説明

多点接地型足部支持機構及びそれを備えた2足歩行ロボットの脚部並びにその制御構造

【課題】既存の2足歩行ロボット等の脚部の足底に容易に取付可能で、足底支持部の可動爪部が受動的に路面等の接地面の凹凸にならって確実に摺動することができ、固定爪部の接地や可動爪部の移動量を検出して足底支持部の運動を制動することにより、段差等がある接地面でも、速やか、かつ、確実に足底を多点支持することができ、転倒を回避できる信頼性に優れる多点接地型足部支持機構の提供。
【解決手段】歩行ロボットの脚部の足底に配設される基部と、基部を多点支持する足底支持部と、を備えた多点接地型足部支持機構であって、足底支持部が、基部の底面より下方に下端部が突出して配設され接地時にそれぞれ独立して上方に移動する摺動自在に保持された3以上の可動爪部と、各々の可動爪部の移動量を検出する移動量検出センサ部と、移動量検出センサ部で検出した可動爪部の移動量に基づいて全ての可動爪部の運動を制動するロック機構と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足底の平面内に仮想的な支持多角形を形成し足底を多点支持する多点接地型足部支持機構及びそれを備えた2足歩行ロボットの脚部並びにその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、人間の生活環境で活動する人間形ロボット、いわゆるヒューマノイドロボット の研究、開発がさかんに行われている。ヒューマノイドロボット は、工業生産だけでなく、家事、高齢者介護等、人間の生活を快適にする目的で使用される場合が多く、人間のために作られた環境において不特定の使用者と密着して作業するため、それに適した形態と機能を持つ必要がある。また、特別な使用訓練を必要とせず安全で柔軟なインターフェースを備えることも要求され、極めて多くの研究課題がある。特に、移動手段として人間と同様に2足を有し、2足歩行を行う2足歩行ロボットは、多くの研究機関や企業で鋭意研究され開発されている。
本出願人が出願した(特許文献1)には「ベース部と、右足部及び左足部と、ベース部と右足部及び左足部の各々に配設された複数の受動ジョイントと、ベース部に配設された受動ジョイントと右足部に配設された受動ジョイントとの間、及び、ベース部に配設された受動ジョイントと左足部に配設された受動ジョイントとの間に各々配設されたパラレルリンク機構部と、を備えた2足歩行ロボットの下半身モジュール」が開示されている。
また、同じく本出願人が出願した(特許文献2)には「足部において目標ゼロモーメントポイントを設定し、設定した目標ゼロモーメントポイントに応じて腰部のモーメント補償軌道を算出する2足歩行ロボット装置の歩行パターンを作成する歩行パターン作成装置」が開示されている。
【0003】
(特許文献1)に記載の2足歩行ロボットの下半身モジュールは、脚部をパラレルリンク機構で構成することにより、脚部が大きな負荷に耐えることができ、重量物の搬送が可能で実用性に優れると共に、重量の大きい上半身を搭載又は組み込むことができ設計の自由度に優れるものであり、(特許文献2)に記載の歩行パターン作成装置を備えることにより、安定した2足歩行を行わせる歩行パターンを作成することができ、特に平坦な接地面においては歩行動作の安定性に優れる。
しかしながら、高速移動が可能でエネルギー効率に優れる車輪移動式のロボットで侵入できない凹凸の激しい場所や多脚のロボットに必要な広い支持基底面を確保できない場所など、各足が平坦な接地面を確保することが困難な場所においては、従来の2足歩行ロボットの多くで採用されている剛体平板の足底では、足底の中心で突起物等を踏んだ際に、足底を支持する支持多角形がどのように形成されるか予測不能であり、転倒を回避することができないという問題点があった。
また、仮に支持多角形を予測できた場合でも、形成される支持多角形の面積が狭いので、安定した歩行を継続することが困難であり、歩行を続けるに従い揺動が大きくなり、最終的に転倒に至るため、歩行安定性、信頼性に欠けるという問題点があった。
【0004】
そこで、本出願人は、さらなる動作の安定性の向上、様々な地形における活動を実現するために、鋭意、検討を行い(特許文献3)の発明を完成した。
(特許文献3)には、「歩行ロボットの脚部の足底にそれぞれ配設される基部と、基部の底面より下方に端部が突出して配設され接地時にそれぞれ独立して上方に移動する摺動自在又は回動自在に支持された3以上の足底支持部と、基部又は各々の足底支持部に配設され各々の足底支持部の接地を検出する接地センサと、基部に配設され接地センサが全ての足底支持部の接地を検出した時に全ての足底支持部の運動を制動するロック機構と、を備えた多点接地型足部支持機構」が開示されている。
【特許文献1】特開2003−291080号公報
【特許文献2】特開2004−82223号公報
【特許文献3】WO2006/011577号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来の技術では、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献3)に記載の多点接地型足部支持機構は、既存の2足歩行ロボット等の足底に容易に取付けることができ、各足底支持部が受動的に路面等の接地面の凹凸にならい、全ての足底支持部が接地した際に足底支持部の運動を制動することにより、段差等がある接地面においても、速やかに足底を多点支持することができ、転倒を回避することができる信頼性に優れる多点接地型足部支持機構であったが、接地センサにより足底支持部の接地を検出する方式であるため、凹凸の状況によってセンサの検出不良が発生することがあり、動作の安定性に欠けるという課題を有していた。
(2)接地センサで全ての足底支持部の接地を検出した時に、ロック機構により全ての足底支持部をロックする方式であるため、例えば一方の足部の全ての足底支持部が凸部に載るような接地面では、他方の足底の高さ(基準位置)よりも高い位置でロックされてしまい、左右の足底の高さに差が生じるので、足部単体では凹凸路面に対応できないという課題を有していた。また、路面に凹部がある場合、足底支持部の先端部が凹部に到達することができず、ロックが掛からないまま立脚に移り、凹路面に対応できないという課題を有していた。
(3)特に、支持点となる足底支持部が回動型の場合、接地時に足底支持部の先端部で横滑りが発生するため、凸部の端に先端部が着地する場合、路面にならうと同時に先端部が凸部から滑落するという欠点を持っており、適応可能な地形が限られ、汎用性に欠けるという課題を有していた。
(4)また、回動型の足底支持部では上下方向の可動範囲が狭く、凹凸の差が大きな地形においては、全ての足底支持部を確実に接地させることができないことがあり、足底支持部がロックされず、足底を支持できなくなって姿勢が不安定になったり、転倒が発生したりして、動作の安定性、汎用性に欠けるという課題を有していた。
(5)さらに、回動型の足底支持部では、路面にならう際に横滑りを生じなければならないため、摩擦係数の大きい摩擦材を先端部に使用することができず、立脚側で路面との間に十分な摩擦力を得ることができないので、ロボットが歩行の際に足を振り出すことによって発生する慣性力で立脚側の脚部を中心にヨー軸周りに回転し、歩行が不安定になるという課題を有していた。
(6)また、全ての足底支持部が可動式の場合、部品点数が増え、構造が複雑となり、故障や動作不良が発生し易く、取り扱い性、信頼性に欠けるという課題を有していた。
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、既存の2足歩行ロボット等の脚部の足底に容易に取付けることができ、足底支持部の可動爪部が受動的に路面等の接地面の凹凸にならって確実に摺動することができ、固定爪部の接地や可動爪部の移動量を検出して足底支持部の運動を制動することにより、段差等がある接地面においても、速やか、かつ、確実に足底を多点支持することができ、転倒を回避することができる信頼性に優れる多点接地型足部支持機構の提供、及び凹凸や段差等がある複雑な地形においても、安定した姿勢を維持して活動することができる歩行動作の安定性、汎用性に優れる多点接地型足部支持機構を備えた2足歩行ロボットの脚部の提供、並びにその制御構造の提供をすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の多点接地型足部支持機構及びそれを備えた2足歩行ロボットの脚部並びにその制御方法は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の多点接地型足部支持機構は、歩行ロボットの脚部の足底に配設される基部と、前記基部を多点支持する足底支持部と、を備えた多点接地型足部支持機構であって、前記足底支持部が、前記基部の底面より下方に下端部が突出して配設され接地時にそれぞれ独立して上方に移動する摺動自在に保持された3以上の可動爪部と、各々の前記可動爪部の移動量を検出する移動量検出センサ部と、前記移動量検出センサ部で検出した前記可動爪部の移動量に基づいて全ての前記可動爪部の運動を制動するロック機構と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)歩行ロボットの脚部の足底に配設される基部の底面より下方に下端部が突出して配設され、接地時にそれぞれ独立して上方に移動する摺動自在に保持された3以上の可動爪部を有することにより、回動型の足底支持部に比べてストロークが長く、凹凸に対する自由度を向上させることができ、横滑りや凸部からの滑落等を確実に防止することができ、歩行ロボットの歩行動作の安定性に優れる。
