説明

多段エマルションポリマーおよび向上した顔料効率

【課題】水性コーティング組成物に適した多段エマルションポリマー、多段ポリマー/TiO2複合体粒子、及び当該複合体粒子を含む水性コーティング組成物を提供する。
【解決手段】多段エマルションポリマーは、多段エマルションポリマーの重量を基準にして0.5重量%〜5重量%のP−酸モノマー、多段エマルションポリマーの重量を基準にして0重量%〜0.05重量%の多エチレン性不飽和モノマー、および少なくとも1種の第2のモノエチレン性不飽和モノマーを重合単位として含む多段エマルションポリマーであって;当該エマルションポリマーは−20℃〜50℃の計算Tgを有し;当該エマルションポリマーは、全モノマー重量の10%〜50%を含む段階中での、前記P−酸モノマーの75%〜100%の「パルス」添加によって、好ましくは重合の比較的早い段階中に添加されることによって形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多段エマルションポリマーの重量を基準にして0.5重量%〜5重量%のP−酸モノマー、多段エマルションポリマーの重量を基準にして0重量%〜0.05重量%の多エチレン性不飽和モノマー、および少なくとも1種の第2のモノエチレン性不飽和モノマーを重合単位として含む多段エマルションポリマーであって;当該エマルションポリマーは−20℃〜50℃の計算Tgを有し;当該エマルションポリマーは、全モノマー重量の10%〜50%を含む段階中に、P−酸モノマーの75%〜100%が第2のモノエチレン性不飽和モノマーと共に添加される、少なくとも1種の第2のモノエチレン性不飽和モノマーの乳化共重合により形成される;多段エマルションポリマーに関する。TiO2粒子と、当該TiO2粒子の表面上に吸着した多段エマルションポリマーの複数のポリマー粒子とを含む複合体粒子、当該複合体粒子を含む水性コーティング組成物、並びに塗膜を提供する方法も提供される。
【背景技術】
【0002】
二酸化チタン(TiO2)は多くの塗料の高価な成分である。TiO2粒子が膜形成および乾燥(これら粒子は近くなる傾向がある)時に互いに近づきすぎる場合に、隠蔽顔料(hiding pigment)としてのTiO2の効率は低減される。TiO2の間隔とその得られる効率は吸着性エマルションポリマーを使用することによって向上されうることが開示されてきた。従来の取り組みは、塗料において、特に低VOCもしくはゼロVOC塗料において望ましくない硬質のおよび/または架橋した吸着性エマルションポリマーを使用していた。硬さまたは架橋の特徴が膜形成の際に崩壊しないであろう吸着したエマルションポリマーにより間隔を達成することが期待されるので、硬さまたは架橋が使用されていた。
【0003】
米国特許第7,179,531号は、向上した隠蔽性を伴う乾燥塗膜を提供するのに好適な有機−無機複合体粒子を製造するのに有用な厳選した官能基もしくは吸収基を有するポリマー粒子を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,179,531号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
驚くべきことに、本発明者は比較的低いTgで、実質的に架橋していないエマルションポリマーを用いてTiO2隠蔽効率の有意な向上を達成することができたいことを見いだした。比較的低いTgは造膜助剤をほとんど無しでまたは全く無しでの適切な低温膜形成を得るのに重要であり、かつ架橋の実質的な非存在は乾燥塗膜のスクラブ耐性を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の形態においては、多段エマルションポリマーの重量を基準にして0.5重量%〜5重量%のP−酸モノマー、多段エマルションポリマーの重量を基準にして0重量%〜0.05重量%の多エチレン性不飽和モノマー、および少なくとも1種の第2のモノエチレン性不飽和モノマーを共重合単位として含む多段エマルションポリマーであって;当該エマルションポリマーは−20℃〜50℃の計算Tgを有し;当該エマルションポリマーは、全モノマー重量の10%〜50%を含む段階中に、前記P−酸モノマーの75%〜100%が前記第2のモノエチレン性不飽和モノマーと共に添加される、前記少なくとも1種の第2のモノエチレン性不飽和モノマーの乳化共重合により形成される;多段エマルションポリマーが提供される。
本発明の第2の形態においては、多段エマルションポリマーの重量を基準にして0.5重量%〜5重量%のP−酸モノマー、多段エマルションポリマーの重量を基準にして0重量%〜0.05重量%の多エチレン性不飽和モノマー、および少なくとも1種の第2のモノエチレン性不飽和モノマーを共重合単位として含み、−20℃〜50℃の計算Tgを有する多段エマルションポリマーを形成する方法であって、
(a)前記少なくとも1種の第2のモノエチレン性不飽和モノマーを乳化共重合すること;および(b)全モノマー重量の10%〜50%を含む段階中に、前記P−酸モノマーの75重量%〜100重量%を前記第2のモノエチレン性不飽和モノマーと共に添加することを含む;
多段エマルションポリマーを形成する方法が提供される。
本発明の第3の形態においては、a)TiO2粒子と;b)前記TiO2粒子の表面上に吸着した本発明の第1の形態の多段エマルションポリマーの複数のポリマー粒子とを含む複合体粒子が提供される。
本発明の第4の形態においては、本発明の第3の形態の複合体粒子を含む水性コーティング組成物が提供される。
本発明の第5の形態においては、(a)本発明の第4の形態の水性コーティング組成物を形成し;(b)前記水性コーティング組成物を基体に適用し;並びに(c)前記適用された水性コーティング組成物を乾燥させるかまたは乾燥可能にする;ことを含む、塗膜を提供する方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の多段エマルションポリマーは水性媒体中での乳化重合により形成されるポリマーに関し、本明細書において「水性媒体」は、水および媒体の重量を基準にして0重量%〜30重量%の水混和性化合物を含む。本発明の多段エマルションポリマーは共重合単位として、エマルションポリマーの重量を基準にして0.5〜5%、好ましくは1〜4%、およびより好ましくは1%〜2.25%のP−酸モノマー;エマルションポリマーの重量を基準にして0重量%〜0.05重量%、好ましくは0重量%の多エチレン性不飽和モノマー;並びに少なくとも1種の第2のモノエチレン性不飽和モノマーを含む。
【0008】
本明細書においては「P−酸モノマー」とはリン含有酸モノマーを意味し、このモノマーは少なくとも1つのエチレン性不飽和およびリンの酸基を含む。このP−酸モノマーは酸形態でもしくはリンの酸基の塩として存在しうる。リンの酸モノマーの例としては:
【化1】

