説明

多発性硬化症,情動不安定及び制御不能情動の治療のための1−アミノシクロヘキサン誘導体

本発明は、多発性硬化症, 情動不安定又は制御不能情動と診断された個体の治療方法において、上記個体に有効量の 1-アミノシクロヘキサン誘導体, すなわちメマンチン又はネラメキサンを投与することを含む、上記治療方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多発性硬化症, 情動不安定又は制御不能情動と診断された個体(individual)を治療する方法において、上記個人に有効量の 1-アミノシクロヘキサン誘導体を投与することを含む、前記方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、多発性硬化症 (MS)を患うか、又は神経変性疾患に関連して又は脳卒中又は頭部外傷に起因するような脳外傷に関連して生じる情緒障害を患う患者を治療する方法に関する。
【0003】
多発性硬化症は、中枢神経系疾患であり、そして特定の身体機能及び身体能力の進行性消失を生じる。MS は、数十年にわたって悪化 (患者の気分がさらに悪くなる) 及び寛解 (患者の気分が改善される)を伴う進行性及び常に変動する疾患である。結局, ほとんどの患者において, 寛解はベースラインレベルに到達せず、永久的な身体障害及び時折死を生じる。MSの原因は知られていない。
【0004】
情動不安定 (EL) は中枢神経系の疾患であり、それによって患者は、容易に挑発され、そして急速に消失することができる、急速な、そしてかなり大きな情緒の変化を体験する。これは、情動反応の随意調節 (認知)の基礎的欠陥に起因すると考えられる。制御不能情動 (PBA) は、情動不安定のより一層過酷な状態であって、この状態で予測できず、そして実際の事象又は個体(individual)の実際の感情にほとんど又は全く関係がないと思われる笑い及び(又は)号泣の抑えきれない症状の発現がある。
【0005】
種々の治療法がMSの治療に使用された。酢酸グラチラマーを含む免疫調節剤は、MSに関連する症状の改善に有効であることが実証された。
【0006】
NMDA 受容体アンタゴニストは、潜在的に、多数のCNS障害、たとえば脳卒中及びトラウマに関連する急性神経変性, パーキンソン病に関連する慢性神経変性、たとえばアルツハイマー病, ハンティングトン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS), 癲癇, 薬物依存, うつ病, 不安, 及び慢性の痛みで広範囲の治療適用を有する (Parsons 等, Drug News Perspect., 1998, 11:523-533; Parsons 等, 1999, supra; Jentsch and Roth, Neuropsychopharmacology, 1999, 20: 201-205; Doble, Therapie, 1995, 50: 319-337)。現在までに確認された、多くのNMDA 受容体アンタゴニストは、それらの想定治療範囲内での薬用量で非常に望ましくない副作用を生じる。したがって, 臨床試験は、ジゾシルピン(Dizocilpine) ((+)MK-801; (+)-5-メチル-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾシクロヘプテン-5,10-イミン マレアート), セレスタト(Cerestat) (CNS-1102), リコスチネル(Licostinel) (ACEA 1021), セルホテル(Selfotel) (CGS-19755), 及び D-CPP-eneのようなNMDA 受容体アンタゴニストに対する多数の副作用のために、良好な治療適用を裏付けることができなかった(Leppik, Epilepsia, 1998, 39 (Suppl 5):2-6; Sveinbjornsdottir 等., Epilepsia, 1993, 34:493-521; SCRIP 2229/30, 1997, p. 21)。
【0007】
メマンチン (1-アミノ-3,5-ジメチル アダマンタン) 及びネラメキサン (1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン) 、2つのNMDA 受容体アンタゴニスト及び1-アミノシクロヘキサンの同族体、はNMDA 受容体の病理学的活性化を阻止するが、その生理学的活性を可能にする。メマンチン, ネラメキサン並びにいくつかのその他の1-アミノアルキル-シクロヘキサン類は、受容体に中程度の親和性を有する 、全身的に活性な非競合 NMDA 受容体アンタゴニストである。これらは強い電圧依存性特性及び速い遮断/非遮断動力学を示す(Parsons 等., 1999, supra; Winblad 等., Int. J. Geriat. Psychiatry, 1999, 14:135-146; Rogawski, Amino Acids, 2000, 19: 133-49; Danysz 等., Curr. Pharm. Des., 2002, 8:835-43; Jirgensons 等, Eur. J. Med. Chem., 2000, 35: 555-565)。これらの化合物はNMDA 受容体チャネルから、高い親和性のNMDA 受容体アンタゴニスト、たとえば(+)MK-801 に比べてはるかに速く解離され、そして恐らく信号対雑音比 (signal-to-noise ratio)の増加に起因するNMDA 受容体の持続性過刺激(tonicoverstimulation) によって生じるニューロン性可塑性の崩壊を弱める。受容体に対するその比較的低い親和性, 強い電圧依存性及び速い受容体非遮断動力学のゆえに, これらの化合物は治療範囲内の薬用量でその他のNMDA 受容体アンタゴニストの副作用を本質的にもっていない。
【0008】
メマンチン, ネラメキサン及びその他の1-アミノアルキルシクロヘキサン類は、種々の進行性神経変性疾患、たとえばADによる痴呆, パーキンソン病及び痙縮の緩和に有用であると提案された(米国特許第5,061,703号明細書; 第5,614,560号明細書; 及び第6,034,134号明細書; Parsons 等., 1999, supra; Mobius, ADAD, 1999,13:S172-178; Danysz 等., Neurotox. Res., 2000, 2:85-97; Winblad and Poritis, Int. J. Geriatr. Psychiatry, 1999, 14:135-146; Gortelmeyer 等., 1992, supra; Danysz 等., Curr. Pharm. Des., 2002, 8:835-843; Jirgensons等, Eur. J. Med. Chem., 2000, 35: 555-565参照)。これらの疾患は、グルタミン酸伝達障害, すなわちNMDA 受容体チャネルによるカルシウムの過剰流入の結果としてして生じ, これが特異脳領域で脳細胞の崩壊を導く(Choi, J. Neurobiol., 23: 1261-1276, 1992; Rothman and Olney, Trends Neurosci., 10: 299, 1987; Kemp 等., Trends Pharmacol. Sci., 8: 414, 1987)。成熟ラットのメマンチンでの長期治療は、海馬長期増強の形成を増強させ、シナップス可塑性の永続性を増し、空間記憶能力を改善し, そして NMDA受容体アゴニストによって生じる記憶障害を反転させることが分かった(Barnes 等., Eur. J. Neurosci., 1996; 8:65-571; Zajaczkowski 等., Neuropharm, 1997, 36:961-971)。1-アミノシクロヘキサン誘導体及び特にメマンチンは、またAIDS 痴呆 (米国特許第5,506,231号明細書), 神経障害性疼痛 (米国特許第5,334,618号明細書), 脳虚血(米国特許第5,061,703号明細書), 癲癇, 緑内障, 肝性脳症, 多発性硬化症, 脳卒中及び遅発性ジスキネジー(Parsons 等., 1999, supra) の治療に有用であると提案された。更に, メマンチン及びネラメキサンの比較的高い薬用量によって、運動反射神経への明確な効果のない、慢性及び神経障害性疼痛のいくつかのモデルで、選択的遮断温熱性痛覚過敏及び機械的異痛が認められた。1-アミノアシクロヘキサン誘導体は、免疫調節過活性, 抗マラリヤ活性, 抗-ボルナウイルス活性及び抗-肝炎C活性を有することも実証された (たとえば米国特許第 6,034,134 号明細書及びそこに引用例された参考文献参照)。
【0009】
米国特許第 5,206,248 (‘248)号明細書に、モルヒネ、デキストロメトロファン又はデキストロファンの非中毒性同族体を単剤療法として又はキニンとの組み合わせで投与することによって、情動不安定を治療することができるが記載されている。デキストロメトロファンに対する、1つの公知の作用メカニズムは、NMDA 受容体アンタゴニストとしての作用を含む。国際特許出願公開第2004/006930 (‘930) に、多発性硬化症, 情動不安定及び制御不能情動を含む神経障害を、キニンとの組み合わせて、モルヒネ, デキストロメトロファン又はデキストロファンの非中毒性同族体の併用療法を用いて治療することが記載されている。
【0010】
メマンチンは、ルイス(Lewis)ラット実験自己免疫性脳脊髄炎 (EAE)で神経学的欠損を治療することが調査された(Bolton, J. Pharmacol Exp Ther. 2002, Jul; 302(1): 50-57; Wallstrom, J. Neurol. Sci. 1996, 137, 89-96)。EAEはMSの典型的動物モデルであるが, これは多発性硬化症でもなく, EAEは単一種の単一疾患でもない。EAEの異なる状態が、MSの種々の状態、症状及び段階に似ているにすぎない。これらの状態及び症状は、使用される ロデント(rodent)種に大いに依存する。更に, ルイスラット実験が、メマンチンを限られた範囲内のみで調べているにすぎない。Boltonの研究のみが、運動症状及び小脳, 脊髄, 及び骨髄の組織学を考察した。これに反して、Wallstromの研究は、EAEモデルでのメマンチンの治療効果が、免疫細胞活性化によって抑制されたCNS 炎症に起因しないことを単に提案するにすぎない。メマンチンの前頭葉又は核上構造回路への影響は、判定されなかった。更に, これらの EAE実験は、MSの後期に生じる制御不能情動の評価に適さない。動物はわずか2日後に殺される。さらにEAEモデルは、抑制できない感情表現を最も顕著に含む情動不安定又は制御不能情動症状の試験に通常適用されない。
【0011】
メマンチンは後天的振子様眼振,多発性硬化症の基礎症状の身体症状の治療に有効であることが示された (Curr. Treat Options Neurol. 1999 Mar;1(1):68-73)。にもかかわず, 本発明は、メマンチン, 1-アミノシクロヘキサン誘導体の臨床投与が, 多発性硬化症に関連する認知機能障害の治療に有効であることを初めて実証するものである。メマンチンで治療された認識機能障害のMS患者が、偽薬治療された患者に比べて神経心理総合適性検査の遂行に予期されない改善を実証することを示す。
発明の要旨
本発明は、多発性硬化症, 情動不安定又は制御不能情動と診断された個体(individuals)の治療方法において、上記個体に1-アミノシクロヘキサン誘導体を投与することを含む、上記治療方法に関する。
【0012】
本発明の具体的実施態様において, 1-アミノシクロヘキサンはメマンチン, ネラメキサン及びその誘導体(これらの有効な剤の薬学的に許容し得る塩及び類似物を含む)から選ばれる。
【0013】
本発明の別の観点は、多発性硬化症, 情動不安定又は制御不能情動と診断された個体の治療方法において、上記個体に1-アミノシクロヘキサン誘導体及びMS, EL及びPBAの治療に有効であることを示した別の薬剤を投与することを含む、上記治療方法に関する。
【0014】
本発明の別の観点は、多発性硬化症, 情動不安定又は制御不能情動と診断された個体の治療方法において、上記個体に1-アミノシクロヘキサン誘導体及び免疫調節剤を投与することを含む、上記治療方法に関する。
【0015】
本発明の具体的実施態様において、1-アミノシクロヘキサンは、メマンチン, ネラメキサン及びその誘導体(これらの有効な剤の薬学的に許容し得る塩及び類似物を含む)から選ばれ,そして免疫調節剤は酢酸グラチラマー 及びその誘導体(これらの有効な剤の薬学的に許容し得る塩及び類似物を含む)から選ばれる。
【0016】
本発明の別の観点は、治療上有効な量の1-アミノシクロヘキサン単独又はこれとMS, EL 及び PBAに対するその他の治療薬と組み合わせて、及び場合により少なくとも1種の薬学的に許容し得るキャリヤー又は賦形剤を含む医薬調合物を包含する。
【0017】
本発明の別の観点は、1-アミノシクロヘキサン, 治療上有効な量の1-アミノシクロヘキサン、免疫調節剤及び少なくとも1種の薬学的に許容し得るキャリヤー又は賦形剤を含む医薬調合物を包含する。
【0018】
本発明の別の観点は、治療上有効な量の 1-アミノシクロヘキサン誘導体を即効型製剤又は放出調節製剤中に含む医薬調合物を包含する。.
