説明

多段式パルス管冷凍機

【課題】2段式パルス管冷凍機を含めた多段式パルス管冷凍機の高段側の部分を小径化し、輻射による熱流入を抑えることができる多段式パルス管冷凍機を提供する。
【解決手段】第1パルス管10及び第1蓄冷管7と、第2パルス管及び第2蓄冷管8と、略円板形状の第1冷却ステージ24aと略円板形状の第2冷却ステージ25aとを備え、第2パルス管は、高温側から順に、第1蓄冷管7及び第2蓄冷管8に対応して第2パルス管高温部26と第2パルス管低温部27とに分割され、第2パルス管高温部26と第2パルス管低温部27とは、第1冷却ステージ24aの内部に設けられた第1パルス管連通部30を通して連通され、第2パルス管低温部27は、第2パルス管低温部27の中心軸と第1冷却ステージ24aの中心軸との軸間距離が第2パルス管高温部26の中心軸と第1冷却ステージ24aの中心軸との軸間距離より短い位置で設けられることを特徴とする多段式パルス管冷凍機1a。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多段式パルス管冷凍機に係り、特に高段側の部分を小径化した多段式パルス管冷凍機及び蓄冷型冷凍機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)装置等の超伝導磁石を備えたシステムにおいて、超伝導磁石を極低温に冷却するために、極低温冷凍機が用いられている。極低温冷凍機として、例えば、ギフォード・マクマホン(Gifford-McMahon:GM)冷凍機、パルス管冷凍機等の冷凍機が用いられている。これらの冷凍機は、冷媒ガスを断熱膨張させ、その際に発生する冷熱を蓄冷材に蓄冷することによって冷凍冷却を行う蓄冷型冷凍機である。
【0003】
蓄冷型冷凍機は、冷媒ガスが断熱膨張するときに発生した冷熱を蓄冷する蓄冷管を備えた蓄冷型膨張機と、蓄冷型膨張機から冷媒ガスを回収し、回収した冷媒ガスを圧縮し、圧縮した冷媒ガスを再び蓄冷型膨張機に供給する圧縮機とを備える。圧縮機は、回収した冷媒ガスを吸入する吸入側、回収し、圧縮した冷媒ガスを供給するために吐出する吐出側に配管を備える。蓄冷管は、圧縮機の吐出側又は供給側と交互に連通又は遮断される。そして、蓄冷型冷凍機として代表的なものはGM冷凍機及びパルス管冷凍機である。
【0004】
そのうち、パルス管冷凍機は、振動が少なく信頼性に勝るという点でGM冷凍機より優れている。更に、パルス管冷凍機は、GM冷凍機におけるディスプレーサのような可動部分を含まないため、冷凍機に含まれる磁性蓄冷材の移動距離が小さく、磁界が擾乱される量が少ない。そのため、MRIの超伝導磁石冷却システムにおいてパルス管冷凍機が用いられた場合、GM冷凍機に比べ、MRI信号を擾乱するノイズが少ないという大きな利点を有する。従って、パルス管冷凍機は、MRIや核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance:NMR)測定装置といった微小磁界測定装置への用途を中心として、開発が進められている。
【0005】
このようなパルス管冷凍機は、冷媒ガスを断熱膨張させるためのパルス管と、断熱膨張によって発生した冷熱を蓄冷する蓄冷管とを備える。ただし、蓄冷管とパルス管を1組(段)用いて構成される1段式冷凍機で極低温を発生させることは困難であり、通常は、複数の蓄冷管及びパルス管より構成される組(段)を用いて極低温を発生させる。具体的には、1段目の蓄冷管、パルス管、冷却ステージを設け、1段目の冷却ステージを例えば40K程度の低温に冷却し、更に低温側として2段目の蓄冷管、パルス管、冷却ステージを設け、2段目の冷却ステージを例えば4Kの極低温を発生させる。
【0006】
ここで、図11を参照し、従来の2段式パルス管冷凍機の例を説明する。図11は、従来の2段式パルス管冷凍機の構成を模式的に示す図である。図11に示されるように、パルス管冷凍機101は、バルブユニット102、バルブ駆動装置103、低圧配管104、圧縮機105、高圧配管106、1段目の蓄冷管である第1蓄冷管107、1段目のパルス管である第1パルス管110、2段目の蓄冷管である第2蓄冷管108、2段目のパルス管である第2パルス管109、1段目の冷却ステージである第1冷却ステージ124、2段目の冷却ステージである第2冷却ステージ125を有する。パルス管冷凍機が動作するとき、第1冷却ステージ124は例えば40Kに冷却され、第2冷却ステージ125は例えば4Kに冷却される。
【0007】
図11に示されるような2段式のパルス管冷凍機を用いてヘリウムを液体ヘリウム温度(4.2K)に冷却する例は、多数開示されている。例えば特許文献1には、1段目の蓄冷管である第1蓄冷管、1段目のパルス管である第1パルス管、2段目の蓄冷管である第2蓄冷管、2段目のパルス管である第2パルス管を備え、2段目の冷却ステージを例えば4Kの極低温に冷却することのできる2段式パルス管冷凍機の例が開示されている。
【特許文献1】特開2006−284061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、2段式又は多段式のパルス管冷凍機を用いてヘリウムを液体ヘリウム温度に冷却する場合、2段目を小径化することができないために、冷却時間がかかるという問題があった。
【0009】
ここで、図12(a)及び図12(b)を参照し、従来の2段式パルス管冷凍機の1段目及び2段目の平面視における構造を説明する。図12(a)及び図12(b)は、従来の2段式パルス管冷凍機の構成を説明するための図であり、夫々図11におけるA方向から第1冷却ステージ124を見た平面図及び図11におけるB方向から第2冷却ステージ125を見た平面図である。
【0010】
図12(a)に示されるように、平面視において第1冷却ステージ124の上面は円形形状を有し、第1パルス管110、第1蓄冷管107、第2パルス管109の3つの管が接続される。第1冷却ステージ124の半径はR101であり、第1冷却ステージ124の中心から第2パルス管109及び第1蓄冷管107の各々の中心までの距離はD102及びD103である。
【0011】
一方、図12(b)に示されるように、平面視において第2冷却ステージ125の上面は円形形状を有し、第2蓄冷管108、第2パルス管109の2つの管が接続される。第2冷却ステージ125は第1冷却ステージ124と同心になるように設けられ、第2蓄冷管108は第1蓄冷管107と同心になるように設けられる。そのため、第2冷却ステージ125の中心から第2パルス管109及び第2蓄冷管108の各々の中心までの距離は、D102及びD103である。従って、第2冷却ステージ125の半径をR104とすると、R104はR101に比べてほとんど小さくすることができなかった。即ち、従来の2段式パルス管冷凍機101においては、第1冷却ステージ124より低温側の部分、即ち第2蓄冷管108及び第2パルス管109で構成される部分の直径(略第2冷却ステージ125の直径R104に等しい)を小さくすることができなかった。
【0012】
MRIやNMRなどの装置に搭載される際の2段式パルス管冷凍機の2段目の部分は、極低温に冷却された場合、外部との温度差が大きく、外部からの伝導及び輻射による熱の流入を抑える必要がある。このうち輻射によって移動する熱量は、熱が輻射される部分の外周の面積に比例し、輻射する側の温度の4乗と輻射される側の温度の4乗の差に比例する。従って、輻射による熱侵入を阻止するためには、1段目(高温側)に比べ2段目(低温側)の部分を小径化する必要がある。しかしながら、従来の2段式パルス管冷凍機では、上述したように、第2冷却ステージ125の半径R104を第1冷却ステージ124の半径R101より小さくすることができないため、輻射による熱侵入を防止することができず、見かけ上の冷凍能力が低下してしまうという問題があった。
【0013】
尤も、第2冷却ステージ125には第2蓄冷管108と第2パルス管109の2本の配管が設けられるだけであり、第1蓄冷管107、第1パルス管110、及び第2パルス管109の3本の管が設けられる第1冷却ステージ124に比べると設けられる管の本数は減少するため、第2冷却ステージ125の中心を第1冷却ステージ124の中心から偏心させることによって、第2冷却ステージ125の直径を小さくすることはできる。しかし、パルス管冷凍機を収容する低温容器の形状を軸対称にすることのできないための製造コスト面での不利益、及びパルス管冷凍機を低温容器に取付け取外しする際の不安定性の問題を回避するため、通常は、第2冷却ステージ125は第1冷却ステージ124と同心に配置される。従って、第2冷却ステージの直径を小さくすることはできず、2段目部分の直径を細くすることができなかった。更に、これらの問題は、2段式パルス管冷凍機のみならず、3段式以上の多段式パルス管冷凍機においても当てはまる問題であった。
【0014】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、2段式パルス管冷凍機を含めた多段式パルス管冷凍機の高段側の部分を小径化し、MRIやNMRなどの装置に搭載される際の輻射による熱流入を抑え、見かけ上の冷凍能力を向上させることができる多段式パルス管冷凍機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0016】
第1の発明に係る多段式パルス管冷凍機は、1段目を構成する第1パルス管及び第1蓄冷管と、2段目を構成する第2パルス管及び第2蓄冷管と、前記第1パルス管及び前記第1蓄冷管の低温側に設けられる略円板形状の第1冷却ステージと、前記第2パルス管及び前記第2蓄冷管の低温側に設けられる略円板形状の第2冷却ステージとを備える多段式パルス管冷凍機において、前記第2パルス管は、高温側から順に、前記第1蓄冷管及び前記第2蓄冷管に対応して第2パルス管高温部と第2パルス管低温部とに分割され、前記第2パルス管高温部と前記第2パルス管低温部とは、前記第1冷却ステージの内部に設けられた第1パルス管連通部を通して連通され、前記第2パルス管低温部は、該第2パルス管低温部の中心軸と前記第1冷却ステージの中心軸との軸間距離が前記第2パルス管高温部の中心軸と前記第1冷却ステージの中心軸との軸間距離より短い位置で設けられることを特徴とする。
