説明

多管式乾燥装置

【課題】この発明は、被処理物をむらなく均一に効率よく乾燥処理することができる多管式乾燥装置の提供を目的とする。
【解決手段】ケーシング20内に軸架した多管式加熱管30を加熱管回転方向Fに回転するとともに、蒸気供給源S1から供給される蒸気Sを、多管式加熱管30の主加熱管31と副加熱管32の副加熱管32a,32bとに供給する。ケーシング20内に投入される被処理物Eを、多管式加熱管30の回転にともなう副加熱管32a,32b及び掻揚げ羽根43の周方向の移動によって掻揚げ及び撹拌する。被処理物Eを、ケーシング20や加熱管31,32a,32bに対し押し付けながら被処理物移送方向Gに向けて移送しつつ、加熱管31,32a,32bに導入される蒸気Sとの熱交換によって被処理物Eに含まれる水分を蒸発気化し、所定の水分量に乾燥処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、脱水汚泥、食品残渣、塊状汚泥、水分を含んだ紛粒体、ポリエチレン、シリカゲル、石炭、酸化鉄、医薬品原末、ABS樹脂等の被処理物(スラッジ)を乾燥処理するための多管式乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述の被処理物を乾燥する装置としては、例えば被乾燥物を投入する入口と、乾燥物を排出する出口と、多数の加熱管が円筒内に固定された回転多管式乾燥機が既に提案されている(特許文献1参照)。この回転多管式乾燥機は、円筒内に送り込まれる被乾燥物を、円筒の回転にともなう加熱管の周方向の移動によって撹拌するとともに、蒸気の熱によって加熱された加熱管の外周面に接触させる。これにより、被乾燥物に含まれる水分と、加熱管に供給される蒸気との間で熱交換し、被乾燥物に含まれる水分を蒸発気化して所定の水分量に乾燥処理する。
【0003】
しかし、上述の回転多管式乾燥機は、加熱管を、円筒の中心軸と平行して該円筒の内側に複数本配管しているので、円筒の回転にともなう加熱管の周方向に移動によって、被乾燥物を周方向のみに撹拌するだけである。
つまり、被乾燥物を入口から出口に向けて移送する移送力が弱く、被乾燥物が円筒内に残留したり、移送途中に停滞しやすい。このため、被乾燥物をむらなく均一に乾燥処理することが困難であり、被乾燥物の乾燥に要する処理時間が長くなる。
【0004】
また、例えば粒状や塊状等を有する被乾燥物を砕いたり、拡散したりする撹拌能力が低く、被乾燥物が加熱管の外周面に接触している時間が短いため、被乾燥物に含まれる水分を蒸発気化するのに必要な接触時間を確保することが困難であり、乾燥効率が悪いという問題がある。
また、回転多管式乾燥機の乾燥能力を上げる場合、加熱管の全長を長手方向に延長すれば、被乾燥物が接触する加熱管に対する接触面積が大きくなり、熱交換効率が向上するが、加熱管の長さに対応して、乾燥機全体を大型化しなければならず、製作費が高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭62−28383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、被処理物をむらなく均一に効率よく乾燥処理することができる多管式乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、被処理物を投入する投入口と、乾燥処理済みの被処理物を排出する排出口とが設けられたケーシングと、該ケーシングの内部に軸架され加熱管回転手段により水平な軸周りに回転する多管式加熱管と、該多管式加熱管の内部に対し高温の蒸気を供給する蒸気供給源とを備え、ケーシング内に投入された被処理物を多管式加熱管の回転によって被処理物移送方向に向けて移送しながら乾燥処理する多管式乾燥装置であって、前記多管式加熱管を、前記ケーシングの内部に対し水平に軸架した主加熱管と、前記主加熱管の軸心を中心として該主加熱管の周りに配置され、周方向に対し所定間隔を隔てて複数本配管した副加熱管とで構成し、前記副加熱管を、前記被処理物移送方向において前記主加熱管の軸心に対する相対位置が変化するように斜めに配管した多管式乾燥装置であることを特徴とする。
この発明により、熱交換効率を向上させて、被処理物をむらなく均一に効率よく乾燥処理することができる。
【0008】
詳しくは、多管式加熱管を加熱管回転手段により軸回りに回転するとともに、蒸気供給源から供給される蒸気を、多管式加熱管の主加熱管と、その回りに配管した複数本の副加熱管とに供給する。また、被処理物を投入口からケーシング内に投入するとともに、蒸気の熱によって均一に加熱された主加熱管及び副加熱管の外周面に接触させる。
多管式加熱管の回転にともなう副加熱管の周方向の移動によって、ケーシング内に投入された被処理物を撹拌するとともに、主加熱管及び副加熱管の外周面に対し押し付けながら被処理物移送方向に向けて移送する。
【0009】
すなわち、被処理物を被処理物移送方向に向けて移送しながら、被処理物に含まれる水分と、主加熱管及び副加熱管に供給される蒸気との間で熱交換を行い、被処理物に含まれる水分を蒸発気化して所定の水分量に乾燥処理する。その乾燥処理された被処理物は、ケーシングの排出口から外部に排出する。
