多特異性抗体との使用のための治療および診断用コンジュゲート
スペーサーまたはキャリアによってコンジュゲートされた2つ以上のハプテンを含む化合物が開示される。ハプテンは、ジエチレントリアミンペンタアセテート(DTPA)、ヒスタミン−スクシニル−グルタミン(HSG)、またはDTPAおよびHSGの組合せを含むことができる。化合物は、ハプテン、スペーサー/キャリアの1つ以上、またはその両方にコンジュゲートできるエフェクター分子も含む。エフェクター分子は、エステル結合、イミノ結合、アミノ結合、スルフィド結合、チオセミカルバゾン結合、セミカルバゾン結合、オキシム結合、エーテル結合、またはこれらの結合の組合せを含む多数の結合によってコンジュゲートできる。化合物および/または化合物の前駆物質を合成する方法も開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が本明細書に組み入れられている、2004年2月11に提出された米国特許出願第10/776,470号の優先権を請求する。
【背景技術】
【0002】
癌療法および診断への一般的な手法は、疾患組織に対して抗体または抗体断片を方向付けることを含み、それにより抗体または抗体断片は、診断剤または治療剤に疾患部位を標的とさせることができる。調査されてきたこの方法への1つの具体的な手法は、標的化された疾患組織を特異的に結合する少なくとも1つのアームおよび低分子量ハプテンを特異的に結合する少なくとも1つの他のアームを有するbsAbの使用を包含する。この方法ではbsAbを投与して、標的に局在化させ、正常組織を通過させる。少し経ってから、bsAbの第2の特異性によって認識される放射性標識低分子量ハプテンを与えると、同じく元の標的に局在化する。
【0003】
bsAbと組合せて使用される低分子量ハプテンが多くの特異的撮像および療法用途を有していても、考えられる各用途のために個々のbsAbを調製することは実際的ではない。さらにbsAb/低分子量ハプテン系の用途は、他の要件がいくつかある。第一に、低分子量ハプテンはbsAbによって結合されないときは生物系を迅速に通過するように設計されているため、低分子量ハプテンに結合するbsAbのアームは、高い親和性で結合する必要がある。第二に、非bsAb結合低分子量ハプテンは、非標的組織による摂取および保持を避けるために、生物系を実際に迅速に通過する必要がある。第三に、検出および/または治療剤は、bsAbプロトコルでのその利用中は低分子量ハプテンとの結合を維持する必要がある。
【0004】
この手法により興味深いのは、適切な二重特異性のAbを使用してキレート剤および金属キレート錯体を癌に方向付けるbsAbである。使用されるキレート剤および金属キレート錯体は、放射性であることが多く、放射免疫撮像のために放射性核種を使用する(Goodwin et al.,米国特許第4,863,713号(コバルト−57の使用について述べている);Barbet et al.,米国特許第5,256,395号および米国特許第5,274,076号;Goodwin et al.,J.Nucl.Med.,33:1366−1372(1992);およびKranenborg et al.,Cancer Res(suppl.),55:5864s−5867s(1995)およびCancer(suppl.)80:2390−2397(1997)(全てインジウム−111の使用について述べている);およびBoden et al.,Bioconjugate Chem.,6:373−379,(1995);and Schuhmacher et al.,Cancer Res.,55:115−123(1995)(ガリウム−68の使用について述べている)を参照)。Abはキレート剤および金属キレート錯体に対して産生されるため、それらが最初に対抗して産生された錯体に著しい特異性を有する。実際にBoden et al.のbsAbは、キレート剤および金属キレート錯体のエナンチオマー性混合物の単一のエナンチオマーに対する特異性を有する。この大きな特異性は、他の核種(例えば放射免疫療法(RAIT)に有用なイットリウム−90およびビスマス−213、ならびにMRIに有用なガドリニウム)が代替使用のために利用できる試薬中へ直ちに置換できないという点で、1つの態様における欠点であることが判明している。結果として、I−131標識インジウム金属キレート錯体を第2の標的化ステップで使用することによって、非金属であるヨウ素−131がRAITのために採用されている。この方法の別の欠点により、診断または治療用途に望ましい各薬剤に対して抗体を産生することが必要である。
【0005】
そのため、癌の撮像および療法のためにプレターゲティング方法がかなりの注目を集めている。エフェクター分子(例えば小型のキャリアに結合された放射性核種または薬物)がターゲティング剤(例えばbsAbなどの結合分子)に直接結合される直接標的化系とは異なり、プレターゲティング系では、エフェクター分子がターゲティング剤よりも少し後に与えられる。このことは、ターゲティング剤が腫瘍病巣に局在化して、さらに重要なことには体から排出される時間を与える。大半のターゲティング剤が抗体などの結合タンパク質であるため、それらはより小型のエフェクター分子(普通は数分)と比べて、体からはるかに低速で(普通は数日)排出される傾向がある。そのため治療用放射性核種を含む直接ターゲティング系では、体、そして特に非常に脆弱な赤色骨髄は、ターゲティング剤が腫瘍にてそのピークレベルに低速で到達して、体から排出される間ずっと、放射線に暴露されることがある。しかしながらプレターゲティング系では、放射性核種(すなわちエフェクター)は普通、体から非常に迅速に排出される小型の「キャリア」分子、例えばキレートまたはペプチドに結合しており、従って正常組織の暴露は最小限に抑えられる。プレターゲティング系では、小型キャリア分子が腫瘍脈管構造を効率的に横断して、一次ターゲティング剤に結合するため、放射性核種の腫瘍による最大摂取も非常に迅速である。キャリア分子の小さいサイズも、腫瘍内でのより均一な分布を促進することができる。
【0006】
プレターゲティング方法は多数の異なる方策を使用してきたが、腫瘍抗原およびエフェクター分子を含むキャリア分子上の1つ以上のハプテンを同時認識する、アビジン/ストレプトアビジン−ビオチン認識系または二重特異性抗体をしばしば含む。アビジン/ストレプトアビジン系は非常に多用途であり、複数の形態で使用されてきた。この系において、ストレプトアビジンまたはビオチンと結合した抗体は、一次ターゲティング剤として使用される。これには少し後にエフェクター分子の投与が続き、エフェクター分子はビオチンまたはアビジン/ストレプトアビジンとそれぞれコンジュゲートしていてもよい。別の形態は、3ステップ手法に依存する。(1)最初にビオチンコンジュゲート抗体をターゲティングする;(2)ストレプトアビジン/アビジンによる架橋が続き;(3)そしてビオチンコンジュゲートエフェクターが得られる。これらの系は、エフェクターおよびターゲティング剤が使用される形態に応じてビオチンまたはストレプトアビジン/アビジンと結合可能である限り、各種のエフェクター物質との使用のために容易に変換できる。この種のプレターゲティングは、多くのターゲティング状況で使用される汎用性およびアビジン/ストレプトアビジンとビオチンとの間の高い結合親和性を備え、他の提案された系よりもかなりの利点を有する。しかしながらアビジンおよびストレプトアビジンは外来タンパク質であり、従って免疫原性の場合があり、このことは臨床用途で投与できる回数を制限する。この点でbsAbは、比較的非免疫原性のヒト化タンパク質として操作できる利点を有する。bsAbの結合親和性(通例10-9〜10-10M)は、ストレプトアビジン/アビジン−ビオチン親和性の極めて高い親和性(〜10-15M)には匹敵しないが、どちらのプレターゲティング系も一次ターゲティング剤の結合親和性に依存しており、従ってストレプトアビジン/アビジン−ビオチン系のより高い親和性は、bsAbプレターゲティング系に勝る実質的な利点を提供しない。しかしながら大半のbsAbは、一次ターゲットへの結合に利用できるアームを1本のみ有するのに対して、ストレプトアビジン/アビジン−ビオチンプレターゲティング系は通例、ターゲットを結合するために2本のアームを供えたIgG全体を使用して、このことはターゲット結合を補強する。2価ペプチドを使用することによって、親和性の向上が実現されて、このことは1価ペプチドと比較して、ペプチドのターゲット部位への結合を大幅に改善できる。従ってどちらの系も、優れたターゲティング比を合理的な維持力と共に提供できる。
【0007】
bsAbを用いたプレターゲティングは、エフェクター分子またはエフェクター分子を含有する分子(例えば「標的可能な構築物」として共にエフェクターを備えたキャリア)を認識するために、抗体の1本のアームを必要とする。今日までに報告された大半の放射性核種ターゲティング系は、キレート−金属錯体に対する抗体、例えばインジウム装填DTPAに対して方向付けられた抗体または他のキレートに対する抗体に依存してきた。抗体は一般に特定のキレート−金属錯体について選択性であるため、通例、選択されたキレート−金属錯体それぞれについて新しいbsAbを作成する必要がある。これによりエフェクター分子および抗体によって特に認識されるハプテンを含むキャリア分子を使用することを回避できる。そのためエフェクターおよびハプテンを含むキャリアは、標的可能な構築物として機能する。標的可能な構築物は、抗体が標的可能な構築物上のハプテンを認識するため、プレターゲティング系で異なる抗体を使用せずに異なるエフェクターを構築物中に含むことが可能であるという点で、本来「モジュラー」である。このようにして、エフェクターを含む標的可能な構築物が同一の認識されたハプテンを保持するという条件で、各種のエフェクターをプレターゲティング系で使用できる。
【0008】
プレターゲティング方法において、エフェクター分子(すなわちターゲティング分子またはキャリア分子)および結合分子(すなわちターゲティング構築物または抗体)は同時に投与されないため、結合分子はエフェクター分子を投与する前に、標的化組織によって内部移行されてはならない。しかしながら、結合分子は2価および二重特異性であるため、結合分子が標的化組織表面上の内部移行レセプタの一部である抗体を認識しても、結合分子の内部移行はエフェクター分子が投与されるまで阻害または遅延される。さらにエフェクター分子が多価である(すなわちそれが結合分子によって認識された2つ以上の部分を含む)場合、エフェクター分子は、架橋された錯体の内部移行を促進するために、標的化組織表面上の2つ以上の結合分子を架橋することができる。エフェクター分子は、標的化組織表面上の内部移行レセプタ(例えば葉酸レセプタ)に結合することによって内部移行を促進する1つ以上の部分も含む。治療剤および診断剤を投与するための組成物の方法は、2003年1月31日に提出された米国特許第60/444,357号で述べられている。
【0009】
従って疾患組織に方向付けることが可能であり、次に投与された標的可能な診断または治療コンジュゲート体に特異的に結合できる免疫薬、および二重特異性または多特異性抗体への改変なしに各種の診断剤および治療剤を提供する柔軟なモジュラー系に対する要求が引き続き存在する。我々は、各種のエフェクター物質が調製できる認識系として、ヒスタミン誘導体であるヒスタミン−スクシニル−グリシル(HSG)に対して方向付けられた抗体を使用したJanevik−lvanovska et al.によって最初に述べられたプレターゲティング系の開発を続けてきた。放射性ヨウ化およびレニウム標識2価HSG−含有ペプチドを使用した、優れたプレターゲティングの結果が報告されている。我々は現在の研究において、ハプテンおよび/またはDTPAなどのキレート剤を含み、90Y、111In、および177Luはもちろんのこと99mTcによって放射性標識するのに適したペプチドを含むようにこの系を拡張した。
【発明の開示】
【0010】
本明細書では、例えば放射免疫療法(RAIT)での治療用途のための、そして例えば放射免疫検出(RAID)および磁気共鳴映像法(MRI)での診断用途のための試薬を開示する。本明細書では特に、結合分子(すなわちターゲティング分子)、例えば標的可能な構築物を特異的に結合する少なくとも1本のアームおよび標的化組織を特異的に結合する少なくとも1本の他のアームを有する二重特異性抗体(bsAb)および二重特異性抗体断片(bsFab)と共に使用するための、標的可能な分子を開示する。
【0011】
本明細書で述べる化合物は、スペーサーによってコンジュゲートされた2つ以上のハプテンを含む。ハプテンは、ジエチレントリアミンペンタアセテート(DTPA)、ヒスタミン−スクシニル−グルタミン(HSG)、またはDTPAおよびHSGの組合せを含んでもよい。好ましくは、化合物はDTPAを含む。1つの実施形態において、化合物はDTPAおよびHSGを含む。化合物は、標的化組織表面上の1つ以上の結合分子の架橋を促進して架橋錯体の内部移行を促進するために、多価でもよい。化合物は、標的化組織の表面上の内部移行レセプタ(例えば葉酸レセプタ)に結合することによって、内部移行を促進する1つ以上の部分も含んでもよい。
【0012】
化合物は、ハプテン、スペーサー、またはその両方の1つ以上にコンジュゲートできるエフェクター分子も含む。そのためハプテンおよび/またはスペーサーは、エフェクターに対するキャリア分子として機能できる。エフェクター分子は多数の結合によってコンジュゲートされ、好ましくは、結合は血清中の生理的条件下で安定であるが、結合は標的細胞に局在化しているときの加水分解または標的細胞による内部移行に対して感受性である。例えば結合は、リソソーム内に存在する生理的条件下で酸加水分解を受ける。あるいは特定の結合の加水分解は、標的細胞に局在化する、または標的細胞に内在する1つ以上の酵素によって触媒される。適切な結合は、エステル結合、イミノ結合、アミノ結合、スルフィド結合、チオセミカルバゾン結合、セミカルバゾン結合、オキシム結合、エーテル結合、またはこれらの結合の組合せを含んでもよい。
【0013】
化合物は金属イオンも含んでもよい。好ましくは、化合物はインジウムカチオンを含む。1つの実施形態において、インジウムなどの金属イオンは、DTPAなどのハプテンによってキレート化される。
【0014】
スペーサーは1つ以上のアミノ酸を含んでよく、好ましくは、スペーサーは3つ以上のアミノ酸を含む。1つの実施形態において、ペプチドは1つ以上のD−アミノ酸を含むことができる(例えば血清中で容易に代謝されないさらに安定な分子を作成するために)。
【0015】
1つの詳細な実施形態において、スペーサーは、1つ以上のリジン残基および1つ以上のシステイン残基を備えたペプチドを含む。別の実施形態において、スペーサーはペニシラミン部分またはペニシラミンの誘導体である部分を含む。さらなる実施形態において、スペーサーは、チオ乳酸部分またはチオ乳酸の誘導体である部分を含む。
【0016】
ハプテンおよび/またはエフェクターは、スペーサーの1つ以上の残基にコンジュゲートしてもよい。例えばハプテンは、リジン残基のε−窒素原子、またはシステイン残基の硫黄原子にコンジュゲートしてもよい。別の例において、エフェクターは、ペニシラミン部分またはその誘導体、あるいはチオ乳酸部分またはその誘導体にコンジュゲートされる。好ましくは、エフェクター分子はエステル結合、または対象に投与された後に生理的条件下で加水分解される別の結合によって結合される。
【0017】
本明細書で使用するように、エフェクター分子は所望の結果を引き起こす任意の分子を含む。そのためエフェクター分子は、薬物、プロドラッグ、毒素、酵素、放射性同位体、免疫調節物質、サイトカイン、ホルモン、核酸配列(例えばアンチセンスヌクレオチドまたは干渉RNA)、結合分子(例えば抗体)、またはこれらの種類の分子の組合せを含む。アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび干渉RNAは、Kalota et al.,Cancer Biol.Ther.2004 Jan;3(1);Tong et al.,Clin.Lung Cancer 2001 Feb;2(3):220−6;Dean et al.,Oncogene 2003 Dec 8;22(56):9087−96;Nahta et al.,Semin.Oncol.2003 Oct;30(5 Suppl 16):143−9;Patry et al.,Cancer Res.2003 Nov 15;63(22):7679−88;Duxbury et al.,Biochem Biophys Res Commun.2003 Nov 21;311(3)786−92;Crnkovic−Mertens et al.,Oncogene 2003 Nov 13;22(51):8330−6;Lipscomb et al.,Clin Exp Metastasis 2003;20(6):569−76;Wall et al.,Lancet 2003 Oct 25;362(9393):1401−3;Bedford et al.,Semin Cancer Biol 2003 Aug;13(40):301−8;Damm−Welk et al.,Semin Cancer Biol.2003 Aug;13(4):283−92;Duursma et al.,Semin Cancer Biol.2003 Aug;13(4):267−73に開示されており、その全ては参照によりその全体が本明細書に組み入れられている。
【0018】
エフェクターは、本明細書で述べられているように他のエフェクターを含むことができる高次構造(例えばミセル、リポソーム、またはポリマー構造)を形成できる脂質またはポリマーも含んでもよい。あるいはエフェクターはそれ自体高次構造(例えばミセル、リポソーム、ポリマー構造、および/またはナノ粒子)であってもよい。エフェクターが脂質である場合、脂質コンジュゲート化合物は、本明細書で述べるようにエフェクターのいずれかと結合されるエマルジョンを形成することができる。
【0019】
治療用エフェクター分子は、細胞毒性薬、例えばアプリジン、アザリビン、アナストロゾール、アザシチジン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブリオスタチン−1、ブスルファン、カリケアマイシン、カンプトセシン、10−ヒドロキシカンプトセシン、カルムスチン、セレブレックス、クロラムブシル、シスプラチン、イリノテカン(CPT−11)、SN−38、カルボプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ドセタキセル、ダクチノマイシン、ダウノマイシングルクロニド、ダウノルビシン、デキサメタゾン、ジエチルスチルベストロール、ドキソルビシン、2−ピロリノドキソルビシン(2P−DOX)、シアノ−モルホリノドキソルビシン、ドキソルビシングルクロニド、エピルビシングルクロニド、エチニルエストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エトポシドグルクロニド、エトポシドホスフェート、フロクスウリジン(FUdR)、3’,5’−O−ジオレオイル−FudR(FUdR−dO)、フルダラビン、フルタミド、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、ゲムシタビン、ヒドロキシプロゲステロンカプロアート、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、L−アスパラギナーゼ、ロイコボリン、ロムスチン、メクロレタミン、メドロプロゲステロンアセテート、メゲス−トロールアセテート、メルファラン、メルカプトプリン、6−メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトタン、フェニルブチラート、プレドニゾン、プロカルバジン、パクリタキセル、ペントスタチン、PSI−341、セムスチンストレプトゾシン、タモキシフェン、タキサン、タキソール、テストステロンプロピオナート、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、テニポシド、トポテカン、ウラシルマスタード、ベルケード、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンクリスチン、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ、オンコナーゼ、rapLR1、DNaseI、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、シュードモナスシュードモナスエキソトキシン、シュードモナスエンドトキシン、またはこれらの組合せを含んでもよい。
【0020】
1つの実施形態において、エフェクター分子は、化合物が対象に投与された後に活性化されるプロドラッグでもよい。例えばプロドラッグは、標的化細胞への局在化および/または標的化細胞による内部移行の後に活性化される。特にプロドラッグは、細胞中の生理的条件(例えばリソソームの酸性環境)によって活性化される。あるいはプロドラッグは、1つ以上の酵素によって活性化される(例えばカルボキシエステラーゼは、イリノテカン(CPT−11)などのプロドラッグを活性化できる。好ましくは、エフェクター分子はカンプトセシン、ドキソルビシン、あるいはその誘導体および/または類似物質を含み、好ましくは、エフェクター分子はエステル結合によってコンジュゲートされる。ドキソルビシン誘導体および/または類似物質は、2−ピロリノドキソルビシン(2P−DOX)およびシアノ−モルホリノドキソルビシンを含む。
【0021】
エフェクター分子が水溶性でない場合、好ましくはハプテン、スペーサー(例えばペプチド)、および/または結合の1つ以上がエフェクター分子をさらに水溶性にする。1つの実施形態において、不溶性エフェクター分子はエマルジョンまたはリポソームの一部として投与され、そこでエマルジョンまたはリポソームを形成する脂質を投与した化合物の1つ以上(例えば標的可能な構築物)にコンジュゲートできる。別の実施形態において、ハプテン、スペーサー、および/または結合の1つ以上は、エフェクター分子の毒性を低下させることができる。さらなる実施形態において、ハプテン、スペーサー、および/または結合の1つ以上は、化合物(エフェクター分子を含む)の標的化組織への局在化を促進するが、非標的化化合物(および/またはエフェクター分子)は迅速に排出できる。そのため、エフェクター分子の体内分布は、エフェクターをハプテン、スペーサー、および/または結合の1つ以上にコンジュゲートすることによって変化させることができる。
【0022】
化合物は同位体も含むことができる。例は、18F、32P、33P、45Ti、47Sc、52Fe、59Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、75Se、77As、86Y、89Sr、89Zr、90Y、94Tc、94mTc、99Mo、99mTc、105Pd、105Rh、111Ag、111In、123I、124I、125I、131I、142Pr、143Pr、149Pm、153Sm、154-158Gd、161Tb、166Dy、166Ho、169Er、175Lu、177Lu、186Re、188Re、189Re、194Ir、198Au、199Au、211At、211Pb、212Bi、212Pb、213Bi、223Ra、または225Acを含む。同位体は、化合物に共有結合されるか、または同位体は化合物(例えばDTPA)に存在するキレート化部分によってキレート化される。
【0023】
詳細な実施形態において、化合物はペプチド、1つ以上のハプテン、および1つ以上のエフェクター分子を含む。さらにペプチドは、1つ以上の配列R1−Lys(X)−R2−Lys(Y)またはLys(X)−R2−Lys(Y)−R1を含んでもよく、ここでR1およびR2は1つ以上のアミノ酸を含み、(X)および(Y)は抗原分子、ハプテン、ハード酸キレート剤、およびソフト酸キレート剤から選択される1つ以上のコンジュゲート部分を含む。エフェクター分子は本明細書で述べるように、R1またはR2に存在するハプテンおよび/または1つ以上のアミノ酸に結合することによってコンジュゲートできる。望ましくは、結合は血清中で生理的条件にて安定であるが、結合は、化合物が細胞中で内部移行されるときに加水分解を受ける。例えば結合はリソソームでの酸性条件下で加水分解を受けるか、または結合は酵素(例えばカルボキシルエステラーゼ)によって促進されるように加水分解を受ける。結合は、エステル結合、イミノ結合、アミノ結合、スルフィド結合、チオセミカルバゾン結合、セミカルバゾン結合、オキシム結合、エーテル結合、アミド、およびこれらの結合の組合せを含んでもよい。本明細書で示すように、エフェクター分子は、薬物、プロドラッグ、毒素、酵素、放射性同位体、免疫調節物質、サイトカイン、ホルモン、核酸配列、結合分子、またはこれらの組合せを含んでもよい。
【0024】
部分はハード酸キレート剤でもよく、そこで化合物はハード酸キレート剤を含み、好ましくは、化合物はIIa族およびIIIa族金属カチオンからなる群より選択されるカチオンをさらに含む。化合物は上述の1つ以上の同位体も含んでもよい。
【0025】
1つの実施形態において、部分はDTPA、HSG、DOTA、NOTA、TETA、Tscg−Cys、Tsca−Cys、ニトロロ酢酸、またはこれらの組合せ部分を含む。好ましくは、化合物はDTPA、HSG、またはDTPAおよびHSGの組合せを含む。さらに好ましくは、化合物はDTPAを含む。(X)および(Y)によって示される部分は同じでも異なっていてもよい。
【0026】
化合物は、ソフト酸キレート剤も含んでもよい。化合物がソフト酸キレート剤を含む場合、化合物は遷移金属のBi、ランタニド、およびアクチニドからなる群より選択されるカチオンも含むことができる。例えば化合物は、Tc、Re、Bi、またはこれらのカチオンの組合せを含んでもよい。
【0027】
特定のアミノ酸またはアミノ酸の種類を含むペプチドを合成することが望ましい。例えば1つの実施形態において、R2で表される基はチロシンを含んでもよい。また、1つ以上のD−アミノ酸を含むペプチドを作成することが望ましい。
【0028】
疾患または患者に疾患を引き起こす状態を治療および/または診断する方法も開示され、該方法は、(1)標的化組織を結合する少なくとも1つのアームおよび標的可能な構築物を結合する少なくとも1つの他のアームを有する結合分子を患者に投与するステップと;(2)場合により、患者にクリアリング組成物を投与して、該組成物に非局在化結合分子を循環から除去させるステップと;(3)患者に上述の化合物の1つ以上を含む1つ以上の標的可能な構築物を投与するステップとを含むことができる。例えば標的可能な構築物は、(1)1つ以上のハプテンがDTPAまたはHSGである、スペーサーによって結合された2つ以上のハプテンと;(2)ハプテン、スペーサー、またはその両方の1つ以上にコンジュゲートされた、1つ以上のエフェクター分子と;を含む1つ以上の化合物を含むことができる。1つの実施形態において、標的可能な構築物は、(1)配列R1−Lys(X)−R2−Lys(Y)またはLys(X)−R2−Lys(Y)−R1(式中、R1およびR2は1つ以上のアミノ酸を含み、(X)および(Y)はコンジュゲート部分を含む)の1つ以上を有するペプチドと;(2)ペプチドにコンジュゲートされたエフェクター分子を含む化合物を含む。部分は、抗原分子、ハプテン、ハード酸キレート剤、ソフト酸キレート剤、またはそれらの種類の部分の組合せを含んでいてもよい。
【0029】
本明細書で使用するように、結合分子(すなわちターゲティング分子)は、抗体または抗体の断片を含んでもよい。特定の適切な抗体または結合分子は、多価および多特異性(例えば二重特異性抗体)であってもよい。結合分子は、モノクローナル抗体またはモノクローナル抗体の断片を含んでもよい。抗体または抗体断片(例えばモノクローナル)は、ヒト、キメラまたはヒト化抗体あるいはヒト、キメラまたはヒト化抗体の断片を含む。特定の適切な抗体の例は、Mab 679、Mab 734、Mab Mu−9、MN−14、RS−7、679、734、またはこれらの抗体の組合せを含んでもよい。結合分子または抗体は、融合タンパク質を含む。ある実施形態において、Mab 679、Mab 734、Mab Mu−9、MN−14、RS−7、679、または734のCDRを含む、抗体、その断片、または結合分子を使用することが望ましい。
【0030】
本明細書で示すように、標的可能な構築物は、配列R1−Lys(X)−R2−Lys(Y)またはLys(X)−R2−Lys(Y)−R1を含むペプチドと、R1またはR2に存在するアミノ酸ならびに/あるいはコンジュゲート部分(X)および/または(Y)の1つ以上にコンジュゲートされたエフェクター分子とを含んでもよい。好ましくは、エフェクター分子は、エステル結合、アミド結合、および/またはヒドラゾン結合によってコンジュゲートされる。
【0031】
また本明細書で示すように、エフェクター分子は、所望の結果を引き起こす任意の分子を含んでもよい。例えばエフェクター分子は、1つ以上の薬物、プロドラッグ、毒素、酵素、放射性同位体、免疫調節物質、サイトカイン、ホルモン、核酸配列(例えばアンチセンスヌクレオチドまたは干渉RNA)、結合分子、または薬物キャリアとして有用であってよく、上述の種類の分子の投与を促進する分子(例えば高次構造を形成できる脂質またはポリマー、あるいは高次構造自体、例えばミセル、リポソーム、ポリマー構造、および/またはナノ粒子)を含んでよい。エフェクター分子の具体的な例は、本明細書で例示する。特にエフェクター分子は、カンプトセシンまたはカンプトセシンの誘導体(例えばSN−38、10−ヒドロキシ−CPT、9−アミノ−CPT、イリノテカン(CPT−11)など)を含んでよい。ドキソルビシン、またはその誘導体および/または類似物質は、特に適切なエフェクター分子でもよい。ドキソルビシン誘導体は、Nagy et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1996,93:2464−9に述べられている。抗腫瘍アントラサイクリンは、Monneret,Eur.J.Med.Chem.2001 36:483−93に述べられているように、特に適切なエフェクター分子であってもよい。エフェクター分子(例えばカンプトセシンおよび/またはドキソルビシン)は、標的可能な構築物にコンジュゲートされ、および/または薬物キャリア、例えばミセル/リポソームまたはエマルジョンと会合されてもよく、薬物キャリアは標的可能な構築物にコンジュゲートされる。
【0032】
エフェクター分子として選択された酵素に関して、特に適切な酵素は、カルボキシエステラーゼ、グルクロニダーゼ、カルボキシペプチダーゼ、β−ラクタマーゼ、ホスファターゼ、またはこれらの酵素の混合物を含んでもよい。
【0033】
疾患または状態を治療および/または診断する方法は、各種の疾患または状態を治療/診断するために使用できる。例えば悪性疾患、循環器疾患、感染性疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、代謝性疾患、または神経性疾患、あるいはこれらの疾患または状態の組合せ。
【0034】
疾患または状態が悪性疾患である場合、結合分子は、癌胎児性抗原、テネイシン、上皮増殖因子レセプタ、血小板由来増殖因子レセプタ、線維芽細胞増殖因子レセプタ、血管内皮増殖因子レセプタ、ガングリオシド、HER/2neuレセプタおよびこれらの抗原の混合物からなる群より選択される抗原を含む標的化組織に特異的に結合できる。標的化組織は腫瘍も含んでもよい。結合分子は、結腸特異性抗原−p(CSAp)、癌胎児性抗原(CEA)、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD30、CD45、CD74、CD80、HLA−DR、la、li、MUC 1、MUC 2、MUC 3、MUC 4、NCA、EGFR、HER2/neu、PAM−4、TAG−72、EGP−1、EGP−2、A3、KS−1、Le(y)、S100、PSMA、PSA、テネイシン、葉酸レセプタ、VEGF、PIGF、ILGF−1、壊死抗原、IL−2、IL−6、T101、MAGE、およびこれらの抗原の組合せを含む、腫瘍によって生成される、または腫瘍と結合する抗原に特異的に結合してもよい。特に有用な抗原は、結合した抗体の内部移行を促進することができるCD74およびEGP−1を含む。CD74を認識する抗体にはLL1があり、その使用は、米国特許第6,458,933号;米国特許第6,395,276号;米国特許第6,083,477号;および米国特許第出願第2003−0103982号に述べられている。EGP−1を認識する抗体にはRS7があり、これは米国特許第10/377,121号;米国特許第5,635,603号;およびStein et al.,1990,Cancer Res.,50,1330−1336で述べられている。
【0035】
標的化組織は、多発性myleoma、B細胞悪性腫瘍、またはT細胞悪性腫瘍を含んでもよい。特異性B細胞悪性腫瘍は、B細胞リンパ腫の無痛形、B細胞リンパ腫の浸潤形、慢性白血病、多発性骨髄腫、および急性リンパ性白血病を含んでもよい。標的化組織は、非ホジキンリンパ腫またはホジキンリンパ腫などのリンパ腫も含んでもよい。
【0036】
加えて標的化組織は、固形腫瘍、例えばメラノーマ、癌腫、肉腫、神経膠腫、またはこれらの悪性腫瘍の組合せを含んでもよい。特定の癌腫は、食道癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、すい臓癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、膀胱癌、子宮内膜癌、子宮癌、睾丸癌、腎臓癌、副腎癌、肝臓癌、またはこれらの癌腫の組合せを含んでもよい。
【0037】
疾患または状態は、顆粒球、リンパ球、単球、D−ダイマー、および/またはフィブリン沈着に関連する循環器疾患も含んでもよい。そのため、結合分子(すなわちターゲティング分子)は、顆粒球、リンパ球、単球、および/またはフィブリン上に存在する抗原に特異的に結合してもよい。特定の循環器疾患または状態は、心筋梗塞、虚血性心疾患、動脈硬化性プラーク、フィブリン塊、塞栓、あるいはこれらの疾患または状態の組合せを含んでもよい。
【0038】
本方法は、感染性疾患、例えば感染性疾患、真菌性疾患、寄生虫性疾患、ウイルス性疾患、原虫性疾患、マイコプラズマ性、およびこれらの感染性疾患の組合せを治療および/または診断するためにも使用できる。特に感染性疾患は、ミクロスポルム、トリコフィトン、エピデルモフィトン、スポロトリックス・シェンキー、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、コクシジオイデス・イミチス、ヒストプラスマ・カプスラーツム、ブラストミセス・デルマティティディス、カンジダ・アルビカンス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、狂犬病ウイルス、インフルエンザウイルス、B型肝炎ウイルス、センダイウイルス、ネコ白血病ウイルス、レオウイルス、ポリオウイルス、ヒト血清パルボ様ウイルス、サルウイルス40、呼吸器合胞体ウイルス、マウス乳癌ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、デングウイルス、風疹ウイルス、麻疹ウイルス、アデノウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、マウス白血病ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、シンドビスウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、イボウイルス、ブルータングウイルス、炭疽菌、ストレプトコッカスアガラクティエ、レジオネラ・ニューモフィラ、ストレプトコッカス・ピオゲネス、大腸菌、ナイセリア・ゴノレア、ナイセリア・メニンギティディス、ニューモコッカス、ヘモフィルス・インフルエンザB、トレポネーマ・パラジウム、ライム病スピロヘータ、シュードモナス・エアルギノサ、マイコバクテリウム・レプレ、ブルセラ・アボルタス、結核菌、破傷風、蠕虫、マラリア原虫、熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、トキソプラズマ・ゴンジィ、ランゲル・トリパノソーマ、クルーズ・トリパノソーマ、ローデシア・トリパノソーマ、ブルセイ・トリパノソーマ、マンソン住血吸虫、日本住血吸虫、ウシバベシア、エルメリア・テネラ、回旋糸状虫、熱帯リーシュマニア、旋毛虫、回旋糸状虫、タイレリア・パルバ、胞状条虫、テニア・オビス、無鉤条虫、単胞条虫、メソセストイデス・コルチ、マイコプラズマ・アルスリティディス、マイコプラズマ・ヒオリニス、マイコプラズマ・オーラル、マイコプラズマ・アルギニニ、アコレプラスマ・ライドラウィー、マイコプラズマ・サリバルム、マイコプラズマ・ニューモニエ、およびこれらの病原体の組合せからなる群より選択される病原体によって引き起こされ得る。
【0039】
本方法は、自己免疫疾患または状態、例えば急性特発性血小板減少性紫斑病、慢性特発性血小板減少性紫斑病、皮膚筋炎、シドナム舞踏病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、多内分泌腺症候群、水疱性類天疱瘡、真性糖尿病、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、溶連菌感染後腎炎、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、関節リウマチ、多発性硬化症、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形性紅斑、IgAネフロパシー、結節性多発性動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、血栓性血管炎、シェーグレン症候群、原発性胆汁性肝硬変、橋本病、甲状腺亢進、強皮症、慢性活動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡、ヴェグナー肉芽腫症、膜性ネフロパシー、筋萎縮性側索硬化症、脊髄癆、巨細胞性動脈炎/多筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎、乾癬、線維化性肺胞炎、およびこれらの疾患または状態の組合せを治療および/または診断するためにも使用される。
【0040】
神経性疾患も本方法を使用することによって治療または診断できる。例えば代謝性障害、例えばアミロイドーシスを特徴とする神経性疾患は、標的化組織がアミロイド沈着を含む場合に本方法によって治療または診断できる。
【0041】
結合分子、場合によりクリアリング剤、および標的可能な分子を投与することに加えて、本方法は、1つ以上の追加の治療剤または診断剤を投与することも含んでもよい。適切な治療剤または診断剤は、結合分子(例えば抗体またはその断片)、薬物、プロドラッグ、毒素、酵素、酵素インヒビタ、ヌクレアーゼ、ホルモン、ホルモンアンタゴニスト、免疫調節物質、サイトカイン、キレート剤、ボロン化合物、ウラン原子、光活性剤、放射性核種、およびこれらの薬剤の組合せを含んでもよい。薬剤は、結合分子、場合によりクリアリング剤、および標的可能な分子の投与の前、投与と同時に、または投与の後に投与される。さらに薬剤は、結合分子、クリアリング剤、および/または標的可能な構築物の1つ以上にコンジュゲートできる。薬剤は、標的可能な構築物などの化合物にコンジュゲートできる、エマルジョンまたはリポソームと組合せて投与することもできる。
【0042】
1つの実施形態において、治療剤は、IL−1、IL−2、IL−3、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、IL−21,インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、G−CSF、およびGM−CSF、ならびにこれらのサイトカインの組合せからなる群より選択されるサイトカインを含む。別の実施形態において、治療剤は、アンギオスタチン、エンドスタチン、バスキュロスタチン、カンスタチン、マスピン、抗−VEGF抗体、抗胎盤増殖因子抗体、抗血管増殖因子抗体、およびこれらの血管新生阻害剤の混合物からなる群より選択される血管新生阻害剤を含む。
【0043】
本方法は、放射性同位体、染料、放射線不透過性物質、造影剤、蛍光化合物、強調剤、およびこれらの診断剤の組合せから選択される診断剤を投与することを含んでもよい。
【0044】
さらに金属を治療剤または診断剤として投与することも望ましい。例えば亜鉛、アルミニウム、ガリウム、ルテチウム、パラジウム、ボロン、ガンドリニウム、ウラン、マンガン、鉄、クロム、銅、コバルト、ニッケル、ジスプロシウム、レニウム、ユーロピウム、テルビウム、ホルミウム、ネオジム、これらの金属の組合せを投与できる。
【0045】
診断手順に有用な常磁性イオンも投与できる。常磁性イオンの例は、クロム(III)、マンガン(II)、鉄(III)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、ネオジム(III)、サマリウム(III)、イッテルビウム(III)、ガドリニウム(III)、バナジウム(II)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)、エルビウム(III)、またはこれらの常磁性イオンの組合せを含む。
【0046】
治療剤および/または診断剤は、光線力学療法のための1つ以上の薬剤(例えば光増感剤)を含んでもよい。光増感剤は、ベンゾポルフィリンモノ酸環A(BDP−MA)、スズエチオプルプリン(SnET2)、スルホナートアルミニウムフタロシアニン(AISPc)およびルテチウムテクサフィリン(Lutex)を含んでもよい。
【0047】
18F、32P、33P、45Ti、47Sc、52Fe、59Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、75Se、77As、86Y、89Sr、89Zr,90y、94Tc、94mTc、99Mo、99mTc、105Pd、105Rh、111Ag、111In、123I、124I、125I、131I、142Pr、143Pr、149Pm、153Sm、154-158Gd、161Tb、166Dy、166Ho、169Er、175Lu、177Lu、186Re、188Re、189Re、194Ir、198Au、199Au、211At、211Pb、212Bi、212Pb、213Bi、223Ra、225Ac、およびこれらの核種の混合物を含む、治療用核種または診断用核種も投与できる。特に適切な治療用核種は、32P、33P、47Sc、64Cu、67Cu、67Ga、90Y、111Ag、111In、123I、131I、142Pr、153Sm、161Tb、166Dy、166Ho、177Lu、186Re、188Re、189Re、211At、212Pb、212Bi、213Bi、223Ra、225Ac、またはこれらの核種の混合物を含んでもよい。治療用核種は、約70〜約700keVのエネルギーを有するγ粒子および/またはポジトロンを放出してもよい。
【0048】
特に適切な診断用核種は、18F、52Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、86Y、89Zr、94Tc、94mTc、99mTc、111In、123I、124I、125I、131I、またはこれらの核種の混合物を含んでもよい。診断用核種は、約25〜約400keVのエネルギーを有するγ粒子および/またはポジトロンを放出してもよい。
【0049】
診断剤は、撮像方法が実施されるときに有用であってもよい。例えば18Fなどの核種は、ポジトロン放出断層撮影法(PET)を実施するために含まれる。あるいは磁気共鳴映像法(MRI)を実施するために有用な画像強調剤が含まれる。画像強調剤は、ガドリニウムイオン、ランタンイオン、マンガンイオン、鉄、クロム、銅、コバルト、ニッケル、フッ素、ジスプロシウム、レニウム、ユーロピウム、テルビウム、ホルミウム、ネオジム、またはこれらの薬剤の混合物を含むことができる。別の実施形態において、X線またはコンピュータ断層撮影法(CT)用の1つ以上の放射線不透過剤または造影剤が含まれる。放射線不透過剤または造影剤は、バリウム、ジアトリゾアート、エチオダイズド油、ガリウムシトレート、イオカルム酸、イオセタム酸、ヨーダミド、ヨージパミド、ヨードキサム酸、イオグルアミド、イオヘキソール、イオパミドール、イオパノ酸、イオプロセム酸、イオセファム酸、イオセル酸、イオスラミドメグルミン、イオセメト酸、イオタスル、イオテトル酸、イオタラム酸、イオトロクス酸,イオキサグル酸、イオキソトリゾ酸、イポダート、メグルミン、メトリザミド、メトリゾアート、プロピリオドン、塩化第一タリウム、またはこれらの薬剤の組合せを含んでもよい。
【0050】
本方法は、リポソームまたはデキストランなどの1つ以上の超音波造影剤を投与することも含んでもよい。リポソームはガス充填される。
【0051】
治療方法および/または診断方法は、治療方法および/または診断方法の前、それと同時に、またはその後のいずれかに手術処置、血管内処置、腹腔鏡処置、または内視鏡処置を実施することも含んでもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
別途規定しない限り、「a」または「an」は、「1つ以上の」を意味する。
【0053】
「主に」は、「実質的に」および/または少なくとも90%を意味する。
【0054】
概要
本明細書では、治療方法または診断方法で標的可能な構築物として有用である化合物を開示する。標的可能な構築物は、標的可能な構築物を結合する少なくとも1つのアームおよび標的化組織を結合する少なくとも1つの他のアームを有する、二重特異性抗体(bsAb)または抗体断片(bsFab)などの結合分子によって特異的に結合される。望ましくは、標的可能な構築物は、認識可能なハプテンの少なくとも2つの単位を有するペプチドを含む。認識可能なハプテンの例は、これに限定されるわけではないが、DTPAおよびHSGを含む。標的可能な構築物はエフェクター分子にコンジュゲートされ、エフェクター分子は疾患組織を処置または同定するために有用な各種の薬剤を含む。コンジュゲートされたハプテンおよび/またはエフェクター分子の例は、これに限定されるわけではないが、キレート剤、金属キレート錯体、薬物、酵素、および毒素(例えばリシン、アブリン、リボヌクレアーゼ(例えばRNase)、DNaseI、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、シュードモナスエキソトキシン、シュードモナスエンドトキシン)を含む。エフェクター分子は、本明細書で述べる他のエフェクター細分子と結合される脂質またはポリマーを含んでもよい。例えば脂質またはポリマーは、ミセル/リポソームまたはポリマー構造などの高次構造を形成してもよい。エフェクター分子は、本明細書で述べるようにエフェクター分子を送達するために使用できるナノ粒子を含んでもよい。
【0055】
二重特異性抗体(bsAb)プレターゲティングは、診断用途および治療用途のための潜在的に非免疫原性であり、高度に選択性の代案を表す。本明細書で述べたbsAbプレターゲティング系は、各種の異なる造影剤または治療剤と使用するために潜在的に開発できるという点で、他のプレターゲティング系に勝るさらに重要な利点を示す。この系の柔軟性は、DTPまたはHSGに対して作られた抗体の使用およびDTPまたはHSG残基を含有するペプチドの開発に基づいている。DTP含有および/またはHSG含有ペプチドは合成可能であり、ペプチドがDTPを含有する場合、ペプチドは治療または診断において有用であるキレート化核種、例えば111In、90Y、または177Luによって標識できる。抗体は、DTPA−111In部分に対して産生されてきた。プレターゲティングでは、選択したペプチドは、これらの抗原を発現する腫瘍のための腫瘍ターゲティング能力を提供するために、抗癌胎児性抗原抗体(抗CEA)または抗結腸特異性抗原−p抗体(抗CSAp)のどちらかのFab’断片によって化学的に安定化された抗DTPA−111In Fab’断片または抗HSG Fab’断片を使用して、二重特異性抗体と組合せて使用できる。しかしながら他の抗原標的は、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD30、CD74、CD80、HLA−DR、Ia、MUC 1、MUC 2、MUC 3、MUC 4、EGFR、HER2/neu、PAM−4、BrE3、TAG−72(B72.3、CC49)、EGP−1(例えばRS7)、EGP−2(例えば17−1Aおよび他のEp−CAM標的)、Le(y)(例えばB3)、A3、KS−1、S100、IL−2、T101、壊死抗原、葉酸レセプタ、血管形成マーカー(例えばVEGF)、テネイシン、PSMA、PSA、腫瘍関連サイトカイン、MAGEおよび/またはその断片などに対する、当分野で既知の多様な腫瘍関連抗原を含んでもよい。組織特異性抗体(例えば骨髄細胞に対する、例えばCD34、CD74など、およびパラチログロブリン抗体など)はもちろんのこと、非悪性疾患組織、例えば血栓のフィブリンおよび/またはD−ダイマーに対する抗体、動脈硬化性プラーク(例えばCD74抗体)のマクロファージ抗原、そしてまた特異性病原体抗体(例えば細菌、ウイルス、および寄生虫に対する)が当分野で周知である。
【0056】
本明細書で述べるペプチドは、精製の必要を回避する容易な方法で高い特異的活性まで放射性標識することができる。腫瘍を持つヌードマウスのインビボ試験は、放射性標識ペプチドが腫瘍または正常組織において最小限だけ保持されて、体から迅速に排出されることを示した。例えばプレターゲティング系が非常に柔軟性であり、診断撮像および治療上の対象の広範な化合物を使用可能であることを示す、表1〜12、14、および16〜18を参照。優れた腫瘍による摂取およびターゲティング比を達成することによって、開示されたプレターゲティング系は、多くの用途で使用するに非常に有望である。
【0057】
哺乳類における標的細胞、組織または病原体を検出および/または治療する方法であって、標的化組織を特異的に結合する少なくとも1つのアームおよび標的可能な構築物を特異的に結合する少なくとも1つの他のアームを含む結合分子(例えば二重特異性抗体または抗体断片)の有効量を投与するステップを含む方法がさらに含まれる。本明細書で使用するように、「病原体」という用語は、これに限定されるわけではないが、真菌(例えばミクロスポルム、トリコフィトン、エピデルモフィトン、スポロトリックス・シェンキー、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、コクシジオイデス・イミチス、ヒストプラスマ・カプスラーツム、ブラストミセス・デルマティティディス、カンジダ・アルビカンス)、ウイルス(例えばヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、狂犬病ウイルス、インフルエンザウイルス、B型肝炎ウイルス、センダイウイルス、ネコ白血病ウイルス、レオウイルス、ポリオウイルス、ヒト血清パルボ様ウイルス、サルウイルス40、呼吸器合胞体ウイルス、マウス乳癌ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、デングウイルス、風疹ウイルス、麻疹ウイルス、アデノウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、マウス白血病ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、シンドビスウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、イボウイルスおよびブルータングウイルス)、寄生虫、細菌(例えば炭疽菌、ストレプトコッカス・アガラクティエ、レジオネラ・ニューモフィラ、ストレプトコッカス・ピオゲネス、大腸菌、ナイセリア・ゴノレア、ナイセリア・メニンギティディス、ニューモコッカス、ヘモフィルス・インフルエンザB、トレポネーマ・パラジウム、ライム病スピロヘータ、シュードモナス・エアルギノサ、マイコバクテリウム・レプレ、ブルセラ・アボルタス、結核菌および破傷風毒素)、マイコプラズマ(例えばマイコプラズマ・アルスリティディス、M.ヒオリニス、M.オーラル、M.アルギニニ、アコレプラズマ・ライドラウィー、M.サリバルム、およびM.ニューモニエ)ならびに原生動物(例えば熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、トキソプラズマ・ゴンジィ、ランゲル・トリパノソーマ、クルーズ・トリパノソーマ、ローデシア・トリパノソーマ、ブルセイ・トリパノソーマ、マンソン住血吸虫、日本住血吸虫、ウシバベシア、エルメリア・テネラ、回旋糸状虫、熱帯リーシュマニア、旋毛虫、回旋糸状虫、タイレリア・パルバ、胞状条虫、テニア・オビス、無鉤条虫、単胞条虫およびメソセストイデス・コルチ)を含む。米国特許第5,332,567号を参照。
【0058】
抗体および抗体断片を含む結合分子も本明細書で開示される。抗体断片は、抗体の抗原結合部分、例えばFabまたはF(ab)2などである。抗体断片は、無傷の抗体によって認識される同一の抗原に結合する。例えば抗CD22モノクローナル抗体断片は、CD22のエピトープに結合する。
【0059】
「抗体断片」という用語は、特異性抗原に結合して錯体を形成することによって抗体のように作用する合成または遺伝子組換えタンパク質も含む。例えば抗体断片は、重鎖および軽鎖の可変領域からなる単離断片、すなわち「Fv」断片、重鎖および軽鎖可変領域がペプチドリンカー(「sFvタンパク質」)によって結合される組換え単鎖ポリペプチド分子、および「超可変領域」を模倣するアミノ酸残基からなる最小認識単位を含む。これらのいわゆる「超可変」領域または「相補性決定領域」(CDR)の3つが、軽鎖または重鎖の各可変領域に見出される。各CDRには比較的保存されたフレームワーク領域(FR)が隣接している。FRは、可変領域の構造完全性を維持すると考えられる。軽鎖のCDRおよび対応する重鎖のCDRは、抗原−結合部位を形成する。CDRの「超可変性」は、抗体の特異性の多様性を説明している。
【0060】
