説明

多糖とポリヌクレオチドの複合体を製造する方法

【課題】ポリヌクレオチドと多糖の複合体を製造する方法の提供。
【解決手段】a)多糖もしくはその誘導体のアルドン酸を準備する段階;b)アルドン酸をアルコール誘導体、好ましくはアルコールのカーボネート誘導体と反応させてアルドン酸エステル、好ましくは活性化アルドン酸エステルを生成せしめる段階;およびc)アルドン酸エステルをポリヌクレオチドと反応させる段階(該ポリヌクレオチドは、官能性アミノ基を含んでなる)を含んでなる製造方法。アルドン酸は、乾燥した非プロトン性極性溶媒中で段階(b)においてアルコール誘導体と反応させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリヌクレオチドと多糖からの複合体(conjugate)の製造方法、そしてこのタイプの方法に従って得られる複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレングリコール誘導体(「PEG化(PEGylation」)またはデキストランもしくは特にヒドロキシエチル澱粉のような多糖(「HES化(HESylation)」)と特にタンパク質の製薬学的有効成分との結合は、バイオテクノロジー研究からの製薬学的タンパク質の増加とともに近年重要性を増している。
【0003】
例えばタンパク質のような製薬学的活性化合物のPEG化もしくはHES化の効果は、とりわけ、ポリエチレングリコール(PEG)もしくはヒドロキシエチル澱粉(HES)のような上記のポリマーにタンパク質をカップリングすることにより、十分な製薬学的能力を生じるには低すぎるそれらの短い生物学的半減期を特に延長できることにある。しかしながら、タンパク質の抗原特性もまた、カップリングによりポジティブに(positively)影響を受けることができる。他の製薬学的有効成分の場合、カップリングにより水溶性を大幅に増加することができる。製薬学的有効成分のHES化の例は、例えば、特許文献1にもしくは特許文献2に記述されている。
【0004】
例えばアプタマー(aptamer)と呼ばれるD−オリゴヌクレオチドもしくはシュピーゲルマー(spiegelmer)と呼ばれるL−オリゴヌクレオチドのような、高親和性結合オリゴヌクレオチドの生物学的標的分子の分野におけるさらに最近の進展もまた、薬物動態学的プロフィールおよび生物学的利用能を有利なように変えるためにポリエチレングリコールのようなポリマーへの結合の可能性を利用する(非特許文献1)。
【0005】
HESは、ワックス状トウモロコシ澱粉(wax maize starch)に95%を超えて存在するグルコースポリマーアミロペクチンのヒドロキシエチル化誘導体である。アミロペクチンは、α−1,4−グリコシド結合において存在しそしてα−1,6−グリコシド分岐を示すグルコース単位からなる。HESは有利なレオロジー特性を示し、そして現在、容積代替物(volume replacer)としてそして血液希釈治療に臨床的に使用される(非特許文献2および非特許文献3)。
【0006】
特許文献3および特許文献4において、ヘモグロビンもしくはアンホテリシンBの遊離アミノ基とヒドロキシエチル澱粉の対応するアルドン酸ラクトンを介して無水ジメチルスルホキシド(DMSO)においてヒドロキシエチル澱粉とのカップリングをどのようにして実施することができるかに関して、特にヘモグロビンもしくはアンホテリシンBについて方法が記述されている。
【0007】
特にタンパク質の場合、溶解性の理由で、またタンパク質を変性するという理由でも、無水非プロトン性溶媒で作業することは可能でないことが多いので、水和媒質におけるHESとのカップリング方法もまた文献に記述されている。従って、例えば特許文献5は、水溶性カルボジイミドEDC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド)を用いて鎖の還元末端でアルドン酸に選択的に酸化するヒドロキシエチル澱粉のカップリングを開示する。しかしながら、カルボジイミドは二次反応としてタンパク質の分子間もしくは分子内架橋反応を引き起こすことが非常に多いので、カルボジイミドの使用は不都合と関連することが非常に多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際特許出願WO 02/080979 A2明細書
【特許文献2】国際特許出願WO 03/000738 A2明細書
【特許文献3】DE 196 28 705明細書
【特許文献4】DE 101 29 369明細書
【特許文献5】国際特許出願PCT/EP 02/02928明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】B.Wlotzka et al.PNAS 13,vol.99(2002)8898−8902頁
【非特許文献2】Sommermeyer et al.,Krankenhauspharmazie,vol.8(1987)271−278頁
【非特許文献3】Weidler et al.,Arzneimittelforschung/Drug Res.,41(1991)494−498頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、ポリヌクレオチドと多糖からの複合体の製造方法を提供するという問題に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、該問題は、第一の態様として:
a)多糖のもしくはその誘導体のアルドン酸を準備する段階;
b)アルドン酸をアルコール誘導体、好ましくはアルコールのカーボネート誘導体と反応させてアルドン酸エステル、好ましくは活性化アルドン酸エステルとする段階;および
c)アルドン酸エステルをポリヌクレオチド(ここで、ポリヌクレオチドは官能性アミノ基を示す)と反応させる段階
を含んでなり、段階b)におけるアルドン酸とアルコール誘導体との反応を乾燥した非プロトン性極性溶媒において行うことを特徴とする、ポリヌクレオチドと多糖からの複合体の製造方法により解決される。
【0012】
1つの態様として、溶媒はジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドを含んでなる群から選択される。