本発明の別の観点は、治療上有効な量の 1-アミノシクロヘキサン誘導体及び免疫調節剤を即効型製剤又は放出調節製剤中に含む医薬調合物を包含する。
発明の詳細な説明
用語“治療する” は、本明細書で対象者の少なくとも1種の症状を軽減又は緩和するという意味で使用される。本発明の意味する範囲内で, 用語“治療する” は疾患の進行又は悪化の開始 (すなわち疾患の臨床症状の前の期間)を阻止、遅延させるか及び(又は) 疾患の進行又は悪化の恐れを軽減させることも意味する。
【0019】
用語 “同族体”又は“誘導体” はここで通常の医薬範囲で使用され、基準分子(たとえば1−アミノシクロヘキサン)と構造上類似する分子を意味するが,目標とされる及び調節された方法で基準分子の1種以上の特定の置換基を代わりの置換基で置換して変えられている。それによって基準分子に構造上類似する分子をもたらす。同族体の合成及びスクリーニング (たとえば構造及び(又は)生化学分析を用いて)-------これは特性(traits) (たとえば特異的標的受容体タイプでのより高い効力及び(又は)感受性, 哺乳類血液脳関門を貫通するより高い能力, より少ない副作用等々)を改善した又は偏らせた公知化合物の僅かな変更形を同定するために行われる---------- は薬化学でよく知られた医薬開発研究である。
【0020】
用語"1-アミノシクロヘキサン誘導体"は、本明細書で、1-アミノシクロヘキサン(又はその入手可能な誘導体, たとえばネラメキサン又はメマンチン) から、機能的に類似するが、ほんの僅か構造上異なる医薬を製造するのに使用される方法で誘導される化合物を示す際に使用される。
【0021】
本発明の1-アミノシクロヘキサン誘導体は、一般式 (I):
【0022】
【化1】

{式中、
R* は -(A)n-(CR1R2)m-NR3R4であり、この際
n、m = 0〜 2の整数,
A は線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6),線状又は分枝状低級アルケニル (C2-C6), 及び 線状又は分枝状低級 アルキニル (C2-C6)より成る群から選ばれ,
R1 及び R2は独立して水素, 線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6), 線状又は分枝状低級 アルケニル (C2-C6), 線状又は分枝状低級 アルキニル (C2-C6) アリール, 置換されたアリール 及び アリールアルキルより成る群から選ばれ,
R3 及び R4 は独立して 水素, 線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6), 線状又は分枝状低級 アルケニル (C2-C6), 及び 線状又は分枝状低級アルキニル (C2-C6)より成る群から選ばれるか、又は一緒になってアルキレン (C2-C10) 又は アルケニレン (C2-C10)を形成するか又はNと一緒になって3-7-員のアザシクロアルカン 又は アザシクロアルケン[置換された(アルキル (C1-C6), アルケニル (C2-C6)) 3-7-員のアザシクロアルカン 又は アザシクロアルケンを含む]を形成するか、あるいは
独立してR3 又は R4 はRp, Rq, Rr, 又は Rs と一緒になって、アルキレン鎖 -CH(R6)-(CH2)t- (式中、t= 0 又は 1)を形成することができ、そしてアルキレン鎖の左側はU 又は Yに結合し、そしてアルキレン鎖の右側は N に結合し、そしてR6 は水素, 線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6), 線状又は分枝状低級 アルケニル (C2-C6), 線状又は分枝状低級 アルキニル (C2-C6), アリール, 置換されたアリール 及び アリールアルキルより成る群から選ばれるか、あるいは
独立してR3又は R4 はR5と一緒になって式 -CH2-CH2-CH2-(CH2)t- で表わされるアルキレン鎖又は式-CH=CH-CH2-(CH2)t-, -CH=C=CH-(CH2)t- 又は -CH2-CH=CH-(CH2)t-, (式中、t= 0 又は 1)で表わされるアルケニレン鎖を形成することができ, そしてアルキレン鎖又はアルケニレン鎖の左側は Wに結合し、そして アルキレン環の右側はNに結合し、
R5は独立して水素, 線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6), 線状又は分枝状低級 アルケニル (C2-C6), 及び 線状又は分枝状低級 アルキニル (C2-C6)より成る群から選ばれるか、又はR5 はこれが結合する炭素及び隣の隣接する環炭素と一緒になって二重結合を形成し、
Rp, Rq, Rr, 及び Rs は独立して水素, 線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6), 線状又は分枝状低級 アルケニル (C2-C6), 線状又は分枝状低級 アルキニル (C2-C6), シクロアルキル (C3-C6) 及び アリール, 置換されたアリール 及び アリールアルキルより成る群から選ばれか、又は Rp, Rq, Rr, 及び Rs は独立してこれが結合するU 又はYと一緒になって二重結合を形成することができるか、又は Rp, Rq, Rr, 及び Rs は一緒になって低級アルキレン -(CH2)x- 又は低級アルケニレン架橋 (式中、x は2-5である。)を示すことができ、このアルキレン架橋はついで R5 と一緒になって別の低級アルキレン -(CH2)y- 又は低級アルケニレン架橋(式中、y は1-3である。)を形成することができ、
符号 U, W及び Y は炭素原子を示し,そして符号V, X及びZ は-(CH2)-を示す。}
で表わされ、そして式(I)で表わされる化合物の光学異性体, ジアステレオマー, 対掌体, 溶媒和物、水和物, 薬学的に許容し得る塩, 及び式(I)で表わされる化合物の範囲内の化合物の混合物を含み、
U-V-W-X-Y-Zによって定義される環は、シクロヘキサン、シクロヘキセ−2−エン、シクロヘキセ−3−エン、シクロヘキサ−1,4−ジエン、シクロヘキサ−1,5−ジエン、シクロヘキサ−2,4−ジエン、及びシクロヘキサ−2,5−ジエンから選択され、
本発明にしたがって使用される1-アミノシクロヘキサン 誘導体の限定されない例は、
1-アミノ-1,3,5-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1(トランス),3(トランス),5-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1(シス),3(シス),5-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3,3,5-テトラメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン (ネラメキサン),
1-アミノ-1,3,5,5-テトラメチル-3-エチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,5,5-トリメチル-3,3-ジエチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,5,5-トリメチル-シス-3-エチルシクロヘキサン,
1-アミノ-(1S,5S)シス-3-エチル-1,5,5-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,5,5-トリメチル-トランス-3-エチルシクロヘキサン,
1-アミノ-(1R,5S)トランス-3-エチル-1,5,5-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1-エチル-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1-プロピル-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサン,
N-メチル-1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン,
N-エチル-1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチル-シクロヘキサン,
N-(1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキシル) ピロリジン,
3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシルメチルアミン,
1-アミノ-1-プロピル-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサン,
1 アミノ-1,3,3,5(トランス)-テトラメチルシクロヘキサン (アキシアルアミノ基),
3-プロピル-1,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシルアミン 半水和物,
1-アミノ-1,3,5,5-テトラメチル-3-エチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3,5-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3-ジメチル-3-プロピルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3(トランス),5(トランス)-トリメチル-3(シス)-プロピルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3-ジメチル-3-エチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン,
シス-3-エチル-1(トランス)-3(トランス)-5-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3(トランス)-ジメチルシクロヘキサン,
1,3,3-トリメチル-5,5-ジプロピルシクロヘキシルアミン,
1-アミノ-1-メチル-3(トランス)-プロピルシクロヘキサン,
1-メチル-3(シス)-プロピルシクロヘキシルアミン,
1-アミノ-1-メチル-3(トランス)-エチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3,3-トリメチル-5(シス)-エチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3,3-トリメチル-5(トランス)-エチルシクロヘキサン,
シス-3-プロピル-1,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン,
トランス-3-プロピル-1,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン,
N-エチル-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキシルアミン,
N-メチル-1-アミノ-1,3,3,5.5-ペンタメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1-メチルシクロヘキサン,
N,N-ジメチル-1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン,
2-(3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシル)エチルアミン,
2-メチル-1-(3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシル)プロピル-2-アミン,
2-(1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキシル)-エチルアミン 半水和物,
N-(1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキシル)-ピロリジン,
1-アミノ-1,3(トランス),5(トランス)-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3(シス),5(シス)-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-(1R,5S)トランス-5-エチル-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-(1S,5S)シス-5-エチル-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,5, 5-トリメチル-3(シス)-イソプロピル-シクロヘキサン,