【0010】
上述の多管式乾燥装置は、多管式加熱管の副加熱管を、前記被処理物移送方向において前記主加熱管の軸心に対する相対位置が変化するように斜めに配管している。
つまり、副加熱管を、例えば主加熱管の軸心に対し径方向から見て斜めに交差するように配管すれば、ケーシングのサイズを変更することなく、副加熱管の全長を長手方向に延長することができる。
また、副加熱管の全長が長くなれば、その副加熱管の長さに対応して、被処理物が接触あるいは押し付けられる副加熱管に対する接触面積を大きくすることができる。
【0011】
これにより、被処理物が副加熱管に接触している時間が長くなるので、被処理物の移送距離が短くても、所定の水分量に乾燥するのに必要な管長さを確保することができる。
この結果、被処理物を効率よく乾燥処理することができる。かつ、被処理物の乾燥に要する処理時間を大幅に短縮することができる。
【0012】
また、副加熱管を斜めに配管することによって、多管式加熱管の全長を変更することなく熱交換効率を上げることができる。このため、小型でありながら高い乾燥効率の装置を提供することができる。
また、真っ直ぐな副加熱管を斜めに配管すれば、副加熱管の全長を延長するための曲げ加工やその加工費が不要で、直管は曲管よりも安価であるため、乾燥効率が高い多管式乾燥装置を安価に製作することができる。
【0013】
この発明の態様として、前記副加熱管を、前記被処理物移送方向において前記主加熱管の軸心に対する相対位置が周方向に変化するように斜めに配管することができる。
上述の多管式加熱管の回転にともなう副加熱管の移動によって、ケーシング内に投入された被処理物を、主加熱管の周方向に対し斜めに交差する方向に向けて撹拌するとともに、主加熱管及び副加熱管の外周面に対し押し付けながら移送する。
【0014】
すなわち、ケーシングの下部内周面に堆積する被処理物や副加熱管の外周面に付着する被処理物に対し、主加熱管の周方向に対し斜めに交差する方向に向けて移送力が積極的に付与されるので、被処理物がケーシングの下部内周面や副加熱管の外周面に残着あるいは残留することを防止できる。
この結果、被処理物を、ケーシングの内部に停滞させることなく被処理物移送方向に向けてスムースに移送することができる。
【0015】
また、この発明の態様として、前記複数本の副加熱管からなる管群を、前記主加熱管の軸心を中心として径方向に対し所定間隔を隔てて複数配管することができる。
上述の多管式加熱管の回転にともなう複数の管群を構成する副加熱管の移動によって、ケーシング内に投入された被処理物を、主加熱管の周方向に対し斜めに交差する方向に向けて撹拌するとともに、蒸気の熱によって加熱された主加熱管及び副加熱管の外周面に対し押し付けながら移送する。
【0016】
すなわち、ケーシング内に投入された被処理物を、該ケーシングの内周面に近い方の外側管群の副加熱管によって撹拌するとともに、ケーシングの内周面や主加熱管の外周面に近い方の内側管群の副加熱管の外周面に対し押し付ける。
また、外側管群の副加熱管によって押し付けられた被処理物を、内側管群の副加熱管によって撹拌するとともに、外側管群の副加熱管や主加熱管の外周面に押し付ける。つまり、被処理物を、ケーシングの内周面や主加熱管の外周面、内側管群及び外側管群を構成する副加熱管の外周面に対し何回も繰り返し接触させることができる。
【0017】
また、被処理物の主加熱管及び副加熱管に接触する回数が多くなれば、その回数に対応して、被処理物が主加熱管及び副加熱管に接触している総時間も長くなる。
この結果、被処理物に含まれる水分と、主加熱管及び副加熱管に導入される蒸気との間で熱交換が効率よく行われ、被処理物を効率よく乾燥処理することができる。
【0018】
また、この発明の態様として、前記主加熱管の軸心を中心として外側に配管した管群の副加熱管と、内側に配管した管群の副加熱管とを、前記被処理物移送方向において前記主加熱管の軸心に対する相対位置の変化が逆向きとなるように配管することができる。
上述の多管式加熱管の回転にともなう、外側に配管した管群の副加熱管と、内側に配管した管群の副加熱管との移動によって、ケーシング内に投入された被処理物を逆方向に向けて撹拌する。また、被処理物を逆方向に向けて撹拌しながら、主加熱管及び副加熱管の外周面に対し何回も繰り返し接触させる。
【0019】
すなわち、外側管群の副加熱管によって撹拌された被処理物を、内側管群の副加熱管によって外側管群の副加熱管とは逆方向に向けて撹拌するので、主加熱管及び副加熱管の外周面に対し被処理物が接触あるいは押し付けられる回数が多くなる。
この結果、被処理物を同一方向に向けて撹拌しながら乾燥するよりも、被処理物の乾燥に要する処理時間が短くなり、乾燥効率の向上を図ることができる。
【0020】
さらには、内側管群の副加熱管と外側管群の副加熱管とを逆向きに配管しているため、内側の副加熱管と外側の副加熱管との間に形成される隙間が被処理物移送方向に向けて徐々に変化することとなる。
このため、乾燥処理時において、乾燥して固化した被処理物が副加熱管の間に挟まり、詰まることを防止することができる。
【0021】
また、この発明の態様として、前記多管式加熱管の外周側に、前記ケーシングの下部内周面に堆積する被処理物を掻揚げる掻揚げ羽根を設けることができる。