本明細書で使用するように「対象」および「患者」という用語は、これに限定されるわけではないが、ヒトおよび他の霊長類、げっ歯類(例えばマウス、ラット、およびモルモット)、lagamorphs(例えばウサギ)、ウシ(例えば畜牛)、ヒツジ(ovine)(例えばヒツジ(sheep)、ヤギ(caprine)(例えばヤギ(goat))、ブタ(porcine)(例えばブタ(swine))、ウマ(equine)(例えばウマ(horse))、イヌ(canine)(例えばイヌ(dog))、ネコ(feline)(例えばネコ(cat))、家禽(例えばニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、他の家禽鳥類など)を含むいずれの動物(すなわち脊椎動物および無脊椎動物)ももちろんのこと、これに限定されるわけではないが、有蹄動物(例えばシカ)、クマ、魚類、lagamorphs、げっ歯類、鳥類などの動物を含む野生(feral)または野生(wild)動物も指す。該用語が特定の年齢または性別に限定されないものとする。従って成年および新生対象は胎児と同様に、オスまたはメスにかかわらず、該用語に含まれる。
【0061】
抗体に対して標的可能な構築物
記載したように、上述の化合物は標的可能な構築物として使用できる。標的可能な構築物は多様な構造であり得るが、免疫反応の誘発を低下させるだけではなく、bsAbターゲティング法の中で使用されるときには迅速なインビボクリアランスのためにも選択されている。疎水性剤は強い免疫反応を誘発させるのに迅速で最良であるが、これに対して親水性剤は迅速なインビボクリアランスにとって好ましく、従って理想的な構築物は、疎水性および親水性品質の両方を所有するであろう。これは一部は、多くの有機エフェクター(例えばカンプトセシンなどの毒素)の固有の疎水性を相殺するために、親水性キレート化剤(例えばDTPA)の使用に依存することによって実現される。また、反対の溶解特性を有する標的可能な構築物のサブユニット、例えばその一部が疎水性であり、その一部が親水性であるアミノ酸を含有するペプチドが選択される。本明細書で述べる化合物を合成するために、ペプチドとは別に、炭水化物も使用できるか、または他の適切な分子を使用できる。
【0062】
標的可能な構築物は、わずか2個のアミノ酸残基(好ましくは2〜10個のアミノ酸残基)を有するペプチド主鎖(例えばスペーサーとして)を含んでもよく、主鎖はキレート化剤などの他の部分に結合される。標的可能な構築物は、好ましくは50,000ダルトン未満の、好都合には約20,000ダルトン、10,000ダルトンまたは5,000ダルトン未満の分子量を有し、キレート化剤に結合されるいずれの金属イオンを含む、低分子量構築物である。例えば既知のペプチドDTPA−Tyr−Lys(DTPA)−OH(式中、DTPAはジエチレントリアミンペンタ酢酸)は、上で記載したように、分子のインジウム−DTPA部に対する抗体を産生するのに使用されてきた。しかしながら非インジウム含有分子、および適切なスクリーニングステップを使用することによって、チロシル−リジンジペプチドに対する新しいAbも作成できる。さらに通常は、ペプチドN−アセチル−Cys−Lys(DTPA)−Tyr−Lys(DTPA)−NH2(配列番号1)などの標的可能な構築物の抗原性ペプチドは、4つ以上の残基を有するであろう。
【0063】
標的可能な構築物のハプテンは、免疫原性認識部分も提供する。DTPAまたはHSGハプテンなどのハプテンを使用すると、構築物に対して高い特異性を備えたbsAbを産生できる。これは、DTPAまたはHSGハプテンに対して産生された抗体が既知であり、適切なbsAbの中に容易に包含させられるためである。従ってハプテンのペプチド主鎖へのカップリングは、bsAbまたはbsFabによって特異的に認識される標的可能な構築物を生じる。
【0064】
化合物は、最終bsAb/構築物系によって使用されるときに、標的可能な構築物を認識するbsAbのアームが完全に特異性であるようにするために、非天然アミノ酸、例えばD−アミノ酸をペプチド主鎖構造に包含させる。さらに他の非天然アミノ酸およびペプトイドから構築されたような他の主鎖構造は、化合物中に存在できる。D−アミノ酸および/またはL−アミノ酸の包含は、ペプチドの安定性を制御するためにも使用できる。
【0065】
免疫原として使用されるペプチドは従来、固相キャリアならびに反復直交脱保護およびカップリングの標準技法を使用して、自動化ペプチドシンセサイザで合成される。後でキレートコンジュゲーションに使用されるペプチド中の遊離アミノ基は、アセチル基などの標準保護基によって好都合に遮断される。そのような保護基は、当業者に既知となるであろう。Greene and Wuts Protective Groups in Organic Synthesis,1999(John Wiley and Sons,N.Y.)を参照。後で使用するためにペプチドがbsAb系内で調製されるとき、インビボカルボキシペプチダーゼ活性を阻害するために、それらは好都合に樹脂から開裂して、対応するC末端アミドを産生する。標的可能な構築物を調製する方法は、米国特許出願第09/337,756号;第09/382,186号;第09/823,746号;および第10/150,654号に述べられている;その全ては参照により本明細書に組み入れられている。
【0066】
キレート部分
標的可能な構築物上の親水性キレート部分の存在は、迅速なインビボクリアランスを確実にするのに役立つ。親水性に加えて、キレート剤はその金属結合特性のために選択され、少なくともbsAbエピトープがキレート剤でないそれらの標的可能な構築物では、金属キレート錯体の認識が必要ないため、自由自在に変更することができる。
【0067】
金属キレートの特に有用な組合せは、放射線撮像およびRAITのための47Sc、52Fe、55Co、67Ga、68Ga、111In、89Zr、90Y、161Tb、177Lu、212Bi、213Bi、および225Acと共に使用される、2−ベンジル−DTPAならびにそのモノメチルおよびシクロヘキシル類似物質を含む。同じキレート剤は、MRIで使用するためにMn、FeおよびGdなどの非放射性金属と錯化したときに、本明細書で述べる方法のbsAbと共に使用できる。NOTA(1,4,7−トリアザ−シクロノナン−N,N,N−トリ酢酸)、DOTA、およびTETA(p−ブロモアセトアミド−ベンジル−テトラエチルアミンテトラ酢酸)などの大環状キレート剤は、各種の金属および放射性金属と共に、たいていはGa、YおよびCuそれぞれの放射性核種と共に使用される。
【0068】
DTPAおよびDOTAタイプのキレート剤は、リガンドがハード塩基キレート化官能基、例えばカルボキシラートまたはアミン基を含む場合、ハード酸カチオン、特にIIa族およびIIIa族金属カチオンをキレート化するのに最も有効である。そのような金属キレート錯体は、環サイズを対象の金属に合せて調整することによって非常に安定にすることができる。他の環タイプのキレート剤、例えば大環状ポリエーテルは、RAITのための223Raなどの核種を安定に結合するための対象である。ポルフィリンキレート剤は多数の放射性金属と共に使用され、bsAb依存性免疫光療法のある低温金属錯体としても有用である。また複数の金属イオン、例えば低温イオン、診断放射性核種および/または治療用放射性核種をコンジュゲートするために、1種類を超えるキレート剤を標的可能な構築物に結合させることができる。
【0069】
標的可能な構築物のキレート化剤に結合できる、特に有用な診断用放射性核種は、これに限定されるわけではないが、110In、111In、177Lu、18F、52Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、86Y、90Y、89Zr、94mTc、94Tc、99mTc、120I、123I、124I、125I、131I、154-158Gd、32P、11C、13N、15O、186Re、188Re、51Mn、52mMn、55Co、72As、75Br、76Br、82mRb、83Sr、あるいは他のγ−、β−、またはポジトロンエミッタを含む。好ましくは、診断用放射性核種は、25〜10,000keVの範囲の、さらに好ましくは25〜4,000keVの範囲の、さらになお好ましくは20〜1,000keVの範囲の、まださらに好ましくは70〜700keVの範囲の崩壊エネルギーを含む。有用なポジトロン放出放射性核種の全崩壊エネルギーは、好ましくは<2,000keV、さらに好ましくは1,000keV以下、および最も好ましくは<700keVである。γ線検出を利用する診断剤として有用な放射性核種は、これに限定されるわけではないが:51Cr、57Co、58Co、59Fe、67Cu、67Ga、75Se、97Ru、99mTc、111In、114mIn、123I、125I、131I、169Yb、197Hgおよび201TIを含む。有用なγ線放出放射性核種の崩壊エネルギーは、好ましくは20〜2000keV、さらに好ましくは60〜600keV、最も好ましくは100〜300keVである。
【0070】
標的可能な構築物のキレート化剤に結合できる特に有用な治療用放射性核種は、これに限定されるわけではないが、111In、177Lu、212Bi、213Bi、211At、62Cu、64Cu、67Cu、90Y、125I、131I、32P、33P、47Sc、111Ag、67Ga、142Pr、153Sm、161Tb、166Dy、166Ho、186Re、188Re、189Re、212Pb、223Ra、225Ac、59Fe、75Se、77As、89Sr、99Mo、105Rh、109Pd、143Pr、149Pm、169Er、194Ir、198Au、199Au、および211Pbを含む。治療用放射性核種は、好ましくは25〜10,000keVの範囲の崩壊エネルギーを有する。有用なβ粒子放出核種の崩壊エネルギーは、好ましくは25〜5,000keV、さらに好ましくは100〜4,000keV、最も好ましくは500〜2,500keVである。オージェ放出粒子によって実質的に崩壊する放射性核種も好ましい。例えば58Co、67Ga、80mBr、99mTc、103mRh、109Pt、111In、119Sb、125I、161Ho、189mOsおよび192Ir。有用なβ粒子放出核種の崩壊エネルギーは、好ましくは<1,000keV、さらに好ましくは<100keV、最も好ましくは<70keVである。α粒子の生成によって実質的に崩壊する放射性核種も好ましい。そのような放射性核種は、これに限定されるわけではないが:152Dy、211At、212Bi、223Ra、219Rn、215Po、211Bi、225Ac、221Fr、217At、213Biおよび225Fmを含む。有用なα粒子放出放射性核種の崩壊エネルギーは、好ましくは2,000〜9,000keV、さらに好ましくは3,000〜8,000keV、最も好ましくは4,000〜7,000keVである。
【0071】
米国特許第5,753,206号に開示されたようなキレート剤、特にチオセミカルバゾニルグリオキシシステイン(Tscg−Cys)およびチオセミカルバジニルアセチルシステイン(Tsca−Cys)キレート剤は、ソフト塩基リガンド、特に硫黄またはリン含有リガンドに固く結合されているTc、Re、Biおよび他の遷移金属、ランタニドおよびアクチニドのソフト酸カチオンを結合するために好都合に使用される。それは1種類を超えるキレート剤をペプチドに結合するために有用である(例えばIn(III)カチオン用のDTPAなどのハード酸キレート剤、Tcカチオン用のTscg−Cysなどのソフト酸キレート剤)。ジ−DTPAハプテンに対する抗体は既知であり(Barbet’395、同上)、bsAbを形成するためにターゲティング抗体に直ちに結合されるので、疾患組織へ放射性同位体を標的化するためのプレターゲティングプロトコルにて、低温ジ−DTPAキレート剤(例えば放射性同位体によってキレート化されない)を含むペプチドおよび放射性同位体を含むキレート剤を使用することが可能である。そのようなペプチドの一例は、Ac−Lys(DTPA)−Tyr−Lys(DTPA)−Lys(Tscg−Cys)−NH2(配列番号2)である。このペプチドは、In(III)を再装填して、次に99MTcカチオンで標識することが可能であり、In(III)イオンはDTPAによって優先的にキレート化され、Tcカチオンは、チオール含有Tscg−Cysに優先的に結合する。NOTA、DOTA、TETAなどの他のハード酸キレート剤はDTPA基と置換可能であり、それらに特異的なMabは、抗ジ−DTPA Mabを産生するために使用される技法と類似の技法を使用して産生できる。
【0072】
カチオンの異なるサイズ、キレート環の形態、およびカチオンの好ましい錯体イオン構造に基づいて、2つの異なるハード酸またはソフト酸カチオンに優先的に結合させるために、2つの異なるハード酸またはソフト酸キレート剤をリンカー(例えば異なるキレート環サイズを有する)内に包含できることが認識されるであろう。これによって、一方または両方が放射性であるか、またはMRI強調にとって有用である、2つの異なる金属をプレターゲティングされたbsAbによる最終的な捕捉のためにリンカー内に包含させることができる。
【0073】
キレート剤は、以下の実施例にさらに十分に述べられている標準化学作用を使用して、標的可能な構築物のペプチドに結合される。Karacay et al.Bioconjugate Chem.11:842−854(2000);ならびに米国特許出願第09/337,756号;第09/382,186号;第09/823,746号;および第10/150,654号も参照;その全てが参照により本明細書に組み入れられている。本明細書で使用する保護基の省略形「Aloc」および「Fmoc」は、基アリルオキシカルボニルおよびフルオレニルメトキシカルボニルを指す。
【0074】
金属キレートの一般的な調製方法
キレート剤ペプチドコンジュゲート体は、長期間に渡って固体として保存できる。それらは金属結合反応のために単位用量として計量されて、固体、水性または半水性溶液、凍結溶液あるいは凍結乾燥調製物のいずれかとして単位用量で保存される。それらは周知の手順で標識できる。
【0075】
通例、ハード酸カチオンは、従来の塩の溶液として導入され、ハード酸キレート剤によって、そしておそらくソフト酸キレート剤によって取込まれる。しかしながらソフト酸カチオンの後での添加は、ソフト酸キレート剤によるその結合を引き起こして、その中にキレート化されるいずれのハード酸カチオンに取って代わる。例えば過剰な低温111InCl3の存在下でも、ソフト酸キレート剤は、99mTc(V)グルコヘプトナートによって提供された、または塩化第一スズおよび99mNa−TcO4を用いてインサイチューで産生されたTcカチオンによって定量的に標識できる。
【0076】
186Re、188Re、213Biなどの他のソフト酸カチオンならびにMn、Co、Ni、Pb、Cu、Cd、Au、Fe、Ag(1価)、ZnおよびHg、特に64Cuおよび67Cuの2価または3価カチオンなどは、その一部が放射免疫検出または放射免疫治療に有用であり、類似の方法によってリンカーペプチドに装填できる。レニウムカチオンも過レニウム酸塩および第1スズイオンからインサイチューで産生されるか、あるいは予備還元レニウムグルコヘプタノアートまたは他のトランスキレート剤を使用できる。過レニウム酸塩の還元は、Tcの還元に必要であるよりも多い第1スズイオン(通例、200g/mL超の最終濃度)を必要とするため、より高レベルの第1スズイオンがジスルフィド環化ペプチドに存在するような感受性のジスルフィド結合を還元しないようにするために、特別に注意を払う必要がある。レニウムでの放射性標識の間に、99mTcで使用するのと同様の手順が使用される。Tscg−CysリガンドのReO金属錯体を調製するための1つの方法は、ペプチドをReOCl3(P(Ph3)2と反応させることによるが、ReO(エチレンジアミン)2などの他の還元種を使用することも可能である。
【0077】
金属キレート錯体を調製する他の方法は、米国特許出願第09/337,756号;第09/382,186号;第09/823,746号;および第10/150,654号に述べられている;その全ては参照により本明細書に組み入れられている。
【0078】
標的可能な構築物、bsAb、および追加の治療剤または診断剤を投与する方法
以下に示す議論の多くが、疾患組織を処置する状況における二重特異性抗体および標的可能な構築物の使用に焦点を当てていることに注目すべきである。しかしながら、参照により本明細書に組み入れられた米国特許第6,126,916号;第6,077,499号;第6,010,680号;第5,776,095号;第5,776,094号;第5,776,093号;第5,772,981号;第5,753,206号;第5,746,996号;第5,697,902号;第5,328,679号;第5,128,119号;第5,101,827号;および第4,735,210号で述べられた方法を使用する、正常組織および臓器の処置および/または撮像における標的可能な構築物および二重特異性抗体の使用も考慮される。本明細書で使用するように、「組織」という用語は、これに限定されるわけではないが、卵巣、胸腺、副甲状腺、骨髄または脾臓からの組織を含む組織を指す。正常組織を標的化するときの重要な用途は、子宮内膜症の場合などに、それらが異所性である(すなわちその正常な位置から移動された)ときに、それらを同定および処置することである。
【0079】
標的可能な構築物および/またはbsAbは、経静脈的に、経動脈的に、手術中に、内視鏡的に、腹膜内に、筋肉内に、皮下に、胸膜内に、くも膜下腔内に、局所カテーテルを通じた潅流によって、または直接病巣内注射によって、経口的に投与され、連続輸液によって、あるいは単一または複数ボーラスによって、あるいは疾患組織を診断(検出)および治療するために当業者に既知の他の方法によって可能である。さらに標的可能な構築物は、上述したように超音波によって使用するための標的可能な構築物、または他の撮像方式、例えばX線、CT、PET、SPECTおよび超音波で使用するための他の造影剤にデキストランまたはリポソーム製剤をコンジュゲートさせることを制限なく含む、疾患組織を検出および処置する他の方法のための薬剤を含む。
【0080】
上述したbsAbおよび標的可能な構築物の投与は、リンカー部分と結合されている治療剤(すなわちエフェクター)の投与の少し前にbsAbを投与することによって実施できる。試薬の用量およびタイミングは、当業者が直ちに案出可能であり、利用された試薬の特定の性質に依存する。bsAb−F(ab’)2誘導体が最初に投与される場合、標的可能な構築物投与前の1〜6日の待ち時間が適切であり得る。IgG−Fab’bsAbコンジュゲート体が一次ターゲティングベクターである場合、リンカー部分の投与の前に3〜15日の範囲の、より長い待ち期間が指示される。あるいはbsAbおよび標的可能な構築物は、カクテル形で、または次々に投与することによってのどちらかで、実質的に同時に投与できる。
【0081】
多種多様の診断試薬および治療試薬は、標的可能な構築物に好都合にコンジュゲートできる。一般に診断剤および治療剤は、同位体、薬物、毒素、オリゴヌクレオチド(例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび干渉RNA)、サイトカイン、サイトカインとのコンジュゲート体、ホルモン、増殖因子、コンジュゲート体、放射性核種、造影剤、金属、細胞毒性薬、および免疫調節物質を含むことができる。例えばガドリニウム金属は磁気共鳴映像法に使用され、蛍光色素は光線力学療法のためにコンジュゲートさせることができる。その上、造影剤は、MRI造影剤、例えばガドリニウムイオン、ランタンイオン、マンガンイオン、鉄、クロム、銅、コバルト、ニッケル、ジスプロシウム、レニウム、ユーロピウム、テルビウム、ホルミウム、ネオジムまたは他の類似の標識、CT造影剤、および超音波造影剤であり得る。追加の診断剤は、フルオレセインイソチオシアナート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタルデヒドおよびフルオレサミンなどの蛍光標識化合物、ルミノール、イソルミノール、芳香族アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩およびオキサラートエステルを含む化学発光化合物、およびルシフェリン、ルシフェラーゼおよびエクオリンを含む生物発光化合物を含むことができる。例えば90Y、111In、131I、99mTc、186Re、188Re、177Lu、67Cu、212Bi、213Bi、および211Atを含む放射性核種は、診断剤および/または治療剤としても使用できる。
【0082】
治療剤は、例えば化学治療薬、例えばビンカ・アルカロイド、アントラサイクリン、エピドフィロ毒素、タキサン、代謝拮抗物質、アルキル化剤、抗生物質、Cox−2インヒビタ、抗分裂物質、血管新生阻害剤およびアポトーシス剤、特にドキソルビシン、メトトレキサート、タキソール、CPT−11、カンプトセシン、そして抗癌剤のこれらおよび他のクラスからのその他も含む。カンプトセシンのポリ−(L−グルタミン酸)へのコンジュゲートについて述べられている。Singer et al.,Annals of N.Y.Acad.of Sci.,2000;922:136−500を参照。免疫コンジュゲート体および抗体融合タンパク質の調製に有用な他の治療剤は、窒素マスタード、アルキルスルホナート、ニトロ尿素、トリアゼン、葉酸類似物質、COX−2インヒビタ、ピリミジン類似物質、プリン類似物質、白金配位錯体、ホルモンなどを含む。適切な治療剤は、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,19th Ed.(Mack Publishing Co.1995)、およびGOODMAN AND GILMAN’S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS,7th Ed.(MacMillan Publishing Co.1985)はもちろんのこと、これらの刊行物の改訂版でも述べられている。他の適切な治療剤、例えば実験薬は当業者に既知である。治療剤は制限なく、他の薬物、プロドラッグおよび/または毒素も含んでもよい。「薬物」、「プロドラッグ」および「毒素」という用語は、本明細書を通じて定義されている。「診断剤」または「診断」という用語は、これに限定されるわけではないが、検出剤、検出、または局在化を含む。治療剤および診断剤は、エマルジョンまたはリポソームを形成できる脂質あるいはポリマー構造を形成できるポリマーと関連付けられる。
【0083】
標的可能な構築物が診断剤を含むとき、bsAbは好ましくは、標的可能な構築物(診断剤を含む)の投与前に投与される。bsAbが疾患組織を標的化するために十分な時間が経過した後、診断剤を含む標的可能な構築物(すなわちエフェクター)が投与されるので、撮像が実施できる。腫瘍は、適切な波長の光が送達され、次に収集される各種の構造を直接または間接的に見ることによって、あるいは特殊検出器、例えば放射線プローブまたは蛍光検出器などによって、体腔内で検出可能である。いずれの体部位の病巣も、非イオン化放射線が送達され、これらの構造から再捕捉できる限り、見ることができる。例えば高解像度、非侵襲性の撮像技法であるPETは、ヒト疾患の描出のために、抗体および標的可能な構築物を用いて使用できる。PETでは、ポジトロン消滅崩壊の間に生成される511keVγ光子が検出できる。X線、コンピュータ断層撮影(CT)、MRIおよびγ撮像(例えば単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT))も、これらの方式によって機能する診断剤の使用を通じて利用できる。上述したように、標的可能な構築物は、25〜10,000keVのγ−、β−、α−およびオージェ−粒子および/またはポジトロンを放出する放射性診断剤を含んでもよい。そのような薬剤の例は、これに限定されるわけではないが、18F、45Ti、52Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、86Y、89Zr、94mTc、94Tc、99mTc、111In、123I、124I、125I、131I、154-158Gdおよび175Luを含む。
【0084】
本bsAbまたはbsFabは、米国特許第6,096,289号;第4,331,647号;第4,818,709号;第4,348,376号;第4,361,544号;第4,444,744号;第5,851,527号で述べられている光線力学療法(PDT)の方法で使用できる。PDTでは、光増感剤、例えばジヘマトポルフィリンエーテルなどのヘマトポルフィリン誘導体が対象に投与される。抗腫瘍活性は例えば630nmの光の使用によって開始される。皮膚が日光によってあまり光感作を受けない、より長い波長で有用なものを含めて、代わりの光増感剤が利用できる。そのような光増感剤の例は、これに限定されるわけではないが、ベンゾポルフィリンモノ酸環A(BPD−MA)、スズエチオプルプリン(SnET2)、スルホナートアルミニウムフタロシアニン(AISPc)およびルテチウムテクサフィリン(Lutex)を含む。
【0085】
加えてPDTでは、光活性化剤を集めた癌の部位を検出するために、診断剤を例えば全身的に注入して、レーザ誘起蛍光を無線カプセルサイズ内視鏡またはカメラを含む内視鏡によって使用できる。例えばこれは、初期肺癌の蛍光気管支鏡の開示に利用されている。Doiron et al.Chest 76:32(1979)。別の例において、抗体および抗体断片は、単光子放出で使用できる。例えばTc−99m標識診断剤は、抗体または抗体断片の投与後に対象に投与できる。次に単光子放出コンピュータ断層画像を生成して、病巣または腫瘍部位を画定するγカメラによって、対象を走査する。
【0086】
光活性剤または染料は、治療試薬および/または診断試薬として使用できる。例えば治療的に有用な免疫コンジュゲート体は、光活性剤または染料を抗体コンジュゲート体にコンジュゲートさせることによって得られる。蛍光および他のクロモゲン、または染料、例えば可視光に対して感受性であるポルフィリンは、適切な光を病巣に向けることによって病巣を検出および処置するために使用されている。療法では、これは光放射、光療法、または光線力学療法と呼ばれてきた(Jori et al.(eds.),Photodynamic Therapy of Tumors and Other Diseases(Libreria Progetto 1985);van den Bergh,Chem.Britain 22:430(1986))。その上、モノクローナル抗体は、光療法を実施するために光活性化染料とカップリングされている。Mew et al.,J.Immunol.130:1473(1983);idem.,Cancer Res.45:4380(1985);Oseroff et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:8744(1986);idem.,Photochem.Photobiol.46:83(1987);Hasan et al.,Prog.Clin.Biol.Res.288:471(1989);Tatsuta et al.,Lasers Surg.Med.9:422(1989);Pelegrin et al.,Cancer 67:2529(1991).しかしながらこれらの初期の研究は、特に抗体断片またはサブ断片を用いた内視鏡療法用途の使用を含んでいなかった。従って免疫コンジュゲート体は、光活性剤または染料を含んでもよい。検出および療法の内視鏡的方法は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられている米国特許第4,932,412号;第5,525,338号;第5,716,595号;第5,736,119号;第5,922,302号;第6,096,289号;および第6,387,350号に述べられている。
【0087】
放射線不透過物質および造影物質は、X線およびコンピュータ断層撮影を強調するために使用され、ヨウ素化合物、バリウム化合物、ガリウム化合物、タリウム化合物などを含む。具体的な化合物は、バリウム、ジアトリゾアート、エチオダイズド油、ガリウムシトレート、イオカルム酸、イオセタム酸、ヨーダミド、ヨージパミド、ヨードキサム酸、イオグルアミド、イオヘキソール、イオパミドール、イオパノ酸、イオプロセム酸、イオセファム酸、イオセル酸、イオスラミドメグルミン、イオセメト酸、イオタスル、イオテトル酸、イオタラム酸、イオトロクス酸、イオキサグル酸、イオキソトリゾ酸、イポダート、メグルミン、メトリザミド、メトリゾアート、プロピリオドン、および塩化第一タリウムを含む。デキストランおよびリポソーム、特にガス充填リポソームを含む、超音波造影物質も使用できる。
【0088】
免疫調節物質の投与
1つの実施形態において、免疫調整剤、例えばサイトカインは、リンカーによって、または当業者によって既知の他の方法によって標的可能な構築物にコンジュゲートできる。本明細書で使用するように、「免疫調整剤」という用語は、サイトカイン、幹細胞増殖因子、リンホトキシン、例えば腫瘍壊死因子(TNF)、および造血因子、例えばインターロイキンs(例えばインターロイキン−1(IL−1)、IL−2、IL−3、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、およびIL−21)、コロニー刺激因子(例えば顆粒球−コロニー刺激因子(G−CSF)および顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF))、インターフェロン(例えばインターフェロン−α、−βおよび−γ)、「S1因子」と呼ばれる幹細胞増殖因子、エリスロポエチンおよびトロンボポイエチンを含む。適切な免疫調整剤部分の例は、IL−2、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、IL−21、インターフェロン、TNF(例えばTNF−α)などを含む。
【0089】
薬物およびプロドラッグの投与
抗癌療法に有用なある細胞毒性薬は、血清中で比較的不溶性である。加えて、一部の細胞毒性薬も、非コンジュゲート形では非常に毒性であり、その毒性はプロドラッグへの変換によってかなり低減される。溶解性の低い薬物の、より溶解性のコンジュゲート体、例えばグルクロニド、親水性酸のエステルまたは親水性アミンへのアミドへの変換は、血清の水相での溶解度と、静脈細胞壁、動脈細胞壁または毛細血管細胞壁を通過して、腫瘍を浸す間質液に達するその能力を改良する。プロドラッグの開裂は、より溶解性の低い薬物を標的部位に沈積させる。そのようなプロドラッグから薬物への変換の多くの例が、Hansenへの米国特許第5,851,527号に開示されている。
【0090】
肝臓における芳香族または脂環式アルコール、チオール、フェノールおよびアミンなどのある毒性物質のグルクロニドへの変換は、それらを解毒して、尿により容易に排出させる体の方法である。そのような基質に変換できる1種類の抗腫瘍薬物は、アントラサイクリングリコシドであり、ヒトβ−D−グルクロニダーゼの基質であることが示されている、エピルビシン、すなわちドキソルビシンの4−エピマー(アドリアマイシン)である。例えばArcamone Cancer Res.45:5995(1985)を参照。より少ない極性基を有する他の類似物質は、より親油性であることが予想され、そのような手法に関してより大きな将来性を示している。芳香族または脂環式アルコール、チオールまたはアミン基を持つ他の薬物または毒素は、そのようなコンジュゲート体生成の候補である。これらの薬物、またはその他のプロドラッグ形は、現在説明している化合物および方法の部位特異的強調法の適切な候補である。
【0091】
プロドラッグCPT−11(イリノテカン)はインビボカルボキシルエステラーゼによって、活性代謝産物SN−38に変換される。従って治療方法の一つの用途は、腫瘍およびハプテン(例えばジ−DTPA)に標的化されたbsAbを使用することであり、ジ−DTPA−カルボキシエステラーゼコンジュゲート体の注入が続く。適切な腫瘍対バックグラウンド局在化比が達成されると、CPT−11が与えられ、腫瘍局在化カルボキシエステラーゼは、腫瘍においてCPT−11をSN−38に変換するよう作用する。その低い溶解度により、活性SN−38は腫瘍の付近に残存し、結果として標的化される抗原に対して陰性である隣接する腫瘍細胞に作用を及ぼすであろう。これが方法のさらなる利点である。カルボキシエステラーゼの改良形は、説明されており、開示された化合物および方法の範囲内である。例えばPotter et al.,Cancer Res.58:2646−2651(1998)およびPotter et al.,Cancer Res.58:3627−3632(1998)を参照。別の実施形態において、CPT−11は、DTPAまたはターゲティング分子を含む標的可能な構築物にコンジュゲートされ、それは腫瘍でのSN−38に対するCPT−11の局在化および活性化をさらに強化できる。
【0092】
エトポシドは、そのグルクロニドの形成によってかなりの程度まで解毒される、幅広く使用されている制癌剤であり、開示された化合物および方法の範囲内にある。例えばHande et al.Cancer Res.48:1829−1834(1988)を参照。グルクロニドコンジュゲート体は細胞毒性薬から調製可能であり、mAb−グルクロニダーゼコンジュゲート体によってプレターゲティングされた腫瘍のための治療薬として注射できる。例えばWang et al.Cancer Res.52:4484−4491(1992)を参照。従ってそのようなコンジュゲート体は、本明細書で述べたプレターゲティング手法によっても使用できる。同様に、ダウノマイシンおよびドキソルビシンの誘導体に基づいて設計されたプロドラッグは、カルボキシエステラーゼおよびグルクロニダーゼとの使用について述べられている。例えばBakina et al.J.Med Chem.40:4013−4018(1997)を参照。本発明の方法の範囲内で使用できるプロドラッグ/酵素対の他の例は、これに限定されるわけではないが、フェノールマスタードのヒドロキシ誘導体のグルクロニドプロドラッグおよびβ−グルクロニダーゼ;フェノールマスタードまたはCPT−11およびカルボキシペプチダーゼ;メトトレキサート置換α−アミノ酸およびカルボキシペプチダーゼA;6−メルカプトプリンおよびドキソルビシンなどの薬物のペニシリンまたはセファロスポリンコンジュゲート体およびβ−ラクタマーゼ;エトポシドホスフェートおよびアルカリホスファターゼを含む。
【0093】
酵素およびプロドラッグの同時投与
体の解毒経路を制御することによって、プロドラッグを標的部位で活性化できる、または通常の治療薬の有効性を改良できる酵素は、(例えばスペーサーまたはハプテンにコンジュゲートされた)化合物の成分であってよい。酵素−ハプテンコンジュゲート体は、プレターゲティングbsAbの投与後に対象に投与でき、標的部位に向けることができる。酵素が標的部位に局在化した後に、標的部位で作用することが既知である細胞毒性薬、またはプレターゲティングされた酵素によりインサイチューで薬物に変換されるそのプロドラッグ形が注入される。薬物は投与後に解毒されて、哺乳類の通常の解毒プロセスを使用して、より毒性の低い中間体、最も一般的にはグルクロニドを形成する。解毒中間体、例えばグルクロニドはプレターゲティングされた酵素によってそのより強い毒性形に再変換され、従って標的部位において強化された細胞毒性を有する。これは薬物の再利用をもたらす。同様に、投与されたプロドラッグは、正常な生体内プロセスを通じて活性薬物に変換できる。プレターゲティングされた酵素は、解毒された薬物を再利用することによって治療の有効性を改善する。この手法は、酵素−薬物対と使用するために採用できる。
【0094】
代わりの実施形態において、酵素−ハプテンコンジュゲート体を患者への投与前にターゲティングbsAbと混合できる。酵素−ハプテン−bsAbコンジュゲート体が標的部位に局在化するために、そして未結合のコンジュゲート体が循環から排出されるために十分な時間が経過した後に、プロドラッグが投与される。上述したように、次にプロドラッグはプレターゲティングされた酵素によってインサイチューで薬物に変換される。
【0095】
別の実施形態において、プレターゲティングbsAbは患者に投与され、標的に局在化されて、実質的に循環から排出される。その後の適切な時間に、プロドラッグ、例えばポリグルタミン酸(SN−38−エステル)10を含む標的可能な構築物を与え、それによりプロドラッグを腫瘍標的に特異的に局在化させる。腫瘍内および腫瘍周囲での高い細胞溶解率のために、腫瘍が細胞内源から放出される酵素の量を増加させていることは既知である。当業者はこれらの酵素によって活性化できるプロドラッグを適切に選択することによって、この特徴を活用できる。例えばカルボキシエステラーゼは、腫瘍にて高濃度の遊離SN−38を放出するポリグルタミン酸(SN−38−エステル)10のエステル結合を開裂させることによって、プロドラッグのポリグルタミン酸(SN−38−エステル)10を活性化する。あるいは適切な酵素を腫瘍部位に標的化することもできる。
【0096】
標的可能な構築物からの開裂後、薬物は腫瘍細胞によって内部移行される。あるいは薬物は、標的での架橋のために無傷の錯体の一部として内部移行できる。標的可能な構築物は、腫瘍結合bsAbの内部移行を誘発し、それによってより高いレベルの薬物を内部移行させて治療の有効性を改善できる。
【0097】
ペプチドキャリアに結合したプロドラッグを含む化合物
ポリアミノ酸、例えばポリリジン、ポリグルタミン酸(E)およびアスパラギン酸(D)を含む、各種のペプチドキャリア(例えばスペーサーとして)は、そのD−アミノ酸類似物質、およびコポリマー、例えばポリ(Lys−Glu){ポリ[KE]}を含めて、好都合には1:10〜10:1の比でのプロドラッグへのコンジュゲートに非常に適している。ポリ(Lys−Ala−Glu−Tyr(配列番号3)(KAEY;5:6:2:1)などの、アミノ酸混合物をベースとするコポリマーも利用できる。規定の分子量のより小型のポリマー性キャリアは、固相ペプチド合成技法によって合成可能であり、鎖長が2〜50残基のポリペプチドが直ちに生成される。この種の試薬の別の利点は、正確な構造定義以外に、鎖内のある位置に1つまたは任意の所望の数の化学ハンドルを配置する能力である。これらは、各部分の選択したレベルでの認識および治療ハプテンの結合のために後で使用できる。
【0098】
ポリ(エチレン)グリコール[PEG]は、二重特異性抗体プロドラッグ手法のための所望のインビボ特性を有する。PEG誘導体の、そのダイマー官能基による所望のインビボ特性および制限された装填能力は、Poiani et al.によって述べられているような、より大きいハプテン担持能力を有するPEGコポリマーの調製をもたらしている。例えばPoiani et al.Bioconjugate Chem.,5:621−630,1994を参照。PEGを使用すると、化合物のいずれの成分もコンジュゲートできる(リジン残基への薬物またはプロドラッグなど)。例えばPEG誘導体は、ビス(スクシンイミジル)カーボネート誘導体を生成するために両端で活性化させて、リジンなどの多官能性ジアミンと共重合させることができる。(−Lys(COOH)−PEG−Lys(COOH)−PEG−)n反復単位(式中、リシルカルボキシル基は重合プロセスに関与していない)を含有する、そのような共重合の生成物は、SN−38残基の結合に使用できる。SN−38残基は、遊離カルボキシル基と反応して、(−Lys−(COOH)−PEG−Lys(COOH)−PEG−)n鎖のSN−38エステルを生成する。
【0099】
ハプテンおよび/またはプロドラッグをコンジュゲートするのに使用できる他の合成ポリマーは、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HMPA)コポリマー、ポリ(スチレン−co−マレイン酸/無水物(SMA)、ポリ(ジビニルエーテルマレイン酸無水物)(DIVEMA)、ポリエチレンイミン、エトキシル化ポリエチレンイミン、星形デンドリマーおよびポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)を含む。一例として、複数の無水物単位からなるDIVEMAポリマーは、限定された量のSN−38と反応して、ポリマー主鎖上に薬物の所望の置換比を生じる。残りの無水物基は水性条件下で開いて、遊離カルボキシラート基を生成する。限定された数の遊離カルボキシラート基は、標準水溶性ペプチドカップリング剤(例えば1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロキシクロライド(EDC))を使用して活性化され、遊離アミノ基を保持する認識部分にカップリングされる。後者の例はヒスタミンであり、それに対して過去に抗体が産生されている。
【0100】
ポリマー/薬物コンジュゲート体の上の例は、プロドラッグCPT−11(イリノテカン)の活性代謝産物であるSN−38の使用を具体化する。SN−38は、上の説明で使用された芳香族ヒドロキシル基を有し、エステラーゼ型酵素に対して感受性のアリールエステルを生成する。同様にカンプトセシン類似物質のトポテカンは、化学療法で幅広く使用されており、SN−38で述べたのと同様の方法で使用できる利用可能な芳香族ヒドロキシ残基を有し、エステラーゼ感受性ポリマープロドラッグを生成する。カンプトセシンの水溶性誘導体は、参照により本明細書に組み入れられている米国特許第4,943,579号に述べられている。カンプトセシンのポリ−(L−グルタミン酸)へのコンジュゲートは説明されている。例えばSinger et al.,Annals of the N.Y.Acad.Sci.,922:136−150(2000)を参照。
【0101】
ドキソルビシンは、カンプトセシンファミリについて述べた反応と似た酸触媒反応を使用して、カルボキシラート含有ポリマー性キャリアにカップリングできる芳香族ヒドロキシル基も含有する。同様に、ダウノマイシン、エピルビシンおよびイダルビシンなどのドキソルビシン類似物質も同じ方法でカップリングできる。ドキソルビシンおよびポリマー性キャリアへの化学カップリングのために十分活性であるアミノ「化学ハンドル」を持つ他の薬物は、多数の方法でこれらの遊離アミノ酸を介してキャリア分子に効果的にカップリングすることができる。遊離カルボキシラート基を担持するポリマーは、インサイチューで活性化可能であり(EDC)、活性化されたポリマーはドキソルビシンと混合されて、ポリマーの側鎖にアミノ結合を介して薬物を直接結合させる。アミノ含有薬物は、ビス(スクシンイミジル)エステル基との反応後に2個のアミドと同様に2個のアミンを架橋するために、市販の開裂性架橋剤、例えばエチレングリコビス(スクシンイミジルスクシナート)(EGS,Pierce Chemical Co.,ロックフォード、イリノイ州)またはビス−[2−(スクシンイミド−オキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン(BSOCOES,Molecular Biosciences,ハンツビル、アラバマ州)と混合することによって、アミノ側鎖ポリマーにカップリングすることもできる。これは、これらの基が酵素開裂に対してなお感受性であるときに好都合である。例えば(ドキソルビシン−EGS)n−ポリ−リジンは、EGS結合鎖内でのジエステル基のエステラーゼなどの酵素による酵素開裂に対してなお感受性である。ドキソルビシンも、確立された手順を使用して各種のペプチド、例えばHyBnK(DTPA)YK(DTPA)−NH2にコンジュゲートできる(HyBn=p−H2NNHC6H4CO2H)。Kaneko et al.,J.Bioconjugate Chem.,2:133−141,1991を参照。
【0102】
1つの好ましい実施形態において、DTPAがプレターゲティングされたbsAbのために認識部分を形成するDTPA−ペプチド−ドキソルビシンコンジュゲート体を形成するために、アミン残基およびキレート化剤、例えばDTPAを含むキャリアにカップリングされたカンプトセシン、カンプトセシンの誘導体、またはドキソルビシンを含む治療用コンジュゲート体を合成できる。好ましくは、キャリアはチロシル−リジンジペプチド、(例えばTyr−Lys(DTPA)−NH2)を含み、さらに好ましくは、それはなおLys(DTPA)−Tyr−Lys(DTPA)−NH2を含む。ビス−DPTA含有ペプチドにコンジュゲートされたドキソルビシンフェニルヒドラゾンは、治療の状況では特に好ましい。
【0103】
メトトレキサートも、ドキソルビシンで述べた方法と同様の方法で活性化カルボキシラート含有ポリマーへカップリングするために利用可能なアミノ基を有する。それはアミノ基含有ポリマーへのカップリングのために活性化できる、2個のグルタミルカルボキシル基(αおよびγ)も有する。メトトレキサートの遊離カルボキシラート基はインサイチューで活性化可能であり(EDC)、活性化薬物はアミノ含有ポリマーと混合されて、ポリマーの側鎖にアミド結合によって直接結合される。過剰な未反応または交差反応薬物は、サイズ排除またはイオン交換クロマトグラフィーを使用してポリマー−薬物コンジュゲート体から直ちに分離される。
【0104】
メイタンシノイドおよびカリケアミシン(例えばエスペラマイシン)は、化学操作に有用な単一のチオールを含む種を生成するために開裂できる混合ジスルフィドおよびトリスルフィド結合を含有する。チオメイタンシノイドまたはチオエスペラマイシンは、ペプチダーゼによる開裂に感受性であるマレイミドペプチドなどの架橋剤と最初に反応する。次にペプチドのC末端は活性化されて、ポリリジンなどのアミノ含有ポリマーにカップリングされる。
【0105】
化合物の脂質へのコンジュゲート
上述の化合物(例えば標的可能な構築物およびその成分)および結合分子(例えばbsAb)は、(1)エフェクター(例えば薬物)を送達可能な脂質;(2)エフェクター(例えば薬物)を送達できる、高次構造を形成できる分子(例えば両親媒性脂質またはポリマー);および/または(3)エフェクターを送達できる高次構造(例えばミセル、リポソーム、ポリマー構造、またはナノ粒子)にコンジュゲートされる。リポソーム、ミセル、およびエマルジョンの形成は、当分野で既知である(例えばWrobel et al.,Biochimica et Biophysica Acta,1235:296(1995);Lundberg et al.,J.Pharm.Pharmacol.,51:1099−1105(1999);Lundberg et al.Int.J.Pharm.,205:101−108(2000);Lundberg,J.Pharm.Sci.,83:72−75(1994);Xu et al.,Molec.Cancer Ther.,1:337−346(2002);Torchilin et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.100:6039−6044(2003);米国特許第5,565,215号;米国特許第6,379,698号;および米国特許出願第2003/0082154号を参照)。薬剤送達または撮像に有用であるポリマー、シリカ、または金属から形成されたナノ粒子またはナノカプセルも同様に説明されている(例えばWest et al.,Applications of Nanotechnology to Biotechnology,11:215−217(2000);米国特許第5,620,708号;米国特許第5,702,727号;および米国特許第6,530,944号を参照)。
【0106】
ターゲティング分子が脂質にコンジュゲートされている場合、脂質は、好ましくはミセルまたはリポソームなどのエマルジョンまたは高次構造を形成できる。例えば脂質は両親媒性(例えばリン脂質)である。標的可能な構築物へのコンジュゲートを促進するために、脂質は、求核炭素などの標的可能な構築物と(例えば末端にて)反応できる1つ以上の基を含有できる。ポリエチレングリコール(PEG)−マレイミドは適切な脂質であり、それによってマレイミドは、標的可能な構築物上に(例えば還元システイン残基に)存在する遊離チオール基と反応できる。マレイミド基は、標的可能な構築物または結合分子をコンジュゲートするために、本明細書に述べるように他のキャリア上にも存在できる。例えばナノ粒子は、標的可能な構築物をコンジュゲートするためにマレイミド基を含有できる。マレイミド基に加えて、標的可能な構築物または結合分子をコンジュゲートするための他の基は、米国特許第6,306,393号で述べられているように、ビニルスルホンを含むことができる。脂質のコンジュゲートした標的可能な構築物は、本明細書で述べたエフェクター分子(例えば疎水性薬物)を含むことができるエマルジョンまたはリポソームを形成することができる。
【0107】
治療剤または診断剤用の標的化キャリアを形成するための抗体または結合分子の脂質へのコンジュゲートについて説明されている(例えばBendas,Biodrugs,15:215−224(2001);Xu et al.,Molec.Cancer Ther.,1:337−346(2002);Torchilin et al.,Proc.Nat’l.Acad.Sci.,100:6039−6044(2003);Bally,et al.,J.Liposome Res.,8:299−335(1998);Lundberg,Int.J.Pharm.,109:73−81(1994);Lundberg,J.Pharm.Pharmacol.,49:16−21(1997);Lundberg,Anti−cancer Drug Design,13:453−461(1998)を参照)。米国特許第6,306,393号;米国特許出願第10/350,096号;米国特許出願第09/590,284号;1999年6月9日に提出された米国特許出願第60/138,284号;および2003年6月17日に提出された米国特許出願第60/478,830号も参照。これらの参考文献は全て参照により本明細書に組み入れられている。結合分子(すなわちターゲティング分子)を脂質にコンジュゲートするために使用された同一の化学作用を利用して、標的可能な構築物を脂質にコンジュゲートできる。
【0108】
薬物装填エマルジョンの調製
脂質コンジュゲート分子は、薬物などのエフェクターを含むエマルジョンまたはリポソームを形成できる。エマルジョンは、2つの主要な部分:(1)油性コア(例えばトリグリセリド);および(2)油性コアを安定化する乳化剤(例えばリン脂質)から構成される。トリオレイン(TO)、卵黄ホスファチジルコリン(EPC)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、コレステロール(CHOL)、8−ヒドロキシ−1,3,6−ピレントリスルホナート(HPTS)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(ソルビタン80)、メトキシポリエチレングリコール(PEG平均分子量2000)、オレオイルクロライド、3−(4,5−ジメチルジアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)およびDL−ジチオトレイトール(DTT)は、Sigma Chemical Co.(セントルイス、ミズーリ州)などの市販元から入手した。ポリ(エチレングリコール)−マレイミド−N−ヒドロキシ−スクシンイミジルエステル(MAL−PEG2000−NHS)は、Shearwater Polymers Europe(ヘンスヘーデ、オランダ)から購入できる。[3H]コレステリルオレオイルエーテル(COE)および[14C]ジパルミトイルホスファチジルコリンは、Amersham International plc(アマシャム、英国)より得た。PEG鎖の末端にマレイミド基を有するジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)のPEG2000誘導体(DPPE−PEG−MAL)は、NHS−PEG−MAL 25molをDPPE 23molおよびクロロホルム中のトリエチルアミン50molと40℃にて6時間反応させることによって合成される。生成物は、分取シリカゲルTLCによって精製できる。
【0109】
ミクロン以下の脂質エマルジョンは、他で詳細に述べたように調製できる(Lundberg,J.Pharm.Sci.,83:72−75(1994);Lundberg et al.,Int.J.Pharm.,134:119−127(1996);2003年6月17日に提出された米国特許出願第60/478,830号;米国特許第6,306,393号を参照)。薬物装填エマルジョンは、TO、EPC、ポリソルベート80、DPPE−PEG2000−MAL、およびエフェクター(例えば薬物FUdR−dO)を2:2:0.8:0.6:0.3(重量/重量)の比で含む。成分をストック溶液からバイアルに分配して、減圧下で溶媒を乾燥するまで蒸発させた。ホスフェート緩衝食塩水(PBS)を添加して、混合物を50℃まで加熱し;ボルテックスで30秒間混合して;Bransonプローブソニケータで2分間超音波処理した。
【0110】
薬物装填リポソームは、EPC、DPPE−PEG2000−MAL、FUdR−dO1:0.2:0.1(重量/重量)から構成される。EPC、CHOL、DPPE−PEG2000−MALの比は2:0.5:0.4が適切である。乾燥脂質フィルムを25mM HEPESおよび140mM NaCl緩衝液(pH7.4)(適切な場合には35mM HPTSを含有する)中で水和させて;次に5回の凍結解凍サイクルを受けさせて、Bransonプローブソニケータで2分間超音波処理した。[14C]DPPCを含めることによって、リン脂質濃度を定量する。
【0111】
脂質薬物キャリアの標的可能な構築物へのコンジュゲート
上述の化合物(すなわち標的可能な構築物)または結合分子の脂質薬物キャリアへのカップリングは、マレイミド(MAL)基をキャリア表面のPEG末端および標的可能な構築物または結合分子上の遊離チオール基、または他の適切な基と反応させることによって実施できる。標的可能な構築物または結合分子がジスルフィド基を含有する場合、0.2Mトリス緩衝液(pH6.5)中での50mMジチオトレイトールとの4℃での1時間に渡るカップリング反応の前に、遊離チオール基を供給するためにジスルフィド基を還元することができる。還元した分子は、50mM酢酸ナトリウム緩衝0.9%食塩水(pH5.3)で平衡にしたSephadex G−25スピンカラムを使用して過剰なジチオトレイトールから分離できる。コンジュゲートは、HEPES緩衝食塩水(pH7.4)中で室温にてアルゴン雰囲気下で16時間に渡って実施できる。過剰なマレイミド基は、2mM 2−メルカプトエタノールで30分間に渡って遮断可能であり、その後、過剰なAbおよび2−メルカプトエタノールをSepharose CL−4Bカラムで除去できる。コンジュゲートしたリポソームをカラムの空隙体積付近で収集して、0.22μm滅菌フィルタを通過させて、4℃で保存できる。カップリング効率は、フルオレセイン標識された標的可能な構築物または結合分子の使用によって概算できる。
