説明

多目的接着剤組成物

【課題】ヒドロゲル接着剤のような接着剤、特に、少なくとも結合剤ポリマー及び水溶性可塑剤を含む接着剤組成物を提供する。
【解決手段】接着剤組成物は、少なくとも結合剤ポリマー及び水溶性可塑剤を含む。結合剤ポリマーは、接着剤組成物の重量で約10%から約60%の範囲で存在することができ、可塑剤は、約40重量%から約80重量%の範囲のような接着剤組成物の重量で約5%から約85%の範囲で存在することができる。一部の態様では、接着剤はまた、重量で約0%から約5%のような重量で10%よりも少ない高揮発性成分を含む。接着剤組成物は、パーソナルケア物品、健康/医療用物品、及び家庭/工業用物品を含む様々な物品に利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒドロゲル接着剤のような接着剤に関する。より具体的には、本発明は、少なくとも結合剤ポリマー及び水溶性可塑剤を含む接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒドロゲル接着剤、特に人間の皮膚上に利用することができるこれらの接着剤の分野では、最近の進歩が見られる。このような接着剤の1つの意図は、続いて起こる取り外し及び再取り付け後に一定の接着性をもたらし、同時に各取り外し後に表面上に残された接着剤残留物の量を最小にするか又は排除することである。このような接着剤は、グリセロールのようなモノマー及び可塑剤の使用に関連する可能性がある。多くの場合に、これらの接着剤は、光重合として公知の手順を用いて架橋される。残念ながら、このようなモノマー及び光重合の使用は、多くの場合に、接着剤が調製されるまで未知である残留モノマーのレベルをもたらす可能性がある。更に、光重合手順は、グリセロールと組み合わせて用いると、アクロレインのような有毒な副産物を生成する可能性がある。従って、残留モノマーの指定の低いレベル及び/又は既知のレベルを有するポリマーに基づき、かつ有毒な副産物の生成をもたらさない接着剤組成物の必要性が存在する。
【0003】
更に、上述したもののようなヒドロゲル接着剤の生成は、非常にコスト集中的になる可能性がある。例えば、このような工程は、典型的に、とりわけ窒素パージ及び高価なUVランプ並びに光開始剤を必要とする紫外線(UV)重合化を伴うものである。UV重合ヒドロゲル接着剤は、重合化が完了するまで低粘性モノマーがセルに閉じ込められるべきであるから、一般的にユニットサイズで形成される。従って、余り複雑でなく、乾燥作業に対する資本要件が低く、かつその後の成形するための打抜きを伴う大規模コーティング及び乾燥に対してより柔軟性がある手順を用いて作られる接着剤組成物の要望が更に存在する。
【0004】
上述したもののようなヒドロゲル接着剤の更に別の問題は、接着剤に含まれる水の量に関する。例えば、このようなヒドロゲル接着剤は、典型的に重量で少なくとも10%の水及び多くて85%の水を含有する。この高い含水量は、水の蒸発が、貯蔵中又は使用中に関わらず、ヒドロゲル接着剤の接着性に有意な変化をもたらす可能性があるので問題になる場合がある。例えば、貯蔵中の乾燥は、粘着性及び馴染み性の乏しい堅い接着剤をもたらす可能性がある。更に、使用中の乾燥は、かなりの接着剤蓄積及び苦痛な取り除きをもたらす可能性がある。従って、殆ど水を含まず、従って、貯蔵中又は使用中の水損失で生じる接着性の変化を最小にする接着剤組成物の更に別の必要性が存在する。更に、付着面に恩典をもたらすために利用することができるある一定の添加剤、特に薬物及び皮膚強化剤のような添加剤を接着剤組成物に更に組み込むことが望ましいと考えられる。
【0005】
【特許文献1】EP1163309B1
【非特許文献1】ロバート・J・グッド及びロバート・J・ストロンバーグ編「表面及びコロイド科学実験法」、第2巻(プレナム・プレス、1979年)
【発明の開示】
【0006】
本発明は、ヒドロゲル接着剤のような接着剤に関する。より具体的には、本発明は、少なくとも結合剤ポリマー及び水溶性可塑剤を含む接着剤組成物に関する。望ましい態様では、結合剤ポリマーは、接着剤組成物の重量で約10%から約60%の量で存在することができ、可塑剤は、約40重量%から約80重量%のような接着剤組成物の重量で約5%から約85%の量で存在することができる。一部の態様では、接着剤組成物はまた、水のような高揮発性成分を重量で10%よりも少なく、より適切には、重量で約0%から約5%含むことができる。接着剤組成物は、パーソナルケア物品、健康/医療用物品、及び家庭/工業用物品を含む様々な物品に利用することができる。
本発明の多く他の特徴及び利点は、以下の説明から明らかになるであろう。説明では、本発明の例示的実施形態を参照する。このような実施形態は、本発明の全範囲を表すものではない。従って、本発明の全範囲を解釈するためには、本明細書の特許請求の範囲を参照すべきである。
【0007】
定義
本発明の開示に用いる時、用語「comprises」、「comprising」、及び基礎用語「comprise」からの他の派生語は、説明するあらゆる特徴、要素、完全体、段階、又は構成要素の存在を指定する非制限用語であることを意図し、1つ又はそれよりも多くの他の特徴、要素、完全体、段階、構成要素、又はこれらの群の存在又は追加を排除するようには意図していないことに注意すべきである。
【0008】
用語「吸収性物品」は、一般的に、流体を吸収して収容することができる装置を意味する。例えば、パーソナルケア吸収性物品は、身体から排出される様々な流体を吸収して収容するために皮膚に対して又はその近くに置かれる装置を意味する。用語「使い捨て」は、本明細書では1回使用後に洗濯又は他の方法で吸収性物品として回復又は再使用することを意図しない吸収性物品を説明するのに用いられる。このような使い捨て吸収性物品の例は、以下に限定されるものではないが、パーソナルケア吸収性物品、健康/医療用吸収性物品、及び家庭/工業用吸収性物品を含む。
【0009】
用語「健康/医療用物品」は、以下に限定されるものではないが、薬用パッチ、温熱又は寒冷療法を適用するための製品、医療用外衣(すなわち、保護及び/又は外科用外衣)、外科用ドレープ、帽子、手袋、顔面マスク、包帯、創傷包帯、ワイプ、カバー、容器、フィルタ、使い捨て衣類及びベッドパッド、医療用吸収性衣類、及びアンダーパッドなどを含む様々な専門及び消費者向けヘルスケア製品を含む。
【0010】