(2)基部に摺動自在に保持された各々の可動爪部が、受動的に接地面の凹凸にならって足底(基部の底面)からの突出量が減少する方向に移動(上方に摺動)するので、移動量検出センサ部で検出した可動爪部の移動量に基づいて、ロック機構により全ての可動爪部の運動を制動することにより、足底に平坦な接地面と同等の広さの仮想的な支持多角形を形成して多点支持することができ、歩行ロボットの脚部を確実に支持することができ、転倒を回避することができる。
(3)各々の可動爪部の移動量を検出する移動量検出センサ部を有することにより、確実に可動爪部の接地を確認することができ、ロック機構によって足底支持部の運動を確実に制動することができるので、接地時における足底の基部を常に略水平に保持することができ、これに伴って歩行ロボットの胴体や腰の位置や姿勢を設定した通りに制御することができ、歩行動作の安定性に優れる。
(4)可動爪部が基部に摺動自在に保持されているので、可動爪部の下端部が路面等の接地面に接地した際(立脚時)に、接地面の凹凸によらず、各々の可動爪部を容易かつ確実に足底の上方に摺動させることができ、足底が接地面の凸部から滑落することがなく、ロック機構により全ての可動爪部の運動を確実に制動することができ、足底に確実に平坦な接地面と同等の広さの支持多角形を形成することができ、支持安定性に優れる。
(5)足底支持部が基部に配設されているので、足底支持部と基部を一体的に取り扱うことができ、既存の歩行ロボットの脚部の足底に容易に取り付けて歩行動作の安定性を向上させることができ、組み立て作業性、汎用性に優れる。
(6)3以上の可動爪部を有することにより、足底に確実に平坦な接地面と同等の広さの支持多角形を形成して多点支持することができるので、歩行ロボットの脚部を安定して支持することができ、特に2足歩行ロボットに対し好適に用いることができる。
(7)足底支持部の可動爪部が上下方向に摺動する摺動型であることにより、接地時に可動爪部の先端部で横滑りが発生しないため、可動爪部の先端部の材質として摩擦係数の大きい摩擦材を使用して、立脚側の足底支持部で十分な摩擦力を得ることができ、歩行中に遊脚側の脚部の慣性力によって歩行ロボットがヨー軸周りに回転することがなく、安定した歩行を実現することができる。
【0008】
ここで、基部の外形は歩行ロボットの脚部の足底の大きさに合わせて十分な支持面積が確保できるように略矩形状や略六角形、略八角形等の多角形状或いは略円形状、略楕円形状等に形成する。基部の材質にはアルミニウム合金が好適に用いられる。軽量で高い強度と剛性がえられるからである。
基部には、床や路面等の接地面からの反力を検出しZMP(ゼロモーメントポイント)の位置を測定するための6軸力覚センサが配設され、歩行ロボットの脚部の足底に取付けられる。
【0009】
可動爪部は略円柱状や略楕円柱状のほか、三角柱状,四角柱状,六角柱状等の多角柱状など、様々な形状に形成される。可動爪部は基部に対して摺動自在に支持されていればよいが、遊脚時に自重若しくは圧縮ばねなどの付勢手段等により下方に摺動して最大長になるものが好適に用いられる。これにより、可動爪部の接地前に常に最大ストロークを確保することができ、基部の底面より下方に突出した可動爪部の下端部が路面等の接地面に接地した際(立脚時)に、足底からの突出量が減少するように可動爪部を確実に上方に移動させることができ、接地面の凹凸に倣って脚部を支持することができる。摺動部分にボールリテーナやリニアベアリングなどを配設した場合、摩擦を低減して摺動動作を滑らかにすることができ、可動爪部の動作安定性に優れる。
各々の可動爪部の位置が基部の中心から等距離となるように同一円周上に等間隔で可動爪部を配設した場合、可動爪部によって形成される支持多角形が、正三角形や正方形等の正多角形となるので、各可動爪部によって均一に脚部を支持することができ、接地時の安定性を向上させることができる。
尚、基部には、可動爪部に加えて、固定爪部を設けてもよい。歩行の際に大きな剛性が必要とされるロボットにおいては、高強度で変形の恐れのない固定爪部を併用することにより、足裏の接地剛性を高くすることができ、転倒の可能性を低減できるためである。
【0010】
移動量検出センサ部としては、足底支持部の移動量を検出できるものであればよいが、例えば、リニアエンコーダが好適に用いられる。ワイヤー式リニアエンコーダの場合、足底支持部と平行にワイヤーを張設し、足底支持部と共にワイヤーが摺動するようにすれば、ワイヤーの引き出し量(移動量)により足底支持部の移動量を検出することができる。足底支持部のストロークの中間点を基準位置とすることにより、接地面の凹凸に対応することができる。尚、基準位置は任意に設定することができ、ロック機構によるロックのタイミングを適宜、選択することができる。
移動量検出センサ部で各々の可動爪部の移動量を直接、検出することができるので、左右の足底の高さや、各足底における各々の可動爪部の移動量を比較することや、予め設定した基準位置(高さ)に達するまでに要する時間を測定すること等により、接地面の凹凸を判断することができ、基準位置を維持しながら凹凸面に対応して安定した連続歩行を行うことができ、汎用性、歩行動作の安定性を向上させることができる。
【0011】
可動爪部の下端には合成ゴム製等の摩擦材で形成した先端接触部を配設してもよい。これにより、接地面との摩擦力を大きくすることができ、歩行時におけるヨー軸周りの回転を抑制して歩行動作を安定させることができる。摩擦材の材質としては、具体的には耐久性に優れるクロロプレンゴムが好適に用いられるが、弾性変形の影響を極力小さくするために、ショア硬さ90程度の硬質のものが好ましい。
尚、先端接触部を可動爪部に対して着脱自在に配設した場合、接地面の硬さや表面状態などに応じて材質の異なる先端接触部を選択することや、摩耗した先端接触部を交換することができ、汎用性、メンテナンス性に優れる。
【0012】
ロック機構としては、移動量検出センサ部からの信号に従って、アクチュエータを駆動し、アクチュエータによりカム等のブレーキ部を摺動又は回動させ、可動爪部の上端や側面に形成された傾斜面などの当接面にブレーキ部を当接させ、機械的な固定或いは摩擦力による固定を行うものが好適に用いられる。可動爪部の下端部が接地して可動爪部に負荷がかかっている状態でのみロックがかかるようにした場合、足底が上昇を始めると共に、可動爪部が自重若しくは付勢手段などにより下方に摺動し、ロックが自動的に解除されるので、可動爪部を駆動するための駆動部が不要で、小型化、軽量化を図ることができる。尚、ブレーキ部は別途、アクチュエータにより駆動されて初期位置に復帰する。
【0013】
可動爪部,移動量検出センサ部,ロック機構をユニット化した適応接地型爪部を基部に対して着脱自在にした場合、不具合が生じた適応接地型爪部のみを取り外して修理したり、交換したりすることができメンテナンス性に優れる。また、必要に応じて爪部が伸縮しない固定爪部にユニット毎交換することができるので、適応接地型爪部(可動爪部)と固定爪部の組合せや配置を任意に選択することができ汎用性に優れる。
この多点接地型足部支持機構は既存の歩行ロボットの足部に容易に取付けることができ、3以上の可動爪部を有することにより、各足底に確実に支持多角形を形成して多点支持することができるので、車輪移動式のロボットで侵入できない凹凸の激しい場所や多脚のロボットに必要な広い支持基底面を確保できない場所で歩行を行う2足歩行ロボットに対し特に有用であるが、4足や6足等の多脚の歩行ロボットや作業テーブルなどに対して取付けることも可能である。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の多点接地型足部支持機構であって、前記移動量検出センサ部が全ての前記可動爪部の内のいずれか1つの前記可動爪部の移動量が設定値に達したことを検出した時に、前記ロック機構が全ての前記可動爪部の運動を制動する構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)移動量検出センサ部が全ての可動爪部の内のいずれか1つの可動爪部の移動量が設定値に達したことを検出した時に、ロック機構が全ての可動爪部の運動を制動するので、凹路面を歩行する際に、全ての可動爪部が接地し、基準面に接地した可動爪部の移動量が設定値に達した時点で全ての可動爪部をロックすることにより、基準位置(高さ)より高い位置で可動爪部がロックされることがなく、予め設定した基準位置(高さ)に足底を維持して安定した歩行を行うことができ、凹路面での歩行の信頼性に優れる。
【0015】
ここで、各々の可動爪部は接地面の凹凸にならって上方に摺動するが、凹部を有する接地面を歩行する場合、まず、ある可動爪部が接地面の基準面に接地し、続いて他の可動爪部が凹部に接地することになるが、従来のように全ての可動爪部が接地した段階で全ての可動爪部にロックをかけると、凹部の深さによってロックのタイミングが変化してしまい、足部の高さがまちまちになってしまう。全ての可動爪部が接地してもロックをかけずに、いずれか1つの可動爪部の移動量が設定値に達したことを検出した時に、全ての可動爪部をロックすることにより、常に接地面の基準面から等しい距離となる基準位置(高さ)で足底を支持することができる。
尚、設定値は任意に選択することができるが、可動爪部のストロークの中間点を基準位置とし、可動爪部のストロークの1/2を設定値とした場合、基準面に対して凹凸の両方に均等に対応することができるので好ましい。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の多点接地型足部支持機構であって、各々の前記可動爪部が、上端側から下方に向かって拡開して形成された傾斜面を有し、前記ロック機構が、各々の前記可動爪部の前記傾斜面に当接する楕円弧状の接触面を有するカムと、前記カムを垂直面内で回動させるアクチュエータと、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1又は2の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)各々の可動爪部が、上端側から下方に向かって拡開して形成された傾斜面を有し、ロック機構が、各々の可動爪部の傾斜面に当接する楕円弧状の接触面を有するカムと、カムを垂直面内で回動させるアクチュエータと、を備えているので、ロック機構のアクチュエータによりカムを回動させるだけで、カムの接触面を可動爪部の傾斜面に当接させて確実に可動爪部の上方への移動を防止することができ、足底支持部による多点支持を行なって脚部を安定して支持することができる。