1-アミノ-1,5,5-トリメチル-3(トランス)-イソプロピル-シクロヘキサン,
1-アミノ-1-メチル-3(シス)-エチル-シクロヘキサン,
1-アミノ-1-メチル-3(シス)-メチル-シクロヘキサン,
1-アミノ-5,5-ジエチル-1,3,3-トリメチル-シクロヘキサン,
1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,5,5-トリメチル-3,3-ジエチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1-エチル-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサン,
N-エチル-1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン,
N-(1,3,5-トリメチルシクロヘキシル)ピロリジン 又は ピペリジン,
N-[1,3(トランス),5(トランス)-トリメチルシクロヘキシル]ピロリジン 又は ピペリジン,
N-[1,3(シス),5(シス)-トリメチルシクロヘキシル]ピロリジン 又は ピペリジン,
N-(1,3,3,5-テトラメチルシクロヘキシル)ピロリジン 又は ピペリジン,
N-(1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキシル)ピロリジン 又は ピペリジン,
N-(1,3,5,5-テトラメチル-3-エチルシクロヘキシル)ピロリジン 又は ピペリジン,
N-(1,5,5-トリメチル-3,3-ジエチルシクロヘキシル)ピロリジン 又は ピペリジン,
N-(1,3,3-トリメチル-シス-5-エチルシクロヘキシル)ピロリジン 又は ピペリジン,
N-[(1S,5S)シス-5-エチル-1,3,3-トリメチルシクロヘキシル]ピロリジン 又は ピペリジン,
N-(1,3,3-トリメチル-トランス-5-エチルシクロヘキシル)ピロリジン 又は ピペリジン,
N-[(1R,5S)トランス-5-エチル,3,3-トリメチルシクロヘキシル]ピロリジン 又は ピペリジン,
N-(1-エチル-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシル)ピロリジン 又は ピペリジン,
N-(1-プロピル-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシル)ピロリジン 又は ピペリジン,
N-(1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキシル)ピロリジン,
より成る群から選ばれた1-アミノシクロヘキサン 誘導体、これらの光学異性体, ジアステレオマー, 対掌体, 溶媒和物、水和物, その薬学的に許容し得る塩, 及びその混合物を包含する。
【0023】
ネラメキン (1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン)は、たとえば米国特許出願第 09/597,102号明細書 及び 米国特許第 6,034,134号明細書に記載されている。
【0024】
一般式(I)で表わされる特定の1-アミノシクロヘキサン 誘導体は、3つのアキシャルアルキル置換基, たとえば Rp, Rr及び R5 のすべてが一緒になって橋頭を形成し、下記式 IIb - IId で表わされる化合物 (いわゆる 1-アミノアダマンタン類) を生じる場合を含む:
【0025】
【化2】

式(I)で表わされる特定の1-アミノシクロヘキサン 誘導体(式中、n + m = 0, U, V, W, X, Y 及び Zはシクロヘキサン環を形成し、R3及び R4 のうちの1又は2つは独立して、Rp, Rq, Rr, Rs 又は R5 によって形成されるアルキレン架橋を介して上記シクロヘキサン環に結合する。) は上記式IIIa-IIIcによって表わされる:
【0026】
【化3】

(式中、Rq, Rr, Rs, Rr 及び R5 は式(I)に対して定義された通りであり, R6 は水素, 線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6), 線状又は分枝状低級 アルケニル (C2-C6), 線状又は分枝状低級 アルキニル (C2-C6), アリール, 置換されたアリール又はアリールアルキルであり、Y は飽和されているか、又はR6 と一緒になって、これが結合する環炭素と共に炭素-水素結合を形成してよく, l= 0 又は 1 及び k= 0, 1 又は 2 及び ------ は単結合又は二重結合を示す。)
【0027】
本発明にしたがって使用される1-アミノシクロヘキサン 誘導体の限定されない例は、1-アミノアダマンタン、及び
1-アミノ-3-フェニル アダマンタン,
1-アミノ-メチル アダマンタン,
1-アミノ-3,5-ジメチル アダマンタン (メマンチン),
1-アミノ-3-エチル アダマンタン,
1-アミノ-3-イソプロピル アダマンタン,
1-アミノ-3-n-ブチル アダマンタン,
1-アミノ-3,5-ジエチル アダマンタン,
1-アミノ-3,5-ジイソプロピル アダマンタン,
1-アミノ-3,5-ジ-n-ブチル アダマンタン,
1-アミノ-3-メチル-5-エチル アダマンタン,
1-N-メチルアミノ-3,5-ジメチル アダマンタン,
1-N-エチルアミノ-3,5-ジメチル アダマンタン,
1-N-イソプロピル-アミノ-3,5-ジメチル アダマンタン,
1-N,N-ジメチル-アミノ-3,5-ジメチル アダマンタン,
1-N-メチル-N-イソプロピル-アミノ-3-メチル-5-エチル アダマンタン,
1-アミノ-3-ブチル-5-フェニル アダマンタン,
1-アミノ-3-ペンチル アダマンタン,
1-アミノ-3,5-ジペンチル アダマンタン,
1-アミノ-3-ペンチル-5-ヘキシル アダマンタン,
1-アミノ-3-ペンチル-5-シクロヘキシル アダマンタン,
1-アミノ-3-ペンチル-5-フェニル アダマンタン,
1-アミノ-3-ヘキシル アダマンタン,
1-アミノ-3,5-ジヘキシル アダマンタン,
1-アミノ-3-ヘキシル-5-シクロヘキシル アダマンタン,
1-アミノ-3-ヘキシル-5-フェニル アダマンタン,
1-アミノ-3-シクロヘキシル アダマンタン,
1-アミノ-3,5-ジシクロヘキシル アダマンタン,
1-アミノ-3-シクロヘキシル-5-フェニル アダマンタン,
1-アミノ-3,5-ジフェニル アダマンタン,
1-アミノ-3,5,7-トリメチル アダマンタン,
1-アミノ-3,5-ジメチル-7-エチル アダマンタン,
1-アミノ-3,5-ジエチル-7-メチル アダマンタン,
1-N-ピロリジノ及び1-N-ピペリジン誘導体,
1-アミノ-3-メチル-5-プロピル アダマンタン,
1-アミノ-3-メチル-5-ブチル アダマンタン,
1-アミノ-3-メチル-5-ペンチル アダマンタン,
1-アミノ-3-メチル-5-ヘキシル アダマンタン,
1-アミノ-3-メチル-5-シクロヘキシル アダマンタン,
1-アミノ-3-メチル-5-フェニル アダマンタン,
1-アミノ-3-エチル-5-プロピル アダマンタン,
1-アミノ-3-エチル-5-ブチル アダマンタン,
1-アミノ-3-エチル-5-ペンチル アダマンタン,
1-アミノ-3-エチル-5-ヘキシル アダマンタン,
1-アミノ-3-エチル-5-シクロヘキシル アダマンタン,
1-アミノ-3-エチル-5-フェニル アダマンタン,
1-アミノ-3-プロピル-5-ブチル アダマンタン,
1-アミノ-3-プロピル-5-ペンチル アダマンタン,
1-アミノ-3-プロピル-5-ヘキシル アダマンタン,
1-アミノ-3-プロピル-5-シクロヘキシル アダマンタン,
1-アミノ-3-プロピル-5-フェニル アダマンタン,
1-アミノ-3-ブチル-5-ペンチル アダマンタン,
1-アミノ-3-ブチル-5-ヘキシル アダマンタン,
1-アミノ-3-ブチル-5-シクロヘキシル アダマンタン,
より成る群から選ばれる1-アミノ アダマンタン誘導体、これらの光学異性体, ジアステレオマー, 対掌体, 溶媒和物、水和物, N-メチル誘導体, N,N-ジメチル誘導体, N-エチル誘導体, N-プロピル誘導体, その 薬学的に許容し得る塩, 及びこれらの混合物を含む。
【0028】
たとえばメマンチン (1-アミノ-3,5-ジメチルアダマンタン) は、米国特許第 4,122,193号 及び第 4,273,774号明細書の対象である。
【0029】
式IIb 及び IId で表わされる1-アミノアダマンタン誘導体(メマンチンを含む)は一般にハロゲン化アダマンタンのアルキル化, 好ましくはブロモ- 又はクロロアダマンタン類のアルキル化によって製造される。ジ- 又はトリ-置換されたアダマンタン類は 付加的なハロゲン化及び アルキル化操作によって得られる。アミノ基は、三酸化クロムによる酸化及び HBrによる臭素化又は臭素による臭素化及び ホルムアミドと反応させて、ついで加水分解して導入される。アミノ官能基を一般に認められている方法にしたがってアルキル化することができる。たとえば、メチル化はギ酸クロロメチルと反応させ、ついで還元させることによって達成することができる。エチル基を、それぞれのアセトアミドの還元によって導入することができる。合成に関して更に詳細はたとえば米国特許第5,061,703号 及び第 6,034,134号明細書を参照。前記化合物に対する別の合成法を、米国特許公開第2003/0166634号明細書及び第2004/0034055号明細書に見出すことができ, すべてを本願に引用して援用する。
【0030】
ここに列挙される医薬の種々の塩及び異性体(立体異性体及び対掌体を含めて)を使用することができる。用語"塩" は遊離酸及び遊離塩基の付加塩を含むことができる。薬学的に許容し得る酸付加塩を形成するために使用することができる酸の例は、無機酸、たとえば塩酸、硫酸又はリン酸、及び有機酸、たとえば酢酸、マレイン酸、コハク酸又はクエン酸等を含む。これらの塩(又はその他の類似の塩)すべては通常の手段で製造することができる。塩又は異性体の性質は、これが非毒性であり、そして所望の薬理学的活性を実質上妨げないという条件で、厳密なものでない。
【0031】
薬用量又は量に適用される用語 “治療上有効な” は、治療を必要とする哺乳類に投与した際に所望の活性を生じるのに十分である化合物又は医薬調合物のその量を意味する。本明細書では、1-アミノシクロヘキサン 誘導体を含む医薬調合物に関して, 用語“治療上有効な量/薬用量” を用語 “神経学的に有効な量/薬用量” と交換して使用でき、そして哺乳類に投与した際に有効な神経学的応答を生じるのに十分である化合物 又は医薬調合物の量/薬用量を意味する。
【0032】
本発明の調合物に関連して使用される、語句"薬学的に許容し得る" は、生理学的に耐性であり、そして哺乳類 (たとえばヒト)に投与した場合、典型的に不利な反応を生じないこのような調合物の医療用物質(molecular entities) 及び他の成分を意味する。好ましくは, 本明細書では, 用語 "薬学的に許容し得る" は米国連邦政府又は州政府の管理機関によって承認されているか、又は米国薬局方又は哺乳類に使用される, 及び 更に具体的にはヒトに使用される、その他の一般に容認された薬物類中に列挙されていることを意味する。
【0033】
本発明の医薬調合物に適用される用語 "キャリヤー" は、希釈剤, 賦形剤又は媒体(vehicle)を意味し、これと共に有効化合物 (たとえば1-アミノシクロヘキサン誘導体) を投与する。このような医薬用キャリヤーは滅菌液体, たとえば水, 食塩水, デキストロース水溶液, グルセロール水溶液及び油状物(石油-, 動物-, 植物-又は合成-由来のもの, たとえばピーナッツ油, 大豆油, 鉱油, ごま油等々を含む。)であることができる。適する医薬用キャリヤーは、"Remington's Pharmaceutical Sciences" by E.W. Martin, 18th Edition中に記載されている。
【0034】
用語 "約" 又は "およそ"は、常に所定の値又は範囲の20%以内, より好ましくは10%以内, 及び最も好ましくはまた5%以内を意味する。あるいは, 特に生体系で, 用語 "約" はほぼ1ログ(a log)(すなわち 一桁)以内、好ましくは2つの所定の値のファクター内であることを意味する。
