質のパレット輸送を計画し、割り当てる必要がある。各QC物質の必要が発生したとき、トラック・パレットを割り当てるべきである。そうすると、デッドロック(すなわち、QCが実行されないために患者サンプルを実行することができないとか、患者サンプル・バックアップにより利用できるパレットがないためにQCを実行できないとかである)が生じるシステム状態はなくなる。
8.CAL/QCシステムのオンライン/オフライン
・較正サブシステムおよびQCサブシステムは、メンテナンス/システム画面を介してオンラインまたはオフラインに置かれることができなければならない。これらのサブシステムのいずれかがオフラインの場合、メッセージまたはスケジューリング/分析機能が実施されることはない。
【0055】
評価分析定義ルール
評価分析定義ルールは、特定の個々の評価分析についてのアナライザ32、38または42のQC/CAL条件に基づいて置かれる要件である。これらのルールは、以下のような条件を特定する。
1.患者の健康を正確に診断するために精度レベルを高める必要がある第1群の評価分析に属している評価分析の場合、プレシジョンQC物質を用いてQC/CALを行うことが必要である。
2.第1群の評価分析の定められたサブセットに属している評価分析の場合、プレシジョンQC物質の期限切れ前の所定時間よりも多い日付としたプレシジョンQC物質を用いてQC/CALを実行することが必要である。
3.第1群の評価分析の定められたサブセットに属している評価分析の場合、プレシジョンQC物質を使用しているQC/CAL結果がそのプレシジョンQC物質について入力されたラベル値の所定値内に入る必要がある。
4.患者の健康を正確に診断するために正常レベルの精度を必要とする第2群の評価分析に属している評価分析の場合、アキュラシイQC物質を使用してQC/CALを行う必要がある。
5.プレシジョンQCが成功裡に完了しており、かつ、
・QC結果がラベル値の±5%以内にあったか、または、
・QC結果がラベル値の±25%以内にあった
アナライザで評価分析を実施しなければならない。
【0056】
6.プレシジョンQCが成功裡に完了しており、かつ、
・QC物質が期限切れになる「X」日前にQCが実施されたか、または、
・QC物質が期限切れになる前にQCが実施された
アナライザで評価分析を実施しなければならない。
7.プレシジョンQCが成功裡に完了しており、かつ、
・評価分析が実行される予定の「X」日または「Y」時間より前にQCが実施されたか、または、
・評価分析が実行されることになっているよりもT日または「W」時間前にQCが実施されたか、または、
・QC物質が期限切れになることになっている前にQCが実施された
アナライザで評価分析を実施しなければならない。
8.プレシジョンQCが成功裡に完了しており、かつ、
・新しい(以前に使用されたことのない)キュベットを使用しなければならないか、または、
・評価分析A、B、C、Dからなる群のうちのいずれかの評価分析が直前に実施されていた、洗浄済みの(以前に使用したことのある)キュベットで評価分析を実施してはならないか、または、
・どんな評価分析を直前に実施していたかに関わりなく洗浄済みの(以前に使用されたことのある)キュベットで評価分析を実施してもよい
アナライザで評価分析を実施しなければならない。
・以上のすべては、プレシジョンQCまたはアキュラシイQCが成功裡に完了したアナライザ上で実施できる評価分析に当てはまる。
【0057】
9.プレシジョンQCが成功裡に完了したアナライザ上で評価分析を実施するのが好ましい。しかしながら、プレシジョンQCが利用できない場合、アキュラシイQCが成功裡に完了しており(そして、検査結果と共にそう報告されている)、かつ、
・QC結果がラベル値の±5%以内にあったか、または、
・QC結果がラベル値の±25%以内にあったか、または、
・QC物質が期限切れになることになっている「X」日前にQCが実施されたか、または、
・QC物質が期限切れになることになっている前にQCが実施されたか、または、
・評価分析が実行される予定の「X」日または「Y」時間より前にQCが実施されたか、または、
・評価分析が実行される予定の「Z」日または「W」時間より前にQCが実施されたか、または、
・QC物質が期限切れになることになっている前にQCが実施された、
アナライザ上で評価分析を実行してもよい。
10.評価分析の結果が正常範囲からZ%より大きく外れており、そして、プレシジョンQCが成功裡に完了したアナライザ上で評価分析が実施された場合、アキュラシイQCが成功裡に完了したアナライザで評価分析を再実行し、検査報告書にそれを注記する。
11.いくつかの還流検査ルールがある。たとえば、
a)評価分析Yの結果が正常範囲から外れている場合、評価分析Xを実行しなければならないか、または、