【0017】
第2の発明は、第1の発明に係る多段式パルス管冷凍機において、前記第1パルス管連通部の中ほどに、流路の内径が前記第2パルス管高温部及び前記第2パルス管低温部の内径より小さい連通路が設けられ、前記連通路の前記第2パルス管高温部側及び前記第2パルス管低温部側の各々において、前記第2パルス管高温部及び前記第2パルス管低温部に向かって前記連通路の内径が徐々に増大することを特徴とする。
【0018】
第3の発明は、第1又は第2の発明に係る多段式パルス管冷凍機において、前記第1パルス管連通部の前記第2パルス管高温部と接続される側及び前記第2パルス管低温部と接続される側の各々に、冷媒ガスの流れを整える整流器を設けることを特徴とする。
【0019】
第4の発明は、第1乃至第3の何れか一つの発明に係る多段式パルス管冷凍機において、前記第2蓄冷管は、該第2蓄冷管の中心軸と前記第1冷却ステージの中心軸との軸間距離が前記第1蓄冷管の中心軸と前記第1冷却ステージの中心軸との軸間距離より短い位置で設けられることを特徴とする。
【0020】
第5の発明は、第1乃至第4の何れか一つの発明に係る多段式パルス管冷凍機において、3段目を構成する第3パルス管及び第3蓄冷管と、前記第3パルス管及び前記第3蓄冷管の低温側に設けられる略円板形状の第3冷却ステージと
を備え、前記第3パルス管は、高温側から順に、前記第1蓄冷管、前記第2蓄冷管及び前記第3蓄冷管に対応して第3パルス管高温部と第3パルス管中温部と第3パルス管低温部とに分割され、前記第3パルス管高温部と前記第3パルス管中温部とは、前記第1冷却ステージの内部に設けられた第2パルス管連通部を通して連通され、前記第3パルス管中温部と前記第3パルス管低温部とは、前記第2冷却ステージの内部に設けられた第3パルス管連通部を通して連通され、前記第3パルス管中温部は、該第3パルス管中温部の中心軸と前記第1冷却ステージの中心軸との軸間距離が前記第3パルス管高温部の中心軸と前記第1冷却ステージの中心軸との軸間距離より短い位置で設けられ、前記第3パルス管低温部は、該第3パルス管低温部の中心軸と前記第2冷却ステージの中心軸との軸間距離が前記第3パルス管中温部の中心軸と前記第2冷却ステージの中心軸との軸間距離より短い位置で設けられることを特徴とする。
【0021】
第6の発明は、第1乃至第5の発明に係る多段式パルス管冷凍機において、前記第3蓄冷管は、該第3蓄冷管の中心軸と前記第2冷却ステージの中心軸との軸間距離が前記第2蓄冷管の中心軸と前記第2冷却ステージの中心軸との軸間距離より短い位置で設けられることを特徴とする。
【0022】
第7の発明に係る多段式パルス管冷凍機は、1段目を構成する第1パルス管及び第1蓄冷管と、2段目を構成する第2パルス管及び第2蓄冷管と、前記第1パルス管及び前記第1蓄冷管の低温側に設けられる略円板形状の第1冷却ステージと、前記第2パルス管及び前記第2蓄冷管の低温側に設けられる略円板形状の第2冷却ステージとを備える多段式パルス管冷凍機において、前記第2パルス管は、該第2パルス管の中心軸と前記第1冷却ステージの中心軸との軸間距離が前記第1蓄冷管の中心軸と前記第1冷却ステージの中心軸との距離及び前記第2蓄冷管の中心軸と前記第1冷却ステージの中心軸との軸間距離より短い位置で、前記第1冷却ステージを貫通し、前記第2蓄冷管は、該第2蓄冷管の中心軸と前記第1冷却ステージの中心軸との軸間距離が前記第1蓄冷管の中心軸と前記第1冷却ステージの中心軸との軸間距離より短い位置で設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、2段式パルス管冷凍機を含めた多段式パルス管冷凍機の高段側の部分を小径化し、MRIやNMRなどの装置に搭載される際の輻射による熱流入を抑え、見かけ上の冷凍能力を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面と共に説明する。
(実施の形態)
図1乃至図3(b)を参照し、本発明の実施の形態に係るパルス管冷凍機を説明する。
【0025】
始めに、図1及び図2を参照し、本実施の形態に係るパルス管冷凍機の構成を説明する。図1は、本実施の形態に係るパルス管冷凍機の構成を模式的に示す図である。また、図2は、本実施の形態に係るパルス管冷凍機を説明するための図であり、第1パルス管連通部の形成された第1冷却ステージを模式的に示す断面図である。
【0026】
図1に示されるように、本実施の形態に係るパルス管冷凍機1は、圧縮機5、バルブユニット2、第1蓄冷管7、第2蓄冷管8、第1パルス管10、第1冷却ステージ24、第2冷却ステージ25、第2パルス管高温部26、第2パルス管低温部27を有する。パルス管冷凍機1は、2段式パルス管冷凍機であり、第1蓄冷管7及び第1パルス管10が1段目を構成し、第2蓄冷管8、第2パルス管高温部26及び第2パルス管低温部27が2段目を構成する。
【0027】
圧縮機5は、吐出側に高圧配管6、吸入側に低圧配管4を有する。圧縮機10は、低圧配管4を通してバルブユニット2から冷媒ガスを回収し、回収した冷媒ガスを低圧配管4から吸入し、吸入した冷媒ガスを圧縮し、圧縮した冷媒ガスを高圧配管6に吐出し、高圧配管6を通してバルブユニット2へ冷媒ガスを供給する。
【0028】
バルブユニット2は、バルブ駆動装置3により駆動される切換弁(図示せず)が設けられている。この切換弁には、圧縮機5への低圧配管4、圧縮機5からの高圧配管6、及び配管15が接続されている。バルブユニット2は、バルブ駆動装置3の駆動により、圧縮機10の吐出側である高圧配管6、圧縮機10の吸入側である低圧配管4を交互に配管15に連通させる。
【0029】
第1蓄冷管7は、1段目に設けられた蓄冷管であり、冷媒ガスであるヘリウムガスが断熱膨張を繰り返して発生する冷熱を蓄冷する。第1蓄冷管7は、高温端側が配管15を介してバルブユニット2に接続され、低温端側が第1パルス管10の低温端側に接続されると共に、第2蓄冷管8の高温端側に接続される。第1蓄冷管7は、中心軸に垂直な断面が略円形の内周及び外周を有する管であり、軸方向に沿った伝熱を抑制するため、肉薄の例えばSUS304等のSUS材で構成され、軸方向に垂直な断面の形状は、例えば外径60mm、内径55mm、厚さは2.5mmとすることができる。また、その内部に例えばメッシュ状又は球状の蓄冷材(図示せず)が充填される。
【0030】
第2蓄冷管8は、2段目に設けられた蓄冷管であり、高温端側が第1蓄冷管7の低温端側に接続され、第1の蓄冷管7の低温端側より導入された冷媒ガスであるヘリウムガスが断熱膨張を繰り返して発生する冷熱を蓄冷する。第2蓄冷管8は、中心軸に垂直な断面が略円形の内周及び外周を有する管であり、軸方向に沿った伝熱を抑制するため、肉薄の例えばSUS304等のSUS材で構成され、その直径は第1蓄冷管7の直径に比べて小さいため、軸方向に垂直な断面の形状は、例えば外径30mm、内径25mm、厚さは2.5mmとすることができる。また、第2蓄冷管8は、その内部に例えば極低温で高い比熱を有し、メッシュ状又は球状の形状を有する磁性蓄冷材(図示せず)が充填される。
【0031】
第1パルス管10は、1段目に設けられるパルス管であり、第1蓄冷管7を通して供給される冷媒ガスであるヘリウムガスが断熱膨張を繰り返して冷熱を発生する。第1パルス管10は、中心軸に垂直な断面が略円形の内周及び外周を有する管であり、中心軸が第1蓄冷管7の中心軸と平行になるように設けられる。第1パルス管10は、低温端側及び高温端側に夫々冷媒ガスの流れを整える整流器9、11が設けられる。整流器9、11は、後述する整流器29、31と同様に、金網(メッシュ)の積層体又は金網(メッシュ)とパンチングプレートの積層体が用いられる。第1パルス管10は、低温端側が第1蓄冷管7の低温端側と接続される。また、第1パルス管10は、高温端側がオリフィス22を介して第1バッファ14に接続される。更に、第1パルス管10と第1バッファ14を接続する配管は、オリフィス13を介して配管15に接続される。第1パルス管10は、肉薄の例えばSUS304等のSUS材で構成され、軸方向に垂直な断面の形状は、例えば外径50mm、内径45mm、厚さは2.5mmとすることができる。
【0032】
第1冷却ステージ24は、1段目に設けられる略円板形状の冷却ステージであり、第1蓄冷管7の低温端側及び第1パルス管10の低温端側に設けられる。第1冷却ステージ24は、第1蓄冷管7及び第1パルス管10に熱的に接続されており、パルス管冷凍機1の駆動時には、約40Kに冷却される。第1冷却ステージ24は、熱伝導率及び比熱が比較的高い材料である銅により形成される。尚、第1蓄冷管7と第1パルス管10とを接続する連通路16、及び第1パルス管連通部30は、第1冷却ステージ24内に形成される。
【0033】
第2パルス管は、従来と異なり、高温側から順に、第1蓄冷管7及び第2蓄冷管8に対応して、第2パルス管高温部26と第2パルス管低温部27の2つの部分に分かれる。また、第2パルス管高温部26と第2パルス管低温部27とは、第1冷却ステージ24の内部に設けられた第1パルス管連通部30を通して連通される。第2パルス管高温部26、第2パルス管低温部27は、2段目に設けられたパルス管であり、第2蓄冷管8を通して供給される冷媒ガスであるヘリウムガスが断熱膨張を繰り返して冷熱を発生する。第2パルス管高温部26及び第2パルス管低温部27は、夫々中心軸に垂直な断面が略円形の内周及び外周よりなる管であり、各々の中心軸が第1蓄冷管7、第2蓄冷管8及び第1パルス管の夫々の中心軸と平行になるように設けられる。第2パルス管高温部26及び第2パルス管低温部27は、肉薄の例えばSUS304等のSUS材で構成され、軸方向に垂直な断面の形状は、例えば外径30mm、内径25mm、厚さは2.5mmとすることができる。
【0034】
第2冷却ステージ25は、2段目に設けられる略円板形状の冷却ステージであり、第2蓄冷管8の低温端側及び第2パルス管低温部27の低温端側に設けられる。後述されるように、第2冷却ステージ25は、第1冷却ステージ24と同心になるように設けられる。第2冷却ステージ25は、熱伝導率及び比熱が比較的高い材料である銅により形成される。また、第2冷却ステージ25は、パルス管冷凍機1の駆動時には、約4Kに冷却される。尚、第2蓄冷管8と第2パルス管低温部27とを接続する連通路17は、第2冷却ステージ25内に形成される。