用語「家庭/工業用物品」は、建設及び包装用供給品、洗浄及び消毒用の製品、ワイプ、カバー、フィルタ、タオル、使い捨て切断シート、浴用ティッシュ、顔面用ティッシュ、不織ロール物品、更に、枕、パッド、マット、クッション、マスクを含む慰楽製品、並びに皮膚を洗浄又は治療するのに用いる製品のようなボディケア製品、実験用外衣、つなぎ服、ごみ袋、染み抜き剤、局所組成物、洗濯汚れ/インク吸収剤、及び包装などを含む。
【0011】
用語「親水性」は、90度未満の空気中の水の接触角を有する材料を意味する。用語「疎水性」は、少なくとも90度の空気中の水の接触角を有する材料を意味する。本出願の目的に対しては、接触角測定値は、本発明の開示と矛盾しない方法で本明細書において引用により組み込まれているロバート・J・グッド及びロバート・J・ストロンバーグ編「表面及びコロイド科学実験法」、第2巻(プレナム・プレス、1979年)に説明されているように判断することができる。
【0012】
語句「パーソナルケア物品」は、以下に限定されるものではないが、おむつ、おむつパンツ、乳児用ワイプ、トレーニングパンツ、吸収性下着、育児パンツ、水着、及び他の使い捨て衣類のような吸収性物品と、生理用ナプキン、ワイプ、月経パッド、月経パンツ、パンティライナ、パンティシールド、陰唇用具、タンポン、及びタンポンアプリケータを含む女性用ケア製品と、ワイプ、胸パッドのようなパッド、容器、失禁用製品、及び尿シールドを含む大人用ケア製品と、衣服構成要素と、胸当てと、運動及びレクリエーション製品などを含む。
これらの用語は、本明細書の残りの部分において追加の言語を用いて定義される場合がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、ヒドロゲル接着剤のような接着剤に関する。より具体的には、本発明は、少なくとも1つの結合剤ポリマー及び水溶性可塑剤を含む接着剤組成物に関する。望ましい態様では、結合剤ポリマーは、接着剤組成物の重量で約10%から約60%の量で存在することができ、可塑剤は、約40重量%から約80重量%のような接着剤組成物の重量で約5%から約85%の量で存在することができる。一部の態様では、接着剤組成物はまた、約0重量%から約5重量%のような重量で10%未満の高揮発性成分を含む。成分の架橋は、適切には、3次元基質を生成する可塑剤の存在下で行われる。
【0014】
結合剤ポリマーは、適切には、重量で約25%から約90%、又は重量で約30%から約80%、又は重量で約50%から約70%のような重量で約15%から約99.8%のモノエチレン不飽和のポリマーユニットを含む。適切なモノエチレン不飽和のポリマーユニットは、以下に限定されるものではないが、モノエチレン不飽和のカルボン酸ユニット及びこれらの塩、モノエチレン不飽和のスルホン酸ユニット及びこれらの塩、並びにモノエチレン不飽和のホスホン酸ユニット及びこれらの塩を含む。モノエチレン不飽和のポリマーユニットを形成するのに用いることができる適切なモノエチレン不飽和のモノマーは、以下に限定されるものではないが、以下のものを含む。
a)(メタ)アクリル酸(アクリル酸又はメタクリル酸を意味し、同じ表記法が以下に用いられる)、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、ソルビン酸、イタコン酸、及び桂皮酸のようなモノエチレン不飽和のモノ又はポリカルボン酸を含むカルボキシル基含有モノマー、
b)モノエチレン不飽和のポリカルボン酸無水物(無水マレイン酸など)を含むカルボン酸無水基含有モノマー、
c)モノエチレン不飽和のモノ又はポリカルボン酸((メタ)アクリル酸ナトリウム、トリメチルアミン(メタ)アクリレート、トリエタノールアミン(メタ)アクリレートなど)、マレイン酸ナトリウム、マレイン酸メチルアミンの水溶性塩(アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、その他)を含むカルボン酸塩基含有モノマー、
d)脂肪族又は芳香族ビニルスルホン酸(ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸など)、(メタ)アリルスルホン酸[スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリルオキシプロピルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸など]を含むスルホン酸基含有モノマー、
e)上述のようなモノマーを含むスルホン酸基のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩を含むスルホン酸塩基含有モノマー、及び/又は
f)ビニルホルムアミド、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド(N−メチルアクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミドなど)、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジ−n−プロピルアクリルアミドなど)、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド[N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなど]、N,N−ジヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド[N,N−ジヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなど]、3−アクリルアミドプロピルトリメチル塩化アンモニウム、ビニルラクタム(N−ビニルピロリドンなど)を含むアミド基含有モノマー。
【0015】
結合剤ポリマーはまた、アルコキシシラン官能基を含有するアクリレート及び/又はメタクリレートエステルユニットのような重量で約0.1から約20%のポリアクリレートエステルユニットを含む。アクリレート及び/又はメタクリレートエステルユニットは、モノエチレン不飽和のモノマーユニットと共重合される。より詳細には、結合剤ポリマーは、重量で約1.0から約10%、又は重量で約1.5から約5.5%のような重量で約0.5から約15%のアクリレート及び/又はメタクリレートエステルユニットを含むことができる。
【0016】
アルコキシシラン官能基は、シラノール基を形成する水と反応する官能基又は官能部分である。1つの適切なアルコキシシラン基は、次の構造を有するトリアルコキシシラン基である。

ここで、R1、R2、及びR3は、1から6までの炭素原子を別々に有するアルキル基である。