(2)可動爪部の傾斜面が上端側から下方に向かって拡開して形成され、カムの接触面が楕円弧状に形成されているので、可動爪部の移動量に応じて、カムの回転角を変化させることにより、可動爪部の傾斜面にカムの接触面を確実に当接させることができ、ロック機構の動作安定性に優れる。
(3)アクチュエータがカムを垂直面内で回動させるように配置することにより、ロック機構の設置スペースを狭くすることができ、省スペ−ス性に優れ、多点接地型足部支持機構の小型軽量化を図ることができる。
【0017】
ここで、アクチュエータとしては、カムを回動させることができればよいが、高い応答速度を有するロータリソレノイドやステッピングモ−タ等が好適に用いられる。
ロータリソレノイドは初期位置から瞬時にカムを回転させることができ、可動爪部の傾斜面にカムの接触面を当接させてロックすることができる。ステッピングモ−タは、可動爪部の摺動に追従してカムを回転させ、可動爪部の傾斜面とカムの接触面との隙間を常に小さく保つことにより、瞬時にロックすることができる。特にロータリソレノイドは小型軽量で省スペース性、取り扱い性に優れるので好ましい。
尚、可動爪部のストロークに応じて、可動爪部の傾斜面の傾斜角、ロック機構のカムの接触面の形状、可動爪部とカムの回転軸との距離などは、適宜、選択することができる。
【0018】
本発明の請求項4に記載の多点接地型足部支持機構は、歩行ロボットの脚部の足底に配設される基部と、前記基部を多点支持する足底支持部と、を備えた多点接地型足部支持機構であって、前記足底支持部が、前記基部の底面より下方に下端部が突出して固設された1以上の固定爪部と,前記固定爪部より下方に突出し接地時に上方に移動する摺動自在に保持された1以上の可動爪部と,を含む3以上の爪部と、前記固定爪部の接地を検出する接地センサ部と、前記接地センサ部で前記固定爪部の接地を検出した時に全ての前記可動爪部の運動を制動するロック機構と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)歩行ロボットの脚部の足底に配設される基部の底面より下方に下端部が突出して固設された1以上の固定爪部と,固定爪部より下方に突出し接地時に上方に移動する摺動自在に保持された1以上の可動爪部と,を含む3以上の爪部を有することにより、固定爪部と可動爪部の組合せで足底に支持多角形を形成して多点支持することができ、多様な接地面に対応して、歩行ロボットの脚部を確実に支持することができ、転倒を回避することができる。
(2)基部に摺動自在に保持された可動爪部の下端が、固定爪部の下端より下方に突出していることにより、固定爪部よりも先に可動爪部が接地するので、固定爪部の接地点より低い位置でも可動爪部が接地することができ、接地センサ部で固定爪部の接地を検出した時に、ロック機構により全ての可動爪部の運動を確実に制動することができ、固定爪部と共に足底に確実に平坦な接地面と同等の広さの支持多角形を形成することができ、支持安定性に優れる。
(3)足底支持部が基部に配設されているので、足底支持部と基部を一体的に取り扱うことができ、既存の歩行ロボットの脚部の足底に容易に取り付けて歩行動作の安定性を向上させることができ、組み立て作業性、汎用性に優れる。
(4)3以上の爪部を有することにより、足底に確実に平坦な接地面と同等の広さの支持多角形を形成して多点支持することができるので、歩行ロボットの脚部を安定して支持することができ、特に2足歩行ロボットに対し好適に用いることができる。
(5)足底支持部の可動爪部が上下方向に摺動する摺動型であることにより、接地時に可動爪部の先端部で横滑りが発生しないため、可動爪部の先端部の材質として摩擦係数の大きい摩擦材を使用して、立脚側の足底支持部で十分な摩擦力を得ることができ、歩行中に遊脚側の脚部の慣性力によって歩行ロボットがヨー軸周りに回転することがなく、安定した歩行を実現することができる。
(6)基部に摺動自在に保持された可動爪部の下端が、固定爪部の下端より下方に突出していることにより、固定爪部よりも先に可動爪部が接地するので、固定爪部の接地点より低い位置に可動爪部が接地することができ、何らかの足部姿勢の路面へのならい制御を併用すれば、可動爪部が1箇所のみの構成でも足底に確実に平坦な接地面と同等の広さの支持多角形を形成することができ、支持安定性に優れる機構を安価に構成でき、量産性に優れる。
(7)可動爪部より原理的に剛性と信頼性に優れる固定爪部を組合せることにより、可動爪部の数を減らすことができ、支持安定性に優れる機構を高い剛性で実現でき、故障や動作不良が発生し難く、取り扱い性、信頼性、支持安定性に優れる.
【0019】
ここで、基部、可動爪部、ロック機構については、請求項1と同様であるので、説明を省略する。
爪部は、固定爪部と可動爪部を合わせて3以上であればよく、固定爪部及び可動爪部の数や配置などの組合せは、接地面の凹凸の状況などによって、適宜、選択することができる。可動爪部の数を減らすことにより、多点接地型足部支持機構の構造や制御を簡素化することができ、故障や動作不良が発生し難く、取り扱い性、信頼性に優れる。特に、WO2007/032120に開示されているような凹凸にならって歩行する2足歩行ロボット装置の制御方法と、この多点接地型足部支持機構を併用した場合、少ない可動爪部で凹凸のある接地面への適応性を向上させることができ、汎用性、量産性に優れる。
【0020】
接地センサとしては、固定爪部の接地側の端部に配設し、固定爪部と接地面との接地を検出するものが用いられる。
接地センサの接地部としては、センサ表面に突設されたピンが直接、接地面に当接してスイッチングを行う押しボタン形のものや、センサ表面に一端が回動自在に支持された板ばねの他端が、接地面に当接して揺動することによりセンサ表面の接点に接触してスイッチングを行うヒンジレバー形のもの等がある。ヒンジレバー形の場合、接地面に当接する側の端部には接地面側に突起部を形成又は配設することが好ましい。これにより、より確実に板ばねの端部を接地面に当接させることができ、板ばねを揺動させることができ、スイッチング動作の安定性に優れる。
【0021】
本発明の請求項5に記載の多点接地型足部支持機構を備えた2足歩行ロボットの脚部は、左右の足部と、前記左右の足部の足底にそれぞれ配設された請求項1乃至4の内いずれか1項の多点接地型足部支持機構と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)左右の足部の足底にそれぞれ多点接地型足部支持機構が配設されているので、左右の足部の内、歩行時に接地した足部の多点接地型足部支持機構により、凹凸や段差等がある複雑な接地面においても、足底に平坦な接地面と同等の広さの仮想的な支持多角形を形成して多点支持することができ、2足歩行ロボットの脚部を確実に支持することができ、転倒を回避して安定した歩行を継続することができる。
(2)2足歩行ロボットのZMP制御を行う場合、通常、接地面は水平な平坦面であると仮定し、ZMPが支持多角形内に存在するように歩行パターンを設定するため、従来の剛体平板の足底では、接地面の傾斜面や凹凸を踏んだ場合は2足歩行ロボットが認識する支持多角形と実際の支持多角形とが大きく異なってしまい、歩行が不安定になって最終的には転倒してしまうが、足底支持部の可動爪部が受動的に接地面にならって接地することにより、接地面に凹凸があっても2足歩行ロボットが認識する支持多角形と実際の支持多角形とを常に略一致させることができるので、設定した歩行パターン通りの安定した歩行を行うことができる。
【0022】
ここで、2足歩行ロボットの脚部は、シリアルリンク機構部又はパラレルリンク機構部を有する。パラレルリンク機構部はベース部に配設された受動ジョイントと左右の足部にそれぞれ配設された受動ジョイントとの間に各々配設される。各々のパラレルリンク機構部を2本のリンクを1組としてV字形状に配設し、それを3組配設したスチュワートプラットフォームにより構成した場合、安定性及び剛性に優れると共に、動作制御を簡便化することができる。
リンクとしては、モータを用いた送り螺子機構を有するものや、油圧、水圧、空気圧シリンダや直動型アクチュエータ等を用いた直動リンクや、2以上の棒状部材を駆動関節により連結したもの等種々のものが用いられる。なお、直動リンクを用いた場合、各々の直動リンクはその軸方向へ伸縮するため互いに干渉することがなく装置の小型化が可能であり好ましい。
受動ジョイントとしては、ユニバーサルジョイント、ボールジョイント、又は2軸の軸継手、或いはこれらと1軸或いは2軸の軸継手の組合せ等を各々適宜ベース側や左右の足部に配置して用いられる。なお、ユニバーサルジョイントを用いた場合、ボールジョイントに比べ可動範囲が広くなるため好ましい。
【0023】