【0112】
組合せ治療および診断方法のための化合物
なお他の実施形態において、治療薬またはプロドラッグポリマーのインビボ標的への二重特異性抗体定方向送達は、組合せ化学療法および放射免疫療法が実現されるように、放射性核種の二重特異性抗体送達と組合せることができる。各エフェクター(例えば核種および薬物)は、標的可能な構築物とコンジュゲートするか、または非共有結合して、同時に投与されるか、あるいは核種は第1の標的可能な構築物の一部として投与可能であり、薬物は後のステップで第2の標的可能な構築物の一部として与えられる。1つの実施形態において、1つのプロドラッグおよび1つの核種を含有するペプチドが構築される。例えばトリペプチドAc−Glu−Gly−Lys−NH2は、標的可能な構築物のキャリア部分として使用でき、それによりSN−38はアリールエステルとしてγグルタミルカルボキシル基に結合して、同時にキレートはアミドとしてイプシロンアミノ基に結合して、錯体Ac−Glu(SN−38)−Gly−Lys(キレート)−NH2を生成する。次にキレートは撮像および治療の目的で、111In、90Y、153Sm、177Luおよび89Zrを含む各種の金属によって放射性標識できる。金属キレート錯体は、標的可能な構築物上で認識されたハプテンを示すことができるため、抗体は、選択した金属キレート錯体を十分に高い親和性で認識および結合するように設計できる。一般にこの親和性(log Ka)は6〜11である。ポリマーペプチドは、上記のより既知組成の低分子量の試薬と同様に直ちに投与可能であり、実際に好ましい。また3置換ポリマー、例えばポリ[Glu(Sn−38)10−Lys(Y−90−キレート)n(ヒスタミン−スクシナート)mは、認識剤は放射免疫治療剤と無関係であるように使用可能であり、nおよびmは整数である。プロドラッグは、腫瘍部位に存在するカルボキシルエステラーゼによって、または第2の標的可能な構築物を使用して部位に標的化されるカルボキシエステラーゼによって活性化できる。
【0113】
あるいは併用療法は、化学療法および放射免疫治療剤を別のステップで投与することによって達成できる。例えばCEA腫瘍を発現している患者には、CEAに特異的に結合する少なくとも1つのアームおよびそのハプテンが錯体である標的可能な構築物を特異的に結合する少なくとも1つの他方のアームを備えたbsAb(例えばインジウム−DTPAまたはイットリウム−DOTA)が投与される。後に患者は、コンジュゲート体(例えばインジウム−DTPA−β−グルクロニダーゼまたはイットリウム−DOTA−β−グルクロニダーゼを含む標的可能な構築物によって治療される。bsAbおよび酵素局在化および排除に十分な時間の後、Ac−Cys(カンプト−COCH2)−Lys(インジウム−DTPA)−Tyr−Lys(インジウム−DTPA)−NH2またはAc−Glu(SN−38)−Gly−Lys(Y−90−DOTA)−NH2を含む第2の標的可能な構築物が与えられる。第2の標的可能な構築物は、第1の標的可能な構築物にすでに結合された腫瘍におけるbsAbのために、腫瘍に局在化する。標的部位に局在化された第1の標的可能な構築物は、Ac−Cys(CPT)−Lys(インジウム−DTPA)−Tyr−Lys(インジウム−DTPA)−NH2またはAc−Glu(SN−38)−Gly−Lys(Y−90−DOTA)−NH2に作用して、CPTまたはSN−38を遊離させる。プロドラッグおよびそのそれぞれの酵素両方の標的部位への局在化は、酵素が基質を限定しないにして、活性薬物の生成を強化する。この実施形態は、当分野で現在実施されている現在のプロドラッグ方法の顕著な改善を構成する。
【0114】
前に与えた標的可能な構築物の一部として送達された後に、プロドラッグポリマーを後のステップで投与する別の利点は、放射線および薬物療法の相乗効果は操作する、従って最大化することができる。RAIT後に放射線による損傷のために、腫瘍がより「漏出性」となることが仮定される。これによりポリマープロドラッグは腫瘍内へより完全に深く進入できる。これにより改良された化学療法をもたらされる。
【0115】
あるいはRAIT治療剤は、標的可能な構築物ではなく、bsAbに結合できる。例えばY−90−DOTAにコンジュゲートされた抗CEA×抗DTPA bsAbは、CEA発現腫瘍を持つ患者に最初に投与できる。この例では、抗インジウム−DTPA抗体がイットリウムDOTAキレートに結合しないという点で、ある抗キレートmabの選択性の利点が得られる。Y−90−DOTA−抗CEA×抗インジウムDTPAが腫瘍にて最大限となり、非標的組織から実質的に排出された後に、インジウムDTPAグルクロニダーゼのコンジュゲート体が注射され、CEA腫瘍部位に特異的に局在化する。次に患者にポリ(Glu)(SN−38)10などのポリマープロドラッグを注射する。後者は腫瘍にて選択的に開裂されて、モノマーSN−38を活性化して、化学療法を前に投与されたRAITと正しく組合せる。
【0116】
抗体
標的部位にて抗原に対して特異性の少なくとも1つの結合部位および抗体酵素コンジュゲート体の酵素成分に対して特異性の少なくとも1つの他の結合部位を持つ二重特異性抗体または抗体断片は、本方法において使用できる。そのような抗体は、注射の前に酵素を結合可能であり、それにより酵素を抗体に共有結合的にコンジュゲートさせる必要がなくなる。あるいは、抗体を注射して標的部位に局在化させることが可能であり、非標的化抗体が哺乳類の循環系から実質的に除去された後に、酵素は、十分な量の酵素が局在化抗体または抗体断片に到達して、それを結合して抗体酵素コンジュゲート体をインサイチューで形成できる量および経路で注射できる。
【0117】
本明細書で開示する方法は、2000年7月25日に提出された特許出願第60/220,782号に述べられているように、少なくとも3つの異なる標的結合部位を有する多価標的結合タンパク質の使用も検討する。多価標的結合タンパク質は、化学リンカーによって複数のFab様断片を架橋することによって作成できる。米国特許第5,262,524号;第5,091,542号およびLandsdorp et al.,Euro.J.Immunol.16:679−83(1986)を参照。多価標的結合タンパク質も、単一のポリペプチドを形成するために複数の単鎖Fv分子(scFv)を共有結合することによって作成されている。米国特許第5,892,020号を参照。基本的にscFv分子の凝集体である多価標的結合タンパク質は、米国特許第6,025,165号および第5,837,242号に開示されている。scFv分子3個を含む3価標的結合タンパク質は、Krott et al.,Protein Engineering 10(4):423−433(1997)に述べられている。
【0118】
クリアリング剤
bsAbおよび標的可能な構築物の用量の間で与えられるクリアリング剤を使用できる。新規な機械的作用のクリアリング剤、すなわちbsAbの疾患ターゲティングアームに対して標的化されたグリコシル化抗イディオタイプFab’断片が本明細書で述べた方法によって使用できることが発見されている。抗CEA(MN−14Ab)×抗ペプチドbsAbが投与されて、疾患標的にて最大限まで結合する。残存bsAbを排除するために、W12と呼ばれるMN−14への抗イディオタイプAbが好ましくはグリコシル化Fab’断片として投与される。クリアリング剤は、bsAbに1価方法で結合するのに対して、その追加されたグリコシル残基は錯体全体を腎臓に向け、そこで迅速な代謝が起こる。次に標的可能な構築物と結合する治療剤または診断剤を対象に投与する。bsAbのMN−14アームに対してWI2Abは高い親和性を有し、排除機構は、WI2−Fab’が1価部分であるために架橋に関与しないので開示された他の機構とは異なる(Goodwin et al.,ibidを参照)。クリアリング剤およびその使用は、米国特許第6,667,024号;米国特許第6,468,530号;米国特許第6,387,350号;米国特許第6,096,289号;米国特許第5,922,302号;米国特許第5,736,119号;米国特許第5,698,405号;米国特許第5,698,178号;米国特許第5,686,578号;および米国特許第5,525,338号に述べられており;その全ては参照によりその全体が本明細書に組み入れられている。
【0119】
キット
化合物は、本明細書で開示した方法を実施することによって、患者の疾患組織の治療または同定に使用するために適切なキットとして包装できる。キットは最低限、本明細書の化合物の1つ以上を含む(例えば標的可能な構築物または標的可能な分子として)。キットは、1つ以上の結合分子(例えばターゲティング分子としての抗体またはその断片)および/または1つ以上のクリアリング剤も含むことができる。キットは、疾患組織の同定または治療を促進する器具も含むことができる。例はこれに限定されるわけではないが使用器具、例えば注射器を含む。キットは、疾患組織を同定または治療するために必要な溶液も含むことができる。キットは、説明書および/または説明付きのラベルも含むことができる。
【0120】
抗体を産生する方法
ペプチド主鎖および/またはハプテンに対するAbは、Ab産生のための周知の方法によって生成される。例えば免疫原は、免疫応答性動物に注射できる。免疫原は、KLHにコンジュゲートされたペプチド(例えばフロイント完全アジュバント中の(ペプチド)n−KLH(式中、KLHはキーホールリンペットヘモシアニンであり、n=1−30である))を含むことができる。最初の注射の後にフロイント不完全アジュバントに懸濁させた同じ免疫原の注射を2回続けて、これらの注射の後に次の抗原(すなわちペプチド)の静脈内ブーストを続けてもよい。抗原の静脈ブーストの3日後、脾臓細胞を収集して、Sp2/0−Ag14骨髄腫細胞と融合させた。次に生じたクローンの培養上清は、定方向結合ELISAを使用して抗ペプチド反応性について分析した。生成されたAbの精細な特異性マッピングは、元の抗原/ペプチドのペプチド断片を使用して分析できる。これらの断片は、自動化ペプチドシンセサイザを使用して直ちに調製できる。Ab産生では、酵素欠乏ハイブリドーマを単離して融合細胞系の選択を可能にする。この技法は、リンカーを含むキレート、例えばIn(III)−DTPAキレートの1つ以上に対して抗体を産生させることにも使用できる。In(III)−ジ−DTPAに対するモノクローナルマウス抗体が既知である(Barbet’395同上)。
【0121】
本化合物および方法で使用される抗体は、マーカー物質としての各種の細胞表面または細胞内腫瘍関連抗原に対して特異性である。これらのマーカーは、腫瘍によって産生された物質であるか、あるいは細胞質、核、あるいは各種のオルガネラまたは細胞内構造のいずれかにおいて腫瘍部位に、腫瘍細胞表面に、または腫瘍細胞内に蓄積する物質である。そのような腫瘍関連マーカーは特に、Herberman,「Immunodiagnosis of Cancer」,in Fleisher ed.,「The Clinical Biochemistry of Cancer」,page 347(American Association of Clinical Chemists,1979)および米国特許第4,150,149号;第4,361,544号;および第4,444,744号によって開示されているマーカーである。Thorpe et al.への米国特許第5,965,132号、Thorpe et al.への米国特許第6,004,554号、Epstein et al.への米国特許第6,071,491号、Epstein et al.への米国特許第6,017,514号、Epstein et al.への米国特許第5,882,626号、Epstein et al.への米国特許第5,019,368号、Thorpe et al.への米国特許第6,342,221号、米国特許出願第09/337,756号;第09/382,186号;第09/823,746号;第10/150,654号も参照、その全てが参照により本明細書に組み入れられている。
【0122】
腫瘍関連マーカーは、Herberman,同上によって、腫瘍胎児抗原、胎盤抗原、発癌性または腫瘍ウイルス関連抗原、組織関連抗原、臓器関連抗原、異所性ホルモンおよび正常抗原またはその変種を含む多数の種類に分類されてきた。場合により、腫瘍関連マーカーのサブユニット、例えばヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)のβサブユニットまたは癌胎児性抗原(CEA)のγ領域は、米国特許第4,361,644号および第4,444,744号に開示されているように、非腫瘍物質に対しての交差反応性が大幅に低下した抗体の産生を刺激してより高い腫瘍特異性を有する抗体を産生するのに好都合に使用される。腫瘍脈管構造(例えばVEGF)の、腫瘍壊死(Epstein特許)の、膜レセプタ(例えば葉酸レセプタ、EGFR)の、膜貫通抗原(例えばPSMA)の、癌遺伝子生成物のマーカーも、抗体または抗体断片の適切な腫瘍関連標的として作用できる。腫瘍細胞上で豊富に発現される正常細胞構成要素のマーカー、例えばB細胞錯体抗原(B細胞悪性腫瘍上のCD19、CD20、CD21、CD22、CD23、およびHLA−DR)も、ある腫瘍細胞によって発現されたサイトカイン(例えばT細胞悪性腫瘍内のIL−2レセプタ)と同様に、本明細書で使用される抗体および抗体断片の適切な標的である。本明細書で使用される抗体および抗体断片によって標的化できる他の周知の腫瘍関連抗原は、これに限定されるわけではないが、CEA、CSAp、TAG−72、MUC−1、MUC−2、MUC−3、MUC−4、EGP−1、EGP−2、BrE3、PAM−4、KC−4、A3、KS−1、PSMA、PSA、テネイシン、T101、S100、MAGE、HLA−DR、CD19、CD20、CD22、CD30、CD74、IFG、ILG−1、およびIL−6を含む。
【0123】
好ましい二重特異性抗体は、MAb Mu−9のFvおよびMAb 734のFv、MAb MN−14のFvおよびMAb 734のFV、MAb RS−7のFvおよびMAb 734のFv、MAb Mu−9のFvおよびMAb 679のFv、MAb RS−7のFvおよびMAb 679のFv、またはMAb MN−14のFvおよびMAb 679のFv、ならびにそのヒト、キメラ化またはヒト化対応物を含むものである。モノクローナル抗体MN−14は、そのキメラ化およびヒト化対応物と同様に、米国特許第5,874,540号に開示されている。Mu−9または679のCDRの1つ以上を含む二重特異性抗体も好ましい。特に適切な二重特異性抗体は、LL2×734、LL2×679、PAM4×734、PAM4×679、LL1×734、およびLL1×679を含んでもよい。抗体は、クラス−III抗CEA抗体および679のFvを含む、融合タンパク質または二重特異性抗体でもよい。クラス−III抗CEAを含むクラス−III抗体は、米国特許第4,818,709号で詳細に説明されている。
【0124】
本発明は決して以下の実施例に限定されないが、以下の実施例によってさらに説明される。
【実施例1】
【0125】
1)20−O−クロロアセチルカンプトセシンの合成
20−O−クロロアセチルカンプトセシンは説明されている。米国特許第4,943,579号を参照。カンプトセシン(1.0gm)をCHCl3 40mLに溶解させた。クロロ酢酸無水物(1.2当量)、ピリジン(1.0当量)およびDMAP(0.1当量)をこの混合物に添加して、次に2時間還流させた。反応混合物に目に見える変化がなければ、続いてクロロ酢酸無水物(1.2当量)およびピリジン(1.0当量)をさらに添加して、混合物をさらに2時間還流させた。HPLCは反応が起こっていることを示した。追加量のクロロ酢酸無水物(2.1当量)およびピリジン(4.3当量)を添加して、反応混合物をさらに2時間還流させた。HPLCは反応が完了したことを示した。H2O 65mL、次に0.1N NaOH溶液、次にさらなるH2O 65mLで洗浄することによって、混合物をワークアップした。有機層をNa2SO4で乾燥させ、次に濾過して、最後に減圧下で除去した。黄色沈殿が形成した。HPLCは1つの生成物を示した。ESMSの結果は、MH+:425を示した。乾燥後の最終収量:1.178g(2.772×10-3mol、96.5%)。
【実施例2】
【0126】
IMP 274、Ac−Cys(カンプト−COCH2)−Lys(DTPA)−Tyr−Lys(DTPA)−NH2の合成
IMP 274ペプチド(図1を参照)は、Karacay et.al.Bioconjugate Chem.11:842−854(2000)によって述べられたのと同様のプロトコルを使用して合成した。IMP 222、(Ac−Cys−Lys(DTPA)−Tyr−Lys(DTPA)−NH2)(38.1mg)および20−O−クロロアセチルカンプトセシン11.7mg(1.0当量)をそれぞれ別個にDMF 150μLに溶解させた。2つの量を合せて撹拌した。ピリジン(100μL)を添加して、反応溶液にアルゴンをパージして、パラフィルムで密封した。1.5時間後にHPLCによってわずかな変化が認められた。次にDIEA(50mL)を反応混合物に添加した。HPLCは、2時間後に反応が完了に達したことを示している。分取カラムを使用して反応混合物を精製して、画分をESMSによる分析に回した(MH+:1721)。4つの画分がRT〜7.1分を有する純生成物を示す。最終収量:22.2mg(1.290×10-5mol、46.9%)。同様に当分野で周知の化学作用を使用して、図2〜4に示すようにIMP 274の誘導体を合成できる。
【実施例3】
【0127】
IMP 274標識キット
標識キットはDI H2O 80mLにクエン酸(0.414gm)、HPCD(5.0074gm)を溶解させて作成した。次にこの混合物をpH4.25に調整して、その後、IMP 274(0.0021gm)を添加した。容量をDI H2Oの十分量によって100mLとして、0.22μmフィルタを通じて濾過したこの溶液の分割量1mLを凍結乾燥バイアルに添加し、次に真空下で凍結させ、乾燥させて密栓した。
【実施例4】
【0128】
IMP 274ペプチド標識
IMP 274 In−111標識キットをDI水0.5mLに溶解させた。溶液110μLを除去して、酸で洗浄したエッペンドルフ管に入れた。In−111 1.8mCi(好ましくはPerkin Elmer製)をエッペンドルフ管に添加した。溶液を室温にて20分間インキュベートして、1.0×10-4M In(III)溶液(0.1M NaOAc pH4.5)250μLを添加した。冷インジウムを含有する溶液を室温にて30分間インキュベートした。分割量140μLを除去して、PBSまたは食塩水によって血清密栓バイアル内で7.0mLまで希釈した。
【実施例5】
【0129】
インビトロ試験調合緩衝液中でのIn2−IMP 274キットの安定性
インビトロ試験用の、IMP 274 1mgを含有する凍結乾燥キットを調製した。キットは、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(賦形剤および安定剤)、緩衝液、およびDTPA部分との錯体を形成するための冷インジウムを含有している。反復凍結解凍サイクル後の安定性を試験するために、キットを解凍した;分割量を取出して、逆相HPLC、サイズ排除HPLC(希釈および操作なしで)によって試験した。溶液はWaters 4.6×250mm XTerra RP C18 5μmカラムを使用して試験した。UVを220nmにて監視し、HPLC条件は次の通りであった:流速1mL/分、線形勾配30分間に渡って100% A(水中で0.1%TFA)〜100% B(90% CH3CN、10%水、0.1%TFA)。ペプチドは、調合緩衝液中での安定性を示した。図7および8を参照。
【実施例6】
【0130】
IMP 274標識および安定性試験
IMP 274を111Inで標識した。標識した後、このタンパク質を、ヒトおよびヌードマウス血清中での安定性について24時間の期間に渡って試験した。試験は、ヒト血清(t1/2=4時間)およびマウス血清(t1/2=18時間)両方の存在下で、ペプチドが安定性変化を受けることを示している。IMP 274は、ヒト化抗体m734xhMN14との結合についても試験した。試験は逆相およびサイズ排除HPLCシステムの両方で分析した。
【実施例7】
【0131】
IMP 274標識:個別に完了したマウスおよびヒト標識
111InCl3(31μLおよび21μL)をDI H2O 500μLにそれぞれ添加した。これらの量をIMP 274の調製バイアルに添加して、約20分間静置した。それぞれに冷酢酸インジウム緩衝液(1.0×10-4M、0.5M NaOAc、pH6.5)900μLをさらに添加して、さらに45分間静置した。各バイアルの総容量は1431μLおよび1421μLであり、IMP 274の1.220×10-8モルのモル量は、マウス血清試験では8.526×10-6M、ヒト血清試験では8.586×10-6Mの濃度を生じた。
【実施例8】
【0132】
IMP 274マウスおよびヒト血清の安定性
1つの標識ペプチド混合物50μLを、新しいマウス血清450μLと、もう1つを新しいヒト血清450μLと合せた。これらをボルテックスにかけて、37℃の一定温度に置いた。0時間〜23時間の間で各種の時点にてHPLCによって安定性についてサンプルを分析した。放射クロマトグラムは、標識ペプチドが経時的に変化したことを示す(図9および10)。溶液500μLでのペプチド50μLの希釈は、両方の混合物の濃度をマウス実験では8.526×10-7M、ヒト血清実験では8.586×10-7Mまで変化させた。
【実施例9】
【0133】
抗体およびマウス血清のIMP 274への添加
111In−IMP 274(10μL)を抗体(抗体/ペプチド比〜22:1)3μLおよび0.9%食塩水290μLに添加した。混合物をボルテックスにかけて、サイズ排除HPLCで分析した(図11)。
【実施例10】
【0134】
抗体およびヒト血清のIMP 274への添加
111In−IMP 274(16μL)を抗体(抗体/ペプチド比〜23:1)10μLおよび0.9%食塩水24μLに添加した。混合物ボルテックスにかけて、サイズ排除HPLCで分析した(図12)。
【実施例11】
【0135】
IMP 156(Ac−Phe−Lys(DTPA)−Tyr−Lys−DTPA−NH2)の合成
樹脂上のペプチドは、樹脂をカップリング当たりアミノ酸6当量と反応させて合成した。活性化剤は、ジイソプロピルカルボジイミドおよびN−ヒドロキシベンゾトリアゾールであった。カップリングは室温にて一晩実施した。樹脂(Ac−Phe−Lys(Aloc)−Tyr(But)−Lys(Aloc)NH−Sieberアミド樹脂2.109g(〜7×10-4mol))をCH2Cl2 2×40mLで洗浄した。トリブチルスズヒドリド5mLを樹脂に添加した。ピペリジン2mLを酢酸1mLで洗浄すると、混合物は高温となり、結晶が形成した。結晶をCH2Cl2 40mLに溶解させて、Pd[P(Ph3)]4 0.729gと混合した。この溶液を樹脂混合物に添加して、室温にて1.5時間撹拌した。開裂溶液を樹脂から排出させた。次に樹脂を、新しいAloc開裂試薬を用いた2回目の1時間処理によって処理した。樹脂は、CH2Cl2 40mLポーション×3、DMFによる25%ピペリジン溶液 50mLポーション×2、NMP、IPA、NMP、IPA、×NMP4 IPA 40mLポーションで洗浄した。DTPAテトラ−t−ブチルエステル3.679g(5.95×10-3mol)をNMP 20mLに溶解させて、ジイソプロピルカルボジイミド1mLおよびN−ヒドロキシベンゾトリアゾールモノヒドレート0.991gと混合した。この溶液を室温にて10分間インキュベートして、次に樹脂に添加した。DTPAを室温にて15時間に渡って樹脂と反応させた。次に樹脂をNMP、IPA、NMP、IPA、IPA(樹脂はニンヒドリン陰性であった)、NMP4×、4×CH2Cl2 40mLポーションで洗浄して、続いて窒素流の下で乾燥させた。ペプチドは、TFA 14mL、トリイソプロピルシラン0.5mL、アニソール0.5mLを含有する溶液による3時間の処理によって樹脂から開裂させた。粗ペプチドをエーテル中に沈殿させて、遠心分離によって回収して、室温にて真空中で乾燥させた。粗ペプチドをTFAに1.5時間再懸濁させて、ペプチドからの保護基の開裂を終了させた。ペプチドを0.1% TFA緩衝液を用いた逆相HPLCによって精製して、凍結乾燥の後に純生成物0.54gを得た(ESMS MH+1377)。
【実施例12】
【0136】
IMP 222(Ac−Cys−Lys(DTPA)−Tyr−Lys(DTPA)−NH2の合成
Fmoc−Lys(Aloc)−Tyr(But)−Lys(Aloc)−NH−Sieberアミド樹脂(5.148g、〜1.0×10-2mol)をカラムに添加して、NMP 50mLですすいで、次に2回目のNMP 50mLポーションの添加によって膨潤させた。N2ガスを添加して、樹脂に〜30分間に渡って通気した(すなわちカラムに通気した)。溶液を除去して、25%ピペリジン/NMP 40mLを添加した。カラムに4分間通気して、溶液を除去した。2回目の25%ピペリジン/NMP 40mLポーションを添加した。カラムにさらに15分間通気して、溶液を除去した。樹脂をNMP、IPA、NMP、IPA、そして次に4×NMP 50mLポーションですすいだ。Fmoc−Cys(Trt)OH(5.860g)、およびN−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1.535g)をどちらもNMP〜35mLに溶解させた。ジイソプロピルカルボジイミド(1.6mL)を添加した。試薬が溶解した後に、溶液を樹脂に添加して、N2ガスを使用してカラムに〜18時間通気した。溶液を除去して、樹脂をNMP、IPA、NMP、IPA、そして次に4×NMP 50mLポーションですすいだ。25%ピペリジン/NMP溶液を添加した。再びカラムにN2ガスで4分間通気して、溶液を除去した。これを再度、25%ピペリジン/NMP溶液を用いて15分間に渡って反復して、溶液を除去した。樹脂は、NMP、IPA、NMP、IPA、そして次に4×NMP 50mLポーションによってすすいだ。酢酸無水物(4.8mL)をNMP 40mLに添加して、次にジイソプロピルエチルアミン(8.9mL)を添加した。この溶液を樹脂に添加して、カラムにN2ガスによって〜2時間通気した。樹脂をNMP、IPA、NMP、IPA、そして次に4×NMP 50mLポーションですすいだ。次に樹脂をCH2Cl2 2×50mLですすいだ。トリブチルスズヒドリド(5mL)を樹脂に添加した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.095g)、氷酢酸(2mL)、ピペリジン(4mL)およびCH2Cl2 〜55mLの以前に混合した溶液も樹脂に添加した。カラムにN2ガスを〜2時間通気して、溶液を除去した。トリブチルスズヒドリド(5mL)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.001g)、氷酢酸(2mL)、ピペリジン(4mL)およびCH2Cl2〜55mLを用いて手順を反復した。カラムにN2ガスを〜1時間通気して、溶液を除去した。樹脂をNMP、IPA、NMP、IPA、そして次に4×NMP 50mLポーションですすいだ。テトラt−ブチルエステル DTPA(7.087g)をNMP〜25mLに溶解させた。この溶液にN−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1.715g)およびジイソプロピルカルボジイミド(1.8mL)を添加した。カラムにN2ガスを〜18時間通気して、溶液を除去した。樹脂をNMP、IPA、NMP、IPA、そして次に4×NMP 50mLポーションですすいだ。これにCH2Cl2 3×50mLでのすすぎが続いた。樹脂をN2ガスの低速パージによって〜30分間乾燥させた。ペプチドを樹脂から開裂させて、トリフルオロ酢酸60mL、アニソール2mL、およびトリイソプロピルシラン2mLからなる事前に混合した溶液の添加によって脱保護した。カラムにN2ガスを〜2時間通気し、溶液を除去して、上清を回収した。樹脂をトリフルオロ酢酸25mLのさらなる量ですすいで、これも同様に回収した。上清を50mL ポリエチレン遠心管に注入した(管につき〜10mL)。それぞれへのジエチルエーテル40mLの添加により、溶液からペプチドが沈殿して、ボルテックスおよび約5分間の遠心分離が続いた。上清をデカンテーションして、手順をさらに2回反復した。残った粗ペプチドを真空下で一晩乾燥させた。粗ペプチドをトリフルオロ酢酸約10mLに溶解させて、不完全な開裂のためにHPLCによって監視した。ジエチルエーテルを使用する沈殿手順を〜2時間後に反復した。全ての乾燥粗ペプチドを合せて、脱イオン水8mLに溶解させた。ペプチド溶液をWaters RCM(登録商標)分取カラムに装填して、移動相A(DI H2O中0.1% TFA)およびB(90%アセトニトリル/10% DI H2O中の0.1%TFA)を使用して、100%/0%〜70%/30%の勾配を用いて、65mL/分-1にて80分間に渡り精製した。画分番号7、8、9および10は、分析HPLCによって純物質を含有していた。画分を凍結し、凍結乾燥させて、総量で純物質521.4mgを得た。サンプルをESMS分析に回すと、各画分についてMH+:1333および[M−H]-:1331を示した。
【実施例13】
【0137】
ブロモアセチルドキソルビシンの合成
ドキソルビシンヒドロクロライド0.9993g(1.72×10-3mol)をDMF 10mLに溶解させて、ピリジン0.5mLと混合した。溶液を氷浴で冷却した。ブロモアセチルブロミド160μL(1.84×10-3mol)を反応混合物に添加した。ジイソプロピルエチルアミン0.6mLを3.5時間後に添加した。HPLC分析は、ほとんど開始物質を示したため、エーテルを混合することによって開始物質が沈殿した。沈殿物をエーテル 2×30mLポーションで洗浄して、真空オーブン内で室温にて乾燥させた。ドキソルビシンをDMF 10mLに再溶解させた。ジイソプロピルエチルアミン1mLを添加して、さらなるブロモアセチルブロミド250μL(2.87×10-3mol)の添加を続けた。溶液を17分間混合して、エーテル60mLで沈殿させた。赤色固体沈殿物をさらにエーテル60mLポーション×3で洗浄した。赤色沈殿物をCH3CN 10mLに再懸濁させて、エーテル50mL中に注入することによって沈殿させて、赤色粉末を得た。赤色粉末を遠心分離によって回収して、エーテル3×60mLポーションによって再度洗浄した。次に粗生成物をCHCl3に溶解させて、150mL焼成ガラス漏斗に3/4まで充填したフラッシュシリカに入れることによって、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーで精製した。シリカをエーテル、クロロホルム、95:5 クロロホルム/メタノール×4、90:10 クロロホルム/メタノール×2 200mLポーションで溶出させた。生成物は、2回目(0.1390g)および3回目(0.2816g)の95:5 クロロホルム/メタノール画分であった。
【実施例14】
【0138】
IMP 225の合成
ブロモアセチルドキソルビシン(0.0714g、1.08×10-4mol)をIMP 222 0.1333g(1.00×10-4mol)と混合して、DMF 1.0mLに溶解させた。カリウムバイカーボネート0.4544gをH2O 1mLに懸濁させて、次にDMF溶液に添加して、これを少し温めた。反応混合物を室温にて一晩インキュベートした。反応混合物を50mL遠心管内のエーテル30mLに注入した。管の内容を混合して、エーテル層をデカンテーションした。2回目のエーテル30mLポーションを用いて、エーテル洗浄を反復した。次に溶液を1M HClによって酸性化して、Waters 19×300mm Prep Nova−Pak HRC18 6μm 60AカラムでのHPLCによって2回に分けて精製した。勾配を流速25mL/分にて、100% 0.1%水中TFA(緩衝液A)にて開始し、線形勾配を使用して、80分間に渡って50:50緩衝液A:B(緩衝液Bは90% CH3CN 0.1%TFA、10% H2Oである)まで進めた。所望の生成物を含有する画分を回収し、凍結乾燥して、所望の生成物0.0895g(収率47%)を得た(ESMS MH+1916)。IMP 225の化学構造については図5を参照。
【実施例15】
【0139】
IMP 294の合成(In2標識IMP 225)
H2O 15mLにクエン酸0.386gを溶解させて、0.1Mクエン酸緩衝液を調製した。1M NaOHの添加により緩衝溶液をpH3.60に調整して、溶液を20mLまで希釈した。ペプチド0.293g(1.53×10-5mol、100mol%)をInCl3 0.0128g(5.79×10−5mol、378mol%)と混合して、クエン酸緩衝液5mLに溶解させた。反応溶液を室温で一晩インキュベートして、次にWaters 19×300mm Prep Nova−Pak HRC18 6μm 60ÅカラムでのHPLCによって精製した。勾配を流速25mL/分にて、90%緩衝液A(上で定義した通り)および10%緩衝液B(上で定義した通り)にて開始し、線形勾配を使用して、80分間に渡って60:40 緩衝液A:Bまで進めた。所望の生成物を含有する画分を回収して、凍結乾燥させて、所望の生成物0.0160g(収率49%)を得た(ESMS MH-2318)。
【実施例16】
【0140】
IMP 295の合成(In2標識IMP 156)
ペプチドであるIMP 156 0.1299g(9.43×10-5mol、100mol%)を0.0740g(3.34×10-4mol、355mol%)と混合して、pH3.6の0.1Mクエン酸緩衝液5mLに溶解させた。反応溶液を室温にて〜4時間インキュベートして、次にWaters 19×300mm Prep Nova−Pak HRC18 6μm 60AカラムでのHPLCによって精製した。勾配は流速25mL/分にて、100%緩衝液A(上で定義した通り)にて開始し、線形勾配を使用して、80分間に渡って50:50緩衝液A:Bまで進めた。所望の生成物を含有する画分を回収して、凍結乾燥させて、所望の生成物0.1095g(収率73%)を得た(ESMS MH-1598)。
【実施例17】
【0141】
25℃におけるPBS中でのIMP 294およびIMP 295の安定性
Na2HPO4 2.535g、NaH2PO4.H2O 0.450g、NaCl 4.391gを混合して、H2Oで500mLまで希釈することによって、リン酸緩衝食塩水(PBS)溶液を調製した。IMP 294のストック溶液は、ペプチド0.0011gをPBS 5.00mLに溶解させることによって調製した。ストック溶液の2.0mL分割量を除去し、PBS 4.9mLと混合して、IMP 294(In2IMP 225)のPBSによる3×10-5M溶液を得た。IMP 295のストック溶液は、ペプチド0.0011gをPBS 5.00mLに溶解することによって調製した。ストック溶液の2.0mL分割量を除去し、PBS 7.2mLと混合して、IMP 295(In2IMP 156)のPBSによる3×10-5M溶液を得た。Waters Alliance HPLCのオートインジェクタで25℃にてサンプルをインキュベートした。25℃で加熱したWaters Xterra(商標)RP18 5μm 4.6×250mmカラム、部品番号W10891R 015を使用して、逆相HPLCによってサンプルを分析した。カラムの流速は1mL/分であり、PDA検出器を用いて220nmにて溶出液を監視した。線形勾配を使用して、100%緩衝液Aから開始し、30分に渡って100%緩衝液Bまで進めた。注射(100μl)は1週間に渡って毎日実施した。図13AおよびBを参照。
【実施例18】
【0142】
IMP 224の合成
ペプチドであるIMP 221(H2N−NH−C6H4−CO−Lys(DTPA)−Tyr−Lys(DTPA)−NH2 MH+1322、Fmoc SPPSより作成)を含有するフェニルヒドラジン0.0596gの量を、DMF3mL中でドキソルビシンヒドロクロライド0.0245gと混合した。反応溶液を暗所で室温にて反応させた。4時間後、追加のIMP 221 0.0263gを添加して、反応を一晩続けた。次に反応混合物全体をWaters Nova−Pak(3−40×100mmセグメント、6μm、60A)分取カラムでHPLCによって精製して、80:20〜60:40緩衝液A:Bの勾配で40分間に渡って溶出させた(緩衝液A=0.3% NH4OAc、緩衝液B= 90% CH3CN中0.3%NH4OAc)。生成物を含有する画分を合せ、凍結乾燥させて、所望の生成物0.0453gを得て、これをESMS MH+1847によって確認した。IMP 224の化学構造については図6を参照。
【実施例19】
【0143】
IMP 224キット調合物
実施例14のペプチドをIn−111標識のキットへ調合した。2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン5.014g、およびクエン酸0.598gを85mL中に含有する溶液を調製した。1 M NaOHの添加によって溶液をpH4.20に調整して、水100mLに希釈した。ペプチドIMP 224 0.0010gの量を緩衝液100mLに溶解させて、1mLの分割量を2mL凍結乾燥バイアル内へ0.22μm Millex GVフィルタを通じて滅菌濾過して、直ちに凍結および凍結乾燥させた。
【実施例20】
【0144】
IMP 224キットのIn−111標識
In−111を水0.5mLに溶解させて、凍結乾燥したキットに注入した。キット溶液を室温にて10分間インキュベートして、次に0.5M NaOAcおよび2.56×10-5M冷インジウムを含有するpH7.2緩衝液0.5mLを添加した。
【実施例21】
【0145】
IMP 224キットのインビトロ安定性
IMP 224キットを上述のようにIn−111 2.52 mCiで標識した。分割量(0.15mL、370 μCi)を取出して、pH4.0の0.5Mクエン酸緩衝液0.9mL、pH5.0の0.5Mクエン酸緩衝液0.9mL、およびpH7.5の0.5Mリン酸緩衝液0.9mLと混合した。標識ペプチドの安定性を逆相HPLCによって追跡した。HPLC条件:Waters Radial−Pak C−18 Nova−Pak 8×100mm、流速3mL/分、勾配:10分間に渡って100% A=0.3% NH4OAc〜100% B=90% CH3CN、0.3% NH4OAc。安定性の結果を表1に示す。
【表1】
【実施例22】
【0146】
CALU−3腫瘍担持ヌードマウスにおけるIn−111−標識IMP 274およびI−125−標識hRS−7×MAb 734の体内分布ならびにhRS−7×MAb 734によるプレターゲティング
ヌードマウス70匹にCALU−3細胞を移植した。これらのマウスを使用して、腫瘍を発現するEGP−1を用いたプレターゲティング実施の可能性を考察した。二重特異性抗体I−125 hRS−7×734の腫瘍結合およびインビボクリアランスを、2、4、24および48時間の時点を使用して評価した。加えて、我々はI−125 hRS−7×734を用いたプレターゲティング実験を実施した。プレターゲティング実験では、ペプチドIn−111/In IMP 274を、二重特異性抗体hRS−7×734注射の16および24時間後に注射した。プレターゲティング試験の動物は、ペプチド注射の3および24時間後に殺処分した。第3グループの動物は、In−111/In IMP 274ペプチドのみを投与された。これらの動物は、ペプチド注射の1、3、6および24時間後に殺処分された。通例、各時点でマウス5匹を使用した。以下の組織を秤量およびカウントした:腫瘍、肝臓、脾臓、腎臓、肺、血液、胃、小腸、大腸、心臓および尿。
【0147】
抗体排出グループ:少なくとも35匹の動物に、二重特異性抗体I−125 hRS−7×734を含有する溶液100μL(5μCi、15μg、1.5×10-10mol)を注射した。抗体排除グループの動物20匹をそれぞれ動物5匹の5グループに分けて、注射の2、4、24および48時間後に殺処分した。
【0148】
プレターゲティンググループ:プレターゲティンググループの動物30匹をそれぞれ動物約5匹の6グループに分けた。約24時間後、I−125標識二重特異性抗体を別の動物10匹に注射して、ペプチド100μL(10μCi、1.5×10-11mol)をこれらの動物10匹に抗体注射の4時間後に注射した。動物をペプチド注射の3および24時間後に殺処分した。約24時間後、ペプチド100μL(10μCi、1.5×10-11mol)を、抗体注射の24時間後に動物10匹に注射した。動物はペプチド注射の3および24時間後に殺処分した。約48時間後、動物10匹にペプチド100μLを注射した。ペプチド注射の3時間および24時間後に、各時点にて動物5匹を殺処分した。
【0149】
ペプチド単独グループ:試験開始の約24時間後、ペプチド100μL(10μCi、1.5×10-11mol)を動物15匹に注射した。動物を3グループに分けて、ペプチド注射の1、3、6および24時間後に殺処分した。試験の結果を表2〜9にまとめる。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【実施例23】
【0150】
GW−39腫瘍担持ヌードマウスおよびhMN−14×m734によってプレターゲティングしたGW−39腫瘍担持ヌードマウスにおけるIn−111標識IMP 274の生体内分布
In−111標識IMP 274の生体内分布をGW−39腫瘍担持ヌードマウスにおいて決定して、表10にまとめた。hMN−14×m734によってプレターゲティングしたGW−39腫瘍担持ヌードマウスにおけるIn−111標識IMP 274の生体内分布を表11に示す。
【表10】
【表11】
【実施例24】
【0151】
GW−39腫瘍担持ヌードマウスおよびhMN−14×m734によってプレターゲティングしたGW−39腫瘍担持ヌードマウスにおけるIn−111−標識IMP 225の生体内分布
In−111−標識IMP 225の生体内分布をGW−39腫瘍担持ヌードマウスにおいて決定して、表12にまとめた。hMN−14×m734によってプレターゲティングしたGW−39腫瘍担持ヌードマウスにおけるIn−111−標識IMP 225の生体内分布を表13に示す。
【表12】
【表13】
【実施例25】
【0152】
BALB/cマウスにおけるIMP 224の生体内体内分布
キットを水0.5mL中のIn−111 400μCiで再構成した。In−111キット溶液を室温にて10分間インキュベートして、次にpH7.2の0.5Mアセテート緩衝液を含有する冷インジウム1.5mLで希釈した。標識ペプチドを飽和NaCl中でITLCによって分析した。バラのIn−111は、ITLCストリップの上部20%に位置していた。
【0153】
各マウスにIn−111標識ペプチド100μL(20μCi)を注射した。動物に麻酔をかけ、30分、1時間、2時間、4時間、および24時間にて、時点ごとにマウス3匹を使用して殺処分した。血液、筋肉、肝臓、肺、腎臓、脾臓、大腸、小腸、胃、尿および尾を回収してカウントした。生体内分布試験の結果を表14に示す。
【表14】
【実施例26】
【0154】
IMP 224のインビボ安定性および排除
キットを水0.5mL中のIn−111 4 mCiで再構成した。In−111キットを室温にて10分間インキュベートして、次にpH7.2の0.5Mアセテート緩衝液を含有する冷インジウム0.5mLで希釈した。標識ペプチドを飽和NaCl中でITLCによって分析した。バラのIn−111は、ITLCストリップの上部20%に位置していた。
【0155】
各マウスにIn−111標識ペプチド100μL(400 μCi)を注射した。動物に麻酔をかけ、30分および1時間にて、時点ごとに動物2匹を使用して殺処分した。血清および尿サンプルを回収して、氷上で保存し、HPLC分析のためにできるだけ早く氷上へ送った。尿サンプルのHPLC(サイズ排除クロマトグラフィーによる)は、In−111標識ペプチドがなお抗体に結合できることを示した。逆相HPLC分析は、放射性標識ペプチドが尿中に無傷で排泄されたことを示した。血清中に残存する活性の量は低すぎて、検出器の感度が悪いために逆相HPLCによって分析できなかった。ドキソルビシンは〜95%肝胆汁性排除を有する。従ってビスDTPAペプチドを加水分解可能な方法で結合することによって、〜100%腎排泄をもたらすように薬物の生体内分布が変化する。このことは、全ての非標的化薬物が無傷で迅速に排泄されるために、薬物の毒性をはるかに低くする。排除結果を表15に示す。
【表15】
【実施例27】
【0156】
IMP 224およびIMP 225を用いたプレターゲティング実験
ペプチド10マイクログラムを含有するIMP 224の凍結乾燥キットを使用した。キットを2mLバイアル中で凍結乾燥させて、滅菌水1mLによって再構成した。0.5mL分割量を除去して、In−111 1.0 mCiと混合した。In−111キット溶液を室温にて10分間インキュベートして、次に0.1mLを除去して、滅菌バイアル内でアセテート緩衝液BM 8−12を含有する冷インジウム1.9mLで希釈した。標識ペプチドを飽和NaCl中でITLCによって分析した。バラのIn−111は、ITLCストリップの上部20%に位置していた。
【0157】
GW39腫瘍異種移植片を持つ雌ヌードマウス(Taconic NCRNU、3〜4週齢)をプレターゲティング実験に使用した。腫瘍は0.3〜0.8gであった。各動物にI−125標識抗体F6×734−F(ab’)2 100ミクロリットル(5Ci、15g、1.5×10-10mol)を注射した。
【0158】
72時間後、各マウスにIn−111標識ペプチド100L(10Ci)を注射した。動物に麻酔をかけて、1時間、4時間および24時間にて、時点ごとにマウス5匹を使用して殺処分した。腫瘍、血液、筋肉、肝臓、肺、腎臓、脾臓、大腸、小腸、胃、尿および尾を回収してカウントした。
【0159】
ペプチド11マイクログラムを含有する、IMP 225 NH2−Lys(DTPA)−Tyr−Lys(DTPA)−Cys(Dox−COCH2)−Ac(配列番号4)MNa+1938)の凍結乾燥キットを使用して実験を反復した。生体内分布結果を表16〜18にまとめる。
【表16】
【表17】
【表18】
【実施例28】
【0160】
Daudi細胞を接種したSCIDマウスにおけるプレターゲティング
SCIDマウスにDaudi(バーキットリンパ腫)細胞を接種して、播種性疾患を生じさせた。マウスの1グループは、1、3、7、および9日目に投与したLL2×734の腹腔内注射4回を受けた。これに2、4、8、および10日目のIMP−225の腹腔内注射4回が続いた。対照グループ(IMP−225なし)には、2、4、8、および10日目にIMP−225を与えた。図14Aを参照。生存の終点としてのマウスの麻痺の徴候を毎日観察した。生存パーセントの中央値を計算して、Kaplan−Meierプロットを使用して解析した(log−rank解析)。図14Bを参照。
【実施例29】
【0161】
DTPAの合成
DTPAを、図15および16に示した概略図に概説するように合成できる。
【0162】
3ステップ法
a.N−(2−((5−ジベンゾスベリル)アミノ)エチル)−1,2−エタンジアミン、3の合成:ジエチレントリアミン1、350mLを1000ml 3口フラスコに注入して、窒素を流した。溶液を氷/塩浴で3℃まで冷却した。保護基前駆物質5−クロロジベンゾスルベラン2(15.017g、6.57×10-2mol)を、15分の期間に渡って窒素の陽圧下で反応混合物に少しずつゆっくりと添加した。反応物を磁気的に撹拌して、18時間に渡って室温までゆっくりと加温した。次に反応物を氷浴で冷却して、水350mLをゆっくり添加した(温度を50℃以下に維持して)。反応混合物を4×CH2Cl2 100mLで抽出した。有機層を合せて、H2O 100mL×2で洗浄した。次に有機抽出物をNa2SO4上で乾燥させて、濾過して、回転蒸発器で濃縮して、黄色油状生成物19.258g(収率99%)を得た。ESMS MH+296。
【0163】
b.N,N,N’,N”−テトラ((tert−ブトキシ−カルボニル)メチル)−N”−(2−((5−ジベンゾスベリル)アミノ)エチル)−1,2−エタンジアミン5の合成:粗N−(2−((5−ジベンゾスベリル)アミノ)エチル)−1,2−エタンジアミン3、53g(1.8×10-1mol)をアセトニトリル90mLに溶解させて、窒素下に置いた。ジイソプロピルエチルアミン71mL(5.49×10-1mol、836M%)を添加して、溶液を氷浴で冷却した。Tert−ブチルブロモアセテート4、42mL(2.48×10-1mol、446 M%)を滴加して、反応物を窒素下で一晩撹拌するときにゆっくりと加温した。翌日、さらに15mL(4.06×10-2mol、62 M%)を添加した。反応物を室温にて一晩撹拌した。次に反応混合物を回転蒸発器で濃縮した。粗生成物をエチルアセテート200mLと混合して、飽和ナトリウムバイカーボネート100mL×2および50mL×2で抽出した。有機溶液をNa2SO4上で乾燥させ、濾過して、回転蒸発器で濃縮し、粗生成物56gをコハク色油として得た。
【0164】
c.1−tert−ブチルヒドロキシ3,6,9−トリス((tert−ブトキシカルボニル)メチル)−3,6,9−トリアザウンデカンニ酸7の合成:粗N,N,N’,N”−テトラ(tert−ブトキシ−カルボニル)メチル)−N”−(2−((5−ジベンゾスベリル)アミノ)エチル)−1,2−エタンジアミン5を、グリオキシル酸モノヒドレート36.541.g(3.97×10-1mol、604 mol%)と混合して、メタノール50mlに溶解させた。パーボトルを窒素で洗い、触媒1.721g(10%炭素担持パラジウム)を添加した。2日後、触媒0.999gをさらに添加した。混合物を50 PSI H2下に置き、逆相HPLCによって判定されるように反応が完了するまで(5日)、室温にてパーシェイカーで振とうした。反応混合物をセライトで濾過して、触媒を除去した。セライトをメタノールで洗浄した。濾液を回転蒸発器で減圧下にて濃縮した。粗生成物をエーテル200mlに溶解させ、H2O 100mlおよびH2O 50mlで洗浄した。次に有機層を1 Mクエン酸50mLポーション×2で抽出した。クエン酸抽出物は3層を形成した。底の2層をエーテル層から分離した。ヘキサン100mLをエーテル層に添加して、有機層を1 Mクエン酸50mLさらにで抽出した。次に合せたクエン酸抽出物をヘキサン100mLで抽出した。水抽出物およびクエン酸抽出物を合せて、Na2CO3によって〜pH8.0まで慎重に中和した。塩基性化溶液をエチルアセテート200mL×2で抽出した。有機抽出物をNa2SO4上で乾燥させ、濾過して、回転蒸発器で減圧下にて濃縮した。粗生成物をグリオキシル酸26.302g、ジイソプロピルエチルアミン25mL、10%Pd/C 2.147g、およびMeOH 50mLと混合した。混合物を50 PSI H2下で2日間振とうした。反応混合物をセライトで濾過して、次に回転蒸発器で減圧下にて濃縮した。粗生成物をエチルアセテート200mLに溶解させて、飽和NaHCO3 100mL×2で抽出した。有機層を1M NaH2PO4 100mLで洗浄して、Na2SO4上で乾燥させた。反応混合物を濾過および濃縮して、粗生成物22.2gを黄色油として得た。600mL焼成ガラス漏斗に3/4まで充填したフラッシュシリカのパッドに粗生成物を注入して、溶媒の勾配を用いて溶出させることによって、粗生成物を精製した。漏斗を100%ヘキサン×4、75:25ヘキサン/エチルアセテート×4、1:1 ヘキサン/エチルアセテート×4、25:75ヘキサン/エチルアセテート×4、100%エチルアセテート×4、100% CHCl3×4、および95:5 CHCl3/MeOH×7の200mLポーションで溶出した。油状コハク色生成物17.648g(収率45%)を95:5 CHCl3/MeOH画分中に見出した(3〜7)。
【0165】
4ステップ法
a.N−(2−((5−ジベンゾスベリル)アミノ)エチル)−1,2−エタンジアミン、3の合成。ジエチレントリアミン1’250mLを、磁気撹拌棒を装備した1リットル3口丸底フラスコに入れた。溶液を窒素雰囲気下に置き、氷浴で4℃まで冷却した。5−クロロジベンゾスベラン212.108g(5.29×10-2mol)を10分間に渡って少しずつ添加した。反応物を室温までゆっくりと加温して、2.5日間撹拌した。次に反応物を氷浴で冷却して、水350mLを添加した。溶液をCH2Cl2 100mL×4で抽出した。有機層を合せて、水100mL×2で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して、回転蒸発器で濃縮して、粗生成物15.268g(収率97.8%)を油として得た。
【0166】
b.N,N,N’,N”−テトラ((tert−ブトキシ−カルボニル)メチル)−N”−(2−((5−ジベンゾスベリル)アミノ)エチル)−1,2−エチレンジアミン5の合成:前の反応物3からの粗生成物全体をアセトニトリル75mLに溶解させた。ジイソプロピルエチルアミン68mLを反応溶液に添加して、窒素で洗い、氷浴で冷却した。tert−ブチルブロモアセテート4’40mL(2.71×10-1、523mol %)を反応溶液に滴加して、溶液を一晩撹拌しながら室温までゆっくりと加温した。翌日、反応を完了させるために、さらにtert−ブチルブロモアセテート4、7.5mLを添加した。反応物を室温にてさらに1日撹拌して、次に減圧下にて回転蒸発器で濃縮した。エチルアセテート200mLを添加して、飽和ナトリウムバイカーボネート溶液100mL×3を用いて抽出を実施した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮してコハク色油を得た。次に油を回転蒸発器で80℃、高真空下にてさらに濃縮して、粗生成物40.938gをコハク色油として得た。
【0167】