【0017】
本明細書で用いる場合、用語「モノマー」は、モノマー、オリゴマー、ポリマー、更に、モノマー、オリゴマー、及び/又はポリマーの混合物、並びにモノエチレン不飽和のカルボン酸、スルホン酸又はリン酸、又はこれらの塩と共重合可能であるあらゆる他の反応性化学種を含む。トリアルコキシシラン官能基を含有するエチレン不飽和のモノマーは、本発明に適切であり、かつ望ましい。適切なエチレン不飽和のモノマーは、アクリレート及びメタクリレートを含む。特にトリアルコキシシラン官能基を含有するエチレン不飽和のモノマーは、「Z−6030シラン」の銘柄で、米国ミシガン州ミッドランド所在のダウ・コーニングから市販のメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランである。他の適切なトリアルコキシシラン官能基を含有するエチレン不飽和のモノマーは、以下に限定されるものではないが、メタクリルオキシエチルトリメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリプロポキシシラン、アクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、及び3−メタクリルオキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シランを含む。しかし、クロロシラン又はアセトキシシランのようなシラノール基を形成するように容易に水と反応するトリアルコキシシラン官能基又は官能部分を有する広範なビニル及びアクリルモノマーは、本発明による共重合化に望ましい効果をもたらし、有効なモノマーであると考えられている。
【0018】
結合剤ポリマーはまた、重量で約5−75%、又は重量で約10−60%、又は重量で約20−50%、又は重量で約30−40%のような重量で約0.1−75%のポリオレフィングリコール及び/又は酸化ポリオレフィンユニットを含む。ポリオレフィングリコール又は酸化物は、約2−4炭素原子を有するオレフィンポリマーのグリコール又は酸化物とすることができる。ポリエチレングリコール、酸化ポリオレフィン、ポリプロピレングリコール、及び酸化ポリプロピレンは、適切なポリマーユニットの例である。ポリオレフィングリコール及び/又は酸化ポリオレフィンは、1分子当たり平均して約4から15,000のグリコール及び/又は酸化物ユニットを含むことができる。ポリオレフィングリコールユニットの重量平均分子量は、約200から8000に及ぶ可能性がある。酸化ポリオレフィンユニットを用いると、これらの酸化ポリオレフィンユニットは、約100,000から約600,000の重量平均分子量を有することができる。
【0019】
ポリオレフィングリコール及び酸化ポリオレフィンは、市販されており、かつ一般的である。本発明の結合剤ポリマーを調製するために、予備形成ポリオレフィングリコール及び/又は酸化物は、水性溶媒又は担体、エタノールのような有機溶媒又は担体、又は水性及び有機溶媒又は担体の混和結合を含む反応容器内で溶解又は分散させることができる。モノエチレン不飽和のポリマーユニット及びポリアクリレートエステルユニットを形成するのに用いるモノマーは、ポリオレフィングリコール又は酸化物が鋳型ポリマーとして機能を果たす鋳型重合工程を用いて、溶液に加えられて重合される。開始前に、例えば、アクリル酸の酸性基のようなモノマーの極性基は、水素結合によってポリオレフィングリコール及び/又は酸化ポリオレフィンに引き付けられる。骨格として機能を果たすポリオレフィングリコール及び/又は酸化物を有するモノマーの立体配列は、重合に役立ち、一般的に重合ユニットの鎖長を増大させる。重合中に、ラジカル重合鎖は、形成されるコポリマーに対してポリオレフィングリコール及び/又は酸化物のグラフトをもたらす鋳型ポリマーに付着される場合がある。しかし、このグラフト重合は、起こる必要はない。得られる結合剤ポリマーは、モノエチレン不飽和のポリマーユニットと、アルコキシシラン官能基を含有するアクリレート又はメタクリレートエステルユニットとのコポリマーに加えられ、及び/又はコポリマーと配合されたポリオレフィングリコール及び/又は酸化物を含む。
【0020】
重合は、以下に限定されるものではないが、熱エネルギ、紫外線、及び酸化還元化学反応を含む様々な方法を使用して開始することができる。上述の成分の溶液は、例えば、約50−90℃のフリーラジカルを生成するのに適切な温度で開始剤溶液に加えることができる。開始剤は、有機又は水性溶媒に開始剤を溶解することによって調製することができる。開始剤の適切な種類は、例として、過酸化ベンゾイル及びアゾビスイソブチルニトリル(ABN)を有する有機過酸化物及びアゾ化合物である。
【0021】
O−O、S−S、又はN−N結合を含む化合物は、熱開始剤として用いることができる。O−O結合を含む化合物、すなわち、過酸化物は、一般的に、重合の開始剤として用いられる。このような一般的に用いる過酸化物開始剤は、過酸化クミル、過酸化t−ブチル、過酸化ジ−t−ブチル、過酸化ジクミル、過酸化クミルブチル、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3及びビス(a−t−ブチルペルオキシイソプロピルベンゼン)のようなアルキル、ジアルキル、過酸化ジアリル及びアリルアルキル、過酸化アセチル及び過酸化ベンゾイルのような過酸化アシル、クミルヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、p−メタンヒドロペルオキシド、ピナンヒドロペルオキシド及びクメンヒドロペルオキシドのようなヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオクトエート、t−ブチルペルベンゾエート、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ジ(ペルベンゾエート)及びt−ブチルジ(ペルフタレート)のようなペルエステル又はペルオキシエステル、過酸化アルキルスルホニル、ジアルキルペルオキシモノカーボネート、ジアルキルペルオキシジカーボネート、ジペルオキシケタル、過酸化シクロヘキサノン及び過酸化メチルエチルケトンのような過酸化ケトンを含む。更に、AIBNと略される2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)及び1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)のようなアゾ化合物は、開始剤として用いることができる。