が挙げられ、式中、Rはアクリルオキシ、メタクリルオキシ、スチリル、アリールもしくはビニル基をはじめとする有機基であり;並びにR’およびR’’は独立してHおよび第2の有機基から選択される。第2の有機基は飽和もしくは不飽和であることができる。
【0009】
好適なリンの酸モノマーにはリン酸二水素官能性モノマー、例えば、重合性ビニルもしくはオレフィン基も含むアルコールのリン酸二水素エステル、例えば、アリルホスファート、ビス(ヒドロキシメチル)フマラートもしくはイタコナートのモノもしくはジホスファート、(メタ)アクリル酸エステルの誘導体、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラートのホスファート、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラートなどが挙げられる。他の好適なリンの酸モノマーには、CH2=C(R)−C(O)−O−(R1O)n−P(O)(OH)2、式中R=HもしくはCH3およびR1=アルキル、例えば、ローディアインコーポレーティド(Rhodia,Inc.)から入手可能なSIPOMER商標PAM−100、SIPOMER商標PAM−200、SIPOMER商標PAM−300、およびSIPOMER商標PAM−400が挙げられる。他の好適なリンの酸モノマーは国際公開第99/25780A1号に開示されているホスファート官能性モノマーであり、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸、α−ホスホノスチレン、2−メチルアクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸が挙げられる。さらなる好適なリンの官能性モノマーはHarcross T−Mulz1228および1,2−エチレン性不飽和(ヒドロキシ)ホスフィニルアルキル(メタ)アクリラートモノマー(米国特許第4,733,005号に開示)であり、および(ヒドロキシ)ホスフィニルメチルメタクリラートが挙げられる。好ましいリンの酸モノマーはリン酸二水素モノマーであり、これには2−ホスホエチル(メタ)アクリラート、2−ホスホプロピル(メタ)アクリラート、3−ホスホプロピル(メタ)アクリラートおよび3−ホスホ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラートが挙げられる。好ましいのは2−ホスホエチル(メタ)アクリラート、2−ホスホプロピル(メタ)アクリラート、3−ホスホプロピル(メタ)アクリラート、3−ホスホ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、SIPOMER商標PAM−100およびSIPOMER商標PAM−200である。
【0010】
多エチレン性不飽和モノマーには、例えば、(メタ)アクリル酸アリル、フタル酸ジアリル、ブタジエン、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリラート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリラート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリラート、およびジビニルベンゼンが挙げられる。本明細書においては、多エチレン性不飽和モノマーは、多エチレン性不飽和PEMジエステルなどのようなP含有多エチレン性不飽和モノマーを明白に除く。
【0011】
少なくとも1種の共重合される第2のモノエチレン性不飽和モノマーは酸基含有モノマー、例えば、P−酸モノマーおよび第2の酸含有モノマー、またはこれらの塩、アルデヒド反応性基含有モノマー、並びに多エチレン性不飽和モノマーなどを除き、例えば、(メタ)アクリルエステルモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、ウレイド官能性(メタ)アクリラート、および(メタ)アクリル酸のアセトアセタート、アセトアミドもしくはシアノアセタート;スチレンもしくは置換スチレン;ビニルトルエン;ブタジエン;酢酸ビニルもしくは他のビニルエステル;ビニルモノマー、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、N−ビニルピロリドン;(メタ)アクリロニトリル;並びにN−アルキロール(メタ)アクリルアミドが挙げられる。別の用語が後に続く用語「(メタ)」の使用、例えば(メタ)アクリラートもしくは(メタ)アクリルアミドは、本開示を通じて使用される場合、アクリラートもしくはアクリルアミド、およびメタクリラートおよびメタクリルアミドをそれぞれ意味する。
【0012】
本発明のある実施形態においては、多段エマルションポリマーは共重合単位として、エマルションポリマーの重量を基準にして0.01重量%〜0.6重量%、好ましくは0.1重量%〜0.5重量%の第2の酸含有モノマーもしくはその塩を含む。第2の酸含有モノマーはP−酸モノマーおよびその塩を除くが、S−酸モノマーおよびカルボン酸モノマーの双方並びにこれらの塩を含む。第2の酸含有モノマーには、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸および二酸のモノエステル誘導体、例えば、イタコン酸モノメチル、フマル酸モノメチルおよびフマル酸モノブチルが挙げられる。同様に機能することができる無水マレイン酸も含まれる。硫黄の酸基を含むモノマーの例には、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリラート、およびビニルスルホン酸およびスチレンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。好ましい第2の酸官能性モノマーは(メタ)アクリル酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、イタコン酸、およびこれらの塩である。最も好ましい第2の酸官能性モノマーはメタクリル酸、スチレンスルホン酸ナトリウムおよびこれらの塩である。
【0013】
本発明のある実施形態においては、多段エマルションポリマーは共重合単位として、多段エマルションポリマーの重量を基準にして0.01重量%〜3重量%、好ましくは0.1重量%〜2重量%のアルデヒド反応性基含有モノマーを含む。本明細書においては「アルデヒド反応性基含有モノマー」は20重量%の当該モノマーおよび等モル量のホルムアルデヒドを含みpH1〜14の均一な溶液中での、25℃で1日でのモノマーとホルムアルデヒドとの間の反応の程度が、モル基準で10%を超えることを示すであろうモノマーをいう。エチレン性不飽和アルデヒド反応性基含有モノマーとして挙げられるのは、例えば、アセト酢酸ビニル、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリラート、アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリラート、アセト酢酸アリル、アセトアセトキシブチル(メタ)アクリラート、2,3−ジ(アセトアセトキシ)プロピル(メタ)アクリラート、ビニルアセトアセトアミド、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリルアミド、3−(2−ビニルオキシエチルアミノ)−プロピオンアミド、N−(2−(メタ)アクリルオキシエチル)−モルホリノン−2,2−メチル−1−ビニル−2−イミダゾリン、2−フェニル−1−ビニル−2−イミダゾリン、2−(3−オキサゾリジニル)エチル(メタ)アクリラート、N−(2−ビノキシエチル)−2−メチルオキサゾリジン、4,4−ジメチル−2−イソプロペニルオキサゾリン、3−(4−ピリジル)プロピル(メタ)アクリラート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリラート、2−メチル−5−ビニル−ピリジン、2−ビノキシエチルアミン、2−ビノキシエチルエチレン−ジアミン、3−アミノプロピルビニルエーテル、2−アミノ−2−メチルプロピルビニルエーテル、2−アミノブチルビニルエーテル、tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリラート、2−(メタ)アクリルオキシエチルジメチル−β−プロピオベタイン、ジエタノールアミンモノビニルエーテル、o−アニリンビニルチオエーテル、(メタ)アクリルオキシアセタミド−エチルエチレンウレア、エチレンウレイドエチル(メタ)アクリラート、(メタ)アクリルアミドエチル−エチレンウレア、(メタ)アクリルアミドエチル−エチレンチオウレアN−((メタ)アクリルアミドエチル)−N−(1−ヒドロキシメチル)エチレンウレア、N−((メタ)アクリルアミドエチル)−N−(1−メトキシ)メチルエチレンウレア、N−ホルムアミドエチル−N−(1−ビニル)エチレンウレア、N−ビニル−N−(1−アミノエチル)−エチレンウレア、N−(エチレンウレイドエチル)−4−ペンテンアミド、N−(エチレンチオウレイド−エチル)−10−ウンデセンアミド、ブチルエチレンウレイド−エチルフマラート、メチルエチレンウレイド−エチルフマラート、ベンジルN−(エチレンウレイド−エチル)フマラート、ベンジルN−(エチレンウレイド−エチル)マレアート、N−ビノキシエチルエチレン−ウレア、N−(エチレンウレイドエチル)−クロトンアミド、ウレイドペンチルビニルエーテル、2−ウレイドエチル(メタ)アクリラート、N−2−(アリルカルバモト)アミノエチルイミダゾリジノン、1−(2−((2−ヒドロキシ−3−(2−プロペニルオキシ)プロピル)アミノ)エチル)−2−イミダゾリジノン、ヒドロゲンエチレンウレイドエチルイタコンアミド、エチレンウレイドエチルヒドロゲンイタコナート、ビス−エチレンウレイドエチルイタコナート、エチレンウレイドエチルウンデシレナート、エチレンウレイドエチルウンデシレンアミド、2−(3−メチロールイミダゾリドン−2−イル−1)エチルアクリラート、N−アクリルオキシアルキルオキサゾリジン、アクリルアミドアルキルビニルアルキレンウレア、ジメチアミノエチルメタクリラートとしてのアルデヒド反応性アミノ基含有モノマー、およびアジリデン官能基含有エチレン性不飽和モノマーがある。好ましいのは多段エマルションポリマーの重量を基準にして0.25重量%〜2重量%の共重合されるウレイドメタクリラートである。好ましいのは、アルデヒド反応性基含有モノマーがP−酸モノマーと同じ段階で共重合される方法である。
【0014】
多段階エマルションポリマーの計算ガラス転移温度(Tg)は−20℃〜50℃、好ましくは−10℃〜35℃、およびより好ましくは−10℃〜20℃である。多段エマルションポリマーのTgは、個々の段階の数もしくは組成に関係なく、多段エマルションポリマーの全体組成から計算される。ポリマーのTgは本明細書においては、フォックス式(T.G.Fox,Bull.Am.Physics Soc.,第1巻、第3号、123ページ(1956年))すなわち、モノマーM1およびM2のコポリマーのTgを計算するために
【数1】