【0013】
1つの態様として、アルドン酸エステルは精製され、そして次に段階c)において使用される。
【0014】
別の態様として、段階b)からの反応チャージ(reaction charge)は、段階c)において直接アルドン酸エステルで用いられる。
【0015】
1つの態様として、段階c)は7〜9、好ましくは7.5〜9、そしてより好ましくは8.0〜8.8のpH範囲で実施される。
【0016】
好ましい態様として、段階c)は約8.4のpHで実施される。
【0017】
1つの態様として、アルドン酸対アルコール誘導体のモル比は約0.9〜1.1、好ましくは約1である。
【0018】
1つの態様として、アルコールはN−ヒドロキシ−スクシンイミド、スルホン化N−ヒ
ドロキシ−スクシンイミド、フェノール誘導体およびN−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾールを含んでなる群から選択される。
【0019】
1つの態様として、多糖はデキストラン、ヒドロキシエチル澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉および分岐澱粉画分を含んでなる群から選択される。
【0020】
1つの態様として、多糖はヒドロキシエチル澱粉である。
【0021】
好ましい態様として、ヒドロキシエチル澱粉は約3,000〜100,000ダルトン、好ましくは約5,000〜60,000の重量平均分子量(weight−averaged mean molecular weight)を示す。
【0022】
さらなる好ましい態様として、ヒドロキシエチル澱粉は約2,000〜50,000ダルトンの数平均分子量(number average of the mean molecular weight)を示す。
【0023】
1つの態様として、ヒドロキシエチル澱粉は約1.05〜1.20の重量平均分子量対数平均分子量の比を示す。
【0024】
1つの態様として、ヒドロキシエチル澱粉は0.1〜0.8の、好ましくは0.4〜0.7のモル置換を示す。
【0025】
1つの態様として、ヒドロキシエチル澱粉は約2〜12の、好ましくは約3〜10のC2/C6比として表される置換サンプルを示す。
【0026】
1つの態様として、ポリヌクレオチドは官能性核酸である。
【0027】
好ましい態様として、官能性核酸はアプタマーもしくはシュピーゲルマーであることが提供される。
【0028】
1つの態様として、ポリヌクレオチドは300〜50,000Da、好ましくは4,000〜25,000Da、そしてより好ましくは7,000〜16,000Daの分子量を示すことが提供される。
【0029】
1つの態様として、官能性アミノ基は第一級もしくは第二級アミノ基、好ましくは第一級アミノ基であることが提供される。
【0030】
1つの態様として、官能性アミノ基はポリヌクレオチドの末端リン酸エステルに結合していることが提供される。
【0031】
好ましい態様として、官能性アミノ基はリンカーを介してリン酸基に結合していることが提供される。
【0032】
1つの態様として、官能性アミノ基は5−アミノヘキシル基であることが提供される。
【0033】
第二の態様として、該問題は、本発明の第一の態様の方法に従って得られる、多糖とポリヌクレオチドの複合体により本発明に従って解決される。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、例えば、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド(DMS
O)もしくはジメチルホルムアミド(DMF)のような乾燥した非プロトン性極性溶媒において、アルコールと、特にアルコールのカーボネート、例えばN−ヒドロキシ−スクシンイミドのようなアルコールと二酸化炭素とのジエステルと、ヒドロキシエチル澱粉アルドン酸および例えばワキシーコーンスターチ分解画分のような他の多糖のアルドン酸から、対応するアルドン酸エステルを製造することができ、それをより安定なアミドにポリヌクレオチドからの求核アミノ基と水性媒質において都合よく反応させることができるという驚くべき認識に基づく。遊離アルドン酸へのそして遊離アルコールへの水でのアルドン酸エステルの鹸化は、二次反応として起こる。
【0035】
驚くべきことに、従って、アンヒドログルコース単位のヒドロキシル基の活性化は起こらず、その代わりに特にアルドン酸のカルボキシル基の活性化が起こり、ただし、反応物質のモル比は約1:1に設定される。
【0036】
本発明は、この点において先行技術にこれまで記述されている教示からそれるか、もしくは先行技術に記述されている異なる方法がポリヌクレオチドと多糖の複合体の効率のよい製造に適当でないという認識に基づく。
【0037】
従って、L−5’−アミノ−機能化オリゴヌクレオチドは、可能な反応パラメーターおよび反応物質比率のバリエーションにもかかわらず、カルボジイミド(EDC)により媒介される5’アミノ基とのアミド結合の形成によってHESアルドン酸と反応できないこともまた本発明者により驚くべきことに見出された。
【0038】
実際に、リン酸エステルおよびリン酸基を含有する化合物は、しばしば全く劇的に、カルボジイミドの喪失を増すが、大過剰のEDCでさえ、この場合、測定可能な反応生成物をもたらさなかったことが既知である(S.S.Wong,Chemistry of Protein Conjugation and Cross−Linking,CRC−Press,Boca Raton,London,New York,Washington D.C.(1993)199頁)。
【0039】
さらに、EDCを水性媒質において使用してアミノ官能基を含有する分子をオリゴヌクレオチドの末端リン酸基にカップリングしてホスホルアミデート結合を形成できることが既知である。従って、実施する反応条件下で、内部リン酸基は反応しない。このようにして、特に5’リン酸基を特異的に修飾することができる(Bioconjugate Techniques,Greg T.Hermanson,Academic Press,San Diego,New York,Boston,London,Sydney,Tokyo,Toronto(1996)52頁)。
【0040】