本発明の請求項6に記載の2足歩行ロボットの脚部の制御構造は、左右の足部と、前記左右の足部の足底にそれぞれ配設された多点接地型足部支持機構と、を有し、前記多点接地型足部支持機構が前記足底から下端部が突出して配設され接地時にそれぞれ独立して受動的に摺動してその突出量が減少する3以上の可動爪部と、各々の前記可動爪部の移動量を検出する移動量検出センサ部と、各々の前記可動爪部を固定するロック機構と、を備え、前記左右の足部を上下動させて歩行する2足歩行ロボットの制御構造であって、前記左右の足部のそれぞれについて、前記多点接地型足部支持機構の前記移動量検出センサ部で各々の前記可動爪部の移動量を検出し、その移動量に基づいて前記ロック機構により全ての前記可動爪部の運動を制動し、接地した前記足部の前記足底を多点支持する構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)左右の足部のそれぞれについて、多点接地型足部支持機構の各々の可動爪部の移動量を移動量検出センサ部で検出し、その移動量に基づいてロック機構により全ての可動爪部の運動を制動し、接地した足部の足底に仮想的な支持多角形を形成して多点支持することにより、歩行動作の安定性を向上させることができ、2足歩行ロボットの転倒を防止することができる。
【0024】
本発明の請求項7に記載の2足歩行ロボットの脚部の制御構造は、左右の足部と、前記左右の足部の足底にそれぞれ配設された多点接地型足部支持機構と、を有し、前記多点接地型足部支持機構が前記足底から下端部が突出して固設された1以上の固定爪部と,前記固定爪部より下方に突出し接地時に受動的に摺動してその突出量が減少する1以上の可動爪部と,を含む3以上の爪部と、前記固定爪部の接地を検出する接地センサ部と、各々の前記可動爪部を固定するロック機構と、を備え、前記左右の足部を上下動させて歩行する2足歩行ロボットの制御構造であって、前記左右の足部のそれぞれについて、前記多点接地型足部支持機構の前記接地センサ部で各々の前記固定爪部の接地を検出し、前記固定爪部の接地に基づいて前記ロック機構により全ての前記可動爪部の運動を制動し、接地した前記足部の前記足底を多点支持する構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)左右の足部のそれぞれについて、多点接地型足部支持機構の固定爪部の接地を接地センサ部で検出し、固定爪部の接地に基づいてロック機構により全ての可動爪部の運動を制動することにより、接地した足部の足底に3以上の爪部で仮想的な支持多角形を形成して多点支持することができ、歩行動作の安定性を向上させることができ、2足歩行ロボットの転倒を防止することができる。
(2)基部に摺動自在に保持された可動爪部の下端が、固定爪部の下端より下方に突出していることにより、WO2007/032120に開示されているような凹凸にならって歩行する2足歩行ロボット装置の制御方法と、この多点接地型足部支持機構を併用した場合、少ない可動爪部で凹凸のある接地面への適応性を向上させることができ、汎用性、量産性に優れる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明の多点接地型足部支持機構及びそれを備えた2足歩行ロボットの脚部並びにその制御方法によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)足底に配設される基部の底面より下方に下端部が突出して配設され、接地時にそれぞれ独立して上方に移動する摺動自在に保持された3以上の可動爪部を有することにより、接地面の凹凸にならって可動爪部を確実に摺動させることができ、横滑りや凸部からの滑落等を確実に防止することができ、歩行ロボットの歩行動作の安定性に優れ、移動量検出センサ部で各々の可動爪部の移動量を検出して、ロック機構により全ての可動爪部の運動を制動することで足底に平坦な接地面と同等の広さの仮想的な支持多角形を形成して多点支持することができ、脚部を確実に支持して転倒を回避することができる支持安定性、動作安定性に優れた多点接地型足部支持機構を提供することができる。
(2)移動量検出センサ部で各々の可動爪部の移動量を検出することで、確実に全ての可動爪部の接地を確認することができ、ロック機構で全ての可動爪部の運動を確実に制動して接地時における足底の基部を常に略水平に保持することができ、歩行ロボットの胴体や腰の位置や姿勢を設定した通りに制御することができる歩行動作の安定性に優れた多点接地型足部支持機構を提供することができる。
(3)基部に配設された足底支持部を基部と一体的に取り扱うことができるので、既存の歩行ロボットの脚部の足底に容易に取付けを行うことができ、歩行ロボットの歩行動作の安定性を向上させることができる組立て作業性、生産性に優れた多点接地型足部支持機構を提供することができる。
【0026】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)移動量検出センサ部が全ての可動爪部の内のいずれか1つの可動爪部の移動量が設定値に達したことを検出した時に、ロック機構が全ての可動爪部の運動を制動することにより、凹路面を歩行する際に、全ての可動爪部が接地した上で、基準面に接地した可動爪部の移動量を元にして全ての可動爪部をロックすることができ、常に足底を予め設定した基準位置(高さ)に維持して安定した歩行を行うことができる凹路面での歩行の信頼性に優れた多点接地型足部支持機構を提供することができる。
【0027】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)ロック機構のアクチュエータによりカムを回動させるだけで、カムの接触面を足底支持部の傾斜面に当接させて確実に可動爪部の上方への移動を防止することができ、足底支持部による多点支持を行なって脚部を安定して支持することができる信頼性、確実性に優れた多点接地型足部支持機構を提供することができる。
(2)可動爪部の傾斜面が上端側から下方に向かって拡開して形成され、カムの接触面が楕円弧状に形成されていることにより、可動爪部の移動量によらず、可動爪部の傾斜面にカムの接触面を確実に当接させることができるロック機構の動作安定性に優れた多点接地型足部支持機構を提供することができる。
(3)アクチュエータがカムを垂直面内で回動させるように配置することにより、ロック機構の設置スペースを狭くすることができる小型軽量で省スペ−ス性に優れた多点接地型足部支持機構を提供することができる。
【0028】
請求項4に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)足底に配設される基部の底面より下方に下端部が突出して固設された1以上の固定爪部と,固定爪部より下方に突出し接地時に上方に移動する摺動自在に保持された1以上の可動爪部と,を含む3以上の爪部を有することにより、接地面の凹凸によらず、固定爪部よりも先に可動爪部を接地させ、可動爪部を確実に足底の上方に摺動させることができ、接地センサ部で固定爪部の接地を検出して、ロック機構により全ての可動爪部の運動を制動することで、固定爪部と可動爪部によって足底に平坦な接地面と同等の広さの仮想的な支持多角形を形成して多点支持することができ、脚部を確実に支持して転倒を回避することができる支持安定性、動作安定性に優れた多点接地型足部支持機構を提供することができる。
(2)基部に配設された足底支持部を基部と一体的に取り扱うことができるので、既存の歩行ロボットの脚部の足底に容易に取付けを行うことができ、歩行ロボットの歩行動作の安定性を向上させることができる組立て作業性、生産性に優れた多点接地型足部支持機構を提供することができる。
(3)基部に摺動自在に保持された可動爪部の下端が、固定爪部の下端より下方に突出しているので、WO2007/032120に開示されているような凹凸にならって歩行する2足歩行ロボット装置の制御方法と、この多点接地型足部支持機構を併用した場合、少ない可動爪部で凹凸のある接地面への適応性を向上させることができ、汎用性、量産性に優れた多点接地型足部支持機構を提供することができる。
【0029】
請求項5に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)左右の足部の足底にそれぞれ多点接地型足部支持機構が配設されているので、左右の足部の内、歩行時に接地した足部の多点接地型足部支持機構により、凹凸や段差等がある複雑な接地面においても、足底に平坦な接地面と同等の広さの仮想的な支持多角形を形成することができ、脚部を確実に多点支持することができ、転倒を回避することができる歩行時の安定性に優れた多点接地型足部支持機構を備えた2足歩行ロボットの脚部を提供することができる。
【0030】
請求項6に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)左右の足部のそれぞれについて、多点接地型足部支持機構の各々の足底支持部の移動量を移動量検出センサ部で検出し、その移動量に基づいてロック機構により全ての足底支持部の運動を制動し、接地した足部の足底に仮想的な支持多角形を形成して多点支持することができ、2足歩行ロボットの脚部を確実に支持することができる歩行動作の安定性に優れた2足歩行ロボットの脚部の制御構造を提供することができる。
【0031】
請求項7に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)左右の足部のそれぞれについて、多点接地型足部支持機構の固定爪部の接地を接地センサ部で検出し、固定爪部の接地に基づいてロック機構により全ての可動爪部の運動を制動し、接地した足部の足底に仮想的な支持多角形を形成して多点支持することができ、2足歩行ロボットの脚部を確実に支持することができる歩行動作の安定性に優れた2足歩行ロボットの脚部の制御構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における多点接地型足部支持機構について、以下図面を用いて説明する。
図1は本発明の実施の形態1における多点接地型足部支持機構を示す斜視図である。