を用いることにより計算され、
式中、Tg(calc.)はコポリマーについて計算されるガラス転移温度であり、w(M1)はコポリマー中のモノマーM1の重量分率であり、w(M2)はコポリマー中のモノマーM2の重量分率であり、Tg(M1)はM1のホモポリマーのガラス転移温度であり、およびTg(M2)はM2のホモポリマーのガラス転移温度であり、全ての温度は°K単位である。
【0015】
ホモポリマーのガラス転移温度は、例えば「Polymer Handbook(ポリマーハンドブック)」J.Brandrup(ブランドラップ)およびE.H.Immergut(イメルグート)、Interscience Publishers(インターサイエンスパブリシャーズ)に認められうる。
【0016】
本発明の多段エマルションポリマーを形成する方法に典型的に使用される乳化重合技術は、例えば、米国特許第4,325,856号;第4,654,397号;および第4,814,373号に開示されるように当該技術分野において周知である。従来の界面活性剤およびその混合物、例えば、アニオン性および/または非イオン性乳化剤、例えば、アルキル硫酸アルカリ金属、アルキル硫酸アンモニウム、アルキルスルホン酸、脂肪酸およびオキシエチル化アルキルフェノールなどが使用されうる。使用される界面活性剤の量は全モノマーの重量を基準にして、通常は、0.1重量%〜6重量%である。熱もしくはレドックス開始プロセスが使用されうる。触媒とも称される従来のフリーラジカル開始剤、例えば、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−アミルヒドロペルオキシド、過硫酸アンモニウムおよび/または過硫酸アルカリなどが、典型的には全モノマーの重量を基準にして0.01重量%〜3.0重量%の量で使用されうる。活性剤とも称される好適な還元剤、例えば、ナトリウムスルホキシラートホルムアルデヒド、ナトリムハイドロサルファイト、イソアスコルビン酸、硫酸ヒドロキシルアミンおよび亜硫酸水素ナトリウムなどと組み合わせて同じ開始剤を使用するレドックスシステムが同じ量で、場合によっては、例えば、鉄および銅のような金属イオンと組み合わせて、場合によってはこの金属のための錯化剤をさらに含んで使用されうる。ポリマーの分子量を低減させるためにメルカプタンのような連鎖移動剤が使用されうる。上述の界面活性剤、開始剤および還元剤のような材料はいずれも多段乳化重合の別々の段階で同じもしくは異なる組成もしくは量であってよい。
【0017】
モノマーは個々に添加されることができ、またはモノマー混合物で添加されてもよく、モノマーはそのままでもしくは水中のエマルションとして添加されうる。本明細書においては、モノマーは2以上の段階で添加される。第2のモノエチレン性不飽和モノマーは反応全体にわたって添加される。全モノマー添加の10重量%〜50重量%、好ましくは10重量%〜40重量%、より好ましくは10重量%〜35重量%の添加に対応する段階もしくは反応の部分中に、第2のモノエチレン性不飽和モノマーと共にP−酸モノマーの75重量%〜100重量%、好ましくは90重量%〜100重量%およびより好ましくは100重量%が添加される。このP−酸モノマーの比較的豊富な段階の使用は場合によってはP−酸モノマーの「パルス」添加と記載される。本発明のある実施形態においては、パルスもしくはP−酸モノマーリッチ段階は全ての添加されるモノマーの0重量%〜65重量%、好ましくは0重量%〜40重量%、およびより好ましくは0重量%〜30重量%がすでに添加された時点で開始される。すなわち、多段エマルションポリマーを形成するための反応の比較的早期にP−酸モノマーパルスが起こることが好ましい。
【0018】
多段エマルションポリマーのある実施形態においては、P−酸モノマー以外の添加されるモノマー組成は反応全体にわたって一定もしくは実質的に一定であることができる。別の実施形態においては、P−酸モノマー以外の添加されるモノマーの組成は段階ごとに変動してもよく、または独立して1以上の段階内で変動(勾配供給重合とも称される)してもよい。限定された量の比較的高いTgの段階、例えば、10重量%未満の60℃〜110℃の計算Tgを有する段階が多段エマルションポリマーに組み込まれることができることも意図される。
【0019】
本発明の好ましい実施形態においては、多段エマルションポリマーは第2の酸含有モノマーおよびP−酸モノマーが重合に共供給される方法によって製造されうる。この方法においては、反応器中で同時に重合に利用可能なある濃度のP−酸モノマーおよびある濃度の第2の酸含有モノマーが存在することが好ましい。同時の有意な濃度の生成はモノマーの供給の重なりによって最もよく達成される。重合の速度は典型的には非常に速いので、好ましい条件は第2の酸含有モノマーの一部分もしくは全部とのP−酸パルスの完全な重複であり、このことは供給されるべき同じモノマーエマルションへの双方の成分の添加によって達成されうる。この供給の重複が100%未満であり得ることがさらに意図される。これを実行するのに好適な方法には双方のモノマーを含むモノマーエマルションを形成し、そしてこのモノマーエマルションをバッチ反応に徐々に供給することが挙げられるがこれに限定されない。
【0020】
本発明のある実施形態においては、リンの酸基を有する水溶性ポリマーの形成を最小限にする多段エマルションポリマーを形成する方法が望ましい。この方法においては、多段エマルションポリマーは低pHでの水性乳化重合プロセスにより調製される。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、充分に低いpHの水性反応媒体中でP−酸モノマーはプロトン化され、より高いpHにおけるよりも水溶性が低くなり、それにより、リンの酸基を有する水溶性ポリマーの形成の付随的低減を伴って、成長するポリマー粒子へのP−酸モノマーの増大した組み込みをもたらすと考えられる。本明細書において使用される場合、低いpHには−1から2.5未満、好ましくは約0から2.2未満、およびより好ましくは1から2.1の範囲のpH値が挙げられる。水性反応媒体のpHは好ましくは緩衝されないP−酸モノマーのそのままのpHである。あるいは、このpHは強酸、例えば、硫酸、亜硫酸、アルキルスルホン酸、スルファミン酸、塩酸、ヨウ素酸、過ヨウ素酸、セレン酸、クロム酸、硝酸、ピロリン酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、シュウ酸などの添加によって低いpHに調節されてもよい。強酸は、P−酸モノマーの重合前、重合中もしくはこれら双方において水性反応媒体に添加されうる。これらの実施形態においては、P−酸モノマーが重合されている段階以外の段階における反応混合物のpHは異なっていてもよく;典型的には他の段階におけるpHが3.5を超える、好ましくは5を超えることが好ましい。水性反応媒体のpHは20℃で決定され、かつ反応から取り出された水性反応媒体のアリコートについて塩化銀電極を備えたpH計を用いて行われうる。
【0021】
例えば、フリーラジカル開始剤、酸化剤、還元剤、連鎖移動剤、中和剤、界面活性剤および分散剤のような追加の成分がいずれの段階の前に、段階中に、または段階後に添加されてもよい。米国特許第4,384,056号および第4,539,361号に開示される方法のような多モード粒子サイズ分布を生じさせる方法が使用されうる。
【0022】
水性ポリマー分散物粒子の平均粒子直径はニューヨーク州ホルツビルのBrookhaven Instrument Corp.によって供給されるブルックハーベンモデル(Brookhaven Model)BI−90パーティクルサイザー(Particle Sizer)によって測定して典型的には30nm〜500nm、好ましくは50nm〜200nm、およびより好ましくは50nm〜150nmである。
【0023】
本発明の一形態は中心TiO2粒子の表面上に吸着した複数の本発明の多段エマルションポリマー粒子を有する中心TiO2粒子を含む複合体粒子に関する。本明細書においては、「TiO2粒子」はルチルTiO2およびアナターゼTiO2をはじめとするTiO2から主としてなる粒子を意味する。TiO2は均一な組成もしくは2以上の相を伴う不均一な組成を有しうる。典型的には、TiO2はシリカ、アルミナ、酸化亜鉛およびジルコニアの1種以上の少なくとも1つの塗膜を有しうる。本発明者は、特定の種類のTiO2が多段エマルションポリマーにおいて様々なレベルの共重合された吸着性P−酸モノマーを必要とすることを見いだした。例えば、本発明者は、比較的高い比率のAl:Siを有するTiO2グレードは、より低いAl:Si比率を有するグレード(2.3重量%を必要とする)よりもかなり少ない吸着性モノマー(1.2重量%)しか必要としないことを見いだした。