上述の多管式加熱管の回転にともなう掻揚げ羽根の周方向の移動によって、ケーシングの下部内周面に堆積する被処理物を撹拌及び掻揚げる。掻揚げ途中において、掻揚げ羽根によって掻揚げられた被処理物の山は自然に崩れて、ケーシングの下部内周面や主加熱管及び副加熱管の外周面に自重落下する。
【0022】
これにより、掻揚げ羽根によって被処理物を何回も掻揚げて均一に撹拌するとともに、主加熱管及び副加熱管に繰り返し接触させることができる。
この結果、被処理物の乾燥を促進して、より効率的に乾燥処理することができる。
【0023】
また、この発明の態様として、前記多管式加熱管の外周側に、前記蒸気供給源が接続され、前記被処理物移送方向の上流側から下流側に向けて螺旋状に配管された外周加熱管を備えることができる。
【0024】
上述の多管式加熱管の回転にともなう外周加熱管の回転によって、ケーシング内に投入された被処理物を撹拌しながら被処理物移送方向に向けて移送する。移送途中において、外周加熱管によって持ち上げられた被処理物を自重落下させ、主加熱管及び副加熱管の外周面に対し何回も接触させる。
【0025】
また、被処理物を、主加熱管及び副加熱管及び外周加熱管の外周面に対し押し付けながら移送するので、被処理物が加熱管の外周面に接触している時間が長く、被処理物に含まれる水分と、加熱管に導入される蒸気との間で熱交換が効率よく行われる。
この結果、被処理物が接触あるいは押し付けられる加熱管全体に対する接触面積が大きくなり、より効率的に乾燥処理することができる。
【発明の効果】
【0026】
この発明によれば、被処理物をむらなく均一に効率よく乾燥処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施形態の多管式乾燥装置の多管式加熱管を、ケーシングを透過して正面から見た正面図。
【図2】図1の多管式乾燥装置のケーシング内部の縦断面図。
【図3】図1の上面を開放したケーシングの内部を上方から見た平面図。
【図4】図1の多管式乾燥装置のA−A線矢視断面図。
【図5】図1の多管式乾燥装置のB−B線矢視断面図。
【図6】外周加熱管を螺旋状に配管した多管式乾燥装置の縦断正面図。
【図7】図6の上面を開放したケーシングの内部を上方から見た平面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
図1は本実施形態の多管式乾燥装置10の多管式加熱管30を、ケーシング20を透過して正面から見た正面図、図2は図1の多管式乾燥装置10のケーシング20内部の縦断面図、図3は図1の上面を開放したケーシング20の内部を上方から見た平面図、図4は図1の多管式乾燥装置10のA−A線矢視断面図、図5は図1の多管式乾燥装置10のB−B線矢視断面図である。
【0029】
本実施形態の多管式乾燥装置10は、被処理物供給源E1から供給される被処理物Eを投入する投入口20aと、乾燥処理済みの被処理物Eを排出する排出口20bとが設けられたケーシング20と、該ケーシング20の内部に軸架され後述する駆動装置38によって水平な軸周りに回転する多管式加熱管30と、該多管式加熱管30の内部に対し被処理物移送方向Gの上流側(図1中の左側)から下流側(図1中の右側)に向けて高温の蒸気Sを供給する蒸気供給源S1とを備えている。
【0030】
被処理物供給源E1は、例えば脱水汚泥、食品残渣、塊状汚泥、水分を含んだ紛粒体、ポリエチレン、シリカゲル、石炭、酸化鉄、医薬品原末、ABS樹脂等の被処理物Eをケーシング20の内部に対して定量供給する定量供給機等を備えている。つまり、被処理物Eは、ケーシング20の投入口20aから該ケーシング20内の処理室25に対し定量供給される。
【0031】
また、蒸気供給源S1は、例えばボイラにて発生させた高温の蒸気Sを後述する多管式加熱管30の主加熱管31内に対して圧力が一定となるように供給する。つまり、蒸気供給源S1から供給される蒸気Sは、多管式加熱管30の主加熱管31内に導入され、該主加熱管31内に導入された蒸気Sは、副加熱管32の副加熱管32a,32bに対して供給される。
【0032】
ケーシング20は、天板21と、側板22,22と、底板23と、褄板24,24とで構成され、該ケーシング20の内部に板21〜24にて囲繞された処理室25を設けている。また、側板22,22と底板23とは一体成形され、底板23を樋形状、つまり、側面U字状に形成している。
【0033】
被処理物移送方向Gの上流側と対応する天板21の左側上面(図1中の左側上部)には、被処理物Eを投入するための投入口20aを設けている。また、被処理物移送方向Gの下流側と対応する底板23の右側下部外周面(図1中の右側下部)には、乾燥処理済みの被処理物Eを排出するための排出口20bを設けている。
【0034】
排出口20bよりも上流側で底板23の下部内周面には、主加熱管31の下流側外周面と対向して仕切り板26を立設している。また、仕切り板26は、底板23の下部内周面に堆積する被処理物Eの移送が妨げられる高さに形成している。
つまり、底板23の下部内周面に堆積する被処理物Eは、多管式加熱管30の回転力によって仕切り板26を乗り越えさせて排出口20bから排出するので、被処理物Eを所定の水分量に乾燥するのに必要な乾燥時間を確保することができる。