【0035】
本発明の方法に併せて, 治療上有効な量の1-アミノシクロヘキサン誘導体を含む医薬調合物も提供する。更に、本発明の調合物は、キャリヤー又は賦形剤 (すべての薬学的に許容し得るもの)を含むことができる。調合物を一日1回 投与又は一日2回投与のために剤形化することができる。好ましい1-アミノシクロヘキサン誘導体は、メマンチン及びネラメキサンである。
【0036】
メマンチン (NAMENDATM)は、5 又は10 mgのフィルムコーティングされた錠剤中の塩酸塩として市場で入手することができる。しかし, 本発明によれば, メマンチンの投薬形は下記の通りの固形、半固形又は液体製剤であることができる。
【0037】
1-アミノシクロヘキサン誘導体を、経口で, 局所に, 腸管外に又は粘膜に(たとえば口腔に, 吸入によって, 又は直腸に)通常の非毒性薬学的に許容し得るキャリヤーを含む単位投薬剤形で投与することができる。小児科対象者に投与する、ある実施態様において、メマンチンをフレーバーな液体、たとえばペパーミント液体として剤形化する。1-アミノシクロヘキサン誘導体を、カプセル, 錠剤等々の形で又は半固形又は液状製剤として経口投与することができる (Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack 5 Publishing Co., Easton, PA参照)。
【0038】
錠剤又はカプセルの形の経口投与に関して, 有効医薬成分を非毒性薬学的に許容し得る賦形剤、たとえば結合剤 (たとえば前糊化されたトウモロコシデンプン, ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース); 増量剤 (たとえば乳糖, ショ糖, グルコース, マンニトール, ソルビトール及び その他の還元糖 及び非還元糖, 微結晶セルロース, 硫酸カルシウム又はリン酸水素カルシウム); 滑沢剤 (たとえばステアリン酸マグネシウム, タルク又はシリカ, ステアリン酸, ステアリルフマル酸ナトリウム, ベヘン酸グリセリル, ステアリン酸カルシウム等); 砕解剤 (たとえばジャガイモデンプン又はグリコールデンプンナトリウム); 又は湿潤剤 (たとえば ラウリル硫酸ナトリウム), 着色剤及び矯味矯臭薬, ゼラチン, 甘味料, 天然及び合成ゴム (たとえばアカシア, トラガント又はアルギナート類), 緩衝塩, カルボキシメチルセルロース, ポリエチレングリコール, ロウ等々と共に配合することができる。
【0039】
錠剤を、たとえばアラビアゴム, ゼラチン, タルク、二酸化チタン等々を含有していよい濃縮された砂糖溶液でコーティングすることができる。あるいは, 錠剤を、容易に揮発する有機溶剤又は有機溶剤の混合物中に溶解するポリマーでコーティングすることができる。具体的な実施態様において, メマンチンは 即効型 (IR)又は放出調節型 (MR) 錠剤に剤形化される。即効型固形投薬形は、短時間、たとえば60分以下で有効成分のほとんど又は全部の放出を許可し、そして医薬の急速な吸収を可能にする。放出調節型固形経口投薬形は、同様に長期の時間間隔にわたって治療に有効な血漿中濃度を維持するために及び(又は)有効成分のその他の薬物動態特性を変化させるために、長期間にわたって有効成分の徐放を許可する。
【0040】
軟ゼラチンカプセルの調合物に関して, 有効物質を、たとえば 植物油又は ポリエチレングリコールと混合することができる。硬ゼラチンカプセルは、錠剤用の上記賦形剤、たとえばラクトース, ショ糖, マンニトール, デンプン (たとえばじゃガイモデンプン, コーンスターチ又はアミロペクチン), セルロース誘導体又はゼラチンいずれかを用いて顆粒の有効物質を含有することができる。また薬物の液体又は半固体を硬ゼラチンカプセルに充填することができる。
【0041】
本発明の調合物は、微小カプセル(microspheres) 又は マイクロカプセル(たとえばポリグリコール酸/乳酸 (PGLA)から製造される)に加えることもできる (たとえば米国特許第 5,814,344号; 第5,100,669号 及び第 4,849,222号明細書; 国際公開(WO)第 95/11010号 及び 第93/07861号明細書参照)。生体適合性ポリマー類は医薬の調節型放出を達成するのに使用することができる。これらはたとえば、たとえばポリ乳酸, ポリグリコール酸, ポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマー, ポリイプシロンカプロラクトン, ポリヒドロキシ酪酸, ポリオルトエステル類, ポリアセタール類, ポリヒドロピラン類, ポリシアノアクリレート類, 及びヒドロゲル類の架橋された又は両親媒性ブロックコポリマーを包含する。
【0042】
メマンチンコーティングされたノンパレイユビーズ(non-pareil beads)又はシーズ(seeds)も本発明にしたがって使用することができる(Huang 等., Drug Dev Ind Pharm. 2002; 28(5):593-9; and Ganesan 等., Boll Chim Farm. 2003;142(7):290-4参照)。
【0043】
半固形又は液体形の1-アミノシクロヘキサン誘導体製剤(有効成分, すなわち1-アミノシクロヘキサンが水性媒体に非常に可溶性である。)も使用することができる。有効成分は製剤に対して 0.1〜 99重量%、より詳しくは注射用製剤に対して0.5〜20重量%、そして経口投与用製剤に対して0.2 〜 50重量%からなることができる。
【0044】
本発明の1つの実施態様において, 1-アミノシクロヘキサン誘導体を放出調節製剤の形で投与する。調節放出型投薬形は、患者の薬剤服用順守の改善の手段及び有害薬物反応の発生を減少させることによって有効及び安全な治療を保証する手段をもたらす。即効型投薬形に比べて, 調節放出型投薬形は、投与後に薬物動態作用を延長させ、そして投与間隔の間じゅう薬物の血漿濃度の変化を減少させるために使用することができる。それえによって急激なピークを避けるか又は減少させる。調節放出型投薬形は、参考のために示す米国特許出願第11/155,330号明細書に記載されている。
【0045】
調節放出型投薬は、薬物でコーティングされたコアか又は薬物を含有するコアを含むことができる。その時、コア本体は薬物が分散される、放出を調節するポリマーでコーティングされる。放出を調節するポリマーは、徐々に崩壊し、時間をかけて薬物を放出する。したがって, 調合物の最外部層は効果的に徐々に、そしてそれによって、調合物が水性環境, すなわち消化管にさらされるときにコーティング層を横切る薬物の拡散を調節する。薬物の拡散実質速度は、主に胃液がコーティング層又はマトリックスを貫通する能力及び薬物それ自体の溶解性に依存する。
【0046】
本発明の別の実施態様において、1-アミノシクロヘキサン誘導体を経口、液体製剤に剤形化する。経口投与用液体調合物は、たとえば溶液、シロップ、エマルション又は懸濁液の形をとることができるか又はこれらは使用前に水又はその他の適当な媒体を用いて再構成させるために乾燥製品として存在させることができる。経口投与用調製物を、調節された又は延期された有効物質の放出を生じるように適当に剤形化することができる。経口の時間調節された放出性医薬の具体例は、米国特許第 5,366,738号明細書に記載されている。
【0047】
液体形での経口投与に関して、医薬成分を非毒性薬学的に許容し得る不活性キャリヤー (たとえばエタノール, グリセロール, 水), 懸濁化剤 (たとえばソルビトールシロップ, セルロース誘導体 又は 水素添加された食用油), 乳化剤 (たとえばレシチン又はアカシア), 非水性賦形剤(たとえばアーモンド油, 油状エステル類, エチルアルコール 又は 分留植物油), 保存剤(たとえばメチル 又は プロピル-p-ヒドロキシベンゾエート又はソルビン酸)等々と一緒に配合することができる。安定化剤、たとえば酸化防止剤 (BHA, BHT, 没食子酸プロピル, アスコルビン酸ナトリウム, クエン酸)を投薬形態を安定化するために添加することができる。たとえば, 溶液は約 0.2% 〜約 20重量%のメマンチンを含有していてよく、その平衡(balance)は砂糖、及びエタノール、水、グリセロール及びポリエチレングリコールで保たれる。場合によりこのような液体調合物は着色剤, 風味剤, サッカリン及び増粘剤としてカルボキシメチル-セルロース又は当業者に周知のその他の賦形剤を含有することができる。
【0048】
別の実施態様において, 治療上有効な量の1-アミノシクロヘキサン誘導体を保存剤, 甘味料, 溶解剤及び溶剤を含有する経口溶液の形で投与する。経口溶液は、1種以上の緩衝剤, 風味剤又は付加的な賦形剤を含むことができる。別の実施態様において, ペパーミント又はその他の風味剤を1-アミノシクロヘキサン誘導体経口液体製剤に添加する。
【0049】
吸入投与のために、1-アミノシクロヘキサン誘導体を、適する噴射剤, たとえばジクロロフルオロメタン, トリクロロフルオロメタン, ジクロロテトラフルオロエタン, 二酸化炭素, 又はその他の適当なガスの使用と共に、加圧パック又は噴霧器からのエアゾルスプレープレゼンテーションの形で通常供給することができる。加圧エアゾルの場合、単位投薬量は計量された量を供給するためにバルブを備えることによって決定することができる。たとえば吸入器又は通気器(insufflator)中に使用するためのゼラチンのカプセル及びカートリッジを調製することができ、これは化合物と適する粉末ベース、たとえばラクトース又はデンプンの粉末混合物を含有する。
【0050】
腸管外投与用注射溶液を、好ましくは約0.5重量%〜約10重量%の濃度で有効物質の水溶性薬学的に許容し得る塩を有する水溶液として調製することができる。これらの溶液は、安定剤及び(又は)緩衝剤を含有することもでき、そして種々の投薬単位アンプルに充填されるのも好都合である。
【0051】
直腸投与用投薬量単位は溶液又は懸濁液であることができか又は1-アミノシクロヘキサン誘導体を中性脂肪ベースとの混合物として含む座薬又は停留浣腸(retention enemas)の形で、又は有効物質を植物油又はパラフィン油と混合して含むゼラチン直腸カプセルの形で調製することができる。
【0052】
本発明の製剤を、腸管外に、すなわち静脈内 (i.v.), 脳室内 (i.c.v.), 皮下(s.c.), 腹腔内 (i.p.), 筋肉内 (i.m.), 皮下 (s.d.), 又は 皮内 (i.d.) 投与によって, 直接注射、たとえばボラス注射又は連続吸入によって供給することができる。注射用製剤は、添加された保存剤と共に単位投薬形、たとえばアンプル又は多薬用量容器 (multi-dose containers)中にあることができる。あるいは, 有効成分は、使用前に適当な媒体, たとえば 滅菌発熱物質不含水を用いて再構成される粉末形にあることができる。腸管外投与に関して, 注入速度は血流中のメマンチン、1-アミノシクロヘキサン誘導体の比較的長い半減期のゆえに慎重に調節されなければならない。
【0053】
本発明はまた1-アミノシクロヘキサン誘導体及び場合により, うよリ多くの製剤成分を含有する容器1個以上を含む医薬パック又はキットを提供する。具体的な実施態様において, メマンチン は、茶さじ2杯容量のスリンジ (dosage KORC (登録商標))を用いる投与用経口溶液(2 mg/ml)として提供される。それぞれの経口スリンジは、スリンジの右側のライン(tsp 単位で表わす)(先端から下方) , 及び左側のライン(ml 単位で表す)のある、計量用ブルーハッチマークを有する。
【0054】
最適な治療上有効な量は、投与の正確な方法を考慮して, 薬物を投与するその形態, 投与が対象とする症状, 患者(subject involved) (たとえば体重, 健康状態, 年齢, 性別等々), 及び担当する医師又は獣医の経験及び好みから経験に基づいて決定されねばならない。
【0055】
本発明の調合物の毒性及び治療有効性は、動物実験で標準医薬操作によって、たとえばLD50 (集団の50%が死に至る量) 及びED50 (集団の50% に治療上有効な薬用量)を測定することによって決定することができる。治療効果と毒性効果の間の薬用量割合は治療指標であり、そしてこれを比率 ED50/LD50として表わすことができる。大きな治療指標を示す調合物が好ましい。
【0056】