【0022】
一実施形態では、結合剤ポリマーは、還元重合開始剤を含む第1の水性モノマー溶液を酸化重合開始剤を含む第2の水性モノマー溶液と組み合わせることによって作られ、開始剤は、反応して結合剤コーティングを形成する。第1の水性モノマー溶液は、モノエチレン不飽和のモノマーと、アルコキシシラン官能基を含有するエチレン不飽和のモノマーとを更に含む。第2の水性モノマー溶液は、モノエチレン不飽和のモノマーを含む。一方又は両方の溶液は、ポリオレフィングリコール及び/又は酸化ポリオレフィン鋳型ポリマーを含むことができる。適切には、結合剤コーティングは、約60分又はそれ未満、又は約30分又はそれ未満、又は約15分又はそれ未満、又は約10分又はそれ未満のような約100分又はそれ未満で形成される。
【0023】
第1及び/又は第2の水性モノマー溶液のpHは、約5.5から約7.0のような約4.5から8に調整される。第1の水溶液のpHは、エチレン不飽和のモノマーの付加前に調整することができる。望ましくは、第1の水性モノマー溶液のpHは、還元重合開始剤の付加前に調整される。第2の水溶液のpHは、酸化重合開始剤の付加前に調整することができる。代替的に、第1及び第2の水性モノマー溶液を組み合わせたpHは、約5.5から約7.0のような約4.5から8に調整することができる。必要に応じて、pHは、重合が適切な塩基性溶液の付加によって完了した後に上昇させることができる。中和の程度は、コーティングの特性を調整するのに用いることができる。酸性官能成分の中和が大きいほど、一般的に大きな吸収機能を備えるが、接着性は、一般的に更に酸性官能基で強化される。
第1及び第2の水溶液に加えられる重合成分の量は、上述のコーティングを有する結合剤ポリマーを生成するように選択される。
【0024】
一部の態様では、エチレン不飽和のモノマーを分散させるために、界面活性剤を第1及び/又は第2の水性モノマー溶液に加えることができる。本発明の用途に適切な1つの界面活性剤は、米国ニュージャージー州パターソン所在のサイテック・インダストリーズ・インコーポレーテッドから商標「AEROSOL OT」で入手可能なジオクチルスルホコハク酸ナトリウムである。
第1の水性モノマー溶液は、還元重合開始剤を更に含む。適切な還元重合開始剤は、以下に限定されるものではないが、アスコルビン酸、アルカリ金属亜硫酸塩、アルカリ金属亜硫酸水素塩、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素アンモニウム、アルカリ金属亜硫酸水素塩、硫酸鉄のような鉄金属塩、糖、アルデヒド、第1級及び第2級アルコール、並びにこれらの組合せを含む。1つの特定的な態様では、還元重合開始剤は、アスコルビン酸を含む。
【0025】
第2の水性モノマー溶液は、酸化重合開始剤を更に含む。適切な酸化重合開始剤は、以下に限定されるものではないが、過酸化水素、アルカリ金属過硫酸塩、過硫酸アンモニウム、過酸化アルキルヒドロ、過エステル、過酸化ジアクリル、銀塩、及びこれらの組合せを含む。1つの特定的な態様では、酸化重合開始剤は、過酸化水素を含む。
一般的に、第1の水性モノマー溶液が第2の水性モノマー溶液と組み合わせられると、還元重合開始剤は、酸化重合開始剤と反応し(例えば、酸化還元反応)、それによって重合反応を開始して付加後の水分誘導性架橋機能を有するモノエチレン不飽和のモノマー及びエチレン不飽和のモノマーを含む結合剤コーティングを形成する。
【0026】
結合剤ポリマーの重合に続いて、水溶性可塑剤を結合剤ポリマー溶液に加えることができる。適切な可塑剤は、アルコール、グリセロール、及びソルビトールのような多価アルコール、並びにポリアルキレングリコールのモノ又はジエーテルのようなグリコール及びエーテルグリコール、モノ又はジエステルポリアルキレングリコール、グリコール酸塩、ソルビタンエステル、クエン酸及び酒石酸のエステル、イミダゾリン誘導両性界面活性剤、ラクタム、アミド、ポリアミド、4級アンモニウム化合物、モノ/ジ/トリグリドを含むグリセロールエステル、及びこれらの組合せを含む。一部の態様では、多価アルコール。ポリエチレングリコール(最大約600の分子量を有する)、グリセロール、ソルビトール、及びこれらの混合物が特に適切である。一例では、グリセロールが特に望ましい。一例では、可塑剤は非イオン性である。別の実施例では、可塑剤は不揮発性である。不揮発性可塑剤は、高揮発性成分、特に水を除去するのに用いる条件下では、約10%未満のような最小蒸発損失を示す材料である。一般的に、揮発性成分は、このような条件下で大幅な蒸発損失を示す材料である。
【0027】
結合剤ポリマー及び可塑剤の配合物は、様々な基体に付加することができる。適切な基体は、熱可塑性ウェブ、フィルム、布、不織物、及び剥離紙(その後の物品への移送用の)を含む。次に、被覆された基体は、架橋を低減するために乾燥させて接着剤組成物を形成し、かつ配合物中の高揮発性成分の略全てを除去する。架橋は、組成物用の3次元基質を生成する水溶性可塑剤の存在下で起こる。得られる接着剤組成物は、適切には重合結合剤組成物の重量で約10%から約60%、水溶性可塑剤の重量で約40%から約80%のような、水溶性可塑剤の重量で約5%から約85%かつ高揮発性成分の重量で約0%から約5%のような重量で10%未満の高揮発性成分を含む。加熱に加えて、選択された可塑剤がヒドロキシル官能基を含む場合、可塑剤は、結合剤ポリマー内に組み込まれたアルコキシシラン官能基とのアルコール交換反応により、組成物内に部分的に架橋される場合がある。
【0028】
本発明の接着剤組成物は、キャスト膜を形成するために基体に付加され、続いて乾燥させることができる。結合剤ポリマーが基体に付加された状態で、架橋は、アルコキシシランの加水分解及び縮合によって水分誘導されることが可能である。例えば、結合剤ポリマーの架橋は、アルコキシシランの加水分解によって生成されたシラノールの縮合を促進するように、水の除去により基体上の接着剤組成物を濃縮することによって導入することができる。更に、基体材料が表面上にヒドロキシル基官能基を有する場合、結合剤ポリマー内のシラノールは、結合剤ポリマーとヒドロキシル含有表面との間に共有結合を形成するように、ヒドロキシルと反応することができる。ヒドロキシル表面官能基を有する基体の非限定的な例は、ガラス、砂、又はセルロースを含む。更に、不揮発性可塑剤がヒドロキシル官能基を有する場合、結合剤ポリマー内のシラノールは、結合剤ポリマーと不揮発性可塑剤との間に共有結合を形成するようにヒドロキシルと反応することができる。ヒドロキシル官能基不揮発性可塑剤の非限定的な例は、グリセロール及びソルビトールを含む。