さらに、ヒドロキシエチル澱粉誘導体について文献に記述されている他の確立したカップリング方法もまた、5−アミノ−機能化L−オリゴヌクレオチドでうまく使用できないことが驚くべきことに見出された。従って、中間段階としてアミド結合の形成という意味において酸アミドの製造のために酸から反応性酸イミダゾリドを形成し、そして次にこの活性アシル化剤で、イミダゾールを遊離して対応するアミドへのアミンの反応を実施することは一般的な方法である。
【0041】
HESアルドン酸の場合、反応性HESイミダゾリドの製造は成功した。しかしながら、これは、実際により求核性の5−アミノ−機能化ポリヌクレオチドとのカップリングを伴わずに、調べた全てのpH値および反応物質比率で水溶液における反応中にイミダゾールとHES酸に分解した。
【0042】
さらなる可能性として、EDC活性化によってもしくは無水媒質におけるヒドロキシス
クシンイミドとHESラクトンとの反応により文献明細書に従って無水媒質においてあらかじめ製造した、HES酸の活性ヒドロキシスクシンイミドエステルを介してカップリングを目指した。しかしながら、2つの方法のいずれも成功しなかった。
【0043】
還元的アミノ化という意味でアミノ機能化ポリヌクレオチドと唯一の還元末端基を介したHESの反応もまた、非常に長い反応時間にもかかわらず、不成功であった。
【0044】
ポリヌクレオチドと多糖からの複合体の本発明の製造の反応スキームを図1に示し、ここで、図1Aは多糖のアルドン酸のアルドン酸基の構造を示し、そして図1Bは反応経路を明らかにする。実施例4〜14の主題である図2における反応式は、ポリヌクレオチドと多糖から複合体を製造しようとする成功しなかった試みを要約する。
【0045】
本発明の方法は、原則として、ある種の多糖に限定されないが、ヒドロキシエチル澱粉は特に好ましい多糖である。しかしながら、例えばヒドロキシプロピル澱粉のような他の澱粉誘導体を使用することもまた本発明の枠組み内である。同様に、本発明の枠組み内で、独国特許出願102 17 994に記述されている超分岐澱粉画分、特に10mol%より大きい、好ましくは10mol%より大きくそして16mol%より小さい分岐度を有する超分岐澱粉画分を使用することができる。
【0046】
HESは、本質的に重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、分子量分布および置換度を特徴とする。従って、エーテル結合におけるヒドロキシエチル基での置換は、アンヒドログルコース単位の炭素原子2、3および6上で可能である。従って、置換サンプルは、C6置換に対するC2の比率(C2/C6比)として記述される。従って、置換度は、全てのグルコース単位の置換されたグルコース分子の含有量をさすDS(「置換度」の英語)としてもしくはグルコース単位当たりのヒドロキシエチル基の平均数がそれにより示されるMS(「モル置換」の英語)として記述することができる。
【0047】
科学文献において、また本明細書にもおけるように、キロダルトン単位の分子量Mwは置換度MSと一緒にヒドロキシエチル澱粉について略語として示される。従って、HES10/0.4は、10,000の分子量Mwのそして0.4の置換度MSのヒドロキシエチル澱粉を示す。
【0048】
本発明に従って使用するアルドン酸エステルの製造は、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)もしくはジメチルアセトアミド(DMA)のような乾燥した非プロトン性溶媒において多糖もしくはその誘導体のアルドン酸とアルコール成分のカーボネートを反応させることにより行われる。本明細書に記述されるアルドン酸は先行技術から既知であり、そして例えば独国特許出願DE 196 28 705の開示に従って製造することができる。
【0049】
アルコール誘導体、特にそれぞれ使用するアルコールのカーボネートとアルドン酸との反応において、過剰のカーボネートで、アルコール誘導体により提供される場合、多糖のOH基は選択的に活性化され、そしてより少ないと、過剰の酸官能基が反応されないので、モル比は約0.9〜1.1、好ましくは約1.0である。
【0050】
本発明の枠組み内で特に好ましいアルコールは、N−ヒドロキシ−スクシンイミド、スルホン化N−ヒドロキシ−スクシンイミド、フェノール誘導体およびN−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾールである。適当なフェノール誘導体は、とりわけ、塩素化、フッ素化もしくはニトロ化化合物を含んでなり、ここで、これらは、特に上記の求電子基により、1回もしくは数回活性化することができる。相応して、モノもしくはポリ塩素化フェノール、モノもしくはポリフッ素化フェノールまたはモノもしくはポリニトロ化フェノールを使用
することは、本発明の枠組み内である。
【0051】
本発明に従って使用するアルドン酸エステルは、乾燥したエタノール、イソプロパノールもしくはアセトンによりDMFにおいて溶液から沈殿させ、そして該方法を数回繰り返すことにより精製するかもしくは濃縮することができる。次に、そのようなアルドン酸エステルを多糖へのカップリングに実質的に単離して使用することができる。しかしながら、不活性非極性溶媒における反応生成物の溶液はまた、多糖へのカップリングに活性アルドン酸エステルを単離せずに、直接再使用することもできる。
【0052】
原則として、任意のタイプのポリヌクレオチドを多糖と結合することは本発明の範囲内である。従って、ポリヌクレオチドはL−ヌクレオシドもしくはD−ヌクレオシドまたはその混合物から製造することができ、ここで、これらは例えば生物系における安定性を増すための修飾のような他の修飾を個々にもしくは全体で示すことができる。このタイプの修飾は、例えば、ヌクレオチドもしくはヌクレオシドの糖構成要素の2’位でのフッ素化である。従って、ポリヌクレオチドを形成するヌクレオチドの糖構成要素の少なくとも一部は、リボースもしくはデオキシリボース以外の糖を示すことができることもまた、本発明の枠組み内である。例えば、このタイプの糖は、例えばアラビノースのような他のペントース、またヘキソースもしくはテトロースでもあることができる。このタイプの糖はまた、例えばアザもしくはチオ糖におけるような、窒素原子もしくは硫黄原子を含有することもでき、そして/またはポリヌクレオチドの糖含有量をモルホリノ環で少なくとも部分的に置換することができる。さらに、ポリヌクレオチドは、ロックされた核酸(LNA)もしくはペプチド核酸(PNA)として少なくとも部分的に開発することができる。ポリヌクレオチドの骨格を形成する分子構成要素のOH基は、適当なNH、SH、アルデヒド、カルボン酸、リン酸、ヨウ素、臭素もしくは塩素基で化学的に修飾することができる。