ヒトの治療上の処置で本発明の有効物質の適する一日薬用量は、経口投与で体重kgあたり 約0.01-10 mg、そして非経口投与で体重kgあたり 0.001-10 mgである。成人に関して,メマンチン又はネラメキサンの適する一日薬用量は、一日あたり 約 1.25 mg 〜約 100 mg , 好ましくは一日あたり約 20 〜約 40 mg の範囲内である。年齢4-14の小児患者に関して, メマンチンを、一日あたり約 0.5 mg, 一日あたり約10 mgの最高薬用量までで経口液体投薬形として投与するのが好ましい。より低い出発薬用量, たとえば一日あたり約1.25 mgから約4週間かけて、毎週 一日あたり約1.25 mg増加させながら,最大薬用量への増量が、極めて推奨される。液体経口投与に関して, メマンチンを薬用量の液体同等物の約半分に溶解させる。たとえば, 12.5 mgのメマンチンを、10 ml の投与用液体製剤に溶解させることができる。
【0057】
治療期間は短期、たとえば数週間 (たとえば8-14週間), 又は主治医が更なる治療をもはや必要としないと考えるまでの長期であることができる。
【0058】
1-アミノシクロヘキサン誘導体を単剤療法として又はMS, EL又は PBAの治療に記載されたその他の剤と組み合わせて投与することができる。
【0059】
1-アミノシクロヘキサン誘導体を、酢酸グラチラマーを含む免疫調節剤と組み合わせて投与することができる。
【0060】
有効成分に適用される用語 "組み合わせ"は、2種の有効な剤 (たとえば1-アミノシクロヘキサン誘導体及び免疫調節剤を含む医薬調合物)を含む単一医薬調合物(製剤) 又は併用して投与すべき2種の別々の医薬調合物(それぞれが有効な剤を含む (たとえば1-アミノシクロヘキサン誘導体又は免疫調節剤を含む医薬調合物))を定義するために本明細書で使用される。
【0061】
本発明の意味の範囲内で, 用語"併用(conjoint)投与" は、1-アミノシクロヘキサン及び第二の有効な剤 (たとえば免疫調節剤) を1つの調合物中で同時に投与するか, 又は異なる調合物中で同時に又は連続して投与することを意味するために使用される。しかし、"併用"としてみなされる連続投与に関して, 1-アミノシクロヘキサン誘導体 及び第二の有効な剤は、哺乳類のMS, EL 又はPBA治療に結果として有益な効果がまだ認められる時間まで間隔をあけて投与しなければならない。
【実施例】
【0062】
次の例は本発明を説明するもであって、本発明はこれによって限定されない。
【0063】
例 1: 多発性硬化症における認識機能障害に対するメマンチンの二重盲検偽薬調節された予備試験
このパイロットプロジェクトは、多発性硬化症 (MS)における認知機能障害の治療としてメマンチンの効力を評価するために臨床試験を実施することにある。メマンチンで治療された認識機能障害のMS患者が、偽薬治療された患者に比べて神経心理総合適性検査(test battery)の遂行に予期されない改善を実証すると仮定する。
【0064】
認知機能障害は、多発性硬化症の身体障害の主な原因である。MS 集団の認知機能障害の推定有病率は、45% 〜65%である。認知機能障害のMS患者は、通常の認知症患者よりも少ない社会的相互作用, より多くの性機能障害, より大きい家事困難及びより高い失業を示す。現在, MSの認知機能障害の有効な薬理学的対症療法はない。この病態の治療に何らかの利点を有することができる、1つの剤は、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA) 受容体アンタゴニスト メマンチンである。
【0065】
メマンチンは、アルツハイマー病の治療に有効であると分ったNMDAアンタゴニストである。グルタミン酸毒性は、種々の神経系疾患(MSを含む)の病気の発生に関与した。グルタミン酸受容体活性化は、おそらく神経損傷の媒介(mediation)及び神経機能障害の双方に係わることができる。NMDA 受容体の遮断によって, メマンチンは神経機能も、遅い進行性神経死も改善することができる。前者は幾人かのアルツハイマー患者の病状改善を明らかにし, 後者はアルツハイマー患者の認識衰退の減速を潜在的に生じる。MSの認知機能障害の病気の発生は、少なくとも一部において脳の脱髄, 軸索消失及び萎縮の程度に関連がある。いくつかの認知機能障害は、治療可能である。炎症の低下は認識能力の改善を生じる。この調査はNMDA 受容体の役割を示し、そしてグルタミン酸毒性はMSの認知機能障害の治療に役割を果たすことができる。
【0066】
調査計画
21週の持続期間の偽薬-調節された, 二重盲検, 無作為, パラレル-グループ予備調査を、認識機能障害のMS患者に対して計画する。治療群につき20人の患者がいる。診療行為のある群は、一日あたり20 mgのメマンチンを受ける。無作為に分けられたそれぞれの治療群を年齢で階層化する。二重盲検, 偽薬調節された試験は、予備試験でも実施するのが重要である。学習及び偽薬効果の双方は、幾人かの対象者の認識能力を改善する可能性が高い。非盲検試験は患者にいくらかの改善を示す可能性があるが、その結果を説明することができないであろう。
【0067】
統計学的操作及び分析集団
指定外来診察は次の通りである:
外来診察1: 対象者は同意書を受け取る。署名後、視力を調べる。かれらは神経心理総合適性検査の最初の半分を受ける。このテストはthe Paced Auditory Serial Addition Test (PASAT) 及び California Verbal Learning Test II (CVLT-II)を含む。かれらはうつ病の自己評価尺度(Beck Depression Inventory (BDI))も受ける。妊娠の可能性のある女性は、妊娠テスト(ベータHCG)用の尿サンプルを採取するように頼む。この時点で, 患者は登録の完全な基準を満たすかとうか知らされる。かれらが適任ならば、かられは 神経心理試験 (Controlled Oral Word Association Test, Stroop Color And Word Association Test, Symbol Digit Modalities Test and Useful Field Of Vision Test)の残りの半分を受ける。
【0068】
この外来診察は、もし患者が調査に適任でないならば約 11/2 時間続けられ、そしてもし患者が適任ならば2 時間続けられる。
【0069】
外来診察 2: 対象者は疲労重度尺度(Fatigue Severity Scale (FSS)) 及び変型疲労襲撃尺度(Modified Fatigue Impact Scale (MFIS)), 身体検査及び神経学的検査を受ける。この外来診察は 1 時間続く。
【0070】
外来診察3: 完全な神経心理総合適性検査を行う。「the Medical Outcomes Study 36 Item Short Form Health Survey (SF-36)」 及び 「the Perceived Deficits Questionnaire (PDQ) from the Multiple Sclerosis Quality of Life Inventory (MSQLI)」 を行う。この外来診察は2 時間続く。
【0071】
外来診察 4: 完全な神経心理総合適性検査を再び行う。メマンチン及び偽薬錠剤(pills)を 投与する。メマンチンの最初の投薬量は、一日1回5 mg である。投薬量を4 週間かけて5 mg の増加量で一日あたり10 mg (一日2回、5 mg), 一日あたり15 mg (別々の投薬量として5 mg 及び10 mg), そして一日あたり 20 mg (一日2回、10 mg)に増加させ、ついで 残りの調査に対しては20 mgで続ける。この外来診察は約1 1/2 時間続ける。
【0072】
電話で追跡する外来診察を、登録された対象者のすべてに対して外来診察 #4の後4週間及び8週間実施する。これらの電話診察によって、調査法を再検討し、服薬及び副作用の報告をチェックする。電話外来診察の総時間は、15分である。
【0073】
外来診察 5: 二次の電話による追跡外来診察の4週間後、最後の判定のために、対象者をクリニックに戻す。この外来診察で, 対象者はすべての神経心理総合適性検査を完了する。SF-36 及びPDQ, BDI, FSS, 及びMFIS を行う。繰り返し身体検査及び神経学的検査をを行う。この外来診察は 2 1/2 時間続く。
【0074】
第一義的転帰: 神経心理総合適性検査: 各試験は、設定された有効性及び信頼性の通常使用される認知尺度である、神経心理総合適性検査を含む。この総合適性検査は、もっともしばしばMSに影響を与えるこれらの認知領域を評価するのに即している。総合適性検査に含まれるべき試験は次の通りである:
1. Paced Auditory Serial Addition Test: 聴覚情報処理速度の測定。
2. California Verbal Learning Test II: 言葉の学習/記憶の測定。
3. Controlled Oral Word Association Test: 音素流ちょう性の測定。
4. Stroop Color and Word Test: 集中力及び注意力の測定。
5. Symbol Digit Modalities Test: 情報処理速度及び視覚追跡の測定。
6. Useful Field of Vision Test: 視覚情報処理及び分割的注意の試験。
【0075】
第二義的転帰:
1. 疲労重度尺度: MS 臨床試験で使用された疲労重度尺度。
2. 変型疲労襲撃尺度: MS 具体的事項を用いる交互の疲労尺度。
3. MS クオリティ オブ ライフ インベントリー(MS Quality of Life Inventory): MS-スペシフィック ヘルスーリレイテッド クオリティ オブ ライフ インスツルメント (MS-specific health-related quality of life instrument)。健康調査質問表 (SF-36) 及び知覚欠損質問表(the Perceived Deficit Questionnaire)のみをMSQLIから使用する。
4. うつ病の自己評価尺度(Beck Depression Inventory): 頻繁に使用されるうつ病の尺度。
【0076】
試験対象患者基準:
1. マクドナルド基準によって定義された通りの多発性硬化症の診断。MSの再発性-寛解性, 二次進行性, 及び一次進行性状態の患者が選ばれる。
2. 年齢 18 〜 60 才。
3. PASAT 又は CVLT-IIで平均以下の0.5 〜 2.5 標準偏差範囲のスコとして定義されたスクリーンニングで認知機能障害を証明する。
【0077】
除外基準:
1. 大うつ病, 精神病の病歴, 又はうつ病の自己評価尺度(Beck’s Depression Inventory)でスコア >19 。
2. 20/50よりも悪い矯正両眼視野; 両眼色覚障害。
3. 一次言語としての英語を話さない患者(ことばの流暢さは遂行に影響を及ぼす)。
4. スクリーンニングの30日以内に臨床上顕著なMS 悪化。
5. 妊娠。
6. 腎不全。
7. 発作の病歴。
8. アセタゾールアミド (ダイアモックス, Ak-ゾル, Storzolamide), ジクロルフェナミド (Daranide), メタゾールアミド(Neptazane) 又は トピラメート (Topamax), デキスオトロメトロファン (Robitussin DM 及びその他の風邪治療薬), アマンタジン (Symmetrel)を使用する患者。
【0078】
データ分析
2つのグループ (メマンチン及び偽薬) を、人口統計因子及び疾患重度因子に対する無作為化格差(randomization inequity)に関して比べる。学習の起こりうる作用の故に, 第三の総合適性検査をベースラインとみなす。第一分析は反復測定ANOVAを使用して、2つのグループで応答を比べる。両側のアルファ値0.05 は、統計的有意性として定義される。すべての第一義的転帰及び二次変数を分析する。
【0079】
議論
メマンチン治療されたグループが 、偽薬グループに比べて認知総合適性検査の遂行に改善を示すことを確信した。
【0080】
例 2: マウスにおける EAE モデルでネラメキサンの使用