接着剤組成物は、連続被覆又はパターン化被覆のいずれかでナイフ・オーバー・ロールコーティング又はロールコーティングを含むあらゆる適切な付加工程を用いて基体に付加することができる。グラビア印刷、スクリーン、及びジェット印刷を含む印刷付加又は他の適切な付加技術を利用することもできる。接着剤組成物はまた、噴霧付加を用いて基体に付加することができる。
【0029】
適切な初期及び長期付着、並びに容易/無痛の除去を有する接着剤組成物を提供するために、皮膚のような特定の表面に速く取り付け、安全に接着する接着剤の機能を測定することが望ましい。このような測定結果は、保存係数、損失係数、及びTan(デルタ)値のようなパラメータを含むことができる。一般的に、保存係数(G’)は、接着剤組成物の弾性特性を表している。G’は、剪断抵抗、結合及び剥離挙動のような接着性能特性に関連する。弾性特性は、力に対するバネ状応答を伴っている。損失係数(G”)は、接着剤組成物の粘性応答を表している。G”は、粘性及び噴霧性のような接着処理特性に関連する。粘性特性は、力に対する液体状応答を伴う。Tan(デルタ)は、指定の試験条件におけるG”対G’の比率である。Tan(デルタ)は、良好な接着に必要な均衡を表している。液体状特性は、良好な接触を可能にする適合性をもたらすが、バネ状特性は、十分な剥離粘着力を与える力に対する抵抗をもたらす。適正な均衡はまた、除去すると表面上に接着剤が残るのを防ぐ接着剤組成物の機能を提供する。
【0030】
一部の態様では、接着剤組成物は、摂氏25度の温度及び約2500Paのような約1000Paよりも大きな1ラジアン/秒で測定された保存係数(G’)を有することができる。他の態様では、接着剤組成物は、摂氏25度の温度及び約1700Paのような約1000Paよりも大きな1ラジアン/秒で測定された損失係数を有することができる。更に他の態様では、接着剤組成物は、0.65ラジアン/秒よりも大きな摂氏25度で測定されたTan(デルタ)を有することができる。1つの特定的な態様では、接着剤組成物は、これらのパラメータの3つ全てを含む(すなわち、摂氏25度で測定された時の約1000Paよりも大きなG’、約1000Paよりも大きなG”、及び0.65ラジアン/秒よりも大きなTan(デルタ))。
【0031】
付着面に恩典をもたらすように利用することができるある一定の添加剤を接着剤組成物に更に組み込むことが望ましい場合がある。単に例示的に、これらの添加剤は、保湿剤(平滑化及びしわ取りを含む)、抗酸化剤(老化防止を含む)、脂質(バリア補充を含む)、及び植物性薬品のような薬物及び皮膚強化剤を含むことができる。一部の態様では、このような添加剤は、接着剤組成物用の可塑剤成分として機能することができる。他の態様では、このような添加剤は、上述のような可塑剤成分と配合することができる。例えば、少なくとも1つの皮膚強化添加剤をグリセロールと配合することが特に適切である場合がある。
【0032】
適切な保湿添加剤は、グリセリン、プロピレングリコール、乳酸及びその塩、グリコール酸及びその塩、加水分解蛋白質、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、サリチル酸、リン脂質、グリセロール及びグリセロール含有化合物、ポリメタクリル酸グリセリル、プロピレングリコール、コラーゲン、尿素/尿素化合物、ピロリドンカルボン酸(PCA)及びその塩、ソルビトール、加水分解されたでんぷん加水分解物、蜂蜜、マンニトール及び他の糖(オリゴ糖アルドン酸、ラクトビオン酸(4−O−B−D−ガラクトピラノシル−D−グルコン酸を含む)トレハロース、及びキシリトールを含む)、ジグリセロール、トリデカン酸グリセロール、トリミリスチン酸グリセロール、トリステアリン酸グリセロール、及びポリグリセロール−3脂肪酸エステルを含む。
【0033】
適切な抗酸化添加剤は、フラボノイド、リコペン(ベータカロチン)、リポ酸、アルファリノール酸、ビタミンC、アルファトコフェロール、アスコルビン酸塩(アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸カリウム、及びパルミチン酸アスコルビルを含む)、トコフェロール(dl−アルファトコフェロール、ガンマトコフェロール、及びデルタトコフェロールを含む)、没食子酸塩(没食子酸プロピル、没食子酸オクチル、及び没食子酸ドデシルを含む)、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、tert−ブチルヒドロキノン、ブチル化ヒドロキシアニソール、並びにブチル化ヒドロキシトルエンを含む。
適切な脂質添加剤は、硫酸コレステリル、中性脂肪、遊離ステロール、遊離脂肪酸、トリグリセリド、ステロール/ワックスエステル、スクアラン、スフィンゴ脂質、グルコシルセラミド、セラミド、水素化レシチン及びコレステロール、並びに植物性油を含む。
【0034】
適切な植物性薬品は、キシリトール、ビタミンE、アカシア抽出物、アルテア根抽出物、アミカ抽出物、ルリヂサ抽出物、カレンジュラ抽出物(マリーゴールド)、カモミール抽出物、クローブ抽出物、クローバー花抽出物、ヒレハリソウ抽出物、クランベリー抽出物、タンポポ抽出物、ダルス抽出物、エルダーベリー抽出物、フェンネル抽出物、朝鮮人参根抽出物、ハイビスカス抽出物、アイリシュ・モス抽出物、ツタ抽出物、ジャスミン抽出物、昆布抽出物、ラベンダー抽出物、リンデンフラワー抽出物、シモツケ抽出物(メイフラワー)、シナガワハギ抽出物(ヘイフラワー)、オートミール抽出物、オートミール抽出物、橙花抽出物、橙皮抽出物、パセリ抽出物、パッションフルーツ抽出物、モモ抽出物、ペパーミント抽出物、ペパーミント抽出物、サクラソウ抽出物、マルメロ種抽出物、バラの実抽出物、セージ抽出物、ニワトコエルダー抽出物、ニワトコエルダー抽出物、アカニレ樹皮抽出物、サザンウッド抽出物、スペアミント抽出物、スミレ抽出物、クルミ抽出物(黒)、白ヤナギ樹皮抽出物、ノコギリソウ抽出物、及びユッカ抽出物を含む。
【0035】
送出手段として本発明の接着剤組成物を利用する薬用パッチはまた、可能な製品である。可能な薬物は、以下に限定されるものではないが、イミキモド、イミキモド誘導体、ポドフィロックス、ポドフィリン、インターフェロンアルファ、レチコロス、シドフォビル、及びノノキシノール−9を含む免疫調整剤のような抗ウイルス剤、並びにアスピリン、イブプロフェン、インドメタシン、フェニルブタゾン、ブロムフェナク、フェナメート、スリンダク、ナブメトン、及びケトロラクのような抗炎症剤を含む。
【0036】