【0035】
側板22及び底板23の外面には、ケーシング20の内部を加熱するためのジャケット27を配置している。また、ジャケット27の上部外面には、蒸気供給源S1から副加熱管32a,32bに供給する蒸気Sに比べて低温の蒸気Sを供給する。
すなわち、蒸気供給源S1から供給される低い温度の蒸気Sをジャケット27内に導入して、該蒸気Sの熱によってケーシング20の下部内周面を均一に加熱する。
【0036】
また、ジャケット27の下部外面には、ジャケット27の内部において熱交換によって蒸気Sが冷えて液化した凝縮水を排出するための排出孔27aを設けている。
なお、蒸気供給源S1とは別の蒸気供給源(図示せず)から供給される低温の蒸気Sをジャケット27内に導入してもよい。
【0037】
褄板24,24の外側には、後述する主加熱管31の両端部に連結された中空のシャフト28a,28bを支持するための軸受29a,29bをそれぞれ配置している。
つまり、軸受29a,29bによりシャフト28a,28bを回転可能に軸受することで、多管式加熱管30を、ケーシング20の内部に対し被処理物移送方向Gと平行して水平に軸受している。かつ、多管式加熱管30の軸心を中心として図3中の矢印で示す加熱管回転方向Fへ回転可能に設けている。また、加熱管回転方向Fに対し逆方向へ回転することも可能である。
【0038】
多管式加熱管30は、図1〜図5に示すように、ケーシング20の内部に対し水平に軸架した主加熱管31と、主加熱管31の軸心を中心として該主加熱管31の周りに複数本配管した副加熱管32とで構成している。
主加熱管31の内部は、該主加熱管31の下流側内部に形成した隔壁31aによって、蒸気供給源S1から供給される蒸気Sを貯溜する蒸気貯溜室31bと、副加熱管32から排出される熱交換によって温度が低下した使用済みの蒸気Sを排出する蒸気排出室31cとに区分けしている。
【0039】
主加熱管31の上流側外周部には、蒸気供給源S1から供給される高温の蒸気Sを副加熱管32に対して分配するための蒸気分配室31dを配置している。また、蒸気分配室31dは上述の蒸気貯溜室31bと連通している。
【0040】
主加熱管31の下流側外周部には、副加熱管32から排出される蒸気Sを合流するための蒸気合流室31eを配置している。また、蒸気合流室31eは上述の蒸気排出室31cと連通している。さらに、蒸気合流室31eは、主加熱管31の軸心を中心として周方向に対し所定間隔を隔てて放射状に4箇所配置している。
つまり、上述の副加熱管32は、主加熱管31の上流側外周部に設けた蒸気分配室31dと、下流側外周部に設けた蒸気合流室31eとの間に被処理物移送方向Gに向けて架設している。
【0041】
副加熱管32は、主加熱管31の軸心を中心として仮想設定した小径の内側円周上に配管した副加熱管32aと、仮想設定した内側円周よりも大径の外側円周上に配管した副加熱管32bとで構成している。
【0042】
また、副加熱管32a,32bは、主加熱管31の軸心を中心として該主加熱管31の周りに配置され、主加熱管31と同心円で周方向に対し所定間隔を隔てて4本ずつ配管している。
かつ、主加熱管31の軸心を中心として内側円周上に配管した4本の副加熱管32aからなる内側管群と、外側円周上に配管した4本の副加熱管32bからなる外側管群とを、主加熱管31の軸心を中心として径方向に対し所定間隔を隔てて配管している。
【0043】
また、副加熱管32a,32bを、被処理物移送方向Gにおいて主加熱管31の軸心に対する相対位置が周方向に対して徐々に変化するように斜めに配管している。すなわち、主加熱管31の軸心に対し径方向から見て斜めに交差するように配管している。
さらにまた、内側管群の副加熱管32aと、外側管群の副加熱管32bは、主加熱管31の軸心に対する相対位置の変化が逆向きとなるように配管している。
【0044】
副加熱管32a,32bは、上述の蒸気分配室31dと蒸気合流室31eとの間に架設され、副加熱管32a,32bの上流側端部は蒸気分配室31dに接続し、副加熱管32a,32bの下流側端部は蒸気合流室31eに接続している。
【0045】
主加熱管31の上流側端部には、蒸気貯溜室31bと連通して中空のシャフト28aの一端側を接続している。また、シャフト28aの他端側には、回転軸継手33を介して、主加熱管31の内部に対し高温の蒸気Sを供給するための蒸気供給路34を接続している。また、蒸気供給路34は、高温の蒸気Sを供給する蒸気供給源S1に接続している。
すなわち、蒸気供給源S1から供給される高温の蒸気Sの熱によって主加熱管31及び副加熱管32a,32bの外周面全長を均一に加熱する。
【0046】
主加熱管31の下流側端部には、蒸気排出室31cと連通して中空のシャフト28bの一端側を接続している。また、シャフト28bの他端側には、回転軸継手33を介して、主加熱管31から排出される熱交換によって温度が低下した蒸気Sを排出するための蒸気排出路35を接続している。
【0047】
ケーシング20の上流側下部には、多管式加熱管30を周方向(図3中の矢印で示す加熱管回転方向F)に回転するための駆動装置38を配置している。
