説明

多段乾燥装置

【課題】多段乾燥装置のレーキの交換が容易にできるようにする。
【解決手段】乾燥室内の上下に複数段に設けられ、被乾燥物が高所から低所にジグザグに移送されるよう一端に荷受けし、他端側から払い出すと共に、熱媒体の通路を形成する乾燥床面と、上記各乾燥床面に貫通して上下方向に沿うよう設けた並列複数本の駆動軸3と、中心の軸貫通孔8に上記駆動軸を貫通させ、かつ回転伝達されるよう係合して上記乾燥床面上に配置した被乾燥物の撹拌及び搬送用のレーキ6と、上記乾燥室内に熱媒体を供給するように設けた熱媒体導入口と、上記乾燥室の高所で最上段の上記乾燥床面の荷受け端に被乾燥物を供給するように設けた投入口と、上記乾燥室の低所で最下段の上記乾燥床面の払い出し端からの被乾燥物を搬出するように設けた排出口とからなる多段乾燥装置において、上記のレーキを、上記駆動軸を抱き込むボス部7を複数に分割した分割レーキにより形成し、この分割ボス部を締付具12を介し結合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば汚泥の脱水ケーキなどの被乾燥物を乾燥させる多段乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の多段乾燥装置は、乾燥室内に複数段の乾燥床面が設けられ、これら乾燥床面上には、この乾燥床面の一端側から他端側へと被乾燥物を撹拌しながら搬送する複数のレーキが設けられている。
【0003】
これらレーキには、中心部に軸貫通孔が設けてあり、この軸貫通孔には、乾燥室の上下に亘って設けられた回転可能な駆動軸が挿通されて、これら駆動軸により各レーキが回転される。
【0004】
また、乾燥室内には、各乾燥床面に臨んで熱媒体流通路が形成されている。
この熱媒体通路内には、被乾燥物を乾燥させる熱ガス或いは熱蒸気などの熱媒体が通過する。
【0005】
すると、上段の乾燥床面に搬入された被乾燥物をレーキで撹拌しながら搬送し、熱媒体で乾燥しつつ下段の乾燥面へと順次搬出する(特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3140322号報
【特許文献2】特許第3782424号報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1及び2の多段乾燥装置の構成によると、乾燥室の上下に亘って設けた長尺な1本の駆動軸を、各乾燥床面上に配置する各レーキの中心軸貫通孔に挿通すると共に、駆動軸に対してレーキをキー止めしてあるので、組み立てに際し各段の乾燥床面上のレーキ配置位置にレーキを正確に仮置きする。
一方、最上段の乾燥室の上方にクレーンにて駆動軸を吊り下げる。
【0008】
その後に吊り下げてある駆動軸を降送させながら、最上段レーキの軸貫通孔に駆動軸を挿通させたのち、下段のレーキの軸貫通孔に駆動軸を挿通する作業を繰り返しながら、各レーキに駆動軸を串刺しするので、著しく手数がかかると共に、各乾燥室床面毎に作業員を待機させて、串刺しのための位置合わせが必要になり、位置合わせの際、約100kgのレーキを移動調整するのに重労働になるなどの問題があった。
【0009】
特に、何らかの原因により損傷したレーキのみを交換する場合、その都度クレーンを用いるので、交換作業費用が割高になる問題もあった。
そこで、この発明は、上述の問題を解決した多段乾燥装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、この発明は、乾燥室と、この乾燥室内の上下に複数段に設けられ、被乾燥物が高所から低所にジグザグに移送されるよう一端に荷受けし、他端側から払い出すと共に、熱媒体の通路を形成する乾燥床面と、上記乾燥室内で上記各乾燥床面に貫通して上下方向に沿うよう設けた並列複数本の駆動軸と、中心の軸貫通孔に上記駆動軸を貫通させ、かつ回転伝達されるよう係合して上記乾燥床面上に配置した被乾燥物の撹拌及び搬送用のレーキと、上記乾燥室内に熱媒体を供給するように設けた熱媒体導入口と、上記乾燥室の高所で最上段の上記乾燥床面の荷受け端に被乾燥物を供給するように設けた投入口と、上記乾燥室の低所で最下段の上記乾燥床面の払い出し端からの被乾燥物を搬出するように設けた排出口とからなる多段乾燥装置において、上記のレーキを、上記駆動軸を抱き込むボス部を複数に分割した分割レーキにより形成し、この分割ボス部を締付具を介し結合するようにした構成を採用する。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、この発明の多段乾燥装置によれば、レーキのボス部を複数段に分割し、この分割ボス部を締付具により結合することができるようにしてあるので、レーキの交換に際し一々クレーンを用いて乾燥室の上方に駆動軸を引き抜き、交換後にボス部の貫通孔に駆動軸を合致させながら、レーキに対し駆動軸を串刺しにする著しく手間のかかる作業や交換にともなう重機の使用による諸費用の大幅なアップをなくすることができ、またレーキの分割にともなう搬入、搬出の多大な労力を要せず、かつ少人数での安全な作業が可能になる以外に、取り付けや交換作業時間の大幅な短縮をはかって、装置の長時間の運転停止などをなくすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施形態を示す縦断正面図である。
【図2】同上の横断平面図である。
【図3】レーキを示す横断拡大平面図である。
【図4】同上の一部切欠拡大平面図である。
【図5】同縦断正面図である。