【0024】
本発明の複合体粒子の形成は分散したTiO2を多段エマルションポリマーと接触させることにより、典型的には従来の低剪断ミキサーを用いて行われる。この形成はTiO2とラテックスとの間の反応性のバランスによって利益を受け、この反応が速すぎる場合には、コーティング形成能力は損害を被るであろうし、そして望ましくないグリットが形成されるであろう。あるいは、この反応が弱すぎれば、吸着が起こらないかまたは吸着は遅いであろうし、結果的に粘度および着色強度のドリフティングをもたらす。
【0025】
本発明のある実施形態においては、本発明の複合体粒子を含む特定の水性コーティング組成物が提供される。水性コーティング組成物に含まれる無機粒子の量は水性組成物および無機粒子の全乾燥体積を基準にして0〜95体積%である。典型的には、本発明の水性コーティング組成物は、乾燥塗膜を製造するために使用される場合には、水性組成物の体積を基準にして20〜50体積%の範囲の固形分量を有する。水性組成物のpHは典型的には3〜11の範囲、好ましくは7〜10の範囲である。水性組成物の好適な粘度範囲は50〜130Kreb単位(KU)、好ましくは70〜120KU、およびより好ましくは90〜110KUである。
【0026】
複合体粒子に加えて使用されうる無機粒子には、金属酸化物、例えば、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化鉄、酸化鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、二酸化チタン;硫化亜鉛、リトポン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ、クレイ、焼成クレイ、長石、霞石閃長岩、珪灰石、珪藻土、アルミナシリケートおよびタルクが挙げられる。ある実施形態においては、無機粒子は1〜100nm、好ましくは1〜50nmの粒子サイズを有しうる。100nm未満の粒子サイズを有する望まれる無機粒子の例には、酸化亜鉛、酸化ケイ素、二酸化チタンおよび酸化鉄が挙げられる。
【0027】
水性コーティング組成物は場合によっては有機顔料粒子を含んでいてもよい。好適な有機顔料には、プラスチック顔料、例えば、中実ビーズ顔料、例えば、ポリスチレンおよびポリ塩化ビニルビーズ、並びに空隙もしくはベシクルを含むマイクロ球体顔料も挙げられる。1以上の空隙を含むポリマー粒子を含むマイクロ球体顔料の例には、Ropaque商標不透明ポリマーおよびベシクル化ポリマー粒子が挙げられる。
【0028】
任意成分の無機粒子を含む水性コーティング組成物はコーティング技術において周知の技術によって製造される。まず、無機粒子は典型的には、カウレス(COWLES)(R)ミキサーによって提供される様な高剪断下で水性媒体中に充分に分散される。ある実施形態においては、本発明の複合体粒子は所望のように他のコーティングアジュバントと共に低剪断攪拌下で添加される。あるいは、複合体粒子は水性コーティング組成物の形成中にその場で形成されうる。水性組成物は複合体粒子に加えて、複合体粒子と会合していない追加の多段エマルションポリマー;また、膜形成性もしくは膜非形成性溶液もしくは他のエマルションポリマーを本発明の多段エマルションポリマーの0重量%〜200重量%の量で、並びに従来のコーティングアジュバント、例えば、乳化剤、造膜助剤、可塑剤、凍結防止剤、硬化剤、緩衝剤、中和剤、増粘剤、感光性部分、レオロジー調整剤、保湿剤、湿潤剤、殺生物剤、可塑剤、消泡剤、UV吸収剤、蛍光増白剤、光もしくは熱安定化剤、殺生物剤、キレート化剤、分散剤、着色剤、ワックス、撥水剤および酸化防止剤などを含むことができる。
【0029】
水性コーティング組成物は場合によっては揮発性有機化合物(VOC)を含む。本明細書においては、VOCは大気圧で280℃未満の沸点を有する炭素含有化合物として定義される。水およびアンモニアはVOCから除かれる。高頻度で、VOCは塗料もしくはコーティングに故意に添加されて、塗膜の膜特性を向上させ、または塗膜を製造するのに使用される組成物の適用特性に役立つ。例としてはグリコールエーテル、有機エステル、芳香族化合物、エチレンおよびプロピレングリコール、並びに脂肪族炭化水素がある。
【0030】
ある実施形態においては、水性コーティング組成物は水性コーティング組成物の全重量を基準にして20重量%以下のVOC、好ましくは5重量%未満のVOC、より好ましくは3重量%未満のVOC、およびさらにより好ましくは1.7重量%未満のVOCを含むことができる。
【0031】
水性コーティング製造の典型的な方法は、水性組成物の製造、殺生物剤、脱泡剤、石けん、分散剤および増粘剤から付随的なVOCを導入する。これらは典型的には水性コーティング組成物の全重量を基準にして0.2重量%のVOCとなる。スチームストリッピングのような追加の方法並びに低VOC含有添加剤、例えば、殺生物剤、脱泡剤、石けん、分散剤および増粘剤の選択は、水性コーティング組成物を水性コーティング組成物の全重量を基準にして0.05重量%未満のVOCまでさらに低減するのに好適である。ある実施形態においては、水性コーティング組成物は水性コーティング組成物の全重量を基準にして0.1重量%未満のVOCしか有さない。
【0032】
さらに、水性コーティング組成物はVOCではない造膜助剤を含むことができる。造膜助剤は水性エマルションポリマー、塗料、もしくはコーティングに添加され、エマルションポリマー、塗料、もしくはコーティングの最低造膜温度(MFFT)を少なくとも1℃下げる化合物である。MFFTはASTM試験方法D2354を使用して測定される。非VOC造膜助剤は大気圧で280℃を超える沸点を有する造膜助剤である。VOCではない造膜助剤の例には、可塑剤、低分子量ポリマー、界面活性剤、および自己酸化性可塑剤、例えば、不飽和脂肪酸のアルキルエステルなどが挙げられる。好ましいのはアマニ、タン、脱水ヒマシ、ダイズ、トール、ヒマワリ、およびトウモロコシのような油から製造されるアルキルエステルである。好適な不飽和脂肪酸のエステルには、アルキルエステル、例えば、メチルおよびエチルエステル;置換アルキルエステル、例えば、エチレングリコールおよびプロピレングリコールから形成されるエステル;並びに不飽和脂肪酸のアルキルエーテルエステル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、およびジエチレングリコールモノブチルエーテルが挙げられる。
【0033】
従来のコーティング適用方法、例えば、刷毛塗り、ローリングおよび噴霧方法、例えば、エアアトマイズドスプレー、エアアシストスプレー、エアレススプレー、高容積低圧スプレー、およびエアアシストエアレススプレーなどが本発明の水性組成物を提供するために使用されうる。さらに、いくつかのシステムのためには、水性ポリマー組成物を適用するために、例えば、コーキングガン、ロールコーター、およびカーテンコーターなどの他の適用技術が使用されうる。水性ポリマー組成物は、例えば、プラスチック、木材、金属、下塗りされた面、すでに塗装された面、風雨にさらされた塗装面、ガラス、複合体、およびセメント質基体などの基体に有利に適用されうる。乾燥は典型的には、例えば、0℃〜35℃のような周囲条件下で進められることができるが、高温もしくは低湿度で促進されてもよい。
【実施例】
【0034】
試験方法
隠蔽性の測定:
1.5milのバード(Bird)アプリケーターを用いて、レネタ(Leneta)RC−BC黒色剥離チャート上に試験塗料の薄膜をキャストした。25milドローダウンバーを用いて、レネタ黒色ビニルスクラブチャート上に幅方向に塗料1つにつき1枚の厚膜をキャストした。77±3.5°Fおよび50±5%相対湿度で一晩乾燥させた。コダック(Kodak登録商標)プロジェクターガラススライドカバー(3.25”×4”)がこの薄膜上に配置され、エクセル(Excel登録商標)ナイフで切り目を入れて試験領域(13in)を得た。切り目を入れた薄膜試験領域上で携帯型バイク−ガードナー(Byk−Gardner)45°反射率計を用いて5つの反射率値が測定され、平均値を記録した。第1の測定は試験領域の左上隅で行われた。引き続いての測定は右下隅まで対角線に下げつつ行われた。5つの反射率値が厚膜試験領域上で測定され、そして平均値を記録した。Exacto(商標)ナイフの先端を用いて、切り目を入れた薄膜試験領域が持ち上げられ、その膜は分析天秤上の秤量皿に入れられた。その膜の重量が記録された。厚膜および薄膜の測定された反射率値並びに膜試験領域の重量から、隠蔽率「S」値が計算された。この試験において、Kubelka/Munk隠蔽率値「S」は式:
【数2】