駆動装置38は、ケーシング20の上流側下部に配置した駆動モータ39と、該駆動モータ39の出力軸に固定したスプロケット40と、シャフト28aの突出側端部に固定したスプロケット41と、スプロケット40,41の間に張架したチェーン42とで構成している。
つまり、多管式加熱管30を、プロケット40,41及びチェーン42を介して、駆動モータ39の駆動力により、図3〜図5中の矢印で示す加熱管回転方向Fへ回転する。
【0048】
また、多管式加熱管30の外周側、すなわち、主加熱管31の外周面上には、ケーシング20の下部内周面に堆積する被処理物Eを掻揚げるための掻揚げ羽根43を設けている。
掻揚げ羽根43は、主加熱管31の外周面に沿って軸心と平行する方向に対し所定間隔を隔てて複数枚配置している。また、複数枚の掻揚げ羽根43を、主加熱管31と同心円にて周方向に対し所定間隔を隔てて複数枚配置するとともに、主加熱管31の外周面に沿って被処理物移送方向Gの上流側から下流側に向けて螺旋状に配置している。
【0049】
つまり、多管式加熱管30の加熱管回転方向Fの回転にともなって、掻揚げ羽根43を周方向に回転させ、ケーシング20の下部内周面に堆積あるいは内部に投入された被処理物Eを上方へ掻揚げながら被処理物移送方向Gに向けて移送する。
すなわち、複数枚の掻揚げ羽根43を螺旋状に配置したことにより、ケーシング20内の被処理物Eを小さい動力にて効率よく掻揚げながら移送することができる。
【0050】
なお、掻揚げ羽根43同士のピッチや配置数は、ケーシング20の大きさや長さ等に応じて設定すればよく、図示するピッチ及び配置数のみに限定されるものではない。
また、掻揚げ羽根43は、副加熱管32a,32bの外周面上に設けてもよい。
【0051】
次に、上述の多管式乾燥装置10により被処理物Eを乾燥処理する方法を説明する。
先ず、図1に示すように、ケーシング20内に軸架した多管式加熱管30を、駆動装置38の駆動力によって加熱管回転方向Fに回転する。また、蒸気供給源S1から供給される蒸気Sを、シャフト28a及び蒸気供給路34を介して、多管式加熱管30の主加熱管31内に供給し、該主加熱管31の蒸気貯溜室31bに導入する。
【0052】
次に、蒸気貯溜室31b内に導入された蒸気Sを、蒸気貯溜室31bから蒸気分配室31dに流出させて、蒸気分配室31dから副加熱管32の副加熱管32a,32bに対して供給する(図4参照)。
これにより、主加熱管31及び副加熱管32a,32bの周面全長を、蒸気供給源S1から供給される高温の蒸気Sによって均一に加熱する。また、蒸気供給源S1から副加熱管32a,32bに供給する蒸気Sに比べて低温の蒸気Sをジャケット27内に導入して、該蒸気Sの熱によってケーシング20の下部内周面を均一に加熱する。
【0053】
次に、被処理物供給源E1から供給される被処理物Eを、投入口20aからケーシング20内の処理室25に投入するとともに、高温の蒸気Sによって加熱されたケーシング20の下部内周面と、多管式加熱管30の主加熱管31及び副加熱管32a,32bの外周面とに接触させる。
【0054】
また、多管式加熱管30の加熱管回転方向Fの回転にともなう、掻揚げ羽根43の周方向の移動によって、ケーシング20内の処理室25に投入された被処理物Eを撹拌及び掻揚げながら被処理物移送方向Gに向けて移送する。
【0055】
掻揚げ羽根43によって撹拌及び掻揚げられる被処理物Eを、ケーシング20の内周面やケーシング20の下部内周面に近い方の外側管群の副加熱管32aの外周面に接触あるいは押し付ける。
【0056】
また、掻揚げ羽根43によって掻揚げられた被処理物Eを、外側管群の副加熱管32aによって斜め方向に撹拌するとともに、ケーシング20の下部内周面や主加熱管31の外周面に近い方の内側管群の副加熱管32bの外周面に対し押し付ける。
【0057】
さらに、外側管群の副加熱管32aによって撹拌された被処理物Eを、内側管群の副加熱管32bによって外側管群の副加熱管32aとは逆方向に向けて撹拌するとともに、主加熱管31や副加熱管32aの外周面に押し付ける。
これにより、ケーシング20内に投入された被処理物Eを、ケーシング20の下部内周面や主加熱管31及び副加熱管32a,32bの外周面に対し何回も繰り返し接触あるいは押し付けることができる。
【0058】
また、被処理物Eの接触回数、すなわち、ケーシング20の下部内周面や主加熱管31及び副加熱管32a,32bに接触する回数が多くなれば、その回数に対応して、被処理物Eが主加熱管31及び副加熱管32a,32bに接触している総時間も長くなる。
この結果、被処理物Eに含まれる水分と、主加熱管31及び副加熱管32a,32bに導入される蒸気Sとの間で熱交換が効率よく行われる。
【0059】
また、副加熱管32a,32bは、被処理物移送方向Gにおいて主加熱管31の軸心に対する相対位置が周方向に対して徐々に変化するように斜めに配管しているので、副加熱管32a,32bが周方向に移動することによって、主加熱管31の周方向に対し斜めに交差する方向に向けて移送力が積極的に付与される。
この結果、被処理物Eを、ケーシング20の内部に停滞させることなく被処理物移送方向Gに向けてスムースに移送することができる。
【0060】