b)評価分析Yの結果が正常範囲から外れている場合、評価分析XおよびZを実行しなければならない。
【0058】
アナライザ作業状況
アナライザ定義ルールは、信頼性が高くて正確な作業を保証するためにアナライザ32、38または42に求められる要件である。これらのルールは、以下のような条件を特定するが、これに限らない。
1.プレシジョンQC物質の事前分析が以下のことを確認すること。
・算術平均からの標準偏差の3倍未満のつい最近の結果。
・すべて算術平均を超えない7つのつい最近の結果。
・すべて算術平均を下がらない7つのつい最近の結果。
・上昇傾向を示さない7つのつい最近の結果。
・下降傾向を示さない7つのつい最近の結果。
2.アキュラシイQC物質の事前分析が以下のことを確認すること。
・算術平均からの標準偏差の5倍未満のつい最近の結果。
・すべて算術平均を超えない3つのつい最近の結果。
・すべて算術平均を下がらない3つのつい最近の結果。
・上昇傾向を示さない3つのつい最近の結果。
・下降傾向を示さない3つのつい最近の結果。
3.充分な試薬をオンボードで利用して装入サンプルについて或る指定の評価分析を行うことができ、そして、これらの試薬が有効期限を越えてもオンボードにあることはないこと。
4.評価分析されるべきサンプルを収容している搬入サンプル容器20が、アナライザを通る計量用流体に影響を及ぼす可能性のある凝血塊、フィブリンその他の不純物のない、処理に受け入れ可能である品質を有すること。
5.評価分析されるべきサンプルを収容している搬入サンプル容器20が、必要に応じて自動遠心機24および自動チューブ・キャップ取り外し器30によって正しく遠心処理を受けたり、キャップ除去されたりすること。
6.評価分析されるべきサンプルを収容している搬入サンプル容器20が、充分なサンプル液を収容していて、要求された評価分析にとって充分なサンプルを保証すること。
7.評価分析されるべきサンプルを収容している搬入サンプル容器20が小児科サンプル容器20である場合、サンプルを吸引する前に小児科サンプル容器20の向きを確認すること。
【0059】
実施例
以下の実施例は、搬入サンプル容器20内のサンプルについて行うように指定された評価分析を、それと関連した評価分析定義ルール・セットを遵守しているアナライザ32、38、42でのみ自動的に確実に実施する本方法の限定的でない説明を行う。
【0060】
サンプル・ラック18に始めに収容された12のサンプル容器20は、サンプル・ラック18からサンプル・チューブ装填・取り出しステーション16によって個別に取り出され、個々のサンプル・チューブ・キャリア22内に置かれる。バーコードのようなサンプル容器識別しるしに基づいて、コンベヤ・トラック14は、CPU15および検査室LISによって制御されて、中に入っているサンプルについて行われるべき所定の評価分析の必要に応じて個々のサンプル・チューブ容器20を自動遠心機24および/またはキャップ付きのサンプル容器20からキャップを自動的に取り外す自動チューブ・キャップ取り外し器30へ移送する。
【0061】
CPU15および/または検査室LISは、サンプル・チューブ容器20内に収容されているサンプルの各々について行われるべき評価分析を、アナライザ32、38、42の現在の作業状況と共に一組の評価分析定義ルールと比較し、どのサンプル・チューブ容器20がコンベヤ・トラック14によってどのアナライザ32、38または42に運ばれるべきかを決定する。そこにおいて、評価分析が評価分析定義ルールに従って完了できる。たとえば、サンプル・ラック18は、以下のサンプル・チューブ容器20を収容する。
1.3つのサンプル・チューブ・キャリア22a、22b、22cは、前の2時間以内にプレシジョンQC受け入れが成功裡に達成されていることが必要な所定の評価分析に患者サンプルを運ぶ。
2.3つのサンプル・チューブ・キャリア22d、22e、22fは、プレシジョンQC受け入れ前の8時間以内に成功裡に達成されていることが必要な所定の評価分析に患者サンプルを運ぶ。
3.2つのサンプル・チューブ・キャリア22g、22hは、プレシジョンQCが成功裡に完了しており、QC結果がラベル値の±5%以内にあるアナライザで評価分析を実施しなければならない所定の評価分析に患者サンプルを運ぶ。
4.3つのサンプル・チューブ・キャリア22i、22j、22kは、QC物質が期限切れになる前にアキュラシイQC物質を使用してQC/CALが成功裡に行われたアナライザで評価分析を実施しなければならない所定の評価分析に患者サンプルを運ぶ。
5.1つのサンプル・チューブ・キャリア22mは、新鮮なものを使用することを要求している所定の評価分析に患者サンプルを運ぶ。
6.1つのサンプル・チューブ・キャリア22nは、アキュラシイQCが成功裡に完了しており、QC結果がラベル値の±25%以内にあるアナライザで評価分析を実施しなければならない所定の評価分析に患者サンプルを収容する。