によって与えられ、式中、Xは平均膜厚(mil)であり、Rは厚膜の平均反射率であり、およびRはブラックレネタ上での薄膜の黒色上での平均反射率である。Xは乾燥塗料膜の重量(Wpf)、乾燥膜の密度(D);および膜面積(A)から計算された。概して、顔料のより有効な使用はコーティング製造者に対して、より良好な品質の塗膜もしくはより低いコスト(またはこの双方)につながりうるので、より高いS値が常に望ましい。
【0035】
光沢およびグリット評価手順:
3milバードフィルムアプリケーターを用いて、レネタ5Cチャート上への試験サンプルのドローダウンが準備された。このチャートは77±3.5°Fおよび50±5%相対湿度で7日間乾燥させられた。鏡面光沢度は、ガードナーカンパニー(Gardner Company)から入手可能な較正され標準化されたグロスガード(Glossgard)II光沢計を用いて反射の2つの角度(20°および60°)で測定された。
乾燥したドローダウン上で認められたグリット(grit)のレベルが評価された。グリットのレベルは次の範囲を用いて報告された:なし/非常にわずか/わずか/中程度/多い/重度。
【0036】
スクラブ耐性試験
この試験(ASTM D2486−00に基づく)は次のように行われた:
A.装置の準備:
摩耗試験機:各側部上の1セットのケーブルによって、乾燥した適用塗料膜上で前後に動かされるブラケットに挟まれたブラシからなる摩耗試験装置が使用された。この摩耗試験機は使用前に水平にされ、37±1サイクル/分で操作された。
ブラシ:ブラシの毛は、新しい場合には、使用前に平坦にされ、塗料面上を均一にすり減らすのを可能にした。平坦化はブラシを100もしくは200メッシュのきめの細かい酸化アルミニウム紙やすり上で動かすことにより達成された。
B.試験:
コーティングは7/10Dowフィルムキャスターの7milの開口を用いて、パネルの固定端からはじめて、黒色ビニルチャート(タイプP−121−10N、レネタカンパニー)上にドローダウンされた。適用の時間は端から端まで3〜4秒であった。このコーティングは、73.5±3.5°Fおよび50±5%相対湿度に維持された開放室内で、水平位置で7日間、空気乾燥させられた。各サンプルの3つのドローダウンが造られた。2つが試験され、25%再現性の範囲内にあった場合にはこれら2つが平均化された。2つが25%再現性の範囲内になかった場合には、第3番目が試験されこれら3つが平均化された。ガスケット付きフレームおよび真鍮製重りもしくはクランプを用いて、ドローダウンは摩耗試験機に固定された。ホルダーにブラシが取り付けられた。10gのスクラブ媒体(摩耗性スクラブ媒体(Abrasive Scrub Medium)タイプSC−2、ザレネタカンパニー)がブラシの毛上に均一に広げられた。ブラシは行路の中央に置かれた。スクラブ媒体および水を適用する際にブラシは毛のある側を上にされ、次いで試験を開始する際に注意深くひっくり返されて毛の側を下にされた。400サイクルごとの後で破損する前に、ブラシは取り外されたがすすがれず;10gの攪拌したスクラブ媒体が添加され;そして、ブラシが交換された。続ける前に、5mlの水がブラシ上に配置された。塗料膜を完全に一本の連続した線で除去するためのサイクル数が記録された。
【0037】
以下の実施例は本発明を例示する。
【表1】