【0053】
さらに、ポリヌクレオチドはリボ核酸もしくはデオキシリボ核酸またはその組み合わせ(すなわち、個々もしくは一群のヌクレオチドはRNAとして存在し、そして核酸を形成する他のヌクレオチドはDNAとして存在し、そしてその逆の場合もそうである)であることは、本発明の枠組み内である。L−核酸という用語は、本明細書においてL−オリゴヌクレオチドもしくはL−ポリヌクレオチドという用語と同義的に使用され、そしてとりわけ、L−デオキシリボ核酸とL−リボ核酸の両方およびその組み合わせ、すなわち、個々もしくは一群のヌクレオチドはRNAとして存在し、そして核酸を形成する他のヌクレオチドはDNAとして存在し、そしてその逆の場合もそうであることをさす。従って、デオキシリボースもしくはリボースの代わりに他の糖がヌクレオチドの糖成分を形成することもまた予想される。さらに、NH、OMe、OEt、Oアルキル、NHアルキルのような2’位での他の修飾を有するヌクレオチドの使用および例えばイソシチジンおよびイソグアノシンのような天然のもしくは非天然の核酸塩基の使用を含んでなる。従って、L−核酸がいわゆる脱塩基位置、すなわち、核酸塩基がないヌクレオチドを示すこともまた、本発明の枠組み内である。このタイプの脱塩基位置は、L−核酸のヌクレオチド配列の内部および一方もしくは両方の末端(すなわち、5’および/もしくは3’末端)の両方で配置することができる。
【0054】
さらに、ポリヌクレオチドは一本鎖として存在することは本発明の枠組み内であり、しかしながら、ここで、これが二本鎖として存在することもまた本発明の枠組み内である。典型的に、本発明に従って使用するポリヌクレオチドは一本鎖L−核酸であり、しかしながら、それはその一次配列の結果として特定の二次構造そしてまた三次構造も生じることができる。二次構造において、L−核酸の多重度とともに、二本鎖部分もまた存在する。
【0055】
本明細書に記述される結合核酸は、好ましくは、いわゆるシュピーゲルマーである。最
初にすでに記載したように、シュピーゲルマーは官能性L−核酸もしくはL−ポリヌクレオチド、すなわち、標的分子もしくはその一部に結合するような核酸であり、そして標的分子と特に統計的核酸ライブラリーの核酸ライブラリーを接触させることの結果である。
【0056】
まず第一に、組み合わせDNAライブラリーを官能性核酸の開発のための選択方法のために製造する。通例、これは2つのプライマー結合領域が5’および3’末端隣接する一連の10〜100のランダム化ヌクレオチドを主として含有するDNAオリゴヌクレオチドの合成である。このタイプの組み合わせライブラリーの製造は、例えば、Conrad,R.C.,Giver,L.,Tian,Y.and Ellington,A.D.,1996,Mothods Enzymol.,vol.267,336−367に記述されている。そのような化学的に合成した一本鎖DNAライブラリーをポリメラーゼ連鎖反応によって二本鎖ライブラリーに転化することができ、それはそれ自体で実際に選択に使用することができる。しかしながら、通例、それがDNA選択(Bock,L.C.,Griffin,L.C.,Latham,J.A.,Vermaas,E.H.and Toole,J.J.,1992,Nature,vol.355,564−566)である場合にインビトロ選択方法に使用する個々の鎖ライブラリーを再び得ることができるように個々の鎖の分離を適当な方法で実施することができる。しかしながら、化学的に合成したDNAライブラリーをインビトロ選択に直接含むこともまた可能である。さらに、RNAライブラリーは、原則として、T7プロモーターが前もって導入される場合に、従って、適当なDNA依存性ポリメラーゼ、例えばT7 RNAポリメラーゼによって、二本鎖DNAから製造することができる。記述される方法を用いて1015以上のDNAもしくはRNA分子のライブラリーを製造することが可能である。このライブラリーからの各分子は、異なる配列およびその結果として異なる三次元構造を有する。
【0057】
インビトロ選択方法によって、次に、記載のライブラリーから、数サイクルの選択および増幅ならびに場合により突然変異を通して、既定の標的に対する有意な結合特性を示す1個もしくは数個のDNA分子を単離することが可能である。標的は、例えば、ウイルス、タンパク質、ペプチド、核酸、代謝産物のような小分子、製薬学的有効成分もしくはその代謝産物または例えばGold,L.,Polisky,B.,Uhlenbeck,O.and Yarus,1995,Annu.Rev.Biochem.vol.64,763−797およびLorsch,J.R.and Szostak,J.W.,1996,Combinatorial Libraries,Synthesis,Screening and application potential,ed.Riccardo Cortese,Walter de Gruyter,Berlinに記述されているような他の化学的、生化学的もしくは生物学的成分であることができる。該方法は、結合DNAもしくはRNA分子が最初に使用するライブラリーから単離され、そしてポリメラーゼ連鎖反応を用いて選択段階の後に増幅されるように実施される。RNA選択において、逆転写はポリメラーゼ連鎖反応による増幅段階に前連結されるべきである。第一の選択ラウンド後に濃縮されたライブラリーは、次に、第一の選択ラウンドにおいて濃縮された分子が選択および増幅で再び成功しそしてさらなる選択ラウンドにさらにより多くの娘分子とともに進む機会を有するように新たな選択ラウンドにおいて使用することができる。同時に、ポリメラーゼ連鎖反応段階は、例えば塩濃度のバリエーションにより、増幅中に新たな突然変異を導入する可能性を広げる。十分な数の選択および増幅ラウンドの後に、結合分子は継承している(have succeeded)。濃縮されたプールをこのようにして製造し、その代表をクローニングにより単離し、そして次にDNAの配列決定の一般的な方法でその一次構造において決定することができる。次に、得られる配列を標的に関するそれらの結合特性について調べる。従って、このタイプのアプタマーの製造方法はSELEX方法と呼ばれ、そして例えばEP 0 533 838に記述されており、その開示は引用することにより本明細書に含まれる。