EAEの誘発。動物モデルでのEAEの誘発は、従来よく知れている。(Raine, Chapter 16, Handbook of Clinical Neurology, vol. 3(47): Demyelinating Diseases, Koetsier, ed., (Elsevier Science Publishers 1985)。現在のプロトコルで, 6-8 週のABH マウスを、フロイント完全アジュバント中のマウス脊髄ホモジネートで 0 & 7日目に免疫する。(Baker 等. 1990. J. Neuroimmunol 28:261 O’Neill 等 1992. J. Neuroimmunol. 38:53). 動物は、約3-4週間隔で麻痺の再発寛解型症状を発現する。これを麻痺の重度レベルを確保するために11日目から毎日監視し、そしてホームオフイス、アニマル(Home Office, Animals (Scientific Procedures) Act (1981))にしたがってヒューメインリミット(humanlimits)で維持する。2-3の再発エピソード (誘発後約80-120 日)後の痙攣 (硬直後肢(stiff hind limbs)) が発現するされのが認められる。可視性痙攣肢の動物を、供試化合物(TEST compound)の評価のために選ぶ。
【0081】
ストレインゲージに対する耐屈曲性は第一評価であり (Baker 等. 2000. Nature), 第二義的転帰尺度は、痙性尾の有無である。図 1A 及び1B参照。
【0082】
痙縮。痙攣性肢の“硬直”は、専用のストレインゲージを用いて測定し、後肢屈曲に対する抵抗力によって評価する。その肢を各肢の測定前に2回手で伸ばす。重度のクロスシング(crossing) 又は屈曲を示す肢は分析されない。シグナルは増幅され、DAS16 カード (Amplicon, Brighton UK.)を用いてデジタル化し、Dacquire V10 ソフトウエアを用いて捕捉し、ついで Spike 2 ソフトウエア (Baker 等 2000)を用いて分析する。左及び右後肢を交互に分析し、ついで 通常、肢毎に 5-8つの表示(readings)を各時点で測定する。平均値を計算し、ついでニュートンの力(forces in Newtons)に変換する。データをテストを組み込む、一要因反復測定分散分析[one-way repeated measures analysis of variance (ANOVA)]を用いて分析する。ベースラインに対する差異をまたt-検定(Paired t test)を用いて比較する。
【0083】
化合物の投与。供試化合物を賦形剤(SPONSORによって供給される-好ましくはこれは生理食塩水である) に(SPONSORによって供給されるべき)配量添加機を用いて溶解させる。これらを、(SPONSORによって供給されるべき)静脈内、腹腔内又は経口経路によって供給する。耐屈曲性を、静脈内、腹腔内注射後10分、30分及び60分で,そして経口投与後30, 60 及び90分で判定する。(増加する服用 (3回まで)を、ウオッシュアウト後動物の同一集団で使用し、薬用量応答の直接の比較を可能にすることができる)。
【0084】
これは薬物未投与動物で繰り返され、そして効果の寿命がX 時間までの時間間隔で、そして投与後24時間で判定される。
【0085】
結果- 3.1 mg/kg。図 2参照。
【0086】
一要因反復測定分散分析(One Way Repeated Measures Analysis of Variance)
正規性検定(Normality Test): Passed (P = 0.043)
等分散性検定(Equal Variance Test): Passed (P = 0.448)
【0087】
【表1】

処置グループ間の平均値の差異は、偶然予期されるよりも大きい。すなわち統計学的に有意差がある(P = <0.001)。その他のグループと異なるグループ1つ又は複数を隔離するために、多重比較法を使用する。
【0088】
α = 0.050で行われたテストのパワー(Power): 0.999。
【0089】
総一対多重比較法 (Student-Newman-Keuls Method):
ファクターに対する比較:
【0090】
【表2】

"Do Not Test" の結果は、比較を含む2つの平均間に有意差が見出されないとき、その比較に対して生じる。たとえば, 順に分類される4つの平均を有し,そして平均 4 vs. 2の間に差が見出されない場合, 4 vs. 3 及び 3 vs. 2で試験しないが、依然として4 vs. 1 及び3 vs. 1 (4 vs. 3 及び 3 vs. 2 は4 vs. 2: 4 3 2 1によって含まれる)を試験する。インクローズド平均(enclosed means) を試験しないことは手続規則であり, そしてDo Not Testの結果は、たとえそれが存在するようでも、あたかも平均間に有意差がないように扱わねばならないことを留意する。
結果 - 6.2 mg/kg。図 3参照。
一要因反復測定分散分析
正規性検定: Passed (P > 0.200)
等分散性検定: Passed (P = 0.115)
【0091】
【表3】

処置グループ間の平均値の差異は、偶然予期されるよりも大きい。すなわち統計学的に有意差がある(P = <0.001)。その他のグループと異なるグループ1つ又は複数を隔離するために、多重比較法を使用する。
【0092】
α = 0.050で行われたテストのパワー: 0.994.
総一対多重比較法 (Student-Newman-Keuls Method) :
ファクターに対する比較:
【0093】
【表4】

結果 - 12.3 mg/kg。図 4参照。
一要因反復測定分散分析
正規性検定: Passed (P = 0.013)
等分散性検定: Passed (P = 0.928)
【0094】
【表5】

処置グループ間の平均値の差異は、偶然予期されるよりも大きい。すなわち統計学的に有意差がある(P = <0.001)。その他のグループと異なるグループ1つ又は複数を隔離するために、多重比較法を使用する。
【0095】
α = 0.050で行われたテストのパワー: 1.000。
【0096】
総一対多重比較法 (Student-Newman-Keuls Method) 。
ファクターに対する比較:
【0097】
【表6】

調査で使用されたネラメキサンのすべての 3つの薬用量は、罹患したマウスにある後肢痙縮のレベルを低下させた。
【0098】
本発明はここに記載した具体的な実施態様によって範囲を限定するものではない。確かに, ここの記載した変更に加えて、本発明の種々の変更は、前述の記載から当業者に明かになる。このような変更は付加された請求項の範囲内にあることを意図している。
【0099】
すべての特許明細書, 出願明細書, 公表明細書, 試験法, 文献及びここに引用されたその他の記事を参考としてここに援用する。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1A】動物モデルの EAE誘発及び症候進行に関するプロトコルを示す。
【図1B】動物モデルの EAE誘発及び症候進行に関するプロトコルを示す。
【図2】注射後の時間 (分)に対する耐屈曲(N)性のプロットである。データポイントは 3.1 mg/kgのネラメキサン薬用量を反映する。
【図3】注射後の時間 (分)に対する耐屈曲(N)性のプロットである。データポイントは 6.2 mg/kgのネラメキサン薬用量を反映する。
【図4】注射後の時間 (分)に対する耐屈曲(N)性のプロットである。データポイントは 12.3 mg/kgのネラメキサン薬用量を反映する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を必要とする対象者(a subject)の多発性硬化症, 情動不安定又は制御不能情動の治療方法において、薬学的に許容し得るキャリヤー中の1-アミノシクロヘキサン誘導体の有効量を投与することを含む、上記治療方法。
【請求項2】
1-アミノシクロヘキサン誘導体を一日あたり 約 1.25 mg 〜約100 mgの範囲で投与する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
1-アミノシクロヘキサン誘導体を一日あたり 約 2.5 mg 〜約 40 mgの範囲で投与する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
1-アミノシクロヘキサン誘導体を一日あたり約10 mg投与する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
多発性硬化症を病む対象者が、認識機能障害を更に患う、請求項1記載の方法。
【請求項6】
1-アミノシクロヘキサン 誘導体が、一般式(I):
【化1】

{式中、
R* は-(A)n-(CR1R2)m-NR3R4であり、
n,m = 0〜2の整数,
A は線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6),線状又は分枝状低級アルケニル (C2-C6), 及び 線状又は分枝状低級 アルキニル (C2-C6)より成る群から選ばれ,
R1 及び R2は独立して水素, 線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6), 線状又は分枝状低級 アルケニル (C2-C6), 線状又は分枝状低級 アルキニル (C2-C6) アリール, 置換されたアリール 及び アリールアルキルより成る群から選ばれ,
R3 及び R4は独立して 水素, 線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6), 線状又は分枝状低級 アルケニル (C2-C6), 及び 線状又は分枝状低級アルキニル (C2-C6)より成る群から選ばれるか、又は一緒になってアルキレン (C2-C10) 又は アルケニレン (C2-C10)を形成するか又はNと一緒になって3-7-員のアザシクロアルカン 又は アザシクロアルケン[置換された(アルキル (C1-C6), アルケニル (C2-C6)) 3-7-員のアザシクロアルカン 又は アザシクロアルケンを含む]を形成するか、あるいは
独立して R3 又は R4 はRp, Rq, Rr, 又は Rsと一緒になって、アルキレン鎖 -CH(R6)-(CH2)t- (式中、t= 0 又は 1)を形成することができ、そしてアルキレン鎖の左側はU 又は Yに結合し、そしてアルキレン鎖の右側は N に結合し、そしてR6 は水素, 線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6), 線状又は分枝状低級 アルケニル (C2-C6), 線状又は分枝状低級 アルキニル (C2-C6), アリール, 置換されたアリール 及び アリールアルキルより成る群から選ばれるか、あるいは
独立してR3 又は R4はR5 と一緒になって式 -CH2-CH2-CH2-(CH2)t- で表わされるアルキレン鎖又は式-CH=CH-CH2-(CH2)t-, -CH=C=CH-(CH2)t- 又は -CH2-CH=CH-(CH2)t-, (式中、t= 0 又は 1)で表わされるアルケニレン鎖を形成することができ, そしてアルキレン鎖又はアルケニレン鎖の左側は Wに結合し、そして アルキレン環の右側は Nに結合し、
R5は独立して水素, 線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6), 線状又は分枝状低級 アルケニル (C2-C6), 及び 線状又は分枝状低級 アルキニル (C2-C6)より成る群から選ばれるか、又はR5 はこれが結合する炭素及び隣の隣接する環炭素と一緒になって二重結合を形成し、
Rp, Rq, Rr 及びRs は独立して水素, 線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6), 線状又は分枝状低級 アルケニル (C2-C6), 線状又は分枝状低級 アルキニル (C2-C6), シクロアルキル (C3-C6) 及び アリール, 置換されたアリール 及び アリールアルキルより成る群から選ばれか、又は Rp, Rq, Rr及び Rsは独立してこれが結合するU 又はYと一緒になって二重結合を形成することができるか、又は Rp, Rq, Rr及びRs は一緒になって低級アルキレン -(CH2)x- 又は低級アルケニレン架橋 (式中、x は2-5である。)を示すことができ、このアルキレン架橋はついで R5 と一緒になって別の低級アルキレン -(CH2)y- 又は低級アルケニレン架橋(式中、y は1-3である。)を形成することができ、
符号 U, W及び Y は炭素原子を示し,そして符号V, X及びZ は-(CH2)-を示す。}
で表わされ、そして式(I)で表わされる化合物の光学異性体, ジアステレオマー, 対掌体, 溶媒和物、水和物, 薬学的に許容し得る塩及及び一般式Iの範囲内の化合物の混合物を包含する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