【0035】
第1パルス管連通部30は、図2(a)に示されるように、第1冷却ステージ24の内部に設けられる。第1パルス管連通部30は、その中ほどに、流路の内径が第2パルス管高温部26及び第2パルス管低温部27の内径より小さい連通路30aを有する。連通路30aは、連通路30aの高温側(第2パルス管高温部26側)及び低温側(第2パルス管低温部27側)の各々において、第2パルス管高温部26及び第2パルス管低温部27に向かって、連通路の内径が徐々に増大する接続部30b、30cを有する。連通路30aの内径は、特に限定されるものではないが、例えば第2パルス管高温部26及び第2パルス管低温部27の内径を25mmとするとき、連通路30aの内径を3mmとすることができる。
【0036】
第1パルス管連通部30の第2パルス管高温部26の低温端と接続される側、第1パルス管連通部30の第2パルス管低温部27の高温端側と接続される側、の夫々には、冷媒ガスの流れを整える整流器29、31が設けられる。整流器29、31は、図2(a)に示されるように、金網(メッシュ)29a、31aの積層体を用いることができる。金網(メッシュ)は、冷媒ガスが金網(メッシュ)の細孔を通過することにより、第2パルス管高温部26及び第2パルス管低温部27において、中心軸に垂直な断面において冷媒ガスの圧力及び流速を一定に揃えることによって、冷却効率を高めるためのものである。整流器29、31として金網(メッシュ)の積層体を用いる場合、特に限定されるものではないが、例えば目の開きが0.154mm、線径が0.10mm、の100メッシュのSUSの細目金網と、目の開きが1.09mm、線径が0.5mm、16メッシュのSUSの粗目金網とを重ね合わせたものを4組積層したものが用いられる。
【0037】
また、整流器29、31は、図2(b)に示されるように、金網(メッシュ)29a、31aとパンチングプレート29b、31bとの積層体を用いることができる。整流器29、31として金網(メッシュ)とパンチングプレートとの積層体を用いる場合、特に限定されるものではないが、例えば目の開きが0.154mm、線径が0.10mm、の100メッシュのSUSの細目金網と、穴径が0.5mmφ、開口率が23%のパンチングプレートとを重ね合わせたものを4組積層したものを用いることができる。
【0038】
第2パルス管低温部27の低温端側は、冷媒ガスの流れを整える整流器32が設けられ、第2蓄冷管8の低温端側と接続される。また、第2パルス管高温部26の高温端側は、冷媒ガスの流れを整える整流器28が設けられ、オリフィス23を介して第2バッファ21に接続される。更に、第2パルス管高温部26と第2バッファ21を接続する配管は、オリフィス12を介して配管15に接続される。整流器28、32は、図2(a)及び図2(b)に示される整流器29、31と同様に、金網(メッシュ)の積層体又は金網(メッシュ)とパンチングプレートの積層体が用いられる。
【0039】
更に、本実施の形態において、第2蓄冷管8は、第1蓄冷管7と同心でなく設けられる。具体的には、第2蓄冷管8は、第2蓄冷管8の中心軸が、第1蓄冷管7の中心軸より第1冷却ステージ24aの中心軸に近くなるように設けられる。
【0040】
次に、図3を参照し、本実施の形態に係るパルス管冷凍機1の1段目及び2段目の蓄冷管及びパルス管の平面視における配置について説明する。図3は、本実施の形態に係るパルス管冷凍機を説明するための図であり、図3(a)は第1冷却ステージ24の上面を図1におけるA方向から見た平面図であり、図3(b)は第2冷却ステージ25の上面を図1におけるB方向から見た平面図である。
【0041】
図3(a)に示されるように、平面視において、第1冷却ステージ24の上面は円形形状を有し、第1パルス管10、第1蓄冷管7、第2パルス管高温部26の3つの管が接続される。第1冷却ステージ24の半径はR1であり、第2パルス管高温部26の半径はR2であり、第1蓄冷管7の半径はR3であり、第1冷却ステージ24の中心軸と第2パルス管高温部26の中心軸との軸間距離はD2であり、第1冷却ステージ24の中心軸と第1蓄冷管7の中心軸との軸間距離はD3である。
【0042】
図3(b)に示されるように、平面視において、第2冷却ステージ25の上面は円形形状を有し、第2蓄冷管8、第2パルス管低温部27の2つの管が接続される。第2冷却ステージ25は、第1冷却ステージ24と同心になるように設けられる。これは、第1の冷却ステージ24、第2の冷却ステージ25が銅よりなり重量があるので、操作性、安定性を考慮し、冷凍機の重心を中心軸に略一致させるためであると共に、パルス管冷凍機1を収容する低温容器を中心軸対称に近い構成にするためである。
【0043】
第2冷却ステージ25の半径はR4であり、第2パルス管低温部27の半径はR5であり、第2蓄冷管8の半径はR6であり、第2冷却ステージ25の中心軸(第1冷却ステージ24の中心軸)と第2パルス管低温部27の中心軸との軸間距離はD5であり、第2冷却ステージ25の中心軸と第2蓄冷管8の中心軸との軸間距離はD6である。
【0044】
ここで、第2パルス管低温部27の中心軸を、第2パルス管高温部26の中心軸に比べ第2冷却ステージ25の中心軸(第1冷却ステージ24の中心軸)に近づける場合、D5<D2である。また、第2蓄冷管8の中心軸を、第1蓄冷管7の中心軸に比べ第2冷却ステージ25の中心軸(第1冷却ステージ24の中心軸)に近づける場合、D6<D3である。
【0045】
次に、本実施の形態に係るパルス管冷凍機1の冷凍冷却の作用、2段目が小径化される作用、小径化されることによる輻射の低減の作用を説明する。
【0046】
まず、パルス管冷凍機の冷凍冷却を行う作用を説明する。
【0047】
最初に、1段目のパルス管である第1パルス管10において冷熱が発生し、発生した冷熱が1段目の蓄冷管である第1蓄冷管7に蓄冷される作用を説明する。
【0048】
バルブユニット2に収容される図示しない切換弁を切換えることにより、配管15を介し、第1蓄冷管7の高温端側は、高圧配管6又は低圧配管4と切換え連通される。その結果、第1蓄冷管7の低温端側と連通された第1パルス管10に冷媒ガスが周期的に供給/回収されるため、第1パルス管10内で冷媒ガスが圧縮と膨張とを繰返し、その際に断熱膨張で発生する冷熱を第1蓄冷管7に蓄冷することにより、第1蓄冷管7の低温端側は冷却される。
【0049】
具体的には、まず、第1蓄冷管7を高圧配管6に切換え連通すると共に、オリフィス13を通して第1パルス管10の高温端側に冷媒ガスを流入させ、第1パルス管10の低温端側からの冷媒ガスの流入を抑制する。その後、第1パルス管10内の圧力が第1バッファ14内の圧力よりも高くなると、第1パルス管10内の冷媒ガスがオリフィス22を通って第1バッファ14内に流入し、第1パルス管10内の冷媒ガスが第1パルス管10の高温端側に移動する。
【0050】
次に、第1蓄冷管7を低圧配管4に切換え連通すると共に、オリフィス13を通して第1パルス管10の高温端側から冷媒ガスを流出させ、第1パルス管10の低温端側からの冷媒ガスの流出を抑制する。その後、第1パルス管10内の圧力が第1バッファ14内の圧力よりも低くなると、第1バッファ14内の冷媒ガスがオリフィス22を通って第1パルス管10内に流出し、第1パルス管10内の冷媒ガスが第1パルス管10の低温端側に移動する。
【0051】
この結果、第1パルス管10内の圧力変化と流速変化のタイミングがずれて位相差が大きくなるため、冷媒ガスの圧縮/膨張が繰返されるときに冷凍機が冷熱を発生する仕事量が大きくなり、冷凍能力が向上する。本実施の形態に係るパルス管冷凍機1において、例えば、冷媒ガスとして、例えば0.5〜2.5MPaの圧力を有するヘリウム(He)ガスが用いられ、例えば2Hz程度の繰返し速度で冷媒ガスの圧縮・膨張を繰返すことによって、第1パルス管10の低温端側で例えば50K程度の低温を得ることができる。
【0052】
次に、2段目のパルス管である第2パルス管高温部26及び第2パルス管低温部27において冷熱が発生し、発生した冷熱が2段目の蓄冷管である第2蓄冷管8に蓄冷される作用を説明する。
【0053】
バルブユニット2に収容される図示しない切換弁を切換えることにより、配管15及び第1蓄冷管7を介し、第2蓄冷管8の高温端側は、高圧配管6又は低圧配管4と切換え連通される。その結果、第2蓄冷管8の低温端側と連通された第2パルス管低温部27及び第2パルス管高温部26に冷媒ガスが周期的に供給/回収されるため、第2パルス管低温部27内及び第2パルス管高温部26内で冷媒ガスが圧縮と膨張とを繰返し、その際に断熱膨張で発生する冷熱を第2蓄冷管8に蓄冷することにより、第2蓄冷管8の低温端側は冷却される。
【0054】
具体的には、まず、第2蓄冷管8を高圧配管6に切換え連通すると共に、オリフィス12を通して第2パルス管高温部26の高温端側に冷媒ガスを流入させ、第2パルス管低温部27の低温端側からの冷媒ガスの流入を抑制する。その後、第2パルス管低温部27内及び第2パルス管高温部26内の圧力が第2バッファ21内の圧力よりも高くなると、第2パルス管低温部27内及び第2パルス管高温部26内の冷媒ガスがオリフィス23を通って第2バッファ21内に流入し、第2パルス管低温部27内及び第2パルス管高温部26内の冷媒ガスが第2パルス管高温部26の高温端側に移動する。
【0055】
次に、第2蓄冷管8を低圧配管4に切換え連通すると共に、オリフィス12を通して第2パルス管高温部26の高温端側から冷媒ガスを流出させ、第2パルス管低温部27の低温端側からの冷媒ガスの流出を抑制する。その後、第2パルス管低温部27内及び第2パルス管高温部26内の圧力が第2バッファ21内の圧力よりも低くなると、第2バッファ21内の冷媒ガスがオリフィス23を通って第2パルス管低温部27内及び第2パルス管高温部26内に流出し、第2パルス管低温部27内及び第2パルス管高温部26内の冷媒ガスが第2パルス管低温部27の低温端側に移動する。
【0056】