【0038】
比較例A.供給の100%にわたってPEM(2.3重量%)を供給した。
525gのDI水、64.8gの(30%活性)アニオン性界面活性剤A、974.4gのBA、703.9gのMMA、13.89gのMAA、39.10gのPEMおよび17.4gのUMAを混合することにより段階1モノマーエマルションが調製された。パドルスターラー、熱電対、窒素入口および還流凝縮器を備えた4つ口丸底フラスコである5リットルの反応器が組み立てられた。このフラスコに926.0gのDI水および4.63gの(30%活性)アニオン性界面活性剤を添加し、攪拌を開始した。フラスコの内容物を窒素雰囲気下で88℃に加熱した。段階1モノマーエマルションの110.1gの部分をこのケトルに添加し、次いで25gのDI水すすぎを行った。内容物を1分間攪拌し、次いで44gのDI水中の3.55gのNaPSの溶液を添加した。さらに2分後、モノマーエマルション1および118gのDI水中の1.58gのNaPSの溶液を別々に110分間にわたってこのフラスコに供給した。添加中、フラスコの内容物は84〜86℃に維持された。モノマーエマルションは50gのDI水すすぎですすがれた。次いで、このバッチを65℃に冷却し、22gDI水中の15gアンモニア水(28%濃度)の溶液で部分的に中和し、レドックス対を添加した。このバッチを室温まで冷却した。冷却しつつ、かつ50℃未満で、196gの水酸化カリウム水溶液(6.5%)を添加した。測定された粒子サイズは101nmであり、固形分は46.3%であり、7.9のpHであった。
【0039】
実施例1.多段エマルションポリマーの製造。供給の70%にわたってPEM(2.3重量%)を供給した。
367.5gのDI水、45.4gの(30%活性)アニオン性界面活性剤A、682.1gのBA、482.9gのMMA、13.89gのMAAおよび39.10gのPEMを混合することにより段階1モノマーエマルションが調製された。157.5gのDI水、19.4gの(30%活性)アニオン性界面活性剤A、292.3gのBA、221.0gのMMAおよび17.4gのUMAを混合することにより段階2モノマーエマルションが調製された。パドルスターラー、熱電対、窒素入口および還流凝縮器を備えた4つ口丸底フラスコである5リットルの反応器が組み立てられた。このフラスコに926.0gのDI水および4.63gの(30%活性)アニオン性界面活性剤を添加し、攪拌を開始した。フラスコの内容物を窒素雰囲気下で88℃に加熱した。段階1モノマーエマルションの110.1gの部分をこのケトルに添加し、次いで25gのDI水すすぎを行った。内容物を1分間攪拌し、次いで44gのDI水中の3.55gのNaPSの溶液を添加した。さらに2分後、モノマーエマルション1を70分間にわたってフラスコに添加した。同時に、118gのDI水中の1.58gのNaPSの溶液を別々に1.09g/分の速度でこのフラスコに供給した。モノマーエマルション1供給の完了後に、開始剤共供給を停止させ、バッチを30分間その温度に保持した。次いで、開始剤共供給を再開させ、モノマーエマルション2を40分間にわたって添加した。添加中、フラスコの内容物は84〜86℃に維持された。モノマーエマルションは50gのDIすすぎですすがれた。次いで、このバッチを65℃に冷却し、22gDI水中の15gアンモニア水(28%濃度)の溶液で部分的に中和し、次いでレドックス対を添加した。このバッチを室温まで冷却した。冷却しつつ、かつ50℃未満で、196gの水酸化カリウム水溶液(6.5%)を添加した。測定された粒子サイズは100nmであり、固形分は46.1%であり、7.8のpHであった。
【0040】
実施例2.多段エマルションポリマーの製造。供給の50%にわたってPEM(2.3%)を供給した。
225gのDI水、32.4gの(30%活性)アニオン性界面活性剤A、487.2gのBA、329.7gのMMA、13.92gのMAAおよび39.15gのPEMを混合することにより段階1モノマーエマルションが調製された。300.0gのDI水、32.4gの(30%活性)アニオン性界面活性剤、487.2gのBA、374.1gのMMAおよび17.4gのUMAを混合することにより段階2モノマーエマルションが調製された。パドルスターラー、熱電対、窒素入口および還流凝縮器を備えた4つ口丸底フラスコである5リットルの反応器が組み立てられた。このフラスコに926.0gのDI水および4.63gの(30%活性)アニオン性界面活性剤を添加し、攪拌を開始した。フラスコの内容物を窒素雰囲気下で88℃に加熱した。段階1モノマーエマルションの110.1gの部分をこのケトルに添加し、次いで25gのDI水すすぎを行った。内容物を1分間攪拌し、次いで44gのDI水中の3.55gのNaPSの溶液を添加した。さらに2分後、モノマーエマルション1を55分間にわたってフラスコに添加した。同時に、118gのDI水中の1.58gのNaPSの溶液を別々に1.09g/分の速度でこのフラスコに供給した。モノマーエマルション1供給の完了後に、開始剤共供給を停止させ、バッチを30分間その温度に保持した。次いで、開始剤共供給を再開させ、モノマーエマルション2を55分間にわたって添加した。添加中、フラスコの内容物は84〜86℃に維持された。モノマーエマルションは50gのDIすすぎですすがれた。次いで、このバッチを65℃に冷却し、22gDI水中の15gアンモニア水(28%濃度)の溶液で部分的に中和し、次いでレドックス対を添加した。このバッチを室温まで冷却した。冷却しつつ、かつ50℃未満で、196gの水酸化カリウム水溶液(6.5%)を添加した。測定された粒子サイズは107nmであり、固形分は46.2%であり、8.0のpHであった。
【0041】
実施例3.多段エマルションポリマーの製造。供給の30%にわたってPEM(2.3%)を供給した。
200gのDI水、24.3gの(30%活性)アニオン性界面活性剤A、292.0gのBA、186.2gのMMA、4.17gのMAAおよび39.11gのPEMを混合することにより段階1モノマーエマルションが調製された。409.6gのDI水、40.5gの(30%活性)アニオン性界面活性剤A、681.3gのBA、516.9gのMMA、17.4gのUMAおよび9.7gのMAAを混合することにより段階2モノマーエマルションが調製された。パドルスターラー、熱電対、窒素入口および還流凝縮器を備えた4つ口丸底フラスコである5リットルの反応器が組み立てられた。このフラスコに926.0gのDI水および4.63gの(30%活性)アニオン性界面活性剤を添加し、攪拌を開始した。フラスコの内容物を窒素雰囲気下で88℃に加熱した。段階1モノマーエマルションの110.1gの部分をこのケトルに添加し、次いで25gのDI水すすぎを行った。内容物を1分間攪拌し、次いで44gのDI水中の3.55gのNaPSの溶液を添加した。さらに2分後、モノマーエマルション1を40分間にわたってフラスコに添加した。同時に、118gのDI水中の1.58gのNaPSの溶液を別々に1.09g/分の速度でこのフラスコに供給した。モノマーエマルション1供給の完了後に、モノマーエマルション2を70分間にわたって添加した。添加中、フラスコの内容物は84〜86℃に維持された。モノマーエマルションは50gのDIすすぎですすがれた。次いで、このバッチを65℃に冷却し、22gDI水中の15gアンモニア水(28%濃度)の溶液で部分的に中和し、次いでレドックス対を添加した。このバッチを室温まで冷却した。冷却しつつ、かつ50℃未満で、196gの水酸化カリウム水溶液(6.5%)を添加した。測定された粒子サイズは98nmであり、固形分は45.1%であり、7.9のpHであった。
【0042】
実施例4.水性コーティング組成物の形成および不透明性の評価
表4.1は吸着性モノマー段階のサイズを変更することの影響を評価するためのコーティング組成物を示す。TiO2添加に良好な混合条件下でラボラトリーミキサー上で、示された順に1つの容器内で複合体は製造された。エキステンダーグラインド(grind)は4種全ての塗料に使用された単一種の多量のグラインドとして製造された。複合体およびエキステンダーグラインドが製造されたら、塗料はレットダウンについて示された順に第3の容器内で混合された。TAMOL(商標)2002はKOHで中和されていた。S/MilはASTM試験方法D−2805.70に従って評価された。
【0043】
【表2】