【0058】
最も良い結合分子は、それらの必須結合ドメインまで一次配列を短縮することにより短くし、そして化学もしくは酵素合成により表すことができる。
【0059】
そのような程度まで製造可能なアプタマーの特定の形態は、それらが非天然のL−ヌクレオチドで少なくとも部分的に、好ましくは完全に構築されることを実質的に特徴とするいわゆるシュピーゲルマーである。このタイプのシュピーゲルマーの製造方法は、PCT/EP97/04726に記述されており、その開示は引用することにより本明細書に含まれる。そこに記述される方法の特性は、鏡像異性体核酸分子の、すなわち、天然の標的(すなわち、天然の形態もしくは立体配置で存在する)もしくはこのタイプの標的構造に結合するL−核酸分子の製造にある。上記のインビトロ選択方法を用いて鏡像異性体、すなわち、天然に存在する標的の天然に存在しない構造に対して、例えば標的分子がタンパク質である場合にはDタンパク質に対して結合核酸もしくは配列をまず第一に選択する。このようにして得られる結合分子(D−DNA、D−RNAもしくは対応するD−誘導体)をそれらの配列において決定し、そして次に同一配列を鏡像ヌクレオチドビルディングブロック(L−ヌクレオチドもしくはL−ヌクレオチド誘導体)で合成する。このようにして得られる鏡像、鏡像異性体核酸(L−DNA、L−RNAもしくは対応するL−誘導体)、いわゆるシュピーゲルマーは、対称性の理由で、鏡像三次構造およびその結果として天然の形態もしくは立体配置で存在する標的に対する結合特性を有する。
【0060】
本明細書に記述される選択および短縮方法において得られるようなポリヌクレオチド、特にアプタマーもしくはシュピーゲルマーのような官能性核酸は、約300Da〜50,000Daの分子量を有する。好ましくは、これらは4,000Da〜25,000Da、より好ましくは7,000〜16,000Daの分子量を示す。
【0061】
標的とも呼ばれる上記の標的分子は、分子もしくは構造、従って、例えばウイルス、ウイロイド、細菌、細胞表面、細胞小器官、タンパク質、ペプチド、核酸、代謝産物のような小分子、製薬学的有効成分もしくはその代謝産物または他の化学的、生化学的もしくは生物学的成分であることができる。
【0062】
本発明の方法によれば、ポリヌクレオチドは、好ましくはポリヌクレオチドのリン酸基上に、アルドン酸エステルが反応して複合体を形成する求核基を示す。従って、この求核基が官能性アミノ基、好ましくは第一級アミノ基(NH基)であることは本発明の枠組み内で特に好ましい。従って、アルドン酸エステルと反応するポリヌクレオチドが官能性第二級アミノ基、イミノ基を含有することは、本発明の枠組み内である。
【0063】
しかしながら、求核基が、好ましくはポリヌクレオチドのリン酸基上で結合して存在する第一級アミノ基であることは、本発明の枠組み内で特に好ましい。アミノ基は、好ましくは、ポリヌクレオチドの5’もしくは3’末端のリン酸基上に、従って、末端リン酸基上に存在する。従って、アミノ基は、1つの態様としてリン酸基に直接もしくはリン酸基にリンカーを介して結合することができる。このタイプのリンカーは、先行技術から既知である。好ましいリンカーは、1〜8、好ましくは2〜6C原子の長さを有するアルキル基である。特に、N−ヒドロキシ−スクシンイミドのアルドン酸エステルを用いる場合、核酸におけるプリンもしくはピリミジン塩基のような、ポリヌクレオチドにさらに存在する求核基は、反応しない。
【0064】
オリゴヌクレオチドをポリヌクレオチドの代わりに使用することは、本発明の枠組み内である。1つの態様として、ポリヌクレオチドは、本明細書において用いる場合、オリゴヌクレオチドである。
【0065】
本発明は、以下の図面および実施例を用いて説明され、それらから本発明の他の特徴、
態様および利点が得られる。
【実施例1】
【0066】
シュピーゲルマーおよびヒドロキシエチル澱粉からの複合体の製造
【0067】
使用するHESylate
還元鎖末端でカルボン酸に酸化した分子パラメーターMw11092D、MS0.4およびC2/C6>8を有するHES10/0.4を使用した。HES酸の製造の記述は、例えば、独国特許出願DE 196 28 705に開示される。
【0068】
NHSエステルの製造
HESylateのN−ヒドロキシ−スクシンイミドエステルを以下のように製造した:
0.2g(0.05mMol)の無水HES酸10/0.4を1mlの乾燥したジメチルホルムアミドに溶解し、そして等モル量のN,N’−ジスクシンイミジルカーボネート(12.8mg)と室温で1.5時間反応させる。
【0069】
シュピーゲルマーHESylateの製造
5mg(1.3μmolに対応する)の配列番号1の5’−アミノヘキシル機能化RNA−シュピーゲルマーを8.4のpHを有する0.7mlの0.3モルジカーボネート溶液に溶解する。上記のように製造した活性エステルをこの溶液に直接加え、そして室温で2時間反応させる。
【0070】
RNA−シュピーゲルマーは、以下の配列を示す:
5’−アミノヘキシル−UGAGUGACUGAC−3’(配列番号1)
【0071】
そのように製造した複合体の分析
複合体は、低圧GPCにより検出される。従って、使用した分析条件は下記の事項であり、分析結果を図3に示す:
カラム:Superose 12 HR 10/30、300mmx10mm i.d.(Pharmacia,art.no.17−0538−01)
移動溶媒:リン酸バッファー pH7.0
(Milli−Q水中27.38mM NaHPO、12.62mM NaHPO、0.2M NaCl、0.005% NaN
流速:0.4ml/分
検出:UV280nm
実行時間:70分
注入容量:20μlの最初のチャージ
【0072】
反応チャージは、62%(クロマトグラムを参照して垂直で)もしくはテーリングピーク評価で77%の収率をもたらした。
【0073】