この結果、第2パルス管低温部27内及び第2パルス管高温部26内の圧力変化と流速変化のタイミングがずれて位相差が大きくなるため、冷媒ガスの圧縮/膨張が繰返されるときに冷凍機が冷熱を発生する仕事量が大きくなり、冷凍能力が向上する。本実施の形態に係るパルス管冷凍機1において、例えば、冷媒ガスとして、例えば0.5〜2.5MPaの圧力を有するヘリウム(He)ガスが用いられ、例えば2Hz程度の繰返し速度で冷媒ガスの圧縮・膨張を繰返すことによって、第2パルス管低温部27の低温端側で例えば4K程度の低温を得ることができる。
【0057】
なお、本実施の形態においては、第2パルス管が、第2パルス管高温部26と第2パルス管低温部27とに分割され、第1パルス管連通部30を通して連通されるため、クランク状に屈曲し、第2パルス管低温部27の中心軸が、第2パルス管高温部26の中心軸よりも第1冷却ステージ24の中心軸に近づくような構造を有する。また、第1パルス管連通部30の流路の断面積は、第2パルス管高温部26及び第2パルス管低温部27の中心軸に垂直な断面の断面積より小さい。更に、第1パルス管連通部30の第2パルス管高温部26側及び第2パルス管低温部27側の各々には、冷媒ガスの流れを整える整流器29、31が設けられる。このような連通構造を用いることにより、第2パルス管高温部26と第2パルス管低温部27とは、一体のパルス管として機能し、約4K程度の低温を得ることができる。
【0058】
次に、2段目が小径化される作用について説明する。
【0059】
第1冷却ステージ24及び第2冷却ステージ25が同心になるように設けられ、従来のように2段目の第2パルス管が高温端側から低温端側まで一体である場合、図12に示されるように、2段目の冷却ステージである第2冷却ステージ25の径は、第1冷却ステージ24の径に比べてそれほど小さくすることはできない。
【0060】
一方、本実施の形態に係るパルス管冷凍機1においては、第2パルス管を第2パルス管高温部26と第2パルス管低温部27とに分割し、第2パルス管低温部27の中心軸を、第2パルス管高温部26に比べて第2冷却ステージ25の中心軸(第1冷却ステージ24の中心軸)に近づけることにより、図3(a)及び図3(b)に示されるように、D5<D2とすることができる。また、第2パルス管低温部27の半径は第2パルス管高温部26の半径と同一であり、R5=R2である。従って、D5+R5<D2+R2となる。即ち、第2冷却ステージ25の中心軸(第1冷却ステージの中心軸)を中心とし、第2パルス管低温部27を内接するような円の半径(D5+R5)は、第1冷却ステージ24の中心軸を中心とし、第2パルス管高温部26を内接するような円の半径(D2+R2)より小さくすることができる。
【0061】
更に、本実施の形態に係るパルス管冷凍機1においては、第2蓄冷管8の中心軸を、第1蓄冷管7の中心軸に比べて第2冷却ステージ25の中心軸(第1冷却ステージ24の中心軸)に近づけることにより、図3(a)及び図3(b)に示されるように、D6<D3とすることができる。また、第2蓄冷管8の半径は第1蓄冷管7の半径より小さいため、R6<R3である。従って、D6+R6<D3+R3となる。即ち、第2冷却ステージ25の中心軸(第1冷却ステージ24の中心軸)を中心とし、第2蓄冷管8を内接するような円の半径(D6+R6)は、第1冷却ステージ24の中心軸を中心とし、第1蓄冷管7を内接するような円の半径(D3+R3)より小さくすることができる。
【0062】
以上の関係と、第1冷却ステージ24に接続される第1パルス管10が第2冷却ステージ25には接続されないことから、第2冷却ステージ25の半径を第1冷却ステージ24の半径より小さくすることができる。即ち、図3(a)及び図3(b)に示されるように、R4<R1とすることができる。
【0063】
また、前述したように、第2パルス管高温部26と第2パルス管低温部27とを第1パルス管連通部30で連通した場合も、2段目の第2パルス管としての機能は確保されるので、冷凍機の冷凍能力を低下させることなく小型化することができる。
【0064】
具体的には、第1蓄冷管7の外径を60mm、第2蓄冷管8の外径を30mm、第1パルス管10の外径を50mm、第2パルス管高温部26及び第2パルス管低温部27の外径を30mm、としたとき、第1冷却ステージ24の外径を130mmφとし、第2冷却ステージ25の外径を60mmφにすることができる。第2パルス管を分割しない場合には、第2冷却ステージ25の外径は100mmφより小さくすることができないが、第2パルス管を分割することによって、第2冷却ステージ25の外径を100mmφから60mmφに小径化できる。
【0065】
最後に、小径化されることによる輻射の低減の作用を説明する。
【0066】
絶対温度Tの表面積Aの放射率εの物体が、まわりの温度Tの外部に輻射によって放出する熱量Pは、P∝ε(T−T)と表される。即ち、物体の表面積が小さいほど、輻射熱が小さくなる。
【0067】
図1に示されるように、2段目の長さをLとし、2段目部分を収容する低温容器の内径をRとすると、側周面において外部から低温容器へ輻射により流入する熱量PはP∝2πRLとなるため、第2冷却ステージ25を小径化するほど、低温容器外部からの輻射熱による熱量の流入は少なくなる。
【0068】
以上、本実施の形態に係るパルス管冷凍機によれば、2段式パルス管冷凍機の2段目のパルス管を第2パルス管高温部と第2パルス管低温部とに分割し、第2パルス管低温部を第2パルス管高温部よりも冷却ステージの中心に近づけ、第1蓄冷管より径の細い第2蓄冷管の中心軸を第1蓄冷管の中心軸よりも冷却ステージの中心に近づけることにより、2段式パルス管冷凍機の2段目の部分を小径化し、MRIやNMRなどの装置に搭載する際の輻射による熱流入を抑え、見かけ上の冷凍能力を向上させることができる。
【0069】
なお、正面視において、第1パルス管及び第2パルス管は、実際は、第1蓄冷管及び第2蓄冷管の後方にあるが、図1に示される正面図では、第1パルス管、第2パルス管、第1蓄冷管、第2蓄冷管の中心軸の配置関係を分かりやすく示すために、第1パルス管、第2パルス管を各々左右の外側にやや移動して示している。従って、実際の配置は、図3に示す平面図に示されるような配置に近い(以下の変形例、実施の形態についても同様)。
(実施の形態の第1の変形例)
次に、図4乃至図5(b)を参照し、本発明の実施の形態の第1の変形例に係るパルス管冷凍機を説明する。
【0070】
始めに、図4を参照し、本変形例に係るパルス管冷凍機の構成を説明する。図4は、本変形例に係るパルス管冷凍機の構成を模式的に示す図である。ただし、以下の文中では、先に説明した部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある(以下の変形例、実施の形態についても同様)。
【0071】
本変形例に係るパルス管冷凍機は、第2蓄冷管が、第1蓄冷管と同心に設けられる点で、実施の形態に係るパルス管冷凍機と相違する。
【0072】
図4を参照するに、実施の形態において、第2蓄冷管の中心軸が、第1蓄冷管の中心軸よりも第1冷却ステージの中心軸に近い位置で設けられるのと相違し、本変形例に係るパルス管冷凍機1aにおける第2蓄冷管8は、第1蓄冷管7と同心に設けられる。
【0073】
図4に示されるように、本変形例に係るパルス管冷凍機1aは、第2蓄冷管8、第1冷却ステージ24a、第2冷却ステージ25a以外の構成は、実施の形態と同一である。
【0074】
第2蓄冷管8が中心軸に垂直な断面が略円形の内周及び外周を有する管であること、また、第2蓄冷管8の内部にメッシュ状又は球状の形状を有する磁性蓄冷材が充填されることは、実施の形態と同一である。
【0075】
しかし、第2蓄冷管8は、図4に示されるように、第2蓄冷管8の中心軸と第1蓄冷管7の中心軸とが一致するように設けられる。そのため、第1冷却ステージ24a及び第2冷却ステージ25aは、実施の形態と異なる。
【0076】
次に、図5を参照し、本変形例に係るパルス管冷凍機1aの1段目及び2段目の蓄冷管及びパルス管の平面視における配置について説明する。図5は、本変形例に係るパルス管冷凍機を説明するための図であり、図5(a)は第1冷却ステージ24aを図4におけるA方向から見た平面図であり、図5(b)は第2冷却ステージ25aの上面を図4におけるB方向から見た平面図である。
【0077】
図5(a)に示されるように、平面視において、第1冷却ステージ24aの上面は円形形状を有し、第1パルス管10、第1蓄冷管7、第2パルス管高温部26の3つの管が接続される。図3(a)に示されるのと同様に、第1冷却ステージ24aの半径はR1であり、第2パルス管高温部26の半径はR2であり、第1蓄冷管7の半径はR3であり、第1冷却ステージ24aの中心軸と第2パルス管高温部26の中心軸との軸間距離はD2であり、第1冷却ステージ24aの中心軸と第1蓄冷管7の中心軸との軸間距離はD3である。
【0078】
図5(b)に示されるように、平面視において、第2冷却ステージ25aの上面は円形形状を有し、第2蓄冷管8、第2パルス管低温部27の2つの管が接続される。第2冷却ステージ25aは、第1冷却ステージ24aと同心になるように設けられる。これは、実施の形態と同様の理由により、パルス管冷凍機1aを中心軸対称に近い構成にするためである。
【0079】
第2冷却ステージ25aの半径はR7であり、第2パルス管低温部27の半径はR8であり、第2蓄冷管8の半径はR9であり、第2冷却ステージ25aの中心軸と第2パルス管低温部27の中心軸との軸間距離はD8であり、第2冷却ステージ25aの中心軸(第1冷却ステージ24aの中心軸)と第2蓄冷管8の中心軸との軸間距離はD9である。
【0080】
ここで、第2パルス管低温部27の中心軸は、第2パルス管高温部26の中心軸よりも第2冷却ステージ25aの中心軸(第1冷却ステージ24aの中心軸)に近いため、D8<D2である。また、第2パルス管低温部27の半径は、第2パルス管高温部26の半径と等しいため、R8=R2である。また、第2蓄冷管8は第1蓄冷管7と同心であるため、D9=D3である。更に、第2蓄冷管8の半径は第1蓄冷管7の半径より小さいため、R9<R3である。
【0081】