c.N,N,N’,N”−テトラ((tert−ブトキシ−カルボニル)メチル)−N”−(2−(アミノ)エチル)−1,2−エタンジアミンの合成。粗生成物40.873gをメタノール40mLに溶解させて、500mLパー水素添加ボトルに入れた。次にクエン酸10.505gを添加して、ボトルを窒素でパージした。次に触媒10%活性炭担持パラジウム1.551gをパーボトルに添加した。次に混合物を50 PSI H2下でパーシェイカーに入れた。50 PSI H2下で2日間振とうした後に水素添加はほぼ完了したが、パーシェイカーから除去する前に反応物をさらに2日間進めさせた。反応混合物をセライトで濾過した。濾液を回転蒸発器で濃縮させ、次にジエチルエーテル200mLに溶解させた。溶液を飽和NaHCO3溶液300mLと慎重に混合した。エーテル層およびバイカーボネート層を分離した。バイカーボネート層をエーテル50mL×2で逆抽出した。エーテル層を合せ、ヘキサン300mLと混合した。次に有機層を1 Mクエン酸50mL×3で抽出した。クエン酸抽出物を合せて、1:1エーテル/ヘキサン溶液100mLポーション×2で抽出した(微量のスベランを除去するために)。炭酸ナトリウム16.322gを、エチルアセテート100mLを含むクエン酸溶液の水層の上にゆっくりと添加した。pHがpH紙によってpH8に調整されるまで、炭酸ナトリウムをさらに添加した。次に溶液をエチルアセテート100mL×3で抽出した。エチルアセテート抽出物を合せて、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶液を濾過して、回転蒸発器で濃縮して、粗生成物21.755g(収率75%)を黄色油として得た。粗生成物をエーテル25mLに溶解させて、600mL焼成ガラス漏斗に3/4まで充填したフラッシュシリカのパッドに入れた。漏斗を100%ヘキサン×4、9:1 ヘキサン/エチルアセテート×4、75:25 ヘキサン/エチルアセテート×4、50:50 ヘキサン/エチルアセテート×8、25:75 ヘキサン/エチルアセテート×4、100%エチルアセテート×4 200mLポーションで溶出させた。生成物は、75:25 ヘキサン/エチルアセテートから100%エチルアセテートの画分全てに存在するように思われる。HPLCは、75:25 ヘキサン/エチルアセテート画分において、最初の3回の50:50 エチルアセテート/ヘキサン画分と同様に、不純物のレベル上昇を示している。これらの画分は、物質約5.9gを含有している。生成物を含有する残りの画分を合せて、油状生成物11.332g(MH+560、収率39%)を得た。
【0168】
d.1−tert−ブトキシ3,6,9−トリス((tert−ブトキシカルボニル)メチル)−3,6,9−トリアザウンデカン二酸8の合成。前の反応物からの精製生成物11.332gをメタノール40mLに溶解させて、窒素雰囲気下の500mLパーボトル内に入れた。溶液にグリオキシル酸モノヒドレート6、13.813gを、続いて10%活性炭担持パラジウム1.102gを添加した。ボトルを50 PSI H2下でパーシェイカーに置いた。混合物をH2下で一晩振とうして、翌日試験した分割量は、反応が〜90%完了したことを明らかにした。反応混合物に新しい触媒0.685gを加えて、50PSI H2下の水素添加器にさらに3日間戻した。次に反応溶液をセライトで濾過して、回転蒸発器で濃縮し、エチルアセテート200mLに溶解させ、エチルアセテート200mLに溶解させた。エチルアセテート溶液を飽和NaHCO3溶液175mLと慎重に混合した。有機層を水100mLで洗浄して、続いて1M NaH2PO4 100mLで、最後に飽和NaCl 100mLで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して、回転蒸発器上で濃縮して、黄色油10.444g(収率84%)を得た。
【実施例30】
【0169】
DTPAの活性化およびコンジュゲート
DTPA 5gをメタノール中の1.0Mテトラブチルアンモニウムヒドロキシド40mLに溶解させた。メタノールを高真空下で除去して、粘性油を得た。油をDMF50mLに溶解させて、揮発性溶媒を回転蒸発器で高真空下にて除去した。DMF処理をさらに2回反復した。次に粘性油をDMF 50mlに溶解させ、HBTU 5gと混合した。次に活性化DTPA溶液の分割量8mlを樹脂に添加して、これをボルテックスで14時間に渡って混合した。カイザー試験を使用して樹脂がアミンに対して陰性の評価を与えるまで、DTPA処理を反復した。あるいはDTPAテトラ−t−ブチルエステルは、DICおよびHBTUなどの従来のカップリング剤と共に使用できる(Arano Y et al.,J Med Chem.1996 Aug 30;39(18):3451−60を参照)。
【実施例31】
【0170】
カルボキシエステラーゼのジ−DTPA−ペプチドへのコンジュゲート
pH8.0の0.2Mリン酸緩衝液中のカルボキシエステラーゼ(5mg)を5倍モル過剰の架橋剤スルホスクシンイミジル−[4−マレイミドメチル]−シクロヘキサン−1−カルボキシラート(スルホ−SMCC)で処理する。室温にて2時間撹拌した後、1mM EDTAを含有するpH7の0.1Mリン酸緩衝液で平衡にしたG−25 Sephadexのスピンカラムを使用して、活性化酵素を低分子量汚染物質から分離する。テトラペプチドN−アセチル−Cys−Lys(DTPA)−Tyr−Lys(DTPA)−NH2(配列番号1)(10倍モル過剰)を活性化酵素に添加して、スピンカラムで使用したのと同じ緩衝液に溶解させる。室温にて1時間撹拌した後、ペプチドカルボキシエステラーゼコンジュゲート体は、pH6.0の0.25M酢酸緩衝液を用いたG−25 Sephadexでのスピンカラムクロマトグラフィーによって、未反応ペプチドから精製する。コンジュゲートの成功は、コンジュゲート体の分割量のインジウム−111標識、およびサイズ排除HPLCによる分析によって証明される。
【実施例32】
【0171】
カルボキシエステラーゼ−DTPAコンジュゲート体の調製
ウサギ肝臓カルボキシエステラーゼ(SIGMA;タンパク質含有量〜17mg)バイアル2個をpH7.7の0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液2.2mlで再構成して、25倍モル過剰のCA−DTPAと、後者の新たに調製したDMSOによるストック溶液(〜25mg/ml)を使用して混合する。コンジュゲート混合物中のDMSOの最終濃度は3%(体積/体積)である。1時間のインキュベーションの後、混合物を2個の5mLスピンカラム(pH7.3の0.1Mリン酸ナトリウム中のSephadex G50/80)で予備精製して、過剰な試薬およびDMSOを除去する。pH6.8の0.2Mリン酸ナトリウムを4ml/分で使用して、溶出液をTSK 3000G Supelcoカラムで精製する。コンジュゲート体を含有する画分をCentricon−10(商標)濃縮器で濃縮して、pH6.5の0.1M酢酸ナトリウムを用いて緩衝液交換する。回収:0.9ml、4.11mg/ml(3.7mg)。標準条件を使用した分析用HPLC分析は、ライン内UV検出を用いて、95:5比で、保持時間9.3分を持つ主ピークと、10.8分における副ピークを明らかにした。酵素分析は、未修飾カルボキシエステラーゼに匹敵する115酵素単位/mgタンパク質を示した。未修飾およびDTPA−修飾CEのマススペクトル分析(MALDIモード)はどちらも1.5に近い平均DTPA置換比を示す。放射性インジウムでスパイクした既知の過剰なインジウムを使用する金属結合アッセイは、2回の実験でのDTPA:酵素比が1.24および1.41であることを確認した。カルボキシエステラーゼ−DTPAを、12.0mCi/mgの特異的活性にてIn−111アセテートによって標識して、次に過剰な非放射性インジウムアセテートで処理し、最後に10mM EDTAで処理して、過剰な非放射性インジウムを除去した。HPLCおよびITLC分析による包含は、97.7%である。HPLCサンプルを20−倍過剰の二重特異性抗体hMN−14 Fab’×734 Fab’で完全に錯化し、生じた生成物をWI2(hMN−14に対する抗−ID)でさらに錯化し、後者は二重特異性抗体に対して80−倍モル過剰である。
【0172】
本明細書で引用した全ての特許および他の参考文献は、本明細書が関係する当業者の技術レベルを示し、あたかも各参考文献が、参照によりその全体が組み入れられているかのように、いずれの表および図を含めてその全体が参照により組み入れられている。
【0173】
当業者は、本発明がそれに固有の目的および利点と同様に、記載した目的および利点を得るために十分適していることを直ちに認識するであろう。好ましい実施形態をここで代表するような本明細書で述べた方法、変化、および化合物/組成物は一例であり、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。本明細書の変更および他の用途が当業者に思い浮かぶであろうし、それらは本発明に含まれる。
【0174】
本明細書で開示された発明には、本発明の範囲および精神から逸脱することなく多様な置換および改良を行えることが、直ちに当業者に明らかになるであろう。例えば各種の異なる結合対は、各種異なる治療剤および診断剤と同様に利用できる。従ってそのような追加の実施形態は、本発明の範囲内である。
【0175】
本明細書で例示的に説明した本発明は、本明細書で具体的に開示されていない、1つまたは複数の要素、1つまたは複数の制限の非存在下で適切に実施できる。従って、例えば本明細書の各例において、「含む(comprising)」、「本質的になる(consisting essentially of)」および「なる(consisting of)」という用語のいずれも、他の2つの用語のどちらかと置き換えることができる。利用された用語および表現は、制限の用語ではなく、説明の用語として使用され、そのような用語および表現の使用が表示および説明した特徴の同等物またはその一部を除外するという意図はないが、各種の改良が本発明の範囲内にあり得ることが認識される。従って、本発明は好ましい実施形態および任意の特徴によって具体的に開示されてきたが、本明細書で開示した概念の改良および変形が当業者に委ねられることと、そのような改良および変形が本発明の範囲内であることを理解すべきである。
【0176】
加えて、本発明の特徴または態様がマーカッシュグループまたは代わりの他のグループ分けによって説明されている場合、当業者は、それにより本発明がマーカッシュグループまたは他のグループの個々の構成要素または構成要素のサブグループによっても説明されることを認識するであろう。
【0177】
または、反対に記載しない限り、実施形態で各種の数値が与えられている場合、追加の実施形態は、2つの異なる値を範囲の終点として使用することによって説明される。そのような範囲も、説明した発明の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1】Bis In3+IMP 274の構造の概略図である。
【図2】Bis In3+IMP 274のSN−38類似物質/誘導体の構造の概略図である。
【図3】ペニシラミン結合によってシステインにコンジュゲートされたSN−38を持つBis In3+IMP 274のSN−38類似物質/誘導体の構造の概略図である。
【図4】ヒンダードエステル結合によってシステインにコンジュゲートされたSN−38を持つBis In3+IMP 274のSN−38類似物質/誘導体の構造の概略図である。
【図5】IMP 225の構造の概略図である。
【図6】Bis In3+IMP 224の構造の概略図である。
【図7】保存後のIn3+IMP 274のHPLC分析(逆相)の図示である。
【図8】保存後のIn3+IMP 274のHPLC分析(サイズ排除)の図示である。
【図9A】マウス血清でインキュベートしたIn3+IMP 274のHPLC分析(逆相)の図示である。
【図9B】マウス血清でインキュベートしたIn3+IMP 274のHPLC分析(逆相)の図示である。
【図10A】ヒト血清でインキュベートしたIn3+IMP 274のHPLC分析(逆相)の図示である。
【図10B】ヒト血清でインキュベートしたIn3+IMP 274のHPLC分析(逆相)の図示である。
【図11】bsAb 734XhMN14を含有するマウス血清でインキュベートしたIn3+IMP 274のHPLC分析(サイズ排除)の図示である。
【図12】bsAb 734XhMN14を含有するヒト血清でインキュベートしたIn3+IMP 274のHPLC分析(サイズ排除)の図示である。
【図13】1週間に渡るIMP 294(A)およびIMP 295(B)の安定性の図示である。サンプルは、第0、1、2、3、6、および7日に分析した。
【図14】Daudi(バーキットリンパ腫細胞)を接種したSCIDマウスでのLL2x734二重特異性抗体およびIMP−225ペプチドを使用したプレターゲティング実験の結果を示す。
【図15】3ステップ方法を用いてDTPA前駆物質およびDTPAを合成する方法の概略図である。
【図16】4ステップ方法を用いてDTPA前駆物質およびDTPAを合成する方法の概略図である。
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が本明細書に組み入れられている、2004年2月11に提出された米国特許出願第10/776,470号の優先権を請求する。
【背景技術】
【0002】
癌療法および診断への一般的な手法は、疾患組織に対して抗体または抗体断片を方向付けることを含み、それにより抗体または抗体断片は、診断剤または治療剤に疾患部位を標的とさせることができる。調査されてきたこの方法への1つの具体的な手法は、標的化された疾患組織を特異的に結合する少なくとも1つのアームおよび低分子量ハプテンを特異的に結合する少なくとも1つの他のアームを有するbsAbの使用を包含する。この方法ではbsAbを投与して、標的に局在化させ、正常組織を通過させる。少し経ってから、bsAbの第2の特異性によって認識される放射性標識低分子量ハプテンを与えると、同じく元の標的に局在化する。
【0003】
bsAbと組合せて使用される低分子量ハプテンが多くの特異的撮像および療法用途を有していても、考えられる各用途のために個々のbsAbを調製することは実際的ではない。さらにbsAb/低分子量ハプテン系の用途は、他の要件がいくつかある。第一に、低分子量ハプテンはbsAbによって結合されないときは生物系を迅速に通過するように設計されているため、低分子量ハプテンに結合するbsAbのアームは、高い親和性で結合する必要がある。第二に、非bsAb結合低分子量ハプテンは、非標的組織による摂取および保持を避けるために、生物系を実際に迅速に通過する必要がある。第三に、検出および/または治療剤は、bsAbプロトコルでのその利用中は低分子量ハプテンとの結合を維持する必要がある。
【0004】
この手法により興味深いのは、適切な二重特異性のAbを使用してキレート剤および金属キレート錯体を癌に方向付けるbsAbである。使用されるキレート剤および金属キレート錯体は、放射性であることが多く、放射免疫撮像のために放射性核種を使用する(Goodwin et al.,米国特許第4,863,713号(コバルト−57の使用について述べている);Barbet et al.,米国特許第5,256,395号および米国特許第5,274,076号;Goodwin et al.,J.Nucl.Med.,33:1366−1372(1992);およびKranenborg et al.,Cancer Res(suppl.),55:5864s−5867s(1995)およびCancer(suppl.)80:2390−2397(1997)(全てインジウム−111の使用について述べている);およびBoden et al.,Bioconjugate Chem.,6:373−379,(1995);and Schuhmacher et al.,Cancer Res.,55:115−123(1995)(ガリウム−68の使用について述べている)を参照)。Abはキレート剤および金属キレート錯体に対して産生されるため、それらが最初に対抗して産生された錯体に著しい特異性を有する。実際にBoden et al.のbsAbは、キレート剤および金属キレート錯体のエナンチオマー性混合物の単一のエナンチオマーに対する特異性を有する。この大きな特異性は、他の核種(例えば放射免疫療法(RAIT)に有用なイットリウム−90およびビスマス−213、ならびにMRIに有用なガドリニウム)が代替使用のために利用できる試薬中へ直ちに置換できないという点で、1つの態様における欠点であることが判明している。結果として、I−131標識インジウム金属キレート錯体を第2の標的化ステップで使用することによって、非金属であるヨウ素−131がRAITのために採用されている。この方法の別の欠点により、診断または治療用途に望ましい各薬剤に対して抗体を産生することが必要である。
【0005】
そのため、癌の撮像および療法のためにプレターゲティング方法がかなりの注目を集めている。エフェクター分子(例えば小型のキャリアに結合された放射性核種または薬物)がターゲティング剤(例えばbsAbなどの結合分子)に直接結合される直接標的化系とは異なり、プレターゲティング系では、エフェクター分子がターゲティング剤よりも少し後に与えられる。このことは、ターゲティング剤が腫瘍病巣に局在化して、さらに重要なことには体から排出される時間を与える。大半のターゲティング剤が抗体などの結合タンパク質であるため、それらはより小型のエフェクター分子(普通は数分)と比べて、体からはるかに低速で(普通は数日)排出される傾向がある。そのため治療用放射性核種を含む直接ターゲティング系では、体、そして特に非常に脆弱な赤色骨髄は、ターゲティング剤が腫瘍にてそのピークレベルに低速で到達して、体から排出される間ずっと、放射線に暴露されることがある。しかしながらプレターゲティング系では、放射性核種(すなわちエフェクター)は普通、体から非常に迅速に排出される小型の「キャリア」分子、例えばキレートまたはペプチドに結合しており、従って正常組織の暴露は最小限に抑えられる。プレターゲティング系では、小型キャリア分子が腫瘍脈管構造を効率的に横断して、一次ターゲティング剤に結合するため、放射性核種の腫瘍による最大摂取も非常に迅速である。キャリア分子の小さいサイズも、腫瘍内でのより均一な分布を促進することができる。
【0006】
プレターゲティング方法は多数の異なる方策を使用してきたが、腫瘍抗原およびエフェクター分子を含むキャリア分子上の1つ以上のハプテンを同時認識する、アビジン/ストレプトアビジン−ビオチン認識系または二重特異性抗体をしばしば含む。アビジン/ストレプトアビジン系は非常に多用途であり、複数の形態で使用されてきた。この系において、ストレプトアビジンまたはビオチンと結合した抗体は、一次ターゲティング剤として使用される。これには少し後にエフェクター分子の投与が続き、エフェクター分子はビオチンまたはアビジン/ストレプトアビジンとそれぞれコンジュゲートしていてもよい。別の形態は、3ステップ手法に依存する。(1)最初にビオチンコンジュゲート抗体をターゲティングする;(2)ストレプトアビジン/アビジンによる架橋が続き;(3)そしてビオチンコンジュゲートエフェクターが得られる。これらの系は、エフェクターおよびターゲティング剤が使用される形態に応じてビオチンまたはストレプトアビジン/アビジンと結合可能である限り、各種のエフェクター物質との使用のために容易に変換できる。この種のプレターゲティングは、多くのターゲティング状況で使用される汎用性およびアビジン/ストレプトアビジンとビオチンとの間の高い結合親和性を備え、他の提案された系よりもかなりの利点を有する。しかしながらアビジンおよびストレプトアビジンは外来タンパク質であり、従って免疫原性の場合があり、このことは臨床用途で投与できる回数を制限する。この点でbsAbは、比較的非免疫原性のヒト化タンパク質として操作できる利点を有する。bsAbの結合親和性(通例10-9〜10-10M)は、ストレプトアビジン/アビジン−ビオチン親和性の極めて高い親和性(〜10-15M)には匹敵しないが、どちらのプレターゲティング系も一次ターゲティング剤の結合親和性に依存しており、従ってストレプトアビジン/アビジン−ビオチン系のより高い親和性は、bsAbプレターゲティング系に勝る実質的な利点を提供しない。しかしながら大半のbsAbは、一次ターゲットへの結合に利用できるアームを1本のみ有するのに対して、ストレプトアビジン/アビジン−ビオチンプレターゲティング系は通例、ターゲットを結合するために2本のアームを供えたIgG全体を使用して、このことはターゲット結合を補強する。2価ペプチドを使用することによって、親和性の向上が実現されて、このことは1価ペプチドと比較して、ペプチドのターゲット部位への結合を大幅に改善できる。従ってどちらの系も、優れたターゲティング比を合理的な維持力と共に提供できる。
【0007】
bsAbを用いたプレターゲティングは、エフェクター分子またはエフェクター分子を含有する分子(例えば「標的可能な構築物」として共にエフェクターを備えたキャリア)を認識するために、抗体の1本のアームを必要とする。今日までに報告された大半の放射性核種ターゲティング系は、キレート−金属錯体に対する抗体、例えばインジウム装填DTPAに対して方向付けられた抗体または他のキレートに対する抗体に依存してきた。抗体は一般に特定のキレート−金属錯体について選択性であるため、通例、選択されたキレート−金属錯体それぞれについて新しいbsAbを作成する必要がある。これによりエフェクター分子および抗体によって特に認識されるハプテンを含むキャリア分子を使用することを回避できる。そのためエフェクターおよびハプテンを含むキャリアは、標的可能な構築物として機能する。標的可能な構築物は、抗体が標的可能な構築物上のハプテンを認識するため、プレターゲティング系で異なる抗体を使用せずに異なるエフェクターを構築物中に含むことが可能であるという点で、本来「モジュラー」である。このようにして、エフェクターを含む標的可能な構築物が同一の認識されたハプテンを保持するという条件で、各種のエフェクターをプレターゲティング系で使用できる。
【0008】
プレターゲティング方法において、エフェクター分子(すなわちターゲティング分子またはキャリア分子)および結合分子(すなわちターゲティング構築物または抗体)は同時に投与されないため、結合分子はエフェクター分子を投与する前に、標的化組織によって内部移行されてはならない。しかしながら、結合分子は2価および二重特異性であるため、結合分子が標的化組織表面上の内部移行レセプタの一部である抗体を認識しても、結合分子の内部移行はエフェクター分子が投与されるまで阻害または遅延される。さらにエフェクター分子が多価である(すなわちそれが結合分子によって認識された2つ以上の部分を含む)場合、エフェクター分子は、架橋された錯体の内部移行を促進するために、標的化組織表面上の2つ以上の結合分子を架橋することができる。エフェクター分子は、標的化組織表面上の内部移行レセプタ(例えば葉酸レセプタ)に結合することによって内部移行を促進する1つ以上の部分も含む。治療剤および診断剤を投与するための組成物の方法は、2003年1月31日に提出された米国特許第60/444,357号で述べられている。
【0009】
従って疾患組織に方向付けることが可能であり、次に投与された標的可能な診断または治療コンジュゲート体に特異的に結合できる免疫薬、および二重特異性または多特異性抗体への改変なしに各種の診断剤および治療剤を提供する柔軟なモジュラー系に対する要求が引き続き存在する。我々は、各種のエフェクター物質が調製できる認識系として、ヒスタミン誘導体であるヒスタミン−スクシニル−グリシル(HSG)に対して方向付けられた抗体を使用したJanevik−lvanovska et al.によって最初に述べられたプレターゲティング系の開発を続けてきた。放射性ヨウ化およびレニウム標識2価HSG−含有ペプチドを使用した、優れたプレターゲティングの結果が報告されている。我々は現在の研究において、ハプテンおよび/またはDTPAなどのキレート剤を含み、90Y、111In、および177Luはもちろんのこと99mTcによって放射性標識するのに適したペプチドを含むようにこの系を拡張した。
【発明の開示】
【0010】
本明細書では、例えば放射免疫療法(RAIT)での治療用途のための、そして例えば放射免疫検出(RAID)および磁気共鳴映像法(MRI)での診断用途のための試薬を開示する。本明細書では特に、結合分子(すなわちターゲティング分子)、例えば標的可能な構築物を特異的に結合する少なくとも1本のアームおよび標的化組織を特異的に結合する少なくとも1本の他のアームを有する二重特異性抗体(bsAb)および二重特異性抗体断片(bsFab)と共に使用するための、標的可能な分子を開示する。
【0011】
本明細書で述べる化合物は、スペーサーによってコンジュゲートされた2つ以上のハプテンを含む。ハプテンは、ジエチレントリアミンペンタアセテート(DTPA)、ヒスタミン−スクシニル−グルタミン(HSG)、またはDTPAおよびHSGの組合せを含んでもよい。好ましくは、化合物はDTPAを含む。1つの実施形態において、化合物はDTPAおよびHSGを含む。化合物は、標的化組織表面上の1つ以上の結合分子の架橋を促進して架橋錯体の内部移行を促進するために、多価でもよい。化合物は、標的化組織の表面上の内部移行レセプタ(例えば葉酸レセプタ)に結合することによって、内部移行を促進する1つ以上の部分も含んでもよい。
【0012】
化合物は、ハプテン、スペーサー、またはその両方の1つ以上にコンジュゲートできるエフェクター分子も含む。そのためハプテンおよび/またはスペーサーは、エフェクターに対するキャリア分子として機能できる。エフェクター分子は多数の結合によってコンジュゲートされ、好ましくは、結合は血清中の生理的条件下で安定であるが、結合は標的細胞に局在化しているときの加水分解または標的細胞による内部移行に対して感受性である。例えば結合は、リソソーム内に存在する生理的条件下で酸加水分解を受ける。あるいは特定の結合の加水分解は、標的細胞に局在化する、または標的細胞に内在する1つ以上の酵素によって触媒される。適切な結合は、エステル結合、イミノ結合、アミノ結合、スルフィド結合、チオセミカルバゾン結合、セミカルバゾン結合、オキシム結合、エーテル結合、またはこれらの結合の組合せを含んでもよい。
【0013】
化合物は金属イオンも含んでもよい。好ましくは、化合物はインジウムカチオンを含む。1つの実施形態において、インジウムなどの金属イオンは、DTPAなどのハプテンによってキレート化される。
【0014】
スペーサーは1つ以上のアミノ酸を含んでよく、好ましくは、スペーサーは3つ以上のアミノ酸を含む。1つの実施形態において、ペプチドは1つ以上のD−アミノ酸を含むことができる(例えば血清中で容易に代謝されないさらに安定な分子を作成するために)。
【0015】
1つの詳細な実施形態において、スペーサーは、1つ以上のリジン残基および1つ以上のシステイン残基を備えたペプチドを含む。別の実施形態において、スペーサーはペニシラミン部分またはペニシラミンの誘導体である部分を含む。さらなる実施形態において、スペーサーは、チオ乳酸部分またはチオ乳酸の誘導体である部分を含む。
【0016】
ハプテンおよび/またはエフェクターは、スペーサーの1つ以上の残基にコンジュゲートしてもよい。例えばハプテンは、リジン残基のε−窒素原子、またはシステイン残基の硫黄原子にコンジュゲートしてもよい。別の例において、エフェクターは、ペニシラミン部分またはその誘導体、あるいはチオ乳酸部分またはその誘導体にコンジュゲートされる。好ましくは、エフェクター分子はエステル結合、または対象に投与された後に生理的条件下で加水分解される別の結合によって結合される。
【0017】
本明細書で使用するように、エフェクター分子は所望の結果を引き起こす任意の分子を含む。そのためエフェクター分子は、薬物、プロドラッグ、毒素、酵素、放射性同位体、免疫調節物質、サイトカイン、ホルモン、核酸配列(例えばアンチセンスヌクレオチドまたは干渉RNA)、結合分子(例えば抗体)、またはこれらの種類の分子の組合せを含む。アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび干渉RNAは、Kalota et al.,Cancer Biol.Ther.2004 Jan;3(1);Tong et al.,Clin.Lung Cancer 2001 Feb;2(3):220−6;Dean et al.,Oncogene 2003 Dec 8;22(56):9087−96;Nahta et al.,Semin.Oncol.2003 Oct;30(5 Suppl 16):143−9;Patry et al.,Cancer Res.2003 Nov 15;63(22):7679−88;Duxbury et al.,Biochem Biophys Res Commun.2003 Nov 21;311(3)786−92;Crnkovic−Mertens et al.,Oncogene 2003 Nov 13;22(51):8330−6;Lipscomb et al.,Clin Exp Metastasis 2003;20(6):569−76;Wall et al.,Lancet 2003 Oct 25;362(9393):1401−3;Bedford et al.,Semin Cancer Biol 2003 Aug;13(40):301−8;Damm−Welk et al.,Semin Cancer Biol.2003 Aug;13(4):283−92;Duursma et al.,Semin Cancer Biol.2003 Aug;13(4):267−73に開示されており、その全ては参照によりその全体が本明細書に組み入れられている。
【0018】
エフェクターは、本明細書で述べられているように他のエフェクターを含むことができる高次構造(例えばミセル、リポソーム、またはポリマー構造)を形成できる脂質またはポリマーも含んでもよい。あるいはエフェクターはそれ自体高次構造(例えばミセル、リポソーム、ポリマー構造、および/またはナノ粒子)であってもよい。エフェクターが脂質である場合、脂質コンジュゲート化合物は、本明細書で述べるようにエフェクターのいずれかと結合されるエマルジョンを形成することができる。
【0019】
治療用エフェクター分子は、細胞毒性薬、例えばアプリジン、アザリビン、アナストロゾール、アザシチジン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブリオスタチン−1、ブスルファン、カリケアマイシン、カンプトセシン、10−ヒドロキシカンプトセシン、カルムスチン、セレブレックス、クロラムブシル、シスプラチン、イリノテカン(CPT−11)、SN−38、カルボプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ドセタキセル、ダクチノマイシン、ダウノマイシングルクロニド、ダウノルビシン、デキサメタゾン、ジエチルスチルベストロール、ドキソルビシン、2−ピロリノドキソルビシン(2P−DOX)、シアノ−モルホリノドキソルビシン、ドキソルビシングルクロニド、エピルビシングルクロニド、エチニルエストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エトポシドグルクロニド、エトポシドホスフェート、フロクスウリジン(FUdR)、3’,5’−O−ジオレオイル−FudR(FUdR−dO)、フルダラビン、フルタミド、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、ゲムシタビン、ヒドロキシプロゲステロンカプロアート、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、L−アスパラギナーゼ、ロイコボリン、ロムスチン、メクロレタミン、メドロプロゲステロンアセテート、メゲス−トロールアセテート、メルファラン、メルカプトプリン、6−メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトタン、フェニルブチラート、プレドニゾン、プロカルバジン、パクリタキセル、ペントスタチン、PSI−341、セムスチンストレプトゾシン、タモキシフェン、タキサン、タキソール、テストステロンプロピオナート、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、テニポシド、トポテカン、ウラシルマスタード、ベルケード、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンクリスチン、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ、オンコナーゼ、rapLR1、DNaseI、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、シュードモナスシュードモナスエキソトキシン、シュードモナスエンドトキシン、またはこれらの組合せを含んでもよい。
【0020】
1つの実施形態において、エフェクター分子は、化合物が対象に投与された後に活性化されるプロドラッグでもよい。例えばプロドラッグは、標的化細胞への局在化および/または標的化細胞による内部移行の後に活性化される。特にプロドラッグは、細胞中の生理的条件(例えばリソソームの酸性環境)によって活性化される。あるいはプロドラッグは、1つ以上の酵素によって活性化される(例えばカルボキシエステラーゼは、イリノテカン(CPT−11)などのプロドラッグを活性化できる。好ましくは、エフェクター分子はカンプトセシン、ドキソルビシン、あるいはその誘導体および/または類似物質を含み、好ましくは、エフェクター分子はエステル結合によってコンジュゲートされる。ドキソルビシン誘導体および/または類似物質は、2−ピロリノドキソルビシン(2P−DOX)およびシアノ−モルホリノドキソルビシンを含む。
【0021】
エフェクター分子が水溶性でない場合、好ましくはハプテン、スペーサー(例えばペプチド)、および/または結合の1つ以上がエフェクター分子をさらに水溶性にする。1つの実施形態において、不溶性エフェクター分子はエマルジョンまたはリポソームの一部として投与され、そこでエマルジョンまたはリポソームを形成する脂質を投与した化合物の1つ以上(例えば標的可能な構築物)にコンジュゲートできる。別の実施形態において、ハプテン、スペーサー、および/または結合の1つ以上は、エフェクター分子の毒性を低下させることができる。さらなる実施形態において、ハプテン、スペーサー、および/または結合の1つ以上は、化合物(エフェクター分子を含む)の標的化組織への局在化を促進するが、非標的化化合物(および/またはエフェクター分子)は迅速に排出できる。そのため、エフェクター分子の体内分布は、エフェクターをハプテン、スペーサー、および/または結合の1つ以上にコンジュゲートすることによって変化させることができる。
【0022】
化合物は同位体も含むことができる。例は、18F、32P、33P、45Ti、47Sc、52Fe、59Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、75Se、77As、86Y、89Sr、89Zr、90Y、94Tc、94mTc、99Mo、99mTc、105Pd、105Rh、111Ag、111In、123I、124I、125I、131I、142Pr、143Pr、149Pm、153Sm、154-158Gd、161Tb、166Dy、166Ho、169Er、175Lu、177Lu、186Re、188Re、189Re、194Ir、198Au、199Au、211At、211Pb、212Bi、212Pb、213Bi、223Ra、または225Acを含む。同位体は、化合物に共有結合されるか、または同位体は化合物(例えばDTPA)に存在するキレート化部分によってキレート化される。
【0023】
詳細な実施形態において、化合物はペプチド、1つ以上のハプテン、および1つ以上のエフェクター分子を含む。さらにペプチドは、1つ以上の配列R1−Lys(X)−R2−Lys(Y)またはLys(X)−R2−Lys(Y)−R1を含んでもよく、ここでR1およびR2は1つ以上のアミノ酸を含み、(X)および(Y)は抗原分子、ハプテン、ハード酸キレート剤、およびソフト酸キレート剤から選択される1つ以上のコンジュゲート部分を含む。エフェクター分子は本明細書で述べるように、R1またはR2に存在するハプテンおよび/または1つ以上のアミノ酸に結合することによってコンジュゲートできる。望ましくは、結合は血清中で生理的条件にて安定であるが、結合は、化合物が細胞中で内部移行されるときに加水分解を受ける。例えば結合はリソソームでの酸性条件下で加水分解を受けるか、または結合は酵素(例えばカルボキシルエステラーゼ)によって促進されるように加水分解を受ける。結合は、エステル結合、イミノ結合、アミノ結合、スルフィド結合、チオセミカルバゾン結合、セミカルバゾン結合、オキシム結合、エーテル結合、アミド、およびこれらの結合の組合せを含んでもよい。本明細書で示すように、エフェクター分子は、薬物、プロドラッグ、毒素、酵素、放射性同位体、免疫調節物質、サイトカイン、ホルモン、核酸配列、結合分子、またはこれらの組合せを含んでもよい。
【0024】
部分はハード酸キレート剤でもよく、そこで化合物はハード酸キレート剤を含み、好ましくは、化合物はIIa族およびIIIa族金属カチオンからなる群より選択されるカチオンをさらに含む。化合物は上述の1つ以上の同位体も含んでもよい。
【0025】
1つの実施形態において、部分はDTPA、HSG、DOTA、NOTA、TETA、Tscg−Cys、Tsca−Cys、ニトロロ酢酸、またはこれらの組合せ部分を含む。好ましくは、化合物はDTPA、HSG、またはDTPAおよびHSGの組合せを含む。さらに好ましくは、化合物はDTPAを含む。(X)および(Y)によって示される部分は同じでも異なっていてもよい。
【0026】
化合物は、ソフト酸キレート剤も含んでもよい。化合物がソフト酸キレート剤を含む場合、化合物は遷移金属のBi、ランタニド、およびアクチニドからなる群より選択されるカチオンも含むことができる。例えば化合物は、Tc、Re、Bi、またはこれらのカチオンの組合せを含んでもよい。
【0027】
特定のアミノ酸またはアミノ酸の種類を含むペプチドを合成することが望ましい。例えば1つの実施形態において、R2で表される基はチロシンを含んでもよい。また、1つ以上のD−アミノ酸を含むペプチドを作成することが望ましい。
【0028】
疾患または患者に疾患を引き起こす状態を治療および/または診断する方法も開示され、該方法は、(1)標的化組織を結合する少なくとも1つのアームおよび標的可能な構築物を結合する少なくとも1つの他のアームを有する結合分子を患者に投与するステップと;(2)場合により、患者にクリアリング組成物を投与して、該組成物に非局在化結合分子を循環から除去させるステップと;(3)患者に上述の化合物の1つ以上を含む1つ以上の標的可能な構築物を投与するステップとを含むことができる。例えば標的可能な構築物は、(1)1つ以上のハプテンがDTPAまたはHSGである、スペーサーによって結合された2つ以上のハプテンと;(2)ハプテン、スペーサー、またはその両方の1つ以上にコンジュゲートされた、1つ以上のエフェクター分子と;を含む1つ以上の化合物を含むことができる。1つの実施形態において、標的可能な構築物は、(1)配列R1−Lys(X)−R2−Lys(Y)またはLys(X)−R2−Lys(Y)−R1(式中、R1およびR2は1つ以上のアミノ酸を含み、(X)および(Y)はコンジュゲート部分を含む)の1つ以上を有するペプチドと;(2)ペプチドにコンジュゲートされたエフェクター分子を含む化合物を含む。部分は、抗原分子、ハプテン、ハード酸キレート剤、ソフト酸キレート剤、またはそれらの種類の部分の組合せを含んでいてもよい。
【0029】
本明細書で使用するように、結合分子(すなわちターゲティング分子)は、抗体または抗体の断片を含んでもよい。特定の適切な抗体または結合分子は、多価および多特異性(例えば二重特異性抗体)であってもよい。結合分子は、モノクローナル抗体またはモノクローナル抗体の断片を含んでもよい。抗体または抗体断片(例えばモノクローナル)は、ヒト、キメラまたはヒト化抗体あるいはヒト、キメラまたはヒト化抗体の断片を含む。特定の適切な抗体の例は、Mab 679、Mab 734、Mab Mu−9、MN−14、RS−7、679、734、またはこれらの抗体の組合せを含んでもよい。結合分子または抗体は、融合タンパク質を含む。ある実施形態において、Mab 679、Mab 734、Mab Mu−9、MN−14、RS−7、679、または734のCDRを含む、抗体、その断片、または結合分子を使用することが望ましい。
【0030】
本明細書で示すように、標的可能な構築物は、配列R1−Lys(X)−R2−Lys(Y)またはLys(X)−R2−Lys(Y)−R1を含むペプチドと、R1またはR2に存在するアミノ酸ならびに/あるいはコンジュゲート部分(X)および/または(Y)の1つ以上にコンジュゲートされたエフェクター分子とを含んでもよい。好ましくは、エフェクター分子は、エステル結合、アミド結合、および/またはヒドラゾン結合によってコンジュゲートされる。
【0031】
また本明細書で示すように、エフェクター分子は、所望の結果を引き起こす任意の分子を含んでもよい。例えばエフェクター分子は、1つ以上の薬物、プロドラッグ、毒素、酵素、放射性同位体、免疫調節物質、サイトカイン、ホルモン、核酸配列(例えばアンチセンスヌクレオチドまたは干渉RNA)、結合分子、または薬物キャリアとして有用であってよく、上述の種類の分子の投与を促進する分子(例えば高次構造を形成できる脂質またはポリマー、あるいは高次構造自体、例えばミセル、リポソーム、ポリマー構造、および/またはナノ粒子)を含んでよい。エフェクター分子の具体的な例は、本明細書で例示する。特にエフェクター分子は、カンプトセシンまたはカンプトセシンの誘導体(例えばSN−38、10−ヒドロキシ−CPT、9−アミノ−CPT、イリノテカン(CPT−11)など)を含んでよい。ドキソルビシン、またはその誘導体および/または類似物質は、特に適切なエフェクター分子でもよい。ドキソルビシン誘導体は、Nagy et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1996,93:2464−9に述べられている。抗腫瘍アントラサイクリンは、Monneret,Eur.J.Med.Chem.2001 36:483−93に述べられているように、特に適切なエフェクター分子であってもよい。エフェクター分子(例えばカンプトセシンおよび/またはドキソルビシン)は、標的可能な構築物にコンジュゲートされ、および/または薬物キャリア、例えばミセル/リポソームまたはエマルジョンと会合されてもよく、薬物キャリアは標的可能な構築物にコンジュゲートされる。
【0032】
エフェクター分子として選択された酵素に関して、特に適切な酵素は、カルボキシエステラーゼ、グルクロニダーゼ、カルボキシペプチダーゼ、β−ラクタマーゼ、ホスファターゼ、またはこれらの酵素の混合物を含んでもよい。
【0033】
疾患または状態を治療および/または診断する方法は、各種の疾患または状態を治療/診断するために使用できる。例えば悪性疾患、循環器疾患、感染性疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、代謝性疾患、または神経性疾患、あるいはこれらの疾患または状態の組合せ。
【0034】
疾患または状態が悪性疾患である場合、結合分子は、癌胎児性抗原、テネイシン、上皮増殖因子レセプタ、血小板由来増殖因子レセプタ、線維芽細胞増殖因子レセプタ、血管内皮増殖因子レセプタ、ガングリオシド、HER/2neuレセプタおよびこれらの抗原の混合物からなる群より選択される抗原を含む標的化組織に特異的に結合できる。標的化組織は腫瘍も含んでもよい。結合分子は、結腸特異性抗原−p(CSAp)、癌胎児性抗原(CEA)、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD30、CD45、CD74、CD80、HLA−DR、la、li、MUC 1、MUC 2、MUC 3、MUC 4、NCA、EGFR、HER2/neu、PAM−4、TAG−72、EGP−1、EGP−2、A3、KS−1、Le(y)、S100、PSMA、PSA、テネイシン、葉酸レセプタ、VEGF、PIGF、ILGF−1、壊死抗原、IL−2、IL−6、T101、MAGE、およびこれらの抗原の組合せを含む、腫瘍によって生成される、または腫瘍と結合する抗原に特異的に結合してもよい。特に有用な抗原は、結合した抗体の内部移行を促進することができるCD74およびEGP−1を含む。CD74を認識する抗体にはLL1があり、その使用は、米国特許第6,458,933号;米国特許第6,395,276号;米国特許第6,083,477号;および米国特許第出願第2003−0103982号に述べられている。EGP−1を認識する抗体にはRS7があり、これは米国特許第10/377,121号;米国特許第5,635,603号;およびStein et al.,1990,Cancer Res.,50,1330−1336で述べられている。
【0035】
標的化組織は、多発性myleoma、B細胞悪性腫瘍、またはT細胞悪性腫瘍を含んでもよい。特異性B細胞悪性腫瘍は、B細胞リンパ腫の無痛形、B細胞リンパ腫の浸潤形、慢性白血病、多発性骨髄腫、および急性リンパ性白血病を含んでもよい。標的化組織は、非ホジキンリンパ腫またはホジキンリンパ腫などのリンパ腫も含んでもよい。
【0036】
加えて標的化組織は、固形腫瘍、例えばメラノーマ、癌腫、肉腫、神経膠腫、またはこれらの悪性腫瘍の組合せを含んでもよい。特定の癌腫は、食道癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、すい臓癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、膀胱癌、子宮内膜癌、子宮癌、睾丸癌、腎臓癌、副腎癌、肝臓癌、またはこれらの癌腫の組合せを含んでもよい。
【0037】
疾患または状態は、顆粒球、リンパ球、単球、D−ダイマー、および/またはフィブリン沈着に関連する循環器疾患も含んでもよい。そのため、結合分子(すなわちターゲティング分子)は、顆粒球、リンパ球、単球、および/またはフィブリン上に存在する抗原に特異的に結合してもよい。特定の循環器疾患または状態は、心筋梗塞、虚血性心疾患、動脈硬化性プラーク、フィブリン塊、塞栓、あるいはこれらの疾患または状態の組合せを含んでもよい。
【0038】
本方法は、感染性疾患、例えば感染性疾患、真菌性疾患、寄生虫性疾患、ウイルス性疾患、原虫性疾患、マイコプラズマ性、およびこれらの感染性疾患の組合せを治療および/または診断するためにも使用できる。特に感染性疾患は、ミクロスポルム、トリコフィトン、エピデルモフィトン、スポロトリックス・シェンキー、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、コクシジオイデス・イミチス、ヒストプラスマ・カプスラーツム、ブラストミセス・デルマティティディス、カンジダ・アルビカンス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、狂犬病ウイルス、インフルエンザウイルス、B型肝炎ウイルス、センダイウイルス、ネコ白血病ウイルス、レオウイルス、ポリオウイルス、ヒト血清パルボ様ウイルス、サルウイルス40、呼吸器合胞体ウイルス、マウス乳癌ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、デングウイルス、風疹ウイルス、麻疹ウイルス、アデノウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、マウス白血病ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、シンドビスウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、イボウイルス、ブルータングウイルス、炭疽菌、ストレプトコッカスアガラクティエ、レジオネラ・ニューモフィラ、ストレプトコッカス・ピオゲネス、大腸菌、ナイセリア・ゴノレア、ナイセリア・メニンギティディス、ニューモコッカス、ヘモフィルス・インフルエンザB、トレポネーマ・パラジウム、ライム病スピロヘータ、シュードモナス・エアルギノサ、マイコバクテリウム・レプレ、ブルセラ・アボルタス、結核菌、破傷風、蠕虫、マラリア原虫、熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、トキソプラズマ・ゴンジィ、ランゲル・トリパノソーマ、クルーズ・トリパノソーマ、ローデシア・トリパノソーマ、ブルセイ・トリパノソーマ、マンソン住血吸虫、日本住血吸虫、ウシバベシア、エルメリア・テネラ、回旋糸状虫、熱帯リーシュマニア、旋毛虫、回旋糸状虫、タイレリア・パルバ、胞状条虫、テニア・オビス、無鉤条虫、単胞条虫、メソセストイデス・コルチ、マイコプラズマ・アルスリティディス、マイコプラズマ・ヒオリニス、マイコプラズマ・オーラル、マイコプラズマ・アルギニニ、アコレプラスマ・ライドラウィー、マイコプラズマ・サリバルム、マイコプラズマ・ニューモニエ、およびこれらの病原体の組合せからなる群より選択される病原体によって引き起こされ得る。
【0039】
本方法は、自己免疫疾患または状態、例えば急性特発性血小板減少性紫斑病、慢性特発性血小板減少性紫斑病、皮膚筋炎、シドナム舞踏病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、多内分泌腺症候群、水疱性類天疱瘡、真性糖尿病、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、溶連菌感染後腎炎、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、関節リウマチ、多発性硬化症、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形性紅斑、IgAネフロパシー、結節性多発性動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、血栓性血管炎、シェーグレン症候群、原発性胆汁性肝硬変、橋本病、甲状腺亢進、強皮症、慢性活動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡、ヴェグナー肉芽腫症、膜性ネフロパシー、筋萎縮性側索硬化症、脊髄癆、巨細胞性動脈炎/多筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎、乾癬、線維化性肺胞炎、およびこれらの疾患または状態の組合せを治療および/または診断するためにも使用される。
【0040】
神経性疾患も本方法を使用することによって治療または診断できる。例えば代謝性障害、例えばアミロイドーシスを特徴とする神経性疾患は、標的化組織がアミロイド沈着を含む場合に本方法によって治療または診断できる。
【0041】
結合分子、場合によりクリアリング剤、および標的可能な分子を投与することに加えて、本方法は、1つ以上の追加の治療剤または診断剤を投与することも含んでもよい。適切な治療剤または診断剤は、結合分子(例えば抗体またはその断片)、薬物、プロドラッグ、毒素、酵素、酵素インヒビタ、ヌクレアーゼ、ホルモン、ホルモンアンタゴニスト、免疫調節物質、サイトカイン、キレート剤、ボロン化合物、ウラン原子、光活性剤、放射性核種、およびこれらの薬剤の組合せを含んでもよい。薬剤は、結合分子、場合によりクリアリング剤、および標的可能な分子の投与の前、投与と同時に、または投与の後に投与される。さらに薬剤は、結合分子、クリアリング剤、および/または標的可能な構築物の1つ以上にコンジュゲートできる。薬剤は、標的可能な構築物などの化合物にコンジュゲートできる、エマルジョンまたはリポソームと組合せて投与することもできる。
【0042】
1つの実施形態において、治療剤は、IL−1、IL−2、IL−3、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、IL−21,インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、G−CSF、およびGM−CSF、ならびにこれらのサイトカインの組合せからなる群より選択されるサイトカインを含む。別の実施形態において、治療剤は、アンギオスタチン、エンドスタチン、バスキュロスタチン、カンスタチン、マスピン、抗−VEGF抗体、抗胎盤増殖因子抗体、抗血管増殖因子抗体、およびこれらの血管新生阻害剤の混合物からなる群より選択される血管新生阻害剤を含む。
【0043】
本方法は、放射性同位体、染料、放射線不透過性物質、造影剤、蛍光化合物、強調剤、およびこれらの診断剤の組合せから選択される診断剤を投与することを含んでもよい。
【0044】
さらに金属を治療剤または診断剤として投与することも望ましい。例えば亜鉛、アルミニウム、ガリウム、ルテチウム、パラジウム、ボロン、ガンドリニウム、ウラン、マンガン、鉄、クロム、銅、コバルト、ニッケル、ジスプロシウム、レニウム、ユーロピウム、テルビウム、ホルミウム、ネオジム、これらの金属の組合せを投与できる。
【0045】
診断手順に有用な常磁性イオンも投与できる。常磁性イオンの例は、クロム(III)、マンガン(II)、鉄(III)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、ネオジム(III)、サマリウム(III)、イッテルビウム(III)、ガドリニウム(III)、バナジウム(II)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)、エルビウム(III)、またはこれらの常磁性イオンの組合せを含む。
【0046】
治療剤および/または診断剤は、光線力学療法のための1つ以上の薬剤(例えば光増感剤)を含んでもよい。光増感剤は、ベンゾポルフィリンモノ酸環A(BDP−MA)、スズエチオプルプリン(SnET2)、スルホナートアルミニウムフタロシアニン(AISPc)およびルテチウムテクサフィリン(Lutex)を含んでもよい。
【0047】