上記の反応を以下の分子パラメーター:Mw:54110D、Ms:0.7およびC2/C6:〜5を示す別の形態のヒドロキシエチル澱粉(50/0.7)で実施した。
【0074】
その他の点では同一の反応方法で、53%の収率が得られた。反応生成物の対応するGPCクロマトグラムを図4に示す。
【実施例2】
【0075】
複合体の収率を上げること
実施例1に記述される方法に基づいて、試験RNA−シュピーゲルマーに少しずつ加える活性化アルドン酸エステルの比率を2:1もしくは3:1に増加した。比率の倍増の場合、95%より大きい収率が得られ、そして活性化アルドン酸エステルの過剰の3倍増で、実質的に定量的収率(>98〜99%)が得られた。
【実施例3】
【0076】
グレリン結合HES化および非HES化シュピーゲルマーによるグレリン誘発カルシウム放出の阻害の比較
グレリンのヒト受容体(GHS−R1a)を発現する安定にトランスフェクションされた(transfixed)CHO細胞(Euroscreen,Gosselies,Belgiumから入手)を透明な底を有する黒色96ウェルマイクロタイタープレート(Greiner)のウェル当たり5〜7x10の数で接種し、そして100ユニット/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、400μg/mlのゲネチシンおよび2.5μg/mlのファンギゾンをさらに含有するUltraCHO培地(Cambrex)において37℃および5% COで一晩培養した。
【0077】
配列番号2の内部基準SOT−B11を有するグレリン結合シュピーゲルマーの実施例1に従って製造した非HES化および5’−HES化形態を0.2mlの「薄型96チューブ」プレートにおいて5mMのプロベネシドおよび20mMのHEPESを加えたUltraCHO培地(CHO−U+)中でヒトもしくはラットグレリン(Bachem)と一緒にRTもしくは37℃で15〜60分間インキュベーションする。これらの刺激溶液は、CHO−U+において10倍濃縮溶液として調製する。
【0078】
SOT−B11の配列:5’−CGU GUG AGG CAA UAA AAC UUA AGU CCG AAG GUA ACC AAU CCU ACA CG−3’(配列番号2)
カルシウム指示色素Fluo−4を加える前に、細胞をそれぞれ200μlのCHO−U+で1x洗浄する。次に、50μlの指示色素溶液(CHO−U+中10μMのFluo−4(molecular probes)、0.08%のPluronic 127(molecular probes))を加え、そして37℃で60分間インキュベーションする。次に、細胞をそれぞれ180μlのCHO−U+で3x洗浄する。次に、ウェル当たり90μlのCHO−U+を加える。
【0079】
蛍光シグナルの測定は、Fluostar Optimaマルチディテクションプレートリーダー(BMG)において485nmの励起波長および520nmの発光波長で実施する。
【0080】
グレリンにより引き起こされるカルシウム濃度の変化の時間的経過の正確な分析のために刺激溶液を細胞に加える。96ウェルプレートの縦列(vertical series)のウェルは、いくつかのサンプルの平行測定のために一緒に測定される。このために、3つの測定値がベースラインを決定するために4秒の間隔でまず最初に記録される。次に、測定を中断し、プレートをリーダーから取り除き、そしてマルチチャンネルピペットで、プレインキュベーションを実施した「薄型96チューブ」プレートからの10μlの刺激溶液を測定する列のウェルに加える。次に、プレートを機械に再び挿入し、そして測定を続ける(4秒離して合計20の測定)。
【0081】
得られる測定曲線から、最大蛍光シグナルと刺激前の蛍光シグナルとの差を各個々のウェルについて決定し、そしてグレリンの濃度に対して、もしくはシュピーゲルマーでのカルシウム放出の阻害についての試験では、シュピーゲルマーの濃度に対してプロットする。
【0082】
HES化シュピーゲルマーの効率を示すために、グレリン受容体を発現する細胞を5nMのグレリンまたは異なる量のHES化もしくは非HES化シュピーゲルマーと一緒にプレインキュベーションしたグレリンで刺激した。測定される蛍光シグナルをシュピーゲルマーなしに得られるシグナルに標準化した。HES化シュピーゲルマーは約6.5nMのIC50でグレリン誘発Ca++放出を阻害し、一方、非HES化シュピーゲルマーは約5nMのIC50で阻害する。結果を図5に示す。
【実施例4】
【0083】
先行技術の方法を用いたポリヌクレオチドとHESアルドン酸からの複合体の製造
0.25gのHES10/0.4アルドン酸(62.5μmol)を攪拌しながら10mLの水に溶解する。9.95mg(2.5μmol)の配列番号1のRNA−シュピーゲルマーを室温で溶液に加える。次に、1mLの水に溶解した50mgのN−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(261μmol)を攪拌しながら室温で2時間にわたって少しずつ加える。塩酸もしくは水酸化ナトリウム溶液の添加により5のpHを一定に保つ。反応が完了すると、チャージを室温でもう2時間さらに攪拌する。低圧GPCによる反応チャージの確認により、1%未満の使用したシュピーゲルマーの反応転化が示された。
【実施例5】
【0084】
先行技術の方法を用いたポリヌクレオチドとHESアルドン酸からの複合体の製造
150mgのEDCを実施例4におけるようなHES10/0.4アルドン酸と配列番号1のRNA−シュピーゲルマーの混合物に室温でそして攪拌しながら3時間にわたって加える。反応転化を分析低圧GPCにより決定することはできなかった。
【実施例6】
【0085】
先行技術の方法を用いたポリヌクレオチドとHESアルドン酸からの複合体の製造
1.0gのHES10/0.4アルドン酸(240μmol)を攪拌しながら熱で10mLの水に溶解する。室温に冷却した後に、10mgの配列番号1のRNA−シュピーゲルマーをチャージに加える。次に、1mLの水に溶解した50mgのEDC(260μmol)を攪拌しながら室温で2時間にわたって少しずつ加え、塩酸もしくは水酸化ナトリウム溶液でpHを5で一定に保つ。
【0086】