本変形例に係るパルス管冷凍機1の冷凍冷却の作用は、実施の形態と同様である。
【0082】
次に、2段目が小径化される作用について説明する。
【0083】
本変形例に係るパルス管冷凍機1aにおいては、前述したように、D8<D2及びR8=R2であるため、D8+R8<D2+R2となる。即ち、第2冷却ステージ25aの中心軸(第1冷却ステージ24aの中心軸)を中心とし、第2パルス管低温部27を内接するような円の半径(D8+R8)は、第1冷却ステージ24aの中心軸を中心とし、第2パルス管高温部26を内接するような円の半径(D2+R2)より小さくすることができる。
【0084】
一方、本変形例に係るパルス管冷凍機1aにおいては、D9=D3及びR9<R3であるため、D9+R9<D3+R3となる。即ち、第2冷却ステージ25aの中心軸(第1冷却ステージ24aの中心軸)を中心とし、第2蓄冷管8を内接するような円の半径(D9+R9)は、第1冷却ステージ24aの中心軸を中心とし、第1蓄冷管7を内接するような円の半径(D3+R3)より小さくすることができる。
【0085】
以上の関係と、第1冷却ステージ24aに接続される第1パルス管10が第2冷却ステージ25aには接続されないことから、第2冷却ステージ25aの半径を第1冷却ステージ24aの半径より小さくすることができる。即ち、図3(a)及び図3(b)に示されるように、R7<R1とすることができる。
【0086】
具体的には、第1蓄冷管7の外径を60mm、第2蓄冷管8の外径を30mm、第1パルス管10の外径を50mm、第2パルス管高温部26及び第2パルス管低温部27の外径を30mm、としたとき、第1冷却ステージ24aの外径を130mmφとし、第2冷却ステージ25aの外径を90mmφにすることができる。第2パルス管を分割しない場合には、第2冷却ステージ25aの外径は100mmφより小さくすることができないが、第2パルス管を分割することによって、第2冷却ステージ25aの外径を100mmφから90mmφに小径化できる。
【0087】
また、第2冷却ステージ25aを小径化することによる輻射熱の抑制の効果は、実施の形態と同様である。
【0088】
従って、本変形例に係るパルス管冷凍機によれば、2段式パルス管冷凍機の2段目のパルス管を第2パルス管高温部と第2パルス管低温部とに分割し、第2パルス管低温部を第2パルス管高温部よりも冷却ステージの中心に近づけるだけで、第2蓄冷管8の中心軸を第1蓄冷管7の中心軸よりも中心に近づけることをしなくても、2段式パルス管冷凍機の2段目の部分を小径化し、MRIやNMRなどの装置に搭載する際の輻射による熱流入を抑え、見かけ上の冷凍能力を向上させることができる。
(実施の形態の第2の変形例)
次に、図6乃至図7(c)を参照し、本発明の実施の形態の第2の変形例に係るパルス管冷凍機を説明する。
【0089】
始めに、図6を参照し、本変形例に係るパルス管冷凍機の構成を説明する。図6は、本変形例に係るパルス管冷凍機の構成を模式的に示す図である。
【0090】
本変形例に係るパルス管冷凍機は、3段式パルス管冷凍機である点で、実施の形態に係るパルス管冷凍機と相違する。
【0091】
図6を参照するに、実施の形態において、1段目の蓄冷管及びパルス管と、2段目の蓄冷管及びパルス管を有する2段式のパルス管冷凍機であるのと相違し、本変形例に係るパルス管冷凍機1bは、1段目及び2段目に加え、3段目の蓄冷管39及びパルス管42、43、44を有する3段式のパルス管冷凍機である。
【0092】
図6に示されるように、本変形例に係るパルス管冷凍機1bは、圧縮機5、バルブユニット2、第1蓄冷管7、第2蓄冷管8、第1パルス管10、第1冷却ステージ24b、第2冷却ステージ25b、第2パルス管高温部26、第2パルス管低温部27を有し、1段目及び2段目の構成は、実施の形態と同様である。
【0093】
一方、本変形例に係るパルス管冷凍機1bは、3段式のパルス管冷凍機であり、第3蓄冷管39、第3パルス管高温部42、第3パルス管中温部43、第3パルス管低温部44及び第3冷却ステージ40が3段目を構成する。
【0094】
第3蓄冷管39は、3段目に設けられた蓄冷管であり、高温端側が第2蓄冷管8の低温端側に接続され、第2の蓄冷管8の低温端側より導入された冷媒ガスであるヘリウムガスが断熱膨張を繰り返して発生する冷熱を蓄冷する。第3蓄冷管39は、中心軸に垂直な断面が略円形の内周及び外周を有する管であり、その中心軸が第1蓄冷管7の中心軸及び第2蓄冷管8の中心軸と平行になるように設けられる。第3蓄冷管39は、軸方向に沿った伝熱を抑制するため、その直径は、第2蓄冷管8の直径に比べて更に小さく、肉薄の例えばSUS304等のSUS材で構成され、軸方向に垂直な断面の形状は、例えば外径20mm、内径15mm、厚さは2.5mmとすることができる。また、第3蓄冷管39は、その内部に例えば極低温で高い比熱を有し、メッシュ状又は球状の形状を有する磁性蓄冷材(図示せず)が充填される。
【0095】
第3パルス管は、高温側から順に、第1蓄冷管7、第2蓄冷管8及び第3蓄冷管39に対応して、第3パルス管高温部42、第3パルス管中温部43及び第3パルス管低温部44の3つの部分に分かれる。第3パルス管高温部42と第3パルス管中温部43とは、第1冷却ステージ24bの内部に設けられた第2パルス管連通部51を通して連通され、第3パルス管中温部43と第3パルス管低温部44とは、第2冷却ステージ25bの内部に設けられた第3パルス管連通部52を通して連通される。第3パルス管高温部42、第3パルス管中温部43及び第3パルス管低温部44は、3段目に設けられたパルス管であり、第3蓄冷管39を通して供給される冷媒ガスであるヘリウムガスが断熱膨張を繰り返して冷熱を発生する。第3パルス管高温部42、第3パルス管中温部43及び第3パルス管低温部44は、夫々中心軸に垂直な断面が略円形の内周及び外周よりなる管であり、各々の中心軸が第1蓄冷管7、第2蓄冷管8及び第3蓄冷管39の夫々の中心軸と平行になるように設けられる。
【0096】
第3パルス管高温部42の高温端側及び第3パルス管低温部44の低温端側の夫々には、整流器45、50が設けられる。また、第2パルス管連通部51の第3パルス管高温部42側及び第3パルス管中温部43側並びに第3パルス管連通部52の第3パルス管中温部43側及び第3パルス管低温部44側の各々には、整流器46、47、48、49が設けられる。整流器45、46、47、48、49、50の構造は、実施の形態における整流器28、29、31、32と同様である。
【0097】
第3パルス管低温部44は、低温端側が第3蓄冷管39の低温端側と接続される。また、第3パルス管高温部42は、高温端側がオリフィス34を介して第3バッファ33に接続される。更に、第3パルス管高温部42と第3バッファ33を接続する配管は、オリフィス35を介して配管15に接続される。
【0098】
第3パルス管高温部42、第3パルス管中温部43及び第3パルス管低温部44は、肉薄の例えばSUS304等のSUS材で構成され、軸方向に垂直な断面の形状は、例えば外径30mm、内径25mm、厚さは2.5mmとすることができる。
【0099】
第3冷却ステージ40は、3段目に設けられる略円板形状の冷却ステージであり、第3蓄冷管39の低温端側及び第3パルス管低温部44の低温端側に設けられる。第3冷却ステージ40も、第1冷却ステージ24b及び第2冷却ステージ25bと同心になるように設けられる。第3冷却ステージ40は、熱伝導率及び比熱が比較的高い材料である銅により形成される。尚、第3蓄冷管39と第3パルス管低温部44とを接続する連通路53は、この第3冷却ステージ40内に形成される。
【0100】
また、第2パルス管連通部51、第3パルス管連通部52は、実施の形態における第1パルス管連通部30と同様な構造とすることができる。
【0101】
本変形例に係るパルス管冷凍機1bは、3段式パルス管冷凍機であるため、パルス管冷凍機の駆動時には、例えば、第1冷却ステージは約80Kに冷却され、第2冷却ステージは約40Kに冷却され、第3冷却ステージは約4Kに冷却される。
【0102】
更に、本変形例において、第3蓄冷管39は、第1蓄冷管7又は第2蓄冷管8と同心でなく設けられる。具体的には、第3蓄冷管39は、第3蓄冷管39の中心軸が、第2蓄冷管8の中心軸よりも第2冷却ステージ25bの中心軸に近い位置で設けられる。
【0103】
次に、図7を参照し、本変形例に係るパルス管冷凍機1bの1段目、2段目及び3段目の蓄冷管及びパルス管の平面視における配置について説明する。図7は、本変形例に係るパルス管冷凍機を説明するための図であり、図7(a)は第1冷却ステージ24bの上面を図6におけるA方向から見た平面図であり、図7(b)は第2冷却ステージ25bの上面を図6におけるB方向から見た平面図であり、図7(c)は第3冷却ステージ40の上面を図6におけるC方向から見た平面図である。
【0104】
図7(a)に示されるように、平面視において、第1冷却ステージ24bの上面は円形形状を有し、第1パルス管10、第1蓄冷管7、第2パルス管高温部26及び第3パルス管高温部42の4つの管が接続される。第1冷却ステージ24a、第2パルス管高温部26及び第1蓄冷管7の各々の半径は、実施の形態と同様に、R1、R2及びR3であり、第3パルス管高温部42の半径はR10であり、第1冷却ステージ24bの中心軸と第2パルス管高温部26及び第1蓄冷管7の各々の中心軸との軸間距離は、実施の形態と同様に、D2及びD3であり、第1冷却ステージ24bの中心軸と第3パルス管高温部42の中心軸との軸間距離はD10である。
【0105】
図7(b)に示されるように、平面視において、第2冷却ステージ25bの上面は円形形状を有し、第2蓄冷管8、第2パルス管低温部27及び第3パルス管中温部43の3つの管が接続される。第2冷却ステージ25bは、実施の形態と同様に、第1冷却ステージ24bと同心になるように設けられる。第2冷却ステージ25b、第2パルス管低温部27及び第2蓄冷管8の各々の半径は、R4、R5及びR6であり、第3パルス管中温部43の半径はR11であり、第2冷却ステージ25bの中心軸と第2パルス管低温部27及び第2蓄冷管8の各々の中心軸との軸間距離は、実施の形態と同様に、D5及びD6であり、第2冷却ステージ25bの中心軸と第3パルス管中温部43の中心軸との距離はD11である。