18F、32P、33P、45Ti、47Sc、52Fe、59Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、75Se、77As、86Y、89Sr、89Zr,90y、94Tc、94mTc、99Mo、99mTc、105Pd、105Rh、111Ag、111In、123I、124I、125I、131I、142Pr、143Pr、149Pm、153Sm、154-158Gd、161Tb、166Dy、166Ho、169Er、175Lu、177Lu、186Re、188Re、189Re、194Ir、198Au、199Au、211At、211Pb、212Bi、212Pb、213Bi、223Ra、225Ac、およびこれらの核種の混合物を含む、治療用核種または診断用核種も投与できる。特に適切な治療用核種は、32P、33P、47Sc、64Cu、67Cu、67Ga、90Y、111Ag、111In、123I、131I、142Pr、153Sm、161Tb、166Dy、166Ho、177Lu、186Re、188Re、189Re、211At、212Pb、212Bi、213Bi、223Ra、225Ac、またはこれらの核種の混合物を含んでもよい。治療用核種は、約70〜約700keVのエネルギーを有するγ粒子および/またはポジトロンを放出してもよい。
【0048】
特に適切な診断用核種は、18F、52Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、86Y、89Zr、94Tc、94mTc、99mTc、111In、123I、124I、125I、131I、またはこれらの核種の混合物を含んでもよい。診断用核種は、約25〜約400keVのエネルギーを有するγ粒子および/またはポジトロンを放出してもよい。
【0049】
診断剤は、撮像方法が実施されるときに有用であってもよい。例えば18Fなどの核種は、ポジトロン放出断層撮影法(PET)を実施するために含まれる。あるいは磁気共鳴映像法(MRI)を実施するために有用な画像強調剤が含まれる。画像強調剤は、ガドリニウムイオン、ランタンイオン、マンガンイオン、鉄、クロム、銅、コバルト、ニッケル、フッ素、ジスプロシウム、レニウム、ユーロピウム、テルビウム、ホルミウム、ネオジム、またはこれらの薬剤の混合物を含むことができる。別の実施形態において、X線またはコンピュータ断層撮影法(CT)用の1つ以上の放射線不透過剤または造影剤が含まれる。放射線不透過剤または造影剤は、バリウム、ジアトリゾアート、エチオダイズド油、ガリウムシトレート、イオカルム酸、イオセタム酸、ヨーダミド、ヨージパミド、ヨードキサム酸、イオグルアミド、イオヘキソール、イオパミドール、イオパノ酸、イオプロセム酸、イオセファム酸、イオセル酸、イオスラミドメグルミン、イオセメト酸、イオタスル、イオテトル酸、イオタラム酸、イオトロクス酸,イオキサグル酸、イオキソトリゾ酸、イポダート、メグルミン、メトリザミド、メトリゾアート、プロピリオドン、塩化第一タリウム、またはこれらの薬剤の組合せを含んでもよい。
【0050】
本方法は、リポソームまたはデキストランなどの1つ以上の超音波造影剤を投与することも含んでもよい。リポソームはガス充填される。
【0051】
治療方法および/または診断方法は、治療方法および/または診断方法の前、それと同時に、またはその後のいずれかに手術処置、血管内処置、腹腔鏡処置、または内視鏡処置を実施することも含んでもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
別途規定しない限り、「a」または「an」は、「1つ以上の」を意味する。
【0053】
「主に」は、「実質的に」および/または少なくとも90%を意味する。
【0054】
概要
本明細書では、治療方法または診断方法で標的可能な構築物として有用である化合物を開示する。標的可能な構築物は、標的可能な構築物を結合する少なくとも1つのアームおよび標的化組織を結合する少なくとも1つの他のアームを有する、二重特異性抗体(bsAb)または抗体断片(bsFab)などの結合分子によって特異的に結合される。望ましくは、標的可能な構築物は、認識可能なハプテンの少なくとも2つの単位を有するペプチドを含む。認識可能なハプテンの例は、これに限定されるわけではないが、DTPAおよびHSGを含む。標的可能な構築物はエフェクター分子にコンジュゲートされ、エフェクター分子は疾患組織を処置または同定するために有用な各種の薬剤を含む。コンジュゲートされたハプテンおよび/またはエフェクター分子の例は、これに限定されるわけではないが、キレート剤、金属キレート錯体、薬物、酵素、および毒素(例えばリシン、アブリン、リボヌクレアーゼ(例えばRNase)、DNaseI、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、シュードモナスエキソトキシン、シュードモナスエンドトキシン)を含む。エフェクター分子は、本明細書で述べる他のエフェクター細分子と結合される脂質またはポリマーを含んでもよい。例えば脂質またはポリマーは、ミセル/リポソームまたはポリマー構造などの高次構造を形成してもよい。エフェクター分子は、本明細書で述べるようにエフェクター分子を送達するために使用できるナノ粒子を含んでもよい。
【0055】
二重特異性抗体(bsAb)プレターゲティングは、診断用途および治療用途のための潜在的に非免疫原性であり、高度に選択性の代案を表す。本明細書で述べたbsAbプレターゲティング系は、各種の異なる造影剤または治療剤と使用するために潜在的に開発できるという点で、他のプレターゲティング系に勝るさらに重要な利点を示す。この系の柔軟性は、DTPまたはHSGに対して作られた抗体の使用およびDTPまたはHSG残基を含有するペプチドの開発に基づいている。DTP含有および/またはHSG含有ペプチドは合成可能であり、ペプチドがDTPを含有する場合、ペプチドは治療または診断において有用であるキレート化核種、例えば111In、90Y、または177Luによって標識できる。抗体は、DTPA−111In部分に対して産生されてきた。プレターゲティングでは、選択したペプチドは、これらの抗原を発現する腫瘍のための腫瘍ターゲティング能力を提供するために、抗癌胎児性抗原抗体(抗CEA)または抗結腸特異性抗原−p抗体(抗CSAp)のどちらかのFab’断片によって化学的に安定化された抗DTPA−111In Fab’断片または抗HSG Fab’断片を使用して、二重特異性抗体と組合せて使用できる。しかしながら他の抗原標的は、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD30、CD74、CD80、HLA−DR、Ia、MUC 1、MUC 2、MUC 3、MUC 4、EGFR、HER2/neu、PAM−4、BrE3、TAG−72(B72.3、CC49)、EGP−1(例えばRS7)、EGP−2(例えば17−1Aおよび他のEp−CAM標的)、Le(y)(例えばB3)、A3、KS−1、S100、IL−2、T101、壊死抗原、葉酸レセプタ、血管形成マーカー(例えばVEGF)、テネイシン、PSMA、PSA、腫瘍関連サイトカイン、MAGEおよび/またはその断片などに対する、当分野で既知の多様な腫瘍関連抗原を含んでもよい。組織特異性抗体(例えば骨髄細胞に対する、例えばCD34、CD74など、およびパラチログロブリン抗体など)はもちろんのこと、非悪性疾患組織、例えば血栓のフィブリンおよび/またはD−ダイマーに対する抗体、動脈硬化性プラーク(例えばCD74抗体)のマクロファージ抗原、そしてまた特異性病原体抗体(例えば細菌、ウイルス、および寄生虫に対する)が当分野で周知である。
【0056】
本明細書で述べるペプチドは、精製の必要を回避する容易な方法で高い特異的活性まで放射性標識することができる。腫瘍を持つヌードマウスのインビボ試験は、放射性標識ペプチドが腫瘍または正常組織において最小限だけ保持されて、体から迅速に排出されることを示した。例えばプレターゲティング系が非常に柔軟性であり、診断撮像および治療上の対象の広範な化合物を使用可能であることを示す、表1〜12、14、および16〜18を参照。優れた腫瘍による摂取およびターゲティング比を達成することによって、開示されたプレターゲティング系は、多くの用途で使用するに非常に有望である。
【0057】
哺乳類における標的細胞、組織または病原体を検出および/または治療する方法であって、標的化組織を特異的に結合する少なくとも1つのアームおよび標的可能な構築物を特異的に結合する少なくとも1つの他のアームを含む結合分子(例えば二重特異性抗体または抗体断片)の有効量を投与するステップを含む方法がさらに含まれる。本明細書で使用するように、「病原体」という用語は、これに限定されるわけではないが、真菌(例えばミクロスポルム、トリコフィトン、エピデルモフィトン、スポロトリックス・シェンキー、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、コクシジオイデス・イミチス、ヒストプラスマ・カプスラーツム、ブラストミセス・デルマティティディス、カンジダ・アルビカンス)、ウイルス(例えばヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、狂犬病ウイルス、インフルエンザウイルス、B型肝炎ウイルス、センダイウイルス、ネコ白血病ウイルス、レオウイルス、ポリオウイルス、ヒト血清パルボ様ウイルス、サルウイルス40、呼吸器合胞体ウイルス、マウス乳癌ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、デングウイルス、風疹ウイルス、麻疹ウイルス、アデノウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、マウス白血病ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、シンドビスウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、イボウイルスおよびブルータングウイルス)、寄生虫、細菌(例えば炭疽菌、ストレプトコッカス・アガラクティエ、レジオネラ・ニューモフィラ、ストレプトコッカス・ピオゲネス、大腸菌、ナイセリア・ゴノレア、ナイセリア・メニンギティディス、ニューモコッカス、ヘモフィルス・インフルエンザB、トレポネーマ・パラジウム、ライム病スピロヘータ、シュードモナス・エアルギノサ、マイコバクテリウム・レプレ、ブルセラ・アボルタス、結核菌および破傷風毒素)、マイコプラズマ(例えばマイコプラズマ・アルスリティディス、M.ヒオリニス、M.オーラル、M.アルギニニ、アコレプラズマ・ライドラウィー、M.サリバルム、およびM.ニューモニエ)ならびに原生動物(例えば熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、トキソプラズマ・ゴンジィ、ランゲル・トリパノソーマ、クルーズ・トリパノソーマ、ローデシア・トリパノソーマ、ブルセイ・トリパノソーマ、マンソン住血吸虫、日本住血吸虫、ウシバベシア、エルメリア・テネラ、回旋糸状虫、熱帯リーシュマニア、旋毛虫、回旋糸状虫、タイレリア・パルバ、胞状条虫、テニア・オビス、無鉤条虫、単胞条虫およびメソセストイデス・コルチ)を含む。米国特許第5,332,567号を参照。
【0058】
抗体および抗体断片を含む結合分子も本明細書で開示される。抗体断片は、抗体の抗原結合部分、例えばFabまたはF(ab)2などである。抗体断片は、無傷の抗体によって認識される同一の抗原に結合する。例えば抗CD22モノクローナル抗体断片は、CD22のエピトープに結合する。
【0059】
「抗体断片」という用語は、特異性抗原に結合して錯体を形成することによって抗体のように作用する合成または遺伝子組換えタンパク質も含む。例えば抗体断片は、重鎖および軽鎖の可変領域からなる単離断片、すなわち「Fv」断片、重鎖および軽鎖可変領域がペプチドリンカー(「sFvタンパク質」)によって結合される組換え単鎖ポリペプチド分子、および「超可変領域」を模倣するアミノ酸残基からなる最小認識単位を含む。これらのいわゆる「超可変」領域または「相補性決定領域」(CDR)の3つが、軽鎖または重鎖の各可変領域に見出される。各CDRには比較的保存されたフレームワーク領域(FR)が隣接している。FRは、可変領域の構造完全性を維持すると考えられる。軽鎖のCDRおよび対応する重鎖のCDRは、抗原−結合部位を形成する。CDRの「超可変性」は、抗体の特異性の多様性を説明している。
【0060】
本明細書で使用するように「対象」および「患者」という用語は、これに限定されるわけではないが、ヒトおよび他の霊長類、げっ歯類(例えばマウス、ラット、およびモルモット)、lagamorphs(例えばウサギ)、ウシ(例えば畜牛)、ヒツジ(ovine)(例えばヒツジ(sheep)、ヤギ(caprine)(例えばヤギ(goat))、ブタ(porcine)(例えばブタ(swine))、ウマ(equine)(例えばウマ(horse))、イヌ(canine)(例えばイヌ(dog))、ネコ(feline)(例えばネコ(cat))、家禽(例えばニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、他の家禽鳥類など)を含むいずれの動物(すなわち脊椎動物および無脊椎動物)ももちろんのこと、これに限定されるわけではないが、有蹄動物(例えばシカ)、クマ、魚類、lagamorphs、げっ歯類、鳥類などの動物を含む野生(feral)または野生(wild)動物も指す。該用語が特定の年齢または性別に限定されないものとする。従って成年および新生対象は胎児と同様に、オスまたはメスにかかわらず、該用語に含まれる。
【0061】
抗体に対して標的可能な構築物
記載したように、上述の化合物は標的可能な構築物として使用できる。標的可能な構築物は多様な構造であり得るが、免疫反応の誘発を低下させるだけではなく、bsAbターゲティング法の中で使用されるときには迅速なインビボクリアランスのためにも選択されている。疎水性剤は強い免疫反応を誘発させるのに迅速で最良であるが、これに対して親水性剤は迅速なインビボクリアランスにとって好ましく、従って理想的な構築物は、疎水性および親水性品質の両方を所有するであろう。これは一部は、多くの有機エフェクター(例えばカンプトセシンなどの毒素)の固有の疎水性を相殺するために、親水性キレート化剤(例えばDTPA)の使用に依存することによって実現される。また、反対の溶解特性を有する標的可能な構築物のサブユニット、例えばその一部が疎水性であり、その一部が親水性であるアミノ酸を含有するペプチドが選択される。本明細書で述べる化合物を合成するために、ペプチドとは別に、炭水化物も使用できるか、または他の適切な分子を使用できる。
【0062】
標的可能な構築物は、わずか2個のアミノ酸残基(好ましくは2〜10個のアミノ酸残基)を有するペプチド主鎖(例えばスペーサーとして)を含んでもよく、主鎖はキレート化剤などの他の部分に結合される。標的可能な構築物は、好ましくは50,000ダルトン未満の、好都合には約20,000ダルトン、10,000ダルトンまたは5,000ダルトン未満の分子量を有し、キレート化剤に結合されるいずれの金属イオンを含む、低分子量構築物である。例えば既知のペプチドDTPA−Tyr−Lys(DTPA)−OH(式中、DTPAはジエチレントリアミンペンタ酢酸)は、上で記載したように、分子のインジウム−DTPA部に対する抗体を産生するのに使用されてきた。しかしながら非インジウム含有分子、および適切なスクリーニングステップを使用することによって、チロシル−リジンジペプチドに対する新しいAbも作成できる。さらに通常は、ペプチドN−アセチル−Cys−Lys(DTPA)−Tyr−Lys(DTPA)−NH2(配列番号1)などの標的可能な構築物の抗原性ペプチドは、4つ以上の残基を有するであろう。
【0063】
標的可能な構築物のハプテンは、免疫原性認識部分も提供する。DTPAまたはHSGハプテンなどのハプテンを使用すると、構築物に対して高い特異性を備えたbsAbを産生できる。これは、DTPAまたはHSGハプテンに対して産生された抗体が既知であり、適切なbsAbの中に容易に包含させられるためである。従ってハプテンのペプチド主鎖へのカップリングは、bsAbまたはbsFabによって特異的に認識される標的可能な構築物を生じる。
【0064】
化合物は、最終bsAb/構築物系によって使用されるときに、標的可能な構築物を認識するbsAbのアームが完全に特異性であるようにするために、非天然アミノ酸、例えばD−アミノ酸をペプチド主鎖構造に包含させる。さらに他の非天然アミノ酸およびペプトイドから構築されたような他の主鎖構造は、化合物中に存在できる。D−アミノ酸および/またはL−アミノ酸の包含は、ペプチドの安定性を制御するためにも使用できる。
【0065】
免疫原として使用されるペプチドは従来、固相キャリアならびに反復直交脱保護およびカップリングの標準技法を使用して、自動化ペプチドシンセサイザで合成される。後でキレートコンジュゲーションに使用されるペプチド中の遊離アミノ基は、アセチル基などの標準保護基によって好都合に遮断される。そのような保護基は、当業者に既知となるであろう。Greene and Wuts Protective Groups in Organic Synthesis,1999(John Wiley and Sons,N.Y.)を参照。後で使用するためにペプチドがbsAb系内で調製されるとき、インビボカルボキシペプチダーゼ活性を阻害するために、それらは好都合に樹脂から開裂して、対応するC末端アミドを産生する。標的可能な構築物を調製する方法は、米国特許出願第09/337,756号;第09/382,186号;第09/823,746号;および第10/150,654号に述べられている;その全ては参照により本明細書に組み入れられている。
【0066】
キレート部分
標的可能な構築物上の親水性キレート部分の存在は、迅速なインビボクリアランスを確実にするのに役立つ。親水性に加えて、キレート剤はその金属結合特性のために選択され、少なくともbsAbエピトープがキレート剤でないそれらの標的可能な構築物では、金属キレート錯体の認識が必要ないため、自由自在に変更することができる。
【0067】
金属キレートの特に有用な組合せは、放射線撮像およびRAITのための47Sc、52Fe、55Co、67Ga、68Ga、111In、89Zr、90Y、161Tb、177Lu、212Bi、213Bi、および225Acと共に使用される、2−ベンジル−DTPAならびにそのモノメチルおよびシクロヘキシル類似物質を含む。同じキレート剤は、MRIで使用するためにMn、FeおよびGdなどの非放射性金属と錯化したときに、本明細書で述べる方法のbsAbと共に使用できる。NOTA(1,4,7−トリアザ−シクロノナン−N,N,N−トリ酢酸)、DOTA、およびTETA(p−ブロモアセトアミド−ベンジル−テトラエチルアミンテトラ酢酸)などの大環状キレート剤は、各種の金属および放射性金属と共に、たいていはGa、YおよびCuそれぞれの放射性核種と共に使用される。
【0068】
DTPAおよびDOTAタイプのキレート剤は、リガンドがハード塩基キレート化官能基、例えばカルボキシラートまたはアミン基を含む場合、ハード酸カチオン、特にIIa族およびIIIa族金属カチオンをキレート化するのに最も有効である。そのような金属キレート錯体は、環サイズを対象の金属に合せて調整することによって非常に安定にすることができる。他の環タイプのキレート剤、例えば大環状ポリエーテルは、RAITのための223Raなどの核種を安定に結合するための対象である。ポルフィリンキレート剤は多数の放射性金属と共に使用され、bsAb依存性免疫光療法のある低温金属錯体としても有用である。また複数の金属イオン、例えば低温イオン、診断放射性核種および/または治療用放射性核種をコンジュゲートするために、1種類を超えるキレート剤を標的可能な構築物に結合させることができる。
【0069】
標的可能な構築物のキレート化剤に結合できる、特に有用な診断用放射性核種は、これに限定されるわけではないが、110In、111In、177Lu、18F、52Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、86Y、90Y、89Zr、94mTc、94Tc、99mTc、120I、123I、124I、125I、131I、154-158Gd、32P、11C、13N、15O、186Re、188Re、51Mn、52mMn、55Co、72As、75Br、76Br、82mRb、83Sr、あるいは他のγ−、β−、またはポジトロンエミッタを含む。好ましくは、診断用放射性核種は、25〜10,000keVの範囲の、さらに好ましくは25〜4,000keVの範囲の、さらになお好ましくは20〜1,000keVの範囲の、まださらに好ましくは70〜700keVの範囲の崩壊エネルギーを含む。有用なポジトロン放出放射性核種の全崩壊エネルギーは、好ましくは<2,000keV、さらに好ましくは1,000keV以下、および最も好ましくは<700keVである。γ線検出を利用する診断剤として有用な放射性核種は、これに限定されるわけではないが:51Cr、57Co、58Co、59Fe、67Cu、67Ga、75Se、97Ru、99mTc、111In、114mIn、123I、125I、131I、169Yb、197Hgおよび201TIを含む。有用なγ線放出放射性核種の崩壊エネルギーは、好ましくは20〜2000keV、さらに好ましくは60〜600keV、最も好ましくは100〜300keVである。
【0070】
標的可能な構築物のキレート化剤に結合できる特に有用な治療用放射性核種は、これに限定されるわけではないが、111In、177Lu、212Bi、213Bi、211At、62Cu、64Cu、67Cu、90Y、125I、131I、32P、33P、47Sc、111Ag、67Ga、142Pr、153Sm、161Tb、166Dy、166Ho、186Re、188Re、189Re、212Pb、223Ra、225Ac、59Fe、75Se、77As、89Sr、99Mo、105Rh、109Pd、143Pr、149Pm、169Er、194Ir、198Au、199Au、および211Pbを含む。治療用放射性核種は、好ましくは25〜10,000keVの範囲の崩壊エネルギーを有する。有用なβ粒子放出核種の崩壊エネルギーは、好ましくは25〜5,000keV、さらに好ましくは100〜4,000keV、最も好ましくは500〜2,500keVである。オージェ放出粒子によって実質的に崩壊する放射性核種も好ましい。例えば58Co、67Ga、80mBr、99mTc、103mRh、109Pt、111In、119Sb、125I、161Ho、189mOsおよび192Ir。有用なβ粒子放出核種の崩壊エネルギーは、好ましくは<1,000keV、さらに好ましくは<100keV、最も好ましくは<70keVである。α粒子の生成によって実質的に崩壊する放射性核種も好ましい。そのような放射性核種は、これに限定されるわけではないが:152Dy、211At、212Bi、223Ra、219Rn、215Po、211Bi、225Ac、221Fr、217At、213Biおよび225Fmを含む。有用なα粒子放出放射性核種の崩壊エネルギーは、好ましくは2,000〜9,000keV、さらに好ましくは3,000〜8,000keV、最も好ましくは4,000〜7,000keVである。
【0071】
米国特許第5,753,206号に開示されたようなキレート剤、特にチオセミカルバゾニルグリオキシシステイン(Tscg−Cys)およびチオセミカルバジニルアセチルシステイン(Tsca−Cys)キレート剤は、ソフト塩基リガンド、特に硫黄またはリン含有リガンドに固く結合されているTc、Re、Biおよび他の遷移金属、ランタニドおよびアクチニドのソフト酸カチオンを結合するために好都合に使用される。それは1種類を超えるキレート剤をペプチドに結合するために有用である(例えばIn(III)カチオン用のDTPAなどのハード酸キレート剤、Tcカチオン用のTscg−Cysなどのソフト酸キレート剤)。ジ−DTPAハプテンに対する抗体は既知であり(Barbet’395、同上)、bsAbを形成するためにターゲティング抗体に直ちに結合されるので、疾患組織へ放射性同位体を標的化するためのプレターゲティングプロトコルにて、低温ジ−DTPAキレート剤(例えば放射性同位体によってキレート化されない)を含むペプチドおよび放射性同位体を含むキレート剤を使用することが可能である。そのようなペプチドの一例は、Ac−Lys(DTPA)−Tyr−Lys(DTPA)−Lys(Tscg−Cys)−NH2(配列番号2)である。このペプチドは、In(III)を再装填して、次に99MTcカチオンで標識することが可能であり、In(III)イオンはDTPAによって優先的にキレート化され、Tcカチオンは、チオール含有Tscg−Cysに優先的に結合する。NOTA、DOTA、TETAなどの他のハード酸キレート剤はDTPA基と置換可能であり、それらに特異的なMabは、抗ジ−DTPA Mabを産生するために使用される技法と類似の技法を使用して産生できる。
【0072】
カチオンの異なるサイズ、キレート環の形態、およびカチオンの好ましい錯体イオン構造に基づいて、2つの異なるハード酸またはソフト酸カチオンに優先的に結合させるために、2つの異なるハード酸またはソフト酸キレート剤をリンカー(例えば異なるキレート環サイズを有する)内に包含できることが認識されるであろう。これによって、一方または両方が放射性であるか、またはMRI強調にとって有用である、2つの異なる金属をプレターゲティングされたbsAbによる最終的な捕捉のためにリンカー内に包含させることができる。
【0073】
キレート剤は、以下の実施例にさらに十分に述べられている標準化学作用を使用して、標的可能な構築物のペプチドに結合される。Karacay et al.Bioconjugate Chem.11:842−854(2000);ならびに米国特許出願第09/337,756号;第09/382,186号;第09/823,746号;および第10/150,654号も参照;その全てが参照により本明細書に組み入れられている。本明細書で使用する保護基の省略形「Aloc」および「Fmoc」は、基アリルオキシカルボニルおよびフルオレニルメトキシカルボニルを指す。
【0074】
金属キレートの一般的な調製方法
キレート剤ペプチドコンジュゲート体は、長期間に渡って固体として保存できる。それらは金属結合反応のために単位用量として計量されて、固体、水性または半水性溶液、凍結溶液あるいは凍結乾燥調製物のいずれかとして単位用量で保存される。それらは周知の手順で標識できる。
【0075】
通例、ハード酸カチオンは、従来の塩の溶液として導入され、ハード酸キレート剤によって、そしておそらくソフト酸キレート剤によって取込まれる。しかしながらソフト酸カチオンの後での添加は、ソフト酸キレート剤によるその結合を引き起こして、その中にキレート化されるいずれのハード酸カチオンに取って代わる。例えば過剰な低温111InCl3の存在下でも、ソフト酸キレート剤は、99mTc(V)グルコヘプトナートによって提供された、または塩化第一スズおよび99mNa−TcO4を用いてインサイチューで産生されたTcカチオンによって定量的に標識できる。
【0076】
186Re、188Re、213Biなどの他のソフト酸カチオンならびにMn、Co、Ni、Pb、Cu、Cd、Au、Fe、Ag(1価)、ZnおよびHg、特に64Cuおよび67Cuの2価または3価カチオンなどは、その一部が放射免疫検出または放射免疫治療に有用であり、類似の方法によってリンカーペプチドに装填できる。レニウムカチオンも過レニウム酸塩および第1スズイオンからインサイチューで産生されるか、あるいは予備還元レニウムグルコヘプタノアートまたは他のトランスキレート剤を使用できる。過レニウム酸塩の還元は、Tcの還元に必要であるよりも多い第1スズイオン(通例、200g/mL超の最終濃度)を必要とするため、より高レベルの第1スズイオンがジスルフィド環化ペプチドに存在するような感受性のジスルフィド結合を還元しないようにするために、特別に注意を払う必要がある。レニウムでの放射性標識の間に、99mTcで使用するのと同様の手順が使用される。Tscg−CysリガンドのReO金属錯体を調製するための1つの方法は、ペプチドをReOCl3(P(Ph3)2と反応させることによるが、ReO(エチレンジアミン)2などの他の還元種を使用することも可能である。
【0077】
金属キレート錯体を調製する他の方法は、米国特許出願第09/337,756号;第09/382,186号;第09/823,746号;および第10/150,654号に述べられている;その全ては参照により本明細書に組み入れられている。
【0078】
標的可能な構築物、bsAb、および追加の治療剤または診断剤を投与する方法
以下に示す議論の多くが、疾患組織を処置する状況における二重特異性抗体および標的可能な構築物の使用に焦点を当てていることに注目すべきである。しかしながら、参照により本明細書に組み入れられた米国特許第6,126,916号;第6,077,499号;第6,010,680号;第5,776,095号;第5,776,094号;第5,776,093号;第5,772,981号;第5,753,206号;第5,746,996号;第5,697,902号;第5,328,679号;第5,128,119号;第5,101,827号;および第4,735,210号で述べられた方法を使用する、正常組織および臓器の処置および/または撮像における標的可能な構築物および二重特異性抗体の使用も考慮される。本明細書で使用するように、「組織」という用語は、これに限定されるわけではないが、卵巣、胸腺、副甲状腺、骨髄または脾臓からの組織を含む組織を指す。正常組織を標的化するときの重要な用途は、子宮内膜症の場合などに、それらが異所性である(すなわちその正常な位置から移動された)ときに、それらを同定および処置することである。
【0079】
標的可能な構築物および/またはbsAbは、経静脈的に、経動脈的に、手術中に、内視鏡的に、腹膜内に、筋肉内に、皮下に、胸膜内に、くも膜下腔内に、局所カテーテルを通じた潅流によって、または直接病巣内注射によって、経口的に投与され、連続輸液によって、あるいは単一または複数ボーラスによって、あるいは疾患組織を診断(検出)および治療するために当業者に既知の他の方法によって可能である。さらに標的可能な構築物は、上述したように超音波によって使用するための標的可能な構築物、または他の撮像方式、例えばX線、CT、PET、SPECTおよび超音波で使用するための他の造影剤にデキストランまたはリポソーム製剤をコンジュゲートさせることを制限なく含む、疾患組織を検出および処置する他の方法のための薬剤を含む。
【0080】
上述したbsAbおよび標的可能な構築物の投与は、リンカー部分と結合されている治療剤(すなわちエフェクター)の投与の少し前にbsAbを投与することによって実施できる。試薬の用量およびタイミングは、当業者が直ちに案出可能であり、利用された試薬の特定の性質に依存する。bsAb−F(ab’)2誘導体が最初に投与される場合、標的可能な構築物投与前の1〜6日の待ち時間が適切であり得る。IgG−Fab’bsAbコンジュゲート体が一次ターゲティングベクターである場合、リンカー部分の投与の前に3〜15日の範囲の、より長い待ち期間が指示される。あるいはbsAbおよび標的可能な構築物は、カクテル形で、または次々に投与することによってのどちらかで、実質的に同時に投与できる。
【0081】
多種多様の診断試薬および治療試薬は、標的可能な構築物に好都合にコンジュゲートできる。一般に診断剤および治療剤は、同位体、薬物、毒素、オリゴヌクレオチド(例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび干渉RNA)、サイトカイン、サイトカインとのコンジュゲート体、ホルモン、増殖因子、コンジュゲート体、放射性核種、造影剤、金属、細胞毒性薬、および免疫調節物質を含むことができる。例えばガドリニウム金属は磁気共鳴映像法に使用され、蛍光色素は光線力学療法のためにコンジュゲートさせることができる。その上、造影剤は、MRI造影剤、例えばガドリニウムイオン、ランタンイオン、マンガンイオン、鉄、クロム、銅、コバルト、ニッケル、ジスプロシウム、レニウム、ユーロピウム、テルビウム、ホルミウム、ネオジムまたは他の類似の標識、CT造影剤、および超音波造影剤であり得る。追加の診断剤は、フルオレセインイソチオシアナート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタルデヒドおよびフルオレサミンなどの蛍光標識化合物、ルミノール、イソルミノール、芳香族アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩およびオキサラートエステルを含む化学発光化合物、およびルシフェリン、ルシフェラーゼおよびエクオリンを含む生物発光化合物を含むことができる。例えば90Y、111In、131I、99mTc、186Re、188Re、177Lu、67Cu、212Bi、213Bi、および211Atを含む放射性核種は、診断剤および/または治療剤としても使用できる。
【0082】
治療剤は、例えば化学治療薬、例えばビンカ・アルカロイド、アントラサイクリン、エピドフィロ毒素、タキサン、代謝拮抗物質、アルキル化剤、抗生物質、Cox−2インヒビタ、抗分裂物質、血管新生阻害剤およびアポトーシス剤、特にドキソルビシン、メトトレキサート、タキソール、CPT−11、カンプトセシン、そして抗癌剤のこれらおよび他のクラスからのその他も含む。カンプトセシンのポリ−(L−グルタミン酸)へのコンジュゲートについて述べられている。Singer et al.,Annals of N.Y.Acad.of Sci.,2000;922:136−500を参照。免疫コンジュゲート体および抗体融合タンパク質の調製に有用な他の治療剤は、窒素マスタード、アルキルスルホナート、ニトロ尿素、トリアゼン、葉酸類似物質、COX−2インヒビタ、ピリミジン類似物質、プリン類似物質、白金配位錯体、ホルモンなどを含む。適切な治療剤は、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,19th Ed.(Mack Publishing Co.1995)、およびGOODMAN AND GILMAN’S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS,7th Ed.(MacMillan Publishing Co.1985)はもちろんのこと、これらの刊行物の改訂版でも述べられている。他の適切な治療剤、例えば実験薬は当業者に既知である。治療剤は制限なく、他の薬物、プロドラッグおよび/または毒素も含んでもよい。「薬物」、「プロドラッグ」および「毒素」という用語は、本明細書を通じて定義されている。「診断剤」または「診断」という用語は、これに限定されるわけではないが、検出剤、検出、または局在化を含む。治療剤および診断剤は、エマルジョンまたはリポソームを形成できる脂質あるいはポリマー構造を形成できるポリマーと関連付けられる。
【0083】
標的可能な構築物が診断剤を含むとき、bsAbは好ましくは、標的可能な構築物(診断剤を含む)の投与前に投与される。bsAbが疾患組織を標的化するために十分な時間が経過した後、診断剤を含む標的可能な構築物(すなわちエフェクター)が投与されるので、撮像が実施できる。腫瘍は、適切な波長の光が送達され、次に収集される各種の構造を直接または間接的に見ることによって、あるいは特殊検出器、例えば放射線プローブまたは蛍光検出器などによって、体腔内で検出可能である。いずれの体部位の病巣も、非イオン化放射線が送達され、これらの構造から再捕捉できる限り、見ることができる。例えば高解像度、非侵襲性の撮像技法であるPETは、ヒト疾患の描出のために、抗体および標的可能な構築物を用いて使用できる。PETでは、ポジトロン消滅崩壊の間に生成される511keVγ光子が検出できる。X線、コンピュータ断層撮影(CT)、MRIおよびγ撮像(例えば単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT))も、これらの方式によって機能する診断剤の使用を通じて利用できる。上述したように、標的可能な構築物は、25〜10,000keVのγ−、β−、α−およびオージェ−粒子および/またはポジトロンを放出する放射性診断剤を含んでもよい。そのような薬剤の例は、これに限定されるわけではないが、18F、45Ti、52Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、86Y、89Zr、94mTc、94Tc、99mTc、111In、123I、124I、125I、131I、154-158Gdおよび175Luを含む。
【0084】
本bsAbまたはbsFabは、米国特許第6,096,289号;第4,331,647号;第4,818,709号;第4,348,376号;第4,361,544号;第4,444,744号;第5,851,527号で述べられている光線力学療法(PDT)の方法で使用できる。PDTでは、光増感剤、例えばジヘマトポルフィリンエーテルなどのヘマトポルフィリン誘導体が対象に投与される。抗腫瘍活性は例えば630nmの光の使用によって開始される。皮膚が日光によってあまり光感作を受けない、より長い波長で有用なものを含めて、代わりの光増感剤が利用できる。そのような光増感剤の例は、これに限定されるわけではないが、ベンゾポルフィリンモノ酸環A(BPD−MA)、スズエチオプルプリン(SnET2)、スルホナートアルミニウムフタロシアニン(AISPc)およびルテチウムテクサフィリン(Lutex)を含む。
【0085】
加えてPDTでは、光活性化剤を集めた癌の部位を検出するために、診断剤を例えば全身的に注入して、レーザ誘起蛍光を無線カプセルサイズ内視鏡またはカメラを含む内視鏡によって使用できる。例えばこれは、初期肺癌の蛍光気管支鏡の開示に利用されている。Doiron et al.Chest 76:32(1979)。別の例において、抗体および抗体断片は、単光子放出で使用できる。例えばTc−99m標識診断剤は、抗体または抗体断片の投与後に対象に投与できる。次に単光子放出コンピュータ断層画像を生成して、病巣または腫瘍部位を画定するγカメラによって、対象を走査する。
【0086】
光活性剤または染料は、治療試薬および/または診断試薬として使用できる。例えば治療的に有用な免疫コンジュゲート体は、光活性剤または染料を抗体コンジュゲート体にコンジュゲートさせることによって得られる。蛍光および他のクロモゲン、または染料、例えば可視光に対して感受性であるポルフィリンは、適切な光を病巣に向けることによって病巣を検出および処置するために使用されている。療法では、これは光放射、光療法、または光線力学療法と呼ばれてきた(Jori et al.(eds.),Photodynamic Therapy of Tumors and Other Diseases(Libreria Progetto 1985);van den Bergh,Chem.Britain 22:430(1986))。その上、モノクローナル抗体は、光療法を実施するために光活性化染料とカップリングされている。Mew et al.,J.Immunol.130:1473(1983);idem.,Cancer Res.45:4380(1985);Oseroff et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:8744(1986);idem.,Photochem.Photobiol.46:83(1987);Hasan et al.,Prog.Clin.Biol.Res.288:471(1989);Tatsuta et al.,Lasers Surg.Med.9:422(1989);Pelegrin et al.,Cancer 67:2529(1991).しかしながらこれらの初期の研究は、特に抗体断片またはサブ断片を用いた内視鏡療法用途の使用を含んでいなかった。従って免疫コンジュゲート体は、光活性剤または染料を含んでもよい。検出および療法の内視鏡的方法は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられている米国特許第4,932,412号;第5,525,338号;第5,716,595号;第5,736,119号;第5,922,302号;第6,096,289号;および第6,387,350号に述べられている。
【0087】
放射線不透過物質および造影物質は、X線およびコンピュータ断層撮影を強調するために使用され、ヨウ素化合物、バリウム化合物、ガリウム化合物、タリウム化合物などを含む。具体的な化合物は、バリウム、ジアトリゾアート、エチオダイズド油、ガリウムシトレート、イオカルム酸、イオセタム酸、ヨーダミド、ヨージパミド、ヨードキサム酸、イオグルアミド、イオヘキソール、イオパミドール、イオパノ酸、イオプロセム酸、イオセファム酸、イオセル酸、イオスラミドメグルミン、イオセメト酸、イオタスル、イオテトル酸、イオタラム酸、イオトロクス酸、イオキサグル酸、イオキソトリゾ酸、イポダート、メグルミン、メトリザミド、メトリゾアート、プロピリオドン、および塩化第一タリウムを含む。デキストランおよびリポソーム、特にガス充填リポソームを含む、超音波造影物質も使用できる。
【0088】
免疫調節物質の投与
1つの実施形態において、免疫調整剤、例えばサイトカインは、リンカーによって、または当業者によって既知の他の方法によって標的可能な構築物にコンジュゲートできる。本明細書で使用するように、「免疫調整剤」という用語は、サイトカイン、幹細胞増殖因子、リンホトキシン、例えば腫瘍壊死因子(TNF)、および造血因子、例えばインターロイキンs(例えばインターロイキン−1(IL−1)、IL−2、IL−3、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、およびIL−21)、コロニー刺激因子(例えば顆粒球−コロニー刺激因子(G−CSF)および顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF))、インターフェロン(例えばインターフェロン−α、−βおよび−γ)、「S1因子」と呼ばれる幹細胞増殖因子、エリスロポエチンおよびトロンボポイエチンを含む。適切な免疫調整剤部分の例は、IL−2、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、IL−21、インターフェロン、TNF(例えばTNF−α)などを含む。
【0089】
薬物およびプロドラッグの投与
抗癌療法に有用なある細胞毒性薬は、血清中で比較的不溶性である。加えて、一部の細胞毒性薬も、非コンジュゲート形では非常に毒性であり、その毒性はプロドラッグへの変換によってかなり低減される。溶解性の低い薬物の、より溶解性のコンジュゲート体、例えばグルクロニド、親水性酸のエステルまたは親水性アミンへのアミドへの変換は、血清の水相での溶解度と、静脈細胞壁、動脈細胞壁または毛細血管細胞壁を通過して、腫瘍を浸す間質液に達するその能力を改良する。プロドラッグの開裂は、より溶解性の低い薬物を標的部位に沈積させる。そのようなプロドラッグから薬物への変換の多くの例が、Hansenへの米国特許第5,851,527号に開示されている。
【0090】
肝臓における芳香族または脂環式アルコール、チオール、フェノールおよびアミンなどのある毒性物質のグルクロニドへの変換は、それらを解毒して、尿により容易に排出させる体の方法である。そのような基質に変換できる1種類の抗腫瘍薬物は、アントラサイクリングリコシドであり、ヒトβ−D−グルクロニダーゼの基質であることが示されている、エピルビシン、すなわちドキソルビシンの4−エピマー(アドリアマイシン)である。例えばArcamone Cancer Res.45:5995(1985)を参照。より少ない極性基を有する他の類似物質は、より親油性であることが予想され、そのような手法に関してより大きな将来性を示している。芳香族または脂環式アルコール、チオールまたはアミン基を持つ他の薬物または毒素は、そのようなコンジュゲート体生成の候補である。これらの薬物、またはその他のプロドラッグ形は、現在説明している化合物および方法の部位特異的強調法の適切な候補である。
【0091】
プロドラッグCPT−11(イリノテカン)はインビボカルボキシルエステラーゼによって、活性代謝産物SN−38に変換される。従って治療方法の一つの用途は、腫瘍およびハプテン(例えばジ−DTPA)に標的化されたbsAbを使用することであり、ジ−DTPA−カルボキシエステラーゼコンジュゲート体の注入が続く。適切な腫瘍対バックグラウンド局在化比が達成されると、CPT−11が与えられ、腫瘍局在化カルボキシエステラーゼは、腫瘍においてCPT−11をSN−38に変換するよう作用する。その低い溶解度により、活性SN−38は腫瘍の付近に残存し、結果として標的化される抗原に対して陰性である隣接する腫瘍細胞に作用を及ぼすであろう。これが方法のさらなる利点である。カルボキシエステラーゼの改良形は、説明されており、開示された化合物および方法の範囲内である。例えばPotter et al.,Cancer Res.58:2646−2651(1998)およびPotter et al.,Cancer Res.58:3627−3632(1998)を参照。別の実施形態において、CPT−11は、DTPAまたはターゲティング分子を含む標的可能な構築物にコンジュゲートされ、それは腫瘍でのSN−38に対するCPT−11の局在化および活性化をさらに強化できる。
【0092】
エトポシドは、そのグルクロニドの形成によってかなりの程度まで解毒される、幅広く使用されている制癌剤であり、開示された化合物および方法の範囲内にある。例えばHande et al.Cancer Res.48:1829−1834(1988)を参照。グルクロニドコンジュゲート体は細胞毒性薬から調製可能であり、mAb−グルクロニダーゼコンジュゲート体によってプレターゲティングされた腫瘍のための治療薬として注射できる。例えばWang et al.Cancer Res.52:4484−4491(1992)を参照。従ってそのようなコンジュゲート体は、本明細書で述べたプレターゲティング手法によっても使用できる。同様に、ダウノマイシンおよびドキソルビシンの誘導体に基づいて設計されたプロドラッグは、カルボキシエステラーゼおよびグルクロニダーゼとの使用について述べられている。例えばBakina et al.J.Med Chem.40:4013−4018(1997)を参照。本発明の方法の範囲内で使用できるプロドラッグ/酵素対の他の例は、これに限定されるわけではないが、フェノールマスタードのヒドロキシ誘導体のグルクロニドプロドラッグおよびβ−グルクロニダーゼ;フェノールマスタードまたはCPT−11およびカルボキシペプチダーゼ;メトトレキサート置換α−アミノ酸およびカルボキシペプチダーゼA;6−メルカプトプリンおよびドキソルビシンなどの薬物のペニシリンまたはセファロスポリンコンジュゲート体およびβ−ラクタマーゼ;エトポシドホスフェートおよびアルカリホスファターゼを含む。
【0093】
酵素およびプロドラッグの同時投与
体の解毒経路を制御することによって、プロドラッグを標的部位で活性化できる、または通常の治療薬の有効性を改良できる酵素は、(例えばスペーサーまたはハプテンにコンジュゲートされた)化合物の成分であってよい。酵素−ハプテンコンジュゲート体は、プレターゲティングbsAbの投与後に対象に投与でき、標的部位に向けることができる。酵素が標的部位に局在化した後に、標的部位で作用することが既知である細胞毒性薬、またはプレターゲティングされた酵素によりインサイチューで薬物に変換されるそのプロドラッグ形が注入される。薬物は投与後に解毒されて、哺乳類の通常の解毒プロセスを使用して、より毒性の低い中間体、最も一般的にはグルクロニドを形成する。解毒中間体、例えばグルクロニドはプレターゲティングされた酵素によってそのより強い毒性形に再変換され、従って標的部位において強化された細胞毒性を有する。これは薬物の再利用をもたらす。同様に、投与されたプロドラッグは、正常な生体内プロセスを通じて活性薬物に変換できる。プレターゲティングされた酵素は、解毒された薬物を再利用することによって治療の有効性を改善する。この手法は、酵素−薬物対と使用するために採用できる。
【0094】
代わりの実施形態において、酵素−ハプテンコンジュゲート体を患者への投与前にターゲティングbsAbと混合できる。酵素−ハプテン−bsAbコンジュゲート体が標的部位に局在化するために、そして未結合のコンジュゲート体が循環から排出されるために十分な時間が経過した後に、プロドラッグが投与される。上述したように、次にプロドラッグはプレターゲティングされた酵素によってインサイチューで薬物に変換される。
【0095】
別の実施形態において、プレターゲティングbsAbは患者に投与され、標的に局在化されて、実質的に循環から排出される。その後の適切な時間に、プロドラッグ、例えばポリグルタミン酸(SN−38−エステル)10を含む標的可能な構築物を与え、それによりプロドラッグを腫瘍標的に特異的に局在化させる。腫瘍内および腫瘍周囲での高い細胞溶解率のために、腫瘍が細胞内源から放出される酵素の量を増加させていることは既知である。当業者はこれらの酵素によって活性化できるプロドラッグを適切に選択することによって、この特徴を活用できる。例えばカルボキシエステラーゼは、腫瘍にて高濃度の遊離SN−38を放出するポリグルタミン酸(SN−38−エステル)10のエステル結合を開裂させることによって、プロドラッグのポリグルタミン酸(SN−38−エステル)10を活性化する。あるいは適切な酵素を腫瘍部位に標的化することもできる。
【0096】
標的可能な構築物からの開裂後、薬物は腫瘍細胞によって内部移行される。あるいは薬物は、標的での架橋のために無傷の錯体の一部として内部移行できる。標的可能な構築物は、腫瘍結合bsAbの内部移行を誘発し、それによってより高いレベルの薬物を内部移行させて治療の有効性を改善できる。
【0097】
ペプチドキャリアに結合したプロドラッグを含む化合物
ポリアミノ酸、例えばポリリジン、ポリグルタミン酸(E)およびアスパラギン酸(D)を含む、各種のペプチドキャリア(例えばスペーサーとして)は、そのD−アミノ酸類似物質、およびコポリマー、例えばポリ(Lys−Glu){ポリ[KE]}を含めて、好都合には1:10〜10:1の比でのプロドラッグへのコンジュゲートに非常に適している。ポリ(Lys−Ala−Glu−Tyr(配列番号3)(KAEY;5:6:2:1)などの、アミノ酸混合物をベースとするコポリマーも利用できる。規定の分子量のより小型のポリマー性キャリアは、固相ペプチド合成技法によって合成可能であり、鎖長が2〜50残基のポリペプチドが直ちに生成される。この種の試薬の別の利点は、正確な構造定義以外に、鎖内のある位置に1つまたは任意の所望の数の化学ハンドルを配置する能力である。これらは、各部分の選択したレベルでの認識および治療ハプテンの結合のために後で使用できる。
【0098】
ポリ(エチレン)グリコール[PEG]は、二重特異性抗体プロドラッグ手法のための所望のインビボ特性を有する。PEG誘導体の、そのダイマー官能基による所望のインビボ特性および制限された装填能力は、Poiani et al.によって述べられているような、より大きいハプテン担持能力を有するPEGコポリマーの調製をもたらしている。例えばPoiani et al.Bioconjugate Chem.,5:621−630,1994を参照。PEGを使用すると、化合物のいずれの成分もコンジュゲートできる(リジン残基への薬物またはプロドラッグなど)。例えばPEG誘導体は、ビス(スクシンイミジル)カーボネート誘導体を生成するために両端で活性化させて、リジンなどの多官能性ジアミンと共重合させることができる。(−Lys(COOH)−PEG−Lys(COOH)−PEG−)n反復単位(式中、リシルカルボキシル基は重合プロセスに関与していない)を含有する、そのような共重合の生成物は、SN−38残基の結合に使用できる。SN−38残基は、遊離カルボキシル基と反応して、(−Lys−(COOH)−PEG−Lys(COOH)−PEG−)n鎖のSN−38エステルを生成する。
【0099】
ハプテンおよび/またはプロドラッグをコンジュゲートするのに使用できる他の合成ポリマーは、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HMPA)コポリマー、ポリ(スチレン−co−マレイン酸/無水物(SMA)、ポリ(ジビニルエーテルマレイン酸無水物)(DIVEMA)、ポリエチレンイミン、エトキシル化ポリエチレンイミン、星形デンドリマーおよびポリ(N−ビニルピロリドン)(PVP)を含む。一例として、複数の無水物単位からなるDIVEMAポリマーは、限定された量のSN−38と反応して、ポリマー主鎖上に薬物の所望の置換比を生じる。残りの無水物基は水性条件下で開いて、遊離カルボキシラート基を生成する。限定された数の遊離カルボキシラート基は、標準水溶性ペプチドカップリング剤(例えば1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロキシクロライド(EDC))を使用して活性化され、遊離アミノ基を保持する認識部分にカップリングされる。後者の例はヒスタミンであり、それに対して過去に抗体が産生されている。
【0100】
ポリマー/薬物コンジュゲート体の上の例は、プロドラッグCPT−11(イリノテカン)の活性代謝産物であるSN−38の使用を具体化する。SN−38は、上の説明で使用された芳香族ヒドロキシル基を有し、エステラーゼ型酵素に対して感受性のアリールエステルを生成する。同様にカンプトセシン類似物質のトポテカンは、化学療法で幅広く使用されており、SN−38で述べたのと同様の方法で使用できる利用可能な芳香族ヒドロキシ残基を有し、エステラーゼ感受性ポリマープロドラッグを生成する。カンプトセシンの水溶性誘導体は、参照により本明細書に組み入れられている米国特許第4,943,579号に述べられている。カンプトセシンのポリ−(L−グルタミン酸)へのコンジュゲートは説明されている。例えばSinger et al.,Annals of the N.Y.Acad.Sci.,922:136−150(2000)を参照。
【0101】