他の可能な製品は、オムツ、生理用ナプキン、パンティライナ、タンポン、汗パッドのような使い捨て吸収性物品を含むパーソナルケア物品を含む。吸収性物品は、多くの場合に吸収性コアを収容している。本発明の接着剤組成物は、使用者の皮膚に直接付加されるこのような使い捨て吸収性物品に有利に用いることができる。接着剤組成物はまた、着用者の泌尿生殖器領域及び肛門周囲領域に対して接着性付着用の開口を囲む開口部及びフランジを有するバッグを備えた尿、月経、及び糞便管理装置のようなし尿管理装置に使用するのに適切である。
【0037】
接着剤はまた、生殖器、膝、又は肘プロテクタ又は包帯のような保護物品、洋服屋で着付け中のブラジャー、外科用外衣、又は衣類の一部のような衣服、鼻絆創膏、胸部代替品、又はかつらのような補綴、冷い布(例えば、打撲から痛みの緩和をもたらし、腫れを軽減させるため)、熱い布(例えば、一時的及び慢性の痛みの緩和をもたらすため)、保護顔面用マスク(例えば、有毒物質の吸入の軽減又は防止のため)、いびき防止パッチ、宝石、イアリング、変装、入墨のような装飾物品、ゴーグル又は他のメガネ類、テープ、包帯、多目的包帯、創傷治癒及び創傷管理、並びに顔面/美容適用のECG、EMG、EEG、TENS電気手術、除細動、EMS及び電極のような生物医学皮膚電極、患者カテーテル、チューブ、リード線、及びケーブルなどを固定することを意図した固定製品及び/又は装置のような皮膚に対して物品を取り付ける用途を見出すことができる。
本発明は、以下の実施例を参照して更に理解することができる。
【実施例1】
【0038】
結合剤ポリマーは、2つのモノマー溶液を混合することによって調製された。第1のモノマー溶液(溶液番号1)は、室温において磁性撹拌棒で撹拌しながら79グラム(1.096モル)のアクリル酸を10.5グラムのポリエチレングリコール(分子量200)と組み合わせることによって調製された。次に、この溶液は、氷浴中で冷却しながら160グラムの水に溶解した17.5グラムの水酸化ナトリウム(0.437モル)の溶液に加えられた。次に、0.50グラム(2.83×10-3モル)のアスコルビン酸を撹拌し続けながら溶液に加えた。
【0039】
第2のモノマー溶液(溶液番号2)は、室温において磁性撹拌棒で撹拌しながら50グラムの水に10.5グラムのポリエチレングリコール(分子量200)を加えることによって調製された。次に、澄明な溶液を生成するために撹拌し続けながら、1.6ml(8.67×10-3モル)の3−(トリメトキシシルイル)プロピルメタクリレート及び0.57mlの30%水性過酸化水素を加えた。
次に、中和溶液は、160グラムの水に12グラム(0.3モル)の水酸化ナトリウムを溶解することによって調製された。
【0040】
重合反応が開始され、氷浴中で冷却しながら磁性撹拌棒で撹拌し、同時に溶液番号2を溶液番号1に加えることによって結合剤ポリマーを形成した。重合反応は、粘性が目に見えて増大することによって示されるように、混合して1分又はそれ未満で始まった。次に、スパチュラで混合し続ける範囲で粘性を維持するように、200グラムの水を5分間にわたってゆっくり加えた。62℃の最大重合温度は、2つのモノマー溶液の混合後、約8分で観察された。約20分後、水酸化ナトリウム中和溶液が、結合剤ポリマーを約70%中和するために氷浴中で撹拌しながら加えられた。
得られた水性結合剤ポリマーは、14.23グラムのポリマーをポリスチレン計量計に注ぎ込み、水を室温においてフード内で一夜蒸発させ、続いて80℃で30分間乾燥させることによってフィルムに成形された。得られたフィルムは、重量が2.79グラムであり、約19.6%の溶液濃度を示していた。
【0041】
次に、皮膚接着に適切な接着剤組成物が、58グラムの結合剤ポリマー溶液を34グラムのグリセロールと配合することによって調製された。配合物を3つのポリプロピレン計量皿に注ぎ込み、60℃で約16時間にわたって「型番DK−63」実験室用オーブン(米国イリノイ州マックゴウパーク所在のバクスター・ダイアグノスティクスのサイエンティフィック・プロダクツ部門から入手可能)内に置き、続いて80℃で45分間更に加熱した。得られた架橋接着フィルムは、約25%の吸収性結合剤ポリマー及び75%のグリセロール可塑剤の組成を有した。平均厚みは、約1.15mmであった。接着剤は、定性的に評価され、水除去により形成された架橋構造の結果、皮膚に対する高い接着性及び非常に高い結合力を有することが見出されている。また、サンプルを、毛深い前腕から痛みなく除去することができると考えられることにも注目した。
【0042】
接着剤組成物のサンプルはまた、上述のように調製されて、しかし、ポリプロピレン計量皿ではなくシリコーン剥離紙上で乾燥させた。次に、得られた架橋接着フィルムは、粘弾性特性を判断するのに用いられた。このような特性を測定するために、「最新血行測定拡張システム(ARES)血行測定科学」血流計(米国デラウェア州ニューカッスル所在のTA・インストルメンツから入手可能)が利用された。以下の数値は、25℃及び1ラジアン/秒で得られたものである:保存係数(G’)=2500Pa、損失係数(G”)=1770Pa。1から100ラジアン/秒までのTan(デルタ)は、0.2から0.7の範囲であった。
【実施例2】
【0043】
第2の結合剤ポリマーが、上述の実施例1に説明した方法を用いて調製された。得られた組成物は、20%のポリマー濃度を有した。60グラムの結合剤ポリマーを22.5グラムのグリセロールと組み合わせた。配合物は、約65%結合剤ポリマー及び35%グリセロールを含む接着剤組成物を提供するために、ポリエステルフィルム(0.55mm厚)上に広げられ、80℃で約16時間にわたって「DK−63」オーブン中で乾燥させた。サンプルは、50%相対湿度で24時間にわたって平衡が保たれ、次に、皮膚からの剥離粘着力を判断するために用いられた。
【0044】
前腕からの剥離粘着力が、4人のボランティアから試験された。接着剤組成物で被覆したポリエステルフィルムは、接着剤が皮膚と接触した状態にあるように、3.81cmの幅に切り取られて各ボランティアの前腕内側上に置かれた。次に、被覆されたフィルムは、1kgローラを用いて各方向に一度回転させ、皮膚上に押し付けられた。接着剤は、300ミリメートル/分の速度で引張試験器を用いて(以下に説明する「剥離試験」を用いて)90度の角度で前腕から剥離された。平均剥離力は、約1.5N、すなわち、0.4N/cmであった。
【実施例3】
【0045】