図1中、1は本発明の実施の形態1における多点接地型足部支持機構、2はアルミニウム合金等の金属製で外形が略矩形状に形成された多点接地型足部支持機構1の基部、2aは基部2の中央部に略円形に形成され床や路面等の接地面からの反力を検出しZMPの位置を測定するための6軸力覚センサ(図示せず)が固設される基部2の力覚センサ固定部、2bは力覚センサ固定部2aの表面に穿設され6軸力覚センサの位置決めを行うための位置決めピンが挿通される2箇所の位置決め孔、2cは力覚センサ載置部2aの位置決め孔2bの対称位置に穿設され6軸力覚センサをねじ止めにより固定する固定ボルトが挿通される4箇所のボルト挿通孔、2dは基部2の底面、2eは力覚センサ載置部2aの外周に放射状に底面2dに立設され底面2dを補強する基部2のリブ、3は基部2を後述する4つの可動爪部4により多点支持する多点接地型足部支持機構1の足底支持部、3aは足底支持部3の可動爪部4を基部2に取り付けるためのアタッチメント部、3bはアタッチメント部3aに固設され可動爪部4を上下方向に摺動自在に支持する多点接地型足部支持機構1の摺動支持部、4は長尺平板状に形成された摺動部4aで摺動支持部3bに摺動自在に支持され基部2の底面2dより下方に下端部が突出して配設された多点接地型足部支持機構1の可動爪部、4bは摺動部4aの表面に配設され上端側から下方に向かって拡開して形成された傾斜面4cを有する可動爪部4の当接部、4dは合成ゴム製の摩擦材(雪の降る日はスノーシュー)で形成され当接部4bの下端部に着脱自在に配設された可動爪部4の先端接触部、4e,4fは摺動部4aの上端部を両側から挟むように配設され可動爪部4の摺動時に摺動支持部3bの上端部に当接して可動爪部4の抜けを防止するストッパー部、4gはストッパー部4fの側部に配設されたワイヤー固定部、5は可動爪部4の側部に配設され可動爪部4の移動量を検出する多点接地型足部支持機構1の移動量検出センサ部、5aは移動量検出センサ部5のワイヤー式リニアエンコーダ本体、5bはワイヤー式リニアエンコーダ本体5aから可動爪部4と平行に張設され可動爪部4と共に摺動するワイヤー、5cはワイヤー5bの先端に環状に形成されワイヤー固定部4gに挿通されたワイヤー5bの挿通部、6は可動爪部4の運動を制動する多点接地型足部支持機構1のロック機構、6aはロータリソレノイドを用いたロック機構6のアクチュエータ、6bはアクチュエータ6の回動軸、7は回動軸6bに挿設されて垂直面内で回動するロック機構6のカム、8は可動爪部4,移動量検出センサ部5,ロック機構6がユニット化され基部2の四隅に着脱自在に配設された多点接地型足部支持機構1の適応接地型爪部である。
【0033】
基部2に6軸力覚センサが固設される力覚センサ固定部2aを有し、力覚センサ固定部2aの表面に6軸力覚センサの位置決めを行うための位置決めピンが挿通される2箇所の位置決め孔2b及び6軸力覚センサをねじ止めにより固定する固定ボルトが挿通される4箇所のボルト挿通孔2cが穿設されているので、容易に力覚センサ固定部2aに6軸力覚センサを位置決めし、固定することができる。これにより、6軸力覚センサを介して既存の2足歩行ロボット等の足部に多点接地型足部支持機構1を取付けることができ、床や路面等の接地面からの反力を検出しZMPの位置を測定することができる。
基部2及び力覚センサ固定部2aの形状を変更するだけで、種々の形状の2足歩行ロボット等の足部に多点接地型足部支持機構1を取付けることができ、汎用性に優れる。
【0034】
次に、足底支持部の可動爪部及びロック機構の詳細について説明する。
図2(a)は足底支持部の可動爪部及びロック機構を示す要部断面側面図であり、図2(b)は足底支持部の可動爪部の固定状態を示す要部断面側面図である。
図2中、7aは可動爪部4の傾斜面4cに当接するカム7の楕円弧状の接触面、20は路面などの接地面である。
本実施の形態では、摺動支持部3bと摺動部4aの組合せとして、市販のTHK製のボールリテーナ入りLMガイドを使用し、摺動部4aの表面に傾斜面4cを有する当接部4bを配設して可動爪部4とした。これにより、摺動支持部3bに対して滑らかに摺動部4aを移動させることができる。遊脚時に自重により可動爪部4が下方に摺動して最大長となることにより、可動爪部4の接地前に常に最大ストロークを確保することができ、基部2の底面2dより下方に突出した可動爪部4の下端部が路面等の接地面20に接地した際(立脚時)に、足底からの突出量が減少するように可動爪部4を確実に上方に移動させることができ、接地面20の凹凸に倣って脚部を支持することができる。
尚、可動爪部4は本実施の形態に限定されるものではなく、基部2に対して摺動自在に支持されていればよい。また、摺動部4aと当接部4bは一体に形成してもよい。
【0035】
可動爪部4の下端に合成ゴム製の摩擦材で形成した先端接触部4dを配設することにより、接地面20との摩擦力を大きくすることができ、歩行時におけるヨー軸周りの回転を抑制して歩行動作を安定させた。
本実施の形態では、弾性変形の影響を極力小さくするために、ショア硬さ90程度の硬質で耐久性に優れるクロロプレンゴムを用いたが、先端接触部4dの材質は、これに限定されるものではない。
尚、先端接触部4dを可動爪部4に対して着脱自在に配設することにより、接地面20の硬さや表面状態などに応じて材質の異なる先端接触部4dを選択することや、摩耗した先端接触部4dを容易に交換することができ、汎用性、メンテナンス性に優れる。
【0036】
図1に示したように、可動爪部4の上端部のストッパー部4fの側部に配設されたワイヤー固定部4gにワイヤー5bの先端の挿通部5cが挿通されて固定されているので、可動爪部4と共にワイヤー5bが上下に摺動する。移動量検出センサ部5はワイヤー式リニアエンコーダ本体5aからのワイヤー5bの引き出し量(移動量)を測定することにより可動爪部4の移動量を検出することができる。可動爪部4のストロークの中間点を基準位置とすることにより、可動爪部4が基準位置を中心にストロークの1/2ずつ上下に移動することができ、接地面20の凹凸に対応することができる。
尚、移動量検出センサ部5は本実施の形態に限定されるものではなく、可動爪部4の移動量を検出できるものであればよい。また、基準位置は任意に設定することができるので、接地面20における凹部の深さや凸部の高さなどに応じて、ロック機構6によるロックのタイミングを適宜、選択することができ、様々な地形に対応することができる。
【0037】
ロック機構6は、移動量検出センサ部5からの信号に従って、アクチュエータ6aを駆動し、アクチュエータ6aによりカム7を回動させ、可動爪部4の傾斜面4cにカム7の接触面7aを当接させて、くさびのようにして可動爪部4を固定することができる。可動爪部4の下端部が接地して可動爪部4に負荷がかかっている状態でのみロックがかかるようにすることで、足底が上昇を始めると共に、可動爪部4が自重により下方に摺動し、ロックが自動的に解除される。尚、カム7は別途、アクチュエータ6aにより駆動されて初期位置に復帰する。
可動爪部4,移動量検出センサ部5,ロック機構6をユニット化した適応接地型爪部8を基部2に対して着脱自在にすることにより、不具合が生じた適応接地型爪部8のみを取り外して修理したり、交換したりすることができメンテナンス性に優れる。また、必要に応じて可動爪部4が伸縮しない固定型爪部にユニット毎交換することができるので、適応接地型爪部8と固定型爪部の組合せや配置を任意に選択することができ汎用性に優れる。
尚、可動爪部4の数や配置は本実施の形態に限定されるものではなく、3つ以上の可動爪部4によって足底に平坦な接地面と同等の広さの仮想的な支持多角形を形成して多点支持することができるものであればよい。
【0038】
以上のように構成された本発明の実施の形態1における多点接地型足部支持機構について、以下その動作の詳細を説明する。
多点接地型足部支持機構1の1組の適応接地型爪部8に着目する。
図2(a)において、基部2が下降すると、可動爪部4の先端接触部4dが接地面20に接触する。図2(b)において、さらに基部2が下降すると、可動爪部4が上方に移動し、このときの移動量が移動量検出センサ部5(図1参照)によって検出され、移動量検出センサ部5からの移動量の信号は図示しない配線を通って制御部(図示せず)へ送られる。
各々の移動量検出センサ部5からの移動量の信号を受取った制御部は、移動量が予め設定した設定値に達した時に、ロック機構6のアクチュエータ6aに可動爪部4の運動を制動してその状態を保持するように指示する。
アクチュエータ6aの回動軸6bが回動することにより、カム7の接触面7aが可動爪部4の傾斜面4cに当接し、可動爪部4が上昇するのを防止して可動爪部4の運動を制動する。
全ての可動爪部4の運動を制動することにより、足底の4点接地が略矩形状の支持多角形を形成し、確実に脚部を多点支持することができる。
【0039】
以上のように、各可動爪部4が独立して動作するので、各可動爪部4が接地面20の凹凸や傾斜にならって動作することができる。このとき、移動量検出センサ部5で各々の可動爪部4の移動量を直接、検出することができるので、左右の足底の高さや、各足底における各々の可動爪部4の移動量を比較することや、予め設定した基準位置(高さ)に達するまでに要する時間を測定すること等により、接地面20の凹凸を判断することができ、基準位置を維持しながら凹凸面に対応して安定した連続歩行を行うことができ、汎用性、歩行動作の安定性を向上させることができる。
また、この多点接地型足部支持機構1は既存の歩行ロボットの足部に容易に取付けることができ、可動爪部4によって各足底に確実に支持多角形を形成して多点支持することができるので、車輪移動式のロボットで侵入できない凹凸の激しい場所や多脚のロボットに必要な広い支持基底面を確保できない場所で歩行を行う2足歩行ロボットに対し特に有用であるが、4足や6足等の多脚の歩行ロボットや作業テーブルなどに対して取付けることも可能である。