【表3】

TAMOL商標2002、RHOPLEX商標VSR−1050、ROPAQUE商標Ultra、ACRYSOL商標RM−2020NPRおよびACRYSOL RM−8Wはダウケミカルカンパニーの製品であり;TEXANOL商標はイーストマンケミカルカンパニーの製品であり;FOAMSTAR商標A−34はコグニスGMBHの製品であり;TI−PURE商標R−746はE.I.DuPont de Nemours and Co.の製品であり;BYK348はByk−Chemie GMBHの製品である。
【0044】
本発明の水性コーティング組成物である実施例5〜7は比較例Bのよりも優れた隠蔽性を有する塗膜を提供する。TiO2/ポリマー複合体において使用される多段エマルションポリマーの形成におけるパルスでのP−酸モノマー(PEM)の配置は均一な組成よりも好ましい。
【0045】
実施例8〜10および比較例C.実施例1〜3の教示に従った多段エマルションポリマーの製造。
実施例8:供給のはじめの5〜35%(フロント)で2.2%PEM(botm)を添加した。
実施例9:供給の35〜65%(中間)で2.2%PEM(botm)を添加した。
実施例10:供給の65〜100%(エンド)で2.2%PEM(botm)を添加した。
比較例C:第2の段階においてUMAと共に供給の70〜100%(エンド)で2.2%PEM(botm)を添加した。
【0046】
実施例11.水性コーティング組成物の形成および塗膜不透明性の評価
表11.1は吸着性モノマー段階配置の影響を評価するための水性コーティング組成物を示す。TiO2添加に良好な混合条件下でラボラトリーミキサー上で、示された順に1つの容器内で複合体は製造された。エキステンダーグラインドは4種全ての塗料に使用された単一種の多量のグラインドとして製造された。複合体およびエキステンダーグラインドが製造されたら、塗料はレットダウンについて示された順に第3の容器内で混合された。TAMOL(商標)2002はKOHで中和されていた。S/MilはASTM試験方法D−2805.70に従って評価された。
【0047】
【表4】

【表5】

【0048】
本発明の水性コーティング組成物である実施例12〜14は比較例Dのよりも優れた隠蔽性を有する塗膜を提供する。TiO2/ポリマー複合体の形成のための多段エマルションポリマーにおける早期のP−酸モノマー(PEM)パルスの配置は好ましい。
【0049】
実施例15.多段エマルションポリマーの形成(1.5PEM/0.0MAA)
以下の組成的な例外を伴って実施例1〜3の教示に従って多段ポリマーが製造された:第1のモノマーエマルションは200gのDI水、27.25gの(30%活性)アニオン性界面活性剤A、285.6gのBA、198.9gのMMAおよび25.5gのPEMを混合することにより第1のモノマーエマルションが調製された。420gのDI水、27.75gの(30%活性)アニオン性界面活性剤A、666.4gのBA、515.15gのMMAおよび17gのUMAを混合することにより第2のモノマーエマルションが調製された。測定された粒子サイズは109nmであり、固形分は45.8%であった。
【0050】
実施例16.多段エマルションポリマーの形成(1.2PEM/0.0MAA)
以下の例外を伴って実施例15の方法に従って多段ポリマーが製造された:第1のモノマーエマルションは200gのDI水、27.25gの(30%活性)アニオン性界面活性剤A、285.6gのBA、204gのMMAおよび20.4gのPEMを混合することにより第1のモノマーエマルションが調製された。420gのDI水、27.75gの(30%活性)アニオン性界面活性剤A、666.4gのBA、515.15gのMMAおよび17gのUMAを混合することにより第2のモノマーエマルションが調製された。測定された粒子サイズは109nmであり、固形分は45.9%であった。
【0051】
実施例17.多段エマルションポリマーの形成(1.2PEM/0.5MAA)
以下の例外を伴って実施例15の方法に従って多段ポリマーが製造された:第1のモノマーエマルションは200gのDI水、27.25gの(30%活性)アニオン性界面活性剤A、285.6gのBA、190.38gのMMA、25.5gのPEMおよび8.52gのMAAを混合することにより第1のモノマーエマルションが調製された。420gのDI水、27.75gの(30%活性)アニオン性界面活性剤A、666.4gのBA、515.15gのMMAおよび17gのUMAを混合することにより第2のモノマーエマルションが調製された。測定された粒子サイズは98nmであり、固形分は45.7%であった。
【0052】
実施例18.多段エマルションポリマーの形成(1.2PEM/0.4MAA)
以下の例外を伴って実施例15の方法に従って多段ポリマーが製造された:第1のモノマーエマルションは200gのDI水、27.25gの(30%活性)アニオン性界面活性剤A、285.6gのBA、197.22gのMMA、20.4gのPEMおよび6.78gのMAAを混合することにより第1のモノマーエマルションが調製された。420gのDI水、27.75gの(30%活性)アニオン性界面活性剤A、666.4gのBA、515.15gのMMAおよび17gのUMAを混合することにより第2のモノマーエマルションが調製された。測定された粒子サイズは96nmであり、固形分は45.9%であった。
【0053】
実施例19.塗膜のスクラブ耐性に対する多段エマルションポリマーにおける共存酸(co−acid)の影響の評価
多段エマルションポリマーである実施例15〜18から形成された組成物を含む水性コーティング組成物が製造され、そしてそれらから製造された塗膜がスクラブ耐性について評価された。結果は表19.2に示される。TiO2添加に良好な混合条件下でラボラトリーミキサー上で、示された順に1つの容器内で複合体は製造された。エキステンダーグラインドは別の容器内で製造された。複合体およびエキステンダーグラインドが製造されたら、水性コーティングは配合物について示された順に第3の容器内で混合された。各塗膜について8つのデータ点を集めて摩耗スクラブ耐性試験(ASTM D2486−00に基づく)が行われた。
【0054】
【表6】