さらなる2時間の反応時間の後に、低圧GPCを用いてチャージを分析する。反応生成物を検出することはできなかった。
【実施例7】
【0087】
先行技術の方法を用いたポリヌクレオチドとHESアルドン酸からの複合体の製造
実施例6のチャージを繰り返し、ここで、この場合には100mgのEDCを3時間にわたって加えた。
【0088】
反応が完了した時に、反応生成物を検出することはできなかった。
【実施例8】
【0089】
先行技術の方法を用いたポリヌクレオチドとHESアルドン酸からの複合体の製造
実施例6および7を4.0および6.0のpH値で繰り返した。
【0090】
低圧GPCを用いて2つの反応チャージにおいて反応生成物を検出することはできなかった。
【実施例9】
【0091】
先行技術の方法を用いたポリヌクレオチドとHESアルドン酸からの複合体の製造
実施例4を4℃および37℃の反応温度で繰り返した。
【0092】
両方の場合において、反応生成物は検出されなかった。
【実施例10】
【0093】
先行技術の方法を用いたポリヌクレオチドとHESアルドン酸からの複合体の製造
303.7mg(2.6mmol)のスクシンイミドおよび0.502gのHES10/0.4アルドン酸(0.125mmol)を室温で10mLの乾燥したジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解する。
【0094】
次に、50mgのEDC(0.25mmol)を加え、そしてチャージを一晩攪拌する。
【0095】
5mg(1.3μmolに対応する)の配列番号1のRNA−シュピーゲルマーを10mLの水に溶解し、そしてpHを水酸化ナトリウム溶液で8.5に設定するか、もしくは10mLのpH8.4の0.3モル重炭酸バッファーに溶解する。
【0096】
それぞれ5mLの上記のジメチルスルホキシド溶液を2つの部分チャージに加え、第一の部分チャージの水溶液のpHを水酸化ナトリウム溶液の添加によりpH8.5で一定に保つ。
【0097】
チャージを室温で一晩攪拌した。分析低圧GPCは、2つの部分チャージにおいていかなる反応生成物ももたらさなかった。
【実施例11】
【0098】
先行技術の方法を用いたポリヌクレオチドとHESアルドン酸からの複合体の製造
300mg(2.6mmol)のスクシンイミドを10mLの乾燥したジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、そして0.5g(0.125mmol)の乾燥したHES10/0.4アルドン酸を80℃で一晩加えて対応するラクトンを生成せしめる。チャージは、70℃で一晩反応する。
【0099】
次に、溶液を10mLのpH8.4の0.3モル重炭酸バッファー中5mgの配列番号1のRNA−シュピーゲルマーの溶液の5mLに室温で加え、そして室温で4時間攪拌する。分析低圧GPCを用いて反応生成物は見出されなかった。
【実施例12】
【0100】
先行技術の方法を用いたポリヌクレオチドとHESアルドン酸からの複合体の製造
5.0gのHES10/0.4アルドン酸(1.2mmol)を30mLの乾燥したジメチルホルムアミド(DMF)に溶解する。195mg(1.2mmol)のカルボニルジイミダゾール(CDI)を溶液に加え、そして室温で2時間攪拌する。
【0101】
5mgの配列番号1のRNA−シュピーゲルマーを5mLの水に溶解する。10mLのイミダゾリル−HESアルドン酸10/0.4の上記の溶液をこの溶液に加え、そしてpHを水酸化ナトリウム溶液で7.5に設定する。室温で一晩攪拌した後に、低圧GPCを用いてチャージを反応生成物に関して調べた。ごく微量の反応生成物が決定された。
【実施例13】
【0102】
先行技術の方法を用いたポリヌクレオチドとHESアルドン酸からの複合体の製造
5mgの配列番号1のRNA−シュピーゲルマーを12.5mLのpH8.4の0.3M重炭酸バッファーに溶解する。チャージを氷水で0℃に冷却し、そして8.5mLの実施例12に記載するDMF中のHES10/0.4アルドン酸−イミダゾリルの溶液と混合する。0℃で2時間そして室温でさらに2時間後に、チャージを反応生成物について調べた。生成物を検出することはできなかった。
【実施例14】
【0103】
先行技術の方法を用いたポリヌクレオチドとHESからの複合体の製造
1gのHES10/0.4(0.25mmol)を熱で5mLのHOに溶解する。冷却後に溶液に10mg(2.5μmolに対応する)の配列番号1のRNA−シュピーゲルマーを加え、そしてpHを水酸化ナトリウム溶液で7.5に設定する。次に、200μlのボラン−ピリジン錯体(Sigma−Aldrich)を加え、そしてチャージを暗所において室温で10日間攪拌する。次に、チャージを低圧GPCによりあらゆる反応生成物について調べる。使用したシュピーゲルマーに基づき<3%の転化のみを検出することができた。
【0104】
先の記述に開示される本発明の特徴、請求項および図面は、本発明をその異なる態様において行うために個々のそしてまた任意の組み合わせの本質的に両方であることができる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1A】HESアルドン酸のアルドン酸基の化学構造。
【図1B】アルドン酸エステルへのアルコールのカーボネート誘導体とHESアルドン酸との本発明による活性化および官能性アミノ基を保有するポリヌクレオチドとのその反応の反応スキーム。
【図2A】先行技術に従った、特に実施例4〜9に従ったポリヌクレオチドとHESアルドン酸からの複合体の製造の反応スキーム。
【図2B】先行技術に従った、特に実施例10に従ったポリヌクレオチドとHESアルドン酸からの複合体の製造の反応スキーム。
【図2C】先行技術に従った、特に実施例11に従ったポリヌクレオチドとHESアルドン酸からの複合体の製造の反応スキーム。
【図2D】先行技術に従った、特に実施例12〜13に従ったポリヌクレオチドとHESアルドン酸からの複合体の製造の反応スキーム。
【図2E】先行技術に従った、特に実施例14に従ったポリヌクレオチドとHESからの複合体の製造の反応スキーム。
【図3】本発明に従った、特に実施例1に従ったシュピーゲルマーのHES化の反応チャージの結果のクロマトグラム。
【図4】本発明に従った、特に実施例1に従ったシュピーゲルマーのHES化のさらなる反応チャージの結果のクロマトグラム。