1-アミノシクロヘキサン誘導体が1-アミノアダマンタンであるか又は:
1-アミノ-3-フェニル アダマンタン,
1-アミノ-メチル アダマンタン,
1-アミノ-3,5-ジメチル アダマンタン (メマンチン),
1-アミノ-3-エチル アダマンタン,
1-アミノ-3-イソプロピル アダマンタン,
1-アミノ-3-n-ブチル アダマンタン,
1-アミノ-3,5-ジエチル アダマンタン,
1-アミノ-3,5-ジイソプロピル アダマンタン,
1-アミノ-3,5-ジ-n-ブチル アダマンタン,
1-アミノ-3-メチル-5-エチル アダマンタン,
1-N-メチルアミノ-3,5-ジメチル アダマンタン,
1-N-エチルアミノ-3,5-ジメチル アダマンタン,
1-N-イソプロピル-アミノ-3,5-ジメチル アダマンタン,
1-N,N-ジメチル-アミノ-3,5-ジメチル アダマンタン,
1-N-メチル-N-イソプロピル-アミノ-3-メチル-5-エチル アダマンタン,
1-アミノ-3-ブチル-5-フェニル アダマンタン,
1-アミノ-3-ペンチル アダマンタン,
1-アミノ-3,5-ジペンチル アダマンタン,
1-アミノ-3-ペンチル-5-ヘキシル アダマンタン,
1-アミノ-3-ペンチル-5-シクロヘキシル アダマンタン,
1-アミノ-3-ペンチル-5-フェニル アダマンタン,
1-アミノ-3-ヘキシル アダマンタン,
1-アミノ-3,5-ジヘキシル アダマンタン,
1-アミノ-3-ヘキシル-5-シクロヘキシル アダマンタン,
1-アミノ-3-ヘキシル-5-フェニル アダマンタン,
1-アミノ-3-シクロヘキシル アダマンタン,
1-アミノ-3,5-ジシクロヘキシル アダマンタン,
1-アミノ-3-シクロヘキシル-5-フェニル アダマンタン,
1-アミノ-3,5-ジフェニル アダマンタン,
1-アミノ-3,5,7-トリメチル アダマンタン,
1-アミノ-3,5-ジメチル-7-エチル アダマンタン,
1-アミノ-3,5-ジエチル-7-メチル アダマンタン,
1-N-ピロリジノ 及び1-N-ピペリジン 誘導体,
1-アミノ-3-メチル-5-プロピル アダマンタン,
1-アミノ-3-メチル-5-ブチル アダマンタン,
1-アミノ-3-メチル-5-ペンチル アダマンタン,
1-アミノ-3-メチル-5-ヘキシル アダマンタン,
1-アミノ-3-メチル-5-シクロヘキシル アダマンタン,
1-アミノ-3-メチル-5-フェニル アダマンタン,
1-アミノ-3-エチル-5-プロピル アダマンタン,
1-アミノ-3-エチル-5-ブチル アダマンタン,
1-アミノ-3-エチル-5-ペンチル アダマンタン,
1-アミノ-3-エチル-5-ヘキシル アダマンタン,
1-アミノ-3-エチル-5-シクロヘキシル アダマンタン,
1-アミノ-3-エチル-5-フェニル アダマンタン,
1-アミノ-3-プロピル-5-ブチル アダマンタン,
1-アミノ-3-プロピル-5-ペンチル アダマンタン,
1-アミノ-3-プロピル-5-ヘキシル アダマンタン,
1-アミノ-3-プロピル-5-シクロヘキシル アダマンタン,
1-アミノ-3-プロピル-5-フェニル アダマンタン,
1-アミノ-3-ブチル-5-ペンチル アダマンタン,
1-アミノ-3-ブチル-5-ヘキシル アダマンタン,
1-アミノ-3-ブチル-5-シクロヘキシル アダマンタン,
それらの光学異性体, ジアステレオマー, 対掌体, 溶媒和物、水和物, N-メチル誘導体, N,N-ジメチル誘導体, N-エチル誘導体及びN-プロピル誘導体, 及びそれらの薬学的に許容し得る塩,及びそれらの混合物より成る群から選ばれる、1-アミノアダマンタン誘導体のうちの1種である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
1-アミノシクロヘキサン誘導体が、メマンチン及びそのプロドラッグ、塩、異性体、同族体及びそれらの誘導体より成る群から選ばれる、請求項1記載の方法。
【請求項9】
1-アミノシクロヘキサン誘導体がメマンチンである、請求項1記載の方法。
【請求項10】
1-アミノシクロヘキサン誘導体が、
1-アミノ-1,3,5-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1(トランス),3(トランス),5-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1(シス),3(シス),5-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3,3,5-テトラメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン (ネラメキサン),
1-アミノ-1,3,5,5-テトラメチル-3-エチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,5,5-トリメチル-3,3-ジエチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,5,5-トリメチル-シス-3-エチルシクロヘキサン,
1-アミノ-(1S,5S)シス-3-エチル-1,5,5-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,5,5-トリメチル-トランス-3-エチルシクロヘキサン,
1-アミノ-(1R,5S)トランス-3-エチル-1,5,5-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1-エチル-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1-プロピル-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサン,
N-メチル-1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン,
N-エチル-1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチル-シクロヘキサン,
N-(1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキシル) ピロリジン,
3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシルメチルアミン,
1-アミノ-1-プロピル-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3,3,5(トランス)-テトラメチルシクロヘキサン (アキシャルアミノ基),
3-プロピル-1,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシルアミン 半水和物,
1-アミノ-1,3,5,5-テトラメチル-3-エチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3,5-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3-ジメチル-3-プロピルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3(トランス),5(トランス)-トリメチル-3(シス)-プロピルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3-ジメチル-3-エチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン,
シス-3-エチル-1(トランス)-3(トランス)-5-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3(トランス)-ジメチルシクロヘキサミン,
1,3,3-トリメチル-5,5-ジプロピルシクロヘキシルアミン,
1-アミノ-1-メチル-3(トランス)-プロピルシクロヘキサン,
1-メチル-3(シス)-プロピルシクロヘキシルアミン,
1-アミノ-1-メチル-3(トランス)-エチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3,3-トリメチル-5(シス)-エチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3,3-トリメチル-5(トランス)-エチルシクロヘキサン,
シス-3-プロピル-1,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン,
トランス-3-プロピル-1,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン,
N-エチル-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキシルアミン,
N-メチル-1-アミノ-1,3,3,5.5-ペンタメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1-メチルシクロヘキサン,
N,N-ジメチル-1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン,
2-(3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシル)エチルアミン,
2-メチル-1-(3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシル)プロピル-2-アミン,
2-(1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキシル)-エチルアミン 半水和物,
N-(1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキシル)-ピロリジン,
1-アミノ-1,3(トランス),5(トランス)-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,3(シス),5(シス)-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-(1R,5S)トランス-5-エチル-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-(1S,5S)シス-5-エチル-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,5, 5-トリメチル-3(シス)-イソプロピル-シクロヘキサン,
1-アミノ-1,5,5-トリメチル-3(トランス)-イソプロピル-シクロヘキサン,
1-アミノ-1-メチル-3(シス)-エチル-シクロヘキサン,
1-アミノ-1-メチル-3(シス)-メチル-シクロヘキサン,
1-アミノ-5,5-ジエチル-1,3,3-トリメチル-シクロヘキサン,
1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1,5,5-トリメチル-3,3-ジエチルシクロヘキサン,
1-アミノ-1-エチル-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサン,
N-エチル-1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン,
N-(1,3,5-トリメチルシクロヘキシル)ピロリジン又はピペリジン,
N-[1,3(トランス),5(トランス)-トリメチルシクロヘキシル]ピロリジン又はピペリジン,
N-[1,3(シス),5(シス)-トリメチルシクロヘキシル]ピロリジン又はピペリジン,
N-(1,3,3,5-テトラメチルシクロヘキシル)ピロリジン又はピペリジン,
N-(1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキシル)ピロリジン又はピペリジン,
N-(1,3,5,5-テトラメチル-3-エチルシクロヘキシル)ピロリジン又はピペリジン,
N-(1,5,5-トリメチル-3,3-ジエチルシクロヘキシル)ピロリジン又はピペリジン,
N-(1,3,3-トリメチル-シス-5-エチルシクロヘキシル)ピロリジン又はピペリジン,
N-[(1S,5S)シス-5-エチル-1,3,3-トリメチルシクロヘキシル]ピロリジン又はピペリジン,
N-(1,3,3-トリメチル-トランス-5-エチルシクロヘキシル)ピロリジン又はピペリジン,