【0040】
以上のように構成された本発明の実施の形態1における多点接地型足部支持機構を備えた2足歩行ロボットの脚部について、図面を用いて説明する。
図3は本発明の実施の形態1における多点接地型足部支持機構を備えた2足歩行ロボットの脚部を示す斜視図であり、図4はベース部受動ジョイントの要部斜視図であり、図5は足部受動ジョイントの要部斜視図である。
図3中、10は本発明の実施の形態1における多点接地型足部支持機構1を備えた2足歩行ロボットの脚部、11は2足歩行ロボットの脚部10のベース部、12a、12bは略三角形状に形成され足底に多点接地型足部支持機構1が配設された2足歩行ロボット10の左右の足部、13は2本の直動リンク13a、13bを1組としてV字形状に配設された2足歩行ロボットの脚部10のパラレルリンク機構部、14は二個一組でベース部11の左右にそれぞれ3箇所ずつ互いに対称に配設され3組のパラレルリンク機構部13の上端と連結された2自由度を有するベース部受動ジョイント、15は左右の足部12a、12bにそれぞれ3箇所ずつ互いに対称に配設され3組のパラレルリンク機構部13の下端と連結された3自由度を有する足部受動ジョイントである。
【0041】
図4中、16aはベース部11の下部に固定されたコ字形状のベース部上部継手、16bはベース部上部継手16aの立設された対向辺に架設された上部継手軸、16cは直動リンク13a,13bの上端部に固定されたコ字形状のベース部下部継手、16dはベース部下部継手16cの立設された対向辺に架設されベース部下部継手16cを回動自在に軸支する下部継手軸、16eは上部継手軸16bと下部継手軸16dを直交させて連結する連結回動部である。
図5中、17aは直動リンク13aの下端部に連結されたコ字形状の第1の足部上部継手、17bは直動リンク13bの下端部に連結されたコ字形状の第2の足部上部継手、17cは第1の足部上部継手17aと第2の足部上部継手17bのそれぞれの両側に垂設された対向辺に架設され第1の足部上部継手17aと第2の足部上部継手17bを連結し各々回動自在に軸支する上部継手軸、17dは後述の基部を介して足部12a,12bに連結されたコ字形状の足部下部継手、17eは足部下部継手17dの両側に立設された対向辺に架設された下部継手軸、17fは上部継手軸17cと下部継手軸17eを直交させて連結する連結回動部、18は足部12a,12b上に固定された継手固定部、18aは継手固定部18に対して足部下部継手17dを回動自在に軸支する継手回動軸である。
【0042】
図4に示すように、ベース部下部継手16cは、ベース部上部継手16aに対して、上部継手軸16bと下部継手軸16dの軸周方向に回動する。これにより、ベース部受動ジョイント14は、直動リンク13a,13bの長手方向に直交する上部継手軸16bと下部継手軸16dの軸周方向に2自由度を有するので、直動リンク13a(13b)の伸縮に追従してこれを妨げることなく円滑に従動して歩行動作を行うことができる。
また、図5に示すように、第1の足部上部継手17a及び第2の足部下部継手17bは、足部下部継手17dに対して、上部継手軸17cと下部継手軸17eの軸周方向に回動する。また、足部下部継手17dは、継手固定部18に対して、継手回動軸18aの軸周方向に回動する。これにより、足部受動ジョイント15は、直動リンク13a,13bの長手方向に直交する上部継手軸17cと下部継手軸17eの軸周方向に2自由度を有すると共に、直動リンク13a,13bの軸方向の継手回動軸18aの軸周方向に1自由度を有するので、直動リンク13a,13bの伸縮に追従してこれを妨げることなく円滑に従動して歩行動作を行うことができる。
【0043】
各々のパラレルリンク機構部13が、2本の直動リンク13a、13bを1組としてV字形状に配設され、それが3組配設されたスチュワートプラットフォームにより構成されていることにより、安定性及び剛性に優れると共に、動作制御を簡便化することができる。パラレルリンク機構部13のリンクとして直動リンク13a、13bを用いたことにより、各々の直動リンク13a、13bがその軸方向へ伸縮するため互いに干渉することがなく、2足歩行ロボット10を小型化している。
ベース部受動ジョイント14、足部受動ジョイント15はそれぞれユニバーサルジョイント、ボールジョイント、又は2軸の軸継手、或いはこれらと1軸或いは2軸の軸継手を組合せたもの等を用いることができる。なお、ユニバーサルジョイントを用いた場合、ボールジョイントに比べ可動範囲が広くなるため好ましい。
左右の脚部に用いられる各々のパラレルリンク機構部13は、ベース部11の両側に互いに対称に配設し、パラレルリンク機構部13に用いられる直動リンク13a、13bも、それぞれ左右の脚部で同様に対称に配設した。
【0044】
以上のように構成された本発明の実施の形態1における多点接地型足部支持機構を備えた2足歩行ロボットの制御構造について、図面を用いて説明する。
図6は本発明の実施の形態1における多点接地型足部支持機構を備えた2足歩行ロボットの歩行状態を示す足部の拡大側面図である。
図6中、20aは接地面20の凹部である。
左右の足部12a、12bにそれぞれ多点接地型足部支持機構1を備えた2足歩行ロボット10は、左右の足部12a、12bそれぞれについて、多点接地型足部支持機構1の全ての可動爪部4の移動量を移動量検出センサ部5(図1参照)で検出し、その移動量に基づいてロック機構6により全ての可動爪部4の運動を制動する。
【0045】
各々の可動爪部4は接地面20の凹凸にならって上方に摺動するが、凹部20aを有する接地面20上を歩行する場合、まず、一方の足部12aの1つの可動爪部4が接地面20の基準面(表面)に接地し、続いて他の可動爪部4が凹部20aに接地することになるが、従来のように全ての可動爪部4が接地した段階で全ての可動爪部4にロックをかけると、凹部20aの深さによってロックのタイミングが変化してしまい、足部の高さがまちまちになってしまう。そこで、全ての可動爪部4が接地してもロックをかけずに、移動量検出センサ部5が一方の足部12aの全ての可動爪部4の内のいずれか1つの可動爪部4の移動量が設定値Lに達したことを検出した時に、ロック機構6が全ての可動爪部4の運動を制動する構造とする。これにより、基準面である接地面20の表面に接地した可動爪部4(図6の右側)の移動量が設定値Lに達した時点で全ての可動爪部4をロックすることができるので、予め設定した基準位置(高さ)に足部12aの高さを維持することができ、凹部20aを有する接地面20においても安定した歩行を行うことができる。
【0046】
以上のように実施の形態1における多点接地型足部支持機構によれば、以下の作用を有する。
(1)歩行ロボットの脚部の足底に配設される基部2の底面2dより下方に下端部が突出して配設され、接地時にそれぞれ独立して上方に移動する摺動自在に保持された4つの可動爪部4を有することにより、回動型の足底支持部に比べてストロークが長く、凹凸に対する自由度を向上させることができ、横滑りや凸部からの滑落などを確実に防止することができ、歩行ロボットの歩行動作の安定性に優れる。
(2)基部2に摺動自在に保持された各々の可動爪部4が、受動的に接地面20の凹凸にならって足底(基部2の底面2d)からの突出量が減少する方向に移動する(上方に摺動する)ので、移動量検出センサ部5で検出した可動爪部4の移動量に基づいて、ロック機構6により全ての可動爪部4の運動を制動することにより、足底に平坦な接地面20と同等の広さの仮想的な支持多角形(四角形)を形成して多点支持することができ、歩行ロボットの脚部を確実に支持することができ、転倒を回避することができる。
(3)各々の可動爪部4の移動量を検出する移動量検出センサ部5を有することにより、確実に可動爪部4の接地を確認することができ、ロック機構6によって可動爪部4の運動を確実に制動することができるので、接地時における足底の基部2を常に略水平に保持することができ、これに伴って歩行ロボットの胴体や腰の位置や姿勢を設定した通りに制御することができ、歩行動作の安定性に優れる。
(4)可動爪部4が基部2に摺動自在に保持されているので、可動爪部4の下端部が路面等の接地面20に接地した際(立脚時)に、接地面20の凹凸によらず、各々の可動爪部4を容易かつ確実に足底の上方に摺動させることができ、足底が接地面20の凸部から滑落することがなく、ロック機構6により全ての可動爪部4の運動を確実に制動することができ、足底に確実に平坦な接地面20と同等の広さの支持多角形を形成することができ、支持安定性に優れる。
(5)足底支持部3が基部2に配設されているので、足底支持部3と基部2を一体的に取り扱うことができ、既存の歩行ロボットの脚部の足底に容易に取り付けて歩行動作の安定性を向上させることができ、組み立て作業性、汎用性に優れる。
(6)4つの可動爪部4を有することにより、足底に確実に平坦な接地面20と同等の広さの支持多角形を形成して多点支持することができるので、歩行ロボットの脚部を安定して支持することができ、特に2足歩行ロボットに対し好適に用いることができる。
(7)足底支持部3の可動爪部4が上下方向に摺動する摺動型であることにより、接地時に可動爪部4の先端部で横滑りが発生しないため、可動爪部4の先端接触部4dの材質として摩擦係数の大きい摩擦材を使用して、立脚側の可動爪部4と接地面20との間で十分な摩擦力を得ることができ,歩行中に遊脚側の脚部の慣性力によって歩行ロボットがヨー軸周りに回転することがなく、安定した歩行を実現することができ信頼性に優れる。
(8)移動量検出センサ部5が全ての可動爪部4の内のいずれか1つの可動爪部4の移動量が設定値に達したことを検出した時に、ロック機構6が全ての可動爪部4の運動を制動することにより、凹路面を歩行する際に、全ての可動爪部4が接地し、基準面(接地面20の表面)に接地した可動爪部4の移動量が設定値に達した時点で全ての可動爪部4をロックすることにより、基準位置(高さ)より高い位置で可動爪部4がロックされることがなく、予め設定した基準位置(高さ)に足底を維持して安定した歩行を行うことができ、凹路面での歩行の信頼性に優れる。