【0062】
この例では、CPU15および/または検査室LISは、これらの6つの異なった評価分析定義ルールをアナライザ32、38、42の最新の作業状況と比較し、以下のことを決定する。たとえば、
・アナライザ32が、サンプル・チューブ・キャリア22a、22b、22cによって運ばれる患者サンプルおよびサンプル・チューブ・キャリア22nについての評価分析定義ルールを遵守すること。
・アナライザ38が、サンプル・チューブ・キャリア22i、22j、22kで運ばれる患者サンプルについての評価分析定義ルールを遵守すること。
・アナライザ42が、サンプル・チューブ・キャリア22d、22e、22fで運ばれる患者サンプルおよびサンプル・チューブ・キャリア22mについての評価分析定義ルールを遵守すること。
・サンプル・チューブ・キャリア22g、22hで運ばれる患者サンプルについての評価分析定義ルールを遵守するアナライザはない。
【0063】
明らかに、CPU15は、図7に示すようにサンプル取り扱いワークシステム10を作動させることができる。その結果、サンプル・チューブ・キャリア22a、22b、22c、そして、サンプル・チューブ・キャリア22nは、コンベヤ・トラック14によってアナライザ32に運ばれる。その結果、サンプル・チューブ・キャリア22i、22j、22kは、コンベヤ・トラック14によってアナライザ38に運ばれ、22d、22e、22fおよび、サンプル・チューブ・キャリア22mは、コンベヤ・トラック14によってアナライザ42に運ばれ、そこで、行われるべき評価分析を評価分析定義ルールに従って完了することができる。
【0064】
しかしながら、対照的に、この実施例では、アナライザ32、38または42のいずれも作業可能状況にはなく、その結果、サンプル・チューブ・キャリア22g、22h内のサンプルを、プレシジョンQCが成功裡に完了しており、QC結果がラベル値の±5%以内にあるアナライザで評価分析できる。このような例では、サンプル取り扱いワークシステム10は、以下のように自動的に作動させられる。
1.プレシジョンQC物質がサンプル取り扱いワークシステム10内のオンボード物質保管部内で利用できる場合、CPU15は、サンプル取り扱いワークシステム10を作動させることになり、したがって、このようなプレシジョンQC物質がコンベヤ・トラック14によってアナライザ38に運ばれ、たとえば、プレシジョン較正プロセスが行われることになる。ひとたびプレシジョン較正プロセスが完了したならば、結果がラベル値と比較されることになり、そして、以下のいずれかとなる。
・QC結果がラベル値の±5%以内にならない場合、CPU15は、サンプル・チューブ・キャリア22g、22h内のサンプルがコンベヤ・トラック14によってアナライザ38へ運ばれ、そこで評価分析が自動的に行なわれることになるようにサンプル取り扱いワークシステム10を作動させることになるか、または、
・QC結果がラベル値の±5%以内になり、この場合、CPU15は、以下のいずれかが行われるようにサンプル取り扱いワークシステム10を作動させることになる。
1.評価分析が行われることがなく、そして、作業者支援が得られるようにエラーメッセージがCPU15によって表示されることになるか、または、
2.CPU15が、サンプル・チューブ・キャリア22g、22h内のサンプルをコンベヤ・トラック14によってアナライザ38に運ぶことになるようにサンプル取り扱いワークシステム10を作動させることになり、このアナライザで評価分析が動的に行われ、そして、結果が、評価分析が評価分析定義ルールに従わないアナライザ上で実施されたというメモと一緒にLISに報告されることになる。なお、評価分析が評価分析定義ルールに従わないアナライザ上で実施されたというこの特別な状況が、ここに説明したような使用者定義ルールがこのようなアクションを許す場合にのみ可能であるということに注目されたい。
2.プレシジョンQC物質がサンプル取り扱いワークシステム10内のオンボード物質保管部内で利用できない場合には、CPU15は、エラーメッセージを生成し、オペレータ支援が得られるようにQC物質が要求された検査に利用できないことを示すことになる。
【0065】