ドキソルビシンは、カンプトセシンファミリについて述べた反応と似た酸触媒反応を使用して、カルボキシラート含有ポリマー性キャリアにカップリングできる芳香族ヒドロキシル基も含有する。同様に、ダウノマイシン、エピルビシンおよびイダルビシンなどのドキソルビシン類似物質も同じ方法でカップリングできる。ドキソルビシンおよびポリマー性キャリアへの化学カップリングのために十分活性であるアミノ「化学ハンドル」を持つ他の薬物は、多数の方法でこれらの遊離アミノ酸を介してキャリア分子に効果的にカップリングすることができる。遊離カルボキシラート基を担持するポリマーは、インサイチューで活性化可能であり(EDC)、活性化されたポリマーはドキソルビシンと混合されて、ポリマーの側鎖にアミノ結合を介して薬物を直接結合させる。アミノ含有薬物は、ビス(スクシンイミジル)エステル基との反応後に2個のアミドと同様に2個のアミンを架橋するために、市販の開裂性架橋剤、例えばエチレングリコビス(スクシンイミジルスクシナート)(EGS,Pierce Chemical Co.,ロックフォード、イリノイ州)またはビス−[2−(スクシンイミド−オキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン(BSOCOES,Molecular Biosciences,ハンツビル、アラバマ州)と混合することによって、アミノ側鎖ポリマーにカップリングすることもできる。これは、これらの基が酵素開裂に対してなお感受性であるときに好都合である。例えば(ドキソルビシン−EGS)n−ポリ−リジンは、EGS結合鎖内でのジエステル基のエステラーゼなどの酵素による酵素開裂に対してなお感受性である。ドキソルビシンも、確立された手順を使用して各種のペプチド、例えばHyBnK(DTPA)YK(DTPA)−NH2にコンジュゲートできる(HyBn=p−H2NNHC6H4CO2H)。Kaneko et al.,J.Bioconjugate Chem.,2:133−141,1991を参照。
【0102】
1つの好ましい実施形態において、DTPAがプレターゲティングされたbsAbのために認識部分を形成するDTPA−ペプチド−ドキソルビシンコンジュゲート体を形成するために、アミン残基およびキレート化剤、例えばDTPAを含むキャリアにカップリングされたカンプトセシン、カンプトセシンの誘導体、またはドキソルビシンを含む治療用コンジュゲート体を合成できる。好ましくは、キャリアはチロシル−リジンジペプチド、(例えばTyr−Lys(DTPA)−NH2)を含み、さらに好ましくは、それはなおLys(DTPA)−Tyr−Lys(DTPA)−NH2を含む。ビス−DPTA含有ペプチドにコンジュゲートされたドキソルビシンフェニルヒドラゾンは、治療の状況では特に好ましい。
【0103】
メトトレキサートも、ドキソルビシンで述べた方法と同様の方法で活性化カルボキシラート含有ポリマーへカップリングするために利用可能なアミノ基を有する。それはアミノ基含有ポリマーへのカップリングのために活性化できる、2個のグルタミルカルボキシル基(αおよびγ)も有する。メトトレキサートの遊離カルボキシラート基はインサイチューで活性化可能であり(EDC)、活性化薬物はアミノ含有ポリマーと混合されて、ポリマーの側鎖にアミド結合によって直接結合される。過剰な未反応または交差反応薬物は、サイズ排除またはイオン交換クロマトグラフィーを使用してポリマー−薬物コンジュゲート体から直ちに分離される。
【0104】
メイタンシノイドおよびカリケアミシン(例えばエスペラマイシン)は、化学操作に有用な単一のチオールを含む種を生成するために開裂できる混合ジスルフィドおよびトリスルフィド結合を含有する。チオメイタンシノイドまたはチオエスペラマイシンは、ペプチダーゼによる開裂に感受性であるマレイミドペプチドなどの架橋剤と最初に反応する。次にペプチドのC末端は活性化されて、ポリリジンなどのアミノ含有ポリマーにカップリングされる。
【0105】
化合物の脂質へのコンジュゲート
上述の化合物(例えば標的可能な構築物およびその成分)および結合分子(例えばbsAb)は、(1)エフェクター(例えば薬物)を送達可能な脂質;(2)エフェクター(例えば薬物)を送達できる、高次構造を形成できる分子(例えば両親媒性脂質またはポリマー);および/または(3)エフェクターを送達できる高次構造(例えばミセル、リポソーム、ポリマー構造、またはナノ粒子)にコンジュゲートされる。リポソーム、ミセル、およびエマルジョンの形成は、当分野で既知である(例えばWrobel et al.,Biochimica et Biophysica Acta,1235:296(1995);Lundberg et al.,J.Pharm.Pharmacol.,51:1099−1105(1999);Lundberg et al.Int.J.Pharm.,205:101−108(2000);Lundberg,J.Pharm.Sci.,83:72−75(1994);Xu et al.,Molec.Cancer Ther.,1:337−346(2002);Torchilin et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.100:6039−6044(2003);米国特許第5,565,215号;米国特許第6,379,698号;および米国特許出願第2003/0082154号を参照)。薬剤送達または撮像に有用であるポリマー、シリカ、または金属から形成されたナノ粒子またはナノカプセルも同様に説明されている(例えばWest et al.,Applications of Nanotechnology to Biotechnology,11:215−217(2000);米国特許第5,620,708号;米国特許第5,702,727号;および米国特許第6,530,944号を参照)。
【0106】
ターゲティング分子が脂質にコンジュゲートされている場合、脂質は、好ましくはミセルまたはリポソームなどのエマルジョンまたは高次構造を形成できる。例えば脂質は両親媒性(例えばリン脂質)である。標的可能な構築物へのコンジュゲートを促進するために、脂質は、求核炭素などの標的可能な構築物と(例えば末端にて)反応できる1つ以上の基を含有できる。ポリエチレングリコール(PEG)−マレイミドは適切な脂質であり、それによってマレイミドは、標的可能な構築物上に(例えば還元システイン残基に)存在する遊離チオール基と反応できる。マレイミド基は、標的可能な構築物または結合分子をコンジュゲートするために、本明細書に述べるように他のキャリア上にも存在できる。例えばナノ粒子は、標的可能な構築物をコンジュゲートするためにマレイミド基を含有できる。マレイミド基に加えて、標的可能な構築物または結合分子をコンジュゲートするための他の基は、米国特許第6,306,393号で述べられているように、ビニルスルホンを含むことができる。脂質のコンジュゲートした標的可能な構築物は、本明細書で述べたエフェクター分子(例えば疎水性薬物)を含むことができるエマルジョンまたはリポソームを形成することができる。
【0107】
治療剤または診断剤用の標的化キャリアを形成するための抗体または結合分子の脂質へのコンジュゲートについて説明されている(例えばBendas,Biodrugs,15:215−224(2001);Xu et al.,Molec.Cancer Ther.,1:337−346(2002);Torchilin et al.,Proc.Nat’l.Acad.Sci.,100:6039−6044(2003);Bally,et al.,J.Liposome Res.,8:299−335(1998);Lundberg,Int.J.Pharm.,109:73−81(1994);Lundberg,J.Pharm.Pharmacol.,49:16−21(1997);Lundberg,Anti−cancer Drug Design,13:453−461(1998)を参照)。米国特許第6,306,393号;米国特許出願第10/350,096号;米国特許出願第09/590,284号;1999年6月9日に提出された米国特許出願第60/138,284号;および2003年6月17日に提出された米国特許出願第60/478,830号も参照。これらの参考文献は全て参照により本明細書に組み入れられている。結合分子(すなわちターゲティング分子)を脂質にコンジュゲートするために使用された同一の化学作用を利用して、標的可能な構築物を脂質にコンジュゲートできる。
【0108】
薬物装填エマルジョンの調製
脂質コンジュゲート分子は、薬物などのエフェクターを含むエマルジョンまたはリポソームを形成できる。エマルジョンは、2つの主要な部分:(1)油性コア(例えばトリグリセリド);および(2)油性コアを安定化する乳化剤(例えばリン脂質)から構成される。トリオレイン(TO)、卵黄ホスファチジルコリン(EPC)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、コレステロール(CHOL)、8−ヒドロキシ−1,3,6−ピレントリスルホナート(HPTS)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(ソルビタン80)、メトキシポリエチレングリコール(PEG平均分子量2000)、オレオイルクロライド、3−(4,5−ジメチルジアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)およびDL−ジチオトレイトール(DTT)は、Sigma Chemical Co.(セントルイス、ミズーリ州)などの市販元から入手した。ポリ(エチレングリコール)−マレイミド−N−ヒドロキシ−スクシンイミジルエステル(MAL−PEG2000−NHS)は、Shearwater Polymers Europe(ヘンスヘーデ、オランダ)から購入できる。[3H]コレステリルオレオイルエーテル(COE)および[14C]ジパルミトイルホスファチジルコリンは、Amersham International plc(アマシャム、英国)より得た。PEG鎖の末端にマレイミド基を有するジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)のPEG2000誘導体(DPPE−PEG−MAL)は、NHS−PEG−MAL 25molをDPPE 23molおよびクロロホルム中のトリエチルアミン50molと40℃にて6時間反応させることによって合成される。生成物は、分取シリカゲルTLCによって精製できる。
【0109】
ミクロン以下の脂質エマルジョンは、他で詳細に述べたように調製できる(Lundberg,J.Pharm.Sci.,83:72−75(1994);Lundberg et al.,Int.J.Pharm.,134:119−127(1996);2003年6月17日に提出された米国特許出願第60/478,830号;米国特許第6,306,393号を参照)。薬物装填エマルジョンは、TO、EPC、ポリソルベート80、DPPE−PEG2000−MAL、およびエフェクター(例えば薬物FUdR−dO)を2:2:0.8:0.6:0.3(重量/重量)の比で含む。成分をストック溶液からバイアルに分配して、減圧下で溶媒を乾燥するまで蒸発させた。ホスフェート緩衝食塩水(PBS)を添加して、混合物を50℃まで加熱し;ボルテックスで30秒間混合して;Bransonプローブソニケータで2分間超音波処理した。
【0110】
薬物装填リポソームは、EPC、DPPE−PEG2000−MAL、FUdR−dO1:0.2:0.1(重量/重量)から構成される。EPC、CHOL、DPPE−PEG2000−MALの比は2:0.5:0.4が適切である。乾燥脂質フィルムを25mM HEPESおよび140mM NaCl緩衝液(pH7.4)(適切な場合には35mM HPTSを含有する)中で水和させて;次に5回の凍結解凍サイクルを受けさせて、Bransonプローブソニケータで2分間超音波処理した。[14C]DPPCを含めることによって、リン脂質濃度を定量する。
【0111】
脂質薬物キャリアの標的可能な構築物へのコンジュゲート
上述の化合物(すなわち標的可能な構築物)または結合分子の脂質薬物キャリアへのカップリングは、マレイミド(MAL)基をキャリア表面のPEG末端および標的可能な構築物または結合分子上の遊離チオール基、または他の適切な基と反応させることによって実施できる。標的可能な構築物または結合分子がジスルフィド基を含有する場合、0.2Mトリス緩衝液(pH6.5)中での50mMジチオトレイトールとの4℃での1時間に渡るカップリング反応の前に、遊離チオール基を供給するためにジスルフィド基を還元することができる。還元した分子は、50mM酢酸ナトリウム緩衝0.9%食塩水(pH5.3)で平衡にしたSephadex G−25スピンカラムを使用して過剰なジチオトレイトールから分離できる。コンジュゲートは、HEPES緩衝食塩水(pH7.4)中で室温にてアルゴン雰囲気下で16時間に渡って実施できる。過剰なマレイミド基は、2mM 2−メルカプトエタノールで30分間に渡って遮断可能であり、その後、過剰なAbおよび2−メルカプトエタノールをSepharose CL−4Bカラムで除去できる。コンジュゲートしたリポソームをカラムの空隙体積付近で収集して、0.22μm滅菌フィルタを通過させて、4℃で保存できる。カップリング効率は、フルオレセイン標識された標的可能な構築物または結合分子の使用によって概算できる。
【0112】
組合せ治療および診断方法のための化合物
なお他の実施形態において、治療薬またはプロドラッグポリマーのインビボ標的への二重特異性抗体定方向送達は、組合せ化学療法および放射免疫療法が実現されるように、放射性核種の二重特異性抗体送達と組合せることができる。各エフェクター(例えば核種および薬物)は、標的可能な構築物とコンジュゲートするか、または非共有結合して、同時に投与されるか、あるいは核種は第1の標的可能な構築物の一部として投与可能であり、薬物は後のステップで第2の標的可能な構築物の一部として与えられる。1つの実施形態において、1つのプロドラッグおよび1つの核種を含有するペプチドが構築される。例えばトリペプチドAc−Glu−Gly−Lys−NH2は、標的可能な構築物のキャリア部分として使用でき、それによりSN−38はアリールエステルとしてγグルタミルカルボキシル基に結合して、同時にキレートはアミドとしてイプシロンアミノ基に結合して、錯体Ac−Glu(SN−38)−Gly−Lys(キレート)−NH2を生成する。次にキレートは撮像および治療の目的で、111In、90Y、153Sm、177Luおよび89Zrを含む各種の金属によって放射性標識できる。金属キレート錯体は、標的可能な構築物上で認識されたハプテンを示すことができるため、抗体は、選択した金属キレート錯体を十分に高い親和性で認識および結合するように設計できる。一般にこの親和性(log Ka)は6〜11である。ポリマーペプチドは、上記のより既知組成の低分子量の試薬と同様に直ちに投与可能であり、実際に好ましい。また3置換ポリマー、例えばポリ[Glu(Sn−38)10−Lys(Y−90−キレート)n(ヒスタミン−スクシナート)mは、認識剤は放射免疫治療剤と無関係であるように使用可能であり、nおよびmは整数である。プロドラッグは、腫瘍部位に存在するカルボキシルエステラーゼによって、または第2の標的可能な構築物を使用して部位に標的化されるカルボキシエステラーゼによって活性化できる。
【0113】
あるいは併用療法は、化学療法および放射免疫治療剤を別のステップで投与することによって達成できる。例えばCEA腫瘍を発現している患者には、CEAに特異的に結合する少なくとも1つのアームおよびそのハプテンが錯体である標的可能な構築物を特異的に結合する少なくとも1つの他方のアームを備えたbsAb(例えばインジウム−DTPAまたはイットリウム−DOTA)が投与される。後に患者は、コンジュゲート体(例えばインジウム−DTPA−β−グルクロニダーゼまたはイットリウム−DOTA−β−グルクロニダーゼを含む標的可能な構築物によって治療される。bsAbおよび酵素局在化および排除に十分な時間の後、Ac−Cys(カンプト−COCH2)−Lys(インジウム−DTPA)−Tyr−Lys(インジウム−DTPA)−NH2またはAc−Glu(SN−38)−Gly−Lys(Y−90−DOTA)−NH2を含む第2の標的可能な構築物が与えられる。第2の標的可能な構築物は、第1の標的可能な構築物にすでに結合された腫瘍におけるbsAbのために、腫瘍に局在化する。標的部位に局在化された第1の標的可能な構築物は、Ac−Cys(CPT)−Lys(インジウム−DTPA)−Tyr−Lys(インジウム−DTPA)−NH2またはAc−Glu(SN−38)−Gly−Lys(Y−90−DOTA)−NH2に作用して、CPTまたはSN−38を遊離させる。プロドラッグおよびそのそれぞれの酵素両方の標的部位への局在化は、酵素が基質を限定しないにして、活性薬物の生成を強化する。この実施形態は、当分野で現在実施されている現在のプロドラッグ方法の顕著な改善を構成する。
【0114】
前に与えた標的可能な構築物の一部として送達された後に、プロドラッグポリマーを後のステップで投与する別の利点は、放射線および薬物療法の相乗効果は操作する、従って最大化することができる。RAIT後に放射線による損傷のために、腫瘍がより「漏出性」となることが仮定される。これによりポリマープロドラッグは腫瘍内へより完全に深く進入できる。これにより改良された化学療法をもたらされる。
【0115】
あるいはRAIT治療剤は、標的可能な構築物ではなく、bsAbに結合できる。例えばY−90−DOTAにコンジュゲートされた抗CEA×抗DTPA bsAbは、CEA発現腫瘍を持つ患者に最初に投与できる。この例では、抗インジウム−DTPA抗体がイットリウムDOTAキレートに結合しないという点で、ある抗キレートmabの選択性の利点が得られる。Y−90−DOTA−抗CEA×抗インジウムDTPAが腫瘍にて最大限となり、非標的組織から実質的に排出された後に、インジウムDTPAグルクロニダーゼのコンジュゲート体が注射され、CEA腫瘍部位に特異的に局在化する。次に患者にポリ(Glu)(SN−38)10などのポリマープロドラッグを注射する。後者は腫瘍にて選択的に開裂されて、モノマーSN−38を活性化して、化学療法を前に投与されたRAITと正しく組合せる。
【0116】
抗体
標的部位にて抗原に対して特異性の少なくとも1つの結合部位および抗体酵素コンジュゲート体の酵素成分に対して特異性の少なくとも1つの他の結合部位を持つ二重特異性抗体または抗体断片は、本方法において使用できる。そのような抗体は、注射の前に酵素を結合可能であり、それにより酵素を抗体に共有結合的にコンジュゲートさせる必要がなくなる。あるいは、抗体を注射して標的部位に局在化させることが可能であり、非標的化抗体が哺乳類の循環系から実質的に除去された後に、酵素は、十分な量の酵素が局在化抗体または抗体断片に到達して、それを結合して抗体酵素コンジュゲート体をインサイチューで形成できる量および経路で注射できる。
【0117】
本明細書で開示する方法は、2000年7月25日に提出された特許出願第60/220,782号に述べられているように、少なくとも3つの異なる標的結合部位を有する多価標的結合タンパク質の使用も検討する。多価標的結合タンパク質は、化学リンカーによって複数のFab様断片を架橋することによって作成できる。米国特許第5,262,524号;第5,091,542号およびLandsdorp et al.,Euro.J.Immunol.16:679−83(1986)を参照。多価標的結合タンパク質も、単一のポリペプチドを形成するために複数の単鎖Fv分子(scFv)を共有結合することによって作成されている。米国特許第5,892,020号を参照。基本的にscFv分子の凝集体である多価標的結合タンパク質は、米国特許第6,025,165号および第5,837,242号に開示されている。scFv分子3個を含む3価標的結合タンパク質は、Krott et al.,Protein Engineering 10(4):423−433(1997)に述べられている。
【0118】
クリアリング剤
bsAbおよび標的可能な構築物の用量の間で与えられるクリアリング剤を使用できる。新規な機械的作用のクリアリング剤、すなわちbsAbの疾患ターゲティングアームに対して標的化されたグリコシル化抗イディオタイプFab’断片が本明細書で述べた方法によって使用できることが発見されている。抗CEA(MN−14Ab)×抗ペプチドbsAbが投与されて、疾患標的にて最大限まで結合する。残存bsAbを排除するために、W12と呼ばれるMN−14への抗イディオタイプAbが好ましくはグリコシル化Fab’断片として投与される。クリアリング剤は、bsAbに1価方法で結合するのに対して、その追加されたグリコシル残基は錯体全体を腎臓に向け、そこで迅速な代謝が起こる。次に標的可能な構築物と結合する治療剤または診断剤を対象に投与する。bsAbのMN−14アームに対してWI2Abは高い親和性を有し、排除機構は、WI2−Fab’が1価部分であるために架橋に関与しないので開示された他の機構とは異なる(Goodwin et al.,ibidを参照)。クリアリング剤およびその使用は、米国特許第6,667,024号;米国特許第6,468,530号;米国特許第6,387,350号;米国特許第6,096,289号;米国特許第5,922,302号;米国特許第5,736,119号;米国特許第5,698,405号;米国特許第5,698,178号;米国特許第5,686,578号;および米国特許第5,525,338号に述べられており;その全ては参照によりその全体が本明細書に組み入れられている。
【0119】
キット
化合物は、本明細書で開示した方法を実施することによって、患者の疾患組織の治療または同定に使用するために適切なキットとして包装できる。キットは最低限、本明細書の化合物の1つ以上を含む(例えば標的可能な構築物または標的可能な分子として)。キットは、1つ以上の結合分子(例えばターゲティング分子としての抗体またはその断片)および/または1つ以上のクリアリング剤も含むことができる。キットは、疾患組織の同定または治療を促進する器具も含むことができる。例はこれに限定されるわけではないが使用器具、例えば注射器を含む。キットは、疾患組織を同定または治療するために必要な溶液も含むことができる。キットは、説明書および/または説明付きのラベルも含むことができる。
【0120】
抗体を産生する方法
ペプチド主鎖および/またはハプテンに対するAbは、Ab産生のための周知の方法によって生成される。例えば免疫原は、免疫応答性動物に注射できる。免疫原は、KLHにコンジュゲートされたペプチド(例えばフロイント完全アジュバント中の(ペプチド)n−KLH(式中、KLHはキーホールリンペットヘモシアニンであり、n=1−30である))を含むことができる。最初の注射の後にフロイント不完全アジュバントに懸濁させた同じ免疫原の注射を2回続けて、これらの注射の後に次の抗原(すなわちペプチド)の静脈内ブーストを続けてもよい。抗原の静脈ブーストの3日後、脾臓細胞を収集して、Sp2/0−Ag14骨髄腫細胞と融合させた。次に生じたクローンの培養上清は、定方向結合ELISAを使用して抗ペプチド反応性について分析した。生成されたAbの精細な特異性マッピングは、元の抗原/ペプチドのペプチド断片を使用して分析できる。これらの断片は、自動化ペプチドシンセサイザを使用して直ちに調製できる。Ab産生では、酵素欠乏ハイブリドーマを単離して融合細胞系の選択を可能にする。この技法は、リンカーを含むキレート、例えばIn(III)−DTPAキレートの1つ以上に対して抗体を産生させることにも使用できる。In(III)−ジ−DTPAに対するモノクローナルマウス抗体が既知である(Barbet’395同上)。
【0121】
本化合物および方法で使用される抗体は、マーカー物質としての各種の細胞表面または細胞内腫瘍関連抗原に対して特異性である。これらのマーカーは、腫瘍によって産生された物質であるか、あるいは細胞質、核、あるいは各種のオルガネラまたは細胞内構造のいずれかにおいて腫瘍部位に、腫瘍細胞表面に、または腫瘍細胞内に蓄積する物質である。そのような腫瘍関連マーカーは特に、Herberman,「Immunodiagnosis of Cancer」,in Fleisher ed.,「The Clinical Biochemistry of Cancer」,page 347(American Association of Clinical Chemists,1979)および米国特許第4,150,149号;第4,361,544号;および第4,444,744号によって開示されているマーカーである。Thorpe et al.への米国特許第5,965,132号、Thorpe et al.への米国特許第6,004,554号、Epstein et al.への米国特許第6,071,491号、Epstein et al.への米国特許第6,017,514号、Epstein et al.への米国特許第5,882,626号、Epstein et al.への米国特許第5,019,368号、Thorpe et al.への米国特許第6,342,221号、米国特許出願第09/337,756号;第09/382,186号;第09/823,746号;第10/150,654号も参照、その全てが参照により本明細書に組み入れられている。
【0122】
腫瘍関連マーカーは、Herberman,同上によって、腫瘍胎児抗原、胎盤抗原、発癌性または腫瘍ウイルス関連抗原、組織関連抗原、臓器関連抗原、異所性ホルモンおよび正常抗原またはその変種を含む多数の種類に分類されてきた。場合により、腫瘍関連マーカーのサブユニット、例えばヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)のβサブユニットまたは癌胎児性抗原(CEA)のγ領域は、米国特許第4,361,644号および第4,444,744号に開示されているように、非腫瘍物質に対しての交差反応性が大幅に低下した抗体の産生を刺激してより高い腫瘍特異性を有する抗体を産生するのに好都合に使用される。腫瘍脈管構造(例えばVEGF)の、腫瘍壊死(Epstein特許)の、膜レセプタ(例えば葉酸レセプタ、EGFR)の、膜貫通抗原(例えばPSMA)の、癌遺伝子生成物のマーカーも、抗体または抗体断片の適切な腫瘍関連標的として作用できる。腫瘍細胞上で豊富に発現される正常細胞構成要素のマーカー、例えばB細胞錯体抗原(B細胞悪性腫瘍上のCD19、CD20、CD21、CD22、CD23、およびHLA−DR)も、ある腫瘍細胞によって発現されたサイトカイン(例えばT細胞悪性腫瘍内のIL−2レセプタ)と同様に、本明細書で使用される抗体および抗体断片の適切な標的である。本明細書で使用される抗体および抗体断片によって標的化できる他の周知の腫瘍関連抗原は、これに限定されるわけではないが、CEA、CSAp、TAG−72、MUC−1、MUC−2、MUC−3、MUC−4、EGP−1、EGP−2、BrE3、PAM−4、KC−4、A3、KS−1、PSMA、PSA、テネイシン、T101、S100、MAGE、HLA−DR、CD19、CD20、CD22、CD30、CD74、IFG、ILG−1、およびIL−6を含む。
【0123】
好ましい二重特異性抗体は、MAb Mu−9のFvおよびMAb 734のFv、MAb MN−14のFvおよびMAb 734のFV、MAb RS−7のFvおよびMAb 734のFv、MAb Mu−9のFvおよびMAb 679のFv、MAb RS−7のFvおよびMAb 679のFv、またはMAb MN−14のFvおよびMAb 679のFv、ならびにそのヒト、キメラ化またはヒト化対応物を含むものである。モノクローナル抗体MN−14は、そのキメラ化およびヒト化対応物と同様に、米国特許第5,874,540号に開示されている。Mu−9または679のCDRの1つ以上を含む二重特異性抗体も好ましい。特に適切な二重特異性抗体は、LL2×734、LL2×679、PAM4×734、PAM4×679、LL1×734、およびLL1×679を含んでもよい。抗体は、クラス−III抗CEA抗体および679のFvを含む、融合タンパク質または二重特異性抗体でもよい。クラス−III抗CEAを含むクラス−III抗体は、米国特許第4,818,709号で詳細に説明されている。
【0124】
本発明は決して以下の実施例に限定されないが、以下の実施例によってさらに説明される。
【実施例1】
【0125】
1)20−O−クロロアセチルカンプトセシンの合成
20−O−クロロアセチルカンプトセシンは説明されている。米国特許第4,943,579号を参照。カンプトセシン(1.0gm)をCHCl3 40mLに溶解させた。クロロ酢酸無水物(1.2当量)、ピリジン(1.0当量)およびDMAP(0.1当量)をこの混合物に添加して、次に2時間還流させた。反応混合物に目に見える変化がなければ、続いてクロロ酢酸無水物(1.2当量)およびピリジン(1.0当量)をさらに添加して、混合物をさらに2時間還流させた。HPLCは反応が起こっていることを示した。追加量のクロロ酢酸無水物(2.1当量)およびピリジン(4.3当量)を添加して、反応混合物をさらに2時間還流させた。HPLCは反応が完了したことを示した。H2O 65mL、次に0.1N NaOH溶液、次にさらなるH2O 65mLで洗浄することによって、混合物をワークアップした。有機層をNa2SO4で乾燥させ、次に濾過して、最後に減圧下で除去した。黄色沈殿が形成した。HPLCは1つの生成物を示した。ESMSの結果は、MH+:425を示した。乾燥後の最終収量:1.178g(2.772×10-3mol、96.5%)。
【実施例2】
【0126】
IMP 274、Ac−Cys(カンプト−COCH2)−Lys(DTPA)−Tyr−Lys(DTPA)−NH2の合成
IMP 274ペプチド(図1を参照)は、Karacay et.al.Bioconjugate Chem.11:842−854(2000)によって述べられたのと同様のプロトコルを使用して合成した。IMP 222、(Ac−Cys−Lys(DTPA)−Tyr−Lys(DTPA)−NH2)(38.1mg)および20−O−クロロアセチルカンプトセシン11.7mg(1.0当量)をそれぞれ別個にDMF 150μLに溶解させた。2つの量を合せて撹拌した。ピリジン(100μL)を添加して、反応溶液にアルゴンをパージして、パラフィルムで密封した。1.5時間後にHPLCによってわずかな変化が認められた。次にDIEA(50mL)を反応混合物に添加した。HPLCは、2時間後に反応が完了に達したことを示している。分取カラムを使用して反応混合物を精製して、画分をESMSによる分析に回した(MH+:1721)。4つの画分がRT〜7.1分を有する純生成物を示す。最終収量:22.2mg(1.290×10-5mol、46.9%)。同様に当分野で周知の化学作用を使用して、図2〜4に示すようにIMP 274の誘導体を合成できる。
【実施例3】
【0127】
IMP 274標識キット
標識キットはDI H2O 80mLにクエン酸(0.414gm)、HPCD(5.0074gm)を溶解させて作成した。次にこの混合物をpH4.25に調整して、その後、IMP 274(0.0021gm)を添加した。容量をDI H2Oの十分量によって100mLとして、0.22μmフィルタを通じて濾過したこの溶液の分割量1mLを凍結乾燥バイアルに添加し、次に真空下で凍結させ、乾燥させて密栓した。
【実施例4】
【0128】
IMP 274ペプチド標識
IMP 274 In−111標識キットをDI水0.5mLに溶解させた。溶液110μLを除去して、酸で洗浄したエッペンドルフ管に入れた。In−111 1.8mCi(好ましくはPerkin Elmer製)をエッペンドルフ管に添加した。溶液を室温にて20分間インキュベートして、1.0×10-4M In(III)溶液(0.1M NaOAc pH4.5)250μLを添加した。冷インジウムを含有する溶液を室温にて30分間インキュベートした。分割量140μLを除去して、PBSまたは食塩水によって血清密栓バイアル内で7.0mLまで希釈した。
【実施例5】
【0129】
インビトロ試験調合緩衝液中でのIn2−IMP 274キットの安定性
インビトロ試験用の、IMP 274 1mgを含有する凍結乾燥キットを調製した。キットは、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(賦形剤および安定剤)、緩衝液、およびDTPA部分との錯体を形成するための冷インジウムを含有している。反復凍結解凍サイクル後の安定性を試験するために、キットを解凍した;分割量を取出して、逆相HPLC、サイズ排除HPLC(希釈および操作なしで)によって試験した。溶液はWaters 4.6×250mm XTerra RP C18 5μmカラムを使用して試験した。UVを220nmにて監視し、HPLC条件は次の通りであった:流速1mL/分、線形勾配30分間に渡って100% A(水中で0.1%TFA)〜100% B(90% CH3CN、10%水、0.1%TFA)。ペプチドは、調合緩衝液中での安定性を示した。図7および8を参照。
【実施例6】
【0130】
IMP 274標識および安定性試験
IMP 274を111Inで標識した。標識した後、このタンパク質を、ヒトおよびヌードマウス血清中での安定性について24時間の期間に渡って試験した。試験は、ヒト血清(t1/2=4時間)およびマウス血清(t1/2=18時間)両方の存在下で、ペプチドが安定性変化を受けることを示している。IMP 274は、ヒト化抗体m734xhMN14との結合についても試験した。試験は逆相およびサイズ排除HPLCシステムの両方で分析した。
【実施例7】
【0131】
IMP 274標識:個別に完了したマウスおよびヒト標識
111InCl3(31μLおよび21μL)をDI H2O 500μLにそれぞれ添加した。これらの量をIMP 274の調製バイアルに添加して、約20分間静置した。それぞれに冷酢酸インジウム緩衝液(1.0×10-4M、0.5M NaOAc、pH6.5)900μLをさらに添加して、さらに45分間静置した。各バイアルの総容量は1431μLおよび1421μLであり、IMP 274の1.220×10-8モルのモル量は、マウス血清試験では8.526×10-6M、ヒト血清試験では8.586×10-6Mの濃度を生じた。
【実施例8】
【0132】
IMP 274マウスおよびヒト血清の安定性
1つの標識ペプチド混合物50μLを、新しいマウス血清450μLと、もう1つを新しいヒト血清450μLと合せた。これらをボルテックスにかけて、37℃の一定温度に置いた。0時間〜23時間の間で各種の時点にてHPLCによって安定性についてサンプルを分析した。放射クロマトグラムは、標識ペプチドが経時的に変化したことを示す(図9および10)。溶液500μLでのペプチド50μLの希釈は、両方の混合物の濃度をマウス実験では8.526×10-7M、ヒト血清実験では8.586×10-7Mまで変化させた。
【実施例9】
【0133】
抗体およびマウス血清のIMP 274への添加
111In−IMP 274(10μL)を抗体(抗体/ペプチド比〜22:1)3μLおよび0.9%食塩水290μLに添加した。混合物をボルテックスにかけて、サイズ排除HPLCで分析した(図11)。
【実施例10】
【0134】
抗体およびヒト血清のIMP 274への添加
111In−IMP 274(16μL)を抗体(抗体/ペプチド比〜23:1)10μLおよび0.9%食塩水24μLに添加した。混合物ボルテックスにかけて、サイズ排除HPLCで分析した(図12)。
【実施例11】
【0135】
IMP 156(Ac−Phe−Lys(DTPA)−Tyr−Lys−DTPA−NH2)の合成
樹脂上のペプチドは、樹脂をカップリング当たりアミノ酸6当量と反応させて合成した。活性化剤は、ジイソプロピルカルボジイミドおよびN−ヒドロキシベンゾトリアゾールであった。カップリングは室温にて一晩実施した。樹脂(Ac−Phe−Lys(Aloc)−Tyr(But)−Lys(Aloc)NH−Sieberアミド樹脂2.109g(〜7×10-4mol))をCH2Cl2 2×40mLで洗浄した。トリブチルスズヒドリド5mLを樹脂に添加した。ピペリジン2mLを酢酸1mLで洗浄すると、混合物は高温となり、結晶が形成した。結晶をCH2Cl2 40mLに溶解させて、Pd[P(Ph3)]4 0.729gと混合した。この溶液を樹脂混合物に添加して、室温にて1.5時間撹拌した。開裂溶液を樹脂から排出させた。次に樹脂を、新しいAloc開裂試薬を用いた2回目の1時間処理によって処理した。樹脂は、CH2Cl2 40mLポーション×3、DMFによる25%ピペリジン溶液 50mLポーション×2、NMP、IPA、NMP、IPA、×NMP4 IPA 40mLポーションで洗浄した。DTPAテトラ−t−ブチルエステル3.679g(5.95×10-3mol)をNMP 20mLに溶解させて、ジイソプロピルカルボジイミド1mLおよびN−ヒドロキシベンゾトリアゾールモノヒドレート0.991gと混合した。この溶液を室温にて10分間インキュベートして、次に樹脂に添加した。DTPAを室温にて15時間に渡って樹脂と反応させた。次に樹脂をNMP、IPA、NMP、IPA、IPA(樹脂はニンヒドリン陰性であった)、NMP4×、4×CH2Cl2 40mLポーションで洗浄して、続いて窒素流の下で乾燥させた。ペプチドは、TFA 14mL、トリイソプロピルシラン0.5mL、アニソール0.5mLを含有する溶液による3時間の処理によって樹脂から開裂させた。粗ペプチドをエーテル中に沈殿させて、遠心分離によって回収して、室温にて真空中で乾燥させた。粗ペプチドをTFAに1.5時間再懸濁させて、ペプチドからの保護基の開裂を終了させた。ペプチドを0.1% TFA緩衝液を用いた逆相HPLCによって精製して、凍結乾燥の後に純生成物0.54gを得た(ESMS MH+1377)。
【実施例12】
【0136】
IMP 222(Ac−Cys−Lys(DTPA)−Tyr−Lys(DTPA)−NH2の合成
Fmoc−Lys(Aloc)−Tyr(But)−Lys(Aloc)−NH−Sieberアミド樹脂(5.148g、〜1.0×10-2mol)をカラムに添加して、NMP 50mLですすいで、次に2回目のNMP 50mLポーションの添加によって膨潤させた。N2ガスを添加して、樹脂に〜30分間に渡って通気した(すなわちカラムに通気した)。溶液を除去して、25%ピペリジン/NMP 40mLを添加した。カラムに4分間通気して、溶液を除去した。2回目の25%ピペリジン/NMP 40mLポーションを添加した。カラムにさらに15分間通気して、溶液を除去した。樹脂をNMP、IPA、NMP、IPA、そして次に4×NMP 50mLポーションですすいだ。Fmoc−Cys(Trt)OH(5.860g)、およびN−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1.535g)をどちらもNMP〜35mLに溶解させた。ジイソプロピルカルボジイミド(1.6mL)を添加した。試薬が溶解した後に、溶液を樹脂に添加して、N2ガスを使用してカラムに〜18時間通気した。溶液を除去して、樹脂をNMP、IPA、NMP、IPA、そして次に4×NMP 50mLポーションですすいだ。25%ピペリジン/NMP溶液を添加した。再びカラムにN2ガスで4分間通気して、溶液を除去した。これを再度、25%ピペリジン/NMP溶液を用いて15分間に渡って反復して、溶液を除去した。樹脂は、NMP、IPA、NMP、IPA、そして次に4×NMP 50mLポーションによってすすいだ。酢酸無水物(4.8mL)をNMP 40mLに添加して、次にジイソプロピルエチルアミン(8.9mL)を添加した。この溶液を樹脂に添加して、カラムにN2ガスによって〜2時間通気した。樹脂をNMP、IPA、NMP、IPA、そして次に4×NMP 50mLポーションですすいだ。次に樹脂をCH2Cl2 2×50mLですすいだ。トリブチルスズヒドリド(5mL)を樹脂に添加した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.095g)、氷酢酸(2mL)、ピペリジン(4mL)およびCH2Cl2 〜55mLの以前に混合した溶液も樹脂に添加した。カラムにN2ガスを〜2時間通気して、溶液を除去した。トリブチルスズヒドリド(5mL)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.001g)、氷酢酸(2mL)、ピペリジン(4mL)およびCH2Cl2〜55mLを用いて手順を反復した。カラムにN2ガスを〜1時間通気して、溶液を除去した。樹脂をNMP、IPA、NMP、IPA、そして次に4×NMP 50mLポーションですすいだ。テトラt−ブチルエステル DTPA(7.087g)をNMP〜25mLに溶解させた。この溶液にN−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1.715g)およびジイソプロピルカルボジイミド(1.8mL)を添加した。カラムにN2ガスを〜18時間通気して、溶液を除去した。樹脂をNMP、IPA、NMP、IPA、そして次に4×NMP 50mLポーションですすいだ。これにCH2Cl2 3×50mLでのすすぎが続いた。樹脂をN2ガスの低速パージによって〜30分間乾燥させた。ペプチドを樹脂から開裂させて、トリフルオロ酢酸60mL、アニソール2mL、およびトリイソプロピルシラン2mLからなる事前に混合した溶液の添加によって脱保護した。カラムにN2ガスを〜2時間通気し、溶液を除去して、上清を回収した。樹脂をトリフルオロ酢酸25mLのさらなる量ですすいで、これも同様に回収した。上清を50mL ポリエチレン遠心管に注入した(管につき〜10mL)。それぞれへのジエチルエーテル40mLの添加により、溶液からペプチドが沈殿して、ボルテックスおよび約5分間の遠心分離が続いた。上清をデカンテーションして、手順をさらに2回反復した。残った粗ペプチドを真空下で一晩乾燥させた。粗ペプチドをトリフルオロ酢酸約10mLに溶解させて、不完全な開裂のためにHPLCによって監視した。ジエチルエーテルを使用する沈殿手順を〜2時間後に反復した。全ての乾燥粗ペプチドを合せて、脱イオン水8mLに溶解させた。ペプチド溶液をWaters RCM(登録商標)分取カラムに装填して、移動相A(DI H2O中0.1% TFA)およびB(90%アセトニトリル/10% DI H2O中の0.1%TFA)を使用して、100%/0%〜70%/30%の勾配を用いて、65mL/分-1にて80分間に渡り精製した。画分番号7、8、9および10は、分析HPLCによって純物質を含有していた。画分を凍結し、凍結乾燥させて、総量で純物質521.4mgを得た。サンプルをESMS分析に回すと、各画分についてMH+:1333および[M−H]-:1331を示した。
【実施例13】
【0137】
ブロモアセチルドキソルビシンの合成
ドキソルビシンヒドロクロライド0.9993g(1.72×10-3mol)をDMF 10mLに溶解させて、ピリジン0.5mLと混合した。溶液を氷浴で冷却した。ブロモアセチルブロミド160μL(1.84×10-3mol)を反応混合物に添加した。ジイソプロピルエチルアミン0.6mLを3.5時間後に添加した。HPLC分析は、ほとんど開始物質を示したため、エーテルを混合することによって開始物質が沈殿した。沈殿物をエーテル 2×30mLポーションで洗浄して、真空オーブン内で室温にて乾燥させた。ドキソルビシンをDMF 10mLに再溶解させた。ジイソプロピルエチルアミン1mLを添加して、さらなるブロモアセチルブロミド250μL(2.87×10-3mol)の添加を続けた。溶液を17分間混合して、エーテル60mLで沈殿させた。赤色固体沈殿物をさらにエーテル60mLポーション×3で洗浄した。赤色沈殿物をCH3CN 10mLに再懸濁させて、エーテル50mL中に注入することによって沈殿させて、赤色粉末を得た。赤色粉末を遠心分離によって回収して、エーテル3×60mLポーションによって再度洗浄した。次に粗生成物をCHCl3に溶解させて、150mL焼成ガラス漏斗に3/4まで充填したフラッシュシリカに入れることによって、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーで精製した。シリカをエーテル、クロロホルム、95:5 クロロホルム/メタノール×4、90:10 クロロホルム/メタノール×2 200mLポーションで溶出させた。生成物は、2回目(0.1390g)および3回目(0.2816g)の95:5 クロロホルム/メタノール画分であった。
【実施例14】
【0138】
IMP 225の合成
ブロモアセチルドキソルビシン(0.0714g、1.08×10-4mol)をIMP 222 0.1333g(1.00×10-4mol)と混合して、DMF 1.0mLに溶解させた。カリウムバイカーボネート0.4544gをH2O 1mLに懸濁させて、次にDMF溶液に添加して、これを少し温めた。反応混合物を室温にて一晩インキュベートした。反応混合物を50mL遠心管内のエーテル30mLに注入した。管の内容を混合して、エーテル層をデカンテーションした。2回目のエーテル30mLポーションを用いて、エーテル洗浄を反復した。次に溶液を1M HClによって酸性化して、Waters 19×300mm Prep Nova−Pak HRC18 6μm 60AカラムでのHPLCによって2回に分けて精製した。勾配を流速25mL/分にて、100% 0.1%水中TFA(緩衝液A)にて開始し、線形勾配を使用して、80分間に渡って50:50緩衝液A:B(緩衝液Bは90% CH3CN 0.1%TFA、10% H2Oである)まで進めた。所望の生成物を含有する画分を回収し、凍結乾燥して、所望の生成物0.0895g(収率47%)を得た(ESMS MH+1916)。IMP 225の化学構造については図5を参照。
【実施例15】
【0139】
IMP 294の合成(In2標識IMP 225)
H2O 15mLにクエン酸0.386gを溶解させて、0.1Mクエン酸緩衝液を調製した。1M NaOHの添加により緩衝溶液をpH3.60に調整して、溶液を20mLまで希釈した。ペプチド0.293g(1.53×10-5mol、100mol%)をInCl3 0.0128g(5.79×10−5mol、378mol%)と混合して、クエン酸緩衝液5mLに溶解させた。反応溶液を室温で一晩インキュベートして、次にWaters 19×300mm Prep Nova−Pak HRC18 6μm 60ÅカラムでのHPLCによって精製した。勾配を流速25mL/分にて、90%緩衝液A(上で定義した通り)および10%緩衝液B(上で定義した通り)にて開始し、線形勾配を使用して、80分間に渡って60:40 緩衝液A:Bまで進めた。所望の生成物を含有する画分を回収して、凍結乾燥させて、所望の生成物0.0160g(収率49%)を得た(ESMS MH-2318)。
【実施例16】
【0140】
IMP 295の合成(In2標識IMP 156)
ペプチドであるIMP 156 0.1299g(9.43×10-5mol、100mol%)を0.0740g(3.34×10-4mol、355mol%)と混合して、pH3.6の0.1Mクエン酸緩衝液5mLに溶解させた。反応溶液を室温にて〜4時間インキュベートして、次にWaters 19×300mm Prep Nova−Pak HRC18 6μm 60AカラムでのHPLCによって精製した。勾配は流速25mL/分にて、100%緩衝液A(上で定義した通り)にて開始し、線形勾配を使用して、80分間に渡って50:50緩衝液A:Bまで進めた。所望の生成物を含有する画分を回収して、凍結乾燥させて、所望の生成物0.1095g(収率73%)を得た(ESMS MH-1598)。
【実施例17】
【0141】
25℃におけるPBS中でのIMP 294およびIMP 295の安定性
Na2HPO4 2.535g、NaH2PO4.H2O 0.450g、NaCl 4.391gを混合して、H2Oで500mLまで希釈することによって、リン酸緩衝食塩水(PBS)溶液を調製した。IMP 294のストック溶液は、ペプチド0.0011gをPBS 5.00mLに溶解させることによって調製した。ストック溶液の2.0mL分割量を除去し、PBS 4.9mLと混合して、IMP 294(In2IMP 225)のPBSによる3×10-5M溶液を得た。IMP 295のストック溶液は、ペプチド0.0011gをPBS 5.00mLに溶解することによって調製した。ストック溶液の2.0mL分割量を除去し、PBS 7.2mLと混合して、IMP 295(In2IMP 156)のPBSによる3×10-5M溶液を得た。Waters Alliance HPLCのオートインジェクタで25℃にてサンプルをインキュベートした。25℃で加熱したWaters Xterra(商標)RP18 5μm 4.6×250mmカラム、部品番号W10891R 015を使用して、逆相HPLCによってサンプルを分析した。カラムの流速は1mL/分であり、PDA検出器を用いて220nmにて溶出液を監視した。線形勾配を使用して、100%緩衝液Aから開始し、30分に渡って100%緩衝液Bまで進めた。注射(100μl)は1週間に渡って毎日実施した。図13AおよびBを参照。
【実施例18】
【0142】
IMP 224の合成
ペプチドであるIMP 221(H2N−NH−C6H4−CO−Lys(DTPA)−Tyr−Lys(DTPA)−NH2 MH+1322、Fmoc SPPSより作成)を含有するフェニルヒドラジン0.0596gの量を、DMF3mL中でドキソルビシンヒドロクロライド0.0245gと混合した。反応溶液を暗所で室温にて反応させた。4時間後、追加のIMP 221 0.0263gを添加して、反応を一晩続けた。次に反応混合物全体をWaters Nova−Pak(3−40×100mmセグメント、6μm、60A)分取カラムでHPLCによって精製して、80:20〜60:40緩衝液A:Bの勾配で40分間に渡って溶出させた(緩衝液A=0.3% NH4OAc、緩衝液B= 90% CH3CN中0.3%NH4OAc)。生成物を含有する画分を合せ、凍結乾燥させて、所望の生成物0.0453gを得て、これをESMS MH+1847によって確認した。IMP 224の化学構造については図6を参照。
【実施例19】
【0143】
IMP 224キット調合物
実施例14のペプチドをIn−111標識のキットへ調合した。2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン5.014g、およびクエン酸0.598gを85mL中に含有する溶液を調製した。1 M NaOHの添加によって溶液をpH4.20に調整して、水100mLに希釈した。ペプチドIMP 224 0.0010gの量を緩衝液100mLに溶解させて、1mLの分割量を2mL凍結乾燥バイアル内へ0.22μm Millex GVフィルタを通じて滅菌濾過して、直ちに凍結および凍結乾燥させた。
【実施例20】
【0144】
IMP 224キットのIn−111標識
In−111を水0.5mLに溶解させて、凍結乾燥したキットに注入した。キット溶液を室温にて10分間インキュベートして、次に0.5M NaOAcおよび2.56×10-5M冷インジウムを含有するpH7.2緩衝液0.5mLを添加した。
【実施例21】
【0145】
IMP 224キットのインビトロ安定性
IMP 224キットを上述のようにIn−111 2.52 mCiで標識した。分割量(0.15mL、370 μCi)を取出して、pH4.0の0.5Mクエン酸緩衝液0.9mL、pH5.0の0.5Mクエン酸緩衝液0.9mL、およびpH7.5の0.5Mリン酸緩衝液0.9mLと混合した。標識ペプチドの安定性を逆相HPLCによって追跡した。HPLC条件:Waters Radial−Pak C−18 Nova−Pak 8×100mm、流速3mL/分、勾配:10分間に渡って100% A=0.3% NH4OAc〜100% B=90% CH3CN、0.3% NH4OAc。安定性の結果を表1に示す。
【表1】
【実施例22】
【0146】
CALU−3腫瘍担持ヌードマウスにおけるIn−111−標識IMP 274およびI−125−標識hRS−7×MAb 734の体内分布ならびにhRS−7×MAb 734によるプレターゲティング
ヌードマウス70匹にCALU−3細胞を移植した。これらのマウスを使用して、腫瘍を発現するEGP−1を用いたプレターゲティング実施の可能性を考察した。二重特異性抗体I−125 hRS−7×734の腫瘍結合およびインビボクリアランスを、2、4、24および48時間の時点を使用して評価した。加えて、我々はI−125 hRS−7×734を用いたプレターゲティング実験を実施した。プレターゲティング実験では、ペプチドIn−111/In IMP 274を、二重特異性抗体hRS−7×734注射の16および24時間後に注射した。プレターゲティング試験の動物は、ペプチド注射の3および24時間後に殺処分した。第3グループの動物は、In−111/In IMP 274ペプチドのみを投与された。これらの動物は、ペプチド注射の1、3、6および24時間後に殺処分された。通例、各時点でマウス5匹を使用した。以下の組織を秤量およびカウントした:腫瘍、肝臓、脾臓、腎臓、肺、血液、胃、小腸、大腸、心臓および尿。
【0147】
抗体排出グループ:少なくとも35匹の動物に、二重特異性抗体I−125 hRS−7×734を含有する溶液100μL(5μCi、15μg、1.5×10-10mol)を注射した。抗体排除グループの動物20匹をそれぞれ動物5匹の5グループに分けて、注射の2、4、24および48時間後に殺処分した。
【0148】
プレターゲティンググループ:プレターゲティンググループの動物30匹をそれぞれ動物約5匹の6グループに分けた。約24時間後、I−125標識二重特異性抗体を別の動物10匹に注射して、ペプチド100μL(10μCi、1.5×10-11mol)をこれらの動物10匹に抗体注射の4時間後に注射した。動物をペプチド注射の3および24時間後に殺処分した。約24時間後、ペプチド100μL(10μCi、1.5×10-11mol)を、抗体注射の24時間後に動物10匹に注射した。動物はペプチド注射の3および24時間後に殺処分した。約48時間後、動物10匹にペプチド100μLを注射した。ペプチド注射の3時間および24時間後に、各時点にて動物5匹を殺処分した。
【0149】
ペプチド単独グループ:試験開始の約24時間後、ペプチド100μL(10μCi、1.5×10-11mol)を動物15匹に注射した。動物を3グループに分けて、ペプチド注射の1、3、6および24時間後に殺処分した。試験の結果を表2〜9にまとめる。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【実施例23】
【0150】
GW−39腫瘍担持ヌードマウスおよびhMN−14×m734によってプレターゲティングしたGW−39腫瘍担持ヌードマウスにおけるIn−111標識IMP 274の生体内分布
In−111標識IMP 274の生体内分布をGW−39腫瘍担持ヌードマウスにおいて決定して、表10にまとめた。hMN−14×m734によってプレターゲティングしたGW−39腫瘍担持ヌードマウスにおけるIn−111標識IMP 274の生体内分布を表11に示す。