【図6】同分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示す1は乾燥室である。
【0014】
上記の乾燥室1内には、複数段に配置して被乾燥物が高所から低所にジグザグ状に移送されるよう一端側に荷受けし、他端側から払い出すと共に、熱媒体の通路Aを形成する乾燥床面2が設けてある。
【0015】
被乾燥物が、高所(上段)から低所(下段)にジグザグに移送させるために、乾燥室1の一側内面がら乾燥室1の他側内面の手前近く迄に上段の乾燥床面2が伸び、次の下段の乾燥床面2を、乾燥室1の他側内面から乾燥室1の一側内面の手前近く迄伸びて構成され、上段の乾燥床面2の他端から払い出された被乾燥物は、下段の乾燥床面2の一端に落下して荷受けされるようになっている。
【0016】
また、乾燥室1の天井と床との間には、各乾燥床面2に貫通して上下方向に沿う並列多数本の駆動軸3が設けてある。
【0017】
上下の駆動軸3の駆動は、図1に示すように各駆動軸3の上端に設けてある歯車4をそれぞれ噛み合わせて回転を伝達すると共に、1本の駆動軸3をモーター5によりドライブするようにしてある。
【0018】
さらに、各乾燥床面2上には、被乾燥物の撹拌兼搬送用のレーキ6が配置され、このレーキ6は、中央ボーズ部7の中心に設けてある軸貫通孔8に駆動軸3を貫通させて、駆動軸3の回転をレーキ6に伝達されるようになっている。
【0019】
上記の伝達は、図示の場合、軸貫通孔8に設けたキー溝9に、駆動軸3の外周軸線上に溶接したキー10を嵌め込んで係合関係にしたが、限定されず、例えばスプライン孔とスプライン軸との噛み合わせ方式などであってもよい。
【0020】
なお、レーキ6の撹拌兼搬送用の羽根部11は、図示の場合ボス部7の外周180度の二等分位置から突出させてある。
【0021】
そして、上記のレーキ6は、駆動軸3を抱き込むボス部7を複数に分割して分割レーキ6により形成され、この分割ボス部7を締付具12を介し結合するようになっている。
【0022】
上記の締付具12は、ボルトとナットからなり、締付具12のボルトを分割ボス部7の突き合わせ面から突出する両突出片13に設けてある透孔14を挿通し、ボルトにナットをねじ込むようになっている。
【0023】
このレーキ6を複数に分割して組み立てる方式を採用した要因は、クレーンを用いて駆動軸3を引き抜き、また戻すことなく、すなわち、乾燥室1内に駆動軸3を残置したままで、レーキ6を取り付ける(交換も)ことができるようにしたことにある。
【0024】
勿論、レーキ6の分割にともない重量が軽減されて(搬入、搬出の)取り扱いが容易になるなどの利点がある。
【0025】
なお、図示のように分割ボス部7の突き合わせ面片方に設けた突起15と、他方に設けた凹部16を嵌め合わすことにより、組み付け作業が容易に、かつ正確になる。
【0026】
また、図示のように羽根部11が二方向に突出するレーキ6を二分割にすると、片方が損傷した場合、片方の交換のみでよい。
【0027】
さらに、乾燥室1の高所で、最上段の乾燥床面2の一端荷受け側に投入口17から被乾燥物が供給され、乾燥室1の高所に設けてある導入口18から熱媒体が供給されると供給熱媒体が通路Aに向かうので、乾燥床面2上のレーキ6による撹拌・搬送被乾燥物が乾燥処理される。
【0028】
そして、乾燥室1の低所に設けてある排出口19から乾燥済み被乾燥物が排出される。
図中20は乾燥室1の低所から流出させる熱媒体の出口である。
【0029】
21はボス部7の下面に設けた凹入段部で、この段部21には、駆動軸3に嵌装したカラー22が嵌まり込んで、乾燥床面2に対しレーキ6の下面を若干浮かせる。
【符号の説明】
【0030】
1 乾燥室
2 乾燥床面
3 駆動軸
4 歯車
5 モーター
6 レーキ
7 ボス部
8 貫通孔
9 キー溝
10 キー
11 羽根部
12 締付具
13 突出片
14 透孔
15 突起
16 凹部
17 投入口
18 導入口
19 排出口
20 出口
A 通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥室と、この乾燥室内の上下に複数段に設けられ、被乾燥物が高所から低所にジグザグに移送されるよう一端に荷受けし、他端側から払い出すと共に、熱媒体の通路を形成する乾燥床面と、上記乾燥室内で上記各乾燥床面に貫通して上下方向に沿うよう設けた並列複数本の駆動軸と、中心の軸貫通孔に上記駆動軸を貫通させ、かつ回転伝達されるよう係合して上記乾燥床面上に配置した被乾燥物の撹拌及び搬送用のレーキと、上記乾燥室内に熱媒体を供給するように設けた熱媒体導入口と、上記乾燥室の高所で最上段の上記乾燥床面の荷受け端に被乾燥物を供給するように設けた投入口と、上記乾燥室の低所で最下段の上記乾燥床面の払い出し端からの被乾燥物を搬出するように設けた排出口とからなる多段乾燥装置において、上記のレーキを、上記駆動軸を抱き込むボス部を複数に分割した分割レーキにより形成し、この分割ボス部を締付具を介し結合するようにしたことを特徴とする多段乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−15261(P2013−15261A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148264(P2011−148264)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000228707)日本コンベヤ株式会社 (5)
【出願人】(595052688)アズ・キャリア株式会社 (2)
【Fターム(参考)】