また、掻揚げ羽根43の周方向の移動によって、ケーシング20の下部内周面に堆積する被処理物Eを上方へ掻揚げ及び撹拌するとともに、該被処理物Eをケーシング20の下部内周面や加熱管31,32a,32bの外周面に対し押し付けながら被処理物移送方向Gに向けて移送する。
【0061】
掻揚げ途中において、掻揚げ羽根43によって掻揚げられた被処理物Eの山は自然に崩れて、ケーシング20の下部内周面や加熱管31,32a,32bの上部外周面に自重落下させるとともに、副加熱管32a,32bと主加熱管31とに上から順に連続衝突させて分散させる。
【0062】
これにより、被処理物Eが細分化されて表面積が大きくなるだけでなく、被処理物Eが接触する加熱管31,32a,32bに対する接触面積も大きくなるので、熱交換効率が向上し、被処理物Eを効率よく乾燥処理することができる。
すなわち、自重落下する被処理物Eを、高温の蒸気Sの熱によって加熱されたケーシング20の下部内周面と加熱管31,32a,32bの外周面とに何回も接触させる。
【0063】
このとき、被処理物Eに含まれる水分と、ジャケット27及び加熱管31,32a,32bに導入される蒸気Sとの間で熱交換を行い、被処理物Eに含まれる水分を蒸発気化して所定の水分量に乾燥処理する。
【0064】
つまり、ケーシング20内の処理室25に投入された被処理物Eを、多管式加熱管30の副加熱管32a,32bによって撹拌するとともに、掻揚げ羽根43によって掻揚げながら、高温の蒸気Sの熱によって加熱されたケーシング20の下部内周面や加熱管31,32a,32bの外周面に対し押し付け、被処理物Eに含まれる水分を蒸発気化して所定の水分量に乾燥処理する。
また、所定の水分量に乾燥処理された被処理物Eは、ケーシング20の下流側内部に移送され排出口20bから外部に排出される。
【0065】
なお、熱交換によって温度が低下した蒸気Sは、蒸気供給源S1から供給される蒸気Sの圧力によって加熱管31,32a,32bから排出するとともに、加熱管31,32a,32bから排出された蒸気Sを蒸気合流室31eに一旦流入させる。
また、蒸気合流室31eに流入させた蒸気Sを、蒸気合流室31eから主加熱管31の蒸気排出室31cに流出させて、該蒸気排出室31c内にて合流させるとともに、蒸気排出室31cからシャフト28b及び蒸気排出路35を介して外部へ排出する(図5参照)。
【0066】
以上のように、本実施形態の多管式乾燥装置10は、多管式加熱管30の副加熱管32a,32bを、被処理物移送方向Gにおいて主加熱管31の軸心に対する相対位置が周方向に対して徐々に変化するように斜めに配管しているので、ケーシング20のサイズを変更することなく、副加熱管32a,32bの全長を長手方向に延長することができる。
また、副加熱管32a,32bの全長が長くなれば、その副加熱管32a,32bの長さに対応して、被処理物Eが接触する副加熱管32a,32bに対する接触面積を大きくすることができる。
【0067】
これにより、被処理物Eが副加熱管32a,32bに接触している時間が長くなるので、被処理物Eの移送距離が短くても、所定の水分量に乾燥するのに必要な管長さを確保することができる。
この結果、熱交換効率を向上させて、被処理物Eをむらなく均一に効率よく乾燥処理することができる。かつ、被処理物Eの乾燥処理に要する処理時間を大幅に短縮することができる。
【0068】
また、副加熱管32a,32bを斜めに配管することによって、多管式加熱管30の全長を変更することなく熱交換効率を上げることができる。このため、小型でありながら高い乾燥効率の多管式乾燥装置10を提供することができる。
【0069】
また、真っ直ぐな副加熱管32a,32bを斜めに配管するだけであるので、副加熱管32a,32bの全長を延長するための曲げ加工やその加工費が不要であり、直管は曲管よりも安価であるため、乾燥効率が高い多管式乾燥装置10を安価に製作することができる。
【0070】
さらに、副加熱管32a,32bには、例えばベント管のように応力が付加されたり、肉厚が薄くなったりすることがなく、耐久性が安定して得られる。
【0071】
また、被処理物Eを、内側管群の副加熱管32aと外側管群の副加熱管32bとによって逆方向に向けて撹拌するので、ケーシング20の下部内周面や主加熱管31及び副加熱管32a,32bの外周面に対し接触あるいは押し付けられる回数が多くなる。
この結果、被処理物Eを同一の斜め方向に向けて撹拌しながら乾燥するよりも、被処理物Eの乾燥に要する処理時間が短くなり、乾燥効率の向上を図ることができる。
【0072】
さらには、内側管群の副加熱管32aと外側管群の副加熱管32bとを逆向きに配管しているため、副加熱管32a,32bの間に形成される隙間が被処理物移送方向Gに向けて徐々に変化することとなる。
このため、乾燥処理時において、乾燥して固化した被処理物Eが副加熱管32a,32bの間に挟まり、詰まることを防止することができる。
【0073】
次に、多管式加熱管30の外周側、すなわち、主加熱管31の外周面上に、副加熱管32a,32bと同一の金属にて同径に形成した外周加熱管44を、主加熱管31と同心円にて被処理物移送方向Gの上流側から下流側に向けて螺旋状に配管した多管式乾燥装置10の他の実施形態を説明する。