【0106】
更に、図7(c)に示されるように、平面視において、第3冷却ステージ40の上面は円形形状を有し、第3パルス管低温部44及び第3蓄冷管39の2つの管が接続される。第3冷却ステージ40は、第2冷却ステージ25bと同様に、第1冷却ステージ24bと同心になるように設けられる。即ち、第1冷却ステージ24b、第2冷却ステージ25b及び第3冷却ステージ40は、全て同心になるように設けられる。
【0107】
第3冷却ステージ40の半径はR12であり、第3パルス管低温部44の半径はR13であり、第3蓄冷管39の半径はR14であり、第3冷却ステージ40の中心軸と第3パルス管低温部44及び第3蓄冷管39の各々の中心軸との軸間距離はD13及びD14である。
【0108】
ここで、実施の形態と同様に、D5<D2、D6<D3の関係がある。また、第3パルス管中温部43の中心軸は、第3パルス管高温部42の中心軸よりも第2冷却ステージ25bの中心軸(第1冷却ステージ24bの中心軸)に近いため、D11<D10である。また、第3パルス管低温部44の中心軸は、第3パルス管中温部43の中心軸よりも第3冷却ステージ40の中心軸(第2冷却ステージ25bの中心軸)に近いため、D13<D11である。更に、第3蓄冷管39の中心軸は、第2蓄冷管8の中心軸よりも第3冷却ステージ40の中心軸(第2冷却ステージ25bの中心軸)に近いため、D14<D6である。
【0109】
本変形例に係るパルス管冷凍機1bの1段目及び2段目の冷凍冷却の作用は、実施の形態と同様である。
【0110】
しかし、本変形例に係るパルス管冷凍機1bは、3段目の蓄冷管及びパルス管を有する。ここで、3段目の第3パルス管である第3パルス管高温部42、第3パルス管中温部43、第3パルス管低温部44において冷熱が発生し、発生した冷熱が第3蓄冷管に蓄冷される作用を説明する。
【0111】
バルブユニット2に収容される図示しない切換弁を切換ることにより、配管15、第1蓄冷管7及び第2蓄冷管8を介し、第3蓄冷管39の高温側は、高圧配管6又は低圧配管4と切換え連通される。その結果、第3蓄冷管39の低温端側と連通された第3パルス低温部44、第3パルス管中温部43及び第3パルス管高温部42に冷媒が周期的に供給/回収されるため、第3パルス低温部44内、第3パルス管中温部43内及び第3パルス管高温部42内で冷媒ガスが圧縮と膨張とを繰返し、その際に断熱膨張で発生する冷熱を第3蓄冷管39に蓄冷することにより、第3蓄冷管39の低温端側は冷却される。
【0112】
具体的には、まず、第3蓄冷管39を高圧配管6に切換え連通すると共に、オリフィス35を通して第3パルス管高温部42の高温端側に冷媒ガスを流入させ、第3パルス管低温部44の低温端側からの冷媒ガスの流入を抑制する。その後、第3パルス管低温部44内、第3パルス管中温部43内、第3パルス管高温部42内の冷媒ガスがオリフィス34を通って第3バッファ33内に流入し、第3パルス管低温部44内、第3パルス管中温部43内及び第3パルス管高温部42内の冷媒ガスが第3パルス管高温部42の高温端側に移動する。
【0113】
次に、第3蓄冷管39を低圧配管4に切換え連通すると共に、オリフィス35を通して第3パルス管高温部42の高温端側から冷媒ガスを流出させ、第3パルス管低温部44の低温端側からの冷媒ガスの流出を抑制する。その後、第3パルス管低温部44内、第3パルス管中温部43内及び第3パルス管高温部42内の圧力が第3バッファ33内の圧力よりも低くなると、第3バッファ33内の冷媒ガスがオリフィス34を通って第3パルス管低温部44内、第3パルス管中温部43内及び第3パルス管高温部42内に流出し、第3パルス管低温部44内、第3パルス管中温部43内及び第3パルス管高温部42内の冷媒ガスが第3パルス管低温部44の低温端側に移動する。
【0114】
この結果、第3パルス管低温部44内、第3パルス管中温部43内及び第3パルス管高温部42内の圧力変化と流速変化のタイミングがずれて位相差が大きくなるため、冷媒ガスの圧縮/膨張が繰返されるときに冷凍機が冷熱を発生する仕事量が大きくなり、冷凍能力が向上する。本変形例に係るパルス管冷凍機1bにおいて、例えば、冷媒ガスとして、例えば0.5〜2.5MPaの圧力を有するヘリウム(He)ガスが用いられ、例えば2Hz程度の繰返し速度で冷媒ガスの圧縮・膨張を繰返すことによって、第3パルス管低温部44の低温端側で例えば4K程度の低温を得ることができる。
【0115】
また、本変形例においては、3段目の第3冷却ステージ40を有するため、第1冷却ステージ24bは約40Kの低温に到達する必要はなく、例えば80K程度の温度に到達すればよい。また、第2冷却ステージ25bは約4Kの極低温に到達する必要はなく、例えば40K程度の温度に到達すればよい。その結果、第3冷却ステージ40は、約4Kの極低温に安定して保持される。
【0116】
なお、本変形例においては、第3パルス管は、第3パルス管高温部42、第3パルス管中温部43及び第3パルス管低温部44に分割され、第2パルス管連通部51及び第3パルス管連通部52を通して連通されるため、クランク状に屈曲し、高温部から低温部の順に中心軸が第1冷却ステージ24bの中心軸に近づくような構造を有する。また、第2パルス管連通部51及び第3パルス管連通部52の各々の流路の断面積は、第3パルス管高温部42、第3パルス管中温部43及び第3パルス管低温部44の中心軸に垂直な断面の断面積より小さい。更に、第2パルス管連通部51の第3パルス管高温部42側及び第3パルス管中温部43側、第3パルス管連通部52の第3パルス管中温部43側及び第3パルス管低温部44側と接続される側の各々には、冷媒ガスの流れを整える整流器46、47、48、49が設けられる。このような連通構造を用いることにより、第3パルス管高温部42、第3パルス管中温部43及び第3パルス管低温部44は、一体のパルス管として機能し、約4K程度の低温を得ることができる。
【0117】
次に、本変形例において、2段目及び3段目が小径化される作用について、図7(a)、図7(b)、図7(c)、図13、図14(a)、図14(b)及び図14(c)を参照し、従来の3段式パルス管冷凍機101bの例と比較しながら、説明する。
【0118】
図13は、従来の3段式パルス管冷凍機の構成を模式的に示す図である。図13に示されるように、パルス管冷凍機101bは、バルブユニット102、バルブ駆動装置103、低圧配管104、圧縮機105、高圧配管106、第1蓄冷管107、第1パルス管110、第2蓄冷管108、第2パルス管109、第3蓄冷管139、第3パルス管136、第1冷却ステージ124b、第2冷却ステージ125b、第3冷却ステージ140を有する。
【0119】
ここで、図14(a)乃至図14(c)を参照し、従来の3段式パルス管冷凍機の1段目乃至3段目の平面視における構造を説明する。図14(a)乃至図14(c)は、従来の3段式パルス管冷凍機の構成を説明するための図であり、夫々図13におけるA方向から第1冷却ステージ124bを見た平面図、図13におけるB方向から第2冷却ステージ125bを見た平面図及び図13におけるC方向から第3冷却ステージ140を見た平面図である。
【0120】
図14(a)に示されるように、平面視において第1冷却ステージ124bの上面は円形形状を有し、第1パルス管110、第1蓄冷管107、第2パルス管109、第3パルス管136の4つの管が接続される。第1冷却ステージ124bの半径はR101であり、第1冷却ステージ124bの中心軸から第2パルス管109、第1蓄冷管107及び第3パルス管136の各々の中心軸までの軸間距離はD102、D103及びD110である。
【0121】
一方、図14(b)に示されるように、平面視において第2冷却ステージ125bの上面は円形形状を有し、第2蓄冷管108、第2パルス管109、第3パルス管136の3つの管が接続される。第2冷却ステージ125bは第1冷却ステージ124bと同心になるように設けられる。また、第2蓄冷管108は第1蓄冷管107と同心になるように設けられる。そのため、第2冷却ステージ125bの中心軸から第2パルス管109、第2蓄冷管108及び第3パルス管136の各々の中心軸までの軸間距離は、D102、D103及びD110である。従って、第2冷却ステージ125bの半径をR104とすると、R104はR101に比べてほとんど小さくすることができない。
【0122】
更に、図14(c)に示されるように、平面視において第3冷却ステージ140の上面は円形形状を有し、第3蓄冷管139、第3パルス管136の2つの管が接続される。第3冷却ステージ140は第2冷却ステージ125bと同心になるように設けられる。また、第3蓄冷管139は第2蓄冷管108と同心になるように設けられる。そのため、第3冷却ステージ140の中心軸から第3蓄冷管139及び第3パルス管136の各々の中心軸までの軸間距離は、D103及びD110である。従って、第2冷却ステージ125の半径をR112とすると、R112はR104に比べてほとんど小さくすることができない。
【0123】
以上のように、従来の3段式パルス管冷凍機101bにおいては、第2冷却ステージ125b及び第3冷却ステージ140の径は、第1冷却ステージ124bの径に比べて小さくすることはできない。
【0124】
一方、本変形例に係るパルス管冷凍機1bにおいて、図7(a)及び図7(b)にD5<D2、R5=R2と示されるように、第2パルス管低温部27の中心軸を第2パルス管高温部26の中心軸より第1冷却ステージ24bの中心軸に近づけることができるのは、実施の形態と同様である。
【0125】
また、本変形例に係るパルス管冷凍機1bにおいて、図7(a)及び図7(b)にD6<D3、R6<R3と示されるように、第1蓄冷管7より径の細い第2蓄冷管8の中心軸を第1蓄冷管7の中心軸よりも第1冷却ステージ24bの中心軸に近づけることができるのは、実施の形態と同様である。
【0126】