第3の結合剤ポリマーが、24.8%のポリマー濃度で実施例1に説明されているように調製された。第1の接着剤組成物(接着剤A)は、32.5グラムの結合剤ポリマーを18.5グラムのグリセロールと、米国ペンシルベニア州フィラデルフィア所在のローム・アンド・ハースから入手可能な46重量%の濃度の3グラムの「RHOPLEX B−15R」疎水性ポリマー分散剤とに組み合わせることによって調製された。
【0046】
第2の接着剤組成物(接着剤B)は、32.5グラムの結合剤ポリマーを18.5グラムのグリセロール及び10グラムの「RHOPLEX B−15R」と組み合わせることによって調製された。
これらの配合物は、ポリエステルフィルム(0.55mm厚)上に広げられ、100℃で約2時間にわたって「DK−63」オーブン中で乾燥させた。得られた接着剤は、以下の表1に示す組成を有する。
【0047】
(表1)

【0048】
疎水性ポリマーの不連続相の追加は、油性皮膚に対する接着に恩典があることが見出された。この概念は、本明細書と矛盾しない方法で本明細書に引用により組み込まれている、ムンロ他に付与されたEP1163309B1に更に説明されている。
【実施例4】
【0049】
第4の結合剤ポリマーは、ポリマーが、ナトリウム塩に対して中和された30モルパーセントのアクリル酸及び酸性型の残りの70%を有するように、重合後に中和が行われなかった以外は、実施例1に説明されているように調製された。溶液は、17%のポリマー濃度を有した。
次に、接着剤組成物は、29.4グラムの結合剤ポリマー溶液を11.2グラムのグリセロールと組み合わせることによって調製された。次に、配合物は、80℃で24時間にわたって「DK−63」オーブン中で乾燥させた。得られた接着剤組成物は、より中和された上述のバージョンよりも高い接着性であることが定性的に評価された皮膚接着剤をもたらした。
【実施例5】
【0050】
微生物の成長を阻害することができる皮膚接着剤が、4級アンモニウム基を含む結合剤ポリマーを利用することによって調製された。このようなポリマーを調製するために、2つのモノマー溶液が別々に調製された。第1のモノマー溶液(S−1)は、41.5グラムの2−アセチルアミノ−2−メチル−1−プロパンスルホン酸(0.20モル)を80.25グラムの脱イオン水中に溶解し、次に、それを100グラムの脱イオン水中で8グラムの水酸化ナトリウムの溶液で中和することによって調製された。次に、0.18グラム(1.02×10-3モル)のアスコルビン酸を溶液に加えた。この混合物は、アスコルビン酸が溶解されて混合物が23℃まで冷却されるまで、約23℃において水浴中で約60rpmで磁性撹拌棒により撹拌された。
【0051】
第2のモノマー溶液(S−2)は、30グラムの脱イオン水、0.37mlの30%水性過酸化水素、及び1.0ml(5.42×10-3モル)の3−(トリメトキシシルイル)プロピルメタクリレートを(3−アクリルアミドプロピル)トリメチル塩化アンモニウム(0.20モル)の75%溶液の55グラムに加えることによって調製された。
重合反応が開始され、氷浴中で冷却しながら磁性撹拌棒で撹拌し、同時にS−2をS−1に加えることによって結合剤ポリマーが形成された。その結果は、4級吸収性結合剤ポリマーの8.7%溶液であった。
【0052】
4級吸収性結合剤ポリマーの8.7%溶液の57.5グラムを15グラムのグリセロールと配合した。次に、組成物は、剥離紙上に広げられ、80℃で約24時間にわたって「DK−63」オーブン中で乾燥させた。得られた接着フィルムは、重量で約25%の4級吸収性結合剤ポリマー及び重量で75%のグリセロール可塑剤の組成物を有した。接着剤組成物は、きれいな除去を伴って皮膚に良好な接着性を提供することが定性的に観察された。
【0053】
試験方法
流動性
ヒドロゲルの流動性は、「ARES血行測定科学」振動血流計又は均等物を用いて摂氏25度で測定された。約1mmの厚み及び25mmの直径を有するサンプルは、少なくとも24時間寝かされた。次に、サンプルは、約25℃の温度で制御された25mm直径の2つの絶縁平行板の間に置かれた。「動的周波数掃引法」が、0.1と100ラジアン/秒の間の個別の周波数値での測定を用いて、ヒドロゲルの線形弾性応答内の印加歪(例えば、約10%の歪まで)での歪モードにおいてヒドロゲルに対して実施された。結果は、1.0及び100ラジアン/秒の周波数値でのG’、G”、及びTan(デルタ)として得られた。
【0054】
乾燥皮膚に対する剥離力試験
乾燥皮膚から接着剤組成物を除去する剥離力が、例えば、100Nロードセルを装備した「TESTWORKS 4」ソフトウエアと共に実施される「ALLIANCE RT/1」フレーム(米国ノースカロライナ州カリー所在のMTS・システムズ・コーポレーションから入手可能)のような適切な引張試験器を用いて測定された。サンプルは、幅38.1mm及び約10cmから20cmの長さのストリップに切り取られた。接着剤サンプルよりも長い長さを有する非延伸性フィルムが、両面テープを用いて接着剤サンプルの裏面(例えば、基体側)に付加された。
【0055】
剥離紙で試験されたサンプルに対しては、剥離紙は、接着剤サンプルを前腕に付加する前に除去され、接着剤サンプルは、次に、接着剤組成物と皮膚の間の空気閉じ込めを防ぐために、圧縮重量ローラを用いて所定の位置に引き延ばされる。ローラは、直径13cm、幅4.5cm、及び重量1Kgを有していた。それは、0.5mm厚みのゴムに覆われていた。
裏打ちフィルムの自由端が、引張試験器の上部留め具に取り付けられ、人間の腕が下に置かれた。サンプルは、90度の角度及び300ミリメートル/分の速度で皮膚から剥離された。全サンプルの剥離中に得られた平均剥離値は、N/cmの剥離値として得られた。3通りの測定結果の平均が記録された。
【0056】
例示の目的で説明した以上の実施例の詳細は、本発明の範囲を限定するように解釈されないことが認められるであろう。本発明のいくつかの例示的実施形態のみを詳細に上述したが、当業者は、本発明の新しい教示及び利点から実質的に逸脱することなく、多くの修正が実施例において可能であることを容易に認めるであろう。例えば、一実施例に関して説明した特徴は、本発明の他のどの実施例にも組み込むことができる。
【0057】
従って、全てのこのような修正は、特許請求の範囲及びその全ての均等物に規定された本発明の範囲内に含まれるように意図されている。更に、多くの実施形態は、一部の実施形態、特に好ましい実施形態の全ての利点を達成しないと考えられる場合があるが、特定の利点の欠如は、そのような実施形態が本発明の範囲外であることを必ずしも意味するように解釈されないことが認識される。本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更を上述の構成に行うことができると考えられるので、上述の説明に含まれる全ての内容は、限定的な意味ではなく例示的であるように解釈されるべきであることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合剤ポリマー及び水溶性可塑剤、