図6は外周加熱管44を螺旋状に配管した多管式乾燥装置10の縦断正面図、図7は図6の上面を開放したケーシング20の内部を上方から見た平面図である。
【0074】
上述の外周加熱管44は、主加熱管31の蒸気分配室31dと蒸気合流室31eとの間に架設するとともに、副加熱管32bよりも外側の円周上にて、主加熱管31と同心円で被処理物移送方向Gの上流側から下流側に向けて螺旋状に配管している。
【0075】
また、外周加熱管44の上流側端部は蒸気分配室31dに接続している。また、外周加熱管44の下流側端部は蒸気合流室31eに接続している。
なお、外周加熱管44は、主加熱管31の外周面に突設した複数本の支柱(図示せず)にて該主加熱管31と同心円となるように支持している。
【0076】
上述の多管式乾燥装置10により被処理物Eを乾燥処理する際、蒸気供給源S1から供給される蒸気Sを、多管式加熱管30の主加熱管31内に供給し、該主加熱管31の蒸気貯溜室31bに導入する。
【0077】
次に、蒸気貯溜室31b内に導入された蒸気Sを、蒸気貯溜室31bから蒸気分配室31dに流出させて、蒸気分配室31dから副加熱管32の副加熱管32a,32b及び外周加熱管44に対して供給する。
これにより、主加熱管31及び副加熱管32a,32b及び外周加熱管44の周面全長を、蒸気供給源S1から供給される高温の蒸気Sによって均一に加熱する。
【0078】
また、多管式加熱管30の加熱管回転方向Fの回転にともなう、掻揚げ羽根43の周方向の移動によって、ケーシング20内の処理室25に投入された被処理物Eを撹拌及び掻揚げるとともに、該被処理物Eをケーシング20の下部内周面や加熱管31,32a,32bの外周面に対し押し付けながら被処理物移送方向Gに向けて移送する。
【0079】
移送途中において、掻揚げ羽根43によって掻揚げられた被処理物Eを自重落下させるとともに、外周加熱管44と、副加熱管32a,32bと、主加熱管31とに上から順に連続衝突させて分散させる。
これにより、被処理物Eが細分化されて表面積が大きくなるだけでなく、被処理物Eが接触する加熱管31,32a,32b,44に対する接触面積も大きくなるので、熱交換効率が向上し、被処理物Eを効率よく乾燥処理することができる。
【0080】
また、蒸気Sの熱によって加熱されたケーシング20の下部内周面と加熱管31,32a,32b及び外周加熱管44の外周面とに何回も接触させる。
このとき、被処理物Eに含まれる水分と、ジャケット27及び加熱管31,32a,32b及び外周加熱管44に導入される蒸気Sとの間で熱交換を行い、被処理物Eに含まれる水分を蒸発気化して所定の水分量に乾燥処理する。
【0081】
掻揚げ羽根43によって掻揚げられた被処理物Eは、外側管群の副加熱管32aによって撹拌される。また、外側管群の副加熱管32aによって撹拌された被処理物Eは、内側管群の副加熱管32bによって外側管群の副加熱管32aとは逆方向に向けて撹拌される。
【0082】
すなわち、ケーシング20内に投入された被処理物Eを、多管式加熱管30の回転にともなう副加熱管32a,32b及び掻揚げ羽根43の移動によって撹拌及び掻揚げながらスムースに移送するとともに、その移送途中において、蒸気Sの熱によって加熱されたケーシング20の下部内周面や加熱管31,32a,32b及び外周加熱管44の外周面に対し何回も繰り返し接触させる。
【0083】
また、被処理物Eを、ケーシング20の下部内周面や加熱管31,32a,32b及び外周加熱管44の外周面に対し押し付けながら被処理物移送方向Gに移送するので、被処理物Eがケーシング20の下部内周面や加熱管31,32a,32b及び外周加熱管44の外周面に接触している時間が長く、被処理物Eに含まれる水分と、ジャケット27及び加熱管31,32a,32b及び外周加熱管44に導入される蒸気Sとの間で熱交換が効率よく行われる。
【0084】
この結果、被処理物Eが接触あるいは押し付けられる加熱管31,32a,32b,44全体に対する接触面積が大きくなり、より効率的に乾燥処理することができる。また、前記実施形態と略同等あるいは同等以上の作用及び効果を奏することができる。
【0085】
さらには、外周加熱管44は、曲率半径が大きいので、例えば既に市販のコイルドライヤー等の乾燥機に用いられるベント管に比べて加工が容易であり、多管式乾燥機10の製作費を低減することができる。
【0086】
なお、外周加熱管44を、例えば上流側外周加熱管と下流側外周加熱管のように複数の外周加熱管に分けて配管し、上流側加熱管の下流側端部を主加熱管31に接続して、蒸気Sが冷えて液化した凝縮水を主加熱管31内に一旦回収した後、図示しないドレン路を介して外部に排出するように構成してもよい。
【0087】
一方、下流側加熱管の上流側端部を主加熱管31に接続して、主加熱管31内に導入された蒸気Sを下流側加熱管に供給すれば、上流側加熱管及び下流側加熱管の表面を被処理物Eの乾燥処理に適した温度に保つことができる。
これにより、多管式加熱管30を支持するためのシャフトと、被処理物Eを加熱するための加熱管と、凝縮水を排出するためのドレン管としての機能を、主加熱管31が兼ね備えることができる。
【0088】
また、外周加熱管44を、被処理物Eが被処理物移送方向Gの下流側から上流側に向けて逆向きに移送されるように配管してもよい。