【0055】
【表7】

【0056】
本発明の多段エマルションポリマーにおける共存酸の使用はポリマー製造可能性および水性コーティング安定性に有利に働く(より高いPEMはより高い共存酸レベルを必要とする)。より低い共存酸レベルは多段エマルションポリマー/TiO2複合体を含む塗膜のスクラブ耐性に有利に働く。
【0057】
実施例29.多段エマルションポリマーから製造される塗膜の隠蔽性およびスクラブ耐性に及ぼす多段エマルションポリマー中の共存酸の影響の評価
多段エマルションポリマーから形成される複合体を含む水性コーティング組成物が製造され、隠蔽性およびスクラブ耐性について塗膜を評価した。
【0058】
【表8】

%PEMは全モノマーを基準にする。全てのPEMは段階1に添加される(MEシードから除かれる)。
* 全てのPEMは段階1に添加される(PEMはMEシードに含まれる)。
%MAAは全モノマーを基準にしており、かつプロセス全体を通じて均一に添加される。
サンプルの最初の3つのペアは同じコーティングシリーズで製造された。
最後の3サンプルの組は異なるコーティングシリーズで評価された。
【0059】
本発明の多段エマルションポリマーにおける共存酸の使用は、エマルションポリマーを組み込んでいるTiO2/多段エマルションポリマー複合体を組み込んでいる塗膜のスクラブ耐性に基づくと、より高いMAAよりもより低いMAA共存酸に有利に働く。
【0060】
実施例38.多段エマルションポリマーから製造される塗膜の隠蔽性に及ぼす多段エマルションポリマー中の共存酸およびUMAの影響の評価
TiO2および多段エマルションポリマーから形成される複合体を含む水性コーティング組成物が製造され、塗膜が隠蔽性および光沢について評価された。
【0061】
【表9】

【0062】
本発明の多段エマルションポリマーにおけるPEMおよびUMAの共段階化はTiO2およびエマルションポリマーから形成される複合体を含む塗膜におけるより良好な隠蔽性を提供する。
【0063】
実施例43.PEMと共に共存酸としてとしてのSSSの影響
【表10】

【0064】
TiO2/ポリマー複合体に使用される本発明の多段エマルションポリマーにおけるPEMとの共存酸としてのSSSは、隠蔽性において中程度の下落を伴う共存酸としてのMAAよりも優れたスクラブ耐性および光沢を有する塗膜を提供する。
【0065】
実施例47.P−酸モノマー段階において共重合される多エチレン性不飽和モノマーの影響
多段エマルションポリマー(実施例44〜46)を含む複合体が1つの容器内で、示された順に、ラボラトリーミキサー上で、TiO2添加に良好な混合条件下で製造された。エキステンダーグラインドは3種全ての水性コーティング組成物について使用された単一種の多量のグラインドとして製造された。複合体およびエキステンダーグラインドが製造されたら、塗料は配合物について示された順に第3の容器内で混合された。隠蔽性S/MilはASTM試験方法D−2805.70に従って評価された。各塗膜について8つのデータ点を集めて、摩耗スクラブ耐性試験(ASTM D2486−00に基づく)が行われた。
【0066】
【表11】

【0067】
【表12】

【0068】
本発明の多段エマルションポリマーにおけるPEMと同じ段階での0.5重量%〜1重量%のALMAは、ほぼ一定の隠蔽性でスクラブ耐性の悪化を示すTiO2/ポリマー複合体を含む塗膜を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多段エマルションポリマーの重量を基準にして0.5重量%〜5重量%のP−酸モノマー、
多段エマルションポリマーの重量を基準にして0重量%〜0.05重量%の多エチレン性不飽和モノマー、および
少なくとも1種の第2のモノエチレン性不飽和モノマー、
を共重合単位として含む多段エマルションポリマーであって;
当該エマルションポリマーは−20℃〜50℃の計算Tgを有し;
当該エマルションポリマーは、全モノマー重量の10%〜50%を含む段階中に、前記P−酸モノマーの75重量%〜100重量%が前記第2のモノエチレン性不飽和モノマーと共に添加される、前記少なくとも1種の第2のモノエチレン性不飽和モノマーの乳化共重合により形成される;
多段エマルションポリマー。
【請求項2】
全添加モノマー重量の0〜65%で始まる段階中に、前記P−酸モノマーの75重量%〜100重量%が前記第2のモノエチレン性不飽和モノマーと共に添加される、請求項1に記載の多段エマルションポリマー。
【請求項3】
前記P−酸モノマーの75重量%〜100重量%が前記第2のモノエチレン性不飽和モノマーと共に添加される前記段階が前記エマルションポリマーの重量を基準にして0.01重量%〜0.6重量%の量の第2の酸含有モノマーをさらに含む、請求項1または2に記載の多段エマルションポリマー。
【請求項4】
前記第2の酸含有モノマーがメタクリル酸およびスチレンスルホン酸ナトリウムからなる群から選択される、請求項3に記載の多段エマルションポリマー。
【請求項5】
前記P−酸モノマーの75重量%〜100重量%が前記第2のモノエチレン性不飽和モノマーと共に添加される前記段階が前記エマルションポリマーの重量を基準にして0.01〜3重量%の量のアルデヒド反応性基含有モノマーをさらに含む、請求項1または2に記載の多段エマルションポリマー。
【請求項6】
多段エマルションポリマーの重量を基準にして0.5重量%〜5重量%のP−酸モノマー、
多段エマルションポリマーの重量を基準にして0重量%〜0.05重量%の多エチレン性不飽和モノマー、および
少なくとも1種の第2のモノエチレン性不飽和モノマー、
を共重合単位として含み、−20℃〜50℃の計算Tgを有する多段エマルションポリマーを形成する方法であって;
(a)前記少なくとも1種の第2のモノエチレン性不飽和モノマーを乳化共重合すること;および
(b)全モノマー重量の10%〜50%を含む段階中に、前記P−酸モノマーの75重量%〜100重量%を前記第2のモノエチレン性不飽和モノマーと共に添加することを含む;
多段エマルションポリマーを形成する方法。
【請求項7】
全添加モノマー重量の0〜65%で始まる段階中に、前記P−酸モノマーの75重量%〜100重量%が前記第2のモノエチレン性不飽和モノマーと共に添加される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
a)TiO2粒子と、b)前記TiO2粒子の表面上に吸着した請求項1または2または3の多段エマルションポリマーの複数のポリマー粒子とを含む複合体粒子。
【請求項9】
請求項8に記載の複合体粒子を含む水性コーティング組成物。
【請求項10】
(a)請求項9に記載の水性コーティング組成物を形成し;
(b)前記水性コーティング組成物を基体に適用し;並びに
(c)前記適用された水性コーティング組成物を乾燥させるかまたは乾燥可能にする;
ことを含む、塗膜を提供する方法。

【公開番号】特開2012−67283(P2012−67283A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−178307(P2011−178307)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】