N-[(1R,5S)トランス-5-エチル,3,3-トリメチルシクロヘキシル]ピロリジン又はピペリジン,
N-(1-エチル-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシル)ピロリジン又はピペリジン,
N-(1-プロピル-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシル)ピロリジン又はピペリジン,
N-(1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキシル)ピロリジン,
それらの光学異性体, ジアステレオマー, 対掌体, 溶媒和物、水和物, それらの薬学的に許容し得る塩, 及びそれらの混合物より成る群から選ばれる、請求項1記載の方法。
【請求項11】
1-アミノシクロヘキサン誘導体が、ネラメキサン及びそのプロドラッグ、塩、異性体、同族体及び誘導体から選ばれる、請求項1記載の方法。
【請求項12】
1-アミノシクロヘキサン誘導体がネラメキサンである、請求項1記載の方法。
【請求項13】
1-アミノシクロヘキサン誘導体を一日1回 又は 一日2回 (b.i.d.)投与する、請求項1記載の方法。
【請求項14】
1-アミノシクロヘキサン誘導体を放出調節製剤の形で投与する、請求項1記載の方法。
【請求項15】
1-アミノシクロヘキサン誘導体をフレーバーな、経口液体製剤の形で投与する、請求項1記載の方法。
【請求項16】
治療を必要とする対象者の多発性硬化症, 情動不安定又は制御不能情動の治療方法において,有効量の 1-アミノシクロヘキサン誘導体及び免疫調節剤を投与することを含む、上記治療方法。
【請求項17】
1-アミノシクロヘキサン誘導体及び免疫調節剤を併用投与する、請求項16記載の方法。
【請求項18】
1-アミノシクロヘキサン誘導体及び免疫調節剤 を単一製剤の形で投与する、請求項17記載の方法。
【請求項19】
1-アミノシクロヘキサンが一般式 (I):
【化2】

{式中、
R* は-(A)n-(CR1R2)m-NR3R4であり、
n,m = 0〜2の整数,
A は線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6),線状又は分枝状低級アルケニル (C2-C6), 及び 線状又は分枝状低級 アルキニル (C2-C6)より成る群から選ばれ,
R1 及び R2は独立して水素, 線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6), 線状又は分枝状低級 アルケニル (C2-C6), 線状又は分枝状低級 アルキニル (C2-C6) アリール, 置換されたアリール 及び アリールアルキルより成る群から選ばれ,
R3 及び R4は独立して 水素, 線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6), 線状又は分枝状低級 アルケニル (C2-C6), 及び 線状又は分枝状低級アルキニル (C2-C6)より成る群から選ばれるか、又は一緒になってアルキレン (C2-C10) 又は アルケニレン (C2-C10)を形成するか又はNと一緒になって3-7-員のアザシクロアルカン 又は アザシクロアルケン[置換された(アルキル (C1-C6), アルケニル (C2-C6)) 3-7-員のアザシクロアルカン 又は アザシクロアルケンを含む]を形成するか、あるいは
独立して R3 又は R4 はRp, Rq, Rr, 又は Rsと一緒になって、アルキレン鎖 -CH(R6)-(CH2)t- (式中、t= 0 又は 1)を形成することができ、そしてアルキレン鎖の左側はU 又は Yに結合し、そしてアルキレン鎖の右側は N に結合し、そしてR6 は水素, 線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6), 線状又は分枝状低級 アルケニル (C2-C6), 線状又は分枝状低級 アルキニル (C2-C6), アリール, 置換されたアリール 及び アリールアルキルより成る群から選ばれるか、あるいは
独立してR3 又は R4はR5 と一緒になって式 -CH2-CH2-CH2-(CH2)t- で表わされるアルキレン鎖又は式-CH=CH-CH2-(CH2)t-, -CH=C=CH-(CH2)t- 又は -CH2-CH=CH-(CH2)t-, (式中、t= 0 又は 1)で表わされるアルケニレン鎖を形成することができ, そしてアルキレン鎖又はアルケニレン鎖の左側は Wに結合し、そして アルキレン環の右側は Nに結合し、
R5は独立して水素, 線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6), 線状又は分枝状低級 アルケニル (C2-C6), 及び 線状又は分枝状低級 アルキニル (C2-C6)より成る群から選ばれるか、又はR5 はこれが結合する炭素及び隣の隣接する環炭素と一緒になって二重結合を形成し、
Rp, Rq, Rr 及びRs は独立して水素, 線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6), 線状又は分枝状低級 アルケニル (C2-C6), 線状又は分枝状低級 アルキニル (C2-C6), シクロアルキル (C3-C6) 及び アリール, 置換されたアリール 及び アリールアルキルより成る群から選ばれか、又は Rp, Rq, Rr及び Rsは独立してこれが結合するU 又はYと一緒になって二重結合を形成することができるか、又は Rp, Rq, Rr及びRs は一緒になって低級アルキレン -(CH2)x- 又は低級アルケニレン架橋 (式中、x は2-5である。)を示すことができ、このアルキレン架橋はついで R5 と一緒になって別の低級アルキレン -(CH2)y- 又は低級アルケニレン架橋(式中、y は1-3である。)を形成することができ、
符号 U, W及び Y は炭素原子を示し,そして符号V, X及びZ は-(CH2)-を示す。}
で表わされ、そして式(I)で表わされる化合物の光学異性体, ジアステレオマー, 対掌体, 溶媒和物、水和物, 薬学的に許容し得る塩及び一般式Iの範囲内の化合物の混合物を包含する、請求項16記載の方法。
【請求項20】
1-アミノシクロヘキサン誘導体が、メマンチン及びそのプロドラッグ、塩、異性体、同族体及び誘導体から選ばれる、請求項16記載の方法。
【請求項21】
1-アミノシクロヘキサン誘導体が、ネラメキサン及びそのプロドラッグ、塩、異性体、同族体及び誘導体から選ばれる、請求項16記載の方法。
【請求項22】
免疫調節剤が酢酸グラチラマー(glatiramer acetate)及びそのプロドラッグ、塩、異性体、同族体及び誘導体から選ばれる、請求項16記載の方法。
【請求項23】
1-アミノシクロヘキサン誘導体, 免疫調節剤及び薬学的に許容し得るキャリヤー 又は賦形剤を含む、多発性硬化症, 情動不安定又は制御不能情動の治療用医薬調合物において、1-アミノシクロヘキサン誘導体及び免疫調節剤が治療上有効な薬用量で存在する、上記医薬調合物。
【請求項24】
1-アミノシクロヘキサンが一般式(I):
【化3】

{式中、
R* は-(A)n-(CR1R2)m-NR3R4であり、
n,m = 0〜2の整数,
A は線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6),線状又は分枝状低級アルケニル (C2-C6), 及び 線状又は分枝状低級 アルキニル (C2-C6)より成る群から選ばれ,
R1 及び R2は独立して水素, 線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6), 線状又は分枝状低級 アルケニル (C2-C6), 線状又は分枝状低級 アルキニル (C2-C6) アリール, 置換されたアリール 及び アリールアルキルより成る群から選ばれ,
R3 及び R4は独立して 水素, 線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6), 線状又は分枝状低級 アルケニル (C2-C6), 及び 線状又は分枝状低級アルキニル (C2-C6)より成る群から選ばれるか、又は一緒になってアルキレン (C2-C10) 又は アルケニレン (C2-C10)を形成するか又はNと一緒になって3-7-員のアザシクロアルカン 又は アザシクロアルケン[置換された(アルキル (C1-C6), アルケニル (C2-C6)) 3-7-員のアザシクロアルカン 又は アザシクロアルケンを含む]を形成するか、あるいは
独立して R3 又は R4 はRp, Rq, Rr, 又は Rsと一緒になって、アルキレン鎖 -CH(R6)-(CH2)t- (式中、t= 0 又は 1)を形成することができ、そしてアルキレン鎖の左側はU 又は Yに結合し、そしてアルキレン鎖の右側は N に結合し、そしてR6 は水素, 線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6), 線状又は分枝状低級 アルケニル (C2-C6), 線状又は分枝状低級 アルキニル (C2-C6), アリール, 置換されたアリール 及び アリールアルキルより成る群から選ばれるか、あるいは
独立してR3 又は R4はR5 と一緒になって式 -CH2-CH2-CH2-(CH2)t- で表わされるアルキレン鎖又は式-CH=CH-CH2-(CH2)t-, -CH=C=CH-(CH2)t- 又は -CH2-CH=CH-(CH2)t-, (式中、t= 0 又は 1)で表わされるアルケニレン鎖を形成することができ, そしてアルキレン鎖又はアルケニレン鎖の左側は Wに結合し、そして アルキレン環の右側は Nに結合し、
R5は独立して水素, 線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6), 線状又は分枝状低級 アルケニル (C2-C6), 及び 線状又は分枝状低級 アルキニル (C2-C6)より成る群から選ばれるか、又はR5 はこれが結合する炭素及び隣の隣接する環炭素と一緒になって二重結合を形成し、
Rp, Rq, Rr 及びRs は独立して水素, 線状又は分枝状低級アルキル (C1-C6), 線状又は分枝状低級 アルケニル (C2-C6), 線状又は分枝状低級 アルキニル (C2-C6), シクロアルキル (C3-C6) 及び アリール, 置換されたアリール 及び アリールアルキルより成る群から選ばれか、又は Rp, Rq, Rr及び Rsは独立してこれが結合するU 又はYと一緒になって二重結合を形成することができるか、又は Rp, Rq, Rr及びRs は一緒になって低級アルキレン -(CH2)x- 又は低級アルケニレン架橋 (式中、x は2-5である。)を示すことができ、このアルキレン架橋はついで R5 と一緒になって別の低級アルキレン -(CH2)y- 又は低級アルケニレン架橋(式中、y は1-3である。)を形成することができ、
符号 U, W及び Y は炭素原子を示し,そして符号V, X及びZ は-(CH2)-を示す。}
で表わされ、そして式(I)で表わされる化合物の光学異性体, ジアステレオマー, 対掌体, 溶媒和物、水和物, 薬学的に許容し得る塩及び一般式Iの範囲内の化合物の混合物を包含する、請求項23記載の医薬調合物。
【請求項25】
1-アミノシクロヘキサン誘導体が、メマンチン及びそのプロドラッグ、塩、異性体、同族体及び誘導体から選ばれる、請求項23記載の方法。
【請求項26】
1-アミノシクロヘキサン誘導体が、ネラメキサン及びそのプロドラッグ、塩、異性体、同族体及び誘導体から選ばれる、請求項23記載の方法。
【請求項27】
免疫調節剤が酢酸グラチラマー及びそのプロドラッグ、塩、異性体、同族体及び誘導体から選ばれる、請求項23記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−525488(P2008−525488A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548505(P2007−548505)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/046733
【国際公開番号】WO2006/069294
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(397045220)メルツ・ファルマ・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシヤフト・アウフ・アクティーン (31)
【Fターム(参考)】