【表10】
【表11】
【実施例24】
【0151】
GW−39腫瘍担持ヌードマウスおよびhMN−14×m734によってプレターゲティングしたGW−39腫瘍担持ヌードマウスにおけるIn−111−標識IMP 225の生体内分布
In−111−標識IMP 225の生体内分布をGW−39腫瘍担持ヌードマウスにおいて決定して、表12にまとめた。hMN−14×m734によってプレターゲティングしたGW−39腫瘍担持ヌードマウスにおけるIn−111−標識IMP 225の生体内分布を表13に示す。
【表12】
【表13】
【実施例25】
【0152】
BALB/cマウスにおけるIMP 224の生体内体内分布
キットを水0.5mL中のIn−111 400μCiで再構成した。In−111キット溶液を室温にて10分間インキュベートして、次にpH7.2の0.5Mアセテート緩衝液を含有する冷インジウム1.5mLで希釈した。標識ペプチドを飽和NaCl中でITLCによって分析した。バラのIn−111は、ITLCストリップの上部20%に位置していた。
【0153】
各マウスにIn−111標識ペプチド100μL(20μCi)を注射した。動物に麻酔をかけ、30分、1時間、2時間、4時間、および24時間にて、時点ごとにマウス3匹を使用して殺処分した。血液、筋肉、肝臓、肺、腎臓、脾臓、大腸、小腸、胃、尿および尾を回収してカウントした。生体内分布試験の結果を表14に示す。
【表14】
【実施例26】
【0154】
IMP 224のインビボ安定性および排除
キットを水0.5mL中のIn−111 4 mCiで再構成した。In−111キットを室温にて10分間インキュベートして、次にpH7.2の0.5Mアセテート緩衝液を含有する冷インジウム0.5mLで希釈した。標識ペプチドを飽和NaCl中でITLCによって分析した。バラのIn−111は、ITLCストリップの上部20%に位置していた。
【0155】
各マウスにIn−111標識ペプチド100μL(400 μCi)を注射した。動物に麻酔をかけ、30分および1時間にて、時点ごとに動物2匹を使用して殺処分した。血清および尿サンプルを回収して、氷上で保存し、HPLC分析のためにできるだけ早く氷上へ送った。尿サンプルのHPLC(サイズ排除クロマトグラフィーによる)は、In−111標識ペプチドがなお抗体に結合できることを示した。逆相HPLC分析は、放射性標識ペプチドが尿中に無傷で排泄されたことを示した。血清中に残存する活性の量は低すぎて、検出器の感度が悪いために逆相HPLCによって分析できなかった。ドキソルビシンは〜95%肝胆汁性排除を有する。従ってビスDTPAペプチドを加水分解可能な方法で結合することによって、〜100%腎排泄をもたらすように薬物の生体内分布が変化する。このことは、全ての非標的化薬物が無傷で迅速に排泄されるために、薬物の毒性をはるかに低くする。排除結果を表15に示す。
【表15】
【実施例27】
【0156】
IMP 224およびIMP 225を用いたプレターゲティング実験
ペプチド10マイクログラムを含有するIMP 224の凍結乾燥キットを使用した。キットを2mLバイアル中で凍結乾燥させて、滅菌水1mLによって再構成した。0.5mL分割量を除去して、In−111 1.0 mCiと混合した。In−111キット溶液を室温にて10分間インキュベートして、次に0.1mLを除去して、滅菌バイアル内でアセテート緩衝液BM 8−12を含有する冷インジウム1.9mLで希釈した。標識ペプチドを飽和NaCl中でITLCによって分析した。バラのIn−111は、ITLCストリップの上部20%に位置していた。
【0157】
GW39腫瘍異種移植片を持つ雌ヌードマウス(Taconic NCRNU、3〜4週齢)をプレターゲティング実験に使用した。腫瘍は0.3〜0.8gであった。各動物にI−125標識抗体F6×734−F(ab’)2 100ミクロリットル(5Ci、15g、1.5×10-10mol)を注射した。
【0158】
72時間後、各マウスにIn−111標識ペプチド100L(10Ci)を注射した。動物に麻酔をかけて、1時間、4時間および24時間にて、時点ごとにマウス5匹を使用して殺処分した。腫瘍、血液、筋肉、肝臓、肺、腎臓、脾臓、大腸、小腸、胃、尿および尾を回収してカウントした。
【0159】
ペプチド11マイクログラムを含有する、IMP 225 NH2−Lys(DTPA)−Tyr−Lys(DTPA)−Cys(Dox−COCH2)−Ac(配列番号4)MNa+1938)の凍結乾燥キットを使用して実験を反復した。生体内分布結果を表16〜18にまとめる。
【表16】
【表17】
【表18】
【実施例28】
【0160】
Daudi細胞を接種したSCIDマウスにおけるプレターゲティング
SCIDマウスにDaudi(バーキットリンパ腫)細胞を接種して、播種性疾患を生じさせた。マウスの1グループは、1、3、7、および9日目に投与したLL2×734の腹腔内注射4回を受けた。これに2、4、8、および10日目のIMP−225の腹腔内注射4回が続いた。対照グループ(IMP−225なし)には、2、4、8、および10日目にIMP−225を与えた。図14Aを参照。生存の終点としてのマウスの麻痺の徴候を毎日観察した。生存パーセントの中央値を計算して、Kaplan−Meierプロットを使用して解析した(log−rank解析)。図14Bを参照。
【実施例29】
【0161】
DTPAの合成
DTPAを、図15および16に示した概略図に概説するように合成できる。
【0162】
3ステップ法
a.N−(2−((5−ジベンゾスベリル)アミノ)エチル)−1,2−エタンジアミン、3の合成:ジエチレントリアミン1、350mLを1000ml 3口フラスコに注入して、窒素を流した。溶液を氷/塩浴で3℃まで冷却した。保護基前駆物質5−クロロジベンゾスルベラン2(15.017g、6.57×10-2mol)を、15分の期間に渡って窒素の陽圧下で反応混合物に少しずつゆっくりと添加した。反応物を磁気的に撹拌して、18時間に渡って室温までゆっくりと加温した。次に反応物を氷浴で冷却して、水350mLをゆっくり添加した(温度を50℃以下に維持して)。反応混合物を4×CH2Cl2 100mLで抽出した。有機層を合せて、H2O 100mL×2で洗浄した。次に有機抽出物をNa2SO4上で乾燥させて、濾過して、回転蒸発器で濃縮して、黄色油状生成物19.258g(収率99%)を得た。ESMS MH+296。
【0163】
b.N,N,N’,N”−テトラ((tert−ブトキシ−カルボニル)メチル)−N”−(2−((5−ジベンゾスベリル)アミノ)エチル)−1,2−エタンジアミン5の合成:粗N−(2−((5−ジベンゾスベリル)アミノ)エチル)−1,2−エタンジアミン3、53g(1.8×10-1mol)をアセトニトリル90mLに溶解させて、窒素下に置いた。ジイソプロピルエチルアミン71mL(5.49×10-1mol、836M%)を添加して、溶液を氷浴で冷却した。Tert−ブチルブロモアセテート4、42mL(2.48×10-1mol、446 M%)を滴加して、反応物を窒素下で一晩撹拌するときにゆっくりと加温した。翌日、さらに15mL(4.06×10-2mol、62 M%)を添加した。反応物を室温にて一晩撹拌した。次に反応混合物を回転蒸発器で濃縮した。粗生成物をエチルアセテート200mLと混合して、飽和ナトリウムバイカーボネート100mL×2および50mL×2で抽出した。有機溶液をNa2SO4上で乾燥させ、濾過して、回転蒸発器で濃縮し、粗生成物56gをコハク色油として得た。
【0164】
c.1−tert−ブチルヒドロキシ3,6,9−トリス((tert−ブトキシカルボニル)メチル)−3,6,9−トリアザウンデカンニ酸7の合成:粗N,N,N’,N”−テトラ(tert−ブトキシ−カルボニル)メチル)−N”−(2−((5−ジベンゾスベリル)アミノ)エチル)−1,2−エタンジアミン5を、グリオキシル酸モノヒドレート36.541.g(3.97×10-1mol、604 mol%)と混合して、メタノール50mlに溶解させた。パーボトルを窒素で洗い、触媒1.721g(10%炭素担持パラジウム)を添加した。2日後、触媒0.999gをさらに添加した。混合物を50 PSI H2下に置き、逆相HPLCによって判定されるように反応が完了するまで(5日)、室温にてパーシェイカーで振とうした。反応混合物をセライトで濾過して、触媒を除去した。セライトをメタノールで洗浄した。濾液を回転蒸発器で減圧下にて濃縮した。粗生成物をエーテル200mlに溶解させ、H2O 100mlおよびH2O 50mlで洗浄した。次に有機層を1 Mクエン酸50mLポーション×2で抽出した。クエン酸抽出物は3層を形成した。底の2層をエーテル層から分離した。ヘキサン100mLをエーテル層に添加して、有機層を1 Mクエン酸50mLさらにで抽出した。次に合せたクエン酸抽出物をヘキサン100mLで抽出した。水抽出物およびクエン酸抽出物を合せて、Na2CO3によって〜pH8.0まで慎重に中和した。塩基性化溶液をエチルアセテート200mL×2で抽出した。有機抽出物をNa2SO4上で乾燥させ、濾過して、回転蒸発器で減圧下にて濃縮した。粗生成物をグリオキシル酸26.302g、ジイソプロピルエチルアミン25mL、10%Pd/C 2.147g、およびMeOH 50mLと混合した。混合物を50 PSI H2下で2日間振とうした。反応混合物をセライトで濾過して、次に回転蒸発器で減圧下にて濃縮した。粗生成物をエチルアセテート200mLに溶解させて、飽和NaHCO3 100mL×2で抽出した。有機層を1M NaH2PO4 100mLで洗浄して、Na2SO4上で乾燥させた。反応混合物を濾過および濃縮して、粗生成物22.2gを黄色油として得た。600mL焼成ガラス漏斗に3/4まで充填したフラッシュシリカのパッドに粗生成物を注入して、溶媒の勾配を用いて溶出させることによって、粗生成物を精製した。漏斗を100%ヘキサン×4、75:25ヘキサン/エチルアセテート×4、1:1 ヘキサン/エチルアセテート×4、25:75ヘキサン/エチルアセテート×4、100%エチルアセテート×4、100% CHCl3×4、および95:5 CHCl3/MeOH×7の200mLポーションで溶出した。油状コハク色生成物17.648g(収率45%)を95:5 CHCl3/MeOH画分中に見出した(3〜7)。
【0165】
4ステップ法
a.N−(2−((5−ジベンゾスベリル)アミノ)エチル)−1,2−エタンジアミン、3の合成。ジエチレントリアミン1’250mLを、磁気撹拌棒を装備した1リットル3口丸底フラスコに入れた。溶液を窒素雰囲気下に置き、氷浴で4℃まで冷却した。5−クロロジベンゾスベラン212.108g(5.29×10-2mol)を10分間に渡って少しずつ添加した。反応物を室温までゆっくりと加温して、2.5日間撹拌した。次に反応物を氷浴で冷却して、水350mLを添加した。溶液をCH2Cl2 100mL×4で抽出した。有機層を合せて、水100mL×2で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して、回転蒸発器で濃縮して、粗生成物15.268g(収率97.8%)を油として得た。
【0166】
b.N,N,N’,N”−テトラ((tert−ブトキシ−カルボニル)メチル)−N”−(2−((5−ジベンゾスベリル)アミノ)エチル)−1,2−エチレンジアミン5の合成:前の反応物3からの粗生成物全体をアセトニトリル75mLに溶解させた。ジイソプロピルエチルアミン68mLを反応溶液に添加して、窒素で洗い、氷浴で冷却した。tert−ブチルブロモアセテート4’40mL(2.71×10-1、523mol %)を反応溶液に滴加して、溶液を一晩撹拌しながら室温までゆっくりと加温した。翌日、反応を完了させるために、さらにtert−ブチルブロモアセテート4、7.5mLを添加した。反応物を室温にてさらに1日撹拌して、次に減圧下にて回転蒸発器で濃縮した。エチルアセテート200mLを添加して、飽和ナトリウムバイカーボネート溶液100mL×3を用いて抽出を実施した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮してコハク色油を得た。次に油を回転蒸発器で80℃、高真空下にてさらに濃縮して、粗生成物40.938gをコハク色油として得た。
【0167】
c.N,N,N’,N”−テトラ((tert−ブトキシ−カルボニル)メチル)−N”−(2−(アミノ)エチル)−1,2−エタンジアミンの合成。粗生成物40.873gをメタノール40mLに溶解させて、500mLパー水素添加ボトルに入れた。次にクエン酸10.505gを添加して、ボトルを窒素でパージした。次に触媒10%活性炭担持パラジウム1.551gをパーボトルに添加した。次に混合物を50 PSI H2下でパーシェイカーに入れた。50 PSI H2下で2日間振とうした後に水素添加はほぼ完了したが、パーシェイカーから除去する前に反応物をさらに2日間進めさせた。反応混合物をセライトで濾過した。濾液を回転蒸発器で濃縮させ、次にジエチルエーテル200mLに溶解させた。溶液を飽和NaHCO3溶液300mLと慎重に混合した。エーテル層およびバイカーボネート層を分離した。バイカーボネート層をエーテル50mL×2で逆抽出した。エーテル層を合せ、ヘキサン300mLと混合した。次に有機層を1 Mクエン酸50mL×3で抽出した。クエン酸抽出物を合せて、1:1エーテル/ヘキサン溶液100mLポーション×2で抽出した(微量のスベランを除去するために)。炭酸ナトリウム16.322gを、エチルアセテート100mLを含むクエン酸溶液の水層の上にゆっくりと添加した。pHがpH紙によってpH8に調整されるまで、炭酸ナトリウムをさらに添加した。次に溶液をエチルアセテート100mL×3で抽出した。エチルアセテート抽出物を合せて、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶液を濾過して、回転蒸発器で濃縮して、粗生成物21.755g(収率75%)を黄色油として得た。粗生成物をエーテル25mLに溶解させて、600mL焼成ガラス漏斗に3/4まで充填したフラッシュシリカのパッドに入れた。漏斗を100%ヘキサン×4、9:1 ヘキサン/エチルアセテート×4、75:25 ヘキサン/エチルアセテート×4、50:50 ヘキサン/エチルアセテート×8、25:75 ヘキサン/エチルアセテート×4、100%エチルアセテート×4 200mLポーションで溶出させた。生成物は、75:25 ヘキサン/エチルアセテートから100%エチルアセテートの画分全てに存在するように思われる。HPLCは、75:25 ヘキサン/エチルアセテート画分において、最初の3回の50:50 エチルアセテート/ヘキサン画分と同様に、不純物のレベル上昇を示している。これらの画分は、物質約5.9gを含有している。生成物を含有する残りの画分を合せて、油状生成物11.332g(MH+560、収率39%)を得た。
【0168】
d.1−tert−ブトキシ3,6,9−トリス((tert−ブトキシカルボニル)メチル)−3,6,9−トリアザウンデカン二酸8の合成。前の反応物からの精製生成物11.332gをメタノール40mLに溶解させて、窒素雰囲気下の500mLパーボトル内に入れた。溶液にグリオキシル酸モノヒドレート6、13.813gを、続いて10%活性炭担持パラジウム1.102gを添加した。ボトルを50 PSI H2下でパーシェイカーに置いた。混合物をH2下で一晩振とうして、翌日試験した分割量は、反応が〜90%完了したことを明らかにした。反応混合物に新しい触媒0.685gを加えて、50PSI H2下の水素添加器にさらに3日間戻した。次に反応溶液をセライトで濾過して、回転蒸発器で濃縮し、エチルアセテート200mLに溶解させ、エチルアセテート200mLに溶解させた。エチルアセテート溶液を飽和NaHCO3溶液175mLと慎重に混合した。有機層を水100mLで洗浄して、続いて1M NaH2PO4 100mLで、最後に飽和NaCl 100mLで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して、回転蒸発器上で濃縮して、黄色油10.444g(収率84%)を得た。
【実施例30】
【0169】
DTPAの活性化およびコンジュゲート
DTPA 5gをメタノール中の1.0Mテトラブチルアンモニウムヒドロキシド40mLに溶解させた。メタノールを高真空下で除去して、粘性油を得た。油をDMF50mLに溶解させて、揮発性溶媒を回転蒸発器で高真空下にて除去した。DMF処理をさらに2回反復した。次に粘性油をDMF 50mlに溶解させ、HBTU 5gと混合した。次に活性化DTPA溶液の分割量8mlを樹脂に添加して、これをボルテックスで14時間に渡って混合した。カイザー試験を使用して樹脂がアミンに対して陰性の評価を与えるまで、DTPA処理を反復した。あるいはDTPAテトラ−t−ブチルエステルは、DICおよびHBTUなどの従来のカップリング剤と共に使用できる(Arano Y et al.,J Med Chem.1996 Aug 30;39(18):3451−60を参照)。
【実施例31】
【0170】
カルボキシエステラーゼのジ−DTPA−ペプチドへのコンジュゲート
pH8.0の0.2Mリン酸緩衝液中のカルボキシエステラーゼ(5mg)を5倍モル過剰の架橋剤スルホスクシンイミジル−[4−マレイミドメチル]−シクロヘキサン−1−カルボキシラート(スルホ−SMCC)で処理する。室温にて2時間撹拌した後、1mM EDTAを含有するpH7の0.1Mリン酸緩衝液で平衡にしたG−25 Sephadexのスピンカラムを使用して、活性化酵素を低分子量汚染物質から分離する。テトラペプチドN−アセチル−Cys−Lys(DTPA)−Tyr−Lys(DTPA)−NH2(配列番号1)(10倍モル過剰)を活性化酵素に添加して、スピンカラムで使用したのと同じ緩衝液に溶解させる。室温にて1時間撹拌した後、ペプチドカルボキシエステラーゼコンジュゲート体は、pH6.0の0.25M酢酸緩衝液を用いたG−25 Sephadexでのスピンカラムクロマトグラフィーによって、未反応ペプチドから精製する。コンジュゲートの成功は、コンジュゲート体の分割量のインジウム−111標識、およびサイズ排除HPLCによる分析によって証明される。
【実施例32】
【0171】
カルボキシエステラーゼ−DTPAコンジュゲート体の調製
ウサギ肝臓カルボキシエステラーゼ(SIGMA;タンパク質含有量〜17mg)バイアル2個をpH7.7の0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液2.2mlで再構成して、25倍モル過剰のCA−DTPAと、後者の新たに調製したDMSOによるストック溶液(〜25mg/ml)を使用して混合する。コンジュゲート混合物中のDMSOの最終濃度は3%(体積/体積)である。1時間のインキュベーションの後、混合物を2個の5mLスピンカラム(pH7.3の0.1Mリン酸ナトリウム中のSephadex G50/80)で予備精製して、過剰な試薬およびDMSOを除去する。pH6.8の0.2Mリン酸ナトリウムを4ml/分で使用して、溶出液をTSK 3000G Supelcoカラムで精製する。コンジュゲート体を含有する画分をCentricon−10(商標)濃縮器で濃縮して、pH6.5の0.1M酢酸ナトリウムを用いて緩衝液交換する。回収:0.9ml、4.11mg/ml(3.7mg)。標準条件を使用した分析用HPLC分析は、ライン内UV検出を用いて、95:5比で、保持時間9.3分を持つ主ピークと、10.8分における副ピークを明らかにした。酵素分析は、未修飾カルボキシエステラーゼに匹敵する115酵素単位/mgタンパク質を示した。未修飾およびDTPA−修飾CEのマススペクトル分析(MALDIモード)はどちらも1.5に近い平均DTPA置換比を示す。放射性インジウムでスパイクした既知の過剰なインジウムを使用する金属結合アッセイは、2回の実験でのDTPA:酵素比が1.24および1.41であることを確認した。カルボキシエステラーゼ−DTPAを、12.0mCi/mgの特異的活性にてIn−111アセテートによって標識して、次に過剰な非放射性インジウムアセテートで処理し、最後に10mM EDTAで処理して、過剰な非放射性インジウムを除去した。HPLCおよびITLC分析による包含は、97.7%である。HPLCサンプルを20−倍過剰の二重特異性抗体hMN−14 Fab’×734 Fab’で完全に錯化し、生じた生成物をWI2(hMN−14に対する抗−ID)でさらに錯化し、後者は二重特異性抗体に対して80−倍モル過剰である。
【0172】
本明細書で引用した全ての特許および他の参考文献は、本明細書が関係する当業者の技術レベルを示し、あたかも各参考文献が、参照によりその全体が組み入れられているかのように、いずれの表および図を含めてその全体が参照により組み入れられている。
【0173】
当業者は、本発明がそれに固有の目的および利点と同様に、記載した目的および利点を得るために十分適していることを直ちに認識するであろう。好ましい実施形態をここで代表するような本明細書で述べた方法、変化、および化合物/組成物は一例であり、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。本明細書の変更および他の用途が当業者に思い浮かぶであろうし、それらは本発明に含まれる。
【0174】
本明細書で開示された発明には、本発明の範囲および精神から逸脱することなく多様な置換および改良を行えることが、直ちに当業者に明らかになるであろう。例えば各種の異なる結合対は、各種異なる治療剤および診断剤と同様に利用できる。従ってそのような追加の実施形態は、本発明の範囲内である。
【0175】
本明細書で例示的に説明した本発明は、本明細書で具体的に開示されていない、1つまたは複数の要素、1つまたは複数の制限の非存在下で適切に実施できる。従って、例えば本明細書の各例において、「含む(comprising)」、「本質的になる(consisting essentially of)」および「なる(consisting of)」という用語のいずれも、他の2つの用語のどちらかと置き換えることができる。利用された用語および表現は、制限の用語ではなく、説明の用語として使用され、そのような用語および表現の使用が表示および説明した特徴の同等物またはその一部を除外するという意図はないが、各種の改良が本発明の範囲内にあり得ることが認識される。従って、本発明は好ましい実施形態および任意の特徴によって具体的に開示されてきたが、本明細書で開示した概念の改良および変形が当業者に委ねられることと、そのような改良および変形が本発明の範囲内であることを理解すべきである。
【0176】
加えて、本発明の特徴または態様がマーカッシュグループまたは代わりの他のグループ分けによって説明されている場合、当業者は、それにより本発明がマーカッシュグループまたは他のグループの個々の構成要素または構成要素のサブグループによっても説明されることを認識するであろう。
【0177】
または、反対に記載しない限り、実施形態で各種の数値が与えられている場合、追加の実施形態は、2つの異なる値を範囲の終点として使用することによって説明される。そのような範囲も、説明した発明の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1】Bis In3+IMP 274の構造の概略図である。
【図2】Bis In3+IMP 274のSN−38類似物質/誘導体の構造の概略図である。
【図3】ペニシラミン結合によってシステインにコンジュゲートされたSN−38を持つBis In3+IMP 274のSN−38類似物質/誘導体の構造の概略図である。
【図4】ヒンダードエステル結合によってシステインにコンジュゲートされたSN−38を持つBis In3+IMP 274のSN−38類似物質/誘導体の構造の概略図である。
【図5】IMP 225の構造の概略図である。
【図6】Bis In3+IMP 224の構造の概略図である。
【図7】保存後のIn3+IMP 274のHPLC分析(逆相)の図示である。
【図8】保存後のIn3+IMP 274のHPLC分析(サイズ排除)の図示である。
【図9A】マウス血清でインキュベートしたIn3+IMP 274のHPLC分析(逆相)の図示である。
【図9B】マウス血清でインキュベートしたIn3+IMP 274のHPLC分析(逆相)の図示である。
【図10A】ヒト血清でインキュベートしたIn3+IMP 274のHPLC分析(逆相)の図示である。
【図10B】ヒト血清でインキュベートしたIn3+IMP 274のHPLC分析(逆相)の図示である。
【図11】bsAb 734XhMN14を含有するマウス血清でインキュベートしたIn3+IMP 274のHPLC分析(サイズ排除)の図示である。
【図12】bsAb 734XhMN14を含有するヒト血清でインキュベートしたIn3+IMP 274のHPLC分析(サイズ排除)の図示である。
【図13】1週間に渡るIMP 294(A)およびIMP 295(B)の安定性の図示である。サンプルは、第0、1、2、3、6、および7日に分析した。
【図14】Daudi(バーキットリンパ腫細胞)を接種したSCIDマウスでのLL2x734二重特異性抗体およびIMP−225ペプチドを使用したプレターゲティング実験の結果を示す。
【図15】3ステップ方法を用いてDTPA前駆物質およびDTPAを合成する方法の概略図である。
【図16】4ステップ方法を用いてDTPA前駆物質およびDTPAを合成する方法の概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)スペーサー分子によって結合された2つ以上のハプテンと、
(B)エステル結合、イミノ結合、アミノ結合、スルフィド結合、チオセミカルバゾン結合、セミカルバゾン結合、ヒドラゾン結合、ヒドラジン結合、オキシム結合、エーテル結合、アミド結合またはそれらの組合せの1つ以上を含む結合によって、ハプテンまたはスペーサー分子に結合された1つ以上のエフェクター分子と
を含む化合物。
【請求項2】
結合がエステル結合を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
結合がスルフィド結合を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
結合がヒドラゾン結合を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
結合がシステイン残基、ペニシラミン残基、チオ乳酸残基、またはその誘導体をさらに含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
結合がシステイン残基またはその誘導体を含み、1つ以上のエフェクター分子がエステル結合によってシステイン残基またはその誘導体に結合されている、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
結合がペニシラミン残基またはその誘導体を含み、1つ以上のエフェクター分子がエステル結合によってペニシラミン残基またはその誘導体に結合されている、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
結合がチオ乳酸残基またはその誘導体を含み、1つ以上のエフェクター分子がエステル結合によってチオ乳酸残基またはその誘導体に結合されている、請求項5に記載の化合物。
【請求項9】
ハプテンがハード酸キレート剤、ソフト酸キレート剤、またはその両方を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
ハプテンがDTPA、HSG、またはその両方を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
ハプテンがDTPAを含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
1つ以上のハプテンがDTPAを含み、1つ以上のハプテンがHSGを含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
インジウムカチオンをさらに含む、請求項11に記載の化合物。
【請求項14】
スペーサー分子がペプチドを含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
ペプチドが1つ以上のD−アミノ酸を含む、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
ペプチドが3つ以上のアミノ酸を含む、請求項14に記載の化合物。
【請求項17】
ペプチドが1つ以上のリジン残基を含む、請求項14に記載の化合物。
【請求項18】
ペプチドが1つ以上のシステイン残基を含む、請求項14に記載の化合物。
【請求項19】
ペプチドが1つ以上のペニシラミン残基またはその誘導体を含む、請求項14に記載の化合物。
【請求項20】
ペプチドが1つ以上のチオ乳酸残基またはその誘導体を含む、請求項14に記載の化合物。
【請求項21】
ペプチドが配列R1−Lys(X)−R2−Lys(Y)またはLys(X)−R2−Lys(Y)−R1の1つ以上を含み、式中、(X)および(Y)がコンジュゲートされたハプテンを含み、式中、エフェクター分子がR1、R2、(X)、または(Y)にコンジュゲートされている、請求項14に記載の化合物。
【請求項22】
エフェクター分子が、1つ以上の薬物、プロドラッグ、毒素、酵素、オリゴヌクレオチド、放射性同位体、免疫調節物質、サイトカイン、ホルモン、結合分子、脂質、ポリマー、ミセル、リポソーム、ナノ粒子、またはその組合せを含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
結合分子が抗体またはその断片を含む、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
エフェクター分子が、アプリジン、アザリビン、アナストロゾール、アザシチジン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブリオスタチン−1、ブスルファン、カリケアマイシン、カンプトセシン、10−ヒドロキシカンプトセシン、カルムスチン、セレブレックス、クロラムブシル、シスプラチン、イリノテカン(CPT−11)、SN−38、カルボプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ドセタキセル、ダクチノマイシン、ダウノマイシングルクロニド、ダウノルビシン、デキサメタゾン、ジエチルスチルベストロール、ドキソルビシン、2−ピロリノドキソルビシン(2P−DOX)、シアノ−モルホリノドキソルビシン、ドキソルビシングルクロニド、エピルビシングルクロニド、エチニルエストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エトポシドグルクロニド、エトポシドホスフェート、フロクスウリジン(FUdR)、3’,5’−O−ジオレオイル−FudR(FUdR−dO)、フルダラビン、フルタミド、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、ゲムシタビン、ヒドロキシプロゲステロンカプロアート、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、L−アスパラギナーゼ、ロイコボリン、ロムスチン、メクロレタミン、メドロプロゲステロンアセテート、メゲストロールアセテート、メルファラン、メルカプトプリン、6−メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトタン、フェニルブチラート、プレドニゾン、プロカルバジン、パクリタキセル、ペントスタチン、PSI−341、セムスチンストレプトゾシン、タモキシフェン、タキサン、タキソール、テストステロンプロピオナート、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、テニポシド、トポテカン、ウラシルマスタード、ベルケード、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンクリスチン、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ、オンコナーゼ、rapLR1、DNaseI、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、シュードモナスエキソトキシン、シュードモナスエンドトキシン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、干渉RNA、またはその組合せを含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
エフェクター分子がカンプトセシンまたはその誘導体を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
エフェクター分子がドキソルビシンまたはその誘導体を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
18F、32P、33P、45Ti、47Sc、52Fe、59Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、75Se、77As、86Y、89Sr、89Zr、90Y、94Tc、94mTc、99Mo、99mTc、105Pd、105Rh、111Ag、111In、123I、124I、125I、131I、142Pr、143Pr、149Pm、153Sm、154-158Gd、161Tb、166Dy、166Ho、169Er、175Lu、177Lu、186Re、188Re、189Re、194Ir、198Au、199Au、211At、211Pb、212Bi、212Pb、213Bi、223Ra、225Ac、またはその組合せから選択される同位体をさらに含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
エフェクターが脂質を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項29】
請求項28の化合物を含むリポソームまたはミセル。
【請求項30】
薬物または毒素をさらに含む、請求項28に記載のリポソームまたはミセル。
【請求項31】
請求項28の化合物を含むエマルジョン。
【請求項32】
薬物または毒素をさらに含む、請求項31に記載のエマルジョン。
【請求項33】
患者における疾患または疾患を引き起こす可能性のある状態を治療および/または診断する方法であって、
(A)標的化組織に結合する少なくとも1つのアームおよび標的可能な構築物に結合する少なくとも1つの他のアームを有する結合分子を患者に投与するステップと、
(B)任意選択により、患者にクリアリング組成物を投与して、組成物に非局在化結合分子を循環から取り除くステップと、
(C)患者に請求項1に記載の化合物を含む標的可能な構築物を投与するステップと
を含む方法。
【請求項34】
ハプテンがDTPAを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
1つ以上のハプテンがDTPAを含み、1つ以上のハプテンがHSGを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
化合物がインジウムカチオンをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
スペーサーがペプチドを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
ペプチドが1つ以上のD−アミノ酸を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
ペプチドが3つ以上のアミノ酸を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
ペプチドが1つ以上のシステイン残基を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
ペプチドが1つ以上のペニシラミン残基またはその誘導体を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
ペプチドが1つ以上のチオ乳酸残基またはその誘導体を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
ペプチドが1つ以上のリジン残基を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
ペプチドが配列R1−Lys(X)−R2−Lys(Y)またはLys(X)−R2−Lys(Y)−R1の1つ以上を含み、式中、(X)および(Y)がコンジュゲートされたハプテンを含み、式中、エフェクター分子がR1またはR2にコンジュゲートされている、請求項37に記載の方法。
【請求項45】
結合がエステル結合を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項46】
結合がスルフィド結合を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項47】
結合がヒドラゾン結合を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項48】
エフェクター分子が1つ以上の薬物、プロドラッグ、毒素、酵素、放射性同位体、免疫調節物質、オリゴヌクレオチド、サイトカイン、ホルモン、抗体、またはその組合せを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項49】
エフェクター分子がアプリジン、アザリビン、アナストロゾール、アザシチジン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブリオスタチン−1、ブスルファン、カンプトセシン、10−ヒドロキシカンプトセシン、カルムスチン、セレブレックス、クロラムブシル、シスプラチン、イリノテカン(CPT−11)、SN−38、カルボプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ドセタキセル、ダクチノマイシン、ダウノマイシングルクロニド、ダウノルビシン、デキサメタゾン、ジエチルスチルベストロール、ドキソルビシン、2−ピロリノドキソルビシン(2P−DOX)、シアノ−モルホリノドキソルビシン、ドキソルビシングルクロニド、エピルビシングルクロニド、エチニルエストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エトポシドグルクロニド、エトポシドホスフェート、フロクスウリジン(FUdR)、3’,5’−O−ジオレオイル−FudR(FUdR−dO)、フルダラビン、フルタミド、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、ゲムシタビン、ヒドロキシプロゲステロンカプロアート、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、L−アスパラギナーゼ、ロイコボリン、ロムスチン、メクロレタミン、メドロプロゲステロンアセテート、メゲストロールアセテート、メルファラン、メルカプトプリン、6−メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトタン、フェニルブチラート、プレドニゾン、プロカルバジン、パクリタキセル、ペントスタチン、セムスチンストレプトゾシン、タモキシフェン、タキサン、タキソール、テストステロンプロピオナート、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、テニポシド、トポテカン、ウラシルマスタード、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンクリスチン、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ、オンコナーゼ、rapLR1、DNaseI、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、シュードモナスエキソトキシン、シュードモナスエンドトキシン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、干渉RNA、またはその組合せを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項50】
エフェクター分子がカンプトセシンまたはその誘導体を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項51】
エフェクター分子がドキソルビシンまたはその誘導体を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項52】
化合物が18F、32P、33P、45Ti、47Sc、52Fe、59Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、75Se、77As、86Y、89Sr、89Zr、90Y、94Tc、94mTc、99Mo、99mTc、105Pd、105Rh、111Ag、111In、123I、124I、125I、131I、142Pr、143Pr、149Pm、153Sm、154-158Gd、161Tb、166Dy、166Ho、169Er、175Lu、177Lu、186Re、188Re、189Re、194Ir、198Au、199Au、211At、211Pb、212Bi、212Pb、213Bi、223Ra、225Ac、またはその組合せから選択される同位体をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項53】
エフェクター分子がカルボキシエステラーゼ、グルクロニダーゼ、カルボキシペプチダーゼ、β−ラクタマーゼ、ホスファターゼ、およびその混合物からなる群より選択される酵素を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項54】
結合分子が抗体またはその断片を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項55】
抗体またはその断片が多特異性である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
抗体またはその断片が多価である、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
抗体またはその断片が二重特異性である、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
抗体またはその断片がモノクローナル抗体またはその断片を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
抗体またはその断片がヒト、キメラまたはヒト化抗体あるいはヒト、キメラまたはヒト化抗体の断片を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項60】
抗体がMab 679、Mab 734、Mab Mu−9、MN−14、またはその組合せを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項61】
抗体が融合タンパク質を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項62】
抗体がMab 679、Mab 734、Mab Mu−9、Mab MN−14、またはその組合せのCDRを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項63】
疾患または状態が悪性疾患、循環器疾患、感染性疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、代謝性疾患、または神経性疾患を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項64】
疾患または状態が悪性疾患を含み、標的化組織が癌胎児性抗原、テネイシン、上皮成長因子レセプタ、血小板由来増殖因子レセプタ、線維芽細胞増殖因子レセプタ、血管内皮増殖因子レセプタ、ガングリオシド、HER/2neuレセプタおよびその混合物からなる群より選択される抗原を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
標的化組織が腫瘍を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項66】
腫瘍が、結腸特異性抗原−p(CSAp)、癌胎児性抗原(CEA)、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD30、CD45、CD74、CD80、HLA−DR、Ia、Ii、MUC 1、MUC 2、MUC 3、MUC 4、NCA、EGFR、HER2/neu、PAM−4、TAG−72、EGP−1、EGP−2、A3、KS−1、Le(y)、S100、PSMA、PSA、テネイシン、葉酸レセプタ、VEGF、PIGF、ILGF−1、壊死抗原、IL−2、IL−6、T101、MAGE、およびその組合せからなる群より選択される抗原を生成するか、該抗原に関連している、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
標的化組織が多発骨髄腫、B細胞悪性腫瘍、T細胞悪性腫瘍、またはその組合せを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項68】
B細胞悪性腫瘍がB細胞リンパ腫の無痛形、B細胞リンパ腫の浸潤形、慢性白血病、多発性骨髄腫、および急性リンパ性白血病からなる群より選択される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
標的化組織が非ホジキンリンパ腫またはホジキンリンパ腫を含むリンパ腫を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項70】
標的化組織が固形腫瘍を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項71】
固形腫瘍がメラノーマ、癌腫、肉腫、神経膠腫、またはその組合せを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
癌腫が食道癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、すい臓癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、膀胱癌、子宮内膜癌、子宮癌、睾丸癌、腎臓癌、副腎癌、肝臓癌、またはその組合せである、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
疾患または状態が循環器疾患を含み、抗体または抗体断片が顆粒球、リンパ球、単球、フィブリン、D−ダイマーまたはその混合物に対して特異性である、請求項63に記載の方法。
【請求項74】
循環器疾患が心筋梗塞、虚血性心疾患、動脈硬化性プラーク、フィブリン塊、塞栓、またはその組合せを含む、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
感染性疾患が感染性疾患、真菌性疾患、寄生虫疾患、ウイルス性疾患、原虫性疾患、マイコプラズマ性、およびその組合せからなる群より選択される、請求項63に記載の方法。
【請求項76】
感染性疾患がミクロスポルム、トリコフィトン、エピデルモフィトン、スポロトリックス・シェンキー、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、コクシジオイデス・イミチス、ヒストプラスマ・カプスラーツム、ブラストミセス・デルマティティディス、カンジダ・アルビカンス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、狂犬病ウイルス、インフルエンザウイルス、B型肝炎ウイルス、センダイウイルス、ネコ白血病ウイルス、レオウイルス、ポリオウイルス、ヒト血清パルボ様ウイルス、サルウイルス40、呼吸器合胞体ウイルス、マウス乳癌ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、デングウイルス、風疹ウイルス、麻疹ウイルス、アデノウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、マウス白血病ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、シンドビスウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、イボウイルス、ブルータングウイルス、炭疽菌、ストレプトコッカス・アガラクティエ、レジオネラ・ニューモフィラ、ストレプトコッカス・ピオゲネス、大腸菌、ナイセリア・ゴノレア、ナイセリア・メニンギティディス、ニューモコッカス、ヘモフィルス・インフルエンザB、トレポネーマ・パラジウム、ライム病スピロヘータ、シュードモナス・エアルギノサ、マイコバクテリウム・レプレ、ブルセラ・アボルタス、結核菌、破傷風、蠕虫、マラリア原虫、熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、トキソプラズマ・ゴンジィ、ランゲル・トリパノソーマ、クルーズ・トリパノソーマローデシア・トリパノソーマ、ブルセイ・トリパノソーマ、マンソン住血吸虫、日本住血吸虫、ウシバベシア、エルメリア・テネラ、回旋糸状虫、熱帯リーシュマニア、旋毛虫、回旋糸状虫、タイレリア・パルバ、胞状条虫、テニア・オビス、無鉤条虫、単胞条虫、メソセストイデス・コルチ、マイコプラズマ・アルスリティディス、マイコプラズマ・ヒオリニス、マイコプラズマ・オーラル、マイコプラズマアルギニニ、アコレプラスマ・ライドラウィー、マイコプラズマ・サリバルム、マイコプラズマ・ニューモニエ、およびその組合せからなる群より選択される病原体によって引き起こされる、請求項63に記載の方法。
【請求項77】
自己免疫疾患が急性特発性血小板減少性紫斑病、慢性特発性血小板減少性紫斑病、皮膚筋炎、シドナム舞踏病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、多内分泌腺症候群、水疱性類天疱瘡、真性糖尿病、ヘノッホ・シェーンライン紫斑、溶連菌感染後腎炎、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、関節リウマチ、多発性硬化症、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形性紅斑、IgAネフロパシー、結節性多発性動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、血栓性血管炎、シェーグレン症候群、原発性胆汁性肝硬変、橋本病、甲状腺亢進、強皮症、慢性活動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡、ヴェグナー肉芽腫症、膜性ネフロパシー、筋萎縮性側索硬化症、脊髄癆、巨細胞性動脈炎/多筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎、乾癬、線維化性肺胞炎、およびその組合せからなる群より選択される、請求項63に記載の方法。
【請求項78】
疾患または状態が神経性疾患または代謝性疾患を含み、標的化組織がアミロイド沈着を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項79】
1つ以上の治療剤または診断剤を投与するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項80】
抗体、抗体断片、薬物、プロドラッグ、毒素、酵素、酵素インヒビタ、ヌクレアーゼ、ホルモン、ホルモンアンタゴニスト、オリゴヌクレオチド、免疫調節物質、サイトカイン、キレート剤、ボロン化合物、ウラン原子、光活性剤、放射性核種、およびその組合せから選択される治療剤を投与するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項81】
IL−1、IL−2、IL−3、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、IL−21、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、G−CSF、GM−CSF、およびその混合物からなる群より選択されるサイトカインを投与するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項82】
アンギオスタチン、エンドスタチン、バスキュロスタチン、カンスタチン、マスピン、抗VEGF抗体、抗胎盤増殖因子抗体、抗血管増殖因子抗体、およびその混合物からなる群より選択される血管新生阻害剤を投与するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項83】
放射性同位体、染料、放射線不透過性物質、造影剤、蛍光化合物、強調剤、およびその組合せから選択される診断剤を投与するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項84】
亜鉛、アルミニウム、ガリウム、ルテチウム、パラジウム、ボロン、gandolinium、ウラン、マンガン、鉄、クロム、銅、コバルト、ニッケル、ジスプロシウム、レニウム、ユーロピウム、テルビウム、ホルミウム、ネオジム、およびその組合せから選択される金属を投与するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項85】
クロム(III)、マンガン(II)、鉄(III)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、ネオジム(III)、サマリウム(III)、イッテルビウム(III)、ガドリニウム(III)、バナジウム(II)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)、エルビウム(III)、またはその組合せから選択される常磁性イオンを投与するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項86】