更に、本変形例に係るパルス管冷凍機1bにおいては、第3パルス管中温部43の中心軸を第3パルス管高温部42の中心軸より第1冷却ステージ24bの中心軸に近づけることができ、図7(a)及び図7(b)に示されるように、D11<D10とすることができる。また、第3パルス管中温部43の半径は第3パルス管高温部42の半径と同一であり、R11=R10である。従って、D11+R11<D10+R10となり、第2冷却ステージ25bの中心軸を中心とし、第3パルス管中温部43を内接するような円の半径(D11+R11)は、第1冷却ステージ24bの中心軸を中心とし、第3パルス管高温部42を内接するような円の半径(D10+R10)より小さくすることができる。
【0127】
以上の関係と、第1冷却ステージ24bに接続される第1パルス管10が第2冷却ステージ25bには接続されないことから、第2冷却ステージ25bの半径を第1冷却ステージ24bの半径より小さくすることができる。即ち、図7(a)及び図7(b)に示されるように、R4<R1とすることができる。
【0128】
次に、第3パルス管低温部44の中心軸を第3パルス管中温部43の中心軸よりも第2冷却ステージ25bの中心軸に近づけることができ、図7(b)及び図7(c)に示されるように、D13<D11とすることができる。また、第3パルス管低温部44の半径は第3パルス管中温部43の半径と同一であり、R13=R11である。従って、D13+R13<D11+R11となり、第3冷却ステージ40の中心軸を中心とし、第3パルス管低温部44を内接するような円の半径(D13+R13)は、第2冷却ステージ25bの中心軸を中心とし、第3パルス管中温部43を内接するような円の半径(D11+R11)より小さくすることができる。
【0129】
また、第3蓄冷管39の中心軸を第2蓄冷管8の中心軸よりも第2冷却ステージ25bの中心軸に近づけることができ、図7(b)及び図7(c)に示されるように、D14<D6とすることができる。また、第3蓄冷管39の半径は第2蓄冷管8の半径より小さいため、R14<R6である。従って、D14+R14<D6+R6となり、第3冷却ステージ40の中心軸を中心とし、第3蓄冷管39を内接するような円の半径(D14+R14)は、第2冷却ステージ25bの中心軸を中心とし、第2蓄冷管8を内接するような円の半径(D6+R6)より小さくすることができる。
【0130】
以上の関係と、第2冷却ステージ25bに接続される第2パルス管低温部27が第3冷却ステージ40には接続されないことから、第3冷却ステージ40の半径を第2冷却ステージ25bの半径より小さくすることができる。即ち、図7(b)及び図7(c)に示されるように、R12<R4とすることができる。
【0131】
具体的には、第1蓄冷管7の外径を60mm、第2蓄冷管8の外径を30mm、第3蓄冷管39の外径を20mm、第1パルス管10の外径を50mm、第2パルス管高温部26及び第2パルス管低温部27の外径を30mm、第3パルス管高温部42、第パルス管中音部43及び第3パルス管低温部44の外径を30mmとしたとき、第1冷却ステージ24bの外径を150mmφとし、第2冷却ステージ25bの外径を120mmφ、第3冷却ステージ40の外径を90mmφにすることができる。第2及び第3パルス管を分割しない場合には、第2冷却ステージ25bの外径は140mmφ、第3冷却ステージ40の外径は130mmφより小さくすることができないが、第2及び第3パルス管を分割することによって、第2冷却ステージ25bの外径を140mmφから120mmφに小径化でき、第3冷却ステージ40の外径を130mmφから90mmφに小径化できる。
【0132】
また、前述したように、第3パルス管高温部42、第3パルス管中温部43及び第3パルス管低温部44を第2パルス管連通部51及び第3パルス管連通部52で連通しても3段目の第3パルス管としての機能は確保されるので、冷凍機の冷凍能力を低下させることなく小径化することができる。
【0133】
また、第3冷却ステージ40の半径を小径化することによる輻射熱の抑制の効果は、実施の形態と同様である。
【0134】
従って、本変形例に係るパルス管冷凍機によれば、3段式パルス管冷凍機においても、パルス管を段毎に分割し、高段側の部分を低段側の部分より冷却ステージの中心に近づけ、蓄冷管も高段側ほど径を細くして冷却ステージの中心に近づけることにより、高段側の部分ほど小径化し、MRIやNMRなどの装置に搭載する際の輻射による熱流入を抑え、見かけ上の冷凍能力を向上させることができる。
(実施の形態の第3の変形例)
次に、図8乃至図9(b)を参照し、本発明の実施の形態の第3の変形例に係るパルス管冷凍機を説明する。
【0135】
始めに、図8を参照し、本変形例に係るパルス管冷凍機の構成を説明する。図8は、本変形例に係るパルス管冷凍機の構成を模式的に示す図である。
【0136】
本変形例に係るパルス管冷凍機は、第2パルス管が分割されない点で、実施の形態に係るパルス管冷凍機と相違する。
【0137】
図8を参照するに、実施の形態において、第2パルス管が第1冷却ステージを境界として第2パルス管高温部と第2パルス管低温部とに分割されるのと相違し、本変形例に係るパルス管冷凍機1cにおける第2パルス管19は、一体で設けられる。
【0138】
図8に示されるように、本変形例に係るパルス管冷凍機1cは、第2パルス管19、第1冷却ステージ24c、第2冷却ステージ25c以外の構成は、実施の形態と同一である。
【0139】
第2パルス管19は、2段目に設けられるパルス管であり、第1蓄冷管7を通して供給される冷媒ガスであるヘリウムガスが断熱膨張を繰り返して冷熱を発生すること、中心軸に垂直な断面が略円形の内周及び外周を有する管であること、中心軸が第1蓄冷管7の中心軸と平行になるように設けられることは、実施の形態と同一である。
【0140】
しかし、第1蓄冷管7は、図8に示されるように、一体で設けられる。そのため、第1冷却ステージ24c及び第2冷却ステージ25cは、実施の形態と異なる。
【0141】
次に、図9を参照し、本変形例に係るパルス管冷凍機1cの1段目及び2段目の蓄冷管及びパルス管の平面視における配置について説明する。図9は、本変形例に係るパルス管冷凍機1cを説明するための図であり、図9(a)は第1冷却ステージ24cを図8におけるA方向から見た平面図であり、図9(b)は第2冷却ステージ25cの上面を図8におけるB方向から見た平面図である。
【0142】
図9(a)に示されるように、平面視において、第1冷却ステージ24cの上面は円形形状を有し、第1パルス管10、第1蓄冷管7、第2パルス管19の3つの管が接続される。図3(a)に示されるのと同様に、第1冷却ステージ24cの半径はR1であり、第2パルス管19の半径はR2であり、第1蓄冷管7の半径はR3であり、第1冷却ステージ24cの中心軸と第2パルス管19の中心軸との軸間距離はD2であり、第1冷却ステージ24cの中心軸と第1蓄冷管7の中心軸との軸間距離はD3である。
【0143】
図9(b)に示されるように、平面視において、第2冷却ステージ25cの上面は円形形状を有し、第2蓄冷管8、第2パルス管19の2つの管が接続される。第2冷却ステージ25cは、第1冷却ステージ24cと同心になるように設けられる。これは、実施の形態と同様の理由により、パルス管冷凍機1cを中心軸対称に近い構成にするためである。
【0144】
第2冷却ステージ25cの半径はR15であり、第2パルス管19の半径はR2であり、第2蓄冷管8の半径はR16であり、第2冷却ステージ25cの中心軸と第2パルス管19及び第2蓄冷管8の各々の中心軸との軸間距離はD2及びD16である。
【0145】
ここで、第2蓄冷管8の中心軸は、第1蓄冷管7の中心軸よりも第2冷却ステージ25cの中心軸(第1冷却ステージ24cの中心軸)に近いため、D16<D3である。
【0146】
本変形例に係るパルス管冷凍機1cの冷凍冷却の作用は、実施の形態と同様である。
【0147】
次に、2段目が小径化される作用について説明する。
【0148】
本変形例に係るパルス管冷凍機1cにおいては、図9(a)及び図9(b)に示され、前述したように、D16<D3であり、第2蓄冷管8の半径は第1蓄冷管7の半径より小さいため、R16<R3である。従って、D16+R16<D3+R3となり、第2冷却ステージ25cの中心軸を中心とし、第2蓄冷管8を内接するような円の半径(D16+R16)は、第1冷却ステージ24cの中心軸を中心とし、第1蓄冷管7を内接するような円の半径(D3+R3)より小さくすることができる。
【0149】
以上の関係と、第1冷却ステージ24cに接続される第1パルス管10が第2冷却ステージ25cには接続されないことから、第2冷却ステージ25cの半径を第1冷却ステージ24cの半径より小さくすることができる。即ち、図9(a)及び図9(b)に示されるように、R15<R1とすることができる。
【0150】
具体的には、第1蓄冷管7の外径を60mm、第2蓄冷管8の外径を30mm、第1パルス管10の外径を50mm、第2パルス管19の外径を30mm、としたとき、第1冷却ステージ24cの外径を130mmφとし、第2冷却ステージ25cの外径を90mmφにすることができる。第2蓄冷管8が第1の蓄冷管7と同心に設けられる場合には、第2冷却ステージ25cの外径は100mmφより小さくすることができないが、第2蓄冷管8を第1の蓄冷管7よりも第1冷却ステージ24cの中心に近づけることにより、第2冷却ステージ25cの外径を100mmφから90mmφに小径化できる。
【0151】
また、第2冷却ステージ25cの半径を小径化することによる輻射熱の抑制の効果は、実施の形態と同様である。
【0152】
従って、本変形例に係るパルス管冷凍機によれば、2段式パルス管冷凍機の2段目の蓄冷管を1段目の蓄冷管よりも冷却ステージの中心に近づけることにより、2段式パルス管冷凍機の2段目の部分を小径化し、輻射による熱流入を抑え、冷凍能力を向上させることができる。
(実施の形態の第4の変形例)
次に、図10を参照し、本発明の実施の形態の第4の変形例に係るパルス管冷凍機を説明する。
【0153】
図10は、本変形例に係るパルス管冷凍機を説明するための図であり、第1パルス管連通部が形成された第1冷却ステージを模式的に示す断面図である。
【0154】
本変形例に係るパルス管冷凍機は、第1パルス管連通部がその途中において内径が小さくならない点で、実施の形態に係るパルス管冷凍機と相違する。