(9)各々の可動爪部4が、上端側から下方に向かって拡開して形成された傾斜面4cを有し、ロック機構6が、各々の可動爪部4の傾斜面4cに当接する楕円弧状の接触面7aを有するカム7と、カム7を垂直面内で回動させるアクチュエータ6aと、を備えているので、ロック機構6のアクチュエータ6aによりカム7を回動させるだけで、カム7の接触面7aを可動爪部4の傾斜面4cに当接させて確実に可動爪部4の上方への移動を防止することができ、可動爪部4による多点支持を行なって脚部を安定して支持することができる。
(10)可動爪部4の傾斜面4cが上端側から下方に向かって拡開して形成され、カム7の接触面7aが楕円弧状に形成されているので、可動爪部4の移動量に応じて、カム7の回転角を変化させることにより、可動爪部4の傾斜面4cにカム7の接触面7aを確実に当接させることができ、ロック機構6の動作安定性に優れる。
(11)アクチュエータ6aがカム7を垂直面内で回動させるように配置することにより、ロック機構6の設置スペースを狭くすることができ、省スペ−ス性に優れ、多点接地型足部支持機構1の小型軽量化を図ることができる。
【0047】
実施の形態1における多点接地型足部支持機構を備えた2足歩行ロボットの脚部によれば、以下の作用を有する。
(1)左右の足部12a,12bの足底にそれぞれ多点接地型足部支持機構1が配設されているので、左右の足部12a,12bの内、歩行時に接地した足部12a(12b)の多点接地型足部支持機構1により、凹凸や段差等がある複雑な接地面20においても、足底に平坦な接地面20と同等の広さの仮想的な支持多角形を形成して多点支持することができ、2足歩行ロボットの脚部10を確実に支持することができ、転倒を回避して安定した歩行を継続することができる。
(2)2足歩行ロボットのZMP制御を行う場合、通常、接地面は水平な平坦面であると仮定し、ZMPが支持多角形内に存在するように歩行パターンを設定するため、従来の剛体平板の足底では、接地面20の傾斜面や凹凸を踏んだ場合は2足歩行ロボットが認識する支持多角形と実際の支持多角形とが大きく異なってしまい、歩行が不安定になって最終的には転倒してしまうが、各々の足底支持部3の可動爪部4が受動的に接地面20にならって接地することにより、接地面20に凹凸があっても2足歩行ロボットが認識する支持多角形と実際の支持多角形とを常に略一致させることができるので、設定した歩行パターン通りの安定した歩行を行うことができる。
【0048】
実施の形態1における2足歩行ロボットの脚部の制御構造によれば、以下の作用を有する。
(1)左右の足部12a,12bのそれぞれについて、多点接地型足部支持機構1の各々の可動爪部4の移動量を移動量検出センサ部5で検出し、その移動量に基づいてロック機構6により全ての可動爪部4の運動を制動し、接地した足部12a,12bの足底に仮想的な支持多角形を形成して多点支持するので、歩行動作の安定性を向上させることができ、2足歩行ロボットの転倒を防止することができる。
【0049】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における多点接地型足部支持機構について、以下図面を用いて説明する。尚、実施の形態1と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
図7は本発明の実施の形態2における多点接地型足部支持機構を示す斜視図である。
図7において、実施の形態2の多点接地型足部支持機構1Aが実施の形態1と異なるのは、足底支持部3Aが、基部2の底面2dより下方に下端部が突出して固設された3つの固定爪部4Aと、固定爪部4Aより下方に突出し接地時に上方に移動する摺動自在に保持された1つの可動爪部4を有する点である。
【0050】
次に、固定爪部の詳細について説明する。
図8は足底支持部の固定爪部の接地センサ部を示す要部断面側面図である。
図8中、5Aは固定爪部4Aの接地を検出する多点接地型足部支持機構1Aの接地センサ部である。
接地センサ5Aとしては、固定爪部4Aの接地側の端部に配設し、固定爪部4Aと接地面20との接地を検出するものであればよい。
本実施の形態では、接地センサ5Aの接地部として、センサ表面に突設されたピンが直接、接地面20に当接してスイッチングを行う押しボタン形のものを用いたが、これに限定されるものではなく、例えばセンサ表面に一端が回動自在に支持された板ばねの他端が、接地面に当接して揺動することによりセンサ表面の接点に接触してスイッチングを行うヒンジレバー形のもの等を用いることができる。
【0051】
以上のように構成された本発明の実施の形態2における多点接地型足部支持機構の動作に基づいて、実施の形態2における多点接地型足部支持機構を備えた2足歩行ロボットの制御構造について、図面を用いて説明する。
図9は本発明の実施の形態2における多点接地型足部支持機構を備えた2足歩行ロボットの歩行状態を示す足部の拡大側面図である。尚、実施の形態2における多点接地型足部支持機構を備えた2足歩行ロボットの脚部については、実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
図9中、20bは接地面20の凸部である。
【0052】
まず、図7においては、足底支持部3Aが平坦な接地面に接地している状態を示しているが、実施の形態1で説明したように、可動爪部4は、遊脚時に自重若しくは圧縮ばねなどの付勢手段等により下方に摺動して最大長となり、可動爪部4の下端は固定爪部4Aの下端より下方に突出している。これにより、接地面20の凹凸によらず、固定爪部4Aよりも先に可動爪部4が接地させることができる。
凸部20bを有する接地面20上を歩行する場合、一方の足部12aの基部2が遊脚状態から下降すると、図9に示すように、まず、可動爪部4の先端接触部4dが接地面20の凸部20bに接触する。さらに基部2が下降すると、可動爪部4が上方に移動し、固定爪部4Aが接地面20に接地する。固定爪部4Aの接地が接地センサ部5A(図8参照)によって検出され、接地センサ部5Aからの信号は図示しない配線を通って制御部(図示せず)へ送られる。
接地センサ部5Aからの接地の信号を受取った制御部は、ロック機構6に可動爪部4の運動を制動してその状態を保持するように指示する。
尚、ロック機構6の動作は実施の形態1と同様なので説明を省略する。
固定爪部4Aの接地センサ部5Aで可動爪部4の運動を制動することにより、足底の4点接地が略矩形状の支持多角形を形成し、確実に脚部を多点支持することができる。
【0053】
本実施の形態では、多点接地型足部支持機構1Aが1つの可動爪部4と3つの固定爪部4Aを有する場合について説明したが、可動爪部4及び固定爪部4Aの数や配置などの組合せは、接地面20の凹凸の状況などによって、適宜、選択することができる。可動爪部4の数を減らすことにより、多点接地型足部支持機構1Aの構造や制御を簡素化することができ、故障や動作不良が発生し難く、取り扱い性、信頼性に優れる。特に、WO2007/032120に開示されているような凹凸にならって歩行する2足歩行ロボット装置の制御方法と、この多点接地型足部支持機構1Aを併用した場合、少ない可動爪部4で凹凸のある接地面20への適応性を向上させることができ、汎用性、量産性に優れる。
【0054】
以上のように実施の形態2における多点接地型足部支持機構によれば、以下の作用を有する。
(1)歩行ロボットの脚部の足底に配設される基部2の底面2dより下方に下端部が突出して固設された3つの固定爪部4Aと、固定爪部4Aより下方に突出し接地時に上方に移動する摺動自在に保持された1つの可動爪部4とを有することにより、固定爪部4Aと可動爪部4の組合せで足底に支持多角形を形成して多点支持することができ、多様な接地面20に対応して、歩行ロボットの脚部を確実に支持することができ、転倒を回避することができる。
(2)基部2に摺動自在に保持された可動爪部4の下端が、固定爪部4Aの下端より下方に突出していることにより、固定爪部4Aよりも先に可動爪部4が接地するので、接地センサ部5Aで固定爪部4Aの接地を検出した時に、ロック機構6により可動爪部4の運動を確実に制動することができ、固定爪部4Aと共に足底に確実に平坦な接地面20と同等の広さの支持多角形を形成することができ、支持安定性に優れる。
(3)足底支持部3Aが基部2に配設されているので、足底支持部3Aと基部2を一体的に取り扱うことができ、既存の歩行ロボットの脚部の足底に容易に取り付けて歩行動作の安定性を向上させることができ、組み立て作業性、汎用性に優れる。
(4)3つの固定爪部4Aと1つの可動爪部4を合わせた4つの爪部を有することにより、足底に確実に平坦な接地面20と同等の広さの支持多角形を形成して多点支持することができるので、歩行ロボットの脚部を安定して支持することができ、特に2足歩行ロボットに対し好適に用いることができる。
(5)足底支持部3Aの可動爪部4が上下方向に摺動する摺動型であることにより、接地時に可動爪部4の先端部で横滑りが発生しないため、可動爪部4の先端部の材質として摩擦係数の大きい摩擦材を使用して、立脚側の足底支持部3Aで十分な摩擦力を得ることができ、歩行中に遊脚側の脚部の慣性力によって歩行ロボットがヨー軸周りに回転することがなく、安定した歩行を実現することができる。
(6)可動爪部4より原理的に剛性と信頼性に優れる固定爪部4Aを組合せることにより、可動爪部4の数を減らすことができ、支持安定性に優れる多点接地型足部支持機構1Aを高い剛性で実現でき、故障や動作不良が発生し難く、取り扱い性、信頼性、支持安定性に優れる.