【図5】グレリン誘発カルシウム2+放出のHES化シュピーゲルマーもしくは非HES化シュピーゲルマーによりもたらされる阻害の図。
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)多糖のもしくはその誘導体のアルドン酸を準備する段階;
b)アルドン酸をアルコール誘導体、好ましくはアルコールのカーボネート誘導体と反応させてアルドン酸エステル、好ましくは活性化アルドン酸エステルとする、段階;および
c)アルドン酸エステルをポリヌクレオチド(ここで、ポリヌクレオチドは官能性アミノ基を示す)と反応させる段階
を含んでなり、段階b)におけるアルドン酸とアルコール誘導体との反応を乾燥した非プロトン性極性溶媒の中で行うことを特徴とする、ポリヌクレオチドと多糖からの複合体(conjugate)の製造方法。
【請求項2】
溶媒がジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドを含んでなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アルドン酸エステルを精製され、そして次に段階c)において使用することを特徴とする請求項1もしくは2に記載の方法。
【請求項4】
段階b)からの反応チャージ(reaction charge)を段階c)において直接アルドン酸エステルで用いることを特徴とする請求項1もしくは2に記載の方法。
【請求項5】
段階c)を7〜9、好ましくは7.5〜9、そしてより好ましくは8.0〜8.8のpH範囲で実施することを特徴とする請求項1〜4の1項に記載の方法。
【請求項6】
段階c)を約8.4のpHで実施することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
アルドン酸対アルコール誘導体のモル比が約0.9〜1.1、好ましくは約1であることを特徴とする請求項1〜6の1項に記載の方法。
【請求項8】
アルコールがN−ヒドロキシ−スクシンイミド、スルホン化N−ヒドロキシ−スクシンイミド、フェノール誘導体およびN−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾールを含んでなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜7の1項に記載の方法。
【請求項9】
多糖がデキストラン、ヒドロキシエチル澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉および分岐澱粉画分を含んでなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜8の1項に記載の方法。
【請求項10】
多糖がヒドロキシエチル澱粉であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ヒドロキシエチル澱粉が約3,000〜100,000ダルトン、好ましくは約5,000〜60,000の重量平均分子量(weight−averaged mean molecular weight)を示すことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ヒドロキシエチル澱粉が約2,000〜50,000ダルトンの数平均分子量(number average of tne mean molecular weight)を示すことを特徴とする請求項10もしくは11の1項に記載の方法。
【請求項13】
ヒドロキシエチル澱粉が約1.05〜1.20の重量平均分子量対数平均分子量の比を示すことを特徴とする請求項10〜12の1項に記載の方法。
【請求項14】
ヒドロキシエチル澱粉が0.1〜0.8の、好ましくは0.4〜0.7のモル置換を示
すことを特徴とする請求項10〜13の1項に記載の方法。
【請求項15】
ヒドロキシエチル澱粉が約2〜12、好ましくは約3〜10のC2/C6比として表される置換サンプルを示すことを特徴とする請求項10〜14の1項に記載の方法。
【請求項16】
ポリヌクレオチドが官能性核酸であることを特徴とする請求項1〜15の1項に記載の方法。
【請求項17】
官能性核酸がアプタマー(aptamer)もしくはシュピーゲルマー(spiegelmer)であることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ポリヌクレオチドが300〜50,000Da、好ましくは4,000〜25,000Da、そしてより好ましくは7,000〜16,000Daの分子量を示すことを特徴とする請求項1〜17の1項に記載の方法。
【請求項19】
官能性アミノ基が第一級もしくは第二級アミノ基、好ましくは第一級アミノ基であることを特徴とする請求項1〜16の1項に記載の方法。
【請求項20】
官能性アミノ基がポリヌクレオチドの末端リン酸エステルに結合していることを特徴とする請求項1〜19の1項に記載の方法。
【請求項21】
官能性アミノ基がリンカーを介してリン酸基に結合していることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
官能性アミノ基が5−アミノヘキシル基であることを特徴とする請求項1〜21の1項に記載の方法。
【請求項23】
請求項1〜22の1項に記載の方法に従って得られうる、多糖とポリヌクレオチドの複合体。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−56889(P2013−56889A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−223269(P2012−223269)
【出願日】平成24年10月5日(2012.10.5)
【分割の表示】特願2006−552525(P2006−552525)の分割
【原出願日】平成17年2月8日(2005.2.8)
【出願人】(504411214)ノクソン・フアルマ・アクチエンゲゼルシヤフト (8)
【出願人】(506272954)スプラモル・パレンテラル・コロイド・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (2)
【Fターム(参考)】