この場合、ケーシング20内に投入された被処理物Eを、逆向きに配管した外周加熱管44の回転によって被処理物移送方向Gの下流側から上流側に向けて積極的に移送するので、被処理物Eがケーシング20内にとどまっている時間が長くなり、被処理物Eを所定の水分量に乾燥するのに必要な乾燥時間を確保することができる。
【0089】
この結果、上述の多管式乾燥装置10を、バッチ式の乾燥装置としても利用することができる。
なお、掻揚げ羽根43を、副加熱管32a,32bあるいは外周加熱管44の外周面に設けてもよい。
【0090】
この発明の構成と、前記実施形態との対応において、
この発明の加熱管回転手段は、実施形態の駆動装置38に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
【0091】
本実施形態の蒸気合流室31eを、主加熱管31の下流側外周部に対し放射状に配置する代わりに、例えば円盤状の蒸気合流室(図示せず)を主加熱管31の下流側外周部に配置してもよい。なお、円盤状の蒸気合流室には、被処理物Eの移送が許容される開口部を周方向に所定間隔を隔てて複数設けている。
【0092】
また、ケーシング20及び多管式加熱管30を、被処理物移送方向Gの上流側から下流側に向けて流下する角度に傾斜してもよい。
また、主加熱管31の回りに配管する副加熱管32a,32bの本数を、例えば2本、3本、あるいは、4本以上等の所望する本数に変更してもよい。
また、主加熱管31の回りに配管する管群の数を、例えば1群、3群、4群等の所望する群数に変更してもよい。
【0093】
さらに、例えば熱風発生装置等の熱風供給源から供給される乾燥した熱風をケーシング20内の処理室25に供給してもよく、被処理物Eから蒸発気化した水分を乾燥した熱風によって吸収することができる。
これにより、処理室25内の雰囲気を常時乾燥した状態に保つことができるため、被処理物Eから水分を効率よく除去でき、乾燥処理に要する処理時間を大幅に短縮することができる。
【0094】
また、被処理物Eの種類や水分量あるいはその他の諸条件によって、上述の板状の掻揚げ羽根43を備えた本実施形態の多管式乾燥装置10と、螺旋状の外周加熱管44を備えた他の例の多管式乾燥装置10とを選択して使用することができる。
【符号の説明】
【0095】
E…被処理物
E1…被処理物供給源
S…蒸気
S1…蒸気供給源
10…多管式乾燥装置
20…ケーシング
20a…投入口
20b…排出口
25…処理室
30…多管式加熱管
31…主加熱管
32,32a,32b…副加熱管
38…駆動装置
43…掻揚げ羽根
44…外周加熱管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を投入する投入口と、乾燥処理済みの被処理物を排出する排出口とが設けられたケーシングと、該ケーシングの内部に軸架され加熱管回転手段により水平な軸周りに回転する多管式加熱管と、該多管式加熱管の内部に対し高温の蒸気を供給する蒸気供給源とを備え、ケーシング内に投入された被処理物を多管式加熱管の回転によって被処理物移送方向に向けて移送しながら乾燥処理する多管式乾燥装置であって、
前記多管式加熱管を、
前記ケーシングの内部に対し水平に軸架した主加熱管と、
前記主加熱管の軸心を中心として該主加熱管の周りに配置され、周方向に対し所定間隔を隔てて複数本配管した副加熱管とで構成し、
前記副加熱管を、前記被処理物移送方向において前記主加熱管の軸心に対する相対位置が変化するように斜めに配管した
多管式乾燥装置。
【請求項2】
前記副加熱管を、前記被処理物移送方向において前記主加熱管の軸心に対する相対位置が周方向に変化するように斜めに配管した
請求項1に記載の多管式乾燥装置。
【請求項3】
前記複数本の副加熱管からなる管群を、前記主加熱管の軸心を中心として径方向に対し所定間隔を隔てて複数群配管した
請求項1又は2に記載の多管式乾燥装置。
【請求項4】
前記主加熱管の軸心を中心として外側に配管した管群の副加熱管と、内側に配管した管群の副加熱管とを、前記被処理物移送方向において前記主加熱管の軸心に対する相対位置の変化が逆向きとなるように配管した
請求項3に記載の多管式乾燥装置。
【請求項5】
前記多管式加熱管の外周側に、
前記ケーシングの下部内周面に堆積する被処理物を掻揚げる掻揚げ羽根を複数設けた
請求項1〜4のいずれか一つに記載の多管式乾燥装置。
【請求項6】
前記多管式加熱管の外周側に、
前記蒸気供給源が接続され、前記被処理物移送方向の上流側から下流側に向けて螺旋状に配管された外周加熱管を備えた
請求項1〜5のいずれか一つに記載の多管式乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−233599(P2012−233599A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100375(P2011−100375)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(593071270)山本技研工機株式会社 (7)
【Fターム(参考)】