当業者には明らかなように、ここに開示した発明の実施形態は発明の原理を説明するものであり、なお発明の範囲内にある他の変更もなし得る。たとえば、本発明の自明な変形例が以下の場合に含まれることになる。すなわち、STATまたは非常時のサンプルが、アキュラシイQCが成功裡に完了してしまっており、QC結果がラベル値の±25%以内にあるアナライザで評価分析を実施することを要求している評価分析定義ルールを有する評価分析について直ちに評価分析することを要求する場合、そして、アナライザ32、38または42のいずれもがこのようなアキュラシイQC結果に従ったアナライザ作業状況を持たず、それ故、STATサンプルを、対応するアキュラシイQCが成功裡に完了してしまっており、QC結果がラベル値の±5%以内にあるアナライザ32、38または42で直ちに処理できる場合である。したがって、本発明は、本明細書で明示し、説明した実施形態に限定されることがなく、特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明を有利に使用できるいくつかの化学分析事前処理装置及び分析装置と協働して制御されるコンベヤを含む自動サンプル取り扱いシステムの簡略化した概略平面図である。
【図2】図1のサンプル取り扱いシステムで使用するようになっているサンプル・チューブ・キャリアの簡略化した立面図である。
【図2A】図1のサンプル取り扱いシステムで使用するようになっているサンプル・チューブ・キャリアの簡略化した平面図である。
【図3】図1のサンプル取り扱いシステムで使用するようになっているサンプル・チューブ・キャリアの別の実施形態の簡略化した平面図である。
【図3A】図1のサンプル取り扱いシステムで使用するようになっているサンプル・チューブ・キャリアの別の実施形態の簡略化した平面図である。
【図4】図2のサンプル・キャリアの重要な特徴を示している拡大平面図である。
【図4A】図2のサンプル・キャリアの重要な特徴を示している拡大平面図である。
【図5】図2のサンプル・キャリアの別の重要な特徴を示している拡大平面図である。
【図5A】図2のサンプル・キャリアの別の重要な特徴を示している拡大平面図である。
【図6】本発明を実施する際に役に立つコンピュータインタフェース・モジュール情報表示画面の代表的な例である。
【図7】本発明の一例を示している、図1の自動サンプル取り扱いシステムの平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
いくつかの分析事前処理装置と協働して制御されるコンベヤおよび多数の患者サンプルについて評価分析を行うようになっているアナライザを含むサンプル取り扱いシステムを自動的に作動させる方法であって、行うべき評価分析を一組の評価分析定義ルールと比較する工程と、アナライザを該一組の評価分析定義ルールを遵守する第1群のアナライザと、該一組の評価分析定義ルールを遵守しない第2群のアナライザとに細分する工程と、第1アナライザ群内のアナライザに患者サンプルを供給するようにサンプル取り扱いシステムを作動させるか、または、第2アナライザ群内の少なくとも1つのアナライザに評価分析定義ルールを遵守させるようにサンプル取り扱いシステムを作動させ、次いで第2群におけるアナライザに患者サンプルを供給することを含む上記の方法。
【請求項2】
評価分析定義ルールが、評価分析を行うことになっているアナライザの較正状態および制御状態に関するルールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、一組の評価分析定義ルールを遵守していないアナライザで行われることになっている評価分析を規定する使用者定義ルールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
さらに、一組の評価分析定義ルールに対するアナライザの遵守に関するアナライザ作業状況情報を含む、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【図3A】
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【図4】
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【図4A】
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【図5】
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【図5A】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−502412(P2007−502412A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523232(P2006−523232)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/025202
【国際公開番号】WO2005/018418
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(500029718)デイド・ベーリング・インコーポレイテッド (20)
【氏名又は名称原語表記】DADE BEHRING INC.
【Fターム(参考)】