診断剤が光線力学療法用の1つ以上の薬剤を含む、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
診断剤が光増感剤である、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
光増感剤がベンゾポルフィリンモノ酸環A(BDP−MA)、スズエチオプルプリン(SnET2)、スルホナートアルミニウムフタロシアニン(AISPc)およびルテチウムテクサフィリン(Lutex)を含む、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
18F、32P、33P、45Ti、47Sc、52Fe、59Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、75Se、77As、86Y、89Sr、89Zr、90Y、94Tc、94mTc、99Mo、99mTc、105Pd、105Rh、111Ag、111In、123I、124I、125I、131I、142Pr、143Pr、149Pm、153Sm、154-158Gd、161Tb、166Dy、166Ho、169Er、175Lu、177Lu、186Re、188Re、189Re、194Ir、198Au、199Au、211At、211Pb、212Bi、212Pb、213Bi、223Ra、225Ac、およびその混合物からなる群より選択される治療用または診断用核種を投与するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項90】
治療剤が治療用核種を含む、請求項79に記載の方法。
【請求項91】
治療用核種が32P、33P、47Sc、64Cu、67Cu、67Ga、90Y、111Ag、111In、123I、131I、142Pr、153Sm、161Tb、166Dy、166Ho、177Lu、186Re、188Re、189Re、211At、212Pb、212Bi、213Bi、223Ra、225Ac、またはその混合物を含む、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
治療用核種が70〜700keVのγ粒子またはポジトロンを放出する、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
診断剤が診断用核種を含む、請求項79に記載の方法。
【請求項94】
診断用核種が18F、52Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、86Y、89Zr、94Tc、94mTc、99mTc、111In、123I、124I、125I、131I、またはその混合物を含む、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
診断用核種が25〜4000keVのγ粒子および/またはポジトロンを放出する、請求項93に記載の方法。
【請求項96】
診断剤がポジトロン放出断層撮影法(PET)を実施するために使用される、請求項79に記載の方法。
【請求項97】
ポジトロン放出断層撮影法(PET)を実施するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項98】
診断剤が1つ以上の画像強調剤を含み、方法が磁気共鳴映像法(MRI)を実施するステップをさらに含む、請求項79に記載の方法。
【請求項99】
画像強調剤がガドリニウムイオン、ランタンイオン、マンガンイオン、鉄、クロム、銅、コバルト、ニッケル、フッ素、ジスプロシウム、レニウム、ユーロピウム、テルビウム、ホルミウム、ネオジム、またはその混合物を含む、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
診断剤がX線またはコンピュータ断層撮影法(CT)用の1つ以上の放射線不透過剤または造影剤を含む、請求項79に記載の方法。
【請求項101】
前記放射線不透過剤または造影剤がバリウム、ジアトリゾアート、エチオダイズド油、ガリウムシトレート、イオカルム酸、イオセタム酸、ヨーダミド、ヨージパミド、ヨードキサム酸、イオグルアミド、イオヘキソール、イオパミドール、イオパノ酸、イオプロセム酸、イオセファム酸、イオセル酸、イオスラミドメグルミン、イオセメト酸、イオタスル、イオテトル酸、イオタラム酸、イオトロクス酸、イオキサグル酸、イオキソトリゾ酸、イポダート、メグルミン、メトリザミド、メトリゾアート、プロピリオドン、塩化第一タリウム、またはその組合せを含む、請求項79に記載の方法。
【請求項102】
前記診断剤が1つ以上の超音波造影剤を含む、請求項79に記載の方法。
【請求項103】
前記超音波造影剤がリポソームまたはデキストランを含む、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
リポソームがガス充填されている、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
手術処置、血管内処置、腹腔鏡処置、または内視鏡処置を実施するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項106】
結合分子が経静脈投与され、標的可能な構築物が経口投与される、請求項33に記載の方法。
【請求項107】
1つ以上の窒素位置にてアルキルカルボキシラート基で置換されたポリアルキレンポリアミンを調製する方法であって、
式NH2−Rを有するポリアルキレンポリアミンを、式Z−X1を有する分子と反応させて、式Z−NH−Rを有する分子(I)を形成するステップであって、式中、Rは、約1〜約20個の炭素原子を有し、1つ以上の窒素原子を含む直鎖または分岐アルキル基であり、Zは、保護基であり、X1は、離脱基である、ステップと;
分子(I)を、式:
【化1】
(式中、X2は、離脱基であり、A1およびA2は、約1〜約12個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル基である)を有する分子(II)と反応させて、式:
【化2】
(式中、R内の1つ以上の窒素原子が式:
【化3】
を有する分子と場合により置換される)
を有する分子(III)を形成するステップと;
保護基Zを除去して、場合により置換するステップと;
を含む方法。
【請求項108】
ポリアルキレンポリアミンが式NH2−((CH2)V−NH−(CH2)W)Y−NH2を有し、V、W、およびYが約1〜約8であり、同じまたは異なる、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
ポリアルキレンポリアミンがジエチレントリアミンである、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
保護基Zが1つ以上の芳香族基を含む、請求項107に記載の方法。
【請求項111】
保護基Zが1つ以上のベンゼン環を含む、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
保護基Zが式
【化4】
を有する、請求項110に記載の方法。
【請求項113】
Zが除去され、1つ以上のカルボニルまたはカルボキシル基を含む置換基によって置換される、請求項107に記載の方法。
【請求項114】
分子(III)をH2およびパラジウムと反応させることによって、Zが除去され、置換される、請求項107に記載の方法。
【請求項115】
分子(III)ならびにH2およびパラジウム、およびグリオキシル酸モノヒドレートと反応させることによって、Zが除去され、置換される、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
Zが除去され、Hによって置換されて、式:
【化5】
を有する分子(IV)を形成する、請求項107に記載の方法。
【請求項117】
Zが除去されて、式:
【化6】
(式中、A3が約1〜約12個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル基である)を有する置換基と置換されて、式:
【化7】
を有する分子(V)を形成する、請求項107に記載の方法。
【請求項118】
分子(V)が式:
【化8】
を有する、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
X1がハロゲン、メシラートまたはトシラートである、請求項107に記載の方法。
【請求項120】
X1がブロミドまたはクロライドである、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
X2がハロゲン、メシラートまたはトシラートである、請求項107に記載の方法。
【請求項122】
X2がブロミドまたはクロライドである、請求項121に記載の方法。
【請求項123】
A1が−CH2−である、請求項107に記載の方法。
【請求項124】
A2がtert−ブチルである、請求項107に記載の方法。
【請求項125】
Zの除去が分子(III)にH2およびパラジウムを反応させることを含む、請求項107に記載の方法。
【請求項126】
分子(IV)に式:
【化9】
を有する分子を反応させて、式:
【化10】
(式中、X3は離脱基である)
を有する分子(VI)を形成するステップをさらに含む、請求項116に記載の方法。
【請求項127】
分子(VI)が式:
【化11】
を有する、請求項126に記載の方法。
【請求項128】
分子(IV)にH2およびパラジウムを反応させて、分子(VI)を形成するステップをさらに含む、請求項126に記載の方法。
【請求項129】
主に1つのアミン末端に結合した保護基を有するN−アルキル化ポリアルキレンポリアミンを調製する方法であって、
第1の反応溶液中で、アミン末端を有するポリアルキレンポリアミンに保護基を含む分子を反応させて、主に1つのアミン末端に結合された保護基を有するポリアルキレンポリアミンを形成するステップと、
主に1つのアミン末端に結合された保護基を有するポリアルキレンポリアミンを第1の反応溶液から抽出するステップと、
第2の反応溶液中で、主に1つのアミン末端に結合した保護基を有するポリアルキレンポリアミンに第1のアルキル化剤を反応させて、主に1つのアミン末端に結合した保護基を有するN−アルキル化ポリアルキレンポリアミンを形成するステップと、
主に1つのアミン末端に結合した保護基を有するN−アルキル化ポリアルキレンポリアミンを第2の反応溶液から抽出するステップと
を含む方法。
【請求項130】
保護基を除去するステップをさらに含む、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
除去が主に1つのアミン末端に結合した保護基を有するN−アルキル化ポリアルキレンポリアミンを還元することを含む、請求項130に記載の方法。
【請求項132】
主に1つのアミン末端に結合した保護基を除去して、保護基のないN−アルキル化ポリアルキレンポリアミンを形成するステップと;
保護基のないN−アルキル化ポリアルキレンポリアミンに第2の薬剤を反応させて、主に1つのアミン末端に結合した第2のアルキル基を持つN−アルキル化ポリアルキレンポリアミンを形成するステップと;
をさらに含む、請求項129に記載の方法。
【請求項133】
保護基のないN−アルキル化ポリアルキレンポリアミンに第2の薬剤を反応させて、主に1つのアミン末端に結合した第2のアルキル基を持つN−アルキル化ポリアルキレンポリアミンを形成するステップが、還元アミン化を含む、請求項132に記載の方法。
【請求項134】
第2の薬剤がアルキル化剤である、請求項132に記載の方法。
【請求項135】
主に1つのアミン末端に結合した保護基を有するN−アルキル化ポリアルキレンポリアミンが、パーアルキル化ポリアミンである、請求項129に記載の方法。
【請求項1】
(A)スペーサー分子によって結合された2つ以上のハプテンと、
(B)エステル結合、イミノ結合、アミノ結合、スルフィド結合、チオセミカルバゾン結合、セミカルバゾン結合、ヒドラゾン結合、ヒドラジン結合、オキシム結合、エーテル結合、アミド結合またはそれらの組合せの1つ以上を含む結合によって、ハプテンまたはスペーサー分子に結合された1つ以上のエフェクター分子と
を含む化合物。
【請求項2】
結合がエステル結合を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
結合がスルフィド結合を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
結合がヒドラゾン結合を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
結合がシステイン残基、ペニシラミン残基、チオ乳酸残基、またはその誘導体をさらに含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
結合がシステイン残基またはその誘導体を含み、1つ以上のエフェクター分子がエステル結合によってシステイン残基またはその誘導体に結合されている、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
結合がペニシラミン残基またはその誘導体を含み、1つ以上のエフェクター分子がエステル結合によってペニシラミン残基またはその誘導体に結合されている、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
結合がチオ乳酸残基またはその誘導体を含み、1つ以上のエフェクター分子がエステル結合によってチオ乳酸残基またはその誘導体に結合されている、請求項5に記載の化合物。
【請求項9】
ハプテンがハード酸キレート剤、ソフト酸キレート剤、またはその両方を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
ハプテンがDTPA、HSG、またはその両方を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
ハプテンがDTPAを含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
1つ以上のハプテンがDTPAを含み、1つ以上のハプテンがHSGを含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
インジウムカチオンをさらに含む、請求項11に記載の化合物。
【請求項14】
スペーサー分子がペプチドを含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
ペプチドが1つ以上のD−アミノ酸を含む、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
ペプチドが3つ以上のアミノ酸を含む、請求項14に記載の化合物。
【請求項17】
ペプチドが1つ以上のリジン残基を含む、請求項14に記載の化合物。
【請求項18】
ペプチドが1つ以上のシステイン残基を含む、請求項14に記載の化合物。
【請求項19】
ペプチドが1つ以上のペニシラミン残基またはその誘導体を含む、請求項14に記載の化合物。
【請求項20】
ペプチドが1つ以上のチオ乳酸残基またはその誘導体を含む、請求項14に記載の化合物。
【請求項21】
ペプチドが配列R1−Lys(X)−R2−Lys(Y)またはLys(X)−R2−Lys(Y)−R1の1つ以上を含み、式中、(X)および(Y)がコンジュゲートされたハプテンを含み、式中、エフェクター分子がR1、R2、(X)、または(Y)にコンジュゲートされている、請求項14に記載の化合物。
【請求項22】
エフェクター分子が、1つ以上の薬物、プロドラッグ、毒素、酵素、オリゴヌクレオチド、放射性同位体、免疫調節物質、サイトカイン、ホルモン、結合分子、脂質、ポリマー、ミセル、リポソーム、ナノ粒子、またはその組合せを含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
結合分子が抗体またはその断片を含む、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
エフェクター分子が、アプリジン、アザリビン、アナストロゾール、アザシチジン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブリオスタチン−1、ブスルファン、カリケアマイシン、カンプトセシン、10−ヒドロキシカンプトセシン、カルムスチン、セレブレックス、クロラムブシル、シスプラチン、イリノテカン(CPT−11)、SN−38、カルボプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ドセタキセル、ダクチノマイシン、ダウノマイシングルクロニド、ダウノルビシン、デキサメタゾン、ジエチルスチルベストロール、ドキソルビシン、2−ピロリノドキソルビシン(2P−DOX)、シアノ−モルホリノドキソルビシン、ドキソルビシングルクロニド、エピルビシングルクロニド、エチニルエストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エトポシドグルクロニド、エトポシドホスフェート、フロクスウリジン(FUdR)、3’,5’−O−ジオレオイル−FudR(FUdR−dO)、フルダラビン、フルタミド、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、ゲムシタビン、ヒドロキシプロゲステロンカプロアート、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、L−アスパラギナーゼ、ロイコボリン、ロムスチン、メクロレタミン、メドロプロゲステロンアセテート、メゲストロールアセテート、メルファラン、メルカプトプリン、6−メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトタン、フェニルブチラート、プレドニゾン、プロカルバジン、パクリタキセル、ペントスタチン、PSI−341、セムスチンストレプトゾシン、タモキシフェン、タキサン、タキソール、テストステロンプロピオナート、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、テニポシド、トポテカン、ウラシルマスタード、ベルケード、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンクリスチン、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ、オンコナーゼ、rapLR1、DNaseI、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、シュードモナスエキソトキシン、シュードモナスエンドトキシン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、干渉RNA、またはその組合せを含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
エフェクター分子がカンプトセシンまたはその誘導体を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
エフェクター分子がドキソルビシンまたはその誘導体を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
18F、32P、33P、45Ti、47Sc、52Fe、59Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、75Se、77As、86Y、89Sr、89Zr、90Y、94Tc、94mTc、99Mo、99mTc、105Pd、105Rh、111Ag、111In、123I、124I、125I、131I、142Pr、143Pr、149Pm、153Sm、154-158Gd、161Tb、166Dy、166Ho、169Er、175Lu、177Lu、186Re、188Re、189Re、194Ir、198Au、199Au、211At、211Pb、212Bi、212Pb、213Bi、223Ra、225Ac、またはその組合せから選択される同位体をさらに含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
エフェクターが脂質を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項29】
請求項28の化合物を含むリポソームまたはミセル。
【請求項30】
薬物または毒素をさらに含む、請求項28に記載のリポソームまたはミセル。
【請求項31】
請求項28の化合物を含むエマルジョン。
【請求項32】
薬物または毒素をさらに含む、請求項31に記載のエマルジョン。
【請求項33】
患者における疾患または疾患を引き起こす可能性のある状態を治療および/または診断する方法であって、
(A)標的化組織に結合する少なくとも1つのアームおよび標的可能な構築物に結合する少なくとも1つの他のアームを有する結合分子を患者に投与するステップと、
(B)任意選択により、患者にクリアリング組成物を投与して、組成物に非局在化結合分子を循環から取り除くステップと、
(C)患者に請求項1に記載の化合物を含む標的可能な構築物を投与するステップと
を含む方法。
【請求項34】
ハプテンがDTPAを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
1つ以上のハプテンがDTPAを含み、1つ以上のハプテンがHSGを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
化合物がインジウムカチオンをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
スペーサーがペプチドを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
ペプチドが1つ以上のD−アミノ酸を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
ペプチドが3つ以上のアミノ酸を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
ペプチドが1つ以上のシステイン残基を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
ペプチドが1つ以上のペニシラミン残基またはその誘導体を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
ペプチドが1つ以上のチオ乳酸残基またはその誘導体を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
ペプチドが1つ以上のリジン残基を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
ペプチドが配列R1−Lys(X)−R2−Lys(Y)またはLys(X)−R2−Lys(Y)−R1の1つ以上を含み、式中、(X)および(Y)がコンジュゲートされたハプテンを含み、式中、エフェクター分子がR1またはR2にコンジュゲートされている、請求項37に記載の方法。
【請求項45】
結合がエステル結合を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項46】
結合がスルフィド結合を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項47】
結合がヒドラゾン結合を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項48】
エフェクター分子が1つ以上の薬物、プロドラッグ、毒素、酵素、放射性同位体、免疫調節物質、オリゴヌクレオチド、サイトカイン、ホルモン、抗体、またはその組合せを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項49】
エフェクター分子がアプリジン、アザリビン、アナストロゾール、アザシチジン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブリオスタチン−1、ブスルファン、カンプトセシン、10−ヒドロキシカンプトセシン、カルムスチン、セレブレックス、クロラムブシル、シスプラチン、イリノテカン(CPT−11)、SN−38、カルボプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ドセタキセル、ダクチノマイシン、ダウノマイシングルクロニド、ダウノルビシン、デキサメタゾン、ジエチルスチルベストロール、ドキソルビシン、2−ピロリノドキソルビシン(2P−DOX)、シアノ−モルホリノドキソルビシン、ドキソルビシングルクロニド、エピルビシングルクロニド、エチニルエストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エトポシドグルクロニド、エトポシドホスフェート、フロクスウリジン(FUdR)、3’,5’−O−ジオレオイル−FudR(FUdR−dO)、フルダラビン、フルタミド、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、ゲムシタビン、ヒドロキシプロゲステロンカプロアート、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、L−アスパラギナーゼ、ロイコボリン、ロムスチン、メクロレタミン、メドロプロゲステロンアセテート、メゲストロールアセテート、メルファラン、メルカプトプリン、6−メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトタン、フェニルブチラート、プレドニゾン、プロカルバジン、パクリタキセル、ペントスタチン、セムスチンストレプトゾシン、タモキシフェン、タキサン、タキソール、テストステロンプロピオナート、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、テニポシド、トポテカン、ウラシルマスタード、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンクリスチン、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ、オンコナーゼ、rapLR1、DNaseI、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、シュードモナスエキソトキシン、シュードモナスエンドトキシン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、干渉RNA、またはその組合せを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項50】
エフェクター分子がカンプトセシンまたはその誘導体を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項51】
エフェクター分子がドキソルビシンまたはその誘導体を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項52】
化合物が18F、32P、33P、45Ti、47Sc、52Fe、59Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、75Se、77As、86Y、89Sr、89Zr、90Y、94Tc、94mTc、99Mo、99mTc、105Pd、105Rh、111Ag、111In、123I、124I、125I、131I、142Pr、143Pr、149Pm、153Sm、154-158Gd、161Tb、166Dy、166Ho、169Er、175Lu、177Lu、186Re、188Re、189Re、194Ir、198Au、199Au、211At、211Pb、212Bi、212Pb、213Bi、223Ra、225Ac、またはその組合せから選択される同位体をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項53】
エフェクター分子がカルボキシエステラーゼ、グルクロニダーゼ、カルボキシペプチダーゼ、β−ラクタマーゼ、ホスファターゼ、およびその混合物からなる群より選択される酵素を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項54】
結合分子が抗体またはその断片を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項55】
抗体またはその断片が多特異性である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
抗体またはその断片が多価である、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
抗体またはその断片が二重特異性である、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
抗体またはその断片がモノクローナル抗体またはその断片を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
抗体またはその断片がヒト、キメラまたはヒト化抗体あるいはヒト、キメラまたはヒト化抗体の断片を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項60】
抗体がMab 679、Mab 734、Mab Mu−9、MN−14、またはその組合せを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項61】
抗体が融合タンパク質を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項62】
抗体がMab 679、Mab 734、Mab Mu−9、Mab MN−14、またはその組合せのCDRを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項63】
疾患または状態が悪性疾患、循環器疾患、感染性疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、代謝性疾患、または神経性疾患を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項64】
疾患または状態が悪性疾患を含み、標的化組織が癌胎児性抗原、テネイシン、上皮成長因子レセプタ、血小板由来増殖因子レセプタ、線維芽細胞増殖因子レセプタ、血管内皮増殖因子レセプタ、ガングリオシド、HER/2neuレセプタおよびその混合物からなる群より選択される抗原を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
標的化組織が腫瘍を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項66】
腫瘍が、結腸特異性抗原−p(CSAp)、癌胎児性抗原(CEA)、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD30、CD45、CD74、CD80、HLA−DR、Ia、Ii、MUC 1、MUC 2、MUC 3、MUC 4、NCA、EGFR、HER2/neu、PAM−4、TAG−72、EGP−1、EGP−2、A3、KS−1、Le(y)、S100、PSMA、PSA、テネイシン、葉酸レセプタ、VEGF、PIGF、ILGF−1、壊死抗原、IL−2、IL−6、T101、MAGE、およびその組合せからなる群より選択される抗原を生成するか、該抗原に関連している、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
標的化組織が多発骨髄腫、B細胞悪性腫瘍、T細胞悪性腫瘍、またはその組合せを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項68】
B細胞悪性腫瘍がB細胞リンパ腫の無痛形、B細胞リンパ腫の浸潤形、慢性白血病、多発性骨髄腫、および急性リンパ性白血病からなる群より選択される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
標的化組織が非ホジキンリンパ腫またはホジキンリンパ腫を含むリンパ腫を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項70】
標的化組織が固形腫瘍を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項71】
固形腫瘍がメラノーマ、癌腫、肉腫、神経膠腫、またはその組合せを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
癌腫が食道癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、すい臓癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、膀胱癌、子宮内膜癌、子宮癌、睾丸癌、腎臓癌、副腎癌、肝臓癌、またはその組合せである、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
疾患または状態が循環器疾患を含み、抗体または抗体断片が顆粒球、リンパ球、単球、フィブリン、D−ダイマーまたはその混合物に対して特異性である、請求項63に記載の方法。
【請求項74】
循環器疾患が心筋梗塞、虚血性心疾患、動脈硬化性プラーク、フィブリン塊、塞栓、またはその組合せを含む、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
感染性疾患が感染性疾患、真菌性疾患、寄生虫疾患、ウイルス性疾患、原虫性疾患、マイコプラズマ性、およびその組合せからなる群より選択される、請求項63に記載の方法。
【請求項76】
感染性疾患がミクロスポルム、トリコフィトン、エピデルモフィトン、スポロトリックス・シェンキー、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、コクシジオイデス・イミチス、ヒストプラスマ・カプスラーツム、ブラストミセス・デルマティティディス、カンジダ・アルビカンス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、狂犬病ウイルス、インフルエンザウイルス、B型肝炎ウイルス、センダイウイルス、ネコ白血病ウイルス、レオウイルス、ポリオウイルス、ヒト血清パルボ様ウイルス、サルウイルス40、呼吸器合胞体ウイルス、マウス乳癌ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、デングウイルス、風疹ウイルス、麻疹ウイルス、アデノウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、マウス白血病ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、シンドビスウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、イボウイルス、ブルータングウイルス、炭疽菌、ストレプトコッカス・アガラクティエ、レジオネラ・ニューモフィラ、ストレプトコッカス・ピオゲネス、大腸菌、ナイセリア・ゴノレア、ナイセリア・メニンギティディス、ニューモコッカス、ヘモフィルス・インフルエンザB、トレポネーマ・パラジウム、ライム病スピロヘータ、シュードモナス・エアルギノサ、マイコバクテリウム・レプレ、ブルセラ・アボルタス、結核菌、破傷風、蠕虫、マラリア原虫、熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、トキソプラズマ・ゴンジィ、ランゲル・トリパノソーマ、クルーズ・トリパノソーマローデシア・トリパノソーマ、ブルセイ・トリパノソーマ、マンソン住血吸虫、日本住血吸虫、ウシバベシア、エルメリア・テネラ、回旋糸状虫、熱帯リーシュマニア、旋毛虫、回旋糸状虫、タイレリア・パルバ、胞状条虫、テニア・オビス、無鉤条虫、単胞条虫、メソセストイデス・コルチ、マイコプラズマ・アルスリティディス、マイコプラズマ・ヒオリニス、マイコプラズマ・オーラル、マイコプラズマアルギニニ、アコレプラスマ・ライドラウィー、マイコプラズマ・サリバルム、マイコプラズマ・ニューモニエ、およびその組合せからなる群より選択される病原体によって引き起こされる、請求項63に記載の方法。
【請求項77】
自己免疫疾患が急性特発性血小板減少性紫斑病、慢性特発性血小板減少性紫斑病、皮膚筋炎、シドナム舞踏病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、多内分泌腺症候群、水疱性類天疱瘡、真性糖尿病、ヘノッホ・シェーンライン紫斑、溶連菌感染後腎炎、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、関節リウマチ、多発性硬化症、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形性紅斑、IgAネフロパシー、結節性多発性動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、血栓性血管炎、シェーグレン症候群、原発性胆汁性肝硬変、橋本病、甲状腺亢進、強皮症、慢性活動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡、ヴェグナー肉芽腫症、膜性ネフロパシー、筋萎縮性側索硬化症、脊髄癆、巨細胞性動脈炎/多筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎、乾癬、線維化性肺胞炎、およびその組合せからなる群より選択される、請求項63に記載の方法。
【請求項78】
疾患または状態が神経性疾患または代謝性疾患を含み、標的化組織がアミロイド沈着を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項79】
1つ以上の治療剤または診断剤を投与するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項80】
抗体、抗体断片、薬物、プロドラッグ、毒素、酵素、酵素インヒビタ、ヌクレアーゼ、ホルモン、ホルモンアンタゴニスト、オリゴヌクレオチド、免疫調節物質、サイトカイン、キレート剤、ボロン化合物、ウラン原子、光活性剤、放射性核種、およびその組合せから選択される治療剤を投与するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項81】
IL−1、IL−2、IL−3、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、IL−21、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、G−CSF、GM−CSF、およびその混合物からなる群より選択されるサイトカインを投与するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項82】
アンギオスタチン、エンドスタチン、バスキュロスタチン、カンスタチン、マスピン、抗VEGF抗体、抗胎盤増殖因子抗体、抗血管増殖因子抗体、およびその混合物からなる群より選択される血管新生阻害剤を投与するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項83】
放射性同位体、染料、放射線不透過性物質、造影剤、蛍光化合物、強調剤、およびその組合せから選択される診断剤を投与するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項84】
亜鉛、アルミニウム、ガリウム、ルテチウム、パラジウム、ボロン、gandolinium、ウラン、マンガン、鉄、クロム、銅、コバルト、ニッケル、ジスプロシウム、レニウム、ユーロピウム、テルビウム、ホルミウム、ネオジム、およびその組合せから選択される金属を投与するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項85】
クロム(III)、マンガン(II)、鉄(III)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、ネオジム(III)、サマリウム(III)、イッテルビウム(III)、ガドリニウム(III)、バナジウム(II)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)、エルビウム(III)、またはその組合せから選択される常磁性イオンを投与するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項86】
診断剤が光線力学療法用の1つ以上の薬剤を含む、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
診断剤が光増感剤である、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
光増感剤がベンゾポルフィリンモノ酸環A(BDP−MA)、スズエチオプルプリン(SnET2)、スルホナートアルミニウムフタロシアニン(AISPc)およびルテチウムテクサフィリン(Lutex)を含む、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
18F、32P、33P、45Ti、47Sc、52Fe、59Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、75Se、77As、86Y、89Sr、89Zr、90Y、94Tc、94mTc、99Mo、99mTc、105Pd、105Rh、111Ag、111In、123I、124I、125I、131I、142Pr、143Pr、149Pm、153Sm、154-158Gd、161Tb、166Dy、166Ho、169Er、175Lu、177Lu、186Re、188Re、189Re、194Ir、198Au、199Au、211At、211Pb、212Bi、212Pb、213Bi、223Ra、225Ac、およびその混合物からなる群より選択される治療用または診断用核種を投与するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項90】
治療剤が治療用核種を含む、請求項79に記載の方法。
【請求項91】
治療用核種が32P、33P、47Sc、64Cu、67Cu、67Ga、90Y、111Ag、111In、123I、131I、142Pr、153Sm、161Tb、166Dy、166Ho、177Lu、186Re、188Re、189Re、211At、212Pb、212Bi、213Bi、223Ra、225Ac、またはその混合物を含む、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
治療用核種が70〜700keVのγ粒子またはポジトロンを放出する、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
診断剤が診断用核種を含む、請求項79に記載の方法。
【請求項94】
診断用核種が18F、52Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、86Y、89Zr、94Tc、94mTc、99mTc、111In、123I、124I、125I、131I、またはその混合物を含む、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
診断用核種が25〜4000keVのγ粒子および/またはポジトロンを放出する、請求項93に記載の方法。
【請求項96】
診断剤がポジトロン放出断層撮影法(PET)を実施するために使用される、請求項79に記載の方法。
【請求項97】
ポジトロン放出断層撮影法(PET)を実施するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項98】
診断剤が1つ以上の画像強調剤を含み、方法が磁気共鳴映像法(MRI)を実施するステップをさらに含む、請求項79に記載の方法。
【請求項99】
画像強調剤がガドリニウムイオン、ランタンイオン、マンガンイオン、鉄、クロム、銅、コバルト、ニッケル、フッ素、ジスプロシウム、レニウム、ユーロピウム、テルビウム、ホルミウム、ネオジム、またはその混合物を含む、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
診断剤がX線またはコンピュータ断層撮影法(CT)用の1つ以上の放射線不透過剤または造影剤を含む、請求項79に記載の方法。
【請求項101】
前記放射線不透過剤または造影剤がバリウム、ジアトリゾアート、エチオダイズド油、ガリウムシトレート、イオカルム酸、イオセタム酸、ヨーダミド、ヨージパミド、ヨードキサム酸、イオグルアミド、イオヘキソール、イオパミドール、イオパノ酸、イオプロセム酸、イオセファム酸、イオセル酸、イオスラミドメグルミン、イオセメト酸、イオタスル、イオテトル酸、イオタラム酸、イオトロクス酸、イオキサグル酸、イオキソトリゾ酸、イポダート、メグルミン、メトリザミド、メトリゾアート、プロピリオドン、塩化第一タリウム、またはその組合せを含む、請求項79に記載の方法。
【請求項102】
前記診断剤が1つ以上の超音波造影剤を含む、請求項79に記載の方法。
【請求項103】
前記超音波造影剤がリポソームまたはデキストランを含む、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
リポソームがガス充填されている、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
手術処置、血管内処置、腹腔鏡処置、または内視鏡処置を実施するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項106】
結合分子が経静脈投与され、標的可能な構築物が経口投与される、請求項33に記載の方法。
【請求項107】
1つ以上の窒素位置にてアルキルカルボキシラート基で置換されたポリアルキレンポリアミンを調製する方法であって、
式NH2−Rを有するポリアルキレンポリアミンを、式Z−X1を有する分子と反応させて、式Z−NH−Rを有する分子(I)を形成するステップであって、式中、Rは、約1〜約20個の炭素原子を有し、1つ以上の窒素原子を含む直鎖または分岐アルキル基であり、Zは、保護基であり、X1は、離脱基である、ステップと;
分子(I)を、式:
【化1】
(式中、X2は、離脱基であり、A1およびA2は、約1〜約12個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル基である)を有する分子(II)と反応させて、式:
【化2】
(式中、R内の1つ以上の窒素原子が式:
【化3】
を有する分子と場合により置換される)
を有する分子(III)を形成するステップと;
保護基Zを除去して、場合により置換するステップと;
を含む方法。
【請求項108】
ポリアルキレンポリアミンが式NH2−((CH2)V−NH−(CH2)W)Y−NH2を有し、V、W、およびYが約1〜約8であり、同じまたは異なる、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
ポリアルキレンポリアミンがジエチレントリアミンである、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
保護基Zが1つ以上の芳香族基を含む、請求項107に記載の方法。
【請求項111】
保護基Zが1つ以上のベンゼン環を含む、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
保護基Zが式
【化4】
を有する、請求項110に記載の方法。
【請求項113】
Zが除去され、1つ以上のカルボニルまたはカルボキシル基を含む置換基によって置換される、請求項107に記載の方法。
【請求項114】
分子(III)をH2およびパラジウムと反応させることによって、Zが除去され、置換される、請求項107に記載の方法。
【請求項115】
分子(III)ならびにH2およびパラジウム、およびグリオキシル酸モノヒドレートと反応させることによって、Zが除去され、置換される、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
Zが除去され、Hによって置換されて、式:
【化5】
を有する分子(IV)を形成する、請求項107に記載の方法。
【請求項117】
Zが除去されて、式:
【化6】
(式中、A3が約1〜約12個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル基である)を有する置換基と置換されて、式:
【化7】
を有する分子(V)を形成する、請求項107に記載の方法。
【請求項118】
分子(V)が式:
【化8】
を有する、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
X1がハロゲン、メシラートまたはトシラートである、請求項107に記載の方法。
【請求項120】
X1がブロミドまたはクロライドである、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
X2がハロゲン、メシラートまたはトシラートである、請求項107に記載の方法。
【請求項122】
X2がブロミドまたはクロライドである、請求項121に記載の方法。
【請求項123】
A1が−CH2−である、請求項107に記載の方法。
【請求項124】
A2がtert−ブチルである、請求項107に記載の方法。
【請求項125】
Zの除去が分子(III)にH2およびパラジウムを反応させることを含む、請求項107に記載の方法。
【請求項126】
分子(IV)に式:
【化9】
を有する分子を反応させて、式:
【化10】
(式中、X3は離脱基である)
を有する分子(VI)を形成するステップをさらに含む、請求項116に記載の方法。
【請求項127】
分子(VI)が式:
【化11】
を有する、請求項126に記載の方法。
【請求項128】
分子(IV)にH2およびパラジウムを反応させて、分子(VI)を形成するステップをさらに含む、請求項126に記載の方法。
【請求項129】
主に1つのアミン末端に結合した保護基を有するN−アルキル化ポリアルキレンポリアミンを調製する方法であって、
第1の反応溶液中で、アミン末端を有するポリアルキレンポリアミンに保護基を含む分子を反応させて、主に1つのアミン末端に結合された保護基を有するポリアルキレンポリアミンを形成するステップと、
主に1つのアミン末端に結合された保護基を有するポリアルキレンポリアミンを第1の反応溶液から抽出するステップと、
第2の反応溶液中で、主に1つのアミン末端に結合した保護基を有するポリアルキレンポリアミンに第1のアルキル化剤を反応させて、主に1つのアミン末端に結合した保護基を有するN−アルキル化ポリアルキレンポリアミンを形成するステップと、
主に1つのアミン末端に結合した保護基を有するN−アルキル化ポリアルキレンポリアミンを第2の反応溶液から抽出するステップと
を含む方法。
【請求項130】
保護基を除去するステップをさらに含む、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
除去が主に1つのアミン末端に結合した保護基を有するN−アルキル化ポリアルキレンポリアミンを還元することを含む、請求項130に記載の方法。
【請求項132】
主に1つのアミン末端に結合した保護基を除去して、保護基のないN−アルキル化ポリアルキレンポリアミンを形成するステップと;
保護基のないN−アルキル化ポリアルキレンポリアミンに第2の薬剤を反応させて、主に1つのアミン末端に結合した第2のアルキル基を持つN−アルキル化ポリアルキレンポリアミンを形成するステップと;
をさらに含む、請求項129に記載の方法。
【請求項133】
保護基のないN−アルキル化ポリアルキレンポリアミンに第2の薬剤を反応させて、主に1つのアミン末端に結合した第2のアルキル基を持つN−アルキル化ポリアルキレンポリアミンを形成するステップが、還元アミン化を含む、請求項132に記載の方法。
【請求項134】
第2の薬剤がアルキル化剤である、請求項132に記載の方法。
【請求項135】
主に1つのアミン末端に結合した保護基を有するN−アルキル化ポリアルキレンポリアミンが、パーアルキル化ポリアミンである、請求項129に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2007−528372(P2007−528372A)
【公表日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553216(P2006−553216)
【出願日】平成17年2月11日(2005.2.11)
【国際出願番号】PCT/US2005/004177
【国際公開番号】WO2005/077071
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(599176263)イムノメディクス, インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月11日(2005.2.11)
【国際出願番号】PCT/US2005/004177
【国際公開番号】WO2005/077071
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(599176263)イムノメディクス, インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】
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