説明

多糖類およびトリテルペンを多く含有する樟芝抽出物の製造方法。

【課題】野生の樟芝の生育環境に似せて、高い多糖類およびトリテルペン含量を効果的に得る培養方法、および容易に大量製造することができる方法を提供する。
【解決手段】天然純正由来の樟芝菌株(Antrodia cinnamomea)を、野生の樟芝が生育する自然環境に似せ、人工固体培養を用い、天然の樟芝にもっとも近い高品質の菌糸体を大規模製造する。穀物が原料である特殊な培養基質、特殊な純正の菌株、培養条件、および菌糸体の特殊な回収方法により、天然の樟芝にもっとも近い製品を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野生の樟芝<ベニクスノキタケ>に近い、高含量の多糖類(10.8%±0.18)およびトリテルペン(11.7%±0.11)を含む菌糸体を製造する方法である人工培養方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の人工培養方法では、野生の樟芝の確実な培養基質および最適条件が詳細にわかっていないため、この人工培養方法によって得られた菌糸体に含まれる有用な多糖類およびトリテルペン化合物含量は全体的に高くない。概して多糖類約5〜8%、トリテルペン約2〜3%である。これが、従来の人工培養技術に改良が待たれる部分である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の主要な目的は、野生の樟芝の生育環境に似せて、高含量の多糖類およびトリテルペンを効果的に得る培養方法、および容易に大量製造することができる方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1990年、生化学界に発表された樟芝は、牛樟芝とも呼ばれ、学名をAntrodia camphorataとする新種である。台湾特有の品種であり、海抜450〜2000メートルの山地のみに生育する樹齢100年以上の牛樟樹(Cinnamoum kanehirai)の幹内部の腐った内壁、または枯れて倒伏した牛樟樹の湿った表面に寄生する。生育期は毎年わずか6月から10月までである。
【0005】
図1に示すように、穀物10を選別後、特殊な瓶20に入れて栓をし、特製のステンレス鋼の棚22に放置する。特製の滅菌器26に入れ、滅菌して雑菌を除き、その後特定の温度まで冷却する。続いて、無菌状態の植種台40で植種液36を投入して培養棚42に置き、特別に調整した温湿度で培養する。菌糸の生育速度は標準状態に基づいて記録する。早すぎまたは遅すぎは理想的ではなく、生育の環境条件を調整してそれを保持し、標準成長曲線が一致するようにして、多糖類およびトリテルペンを多く含む菌糸を得るようにする。雑菌が発生した場合、瓶ごと除去して、製品すべてが要求に見合うことを保証する。原材料は厳格に選別するため、培養が終了した製品の瓶をすべて回収することができ、作業の複雑度を減らしている。回収した製品は乾燥器46で乾燥し、水分を0.2%以下にして長期保存できるようにする。製粉機60で製粉して、乾燥完成品の品質を均一にする。包装前に、成分と雑菌数を確認し、充填包装機70に送り包装する。作業はすべてGMP環境で行われる。最終製品は、多糖類およびトリテルペン成分を多く含むほか、安全衛生面の需要も満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は本発明のブロックフローチャート図である。
【図2】図2は容器の寸法である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0007】
穀物10は米、ムギ、トウモロコシから選択した。上等品を選別し、品質は均一であればよく、含まれる炭水化物成分を分析して、瓶ごとの充填量(充填する穀物の体積は、毎瓶100ccを基準とした)を決定した。瓶20の形状は図2に示す通りで、耐熱ガラスで作成し、容積は700ccとした。瓶の上部には、樟芝が生育する際の呼吸用の空間が必要であり、通気孔(6mmΦ)が必要な栓部分には綿栓を用いた。滅菌器26で毎回300瓶を処理した。110℃で50分間加熱して、確実に雑菌を死滅させ、滅菌が終了した瓶を冷却棚30に置いて冷却した。室温を16℃、RH(相対湿度)を60%に制御して、特殊な菌株の生育環境に近い状態まで冷却した。無菌植種台40で、調製した植種液36(植種液中には樟芝の成長に必要な栄養液を含有した)を投入した後、培養室に運び、瓶20を培養棚42に置いた。培養中に適した温湿度環境に移動できるよう、培養棚42は可動式とした。培養中は、16℃×RH80%、18℃×RH75%、16℃×RH80%の3段階により温湿度を調整し、菌糸の最適な生育条件にした。各段階は25〜30日間とした。
【0008】
菌糸の生育速度は、制御できるように標準サンプルを用いて比較した。培養が終了すると、検査後に瓶すべてを回収した。乾燥器46に入れて80℃で24時間の乾燥作業を行い、完成品の水分量を確実に0.2%以下にして、樟芝の活性を保持した。製粉機60で均一な顆粒に製粉し、完成品の多糖類およびトリテルペンが制御範囲内にあることを保証した。充填を行う前に、成分を化学分析し、品質を保証するために微調整を行った。最後に充填包装機70で完成品の包装作業を行い、倉庫保管した。作業はすべてGMPの要求に従って行われ、製品の多糖類およびトリテルペンの含量表示、および安全需要を保証した。
【0009】
上記を総合すると、本発明の目的を達成したため、本出願人は法に基づき出願を行った。
【符号の説明】
【0010】
10 穀物
20 ガラス瓶
22 充填棚
26 滅菌器
30 冷却棚
36 植種液
40 植種台
42 培養棚
46 乾燥器
60 製粉機
70 充填包装機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本発明は、天然純正由来の樟芝菌株(Antrodia cinnamomea)の構築に関し、野生の樟芝が生育する自然環境に似せ、人工固体培養を用い、天然の樟芝にもっとも近い高品質の菌糸体を大規模製造する方法であって、穀物が原料である特殊な培養基質、特殊な純正の菌株、培養条件、および菌糸体の特殊な回収方法により、天然の樟芝にもっとも近い製品を製造・生産する方法。
【請求項2】
ガラス瓶は加熱容器とする、請求項1に記載の多糖類およびトリテルペンを多く含む製品の生産方法。
【請求項3】
滅菌器の滅菌温度は110℃で、50分間保持することを特徴とする、請求項1に記載の多糖類およびトリテルペンを多く含む製品の生産方法。
【請求項4】
ガラス瓶に充填する穀物の体積は100ccであることを特徴とする、請求項1に記載の多糖類およびトリテルペンを多く含む製品の生産方法。
【請求項5】
本発明の培養基質に対して、培養期間中の温湿度は3段階に分けて制御され、16℃×RH80%、18℃×RH75%、16℃×RH80%であり、各段階は25〜30日間であることを特徴とする、請求項1に記載の多糖類およびトリテルペンを多く含む製品の生産方法。
【請求項6】
乾燥作業は80℃で24時間行い、菌糸製品の水分を0.2%以下にし、樟芝の活性を保証することを特徴とする、請求項1に記載の多糖類およびトリテルペンを多く含む製品の生産方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−87550(P2011−87550A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−245967(P2009−245967)
【出願日】平成21年10月26日(2009.10.26)
【出願人】(509296384)偉誠生物科技有限公司 (1)
【Fターム(参考)】