【0155】
図10を参照するに、実施の形態において、第1パルス管連通部が、第1パルス管連通部の途中位置に、流路の内径が第2パルス管高温部及び第2パルス管低温部の内径より小さい連通路が設けられ、連通路の第2パルス管高温部側及び第2パルス管低温部側の各々において、連通路の内径が連続的に変化するのと相違し、本変形例に係るパルス管冷凍機における第1パルス管連通部30dは、第2パルス管高温部26側から第2パルス管低温部27側に至るまで内径が変化せず、一定である。
【0156】
図10に示されるように、第1冷却ステージ24dの内部に第2パルス管高温部26及び第2パルス管低温部27の内径と等しい内径を有する第1パルス管連通部30dが、第2パルス管高温部26と第2パルス管低温部27を連通するように形成される。第2パルス管低温部27の中心軸は第2パルス管高温部26の中心軸と平行であり、第2パルス管低温部27の中心軸は、第2パルス管高温部26の中心軸より第1冷却ステージ24dの中心軸に近づくため、図10に示されるように、第1パルス管連通部30dはクランク状に屈曲するように形成される。
【0157】
本変形例では、第2パルス管高温部26及び第2パルス管低温部27は、実施の形態と同様に、肉薄の例えばSUS304等のSUS材で構成され、第2蓄冷管部材26の軸方向に垂直な断面の形状は、例えば外径30mm、内径25mm、厚さは2.5mmとすることができる。従って、第1パルス管連通部30dの内径も25mmとすることができる。
【0158】
第1パルス管連通部30dをこのような構造とした場合でも、第2パルス管高温部26及び第2パルス管低温部27は一体の第2パルス管として機能するため、本変形例に係る2段式パルス管冷凍機の2段目を小径化し、MRIやNMRなどの装置に搭載される際の輻射による熱流入を抑え、見かけ上の冷凍能力を向上させる作用については、実施の形態と同様の作用が得られる。
【0159】
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】本発明の実施の形態に係るパルス管冷凍機の構成を模式的に示す図である
【図2】本発明の実施の形態に係るパルス管冷凍機を説明するための図であり、第1パルス管連通部の形成された第1冷却ステージを模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るパルス管冷凍機を説明するための図であり、第1冷却ステージの上面及び第2冷却ステージの上面を示す平面図である。
【図4】本発明の実施の形態の第1の変形例に係るパルス管冷凍機の構成を模式的に示す図である。
【図5】本発明の実施の形態の第1の変形例に係るパルス管冷凍機を説明するための図であり、第1冷却ステージの上面及び第2冷却ステージの上面を示す平面図である。
【図6】本発明の実施の形態の第2の変形例に係るパルス管冷凍機の構成を模式的に示す図である。
【図7】本発明の実施の形態の第2の変形例に係るパルス管冷凍機を説明するための図であり、第1冷却ステージの上面、第2冷却ステージの上面及び第3冷却ステージの上面を示す平面図である。
【図8】本発明の実施の形態の第3の変形例に係るパルス管冷凍機の構成を模式的に示す図である。
【図9】本発明の実施の形態の第3の変形例に係るパルス管冷凍機を説明するための図であり、第1冷却ステージの上面及び第2冷却ステージの上面を示す平面図である。
【図10】本発明の実施の形態の第4の変形例に係るパルス管冷凍機を説明するための図であり、第1パルス管連通部が形成された第1冷却ステージを模式的に示す断面図である。
【図11】従来の2段式パルス管冷凍機の構成を模式的に示す図である。
【図12】従来の2段式パルス管冷凍機を説明するための図であり、第1冷却ステージの上面及び第2冷却ステージの上面を示す平面図である。
【図13】従来の3段式パルス管冷凍機の構成を模式的に示す図である。
【図14】従来の3段式パルス管冷凍機を説明するための図であり、第1冷却ステージの上面、第2冷却ステージの上面及び第3冷却ステージの上面を示す平面図である。
【符号の説明】
【0161】
1、1a、1b、1c パルス管冷凍機
2 バルブユニット
3 バルブ駆動機構
4 低圧配管
5 圧縮機
6 高圧配管
7 第1蓄冷管
8 第2蓄冷管
9、11、28、29、31、32、45、46、47、48、49、50 整流器
10 第1パルス管
12、13、22、23、34、35 オリフィス
14 第1バッファ
15 配管
16、17、53 連通路
21 第2バッファ
24、24a、24b、24c、24d 第1冷却ステージ
25、25a、25b、25c 第2冷却ステージ
26 第2パルス管高温部
27 第2パルス管低温部
29a、31a 金網(メッシュ)
29b、31b パンチングプレート
30、30d 第1パルス管連通部
30a 連通路
30b、30c 接続部
33 第3バッファ
39 第3蓄冷管
40 第3冷却ステージ
42 第3パルス管高温部
43 第3パルス管中温部
44 第3パルス管低温部
51 第2パルス管連通部
52 第3パルス管連通部

D2、D3、D5、D6、D8、D9、D10、D11、D13、D14、D16 軸間距離
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16 半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1段目を構成する第1パルス管及び第1蓄冷管と、
2段目を構成する第2パルス管及び第2蓄冷管と、
前記第1パルス管及び前記第1蓄冷管の低温側に設けられる略円板形状の第1冷却ステージと、
前記第2パルス管及び前記第2蓄冷管の低温側に設けられる略円板形状の第2冷却ステージと
を備える多段式パルス管冷凍機において、
前記第2パルス管は、高温側から順に、前記第1蓄冷管及び前記第2蓄冷管に対応して第2パルス管高温部と第2パルス管低温部とに分割され、
前記第2パルス管高温部と前記第2パルス管低温部とは、前記第1冷却ステージの内部に設けられた第1パルス管連通部を通して連通され、
前記第2パルス管低温部は、該第2パルス管低温部の中心軸と前記第1冷却ステージの中心軸との軸間距離が前記第2パルス管高温部の中心軸と前記第1冷却ステージの中心軸との軸間距離より短い位置で設けられることを特徴とする多段式パルス管冷凍機。
【請求項2】
前記第1パルス管連通部の中ほどに、流路の内径が前記第2パルス管高温部及び前記第2パルス管低温部の内径より小さい連通路が設けられ、
前記連通路の前記第2パルス管高温部側及び前記第2パルス管低温部側の各々において、前記第2パルス管高温部及び前記第2パルス管低温部に向かって前記連通路の内径が徐々に増大することを特徴とする請求項1記載の多段式パルス管冷凍機。
【請求項3】
前記第1パルス管連通部の前記第2パルス管高温部と接続される側及び前記第2パルス管低温部と接続される側の各々に、冷媒ガスの流れを整える整流器を設けることを特徴とする請求項1又は2記載の多段式パルス管冷凍機。
【請求項4】
前記第2蓄冷管は、該第2蓄冷管の中心軸と前記第1冷却ステージの中心軸との軸間距離が前記第1蓄冷管の中心軸と前記第1冷却ステージの中心軸との軸間距離より短い位置で設けられることを特徴とする請求項1乃至3何れか一項に記載の多段式パルス管冷凍機。
【請求項5】
3段目を構成する第3パルス管及び第3蓄冷管と、
前記第3パルス管及び前記第3蓄冷管の低温側に設けられる略円板形状の第3冷却ステージと
を備え、
前記第3パルス管は、高温側から順に、前記第1蓄冷管、前記第2蓄冷管及び前記第3蓄冷管に対応して第3パルス管高温部と第3パルス管中温部と第3パルス管低温部とに分割され、
前記第3パルス管高温部と前記第3パルス管中温部とは、前記第1冷却ステージの内部に設けられた第2パルス管連通部を通して連通され、
前記第3パルス管中温部と前記第3パルス管低温部とは、前記第2冷却ステージの内部に設けられた第3パルス管連通部を通して連通され、
前記第3パルス管中温部は、該第3パルス管中温部の中心軸と前記第1冷却ステージの中心軸との軸間距離が前記第3パルス管高温部の中心軸と前記第1冷却ステージの中心軸との軸間距離より短い位置で設けられ、
前記第3パルス管低温部は、該第3パルス管低温部の中心軸と前記第2冷却ステージの中心軸との軸間距離が前記第3パルス管中温部の中心軸と前記第2冷却ステージの中心軸との軸間距離より短い位置で設けられることを特徴とする請求項1乃至4何れか一項に記載の多段式パルス管冷凍機。
【請求項6】
前記第3蓄冷管は、該第3蓄冷管の中心軸と前記第2冷却ステージの中心軸との軸間距離が前記第2蓄冷管の中心軸と前記第2冷却ステージの中心軸との軸間距離より短い位置で設けられることを特徴とする請求項1乃至5何れか一項に記載の多段式パルス管冷凍機。
【請求項7】
1段目を構成する第1パルス管及び第1蓄冷管と、
2段目を構成する第2パルス管及び第2蓄冷管と、
前記第1パルス管及び前記第1蓄冷管の低温側に設けられる略円板形状の第1冷却ステージと、
前記第2パルス管及び前記第2蓄冷管の低温側に設けられる略円板形状の第2冷却ステージと
を備える多段式パルス管冷凍機において、
前記第2パルス管は、該第2パルス管の中心軸と前記第1冷却ステージの中心軸との軸間距離が前記第1蓄冷管の中心軸と前記第1冷却ステージの中心軸との距離及び前記第2蓄冷管の中心軸と前記第1冷却ステージの中心軸との軸間距離より短い位置で、前記第1冷却ステージを貫通し、
前記第2蓄冷管は、該第2蓄冷管の中心軸と前記第1冷却ステージの中心軸との軸間距離が前記第1蓄冷管の中心軸と前記第1冷却ステージの中心軸との軸間距離より短い位置で設けられることを特徴とする多段式パルス管冷凍機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−264595(P2009−264595A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−110518(P2008−110518)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)