を含み、
前記結合剤ポリマーは、重量で約15−99.8%のモノエチレン不飽和のポリマーユニットと、アルコキシシラン官能基を含む重量で約0.1−20%のポリアクリレートエステルユニットと、ポリオレフィングリコールユニット、酸化ポリオレフィンユニット、又はこれらの組合せから選択された重量で約0.1−75%ポリマーユニットとを含む、
ことを特徴とする接着剤組成物。
【請求項2】
前記水溶性可塑剤は、不揮発性であることを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
前記水溶性可塑剤は、アルコール、グリコール、グリコレート、ソルビタンエステル、クエン酸及び酒石酸のエステル、イミダゾリン誘導両性界面活性剤、ラクタム、アミド、ポリアミド、4級アンモニウム化合物、グリセロールエステル、及びこれらの組合せから成る群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
前記水溶性可塑剤は、多価アルコール、ポリエチレン、グリコール、グリセロール、ソルビトール、及びこれらの組合せから成る群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
前記水溶性可塑剤は、重量で約5%と約85%の間の量で存在することを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項6】
前記水溶性可塑剤は、重量で約40%から約80%の間の量で存在することを特徴とする請求項5に記載の接着剤組成物。
【請求項7】
重量で10%よりも少ない高揮発性成分を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項8】
前記高揮発性成分は、水であることを特徴とする請求項7に記載の接着剤組成物。
【請求項9】
重量で約0%と約5%の間の量の高揮発性成分を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項10】
前記高揮発性成分は、水であることを特徴とする請求項9に記載の接着剤組成物。
【請求項11】
架橋されていることを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項12】
前記水溶性可塑剤は、グリセロールと、保湿剤、抗酸化剤、脂質、植物性薬品、薬物、及びこれらの組合せから成る群から選択された少なくとも1つの添加剤とを含むことを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項13】
重量で約5%から約15%の疎水性ポリマーを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項14】
少なくとも0.2N/cmの乾燥皮膚からの剥離値を有することを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項15】
請求項1に記載の接着剤組成物を含むことを特徴とする物品。
【請求項16】
パーソナルケア物品、健康/医療用物品、及び家庭/工業用物品から成る群から選択されることを特徴とする請求項15の物品。
【請求項17】
摂氏25度及び1ラジアン/秒で少なくとも約1000Paの保存係数(G’)を有することを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項18】
摂氏25度及び1ラジアン/秒で少なくとも約2500Paの保存係数(G’)を有することを特徴とする請求項17に記載の接着剤組成物。
【請求項19】
摂氏25度及び1ラジアン/秒で少なくとも約1000Paの損失係数(G”)を有することを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項20】
摂氏25度及び1ラジアン/秒で少なくとも約1770Paの損失係数(G”)を有することを特徴とする請求項19に記載の接着剤組成物。
【請求項21】
25度で少なくとも約0.65のTan(デルタ)を有することを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項22】
重量で約0%と5%の間の量の高揮発性成分を更に含むことを特徴とする請求項21に記載の接着剤組成物。
【請求項23】
前記高揮発性成分は、水であることを特徴とする請求項21に記載の接着剤組成物。
【請求項24】
前記水溶性可塑剤は、グリセロールと、保湿剤、抗酸化剤、脂質、植物性薬品、及びこれらの組合せから成る群から選択された少なくとも1つの添加剤とを含むことを特徴とする請求項21に記載の接着剤組成物。
【請求項25】
結合剤ポリマー及び水溶性可塑剤、
を含み、
前記結合剤ポリマーは、還元重合開始剤を含む第1の水性モノマー溶液を、酸化重合開始剤を含む第2の水性モノマー溶液と組み合わせることによって作られ、
前記第1の水性モノマー溶液は、モノエチレン不飽和のモノマーと、アルコキシシラン官能基を含有するエチレン不飽和のモノマーとを更に含み、
前記第2の水性モノマー溶液は、モノエチレン不飽和のモノマーを含み、
前記還元重合開始剤及び前記酸化重合開始剤は、反応して前記結合剤ポリマーを形成する、
ことを特徴とする接着剤組成物。
【請求項26】
前記モノマー溶液の少なくとも一方は、ポリオレフィングリコール及び酸化ポリオレフィンから成る群から選択された鋳型ポリマーを含むことを特徴とする請求項25に記載の接着剤組成物。
【請求項27】
前記結合剤ポリマーは、約100分又はそれ未満の時間に形成されることを特徴とする請求項25に記載の接着剤組成物。

【公表番号】特表2008−525621(P2008−525621A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549448(P2007−549448)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/045774
【国際公開番号】WO2006/071590
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】