【0055】
実施の形態2における多点接地型足部支持機構を備えた2足歩行ロボットの脚部によれば、実施の形態1と同様の作用を有する。
【0056】
実施の形態2における2足歩行ロボットの脚部の制御構造によれば、以下の作用を有する。
(1)左右の足部12a,12bのそれぞれについて、多点接地型足部支持機構1Aの固定爪部4Aの接地を接地センサ部5Aで検出し、固定爪部4Aの接地に基づいてロック機構6により可動爪部4の運動を制動することにより、接地した足部12a,12bの足底に仮想的な支持多角形を形成して多点支持することができ、歩行動作の安定性を向上させることができ、2足歩行ロボットの転倒を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、既存の2足歩行ロボット等の脚部の足底に容易に取付けることができ、足底支持部の可動爪部が受動的に路面等の接地面の凹凸にならって確実に摺動することができ、固定爪部の接地や可動爪部の移動量を検出して足底支持部の運動を制動することにより、段差等がある接地面においても、速やか、かつ、確実に足底を多点支持することができ、転倒を回避することができる信頼性に優れる多点接地型足部支持機構の提供、及び凹凸や段差等がある複雑な地形においても、安定した姿勢を維持して活動することができる歩行動作の安定性、汎用性に優れる多点接地型足部支持機構を備えた2足歩行ロボットの脚部の提供、並びにその制御構造の提供を行うことができ、特に、車輪移動式のロボットで侵入できない凹凸の激しい場所や多脚のロボットに必要な広い支持基底面を確保できない場所で歩行を行う2足歩行ロボットの普及を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態1における多点接地型足部支持機構を示す斜視図
【図2】(a)足底支持部及びロック機構を示す要部断面側面図(b)足底支持部の制動状態を示す要部断面側面図
【図3】本発明の実施の形態1における多点接地型足部支持機構を備えた2足歩行ロボットを示す斜視図
【図4】ベース部受動ジョイントの要部斜視図
【図5】足部受動ジョイントの要部斜視図
【図6】本発明の実施の形態1における多点接地型足部支持機構を備えた2足歩行ロボットの歩行状態を示す足部の拡大側面図
【図7】本発明の実施の形態2における多点接地型足部支持機構を示す斜視図
【図8】足底支持部の固定爪部の接地センサ部を示す要部断面側面図
【図9】本発明の実施の形態2における多点接地型足部支持機構を備えた2足歩行ロボットの歩行状態を示す足部の拡大側面図
【符号の説明】
【0059】
1,1A 多点接地型足部支持機構
2 基部
2a 力覚センサ固定部
2b 位置決め孔
2c ボルト挿通孔
2d 底面
2e リブ
3 足底支持部
3A 適応接地型爪部
3a アタッチメント部
3b 摺動支持部
4 可動爪部
4A 固定爪部
4a 摺動部
4b 当接部
4c 傾斜面
4d 先端接触部
4e,4f ストッパー部
4g ワイヤー固定部
5 移動量検出センサ部
5A 接地センサ部
5a ワイヤー式リニアエンコーダ本体
5b ワイヤー
5c 挿通部
6 ロック機構
6a アクチュエータ
6b 回動軸
7 カム
7a 接触面
8 適応接地型爪部
10 2足歩行ロボット
11 ベース部
12a、12b 足部
13 パラレルリンク機構部
13a、13b 直動リンク
14 ベース部受動ジョイント
15 足部受動ジョイント
16a ベース部上部継手
16b 上部継手軸
16c ベース部下部継手
16d 下部継手軸
16e 連結回動部
17a 第1の足部上部継手
17b 第2の足部上部継手
17c 上部継手軸
17d 足部下部継手
17e 下部継手軸
17f 連結回動部
18 継手固定部
18a 継手回動軸
20 接地面
20a 凹部
20b 凸部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行ロボットの脚部の足底に配設される基部と、前記基部を多点支持する足底支持部と、を備えた多点接地型足部支持機構であって、
前記足底支持部が、前記基部の底面より下方に下端部が突出して配設され接地時にそれぞれ独立して上方に移動する摺動自在に保持された3以上の可動爪部と、各々の前記可動爪部の移動量を検出する移動量検出センサ部と、前記移動量検出センサ部で検出した前記可動爪部の移動量に基づいて全ての前記可動爪部の運動を制動するロック機構と、を備えたことを特徴とする多点接地型足部支持機構。
【請求項2】
前記移動量検出センサ部が全ての前記可動爪部の内のいずれか1つの前記可動爪部の移動量が設定値に達したことを検出した時に、前記ロック機構が全ての前記可動爪部の運動を制動することを特徴とする請求項1に記載の多点接地型足部支持機構。
【請求項3】
各々の前記可動爪部が、上端側から下方に向かって拡開して形成された傾斜面を有し、前記ロック機構が、各々の前記可動爪部の前記傾斜面に当接する楕円弧状の接触面を有するカムと、前記カムを垂直面内で回動させるアクチュエータと、を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の多点接地型足部支持機構。
【請求項4】
歩行ロボットの脚部の足底に配設される基部と、前記基部を多点支持する足底支持部と、を備えた多点接地型足部支持機構であって、
前記足底支持部が、前記基部の底面より下方に下端部が突出して固設された1以上の固定爪部と,前記固定爪部より下方に突出し接地時に上方に移動する摺動自在に保持された1以上の可動爪部と,を含む3以上の爪部と、前記固定爪部の接地を検出する接地センサ部と、前記接地センサ部で前記固定爪部の接地を検出した時に全ての前記可動爪部の運動を制動するロック機構と、を備えたことを特徴とする多点接地型足部支持機構。
【請求項5】
左右の足部と、前記左右の足部の足底にそれぞれ配設された請求項1乃至4の内いずれか1項の多点接地型足部支持機構と、を備えたことを特徴とする2足歩行ロボットの脚部。
【請求項6】
左右の足部と、前記左右の足部の足底にそれぞれ配設された多点接地型足部支持機構と、を有し、前記多点接地型足部支持機構が前記足底から下端部が突出して配設され接地時にそれぞれ独立して受動的に摺動してその突出量が減少する3以上の可動爪部と、各々の前記可動爪部の移動量を検出する移動量検出センサ部と、各々の前記可動爪部を固定するロック機構と、を備え、前記左右の足部を上下動させて歩行する2足歩行ロボットの制御構造であって、前記左右の足部のそれぞれについて、前記多点接地型足部支持機構の前記移動量検出センサ部で各々の前記可動爪部の移動量を検出し、その移動量に基づいて前記ロック機構により全ての前記可動爪部の運動を制動し、接地した前記足部の前記足底を多点支持することを特徴とする2足歩行ロボットの脚部の制御構造。
【請求項7】
左右の足部と、前記左右の足部の足底にそれぞれ配設された多点接地型足部支持機構と、を有し、前記多点接地型足部支持機構が前記足底から下端部が突出して固設された1以上の固定爪部と,前記固定爪部より下方に突出し接地時に受動的に摺動してその突出量が減少する1以上の可動爪部と,を含む3以上の爪部と、前記固定爪部の接地を検出する接地センサ部と、各々の前記可動爪部を固定するロック機構と、を備え、前記左右の足部を上下動させて歩行する2足歩行ロボットの制御構造であって、前記左右の足部のそれぞれについて、前記多点接地型足部支持機構の前記接地センサ部で各々の前記固定爪部の接地を検出し、前記固定爪部の接地に基づいて前記ロック機構により全ての前記可動爪部の運動を制動し、接地した前記足部の前記足底を多点支持することを特徴とする2足歩行ロボットの脚部の制御構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−93822(P2008−93822A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−237309(P2007−237309)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(302022599)
【出願人】(500539561)株式会社テムザック (19)
【Fターム(参考)】